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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20230418BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
E04H6/42 C
E04H6/18 601G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019168134
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046671
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-09-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-129374(JP,A)
【文献】特開2004-197354(JP,A)
【文献】実開昭53-127496(JP,U)
【文献】特開2001-123689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
E04H 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口から駐車車両が進入可能な乗込室と、前記乗込室内に配置されたトレーと、前記出入口から進入させた駐車車両のタイヤの停止位置を規定する車止めを前記トレーの上面側に設けた機械式駐車装置において、
前記駐車車両の前記タイヤが前記車止めに位置したことを検出するタイヤ位置検知装置を前記乗込室の壁側における低位置に設け
前記タイヤ位置検知装置は、覆状体を含み、前記駐車車両の前記タイヤを側方から挟む側方位置に対向して前記覆状体の内部に配置され、前記駐車車両の進入方向における前記車止めの両端よりも内側で間隔を隔てて通る2本のタイヤ位置検知ビームを照射する水平面ビーム照光部と前記照射されたタイヤ位置検知ビームを受光する水平面ビーム受光部と、前記2本のタイヤ位置検知ビームの中間で、前記2本のタイヤ位置検知ビームと干渉することなく、かつ、同一水平面上で斜めに照射される他のタイヤ位置検知ビームと、を有し
記タイヤ位置検知ビームを前記タイヤが遮ったことを検出することで、前記タイヤが前記駐車車両の進入方向における前記車止めの両端よりも内側に停止したことを検知する構成を有する、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記車止めで前記タイヤが規定されたときの前記駐車車両の進入方向における前後の車体端部のはみ出しを検出するフロント側はみ出し検出器およびリヤ側はみ出し検出器を設け、前記フロント側はみ出し検出器および前記リヤ側はみ出し検出器は、それぞれはみ出し検知ビームを照光する照光部とそれぞれの前記はみ出し検知ビームを受光する受光部を有し、前記駐車車両の前記車体端部によって前記はみ出し検知ビームが遮られたことを検出する構成とした、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗込室内に配置されたトレーの上面側に車止めを有した機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2018-188801号公報(特許文献1)特開2019-85742号公報(特許文献2)がある。
【0003】
特許文献1には、入庫部と、前記入庫部に連通する入庫口と、前記入庫部内に設定された入庫可能範囲の入口側端部の位置における車両の有無を検出する第1のセンサと、前記入庫可能範囲の反入口側端部の位置における車両の有無を検出する第2のセンサと、前記入庫部における前記入庫口側とは反対側となる奥側に設けられて入庫する車両の前端部までの距離の測定を行う距離計測手段と、前記入庫部における前記奥側に設けられた表示器と、表示制御器とを備え、前記表示制御器は、前記第1のセンサの検出結果と、前記第2のセンサの検出結果と、前記距離計測手段による測定結果とを基に、前記表示器に、前記入庫可能範囲に前記入庫する車両を収めるための位置修正に関する情報と一緒に、前記入庫可能範囲の反入口側端部から前記入庫する車両の前端部までの距離に関する距離情報を表示する指令を与える機能を備えること、を特徴とする機械式駐車装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、乗降室に進入した車両を格納棚へ移動させる機械式駐車場であって、前記乗降室内の物体の存在を検知する複数の検知部と、本機械式駐車場の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数の検知部による検知結果が矛盾する場合、所定の報知処理を実行することを特徴とする機械式駐車場が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-188801号公報
【文献】特開2019-85742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の機械式駐車装置では、乗込室内に配置されているトレー上に駐車車両を乗り込ませたとき、駐車車両と車止めとの対応関係を把握するために入庫口側とは反対側となる奥側に設けられて入庫する車両の前端部までの距離の測定を行う距離計測手段を使用しているため、精度良く信頼性の高いものではなかった。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成で精度の良く駐車車両を車止めに対応したい位置に停止させることができるようにした機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機械式駐車装置は、出入口から駐車車両が進入可能な乗込室と、前記乗込室内に配置されたトレーと、前記出入口から進入させた駐車車両のタイヤの停止位置を規定する車止めを前記トレーの上面側に設けた機械式駐車装置において、前記駐車車両の前記タイヤが前記車止めに位置したことを検出するタイヤ位置検知装置を設け、前記タイヤ位置検知装置は、前記駐車車両の前記タイヤを挟むような側方位置に対向して配置された照光部と受光部を有し、前記照光部と前記受光部間で照射されたタイヤ位置検知ビームを前記タイヤが遮ったことを検出する構成としたことを特徴とする。
【0009】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、車止めにおける駐車車両のタイヤの位置を実績があり信頼性の高いビーム式のタイヤ位置検知装置によって検出することができるので、車種の異なる様々な駐車車両におけるタイヤの車止めへの停止位置を簡単な構成で確実に、かつ正確に検出することができる。
【0010】
第2態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記タイヤ位置検知装置は、同一水平面上でほぼ平行なタイヤ位置検知ビームと、前記タイヤ位置検知ビームの中間で前記タイヤ位置検知ビームと干渉することがなく、かつ、同一水平面上で斜めに照射された他のタイヤ位置検知ビームとをそれぞれ照射する水平面ビーム照光部と、前記水平面ビーム照光部からの前記各タイヤ位置検知ビームをそれぞれ受光する水平面ビーム受光部とを有して構成したことを特徴とする。
【0011】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、同一水平面上で複数本のタイヤ位置検知ビームを照受光する方式のタイヤ位置検知装置を使用しても、中間部のタイヤ位置検知ビームを斜めに照射することによって、全てのタイヤ位置検知ビームを平行にした構成の場合に比べてタイヤ位置検知ビームの本数を少なくして安価なタイヤ位置検知装置とすることができる。しかも、車止めを駐車車両の進入方向に停止範囲を拡大しても、停止範囲内のタイヤの停止位置を同一水平面上で斜めに照射された一本のタイヤ位置検知ビームを効果的に使用して正確に検出することができる。
【0012】
第3態様に係る機械式駐車装置は、第2態様に係る機械式駐車装置において、タイヤ位置検知装置の同一水平面でほぼ平行なタイヤ位置検知ビームは、駐車車両の進入方向における車止めの両端よりも内側を通るようにして、駐車車両のタイヤが車止めの内側に停止するのを検知するように構成したことを特徴とする。
【0013】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、駐車車両の進入方向における車止めの両端部と、正常な停止位置での駐車車両のタイヤとの位置関係を定めたため、同進入方向における車止めの機能を生かしながら、タイヤ位置検知装置による駐車車両のタイヤを適正に管理することができる。
【0014】
第4態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記車止めで前記タイヤが規定されたときの前記駐車車両の進入方向における前後の車体端部のはみ出しを検出するフロント側はみ出し検出器およびリヤ側はみ出し検出器を設け、前記フロント側はみ出し検出器および前記リヤ側はみ出し検出器は、それぞれはみ出し検知ビームを照光する照光部とそれぞれの前記はみ出し検知ビームを受光する受光部を有し、前記駐車車両の前記車体端部によって前記はみ出し検知ビームが遮られたことを検出する構成としたことを特徴とする。
【0015】
第4態様に係る機械式駐車装置によれば、車長が大きな駐車車両が入庫された場合でも、フロント側はみ出し検出器およびリヤ側はみ出し検出器の検出結果を組み合わせることによって、車止めの範囲内で駐車車両を前進または後退させてトレーに対応する位置に停車させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による機械式駐車装置によれば、車止めにおける駐車車両のタイヤの位置を実績があり信頼性の高いビーム式のタイヤ位置検知装置によって検出することができるので、車種の異なる様々な駐車車両におけるタイヤの車止めへの停止位置を簡単な構成で確実に、かつ正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一参考例による機械式駐車装置の乗込室を示す側面図である。
図2図1に示した乗込室を示す平面図である。
図3】本発明の他の参考例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
図4】本発明の実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
図5】本発明の他の参考例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の参考例及び実施例を図面に基づいて説明する。
[参考例1]
【実施例1】
【0019】
図1および図2は、本発明の一参考例による機械式駐車装置の乗込室を示す側面図および平面図である。
【0020】
乗込室1の出入口2には、開閉可能な電動扉3が取り付けられており、電動扉3の開状態で出入口2から乗り込まれた駐車車両4は、乗込室1内に準備されているトレー5上の所定の位置に停止される。このとき駐車車両4の運転手は、真正面に配置されている鏡6や車誘導表示灯7などの支援を受けながら、駐車車両4をトレー5上に乗り進め、トレー5の上面側に形成されている車止め8によってタイヤ位置を規制して停止位置に停止させるようにしている。
【0021】
また、駐車車両4のフロント側のタイヤ4Aが車止め8に確実に位置していることを検
出するために、乗込室1の側壁における低位置にビーム式の照光部9Aと受光部9Bが分散されて配置されたタイヤ位置検知装置9が構成されている。このタイヤ位置検知装置9は、タイヤ4Aが車止め8による停止位置にあるとき、照光部9Aから照射され受光部9Bで受光されているタイヤ位置検知ビーム10が駐車車両4のタイヤ4Aによって遮られたときに、タイヤ4Aが車止め8上の停止位置にあることが検出される。本参考例でタイヤ位置検知ビーム10は、駐車車両4の進入方向における車止め8のほぼ中央位置を通るように照光部9Aおよび受光部9Bが配置されている。
【0022】
また乗込室1の側壁間には、トレー5に対して駐車車両4のフロント側の車体端部のはみ出しを検出するフロント側はみ出し検出器11と、トレー5に対して駐車車両4のリヤ側のはみ出しを検出するリヤ側はみ出し検出器12が構成されている。
【0023】
フロント側はみ出し検出器11は、乗込室1の両側壁に配置されて駐車車両4のフロント側の車体端部におけるはみ出しを検出する高さ位置に、ビーム式の照光部11Aと受光部11Bが分散されて配置されて構成されている。このため、照光部11Aと受光部11B間のはみ出し検知ビーム13を駐車車両4の車体端部が遮ったときに、駐車車両4のフロント側が所定の位置よりもはみ出していることを検出している。
【0024】
またリヤ側はみ出し検出器12は、乗込室1の両側壁に配置されて駐車車両4のリヤ側の車体端部におけるはみ出しを検出する高さ位置に、ビーム式の照光部12Aと受光部12Bが分散されて配置されて構成されている。このため、照光部12Aと受光部12B間のはみ出し検知ビーム14を駐車車両4の車体端部が遮ったときに、駐車車両4のリヤ側が所定の位置よりリヤ側にはみ出していることを検出している。
【0025】
このような構成の機械式駐車装置によれば、駐車車両4のフロント側のタイヤ4Aが車止め8によって正しく停止位置に位置されると、従来のように壁面から駐車車両の前端部までの距離を信頼性に劣る距離計測手段によって測定するのではなく、実績があり信頼性の高いビーム式のタイヤ位置検知装置9を使用しているため、正しい停止位置に位置したタイヤ4Aによって照光部9Aから照射され受光部9Bで受光されているタイヤ位置検知ビーム10がタイヤ4Aによって遮られたことを正確、かつ、確実に検出することができる。つまり簡単な構成で、制度良く検出を行うことができる。
【0026】
しかも、駐車車両が種々の車長を有していても、正しい停止位置に駐車車両を停止させた状態で、フロント側はみ出し検出器11は、照光部11Aと受光部11B間のはみ出し検知ビーム13を駐車車両4の車体端部が遮っていなければ、駐車車両4のフロント側が所定の位置よりもはみ出していないことが検出される。
【0027】
同様に、駐車車両が種々の車長を有していても、正しい停止位置に駐車車両を停止させた状態で、リヤ側はみ出し検出器12は、照光部12Aと受光部12B間のはみ出し検知ビーム14を駐車車両4の車体端部が遮っていなければ、駐車車両4のリヤ側が所定の位置よりもはみ出していないことが検出される。
[参考例2]
【実施例2】
【0028】
図3は、本発明の他の参考例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
【0029】
参考例におけるタイヤ位置検知装置9は、駐車車両4から見て乗込室1における側壁のうちの一方に同一水平面上で複数本のタイヤ位置検知ビーム15A~15Fを照射する水平面ビーム照光部16Aと、水平面ビーム照光部16Aに対向して乗込室1における他方の側壁に配置した水平面ビーム受光部16Bで構成されている。
【0030】
タイヤ位置検知装置9の同一水平面でほぼ平行なタイヤ位置検知ビーム15A~15Fは、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端よりも内側を通るようにして、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8の内側に停止するのを検知するように構成している。その他の構成は、先の参考例と同一であるから、同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0031】
このように同一水平面上で複数本のタイヤ位置検知ビーム15A~15Fを照射する水平面ビーム照光部16Aと、水平面ビーム照光部16Aからの各タイヤ位置検知ビーム15A~15Fをそれぞれ受光する水平面ビーム受光部16Bを有したタイヤ位置検知装置9を使用すると、駐車車両の進行方向におけるタイヤ4Aの位置検出範囲を先の実施例に比べて一層拡張することができる。これに合わせて、車止め8が駐車車両4の進入方向に多少前後してタイヤ4Aを停止できるような幅を有して構成された場合でも、正確にタイヤ位置を検出することができる。
【0032】
しかも、駐車車両が種々の車長を有していても、所定の停止位置に駐車車両4を停止させた状態で、フロント側はみ出し検出器11が、照光部11Aと受光部11B間のはみ出し検知ビーム13を駐車車両4の車体端部が遮っていることを検出した場合、またはリヤ側はみ出し検出器12が、照光部12Aと受光部12B間のはみ出し検知ビーム14を駐車車両4の車体端部が遮っていることを検出した場合、駐車車両4の進入方向における車止め8の幅を利用して、駐車車両4の進行方向における前後の停止位置を容易に調整することができる。
【0033】
また上述したように、タイヤ位置検知装置9の同一水平面でほぼ平行なタイヤ位置検知ビーム15A~15Fは、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端よりも内側を通るようにして、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8の内側に停止するのを検知するように構成している。
【0034】
このように、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端部と、正常な停止位置での駐車車両4のタイヤ4Aとの位置関係を定めたため、同進入方向における車止め8の機能を生かしながら、タイヤ位置検知装置9による駐車車両4のタイヤ4Aを適正に管理することができる。
[実施例]
【実施例3】
【0035】
図4は、本発明の実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
【0036】
本実施例におけるタイヤ位置検知装置9は、同一水平面上で三本のタイヤ位置検知ビーム15A~15Cを照射する水平面ビーム照光部16Aと、水平面ビーム照光部16Aに対向して配置した水平面ビーム受光部16Bで構成されている。
【0037】
図3に示した水平面ビーム照光部16Aは、同一水平面上で複数本のタイヤ位置検知ビーム15A~15Fが全て平行光であったが、本実施例では、複数本のタイヤ位置検知ビームのうち両サイドに位置したタイヤ位置検知ビーム15A,15Cは同一水平面上で平行光であるのに対して、中央に位置したタイヤ位置検知ビーム15Bは隣接したタイヤ位置検知ビーム15A,15Cと干渉することがなく、かつ、同一水平面上で斜めに照射されている。
【0038】
また本実施例においても、タイヤ位置検知装置9の同一水平面でほぼ平行なタイヤ位置検知ビーム15A,15Cは、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端よりも内側を通るようにして、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8の内側に停止するのを検知するように構成している。その他の構成は、先の実施例と同一であるから、同等物に同一符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0039】
このような構成によれば、両サイドのタイヤ位置検知ビーム15A,15C間では斜めに照射された一本のタイヤ位置検知ビーム15Bを使用しているので、図3に示した場合に比べてビーム数を減らすことができ、安価なタイヤ位置検知装置9とすることができる。
【0040】
しかも、タイヤ位置検知ビームの本数を減らしても、中央側に位置したタイヤ位置検知ビーム15Bは同一水平面上で斜めであるから、この一本のタイヤ位置検知ビーム15Bの位置検出範囲を効果的に拡大して、タイヤ4の位置検出を正確に行うことができる。
【0041】
駐車車両4の進入方向における車止め8の幅が、例えば600mm程度としても、同一水平面上で照射される複数本のタイヤ位置検知ビームのうち両サイドに位置したタイヤ位置検知ビーム15A,15Cは平行光であるため、タイヤ位置検知装置9としては、平行光の幅間隔を比較的容易に変更したり、大きくしたりすることができ、タイヤ4Aの位置検出範囲を一層拡張することができる。また、車止め8を駐車車両4の進入方向に多少広くして停止範囲を拡大しても、停止範囲内タイヤ4Aの停止位置を同一水平面上で斜めに照射された一本のタイヤ位置検知ビーム15Bを効果的に使用して正確に検出することができる。
[参考3]
【実施例4】
【0042】
図5は、本発明の他の参考例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
【0043】
図2に示した先の参考例で、タイヤ位置検知装置9は一対の照光部9Aと受光部9B間で照射される一本のタイヤ位置検知ビーム10を使用しているのに対して、本参考例でタイヤ位置検知装置9は、対を成す第一照光部9Aおよび第一受光部9Bと、他の対を成す第二照光部9Cおよび第二受光部9Dで構成している。より具体的には、車止め8における駐車車両の進行方向における幅のフロント側端部に、第一照光部9Aおよび第一受光部9Bを対向して配置し、同幅のリヤ側端部に、第二照光部9Cおよび第二受光部9Dを対向して配置している。その他の構成は、先の参考例及び実施例と同一であるから、同等物に同一符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0044】
このように複数対の照光部9A,9Cおよび受光部9B,9Dを使用すると、駐車車両4の進入方向により大きな幅を形成することができるので、同進入方向におけるタイヤ4Aの位置検出範囲をより拡張することができる。しかも、これに合わせて、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8内で進入方向に多少前後して停止されても、より正確にタイヤ位置を検出することができる。
【0045】
また車止め8は、駐車車両4の進入方向により大きな幅を形成することができるので、駐車車両が種々の車長を有していても、所定の停止位置に駐車車両4を停止させた状態で、フロント側はみ出し検出器11が、照光部11Aと受光部11B間のはみ出し検知ビーム13を駐車車両4の車体端部が遮っていることを検出した場合、またはリヤ側はみ出し検出器12が、照光部12Aと受光部12B間のはみ出し検知ビーム14を駐車車両4の車体端部が遮っていることを検出した場合、駐車車両4の進入方向における車止め8の幅を利用して、駐車車両4の進行方向における前後の停止位置を容易に調整することができる。
【0046】
尚、上述した各参考例及び実施例においては、乗込室1の側壁にタイヤ位置検知装置9、フロント側はみ出し検出器11およびリヤ側はみ出し検出器12をそれぞれ設置したが、これに限らず、駐車車両4の運転手などが乗込室1内での移動に支障の無い他の位置に設置しても、同様の効果を得ることができる。
【0047】
以上説明したように本発明は、出入口2に開閉可能な自動扉3を備えた乗込室1と、乗込室1内に配置されたトレー5と、自動扉3が開状態の出入口2から進入させた駐車車両4のタイヤ4Aの停止位置を規定する車止め8をトレー5の上面側に設けた機械式駐車装置において、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8に位置したことを検出するタイヤ位置検知装置9を設け、タイヤ位置検知装置9は、駐車車両4のタイヤ4Aを挟むような側方位置に対向して配置された照光部9A,9C,16Aと受光部9B,9D,16Bを有し、照光部9A,9C,16Aと受光部9B,9D,16B間で照射されたタイヤ位置検知ビーム10,10A,10B,15A~15Fをタイヤ4Aが遮ったことを検出する構成としたことを特徴とする。
【0048】
このような構成によれば、車止め8における駐車車両4のタイヤ4Aの位置を実績があり信頼性の高いビーム式のタイヤ位置検知装置9によって検出することができるので、車種の異なる様々な駐車車両4におけるタイヤ4Aの車止め8への停止位置を簡単な構成で確実に、かつ正確に検出することができる。
【0049】
また本発明は、上述の構成に加えて、タイヤ位置検知装置9は、同一水平面上でほぼ平行なタイヤ位置検知ビーム15A,15Cと、タイヤ位置検知ビーム15A,15Cの中間でタイヤ位置検知ビーム15A,15Cと干渉することがなく、かつ、同一水平面上で斜めに照射された他のタイヤ位置検知ビーム15Bとをそれぞれ照射する水平面ビーム照光部16Aと、水平面ビーム照光部16Aからの各タイヤ位置検知ビーム15A~15Cをそれぞれ受光する水平面ビーム受光部16Bとを有して構成したことを特徴とする。
【0050】
このような構成によれば、同一水平面上で複数本のタイヤ位置検知ビーム15A~15Cを照受光するタイヤ位置検知装置9を使用しても、中間部のタイヤ位置検知ビームを斜めに照射することによって、全てのタイヤ位置検知ビームを平行にした構成の場合に比べてタイヤ位置検知ビームの本数を少なくして、安価なタイヤ位置検知装置9とすることができる。しかも、車止め8を駐車車両4の進入方向に停止範囲を拡大しても、停止範囲内のタイヤ4Aの停止位置を同一水平面上で斜めに照射された一本のタイヤ位置検知ビーム15Bを効果的に使用して正確に検出することができる。
【0051】
また本発明は、上述の構成に加えて、タイヤ位置検知装置9の同一水平面でほぼ平行なタイヤ位置検知ビーム15A~15Cは、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端よりも内側を通るようにして、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8の内側に停止するのを検知するように構成したことを特徴とする。
【0052】
このような構成によれば、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端部と、正常な停止位置での駐車車両4のタイヤ4Aとの位置関係を定めたため、同進入方向における車止め8の機能を生かしながら、タイヤ位置検知装置9による駐車車両4のタイヤ4Aを適正に管理することができる。
【0053】
また本発明は、上述の構成に加えて、車止め8でタイヤ4Aが規定されたときの駐車車両4の進入方向における前後の車体端部のはみ出しを検出するフロント側はみ出し検出器11およびリヤ側はみ出し検出器12を設け、フロント側はみ出し検出器11およびリヤ側はみ出し検出器12は、それぞれはみ出し検知ビーム13,14を照光する照光部11A,12Aとはみ出し検知ビーム13,14を受光する受光部11B,12Bを有し、駐車車両4の車体端部によってはみ出し検知ビーム13,14が遮られたことを検出する構成としたことを特徴とする。
【0054】
このような構成によれば、車長が大きな駐車車両4が入庫された場合でも、位置車止め8の範囲内で前進または後退させてトレー5に対応する位置に停車させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 乗込室
2 出入口
3 自動扉
4 駐車車両
4A タイヤ
5 トレー
8 車止め
9 タイヤ位置検知装置
9A,9C,16A 照光部
9B,9D,16B 受光部
10 タイヤ位置検知ビーム
10A,10B タイヤ位置検知ビーム
11 フロント側はみ出し検出器
11A,12A 照光部
11B,12B 受光部
12 リヤ側はみ出し検出器
13,14 はみ出し検知ビーム
15A~15F タイヤ位置検知ビーム
16A 水平面ビーム照光部
16B 水平面ビーム受光部
図1
図2
図3
図4
図5