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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/36 20110101AFI20230418BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
F24F1/36
F24F13/22 222
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019176373
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021055853
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 義一
(72)【発明者】
【氏名】小川 健二
【審査官】嶋田 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-141572(JP,A)
【文献】特開2012-167877(JP,A)
【文献】特開2011-007371(JP,A)
【文献】特開2008-106948(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129117(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/36
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の外周縁に形成され鉛直上方へ延びる周壁部と、
外気より低温の冷媒が流通する冷媒配管が接続されるバルブと
記周壁部の外側に延在する外側係止片と、前記周壁部の内側に延在する内側係止片とを有し、当該内側係止片と前記外側係止片とで前記周壁部を挟み込むことで前記底板に立設され、前記バルブが取り付けられたバルブ取付板と、を備え、
前記バルブ取付板の前記外側係止片の上方には、該バルブ取付板に付着したドレン水が前記外側係止片へ流れ込まないよう案内するドレンガイドを形成し
当該ドレンガイドは、前記内側係止片へ前記ドレン水が案内されるよう形成され、
前記バルブ取付板の前記ドレンガイドと前記内側係止片との間に前記底板の内側方向へ凹む凹部が形成されたことを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
前記ドレンガイドは、前記バルブ取付板の幅方向の下方に傾斜するビードで形成されたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
前記バルブ取付板には、前記外側係止片の上方に貫通穴が形成され、
当該貫通穴の幅方向の側端に上端側が位置するよう前記ドレンガイドが形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の空気調和機の室外機。
【請求項4】
底板と、
前記底板の外周縁に形成され鉛直上方へ延びる周壁部と、
外気より低温の冷媒が流通する冷媒配管が接続されるバルブと、
少なくとも前記周壁部の外側に延在する外側係止片を有して前記底板に立設され、前記バルブが取り付けられたバルブ取付板と、を備え、
前記バルブ取付板の前記外側係止片の上方には、該バルブ取付板に付着したドレン水が前記外側係止片へ流れ込まないよう案内するドレンガイドを形成し、
前記ドレンガイドは、前記バルブ取付板の幅方向の下方に傾斜するビードで形成され、
前記バルブ取付板には、前記外側係止片の上方に貫通穴が形成され、
当該貫通穴の幅方向の側端に上端側が位置するよう前記ドレンガイドが形成されたことを特徴とする空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、底板にバルブ取付板が立設された空気調和機の室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、空気調和機の室外機の底板に低温の冷媒が流通する冷媒配管が接続されるバルブを取り付けたバルブ取付板が立設されており、バルブ取付板と底板のフランジとの間に形成した所定間隔の隙間により、バルブ取付板に付着し下方へ流れ落ちるドレン水を底板へ回収することで、ドレン水が底板の外側へ漏れ出すことを防止するものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6099925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、バルブ取付板を底板へ容易に立設させる等の目的のため、バルブ取付板の下部に周壁部の外側に延在する外側係止片を形成し、バルブ取付板の下部で周壁部を挟み込むような構造の場合、バルブ取付板に付着したドレン水が外側係止片に流れ込み、外側係止片を伝って底板の外側へ漏れ出す虞があった。
【0005】
そこで本発明は、バルブ取付板に周壁部の外側に延在する外側係止片が形成されても、バルブ取付板を伝って流れ落ちるドレン水が底板の外側へ確実に漏れ出さない空気調和機の室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、底板と、
前記底板の外周縁に形成され鉛直上方へ延びる周壁部と、
外気より低温の冷媒が流通する冷媒配管が接続されるバルブと
記周壁部の外側に延在する外側係止片と、前記周壁部の内側に延在する内側係止片とを有し、当該内側係止片と前記外側係止片とで前記周壁部を挟み込むことで前記底板に立設され、前記バルブが取り付けられたバルブ取付板と、を備え、
前記バルブ取付板の前記外側係止片の上方には、該バルブ取付板に付着したドレン水が前記外側係止片へ流れ込まないよう案内するドレンガイドを形成し
当該ドレンガイドは、前記内側係止片へ前記ドレン水が案内されるよう形成され、
前記バルブ取付板の前記ドレンガイドと前記内側係止片との間に前記底板の内側方向へ凹む凹部が形成されたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2では、前記ドレンガイドは、前記バルブ取付板の幅方向の下方に傾斜するビードで形成されたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項3では、前記バルブ取付板には、前記外側係止片の上方に貫通穴が形成され、
当該貫通穴の幅方向の側端に上端側が位置するよう前記ドレンガイドが形成されたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項4では、底板と、
前記底板の外周縁に形成され鉛直上方へ延びる周壁部と、
外気より低温の冷媒が流通する冷媒配管が接続されるバルブと、
少なくとも前記周壁部の外側に延在する外側係止片を有して前記底板に立設され、前記バルブが取り付けられたバルブ取付板と、を備え、
前記バルブ取付板の前記外側係止片の上方には、該バルブ取付板に付着したドレン水が前記外側係止片へ流れ込まないよう案内するドレンガイドを形成し、
前記ドレンガイドは、前記バルブ取付板の幅方向の下方に傾斜するビードで形成され、
前記バルブ取付板には、前記外側係止片の上方に貫通穴が形成され、
当該貫通穴の幅方向の側端に上端側が位置するよう前記ドレンガイドが形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、バルブ取付板の外側係止片の上方には、該バルブ取付板に付着したドレン水が外側係止片へ流れ込まないよう案内するドレンガイドを形成したので、バルブ取付板に付着したドレン水が外側係止片へ向かって流れてきても、ドレンガイドにより外側係止片に流れ込まないため、ドレン水が外側係止片を伝って底板の外側へ漏れ出すことを確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の室外機を説明する斜視図である。
図2】同発明の底板とバルブ取付板を説明する斜視図である。
図3】同発明のバルブ取付板を底板の周壁部へ取り付ける状態を説明する斜視図である。
図4】同発明の底板とバルブ取付板を説明する右側面図である。
図5図4のA-A線断面図である。
図6】内部機構を省略した図5のB-B線断面図である。
図7】内部機構を省略した図5のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次にこの発明の一実施形態を説明する。
図1、2を参照する。1は空気調和機の室外機であり、箱状の筐体である。室外機1は、前面に配置された前面板2と、上面に配置された上面板3と、側面に配置された側面板4と、底面に配置された底板5とで構成されている。
【0013】
室外機1の背面側は開口されており、開口に面して図示しない室外熱交換器が設置されている。室外機1の内部は、図示しない仕切板により送風ファンが設置された送風室と圧縮機等が設置された機械室とに仕切られており、右方の側面パネル4が機械室に面している。
【0014】
また、底板5の外周縁には鉛直上方へ延びる周壁部5aが形成されており、底板5内に落下した水が外周縁から底板5の外部へ漏れ出さないようにしている。
【0015】
図1を参照する。6は複数の連絡電線が接続された端子台であり、右方の側面パネル4の一部を切り欠き室外機1の内部側へ傾斜させた端面上に設置されている。
10は前記端子台6の下方に位置し室外機1内外に延びる冷媒配管7が接続されるバルブ8を備えたバルブ取付板である。
【0016】
室外機1の外部側へ延びる冷媒配管7は、図示しない室内機内にある室内熱交換器と接続しており、室外機1の内部側へ延びる冷媒配管7は、図示しない圧縮機、膨張弁を介して室外熱交換器と接続している。
よって、図示しないリモコン等により室内を冷却する冷房運転指示が出されると、冷媒配管7内に外気温より低温の冷媒が流動することから、バルブ8の表面温度が低下し空気中の水分が結露することでドレン水が付着する。バルブ8に付着したドレン水が大きくなり質量が増加すると下方へ流れ落ちる。
【0017】
次に、前記したバルブ取付板10について詳述する。
図2、3を参照する。バルブ取付板10は、上下方向が前後方向よりも長く、前端側と後端側とが室外機1の内側方向へ折れ曲がった平面視略コの字形状の板金部材である。
【0018】
図2、3を参照する。バルブ取付板10の下端には、底板5の周壁部5aより内側(左側)に位置し前方側と後方側の2箇所に形成された内側係止片10aと、底板5の周壁部5aより外側(右側)に位置し前記内側係止片10aの間に形成された外側係止片10bとがあり、前記内側係止片10aと外側係止片10bとで底板5の周壁部5aを挟み込み、周壁部5aに形成されたビス穴5bと、内側係止片10aに形成されたビス穴11aとに螺着するビス9により、バルブ取付板10が底板5に立設する。
【0019】
また、前記内側係止片10aは、室外機1の外側方向へ向かって突き出して四隅が丸みを帯びた略直方体状に形成されており、前記内側係止片10aが設置される底板5の周壁部5aには、底板5の外側方向へ向かって突き出す凸部5cが形成されている。
【0020】
図4を参照する。バルブ8はバルブ取付板10の上下方向に2つ取り付けられており、2つのバルブ8及び外側係止片10bは鉛直方向へ延びる同一直線上で、かつバルブ8の前後幅が凸部5cの間にある周壁部5aの前後幅内に収まる位置にある。
よって、バルブ8に付着しバルブ取付板10を伝って流れ落ちるドレン水の多くは、外側係止片10bへ向けて流れ落ちる。
【0021】
図2、3、4を参照する。10dはバルブ取付板10を貫通する貫通穴であり、端子台6、及びバルブ取付板10の外側を覆う図示しないバルブカバーが取り付けられた時、バルブカバーに設置されバルブ8から滴下したドレン水を受け止めて底板5へ案内する樋が前記貫通穴10d内に設置され、底板5の内側へ所定距離だけ突き出した状態となる。
【0022】
また、前記貫通穴10dは、少なくとも前後方向の幅が外側係止片10bの前後方向の幅よりも大きくなるように形成されている。
これにより、バルブ8に付着しバルブ取付板10を伝って流れ落ちるドレン水が外側係止片10bの上方に達しても、貫通穴10dの上端から滴下したドレン水がドレンカバーの樋に滴下し底板5へ案内されるため、バルブ取付板10を伝ってきたドレン水が外側係止片10bに達して底板5の外側へ漏れ出すことが防止できる。
【0023】
図2、3、4を参照する。10eはバルブ取付板10にあり室外機1の外側方向へ所定距離だけ突き出すビードであり、バルブ取付板10の幅方向である前後方向において前記貫通孔13を間にして略ハの字となるよう下方に傾斜した状態で2つ形成されている。
そして、前記ビード10eは、上端側が貫通穴10dの前後側の両側端と当接する位置にあり、下端側が少なくとも内側係止片10aの上方に位置するよう下方に傾斜して形成されている。
【0024】
図5、6、7を参照する。バルブ取付板10のビード10eと内側係止片10a、及び外側係止片10bとの間には、底板5の内側(左側)方向に凹む凹部10fが形成されている。
これにより、バルブ8に付着し貫通穴10dの前後側端面から流れ落ちるドレン水がビード10eを伝って流れ、ドレン水をビード10eの下端から滴下する時、内側係止片10aの上端以外の箇所にドレン水が滴下することがなく、ドレン水を内側係止片10aへ確実に案内することができる。
【0025】
次に、ビード10eにより内側係止片10aの上端へ案内された後のドレン水の流れについて説明する。
図5、6、7を参照する。ドレン取付板10の内側係止片10aの前後には、周壁部5aとの間に底板5まで貫通する隙間11がある。
そして、周壁部5aと当接する内側係止片10aの上端は、周壁部5aの上端よりも低い位置にある。
【0026】
よって、ビード10eにより内側係止片10aの上端面に滴下したドレン水は、内側係止片10aの上端面に溜まった後、内側係止片10aの前後から隙間11へ案内され底板5に至ることから、外側係止片10bにドレン水が流れ込み底板5の外部にドレン水が漏れ出すことを未然に防止することができる。
すなわち、ビード10eはドレンガイドとして機能する。
【0027】
次に、本発明の効果を説明する。
図5、6、7を参照する。バルブ取付板10には、外側係止片10bの上方に貫通穴10d、及びビード10eが形成されたことで、バルブ8で結露しバルブ取付板10の表面を流れ落ち、貫通穴10dの上端に達したドレン水はバルブカバーの樋に滴下して底板5へ案内され、ビード10eに達したドレン水は内側係止片10aの上端面に滴下して隙間11から底板5へ案内されるので、バルブ取付板10の表面を流れ落ちるドレン水が外側係止片10bに流れ込み、底板5の外側へ漏れ出すことを未然に防止することができる。
【0028】
また、ビード10eは、上端が貫通穴10dの前後端と当接し、下端が凸部5cの前後幅の範囲内となるよう下方へ傾斜して形成されたので、ビード10eに達したドレン水が外側係止片10bに達することを確実に阻止することができるため、底板5の外側にドレン水が漏れ出すのを未然に防止することができる。
【0029】
また、ビード10eと内側係止片10a、及び外側係止片10bの間に位置するバルブ取付板10に底板5の内側方向へ凹む凹部10fを形成したことで、ビード10eを伝って流れるドレン水がビード10eの下端から滴下する時、内側係止片10aの上端以外の箇所へ滴下されるのを阻止できるので、ドレン水が底板5の外側へ漏れ出すことなく確実に底板5へ案内することができる。
【0030】
図6、7を参照する。バルブ取付板10を周壁部5aに取り付けた時、内側係止片10aの外側面(右側面)が周壁部5aの内側面(左側面)と当接し、外側係止片10bの内側面(左側面)が周壁部5aの外側面(右側面)と当接することで、周壁部5aが内側係止片10aと外側係止片10bとに挟まれた状態となる。
【0031】
よって、バルブ取付板10を周壁部5aに取り付ける時、ビス9による固定前であってもバルブ取付板10を底板5に立設した状態で保持することができ、作業者が容易にビス9をバルブ取付板10のビス穴10cに螺着させ、周壁部5aに取り付けることができるので、作業性が向上する。
【0032】
なお、本実施形態では、外側係止片10bの上方に貫通穴10dが形成され、当該貫通穴10dの前後端からビード10eが下方へ向けて延びた内容で説明したが、これに限らず、例えばバルブ8と貫通穴10dとの間にドレン取付板10の幅方向下方へ向けて傾斜するビード10eを形成したものであってもよく、外側係止片10bにドレン水が達しないようビード10e等のドレンガイドが設けられたものは本発明の範疇に入る。
【符号の説明】
【0033】
1 室外機
5 底板
5a 周壁部
7 冷媒配管
8 バルブ
10 バルブ取付板
10a 内側係止片
10b 外側係止片
10d 貫通穴
10e ビード(ドレンガイド)
10f 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7