IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プロベンシス・リミテッドの特許一覧

特許7264808注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス
<>
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図1A
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図1B
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図2
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図3
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図4
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図5A
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図5B
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図5C
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図5D
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図6
  • 特許-注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
A61J3/00 311Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019502084
(86)(22)【出願日】2017-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 IB2017054537
(87)【国際公開番号】W WO2018020436
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】1612925.6
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515247831
【氏名又は名称】プロベンシス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バルファウア,キャロル スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ファウルクナー,デービッド イアン
(72)【発明者】
【氏名】モス,スタッフォード ギイ
(72)【発明者】
【氏名】ウイス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フェイスフル,レックス
(72)【発明者】
【氏名】アジャオ,トーマス
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-517760(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0166782(US,A1)
【文献】特開昭63-132827(JP,A)
【文献】特開2011-136192(JP,A)
【文献】特表2010-512899(JP,A)
【文献】特表2013-524937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射可能なフォームを生成するためのデバイスであって、
その中でフォームを生成するために液体と気体が組み合わされるフォームを生成する構造であって、前記構造は液体および気体のための入口ならびにフォームのための出口を備える、フォームを生成する構造と、
前記入口と連通する液体経路と、
前記入口と連通する気体経路と
を備え、
前記液体経路は、前記気体経路を通る気体の送達と無関係に、前記液体経路を通って液体を送達するための手段を備え、
前記デバイスは、制御ユニットをさらに備え、
前記制御ユニットが、前記フォームを生成する構造に供給される前記液体および気体の相対量および流量を調整して、所望の密度を含む前記注射可能なフォームの少なくとも1つの特性を制御し、
前記デバイスは少なくとも前記所望の密度を有する前記注射可能なフォームを生成する、デバイス。
【請求項2】
前記液体経路の中に液体を導入するように配置された発泡性液体源をさらに備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項3】
前記発泡性液体源は密封容器である、請求項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記液体経路を通って液体を送達するための前記手段はポンプである、請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ポンプは容積式ポンプである、請求項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ポンプを駆動するように配置されたモータをさらに備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記液体経路は一方向弁または背圧弁を備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記気体経路の中に気体を導入するように配置された気体源をさらに備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記気体源は圧縮ガスシリンダである、請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記気体経路はガス圧力調整器を備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記気体経路は弁を備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記気体経路はポンプを備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ポンプは容積式ポンプである、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ポンプを駆動するように配置されたモータをさらに備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記気体経路は気体を滅菌するフィルタを備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項16】
フォーム経路により前記出口に連結されたフォームポートをさらに備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記フォーム経路はフォームを調整する構造を備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
廃棄チャンバをさらに備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
使い捨てカートリッジ、消耗品またはカセットの形である、請求項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記制御ユニットはCPUを備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記フォーム経路内の泡の大きさの分配を測定するように構成された泡寸法測定器をさらに備える、請求項16に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静脈投与または動脈投与に適した注射可能なフォームを生成するための方法およびデバイスに関する。本発明は、詳細にはクモの巣状および網目状静脈瘤、静脈瘤、静脈奇形ならびに骨盤内鬱血症候群などの静脈障害を含む異なる障害の治療に使用し得る、異なる所定の密度および濃度の滅菌の臨床グレードの注射可能なフォームの生成に柔軟性を提供するのに適している。
【背景技術】
【0002】
フォームの非経口投与は、薬物または他の医療物質の局所作用が必要な病状を治療する際に多くの利点を提供する(欧州特許第1424067B1号)。フォームは高度に血管新生化された臓器から、また血管から流体を移動させることができ、循環系内のその分配は、標的とされた投与により、また毛細血管床内への保持により制御することができる。流体移動は、流体内の薬物または他の医療物質の希釈を低減し、治療する表面、例えば静脈内皮壁に直接接触することができ、これは治療を高める。加えてフォーム内の泡の表面上に散布された薬物または他の医療物質の送達により、それらの活性表面が急激に増加するので、所望の治療効果がより少ない用量で達成することができる。気体が充填された泡は、フォームの注射後にソノグラフ、すなわち超音波を使用して、体内構造を撮像するために医師によって使用されることが可能である。また適切な大きさの気泡を包含するフォームは、送達された経動脈送達により標的組織、例えば肝臓腫瘍への血流を制限するために送達することもできる。
【0003】
最も広く使用されている注射可能なフォームは、静脈障害の治療における静脈投与のために提供される。具体的には、硬化フォームは静脈瘤などの障害を治療するために使用される。このようなフォームの生成は、フォームが形成されるまで硬化剤の溶液を気体と組み合わせる必要がある。フォームの生成に使用される硬化剤液の濃度は、典型的には意図した症状に基づいて選択され、例えば高濃度の硬化薬剤(例えば1~5%のポリドカノール)は、大きい静脈瘤および静脈奇形の治療に使用されるのに対して、低い濃度の硬化薬剤(例えば0.25~1%のポリドカノール)は、典型的には表在性クモの巣状および網目状静脈瘤の治療に使用される。
【0004】
フォームは、治療の直前に医師により個々のバッチで従来は生成される。「Tessari」法では、液体および気体は2つの注射器の中に個別に引き込まれ、2つの注射器は単純なコネクタまたは三方活栓を使用して連結され、注射器の中身は、フォームが生成されるまで2つの注射器の間を往復して通過する(Tessari(2000).Phlebolgie53(1);129)。この方法により、医師は(適切な容積の液体および気体を選択することにより)異なる密度のフォームを異なる濃度の活性薬剤成分、典型的には硬化剤で生成できるが、フォームの品質はバッチと医師との間で大きく異なる可能性がある。加えてこれらの「医師の化合した」フォームは典型的には空気で作られ、それを通して安全性の懸念が高まっているのは、空気中に窒素の含有量が高く、血液への溶解性が乏しく、ガス塞栓症を生じる可能性があることに起因する。
【0005】
第2の方法では、ブラシを用いた高速の叩打動作が、静脈に注射するのに適切なフォームを生成するために使用される(欧州特許出願公開第A-0656203号および米国特許第5676962号(Cabrera))。このフォームは生理学的に許容できる気体で作られ、これは空気によるフォームでの合併症の可能性を回避するという点で、このフォームはTessariフォームとは異なる。しかしこれはバッチ工程であり、これは医師にフォームの密度を事前に選択する際に柔軟性を与える一方で、バッチの大きさは中にフォームが作られる血管の大きさによって制限され、その工程はバッチ(および医師)の間の同じばらつきの問題を伴う。
【0006】
Tessari法およびCabrera法のどちらも異なる密度のフォームを作ることができる柔軟性がある一方で、フォームは短期間のみ安定するので、単一の治療セッションの間に複数用量のフォームが必要である場合は不便である可能性がある。
【0007】
フォームのばらつきの課題は、国際公開第00/72821号および国際公開第02/41872号によって記載されたシステムなどの加圧容器システムで対処してきた。これらのデバイスでは、加圧容器上の弁が開くと、液体および気体がフォームを形成するために一連の通路を通って押される。得られるフォームは、容器の弁が活性化する度に再生可能な特徴(密度、泡の大きさの分配および安定性)を規定してきた。しかし容器は、製造時点で液体および加圧気体で予め充填され、結果として異なる条件を治療するために望ましい際に、調節または制御できない所定の特性を有するフォームを生成する。
【0008】
フォームを生成するための代替システムは、国際公開第2008/075080号に提供されており、これは密封された柔軟性のループチャンバを説明しており、チャンバ内でフォームは形成され、液体および気体が外部蠕動ポンプの力でフォームを生成する構造を通って循環するにつれて連続して補給される。チャンバは液体および気体で予め充填され、したがって所定の密度および濃度を有するフォームを生成し、これら所定の密度および濃度は異なる密封チャンバが利用可能(準備される)でない限り調節できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の先行技術の方法およびデバイスは、医師に一貫性を犠牲にしてフォームの濃度および密度の柔軟性を選択させ(Tessari、Cabrera)、またはGMPデバイスは液体および気体の予め充填された容量を使用し、したがってGMPデバイスは所定の特性を有するフォームの生成を限定するので、GMPの製造製品による一貫性を得るが柔軟性を犠牲にする選択をさせる(国際公開第00/72821号、国際公開第02/41872号および国際公開第2008/075080号)。異なる特性をもつフォームの生成には、システムの再充電または異なるデバイスの使用が必要であり、これは、具体的には異なる特性を有するフォームが1人の患者を治療するために必要である場合に、診療所では不便である。したがって医師が、具体的な症状に対して適切な特性のフォームだが、確実にフォームの特性が一貫し、フォームが生成される度に再生可能な方法で選択できる、柔軟性を有するシステムを提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はフォームを生成する方法を提供することによりこの必要性に対処し、フォームを形成するために組み合わされる液体および気体の容積は互いに独立して調節することができる。フォームを生成する構造に液体および気体を送達することにより所望のフォームの密度、濃度および容積に柔軟性を提供するように切り離される一方で、許容された医薬品および処置に対して必要に応じてフォームの一貫性および再生可能性が確実に維持される。このことは、特定の患者/症状に対して適切な容積内に、適切な密度および所望の濃度で所望のフォームを生成する単一デバイスを臨床医に提供する。フォームを選択し、容積、密度および濃度を制御する際の柔軟性は、フォームの再生性または安全性を犠牲にすることなく提供される。
【0011】
したがって第1の態様では、本発明は、その中で液体と気体がフォームを生成するために組み合わされる、フォームを生成する構造に発泡性液体および気体を送達することを含む、注射可能なフォームを生成する方法を提供し、液体は気体の送達と無関係に送達されることを特徴とする。
【0012】
発泡性液体および気体は独立してフォームを生成する構造に送達され、これにより使用者はフォームを生成するために組み合わされる液体および気体の同定および相対量を調節することができる。これにより、異なる症状は、すでに使用中のデバイスに再充電する、または新しいデバイスを使用するために準備する必要なしに、効率的に治療することができるように、フォームの特性を必要に応じて調節できる。フォームの密度は、泡の大きさおよびフォームの流動性に影響を与え、高い密度のフォームはより小さい針、例えばクモの巣状および網目状静脈瘤の硬化療法に使用するような32Gの針を通してより良好に移動できるより小さい泡を有することが理解されよう。医師は、それによってフォームの生成の一貫性または生成されたフォームの安全性を犠牲にすることなく、フォームの容積、密度または濃度を選択し調節するための柔軟性を提供される。
【0013】
適切な発泡性の液体は当業者には周知であり、硬化フォームを生成するとき、発泡性の液体は、これらが多くの領域で使用することが許可され、広く利用可能であるように、典型的にはポリドカノールまたはテトラデシル硫酸ナトリウム(STS)の溶液である。典型的にはこのような硬化剤液は、0.1%~5%(w/v)、また好ましくは0.25%~3%のポリドカノールの水溶液として提供される。具体的な適用では、例えば大伏在静脈(GSV)不全の治療に対して、硬化剤液は1%(w/v)のポリドカノールである。
【0014】
別法として、フォームは、薬剤送達の媒体として血液を使用できない場合、または薬剤の治療域が狭い場合、および最大抗力が標的部位のできるだけ近くに可能な最小容量の送達が必要である、例えばフォームの抗炎症薬または副腎皮質ステロイドを注射することで、全身投与がもたらす可能性のある消化器の危険を低減することができる場合の、種々の疾病の治療に治療薬剤を送達するために使用することができる。またフォームにおける治療薬剤の送達は、薬剤を長期に曝露する必要がある場合、例えば虚血肢への血管拡張剤の投与、膿瘍もしくは局所的な感染症への抗生物質、化学療法剤もしくは抗ウイルス剤の投与、または局所麻酔薬の投与にも有益である。またフォームは、例えば抗真菌薬剤の全身投与により満足な結果を達成することが困難な爪甲真菌症を含む、区画条件の中に治療薬剤を送達するためにも適している。フォーム内に投与できる治療薬剤の例には、血管拡張剤、心臓血管薬、抗真菌薬、抗感染症薬剤、抗生物質、化学療法薬剤、スルホンアミド、細胞増殖抑制剤、麻酔薬、抗炎症薬、プロスタグランジン、副腎皮質ステロイド、ホルモン剤、抗ウイルス薬剤および線維素溶解薬が含まれる。このような治療は、不活性発泡薬剤を含むフォームで送達することができる。
【0015】
血管系内で耐性があるあらゆる気体は、当技術分野で周知であるように本発明の方法に使用され得る。窒素および/または室内気はある特定の適用には耐性があることがあるが、酸素、二酸化炭素、ヘリウム、ゼノンなどの気体およびこれらの気体の混合物は、特に適している。酸素、二酸化炭素および酸素と二酸化炭素の混合物が好ましい。これらの気体は、酸素が赤血球のヘモグロビンによって容易に吸収され、二酸化炭素は血液中に容易に解けるので、特に十分に耐性がある。好ましくは使用される気体および気体の混合物は、気体塞栓症の危険性を低減するために0.8%未満の窒素を含有する。任意選択で、治療薬剤は気体自体であってもよく、気体はフォームにおける送達により適切な場所との接触を保つことができ、例えば酸素は、嫌気性菌または四肢の重症の虚血によって生成される気体壊疽を治療するためにフォームにおいて投与することができる。
【0016】
フォームを生成する構造は、それぞれの流れを破裂させ、かつ/または制限することにより、フォームを形成するために液体と気体を組み合わせるための手段を提供する。フォームを生成する構造は、実質的にその中に送達された液体および気体のすべてが配置された一連の開口を通過して、その構造内で乱流および混合を生み出するように配置される。構造は、液体および気体が通過する、断面積1μm~10mm、好ましくは10μm~5mm、より好ましくは50μm~2mmの少なくとも1つの通路を画定する要素を備えることができる。1つまたは複数の通路の最大寸法は、好ましくは0.1μm~2mm、より好ましくは1μm~1mm、より好ましくは2μm~500μm、なおより好ましくは3μm~100μm、さらにより好ましくは5μm~20μmである。1つまたは複数の通路は、好ましくは1つまたは複数のメッシュ、スクリーンもしくは焼結を備える少なくとも1つの要素によって提供される。構造は、構造の中に送達されるすべての液体が構造に送達されたすべての気体と組み合わされ、それによって必要な密度または濃度のフォームが確実に形成されるように、このような要素を2つ以上、また理想的には3つ、4つ、5つまたは6つ備えることができる。好ましくは、該要素は液体および気体の流れの方向に0.1mm~10mm、好ましくは0.5mm~5mmだけ離間される。特定の一実施形態では、構造は開口端のポリプロピレンのケーシング内に保持された4つのナイロン66のメッシュの形の4つの要素を備える。このようなメッシュは、典型的には6mmの直径を有し、5μmの孔で構成された14%の開口面積を有し、メッシュは3.5mmの間隔である。
【0017】
発泡性液体は、気体の送達と無関係にフォームを生成する構造に送達される。これは、液体および気体が、別個に独立して制御可能な駆動力によりフォームを生成する構造に送達されることを意味する。フォームを生成する構造へのこのような送達は、例えば液体の加圧源の使用を含む、独立した送達が可能なあらゆる手段によって達成することができる。好都合なことに、このことは複雑な工学部品または可動部品を必要とすることなく、独立した送達が可能である。特定の実施形態では、液体はポンプによりフォームを生成する構造に独立して送達することができる。これは、使用者が液体圧を監視する必要なしに、送達される液体の容積を直接制御できるので望ましい。ポンプは、送達される液体に直接接触しない蠕動ポンプであることが可能である。これは、液体およびフォームのどちらもポンプに直接接触しないので、液体およびフォームの汚染の危険性が低い。好ましくは、ポンプは容積式ポンプである。インスリンポンプシステム内で使用されるような容積式ポンプは、ポンプストローク毎に所定の容積の液体を送達し、したがってこれらのポンプにより使用者は液体の送達にわたって非常に正確な制御ができる。本発明で使用できる容積式ポンプの一例は、欧州特許第1677859号にポンプモジュールとして提供されている。
【0018】
気体は、使用者が送達される気体の容積を制御できるあらゆる適切な手段により、フォームを生成する構造に送達することができる。これにより、使用者が必要な密度を有するフォームを確実に生成させることができる。好ましくは、気体は、送達された気体の組成物および容積を正確に制御できるように、封止された導管を通って送達される。気体は容積式ポンプによって送達することができる。これにより、使用者は気体の送達にわたって、非常に正確な制御ができる。好ましくは、気体はフォームを生成する構造に圧力で送達される。これにより、本発明の方法で加圧された医療用ガスシリンダを使用でき、これは使用者に多くの利点を提供する。このようなガスシリンダは、特定の医療使用に対して画定された気体の混合物を含有し、このようなシリンダは臨床環境で使用する気体を提供する最も有益な方法を供給し、またこのようなシリンダにより、使用者は比較的小さい空間に大容積の気体を保存できる。圧縮ガスシリンダは、典型的には非常に高圧力で気体を含有する。気体の送達は、弁またはガス圧力調整器によって制御することができる。これは、方法が使用者の健康を危うくしない安全な条件下で確実に実行される。特定の一実施形態では、気体は0.9バール~2.0バール絶対圧(0.9×10 KPa~2.0×10 KPa絶対圧)の圧力で送達される。これは安全な気体圧を提供する一方で、気体はフォームを生成するためにフォームを生成する構造に効率的に送達されることも確保する。
【0019】
本発明の方法では、フォームを生成する構造に液体および気体を連続して送達させることは好都合である。これにより、一定のフォームの生成が、混合が不十分な液体および気体が局所に溜まることを回避するために、液体および気体が少しの増量で完全に組み合わされることを確保することによって達成されるように、液体と気体の連続した組み合わせが可能になる。使用者は、特異の症状を治療するために適切な特性を有する必要な容積のフォームを生成するために、適切な液体および気体の流量を選択することができる。液体は、2ml/min~15ml/min、また好ましくは5ml/min~10ml/minの流量で送達することができる。これは、十分に速い速度でフォームを生成できる一方で、蠕動ポンプおよび容積式ポンプを含む市販のポンプのパラメータ内にもあるので好都合である。気体は、所望の特性をもつフォームの生成が可能な適切な流量で送達することができる。典型的な気体の流量は7ml/min~75ml/minである。これにより、市販のポンプの作動パラメータ内でフォームを連続して生成できる。好ましくはフォームを生成する構造に送達された液体に対する気体の容積比は10:1~4:1である。これにより、使用者は液体の相対量を制御でき、組み合わせる際にしたがって治療組成物として有益なフォームを生成することができる。好ましくは本発明の方法を使用して生成したフォームの密度は、0.07g/ml~0.19g/ml、またさらにより好ましくは0.09g/ml~0.16g/mlである。
【0020】
第2の態様では、本発明は、その中でフォームを生成するために液体と気体が組み合わされる、フォームを生成する構造であって、構造は液体および気体のための入口ならびにフォームのための出口を備える、フォームを生成する構造と、入口と連通する液体経路と、入口と連通する気体経路とを備える、注射可能なフォームを生成するデバイスを提供し、液体経路は、気体経路を通る気体の送達と無関係に、液体経路を通って液体を送達するための手段を備えることを特徴とする。
【0021】
第2の態様は、第1の態様の方法が実行できるデバイスを提供する。液体および気体はフォームを生成する構造に独立して送達され、これにより、使用者はフォームを生成するために組み合わせる液体と気体の特性を調節することができる。デバイスの配置は、使用者に上記のような第1の態様の方法の利点のすべてを提供する。フォームを生成する構造への液体の送達を気体の送達と無関係に、例えば気体の送達流量を一定に保持しながら、液体の送達流量を増加または低減することにより管理することにより、必要に応じてフォームの特性を調節することができる。加えて例えば液体の代替源に置換し、または多様化することによる液体の独立した送達の調節により、必要に応じてフォームの特性および/または濃度を調節することができる。
【0022】
フォームを生成する構造は、上記のようにそれぞれの流れを破裂させ、かつ/または制限することにより、フォームを形成するために液体と気体を組み合わせるための手段を提供する。構造は、その中でフォームを生成するために液体と気体を組み合わせる、フォームを生成する構造の内部に液体および気体の独立した送達が可能な、液体および気体のための入口を提供する。好ましくは、液体および気体は単一の入口を通って構造に独立して送達される。これにより、フォームの形成を支援することができるフォームを生成するための構造内で組み合わせる前に、液体と気体を混合することができる。別法として液体および気体のための入口は、例えばそれを通って液体および気体がフォームを生成する構造の中に別個に送達される別個の入口を含む、複数の入口を提供することができる。これは、液体および気体がより大きい容積に、または増加された流量で、または非常に異なる圧力で構造の中に導かれるべきである場合に好ましいことがある。加えて液体および気体のための別個の入口は、フォームを生成するために組み合わされる前に混合を避けるべき場合に好ましいことがある。また構造はフォームのための出口も提供する。出口は、硬化治療に使用するために構造内で液体と気体を組み合わせることにより、生成されたフォームを除去することができる。好ましくは、出口は環境大気圧下にあり、これにより、さらに液体および気体が入口を通って独立して送達されるので、フォームは単純な容積の置換によって構造から出ることができる。
【0023】
液体経路は、フォームを生成する構造の入口に液体を送達するための導管を備える。典型的には、この導管は送達する液体に不透過で不活性であり、さらに生体適合性がある医療グレードのポリマ管を備える。好ましくは、導管は非弾性である。これは、デバイスの一般的な作動の圧力で基本的に変形し難いことを意味する。特定の実施形態では、導管は変形可能な部分を備える。このような変形可能な部分は、外部機構手段、例えば経路を通ってフォームを生成する構造に送達される液体を駆動するために、導管の該当部分を変形することができる蠕動ポンプと係合することができる。このような配管に適切な材料は、当技術分野で周知であり、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびラテックスゴムを含む。適切な管の寸法は、送達される液体の容積に基づいて決定することができるが、典型的には内径が2mm~10mmの範囲内である。好ましくは、内径は4mm~6mmである。
【0024】
デバイスは、液体経路の中に液体を導入するように配置された発泡性液体の源をさらに備えることができる。これは、別個の容器から液体をデバイスに満たす必要を回避することにより、デバイスの使用が単純になる。液体源は密封容器であることが可能である。これにより、デバイス内の液体を滅菌環境に維持することができる。適切な密封容器の例は、当技術分野で周知であり、アンプル、カープル(carpoul)または上部ネジ取付具もしくはバイアルスパイクを通してデバイスに連結できる従来の薬剤バイアルを含む。任意選択で発泡性の液体源は予め充填された注射器であることが可能である。
【0025】
液体経路は、気体経路を通る気体の送達と無関係に、液体経路を通って液体を送達するための手段を備える。この手段は、気体の送達と無関係に作動させる、フォームを生成する構造に液体を送達するのに適したあらゆる形であってもよい。このような独立した作動は、液体を送達するために独立したまたは別個の力の提供を含むことができ、またこのような作動は、このような力の独立したまたは別個の制御またはプログラミングも含むことができる。このような手段は、液体経路の中に液体を導入するように配置された発泡性液体の源を加圧するためのシステムであることが可能である。液体源を加圧することにより、際立った機械設備または可動部品を含む必要なしに液体の送達を提供する。好ましくは、液体経路を通って液体を送達するための手段はポンプ、例えば蠕動ポンプである。最も好ましくは、ポンプは容積式ポンプである。液体を送達するための手段としてのポンプすなわち容積式ポンプの使用は、本発明の第1の態様の方法でポンプの使用に対して上に論じた利点のすべてを送達する。またデバイスはポンプを駆動するように配置されたモータも含み得る。このようなモータはポンプを駆動することができ、ポンプを機械的または磁気的に係合するモータを含むことができる、あらゆるデバイスである。ポンプの係合は、直接(すなわちモータが直接ポンプに接触する)であってもよく、または間接(すなわちモータが中間構造を通してポンプに接触する)、例えば駆動系を通してもよい。デバイス内にポンプを含むことにより、デバイスが内蔵型であることが可能であり、使用するためにデバイスに外部モータを取り付ける必要がないので、液体送達の制御が単純になる。
【0026】
任意選択で、液体経路は一方向弁または背圧弁を備える。これは、液体経路内で液体の還流または逆流を防ぐ。還流の防止は、デバイスを使用している間に液体源を変えることができるという点で特に重要である。弁は液体経路内のあらゆる点に配置され得るが、好ましくは、弁は液体を送達するための手段とフォームを生成する構造との間に据えられることが理解されよう。
【0027】
気体経路は、フォームを生成する構造の入口に気体を送達するための導管を備える。典型的にはこの導管は、送達される気体に不透過であり不活性であるだけでなく、生体適合である、医療グレードのポリマを備える。導管は非弾性である。これは、導管がデバイスの一般的な作動圧力で基本的に変形し難いことを意味する。これにより、使用者は膨張する、または変形する導管内に気体が保持されることなく、圧力でフォームを生成する構造に気体を送達することができる。このような配管に適切な材料は当技術分野で周知であり、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびラテックスゴムを含む。適切な管の寸法は、送達される液体の容積に基づいて決定することができるが、典型的には内径が2mm~10mmの範囲内である。好ましくは、内径は4mm~6mmである。
【0028】
デバイスは、気体経路の中に気体を導入するように配置された気体源をさらに備えることができる。これは、別個の容器から気体をデバイスに満たす必要を回避することにより、デバイスの使用を単純にする。気体源は加圧気体または大気圧での気体を含有することができる。好ましくは、気体源は圧縮ガスシリンダである。このようなガスシリンダは、特定の医療使用のために規定された気体混合物を含有させることができ、このようなシリンダは、臨床環境での使用のために気体を提供する最も有益な方法を供給し、またこのようなシリンダにより、使用者は比較的小さい空間に大容積の気体を保存できる。圧縮ガスシリンダは、典型的には非常に高い圧力で気体を含有する。圧縮ガスシリンダの使用は、追加としてフォームを生成する構造の中に気体を送達し、フォームを生成するように液体と気体の組合せを駆動するために、潜在的エネルギーを提供する。気体の送達は、弁またはガス圧力調整器によって制御することができる。調整器により、気体は気体経路に安全でフォームを生成するのに十分な適切な圧力で確実に導入される。弁は液体経路内で気体または液体の還流または逆流を防ぐ。還流の防止は、デバイスを使用している間にガスシリンダを変えることができるという点で好都合である。好ましくは、気体の送達は、ガス圧力調整器および弁によって制御される。
【0029】
任意選択で、気体経路はポンプ、例えば蠕動ポンプを備えることができる。最も好ましくは、ポンプは容積式ポンプである。気体を送達するためのポンプすなわち容積式ポンプの使用は、本発明の第1の態様の方法でポンプの使用に対して上に論じた利点のすべてを提供する。またデバイスはポンプを駆動するように配置されたモータも含んでもよい。このようなモータはポンプを機械的または磁気的に係合することができる。ポンプの係合は、直接(すなわちモータが直接ポンプに物理的に接触する)であってもよく、またはポンプの係合は間接(すなわちモータがポンプに物理的に接触しない)、例えば磁気的に、または駆動系を通してもよい。デバイス内にポンプを含むことにより、デバイスが内蔵型であることが可能であり、使用するためにデバイスに外部モータを取り付ける必要がないので、液体送達の制御が単純になる。
【0030】
任意選択で、気体経路は気体を滅菌するフィルタを備える。これにより、フォームを生成する構造に入る気体が、臨床使用のためのフォームを生成するために必要に応じて確実に滅菌される。
【0031】
デバイスは、フォーム経路によりフォームのための出口に連結されたフォームポートをさらに備えることができる。フォーム経路は、フォームを生成する構造に生成されたフォームがデバイスの使用者により制御されるためにフォームポートに送達されるように、出口とフォームポートとの間に導管を提供する。フォームは、注射器またはカテーテルなどの標準医療デバイスをデバイスに連結することができる。好ましい一実施形態では、フォームポートは標準注射器のルアースリップと係合するのに適切である。
【0032】
フォーム経路は、任意選択でフォームを調整する構造を備えてもよい。フォームを調整する構造は、フォームを生成する構造に提供される要素と同様の多数の追加要素を提供する。これらの追加要素をフォームが通過することにより、確実にフォーム内の泡の大きさの分配が制限され、大きい泡は除去される。フォームを調整する構造は、出口の近くもしくはフォームポートの近く、またはフォーム経路の2つの端部の間のあらゆる点に据えることができる。
【0033】
使用前および使用中にデバイスはデッドスペースまたは空気を含有するので、フォームを生成する構造への液体および気体の最初の送達が、意図された仕様以外である最初のフォームの生成を生じる可能性があり、このような最初のフォームを処分する必要があることが理解されよう。任意選択でデバイスは廃棄チャンバを備えることができる。廃棄チャンバはフォーム経路と連通し、廃棄チャンバは、この最初のフォームが患者に投与されないように最初のフォームを保持するように配置される。典型的には廃棄チャンバは空気に発散し、最初のフォームは弁の開口により廃棄チャンバの中に向けられる。別法として、最初のフォームは廃棄チャンバの中に流れ、フォームの流れは、次いでフォームが廃棄チャンバに入るのを防ぐ感圧弁によりフォーム経路に向けられる。別法として、廃棄チャンバに入る最初のフォームが克服しなければならない圧力は、フォームがフォーム経路を通過するために克服しなければならない圧力より低い。
【0034】
好ましくは、デバイスは、主要構成要素が使い捨てカートリッジ、消耗品またはカセットとして提供されるような形で提供される。使い捨て品の配置はデバイスの使用を最適化し、フォームを生成する際に使用者が誤る可能性を低減する。加えて使い捨て品の使用により、フォームの濃度の調節をより容易かつより安全にすることにより、使用者に供給する柔軟性を高める。その最も単純な形で、このような使い捨て品は、液体および気体のための入口、ならびにフォームのための出口、気体経路ならびにポンプを備える液体経路を有する、フォームを生成する構造を含む。ポンプは安価で提供することができ、このような使い捨て品の使用は、所望の特性を有するフォームを生成する際に使用者に柔軟性を供給する。また使い捨て品は液体源を備えることもできる。この配置はデバイスに液体を充填する必要をなくし、液体がそのデバイス内で使用するために滅菌条件で提供されることがわかることで使用者に安心感を与える。液体源は、液体経路と連通させてもよく、または液体源は密封され、経路に液体を提供するために活性化を必要とすることがある。このような活性化は、例えばバイアルスパイクの配備により密封を破いてもよく、または活性化はネジ付き係合手段を係合してもよい。液体源の密封を活性化することにより、使用者は源の開口日を記録することができ、したがって製品の使用可能期間をより正確に決定することができる。
【0035】
加えて使い捨て品は、フォーム経路によりフォームのための出口に連結されたフォームポートを備えることができる。これにより、フォームに直接接触するすべての構成要素を使用後に処分することができ、それによってフォームの汚染の危険性が除去されるように、使用者は使い捨て品からフォームを直接取り出すことができる。
【0036】
任意選択で、使い捨て品はフォーム経路と連通する廃棄チャンバを備えることができる。これは、最初の作動で生成した不要なフォームまたは気体を手動で処分する必要をなくすことにより、使用者の使用が単純になる。好ましくは、フォーム経路は廃棄チャンバと連通して制御する廃棄弁を含む。これにより、処分した廃棄量の制御を信頼することができ、使用可能なフォームは廃棄されないことが確保される。
【0037】
任意選択で、気体経路は、例えばポンプまたは気体を滅菌するフィルタを含む、追加構成要素も備えることができる。気体経路内にポンプを含むことにより、使用者はフォームを生成する構造に気体を送達する流量をより接近して制御することができる。気体を滅菌するフィルタを含むことにより、使用者は気体源を頻繁に変えないことが可能になる一方で、気体はフォームを生成する構造に送達する際に確実に滅菌される。好ましくは、気体経路はポンプおよび気体を滅菌するフィルタを備えることができる。
【0038】
好ましい一実施形態では、使い捨て品は、液体および気体のための入口、ならびにフォームのための出口、気体経路、ポンプを備える液体経路、液体源、フォーム経路によりフォームのための出口に連結されたフォームポート、ならびにフォーム経路と連通する廃棄チャンバを有する、フォームを生成する構造を備える。
【0039】
好ましくは、使い捨てカートリッジ、消耗品またはカセットは、気体経路を通る気体の送達と無関係に、液体経路を通って液体を送達するための手段を制御する、耐久性機械と係合することによりフォームを生成するために使用される。これは使用者に柔軟性を供給し、使用者は、単一の機械を用いて診療所で様々なフォームを生成するために、このような使い捨てデバイスの間を切り替えることができる。好ましい実施形態では、使用者が使い捨てカートリッジ、消耗品またはカセットを機械内の適切な工学インターフェースに押し込むことによって形成された機械的締まりばめにより、使い捨てカートリッジ、消耗品またはカセットは機械と係合する。このような機構は、使用者が必要に応じて使い捨て品を速やかに容易に置換または交換できるように、使い捨て品の設置および除去を単純にする。使い捨てカートリッジ、消耗品またはカセットは、係合する機構を係止することにより機械と係合することができる。これは、使用中に機械からカセットを意図せずに除去することを防ぎ、それによってフォームを生成する際に使用の安全性が高まる。
【0040】
この耐久性機械/使い捨てカセットの型では、機械は制御ユニットを備えることができる。制御ユニットはフォームを生成する構造に液体を送達するための手段を制御し、したがって制御ユニットはデバイスを使用して生成したフォームの特徴を制御する。制御ユニットは機械構成要素、例えば液体経路を通る液体の送達期間を制御するタイマーであることが可能である。これは、使用者にデバイスを使用してフォームの生成を制御する単純で安価な方法を提供する。好ましくは、制御ユニットはコンピュータ化され、例えばコンピュータ化した構成要素が液体経路を通る液体を送達するポンプの速度を直接管理する。これは、使用者がフォームの生成を制御できる一方で、タイマー制御ユニットが課すはずである容積の限定または抑制する可能性を阻止する、高機能の制御機構を提供する。より好ましくは、制御ユニットはCPUを備える。
【0041】
機械は、フォーム経路内の泡の大きさの分配を測定するように構成された泡寸法測定器を備えることができる。これは、使用者のために適切な泡の大きさの分配を確認でき、ならびに万一必要な仕様範囲内ではないフォームが生成した場合に警報を提供する。任意選択で、泡寸法測定器は、泡の大きさを決定するために熱素子、光学素子、抵抗素子、容量性素子、超音波素子またはカメラを備える。好ましくは、フォームを監視する手段はカメラを備える。このようなカメラの泡寸法測定器の作動は、大きさの決定が実行されるはずであったフォーム経路の一部が透明であり、カメラの視野を通して1つにされた泡の通過が可能な十分に小さい内径からなることが必要であるはずである。これは泡の大きさの決定のために単純な直接光学システムを提供する。好ましくは、泡寸法測定器の作動は制御ユニットによって制御される。これにより作動の自動化が可能になり、機械内で自動的にフォームの品質を監視することを可能にする。
【0042】
次に本発明について、添付図面を参照してさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A-1B】本発明の方法による、フォームを生成するために必要な主要構成要素の概略図である。
図2】本発明の方法による、フォームを生成するために使用され得る構成要素の組合せの概略図である。
図3】耐久性機械内に提供され得る追加構成要素と係合する、図2からの構成要素の組合せからの概略図である。
図4】本発明のデバイスを使用して獲得されたフォームの密度に対する、液体流量および気体流量のグラフである。使用されたデータは、表2において表形式で表されている。
図5A-5D】本発明のデバイスを使用して密度がそれぞれ0.11g/ml、0.12g/ml、0.13g/mlおよび0.14g/mlを有するフォームの生成に関する、液体流量に対する気体流量のグラフである。使用されたデータは、表2において表形式で表されている。
図6】本発明によるデバイスの断面図である。
図7図6のデバイスを組み込む、本発明によるデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】

図1Aおよび1Bは、本発明の主要構成要素の概略図を示し、フォームを生成する構造(4)は液体および気体のための入口(5)ならびにフォームのための出口(6)を有して示されている。液体経路(1)は入口(5)と連通し、気体経路(2)は別個の入口(5)と連通する。ポンプ(3)は液体経路(1)内に提供される。
【0045】
デバイスは本発明による、フォームを生成するために必要な構造的特徴の最小の組合せを備え、したがってデバイスは具体的にはポンプ(3)を駆動し、液体および気体の源を提供する機械と組み合わせた使い捨てデバイスとして使用するのに適している。
【0046】
図2は、フォームを生成するために使用され得る構成要素の組合せの概略図を示し、液体経路(10)および気体経路(20)は、液体および気体のための別個の入口(図では特定されていない)を通ってフォームを生成する構造(31)と連通する。この例では、フォームを生成する構造(31)はメッシュの積層を含む。液体経路(10)および気体経路(20)はそれぞれがシリコーン配管を備える。
【0047】
気体は、外部の加圧気体源(図示せず)から気体コネクタ(21)を通って気体経路(20)に、加圧気体源(図示せず)と気体コネクタ(21)との間に直線に配置された外部ガス圧力調整器(図示せず)によって制御された圧力で提供される。
【0048】
気体経路(20)を通る気体の通過は、開閉し得る気体弁(22)によって制御される。気体弁(22)がデバイスの使用中に開くと、気体は、フォームを生成する構造(31)に提供された気体を確実に滅菌するために気体フィルタ(23)を通過する。滅菌気体は、気体ポンプ(24)により気体経路(20)を通ってフォームを生成する構造(31)に送達される。気体ポンプ(24)は、ポンプのストローク毎に20μlの気体を前進させる容積式ポンプである。調節は、フォームを生成する構造(31)に所望の容積の気体を送達するように、気体ポンプ(24)の作動の速度または回数にさせることができる。
【0049】
圧力センサ(25)は気体ポンプ(24)に入る際、およびフォームを生成する構造(31)に入る際の気体圧力を測定するために気体経路(20)に提供される。気体ポンプ(24)の作動は、典型的にはフォームを生成する構造(31)に入る前に気体圧力を増加させる。
【0050】
液体は、外部液体源(図示せず)から大気圧で液体コネクタ(11)を通って液体経路(10)に提供され、気体経路(20)および気体ポンプ(24)と無関係に作動する液体ポンプ(12)により液体経路(10)を通って前進される。液体ポンプ(12)は、ポンプのストローク毎に5μlの気体を前進させる容積式ポンプである。調節は、フォームを生成する構造(31)に所望の容積の液体を送達するように、液体ポンプ(12)の作動の速度または回数にさせることができる。背圧弁(13)は、液体経路(10)内の液体還元を防ぐために、液体ポンプ(12)とフォームを生成する構造(31)との間に配置される。
【0051】
液体および気体は、フォームを生成する構造(31)に独立して送達され、その中で液体および気体は混合し、5μmの大きさの平均孔を有する一連の4つのメッシュフィルタを横切り、フィルタはフォームを生成するために3.5mm~3.7mmだけ互いから離間される。フォームを生成する構造(31)内で生成されたフォームは、出口を通ってフォーム経路(30)に送達される。次いでフォームはフォームを調整する構造(33)を通過し、フォームを調整する構造(33)はさらに4つのフィルタのメッシュの積層を備え、それぞれは5μmの大きさの平均孔を有し、フィルタは3.5mm~3.7mmだけスタック内で互いから離間される(Filtertek)。フォームを調整する構造(33)を通過することにより、フォームを調整する構造(33)を通過していないフォームと比べて定常状態のフォームを安定的に増加して産出する。
【0052】
最適な品質のフォームは、フォーム経路(30)と廃棄チャンバ(35)との間の連通を制御するために、フォーム経路(30)内に配置された廃棄弁(34)を活性化することにより、デバイスの最初の作動時に生成された低品質のフォームから分離される。廃棄弁(34)を開くことにより、フォームの一部を廃棄チャンバ(35)内に送達し維持できるために、廃棄チャンバ(35)とフォーム経路(30)との間の連通が可能になる。廃棄弁(34)は一旦最適な品質のフォームが生成されると閉じ、フォームは使用者により使用のためにフォーム経路(30)を通ってフォームポート(36)に提供される。
【0053】
圧力センサ(25)は、フォームを生成する構造(31)から出る際、およびフォームを調整する構造(33)から出る際のフォームの圧力を測定するためにフォーム経路(30)内に提供される。フォームの圧力は、フォームを調整する構造(33)から出る際に大気圧に低減される。
【0054】
図3は、耐久性機械(501)内に提供される傾向がある追加構成要素と係合した使い捨て品(101)の形の、図2からの構成要素の組合せの概略図を示す。この略図では、液体ポンプモータ(111)および気体ポンプモータ(211)は、液体および気体が図1で記載されたように、その中でフォームを生成するために組み合わされるフォームを生成する構造(31)に、液体および気体が独立して送達されるように、液体ポンプ(12)および気体ポンプ(24)のそれぞれを係合し、駆動するように配置されている。使用者は必要なフォームの仕様を規定し、データ入力デバイス(302)を使用して装置をプログラミングし、データ入力デバイス(302)は、制御ユニット(300)と電子通信して配置された7インチのタッチスクリーンデバイスである。
【0055】
制御ユニット(300)は、液体ポンプモータ制御装置(112)および液体ポンプ(12)を機械的に係合する液体ポンプモータ(111)と電子通信して配置された、プログラマブル・コンピュータデバイスである。使用者は液体ポンプモータ(111)を規定された速度で作動するように、液体ポンプモータ制御装置(112)に指示するデータ入力デバイス(302)を通して制御ユニット(300)に指示を提供する。次いで液体ポンプモータ(111)は、気体経路(20)を通る気体の送達と無関係に、液体経路(10)を通ってフォームを生成する構造(31)に液体を送達するように、確定した速度で液体ポンプ(12)を駆動させる。
【0056】
制御ユニット(300)は、気体ポンプモータ制御装置(212)および気体ポンプ(24)を機械的に係合する気体ポンプモータ(211)と電子通信して同様に独立して配置される。使用者は気体ポンプモータ(211)を規定された速度で作動するように、気体ポンプモータ制御装置(212)に指示するデータ入力デバイス(302)を通して制御ユニット(300)に指示を提供する。次いで気体ポンプモータ(211)は、気体経路(20)を通ってフォームを生成する構造(31)に必要量の気体を送達するように、気体ポンプ(24)を規定された速度で駆動させる。
【0057】
またデバイスは、気体経路(20)内およびフォーム経路(30)内に配置された圧力センサ(25)と電子通信して配置された圧力センサシステム(221)も含む。圧力センサシステム(221)はアナログ測定システム(222)と電子通信し、圧力センサ(25)からアナログ測定システム(222)に圧力読取値を提供する。圧力読取値は標準化され、その中に圧力読取値が記憶される制御ユニット(300)に提供され、次いでデータ入力デバイス(302)上で使用者によって監視されることが可能である。
【0058】
装置は、使用者が制御ユニット(300)からデータおよび情報をダウンロードできるデータインターフェース(301)をさらに含む。この例では、データインターフェース(301)はUSBコネクタである。
【0059】
表1には、図3に示されたように本発明のデバイスを使用して、多様な条件下で生成されたフォームの特徴が記載されている。使用された液体は、ポリドカノールの1%(w/v)の水溶液であり、使用された気体は、酸素(65%)と二酸化炭素(35%)の混合物であった。
【0060】
表2には、図3に示されたように構成要素の組合せを備える本発明のデバイスを使用して、規定された密度を有するフォームの生成が記載されている。使用された液体は、ポリドカノールの1%(w/v)の水溶液であり、使用された気体は、酸素(65%)と二酸化炭素(35%)の混合物であった。データは図4および5A~5Dにグラフの形で表されている。これらのデータは、所望の特性を有するフォームが、フォームの密度および生成速度に影響を及ぼす様々な条件下で、本発明の方法およびデバイスを使用して生成することができることを実証している。
【0061】
図6は、本発明の第2の態様によるデバイスの使い捨て構成要素の断面図を示す。気体の外部源(図示せず)は、気体経路(20)に気体を提供するために気体コネクタ(21)と連通して配置されている。気体は、気体ポンプ(24)により気体経路(20)を通ってフォームを生成する構造(31)に送達される。バイアルの形の液体源(9)は、液体経路(10)に液体を提供するために、バイアルスパイクの形の液体コネクタ(11)と連通して配置される。液体は、液体ポンプ(12)により液体経路(10)を通ってフォームを生成する構造(31)に送達される。液体および気体はフォームを生成するためにフォームを生成する構造(31)内で組み合わされ、次いでフォームはフォーム経路(30)に入る。最初の低品質のフォームは、フォーム経路(30)と廃棄チャンバ(35)との間の連通を開くために、廃棄弁(34)を活性化することにより、デバイスから浄化されるあらゆる気体と一緒に廃棄チャンバ(35)の中に送達される。次いで廃棄弁(34)は閉じられ、硬化療法に使用するためのフォームはフォームポート(36)に送達される。
【0062】
図7は、本発明の第2の態様によるデバイスの断面図を示し、図6の使い捨て構成要素(100)はフォームを生成するために耐久性機械(500)と係合される。
【0063】
電力は、電源装置(400)に電気を提供するために、主要入力部(401)を通って機械(500)に供給される。電源スイッチ(402)は、主要入力部(401)を通ってデバイスに電力を係合し(オンにする)、係脱する(オフにする)ために使用される。電源装置は、デバイスの作動を制御するために適切な電源装置を制御ユニット(300)に提供する。
【0064】
制御ユニット(300)は、液体ポンプモータ(111)を制御する液体ポンプモータ制御装置(112)と電気通信する。ポンプモータ(111)は、液体経路を通って使い捨て構成要素(100)内のフォームを生成する構造の中に液体を送達するために、液体ポンプに間接的に係合し駆動させる。ポンプモータ(111)とポンプとの間の間接的な係合は、駆動系機構(200)によって介在される。
【0065】
気体の外部源(図示せず)は、気体弁(22)およびガス圧力調整器(28)を含む気体経路(20)に気体を提供するために、気体コネクタ(21)と連通して配置される。気体は、図6に記載されたように気体経路(20)を通って使い捨て構成要素(100)に送達される。
【0066】
制御ユニット(300)は、気体ポンプモーター(211)を制御する気体ポンプモータ制御装置(212)と独立して電気通信する。ポンプモータ(211)は、気体経路を通って使い捨て構成要素(100)内のフォームを生成する構造の中に気体を送達するために、気体ポンプに間接的に係合し駆動させる。ポンプモータ(211)とポンプとの間の間接的な係合は、駆動系機構(200)によって介在される。駆動系機構(200)は気体ポンプの係合と無関係に液体ポンプの係合に介在し、それによって使い捨てデバイス(100)内のフォームを生成する構造に液体および気体の送達を独立して提供する。
【0067】
使用者は必要なフォームの仕様を規定し、制御ユニット(300)と電気通信して配置されたデータ入力デバイス(302)を使用してプログラミングする。使用者がデータ入力デバイス(302)を通して制御ユニット(300)をプログラミングすることにより、ポンプモータ(111、211)を規定された速度で作動させ、それによって使い捨て構成要素(100)内のフォームを生成する構造に液体および気体を送達するようにモータ制御装置(112、212)に指示する。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7