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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】空気乾燥システムおよび空気乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 13/06 20060101AFI20230418BHJP
   B64D 13/02 20060101ALI20230418BHJP
   F02C 1/02 20060101ALI20230418BHJP
   F02C 1/04 20060101ALI20230418BHJP
   F02C 6/06 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
B64D13/06
B64D13/02
F02C1/02
F02C1/04
F02C6/06
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019041422
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2019189208
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】15/934,233
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジョン・コーネル
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン・リンジー・カーネギー
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・カレル・リチャードソン
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3235730(EP,A1)
【文献】米国特許第5461882(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0305560(US,A1)
【文献】特開2003-207221(JP,A)
【文献】特開2015-113110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 13/02
B64D 13/06
F02C 1/00 - 1/04
F02C 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤空気(350)を受け入れる第1の空気入口(201)に結合された圧縮機(207)と、
前記圧縮機(207)と流体流通する第1のタービン(205)であって、乾燥空気(360)を放出する第1の空気出口(203)に結合された第1のタービン(205)と、
第2の空気入口(202)および第2の空気出口(204)に結合された第2のタービン(206)であって、前記第2の空気入口(202)と前記第2の空気出口(204)との間の圧力差によって引き起こされる空気流によって少なくとも部分的に駆動される第2のタービン(206)と、
前記圧縮機(207)の出口(251)に結合される第1の熱交換器入口(250)を有する熱交換器(210)と、
前記熱交換器(210)の第1の熱交換器出口(252)におよび前記第1のタービン(205)の入口(253)に結合された水分離器(209)と、
を備え、
前記第2のタービン(206)は、駆動機構(211)によって前記圧縮機(207)および前記第1のタービン(205)に動作可能に結合され、それにより、前記第2のタービン(206)の回転が前記圧縮機(207)および前記第1のタービン(205)の回転を駆動し、
前記第2のタービン(206)の出口(255)が前記熱交換器(210)の第2の熱交換器入口(256)に結合され、
前記熱交換器(210)の第2の熱交換器出口(257)が前記第2の空気出口(204)に結合される、空気乾燥システム(200)。
【請求項2】
前記水分離器(209)が、前記第2のタービン(206)の出口(255)に結合された凝縮水導管(240、242)を備え、それにより、前記熱交換器(210)の上流側または下流側で前記第2のタービン(206)の前記出口(255)に水分(241)を注入する、請求項1に記載の空気乾燥システム(200)。
【請求項3】
前記第1のタービン(205)が、前記圧縮機(207)の出口(251)と前記第1の空気出口(203)との間の空気流圧力差によって少なくとも部分的に駆動される、請求項1または2に記載の空気乾燥システム(200)。
【請求項4】
前記駆動機構(211)に結合された電気モーター(208)をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の空気乾燥システム(200)。
【請求項5】
前記乾燥空気(360)が、空気1ポンド当たり水約10グレーン以下を有する空気を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気乾燥システム(200)。
【請求項6】
前記乾燥空気(360)が、水の約氷点~カ氏約0度の温度である、請求項1から5のいずれか一項に記載の空気乾燥システム(200)。
【請求項7】
空気を乾燥させる方法であって、前記方法は、
湿潤空気(350)を、第1の空気入口(201)を通って圧縮機(207)内に受け入れるステップと、
乾燥空気(360)を第1のタービン(205)から第1の空気出口(203)を通って放出するステップであって、前記第1のタービン(205)が前記圧縮機(207)と流体流通する、ステップと、
第2の空気入口(202)と第2の空気出口(204)との間の圧力差によって引き起こされる空気流で第2のタービン(206)を少なくとも部分的に駆動するステップであって、前記第2の空気入口(202)および前記第2の空気出口(204)が前記第2のタービン(206)に結合される、ステップと、
前記圧縮機(207)からの圧縮機排気(281)の温度を前記第1のタービン(205)の上流側の熱交換器(210)で低下させるステップであって、前記第2のタービン(206)の出口(255)が前記熱交換器(210)の第2の熱交換器入口(256)に結合され、前記熱交換器(210)の第2の熱交換器出口(257)が前記第2の空気出口(204)に結合される、ステップと、
前記熱交換器(210)と前記第1のタービン(205)との間の水分離器(209)で前記圧縮機排気(281)から水分(241)を分離するステップと、
前記圧縮機(207)および前記第1のタービン(205)の回転を前記第2のタービン(206)の回転で駆動機構(211)を介して少なくとも部分的に駆動するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
前記水分離器(209)からの凝縮水を前記第2のタービン(206)の出口(255)に排出し、それにより、前記熱交換器(210)の上流側または下流側で前記第2のタービン(206)の前記出口(255)に水分(241)を注入するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のタービン(205)を前記圧縮機(207)の出口(251)と前記第1の空気出口(203)との間の空気流圧力差で少なくとも部分的に駆動するステップをさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の空気入口(202)と前記第2の空気出口(204)との間の前記圧力差が前記第2のタービン(206)を駆動するのに不十分であるときに、前記圧縮機(207)、前記第1のタービン(205)、および前記第2のタービン(206)を電気モーター(208)で駆動するステップをさらに含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記乾燥空気(360)が、空気1ポンド当たり水約10グレーン以下を有する空気を含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な諸実施形態は、一般に空気乾燥システムに関し、より詳細には航空機の空気乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水分生成が民間航空機について長年にわたって報告されている。水分生成は、例えば飛行の巡航セグメント(cruise segment)中にクラウン領域(crown area)内の水蒸気が航空機隔離材(aircraft insulation)の低温構造物上ならびに機内および機外の機器上(「まとめて冷表面(cold surfaces)」)で凝縮することから起こり得る(とはいえ、水蒸気は飛行の他のセグメント中に凝縮することもある)。凝縮水蒸気は冷表面上で凍結し、航空機の降下および着陸中に融解し得る。このとき水滴の形をとる融解し凝縮した水蒸気(一般に「飛行機の中の雨(rain in the plane)」と呼ばれる)は、航空機全体にわたって客室領域、航空機機器領域、および/または航空機隔離材領域などの領域へ移動し得る。クラウン領域の湿潤空気の凍結/融解サイクルから生成される水滴は、航空機構成要素の運用寿命を縮め、乗客の快適さを減少させ、かつ航空機隔離材の重量を増大させ得る(このことは、燃料、整備、および他の運用コストを増大させ得る)。
【0003】
従来、水蒸気は航空機内の空気から除去されている、あるいは隔離材は、例えばゾーナルドライヤ(zonal dryers)およびクラウン換気を使用して乾燥されている。ゾーナルドライヤはクラウン領域から湿潤空気を受け入れ、その湿潤空気を乾燥剤ホイールに通し、次いでそこに乾燥空気が付着されてクラウン領域内に戻される。クラウン換気は、乾燥空気を客室空調パックからクラウン領域内に向ける。これらの空気乾燥方法は共に、クラウン領域内の空気を乾燥させるためのものであるが、航空機の冷表面上の水分蓄積を減少させることができず、それにより航空機の降下および着陸時に水滴を生成することになり得る。さらに、これらの上記の空気乾燥方法は、ぬれた航空機隔離材を乾かすことしかできず、水蒸気凝縮の尤度および上述した凍結融解サイクルを減少させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、上記の懸念事項のうちの少なくとも1以上に対処するように意図された装置および方法があれば有用性を見いだすであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下は、本開示による主題の、特許請求されてもよいし、そうでなくてもよい例の非網羅的なリストである。
【0006】
本開示による手段の一例は空気乾燥システムに関し、空気乾燥システムは、湿潤空気がそれを通って受け入れられる第1の空気入口に結合された圧縮機と、圧縮機と流体流通する第1のタービンであって、乾燥空気がそれを通って放出される第1の空気出口に結合された第1のタービンと、第2の空気入口および第2の空気出口に結合された第2のタービンであって、第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差によって引き起こされる空気流によって少なくとも部分的に駆動される第2のタービンと、を備え、第2のタービンは、第2のタービンの回転が圧縮機および第1のタービンの回転を駆動するように、駆動機構によって圧縮機および第1のタービンに動作可能に結合される。
【0007】
本開示による主題の別の例は航空機に関し、航空機は、クラウン領域および隔離領域を含む客室領域を形成するフレームであって、隔離領域が少なくともクラウン領域とフレームに結合された外側外板との間に配置される、フレームと、フレームに結合された空気乾燥システムと、を備え、空気乾燥システムは、クラウン領域から湿潤空気を受け入れるように配置された第1の空気入口に結合される入口を有する圧縮機と、圧縮機と流体流通する第1のタービンであって、乾燥空気がそれを通ってクラウン領域および隔離領域の一方または両方の中に放出される第1の空気出口に結合された第1のタービンと、第2の空気入口および第2の空気出口に結合された第2のタービンであって、第2の空気入口が客室領域から空気を受け入れるように配置され、第2の空気出口が航空機の外部に空気を放出するように配置され、第2のタービンが、第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差によって引き起こされる空気流によって少なくとも部分的に駆動される、第2のタービンと、を備え、第2のタービンは、第2のタービンの回転が圧縮機および第1のタービンの回転を駆動するように、駆動機構によって圧縮機および第1のタービンに動作可能に結合される。
【0008】
本開示による主題のもう1つの例は空気を乾燥させる方法に関し、この方法は、湿潤空気を、第1の空気入口を通って圧縮機内に受け入れるステップと、乾燥空気を第1のタービンから第1の空気出口を通って放出し、第1の空気出口で第1のタービンが圧縮機と流体流通するステップと、第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差によって引き起こされる空気流で第2のタービンを少なくとも部分的に駆動するステップであって、第2の空気入口および第2の空気出口が第2のタービンに結合される、ステップと、圧縮機および第1のタービンの回転を第2のタービンの回転で駆動機構を介して少なくとも部分的に駆動するステップと、を含む。
【0009】
したがって、本開示の例を概略的に説明してきたので、次に添付図面について説明するが、添付図面は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、類似の参照符号は複数の図を通じて同じまたは類似の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の諸態様による例示的な航空機の概略等角図である。
図2】本開示の諸態様による空気乾燥システムの概略ブロック図である。
図3】本開示の諸態様による図1の航空機の一部の概略断面図である。
図4】本開示の諸態様による空気乾燥方法の例示的流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図2を参照すると、本開示の諸態様は、上記の従来のゾーナルドライヤおよびクラウン換気システムに比べて改良された航空機水分制御アーキテクチャを提供することができる。例えば、本開示は、航空機100のクラウン領域130から湿潤空気350を受け入れ、湿潤空気350を圧縮機207、熱交換器210、水分離器209、および第1のタービン205に通して乾燥空気360を少なくともクラウン領域130内に戻す空気乾燥システム200(空気乾燥システム200内にタービンを含むため「Turbo Dryer(ターボドライヤ)」と呼ばれることがある)を提供する。空気乾燥システム200は、例えば航空機100の巡航飛行中に、例えば航空機100の与圧区画室の客室領域120および/または他の部分(便宜上、航空機の与圧区画室全体が一般に客室領域120と称される)からの客室空気290の流れによって駆動される第2のタービン206によって少なくとも部分的に動力を供給される。第2のタービン206の第2のタービン排気280は、航空機100から航空機100の外部の大気圧に出て行く、ただし、大気圧は例えば巡航高度に対応する圧力である。本開示の諸態様によれば、例えば、第2のタービン206を駆動する客室領域120からの客室空気290の流れは、客室空気290の空気圧と航空機100の外部の空気圧との間の圧力差によって引き起こされる。第2のタービン206の動作は、例えば巡航飛行中に(または第2のタービン206を駆動するのに十分な圧力差を与える高度で)空気乾燥システム200に動力を供給するための環境発電および減少もしくはゼロ出力要件を提供することができる。航空機100が例えば地上にあるとき、空気乾燥システム200は、電気モーター208などの任意適当なモーターによって動力を供給され得る。航空機100が巡航高度から上昇および降下する間、電気モーター208は、第2のタービン206(および空気乾燥システムの他の回転構成要素)を部分的に駆動することもできる。上記の一例として、第1のタービン205は、駆動機構211が次に圧縮機207を駆動するように、第2のタービン206および/または電気モーター208と協調して駆動機構211を駆動する。
【0012】
空気乾燥システム200は、乾燥空気360(図3)を、航空機100内の水蒸気凝縮を減少させるまたは除去するのに十分な体積流量で生成することができる。一態様では、空気乾燥システム200の体積流量は、航空機100のフレームベイ185当たり約8立方フィート(または8立方フィート以上)/分(CFM)(例えば約13.5立方メートル(または13.5立方メートル以上)/時)である。他の態様では、体積流量は約8 CFM未満とすることができ、フレームベイの寸法に依存することができる。各フレームベイ185は、航空機100のフレーム180の縦方向に離間されたフレーム部材181の間に配置された領域を含むことに留意されたい。空気乾燥システム200によって生成された乾燥空気360は、普通なら外側外板310に隣接して存在するはずのクラウン領域130(または航空機100の他の適当な部分)内の湿潤空気350を変位させるために、例えば航空機隔離材320(図3)と外側外板310(図3)の内側表面311(図3)との間に、または航空機100の他の適当な箇所で注入され得る。空気乾燥システム200、および空気乾燥システム200によって生成された乾燥空気360は、航空機100の少なくともクラウン領域130内の水蒸気凝縮を減少させるまたは実質的になくし、航空機隔離材320(図3)によって吸収される水分を減少させ、かつ航空機100の内部での水蒸気凝縮の効果を低下させるまたは実質的になくすことができる。
【0013】
本開示による主題の、特許請求されてもよいし、そうでなくてもよい例示的な非網羅的例が以下に提供される。
【0014】
引き続き図1を参照すると、航空機100は、フレーム180、翼106、およびエンジン108を有する固定翼航空機として例示されている。フレーム180は、航空機100の外側外板310と共に胴体102を形成する縦方向に離間されたフレーム部材181および縦通材182を含む。胴体102は、クラウン領域130を含む客室領域120と貨物/ビルジ領域140とを有する。他の態様では、航空機100は、任意適当な固定翼航空機および/または回転翼航空機とすることができる。一態様では、空気乾燥システム200は航空機100のフレーム180に結合され、例えば航空機100のクラウン領域130内に配置され得る。他の態様では、空気乾燥システム200は、貨物/ビルジ領域140や任意の航空機機器保管領域など、航空機の任意適当な領域内に配置され得る。一態様では、空気乾燥システム200は、少なくとも空気乾燥システム200の回転構成要素(例えば、圧縮機207、第1のタービン205、および第2のタービン206(図2参照))、熱交換器210(図2)、および水分離器209(図2)がモジュール式ユニットとしてフレーム180に結合されるように、空気乾燥パック170の形をとることができる。1以上の空気乾燥パック170が単一航空機100内に配置され得る。他の態様では、空気乾燥システム200構成要素のうちの1以上が、他の空気乾燥システム200構成要素とは無関係にフレームに個々に結合され得るが、回転構成要素は互いに任意適当な態様で駆動可能に結合され(例えば、駆動機構において互いに流通するまたは駆動機構211によって互いに結合される)、適当な導管235、236、237、238、239、231、232、233、234(図2における導管に組み込まれた矢印は空気乾燥システム200を流れる流体流れの方向を示すことに留意されたい)は、本明細書に記載されているように空気を乾燥させるために空気乾燥システム200構成要素が互いに流体流通するように設けられる。
【0015】
空気乾燥システム200は、フレーム180に任意適当な態様で結合され得る。例えば、1以上の防振装置190が、普通なら空気乾燥システム200からフレーム180に誘導されるはずの振動を実質的に防止するまたはなくすように空気乾燥システム200とフレーム180との間に配置され得る。空気乾燥システム200の防振は、例えば、少なくとも客室領域120の乗客座席領域120Pへの空気乾燥システム200の作動音の知覚(または伝達)を低減することもできる。
【0016】
図1および図2を参照すると、空気乾燥システム200は、圧縮機207、熱交換器210、水分離器209、第1のタービン205、第2のタービン206、および電気モーター208を含む。第1の空気入口201は、クラウン領域130の内部と流体流通することができる。圧縮機207は、例えば任意適当な導管235を介して第1の空気入口201に結合されており、クラウン領域130からの湿潤空気350が第1の空気入口201を通って圧縮機207の中に受け入れられる。
【0017】
第1のタービン205は、圧縮機207から圧縮空気を受け入れるために圧縮機207と流体流通する。例えば、熱交換器210は、導管236を介してなど任意適当な態様で圧縮機207の出口251に結合された第1の熱交換器入口250を含む。水分離器209は、導管237、238を介してなど任意適当な態様で熱交換器210の第1の熱交換器出口252と第1のタービン205の入口253とに結合される。この場合、第1のタービン205は、熱交換器210および水分離器209を介して圧縮機207と流体流通する。第1のタービン205の出口258は、導管239を介してなど任意適当な態様で第1の空気出口203に結合される。第1の空気出口203は、航空機100の隔離領域300(図3)など、航空機100の任意適当な領域内に配置することができ、そこで第1のタービン205からの乾燥空気360が第1の空気出口203から放出される。
【0018】
第2の空気入口202は、客室空気290を受け入れるように航空機100の客室領域120内に配置され得る。第2のタービン206の入口254は、導管231を介してなど任意適当な態様で第2の空気入口202に結合される。第2のタービン206の出口255は、第2のタービン206からの第2のタービン排気280を航空機100の外部に放出する第2の空気出口204と流体流通する。本明細書に記載されている第2のタービン206は、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差によって引き起こされる客室領域120からの空気流によって少なくとも部分的に駆動される。第2のタービン206は、熱交換器210を介して第2の空気出口204と流体流通することができる。例えば、第2のタービン206の出口255は、導管232、233を介してなど任意適当な態様で熱交換器210の第2の熱交換器入口256に結合される。熱交換器210の第2の熱交換器出口257は、第2のタービン206を第2の空気出口204と流体流通した状態に置くように、導管234を介してなど任意適当な態様で第2の空気出口204に結合される。
【0019】
引き続き図2を参照すると、水分離器209は、熱交換器210の上流側で第2のタービン206の出口255に水分241を注入するように第2のタービン206の出口に結合された凝縮水導管240を備える。例えば、混合室220は、第2のタービン206からの第2のタービン排気280が混合室220を通過するように導管232、233に結合され得る。凝縮水導管240は、水分241が第2のタービン206から排出された空気と混合して第2のタービン206から排出された空気の水分含有量を増大させるように混合室220に結合され得る。第2のタービン206から排出された空気の水分含有量を、空気が第2の熱交換器入口256に入る前に増大させると、熱交換器210の熱伝達能力を増大させることができる。別の態様では、第2のタービンから排出された空気が水の凍結温度(すなわち、32°Fまたは0℃)を下回るような場合、凝縮水導管242(図2に破線で示されているが、凝縮水導管240と実質的に同様のものでよい)は、固体粒子(氷晶など)が熱交換器210に入るのを実質的に妨げるように、第2の熱交換器出口257でまたは第2の熱交換器出口257の下流側で導管234に結合され得る。一態様では、第2のタービン206から排出された空気は、熱交換器210の上流側での氷晶などの固体粒子の形成を実質的に妨げるように水の凍結温度(すなわち、32°Fまたは0℃)を上回る。他の態様では、第2のタービンから排出された空気が水の凍結温度(すなわち、32°Fまたは0℃)を下回る場合、空気粒子分離器265は、第2のタービン206の出口255と熱交換器210の第2の熱交換器入口256との間に、例えば導管232、233の中にまたは導管232、233に結合されて配置され得る。空気粒子分離器265は、第2のタービン206から排出された空気から固体粒子266(氷晶など)があればこれを除去するように構成された任意適当な分離装置(例えば、サイクロン分離器など)とすることができる。
【0020】
第2のタービン206は、第2のタービン206の回転が圧縮機207および第1のタービン205の回転を駆動するように、駆動シャフト213などの駆動機構211によって圧縮機207および第1のタービン205に動作可能に結合される。一態様では、第2のタービン206は、第1の伝動装置214を介して駆動機構211に結合され得る。第1の伝動装置214は、任意適当な伝動装置(例えば、ギヤボックス、クラッチ付きギヤボックス、ベルトおよび滑車、など)とすることができる。例えば、圧縮機207、第1のタービン205、および第2のタービン206はそれぞれ、圧縮機207、第1のタービン205、および第2のタービン206が駆動機構211の回転軸線270を中心に単一ユニットとして回転するように駆動機構211に結合される。電気モーター208は、第2の伝動装置212を介してなど任意適当な態様で駆動機構211に結合され得る。第2の伝動装置212は、任意適当な伝動装置(例えば、ギヤボックス、クラッチ付きギヤボックス、ベルトおよび滑車、など)とすることができる。例えば、第2の伝動装置212は、電気モーター208を駆動シャフト213に結合することができる。電気モーター208および第2のタービン206は、図2には駆動機構211の回転軸線270と共に実質的に一列に並ぶものとして(例えば、駆動機構211を直接駆動するように)示されているが、他の態様では、電気モーター208および第2のタービン206は、それぞれ第1の伝動装置214および第2の伝動装置212を介して駆動機構211を駆動するために回転軸線270からずらして置かれてもよい。
【0021】
図1および図2を参照すると、例示的な目的だけのために、クラウン領域130および乗客座席領域120Pを含む客室領域120内の空気圧は、約75°F(例えば、約24℃)の温度で約12ポンド/平方インチ絶対圧力(PSIA)(例えば、約83キロパスカル(kPa))でよいが、航空機100の乗客にとって快適な任意所望の圧力および温度でもよい。約35,000フィート(ft)(例えば、約10,600メートル(m))~約40,000ft(例えば、約12,200m)の巡航高度で、航空機100の外部の空気圧は約3PSIA(例えば、21kPa)でよいが、巡航高度によって異なっていてもよい。航空機100のクラウン領域130内に存在する湿潤空気350は、空気1ポンド当たり水約10グレーン(gr/lb)(例えば、空気1キログラム当たり約1.4グラム(g/kg))を超える水分含有量を有することができる。空気乾燥システムによって生成される乾燥空気360は、水の約氷点(例えば、約32°Fまたは約0℃)~カ氏約零度(例えば、約-18℃)の温度で空気の水分含有量約10gr/lb(例えば、約1.4g/kg)以下を有することができる。一態様では、乾燥空気360は空気の水分含有量約6gr/lb(例えば、約0.8g/kg)以下を有することができるが、別の態様では、空気の水分含有量は約4gr/lb(例えば、約0.6g/kg)以下とすることができる。
【0022】
本明細書に記載されているように、第2のタービン206は、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差によって引き起こされる空気の流れによって少なくとも部分的に駆動される。一例として、第2の空気入口における空気は約12PSIA(例えば、約83kPa)であり、第2の空気出口における空気は約3PSIA(例えば、約21kPa)であり、したがって圧力差は約9PSIA(例えば、約62kPa)である。他の態様では、第2のタービン206を少なくとも部分的に駆動するための圧力差は、約9PSIA(例えば、約62kPa)より大きくても小さくてもよい。第2のタービン206は、第1のタービン205によって回収されるエネルギーから少なくとも部分的に駆動されてもよい(例えば、第2のタービン206を駆動するためのエネルギー量が低減され得る)。例えば、圧縮機207の出口251と第1の空気出口203との間に圧力差が存在し、この圧力差により空気が圧縮機207から第1の空気出口203に向かって流れる。圧縮機の出口251における圧力は約60PSIA(例えば、約414kPa)とすることができ、上述したように、第1の空気出口における圧力は約12PSIA(例えば、約83kPa)であり、したがって、この例での圧縮機207の出口251と第1の空気出口203との圧力差は約48PSIA(例えば、約331kPa)である。第1のタービン205は、圧縮機207の出口251と第1の空気出口203との間の空気流圧力差によって少なくとも部分的に駆動され、したがって、圧縮機は、空気乾燥システムの空気乾燥プロセスから回収されたエネルギーから少なくとも部分的に駆動される。この場合、第1のタービン205は、第1のタービン205の両側の圧力差を使用して圧縮機207の回転を駆動し、第2のタービン206を駆動するのに必要なエネルギーを低減するエネルギー回収システムを形成する。第1のタービン205によって回収されるエネルギーは、第1のタービン205によって回収されるエネルギーのない空気乾燥システム200の運転に比べると、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間のより低い圧力差で空気乾燥システム200の運転を可能にすることができる。
【0023】
引き続き図1および図2を参照すると、本明細書に記載されているように、電気モーター208は、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差が、例えば航空機100の地上運転中、上昇中、および/または降下中に第2のタービンを駆動するのに不十分であるときに、圧縮機207、第1のタービン205、および第2のタービン206の回転を駆動するように駆動機構211に結合される。電気モーター208は航空機の任意適当なコントローラーの制御下にあってもよく、一態様では、空気乾燥システム200は、本明細書に記載されているように電気モーター208を駆動するための任意適当な非一時的コンピュータプログラムコードを含むコントローラー295を含むことができる。例えば、コントローラー295は、電気モーターが駆動機構211を駆動するための変動トルクを与えるように電気モーター208を駆動するように構成され得る。変動トルクは、第2の空気出口204に、または第2の空気出口204に隣接して配置された任意適当な第1の圧力センサ297と、第2の空気入口202に、または第2の空気入口202に隣接して、または客室領域120内の任意適当な箇所に配置された任意適当な第2の圧力センサ298と、によって決定される、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差に基づくことができる。第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差が増大するにつれて、電気モーター208によって駆動機構211に加えられるトルクが小さくなり、巡航高度では、圧縮機207および第1のタービン205は第2のタービン206だけで駆動され得る。
【0024】
図1図2図3、および図4を参照すると、空気乾燥システム200を使用して空気を乾燥させる例示的な一方法が提供される。上述したように、第2のタービン206は、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差によって引き起こされる空気流で少なくとも部分的に駆動される(図4、ブロック402)。圧縮機207および第1のタービン205の回転は、第2のタービン206によって回転/駆動される駆動機構211を介して少なくとも部分的に駆動される(図4、ブロック403)。圧縮機207、第1のタービン205、および第2のタービン206の回転は、例えば、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差が、実質的に電気モーター208からの補助なしに第2のタービン206の回転(この回転は圧縮機207および第1のタービン205の回転を駆動する)を維持するのに十分となるまで、電気モーター208によって駆動され得る(図4、ブロック408)。この場合、空気乾燥システム200の回転構成要素を駆動するための電気モーター208の機械的入力は、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差が増大するにつれて減少させることができる。例えば、上述したように、巡航高度では、第2の空気入口202と第2の空気出口204との間の圧力差は、電気モーター208からの入力が実質的にまたは全くない状態で乾燥空気360を生成する第2のタービン206の回転を駆動するためのエネルギーをすべて(またはほぼすべて)を供給することができる。
【0025】
圧縮機207の回転は、湿潤空気350が圧縮機207内に受け入れられる(図4、ブロック400)ように第1の空気入口201を通る湿潤空気350を吸い込む。圧縮機207は、湿潤空気350を例えば約60PSIA(例えば、約414kPa)に圧縮し、そこで、圧縮された湿潤空気は圧縮機207からの圧縮機排気281として排出され、湿潤空気の温度は圧縮から上昇する。圧縮機排気281の温度は第1のタービンの上流側の熱交換器210で低下する(第1のタービン205から上流側の圧縮機排気281中の水分は凝縮される)(図4、ブロック405)。圧縮機排気281の温度を低下させる(そして圧縮機排気281中の水を凝縮する)ために、第2のタービン206からの空気(例えば、第2のタービン排気280)は、第2の熱交換器入口256と第2の熱交換器出口257との間で熱交換器210に通され、したがって、第1の熱交換器入口250と第1の熱交換器出口252との間で熱交換器210を流れる圧縮機排気281から熱が伝達される。熱交換器210は、第1のタービン205の上流側で圧縮機排気281中の水を凝縮し、したがって水は、水分離器209によって圧縮機排気281から(例えば、より暖かい圧縮機排気に比べて効率よく)除去することができる。
【0026】
一態様では、水分離器209からの凝縮水は、熱交換器210の上流側で水分241を第2のタービン206の出口255に(例えば、第2のタービン排気280中に)注入する(図4、ブロック404)ように第2のタービン206の出口255に排出され得る。例えば、一態様では、水分離器209からの水分241は、熱交換器210を通って起こる熱伝達の量を増大させるために注入され得る、またはそうでなければ熱交換器210の上流側で第2のタービン排気280と混合され得る。他の態様では、水分離器209からの凝縮水は、熱交換器210の下流側で第2のタービン排気280中に注入され得る。第2のタービン排気280の温度は、第2のタービン排気280の温度が水の氷点を上回るように熱交換器210に通して上昇させ、それにより、第2のタービン排気280が第2の空気出口204から航空機100の外部に出て行くときに氷(例えば、固体粒子)の形成を妨げる(または減少させる)ことができる。本明細書に記載されているように、第2のタービン206と熱交換器210との間に配置された空気粒子分離器265および/またはヒータ267で第2のタービン排気280から固体粒子が分離され得る。
【0027】
熱交換器210と第1のタービン205との間に配置された水分離器209で圧縮機排気281から水分が分離される(図4、ブロック406)。圧縮機排気281から分離される水分241の量は、圧縮機排気281が水分離器209に入るときの圧縮機排気281の圧力および温度に依存することができる。上記に提供された例によれば、圧縮機排気281の温度および圧力は、得られる乾燥空気360が上述した水分含有量を有するようなものとすることができる。圧縮機排気281の温度は、圧縮機排気281が水分離器209に通されるときにさらに低下することができる。乾燥した圧縮機排気281の空気流は、例えば圧縮機出口251と第1の空気出口203との間に温度差があるために、第1のタービン205を通過し、第1のタービン205を少なくとも部分的に駆動する(図4、ブロック407)。第1のタービン205は乾燥した空気の空気流を膨張させ、乾燥空気の温度をさらに低下させ、それにより、乾燥空気360は第1のタービン205から第1の空気出口203を通って放出される(図4、ブロック401)。本明細書に記載されているように、乾燥空気360は、約12 PSIA(例えば、約83 kPa)の圧力および約32°F(例えば、0℃)~約0°F(例えば、約-18℃)の温度を有する。
【0028】
図3に見られるように、第1の空気出口203は、乾燥空気360を航空機100の隔離領域300に注入する空気注入器の形をとることができる。例えば、航空機の隔離領域300は、外側外板310の内側表面311および内側表面311に隣接して配置されたカバー330によって形成され得る。隔離領域300は、外側外板310の内側表面311に隣接して配置される航空機隔離材320を含む。カバー330は、航空機隔離材320が外側外板310の内側表面311とカバー330との間に配置されるように航空機隔離材320の上に配置される、例えば非金属被覆などの任意適当な被覆とすることができる。カバー330は、外側外板310の内側表面311上および/または航空機隔離材320上に生じ得る結露の少なくとも一部を含むように構成され得る。第1の空気出口203は、乾燥空気360が内側表面311と航空機隔離材320との間に注入されるように航空機隔離材320および内側表面311に対して配置され得る。注入された乾燥空気360は、隔離領域300内に存在し得る水分の少なくとも一部を変位させかつ/または乾燥させることができる。第1のタービン205によって放出される乾燥空気360の温度は、その温度が外側外板310の少なくとも内側表面311の温度に実質的に匹敵するようなものとすることができ、これにより、乾燥空気360が内側表面311に当たるまたはその他の方法で内側表面311に接触するときに結露の形成を防止することができる。
【0029】
次の例は、本開示の諸態様に従って提供される。
A1.湿潤空気がそれを通って受け入れられる第1の空気入口に結合された圧縮機と、
圧縮機と流体流通する第1のタービンであって、乾燥空気がそれを通って放出される第1の空気出口に結合された第1のタービンと、
第2の空気入口および第2の空気出口に結合された第2のタービンであって、第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差によって引き起こされる空気流によって少なくとも部分的に駆動される第2のタービンと、
を備える空気乾燥システムであって、
第2のタービンは、第2のタービンの回転が圧縮機および第1のタービンの回転を駆動するように駆動機構によって圧縮機および第1のタービンに動作可能に結合される、空気乾燥システム。
【0030】
A2.圧縮機の出口に結合される第1の熱交換器入口を有する熱交換器と、
熱交換器の第1の熱交換器出口および第1のタービンの入口に結合された水分離器と、
をさらに備える、A1項に記載の空気乾燥システム。
【0031】
A3.第2のタービンの出口が熱交換器の第2の熱交換器入口に結合され、
熱交換器の第2の熱交換器出口が第2の空気出口に結合される、
A2項に記載の空気乾燥システム。
【0032】
A4.水分離器が、熱交換器の上流側または下流側で第2のタービンの出口に水分を注入するように第2のタービンの出口に結合された凝縮水導管を備える、A3項に記載の空気乾燥システム。
【0033】
A5.第2のタービンの出口と熱交換器の第2の熱交換器入口との間に配置された空気粒子分離器をさらに備える、A3項に記載の空気乾燥システム。
【0034】
A6.水分離器が、熱交換器の第2の熱交換器出口に結合された凝縮水導管を備える、A3項に記載の空気乾燥システム。
【0035】
A7.第1のタービンが、圧縮機の出口と第1の空気出口との間の空気流圧力差によって少なくとも部分的に駆動される、A1項からA6項のいずれか一項に記載の空気乾燥システム。
【0036】
A8.駆動機構に結合された電気モーターをさらに備える、A1項からA6項のいずれか一項に記載の空気乾燥システム。
【0037】
A9.電気モーターは、第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差が第2のタービンを駆動するのに十分であるときに圧縮機、第1のタービン、および第2のタービンを駆動するように構成される、A8項に記載の空気乾燥システム。
【0038】
A10.第2のタービンの第2のタービン排気が水の氷点を上回る温度である、A1項からA9項のいずれか一項に記載の空気乾燥システム。
【0039】
A11.乾燥空気が、空気1ポンド当たり水約10グレーン以下を有する空気を含む、A1項からA9項のいずれか一項に記載の空気乾燥システム。
【0040】
A12.乾燥空気が、空気1ポンド当たり水約6グレーン以下を有する空気を含む、A1項からA9項のいずれか一項に記載の空気乾燥システム。
【0041】
A13.乾燥空気が、水の約氷点~カ氏約0度の温度を含む、A1項からA9項のいずれか一項に記載の空気乾燥システム。
【0042】
A14.湿潤空気が、空気1ポンド当たり水約10グレーン超を有する空気を含む、A1項からA9項のいずれか一項に記載の空気乾燥システム。
【0043】
B1.クラウン領域および隔離領域を含む客室領域を形成するフレームであって、隔離領域が少なくともクラウン領域とフレームに結合された外側外板との間に配置される、フレームと、
フレームに結合された空気乾燥システムと、
を備える航空機であって、空気乾燥システムが、
クラウン領域から湿潤空気を受け入れるように配置された第1の空気入口に結合される入口を有する圧縮機と、
圧縮機と流体流通する第1のタービンであって、乾燥空気がそれを通ってクラウン領域および隔離領域の一方または両方の中に放出される第1の空気出口に結合された第1のタービンと、
第2の空気入口および第2の空気出口に結合された第2のタービンであって、第2の空気入口が客室領域から空気を受け入れるように配置され、第2の空気出口が航空機の外部に空気を放出するように配置され、第2のタービンが、第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差によって引き起こされる空気流によって少なくとも部分的に駆動される、第2のタービンと、
を備え、
第2のタービンは、第2のタービンの回転が圧縮機および第1のタービンの回転を駆動するように、駆動機構によって圧縮機および第1のタービンに動作可能に結合される、
航空機。
【0044】
B2.フレームに結合された熱交換器であって、圧縮機の出口に結合される第1の熱交換器入口を有する熱交換器と、
熱交換器の第1の熱交換器出口および第1のタービンの入口に結合された水分離器と、
をさらに備える、B1項に記載の航空機。
【0045】
B3.第2のタービンの出口が熱交換器の第2の熱交換器入口に結合され、
熱交換器の第2の熱交換器出口が第2の空気出口に結合される、
B2項に記載の航空機。
【0046】
B4.水分離器が、熱交換器の上流側または下流側で第2のタービンの出口に水分を注入するように第2のタービンの出口に結合された凝縮水導管を備える、B3項に記載の航空機。
【0047】
B5.第2のタービンの出口と熱交換器の第2の熱交換器入口との間に配置された空気粒子分離器をさらに備える、B3項に記載の航空機。
【0048】
B6.水分離器が、熱交換器の第2の熱交換器出口に結合された凝縮水導管を備える、B3項に記載の航空機。
【0049】
B7.第1のタービンが、圧縮機の出口と第1の空気出口との間の空気流圧力差によって少なくとも部分的に駆動される、B1項からB6項のいずれか一項に記載の航空機。
【0050】
B8.駆動機構に結合された電気モーターをさらに備える、B1項からB7項のいずれか一項に記載の航空機。
【0051】
B9.電気モーターは、第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差が第2のタービンを駆動するのに十分であるときに圧縮機、第1のタービン、および第2のタービンを駆動するように構成される、B8項に記載の航空機。
【0052】
B10.第2のタービンの第2のタービン排気が水の氷点を上回る温度である、B1項からB9項のいずれか一項に記載の航空機。
【0053】
B11.乾燥空気が、空気1ポンド当たり水約10グレーン以下を有する空気を含む、B1項からB10項のいずれか一項に記載の航空機。
【0054】
B12.乾燥空気が、空気1ポンド当たり水約6グレーン以下を有する空気を含む、B1項からB11項のいずれか一項に記載の航空機。
【0055】
B13.乾燥空気が、水の約氷点~カ氏約0度の温度を含む、B1項からB12項のいずれか一項に記載の航空機。
【0056】
B14.湿潤空気が、空気1ポンド当たり水約10グレーン超を有する空気を含む、B1項からB13項のいずれか一項に記載の航空機。
【0057】
C1.空気を乾燥させる方法であって、
湿潤空気を、第1の空気入口を通って圧縮機内に受け入れるステップと、
乾燥空気を第1のタービンから第1の空気出口を通って放出し、第1の空気出口で第1のタービンが圧縮機と流体流通する、ステップと、
第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差によって引き起こされる空気流で第2のタービンを少なくとも部分的に駆動するステップであって、第2の空気入口および第2の空気出口が第2のタービンに結合される、ステップと、
圧縮機および第1のタービンの回転を第2のタービンの回転で駆動機構を介して少なくとも部分的に駆動するステップと、
を含む方法。
【0058】
C2.圧縮機からの圧縮機排気の温度を第1のタービンの上流側の熱交換器で低下させるステップと、
熱交換器と第1のタービンとの間の水分離器で圧縮機排気から水分を分離するステップと、
をさらに含む、C1項に記載の方法。
【0059】
C3.熱交換器の上流側または下流側で第2のタービンの出口に水分を注入するように水分離器からの凝縮水を第2のタービンの出口に排出するステップをさらに含む、C2項に記載の方法。
【0060】
C4.第2のタービンと熱交換器との間に配置された空気粒子分離器で第2のタービン排気から固体粒子を分離するステップをさらに含む、C3項に記載の方法。
【0061】
C5.熱交換器の下流側で水分離器からの凝縮水を排出するステップをさらに含む、C2項からC4項のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
C6.第1のタービンを圧縮機の出口と第1の空気出口との間の空気流圧力差で少なくとも部分的に駆動するステップをさらに含む、C1項からC5項のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
C7.第2の空気入口と第2の空気出口との間の圧力差が第2のタービンを駆動するのに不十分であるときに、圧縮機、第1のタービン、および第2のタービンを電気モーターで駆動するステップをさらに含む、C1項からC6項のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
C8.第2のタービンの第2のタービン排気が水の氷点を上回る温度である、C1項からC7項のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
C9.乾燥空気が、空気1ポンド当たり水約10グレーン以下を有する空気を含む、C1項からC8項のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
C10.乾燥空気が、空気1ポンド当たり水約6グレーン以下を有する空気を含む、C1項からC9項のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
C11.乾燥空気が、水の約氷点~カ氏約0度の温度を含む、C1項からC10項のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
C12.湿潤空気が、空気1ポンド当たり水約10グレーン超を有する空気を含む、C1項からC11項のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
上記の図では、様々な要素および/または構成要素を接続している実線がある場合、その実線は、機械的結合、電気的結合、流体結合、光学的結合、電磁結合、無線結合、およびその他の結合、ならびに/あるいはそれらの結合を組み合わせたものを表することがある。本明細書では、「結合される(coupled)」という用語は、直接的ならびに間接的に関連付けられることを意味する。例えば、部材Aは、部材Bに直接的に関連付けられてもよく、または、例えば別の部材Cを介して部材Bに間接的に関連付けられてもよい。様々な開示済み要素の間のすべての関係が必ずしも表されるわけではないことを理解されたい。したがって、図面に示されているもの以外の結合も存在することがある。様々な要素および/または構成要素を表すブロックを接続する破線がある場合、その破線は、実線で表されたものと機能および目的が似ている結合を表すが、破線で表された結合は、選択的に提供されてもよく、あるいは本開示の代替例に関係していてもよい。同様に、破線で表される要素および/または構成要素がある場合、その要素は本開示の代替例を示す。実線および/または破線で示されている1以上の要素が、本開示の範囲から逸脱することなく特定例から除外され得る。環境要素がある場合、その要素は破線で表される。仮想(想像上の)要素が明瞭にするために示されることもある。当業者なら、各図に示されている形態のうちのいくつかは、図、他の作図、および/または付随する開示に記載されている他の形態を含める必要なく様々な方法で組み合わされ得ることを理解するであろうが、そのような1以上の組合せは本明細書に明確には記載されていない。同様に、提示される例に限定されない追加の形態は、本明細書に示され記載されている形態の一部または全部と組み合わされてもよい。
【0070】
上記の図4では、ブロックは、動作および/または動作の各部分を表すことができ、様々なブロックを接続する線は、動作または動作の各部分の特定の順番または依存関係を何ら含意するものではない。破線で表されているブロックがある場合、そのブロックは代替動作および/または代替動作の各部分を示す。様々なブロックを接続する破線がある場合、その破線は、動作または動作の各部分の代替依存関係を表す。様々な開示済み動作の間のすべての依存関係が必ずしも表されていないことを理解されたい。本明細書に記載されている方法の動作を説明する図4および付随する開示は、動作が実行されるべき順序を必ず決定するものと解釈されるべきではない。むしろ、1つの例示的な順番が示されているが、動作の順序は適切な場合に変更され得ることを理解すべきである。したがって、いくつかの動作は、異なる順番でまたは実質的に同時に実行されてもよい。さらに、当業者なら、記載されているすべての動作が実行されなくてもよいことを理解するであろう。
【0071】
前述の説明では、多くの特定の詳細が、これらの詳細の一部または全部なしに実施され得る開示済み概念の完全な理解を提供するために記述されている。他のインスタンスでは、既知の装置および/またはプロセスの詳細が、本開示を不必要に曖昧にするのを回避するために除外されている。いくつかの概念について具体例に関連して説明するが、これらの例は限定するものではないことを理解されたい。
【0072】
特に指示がない限り、「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語は、本明細書では単にラベルとして用いられ、これらの用語が参照する項目に順序、位置、または階層の要件を課すものではない。さらに、例えば「第2の」項目への言及は、例えば「第1の」すなわち低い番号を付けられた項目、および/または、例えば「第3の(third)」すなわち高い番号を付けられた項目の存在を必要とするまたは排除するものではない。
【0073】
本明細書での「一例(one example)」への言及は、その例に関連して記載されている1以上の形態、構造、または特性が少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。本明細書内の様々な箇所の「一例」という語句は、同じ例を参照する場合もありそうでない場合もある。
【0074】
本明細書では、特定の機能を実行する「ように構成された(configured to)」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、確かに、さらなる変更後に特定の機能を実行する可能性を単に有するのではなく、何ら改変することなく特定の機能を実行することができる。言い換えると、特定の機能を実行する「ように構成された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、具体的には、特定の機能を実行するために選択、生成、実装、利用、プログラム設定、および/または設計される。本明細書では、「~ように構成された」は、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアの既存の特徴を表し、既存の特徴により、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、さらなる変更なしに特定の機能を実行することが可能になる。この開示の目的のために、特定の機能を実行する「ように構成される」ものとして記載されているシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、付加的にまたは代替的に、その機能を実行する「ようになされた(adapted to)」かつ/または「よう動作する(operative to)」ものとして記述される場合がある。
【0075】
本明細書で開示される1以上の装置および方法の様々な例は、種々の構成要素、形態、および機能性を含む。本明細書で開示される1以上の装置、システム、および方法の様々な例は、本明細書で開示される1以上の装置および方法の他の例のいずれかの構成要素、形態、および機能性のいずれかを任意に組み合わせて含むことがあり、そのような可能性はすべて本開示の範囲内にあることを意図していることが理解されるべきである。
【0076】
本明細書に記載されている例の多くの変更形態は、前述の説明および関連図面に提示されている教示の恩恵を受ける、本開示が関係している当業者に思いつくであろう。
【0077】
したがって、本開示は例示される具体例に限定されるべきでなく、変更形態および他の例は添付の特許請求の範囲内に含まれると意図されていることが理解されるべきである。さらに、前述の説明および関連図は、要素および/または機能の特定の例示的な組合せの状況で本開示の例を説明しているが、要素および/または機能の様々な組合せが添付の特許請求の範囲から逸脱することなく代替実施態様によって提供され得ることが理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲内の括弧に入った参照番号は単に例示目的で提示され、特許請求された主題の範囲を本開示内に提供されている具体例に限定するものではない。
【符号の説明】
【0078】
100 航空機、102 胴体、106 翼、108 エンジン、120 客室領域、120P 乗客座席領域、130 クラウン領域、140 貨物/ビルジ領域、170 空気乾燥パック、180 フレーム、181 フレーム部材、182 縦通材、185 フレームベイ、190 防振装置、200 空気乾燥システム、201 第1の空気入口、202 第2の空気入口、203 第1の空気出口、204 第2の空気出口、205 第1のタービン、206 第2のタービン、207 圧縮機、208 電気モーター、209 水分離器、210 熱交換器、211 駆動機構、212 第2の伝動装置、213 駆動シャフト、214 第1の伝動装置、220 混合室、231 導管、232 導管、233 導管、234 導管、235 導管、236 導管、237 導管、238 導管、239 導管、240 凝縮水導管、241 水分、242 凝縮水導管、250 第1の熱交換器入口、251 圧縮機出口、252 第1の熱交換器出口、253 第1のタービンの入口、254 第2のタービンの入口、255 第2のタービンの出口、256 第2の熱交換器入口、257 第2の熱交換器出口、258 第1のタービンの出口、265 空気粒子分離器、266 固体粒子、267 ヒータ、270 回転軸線、280 第2のタービン排気、281 圧縮機排気、290 客室空気、295 コントローラー、297 第1の圧力センサ、298 第2の圧力センサ、300 隔離領域、310 外側外板、311 内側表面、320 航空機隔離材、330 カバー、350 湿潤空気、360 乾燥空気
図1
図2
図3
図4