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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20230418BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019103290
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020198357
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】東 克栄
(72)【発明者】
【氏名】森 隆
(72)【発明者】
【氏名】灘 和成
(72)【発明者】
【氏名】上前 昭司
(72)【発明者】
【氏名】新庄 淳一
(72)【発明者】
【氏名】秀浦 伸二
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-119168(JP,A)
【文献】特開2000-021838(JP,A)
【文献】特開2012-074552(JP,A)
【文献】特開2010-232520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈された薬液を用いて基板に処理を行う基板処理装置であって、
工場設備である希釈用液供給源から希釈用液を供給する第1の配管と、
薬液を供給する第2の配管と、
前記第1の配管を流れる希釈用液の流量を調整する第1の調整部と、
前記第2の配管を流れる薬液の流量を調整する第2の調整部と、
前記第1の配管により供給された希釈用液と前記第2の配管により供給された薬液とを混合する混合タンクと、
希釈用液と薬液との混合液中の薬液の濃度を計測する濃度計と、
前記濃度計により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量を決定し、決定された補正量を前記第1の調整部に与える制御部とを備え、
前記第1の調整部は、前記制御部により与えられた補正量に基づいて前記第1の配管を流れる希釈用液の流量を補正し、
前記第1の調整部は電動調圧レギュレータであり、
前記第2の調整部はモータニードル弁である、基板処理装置。
【請求項2】
薬液を貯留する薬液タンクをさらに備え、
前記第2の配管は、前記薬液タンクに接続され、前記薬液タンクに貯留された薬液を前記混合タンクに供給する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記薬液タンクは、第1の薬液タンクと第2の薬液タンクとを含み、
前記第1の薬液タンクに貯留された薬液と、前記第2の薬液タンクに貯留された薬液とは、前記第2の配管により交互に前記混合タンクに供給される、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1の配管により供給される希釈用液と前記第2の配管により供給される薬液とを混合しつつ前記混合タンクに導く第3の配管をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第3の配管から分岐するように設けられ、前記第1の配管により供給された希釈用液と前記第2の配管により供給された薬液との混合液を前記混合タンクに導くことなく排出する第4の配管をさらに備える、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の配管の内径は前記第2の配管の内径よりも大きい、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
薬液の濃度に対して第1のしきい値範囲が設定され、
前記制御部は、前記濃度計により計測される濃度が前記第1のしきい値範囲外にある場合、希釈用液の流量の補正量を決定する、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
薬液の濃度に対して第1のしきい値範囲を包含する第2のしきい値範囲が設定され、
前記濃度計により計測される濃度が前記第2のしきい値範囲外にある場合、
前記第1の配管による希釈用液の供給および前記第2の配管による薬液の供給が停止される、請求項記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板を処理する基板処理部と、
前記混合タンクに貯留された混合液を前記基板処理部に供給する第5の配管をさらに備え、
前記濃度計は、前記第5の配管を流れる混合液中の薬液の濃度を計測するように設けられる、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
希釈された薬液を用いて基板に処理を行う基板処理方法であって、
工場設備である希釈用液供給源から第1の配管により希釈用液を供給するステップと、
第2の配管により薬液を供給するステップと、
前記第1の配管を流れる希釈用液の流量を第1の調整部により調整するステップと、
前記第2の配管を流れる薬液の流量を第2の調整部により調整するステップと、
混合タンクにおいて前記第1の配管により供給された希釈用液と前記第2の配管により供給された薬液とを混合するステップと、
希釈用液と薬液との混合液中の薬液の濃度を濃度計により計測するステップと、
前記濃度計により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量を決定し、決定された補正量を前記第1の調整部に与えるステップとを含み、
前記希釈用液の流量を第1の調整部により調整するステップは、
与えられた補正量に基づいて前記第1の配管を流れる希釈用液の流量を前記第1の調整部により補正することを含み、
前記第1の調整部は電動調圧レギュレータであり、
前記第2の調整部はモータニードル弁である、基板処理方法。
【請求項11】
薬液の濃度に対してしきい値範囲が設定され、
前記補正量を決定することは、前記濃度計により計測される濃度が前記しきい値範囲外である状態が所定時間以上継続した場合に前記補正量を決定することを含む、請求項10記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希釈された薬液を用いて基板に処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板または光ディスク用ガラス基板等の基板に処理液を用いた処理を行うために基板処理装置が用いられる。基板のエッチング等の基板処理を行う基板処理装置においては、基板に供給する処理液として、希釈された薬液が生成される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された基板処理装置においては、フッ酸タンクに貯留されたフッ酸の原液が、フッ酸供給管を通して混合部に供給される。また、DIW(De-ionized water)が、DIW供給管を通して上記の混合部に供給される。フッ酸供給管を通過するフッ酸の原液の流量が流量調節バルブにより適切に調整されることにより、混合部において所望の濃度を有する希フッ酸が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5043487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体の微細化に伴い、エッチングの精度を向上させるために、エッチングに用いられる薬液の濃度を高い精度で安定化させることが求められている。例えば、希フッ酸の濃度を5000±5ppmの精度で安定化させることが求められている。しかしながら、本発明者らの検討の結果、工場設備から供給されるDIWを用いる場合、特許文献1に記載された方法では、上記の精度で濃度が安定化された希フッ酸を生成することは困難であることが判明した。
【0006】
そこで、DIWが貯留された秤量槽を基板処理装置に設け、当該秤量槽からDIWを供給することが考えられる。この場合、極めて大型の秤量槽を設ける必要がある。例えば、2.4Lのフッ酸タンクに濃度49%のフッ酸の原液が貯留されている場合、約1/100の濃度(5000ppm)を有する希フッ酸を生成するためには、約240LのDIWが貯留された秤量槽を設ける必要がある。しかしながら、このような大型の秤量槽を基板処理装置に設けることは現実的ではない。
【0007】
また、枚葉式の基板処理装置においては、複数の処理部により同時に複数の基板の処理が行われるため、大量の薬液が一斉に消費される。そのため、上記のフッ酸タンクの容量を小型化することによりDIW用の秤量槽を小型化することは好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、高い精度で濃度が安定化された薬液を生成する基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、種々の実験および考察を繰り返した結果、工場設備から供給される希釈用液の圧力の変動が生成される薬液の濃度の安定性に影響を与えているという知見を得た。希釈用液の圧力が変動することに起因して、希釈用液の流量が比較的長い周期で変動する。このような工場設備からの希釈用液の圧力の変動は、使用者には予測することができず、制御することもできない。本発明者らは、これらの事情を考慮した上で、薬液の濃度を高い精度で安定化することを可能とする構成を見出し、以下の本発明に想到した。
【0010】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、希釈された薬液を用いて基板に処理を行う基板処理装置であって、工場設備である希釈用液供給源から希釈用液を供給する第1の配管と、薬液を供給する第2の配管と、第1の配管を流れる希釈用液の流量を調整する第1の調整部と、第2の配管を流れる薬液の流量を調整する第2の調整部と、第1の配管により供給された希釈用液と第2の配管により供給された薬液とを混合する混合タンクと、希釈用液と薬液との混合液中の薬液の濃度を計測する濃度計と、濃度計により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量を決定し、決定された補正量を第1の調整部に与える制御部とを備え、第1の調整部は、制御部により与えられた補正量に基づいて第1の配管を流れる希釈用液の流量を補正し、第1の調整部は電動調圧レギュレータであり、第2の調整部はモータニードル弁である。
【0011】
この基板処理装置においては、第1の配管により希釈用液が供給され、第2の配管により薬液が供給される。第1の配管を流れる希釈用液の流量が第1の調整部により調整される。混合タンクにおいて第1の配管により供給された希釈用液と第2の配管により供給された薬液とが混合される。希釈用液と薬液とが混合された混合液中の薬液の濃度が濃度計により計測される。濃度計により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量が決定され、決定された補正量が第1の調整部に与えられる。
【0012】
この構成によれば、希釈用液の圧力が変動することに起因して希釈用液の流量が変動する場合でも、濃度計により計測される濃度が設定値になるように決定された補正量に基づいて第1の配管を流れる希釈用液の流量が第1の調整部により補正される。これにより、混合タンクにおいて、混合液として高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
第1の配管は、基板処理装置が設置される工場において希釈用液を供給する設備に接続される。この場合、基板処理装置を大型化することなく大量の希釈用液を供給することができる。また、工場設備から供給される希釈用液の圧力が変動する場合でも、高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
第1の調整部は電動調圧レギュレータである。この構成によれば、第1の配管を流れる希釈用液の流量が比較的大きい場合でも、容易に希釈用液の流量を調整することができる。
基板処理装置は、第2の配管を流れる薬液の流量を調整する第2の調整部をさらに備える。この構成によれば、第2の配管を流れる薬液の流量を容易に安定化することができる。これにより、高い精度で濃度が安定化された薬液をより容易に生成することができる。
第2の調整部は、モータニードル弁である。この構成によれば、第3の配管を流れる薬液の流量が比較的小さい場合でも、容易に薬液の流量を調整することができる。
【0013】
(2)基板処理装置は、薬液を貯留する薬液タンクをさらに備え、第2の配管は、薬液タンクに接続され、薬液タンクに貯留された薬液を混合タンクに供給してもよい。この場合、薬液が薬液タンクから第2の配管を通して混合タンクに供給されるので、第2の配管を流れる薬液の圧力の変動が抑制される。これにより、第2の配管を流れる薬液の流量を容易に安定化することができる。その結果、高い精度で濃度が安定化された薬液をより容易に生成することができる。
【0014】
(3)薬液タンクは、第1の薬液タンクと第2の薬液タンクとを含み、第1の薬液タンクに貯留された薬液と、第2の薬液タンクに貯留された薬液とは、第2の配管により交互に混合タンクに供給されてもよい。この場合、基板の処理を停滞させることなく混合タンクに薬液を供給することができる。
【0015】
(4)基板処理装置は、第1の配管により供給される希釈用液と第2の配管により供給される薬液とを混合しつつ混合タンクに導く第3の配管をさらに備えてもよい。この場合、第3の配管において混合液を効率よく生成することができる。
【0016】
(5)基板処理装置は、第3の配管から分岐するように設けられ、第1の配管により供給された希釈用液と第2の配管により供給された薬液との混合液を混合タンクに導くことなく排出する第4の配管をさらに備えてもよい。この場合、希釈用液または薬液の流量が安定しない時点で第3の配管において生成された混合液を混合タンクに導くことなく排出することができる。これにより、混合タンクにおいて、より高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
【0020】
)第1の配管の内径は第2の配管の内径よりも大きくてもよい。この場合、比較的大きい流量での希釈用液の供給と、比較的小さい流量での薬液の供給とを容易に行うことができる。
【0021】
)薬液の濃度に対して第1のしきい値範囲が設定され、制御部は、濃度計により計測される濃度が第1のしきい値範囲外にある場合、希釈用液の流量の補正量を決定してもよい。この場合、高い精度で濃度が安定化された薬液を簡単な制御で生成することができる。
【0022】
)薬液の濃度に対して第1のしきい値範囲を包含する第2のしきい値範囲が設定され、濃度計により計測される濃度が第2のしきい値範囲外にある場合、第1の配管による希釈用液の供給および第2の配管による薬液の供給が停止されてもよい。この場合、濃度が安定しない薬液が生成されることを抑制することができる。
【0024】
)基板処理装置は、基板を処理する基板処理部と、混合タンクに貯留された混合液を基板処理部に供給する第5の配管をさらに備え、濃度計は、第5の配管を流れる混合液中の薬液の濃度を計測するように設けられてもよい。この場合、濃度計が混合液を基板処理部に供給する第5の配管に設けられるので、基板処理に用いる薬液の濃度をより正確に計測することができる。
【0025】
10)第2の発明に係る基板処理方法は、希釈された薬液を用いて基板に処理を行う基板処理方法であって、工場設備である希釈用液供給源から第1の配管により希釈用液を供給するステップと、第2の配管により薬液を供給するステップと、第1の配管を流れる希釈用液の流量を第1の調整部により調整するステップと、第2の配管を流れる薬液の流量を第2の調整部により調整するステップと、混合タンクにおいて第1の配管により供給された希釈用液と第2の配管により供給された薬液とを混合するステップと、希釈用液と薬液との混合液中の薬液の濃度を濃度計により計測するステップと、濃度計により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量を決定し、決定された補正量を第1の調整部に与えるステップとを含み、希釈用液の流量を第1の調整部により調整するステップは、与えられた補正量に基づいて第1の配管を流れる希釈用液の流量を第1の調整部により補正することを含み、第1の調整部は電動調圧レギュレータであり、第2の調整部はモータニードル弁である
【0026】
この構成によれば、希釈用液の圧力が変動することに起因して希釈用液の流量が変動する場合でも、混合タンクにおいて、混合液として高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
【0027】
11)薬液の濃度に対してしきい値範囲が設定され、補正量を決定することは、濃度計により計測される濃度がしきい値範囲外である状態が所定時間以上継続した場合に補正量を決定することを含んでもよい。この場合、高い精度で濃度が安定化された薬液を簡単な制御で生成することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
図2図1の処理室の内部の構成を示す側面図である。
図3図1の薬液生成部の構成を示す図である。
図4】制御部の構成を示す図である。
図5】薬液補充プログラムにより行われる薬液補充処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
図6】薬液補充プログラムにより行われる薬液補充処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(1)基板処理装置の構成
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0031】
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。図1および後述する図2には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。図1に示すように、基板処理装置300は、基板処理部100、薬液生成部200および制御部310を備え、例えば工場に設置される。図1には、主として基板処理部100の模式的平面図が図示されている。
【0032】
基板処理装置300が設置される工場には、工場設備(工場用力)として、薬液供給源301、希釈用液供給源302および窒素ガス供給源303,304が設けられる。薬液供給源301は、薬液の原液(以下、原薬液と呼ぶ。)を供給する。本例では、原薬液は濃度49%のフッ酸である。希釈用液供給源302は、薬液を希釈するための希釈用液を供給する。本例では、希釈用液はDIW(De-ionized water)である。各窒素ガス供給源303,304は、窒素ガスを供給する。窒素ガス供給源303,304は、同一の窒素ガス供給源であってもよい。
【0033】
薬液生成部200は、上記の工場設備を用いて原薬液が希釈された希釈薬液を生成し、基板処理部100に供給する。本例では、希釈薬液は濃度5000ppmのフッ酸(希フッ酸)である。希フッ酸の濃度は、5000±5ppmの精度で安定化されることが好ましい。薬液生成部200の詳細な構成については後述する。
【0034】
制御部310は、CPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータ等からなる。制御部310のメモリには後述する薬液補充プログラムが記憶される。制御部310は、基板処理部100および薬液生成部200における種々の構成要素を制御する。
【0035】
基板処理部100は、薬液生成部200により生成された薬液を用いて一枚ずつ基板Wに処理(本例ではエッチング)を行う枚葉式の装置であり、インデクサブロック110、第1の処理ブロック120、搬送ブロック130、第2の処理ブロック140および第3の処理ブロック150を備える。インデクサブロック110、第1の処理ブロック120、搬送ブロック130、第2の処理ブロック140および第3の処理ブロック150は、X方向にこの順で並ぶように配置される。
【0036】
インデクサブロック110は、複数のキャリア載置部111および搬送部112を含む。各キャリア載置部111には、複数の基板Wを多段に収納するキャリア113が載置される。搬送部112には、基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する搬送機構(搬送ロボット)114が設けられる。
【0037】
第1の処理ブロック120は、処理室121,122および受渡部123を含む。処理室121と処理室122とは、Y方向において受渡部123を挟んで対向するように設けられる。各処理室121,122には、基板Wに処理を行う複数の処理ユニット10が設けられる。受渡部123には、搬送機構114と後述する搬送機構132との間で受け渡される基板Wが一時的に載置される。受渡部123には、複数の基板Wが載置されてもよい。搬送ブロック130は、搬送室131を含む。搬送室131には、基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する搬送機構132が設けられる。
【0038】
第2の処理ブロック140は、処理室141,142および受渡部143を含む。処理室141と処理室142とは、Y方向において受渡部143を挟んで対向するように設けられる。各処理室141,142には、複数の処理ユニット10が設けられる。受渡部143には、搬送機構132と後述する搬送機構154との間で受け渡される基板Wが一時的に載置される。受渡部143には、複数の基板Wが載置されてもよい。本例では、受渡部143は、基板Wを保持しつつ、X方向に所定の距離だけ搬送(シャトル搬送)することが可能である。
【0039】
第3の処理ブロック150は、処理室151,152および搬送室153を含む。処理室151と処理室152とは、Y方向において搬送室153を挟んで対向するように設けられる。各処理室151,152には、複数の処理ユニット10が設けられる。搬送室153には、基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する搬送機構154が設けられる。
【0040】
図2は、図1の処理室121,141,151の内部の構成を示す側面図である。図2に示すように、各処理室121,141,151には、複数(本例では4個)の処理ユニット10がZ方向に積層されるように配置される。同様に、図1の各処理室122,142,152にも、複数(本例では4個)の処理ユニット10がZ方向に積層されるように配置される。したがって、本例では、24個の処理ユニット10が基板処理部100に設けられる。
【0041】
各処理ユニット10は、スピンチャック11、薬液ノズル12およびカップ13を含む。スピンチャック11は、基板Wを保持した状態で、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ)により回転駆動される。薬液ノズル12は、薬液生成部200により生成された薬液をスピンチャック11により回転される基板Wに供給する。これにより、基板Wにエッチングが行われる。カップ13は、スピンチャック11を取り囲むように設けられ、基板処理時に基板Wから振り切られる薬液を受け止める。
【0042】
図1および図2を参照しながら基板処理部100の動作を説明する。インデクサブロック110のキャリア載置部111に、未処理の基板Wが収容されたキャリア113が載置される。搬送機構114は、キャリア113から第1の処理ブロック120の受渡部123に未処理の基板Wを搬送する。また、搬送機構114は、受渡部123に載置されたエッチング済の基板Wをキャリア113に搬送する。
【0043】
搬送ブロック130の搬送機構132は、受渡部123に載置された未処理の基板Wを第1の処理ブロック120の処理室121,122におけるいずれかの処理ユニット10または第2の処理ブロック140の受渡部143に搬送する。処理室121,122のいずれかの処理ユニット10に搬送された基板Wには、エッチングが行われる。また、搬送機構132は、処理室121,122におけるいずれかの処理ユニット10または受渡部143に載置されたエッチング済の基板Wを受渡部123に搬送する。
【0044】
第3の処理ブロック150の搬送機構154は、受渡部143に載置された未処理の基板Wを第2または第3の処理ブロック140,150の処理室141,142,151,152におけるいずれかの処理ユニット10に搬送する。処理室141,142,151,152のいずれかの処理ユニット10に搬送された基板Wには、エッチングが行われる。また、搬送機構154は、処理室141,142,151,152におけるいずれかの処理ユニット10に載置されたエッチング済の基板Wを受渡部143に搬送する。
【0045】
本例では、24個の処理ユニット10のうち、例えば最大で18個の処理ユニット10により同時に基板Wのエッチングが行われる。また、基板W一枚当たり約4Lの薬液が用いられる。そのため、基板処理部100では、大量(本例では72L)の薬液が一斉に消費される。したがって、薬液生成部200には、大量の薬液を生成し、基板処理部100に供給することが求められる。
【0046】
(2)薬液生成部の構成
図3は、図1の薬液生成部200の構成を示す図である。図3に示すように、薬液生成部200は、主として2個の薬液タンク210,220、混合タンク230、廃液タンク240および複数の配管を含む。以下の説明では、各配管において原薬液、希釈用液または希釈薬液が流れる方向を下流方向と定義し、その反対方向を上流方向と定義する。各薬液タンク210,220は、原薬液を貯留する例えば容量2.4Lのタンクである。薬液タンク210,220には、供給配管20、加圧配管30および供給配管40が接続される。
【0047】
供給配管20は、1本の主管21および2本の枝管22,23を有する。主管21の上流端部は、薬液供給源301に接続される。枝管22,23は、主管21の下流端部と薬液タンク210,220との間にそれぞれ接続される。主管21には、フィルタ24が介挿される。枝管22,23には、バルブ25,26がそれぞれ介挿される。バルブ25が開放されることにより、薬液供給源301から原薬液がフィルタ24を通して薬液タンク210に供給され、貯留される。同様に、バルブ26が開放されることにより、薬液供給源301から原薬液がフィルタ24を通して薬液タンク220に供給され、貯留される。
【0048】
加圧配管30は、1本の主管31および2本の枝管32,33を有する。主管31の上流端部は、窒素ガス供給源303に接続される。枝管32,33は、主管31の下流端部と薬液タンク210,220との間にそれぞれ接続される。枝管32,33には、バルブ34,35がそれぞれ介挿される。バルブ34,35が開放されることにより、窒素ガス供給源303から窒素ガスが薬液タンク210,220にそれぞれ供給される。これにより、各薬液タンク210,220に貯留された原薬液が供給配管40を通して下流に圧送される。
【0049】
供給配管40は、1本の主管41および2本の枝管42,43を有する。枝管42,43は、主管41の上流端部と薬液タンク210,220との間にそれぞれ接続される。主管41の下流端部は、後述する混合配管60に接続される。主管41には、流量計44および調整部45が介挿される。流量計44は、主管41を流れる原薬液の流量を計測し、計測される流量を制御部310に与える。調整部45は、例えばモータニードル弁またはLFC(Liquid Flow Controller)であり、制御部310による制御に基づいて主管41を流れる原薬液の流量を調整する。なお、各薬液タンク210,220から供給される原薬液の流量は比較的小さい。そのため、主管41および枝管42,43の各々の内径は比較的小さい(例えば4mm~8mm)。
【0050】
希釈用液供給源302と混合配管60との間を接続するように供給配管50が設けられる。供給配管50には、バルブ51、流量計52および調整部53が介挿される。バルブ51が開放されることにより、希釈用液供給源302から供給される希釈用液が供給配管50を流れる。なお、希釈用液供給源302から供給される希釈用液の流量は比較的大きい(例えば50L/分~75L/分)。そのため、供給配管50の内径は比較的大きい(例えば1インチ)。流量計52は、供給配管50を流れる希釈用液の流量を計測し、計測される流量を制御部310に与える。調整部53は、例えば電動調圧レギュレータであり、制御部310による制御に基づいて供給配管50を流れる希釈用液の流量を調整する。
【0051】
混合タンク230は、原薬液と希釈用液との混合液を希釈薬液として貯留する例えば容量68Lのタンクである。混合タンク230には、混合配管60、加圧配管70、排液配管80および混合配管90が接続される。
【0052】
混合配管60は、1本の主管61および2本の枝管62,63を有する。主管61の上流端部は、供給配管50の下流端部および供給配管40の主管41の下流端部に接続される。枝管62は、主管61の下流端部と混合タンク230との間に接続される。枝管63は、主管61の下流端部と廃液タンク240との間に接続される。枝管62,63には、バルブ64,65がそれぞれ介挿される。
【0053】
主管61において、希釈用液供給源302から供給される希釈用液と、供給配管40から導かれた原薬液とが混合されることにより希釈薬液が効率よく生成される。主管61において生成された希釈薬液は、枝管62を通して混合タンク230に供給され、貯留される。
【0054】
希釈薬液の生成開始直後および生成終了直後には、バルブ34,35,51の開閉の時間差等により希釈用液または原薬液の流量が安定しないため、生成される希釈薬液の濃度が不安定となることがある。そこで、希釈薬液の生成開始直後には、所定時間(例えば3秒~5秒間)バルブ65が開放されるとともにバルブ64が閉止されることより濃度が不安定な希釈薬液が廃液タンク240に廃棄される(プリドレイン)。また、希釈薬液の生成終了直後にも、所定時間(例えば1秒間)バルブ65が開放されるとともにバルブ64が閉止されることより濃度が不安定な希釈薬液が廃液タンク240に廃棄される(ポストドレイン)。これにより、濃度が安定した希釈薬液を混合タンク230に供給することができる。
【0055】
加圧配管70は、窒素ガス供給源304と混合タンク230との間に接続される。加圧配管70には、バルブ71が介挿される。バルブ71が開放されることにより、窒素ガス供給源304から窒素ガスが混合タンク230に供給される。これにより、混合タンク230に貯留された希釈薬液が排液配管80を通して廃液タンク240に廃棄される。
【0056】
排液配管80は、混合タンク230と廃液タンク240との間に接続される。排液配管80には、バルブ81が介挿される。バルブ81が開放されることにより、混合タンク230に貯留された余剰な希釈薬液が廃液タンク240に廃棄される。
【0057】
混合配管90は、1本の主管91および2本の枝管92,93を有する。主管91の上流端部は、混合タンク230に接続される。枝管92は、希釈薬液の循環に用いる循環配管であり、主管91の下流端部と混合タンク230との間に接続される。枝管93は、基板Wの処理に用いる処理配管であり、主管91の下流端部と基板処理部100との間に接続される。主管91には、濃度計94およびヒータ95が介挿される。枝管92には、ポンプ96、フィルタ97およびバルブ98が介挿される。枝管93には、バルブ99が介挿される。
【0058】
濃度計94は、主管91を流れる希釈薬液の濃度を計測し、計測される濃度を制御部310に与える。濃度計94による計測結果は、上記の調整部53の制御に用いられる。ポンプ96が駆動するとともに、バルブ98が開放されることにより、混合タンク230からの希釈薬液が、ヒータ95により加熱された後、フィルタ97を通して混合タンク230に循環される。バルブ99が開放されることにより、混合タンク230からの希釈薬液が、ヒータ95により加熱された後、基板処理部100に供給される。
【0059】
混合タンク230には、4個の液面センサ231,232,233,234が設けられる。液面センサ231,232,233,234は、混合タンク230に貯留された希釈薬液の第1、第2、第3および第4の液面をそれぞれ検出するように配置される。本例では、第1、第2、第3および第4の液面は、混合タンク230に貯留された希釈薬液の容量がそれぞれ5L、45L、60Lおよび65Lであるときの液面である。また、液面センサ231~234は、検出結果を制御部310に与える。
【0060】
制御部310は、液面センサ232,233による検出結果に基づいて、薬液タンク210,220から交互に混合タンク230に原薬液が供給されるようにバルブ34,35を制御するとともに、希釈用液供給源302から混合タンク230に希釈用液が供給されるようにバルブ51を制御する。これにより、混合タンク230に所定範囲の容量の希釈薬液が常時貯留される。したがって、基板処理部100で希釈薬液が大量に消費される場合でも、基板処理部100に希釈薬液を供給することができる。
【0061】
(3)薬液生成部の動作
供給配管40から供給される原薬液の流量と供給配管50から供給される希釈用液の流量とが所定の比率(約1:100)で混合されることにより、上記の濃度(約5000ppm)を有する希釈薬液が生成されると考えられる。しかしながら、単に原薬液の流量と希釈用液の流量との比率を一定に維持するだけでは、上記の高い精度(5000±5ppm)で濃度が安定化された希釈薬液を生成することはできないことが判明した。
【0062】
本発明者らは、種々の実験および考察を繰り返した結果、工場設備である希釈用液供給源302から供給される希釈用液の圧力の変動が希釈薬液の濃度の安定性に影響を与えているという知見を得た。希釈用液の圧力が変動することに起因して、希釈用液の流量が1~2週間の周期で長期的に変動する。このような工場設備からの希釈用液の圧力の変動は、使用者には予測することができず、制御することもできない。
【0063】
そこで、本実施の形態においては、濃度に対して第1のしきい値範囲が設定される。第1のしきい値範囲は、予め設定された第1の下限しきい値と予め設定された第1の上限しきい値との間の範囲である。濃度計94により計測される濃度が第1のしきい値範囲外にある状態が一定時間継続した場合には、第1のフラグがオンにされる。一方、濃度計94により計測される濃度が第1のしきい値範囲外にある場合でも、その状態が一定時間継続しない場合には、第1のフラグがオフにされる。
【0064】
液面センサ232により第2の液面が検出された時点で、混合タンク230への希釈薬液の供給(補充)が開始される。ここで、第1のフラグがオフである場合には、予め設定された流量で供給された原薬液と、予め設定された流量で供給された希釈用液とが混合されることにより希釈薬液が生成され、生成された希釈薬液が混合タンク230に補充される。
【0065】
一方、第1のフラグがオンである場合には、計測される濃度に対応して希釈用液の流量の補正(例えばオフセット補正)が行われる。予め設定された流量で供給された原薬液と、上記の補正が行われた流量で供給された希釈用液とが混合されることにより希釈薬液が生成され、生成された希釈薬液が混合タンク230に補充される。これにより、希釈用液の圧力が変動する場合でも、濃度が高い精度で安定化された希釈薬液を簡単な制御で生成することができる。希釈薬液の補充は、液面センサ232により第3の液面が検出されるまで継続される。
【0066】
なお、本実施の形態においては、液面センサ231により第1の液面が検出された場合、または液面センサ234により第4の液面が検出された場合には、薬液生成部200の制御が停止される。この際、警報が出力されてもよい。警報の出力としては、例えばアラーム等による警報音の発生であってもよいし、ランプ等による警報表示であってもよい。
【0067】
また、本実施の形態においては、濃度に対して第2のしきい値範囲が設定される。第2のしきい値範囲は、予め設定された第2の下限しきい値と予め設定された第2の上限しきい値との間の範囲である。第2の下限しきい値は第1の下限しきい値よりも小さく、第2の上限しきい値は第1の上限しきい値よりも大きい。
【0068】
濃度計94により計測される濃度が第2のしきい値範囲外にある状態が一定時間継続した場合には、第2のフラグがオンにされる。一方、濃度計94により計測される濃度が第2のしきい値範囲外にある場合でも、その状態が一定時間継続しない場合には、第2のフラグがオフにされる。第2のフラグがオンにされた場合には、薬液生成部200の制御が停止される。この場合、濃度が安定しない希釈薬液が生成されることを抑制することができる。この際、上記と同様の警報が出力されてもよい。
【0069】
(4)薬液補充処理
図4は、制御部310の構成を示す図である。図5および図6は、薬液補充プログラムにより行われる薬液補充処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。図4に示すように、制御部310は、濃度取得部311、フラグ切替部312、液面取得部313、流量決定部314、薬液生成部315、ドレイン実行部316および薬液補充部317を含む。
【0070】
制御部310のCPUがメモリに記憶された薬液補充プログラムを実行することにより、制御部310の機能部が実現される。制御部310の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。以下、図4の制御部310ならびに図5および6のフローチャートを用いて薬液補充処理を説明する。なお、初期状態においては、バルブ98を除く全てのバルブは閉止され、第1および第2のフラグはオフである。また、ポンプ96は、常時駆動している。そのため、混合タンク230に貯留された希釈薬液は枝管92(循環配管)を通して常時循環する。
【0071】
まず、濃度取得部311は、濃度計94により計測される希釈薬液の濃度を取得する(ステップS1)。ステップS1は、後述するステップS12が実行されるまで定期的に繰り返される。次に、フラグ切替部312は、濃度取得部311で取得された濃度が第1のしきい値範囲外であるか否かを判定する(ステップS2)。濃度が第1のしきい値範囲外でない場合、液面取得部313は、液面センサ232により第2の液面が検出されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0072】
第2の液面が検出されていない場合、液面取得部313はステップS2に戻る。濃度が第1のしきい値範囲外になるか、または第2の液面が検出されるまでステップS2,S3が繰り返される。ステップS3で第2の液面が検出された場合、流量決定部314は、第1のフラグがオフであるので、希釈用液の流量を予め設定された流量に決定する(ステップS4)。その後、処理はステップS12に進む。
【0073】
ステップS2で濃度が第1のしきい値範囲外である場合、フラグ切替部312は、一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS5)。一定時間が経過していない場合、フラグ切替部312はステップS2に戻る。濃度が第1のしきい値範囲外でなくなるか、または一定時間が経過するまでステップS2,S5が繰り返される。ステップS5で一定時間が経過した場合、フラグ切替部312は第1のフラグをオンにする(ステップS6)。
【0074】
続いて、フラグ切替部312は、濃度が第1のしきい値範囲以内に戻ったか否かを判定する(ステップS7)。濃度が第1のしきい値範囲以内に戻った場合、フラグ切替部312は、一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS8)。一定時間が経過していない場合、フラグ切替部312はステップS7に戻る。濃度が第1のしきい値範囲外の状態が維持されるか、または一定時間が経過するまでステップS7,S8が繰り返される。ステップS8で一定時間が経過した場合、フラグ切替部312は第1のフラグをオフにし(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0075】
ステップS7で濃度が第1のしきい値範囲以内に戻らない場合、液面取得部313は、液面センサ232により第2の液面が検出されたか否かを判定する(ステップS10)。第2の液面が検出されていない場合、液面取得部313はステップS7に戻る。濃度が第1のしきい値範囲以内に戻るか、または第2の液面が検出されるまでステップS7,S10が繰り返される。
【0076】
ステップS10で第2の液面が検出された場合、流量決定部314は、第1のフラグがオンであるので、取得された濃度に対応して希釈用液の流量の補正量を決定し、決定された補正量に基づいて希釈用液の流量を決定する(ステップS11)。その後、処理はステップS12に進む。
【0077】
ステップS12において、濃度取得部311は、希釈薬液の濃度の取得を終了する(ステップS12)。次に、薬液生成部315は、希釈薬液の生成を開始する(ステップS13)。具体的には、ステップS13では、薬液タンク210または薬液タンク220から予め設定された流量で原薬液が供給されるように、バルブ34またはバルブ35が開放される。また、希釈用液が供給されるようにバルブ51が開放される。さらに、希釈用液の流量がステップS4またはステップS11で決定された流量となるように、流量計52により計測される流量に基づいて調整部53が制御される。
【0078】
これにより、混合配管60の主管61において、原薬液と希釈用液とが混合されることにより希釈薬液が生成される。なお、本実施の形態においては、希釈薬液の供給タイミング(第2の液面が検出されるタイミング)ごとに、薬液タンク210と薬液タンク220とを交互に用いて原薬液が供給される。
【0079】
次に、ドレイン実行部316は、バルブ65を開放することによりプリドレインを開始する(ステップS14)。所定時間後、ドレイン実行部316は、バルブ65を閉止することによりプリドレインを終了する(ステップS15)。続いて、薬液補充部317は、バルブ64を開放することにより混合タンク230への希釈薬液の補充を開始する(ステップS16)。
【0080】
その後、液面取得部313は、液面センサ233により第3の液面が検出されたか否かを判定する(ステップS17)。第3の液面が検出されていない場合、液面取得部313は第3の液面が検出されるまで待機する。第3の液面が検出された場合、薬液補充部317は、バルブ64を閉止することにより混合タンク230への希釈薬液の補充を終了する(ステップS18)。
【0081】
次に、ドレイン実行部316は、バルブ65を開放することによりポストドレインを開始する(ステップS19)。また、薬液生成部315は、バルブ34,35,51を閉止することにより希釈薬液の生成を終了する(ステップS20)。所定時間後、ドレイン実行部316は、バルブ65を閉止することによりポストドレインを終了する(ステップS21)。
【0082】
その後、薬液生成部315は、設定された時間(以下、チェックディレー時間と呼ぶ。)が経過したか否かを判定する(ステップS22)。チェックディレー時間は、混合タンク230に貯留された希釈薬液の濃度をさらに安定化させるための時間であり、例えば0秒~30秒の間で設定することができる。チェックディレー時間が経過していない場合、薬液生成部315はチェックディレー時間が経過するまで待機する。チェックディレー時間が経過した場合、処理がステップS1に戻る。その後、上記の薬液補充処理が繰り返される。使用者が所定の指令を行った場合、薬液補充処理が終了する。
【0083】
なお、上記の薬液補充処理においては、フラグ切替部312により第2のフラグの状態が常時監視され、第2のフラグがオフのときに処理が進行する。第2のフラグがオンに切り替えられたときには、いずれの処理が実行されていたかにかかわらず警報が出力されるとともに、薬液補充処理が終了する。また、ステップS3,S10,S18等で、液面センサ231により第1の液面が検出された場合、または液面センサ234により第4の液面が検出された場合にも、薬液補充処理が終了する。
【0084】
(5)効果
本実施の形態に係る基板処理装置300においては、供給配管50により希釈用液が供給され、供給配管40により原薬液が供給される。ここで、希釈用液は、工場設備である希釈用液供給源302から供給される。そのため、基板処理装置300を大型化することなく大量の希釈用液を供給することができる。供給配管50を流れる希釈用液の流量が調整部53により調整される。
【0085】
混合タンク230において供給配管50により供給された希釈用液と供給配管40により供給された原薬液とが混合される。希釈用液と原薬液とが混合された希釈薬液の濃度が濃度計94により計測される。濃度計94は、希釈薬液を基板処理部100に供給する混合配管90に設けられるので、基板処理に用いる希釈薬液の濃度をより正確に計測することができる。濃度計94により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量が制御部310により決定され、決定された補正量が調整部53に与えられる。
【0086】
この構成によれば、希釈用液の圧力が変動することに起因して希釈用液の流量が変動する場合でも、濃度計94により計測される濃度が設定値になるように決定された補正量に基づいて供給配管50を流れる希釈用液の流量が調整部53により補正される。これにより、混合タンク230において、高い精度で濃度が安定化された希釈薬液を生成することができる。
【0087】
原薬液は、薬液タンク210,220から供給配管40を通して混合タンク230に供給されるので、供給配管40を流れる原薬液の圧力の変動が抑制される。そのため、供給配管40を流れる原薬液の流量を容易に安定化することができる。これにより、高い精度で濃度が安定化された希釈薬液をより容易に生成することができる。薬液タンク210に貯留された原薬液と、薬液タンク220に貯留された原薬液とは、交互に混合タンク230に供給されるので、基板Wの処理を停滞させることなく混合タンク230に原薬液を供給することができる。
【0088】
また、上記の制御によれば、基板処理装置300の使用者は手作業で希釈用液および原薬液の流量を調整する等の保守作業を行う必要がない。したがって、上記の保守作業のために基板処理装置300の動作を停止させる必要がない。これにより、基板処理の効率を向上させることができる。
【0089】
(6)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、薬液生成部200は混合タンク230に交互に原薬液を供給するように構成された2個の薬液タンク210,220を含むが、実施の形態はこれに限定されない。薬液生成部200は、混合タンク230に交互に原薬液を供給するように構成された3個以上の薬液タンクを含んでもよい。あるいは、混合タンク230に十分な量の原薬液を供給可能である場合には、薬液生成部200は薬液タンクを1個のみ含んでもよい。また、薬液供給源301から供給される原薬液の圧力の変動が小さい場合には、薬液生成部200は薬液タンクを含まなくてもよい。
【0090】
(b)上記実施の形態において、薬液生成部200は、供給配管40を流れる原薬液の流量を調整する調整部45を含むが、実施の形態はこれに限定されない。供給配管40を流れる原薬液の流量が安定している場合には、薬液生成部200は調整部45を含まなくてもよい。
【0091】
(c)上記実施の形態において、薬液生成部200は混合配管60を含むが、実施の形態はこれに限定されない。薬液生成部200は、混合配管60を含まなくてもよい。この場合、供給配管50の下流端部および供給配管40の主管41の下流端部の各々は、混合タンク230に直接接続される。
【0092】
(d)上記実施の形態において、濃度計94は混合配管90に設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。濃度計94は、希釈薬液の濃度が計測可能である限り、薬液生成部200のいずれの部分に設けられてもよい。したがって、濃度計94は、混合配管60に介挿されてもよいし、混合タンク230内に配置されてもよい。
【0093】
(e)上記実施の形態において、薬液生成部200は希釈薬液として希フッ酸を生成するが、実施の形態はこれに限定されない。薬液生成部200は希リン酸等の他の希釈薬液を生成してもよい。
【0094】
(f)上記実施の形態において、基板処理部100は希釈薬液を用いた基板処理としてエッチングを行うが、実施の形態はこれに限定されない。基板処理部100は、希釈薬液を用いた他の基板処理(例えば基板洗浄)を行ってもよい。
【0095】
(7)実施例
実施例として、上記の実施の形態に係る薬液生成部200により希釈薬液として希フッ酸が生成された。一方、比較例として、調整部53による希釈用液の流量の補正が行われることなく希釈薬液として希フッ酸が生成された。また、実施例および比較例の各々において生成された希フッ酸の濃度が計測された。
【0096】
その結果、実施例においては、希フッ酸の濃度は5000±5ppmとなった。一方、比較例においては、希フッ酸の濃度は5000±10ppmとなった。これらの結果から、調整部53による希釈用液の流量の補正が行われることにより、高い精度で濃度が安定化された希フッ酸を生成することができることが確認された。
【0097】
さらに、実施例および比較例の各々において生成された希フッ酸を用いて基板Wのエッチングが行われた。その結果、実施例において生成された希フッ酸を用いた場合には、基板Wのエッチングの変動量が2Åとなった。一方、比較例において生成された希フッ酸を用いた場合には、基板Wのエッチングの変動量が5Åとなった。これらの結果、高い精度で濃度が安定化された希フッ酸を用いることにより、エッチングの変動量を60%改善することができることが確認された。
【0098】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
上記実施の形態においては、基板Wが基板の例であり、基板処理装置300が基板処理装置の例であり、供給配管50,40がそれぞれ第1および第2の配管の例である。混合配管60における主管61および枝管62が第3の配管の例であり、混合配管60における枝管63が第4の配管の例であり、混合配管90が第5の配管の例である。
【0099】
調整部53が第1の調整部または調整部の例であり、調整部45が第2の調整部の例であり、混合タンク230が混合タンクの例であり、濃度計94が濃度計の例であり、制御部310が制御部の例である。薬液タンク210が薬液タンクまたは第1の薬液タンクの例であり、薬液タンク220が薬液タンクまたは第2の薬液タンクの例であり、基板処理部100が基板処理部の例である。
(9)参考形態
(9-1)第1の参考形態に係る基板処理装置は、希釈された薬液を用いて基板に処理を行う基板処理装置であって、希釈用液を供給する第1の配管と、薬液を供給する第2の配管と、第1の配管を流れる希釈用液の流量を調整する第1の調整部と、第1の配管により供給された希釈用液と第2の配管により供給された薬液とを混合する混合タンクと、希釈用液と薬液との混合液中の薬液の濃度を計測する濃度計と、濃度計により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量を決定し、決定された補正量を第1の調整部に与える制御部とを備え、第1の調整部は、制御部により与えられた補正量に基づいて第1の配管を流れる希釈用液の流量を補正する。
この基板処理装置においては、第1の配管により希釈用液が供給され、第2の配管により薬液が供給される。第1の配管を流れる希釈用液の流量が第1の調整部により調整される。混合タンクにおいて第1の配管により供給された希釈用液と第2の配管により供給された薬液とが混合される。希釈用液と薬液とが混合された混合液中の薬液の濃度が濃度計により計測される。濃度計により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量が決定され、決定された補正量が第1の調整部に与えられる。
この構成によれば、希釈用液の圧力が変動することに起因して希釈用液の流量が変動する場合でも、濃度計により計測される濃度が設定値になるように決定された補正量に基づいて第1の配管を流れる希釈用液の流量が第1の調整部により補正される。これにより、混合タンクにおいて、混合液として高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
(9-2)基板処理装置は、薬液を貯留する薬液タンクをさらに備え、第2の配管は、薬液タンクに接続され、薬液タンクに貯留された薬液を混合タンクに供給してもよい。この場合、薬液が薬液タンクから第2の配管を通して混合タンクに供給されるので、第2の配管を流れる薬液の圧力の変動が抑制される。これにより、第2の配管を流れる薬液の流量を容易に安定化することができる。その結果、高い精度で濃度が安定化された薬液をより容易に生成することができる。
(9-3)薬液タンクは、第1の薬液タンクと第2の薬液タンクとを含み、第1の薬液タンクに貯留された薬液と、第2の薬液タンクに貯留された薬液とは、第2の配管により交互に混合タンクに供給されてもよい。この場合、基板の処理を停滞させることなく混合タンクに薬液を供給することができる。
(9-4)基板処理装置は、第1の配管により供給される希釈用液と第2の配管により供給される薬液とを混合しつつ混合タンクに導く第3の配管をさらに備えてもよい。この場合、第3の配管において混合液を効率よく生成することができる。
(9-5)基板処理装置は、第3の配管から分岐するように設けられ、第1の配管により供給された希釈用液と第2の配管により供給された薬液との混合液を混合タンクに導くことなく排出する第4の配管をさらに備えてもよい。この場合、希釈用液または薬液の流量が安定しない時点で第3の配管において生成された混合液を混合タンクに導くことなく排出することができる。これにより、混合タンクにおいて、より高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
(9-6)第1の調整部は電動調圧レギュレータであってもよい。この構成によれば、第1の配管を流れる希釈用液の流量が比較的大きい場合でも、容易に希釈用液の流量を調整することができる。
(9-7)基板処理装置は、第2の配管を流れる薬液の流量を調整する第2の調整部をさらに備えてもよい。この構成によれば、第2の配管を流れる薬液の流量を容易に安定化することができる。これにより、高い精度で濃度が安定化された薬液をより容易に生成することができる。
(9-8)第2の調整部は、モータニードル弁であってもよい。この構成によれば、第3の配管を流れる薬液の流量が比較的小さい場合でも、容易に薬液の流量を調整することができる。
(9-9)第1の配管の内径は第2の配管の内径よりも大きくてもよい。この場合、比較的大きい流量での希釈用液の供給と、比較的小さい流量での薬液の供給とを容易に行うことができる。
(9-10)薬液の濃度に対して第1のしきい値範囲が設定され、制御部は、濃度計により計測される濃度が第1のしきい値範囲外にある場合、希釈用液の流量の補正量を決定してもよい。この場合、高い精度で濃度が安定化された薬液を簡単な制御で生成することができる。
(9-11)薬液の濃度に対して第1のしきい値範囲を包含する第2のしきい値範囲が設定され、濃度計により計測される濃度が第2のしきい値範囲外にある場合、第1の配管による希釈用液の供給および第2の配管による薬液の供給が停止されてもよい。この場合、濃度が安定しない薬液が生成されることを抑制することができる。
(9-12)第1の配管は、基板処理装置が設置される工場において希釈用液を供給する設備に接続されてもよい。この場合、基板処理装置を大型化することなく大量の希釈用液を供給することができる。また、工場設備から供給される希釈用液の圧力が変動する場合でも、高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
(9-13)基板処理装置は、基板を処理する基板処理部と、混合タンクに貯留された混合液を基板処理部に供給する第5の配管をさらに備え、濃度計は、第5の配管を流れる混合液中の薬液の濃度を計測するように設けられてもよい。この場合、濃度計が混合液を基板処理部に供給する第5の配管に設けられるので、基板処理に用いる薬液の濃度をより正確に計測することができる。
(9-14)第2の参考形態に係る基板処理方法は、希釈された薬液を用いて基板に処理を行う基板処理方法であって、第1の配管により希釈用液を供給するステップと、第2の配管により薬液を供給するステップと、第1の配管を流れる希釈用液の流量を調整部により調整するステップと、混合タンクにおいて第1の配管により供給された希釈用液と第2の配管により供給された薬液とを混合するステップと、希釈用液と薬液との混合液中の薬液の濃度を濃度計により計測するステップと、濃度計により計測される濃度が設定値になるように希釈用液の流量の補正量を決定し、決定された補正量を調整部に与えるステップとを含み、希釈用液の流量を調整部により調整するステップは、与えられた補正量に基づいて第1の配管を流れる希釈用液の流量を調整部により補正することを含む。
この構成によれば、希釈用液の圧力が変動することに起因して希釈用液の流量が変動する場合でも、混合タンクにおいて、混合液として高い精度で濃度が安定化された薬液を生成することができる。
(9-15)薬液の濃度に対してしきい値範囲が設定され、補正量を決定することは、濃度計により計測される濃度がしきい値範囲外である状態が所定時間以上継続した場合に補正量を決定することを含んでもよい。この場合、高い精度で濃度が安定化された薬液を簡単な制御で生成することができる。
【符号の説明】
【0100】
10…処理ユニット,11…スピンチャック,12…薬液ノズル,13…カップ,20,40,50…供給配管,21,31,41,61,91…主管,22,23,32,33,42,43,62,63,92,93…枝管,24,97…フィルタ,25,26,34,35,51,64,65,71,81,98,99…バルブ,30,70…加圧配管,44,52…流量計,45,53…調整部,60,90…混合配管,80…排液配管,94…濃度計,95…ヒータ,96…ポンプ,100…基板処理,110…インデクサブロック,111…キャリア載置部,112,131,153…搬送室,113…キャリア,114,132,154…搬送機構,120…第1の処理ブロック,121,122,141,142,151,152…処理室,123,143…受渡部,130…搬送ブロック,140…第2の処理ブロック,150…第3の処理ブロック,200…薬液生成部,210,220…薬液タンク,230…混合タンク,231~234…液面センサ,240…廃液タンク,300…基板処理装置,301…薬液供給源,302…希釈用液供給源,303,304…窒素ガス供給源,310…制御部,311…濃度取得部,312…フラグ切替部,313…液面取得部,314…流量決定部,315…薬液生成部,316…ドレイン実行部,317…薬液補充部,W…基板
図1
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図6