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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】屈曲角の算出方法および算出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/26 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
G01B11/26 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019119881
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021004847
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岸 正蔵
(72)【発明者】
【氏名】山下 彰
(72)【発明者】
【氏名】原田 和眞
(72)【発明者】
【氏名】井殿 多聞
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/053117(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0135790(KR,A)
【文献】特開平11-039490(JP,A)
【文献】特開2016-004483(JP,A)
【文献】特開平09-196637(JP,A)
【文献】特表2014-531636(JP,A)
【文献】特開平10-162140(JP,A)
【文献】特開2003-269939(JP,A)
【文献】特開平11-051611(JP,A)
【文献】特開平10-148508(JP,A)
【文献】特開2001-141419(JP,A)
【文献】特開2002-099902(JP,A)
【文献】島倉諭 他,複数ステレオ画像を用いた配管資材の形状計測,第74回(平成24年)全国大会講演論文集(2) 人工知能と認知科学,日本,一般社団法人情報処理学会,2012年03月06日,2-21~2-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
21/00-21/32
G06T 1/00-1/40
3/00-5/50
7/00-7/90
G06V 10/00-20/90
30/418、40/16、40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管と第2の管とが継手により接合された管の画像を撮像する撮像ステップと、
前記画像から、前記管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出する導出ステップと、
前記第1の管の敷設方向直線および前記第2の管の敷設方向直線の交差角を、前記継手における屈曲角として算出する算出ステップと、を含み、
前記第1の管および前記第2の管のうち、少なくとも一方の管の表面には、周方向に沿う互いに平行な2本の直線が描かれ、
前記導出ステップでは、前記画像における前記2本の直線の間の距離、および、前記画像を撮像するカメラと前記第1の管または前記第2の管との位置関係に基づいて、前記第1の管の敷設方向直線または前記第2の管の敷設方向直線を導出することを特徴とする屈曲角の算出方法。
【請求項2】
第1の管と第2の管とが継手により接合された管の画像を撮像する撮像ステップと、
前記画像から、前記管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出する導出ステップと、
前記第1の管の敷設方向直線および前記第2の管の敷設方向直線の交差角を、前記継手における屈曲角として算出する算出ステップと、を含み、
前記画像における前記第1の管の輪郭および前記第2の管の輪郭を抽出する輪郭抽出ステップを含み、
前記導出ステップでは、
前記画像から抽出された前記輪郭に基づいて前記敷設方向直線を導出し、
前記管の輪郭に基づいて、前記管の中心線を前記敷設方向直線として導出し、
前記管の輪郭のうち、前記管の側面の輪郭と2点で交差する複数の直線を規定し、
前記複数の直線のそれぞれについて、前記管の側面の輪郭と交差する2点の中間点を導出し、
前記中間点の集合を近似した直線である近似中間線を導出し、
前記近似中間線から所定の距離以内に存在する前記中間点の集合を近似した直線を前記敷設方向直線として導出し、
前記画像の彩度を示す彩度画像および明度を示す明度画像を生成する画像生成ステップをさらに含み、
前記輪郭抽出ステップでは、前記彩度画像および前記明度画像のそれぞれにおける前記第1の管の輪郭および前記第2の管の輪郭を抽出し、
前記導出ステップでは、前記彩度画像および前記明度画像のそれぞれにおける前記管の輪郭に基づいて前記近似中間線を導出し、前記彩度画像および前記明度画像のうち、前記近似中間線から所定の距離以内に存在する前記中間点が多い方の画像から抽出される前記管の輪郭に基づいて、前記敷設方向直線を導出することを特徴とする屈曲角の算出方法。
【請求項3】
前記撮像ステップにおいて、前記第1の管および前記第2の管のそれぞれに導出補助具を装着した状態で撮像し、
前記導出ステップにおいて、前記導出補助具の画像に基づいて前記敷設方向直線を導出することを特徴とする請求項1または2に記載の屈曲角の算出方法。
【請求項4】
第1の管と第2の管とが継手により接合された管の画像を取得する画像取得部と、
前記画像から、前記管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出する導出部と、
前記第1の管の敷設方向直線および前記第2の管の敷設方向直線の交差角を、前記継手における屈曲角として算出する算出部と、を備え
前記第1の管および前記第2の管のうち、少なくとも一方の管の表面には、周方向に沿う互いに平行な2本の直線が描かれ、
前記導出部は、前記画像における前記2本の直線の間の距離、および、前記画像を撮像するカメラと前記第1の管または前記第2の管との位置関係に基づいて、前記第1の管の敷設方向直線または前記第2の管の敷設方向直線を導出することを特徴とする屈曲角の算出装置。
【請求項5】
第1の管と第2の管とが継手により接合された管の画像を取得する画像取得部と、
前記画像から、前記管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出する導出部と、
前記第1の管の敷設方向直線および前記第2の管の敷設方向直線の交差角を、前記継手における屈曲角として算出する算出部と、
前記画像における前記第1の管の輪郭および前記第2の管の輪郭を抽出する輪郭抽出部と、を備え、
前記導出部は、
前記画像から抽出された前記輪郭のうち、前記管の側面の輪郭と2点で交差する複数の直線を規定し、
前記複数の直線のそれぞれについて、前記管の側面の輪郭と交差する2点の中間点を導出し、
前記中間点の集合を近似した直線である近似中間線を導出し、
前記近似中間線から所定の距離以内に存在する前記中間点の集合を近似した直線を前記敷設方向直線として導出し、
前記輪郭抽出部は、
前記画像の彩度を示す彩度画像および明度を示す明度画像を生成し、
前記彩度画像および前記明度画像のそれぞれにおける前記第1の管の輪郭および前記第2の管の輪郭を抽出し、
前記導出部は、前記彩度画像および前記明度画像のそれぞれにおける前記管の輪郭に基づいて前記近似中間線を導出し、前記彩度画像および前記明度画像のうち、前記近似中間線から所定の距離以内に存在する前記中間点が多い方の画像から抽出される前記管の輪郭に基づいて、前記敷設方向直線を導出することを特徴とする屈曲角の算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の接合箇所における屈曲角の算出方法および算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管同士の接合箇所においては、屈曲角が許容範囲内であるように接合される必要がある。屈曲角の算出方法の例として、非特許文献1に開示されている算出方法が挙げられる。当該算出方法においては、一方の管の周面に描かれた白線と、他方の管の端面との間の距離を、管の周方向における複数箇所で測定し、当該距離の最大値と最小値との差、および管の呼び径により屈曲角が算出される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】日本ダクタイル鉄管協会,「T形ダクタイル鉄管 接合要領書」,p.21-22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、上述した白線と端面との間の距離を、管の接合箇所ごとに作業者が複数回測定する必要があるため、手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、作業者の手間を低減可能な屈曲角の算出方法などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法は、第1の管と第2の管とが継手により接合された管の画像を撮像する撮像ステップと、前記画像から、前記管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出する導出ステップと、前記第1の管の敷設方向直線および前記第2の管の敷設方向直線の交差角を、前記継手における屈曲角として算出する算出ステップと、を含む。
【0007】
上記の構成によれば、継手により接合された第1の管および第2の管の画像に基づいて、それらの管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出し、当該敷設方向直線の交差角を屈曲角として算出する。したがって、従来の算出方法と比較して、作業者の手間を低減することができる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法は、前記画像における前記第1の管の輪郭および前記第2の管の輪郭を抽出する輪郭抽出ステップを含み、前記導出ステップでは、前記画像から抽出された前記輪郭に基づいて前記敷設方向直線を導出する。
【0009】
上記の構成によれば、画像から管の輪郭を抽出し、当該輪郭に基づいて敷設方向直線を導出する。したがって、画像上での敷設方向直線を適切に導出することができる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法において、前記導出ステップでは、前記管の輪郭に基づいて、前記管の側面を示す直線を前記管の敷設方向直線として導出する。
【0011】
上記の構成によれば、管の側面を示す直線、すなわち管の敷設方向に平行な直線に基づいて屈曲角を算出することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法は、前記導出ステップでは、前記第2の管の輪郭に基づいて、前記第2の管の敷設方向に直交する直線を前記第2の管の敷設方向直線として導出する。
【0013】
上記の構成によれば、第2の管の敷設方向に直交する直線に基づいて屈曲角を算出することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法において、導出ステップでは、前記管の輪郭に基づいて、前記管の中心線を前記敷設方向直線として導出する。
【0015】
上記の構成によれば、管の中心線、すなわち管の敷設方向に平行な直線に基づいて屈曲角を算出することができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法において、前記導出ステップでは、前記管の輪郭のうち、前記管の側面の輪郭と2点で交差する複数の直線を規定し、前記複数の直線のそれぞれについて、前記管の側面の輪郭と交差する2点の中間点を導出し、前記中間点の集合を近似した直線である近似中間線を導出し、前記近似中間線から所定の距離以内に存在する前記中間点の集合を近似した直線を前記敷設方向直線として導出する。
【0017】
上記の構成によれば、管の側面の輪郭と2点で交差する複数の直線の、当該2点の中間点の集合を近似した近似中間線を導出する。さらに、近似中間線から所定の距離以内に存在する中間点の集合を近似した直線を敷設方向直線として導出する。したがって、ノイズ等の影響により近似中間線から著しく遠い点を除外し、敷設方向直線の精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法は、前記画像の第1成分を示す第1成分画像および第2成分を示す第2成分画像を生成する画像生成ステップをさらに含み、前記輪郭抽出ステップでは、前記第1成分画像および前記第2成分画像のそれぞれにおける前記第1の管の輪郭および前記第2の管の輪郭を抽出し、前記導出ステップでは、前記第1成分画像および前記第2成分画像のそれぞれにおける前記管の輪郭に基づいて前記近似中間線を導出し、前記第1成分画像および前記第2成分画像のうち、前記近似中間線から所定の距離以内に存在する前記中間点が多い方の画像から抽出される前記管の輪郭に基づいて、前記敷設方向直線を導出する。
【0019】
上記の構成によれば、第1成分画像および第2成分画像のそれぞれについて、近似中間線を導出し、近似中間線から所定の距離以内に存在する中間点が多い方の画像、すなわちノイズ等の影響が小さい方の画像から抽出される管の輪郭に基づいて敷設方向直線を導出する。したがって、敷設方向直線の精度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法において、前記導出ステップでは、予め記憶された前記管の形状に基づいて、当該管の敷設方向を示す直線を前記敷設方向直線として導出する。
【0021】
上記の構成によれば、管の形状のパターンに基づいて、当該パターンに対応する敷設方向直線を導出することができる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法において、前記第1の管および前記第2の管のうち、少なくとも一方の管の表面には、周方向に沿う互いに平行な2本の直線が描かれ、前記導出ステップでは、前記画像における前記2本の線の距離に基づいて前記第1の管の敷設方向直線または前記第2の管の敷設方向直線を導出する。
【0023】
上記の構成によれば、管の周方向に沿う互いに平行な2本の直線の、画像における距離に基づいて敷設方向直線を導出する。管の周方向に沿う互いに平行な2本の直線の、画像における距離は、撮像位置と敷設角度との関係に応じて当該画像における位置ごとに変化する。したがって、画像に基づいて3次元的な屈曲角を算出することができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法において、前記第1の管および前記第2の管のうち、少なくとも一方の管の表面には、光源が所定の形状に配され、前記導出ステップでは、前記画像における前記光源の形状に基づいて前記第1の管の敷設方向直線または前記第2の管の敷設方向直線を導出する。
【0025】
上記の構成によれば、管の表面に配された所定の形状を有する光源の、画像における形状に基づいて敷設方向直線を導出する。管の表面に配された所定の形状を有する光源の、画像における形状は、撮像位置と敷設角度との関係に応じて変化する。したがって、画像に基づいて3次元的な屈曲角を算出することができる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法において、前記第1の管および前記第2の管のうち、少なくとも一方の管の表面には、周方向に沿う直線が描かれ、前記導出ステップでは、前記画像における前記直線を含む楕円の形状に基づいて前記第1の管の敷設方向直線または前記第2の管の敷設方向直線を導出する。
【0027】
管の周方向に沿う直線は、当該管の画像においては撮像位置に対する角度に応じた楕円の一部の形状を有する。上記の構成によれば、当該楕円の形状に基づいて敷設方向直線を導出することで、3次元的な屈曲角を算出することができる。
【0028】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法において、前記第1の管および前記第2の管のうち、少なくとも一方の管の表面には、所定の模様が表示され、前記導出ステップでは、前記画像における前記模様の形状に基づいて前記第1の管の敷設方向直線または前記第2の管の敷設方向直線を導出する。
【0029】
上記の構成によれば、管の表面に表示された所定の模様の、画像における形状に基づいて敷設方向直線を導出する。管の表面に表示された所定の模様の、画像における形状は、撮像位置と敷設角度との関係に応じて変化する。したがって、画像に基づいて3次元的な屈曲角を算出することができる。
【0030】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出方法では、前記撮像ステップにおいて、前記第1の管および前記第2の管のそれぞれに導出補助具を装着した状態で撮像し、前記導出ステップにおいて、前記導出補助具の画像に基づいて前記敷設方向直線を導出する。
【0031】
上記の構成によれば、導出部は、導出補助具の画像に基づいて容易に敷設方向直線を導出することができる。
【0032】
また、本発明の一態様に係る屈曲角の算出装置は、第1の管と第2の管とが継手により接合された管の画像を取得する画像取得部と、前記画像から、前記管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出する導出部と、前記第1の管の敷設方向直線および前記第2の管の敷設方向直線の交差角を、前記継手における屈曲角として算出する算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一態様によれば、作業者の手間を低減可能な屈曲角の算出方法などを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態1に係る算出システムにおける処理を示すフローチャートである。
図2】実施形態1に係る算出システムの要部の構成を示すブロック図である。
図3】輪郭抽出部による第1の管の輪郭の抽出について示す図である。
図4】輪郭抽出部による第2の管の輪郭の抽出について示す図である。
図5】実施形態1に係る屈曲角の算出方法の、第1の例を示す図である。
図6】導出部による第1の管の敷設方向直線の導出について説明するための図である。
図7】導出部による第2の管の敷設方向直線の導出について説明するための図である。
図8】実施形態1に係る屈曲角の算出方法の、第2の例を示す図である。
図9】実施形態1に係る屈曲角の算出方法の、第3の例を示す図である。
図10】実施形態1に係る屈曲角の算出方法の、第4の例を示す図である。
図11】第1の管および第2の管に導出補助具を装着した状態を示す図である。
図12】第1の管および第2の管に導出補助具を装着した状態を示す図である。
図13】第1の管および第2の管の背景として、導出補助具が配された状態を示す図である。
図14】実施形態2に係る算出システムの要部の構成を示すブロック図である。
図15】実施形態2におけるカメラによる撮像方法の例を示す図である。
図16】実施形態2に係る屈曲角の算出方法の、第1の例を示す図である。
図17】実施形態2に係る屈曲角の算出方法の、第2の例を示す図である。
図18】実施形態2に係る屈曲角の算出方法の、第2の例の変形例を示す図である。
図19】実施形態2に係る屈曲角の算出方法の、第3の例を示す図である。
図20】実施形態2に係る屈曲角の算出方法の、第4の例を示す図である。
図21】実施形態2に係る屈曲角の算出方法の、第4の例の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0036】
図2は、本実施形態に係る屈曲角の算出システム1(以下、単に算出システム1と称する)の要部の構成を示すブロック図である。図2に示すように、算出システム1は、演算装置10(屈曲角の算出装置)、カメラ20、表示装置30および記憶装置40を備える。
【0037】
演算装置10は、管の接合箇所における屈曲角を算出するための処理を実行する。演算装置10は、画像取得部11、輪郭抽出部12、導出部13、算出部14および表示処理部15を備える。
【0038】
画像取得部11は、第1の管P1と第2の管P2(図3等参照)とが継手により接合された管の画像を取得する。第1の管P1と第2の管P2の材質については特に制限されず、金属であっても樹脂であってもよい。以下の説明では、第1の管P1の挿口が第2の管P2の受口に挿入されることで、第1の管P1と第2の管P2とが接合されるものとする。本実施形態では、画像取得部11は、カメラ20により撮像された画像を取得する。輪郭抽出部12は、画像取得部11が取得した画像における、第1の管P1の輪郭および第2の管P2の輪郭を抽出する。
【0039】
導出部13は、画像取得部11が取得した画像から、管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出する。本実施形態では、導出部13は、輪郭抽出部12が抽出した管の輪郭に基づいて敷設方向直線を導出する。導出部13における具体的な処理については後述する。算出部14は、第1の管P1の敷設方向直線および第2の管P2の敷設方向直線の交差角を、第1の管P1と第2の管P2との継手における屈曲角として算出する。
【0040】
なお、「敷設方向に対応する敷設方向直線」は、敷設方向に平行な直線に限定されず、例えば敷設方向に直交する直線であってもよい。第1の管P1または第2の管P2のいずれか一方の敷設方向直線が敷設方向に直交する直線である場合には、敷設方向直線の交差角を90°から減算した角度が、第1の管P1と第2の管P2との継手における屈曲角となる。第1の管P1および第2の管P2の両方の敷設方向直線が敷設方向に直交する直線である場合には、敷設方向直線の交差角が、第1の管P1と第2の管P2との継手における屈曲角となる。
【0041】
表示処理部15は、算出部14による算出結果を示す画像などを表示装置30に表示する。表示処理部15は、例えば算出部14が算出した、第1の管P1と第2の管P2との接合箇所における屈曲角を示す画像を表示装置30に表示させる。また、算出部14が算出した屈曲角が許容範囲内であるか否かを判定する判定処理を演算装置10が実行する場合には、表示処理部15は、当該判定処理の結果を示す画像を表示装置30に表示する処理を行ってもよい。
【0042】
カメラ20は、第1の管P1と第2の管P2との接合箇所の画像を撮像する撮像装置である。カメラ20は、例えばスマートフォン等に付属する汎用カメラであってよいが、これに限られない。表示装置30は、画像を表示する表示装置である。記憶装置40は、演算装置10における処理に必要な情報を記憶する記憶装置である。カメラ20、表示装置30、および記憶装置40については、特に制限なく公知の装置を用いることができる。
【0043】
算出システム1は、例えば溝の中に配された管の屈曲角を算出するために用いられる。算出システム1の使用条件は例えば以下のとおりである。管の撮像場所は屋外とし、時間帯は昼夜いずれでもよい。地表面から管までの距離は60cm以上かつ120cm以下程度とし、カメラ20から管までの距離は、第2の管P2の端面から左右400mmまでの範囲が画像に収まるように調整される。管の色はグレーまたは黒であり、管の表面には凹凸がある。管の口径は、75mm以上かつ400mm以下の範囲である。ただし、算出システム1の使用条件はこれに限られない。
【0044】
図1は、算出システム1における処理を示すフローチャートである。算出システム1においては、まず画像取得部11が、第1の管P1と第2の管P2とが継手により接合された管を撮像する(S1、撮像ステップ)。次に、輪郭抽出部12が、ステップS1において撮像した管の画像における、第1の管P1の輪郭および第2の管P2の輪郭を抽出する(S2、輪郭抽出ステップ)。
【0045】
導出部13は、ステップS2において抽出された管の輪郭に基づいて、管の敷設方向に対応する敷設方向直線を導出する(S3、導出ステップ)。算出部14は、第1の管P1の敷設方向直線および第2の管P2の敷設方向直線の交差角を、継手における屈曲角として算出する(S4、算出ステップ)。
【0046】
図3は、輪郭抽出部12による第1の管P1の輪郭の抽出について示す図である。図3においては、カメラ20による撮像画像の例が符号3100で示されている。撮像画像をHSV(Hue Saturation Value)変換して得られた彩度(Saturation)画像においては、第1の管P1および第2の管P2の画像と、背景である土の画像とで、彩度に大きな差が生じる。輪郭抽出部12は、彩度が高い領域、すなわち第1の管P1および第2の管P2の画像の領域を彩度画像から除去することで、図3において符号3200で示されている画像を生成する。
【0047】
さらに、輪郭抽出部12は、図3において符号3300で示されている、第1の管P1の近傍の背景の画像のみを残し、不要な背景を除去した画像を生成する。さらに、輪郭抽出部12は、図3において符号3400で示されている、第1の管P1の領域R1のみを抽出した画像を生成する。輪郭抽出部12は、領域R1の輪郭を、第1の管P1の輪郭として抽出する。
【0048】
図4は、輪郭抽出部12による第2の管P2の輪郭の抽出について示す図である。輪郭抽出部12は、第1の管P1の輪郭の抽出と同様に、図4において符号4100で示されている、彩度画像から第1の管P1および第2の管P2の画像の領域を除去した画像を生成する。続けて輪郭抽出部12は、図4において符号4200で示されている、第2の管P2の近傍の背景の画像のみを残し、不要な背景を除去した画像を生成する。さらに、輪郭抽出部12は、図4において符号4300で示されている、第2の管P1の領域R2のみを抽出した画像を生成する。輪郭抽出部12は、領域R2の輪郭を、第2の管P2の輪郭として抽出する。
【0049】
図5は、本実施形態に係る屈曲角の算出方法の、第1の例を示す図である。図5に示す例では、第2の管P2の、受口以外の部分は、ポリエチレン製のスリーブSにより覆われている。スリーブSは、第2の管P2を保護するためのものである。図5に示す例では、導出部13は、第1の管P1および第2の管P2の輪郭に基づいて、当該第1の管P1および第2の管P2の中心線を敷設方向直線L1およびL2として導出する。算出部14は、敷設方向直線L1およびL2の交差角θ1を、第1の管P1および第2の管P2の継手における屈曲角として算出する。
【0050】
図6は、導出部13による第1の管P1の敷設方向直線の導出について説明するための図である。導出部13は、まず、第1の管P1の側面の輪郭と2点で交差する複数の直線LA1を規定する。次に導出部13は、図6において符号6100で示すように、複数の直線LA1のそれぞれについて、第1の管P1の側面の輪郭と交差する2点の中間点を導出し、当該中間点の集合を近似した近似中間線C11を導出する。さらに導出部13は、図6において符号6200で示すように、近似中間線C11から所定の距離以内に存在する前記中間点の集合を近似した直線C12を敷設方向直線L1として導出する。
【0051】
図7は、導出部13による第2の管P2の敷設方向直線の導出について説明するための図である。導出部13は、まず、第2の管P2の側面の輪郭と2点で交差する複数の直線LA2を規定する。次に導出部13は、図7において符号7100で示すように、複数の直線LA2のそれぞれについて、第2の管P2の側面の輪郭と交差する2点の中間点を導出し、当該中間点の集合を近似した近似中間線C21を導出する。さらに導出部13は、図7において符号7200で示すように、近似中間線C21から所定の距離以内に存在する前記中間点の集合を近似した直線C22を敷設方向直線L2として導出する。
【0052】
なお、図7に示した例において、輪郭抽出部12は、第1の管P1および第2の管P2の輪郭の抽出の前に、画像取得部11が取得した画像の彩度(第1成分)を示す彩度画像(第1成分画像)および明度(第2成分)を示す明度画像(第2成分画像)を生成してもよい(画像生成ステップ)。この場合、輪郭抽出部12は、彩度画像および明度画像のそれぞれにおける第1の管P1および第2の管P2の輪郭を抽出する。導出部13は、彩度画像および明度画像のそれぞれにおける第1の管P1および第2の管P2の輪郭に基づいて近似中間線C11およびC12を導出する。さらに、導出部13は、彩度画像および明度画像のうち、近似中間線C11またはC12から所定の距離以内に存在する前記中間点が多い方の画像から抽出される輪郭に基づいて、敷設方向直線を導出する。この場合、導出部13は、彩度画像および明度画像のうち、ノイズ等の影響が小さい画像から抽出される管の輪郭に基づいて敷設方向直線を導出する。したがって、敷設方向直線の精度を向上させることができる。
【0053】
なお、輪郭抽出部12は、画像生成ステップにおいて、彩度画像または明度画像のいずれか一方の代わりに、または彩度画像および明度画像に加えて、画像取得部11が取得した画像の色相を示す色相画像を生成してもよい。また、輪郭抽出部12は、画像生成ステップにおいて、彩度画像または明度画像のいずれか一方または両方の代わりに、画像取得部11が取得した画像のR成分、G成分、B成分、またはそれらの成分を組み合わせた成分の画像を生成してもよい。
【0054】
図8は、本実施形態に係る屈曲角の算出方法の、第2の例を示す図である。図8に示す例では、導出部13は、第1の管P1の側面を示す敷設方向直線L11およびL12を、第1の管P1の敷設方向直線L1として導出する。また、導出部13は、第2の管の輪郭P2に基づいて、第2の管P2の敷設方向に直交する直線を、第2の管P2の敷設方向直線L2として導出する。例えば導出部13は、第2の管P2の端面に表れる楕円の長軸を、第2の管P2の敷設方向直線L2として導出する。算出部14は、敷設方向直線L11およびL2の交差角θ1を90°から減算した角度、ならびに敷設方向直線L12およびL2の交差角θ2を90°から減算した角度の一方または両方を、第1の管P1および第2の管P2の継手における屈曲角として算出する。
【0055】
両方の交差角を算出する場合、ノイズ等の影響により、2つの交差角が互いに異なる大きさになる可能性がある。この場合には、算出部14は、安全を考慮して、大きい方の交差角を最終的な屈曲角として出力すればよい。
【0056】
図9は、本実施形態に係る屈曲角の算出方法の、第3の例を示す図である。図9に示す例では、導出部13は、予め記憶された第1の管P1および第2の管P2の形状に基づいて、当該管の敷設方向を示す直線を敷設方向直線として導出する。具体的には、図9に示す例では、第1の管P1および第2の管P2の形状のパターンと、当該パターンにおける管の敷設方向とが、予め対応付けられて記憶装置40に記憶されている。導出部13は、第1の管P1および第2の管P2の輪郭をパターンとマッチングすることにより、当該パターンにおける第1の管P1および第2の管P2の敷設方向を示す直線を敷設方向直線L1およびL2として導出する。算出部14は、敷設方向直線L1およびL2の交差角θ1を、第1の管P1および第2の管P2の継手における屈曲角として算出する。
【0057】
図10は、本実施形態に係る屈曲角の算出方法の、第4の例を示す図である。図10に示す例では、第2の管P2のスリーブS(図5等参照)が除去され、受口に対して第1の管P1とは逆側の、円筒形の領域が露出している。導出部13は、当該領域の側面を示す敷設方向直線L21およびL22を、第2の管P2の敷設方向直線L2として導出する。さらに、導出部13は、図5に示した例と同様にして、第1の管P1の敷設方向直線L1を導出する。算出部14は、敷設方向直線の、予め決定された単一の組み合わせの交差角(例えば敷設方向直線L11およびL21の交差角θ1、または敷設方向直線L12およびL22の交差角θ2)、または複数の組み合わせの交差角を、第1の管P1および第2の管P2の継手における屈曲角として算出する。複数の組み合わせの交差角を算出する場合には、算出部14は、複数の交差角のうち最大のものを、第1の管P1および第2の管P2の継手における屈曲角とすればよい。
【0058】
図8図10に示した例によっても、図5に示した例と同様に、第1の管P1と第2の管P2との継手における屈曲角を算出することができる。なお、図5および図8図10に示した例では、第1の管P1および第2の管P2はいずれも直管であった。しかし、第1の管P1および第2の管P2は、例えばT字管、曲管などの異形管、あるいはバルブなどであってもよい。
【0059】
上述した方法により屈曲角を算出する場合には、撮像ステップにおいて、第1の管P1および第2の管P2に導出補助具を装着した状態で撮像することが好ましい。この場合、導出ステップにおいて、導出部13は、導出補助具の画像に基づいて敷設方向直線を導出する。導出補助具の例について以下に説明する。
【0060】
図11は、第1の管P1および第2の管P2に導出補助具51を装着した状態を示す図である。導出補助具51は、第1の管P1および第2の管P2の、それぞれの外側に装着可能な筒を、中心軸を通る面で切断した形状を有する。導出補助具51の材質については特に制限されず、例えば金属または樹脂である。また、導出補助具51は、第1の管P1および第2の管P2とは異なる色に着色されている。
【0061】
第1の管P1および第2の管P2の色と背景の色とのコントラストが小さい場合には、導出補助具51を第1の管P1および第2の管P2に装着した状態で撮像することが好ましい。この場合には、導出補助具51と背景とのコントラストが大きくなるため、撮像した画像から導出補助具51の画像の輪郭を容易に抽出することができる。したがって、導出部13は、抽出された輪郭に基づいて容易に敷設方向直線を導出することができる。
【0062】
図12は、第1の管P1および第2の管P2に導出補助具52を装着した状態を示す図である。導出補助具52は、第1の管P1および第2の管P2の、それぞれの外側に装着可能な筒の一部の形状を有する。また、導出補助具52の表面には、装着される管の軸方向に垂直な線分と平行な線分とが交差した形状の光源52aが設けられている。光源52aは、例えば複数のLED(Light Emitting Diode)が当該形状に配されたものである。
【0063】
撮像ステップにおいて、導出補助具52を第1の管P1および第2の管P2に装着した状態で撮像することで、導出部13は、光源52aの形状に基づいて容易に敷設方向直線を導出することができる。また、導出部13は、導出補助具51を用いた場合と同様に、導出補助具52の輪郭に基づいて敷設方向直線を導出してもよい。
【0064】
図13は、第1の管P1および第2の管P2の背景として、導出補助具53が配された状態を示す図である。導出補助具は、必ずしも第1の管P1および第2の管P2のそれぞれに装着されるものに限定されない。導出補助具53は、例えば第1の管P1および第2の管P2とは異なる色(例えば赤色)に着色された紙または平板、あるいは面発光するバックライトである。導出補助具53を配した状態で第1の管P1および第2の管P2を撮像することで、画像における第1の管P1および第2の管P2と背景との境界が明確になり、輪郭の抽出および敷設方向直線の導出が容易になる。
【0065】
以上のとおり、演算装置10によれば、カメラ20により撮像した第1の管P1および第2の管P2の画像に基づいて、第1の管P1および第2の管P2の継手における屈曲角を算出することができる。したがって、屈曲角を算出するための作業者の手間が低減される。
【0066】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0067】
図14は、本実施形態に係る屈曲角の算出システム2(以下、単に算出システム2と称する)の要部の構成を示すブロック図である。算出システム2は、演算装置10の代わりに演算装置60(屈曲角の算出装置)を備える点で算出システム1と相違する。演算装置60は、輪郭抽出部12の代わりに画像領域特定部16を備える点で演算装置10と相違する。
【0068】
画像領域特定部16は、導出部13による敷設方向直線の導出に用いる画像上の領域を特定する。画像領域特定部16は、例えば予め記憶装置40に記憶された管の形状のパターンとのマッチングにより当該領域を特定する。導出部13は、画像領域特定部16が特定した画像の領域に基づいて、3次元空間における敷設方向直線を導出する。
【0069】
図15は、本実施形態におけるカメラ20による撮像方法の例を示す図である。図15に示す例では、第2の管P2に、当該第2の管P2の軸に水平な方向に支柱71が立設されている。さらに、支柱71から、第2の管P2の軸に水平な方向に、水平腕72が延伸している。水平腕72の、第1の管P1と第2の管P2との接合部分に対向する部分に、カメラ20が設置されている。
【0070】
このようにカメラ20が設置されることで、カメラ20に対する第2の管P2の敷設方向直線が常に一定となる。したがって、導出部13は、第1の管P1の敷設方向直線のみを導出すればよいため、演算装置60の処理量が低減される。なお、支柱71は第1の管P1に設置されてもよい。その場合、水平腕72は第1の管P1の軸に水平な方向に延伸し、カメラ20に対する第1の管P1の敷設方向直線が常に一定となる。
【0071】
図16は、本実施形態に係る屈曲角の算出方法の、第1の例を示す図である。図16に示す例では、第1の管P1に、周方向に沿う互いに平行な2本の直線L31およびL32が表示されている。直線L31およびL32は、発光塗料などで第1の管P1に直接描かれていてもよく、発光テープが直線状に貼り付けられていてもよい。
【0072】
画像領域特定部16は、第1の管P1および第2の管の画像における、P2を含む直線L31およびL32の画像を含む領域を特定する。導出部13は、画像における直線L31およびL32の間の距離に基づいて第1の管P1の敷設方向直線を導出する。ただし、直線L31およびL32が第2の管P2に表示されている場合には、導出部13は、第2の管P2の敷設方向直線を導出する。
【0073】
具体的には、導出部13は、直線L31およびL32の間の、複数箇所における距離を算出する。当該複数箇所における距離は、例えば第1の管P1の幅方向における両端での距離d1およびd2である。当該複数箇所における距離の相対関係は、第1の管P1の敷設方向、およびカメラ20と第1の管P1との位置関係に依存する。したがって、導出部13は、当該複数箇所における直線L31およびL32の間の距離の相対関係、およびカメラ20と第1の管P1との位置関係により、第1の管P1の敷設方向直線を導出することができる。
【0074】
図17は、本実施形態に係る屈曲角の算出方法の、第2の例を示す図である。図17に示す例では、第1の管P1に、算出用治具81が配されている。算出用治具81は、第1の管P1の表面に沿う形状を有する。算出用治具81の表面には、所定の形状を有する光源81aが配されている。図17においては、光源81aの形状は、互いに直交する2本の線分であるがこれに限られない。光源81aは、例えば複数のLEDが当該形状に配されたものである。
【0075】
画像領域特定部16は、第1の管P1および第2の管の画像における、光源81aの画像を含む領域を特定する。導出部13は、前記画像における光源81aの形状に基づいて第1の管P1の敷設方向直線または第2の管P2の敷設方向直線を導出する。ただし、算出用治具81が第2の管P2に配されている場合には、導出部13は、第2の管P2の敷設方向直線を導出する。
【0076】
画像における光源81aの形状は、第1の管P1の敷設方向、およびカメラ20と第1の管P1との位置関係に依存する。したがって、導出部13は、光源81aの形状、およびカメラ20と第1の管P1との位置関係により、第1の管P1の敷設方向直線を導出することができる。
【0077】
なお、光源81aの代わりに、所定の形状の自発光しないマークが算出用治具81の表面に描かれていてもよい。ただし、自発光する光源81aを用いることで、画像におけるノイズの影響が低減される。
【0078】
図18は、本実施形態に係る屈曲角の算出方法の、第2の例の変形例を示す図である。算出用治具81を用いて屈曲角を算出する場合には、カメラ20を必ずしも図15に示したように設置する必要はない。例えば図18に示すように、第1の管P1だけでなく、第2の管P2にも算出用治具81を配することで、導出部13は、第1の管P1および第2の管P2のそれぞれについて、敷設方向直線を導出することができる。
【0079】
図19は、本実施形態における屈曲角の算出方法の、第3の例を示す図である。図19に示す例では、第1の管P1に、周方向に沿う直線L41が表示されている。直線L41は、直線L31およびL32と同様に、発光塗料または発光テープにより表示されてよい。図19においては簡単のため、直線L41の画像は直線で示されている。しかし、実際に第1の管P1を撮像した画像における直線L41の画像は、カメラ20と直線L41との位置関係に応じて、楕円L42の一部である曲線となる。
【0080】
画像領域特定部16は、第1の管P1および第2の管の画像における、直線L41の画像を含む領域を特定する。導出部13は、画像における直線L41を含む楕円L42の形状に基づいて第1の管P1の敷設方向直線を導出する。ただし、直線L41が第2の管P2に表示されている場合には、導出部13は、第2の管P2の敷設方向直線を導出する。
【0081】
導出部13は、楕円L42を、直線L41の画像の両端、およびその間の1点の、計3点により特定する。楕円L42の短軸の長さは、画像の平面に垂直な方向における第1の管P1の敷設方向、およびカメラ20と第1の管P1との位置関係に依存する。また、楕円L42の長軸の方向は、画像の平面に平行な方向における第1の管P1の敷設方向、およびカメラ20と第1の管P1との位置関係に依存する。したがって、導出部13は、楕円L42の長軸を含む直線を、画像に平行な面における第1の管P1の敷設方向に直交する敷設方向直線として導出する。また、導出部13は、楕円L42の短軸と長軸との長さの比から、画像に垂直な面における第1の管P1の敷設方向に平行な敷設方向直線を導出することができる。この場合、算出部14は、画像に平行な面および垂直な面のそれぞれについて、屈曲角を算出する。
【0082】
また、図19に示した方法を用いる場合には、カメラ20を必ずしも図15に示したように設置する必要はない。カメラ20を図15に示したように設置しない場合には、例えば第2の管P2の端面または端部に発光塗料または発光テープを付し、カメラ20を第2の管P2の端面よりも第1の管P1側に配した状態で撮像する。この場合、カメラ20が撮像する画像は、第2の管P2の端面または端部の画像を含む。導出部13は、当該端面または端部を含む楕円L43の形状に基づいて、画像に平行な面および垂直な面のそれぞれにおける第2の管P2の敷設方向直線を導出することができる。
【0083】
図20は、本実施形態における屈曲角の算出方法の、第4の例を示す図である。図20に示す例では、第1の管P1に、所定の模様が描かれたシート82が配されている。シートの材質は特に限定されず、例えば紙または樹脂である。図20に示した例では、シート82に描かれている模様は格子状であるが、これに限られない。また、当該模様は第1の管P1に直接描かれていてもよい。
【0084】
画像領域特定部16は、第1の管P1および第2の管の画像における、シート82の画像を含む領域を特定する。導出部13は、画像における当該模様の形状に基づいて第1の管P1の敷設方向直線を導出する。ただし、シート82が第2の管P2に配されている場合には、導出部13は、第2の管P2の敷設方向直線を導出する。
【0085】
画像におけるシート82に描かれた模様の形状は、第1の管P1の敷設方向、およびカメラ20と第1の管P1との位置関係に依存する。したがって、導出部13は、シート82に描かれた模様の形状、およびカメラ20と第1の管P1との位置関係により、第1の管P1の敷設方向直線を導出することができる。
【0086】
なお、シート82は、透光性を有するシートに3次元格子を描いたものであってもよい。この場合、導出部13は、画像における当該3次元格子の形状、特に第1の管P1の表面に垂直な方向における格子の間隔に基づいて、容易に第1の管P1の敷設方向直線を導出することができる。
【0087】
図21は、実施形態2に係る屈曲角の算出方法の、第4の例の変形例を示す図である。シート82を用いて屈曲角を算出する場合には、カメラ20を必ずしも図15に示したように設置する必要はない。例えば図21に示すように、第1の管P1だけでなく、第2の管P2にもシート82を配することで、導出部13は、第1の管P1および第2の管P2のそれぞれについて、3次元空間における敷設方向直線を導出することができる。これにより、カメラ20の位置が固定されていない場合であっても、算出部14は、第1の管P1および第2の管P2のそれぞれの敷設方向直線に基づいて屈曲角を算出することができる。
【0088】
以上のとおり、演算装置60によれば、第1の管P1および第2の管P2について、屈曲角を3次元的に算出することができる。したがって、作業者の手間をさらに低減することができる。
【0089】
〔ソフトウェアによる実現例〕
演算装置10および60の制御ブロック(特に画像取得部11、導出部13および算出部14)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0090】
後者の場合、演算装置10および60は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0091】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10、60 演算装置(屈曲角の算出装置)
11 画像取得部
13 導出部
14 算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
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図18
図19
図20
図21