IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車九州株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-搬送機構 図1
  • 特許-搬送機構 図2
  • 特許-搬送機構 図3
  • 特許-搬送機構 図4
  • 特許-搬送機構 図5
  • 特許-搬送機構 図6
  • 特許-搬送機構 図7
  • 特許-搬送機構 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】搬送機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
B65G1/00 501H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019126671
(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2021011356
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】前原 庸一
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-72881(JP,A)
【文献】実開平3-97407(JP,U)
【文献】特開昭59-163208(JP,A)
【文献】特開昭56-155103(JP,A)
【文献】特開昭63-278734(JP,A)
【文献】実開平5-88341(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱を自重により摺動させるための箱受け摺動部と、
前記箱受け摺動部において前記箱の摺動方向に複数列併設した摺動ラインと、
前記摺動ラインの上面の箱受け部を前記箱の自重により浮沈自在に構成した摺動ライン昇降機構とより構成し、
しかも、前記箱受け部が前記箱の自重により沈降した幅に前記箱の載置されていない隣接摺動ラインにおける前記箱受け部の側面側は沈降した前記箱受け部より上方位置にあって移動箱の側面に当接して前記箱の横方向の位置ゆがみを規制する幅員規制物とした
ことを特徴とする搬送機構。
【請求項2】
前記摺動ラインは、それぞれが独立して上下方向の上側に付勢され、前記箱が載置された摺動ラインのみが沈降することを特徴とする請求項1に記載の搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱を搬送する搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内では、棚に収容された多様な大きさの箱を搬入・搬出するため、箱を載せる載置面(荷物の載置面)を備える汎用台車(運搬用の箱台車)が使用されることが多い。例えば、載置面に収容された多様な大きさの箱を搬送し、箱の大きさに合わせた専用のフローラックへ搬出する箱台車が存在する。このような箱台車を使用して箱を搬送する場合には、搬送中において、箱台車の載置面に収容された箱の幅方向(搬送方向と直交する方向)の位置がずれないように規制する必要がある。
【0003】
従来技術として、例えば、可動ガイドと、可動用ボールねじと、ワーク幅検出用圧力センサとを備え、ワーク幅検出用圧力センサによりワーク幅を検出し、そのワーク幅に可動ガイドを調整する移載装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平02-135505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、可動ガイドにより箱の幅方向の位置ずれを防止することができる。しかしながら、上述の従来技術では、箱の幅方向を規制するための機構を移載装置自体に設ける必要があるため、移載装置を構成する部品数が増加し、移載装置の構造が複雑になる。このため、移載装置の重量が増加し、移載装置の積載率も低下するおそれがある。また、移載装置の製造コストが高くなる。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、箱を搬送する搬送機構の構造を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、箱を自重により摺動させるための箱受け摺動部と、前記箱受け摺動部において前記箱の摺動方向に複数列併設した摺動ラインと、前記摺動ラインの上面の箱受け部を前記箱の自重により浮沈自在に構成した摺動ライン昇降機構とより構成し、しかも、前記箱受け部が前記箱の自重により沈降した幅に前記箱の載置されていない隣接摺動ラインにおける前記箱受け部の側面側は沈降した前記箱受け部より上方位置にあって移動箱の側面に当接して前記箱の横方向の位置ゆがみを規制する幅員規制物としたことを特徴とする搬送機構である。
【0008】
また、この第1の態様において、前記摺動ラインは、それぞれが独立して上下方向の上側に付勢され、前記箱が載置された摺動ラインのみが沈降してもよい。
【0009】
このような態様を採ることにより、箱受け部が箱の自重により沈降した幅において、箱の載置されていない隣接摺動ラインにおける箱受け部の側面側は、沈降した箱受け部よりも上方位置にあり、移動箱の側面に当接して箱の横方向の位置ゆがみを規制する幅員規制物となるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、箱を搬送する搬送機構の構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す正面図である。
図3】本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す側面図である。
図4】本発明の実施の形態における箱台車200の箱受け摺動部220の外観を示す上面図である。
図5】本発明の実施の形態における箱台車200の摺動ライン300の外観を示す側面図である。
図6】本発明の実施の形態における箱台車200の箱受け摺動部220に部品箱が載せられていない状態と、部品箱が載せられている状態との遷移例を示す正面図である。
図7】本発明の実施の形態における箱台車200の箱受け摺動部220に部品箱が載せられている場合の部品箱の遷移例を示す上面図である。
図8】本発明の実施の形態における箱台車200の箱受け摺動部220に部品箱が載せられている場合の部品箱の遷移例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)を説明する。
【0013】
[箱台車の構成例]
図1は、本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す正面図である。また、図3は、本発明の実施の形態における箱台車200の外観構成を示す側面図である。
【0014】
箱台車200は、例えば、自動車製造工場や自動車部品製造工場において、各種部品を搬送するための各種の箱(多様なサイズの箱)を移動させる際に用いられる汎用台車(運搬台車)である。また、箱台車200は、箱台車200とは別個に設けられる昇降装置との連結係合により、箱受け摺動部220の昇降が可能となる。
【0015】
箱台車200は、基部フレーム210と、箱受け摺動部220と、昇降チェーン231乃至234と、バランサー251、252と、ラッチ機構260、265と、連結部270、275とを備える。箱台車200は、基部フレーム210に設けられるスライド機構(スライドガイド241乃至244、スライド部材223乃至226)に沿って箱受け摺動部220を上下にスライド可能とする汎用台車である。図2では、箱受け摺動部220の移動方向を矢印13、14で示す。また、本発明の実施の形態では、箱台車200における箱受け摺動部220を搬送機構の一例として示す。
【0016】
なお、箱台車200は、箱受け摺動部220をスライドさせるための駆動機構を備えていない。このため、他の昇降装置の連結部と箱受け摺動部220の連結部270、275とを連結して、箱受け摺動部220を上下にスライドさせるようにする。
【0017】
基部フレーム210は、下部の矩形状(上面視で略ロの字状)のフレームと、上部の矩形状(上面視で略ロの字状)のフレームと、これらの各フレームの各頂点等に立設する複数の支柱とで構成される。すなわち、基部フレーム210は、直方体形状のフレームである。また、基部フレーム210には、下部に4つの車輪201乃至204が設けられる。また、基部フレーム210は、正面側(車輪201、202が設けられている面側)の両端部にラッチ機構260、265を備える。
【0018】
また、基部フレーム210は、下部の長方形のフレームのうち、左右のフレーム上にギア(スプロケット)280乃至283を備える。また、基部フレーム210は、上部の長方形のフレームのうち、左右のフレーム上に棒状の回転体(回転軸)284、287を備える。また、回転体284は、棒状の回転軸の両端(長手方向の両端)に2つのギア(スプロケット)285、286を備える。また、回転体287は、棒状の回転軸の両端(長手方向の両端)に2つのギア(スプロケット)288、289を備える。
【0019】
昇降チェーン231乃至234は、箱受け摺動部220の左右端を上下方向に同期して移動させるためのチェーンである。また、昇降チェーン231は、基部フレーム210の下部のギア280と、基部フレーム210の上部のギア285とにかみ合わせられる。また、昇降チェーン232は、基部フレーム210の下部のギア281と、基部フレーム210の上部のギア286とにかみ合わせられる。また、昇降チェーン233は、基部フレーム210の下部のギア282と、基部フレーム210の上部のギア288とにかみ合わせられる。また、昇降チェーン234は、基部フレーム210の下部のギア283と、基部フレーム210の上部のギア289とにかみ合わせられる。このように、昇降チェーン231乃至234は、基部フレーム210の左右側に上下に懸架される。
【0020】
また、基部フレーム210には、ギア280、281を備えるフレームと、ギア285、286を備えるフレームとの間にスライドガイド241、242が立設されている。また、基部フレーム210には、ギア282、283を備えるフレームと、ギア288、289を備えるフレームとの間にスライドガイド243、244が立設されている。
【0021】
スライドガイド241乃至244は、上下方向に昇降する箱受け摺動部220のスライド部材223乃至226をガイドするための棒状部材である。
【0022】
箱受け摺動部220は、各種部品を搬送するための各種の箱(多様なサイズの箱)を搬入・搬出するための棚面である。なお、箱受け摺動部220については、図4図5(1)、(2)、(3)を参照して詳細に説明する。
【0023】
また、箱受け摺動部220の左右方向の端部(フレーム222の左右方向の端部)には、スライド部材223乃至226が設けられる。スライド部材223乃至226は、図4に示すように、上面視において略コの字形状の部材である。また、スライド部材223は、スライドガイド241に取り付けられ、スライド部材224は、スライドガイド242に取り付けられ、スライド部材225は、スライドガイド243に取り付けられ、スライド部材226は、スライドガイド244に取り付けられる。そして、スライド部材223乃至226は、基部フレーム210に立設されるスライドガイド241乃至244に沿って上下方向に移動可能となる。
【0024】
また、箱受け摺動部220の左右方向の端部(フレーム222の左右方向の端部)には、昇降チェーン231乃至234が接続される。すなわち、箱受け摺動部220は、基部フレーム210の左右側に上下に懸架される昇降チェーン231乃至234に沿って昇降可能に構成される。このように、箱受け摺動部220は、上下方向の高さを変更することが可能な可変棚(高さ可変棚)である。
【0025】
また、箱受け摺動部220の一端部(左右方向の端部(図2における左側))は、箱台車200の内側の昇降チェーン231及び昇降チェーン232に取り付けられる。また、箱受け摺動部220の他の端部(左右方向の端部(図2における右側))は、昇降チェーン233及び昇降チェーン234に取り付けられる。
【0026】
バランサー251、252は、箱台車200に搬入され、箱受け摺動部220に載せられた箱の負荷を軽減するためのバランサーである。また、バランサー251は、箱台車200の外側の昇降チェーン231及び昇降チェーン232に取り付けられる。また、バランサー252は、箱台車200の外側の昇降チェーン233及び昇降チェーン234に取付けられる。
【0027】
また、箱受け摺動部220には、駆動機構を備えていない箱台車200の箱受け摺動部220の昇降を行うために、他の昇降装置の連結部と連結可能な連結部270、275が設けられる。なお、連結部270、275は、箱受け摺動部220の前側(図1における昇降装置100側)において、左右方向の両端部に設けられる。
【0028】
また、連結部270、275は、他の昇降装置の連結部と連結可能となるように、左右方向の両端部から左右方向に突出するように設けられる上面視で矩形状の板状部材である。なお、連結部270、275については、他の昇降装置による昇降動作に応じて、箱受け摺動部220の昇降を行うことが可能な強度を有する素材を用いることが好ましい。
【0029】
ラッチ機構260、265は、基部フレーム210の一側端縁に設けられ、連結凹凸形状より構成されるラッチ機構である。すなわち、ラッチ機構260、265は、箱受け摺動部220を固定するためのラッチ機構であり、箱受け摺動部220は、ラッチ機構260、265により任意の高さで基部フレーム210に固定可能である。
【0030】
また、箱受け摺動部220には、昇降所定位置においてラッチ機構260と係合する突出自在の係合爪261と、レバー体262と、回転軸(図示せず)とが設けられる。また、箱受け摺動部220には、昇降所定位置においてラッチ機構265と係合する突出自在の係合爪(図示せず)と、レバー体267と、回転軸(図示せず)とが設けられる。
【0031】
係合爪261は、ラッチ機構260の凹部に係合するための部材であり、付勢手段(例えば、コイルスプリング(円筒コイルバネ))によりラッチ機構260とは反対側に付勢される。また、係合爪261は、端部(爪部とは反対側の端部)がレバー体262の折曲部から突出する棒状体に当接され、ラッチ機構260の反対方向への移動が規制される。
【0032】
レバー体262は、回転軸により基端が軸支される略L字状のレバー体(板状部材)であり、付勢手段(例えば、コイルスプリング(円筒コイルバネ))によりラッチ機構260側に付勢される。また、レバー体262の折曲部には、ラッチ機構260の反対方向への係合爪261の移動を規制する棒状体が設けられる。
【0033】
なお、レバー体262の付勢手段は、係合爪261の付勢手段よりも付勢の強さが大きい。このため、通常は、図1に示すように、係合爪261は、ラッチ機構260側に付勢され、ラッチ機構260の凹部に係合される。このため、箱台車200の箱受け摺動部220の高さは固定される。
【0034】
また、他の昇降装置と箱台車200とが連結された状態で、他の昇降装置が備えるラッチ係合用シリンダを移動させることにより、レバー体262の端部が移動する。このレバー体262の移動に応じて、ラッチ機構260とは反対側に係合爪261が移動する。この係合爪261の移動により、ラッチ機構260の凹部から係合爪261が抜けるため、箱台車200のラッチ機構が解除される。
【0035】
[箱受け摺動部の構成例]
図4は、本発明の実施の形態における箱台車200の箱受け摺動部220の外観を示す上面図である。また、図5は、本発明の実施の形態における箱台車200の摺動ライン300の外観を示す側面図である。なお、図4図5では、説明を容易にするため、箱台車200の摺動ライン300に関する部分以外については、一部を省略して示す。
【0036】
図4に示すように、箱受け摺動部220は、フレーム222と、摺動ライン300a乃至hとを備える。また、摺動ライン300a乃至hは、フレーム222に固定される支持体221に回動自在に支持される。
【0037】
フレーム222は、上面視で略ロの字状のフレームである。また、支持体221は、摺動ライン300a乃至hに平行な2つフレーム(フレーム222を構成する4辺のうちの相対する2辺のフレーム)の中心部に固定される円筒形の棒状体である。このように、上面視で略ロの字状のフレーム222において8の摺動ライン300a乃至hが配置されている。
【0038】
摺動ライン300a乃至hは、回転する筒状の複数のローラー310をローラー支持部(棒状部材)320に直線状に配置したレール状部材である。また、摺動ライン300a乃至hのそれぞれは、箱の搬入・搬出方向に対して平行となるように配置される。すなわち、摺動ライン300a乃至hのそれぞれは、箱受け摺動部220において箱の摺動方向に複数列に併設される。なお、摺動ライン300a乃至hのそれぞれの構成及び動作は互いに共通する。このため、以下では、共通する各部について説明する場合には、摺動ライン300と表記して説明する。
【0039】
図5(2)に示すように、摺動ライン300は、上側に載せられる部品箱21の自重により浮沈自在に構成される摺動ライン昇降機構330を備える。すなわち、摺動ライン300a乃至hのそれぞれは、摺動ライン昇降機構330により、各々独立して上下方向に移動可能な構造を有する。
【0040】
摺動ライン昇降機構330は、第1リンク部材331と、第2リンク部材332と、第3リンク部材333とを備える。また、第2リンク部材332の中心部は、支持体342に回動自在に接続される。また、第3リンク部材333の中心部は、支持体341に回動自在に接続される。なお、支持体341は、摺動ライン300a乃至hのそれぞれの第3リンク部材333の中心部に接続される円筒形の棒状体である。また、支持体342は、摺動ライン300a乃至hのそれぞれの第2リンク部材332の中心部に接続される円筒形の棒状体である。
【0041】
第1リンク部材331は、一端部が第2リンク部材332の端部と回動自在に接続され、他の端部が第3リンク部材333の端部と回動自在に接続される。
【0042】
第2リンク部材332は、一端部が摺動ライン300のローラー支持部320と回動自在に接続され、他の端部が第1リンク部材331の端部と回動自在に接続される。
【0043】
第3リンク部材333は、一端部が摺動ライン300のローラー支持部320と回動自在に接続され、他の端部が第1リンク部材331の端部と回動自在に接続される。
【0044】
このように、摺動ライン昇降機構330と摺動ライン昇降機構330とによりリンク機構(平行クランク機構)が形成される。
【0045】
また、摺動ライン300は、付勢手段により上下方向の上側に付勢されている。この付勢手段として、例えば、ばね、錘、平行リンクを用いることができる。このように、摺動ライン300は、付勢手段により上下方向の上側に付勢されるため、箱が載っていない状態(初期状態)では、上下方向の上側に位置する。一方、摺動ライン300は、箱が載った状態では、上からの箱の荷重により下方に動く構造となる。
【0046】
また、摺動ライン300a乃至hの上側(上面)は、搬送対象となる箱を受ける箱受け部350として機能する。
【0047】
例えば、図5(1)に示すように、摺動ライン300は、箱が載っていない状態(初期状態)では、上下方向の上側に位置する。一方、図5(2)(3)に示すように、摺動ライン300に部品箱21が載せられると、部品箱21の荷重により第2リンク部材332及び第3リンク部材333が矢印16乃至19方向に回動し、この回動により摺動ライン300が下方に移動し、上下方向の下側に位置するようになる。
【0048】
また、摺動ライン300は、フレーム222に固定される支持体221に回動自在に支持されるため、摺動ライン300における箱の位置(搬送方向における位置)に応じて、支持体221を回動軸として回動する。
【0049】
例えば、図5(2)(3)に示すように、摺動ライン300は、摺動ライン300における部品箱21の位置(搬送方向における位置)に応じて、支持体221を回動軸として回動する。具体的には、図5(2)に示すように、摺動ライン300における部品箱21の位置(搬送方向における位置)が中心よりも左側(図5における左側)である場合には、摺動ライン300における左側の端部が上下方向の下側に移動し、摺動ライン300における右側の端部が上下方向の上側に移動する。一方、図5(3)に示すように、摺動ライン300における部品箱21の位置(搬送方向における位置)が中心よりも右側(図5における右側)である場合には、摺動ライン300における右側の端部が上下方向の下側に移動し、摺動ライン300における左側の端部が上下方向の上側に移動する。すなわち、摺動ライン300が矢印11、12方向に回動する。
【0050】
[箱受け摺動部の動作例]
図6は、本発明の実施の形態における箱台車200の箱受け摺動部220に部品箱が載せられていない状態と、部品箱が載せられている状態との遷移例を示す正面図である。なお、図6(1)には、箱受け摺動部220に部品箱が載せられていない状態を示し、図6(2)(3)には、箱受け摺動部220に部品箱が載せられている状態を示す。
【0051】
図7図8は、本発明の実施の形態における箱台車200の箱受け摺動部220に部品箱が載せられている場合の部品箱の遷移例を示す上面図である。なお、図7には、箱受け摺動部220に比較的小さい部品箱31が載せられている場合の遷移例を示す。また、図8には、箱受け摺動部220に比較的大きい部品箱31が載せられている場合の遷移例を示す。なお、図6乃至図8では、説明を容易にするため、箱台車200の摺動ライン300に関する部分以外については、一部を省略して示す。
【0052】
図6(1)に示すように、摺動ライン300a乃至hは、箱が載っていない状態(初期状態)では、上下方向の上側に位置する。また、図6(2)(3)に示すように、摺動ライン300a乃至hは、箱が載った状態では、上からの荷重で下方に動き、上下方向の下側に位置するようになる。
【0053】
このように、箱台車200に搬入された箱が箱受け摺動部220に載せられると、箱が載せられた摺動ライン300は、箱の重量により上下方向の下側に移動させられる。すなわち、箱が載せられた摺動ライン300は、沈下することになる。一方、箱が箱受け摺動部220に載せられた場合でも、箱が載せられていない摺動ライン300は、初期状態(上下方向の上側に付勢されている状態)となっている。
【0054】
例えば、図6(2)に示すように、比較的小さい部品箱31が箱受け摺動部220に載せられた場合には、部品箱31が載せられた摺動ライン300d、eは、部品箱31の重量により上下方向の下側に移動させられる。すなわち、部品箱31が載せられた摺動ライン300d、eは、沈下することになる。一方、部品箱31が箱受け摺動部220に載せられた場合でも、部品箱31が載せられていない摺動ライン300a乃至c、f乃至hは、初期状態(上下方向の上側に付勢されている状態)となっている。
【0055】
また、例えば、図6(3)に示すように、比較的大きい部品箱41が箱受け摺動部220に載せられた場合には、部品箱41が載せられた摺動ライン300c乃至fは、部品箱41の重量により上下方向の下側に移動させられる。すなわち、部品箱41が載せられた摺動ライン300c乃至fは、沈下することになる。一方、部品箱41が箱受け摺動部220に載せられた場合でも、部品箱41が載せられていない摺動ライン300a、b、g、hは、初期状態(上下方向の上側に付勢されている状態)となっている。
【0056】
このように、箱台車200の正面側から搬入された箱が箱受け摺動部220に載せられた場合には、箱が載せられた摺動ライン300は、箱の重量により上下方向の下側に移動するが、箱が載せられていない摺動ライン300は、初期状態のままとなる。このため、箱の搬入・搬出方向と直交する方向に並べられている摺動ライン300a乃至hにおいて、搬入された箱が載せられているか否かに応じて段差が生じることになる。すなわち、摺動ライン300a乃至hにおいて、搬入された箱の有無を境として棚面に段差が生じることになる。
【0057】
このように、搬入された箱が箱受け摺動部220に載せられた場合には、複数の摺動ライン300において、搬入された箱の有無を境として棚面に段差が生じるため、この段差が左右方向(箱の搬入・搬出方向と直交する方向)の位置ずれを規制する壁となる。すなわち、搬入された箱が箱受け摺動部220に載せられた場合には、箱の重量のみにより、箱の左右方向(箱の搬入・搬出方向と直交する方向)の位置ずれを規制する壁が形成される。これにより、箱受け摺動部220において、箱が搬入された位置(箱の搬入・搬出方向と直交する方向の位置)が保持され続ける。
【0058】
例えば、図6(2)に示すように、比較的小さい部品箱31が箱受け摺動部220に載せられた場合には、摺動ライン300a乃至hにおいて、搬入された部品箱31の有無を境として棚面に段差が生じることになる。具体的には、摺動ライン300cと摺動ライン300dとの間に段差が生じ、摺動ライン300eと摺動ライン300fとの間に段差が生じる。この段差が左右方向(箱の搬入・搬出方向と直交する方向)の位置ずれを規制する壁となる。すなわち、摺動ライン300c及び摺動ライン300fの側面側が、搬入された部品箱31の左右方向(箱の搬入・搬出方向と直交する方向)の位置ずれを規制する壁となる。これにより、例えば、図7(1)(2)に示すように、部品箱31が矢印51方向に搬送された場合でも、箱受け摺動部220において、部品箱31が搬入された左右方向の位置(箱の搬入・搬出方向と直交する方向の位置)が保持され続ける。
【0059】
すなわち、摺動ライン300a乃至hの上面の箱受け部350が部品箱31の自重により沈降した幅(摺動ライン300c、f間の幅)において、部品箱31の載置されていない隣接摺動ライン(摺動ライン300c、f)における箱受け部350の側面側は、沈降した箱受け部350(摺動ライン300d、e)よりも上方位置となり、移動する部品箱31の側面に当接して部品箱31の横方向の位置ゆがみを規制する幅員規制物とすることができる。
【0060】
また、例えば、図6(3)に示すように、比較的大きい部品箱41が箱受け摺動部220に載せられた場合には、摺動ライン300a乃至hにおいて、搬入された部品箱41の有無を境として棚面に段差が生じることになる。具体的には、摺動ライン300bと摺動ライン300cとの間に段差が生じ、摺動ライン300fと摺動ライン300gとの間に段差が生じる。この段差が左右方向(箱の搬入・搬出方向と直交する方向)の位置ずれを規制する壁となる。すなわち、摺動ライン300b及び摺動ライン300gの側面側が、搬入された部品箱41の左右方向(箱の搬入・搬出方向と直交する方向)の位置ずれを規制する壁となる。これにより、例えば、図8(1)(2)に示すように、部品箱41が矢印61方向に搬送された場合でも、箱受け摺動部220において、部品箱41が搬入された左右方向の位置(箱の搬入・搬出方向と直交する方向の位置)が保持され続ける。
【0061】
すなわち、摺動ライン300a乃至hの上面の箱受け部350が部品箱41の自重により沈降した幅(摺動ライン300b、g間の幅)において、部品箱41の載置されていない隣接摺動ライン(摺動ライン300b、g)における箱受け部350の側面側は、沈降した箱受け部350(摺動ライン300c乃至f)よりも上方位置となり、移動する部品箱41の側面に当接して部品箱41の横方向の位置ゆがみを規制する幅員規制物とすることができる。
【0062】
このように、本発明の実施の形態における搬送機構は、箱を自重により摺動させる箱受け摺動部220と、箱受け摺動部220において箱の摺動方向に複数列に併設される摺動ライン300a乃至hと、摺動ライン300a乃至hの上面の箱受け部350を箱の自重により浮沈自在に構成した摺動ライン昇降機構330とより構成される。また、これらの各部により箱位置ずれ防止機構を構成することができる。
【0063】
また、本発明の実施の形態における搬送機構は、摺動ライン300a乃至hの上面の箱受け部350が箱の自重により沈降した幅において、箱の載置されていない隣接摺動ラインにおける箱受け部350の側面側は、沈降した箱受け部350より上方位置となり、移動する箱の側面に当接して箱の横方向の位置ゆがみを規制する幅員規制物とすることができる。すなわち、本発明の実施の形態における搬送機構は、箱位置ずれ防止機構としても把握することができる。
【0064】
なお、箱の横方向の位置ずれを防止する技術として、例えば、箱台車の載置面に収容された箱の幅方向の両側から可変壁を幅寄して箱を挟み込み位置ずれを防ぐことが考えられる。例えば、箱を搬送する棚に可変な壁(箱の横方向に可変な壁)と、その壁を動かすための駆動手段とを棚毎に設け、その駆動手段を制御するための制御回路と、その制御回路への給電手段とをさらに設けることが考えられる。しかし、これらを搬送機構毎に設ける場合には、搬送機構を構成する部品数が増加し、複雑な構造となるため、搬送機構の製造コストが増加する。また、搬送機構を台車に設ける場合には、台車の重量が増加するとともに、複雑な構造のため箱搭載のための空間が減少するおそれがある。
【0065】
これに対して、本発明の実施の形態では、箱台車200の棚面が沈下する構造とし、搬入された部品箱の重量により、沈下した棚面と沈下していない棚面との間で生じる段差を利用して箱の位置規制を行うことができる。すなわち、本発明の実施の形態では、箱の重量のみで横方向(搬送方向と直交する方向)の位置規制が可能となる。この場合に、位置規制のための可変壁やその壁を動かすための駆動手段が不要となるため、その駆動手段を制御するための制御回路やその制御回路への給電手段も不要となる。このため、箱台車200の構造の簡素化を図ることができる。また、箱台車200を構成する部品数の削減により、箱台車200の重量の軽量化することができ、箱台車200の低コスト化を実現することができる。また、構成部品の削減により、荷物積載量を向上させることができ、積載率を向上させることができる。
【0066】
また、サイズの異なる箱(例えば、重量級箱、小さい箱)を搬送対象とする場合でも、適切に搬送することができる。
【0067】
また、箱台車200に載置した荷物への揺動を可及的に減少することで搬送する部品同士が接触することによる破損を低減することができる。
【0068】
なお、本発明の実施の形態では、箱台車200の箱受け摺動部220において8の摺動ライン300a乃至hを備える例を示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、箱台車200の箱受け摺動部220において4乃至7、9以上の摺動ライン300を備える場合についても本発明の実施の形態を適用することができる。
【0069】
なお、本発明の実施の形態では、箱台車200における箱受け摺動部220を搬送機構の一例として示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、固定して設置される搬送機構についても本発明の実施の形態を適用することができる。
【0070】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0071】
200 箱台車
201~204 車輪
210 基部フレーム
220 箱受け摺動部
221 支持体
222 フレーム
223~226 スライド部材
231~234 昇降チェーン
241~244 スライドガイド
251、252 バランサー
260、265 ラッチ機構
261、266 係合爪
262 レバー体
270、275 連結部
280~283、285、286、288、289 ギア
284、287 回転体
300a~h 摺動ライン
330 摺動ライン昇降機構
331 第1リンク部材
332 第2リンク部材
333 第3リンク部材
341、342 支持体
350 箱受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8