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▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
G06F3/01 560
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019164222
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021043615
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】大西 剛史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 史明
(72)【発明者】
【氏名】中井 裕真
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-011376(JP,A)
【文献】特開2004-192413(JP,A)
【文献】特表2017-508191(JP,A)
【文献】特開2004-058695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させる制御部を備え、
前記制御部は、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値(Peak-to-peak value)と、振動によって前記接触領域に加わる加速度が前記加速度の第1の極値を基準とする第1の割合の値になる最初の時刻から前記加速度が前記加速度の第2の極値を基準とする第2の割合の値になる最後の時刻までの時間である加速度時間と、を調整し、
前記制御部は、前記加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくなるように調整する場合、前記加速度時間を第3の基準値よりも大きくなるように調整し、
前記第2の基準値は、前記接触領域の振動が痛覚として知覚される前記加速度ピークピーク値であり、
前記第3の基準値は、前記接触領域の振動を知覚可能な前記加速度時間である、制御装置。
【請求項2】
前記第3の基準値は、調整が加えられる前の前記加速度時間である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させる制御部を備え、
前記制御部は、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値(Peak-to-peak value)と、振動によって生じる前記接触領域の変位が前記変位の最大値を基準とする第3の割合の値になる時刻から、前記変位が前記変位の最大値を基準とする第4の割合の値になる時刻までの時間である変位立ち上がり時間と、を調整し、
前記制御部は、前記加速度ピークピーク値を第1の基準値よりも大きくなるように調整する場合、前記変位立ち上がり時間を第6の基準値よりも小さくなるように調整し、
前記第1の基準値は、前記接触領域の振動を知覚不能な前記加速度ピークピーク値であり、
前記第6の基準値は、前記接触領域の振動を知覚不能な前記変位立ち上がり時間であり、
前記第4の割合は前記第3の割合よりも大きい、制御装置。
【請求項4】
前記第6の基準値は、調整が加えられる前の前記変位立ち上がり時間である、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記加速度ピークピーク値を第1の基準値よりも大きくなるように調整する場合、前記加速度時間を第4の基準値よりも小さくなるように調整し、
前記第1の基準値は、前記接触領域の振動を知覚不能な前記加速度ピークピーク値であり、
前記第4の基準値は、前記接触領域の振動を知覚不能な前記加速度時間である、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくなるように調整する場合、前記変位立ち上がり時間を第5の基準値よりも大きくなるように調整し、
前記第2の基準値は、前記接触領域の振動が痛覚として知覚される前記加速度ピークピーク値であり、
前記第5の基準値は、前記接触領域の振動を知覚可能な前記変位立ち上がり時間である、請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項7】
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させること、
を含み、
前記接触領域を振動させることは、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値と、振動によって前記接触領域に加わる加速度が前記加速度の第1の極値を基準とする第1の割合の値になる最初の時刻から前記加速度が前記加速度の第2の極値を基準とする第2の割合の値になる最後の時刻までの時間である加速度時間と、を調整することを含み、
前記接触領域を振動させることは、前記加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくなるように調整する場合、前記加速度時間を第3の基準値よりも大きくなるように調整することを含み、
前記第2の基準値は、前記接触領域の振動が痛覚として知覚される前記加速度ピークピーク値であり、
前記第3の基準値は、前記接触領域の振動を知覚可能な前記加速度時間である、制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させる制御部、
として機能させ、
前記制御部は、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値と、振動によって前記接触領域に加わる加速度が前記加速度の第1の極値を基準とする第1の割合の値になる最初の時刻から前記加速度が前記加速度の第2の極値を基準とする第2の割合の値になる最後の時刻までの時間である加速度時間と、を調整し、
前記制御部は、前記加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくなるように調整する場合、前記加速度時間を第3の基準値よりも大きくなるように調整し、
前記第2の基準値は、前記接触領域の振動が痛覚として知覚される前記加速度ピークピーク値であり、
前記第3の基準値は、前記接触領域の振動を知覚可能な前記加速度時間である、プログラム。
【請求項9】
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させること、
を含み、
前記接触領域を振動させることは、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値と、振動によって生じる前記接触領域の変位が前記変位の最大値を基準とする第3の割合の値になる時刻から、前記変位が前記変位の最大値を基準とする第4の割合の値になる時刻までの時間である変位立ち上がり時間と、を調整することを含み、
前記接触領域を振動させることは、前記加速度ピークピーク値を第1の基準値よりも大きくなるように調整する場合、前記変位立ち上がり時間を第6の基準値よりも小さくなるように調整することを含み、
前記第1の基準値は、前記接触領域の振動を知覚不能な前記加速度ピークピーク値であり、
前記第6の基準値は、前記接触領域の振動を知覚不能な前記変位立ち上がり時間であり、
前記第4の割合は前記第3の割合よりも大きい、制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、
対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させる制御部、
として機能させ、
前記制御部は、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値と、振動によって生じる前記接触領域の変位が前記変位の最大値を基準とする第3の割合の値になる時刻から、前記変位が前記変位の最大値を基準とする第4の割合の値になる時刻までの時間である変位立ち上がり時間と、を調整し、
前記制御部は、前記加速度ピークピーク値を第1の基準値よりも大きくなるように調整する場合、前記変位立ち上がり時間を第6の基準値よりも小さくなるように調整し、
前記第1の基準値は、前記接触領域の振動を知覚不能な前記加速度ピークピーク値であり、
前記第6の基準値は、前記接触領域の振動を知覚不能な前記変位立ち上がり時間であり、
前記第4の割合は前記第3の割合よりも大きい、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザ操作に対しフィードバックを出力する技術が盛んに検討されている。例えば、下記特許文献1では、ユーザが操作受付部を押下した場合に操作受付部を振動させることで、ユーザに対し触覚をフィードバックする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-287231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、単なる振動がフィードバックされるのみであった。そのため、フィードバックは、ユーザ操作が受け付けられたか否かをユーザに通知するもの以上の意味を持たなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、フィードバックの表現力を向上させることが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させる制御部を備え、前記制御部は、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値(Peak-to-peak value)を調整する、制御装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させること、を含み、前記接触領域を変化させることは、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値を調整することを含む、制御方法が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、対象物が接触する接触領域を有する入力部に対して前記対象物による前記接触領域への接触を伴う操作がなされたと判定された場合、前記接触領域を振動させる制御部、として機能させ、前記制御部は、前記接触領域を振動させる制御における制御パラメータとして、振動によって前記接触領域に加わる加速度の極大値と極小値との間の差分である加速度ピークピーク値を調整する、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、フィードバックの表現力を向上させることが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る制御パラメータと制御パラメータを調整することで創出される感覚との関係の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る制御パラメータの一例を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る制御パラメータの一例を説明するための図である。
図5】本実施形態に係るシステムにおいて実行されるフィードバック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.構成例>
図1は、本開示の一実施形態に係るシステム1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、入力装置100及び制御装置200を含む。とりわけ、図1において、入力装置100は、断面図として図示されている。また、図1において、制御装置200は、ブロック図として図示されている。
【0013】
(1)入力装置100
入力装置100は、対象物による接触を伴う操作を受け付ける装置である。対象物とは、入力装置100を操作して情報を入力する任意の物体である。例えば、対象物としては、ユーザの指、手の平、ユーザが手に持つ各種の物体等が挙げられる。対象物による接触を伴う操作としては、例えば、後述する操作受付部110の接触領域111を押し下げる操作である押下操作が挙げられる。入力装置100は、本発明における入力部の一例である。
【0014】
図1に示すように、入力装置100は、操作受付部110、検出部120、アクチュエータ130、及び支持材140を含む。そして、図1に示すように、操作受付部110、検出部120、アクチュエータ130、及び支持材140は、一方向に沿って、順に設けられている。かかる一方向のうち、操作受付部110の方を上方とも称し、支持材140の方を下方とも称する。
【0015】
操作受付部110は、対象物による接触を伴う操作を受け付ける部材である。操作受付部110は、対象物が接触する接触領域111を有する。接触領域111とは、対象物が接触する領域である。
【0016】
本実施形態においては、操作受付部110をタッチパネルとして構成してもよい。この場合、上方から見た接触領域111の形状は、長方形、円形又は角丸長方形等、任意である。なお、操作受付部110は、対象物による接触を伴う操作を受け付ける部材であれば、タッチパネルとして構成されている場合に限らず、操作を受け付ける各種のボタン、各種のノブ、各種のレバーなどとして構成されていてもよい。
【0017】
検出部120は、操作受付部110を介した操作を検出するための指標を出力するセンサである。本実施形態における検出部120は、例えば、操作受付部110にかかる圧力を検出する感圧センサであってもよい。そして、検出部120は、検出した圧力を示すセンサ情報を制御装置200に送信する。
【0018】
なお、本発明における検出部120は、感圧センサに限らず、操作受付部110を介した操作を検出するための指標を出力するセンサであれば、操作受付部110にかかる力を検出して出力する力センサであってもよいし、操作受付部110にかかる荷重を検出して出力する荷重センサであってもよい。さらには、検出部120は、操作受付部110の操作によって導線を導通遮断する接点であってもよい。
【0019】
アクチュエータ130は、制御装置200による制御に基づいて振動する。アクチュエータ130は、例えば、リニアモータアクチュエータ及びボイスコイルモータ等により構成される。
【0020】
ここで、操作受付部110と検出部120とアクチュエータ130とは接続される。従って、アクチュエータ130が振動すると、それに連動して操作受付部110も振動する。
【0021】
支持材140は、入力装置100が含む各構成要素を支持する部材である。支持材140は、アクチュエータ130を支持する。
【0022】
(2)制御装置200
制御装置200は、システム1全体の動作を制御する装置である。図1に示すように、制御装置200は、制御部210及び記憶部220を含む。
【0023】
記憶部220は、制御装置200による動作のための各種情報を記憶する機能を有する。例えば、記憶部220は、後述する制御パラメータの各種基準値を記憶する。記憶部220は、例えば、フラッシュメモリ等の任意の記録媒体、及び当該記録媒体への情報の読み書きを実行する記録再生装置を含む。
【0024】
制御部210は、システム1の動作全般を制御する。制御部210は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、及びECU(Electronic Control Unit)等の電子回路により実現される。例えば、制御部210は、検出部120から受信したセンサ情報に基づいて操作受付部110を振動させる。詳しくは、制御部210は、センサ情報に基づいて、操作受付部110に対し対象物による接触領域111への接触を伴う操作がなされたか否かを判定する。例えば、制御部210は、検出部120により検出された圧力が所定の閾値を超えた場合に当該操作がなされたと判定し、検出部120により検出された圧力が所定の閾値を超えない場合に当該操作がなされていないと判定する。そして、制御部210は、操作受付部110に対し対象物による接触を伴う操作がなされたと判定された場合、アクチュエータ130を振動させることで、操作受付部110(より正確には、接触領域111)を振動させる。これにより、ユーザは、操作受付部110に対し接触を伴う操作を行うと、振動によるフィードバックを受けることが可能となる。
【0025】
<2.技術的特徴>
制御部210は、操作受付部110を振動させる制御における制御パラメータを調整する。制御パラメータとは、操作受付部110の振動を定義する値である。例えば、振動を定義するパラメータは、加速度に関するパラメータ、及び変位に関するパラメータ等を含む。制御部210は、調整後の制御パラメータに従った振動をアクチュエータ130に出力させるための信号を生成し、生成した信号をアクチュエータ130に入力する。これにより、アクチュエータ130、さらには操作受付部110を、調整後の制御パラメータに従って振動させることができる。また、制御パラメータを調整することで、様々な感覚を創出することが可能となる。換言すると、制御パラメータを適切に調整することで、所望の感覚をユーザに知覚させることが可能となる。これにより、フィードバックの表現力が向上する。制御パラメータを調整することで様々な感覚が創出される点について、図2を参照しながら詳しく説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る制御パラメータと制御パラメータを調整することで創出される感覚との関係の一例を示す図である。図2の左側は制御パラメータであり、右側は感覚である。図2に示した関係は、本発明者らが行った実験により明らかになった関係である。本発明者らは、制御パラメータを変化させたときに、入力装置100に対し押下操作を行ってフィードバックを受けたユーザがどのような感覚を知覚したかを回答させる実験を行った。そして、本発明者らは、複数人のユーザに対する実験結果に基づいて、制御パラメータと感覚との組み合わせに関し相関分析を行った。
【0027】
図2において、実線のリンクで接続された制御パラメータと感覚との組み合わせは、第1の閾値以上の相関係数が算出された、正の相関関係を有する組み合わせである。即ち、制御パラメータを正の方向に変化させると、当該制御パラメータと実線のリンクで接続された感覚が正の方向に変化する。ここで、制御パラメータを正の方向に変化させるとは、制御パラメータの値を大きくすることを指す。また、感覚が正の方向に変化するとは、典型的には、ユーザに知覚される感覚が強くなることを指す。一方で、制御パラメータを負の方向に変化させると、当該制御パラメータと実線のリンクで接続された感覚が負の方向に変化する。ここで、制御パラメータを負の方向に変化させるとは、制御パラメータの値を小さくすることを指す。また、感覚が負の方向に変化するとは、典型的には、ユーザに知覚される感覚が弱くなることを指す。なお、第1の閾値の一例として、0.6が考えられる。
【0028】
図2において、破線のリンクで接続された制御パラメータと感覚との組み合わせは、第2の閾値以下の相関係数が算出された、負の相関関係を有する組み合わせである。即ち、制御パラメータを正の方向に変化させると、当該制御パラメータと破線のリンクで接続された感覚が負の方向に変化する。一方で、制御パラメータを負の方向に変化させると、当該制御パラメータと破線のリンクで接続された感覚が正の方向に変化する。なお、第2の閾値の一例として、-0.6が考えられる。
【0029】
(1)創出される感覚
図2に示すように、創出される感覚は、鋭さ感、明快さ、キレ感、硬軟感、スポーティ感、及び金属感を含む。以下、各感覚について説明する。
【0030】
鋭さ感(acuteness)とは、所定の時間における急峻な変化として感じる感覚である。鋭さ感として鋭いと知覚することは、所定の時間における変化を急峻な変化として感じることを指す。鋭さ感として鈍いと知覚することは、所定の時間における変化を急峻でない変化として感じることを指す。ここで、鋭さ感が正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して鋭いと知覚することを指す。鋭さ感が負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して鈍いと知覚することを指す。
【0031】
明快さ(lucidness)とは、振動したことが知覚しやすいと感じる感覚である。明快さがあると知覚することは、振動したことを知覚しやすいと感じることを指す。明快さがないと知覚することは、振動したことを知覚にしにくいと感じることを指す。ここで、明快さが正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して明快さがあると知覚することを指す。明快さが負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して明快さがないと知覚することを指す。
【0032】
キレ感(sharpness)とは、目標の終端が明確に感じられる感覚である。キレ感があると知覚することは、目標の終端を明確に感じることを指す。キレ感がないと知覚することは、目標の終端を不明確に感じることを指す。ここで、キレ感が正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較してキレ感があると知覚することを指す。キレ感が負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較してキレ感がないと知覚することを指す。
【0033】
硬軟感(hardness)とは、所定の時間の中で、滑らかに変化する度合いを示す感覚である。硬軟感として硬いと知覚することは、所定の時間の中で滑らかに変化する度合いが低く、滑らかではないと感じることを指す。硬軟感として軟らかいと知覚することは、所定の時間の中で滑らかに変化する度合いが高く、滑らかであると感じることを指す。ここで、硬軟感が正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して硬いと知覚することを指す。硬軟感が負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して軟らかいと知覚することを指す。
【0034】
スポーティ感(sportiness)とは、軽快でメリハリのある感覚である。スポーティ感があると知覚することは、軽快でメリハリがあると感じることを指す。スポーティ感がないと知覚することは、軽快でなくメリハリがないと感じることを指す。ここで、スポーティ感が正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較してスポーティ感があると知覚することを指す。スポーティ感が負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較してスポーティ感がないと知覚することを指す。
【0035】
金属感(sense of metal)とは、重たく、小さく、高く、且つ一体感を感じられる感覚である。金属感があると知覚することは、重たく、小さく、高く、且つ一体感があると感じることを指す。金属感がないと知覚することは、軽く、大きく、低く、且つ一体感がないと感じることを指す。ここで、金属感が正の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して金属感があると知覚することを指す。金属感が負の方向に変化するとは、ユーザが、変化前と比較して金属感がないと知覚することを指す。
【0036】
(2)制御パラメータの調整
調整される制御パラメータとしては、加速度ピークピーク値(Peak-to-peak value)が挙げられる。本実施形態においては、加速度時間、及び変位立ち上がり時間のうちの少なくとも一方を、加速度ピークピーク値に加えて、調整される制御パラメータとしてもよい。以下、各制御パラメータの調整について説明する。
【0037】
-加速度ピークピーク値
加速度ピークピーク値とは、振動によって操作受付部110(より正確には、接触領域111)に加わる加速度の極大値と極小値との間の変化量である。加速度ピークピーク値について、図3を参照しながら詳しく説明する。
【0038】
図3は、本実施形態に係る制御パラメータの一例を説明するための図である。図3の縦軸は、加速度である。加速度の単位はGである。図3の横軸は時間を示している。時間の単位はミリ秒である。図3では、振動によって操作受付部110に加わる加速度の時系列変化が示されている。図3における期間10は、制御部210による制御に基づいてアクチュエータ130が振動を出力する期間である。
【0039】
ここでは一例として、期間10において1周期の振動が出力されている。期間10以降の加速度変化は、制御部210による制御に基づくアクチュエータ130の振動が停止した後の惰性の振動による、操作受付部110の加速度変化である。ここで、制御パラメータとしての加速度ピークピーク値は、制御部210による制御に基づいて操作受付部110が振動を出力する期間内の加速度ピークピーク値に限定されてもよい。即ち、惰性で振動する区間内の加速度ピークピーク値は、制御パラメータとしての加速度ピークピーク値には含まれなくてもよい。図3に示した例では、加速度ピークピーク値13は、期間10における1周期の振動により操作受付部110に加わる加速度の極大値12と極小値11との間の差分である。ここで、加速度の極大値12は期間10における加速度の最大値でもあり、加速度の極小値11は期間10における加速度の最小値でもある。よって、加速度ピークピーク値は、振動によって操作受付部110に加わる加速度の最大値と最小値との間の差分であるとも捉えられてもよい。
【0040】
制御部210は、加速度ピークピーク値を調整する。図2に示すように、加速度ピークピーク値は、鋭さ感、明快さ、キレ感、硬軟感、スポーティ感、及び金属感との間で、正の相関関係を有する。そのため、加速度ピークピーク値を正の方向に調整することで、これらの感覚を正の方向に変化させることが可能となる。また、加速度ピークピーク値を負の方向に調整することで、これらの感覚を負の方向に変化させることが可能となる。
【0041】
一例として、制御部210は、加速度ピークピーク値を第1の基準値よりも大きくなるように調整してもよい。例えば、第1の基準値は、操作受付部110の振動が知覚不能な加速度ピークピーク値である。第1の基準値の一例は、0である。加速度ピークピーク値が大きいほど、振動は強くなり、ユーザに振動が知覚されやすくなる。よって、調整後の加速度ピークピーク値が、操作受付部110の振動を知覚可能な加速度ピークピーク値である場合、ユーザに振動を知覚させることが可能となる。さらには、図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、鋭く、明快さがあり、キレ感があり、硬く、スポーティ感があり、且つ金属感がある、とユーザに知覚させることが可能となる。もしくは、第1の基準値は、操作受付部110の振動を知覚可能な加速度ピークピーク値であってもよい。その場合、調整前後で共に振動が知覚されるので、調整による感覚の変化をユーザに明確に知覚させることが可能となる。
【0042】
なお、第1の基準値として、調整が加えられる前の加速度ピークピーク値を用いても良い。この場合、加速度ピークピーク値を第1の基準値よりも大きくなるように調整することで、鋭く、明快さがあり、キレ感があり、硬く、スポーティ感があり、且つ金属感ある、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0043】
他の一例として、制御部210は、加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくなるように調整してもよい。例えば、第2の基準値は、操作受付部110の振動が痛覚として知覚される加速度ピークピーク値である。第2の基準値の一例は、無限大である。制御部210は、加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくすることで、ユーザに知覚される痛覚を和らげることが可能となる。さらには、図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、鈍く、明快さがなく、キレ感がなく、軟らかく、スポーティ感がなく、且つ金属感がない、とユーザに知覚させることが可能となる。もしくは、第2の基準値は、操作受付部110の振動を知覚可能な加速度ピークピーク値であってもよく、さらには痛覚として知覚されない加速度ピークピーク値であってもよい。その場合、調整前後で共に痛覚が知覚されずに振動が知覚されるので、調整による感覚の変化をユーザに明確に知覚させることが可能となる。
【0044】
さらには、第2の基準値として、調整が加えられる前の加速度ピークピーク値を用いても良い。この場合、加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくなるように調整することで、鈍く、明快さがなく、キレ感がなく、軟らかく、スポーティ感がなく、且つ金属感がない、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0045】
-加速度時間
加速度時間は、振動によって操作受付部110(より正確には、接触領域111)に加わる加速度が当該加速度の第1の極値を基準とする第1の割合の値になる最初の時刻から、当該加速度が当該加速度の第2の極値を基準とする第2の割合の値になる最後の時刻までの時間である。ここで、第1の極値は、極小値であってもよいし、極大値であってもよい。さらに、第2の極値は、極小値であってもよいし、極大値であってもよい。第1の極値が極大値である場合、第2の極値は極小値であることが望ましい。他方、第1の極値が極小値である場合、第2の極値は極大値であることが望ましい。なお、極小値は最小値であってもよい。また、極大値は最大値であってもよい。
【0046】
振動開始後最初に操作受付部110に加わる加速度が正の加速度である場合、加速度時間の始期は、加速度が、加速度の最大値(第1の極値の一例)を基準とする第1の割合の値になる最初の時刻である。また、振動開始後最初に操作受付部110に加わる加速度が負の加速度である場合、加速度時間の始期は、加速度が、加速度の最小値(第1の極値の一例)を基準とする第1の割合の値になる最初の時刻である。
【0047】
他方、振動終了前最後に操作受付部110に加わる加速度が正の加速度である場合、加速度時間の終期は、加速度が、加速度の最大値(第2の極値の一例)を基準とする第2の割合の値になる最後の時刻である。また、振動終了前最後に操作受付部110に加わる加速度が負の加速度である場合、加速度時間の終期は、加速度の最小値(第2の極値の一例)を基準とする第2の割合の値になる最後の時刻である。
【0048】
ここで、制御パラメータとしての加速度時間は、制御部210による制御に基づいて操作受付部110が振動を出力する期間内の時間に限定されてもよい。即ち、惰性で振動する区間内の時間は、制御パラメータとしての加速度時間には含まれなくてもよい。なお、第1の割合及び第2の割合は、それぞれ、0%から100%までの任意の割合である。図3に示した例では、加速度時間16は、期間10における1周期の振動において、加速度が、加速度の最小値の10%になる最初の時刻14から、加速度の最大値の10%になる最後の時刻15までの時間である。
【0049】
なお、第1の割合及び第2の割合は、0%であってもよい。その場合、加速度時間は、振動によって操作受付部110に加わる加速度が0である最初の時刻から、加速度が0である最後の時刻までの時間となる。換言すると、加速度時間は、振動が開始してから終了するまでの時間となる。
【0050】
制御部210は、加速度時間を調整する。図2に示すように、加速度時間は、鋭さ感、明快さ、キレ感、硬軟感、スポーティ感、及び金属感との間で、負の相関関係を有する。そのため、加速度ピークピーク値を正の方向に調整することで、これらの感覚を負の方向に変化させることが可能となる。また、加速度ピークピーク値を負の方向に調整することで、これらの感覚を正の方向に変化させることが可能となる。
【0051】
一例として、制御部210は、加速度時間を第3の基準値よりも大きくなるように調整してもよい。例えば、第3の基準値は、操作受付部110の振動を知覚可能な加速度時間である。第3の基準値の一例は、0である。加速度時間が大きいほど、振動は緩慢になるので、ユーザに振動を知覚されにくくすることができる。さらには、図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、鈍く、明快さがなく、キレ感がなく、軟らかく、スポーティ感がなく、且つ金属感がない、とユーザに知覚させることが可能となる。
【0052】
なお、第3の基準値として、調整が加えられる前の加速度時間を用いても良い。この場合、加速度時間を第3の基準値よりも大きくなるように調整することで、鈍く、明快さがなく、キレ感がなく、軟らかく、スポーティ感がなく、且つ金属感がない、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0053】
他の一例として、制御部210は、加速度時間を第4の基準値よりも小さくなるように調整してもよい。例えば、第4の基準値は、操作受付部110の振動を知覚不能な加速度時間である。第4の基準値の一例は、無限大である。加速度時間が小さいほど、振動は急激になるので、ユーザに振動を知覚されやすくすることができる。さらには、図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、鋭く、明快さがあり、キレ感があり、硬く、スポーティ感があり、且つ金属感がある、とユーザに知覚させることが可能となる。もしくは、第4の基準値は、操作受付部110の振動を知覚可能な加速度時間であってもよい。その場合、調整前後で共に振動が知覚されるので、調整による感覚の変化をユーザに明確に知覚させることが可能となる。
【0054】
なお、第4の基準値として、調整が加えられる前の加速度時間を用いても良い。この場合、加速度時間を第4の基準値よりも小さくなるように調整することで、鋭く、明快さがあり、キレ感があり、硬く、スポーティ感があり、且つ金属感がある、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0055】
-変位立ち上がり時間
変位立ち上がり時間は、振動によって生じる操作受付部110(より正確には、接触領域111)の変位が当該変位の最大値を基準とする第3の割合の値になる最初の時刻から、当該変位が当該変位の最大値を基準とする第4の割合の値になる最初の時刻までの時間である。ここで、第4の割合は第3の割合よりも大きい。変位立ち上がり時間について、図4を参照しながら詳しく説明する。
【0056】
図4は、本実施形態に係る制御パラメータの一例を説明するための図である。図4の縦軸は、変位である。変位の単位はマイクロメートルである。図4の横軸は時間を示している。時間の単位はミリ秒である。図4では、振動によって生じる操作受付部110の変位の時系列変化が示されている。図4における期間20は、制御部210による制御に基づいてアクチュエータ130が振動を出力する期間である。ここでは一例として、期間20において1周期の振動が出力されている。期間20以降にも、制御部210による制御に基づくアクチュエータ130の振動が停止した後の惰性の振動により、変位は生じ得る。ここで、制御パラメータとしての変位立ち上がり時間は、制御部210による制御に基づいて操作受付部110が振動を出力する期間内の時間に限定されてもよい。即ち、惰性で振動する区間内の時間は、制御パラメータとしての変位立ち上がり時間には含まれなくてもよい。図4に示した例では、第3の割合は10%であり、第4の割合は90%である。そのため、変位立ち上がり時間24は、変位が変位の最大値21を基準とする10%の値になる時刻22から、変位が変位の最大値21を基準とする90%の値になる時刻23までの時間である。
【0057】
なお、第3の割合は0%であってもよく、第4の割合は100%であってもよい。その場合、変位立ち上がり時間は、振動によって生じる操作受付部110の変位が最小である時刻から変位が最大となる時刻までの時間となる。換言すると、変位立ち上がり時間は、振動が開始してから変位が最大となるまでの時間となる。
【0058】
制御部210は、変位立ち上がり時間を調整する。これにより、図2に示すように、鋭さ感、明快さ、キレ感、スポーティ感、及び金属感、といったユーザに知覚される感覚を調整することが可能となる。図2に示すように、変位立ち上がり時間は、鋭さ感、明快さ、キレ感、スポーティ感、及び金属感との間で、負の相関関係を有する。そのため、変位立ち上がり時間を正の方向に調整することで、これらの感覚を負の方向に変化させることが可能となる。また、変位立ち上がり時間を負の方向に調整することで、これらの感覚を正の方向に変化させることが可能となる。
【0059】
一例として、制御部210は、変位立ち上がり時間を第5の基準値よりも大きくなるように調整してもよい。例えば、第5の基準値は、操作受付部110の振動を知覚可能な変位立ち上がり時間である。第5の基準値の一例は、0である。変位立ち上がり時間が大きいほど、振動は緩慢になるので、ユーザに振動を知覚されにくくすることができる。さらには、図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、鈍く、明快さがなく、キレ感がなく、スポーティ感がなく、且つ金属感がない、とユーザに知覚させることが可能となる。
【0060】
なお、第5の基準値として、調整が加えられる前の変位立ち上がり時間を用いても良い。この場合、変位立ち上がり時間を第5の基準値よりも大きくなるように調整することで、鈍く、明快さがなく、キレ感がなく、スポーティ感がなく、且つ金属感がない、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0061】
他の一例として、制御部210は、変位立ち上がり時間を第6の基準値よりも小さくなるように調整してもよい。例えば、第6の基準値は、操作受付部110の振動を知覚不能な変位立ち上がり時間である。第6の基準値の一例は、無限大である。変位立ち上がり時間が小さいほど、振動は急激になるので、ユーザに振動を知覚されやすくすることができる。さらには、図2に示すように、かかる調整により、調整前と比較して、鋭く、明快さがあり、キレ感があり、スポーティ感があり、且つ金属感がある、とユーザに知覚させることが可能となる。もしくは、第6の基準値は、操作受付部110の振動を知覚可能な変位立ち上がり時間であってもよい。その場合、調整前後で共に振動が知覚されるので、調整による感覚の変化をユーザに明確に知覚させることが可能となる。
【0062】
なお、第6の基準値として、調整が加えられる前の変位立ち上がり時間を用いても良い。この場合、変位立ち上がり時間を第6の基準値よりも小さくなるように調整することで、鋭く、明快さがあり、キレ感があり、スポーティ感があり、且つ金属感がある、とユーザに知覚させることを、より柔軟に制御できる。
【0063】
(3)制御パラメータの調整の組み合わせ
制御部210は、制御パラメータとして加速度ピークピーク値を調整する。また、制御部210は、加速度ピークピーク値に代えて、加速度時間を調整してもよい。また、制御部210は、加速度ピークピーク値に代えて、変位立ち上がり時間を調整してもよい。即ち、制御部210は、加速度ピークピーク値、加速度時間、及び変位立ち上がり時間のうち1つを、単体で調整してもよい。さらに、制御部210は、加速度ピークピーク値と共に、加速度時間、及び変位立ち上がり時間のうち少なくとも1つを調整してもよい。
【0064】
一例として、制御部210は、加速度ピークピーク値と共に加速度時間を調整してもよい。図2に示すように、加速度ピークピーク値と加速度時間とは、鋭さ感、明快さ、キレ感、硬軟感、スポーティ感、及び金属感とリンクで接続されている点で共通している。一方で、加速度ピークピーク値と加速度時間とで、これらと共通にリンクで接続される感覚との相関関係は正負逆である。そこで、制御部210は、加速度ピークピーク値と加速度時間とを共に調整する場合、加速度ピークピーク値及び加速度時間を、互いに正負逆方向に変化させる。これにより、加速度ピークピーク値及び加速度時間と共通にリンクで接続されている感覚の、正の方向への変化又は負の方向への変化を、より強めることが可能となる。
【0065】
詳しくは、制御部210は、加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくなるように調整する場合、加速度時間を第3の基準値よりも大きくなるように調整する。これにより、加速度ピークピーク値又は加速度時間を単体で調整する場合と比較して、鈍く、明快さがなく、キレ感がなく、軟らかく、スポーティ感がなく、且つ金属感がない、といった感覚をより強くユーザに知覚させることが可能となる。一方で、制御部210は、加速度ピークピーク値を第1の基準値よりも大きくなるように調整する場合、加速度時間を第4の基準値よりも小さくなるように調整する。これにより、加速度ピークピーク値又は加速度時間を単体で調整する場合と比較して、鋭く、明快さがあり、キレ感があり、硬く、スポーティ感があり、且つ金属感がある、といった感覚をより強くユーザに知覚させることが可能となる。
【0066】
他の一例として、制御部210は、加速度ピークピーク値と共に変位立ち上がり時間を調整してもよい。図2に示すように、加速度ピークピーク値と変位立ち上がり時間とは、鋭さ感、明快さ、キレ感、スポーティ感、及び金属感とリンクで接続されている点で共通している。一方で、加速度ピークピーク値と変位立ち上がり時間とで、これらと共通にリンクで接続される感覚との相関関係は正負逆である。そこで、制御部210は、加速度ピークピーク値と変位立ち上がり時間とを共に調整する場合、加速度ピークピーク値及び変位立ち上がり時間を、互いに正負逆方向に変化させる。これにより、加速度ピークピーク値及び変位立ち上がり時間と共通にリンクで接続されている感覚の、正の方向への変化又は負の方向への変化を、より強めることが可能となる。
【0067】
詳しくは、制御部210は、加速度ピークピーク値を第2の基準値よりも小さくなるように調整する場合、変位立ち上がり時間を第5の基準値よりも大きくなるように調整する。これにより、加速度ピークピーク値又は変位立ち上がり時間を単体で調整する場合と比較して、鈍く、明快さがなく、キレ感がなく、スポーティ感がなく、且つ金属感がない、といった感覚をより強くユーザに知覚させることが可能となる。一方で、制御部210は、加速度ピークピーク値を第1の基準値よりも大きくなるように調整する場合、変位立ち上がり時間を第6の基準値よりも小さくなるように調整する。これにより、加速度ピークピーク値又は変位立ち上がり時間を単体で調整する場合と比較して、鋭く、明快さがあり、キレ感があり、スポーティ感があり、且つ金属感がある、といった感覚をより強くユーザに知覚させることが可能となる。
【0068】
(4)処理の流れ
以下、図5を参照しながら、本実施形態に係るフィードバック処理の流れについて説明する。図5は、本実施形態に係るシステム1において実行されるフィードバック処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0069】
図5に示すように、まず、制御部210は、対象物による接触領域111への接触を伴う操作がなされたか否かを判定する(ステップS102)。当該操作がなされていないと判定された場合(ステップS102:NO)、処理は再度ステップS102に戻る。一方で、当該操作がなされたと判定された場合(ステップS102:YES)、処理はステップS104に進む。
【0070】
ステップS104では、制御部210は、制御パラメータを調整する。詳しくは、制御部210は、加速度ピークピーク値、加速度時間、及び変位立ち上がり時間の少なくともいずれかを調整する。そして、制御部210は、調整後の制御パラメータに従って操作受付部110を振動させる(ステップS106)。詳しくは、制御部210は、調整後の制御パラメータに従った振動をアクチュエータ130に出力させるための信号を生成し、生成した信号をアクチュエータ130に入力する。これにより、調整後の制御パラメータに従ってアクチュエータ130が振動し、それに伴い調整後の制御パラメータに従って操作受付部110も振動する。
【0071】
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0072】
例えば、上記実施形態では、制御パラメータが、操作受付部110の振動を定義する値であるものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、制御パラメータとして、操作受付部110の振動を定義する値を出力する関数が調整されてもよい。
【0073】
例えば、上記実施形態では、制御部210による制御に基づいて操作受付部110が1周期の振動を行うものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、制御部210による制御に基づいて操作受付部110が複数周期の振動を行ってもよい。
【0074】
例えば、上記実施形態では、検出部120により検出された圧力に基づいて操作の有無を判定するものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、操作受付部110は、接触領域111のうち対象物が接触した座標を検出する機能を有していてもよい。その場合、接触領域111のうち対象物が接触した座標が検出されたか否かに基づいて操作の有無が判定される。
【0075】
例えば、上記実施形態では、対象物による操作が押下操作であるものと説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、操作受付部110が接触領域111のうち対象物が接触した座標を検出する機能を有していてもよい。そして、対象物による操作は、接触領域111に対象物が触れる操作であるタッチ操作であってもよいし、接触領域111に対象物が触れながら対象物を移動させる操作であるスライド操作であってもよい。
【0076】
なお、制御パラメータの調整のために使用される各種基準値は、固定であってもよいし、変化してもよい。例えば、基準値は、経時変化してもよい。一例として、基準値は、前回の調整の際に決定された制御パラメータの値であってもよい。その場合、ユーザに対し、前回の調整時と強さが異なる感覚を知覚させることが可能となる。
【0077】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0078】
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1:システム、100:入力装置、110:操作受付部、120:検出部、130:アクチュエータ、140:支持材、200:制御装置、210:制御部、220:記憶部
図1
図2
図3
図4
図5