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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/12 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
B65D88/12 P
B65D88/12 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019003657
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020111364
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 成豊
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-188105(JP,A)
【文献】特開2013-035588(JP,A)
【文献】特開2003-276805(JP,A)
【文献】実開昭52-049022(JP,U)
【文献】米国特許第07874107(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00-5/14
B65D 88/00-90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面の開口部に観音開きの扉を備えるコンテナであって、該観音開きの扉を構成する一対の扉板は、各々、前記開口部のコンテナ妻面側端部に対し回動自在な第1の扉板と、該第1の扉板に対し回動自在な第2の扉板と、該第2の扉板に対し回動自在な第3の扉板と、該第3の扉板に対し回動自在な第4の扉板とを含み、
前記一対の扉板の少なくとも一方は、
前記第1の扉板から前記第4の扉板の何れも他の扉板と幅が異なっており、
その全開状態では、
前記第1の扉板の前記第2の扉板側の端辺が前記コンテナ妻面ないしそれよりも前方若しくは後方に位置するように、前記第1の扉板が開放され、
前記第2の扉板と前記第4の扉板とが互いの外面を向い合せた状態で、
前記側面を通る仮想平面と前記第2の扉板とが平行ないし略平行、かつ、前記仮想平面と前記第2の扉板との間に前記第3の扉板及び前記第4の扉板が収まるように、前記第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれる如く、
前記第1の扉板に最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置され、前記第4の扉板に最も広幅の扉板の次に広幅の扉板が配置され、前記第2の扉板に最も広幅の扉板が配置され、前記第3の扉板に最も狭幅の扉板が配置されていることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記コンテナ妻面のうち、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有し、
前記一対の扉板の前記少なくとも一方は、前妻面側の扉板であることを特徴とする請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
側面の開口部に観音開きの扉を備えるコンテナであって、該観音開きの扉を構成する一対の扉板は、各々、前記開口部のコンテナ妻面側端部に対し回動自在な第1の扉板と、該第1の扉板に対し回動自在な第2の扉板と、該第2の扉板に対し回動自在な第3の扉板と、該第3の扉板に対し回動自在な第4の扉板とを含み、
前記一対の扉板の少なくとも一方は、
前記第1の扉板から前記第4の扉板の何れも他の扉板と幅が異なっており、
その全開状態では、
前記第1の扉板の前記第2の扉板側の端辺が前記コンテナ妻面ないしそれよりも前方若しくは後方に位置するように、前記第1の扉板が開放され、
前記第3の扉板と前記第4の扉板とが互いの外面を向い合せた状態で、
前記第1の扉板、前記第2の扉板、前記第3の扉板、及び、前記コンテナ妻面の間に前記第4の扉板が収まり、かつ、前記第3の扉板の前記第4の扉板側の端辺が、前記コンテナ妻面の幅方向中心線に対して幅方向手前側に位置するように、前記第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれる如く、
前記第1の扉板に最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置され、前記第4の扉板に最も広幅の扉板の次に広幅の扉板が配置され、前記第2の扉板に最も狭幅の扉板が配置され、前記第3の扉板に最も広幅の扉板が配置されていることを特徴とするコンテナ。
【請求項4】
前記コンテナ妻面のうち、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有し、
前記一対の扉板の前記少なくとも一方は、後妻面側の扉板であることを特徴とする請求項3記載のコンテナ。
【請求項5】
前記一対の扉板の他方は、
前記第1の扉板から前記第4の扉板の何れも他の扉板と幅が異なっており、
の全開状態では、
前記第1の扉板の前記第2の扉板側の端辺が前記コンテナ妻面ないしそれよりも前方若しくは後方に位置するように、前記第1の扉板が開放され、
前記第3の扉板と前記第4の扉板とが互いの外面を向い合せた状態で、
前記第1の扉板、前記第2の扉板、前記第3の扉板、及び、前記コンテナ妻面の間に前記第4の扉板が収まり、かつ、前記第3の扉板の前記第4の扉板側の端辺が、前記コンテナ妻面の幅方向中心線に対して幅方向手前側に位置するように、前記第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれる如く、
前記第1の扉板に最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置され、前記第4の扉板に最も広幅の扉板の次に広幅の扉板が配置され、前記第2の扉板に最も狭幅の扉板が配置され、前記第3の扉板に最も広幅の扉板が配置されていることを特徴とする請求項記載のコンテナ。
【請求項6】
前記コンテナ妻面のうち、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有し、
前記側面に設けられた観音開きの扉を構成する一対の扉板のうち、
前記一方の扉板は、前妻面側の扉板であり
前記他方の扉板は、後妻面側の扉板であり
前記前妻面側の扉板及び前記後妻面側の扉板の、最も広幅の扉板は同一幅であり、かつ、最も狭幅の扉板は同一幅であることを特徴とする請求項記載のコンテナ。
【請求項7】
前記前妻面側の扉板と前記後妻面側の扉板とは、前記第1の扉板の幅が互いに同一であり、前記第4の扉板の扉板の幅が互いに同一であることを特徴とする請求項記載のコンテナ。
【請求項8】
前記コンテナ妻面に前記一対の扉板の少なくとも一方を連結する連結具を備え、
該連結具は、前記一対の扉板の少なくとも一方の全開状態における、前記第4の扉板の室内側面の、前記コンテナ妻面寄りの端辺に沿って配置された凹部に収納され、かつ、前記凹部に対して出没可能に前記第4の扉板に対して軸着されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載のコンテナ。
【請求項9】
前記一対の扉板の閉扉状態でのロック・アンロックを行うためのロックロッドを備え、該ロックロッドは、
前記第1の扉板に一本、前記第4の扉板に二本、前記第2の扉板又は前記第3の扉板のうちの広幅の扉板に二本設けられており、
かつ、各ロックロッドは、前記扉板の開閉作業者が両手により二本同時に操作可能な距離に配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載のコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナに関し、特に、コンテナの側面の開口部に、扉板を折れ戸とした観音扉を備えるコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンテナに対する荷役作業を円滑にするために、コンテナの開口部をより大きく取ったものが用いられている。そのようなコンテナの一例として、例えば、図5に示されるように、開口部を塞ぐ扉を観音開きの扉とし、かつ、扉板を更に折戸としたコンテナ100が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
コンテナ100の側面100aの開口部に設けられた一対の扉板は、第1の扉板101、第2の扉板102、第3の扉板103、及び、第1の扉板101と第2の扉板102の間に配置された結合部104とで構成されている。折戸の開放操作は、図5(a)及び図5(b)の(S1)に示される閉扉状態から、(S2)に示されるように、妻面側端部との結合部から最も離れた第3の扉板103を、第3の扉板103と第2の扉板と102の結合部を起点として、第2の扉板102に対して外側に回転させるようにして、第3の扉板103が第2の扉板102と平行又は略平行となる位置まで折り畳む。続いて、(S3)に示されるように、第1の扉板101と第2の扉板102との結合部である結合部104を起点として、第2の扉板102、第3の扉板103を、第1の扉板101に対して外側に回転させる。最後に、(S4)に示されるように、第1の扉板101と、コンテナ100の側面100aの開口部の妻面側端部との結合部を起点として、第1から第3の扉板101~103及び結合部104を外側に回転させて、全開状態とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-188105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、扉板を折戸とした観音扉構造を、鉄道貨物用長尺コンテナ(31ft)を一例とする長尺コンテナに採用することで、扉板の大型化による回転半径の拡大を防ぎ、運用の自由度を高めることが可能となる。又、扉板の開閉時に風を受け難く、開閉操作に支障を来すことも軽減される、といった利点が生まれるものである。一方、コンテナに対する荷役作業環境によっては、扉の開放状態において、フォークリフト等の荷役装置の動線を損なうことのない、より使い勝手に優れた大開口のコンテナが求められている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンテナに大きな開口面積を確保しつつ荷室に対する荷役作業の自由度を担保し、コンテナの使い勝手を一層向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ
得るものである。
【0006】
(1)側面の開口部に観音開きの扉を備えるコンテナであって、該観音開きの扉を構成する一対の扉板は、各々、前記開口部のコンテナ妻面側端部に対し回動自在な第1の扉板と、該第1の扉板に対し回動自在な第2の扉板と、該第2の扉板に対し回動自在な第3の扉板と、該第3の扉板に対し回動自在な第4の扉板とを含コンテナ。
【0007】
本項に記載のコンテナは、側面の開口部を塞ぐ観音開きの扉を構成する一対の扉板が、各々、第1の扉板と、第2の扉板と、第3の扉板と、第4の扉板とで構成され、これらの各扉板が互いに回動自在に結合された折戸を構成するものである。又、第1の扉板が開口部のコンテナ妻面側端部に対して回動自在であることから、第1から第4の扉板を含む折戸は、第1の扉板を起点としてコンテナの躯体に対し軸支され、第4の扉板が、観音扉を構成する一対の扉板の他方側と突き合わされるようにして、側面の開口部を閉じるものである。
本項における折戸の開放操作は、まず、第4の扉板を第3の扉板に対して外側に回転させ、次に、第4の扉板と共に第3の扉板を第2の扉板に対して外側に回転させる。続いて、第4、第3の扉板と共に第2の扉板を第1の扉板に対して外側に回転させる。最後に、第4から第2の扉板と共に第1の扉板を、開口部のコンテナ妻面側端部に対して外側に回転させることで、第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれた、各扉板の全開状態となる。
【0008】
(2)上記(1)項において、前記一対の扉板の少なくとも一方は、前記第1の扉板から前記第4の扉板の何れも他の扉板と幅が異なっており、その全開状態では、前記第1の扉板の前記第2の扉板側の端辺が前記コンテナ妻面ないしそれよりも前方若しくは後方に位置するように、前記第1の扉板が開放され、前記第2の扉板と前記第4の扉板とが互いの外面を向い合せた状態で、前記側面を通る仮想平面と前記第2の扉板とが平行ないし略平行、かつ、前記仮想平面と前記第2の扉板との間に前記第3の扉板及び前記第4の扉板が収まるように、前記第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれる如く、前記第1の扉板に最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置され、前記第4の扉板に最も広幅の扉板の次に広幅の扉板が配置され、前記第2の扉板に最も広幅の扉板が配置され、前記第3の扉板に最も狭幅の扉板が配置されているコンテナ(請求項1)。
【0009】
本項に記載のコンテナは、一対の扉板の少なくとも一方が、第1の扉板から第4の扉板の何れも他の扉板と幅が異なっていることにより、第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれた、各扉板の全開状態における折り畳みの態様が、幅が全て異なる扉板の配置に応じた、多様なものとなる。
また、一対の扉板の少なくとも一方は、その全開状態において、第1の扉板の第2の扉板側の端辺がコンテナ妻面よりも前方若しくは後方に位置するように、第1の扉板が開放される。これにより、第1の扉板から第4の扉板は、コンテナ妻面よりも前方若しくは後方に位置することとなり、側面の開口部の前半部分若しくは後半部分における開放面積が最大限に確保されるものである。そして、第2の扉板と第4の扉板とが互いの外面を向い合せた状態で、側面を通る仮想平面と第2の扉板とが平行ないし略平行、かつ、仮想平面と第2の扉板との間に第3の扉板及び第4の扉板が収まるように、第1の扉板から第4の扉板が折り畳まれる。従って、扉板はその全開状態において、コンテナの側面の近傍に沿って前方若しくは後方に伸びる態様となり、側方への突出量が抑えられる。
【0010】
また、本項に記載のコンテナの構成によれば、開口部のコンテナ妻面側端部に対し回動自在となっている第1の扉板に付随して、第1の扉板と共に第2の扉板から第4の扉板も開閉するものである。このため、扉板全体としての回転半径は、第1の扉板の回転半径に起因する度合いが大きいものである。例えば第1の扉板が最も広幅の扉板であるとすれば、回転半径の最も大きな第1の扉板に付随して、第1の扉板と共に第2の扉板から第4の扉板も開閉することとから、扉板全体としての回転半径は、第1の扉板の回転半径となる。この点、本項に係る発明では、第1の扉板として、幅の異なる扉板の組み合わせからなる第1から第4の扉板のうち、最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置されており、また、第4の扉板に最も広幅の扉板の次に広幅の扉板が配置され、第2の扉板に最も広幅の扉板が配置され、第3の扉板に最も狭幅の扉板が配置されている。このような幅の大きさの関係と相まって、上述したような折り畳みの態様から、扉板全体としての回転半径は比較的小さく抑えられる。このため、第1から第4の扉板を全て折り畳んだ全開状態における、一対の扉板の全体としての、コンテナの側面から側方への突出量が抑えられるものとなる。
【0011】
(3)上記(2)項において、前記コンテナ妻面のうち、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有し、前記一対の扉板の前記少なくとも一方は、前妻面側の扉板であるコンテナ(請求項2)。
本項に記載のコンテナは、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有していることから、トレーラトラック等により搬送される際には、前妻面の前方にトラクタないしキャビンが位置するようにして、トレーラトラック等に搭載されるものである。そして、トレーラトラック等に搭載された状態で、側面及び後妻面側の観音開きの扉を開放することで、側面及び後妻面から荷役作業が行われるものである。また、一対の扉板の少なくとも一方が、前妻面側の扉板になっていることで、例えば、前妻面の前方にトラクタないしキャビンが位置する場合において、前妻面側の扉板の側面はコンテナの側面を通る仮想平面の近傍に位置することから、前妻面側の扉板はその全開状態において、トラクタないしキャビンの側面の近傍に沿って前方に伸びる態様となり、側方への突出量が抑えられる。
【0012】
(4)上記(1)項において、前記一対の扉板の少なくとも一方は、前記第1の扉板から前記第4の扉板の何れも他の扉板と幅が異なっており、その全開状態では、前記第1の扉板の前記第2の扉板側の端辺が前記コンテナ妻面ないしそれよりも前方若しくは後方に位置するように、前記第1の扉板が開放され、前記第3の扉板と前記第4の扉板とが互いの外面を向い合せた状態で、前記第1の扉板、前記第2の扉板、前記第3の扉板、及び、前記コンテナ妻面の間に前記第4の扉板が収まり、かつ、前記第3の扉板の前記第4の扉板側の端辺が、前記コンテナ妻面の幅方向中心線に対して幅方向手前側に位置するように、前記第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれる如く、前記第1の扉板に最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置され、前記第4の扉板に最も広幅の扉板の次に広幅の扉板が配置され、前記第2の扉板に最も狭幅の扉板が配置され、前記第3の扉板に最も広幅の扉板が配置されているコンテナ(請求項3)。
【0013】
本項に記載のコンテナは、一対の扉板の少なくとも一方が、第1の扉板から第4の扉板の何れも他の扉板と幅が異なっていることにより、第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれた、各扉板の全開状態における折り畳みの態様が、幅が全て異なる扉板の配置に応じた、多様なものとなる。
また、一対の扉板の少なくとも一方は、その全開状態において、第1の扉板の第2の扉板側の端辺がコンテナ妻面よりも前方若しくは後方に位置するように、第1の扉板が開放される。これにより、第1の扉板から第4の扉板は、コンテナ妻面よりも前方若しくは後方に位置することとなり、側面の開口部の前半部分若しくは後半部分における開放面積が最大限に確保されるものである。そして、第1の扉板、第2の扉板、第3の扉板及び妻面の間に第4の扉板が収まり、かつ、第3の扉板の第4の扉板側の端辺が、コンテナの幅方向中心線に対して幅方向手前側に位置するように、第1の扉板から第4の扉板が折り畳まれる。従って、扉板はその全開状態において、反対側面側の扉が全開状態であっても、両側面の扉が干渉することなく、かつ、前方若しくは後方への突出量が抑えられる。
【0014】
また、本項に記載のコンテナの構成によれば、開口部のコンテナ妻面側端部に対し回動自在となっている第1の扉板に付随して、第1の扉板と共に第2の扉板から第4の扉板も開閉するものである。このため、扉板全体としての回転半径は、第1の扉板の回転半径に起因する度合いが大きいものである。例えば第1の扉板が最も広幅の扉板であるとすれば、回転半径の最も大きな第1の扉板に付随して、第1の扉板と共に第2の扉板から第4の扉板も開閉することとから、扉板全体としての回転半径は、第1の扉板の回転半径となる。この点、本項に係る発明では、第1の扉板として、幅の異なる扉板の組み合わせからなる第1から第4の扉板のうち、最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置されており、また、第4の扉板に最も広幅の扉板の次に広幅の扉板が配置され、第2の扉板に最も狭幅の扉板が配置され、第3の扉板に最も広幅の扉板が配置されている。このような幅の大きさの関係と相まって、上述したような折り畳みの態様から、扉板全体としての回転半径は比較的小さく抑えられる。このため、第1から第4の扉板を全て折り畳んだ全開状態における、一対の扉板の全体としての、コンテナの側面から側方への突出量が抑えられるものとなる。
【0015】
(5)上記(4)項において、前記コンテナ妻面のうち、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有し、前記一対の扉板の前記少なくとも一方は、後妻面側の扉板であるコンテナ(請求項4)。
本項に記載のコンテナは、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有していることから、トレーラトラック等により搬送される際には、前妻面の前方にトラクタないしキャビンが位置するようにして、トレーラトラック等に搭載されるものである。そして、トレーラトラック等に搭載された状態で、側面及び後妻面側の観音開きの扉を開放することで、側面及び後妻面から荷役作業が行われるものである。また、一対の扉板の少なくとも一方が、後妻面側の扉板になっていることで、例えば、前妻面の前方にトラクタないしキャビンが位置する場合において、トラクタないしキャビンが存在しない、後妻面側の扉板の全開状態において、反対側面側の後妻面側扉が全開状態であっても、両側面の後妻面側扉が干渉することなく、かつ、後方への突出量が抑えられることとなる。
【0016】
(6)上記(2)項において、前記一対の扉板の他方は、前記第1の扉板から前記第4の扉板の何れも他の扉板と幅が異なっており、その全開状態では、前記第1の扉板の前記第2の扉板側の端辺が前記コンテナ妻面ないしそれよりも前方若しくは後方に位置するように、前記第1の扉板が開放され、前記第3の扉板と前記第4の扉板とが互いの外面を向い合せた状態で、前記第1の扉板、前記第2の扉板、前記第3の扉板、及び、前記コンテナ妻面の間に前記第4の扉板が収まり、かつ、前記第3の扉板の前記第4の扉板側の端辺が、前記コンテナ妻面の幅方向中心線に対して幅方向手前側に位置するように、前記第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれる如く、前記第1の扉板に最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置され、前記第4の扉板に最も広幅の扉板の次に広幅の扉板が配置され、前記第2の扉板に最も狭幅の扉板が配置され、前記第3の扉板に最も広幅の扉板が配置されているコンテナ(請求項5)。
本項に記載のコンテナは、一対の扉板の他方について、上記(4)項と同様の作用を奏するものである。
【0017】
(7)上記(6)項において、前記コンテナ妻面のうち、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有し、前記側面に設けられた観音開きの扉を構成する一対の扉板のうち、前記一方の扉板は、前妻面側の扉板であり、前記他方の扉板は、後妻面側の扉板であり、前記前妻面側の扉板及び前記後妻面側の扉板の、最も広幅の扉板は同一幅であり、かつ、最も狭幅の扉板は同一幅であるコンテナ(請求項6)。
本項に記載のコンテナは、前妻面は非開放の壁により構成され、後妻面は開口部を有していることから、トレーラトラック等により搬送される際には、前妻面の前方にトラクタないしキャビンが位置するようにして、トレーラトラック等に搭載されるものである。そして、トレーラトラック等に搭載された状態で、側面及び後妻面側の観音開きの扉を開放
することで、側面及び後妻面から荷役作業が行われるものである。
ここで、一対の扉板のうち、一方の扉板が前妻面側の扉板であり、他方の扉板が後妻面側の扉板である。しかも、前妻面側の扉板及び後妻面側の扉板の、最も広幅の扉板(前者は第2の扉板、後者は第3の扉板)は同一幅であり、かつ、最も狭幅の扉板(前者は第3の扉板、後者は第2の扉板)は同一幅である。すなわち、前妻面側の扉板と後妻面側の扉板とは、最も広幅の扉板及び最も狭幅の扉板の配置が入れ替わった態様となっている。これにより、各扉板はその開放時には、各扉板の配置に応じた回転半径で回転動作し、各扉板の幅に応じた折り畳みの態様での全開状態を得るものである。
【0018】
)上記()項において、前記前妻面側の扉板と前記後妻面側の扉板とは、前記第1の扉板の幅が互いに同一であり、前記第4の扉板の扉板の幅が互いに同一であるコンテナ(請求項)。
本項に記載のコンテナは、上記()項に示すような、第2、第3の扉板の配置が異なる前妻面側の扉板と後妻面側の扉板において、第1の扉板の幅が互いに同一であり、第4の扉板の幅が互いに同一である。即ち、前妻面側の扉板と後妻面側の扉板とを構成する複数の扉板の幅は、第2、第3の扉板のみ入れ替わった態様となっている。このような扉板の配置パターンにより、前妻面側の扉板と後妻面側の扉板とを構成する各扉板の幅に共通性を持たせつつ、各扉板の配置に応じた折り畳みの態様での全開状態を得るものである。
【0019】
)上記()から()項において、前記コンテナ妻面に前記一対の扉板の少なくとも一方を連結する連結具を備え、該連結具は、前記一対の扉板の少なくとも一方の全開状態における、前記第4の扉板の室内側面の、前記コンテナ妻面寄りの端辺に沿って配置された凹部に収納され、かつ、前記凹部に対して出没可能に前記第4の扉板に対して軸着されていることを特徴とするコンテナ(請求項)。
本項に記載のコンテナは、扉板の全開状態で、コンテナ妻面に対し連結具によって扉板が連結されることで、扉板が全開状態に保持されるものである。又、この連結具は、第4の扉板の室内側面に配置された凹部に収納されることから、扉板の閉扉時に連結具がコンテナの外部に露出することなく、第4の扉板の内部に収納される。しかも、凹部は、扉板の全開状態におけるコンテナ妻面寄りの端辺に沿って配置されており、連結具はこの凹部に対して出没可能に第4の扉板に対して軸着されていることで、連結具の長さとして必要とされる、扉板の全開状態における、第4の扉板とコンテナ妻面との距離に応じた長さが、短くなる。なお、第4の扉板の室内側面に配置された凹部について、第4の扉板の構造等によっては、連結具を収納可能な長さを確保できないような場合には、連結具を伸縮、折畳み等長さを調整可能なものとし、コンテナ妻面に扉板を連結する際には伸ばして使用し、収納時には縮めて凹部に収納可能とする。
【0020】
10)上記()から()項において、前記一対の扉板の閉扉状態でのロック・アンロックを行うためのロックロッドを備え、該ロックロッドは、前記第1の扉板に一本、前記第4の扉板に二本、前記第2の扉板又は前記第3の扉板のうちの広幅の扉板に二本設けられており、かつ、各ロックロッドは、前記扉板の開閉作業者が両手により二本同時に操作可能な距離に配置されているコンテナ(請求項)。
本項に記載のコンテナは、最も狭幅の扉板を除いた扉板に対して、ロックロッドが配置されている。又、最も狭幅の扉板の次に狭幅である第1の扉板には、一本のロックロッドが配置され、最も広幅及びその次に広幅の扉板には、二本のロックロッドが配置されることで、扉の幅に応じて、確実に扉板の不用意な開放を阻止するための、適切な数のロックロッドの配置となる。しかも、ロックロッドは、扉板の開閉作業者が両手により二本同時に操作可能な距離に配置されていることで、作業者による各扉板のロック・アンロック作業が、二本のロックロッド対して同時に行い得るものとなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明はこのように構成したので、コンテナに大きな開口面積を確保しつつ荷室に対する荷役作業の自由度を担保し、コンテナの使い勝手を一層向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係るコンテナを模式的に示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るコンテナを模式的に示すものであり、(a)は前妻面図、(b)は後妻面図である。
図3図1に示されるコンテナの、一側面の観音開きの扉の、全開状態を示す横断面図である。
図4】前妻面側の扉板の全開状態で、前妻面に対し前妻面側の扉板を連結するための連結具を示すものであり、(a)は連結具が収納された状態を示す第4の扉板の、高さ方向下端部から上方に向けての部分断面図、(b)は(a)の室内側正面図である。
図5】従来のコンテナを示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のG-G線における前妻面側の扉板の開放手順を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは、相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0024】
本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、図1に示されるように、コンテナ10の側面10aの側面に、いわゆる観音開きの扉が設けられている。又、図2に示されるように、コンテナ妻面のうち、前妻面10fは非開放の壁(いわゆる「波板」からなる外板)により構成され、後妻面10rは開口部を有し、この開口部に観音開きの扉を構成する一対の扉板11が設けられている。なお、図示のコンテナ10は、31ftコンテナである。また、コンテナ10は両側面及び後妻面に開口部及び扉を有するいわゆる三方開のコンテナであることから、図1(b)に示された側面(左側面)とは反対側の側面(右側面)にも、図示された側面と対称に扉が設けられているが、便宜上図示は省略する。
【0025】
又、コンテナ10の側面の観音開きの扉を構成する一対の扉板のうち、前妻面側の扉板12fは、第1の扉板121fと、第1の扉板121fに対し回動自在に結合される第2の扉板122fと、第2の扉板122fに対し回動自在に結合される第3の扉板123fと、第3の扉板123fに対し回動自在に結合される第4の扉板124fとを含む、折れ戸となっている。第1の扉板121fは、前妻柱14fに対して4つのヒンジ16によって軸着されている。第2の扉板122fは、第1の扉板121fの第2の扉板122f側の端辺に対して、4つのヒンジ16によって軸着されている。第3の扉板123fは、第2の扉板122fの第3の扉板123f側の端辺に対して、4つのヒンジ16によって軸着されている。第4の扉板124fは、第3の扉板123fの第4の扉板124f側の端辺に対して、4つのヒンジ16によって軸着されている。なお、一対の扉板12f、12rの、第1から第4の扉板の幅を合計した全幅については、扉板の一方12fと他方12rとで同一である。なお、各ヒンジ16の数については、必要とされる強度や重量を考慮して、適宜決定される(後述する後妻面側の扉板12rについても同様である)。
【0026】
第1の扉板121fから第4の扉板124fには、他の扉板と幅の異なる扉板が含まれている。本実施の形態では、第1の扉板121fから第4の扉板124fの幅はすべて異なっており、幅の広い順に第2の扉板122f、第4の扉板124f、第1の扉板121f、第3の扉板123fとなっている。すなわち、第2の扉板122fに最も広幅の扉板が、第3の扉板123fに最も狭幅の扉板が配置されている。そして、第1の扉板121fが、最も狭幅の第3の扉板の次に狭幅となっている。残りの第4の扉板124fは、二番目に広幅の扉幅となっている。具体例として、第2の扉板122fの幅W1は1770mm、第4の扉板124fの幅W2は1490mm、第1の扉板121fの幅W3は900mm、第3の扉板123fの幅W4は270mmとなっている。
【0027】
又、コンテナ10の側面の観音開きの扉を構成する一対の扉板のうち、後妻面側の扉板12rは、第1の扉板121rと、第1の扉板121rに対し回動自在に結合される第2の扉板122rと、第2の扉板122rに対し回動自在に結合される第3の扉板123rと、第3の扉板123rに対し回動自在に結合される第4の扉板124rとを含むものである。第1の扉板121rは、後妻柱14rに対して4つのヒンジ16によって軸着されている。第2の扉板122rは、第1の扉板121rの第2の扉板122r側の端辺に対して、4つのヒンジ16によって軸着されている。第3の扉板123rは、第2の扉板122rの第3の扉板123r側の端辺に対して、4つのヒンジ16によって軸着されている。第4の扉板124rは、第3の扉板123rの第4の扉板124r側の端辺に対して、4つのヒンジ16によって軸着されている。
【0028】
後妻面側の扉板12rについても、前妻面側の扉板12fと同様に、第1の扉板121rから第4の扉板124rには、他の扉板と幅の異なる扉板が含まれている。本実施の形態では、第1の扉板121rから第4の扉板124rの幅はすべて異なっており、幅の広い順に第3の扉板123r、第4の扉板124r、第1の扉板121r、第2の扉板122rとなっている。すなわち、第3の扉板123rに最も広幅の扉板が、第2の扉板122rに最も狭幅の扉板が配置されている。そして、第1の扉板121rが、最も狭幅の第3の扉板の次に狭幅となっている。
【0029】
ここで、前妻面側の扉板12fと後妻面側の扉板12rとでは、第1の扉板121f、121rの幅が互いにW2で同一であり、第4の扉板の扉板124f、124rの幅が互いにW3で同一となっている。しかしながら、後妻面側の扉板12rは、第2の扉板122rに最も狭幅W4の扉板が、第3の扉板123fに最も広幅W1の扉板が配置されている。そして、前妻面側の扉板12fのうち最も広幅の第2の扉板122fと、後妻面側の扉板12rのうち最も広幅の第3の扉板123rは同一幅W1である。又、前妻面側の扉板12fのうち最も狭幅の第3の扉板123fと、後妻面側の扉板12rのうち最も狭幅の第2の扉板122rとは同一幅W4である。
【0030】
図3には、一対の扉板12f、12rの全開状態が示されており、前妻面側の扉板12fを構成する第1の扉板121fから第4の扉板124fは、各々、図3に示される全開状態の折り畳み角度が、開放方向の回転限度位置となるように、各ヒンジ16に回転止めが設けられている。なお、後妻面側の扉板12rを構成する第1の扉板121rから第4の扉板124rのヒンジ16についても同様である。
前妻面側の扉板12fの開放操作は、図5(a)及び図5(b)の(S1)に示される従来技術と同様に、前妻面10fから最も離間しており後妻面側の扉板12rと直接的に対向する第4の扉板124fから順に、ヒンジ16を起点として外側に回転させるようにして各扉板を折り畳んでいく。又、後妻面側の扉板12rの開放操作についても、前妻面側の扉板12fの開放動作と同様である。
【0031】
又、図1(b)に示されるように、一対の扉板12f、12rには、各々の閉扉状態でのロック・アンロックを行うためのロックロッド18を複数備えている。このロックロッド18は、前妻側の扉板12fには、第1の扉板121fに一本、第2の扉板122fに二本、第4の扉板124に二本設けられ、第3の扉板123fには設けられていない。一方、後妻側の扉板12rには、ロックロッド18は、第1の扉板121rに一本、第3の扉板123rに二本、第4の扉板124rに二本設けられている。そして、各ロックロッド18は、扉板の開閉作業者が両手により二本同時に操作可能な、略均等距離に配置されている。
なお、ロックロッド18の構造及びその操作方法については、従来のコンテナにも用いられている一般的なものが採用可能であることから、詳しい説明を省略する。
【0032】
なお、図3に示されるように、前妻面側の扉板12fには、前妻面10fに前妻面側の扉板12fを連結する連結具20を備えている。この連結具20は、図4に示されるように、第4の扉板124fの室内側面124finに、前妻面側の扉板121fの全開状態における妻面10f寄りの端辺121feに沿って配置された凹部22に収納され、かつ、凹部22に対して出没可能に、第4の扉板124fに対して軸着されている。
【0033】
より具体的には、連結具20は、内筒20aと、内筒20aをスライド自在に保持する外筒20bとを備え、連結具20の基端部側が、ヒンジ20cによって第4の扉板124fの凹部22を構成する部材に軸着されている。図4の状態では外筒20bに対して内筒20aが最も縮んだ状態である。又、内筒20aはほぼ全長にわたり外筒20bに対してスライドすることで連結具20の全長が伸縮し、内筒20aが外筒20bから脱落しないように、伸縮の各端部位置でスライド動作が制限される構造を有している。図示のヒンジ20cは、外筒20bの基端部を第4の扉板124fに軸着するものであり、回転軸方向が直交するように組み合わされた二つの軸受が用いられることで、連結具20の旋回角度の自由度が確保される。なお、連結具20の凹部22からの突出方向を自在に調整し得るものであれば、他の構造のヒンジを用いることも可能である。
【0034】
又、内筒20aの先端部側には、妻面10fの外面に固定されたフック24(図2(a)参照)に係合するための留め環20dが固定されている。更に、外筒20bには操作レバー20eが固定されており、外筒20bを固定するための固定具20fが凹部22内に設けられている。なお、図示の例では操作レバー20eはパイプないし丸棒をU字状に折り曲げたものであり、固定具20fは操作レバー20eを弾性力によって着脱自在に把持する、着脱式のブラケットが用いられている。
【0035】
連結具20を用いる場合には、図4に示される収納状態から、ヒンジ20cを起点として先端側を凹部22の外側に回動させる。そして、内筒20aは外筒20bに対して最も突出した位置で、留め環20dが妻面10fの外面に固定されたフック24(図2(a)参照)に掛け合わされることで、図3に示されるように、前妻面20fに対して全開状態の前妻面側の扉板12fが連結される。
なお、連結具20の長さの調整機構については、上述した伸縮構造に限らず、適宜、折畳み構造等の適切な伸縮構造を用いることとしても良い。
【0036】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、側面10aの開口部を塞ぐ観音開きの扉を構成する一対の扉板12f、12rが、第1の扉板121f、121rと、第2の扉板122f、122rと、第3の扉板123f、123rと、第4の扉板124f、124rとで構成され、これらの各扉板が互いに回動自在に結合された折戸を構成するものである。又、第1の扉板121f、121rが開口部の妻面側端部に対して回動自在であることから、第1から第4の扉板を含む折戸は、第1の扉板121f、121rを起点としてコンテナ10の前妻柱14f、後妻柱14rに対し軸支される。そして、第4の扉板124f、124rが、観音扉を構成する一対の扉板の他方側と、側面10aの開口部の前後方向中央部で突き合わされるようにして、側面10aの開口部を閉じるものである。
【0037】
折戸の開放操作は、まず、第4の扉板124f、124rを第3の扉板123f、123rに対して外側に回転させ、次に、第4の扉板124f、124rと共に第3の扉板123f、123rを、第2の扉板122f、122rに対して外側に回転させる。続いて、第4の扉板124f、124r、第3の扉板123f、123rと共に第2の扉板122f、122rを、第1の扉板121f、121rに対して外側に回転させる。最後に、第4から第2の扉板と共に第1の扉板121f、121rを、開口部のコンテナ妻面側端部に位置する前妻柱14f、後妻柱14rに対して外側に回転させることで、第1の扉板から前記第4の扉板が折り畳まれた、一対の扉板12f、12rの全開状態となる。
【0038】
この際、第1の扉板から第4の扉板には、他の扉板と幅の異なる扉板が含まれ、かつ、一対の扉板の一方12fと他方12rとで、幅の異なる扉板の配置が異なることから、扉板の全開状態における折り畳みの態様は、一対の扉板の一方12fと他方12rとで異なることとなる。より具体的には、図3に示されるように、第1の扉板から第4の扉板が折り畳まれた状態で、コンテナ10の外法に対して大きく突出する位置や方向が、一対の扉板の一方12fと他方12rとで異なるものとなる。この、扉板12f、12rの折り畳まれた態様での相違を決定する際に、扉板12f、12rの開放状態における、フォークリフト等荷役装置や、作業者等の動線が考慮されるものである。
【0039】
又、コンテナ10の前妻面10fは非開放の壁により構成され、後妻面10rは開口部を有していることから、トレーラトラック等により搬送される際には、前妻面10rの前方にトラクタないしキャビンが位置するようにして、トレーラトラック等に搭載されるものである。そして、トレーラトラック等に搭載された状態で、側面10a及び後妻面10r側の観音開きの扉を適宜開放することで、側面又は後妻面から荷役作業が行われるものである。
【0040】
ここで、前妻面側の扉板12fは、第2の扉板122fに最も広幅の扉板が、第3の扉板123fに最も狭幅の扉板が配置され、後妻面側の扉板12rは、第2の扉板122rに最も狭幅の扉板が、第3の扉板123rに最も広幅の扉板が配置されている。しかも、前妻面側の扉板12f及び後妻面側の扉板12rの、最も広幅の扉板(前者は第2の扉板122f、後者は第3の扉板123r)は同一幅W1であり、かつ、最も狭幅の扉板(前者は第3の扉板123f、後者は第2の扉板122r)は同一幅W4である。すなわち、前妻面側の扉板12fと後妻面側の扉板12rとは、最も広幅の扉板及び最も狭幅の扉板の配置が入れ替わった態様となっている。これにより、各扉板12f、12rはその開放時には、図3に示されるように、各扉板の配置に応じた回転半径(R12f、R12r)で回転動作し、各扉板の幅に応じた折り畳みの態様での全開状態を得るものとなっている。
【0041】
更に、上述したような第2、第3の扉板の配置が異なる前妻面側の扉板12fと後妻面側の扉板12rにおいて、第1の扉板121f、121rの幅W3が互いに同一であり、第4の扉板124f、124rの幅W2が互いに同一である。即ち、前妻面側の扉板12fと後妻面側の扉板12rとを構成する複数の扉板の幅は、第2、第3の扉板のみ入れ替わった態様となっている。このような扉板の配置パターンにより、前妻面側の扉板12fと後妻面側の扉板12rとを構成する各扉板の幅に共通性を持たせつつ、各扉板の配置に応じた折り畳みの態様での全開状態を得るものである。
しかも、第1の扉板121f、121rの幅W3が、最も狭幅W4の扉板(第3の扉板123f、第2の扉板122r)の次に狭幅であることにより、第1から第4の扉板を全て折り畳んだ全開状態における、一対の扉板12f、12rの全体としての、コンテナの側面10aから側方への突出量が抑えられるものとなる。
【0042】
そして、図3に示されるように、前妻面側の扉板12fの全開状態において、第1の扉板121fの第2の扉板122f側の端辺が前妻面10fよりも前方に位置するように、第1の扉板が開放される。これにより、第1の扉板121fから第4の扉板124fは、前妻面10fよりも前方に位置することとなり、側面10aの開口部の前半部分における開放面積が最大限に確保されることとなる。そして、第2の扉板122fと第4の扉板124fとが互いの外面を平行ないし略平行に向い合せた状態で、側面10aを通る仮想平面Sと第2の扉板122fとが平行ないし略平行、かつ、仮想平面Sと第2の扉板122fとの間に第3の扉板123f及び第4の扉板124fが収まるように、第1の扉板121fから第4の扉板124fが折り畳まれる。前妻面10fの前方にトラクタないしキャビンが位置する場合に、それらの側面はコンテナ10の側面10aを通る仮想平面Sの近傍に位置することから、前妻面側の扉板12fはその全開状態において、トラクタないしキャビンの側面の近傍に沿って前方に伸びる態様となり、コンテナ10の側方への突出量が抑えられ、荷役作業の際のフォークリフトの動線が、前妻面側の扉板12fの開放によって阻害されることが、可能な限り回避されることとなる。
【0043】
又、後妻面側の扉板12rの全開状態において、第1の扉板121rの第2の扉板122r側の端辺が後妻面10rよりも後方に位置するように、第1の扉板121rが開放される。これにより、第1の扉板121rから第4の扉板124rは、後妻面10rよりも後方に位置することとなり、側面10aの開口部の後半部分における開放面積が最大限に確保されるものである。そして、第1の扉板121r、第2の扉板122r、第3の扉板123r及び後妻面10rの間に第4の扉板124rが収まり、かつ、第3の扉板123rの第4の扉板124r側の端辺が、コンテナ10の幅方向中心線Cに対して幅方向手前側に位置するように、第1の扉板121rから第4の扉板124rが折り畳まれる。後妻面側の扉板12rは、この全開状態において、反対側面側の後妻面側扉が全開状態であっても(二点鎖線で示された、反対側面側の後妻面側扉の回転半径を示す円弧R12r’参照)、両側面10a、10aの後妻面側扉12rが干渉することなく、かつ、後方への突出量が抑えられる。従って、両側面10a、10aの後妻面側扉12rを全開状態にしても、コンテナ10の後方への突出量が抑えられ、荷役作業の際のフォークリフトの動線が、後妻面側の扉板12rの開放によって阻害されることが、回避されることとなる。なお、第1の扉板121rの幅は前妻面側の扉板12fの第1の扉板121fの幅と同一であることから、図3のごとく夫々の第1の扉板121f、121rの開放角度が同等に得られる限り、後妻面側の扉板12rのコンテナ側方への突出量は、前妻面側の扉板12f同等となる。
【0044】
しかも、前妻面側の扉板12fの全開状態で、前妻面10fに対し連結具20によって前妻面側の扉板12fが連結されることで、前妻面側扉板12fが全開状態に確実に保持される。又、この連結具20は、図4に示されるように、第4の扉板124fの室内側面124finに配置された凹部22に収納される。したがって、前妻面側の扉板12fの閉扉時に連結具20がコンテナ10の外部に露出することなく、第4の扉板124fの内部に収納されることとなる。しかも、凹部22は、前妻面側の扉板12fの全開状態における、第4の扉板124fの妻面寄りの端辺124feに沿って配置されており、連結具20はこの凹部22に対して出没可能に第4の扉板124fに対して軸着されていることで、連結具20の長さとして必要とされる、前妻面側の扉板12fの全開状態における、第4の扉板124fと前妻面10fとの距離に応じた長さが、可能な限り短くなる。なお、図4の例のごとく、第4の扉板124fの室内側面124finには、高さ方向の中間部に、水平方向に延びるようにしてラッシングレール26等必要な構造物が配置される場合がある。このような場合には、ラッシングレール26を跨いで凹部22を配置することはできず、凹部22の高さ寸法は自ずと制限されるものである。そこで、連結具20を伸縮可能なものとし、前妻面10fに前妻面側の扉板12fを連結する際には伸ばして使用し、連結具20の非使用時には縮めて凹部22に収納可能な構造を採用している。
【0045】
加えて、図1(b)に示されるように、前妻側の扉板12f及び後妻側の扉板12rの、いずれも最も狭幅の扉板123f、122rを除いた扉板に対して、ロックロッド18が配置されている。又、最も狭幅の扉板の次に狭幅である第1の扉板121f、121rには、一本のロックロッド18が配置され、最も広幅及びその次に広幅の扉板122f、124f、123r、124rには、二本のロックロッド18が配置されることで、扉の幅に応じて、確実に扉板の不用意な開放を阻止するための、適切な数のロックロッド18の配置がなされている。しかも、各ロックロッド18は、扉板の開閉作業者が両手を用いて二本同時に操作可能な略均等距離に配置されていることで、作業者による各扉板のロック・アンロック作業が、二本のロックロッド18対して同時に行い得るものとなり、一対の扉板12f、12rの開閉操作の作業効率を、より高めることが可能となっている。
【0046】
なお、本発明の実施の形態では、コンテナ10として両側面及び後妻面に開口部及び扉を有する、いわゆる三方開コンテナを例示して説明したが、両側面10a若しくは一方の側面10aにのみ開口部及び扉を有するコンテナや、一方の側面10a及び前後妻面10f、10rの一方に開口部及び扉を有するコンテナにも、本発明を適用可能であることは、理解されるであろう。
【0047】
更に、側面10aの扉についても、図示の例では、一対の扉板の一方12fと他方12rとの双方が、第1の扉板から第4の扉板に他の扉板と幅の異なる扉板が含まれており、かつ、一対の扉板の一方12fと他方12rとで、幅の異なる扉板の配置が異なっている。しかしながら、一対の扉板の一方12fと他方12rの一方にのみ、上記特徴を有していてもよく、一対の扉板の一方12fと他方12rとの扉板の配置が、前後逆であっても良い。
又、一対の扉板の一方12fと他方12rとの、第1の扉板から第4の扉板の配置が同一であってもよい。このような変更例であっても、第1の扉板121f、121rとして、最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置されていることにより、第1から第4の扉板を全て折り畳んだ全開状態における、一対の扉板の全体としての、コンテナの側面から側方への突出量が抑えられるものとなる。
【0048】
即ち、側面10aの開口部のコンテナ妻面側端部に対し回動自在となっている第1の扉板121f、121rの回転に付随して、第1の扉板121f、121rと共に第2の扉板から前記第4の扉板も開閉する。このため、扉板全体としての回転半径は、第1の扉板の回転半径に起因する度合いが大きいものである。そして第1の扉板121f、121rとして、幅の異なる扉板の組み合わせからなる第1から第4の扉板のうち、最も狭幅の扉板の次に狭幅の扉板が配置されていることから、扉板全体としての回転半径は比較的小さく抑えられるものとなることは、理解されるであろう。
【符号の説明】
【0049】
10:コンテナ、 10a:側面、 10f:前妻面、 10r:後妻面、 12f:前妻面側の扉板、 121f:第1の扉板、 122f:第2の扉板、 123f:第3の扉板、 124f:第4の扉板、 124fin:第4の扉板の室内側面、 124fe:前妻面側の扉板の全開状態における妻面寄りの端辺、 12r:後妻面側の扉板、 121r:第1の扉板、 122r:第2の扉板、 123r:第3の扉板、 124r:第4の扉板、 18:ロックロッド、 20:連結具、 22:凹部、 C:コンテナの幅方向中心線、 S:(コンテナの側面を通る)仮想平面、 R12f:前妻面側の扉板の回転半径、 R12r:後ろ妻面側の扉板の回転半径、 (扉板の)幅:W1、W2、W3、W4
図1
図2
図3
図4
図5