(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20230418BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20230418BHJP
G08B 17/12 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G01J1/02 J
G08B17/10 H
G08B17/12 A
(21)【出願番号】P 2019102116
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】大下 剛
(72)【発明者】
【氏名】小町 淳
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩平
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-309798(JP,A)
【文献】特開2001-243568(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109035677(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G08B 17/02 - G08B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長の光、及び前記第1の波長と異なる第2の波長の光を検出することで火災を検出する火災感知器であって、
前記第1の波長の光を検出する第1光検出素子と、
前記第2の波長の光を検出し、前記第1光検出素子の前記火災感知器の幅方向における側方に設けられている第2光検出素子と、
前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子の前記火災感知器の高さ方向における上方に設けられている上板を有し、不要光が前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子に入射する量を低減させるフードと、
を有し、
前記上板の前方側の辺である前方辺は、前記第1光検出素子の受光面の中心と前記第2光検出素子の受光面の中心とを結ぶ中心線と平行であることを特徴とする火災感知器。
【請求項2】
前記フードは、前記上板の前記幅方向における側端から下方に向かって延伸している側板をさらに有し
、
前記側板は、少なくとも前記前方辺の側端と前記中心線とを結ぶ方向に延伸しており、かつ前記中心線と直交している側方辺を有することを特徴とする、
請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
前記上板は、前端から後方に向かって延伸している第1領域と、前記前端から下方に向かって延伸している第2領域とを有し、
前記フードは、前記上板の前記幅方向における側端から下方に向かって延伸している側板をさらに有し、
前記第2領域の下方側の辺である下方辺は、前記第1光検出素子の受光面の中心と前記第2光検出素子の受光面の中心とを結ぶ中心線と平行であり、
前記側板は、少なくとも前記下方辺の側端と前記中心線とを結ぶ方向に延伸しており、かつ前記中心線と直交している側方辺を有することを特徴とする、
請求項1に記載の火災感知器。
【請求項4】
前記側板は、前記上板と直交していることを特徴とする、
請求項2又は3に記載の火災感知器。
【請求項5】
前記フードは、前記上板の前記幅方向における側端から下方に向かうにつれて徐々に前記側端からの距離が大きくなるように前記幅方向における外側向きに傾斜して湾曲している湾曲板部と、前記湾曲板部の下端から下方に向かって延伸している平板部と、を有する側板をさらに有することを特徴とする、
請求項1に記載の火災感知器。
【請求項6】
前記側板として、
前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子の前記幅方向における左側に設けられた左側板と、
前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子の前記幅方向における右側に設けられた右側板と、
が設けられていることを特徴とする、
請求項2から5のいずれか一項に記載の火災感知器。
【請求項7】
前記上板は上方に凸形状の曲面を有していることを特徴とする、
請求項1に記載の火災感知器。
【請求項8】
前記第1光検出素子の受光面及び前記第2光検出素子の受光面は、前記幅方向及び前記高さ方向と直交する、前記上板の前方に向いていることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災で生じる炎の光と異なる不要光が光検出素子に入射する量を低減させるフードを有する火災感知器が知られている。火災で生じる炎の光と異なる不要光は、例えば、太陽光、照明光、又は発熱体等である。特許文献1には、本体前面に設けられている検出窓の内側には炎からのエネルギーを受光して検出する検出素子が内蔵されており、検出窓に対してはフードが装着され、直射日光が検出窓に入射するのを防ぐことができる炎検出器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災感知器においては、例えば、検出する対象の波長がそれぞれ異なる複数の光検出素子を用いて、これらの光検出素子が検出したそれぞれの波長の光の強度の関係性が、炎の光を検出した場合の光の強度の関係性と一致する場合に、炎を検出する。このような場合に、不要光が、それぞれの光検出素子に異なる強度で入射してしまうと、火災が発生していないにもかかわらず、炎を検出したと誤判定してしまう場合があるという問題が生じていた。
【0005】
不要光を遮るためのフードを有する火災感知器においては、不要光が複数の光検出素子に向かう方向によっては、複数の光検出素子の受光面におけるフードによって遮られる面積の差が大きくなってしまう場合がある。この場合、不要光が複数の光検出素子の受光面のそれぞれに入射する量の差が大きくなってしまうことで、上述したように、火災感知器は誤作動が生じ易くなってしまうという問題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、光が入射する角度の違いによって、複数の光検出素子それぞれに入射する光量の差が大きくなりづらい火災感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、第1の波長の光、及び前記第1の波長と異なる第2の波長の光を検出することで火災を検出する火災感知器であって、前記第1の波長の光を検出する第1光検出素子と、前記第2の波長の光を検出し、前記第1光検出素子の前記火災感知器の幅方向における側方に設けられている第2光検出素子と、前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子の前記火災感知器の高さ方向における上方に設けられている上板を有し、不要光が前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子に入射する量を低減させるフードと、を有し、前記フードの上方から前記上板を前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子が設けられた面に投影した投影面の一辺が、前記第1光検出素子の受光面の中心と前記第2光検出素子の受光面の中心とを結ぶ中心線と平行であることを特徴とする火災感知器を提供する。
【0008】
また、前記フードは、前記上板の前記幅方向における側端から下方に向かって延伸している側板をさらに有し、前記上板の前方側の辺である前方辺は、前記第1光検出素子の受光面の中心と前記第2光検出素子の受光面の中心とを結ぶ中心線と平行であり、前記側板は、少なくとも前記前方辺の側端と前記中心線とを結ぶ方向に延伸しており、かつ前記中心線と直交している側方辺を有していてもよい。
【0009】
また、前記上板は、前端から後方に向かって延伸している第1領域と、前記前端から下方に向かって延伸している第2領域とを有し、前記フードは、前記上板の前記幅方向における側端から下方に向かって延伸している側板をさらに有し、前記第2領域の下方側の辺である下方辺は、前記第1光検出素子の受光面の中心と前記第2光検出素子の受光面の中心とを結ぶ中心線と平行であり、前記側板は、少なくとも前記下方辺の側端と前記中心線とを結ぶ方向に延伸しており、かつ前記中心線と直交している側方辺を有していてもよい。
【0010】
また、前記側板は、前記上板と直交していてもよい。また、前記フードは、前記上板の前記幅方向における側端から下方に向かうにつれて徐々に前記側端からの距離が大きくなるように前記幅方向における外側向きに傾斜して湾曲している湾曲板部と、前記湾曲板部の下端から下方に向かって延伸している平板部と、を有する側板をさらに有していてもよい。
【0011】
また、前記側板として、前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子の前記幅方向における左側に設けられた左側板と、前記第1光検出素子及び前記第2光検出素子の前記幅方向における右側に設けられた右側板と、が設けられていてもよい。また、前記上板は上方に凸形状の曲面を有していてもよい。
【0012】
また、前記第1光検出素子が検出した前記第1の波長の光の強度と、前記第2光検出素子が検出した前記第2の波長の光の強度との関係に基づいて、火災が発生したか否かを判定する判定部をさらに有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、火災感知器において、光が入射する角度の違いによって、複数の光検出素子それぞれに入射する光量の差が大きくなりづらくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る火災感知器の構造を示す。
【
図2】
図1で示す火災感知器を矢印Aの向きに見た構造を示す。
【
図3】
図1で示す火災感知器を矢印Bの向きに見た構造を示す。
【
図4】火災感知器において、検出する対象となる光の波長について説明するための図である。
【
図7】第2の実施形態に係る火災感知器の構造を示す。
【
図8】第3の実施形態に係る火災感知器の構造を示す。
【
図9】第4の実施形態に係る火災感知器の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
[第1の実施形態に係る火災感知器Sの構造]
図1は、第1の実施形態に係る火災感知器Sの構造を示す図である。
図2は、
図1で示す火災感知器Sを矢印Aの向きに見た構造、すなわち火災感知器Sを前方側から見た構造を示す図である。
図3は、
図1で示す火災感知器Sを矢印Bの向きに見た構造、すなわち火災感知器Sを左方側から見た構造を示す図である。
図4は、火災感知器Sにおいて、検出する対象となる光の波長について説明するための図である。
【0016】
図4に示すように、火災感知器Sは、例えば、第1の波長の光、及び第1の波長と異なる第2の波長の光を検出することで火災を検出する。第1の波長の光は、例えば、物が燃焼するときに生じる二酸化炭素から共鳴放射される波長のピーク値である約4.4μmの光である。第2の波長の光は、例えば、物が燃焼するときに生じる二酸化炭素から共鳴放射の存在しない特徴的波長部分の波長約4.0μmの光である。火災感知器Sが炎を検出する方法の詳細については後述する。
【0017】
火災感知器Sは、第1光検出素子1、第2光検出素子2、フード3、及び判定部4を有する。第1光検出素子1は、第1の波長の光を検出する。第2光検出素子2は、第2の波長の光を検出する。第2光検出素子2は、第1光検出素子1の火災感知器Sの幅方向(以下、「幅方向」という。)における側方に設けられている。第1光検出素子1の受光面の形状と第2光検出素子2の受光面の形状は同じである。
【0018】
フード3は、不要光が第1光検出素子1及び第2光検出素子2に入射する量を低減させる。
図3に示すように、火災感知器Sは、例えば、屋外において、取付面に設置される。火災感知器Sは、フード3を有することで、例えば、不要光に含まれる太陽光が第1光検出素子1及び第2光検出素子2に入射する量を低減させることができる。火災感知器Sは、このように不要光が第1光検出素子1及び第2光検出素子2に入射する量を低減させることで、非火災報を生じづらくすることができる。フード3の詳細は後述する。
【0019】
判定部4は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を有する。判定部4は、第1光検出素子1が検出した第1の波長の光の強度と、第2光検出素子2が検出した第2の波長の光の強度との関係に基づいて、火災が発生したか否かを判定する。
【0020】
具体的には、判定部4は、第1光検出素子1が検出した第1の波長の光の強度、及び第2光検出素子2が検出した第2の波長の光の強度を示す信号を取得して、第1の波長の光の強度と第2の波長の光の強度との比率を特定することで、火災が生じているか否かを判定する。より具体的には、判定部4は、第1光検出素子1が検出した第1の波長の光の強度と第2光検出素子2が検出した第2の波長の光の強度との比が、炎に含まれる第1の波長の光の強度と第2の波長の光の強度との比と一致する場合に、火災が生じていると判定する。
【0021】
判定部4は、第1光検出素子1が検出した第1の波長の光の強度と第2光検出素子2が検出した第2の波長の光の強度との比が、炎に含まれる第1の波長の光の強度と第2の波長の光の強度との比として予め設定された範囲内の値である場合に、火災が生じていると判定してもよい。炎に含まれる第1の波長の光の強度と第2の波長の光の強度との比として予め設定された範囲は、例えばROMに格納されている。判定部4は、火災が生じたと判定した場合に、火災が生じていることを示す信号を外部(例えば火災受信機)に対して出力する。火災感知器Sは、このように第1の波長の光、及び第1の波長と異なる第2の波長の光を検出することで、火災を検知する確度を向上させている。
【0022】
火災感知器Sにおいては、第1光検出素子1に入射する不要光の量と第2光検出素子2に入射する不要光の量との差が大きくなり過ぎないようにフード3が構成されている。その結果、火災感知器Sに不要光が照射されたとしても、第1光検出素子1が検出する第1の波長の光の強度と第2光検出素子2が検出する第2の波長の光の強度との比が変化しづらい。火災感知器Sがこのように構成されていることにより、火災を検知する確度がさらに向上している。
【0023】
[フード3の構造]
以下、
図1から
図3を参照しながら、フード3の詳細について説明する。フード3は、上板31、及び側板32を有する。上板31は、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の火災感知器Sの高さ方向(以下、「高さ方向」という。)における上方に設けられている。上板31は、前方辺311(L2)を有する。前方辺311は、上板31の前方側の辺である。上板31の前方側は、火災感知器Sにおける第1光検出素子1の受光面及び第2光検出素子2の受光面が露出している側である。
【0024】
フード3の上方から上板31を第1光検出素子1及び第2光検出素子2が設けられた面に投影した投影面の一辺は、第1光検出素子1の受光面の中心と第2光検出素子2の受光面の中心とを結ぶ中心線L1と平行である。投影面の一辺は、例えば、フード3の上方から、前方辺311及び側方辺321のうちの少なくとも一方の辺を、第1光検出素子1及び第2光検出素子2が設けられた面に投影した辺を含む。
【0025】
前方辺311は、第1光検出素子1の受光面の中心と第2光検出素子2の受光面の中心とを結ぶ中心線L1と平行である。前方辺311は、中心線L1よりも前方に位置する。
【0026】
側板32は、上板31と直交しており、上板31の幅方向における側端から下方に向かって延伸している。側板32は、少なくとも側方辺321(L3)を有する。側方辺321は、前方辺311の側端と中心線L1とを結ぶ方向に延伸しており、かつ中心線L1と直交している。ここで、直交とは、完全に直交ではなく、直交から±10度の範囲を含んでいてもよい。
【0027】
このように、中心線L1と側方辺321(L3)は直交している。また、前述したように、中心線L1と前方辺311(L2)は平行である。よって、
図1に示すように、火災感知器Sを中心線L1に前方辺311(L2)が重なる向きから見た場合、側方辺321(L3)は、中心線L1に重なり易くなる。
【0028】
火災感知器Sは、側板32として、左側板32L、及び右側板32Rを有する。左側板32Lは、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の幅方向における左側に設けられた側板である。右側板32Rは、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の幅方向における右側に設けられた側板である。
【0029】
火災感知器Sは、このように側板32として、左側板32L及び右側板32Rを有することで、第1光検出素子1及び第2光検出素子2に入射するのを遮ることが可能な不要光の向きの範囲が増加する。よって、火災感知器Sは、このように側板32として、左側板32L及び右側板32Rを有することで、不要光が第1光検出素子1及び第2光検出素子2に入射する量をより低減させることができる。
【0030】
また、前方辺311が中心線L1と平行に構成されていることにより、前方辺311が中心線L1と平行に構成されていない場合に比べて、第1光検出素子1に入射する不要光の量と第2光検出素子2に入射する不要光の量との差を小さくすることができる。さらに、側板32が前方辺311の側端と中心線L1とを結ぶ方向に延伸しており、かつ中心線L1と直交している側方辺321を有することで、不要光が側方から照射された場合であっても、第1光検出素子1に入射する不要光の量と第2光検出素子2に入射する不要光の量との差が大きくなることを抑制することができる。その結果、火災感知器Sは、火災を検知する確度が向上し、誤作動が生じづらくなっている。
【0031】
図5は、比較例としての火災感知器Tの構造を示す図である。
火災感知器Tは、火災感知器Sと比べて、フード9の側板92の形状がフード3の側板32の形状と異なる。
【0032】
火災感知器Tは、第1光検出素子1、第2光検出素子2、及びフード9を有する。フード9は、上板91、及び側板92を有する。上板91は、上板31と同様に、前方辺911を有する。前方辺911は、前方辺311と同様に、上板91の前方側の辺である。
【0033】
側板92は、側板32と同様に上板91と直交しており、上板91の火災感知器Tの幅方向における側端から下方に向かって延伸している。側板92は、側方辺321の代わりに、前方辺921、及び下方辺922を有する。前方辺921は、側板92の前方側の辺である。前方辺921は、前方辺911の火災感知器Tの幅方向における側端から下方に向かって延伸している。前方辺921は、前方辺911と直交している。
【0034】
下方辺922は、前方辺921と直交しており、前方辺921の下端から後方に向かって延伸している辺である。前方辺921の下端、及び下方辺922は、第1光検出素子1の受光面の中心と第2光検出素子2の受光面の中心とを結ぶ中心線L4よりも下方に位置する。
【0035】
火災感知器Tは、側板92として、左側板92L、及び右側板92Rを有する。左側板92Lは、左側板32Lと同様に、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の火災感知器Tの幅方向における左側に設けられた側板である。右側板92Rは、右側板32Rと同様に、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の火災感知器Tの幅方向における右側に設けられた側板である。
【0036】
火災感知器Tは、第1光検出素子1、第2光検出素子2、及び上述した形状のフード9を有することで、フード9が不要光を遮る第1光検出素子1の受光面の面積とフード9が不要光を遮る第2光検出素子2の受光面の面積との差が大きくなってしまう。したがって、第1光検出素子1に入射する不要光の量と第2光検出素子2に入射する不要光の量との差が大きくなってしまい易い。
【0037】
具体的には、
図5に示すように、例えば、不要光が、火災感知器Tの左前上方から第1光検出素子1及び第2光検出素子2に向かう場合、フード9によって遮られる第2光検出素子2の受光面の面積が、フード9によって遮られる第1光検出素子1の受光面の面積よりも大きくなってしまう。よって、この場合、第1光検出素子1に入射する不要光の量は、第2光検出素子2に入射する不要光の量よりも多くなってしまう。この結果、火災感知器Tは、火災感知器Sに比べると誤作動が生じ易い。
【0038】
[変形例1]
図6は、変形例1としての火災感知器Saの構造を示す図である。なお、
図6は、火災感知器Saを前方側から見た構造を示す図である。
上記第1の実施形態においては、火災感知器Sは、第1の波長の光を検出する第1光検出素子1、及び第2の波長の光を検出する第2光検出素子2を有する例を示したが、火災感知器Saが有する光検出素子の数は、これに限定されない。火災感知器Saが有する光検出素子の数は任意である。
【0039】
図6に示すように、火災感知器Saは、例えば3個の光検出素子を有していてもよい。この場合、火災感知器Saは、第1光検出素子1及び第2光検出素子2に加えて、第3光検出素子5aを有していてもよい。第3光検出素子5aは、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の火災感知器Saの幅方向における側方に設けられている。
図4に示すように、第3光検出素子5aは、第1の波長及び第2の波長と異なる第3の波長の光を検出する。第3の波長の光は、前記第1の波長と前記第2の波長とは異なる、物が燃焼するときに生じる二酸化炭素から共鳴放射の存在しない特徴的部分の例えば波長約5.0μmの光である。第3光検出素子5aの受光面の形状は、第1光検出素子1の受光面の形状及び第2光検出素子2の受光面の形状と同じである。
【0040】
[変形例2]
上記第1の実施形態においては、側板32が上板31と直交している例を示したが、側板32と上板31との間の角度は、これに限定されない。側板32と上板31との間の角度は任意である。
【0041】
[第1の実施形態に係る火災感知器Sによる効果]
第1の実施形態に係る火災感知器Sは、少なくとも第1の波長の光、及び第1の波長と異なる第2の波長の光を検出することで火災を検出する。そして、火災感知器Sは、第1の波長の光を検出する第1光検出素子1と、第2の波長の光を検出し、第1光検出素子1の幅方向における側方に設けられている第2光検出素子2と、を有する。
【0042】
また、火災感知器Sは、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の高さ方向における上方に設けられている上板31と、上板31の幅方向における側端から下方に向かって延伸している側板32とを有し、不要光が第1光検出素子1及び第2光検出素子2に入射する量を低減させるフード3を有する。そして、上板31の前方側の辺である前方辺311は、第1光検出素子1の受光面の中心と第2光検出素子2の受光面の中心とを結ぶ中心線L1と平行であり、側板32は、少なくとも前方辺311の側端と中心線L1とを結ぶ方向に延伸しており、かつ中心線L1と直交している側方辺321を有する。
【0043】
火災感知器Sは、このように、中心線L1と平行な前方辺311を有する上板31と、側方辺321を有する側板32と、を有するフード3を有する。よって、火災感知器Sは、第1光検出素子1、第2光検出素子2、及び、このようなフード3を有することで、不要光に対して、フード3によって遮られる第1光検出素子1の受光面の面積と、フード3によって遮られる第2光検出素子2の受光面の面積との差を生じづらくする。
【0044】
よって、火災感知器Sにおいては、光が入射する角度の違いによって、第1光検出素子1に入射する光量と第2光検出素子2に入射する光量との差が大きくなりづらい。この結果、火災感知器Sは、誤作動が生じづらくなる。
【0045】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る火災感知器Sbの構造を示す図である。
第2の実施形態に係る火災感知器Sbは、第1の実施形態に係る火災感知器Sと比べて、フード3の代わりにフード3bを有する点で異なる。
【0046】
フード3bは、上板31b、及び側板32bを有する。上板31bは、上板31と同様に、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の火災感知器Sの高さ方向における上方に設けられている。上板31bは、上板31と同様に、前方辺311bを有する。前方辺311bは、上板31bの前方側の辺である。前方辺311bは、前方辺311と同様に、第1光検出素子1の受光面の中心と第2光検出素子2の受光面の中心とを結ぶ中心線L1と平行である。
【0047】
側板32bは、側方辺321b、湾曲板部322b、及び平板部323bを有する。側方辺321bは、側方辺321と同様に、前方辺311bの側端と中心線L1とを結ぶ方向に延伸しており、かつ中心線L1と直交している。ここで、直交とは、完全に直交ではなく、直交から±10度の範囲を含んでいてもよい。
【0048】
湾曲板部322bは、上板31bの幅方向における側端から下方に向かうにつれて徐々に当該側端からの距離が大きくなるように幅方向における外側向きに傾斜して湾曲している部位である。平板部323bは、湾曲板部322bの下端から下方に向かって延伸している部位である。平板部323bは、上板31bと直交している。
【0049】
<第3の実施形態>
図8は、第3の実施形態に係る火災感知器Scの構造を示す図である。
第3の実施形態に係る火災感知器Scは、第1の実施形態に係る火災感知器Sと比べて、フード3の代わりにフード3cを有する点で異なる。
【0050】
フード3cは、上板31cを有する。上板31cは上方に凸形状の曲面を有している。フード3cは、例えば、円筒を斜めにカットした形状である。上板31cは、前方辺311cを有する。前方辺311cは、前方辺311と同様に、上板31cの前方側の辺である。
【0051】
<第4の実施形態>
図9は、第4の実施形態に係る火災感知器Sdの構造を示す図である。
第4の実施形態に係る火災感知器Sdは、第1の実施形態に係る火災感知器Sと比べて、フード3の代わりにフード3dを有する点で異なる。
【0052】
フード3dは、上板31d、及び側板32dを有する。上板31dは、上板31と同様に、第1光検出素子1及び第2光検出素子2の火災感知器Sの高さ方向における上方に設けられている。
【0053】
上板31dは、前方辺311d、第1領域312d、第2領域313d、及び下方辺314dを有する。前方辺311dは、第1領域312dの前方側の辺である。前方辺311dは、前方辺311と同様に、第1光検出素子1の受光面の中心と第2光検出素子2の受光面の中心とを結ぶ中心線L1と平行である。第1領域312dは、前端から後方に向かって延伸している領域である。第2領域313dは、前端から下方に向かって延伸している領域である。下方辺314dは、第2領域313dの下方側の辺である。下方辺314dは、第1光検出素子1の受光面の中心と第2光検出素子2の受光面の中心とを結ぶ中心線L1と平行である。
【0054】
側板32dは、側板32と同様に、上板31dと直交しており、上板31dの幅方向における側端から下方に向かって延伸している。側板32dは、側板32と同様に、側方辺321dを有する。側方辺321dは、下方辺314dの側端と中心線L1とを結ぶ方向に延伸しており、かつ中心線L1と直交している。ここで、直交とは、完全に直交ではなく、直交から±10度の範囲を含んでいてもよい。
【0055】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0056】
S、Sa、Sb、Sc、Sd・・・火災感知器
1・・・第1光検出素子
2・・・第2光検出素子
3、3b、3c、3d・・・フード
31、31b、31c、31d・・・上板
311・・・前方辺(L2)
311b、311c、311d・・・前方辺
312d・・・第1領域
313d・・・第2領域
314d・・・下方辺
32、32b、32d・・・側板
321・・・側方辺(L3)
321b、321d・・・側方辺
322b・・・湾曲板部
323b・・・平板部
32L、32bL、32dL・・・左側板
32R、32bR、32dR・・・右側板
4・・・判定部
5a・・・第3光検出素子
L1・・・中心線
T・・・火災感知器
9・・・フード
91・・・上板
911・・・前方辺
92・・・側板
921・・・前方辺
922・・・下方辺
92L・・・左側板
92R・・・右側板
L4・・・中心線