(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】セルフシーリング性の加圧された四肢エンクロージャ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20230418BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A61B5/00 F
A61B5/022 100Z
(21)【出願番号】P 2019524986
(86)(22)【出願日】2017-11-17
(86)【国際出願番号】 US2017062356
(87)【国際公開番号】W WO2018094243
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-09-29
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518197018
【氏名又は名称】メディシ テクノロジーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,マーク,ライズ
(72)【発明者】
【氏名】アレン,エレナ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】セールファー,ファヒメー
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04432354(US,A)
【文献】米国特許第03450450(US,A)
【文献】米国特許第04772259(US,A)
【文献】米国特許第04003371(US,A)
【文献】特表2010-528704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0024322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/0295
A61G10/00-10/04
A61H33/00-33/14
A61H 9/00
A61H35/00-37/00
B01L 1/00
B25J21/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に穴を有する加圧可能なエンクロージャ用のシーリング機器において、可撓性のスリーブを備え、前記スリーブは、前記穴で前記エンクロージャにシール係合する第1端と、前記スリーブ内に四肢を通過させることを可能にする第2端と、を有し、前記スリーブは前記エンクロージャ内で終端し、前記スリーブの
前記第2端の直径は、
前記エンクロージャ内に正の圧力が発生していないとき、前記スリーブの
前記第2端が
前記スリーブの張力
によって円周方向
の力を
前記四肢に作用させないように十分に大きく、前記スリーブは、加圧可能な前記エンクロージャ内に正の圧力が発生すると、前記スリーブが前記四肢に対して半径方向に圧縮されて、つぶされて、又は折りたたまれて、前記四肢のまわりに有効なシールを形成し、かつ前記スリーブは、前記スリーブ内にある前記四肢の部分への圧力が前記エンクロージャ内の圧力を所定の圧力許容範囲以上は上回らないように構成されている、シーリング機器。
【請求項2】
前記スリーブが、35cmH2Oの周囲に対する圧力で非正角度進行構成を有する材料を備える、請求項1に記載のシーリング機器。
【請求項3】
前記スリーブが、ラテックス又はシリコーン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ナイロン織物、ケブラ織物、及びテリレン織物のうちの1つ又は複数を備える可撓性材料を備える、請求項1に記載のシーリング機器。
【請求項4】
複数の接触センサが前記四肢と前記シーリング機器又は加圧可能な前記エンクロージャの剛性部分との接触を検知するように、前記スリーブ及び圧力管理システムに対して配設される前記複数の接触センサをさらに備える、請求項1に記載のシーリング機器。
【請求項5】
複数の圧力センサが前記シーリング機器又は加圧可能な前記エンクロージャの剛性部分によって前記四肢上に及ぼされる圧力を検知するように、前記スリーブ及び加圧可能な前記エンクロージャに対して配設される前記複数の圧力センサをさらに備える、請求項1に記載のシーリング機器。
【請求項6】
前記スリーブが、複数のバッテンをさらに備え、各バッテンが、軸方向に堅く、前記スリーブが軸方向の変形に抵抗するように前記スリーブに実装される、請求項1に記載のシーリング機器。
【請求項7】
前記スリーブが、前記穴との前記シール係合から遠くよりも、前記穴との前記シール係合の近くで、より大きい軸方向剛性を有する、請求項1に記載のシーリング機器。
【請求項8】
前記スリーブが、前記穴との前記シール係合から、前記穴との前記シール係合から遠い領域まで、滑らかに減少する軸方向剛性を有する、請求項7に記載のシーリング機器。
【請求項9】
前記スリーブが蛇腹折りで構成されて、容積の周囲を上回る圧力が前記蛇腹折りを軸方向に圧縮するような、折り曲げに対する抵抗を有する、請求項1に記載のシーリング機器。
【請求項10】
前記スリーブの材料が、前記四肢との低い摩擦係数を有する、請求項9に記載のシーリング機器。
【請求項11】
前記スリーブがチューブであり、前記四肢が前記スリーブの遠位端を越えて前記エンクロージャに延在するように、前記スリーブが構成される、請求項1に記載のシーリング機器。
【請求項12】
加圧可能な前記エンクロージャの前記穴の寸法は、前記エンクロージャに前記四肢を入れてから調整できる、請求項1に記載のシーリング機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01] 技術分野
[02] 本発明は、四肢のまわりの圧力を管理する方法及び機器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[03] 背景技術
[04] 一部の医療用途においては、四肢に対する圧力の影響を研究することが望ましい。1つの例は、参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/423,768号に記載されているような、手の甲の静脈からの中心静脈圧の光学測定である。そのような用途において、四肢のまわりに圧力を発生させるために使用される方法が、注目する圧力を上回るような四肢上へのさらなる接触圧力を発生しないことが重要である可能性がある。エンクロージャ圧力を上回る接触圧力を利用しない方法で四肢のまわりの加圧されたエンクロージャを作成することは、困難な課題である。その困難さは、人間の四肢に固有の物理的複雑さ及び解剖学的変異性によって、並びに、シーリング機構を単一の操作者により簡単に使用したいという要求によって増大する。
【発明の概要】
【0003】
[05] 発明の概要
[06] 本発明の実施形態により、人間の生理学及び解剖学と関連する多くの微妙な違いに正しく対処することによって、四肢上への圧力効果の評価のための、セルフシーリング性の加圧された四肢エンクロージャの作成が可能になる。実施形態は、シール位置の接触圧力がエンクロージャ圧力を上回らない、又は四肢に沿ってかなり局所的な圧力勾配を作成しないシステムを提供することによって、使用目的と関連する基準に対処する。四肢の生理学的特性のために、シール機構は、皮膚及び組織変形、並びにエンクロージャ境界に対する組織の移動の存在下で機能しなければならない。
【0004】
[07] 実施形態は、有用性及び快適性と関連する他の利点も提供する。実施形態は、個人がさらなる支援なしにシステムを作動させることができる方法で機能する。実施形態は、正のエンクロージャ圧力により使用者の四肢に作用する力に抵抗することを使用者に要求しないことで、使用者の快適性をもたらす。
【0005】
[08] 例示的なシール機構は、外部の剛性開口と、内部の可撓性シールと、を備える。外部の剛性開口は剛性のエンクロージャと結合して、エンクロージャに手を入れることを可能にする。開口寸法は、検査時の四肢のさまざまな寸法及び形状に適合するように調整することができる。内部の可撓性シールは、エンクロージャの正圧により四肢上で径方向に縮む、従って、セルフシーリング性がある。可撓性シールは、軟部組織の変形及び開口内の四肢の細かい動きに対応する。システムは、下にある骨構造に対する皮膚の動きがある場合に、シールの完全性を維持する。
【0006】
[09] 実施形態は、効果的なエアシールの作成にとって重要である内部シールの物理的及び幾何学的な特性を提供する。シールは、半径方向に十分に圧縮可能であり、空気流を均一且つ安定して制限する。同時に、シールは軸方向の力に抵抗し、いくつかの実施形態において、これは、四肢との摩擦、軸方向の剛性、又は軸方向へのたわみに対する剛直性若しくは抵抗の他の手段によって実現される。内部シールの円周は等しく重要であり、内部シールは、四肢のより近位の態様より大きな直径を有することがある、四肢の末端の態様(すなわち、手又は足)が入ることも可能にしなければならず、一般に、エンクロージャ圧力を上回る、四肢上の周囲の圧力を発生させないように作成される。
【0007】
[10] 外部の剛性開口と四肢の表面との間の距離又は隙間は、重要なパラメータである。大きな隙間は、シール及び四肢に作用する軸方向力を増加させ、過剰な力は、使用者に不快感をもたらし、場合によっては、内部シール及び四肢をエンクロージャから押し出す。より小さな隙間は、エアシールが維持されることができるように軸方向力を減少させる。実施形態は、四肢支持機構を介してこれらの軸方向力を相殺し、そのため、使用者は筋肉を動かす必要がなく、又は、そうでない場合には四肢の動きに抵抗する必要がない。動きが重力によって対抗されるような四肢の肘の止め具又は位置合わせを実施形態が使用することは、軸方向力を軽減する解決方法の例である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[11] 図面の簡単な説明
【
図1】シール圧力がエンクロージャ圧力を上回っている典型的なシール機構の説明図である。
【
図7】隙間寸法と非剛性開口表面積との関係を示す。
【
図8】接触センサを使用するシールシステムの説明図である。
【
図9】圧力センサを使用するシールシステムの説明図である。
【
図11】圧力の増加によるシール位置の変化を示す説明図である。
【
図13】圧縮シールの基本概念を示す説明図である。
【
図14】軸方向の剛性を基にしたシールの例である。
【
図15】軸方向の剛性を基にしたシールの第2の例である。
【
図16】軸方向の剛性を基にしたシールの第3の例である。
【
図17】軸方向の剛性を基にしたシールの第4の例である。
【
図19】アイリス絞りを使用する可変開口の説明図である。
【
図20】重なる薄片を使用する可変開口の説明図である。
【
図21】シールが有効であるときの開口寸法及びシール材料の影響を示す。
【
図22】シールが動くときの開口寸法及びシール材料の影響を示す。
【
図23】重なるブラシ毛を使用する可変開口の説明図である。
【
図24】いくつかの実施形態において折り重なる材料に関する角度関係の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[36] 実施形態及び産業上の利用可能性の説明
[37] 定義
[38] 「シール接合部」は、可撓性スリーブと四肢の組織との間の接触している領域を表す。
【0010】
[39] 「シール位置」は、剛性開口によって定義される平面などの、定義可能な位置に対するシール接合部の位置である。
【0011】
[40] 「半径方向圧力」は、四肢の中心に向けて作用する四肢表面に垂直の圧力である。
【0012】
[41] 「軸方向力」は、四肢の軸に沿って作用する圧力である。正の軸方向力は、四肢をエンクロージャから押し出すように作用する。
【0013】
[42] 「圧力許容範囲」は、設定された又は望ましい値に対する、圧力の変化の許容限度を定義する。典型的な用途の圧力許容範囲は、およそ1cmH2Oである。
【0014】
[43] 「圧力一貫性」は、表面中の圧力が圧力許容範囲までで一定である、すなわち、圧力許容範囲より大きい局所圧力勾配が存在しない静的状態を定義する。
【0015】
[44] 本明細書で使用される「非正角度進行構成」は、シール材料の円周上の進行が、円周上の連続する点の間の角度関係が物体の中心からの線及びシールを形成する材料との交点による角度定義の増加にならない状態となる構成を定義する。
図24Aに示されるように、円は、正の且つ一定の進行角度を維持する。
図24Bに示されるように、シール材料がそれ自体の上に折り重なり始めると、進行の角度は減少する可能性があり、材料がひだを形成し始めると、より小さい正になる。
図24Cに示されるように、シールのさらなる形成は、材料がそれ自体の上に折り返し始めると、進行の角度がゼロになる又は負になる可能性がある状況を作り出す。別の見方をすれば、非正角度進行構成では、物体の中心から外側に引かれた線は、2回以上、シール材料の表面に遭遇する。
【0016】
[45] 本明細書で使用される「チューブ」は、近位及び遠位穴を有する、移送のための円筒形物体を単純に定義する。物体は、チューブの長さに沿って、円周を変えることができる。
【0017】
[46] 「シーリング係合」又は「シール係合される」又は「シール」は、空気流に対する適切な抵抗を提供する、スリーブと四肢との間などの、2つの実体の間の係合を指す。シーリング係合は、完全な気密性、すなわち空気が係合を通過しないことを要求しないが、係合が係合全体での望ましい圧力差を容易にする、空気流に対する十分な制限のみ要求する。
【0018】
[47] 例示的実施形態の特性及び特徴
[48] 四肢上の圧力変動の影響を研究する使用目的のために、以下のシステム機能が、さまざまな例示的実施形態によって提供される。
【0019】
[49] シール接合部の圧力は、圧力許容範囲以上、エンクロージャの圧力を上回ってはならない。
図1は、エアシールを作成するための典型的なアプローチを示す。シール位置の圧力は、エンクロージャの圧力を上回り、それによって、エンクロージャからの空気流に対する有効な抵抗を作り出す。このような標準的なシール設計の使用により、止血帯として機能して、遠位四肢での測定可能な圧力効果に影響を与える、増加する圧力の局所的領域を作成する。このような局所的な圧力は、本発明の実施形態によって対応することができる用途の必要条件を満たさない。
【0020】
[50] シール接合部は、四肢のまわりに圧力一貫性をもたらす。シール品質の空間的差異は、空気が高速流れを介して漏れることを可能にする破壊点を作成する可能性がある。空気漏洩は、局所的な圧力勾配及び皮膚変形の領域をもたらし、さらに空気を漏洩させる。四肢のまわりで圧力のばらつきがあるシールは、不安定で信頼性が低く、使用目的には不適当である。
【0021】
[51] シールシステムは、四肢の寸法及び形状における大きな解剖学的変化を補償することができる。これは、集団における個人間の差異、並びに、個人内での四肢の形状の差異の両方を含む。典型的な四肢は、接続点の方へ近位に移動すると、直径は増加するが、末端の四肢要素(すなわち、手又は足)の直径は、多くの場合、より近位の位置で四肢の直径を上回る可能性がある。シール機構は、シール位置が四肢に沿って移動する場合、変化する四肢の直径に対応することができ、機能を維持することができる。
【0022】
[52] システムは、シール機構内の四肢の配置における多少の差異を許すことができる。個人は、任意の測定プロトコル中、シール機構内で自身の四肢をわずかに動かすことが予想される。本発明の実施形態は、四肢の位置についてのこれらの予想される小さい差異を許容する、又は、その差異に対処する。
【0023】
[53] 四肢は力の下で変形する非剛性物体であるので、シールは、四肢の寸法及び形状の変化に対応することができる。四肢は、骨、筋肉、脂肪、脈管系、及び皮膚を含む複数の組織層から構成される複雑で不均一の物体である。異なる組織層はそれらの物理的特性が異なり、いくつかは簡単に変形可能である。特に、皮膚は、適度な弾性率を有し、四肢の骨に対して圧縮又は伸長することができる。さらに、脈管組織の体積は周囲の圧力によって非常に影響を受ける。実施形態は、エンクロージャ圧力の変化に対応してとても生じる四肢の寸法及び形状の変化に対応することができる。
【0024】
[54] 外部環境に対する正のエンクロージャ圧力は、四肢をエンクロージャから押し出すように作用し、場合によっては、使用者に不快な経験をもたらす。
図2は、四肢に作用する主要な力を示す。半径方向力は、四肢の表面に垂直に四肢に作用する力として定義され、一方、軸方向力は、四肢の長手方向軸に沿って作用する。使用者が体験する軸方向力を最小にする又は可能な限り軽減することを、実施形態は提供する。エンクロージャからの軸方向力は、四肢と四肢まわりの隙間とを含む、剛性開口の断面積によって定義される。実施形態は、エンクロージャから四肢を押し出す力を許容することができるように総軸方向力を管理することができ、この力に能動的に抵抗することを使用者に求めない。いくつかの実施形態は、エンクロージャからの軸方向力に対抗して、被験者の快適性を増加させるように働く四肢支持機構又は他の考慮事項を含む。
【0025】
[55] 全体的な使いやすさを高めるために、実施形態は、別の人からの支援なしで、1人の個人によって操作可能とすることができる。特に、使用者は、有効なシールが第2の個人の支援なしで形成されるように、四肢を装置に挿入することができる。いくつかの実施形態において、使用者は、開口を通して自身の四肢を簡単に配置することができる。多くの他のユーザーフレンドリなシナリオが存在するが、普遍的な目標は、使用者が実行しなければならない操作の数を最小にすることである。
【0026】
[56] 本発明の実施形態は、上記の利点を提供し、シールの作成に使用される圧力が外部環境に対して閉じた中の正圧の圧力差で発生するので、事実上セルフシーリング性を有する。
【0027】
[57] システム構成要素
[58] 本発明の実施形態は、協調して働く3つの構成要素を一体化したものを含む。構成要素は、(1)エンクロージャに四肢を入れることができる可変穴を有する外部剛性開口と、(2)有効なエアシールを作成するために径方向に圧縮される内部の径方向可撓性材料と、(3)シールが正圧の軸方向力に対抗することを可能にする設計要素と、を含む。各構成要素の特性及びそれらの統合機能は以下で説明される。
【0028】
[59] 外部開口は、エンクロージャ圧力によって変形しないように十分に剛性である。可変穴寸法は、いくつかの実施形態において、異なる寸法の四肢に対応するために提供される。可変開口は多くの形態をとることができる。例えば、システムは、アイリス絞りなどの連続可変開口を使用することができる。このような開口は、エンクロージャに簡単に四肢を入れることができるように開くことができ、次いで、開口と四肢との間の隙間を減らすために閉じることができる。あるいは、システムは、できるだけ小さく寸法決めされて、同時に、四肢との接触を避けて、エンクロージャに四肢を入れることができる一組の交換可能な固定開口を採用することができる。
【0029】
[60] 内部の可撓性材料は、四肢のまわりにエアシールを形成する。シールは、エンクロージャの圧力によって発生する半径方向力を使用して作成され、このように、セルフシーリング性である。半径方向力は、圧縮下でシールを作成するために使用される材料を配置する。圧縮は、物体上の一般的力と関連付けられて、材料の任意の曲りが引張及び圧縮の両方を引き起こすという認識で使用される用語である。四肢のまわりでのシールの形成を説明するために使用されるように、シール材料は、シールを作成するために、腕のまわりで圧縮される。シールの材料特性は、本発明の重要な要素であり、シールは、圧力一貫性をもたらすように圧縮されることができるような、十分な半径方向の可撓性を有しなければならない。
【0030】
[61] 本明細書に示される例は一般に、四肢が、例えば、アームを囲むチューブを有するスリーブの端部を過ぎて伸び、手がチューブの端部を過ぎて伸びることを示す。本発明は、閉鎖端、例えば、手も覆う手袋状又はミトン状の部分とともに腕を囲む部分を有するスリーブも意図する。例示的な実施形態において、四肢光学測定が行われ、四肢の少なくとも一部はスリーブによって囲まれる。測定される部分は、スリーブの外側とすることができる、又は、測定される部分が測定システムにアクセス可能である場合、スリーブによって覆うことができる、若しくはスリーブで完全に囲むことさえできる。一例として、不透明のチューブに対する光学的に透明な手袋端部は、いくつかの例示的な実施形態では好適である可能性がある。本明細書で使用される場合、用途「スリーブ」は、四肢の一部が突出する端部を有する構造、及び、四肢を同様に囲み、同時に、四肢の端部も取り囲み、同時に、必要に応じて測定のためのアクセス、例えば、光学的に透明の部分をさらに提供する構造の両方を意図する。
【0031】
[62] システムは、軸方向の抵抗又は剛性を与える設計要素も含み、シールが正のエンクロージャ圧力の軸方向力に対抗することを可能にする。対抗する力は、シールの物質的、幾何学的、又は構造的な特性によって発生させることができる。対抗する力の例は、シールと四肢との間で発生する摩擦、シールの張力と関連付けられる剛直性、シールの圧縮と関連付けられる剛直性、及び、上記の任意の組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
[63] システム動作
[64] エンクロージャの圧力を越えない四肢への圧力が、腕への圧力を生成するための主要な機構である可撓性シールを使用して適合されるという制約は、エンクロージャの内部とエンクロージャの外部との圧力差の結果である。
図3は、この要素の例示的実施形態を示す。この例では、可撓性シール材料は、エンクロージャの内面に取り付けられるスリーブであり、軸方向の抵抗は、スリーブと四肢との間の摩擦によって提供される。開口の形状は円形であり、四肢は円錐台としてモデル化される。さらに、四肢は、説明の容易さのために開口の中心にあることを前提とする。図は、四肢のための効果的なシールシステムを定義するいくつかの要素を示す。外部剛性開口101は、エンクロージャ103への入口を画定する。可撓性スリーブ102は、エンクロージャに気密に取り付けられる。開口の直径は、直径aと示される。四肢と剛性開口との間の片側の隙間は、距離gとして定義される。大部分の個人で典型的であるように、四肢の直径は軸方向に変化する。スリーブ104の遠位直径は、直径dとして定義される、シール接合部の四肢の最大直径より大きい。
図3に描かれるように、エンクロージャ内は正圧ではなく、スリーブは四肢に対して圧縮されない。
【0033】
[65] エンクロージャの圧力が増加すると、シールシステムは、正のエンクロージャ圧力を発生させることができる方法で応答しなければならない。
図4は、エンクロージャ圧力が大気圧より高く、四肢のまわりのシールが作成された状況下のシールシステムを示す。圧力下で、可撓性スリーブは、半径方向に圧縮されて、軸方向に引っ張られている。スリーブは、皮膚の領域401にわたって四肢に接触し、領域402に沿ってエンクロージャに取り付けられている。圧力差はスリーブ上に力を及ぼし、スリーブ403に軸力を発生させる。シール接合部401では、スリーブは、半径方向力を介して四肢との接触を強いられ、圧力勾配下で圧縮されて、つぶされて、又は折りたたまれて、四肢のまわりに有効なシールを作成する。可撓性スリーブを折りたたむ半径方向圧力は、スリーブを圧縮力の下に配置する。結果として得られるエアシールは、エンクロージャの内部とエンクロージャの外部との圧力差の結果である。
【0034】
[66] シール接合部の圧力がエンクロージャの圧力を圧力許容範囲以上は上回らないという要件は、スリーブの遠位面の試験を必要とする。
図5は、スリーブの四肢との遠位接合部に存在する力の説明図である。シール接合部の遠位スリーブは、適切に管理されなければならない3つの可能な力を受ける。主要な作用力は、エンクロージャ圧力によって引き起こされる腕に対するスリーブの半径方向圧縮である。第2の可能な力は、腕を押すスリーブの物理的重量である。第3の可能な力は、円周方向力又はフープ力である。スリーブ502の下の腕への圧力とエンクロージャ503における腕への圧力との差を圧力許容範囲まで最小限にするために、スリーブのために選択される材料は、最小の重量とすることができる。スリーブは円周方向力の最小化に関連するので、スリーブの遠位直径は、スリーブの遠位面が張力下になく、従って、円周方向力を発生させないだけ十分に大きい。定義された幾何学的条件に基づくスリーブ設計及び軽量材料の選択により、圧力基準を満たすシステムが作成される。
【0035】
[67] 機能的なシールを作成するために、スリーブ機能に作用する力は、静的な状態を作り出すように合計されなければならない。それ以外の場合には、シールは失敗する。
図6は、スリーブと腕との間の接触領域に存在する力を示す示力図である。示されるように、スリーブは、エンクロージャ702から押し出す軸方向力を受ける。静止状態において、等しく反対方向の力は、四肢とスリーブとの間の摩擦により生じる。摩擦力は、エンクロージャの圧力、四肢との接触面積、及び静摩擦係数の積である。従って、可撓性スリーブは十分な長さを有しなければならず、材料は、摩擦の静的力がスリーブ力に十分に対抗するような静摩擦係数を有しなければならない。
【0036】
[68] 同時に考慮すべきことは、スリーブ力を最小にすることと関連付けられる。スリーブ上の力は、
図7に示されるように、開口と四肢との間の隙間gの関数である。スリーブ上の力は、隙間面積とエンクロージャの圧力との積であり、スリーブ力は、隙間寸法を最小にすることによって最小化される。好ましくは、剛性開口はできるだけ皮膚に近く、同時に、直接接触は避けられており、四肢の小さい動きのための十分な空間があることを保証する。
【0037】
[69] 好ましい状況下で、四肢は剛性開口に接触しないが、それは、そのような接触は圧力許容範囲を上回る圧力を発生させる可能性があるためである。接触センサは、剛性開口と接触しないことを保証するために使用することができる。
図8は、このような接触センサ801が四肢と硬い開口との接触の存在を判定するためにどのように使用されることができるかの説明図である。
【0038】
[70] 圧力センサは、接触圧力が無視されることができるかどうかを判定する価値ある情報を提供することもできる。例えば、あまり弾性ではない皮膚を有する個人を試験するとき、組織への重力により皮膚にかなりのたるみが生じ、結果として剛性開口と接触する。たるんだ皮膚による接触圧力は多くの場合、小さく、圧力許容範囲内である。よって、開口の圧力センサの使用は、接触圧力が無視できるときと、接触圧力が測定に干渉する可能性があり、例えば、隙間寸法を大きくすることによって対処しなければならないときとで事例を区別することができる。
図9は、このような判定を可能にする剛性開口の底部に集められた多数の圧力センサ901を示す。
【0039】
[71] システムの理解には、エンクロージャから四肢を押し出すように作用する力の評価も必要とする。
図10は、エンクロージャから四肢を押し出すように作用する軸方向力が、直径a及びエンクロージャの圧力によって定義される開口の断面に依存することを示す。四肢上の対抗する力は、四肢と支持要素との間の静止摩擦を含む可能性がある。例えば、前腕エンクロージャは、パームレスト1001を使用することができる。手と手掌との間の静止摩擦は、圧力による軸方向力を相殺することができる。肘置き1003も、四肢との静止摩擦を発生させる支持要素として使用することができる。軸方向押圧力が累積的な摩擦力を超える場合、肘止め1002をシステムに加えることができる。被験者は、四肢に及ぼされる軸方向力に能動的に抵抗する必要性を感じないので、肘止めは、エンクロージャからの前腕の動きに対抗して、被験者の快適性を増加させる。また、四肢及びエンクロージャは、軸方向圧力が重力によって直接対抗されるように向けることができる。
【0040】
[72] 皮膚への圧力が皮膚の伸びを引き起こすので、可撓性スリーブの使用は、シールが軸方向で移動することを可能にするシステムを作る。エンクロージャの圧力が増加すると、スリーブ力が増加し、皮膚を軸方向に引っ張る。
図11は、シール接合部が、皮膚の変形のために、低い圧力の位置1101からより高い圧力の位置1102に移動する可能性があり、一方、骨及び他のより剛性の構造が、名目上、所定の位置で安定したままであることを示す。皮膚の伸びは、多くの場合、図示されるようなばねダンパシステムとしてモデル化される。可撓性スリーブシールシステムは、組織移動及び皮膚の伸びのためにシール位置が移動するので、運用上の完全性を維持する。
【0041】
[73] シールを作成する機構として可撓性スリーブを使用するとき、四肢のまわりの有効なシールの形成は、ひだ半径に注目した材料選択に依存する。ひだ半径は、定義された圧力下で材料によって定義される半径又は湾曲である。視覚化のために、それ自体の上で折り返すプラスチックの非常に薄い柔軟な部品を考える。材料は効果的に折り返され、結果として得られるひだ半径は非常に小さい。対照的に、それ自体の上で折り返されるとき、カーペットの断片は、かなりのひだ半径を有する。ひだ半径は、材料の物理的及び幾何学的特性によって定義される。
【0042】
[74]
図12は、ひだ半径の重要性を伝える説明図である。示されるように、四肢の上半分を囲む2つの可撓性スリーブがある。その両方が同じ圧力を受けるが、スリーブの応答は非常に異なる。右の材料1201は、非常に小さいひだ半径を利用して、それ自体に効果的に折り重なり、効果的にエアシールを生成する。対照的に、左で使用されるスリーブ1202は、はるかに大きいひだ半径を有し、効果的エアシールを生成することができない。エンクロージャで使用される圧力でスリーブの曲げ半径が大きい場合、シール品質は損なわれて、四肢の円周まわりのシールの均一性は低い。一般に、シールのために使用される材料が小さいひだ半径でそれ自体の上に効果的に折り重なることができない場合、全体的なシール品質は損なわれ、結果として不安定且つ信頼できないシールになる。対照的に、材料が好適に小さいひだ半径を有して、それ自体の上に効果的に折り返すことができる場合、安定した信頼性の高いシールが生成される。
【0043】
[75] ひだ半径に影響を与える主要な材料特性は弾性係数であり、材料の幾何学的な特性、主に厚さも重要である。厚さ及び弾性係数の特性が小さいひだ半径を可能にして、エンクロージャ圧力でのエアシールを生成するように、可撓性スリーブは選択することができる。これらの基準を満たすことができる材料は、ラテックス又はシリコーンなどの弾性材料、高密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンなどの適度に非弾性の材料、並びに、ナイロン、ケブラ、及びテリレンなどの布帛材料を含むがこれらに限定されるものではない。上記のリストは、可撓性スリーブ基準を満たすことができる材料の網羅的なリストではなく、むしろ、例示的な材料のリストと考えられる。
【0044】
[76] 大部分の個人において、多くの場合、末端の四肢直径が、より近位の四肢直径より大きいという事実は、弾性特性を有するスリーブ要素を使用することが望ましいが、必ずしもそうである必要はない。この場合、スリーブは、より大きい直径の付属肢の上を伸び、四肢の寸法とより一致する遠位の円周を形成する。変形力が取り除かれたとき、弾性の材料特性によりスリーブをその元の寸法及び位置に戻すことができるので、弾性の材料特性も望ましい。非弾性又は粘弾性の材料は、他の力の適用なしで、それらの元の寸法及び形状に戻ることはできない、又は、ゆっくりと戻ることがあり、システムの時間的応答を制限する。
【0045】
[77] 例示的実施形態は、説明したすべての基準を満たす。四肢のまわりでシールを生成する半径方向圧縮力の使用は、シール圧力がエンクロージャ圧力を上回らないという要件を満たす。四肢との十分な摩擦を有する可撓性スリーブと、四肢と剛性開口との間の最小隙間との同時使用は、効果的で使用が容易である全体的なシールシステムを作り出す。使用中、使用者は、可撓性シールを通して自身の四肢をエンクロージャ内に簡単に配置する。エンクロージャで圧力が増加すると、可撓性スリーブは、四肢のまわりでセルフシーリング性の閉鎖を作成し、シール及び四肢上の軸方向押圧力は、摩擦及び他の設計要素によって対抗される。
【0046】
[78] さらなる実施形態
[79] 軸方向の剛性を基にしたシールシステム
[80] 上記の実施形態は、軸方向圧力に対抗する力がシールと四肢との間の摩擦によって提供されるシールシステムの例を使用した。本発明は、シールの軸方向剛性に基づくシールシステムも提供する。これらの例示的実施形態は、静止摩擦による力が空気圧に対抗するという考慮事項に基づかない。むしろ、シールは、空気圧に対抗する軸方向の圧縮強度を提供する。
図13は、概念の重要な要素を示す。エンクロージャの圧力が増加すると、空気押圧力は、シール機構の構造要素によって対抗される。構造要素は、固体とすることができ、圧力下で変形することができ、又は、ばねのようにふるまうことができる。
図13に示されるように、小さい押圧力は、より小さい圧縮度となり、その一方で、増加した押圧力は、さらなる圧縮を発生させることができる。シール要素の剛直性又は剛性は、この圧縮に抵抗する。図面に示されるように、軸方向の押圧力に対抗する静摩擦係数の要件はなく、極端な場合、理論的には、システムは、摩擦のない表面で効果的に作動することができる。
【0047】
[81]
図13に示される概念は、さまざまなシール機構を実装するのに使用することができる。
図14は、軸方向圧縮への抵抗に基づくシール機構の例である。シール機構は、空気圧の力に対抗するために使用される軸方向の剛性を有する。スリーブは、埋め込まれたバッテン1401を有する可撓性スリーブから構成される。バッテンは、帆に望ましい方向へのさらなる剛性を加えるために、帆で使用される。シールシステムについては、バッテンは、軸方向の剛性を与える軽量の材料から構成される。エンクロージャの圧力が増加すると、軸方向の押圧力は主として、スリーブ要素を引っ張るよりもむしろ圧縮させる。バッテンの圧縮強度は、軸方向の押圧力による変形に抵抗し、同時に、スリーブの遠位面が四肢に従うことができて、有効なシールを作成することができるような、スリーブの半径方向の柔軟性を維持する。システムは、スリーブと四肢との間の静摩擦係数に関する必要性を有しないが、実際には、いくらかの静止摩擦力は存在し、軸方向の押圧力に対抗するために、軸方向のスリーブ剛性と加算的に組み合わされる。
【0048】
[82] 結果として得られるシールシステムは設計要求を満たすが、皮膚表面で大きな軸方向応力を生成することなく、これらの目標を実現する。用途の微妙な違いに応じて、皮膚への応力の減少は望ましい属性であることがある。皮膚への応力の減少は、より脆弱な皮膚を有する年をとった個人において重要である可能性がある。さらに、皮膚への応力の程度は、材料選択によって、特に、遠位スリーブ位置を含む材料の最小の摩擦係数を有する材料の使用によって、影響を与えることができる。
【0049】
[83] 軸方向剛性を基にしたシールシステムの第2の実施形態が
図15に示される。示されるように、シール要素1501の厚さは、軸方向の寸法に沿って変化し、エンクロージャへの取り付け点で最大の剛直性及び剛性を有する。遠位シールは、影響シールを作成するために、十分な半径方向の柔軟性を保持するように設計され、増加する厚さによって与えられる軸方向の剛性は、シール上の軸方向の押圧力に対抗する。軸方向寸法に材料厚さを変えることに加えて又はその代わりに、シール要素の材料は、剛直性を増加させるために、この軸に沿って変化させることもできる。材料特性を軸方向に変えることは、シール要素に剛直性増強剤を「ドープ」することによって、又は、軸方向の剛性を有する繊維又はフィラメントを織り合わせることによって実現することができる。
【0050】
[84] 軸方向剛性を基にしたシールシステムの第3の実施形態が
図16に示される。遠位シール1601は、スリーブと腕との間の適切なシール形成を可能にするために、径方向に可撓性の材料から構成される。軸方向では、設計されたシールは、エンクロージャから空気圧の軸方向力に対抗する材料特性を有するアコーディオンにやや似ている。システムの要素は、軸方向の押圧力が作用するとき、圧縮又は引張状態でもよい。構造の蛇腹式の性質のために、各曲線は、内半径での圧縮及び外半径に沿った引張の状況を表す。蛇腹の機械的剛性は、エンクロージャからの軸方向の圧力を相殺するように働く。蛇腹機構が、蛇腹が互いに接触する点でさらなる剛性を得ることに留意することは重要である。特に、蛇腹が互いの上に折りたたまれる点で、蛇腹は、隣接する蛇腹の間で静摩擦係数を生み出し、それは結果としてさらなる構造的剛性になる。位置1602において、蛇腹の物理的高さは圧縮中に増加し、シール機構が隙間を強制的に通過することが非常に難しくなるような高さを得ることができる。よって、このシール設計は、隙間寸法、それから従来のシステムによってあまり影響を受けなくてもよい。上記のように、システムがそれ自体の上で圧縮すると、蛇腹構造は、ますます堅固になる。これが生じると、剛構造が隙間領域を出願するので、有効な隙間寸法は非常に小さくなる。このようなシステムは、可変開口の必要性を減少させるという点で、利益を得ることができる。
【0051】
[85]
図17は、軸方向の剛性を基にしたシールシステムの第4の例を示す。このシステムは、連続的な可撓性スリーブを利用しないが、その代わりに複数の重なる軽量の薄片を利用する。薄片1701は、軸方向に堅固であり、効果的なエアシールを作成するために重なり合うように設計される。薄片は、取り付け点1702で屈曲及び収縮することができ、そのため、遠位シール要素で径方向に可撓性のシールを可能にする。実施態様において、薄片1703の大きい表面積は、薄片が固い開口位置から曲がるので、高圧の位置を作る可能性がある。この圧点問題は、より広い領域1704上に力を移動させるシースを使用して軽減させることができ、圧力許容範囲の要件を満たす。
図21に示される類似の実施形態は、薄片を作成するために、薄片よりもむしろ重なり合うフィラメント又はブラシ毛を使用する。ブラシ毛は、半径方向の柔軟性とともに軸方向の剛性を提供し、十分な重なりにより、四肢の表面上に有効なシールを作成することができる。
【0052】
[86] 可変寸法の開口
[87] 可変開口システムは、寸法が変わる一組の固定された開口を使用して実装することができる。
図18は、このようなシステムの例を示す。開口を形成する剛性ディスク1801は、エンクロージャ1804の前面パネルに取り付けられる。ディスクは、開口寸法の最適化を可能にする簡易着脱要素1802を使用して、簡単に着脱されることができる。シールを形成する可撓性スリーブは、1803においてディスクの唇部に取り付けられる(図示せず)。
【0053】
[88] 可撓性スリーブを有する可変アイリス
[89] 連続的に可変開口システムが
図19に示されている。システムは、開口寸法の便利な調整を可能にするアイリス絞りを使用する。使用者は、エンクロージャに四肢を入れることを可能にするために、調整レバー1901を使用して開口を広く開けることができ、次いで、より近位の四肢のまわりの隙間寸法を最小化するために、開口を縮小させることができる。アイリスの個別の薄片は、薄片によって作成される表面が空気流に抵抗することを保証するために、ゴム入り塗料で被覆することができる。
【0054】
[90]
図20は、連続可変開口システムの第2の例を示す。システム設計及び操作は、一般的な野菜スチーマーの場合と類似した構成を有し、重なり合う薄片は、可変開口を作成することができる。剛性シリンダ2002は、エンクロージャの前部プレートに螺入される。四肢は、シリンダを通過して、エンクロージャに入る。シリンダを回すことで薄片を開き、使いやすい調整可能な開口を作成する。アイリス絞りと同様に、個別の薄片アイリスは、薄片によって作成される表面が空気流に抵抗することを保証するために、ゴム入り塗料で被覆することができる。あるいは、シーリング要素、例えば、可撓性スリーブを、空気流を防ぐために、薄片の外面上に取り付けることができる。
【0055】
[91] 本出願の実証
[92] 上で概説された原理を実証するために実験データを含める。データは、前腕まわりのエンクロージャを使用して、1人の被験者から収集された。開口寸法は、
図18で説明されて示されたような、一組の剛性ディスクを使用して変更された。可撓性スリーブは、シールを作成するのに使用された。スリーブのために使用される材料は、物理的及び幾何学的特性の重要性を実証するために変更された。利用されたスリーブ材料は、薄いシリコーン(厚さ0.5mm未満、本例では厚さ0.42mm)及び厚いシリコーン(厚さ0.5mm~3mm、本例では厚さ1.05mm)であり、スリーブがない例も含めた。薄いシリコーンスリーブ及び厚いシリコーンスリーブは、皮膚上と類似した静摩擦係数を有した。被験者の前腕位置は、腕と剛性開口との間の隙間寸法が2.75インチの最小開口直径に対して実質的にゼロであるように調整された。次いで、隙間寸法は、開口直径に比例して増加させた。各実験は、ばらつきを評価するために4回繰り返された。
【0056】
[93]
図21は、異なるスリーブ材料及び異なる開口を使用したエンクロージャで達成することができる最大圧力を示す。エンクロージャの残留空気の漏洩のため、空気が腕のまわりを流れていないときに達成することができる最大可能圧力は、47.5cm H2Oであった。薄いシリコーンスリーブは、(1)有効なシールの作成を可能にする小さいひだ半径、及び(2)好適な静摩擦係数により、開口寸法に関係なく、最大圧力に近い値を実現した。対照的に、厚いシリコーンスリーブは、空気漏れを許してしまう、より大きなひだ半径のために、あまり効果的ではなく、非常にばらつきのあるシールを作成した。
【0057】
[94]
図21は、腕の変形による、可撓性シールの利点も実証する。エンクロージャ圧力が大気圧と等しいとき、腕と剛性開口との間の隙間は事実上、存在しなかった。しかしながら、正のエンクロージャ圧力が発生すると、皮膚及び他の組織は変形し、有効なシールの形成を妨げるかなりの空気漏れを許した。
【0058】
[95]
図22は、スリーブ上に作用する力に対する隙間寸法の影響を示す。各実験で、エンクロージャ圧力は35cmH2Oの設定値に増加させ、その開始位置に対するスリーブの軸方向運動が記録された。腕との摩擦及びスリーブの張力が軸方向の押圧力に対抗するとき、静止状態が実現される。
図7の式に従って、スリーブに作用する力は、開口直径、従って、隙間寸法とともに増加する。これらの実験では観察されていないが、スリーブ長さがあまりにも短い、摩擦係数があまりにも小さい、又は、エンクロージャ圧力があまりにも高い場合、スリーブは、エンクロージャから押し出されて、シールが完全に失敗する可能性がある。
【0059】
[96] 本発明は、さまざまな例示的実施形態に関連して記載された。上の記述は本発明の原理の応用を単に説明したものであり、その範囲は本明細書を考慮して見られた特許請求の範囲によって決定されることが理解されよう。本発明の他の変形及び修正は当業者にとって明らかである。