(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】物品検出方法、ピッキング方法、物品検出装置およびピッキング装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20230418BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B65G47/91 B
(21)【出願番号】P 2019117525
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】八軒 弘和
(72)【発明者】
【氏名】大本 真護
(72)【発明者】
【氏名】木下 正稔
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-256230(JP,A)
【文献】特開平10-27250(JP,A)
【文献】特開昭51-46284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65G 47/91
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の傾斜面を有する切妻屋根部が設けられた物品を検出する物品検出方法であって、
距離画像取得部によって前記物品の前記切妻屋根部を含む距離画像を取得する距離画像取得ステップと、
取得された距離画像に含まれる前記物品の前記切妻屋根部を抽出する抽出ステップと、
抽出された前記切妻屋根部から一対の前記傾斜面を検出する検出ステップと、
検出された一対の前記傾斜面から前記切妻屋根部の頂部側の位置および姿勢を特定する特定ステップと
を具備することを特徴とする物品検出方法。
【請求項2】
前記検出ステップでは、方位方向が等分割された複数の探索方向のそれぞれに対応する面範囲を前記切妻屋根部の面から導出した法線に基づいて認識し、それぞれの前記面範囲を比較して一対の前記傾斜面を検出し、
前記特定ステップでは、検出した一対の前記傾斜面が前記探索方向に対応した方位に位置することを特定する
ことを特徴とする請求項1記載の物品検出方法。
【請求項3】
前記物品の前記切妻屋根部は、一対の前記傾斜面の頂部側から突出する突片部を有し、
前記特定ステップでは、検出された一対の前記傾斜面から前記突片部の位置および姿勢を特定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の物品検出方法。
【請求項4】
請求項1または2記載の物品検出方法によって検出された前記物品の前記切妻屋根部の頂部側の位置および姿勢を含む物品検出情報を取得する物品検出情報取得ステップと、
取得された物品検出情報に基づき、移載機のハンド装置によって前記物品の前記切妻屋根部を把持する把持ステップと、
前記移載機により前記ハンド装置で把持した前記物品を移載する移載ステップと
を具備することを特徴とするピッキング方法。
【請求項5】
請求項3記載の物品検出方法によって検出された前記物品の前記切妻屋根部の前記突片部の位置および姿勢を含む物品検出情報を取得する物品検出情報取得ステップと、
取得された物品検出情報に基づき、移載機のハンド装置によって前記物品の前記突片部を把持する把持ステップと、
前記移載機により前記ハンド装置で把持した前記物品を移載する移載ステップと
を具備することを特徴とするピッキング方法。
【請求項6】
前記ハンド装置に配置されたカメラで撮影される前記突片部の撮影画像を取得する撮影画像取得ステップと、
取得された前記突片部の撮影画像から前記突片部の印字を確認する確認ステップとを具備し、
前記把持ステップでは、前記突片部の印字が確認された場合に前記ハンド装置で前記突片部を把持する
ことを特徴とする請求項5記載のピッキング方法。
【請求項7】
前記把持ステップでは、前記ハンド装置の把持方向と前記物品の前記切妻屋根部の姿勢とに差異がある場合、前記ハンド装置が前記物品の前記切妻屋根部を把持する過程で前記切妻屋根部に接触して前記物品を回動させ、前記ハンド装置の把持方向と前記物品の前記切妻屋根部の姿勢とを一致させる
ことを特徴とする請求項4ないし6いずれか一記載のピッキング方法。
【請求項8】
対向する一対の傾斜面を有する切妻屋根部が設けられた物品を検出する物品検出装置であって、
前記物品の前記切妻屋根部を含む距離画像を取得する距離画像取得部と、
前記距離画像取得部で取得された距離画像に含まれる前記物品の前記切妻屋根部を抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出された前記切妻屋根部から一対の前記傾斜面を検出する検出部と、
前記検出部で検出された一対の前記傾斜面から前記切妻屋根部の頂部側の位置および姿勢を特定する特定部と
を具備することを特徴とする物品検出装置。
【請求項9】
前記検出部は、方位方向が等分割された複数の探索方向のそれぞれに対応する面範囲を前記切妻屋根部の面から導出した法線に基づいて認識し、それぞれの前記面範囲を比較して一対の前記傾斜面を検出し、
前記特定部では、検出した一対の前記傾斜面が前記探索方向に対応した方位に位置すること特定する
ことを特徴とする請求項8記載の物品検出装置。
【請求項10】
前記物品の前記切妻屋根部は、一対の前記傾斜面の頂部側から突出する突片部を有し、
前記特定部は、前記検出部で検出された一対の前記傾斜面から前記突片部の位置および姿勢を特定する
ことを特徴とする請求項8または9記載の物品検出装置。
【請求項11】
請求項8または9記載の物品検出装置と、
ハンド装置を有し、前記物品検出装置で検出された前記物品の前記切妻屋根部の頂部側の位置および姿勢を含む物品検出情報を取得し、この物品検出情報に基づいて前記ハンド装置によって前記切妻屋根部を把持する移載機と
を具備することを特徴とするピッキング装置。
【請求項12】
請求項10記載の物品検出装置と、
ハンド装置を有し、前記物品検出装置で検出された前記物品の前記切妻屋根部の前記突片部の位置および姿勢を含む物品検出情報を取得し、この物品検出情報に基づいて前記ハンド装置によって前記突片部を把持する移載機と
を具備することを特徴とするピッキング装置。
【請求項13】
前記ハンド装置に配置され、前記物品の前記突片部を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された前記突片部の撮影画像を取得し、前記突片部の撮影画像から前記突片部の印字を確認する確認部とを具備し、
前記ハンド装置は、前記確認部で前記突片部の印字が確認された場合に前記突片部を把持する
ことを特徴とする請求項12記載のピッキング装置。
【請求項14】
前記ハンド装置は、把持した前記物品を前記移載機で移動させる移動方向に対して前記物品の後側の側面を保持する保持部を有する
ことを特徴とする請求項11ないし13いずれか一記載のピッキング装置。
【請求項15】
前記ハンド装置は、把持した前記突片部と平行な前記物品の側面を保持する保持部を有する
ことを特徴とする請求項12または13記載のピッキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向する一対の傾斜面を有する切妻屋根部が設けられた物品を検出する物品検出方法、この物品検出方法によって検出された物品をピッキングするピッキング方法、対向する一対の傾斜面を有する切妻屋根部を有する物品を検出する物品検出装置、およびこの物品検出装置によって検出された物品をピッキングするピッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対向する一対の傾斜面を有する切妻屋根部が設けられた例えば飲料パック等の物品を移載する移載装置が知られている。
【0003】
この移載装置では、一定の位置および姿勢に配置された物品の切妻屋根部をハンド装置で把持し、移載するものであり、物品の位置および姿勢が不規則である場合の使用は想定されていない。
【0004】
また、三次元測定機を用いて不規則に配置されている物品の位置および姿勢を特定し、特定された物品をハンド装置で取り出す取出装置が知られている。この取出装置では、三次元測定機によって物品の上面の位置および姿勢を検出し、特定することにより、ハンド装置による物品の取り出しを可能としている。しかし、この取出装置は、物品の表面を検出することにより、検出した物品の表面をハンド装置で保持するものであり、切妻屋根部を有する形状の物品に置き換えた場合、切妻屋根部の片側の傾斜面を検出したとしても、ハンド装置で把持するための切妻屋根部の頂部側の位置および姿勢を精度よく特定することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-285183号公報
【文献】特許第5670397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そして、上記のようなことから、切妻屋根部を有する物品の配置が不規則である場合にも対応可能なように、物品の切妻屋根部の位置および姿勢を精度よく検出できることが望まれる。
【0007】
本発明は、物品の切妻屋根部の位置および姿勢を精度よく検出できる物品検出方法、ピッキング方法、物品検出装置およびピッキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、対向する一対の傾斜面を有する切妻屋根部が設けられた物品を検出する物品検出方法であって、距離画像取得部によって前記物品の前記切妻屋根部を含む距離画像を取得する距離画像取得ステップと、取得された距離画像に含まれる前記物品の前記切妻屋根部を抽出する抽出ステップと、抽出された前記切妻屋根部から一対の前記傾斜面を検出する検出ステップと、検出された一対の前記傾斜面から前記切妻屋根部の頂部側の位置および姿勢を特定する特定ステップとを具備するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品の切妻屋根部の位置および姿勢を精度よく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態を示すピッキング装置の斜視図である。
【
図2】同上ピッキング装置によるピッキング対象物である物品の斜視図である。
【
図3】同上物品を収納したクレートの斜視図である。
【
図4】同上ピッキング装置が備える移載機のハンド装置の側面図である。
【
図6】同上ハンド装置が備えるカメラによる物品の印字確認時の側面図である。
【
図8】同上ピッキング装置のピッキング処理のフローチャートである。
【
図9】同上ピッキング装置の物品検出装置による物品検出処理のフローチャートである。
【
図10】同上物品検出装置が備える距離画像取得部によって取得して画像処理装置にて画像処理した距離画像を(a)~(e)に示す説明図である。
【
図11】同上物品が有する切妻屋根部の一対の傾斜面を検出する検出処理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1にピッキング装置10を示す。このピッキング装置10は、検出対象物またはピッキング対象物である物品11を、この物品11を収納するクレート12内から1つずつ取り出すものである。
【0013】
そして、
図2に示すように、物品11は、例えば、牛乳等の飲料を収容した縦長の飲料パックである。物品11は、ゲーブルトップ型の容器13を備え、この容器13内に飲料が収容されている。
【0014】
容器13は、例えば、加熱溶融性の樹脂でコーティングされた紙材によって形成されている。容器13は、縦長で有底四角形筒状の胴部14、およびこの胴部14の上部に設けられた山形の切妻屋根部15を備えている。切妻屋根部15は、胴部14の一方の対向する側面の上部から傾斜状に折曲された対向する一対の傾斜面16、胴部14の他方の対向する側面の上部から傾斜状に折曲されるとともに一対の傾斜面16の内側に折り込まれた一対の折込み部17、および一対の傾斜面16の頂部側から上方に折曲されて突出する突片部であるトップシール部18を備えている。
【0015】
トップシール部18は、一対の傾斜面16と同一幅に形成され、一対の傾斜面16の上部および一対の折込み部17の上部を一体に封止している。トップシール部18の一側面には、賞味期限の日付やロット番号等の文字が印字されている。
【0016】
なお、物品11は、容器13の一方の傾斜面16にキャップ型注ぎ口を有するものでもよい。また、物品11は、上述した容器13の構成を備えていれば、飲料以外の内容物を収容しているものでもよい。
【0017】
また、
図3に示すように、クレート12は、上面開口を有する箱体であり、切妻屋根部15を上方に向けて垂直に立てた状態の物品11を複数収納可能とするとともに、上面開口から物品11を出し入れ可能とする。クレート12は、上面視が長方形で、長手方向と短手方向を有している。
図3に示す物品収納状態では、クレート12の長手方向と平行にトップシール部18が配置されるように複数の物品11が同じ向きとなる姿勢(回転姿勢)で整列状態に収納されている例を示す。なお、トップシール部18の向きが90°異なる姿勢の物品11が混在して収納されていてもよい。さらに、クレート12内の物品11の収納数が最大収納数よりも少なく、クレート12内に空間がある場合等には、クレート12の搬送時の振動等によって物品11の整列が乱れ、クレート12内の物品11の位置および姿勢が不規則になることもある。
【0018】
次に、
図1に示すように、ピッキング装置10は、クレート12を搬送する搬送装置21、この搬送装置21にて搬送されたクレート12内の物品11を検出する物品検出装置22、この物品検出装置22で検出された物品11を1つずつ移載する移載機23、およびこの移載機23によって物品11が移載される移載部24を備えている。
【0019】
そして、搬送装置21は、第1の供給コンベヤ27、第2の供給コンベヤ28、これら第1の供給コンベヤ27と第2の供給コンベヤ28との間に配置される排出コンベヤ29、および第1の供給コンベヤ27と第2の供給コンベヤ28と排出コンベヤ29とに亘ってそれらの端部側に配置される横搬送コンベヤ30を備えている。
【0020】
供給コンベヤ27,28は、横搬送コンベヤ30へ向けた供給搬送方向F1にクレート12を搬送する。供給コンベヤ27,28には、複数のクレート12を順次受け入れて貯留するとともに下流側のクレート12から順に横搬送コンベヤ30に送り出すアキューム機能を有するアキュームコンベヤが用いられている。供給コンベヤ27,28は、供給搬送方向F1に沿って配置された複数のローラ27a,28aを有し、所定の搬送領域のローラ27a,28a毎に独立して回転駆動される。ローラ27a,28aには、例えばモータを内蔵したモータローラ等が用いられている。
【0021】
排出コンベヤ29は、横搬送コンベヤ30から送り出されるクレート12を排出搬送方向F2に搬送する。排出コンベヤ29は、排出搬送方向F2に沿って配置された複数のローラ29aを有している。排出コンベヤ29は、例えば、ローラ29aは回転自在とするフリーローラとし、排出コンベヤ29が横搬送コンベヤ30から反対側へ向けて下降傾斜するように設置されることにより、複数のフリーローラ上に送り込まれたクレート12が自重によって排出搬送方向F2に移動するように構成してもよい。あるいは、複数のローラ29aが回転駆動されることにより、グレート12を排出搬送方向F2に搬送するように構成してもよい。
【0022】
横搬送コンベヤ30上であって、第1の供給コンベヤ27および第2の供給コンベヤ28に対向する位置は、第1の供給コンベヤ27および第2の供給コンベヤ28から送り込まれるクレート12を受け入れる受入位置であるとともにそのクレート12内の物品11をピッキングするピッキング位置である第1のステーション31および第2のステーション32として構成されている。また、横搬送コンベヤ30上であって、排出コンベヤ29に対向する位置は、ピッキング処理の完了したクレート12を排出コンベヤ29に送り出す送出位置33として構成されている。
【0023】
横搬送コンベヤ30は、供給搬送方向F1および排出搬送方向F2と直交する方向に沿って配置された複数のローラ30aを有している。ローラ30aは、両側の各ステーション31,32から中央の送出位置33にクレート12を搬送するように回転駆動される。ローラ30aには、例えばモータを内蔵したモータローラが用いられている。また、横搬送コンベヤ30は、供給コンベヤ27,28から送り込まれるクレート12をステーション31,32に搬送するための図示しない搬送機構、および送出位置33から排出コンベヤ29にクレート12を送り出すための図示しない搬送機構を備えている。これら搬送機構は、ローラ30a間を通じてローラ30a上に出没可能とする回転ベルトを有し、この回転ベルトがローラ30a上に突出した位置でクレート12を支持して搬送し、回転ベルトがローラ30a上から下降した位置でローラ30aによるクレート12の搬送を可能としている。
【0024】
なお、搬送装置21の各コンベヤ27~30は、ローラ式に限らず、ベルト式でもよい。また、供給コンベヤ27,28は1つだけでもよく、横搬送コンベヤ30のステーション31,32も1箇所だけでもよい。
【0025】
また、物品検出装置22は、ステーション31,32に配置されたクレート12内の物品11の切妻屋根部15を含む距離画像を取得する距離画像取得部36、およびこの距離画像取得部36を第1のステーション31に配置されたクレート12内の物品11を検出する第1の検出位置と第2のステーション32に配置されたクレート12内の物品11を検出する第2の検出位置とに移動させる移動機構37を備えている。
【0026】
距離画像取得部36は、三次元センサ(3Dセンサ)あるいは三次元カメラ(3Dカメラ)であり、例えば、ランダムドットパターンの検査光を投影した検出対象物を2つのカメラで違う角度から撮影し、三角測量に基づいて、検出対象物であるクレート12内の物品11の切妻屋根部15を含む距離画像を取得する。
【0027】
移動機構37は、搬送装置21の側部に立設されたフレーム38に設けられている。フレーム38は、搬送装置21上のクレート12が通過可能とする上方位置で横搬送コンベヤ30と平行に配設された水平フレーム部39を有している。移動機構37は、水平フレーム部39に設けられており、距離画像取得部36を支持し、この距離画像取得部36を水平フレーム部39に沿って第1の検出位置と第2の検出位置とに移動させる。移動機構37には、例えば電動シリンダ等が用いられている。
【0028】
そして、移動機構37に支持された距離画像取得部36は、移載機23との干渉を防止するために、ステーション31,32に配置されたクレート12の上方域に対して斜め上方域に配置され、その斜め上方域からステーション31,32に配置されたクレート12内の物品11の切妻屋根部15を含む距離画像を取得する。
【0029】
なお、距離画像取得部36は、第1の検出位置と第2の検出位置とにそれぞれ設けてもよく、この場合には、移動機構37は設けなくてよい。また、ステーション31,32が1箇所の場合にも、移動機構37は設けなくてよい。
【0030】
また、移載機23は、移載機本体であるロボット43、およびこのロボット43に装着されたハンド装置44(
図4および
図5に示す)を備えている。
【0031】
ロボット43は、基台45、およびこの基台45に旋回可能に設けられた多関節形のロボットアーム47を有し、このロボットアーム47の先端にハンド装置44が装着されている。ロボット43は、横搬送コンベヤ30の側部で、第1のステーション31と第2のステーション32との間の中間位置に設置されている。
【0032】
図4および
図5に示すように、ハンド装置44は、ロボットアーム47の先端に取り付けられるベース49、このベース49の下面側に設けられたチャック機構50、保持部51およびカメラ52を備えている。
【0033】
チャック機構50は、一対のチャック54、および一対のチャック54を開閉させる開閉動作部55を有している。一対のチャック54は、物品11のトップシール部18を把持可能とする。開閉動作部55は、ベース49の下面に取り付けられ、例えばエア圧によって一対のチャック54を開閉させる。
【0034】
保持部51は、吸着パッド57、この吸着パッド57が先端側に取り付けられた保持アーム58、およびベース49に対して保持アーム58の基端側を回動可能に支持するロータリーアクチュエータ59を有している。保持アーム58は、ロータリーアクチュエータ59により、保持アーム58が上方に回動してベース49の下面と略平行な略水平状態となる退避位置と、保持アーム58が下方に回動してベース49の下面と略垂直な略垂直状態で一対のチャック54で把持された物品11の側面を吸着パッド57で吸着する保持位置との間で回動可能とする。
図5に示すように、吸着パッド57はハンド装置44の中心線上に配置されているが、保持アーム58はカメラ52と干渉しないようにハンド装置44の中心線上からオフセットした位置に配置されている。
【0035】
図6に示すように、カメラ52は、チャック54の下方を撮影するために、撮影軸sがチャック54の下方域へ向くように、ベース49に斜めに取り付けられている。カメラ52は、物品11のトップシール部18の印字の確認のために用いられるもので、一対のチャック54がクレート12内の物品11のトップシール部18よりも上方に位置する状態で撮影軸sが物品11のトップシール部18に略一致し、トップシール部18を撮影可能とする。
図5に示すように、カメラ52(撮影軸s)は、ハンド装置44の中心線上に配置されている。
【0036】
また、移載部24は、移載機23によって物品11が移載される移載台62を有している。この移載台62は、ハンド装置44が載置する物品11の底面を支える台部63と、物品11の一側面を支える支え部64とを有する略L字形に設けられている。移載台62は、これら台部63および支え部64で物品11を支えながら物品11の向きを縦向きから横向きとなるように、図示しない反転機構によって回動可能とする。なお、
図1には、移載台62の回動途中の状態であって、物品11が縦向きから横向きに変換する途中の状態を示す。
【0037】
移載台62で横向きとなった物品11は、図示しない送出機構によって移載台62から物品搬送コンベヤ65に送り出され、この物品搬送コンベヤ65によって搬送される。
【0038】
なお、移載部24は、移載台62に限らず、コンベヤや別の収納容器等でもよい。
【0039】
次に、
図7にピッキング装置10のブロック図を示す。
【0040】
ピッキング装置10は、距離画像取得部36からの距離画像およびカメラ52からの撮影画像を取得して処理する画像処理装置70、ロボット43およびハンド装置44を含む移載機23を制御する移載制御装置71、搬送装置21等(移載部24の反転機構および物品搬送コンベヤ65等を含む)を制御する搬送制御装置72等を備えている。
【0041】
画像処理装置70は、距離画像取得部36で取得された距離画像に含まれる物品11の切妻屋根部15を抽出する抽出部74と、この抽出部74で抽出された切妻屋根部15から一対の傾斜面16を検出する検出部75と、この検出部75で検出された一対の傾斜面16から切妻屋根部15の頂部側であるトップシール部18の位置および姿勢(回転姿勢)を特定する特定部76と、カメラ52で撮影されたトップシール部18の撮影画像を取得し、トップシール部18の撮影画像からトップシール部18の印字を確認する確認部77等の画像処理機能を備えている。
【0042】
さらに、検出部75は、方位方向が等分割された複数の探索方向のそれぞれに対応する面範囲を切妻屋根部15の面から導出した法線に基づいて認識し、それぞれの面範囲を比較して一対の傾斜面16を検出する。
【0043】
特定部76では、検出部75によって検出した一対の傾斜面16が探索方向に対応した方位に位置すること特定する。
【0044】
そして、画像処理装置70は、距離画像取得部36とともに、対向する一対の傾斜面16を有する切妻屋根部15が設けられた物品11を検出する物品検出装置22を構成している。
【0045】
また、移載制御装置71は、物品検出装置22で検出された物品11の切妻屋根部15のトップシール部18の位置および姿勢を含む物品検出情報を画像処理装置70から取得し、この物品検出情報に基づいてハンド装置44によるトップシール部18の把持を含む移載機23の動作を制御する。
【0046】
次に、ピッキング装置10によるピッキング処理について、
図8および
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
例えば第1のステーション31に供給されたクレート12が在荷することが確認されると(ステップS1)、まず、物品検出装置22による物品検出処理を開始する(ステップS2)。
【0048】
このとき、距離画像取得部36は、第1のステーション31に対応した第1の検出位置に位置する。距離画像取得部36が第2の検出位置に位置している場合には、移動機構37によって距離画像取得部36を第1の検出位置に移動させる。
【0049】
そして、物品検出装置22による物品検出処理を開始すると、距離画像取得部36によって第1のステーション31に配置されたクレート12およびクレート12内の物品11の切妻屋根部15を含む距離画像を取得する(ステップS21)。
【0050】
画像処理装置70は、距離画像取得部36から距離画像を取得して画像処理を開始する。
図10(a)に距離画像取得部36によって取得された距離画像の例を示す。なお、
図10には、クレート12内に、物品11の位置および姿勢が不規則となる状態で収納されている例を示す。
【0051】
画像処理装置70は、取得した距離画像から、クレート12内のみの高さ画像を検出し(ステップS22)、クレート12は空か確認する(ステップS23)。
【0052】
仮にクレート12内に物品11が存在せずに空であることが確認されると(ステップS23のYES)、次のクレート12からのピッキング処理に移行する(ステップS24)。例えば、第2のステーション32に供給されたクレート12からのピッキング処理に移行する。この第2のステーション32に供給されたクレート12からのピッキング処理時には、移動機構37によって距離画像取得部36が第2のステーション32に対応した第2の検出位置に移動する。また、第1のステーション31の空のクレート12は、横搬送コンベヤ30によって第1のステーション31から送出位置33に搬送され、送出位置33から排出コンベヤ29に送り出されて排出される。なお、一旦、第1のステーション31から空のクレート12を排出し、その後に、第1のステーション31に続けて供給されるクレート12からのピッキング処理を続けて行ってもよい。
【0053】
画像処理装置70(抽出部74)は、クレート12内の物品11の存在が確認されると(ステップS23のNO)、距離画像から、クレート12内の物品11の上部である切妻屋根部15の領域を抽出する(ステップS25)。この抽出処理では、距離画像から、クレート12の枠部分aを抽出するとともに(
図10(b)参照)、クレート12の内壁部分bを抽出することにより(
図10(c)参照)、クレート12と物品11とを切り離し、物品11の切妻屋根部15の領域cを抽出する(
図10(d)参照)。クレート12内に複数の物品11が収納されている場合には、各物品11の切妻屋根部15の領域cを個々に抽出する。なお、クレート12の内壁部分bを抽出する処理は、クレート12内の物品11の位置によっては実行しなくてもよい。
【0054】
画像処理装置70(検出部75)は、抽出された1つの物品11について、物品11の上部である切妻屋根部15から一対の傾斜面16を検出する(
図10(e)参照)。この検出処理では、物品11の切妻屋根部15の面における距離画像の点群から、法線ベクトルを導出する。そして、
図11に示すように、方位方向が等分割された複数の探索方向のそれぞれに対応する面範囲を切妻屋根部15の面から導出した法線ベクトルに基づいて認識し(ステップS26)、それぞれの面範囲を比較して一対の傾斜面16を検出する(ステップS27)。なお、
図11には1つの法線ベクトルvのみを示すが、実際には距離画像の点群に対応した複数の法線ベクトルvが含まれる。
【0055】
図11に示す例では、方位方向が例えば45°毎に等分割された8方向を探索方向1~8とした場合、各探索方向1~8を中心とした所定領域が探索方向1~8の領域w1~w8である。例えば、探索方向2の領域w2は、1.5(探索方向1と探索方向2との中間位置)≦探索方向2<2.5(探索方向2と探索方向3との中間位置)の領域である。そして、各探索方向1~8の領域w1~w8毎に含まれる法線ベクトルvを抽出することで、法線ベクトルvに基づいて認識される(法線ベクトルvまたは法線ベクトルvに対応する点群に基づいて認識される)探索方向1~8毎の面範囲を認識し、それぞれの面範囲を比較することによって一対の傾斜面16を検出する。そして、画像処理装置70(特定部76)は、検出された一対の傾斜面16が探索方向に対応した方位に位置することを特定する。
【0056】
また、一対の傾斜面16の検出方法としては、このような範囲で探索する場合の他に、代表法線ベクトルと一致する法線ベクトルを探索してもよい。
【0057】
この場合、方位方向を等分割した探索方向に対応する領域毎に代表する法線ベクトルである代表法線ベクトルを定義し、距離画像から各代表法線ベクトルに対応する(一致または近似する)法線ベクトルを抽出する。なお、代表法線ベクトルは、複数の法線ベクトルの候補から選択されてもよいし、利用者によって明示的に指定されてもよく、探索方向と一致させてもよい。
【0058】
続いて、抽出された法線ベクトルに対応する点群を取得し、取得された点群の領域から面範囲を認識する。なお、各面範囲は、各探索方向に対応した方位に傾斜面16が位置すると推定され、実際の物品11の傾斜面16は各代表法線ベクトルを中心とした内(例えば探索方向6の代表法線ベクトルに対応する面範囲であれば領域w6内)の方位に向いていることになる。
【0059】
続いて、各面範囲を比較して、一対の傾斜面16として認識する第1傾斜面範囲と第2傾斜面範囲を検出する。第1傾斜面範囲と第2傾斜面範囲の検出手法としては、例えば、最も広い面範囲を第1傾斜面範囲とし、その反対位置にある面範囲を第2傾斜面範囲と判定することで一対の傾斜面16を認識してもよい。
【0060】
なお、探索方向の領域は、画像処理装置70によって一対の傾斜面16を検出する処理速度を向上させるためには少ない方が好ましいが、少な過ぎる場合には一対のチャック54の把持方向と物品11のトップシール部18の姿勢(回転姿勢)との差異が大きくなることもあるので、例えば6方向から10方向程度が好ましく、8方向程度がより好ましい。
【0061】
画像処理装置70は、検出された一対の傾斜面16に対して、領域の設定を行うとともに、領域の中心座標と回転角度を検出する(ステップS28)。
【0062】
画像処理装置70(特定部76)は、領域設定された一対の傾斜面16から、一対の傾斜面16を合成し、切妻屋根部15の頂部側であるトップシール部18の位置および姿勢を特定する。すなわち、領域設定された一対の傾斜面16から、一対の傾斜面16を合成し、切妻屋根部15の頂部側であるトップシール部18を特定し(ステップS29)、さらに、特定したトップシール部18の中心の三次元座標系での水平値であるX値およびY値と垂直値であるZ値(領域の中心座標の高さを使用する)を特定する(ステップS30)。さらに、検出された一対の傾斜面16の回転角度から、三次元座標系でのトップシール部18の姿勢である回転値を特定する(ステップS31)。
【0063】
なお、Z値に関しては、領域(傾斜面16)の中心座標の高さを使用するが、チャック54によってトップシール部18を把持する際に、トップシール部18の頂点との差異を補正する補正値を加えることにより、チャック54によるトップシール部18の把持精度を高める。また、トップシール部18の特定は、トップシール部18の薄さから、トップシール部18自体を距離画像から直接検出することは難しいため、一対の傾斜面16から切妻屋根部15の頂部側の辺を特定することにより、トップシール部18の位置および姿勢を推定することができる。
【0064】
このように、物品検出処理では、物品11のトップシール部18の位置および姿勢を検出する。
【0065】
そして、物品検出処理により、物品11のトップシール部18の位置および姿勢を検出すると(ステップS3のYES)、移載制御装置71は、物品検出処理にて検出された物品11のトップシール部18の位置および姿勢に基づいて移載機23を制御し、
図6に示すように、ハンド装置44のチャック機構50をピッキング対象の物品11を把持する把持位置の上方に移動させるとともに、カメラ52でピッキング対象の物品11のトップシール部18の一側面を撮影する撮影位置に移動させる(ステップS4)。ピッキング対象の物品11を把持する把持位置の上方に移動するチャック機構50は、一対のチャック54の互いの把持面が物品11のトップシール部18の両側面と略平行となり、開放状態にある一対のチャック54の間がトップシール部18の上方に位置する。
【0066】
撮影位置に移動したカメラ52は、ピッキング対象の物品11のトップシール部18の一側面を撮影する。
【0067】
画像処理装置70は、カメラ52からの撮影画像を取得し、トップシール部18の一側面に日付等の印字があるか確認する(ステップS5)。トップシール部18の一側面とは反対の他側面に印字があるために、トップシール部18の一側面に印字が確認されない場合には(ステップS5のNO)、チャック機構50を中心としてハンド装置44を水平方向に180°回転させ(ステップS6)、ピッキング対象の物品11のトップシール部18の他側面を撮影する位置にカメラ52を位置させ、画像処理装置70にて、カメラ52の撮影画像から印字を確認する。
【0068】
トップシール部18の一側面または他側面に印字が確認されると(ステップS5のYES)、移載機23によるピッキング処理を開始する(ステップS7)。ピッキング処理では、
図4に示すように、カメラ52によって印字を確認した状態からハンド装置44を下降させ、チャック機構50を把持位置に移動させる。把持位置に移動したチャック機構50は、一対のチャック54がピッキング対象の物品11のトップシール部18の両側に位置し、一対のチャック54によってトップシール部18を把持する。
【0069】
一対のチャック54によってトップシール部18を把持する際、一対のチャック54の把持方向と物品11のトップシール部18の姿勢とに差異があっても、一対のチャック54が物品11のトップシール部18を把持する過程でトップシール部18に接触して物品11を回動させつつ、一対のチャック54の把持方向と物品11のトップシール部18の姿勢とが一致し、一対のチャック54で物品11のトップシール部18を確実に把持する。
【0070】
一対のチャック54によってトップシール部18を把持したハンド装置44を上昇させ、物品11をクレート12の上方域まで垂直に移動させた後、物品11を移載部24へ向けて水平方向に移動させる。さらに、物品11をクレート12の上方域まで移動させた後、保持部51の保持アーム58が下方に回動し、吸着パッド57が物品11の側面に接触して吸着保持する。移載機23は、物品11の印字が確認された側面を移載部24へ向けた移動方向の後側として移動させるとともに、この物品11の移動方向の後側の側面を保持部51で保持し、物品11が把持されているトップシール部18を支点として移動方向の前後に振れるのを抑制する。
【0071】
移載機23は、物品11を移載台62の台部63上に移動させ、一対のチャック54を開放して物品11を移載台62に移載する。移載台62に移載された物品11は、移載台62の回動により物品11を縦向きから横向きに変換し、移載台62から物品搬送コンベヤ65に送り出して搬送する。物品搬送コンベヤ65で搬送する横向き状態の物品11はトップシール部18の印字が上向きとなり、上方からの印字の確認が可能となる。
【0072】
1つの物品11のピッキング処理を完了したら、ステップS1に戻り、クレート12内の次の物品11の処理に移行する。
【0073】
また、ピッキング処理によってクレート12内が空となってピッキング処理が完了した場合、あるいはクレート12内からの所定数の物品11のピッキング処理が完了した場合等には、次のクレート12からの物品11のピッキング処理に移行する。
【0074】
例えば、第2のステーション32に供給されるクレート12からの物品11のピッキング処理に移行する場合には、移動機構37によって距離画像取得部36を第2の検出位置に移動させる。第1のステーション31のクレート12からの物品11のピッキング処理と並行して、第2のステーション32にクレート12を供給できるため、距離画像取得部36が第2の検出位置に移動すれば、第2のステーション32に供給されるクレート12からの物品11のピッキング処理に直ぐに移行できる。一方、ピッキング処理を完了したクレート12は、横搬送コンベヤ30によって第1のステーション31から送出位置33に搬送され、送出位置33から排出コンベヤ29に送り出されて排出される。
【0075】
したがって、第1のステーション31に供給するクレート12からの物品11のピッキング処理と第2のステーション32に供給するクレート12からの物品11のピッキング処理とを交互に行うことにより、ピッキング処理の完了したクレート12の排出や、ピッキング処理を行うクレート12の供給を待つことなく、ピッキング装置10としてピッキング処理を効率的に行うことができる。
【0076】
また、ステップS3において、例えばクレート12内が空となった場合や物品11の検出不良が生じた場合等で、物品検出処理にて物品11の位置および姿勢が検出されなかった場合(ステップS3のNO)、物品検出処理を行ったクレート12からのピッキング処理を終了し、次のクレート12からのピッキング処理に移行する(ステップS8)。ピッキング処理が終了となったクレート12は、横搬送コンベヤ30によって第1のステーション31または第2のステーション32から送出位置33に搬送され、送出位置33から排出コンベヤ29に送り出して排出される。次のクレート12からのピッキング処理は、一方の第1のステーション31のクレート12からのピッキング処理を終了した場合、他方の第2のステーション31に供給されるクレート12からのピッキング処理に移行してもよいし、第1のステーション31からピッキング処理が終了となったクレート12を排出した後に第1のステーション31に続けて供給される次のクレート12からのピッキング処理に移行してもよい。
【0077】
そして、本実施の形態の物品検出方法および物品検出装置22によれば、距離画像取得部36によって物品11の切妻屋根部15を含む距離画像を取得し、取得された距離画像に含まれる物品11の切妻屋根部15を抽出し、抽出された切妻屋根部15から一対の傾斜面16を検出することにより、検出された一対の傾斜面16から切妻屋根部15の頂部側のトップシール部18の位置および姿勢を特定することができるため、例えば片側の傾斜面16を検出してトップシール部18の位置および姿勢を特定するのに比べて、トップシール部18の位置および姿勢を精度よく検出することができる。
【0078】
しかも、一対の傾斜面16を検出する際、方位方向が等分割された複数の探索方向のそれぞれに対応する面範囲を切妻屋根部15の面から導出した法線に基づいて認識し、それぞれの面範囲を比較して一対の傾斜面16を検出するため、抽出された切妻屋根部15の面について詳細な方向を算出したうえで対応関係を判定するよりも、一対の傾斜面16を検出する処理速度を向上させることができる。
【0079】
また、ピッキング方法およびピッキング装置10によれば、上述した物品検出方法および物品検出装置22を用いるため、物品11の位置および姿勢が不規則であったとしても、精度よく特定された物品11のトップシール部18の位置および姿勢に基づいて、移載機23のハンド装置44で物品11のトップシール部18を把持し、移載することができる。
【0080】
さらに、カメラ52によって物品11のトップシール部18の印字を確認するため、印字が確認されることにより、推定されたトップシール部18の存在を確定でき、物品11のピッキング処理に確実に移行できるとともに、印字方向を考慮した把持姿勢を決定することができる。
【0081】
また、ハンド装置44の把持方向と物品11のトップシール部18の姿勢とに差異がある場合でも、ハンド装置44が物品11のトップシール部18を把持する過程でトップシール部18に接触して物品11を回動させつつ、ハンド装置44の把持方向と物品11のトップシール部18の姿勢とを一致させることができ、物品11のトップシール部18を確実に把持することができる。
【0082】
また、ハンド装置44は、把持した物品11を移載機23で移動させる移動方向に対して物品11の後側の側面を保持部51にて保持するため、物品11が移動方向に対して前後に振れるのを抑制でき、物品11が位置ずれしたり落下するのを防止し、物品11を精度よく移載できる。
【0083】
さらに、容器13の形状上、ハンド装置44で把持するトップシール部18に対して直交する方向に容器13の胴部14が振れやすいが、ハンド装置44は把持したトップシール部18と平行な物品11の側面を保持部51にて保持するため、ハンド装置44で把持するトップシール部18に対して直交する方向に容器13の胴部14が振れるのを抑制し、物品11が位置ずれしたり落下するのを防止し、物品11を精度よく移載できる。
【0084】
なお、ピッキング装置10は、トップシール部18を有する物品11に限らず、トップシール部18を有さないが一対の傾斜面16を有する切妻屋根部15が設けられた物品11についても、物品検出処理およびピッキング処理できる。すなわち、上述のように一対の傾斜面16を検出することにより、検出された一対の傾斜面16から切妻屋根部15の頂部側の位置および姿勢を特定することができ、また、チャック機構50では、例えば一対のチャック54が吸着パッドを備えることにより、一対のチャック54で物品11の一対の傾斜面16を把持することができるため、物品検出処理およびピッキング処理できる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 ピッキング装置
11 物品
15 切妻屋根部
16 傾斜面
18 突片部であるトップシール部
22 物品検出装置
23 移載機
36 距離画像取得部
44 ハンド装置
51 保持部
52 カメラ
74 抽出部
75 検出部
76 特定部
77 確認部