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特許7264815LEPIDOPTERAN昆虫に対する活性を有する殺虫毒性タンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】LEPIDOPTERAN昆虫に対する活性を有する殺虫毒性タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/32 20060101AFI20230418BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230418BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230418BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230418BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230418BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20230418BHJP
   A01H 5/10 20180101ALI20230418BHJP
   A01H 1/00 20060101ALI20230418BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230418BHJP
   C07K 14/325 20060101ALI20230418BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20230418BHJP
   A01P 7/04 20060101ALN20230418BHJP
   A01N 63/23 20200101ALN20230418BHJP
【FI】
C12N15/32 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A01H5/00 A
A01H5/10
A01H1/00 A
C07K19/00
C07K14/325
C12N15/62 Z
A01P7/04
A01N63/23
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019537830
(86)(22)【出願日】2018-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2018013298
(87)【国際公開番号】W WO2018132556
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/445,313
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・エイ・ボーム
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ジェイ・ボーウェン
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・エイ・チェイ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ジェイ・チー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ピー・クリントン
(72)【発明者】
【氏名】クリスタル・エル・ダート
(72)【発明者】
【氏名】リー・イングリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラフ・フラシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・エム・グソフ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・エイ・ジャレル
(72)【発明者】
【氏名】ウマ・アール・ケサナパリ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エム・マルバー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エム・マッキャロル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エス・ミリガン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・ピー・モーガンスターン
(72)【発明者】
【氏名】デボラ・ジー・ラッカー
(72)【発明者】
【氏名】サラ・エイ・サルバドール
(72)【発明者】
【氏名】テンプル・エフ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・イー・ソト
(72)【発明者】
【氏名】コリン・エム・スタルツ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エム・トゥルチク
(72)【発明者】
【氏名】タイ・ティ・ボーン
(72)【発明者】
【氏名】モリッツ・ヴェー・エフ・エフ・フォン・レッヒェンベルク
【審査官】幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/003811(WO,A1)
【文献】特表2012-513959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 14/00-14/825
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号:10または配列番号:12のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を示すポリペプチドフラグメントであって、昆虫阻害活性を有するポリペプチドフラグメント、または
(b)配列番号:8のアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を示すポリペプチドフラグメントであって、昆虫阻害活性を有するポリペプチドフラグメント、
をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド構築物であって、
前記ヌクレオチド配列は異種プロモーター配列に機能的に連結する、
前記ポリヌクレオチド構築物。
【請求項2】
前記(a)のポリペプチドフラグメント及び前記(b)のポリペプチドフラグメントは、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exiguaスポドプテラ・リトゥラ(Spodoptera lituraマメストラ・コンフィギュラタ(Mamestra configurataストリアコスタ・アルビコスタ(Striacosta albicostaトリコプルシア・ニ(Trichoplusia niシュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includensアンチカルシア・ゲマタリス(Anticarsia gemmatalisハイペナ・スカブラ(Hypena scabraヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescensアグロティス・サブテラネア(Agrotis subterraneaシューダレティア・ユニプンクタ(Pseudaletia unipunctaアグロティス・イプシロン(Agrotis ipsilonアグロティス・オルトゴニア(Agrotis orthogoniaオストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalisアミュエロイス・トランシテッラ(Amyelois transitellaクランバス・カリギノセルス(Crambus caliginosellusヘルペトグラマ・リカルシサリス(Herpetogramma licarsisalisホモエオソマ・エレクテラム(Homoeosoma electellumエラスモパルプス・リグノセルス(Elasmopalpus lignosellusシディア・ポモネラ(Cydia pomonellaエンドピザ・ビテアナ(Endopiza viteanaグラホリタ・モレスタ(Grapholita molestaスレイマ・ヘリアンサナ(Suleima helianthanaプルテラ・キロステラ(Plutella xylostellaペクチノホラ・ゴシピエラ(Pectinophora gossypiellaリマントリア・ジスパル(Lymantria disparアラバマ・アルギラセア(Alabama argillaceaアルキプス・アルギロスピラ(Archips argyrospilaアルキプス・ロザナ(Archips rosanaキロ・スプレサリス(Chilo suppressalisクナファロクロチス・メジナリス(Cnaphalocrocis medinalisクランバス・カリギノセルス(Crambus caliginosellusクランバス・テテレルス(Crambus teterrellusジアトラエア・グランジオセラ(Diatraea grandiosellaジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalisエアリアス・インスラナ(Earias insulanaエグリアス・ビテラ(Egrias vittellaヘリコベルパ・アルミゲラ(Helicoverpa armigeraヘリコベルパ・ゼア(Helicoverpa zeaヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescensヘルペトグラマ・リカルシサリス(Herpetogramma licarsisalisロベシア・ボトラナ(Lobesia botranaペクチノホラ・ゴシピエラ(Pectinophora gossypiellaフィロクニスティス・シトレラ(Phyllocnistis citrellaピエリス・ブラッシカエ(Pieris brassicaeピエリス・ラパエ(Pieris rapaeプルテラ・キロステラ(Plutella xylostella、及びツタ・アブソルタ(Tuta absolutaからなる群から選択されるレピドプテラ(Lepidopteran種に対する阻害活性を示す、請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物。
【請求項3】
請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物を含むベクター。
【請求項4】
請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物を含む宿主細胞であって、前記宿主細胞は、細菌細胞、イースト細胞及び植物細胞からなる群から選択される、前記宿主細胞。
【請求項5】
前記植物細胞は、アルファルファ、バナナ、大麦、インゲン、ブロッコリー、キャベツ、アブラナ属、人参、キャッサバ、トウゴマ、カリフラワー、セロリ、ヒヨコマメ、ハクサイ、柑橘類、ココナッツ、コーヒー、トウモロコシ、クローバー、綿、ウリ科、キュウリ、ダグラスモミ、ナス、ユーカリ、亜麻、ニンニク、ブドウ、ホップ、リーキ、レタス、テーダマツ、キビ、メロン、ナッツ、オート麦、オリーブ、タマネギ、観賞植物、ヤシ、牧草、エンドウ、ピーナッツ、コショウ、キマメ、マツ、ジャガイモ、ポプラ、カボチャ、ラジアータマツ、ダイコン、菜種、イネ、根茎、ライ麦、ベニバナ、低木、モロコシ、ダイオウマツ、ダイズ、ホウレンソウ、トウナス、イチゴ、サトウダイコン、サトウキビ、ヒマワリ、スイートコーン、モミジバフウ、サツマイモ、スイッチグラス、茶、タバコ、トマト、ライ小麦、芝草、スイカ及び小麦の植物細胞からなる群から選択される、請求項4に記載の宿主細胞。
【請求項6】
請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物を含む植物。
【請求項7】
請求項6に記載の植物から生成された種子であって、前記種子は検出可能量の前記ポリヌクレオチド構築物を含む、前記種子。
【請求項8】
前記植物から生成された種子、花粉、子孫、植物細胞、植物組織及び商品生産物は、検出可能量の前記ポリヌクレオチド構築物を含み、前記商品生産物が、バイオマス、油、粗びき粉、動物飼料、穀粉、フレーク、糠、リント及び加工種子からなる群から選択される、請求項6に記載の植物。
【請求項9】
検出可能量の請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物を含む生物試料。
【請求項10】
請求項1に記載のポリヌクレオチド構築物を含む種子を生成するための方法であって、前記方法は、
(a)前記ポリヌクレオチド構築物を含む1つまたは複数の種子を植えることと、
(b)前記種子から植物を栽培することと、
(c)前記植物から多数の種子を収穫することであって、前記種子は前記ポリヌクレオチド構築物を含む、前記収穫することと、
を含む、
前記方法。
【請求項11】
機能的に連結する、
(a)Cry1AドメインIアミノ酸配列を含む第1のペプチドセグメントと、
(b)配列番号:2のアミノ酸256~606を含む第2のペプチドセグメントと、
を含むレピドプテラ(Lepidopteran毒性タンパク質であって、
前記レピドプテラ(Lepidopteran毒性タンパク質は、クロヨトウムシ(A.ipsilon)、オオタバコガ(H.zea)、西部インゲンヨトウムシ(S.albicosta)、ヨーロッパアワノメイガ(O.nubilalis)、南西部アワノメイガ(D.grandiosella)、イラクサギンウワバ(T.ni)、ダイズシャクトリムシ(P.includens)、及びサトウキビメイガ(D.saccharalis)からなる群から選択されるレピドプテラ(Lepidopteran害虫に対して試験を行う際に、毒性の生物活性を示す、
前記レピドプテラ(Lepidopteran毒性タンパク質。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2017年1月12日出願の米国仮出願番号62/445,313の利益を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の組み込み
本明細書では、2018年1月11日に作成された「MONS434WO―sequence listing.txt」という名称のファイルを含有するコンピュータ可読形式の配列表を提供する。このファイルはMS-Windows(登録商標)による測定において166,134バイトであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。この配列表は配列番号:1~配列番号:12から構成される。
【0003】
本発明は一般に、昆虫阻害性タンパク質、特に、植物及び種子の農業関連Lepidopteran害虫、特に、クロヨトウムシ(「BCW」、Agrotis ipsilon)などのLepidopteran害虫に対する昆虫阻害活性を示すタンパク質の分野に関する。
【0004】
背景技術
Bacillus thuringiensis(Bt)細菌種が産生する昆虫阻害性タンパク質は当技術分野において周知である。特定のBtタンパク質を使用し、1種または複数種のこのようなタンパク質を含有する農業的に許容される製剤を植物に散布して、殺虫剤として有効な量のこのようなタンパク質を含有するように配合した組成物で種子をコーティングすることにより、または、結果的に有効となる1種または複数種のタンパク質を植物/種子内で発現させることにより、作物植物の農業害虫を防除することができる。
【0005】
農業従事者が昆虫害虫を防除するために商用使用する形質転換形質として使用するBtタンパク質がほんの数種類だけ開発されている。農業従事者は所定スペクトルの害虫防除をもたらすのにこれらのタンパク質に依存しており、害虫を防除するのに葉面散布及び土壌散布による広範なスペクトルの化学反応に依存し続けるであろう。特定のLepidopteran昆虫、例えば、Agrotis種及びStriacosta種などは、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1Fa、Cry2Ab、Cry2Ae、VIP3Aaを含む現在用いられている形質転換殺虫性形質、及びより少ない頻度で用いられている様々なその他のBt毒素を使用して防除することが特に難しいということが証明されている。それゆえ、より広範なスペクトルの昆虫害虫種に対する活性を示す昆虫阻害性タンパク質が求められており、また、既存の殺虫剤に対する害虫の耐性発現を克服するのに用いられる毒素(害虫管理システムに現在用いられている毒素を含む)の使用が求められている。
【0006】
本出願は、Lepidopteraに対して、特に、Agrotis種の害虫、例えば、クロヨトウムシなどに対して驚くほど効果的な殺虫活性をそれぞれが示す、新規のタンパク質ファミリー、変異体及びキメラ毒性タンパク質構築物について記載する。
【発明の概要】
【0007】
新規グループの昆虫阻害性ポリペプチド(毒性タンパク質BCW 001、BCW 002及びBCW 003ならびにその殺虫性フラグメント)が、作物植物の数種類のLepidopteran害虫に対する、特に、クロヨトウムシ種(Agrotis種)に対する阻害活性を示すことが証明されている。それらタンパク質のそれぞれを単独で、または、製剤中及びin plantaで互いに組み合わせて、またその他のBtタンパク質及び昆虫阻害剤と組み合わせて使用することにより、農業システムに一般的に用いられているBtタンパク質及び殺虫性化学反応に代わる選択肢を提供することができる。
【0008】
本発明は、Cry1A特性を有しCry1Aクラス毒性タンパク質と比較して全長未満の殺虫性タンパク質をコードするヌクレオチド配列に連結した、機能的に連結する異種プロモーターセグメントを含有するポリヌクレオチド構築物、及び、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10及び配列番号:12に記載の約1位から607位までのアミノ酸配列を有するポリヌクレオチド構築物、または殺虫剤として活性なそのフラグメントを提供する。このような殺虫活性を示す全長未満のポリペプチドは、配列番号:2に記載の約1位から約606位までまたは約5位から約600位までのBCW 001アミノ酸配列に対して少なくとも約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、94%、92%、91%または90%の同一性を示すはずである。全長あるいは考慮され得るより大きな毒性フラグメントを使用する場合、パーセント同一性はより厳密ではなく、配列番号:2、4及び6に記載の全長毒性タンパク質配列に対して約100から、約95、約90、約85、または更に80%の同一性のパーセント同一性に広がるはずであり、食餌バイオアッセイでクロヨトウムシの幼虫に対して試験を行う際、またこのようなタンパク質を発現するトウモロコシ、綿及びダイズ形質転換イベントを用いてin plantaで試験を行う際には、これらの毒性タンパク質は商業的に有用なレベルの生物活性を示す。
【0009】
本発明はまた、クロヨトウムシLepidopteran種に対して毒性を有するタンパク質を提供するが、それらタンパク質としては、配列番号:2の256位から606位までに記載のアミノ酸配列を有するタンパク質(BCW 001タンパク質)、及び、配列番号:4及び配列番号:6のいずれかのアミノ酸位置257から607に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質(本明細書ではそれぞれ、BCW 002毒性タンパク質及びBCW 003毒性タンパク質と呼ぶ)が挙げられる。
【0010】
このような殺虫性タンパク質はまた、Spodoptera frugiperda、Spodoptera exigua、Spodoptera litura、Mamestra configurata、Striacosta albicosta、Trichoplusia ni、Pseudoplusia includens、Anticarsia gemmatalis、Hypena scabra、Heliothis virescens、Agrotis subterranea、Pseudaletia unipuncta、Agrotis ipsilon、Agrotis orthogonia、Ostrinia nubilalis、Amyelois transitella、Crambus caliginosellus、Herpetogramma licarsisalis、Homoeosoma electellum、Elasmopalpus lignosellus、Cydia pomonella、Endopiza viteana、Grapholita molesta、Suleima helianthana、Plutella xylostella、Pectinophora gossypiella、Lymantria dispar、Alabama argillacea、Archips argyrospila、Archips rosana、Chilo suppressalis、Cnaphalocrocis medinalis、Crambus caliginosellus、Crambus teterrellus、Diatraea grandiosella、Diatraea saccharalis、Earias insulana、Egrias vittella、Helicoverpa armigera、Helicoverpa zea、Heliothis virescens、Herpetogramma licarsisalis、Lobesia botrana、Pectinophora gossypiella、Phyllocnistis citrella、Pieris brassicae、Pieris rapae、Plutella xylostella、及びTuta absolutaからなる群から選択されるLepidopteran種に対する活性を示すことが認められている。
【0011】
本発明のタンパク質はまた、Spodoptera frugiperda、Spodoptera exigua、Spodoptera litura、Mamestra configurata、Striacosta albicosta、Trichoplusia ni、Pseudoplusia includens、Anticarsia gemmatalis、Hypena scabra、Heliothis virescens、Agrotis subterranea、Pseudaletia unipuncta、Agrotis ipsilon、Agrotis orthogonia、Ostrinia nubilalis、Amyelois transitella、Crambus caliginosellus、Herpetogramma licarsisalis、Homoeosoma electellum、Elasmopalpus lignosellus、Cydia pomonella、Endopiza viteana、Grapholita molesta、Suleima helianthana、Plutella xylostella、Pectinophora gossypiella、Lymantria dispar、Alabama argillacea、Archips argyrospila、Archips rosana、Chilo suppressalis、Cnaphalocrocis medinalis、Crambus caliginosellus、Crambus teterrellus、Diatraea grandiosella、Diatraea saccharalis、Earias insulana、Egrias vittella、Helicoverpa armigera、Helicoverpa zea、Heliothis virescens、Herpetogramma licarsisalis、Lobesia botrana、Pectinophora gossypiella、Phyllocnistis citrella、Pieris brassicae、Pieris rapae、Plutella xylostella、及びTuta absolutaからなる群から選択されるLepidopteran種に対する生物活性を示していてもよい。
【0012】
本発明のタンパク質及び本明細書で意図する構築物は、プラスミド、コスミド、バクミド、ファージ媒介ベクターなどを含む任意のベクター内に含まれていてもよい。
【0013】
このようなベクターを使用して、細菌細胞、イースト細胞及び植物細胞を含む多くの宿主細胞に本発明の構築物を導入してもよい。
【0014】
イースト細胞である宿主細胞は、Saccharomyces cereviseaeまたはSaccharomyces pombeなどであってもよい。細菌宿主細胞は、E.coli、B.thuringiensis及びその他の関連bacilliを含むがこれらに限定されない任意の数の周知のこのような宿主細胞であってもよい。植物宿主細胞は、アルファルファ、バナナ、大麦、インゲン、ブロッコリー、キャベツ、アブラナ属、人参、キャッサバ、トウゴマ、カリフラワー、セロリ、ヒヨコマメ、ハクサイ、柑橘類、ココナッツ、コーヒー、トウモロコシ、クローバー、綿、ウリ科、キュウリ、ダグラスモミ、ナス、ユーカリ、亜麻、ニンニク、ブドウ、ホップ、リーキ、レタス、テーダマツ、キビ、メロン、ナッツ、オート麦、オリーブ、タマネギ、観賞植物、ヤシ、牧草、エンドウ、ピーナッツ、コショウ、キマメ、マツ、ジャガイモ、ポプラ、カボチャ、ラジアータマツ、ダイコン、菜種、イネ、根茎、ライ麦、ベニバナ、低木、モロコシ、ダイオウマツ、ダイズ、ホウレンソウ、トウナス、イチゴ、サトウダイコン、サトウキビ、ヒマワリ、スイートコーン、モミジバフウ、サツマイモ、スイッチグラス、茶、タバコ、トマト、ライ小麦、芝草、スイカ及び小麦植物由来の植物細胞を含むがこれらに限定されない多くの植物種から得てもよい。
【0015】
特に、トウモロコシ、綿及びダイズ形質転換植物変種において、例えば、このような植物細胞のゲノムに、例えば、配列番号:7、配列番号:9及び配列番号:11に記載の適宜修飾したポリヌクレオチド配列を含有する本発明の構築物を導入して、本発明のタンパク質毒素、すなわち、BCW 001、BCW 002またはBCW 003タンパク質毒素のうちの少なくとも1つを発現する遺伝構築物をそれら植物のゲノム内に含む繁殖能力のある形質転換トウモロコシ、ダイズまたは綿植物を再生することにより、形質転換植物イベントを生じさせてもよい。このような形質転換植物はそれらの植物ゲノム内に、配列番号:8、配列番号:10及び配列番号:12からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するBCW 001、BCW 002またはBCW 003殺虫性タンパク質またはその殺虫性タンパク質フラグメントをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結する少なくとも1つの異種プロモーターセグメントを含むポリヌクレオチド構築物を導入されている。
【0016】
このような形質転換植物から種子が生成され、このような種子が、植物ゲノムに導入された検出可能量のポリヌクレオチド構築物を含有する場合、種子も本発明の特徴であることを意図する。それぞれのこのような形質転換植物から生成される花粉、種子、子孫植物細胞、植物組織及び商品生産物は、検出可能量のポリヌクレオチド構築物を含有する。
【0017】
このようなBCW 001、BCW 002またはBCW 003タンパク質をコードする少なくとも検出可能量のポリヌクレオチド構築物を含有するあらゆる生物試料は、本発明の範囲内である。
【0018】
殺虫剤として有効な量の本発明のBCW 001、002または003タンパク質を提供する組成物が考えられ、Lepidopteran害虫種を防除するために提供される。このような組成物はまた、BCW毒性タンパク質とは異なる補助薬剤を含有していてもよい。このような薬剤はまた、BCW毒性タンパク質と同一のLepidopteran種に対する毒性を有している。補助薬剤は、BCWタンパク質とは異なるアミノ酸配列を有するタンパク質またはポリペプチドからなる薬剤の群から選択され、標的昆虫害虫に毒性作用を付与するRNA分子(例えば、dsRNA、miRNAまたはsiRNAなど)である薬剤であってもよく、例えば、ピレトリン、有機リン系殺虫剤などの殺虫性化合物であってもよい。代替的に、補助薬剤は、クロヨトウムシ種の幼虫または適用可能なその他のLepidopteran標的害虫種に毒性特性を付与する、任意の親和性Cryまたは関連毒性タンパク質、例えば、別のCry1A、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1A.105、Cry1Ae(しかし、これらは、これらが適切な耐性管理特性を付与することができないために好ましくない)、もしくはCry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1E、Cry1F、Cry1G、Cry1H、Cry1I、Cry1J、Cry1K、Cry1L、Cry2A、Cry2Ab、Cry2Ae、Cry4B、Cry6、Cry7、Cry8、Cry9、Cry15、Cry43A、Cry43B、ET35、ET66、TIC400、TIC800、TIC807、TIC834、TIC853、TIC1415、VIP3A、VIP3Ab、AXMI殺虫性タンパク質、DIG殺虫性タンパク質、eHIP、及びVIPタンパク質など、ならびに、任意の当該技術分野において周知の毒性タンパク質であってもよい。
【0019】
このような組成物はまた、同一の標的害虫に対して必ずしも毒性を有さない別の殺虫剤、例えば、Cry1C、Cry3A、Cry3B、Cry34、Cry35、Cry51Aa1、ET29、ET33、ET34、ET70、TIC407、TIC417、TIC431、TIC901、TIC1201、TIC3131、5307、DIG-10、Axmi184、Axmi205及びAxmiR1からなる群から選択される別の薬剤などを含んでいてもよい。
【0020】
本発明のタンパク質の殺虫特性を利用した、種子を生成するための方法も考えられる。このような方法は、BCW 001、BCW 002もしくはBCW 003タンパク質、または上記タンパク質に対して少なくとも約90%の同一性を示すタンパク質を発現するように設計されたポリヌクレオチド構築物を含み、上記方法は、本発明のBCWタンパク質毒素のうちの1種または複数種を発現するポリヌクレオチドを含有する1つまたは複数の種子を植えること、このような種子から植物を栽培すること、その後、植物から多数のこのような種子を収穫することを含む。収穫した種子はポリヌクレオチド構築物を含有し、クロヨトウムシ害虫の蔓延に対する抵抗性も有する植物を生じさせる。
【0021】
このような植物は、本発明のタンパク質により防除されることが実証されたLepidopteran害虫種の影響を受けやすいトウモロコシ、綿、ダイズまたは任意のその他の植物であってもよい。このような植物は、本発明のタンパク質の毒性特性の作用から利益を得るこれまでに作製された形質転換植物であると考えられる。このカテゴリーに分類されるトウモロコシ植物は、DKB89614-9、MON801、MON802、MON809、MON810、MON863、MON88017、MON89034、イベント4114-3、イベント5307、DAS59122-7、Bt10、Bt11、Bt176、CBH-351、DKB-83614-9、MIR162、MIR604、TC1507、TC6275、イベント676、イベント678、イベント680、イベント98140、DAS40278-9、DKB89790-5、MON21-9、HCEM485、MON832、MON87427、NK603、T14、T25及びVCO01981-5からなる群から選択される形質転換イベントを含むがこれらに限定されない。このカテゴリーの形質転換植物に分類されるダイズ植物は、MON87751、DAS81419-2、MON87701、A2704-12、A2704-21、A5547-127、A5547-35、CV127、DAS44406-6、DAS68416-4、DP356043、FG72、MON4032、ACS-GM003-1、MON87705、MON87708、MON89788、W62、W98、及びGFM Cry1Aからなる群から選択される。このカテゴリーに分類される綿形質転換植物は、DAS24236-5、DAS21023-5、イベント31707、イベント31803、イベント31807、イベント31808、イベント42317、BNLA-601、COT102、COT67B、イベント1、GHB119、GK12、MON15985、MLS9124、MON1076、MON531、MON757、T303-3、T304-40、SGK321、イベント19-51a、GHB614、LLCotton25、MON88701、MON88702、MON1445、MON1698及びMON88913からなる群から選択される。このカテゴリーに分類されるサトウキビ形質転換植物は、サトウキビ植物形質転換イベントNXI-1Tを含む。このようなBCWタンパク質毒素をコードする構築物を有する利益を得る当技術分野において周知のイネ植物は、LLRICE06、LLRICE601、LLRICE62、GM-A17054及びGM-A17054からなる群から選択されるイネ植物形質転換イベントを含む。
【0022】
更に、加工植物製品は検出可能量の開示組換えポリヌクレオチドを含むように提供される。このような加工製品としては、植物バイオマス、油、粗びき粉、動物飼料、穀粉、フレーク、糠、リント外皮及び加工種子が挙げられるがこれらに限定されない。
【0023】
形質転換植物を作製するための方法も提供する。このような方法は、組換えポリヌクレオチドを植物細胞に導入すること、及び、組換えポリヌクレオチドがコードする昆虫阻害量の組換えポリペプチドを発現する形質転換植物を選抜すること、を含む。
【0024】
本発明のその他の実施形態、特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態、実施例及び特許請求の範囲により明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】BCW 001、BCW 002及びBCW 003毒性タンパク質を用いてバイオアッセイで試験を行ったLepidopteran昆虫害虫種の一覧を示す図である。「+」は緩衝液対照と比較した死亡率を示し、「-」は緩衝液対照のレベルを超える顕著な死亡率が認められなかったということを示し、「ND」は適用可能な毒性タンパク質を使用して試験を行わなかったということを示す。BCW 001は、Agrotis ipsilon(クロヨトウムシ)、Striacosta albicostsa(西部インゲンヨトウムシ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Diatraea grandiosella(南西部アワノメイガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)、Pseudoplusia includens(ダイズシャクトリムシ)に対する死亡率を示し、Spodoptera frugiperda(ツマジロクサヨトウ)に対して試験を行った際には死亡率または成長阻害を示さなかった。Diatraea saccharalis(サトウキビメイガ)についてはBCW 001を用いての試験は行わなかった。BCW 002は、Agrotis ipsilon(クロヨトウムシ)、Striacosta albicostsa(西部インゲンヨトウムシ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)及びOstrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)に対する死亡率を示し、Spodoptera frugiperda(ツマジロクサヨトウ)に対して試験を行った際には死亡率または成長阻害を示さなかった。Diatraea saccharalis(サトウキビメイガ)、Diatraea grandiosella(南西部アワノメイガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)及びPseudoplusia includens(ダイズシャクトリムシ)についてはBCW 002を用いての試験は行わなかった。BCW 003は、Agrotis ipsilon(クロヨトウムシ)、Striacosta albicostsa(西部インゲンヨトウムシ)、Helicoverpa zea(オオタバコガ)、Ostrinia nubilalis(ヨーロッパアワノメイガ)、Diatraea saccharalis(サトウキビメイガ)、Diatraea grandiosella(南西部アワノメイガ)、Trichoplusia ni(イラクサギンウワバ)及びPseudoplusia includens(ダイズシャクトリムシ)に対する死亡率を示し、Spodoptera frugiperda(ツマジロクサヨトウ)に対して試験を行った際には死亡率または成長阻害を示さなかった。
図2】BCW 001(配列番号:2、上段の行)対BCW 002(配列番号:4、中段の行)対BCW 003(配列番号:6、下段の行)のアミノ酸配列アラインメントを示す図である。それぞれの三重行の下部のアスタリスクは、3つの異なる配列のうちの少なくとも1つにおける適用可能なアミノ酸位置の差異を示している。
【0026】
配列の簡単な説明
配列番号:1は、BCW 001 Lepidopteran毒性タンパク質をコードする天然B.thuringiensis株EG4384のヌクレオチド配列である。
【0027】
配列番号:2は、配列番号:1に記載のオープンリーディングフレームから演繹されたBCW 001のアミノ酸配列である。
【0028】
配列番号:3は、キメラBCW 002 Lepidopteran毒性タンパク質をコードする合成配列である。
【0029】
配列番号:4は、配列番号:3に記載のオープンリーディングフレームから演繹されたBCW 002のアミノ酸配列であり、このようなBCW 002タンパク質は、BCW 001のドメインII及びIII(配列番号:2に記載のアミノ酸位置258からアミノ酸位置606)に機能的に連結し、配列番号:4及び配列番号:6に記載のアミノ酸位置608から1177までのCry1Acプロトキシンドメインに機能的に連結する、Cry1AcのドメインIから構成される。配列番号:4(BCW 002)は259位においてのみ配列番号:6(BCW 003)とは異なっており、BCW 002はこの位置にイソロイシンを含み、BCW 003はBCW 001と同様にスレオニンを含む。
【0030】
配列番号:5は、キメラBCW 003 Lepidopteran毒性タンパク質をコードする合成配列である。
【0031】
配列番号:6は、配列番号:3に記載のオープンリーディングフレームから演繹されたBCW 003のアミノ酸配列であり、このようなBCW 003タンパク質は、BCW 001のドメインII及びIII(配列番号:2に記載のアミノ酸位置258からアミノ酸位置606)に機能的に連結し、配列番号:4及び配列番号:6に記載のアミノ酸位置608から1177までのCry1Acプロトキシンドメインに機能的に連結する、Cry1AcのドメインIから構成される。配列番号:6(BCW 003)は259位においてのみ配列番号:4(BCW 002)とは異なっており、BCW 002はこの位置にイソロイシンを含み、BCW 003はBCW 001と同様にスレオニンを含む。
【0032】
配列番号:7は、植物内で発現させるためのBCW 001タンパク質をコードする合成配列である。
【0033】
配列番号:8は、配列番号:7から誘導したBCW 001の演繹アミノ酸配列である。
【0034】
配列番号:9は、植物内で発現させるためのBCW 002タンパク質をコードする合成配列である。
【0035】
配列番号:10は、配列番号:9から誘導したBCW 002の演繹アミノ酸配列である。
【0036】
配列番号:11は、植物内で発現させるためのBCW 003タンパク質をコードする合成配列である。
【0037】
配列番号:12は、配列番号:11から誘導したBCW 003の演繹アミノ酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
殺虫性タンパク質を含有する製剤を植物/種子に散布することにより作物植物の農業害虫を防除することに代わる選択肢は、これらのタンパク質をコードするポリヌクレオチドを植物または植物部位内で発現させるための植物ゲノムに挿入することである。これらのポリヌクレオチドで形質転換された植物は、これらの発現タンパク質が形質転換形質として提供する昆虫抵抗性を保有する。
【0039】
Lepidoptera防除において、現在用いられているタンパク質に対する昆虫の耐性が発現することを回避するために、または、現在用いられているタンパク質に対する昆虫の耐性を回避するために、異なる作用機序(MOA)を有することに加え、スペクトルと効果が広い新規タンパク質が求められている。このニーズに応える1つの方法は、新規殺虫性タンパク質の発見を期待してBtゲノムを配列決定することである。別の手法は、様々なBtタンパク質由来のセグメントを交換して、昆虫阻害特性を有する新規キメラBtタンパク質を作製することである。当該技術分野において周知である多数の天然殺虫性結晶タンパク質のドメイン構造を再び組み合わせて特性が向上したキメラタンパク質を恣意的に作製する見込みは薄い(例えば、A Strategy for Shuffling Numerous Bacillus thuringiensis Crystal Protein Domains;J.Economic Entomology,97(6):1805-1813.2004を参照のこと)。
【0040】
本明細書では殺虫性タンパク質(本明細書中ではBCWタンパク質と同定した)をコードするヌクレオチド配列を開示し、BCWタンパク質は、代替MOAに対するニーズに応え、より広範なスペクトルの昆虫害虫に対する活性を提供し、また耐性の発現を遅延または回避するように作用し、特に、クロヨトウムシ(BCW)害虫を防除するために使用される。
【0041】
BCW 001は、Bacillus thuringiensis株EG4384のゲノムのシークエンシング後に、Cry1A型タンパク質の特徴を有するアミノ酸配列を予測するオープンリーディングフレームとして発見された。BCW 001オープンリーディングフレーム(ORF)は1180アミノ酸のタンパク質をコードし、このタンパク質は、識別可能なドメインI、II及びIII構造、ならびに、カルボキシ末端に予測タンパク質の半分である特徴的なCry1A型プロトキシンドメインを含む、Cry1タンパク質毒素の特徴の多くを有すると予測された。予測ドメインIアミノ酸配列(配列番号:2の1残基から約258残基まで)は、Cry1Acタンパク質毒素ドメインIに対して約67%の同一性を示す。予測ドメインIIアミノ酸配列(配列番号:2に記載の約259残基から約459残基まで)は、Cry1Ai2ドメインIIに対して完全(100%)な同一性を示す。予測ドメインIIIアミノ酸配列(配列番号:2に記載の約260残基から約606残基まで)は、Cry1Ah2内における対応するドメインIII残基に対して約63%の同一性を示す。BCW 001予測タンパク質のプロトキシンドメイン構造(配列番号:2に記載の約607残基から1180残基まで)は、Cry1Aa9内における対応する残基に対して約96%の同一性を示す。総合的に言えば、この予測全長タンパク質は、Cry1Aiに対して約83%のアミノ酸配列同一性を示し、配列番号:2に記載のアミノ酸位置1から約607残基までの予測トキシン領域は、Cry1Ai1に対して76%の同一性を示す。この新しい毒性タンパク質を特定のCry1Aクラスに割り当てることが困難であるため、Bacillus thuringiensis命名委員会にこの配列を提供し、このタンパク質がその独自個別の新規クラスに値するかどうかを確認する。
【0042】
Bacillus thuringiensisの結晶非産生株を用いてプラスミドベクターからBCW 001タンパク質を作製し、様々なLepidopteran害虫に対して芽胞結晶体製剤を試験した。データについては図1の列2を参照されたい。エビデンスは、このタンパク質が、その供給源、すなわち、当該技術分野において周知のCry1Aa、Cry1AhまたはCry1Ai毒性タンパク質から誘導されるいずれのタンパク質の特徴も有していないことを示した。クロヨトウムシに対して試験を行った際、いずれの先行技術のタンパク質も何ら顕著な活性を示さなかったが、この新規タンパク質BCW 001は、クロヨトウムシに対して試験を行った際、バイオアッセイにおいて毒性を示し、驚くべきことに、図1に記載分に加えその他一式のLepidopteran害虫に対して試験を行った際に毒性特性を示した。
【0043】
特に、未処理昆虫食餌対照と比較したバイオアッセイでは、BCW 001タンパク質は、西部インゲンヨトウムシ(「WBC」、Striacosta albicosta)、オオタバコガ(「CEW」、Helicoverpa zea)、ヨーロッパアワノメイガ(「ECB」、Ostrinia nubilalis)、南西部アワノメイガ(「SWC」、Diatraea grandiosella)、ダイズシャクトリムシ(「SL」、Pseudoplusia includes)、イラクサギンウワバ(「CLW」、Trichoplusia ni)、ならびに、1齢及び3齢のクロヨトウムシ(「BCW」、Agrotis ipsilon)に対して活性を示した。
【0044】
以下で更に記載するが、Cry1AcのドメインIならびにBCW 001のドメインII及びIII(すなわち、それぞれ配列番号:4と配列番号:6に記載のBCW 002とBCW 003)を使用してキメラ毒性タンパク質を生成し、これらのキメラ毒性タンパク質をトウモロコシ植物及びサトウキビ植物に導入した。両方のキメラタンパク質はトウモロコシにおいて、BCW、WBC、CEW及びSWCに対して活性を示した。BCW 003はサトウキビにおいて、SCBに対して活性を示した。
【0045】
本明細書で使用する場合、語句「BCWタンパク質」とは、Lepidoptera、限定するわけではないが特に、BCW、WBC及び/またはSCBに対する活性を付与するBCW 001(配列番号:2)、BCW 002(配列番号:4)及びBCW 003(配列番号:6)ならびにそれらの昆虫阻害性セグメントまたはこれらの組み合わせの任意の昆虫阻害性ポリペプチド配列を含む、それからなる、実質的にそれに相同である、または、それから誘導された、任意の新規昆虫阻害性タンパク質のことを意味する。BCW 001をコードするポリヌクレオチドを株EG4384から誘導した。BCW 001のコア毒性アミノ酸配列は、配列番号:2に記載の約28位から約606位、618位までのアミノ酸に対応しており、BCW 002と003のコア毒性アミノ酸配列はそれぞれ、配列番号:4と配列番号:6に記載の約29位から約607位、約619位までのアミノ酸に対応している。
【0046】
一実施形態では、本明細書で開示するタンパク質は、一次δ-エンドトキシン構造、長さ(約1176~1180アミノ酸)、プロトキシンを含まないタンパク質の長さ(約600~約619アミノ酸)、毒性コアの長さ(約591アミノ酸)、または、少なくとも1つのBCW特異的セグメントの存在に関連している。
【0047】
これらのデフォルトパラメータ、重み行列:blosum、ギャップオープニングペナルティ:10.0、ギャップ伸長ペナルティ:0.05、親水性ギャップ:On、親水性残基:GPSNDQERK、残基特異的ギャップペナルティ:Onを用いて、それぞれのペアにおけるアミノ酸同一のペアワイズ数及びアミノ酸同一のペアワイズ率をもたらすClustal Wアルゴリズムを使用して、代表的なタンパク質を互いにアラインさせた。Clustal Wアルゴリズムについては、Thompson,J.D.,Higgins,D.G.and Gibson,T.J.(1994)「CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,positions-specific gap penalties and weight matrix choice.」Nucleic Acids Research,22:4673-4680に記載されている。
【0048】
その他のアライメントアルゴリズムも当該技術分野において利用可能であり、Clustal Wアライメントを使用して得られた結果と類似した結果がもたらされる。
【0049】
用語「約」は、これらのセグメントの境界が、親タンパク質の配列及びそれら互いのアライメントに応じて1、2、3、4、5、10、20、25、30または35残基分変化し得るということを説明するために本明細書で使用される。様々なセグメントの多様性及び構造について更に説明するために、表2及び3において、BCW 002と003とその他のクロヨトウムシ活性キメラのセグメント境界を表にした。
【0050】
用語「フラグメント」は、BCW毒性タンパク質を表す完全アミノ酸配列または核酸配列よりも短い連続したアミノ酸配列または核酸配列について記載するために本明細書で使用される。
【0051】
語句「昆虫阻害性」及び「殺虫性」は、本明細書において同じ意味で用いられ、昆虫の生存能、増殖、昆虫の発生、昆虫の生殖、昆虫の摂食行動、昆虫の交配行動に対する任意の測定可能な阻害をもたらすタンパク質、タンパク質フラグメント、タンパク質セグメントまたはポリヌクレオチド、及び/または、このタンパク質、タンパク質フラグメント、タンパク質セグメントまたはポリヌクレオチドを昆虫が摂食することにより引き起こされる副作用の任意の測定可能な減少をもたらすタンパク質、タンパク質フラグメント、タンパク質セグメントまたはポリヌクレオチドのことを意味する。
【0052】
用語「生物活性」、「活性な」、「活性」、「有効な」、「効果的な」またはその変化形態は、標的昆虫害虫に対する本発明のタンパク質の作用を説明するために本明細書において同じ意味で用いられる。
【0053】
作物は、その生育段階のある時点で産物を収穫される自生植物または栽培植物である。このような産物の非限定例は、種子、さや、葉、花、茎、根またはその任意の部位である。
【0054】
植物の任意の組織、細菌、ウイルスまたはベクターから得た生物試料は、ポリヌクレオチドを含むか、または、本明細書で例示するタンパク質(限定するわけではないが例えば、種子、さや、葉、花、茎、根またはその任意の部位など)を発現し、検出可能量のポリヌクレオチド、タンパク質またはその両方を含有する。
【0055】
語句「検出可能量」は、限定するわけではないが例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)及び酵素免疫測定法(ELISA)などの標準的な解析法を用いることで検出可能な本明細書で開示する最小量のタンパク質またはポリヌクレオチドを説明するために本明細書で使用される。
【0056】
一実施形態では、本明細書に記載の毒性タンパク質は共通の機能に関連し、Lepidoptera昆虫種に対する殺虫活性を示す。
【0057】
BCW 001セグメントは、このようなセグメントを含有するCry1キメラにクロヨトウムシ活性を付与する。クロヨトウムシ活性を付与するBCW 001セグメントの例は、配列番号:2のアミノ酸位置約250から約606まで、より詳細には、アミノ酸位置約255から約606までに記載されている。BCW 001毒性タンパク質のドメインII及びIIIに相当するアミノ酸のこのセグメントを含有するCry1キメラはまた、多くの場合、クロヨトウムシの防除に関連する毒性特性をキメラタンパク質に付与する。このことは、適用可能な毒素構築物がそのドメインII及びIII構成要素をBCW 001由来のこの範囲のアミノ酸で置換されているCry1A、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1E及びCry1Fスキャフォールド内で試験されている。多くのケースでは、クロヨトウムシ活性はキメラ構築物において驚くほど維持されている(データは省略)。
【0058】
本発明の一態様では、適用可能なBCW毒性タンパク質を用いて防除する害虫はとりわけ、成虫、蛹、幼虫及び新生虫を含むLepidoptera目の昆虫害虫である。
【0059】
Lepidoptera目の昆虫としては、Noctuidae科のアワヨトウの幼虫、ヨトウムシ、シャクトリムシ及びタバコガ、例えば、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、ベルタアワヨトウ(Mamestra configurata)、クロヨトウムシ(Agrotis ipsilon)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)、ダイズシャクトリムシ(Pseudoplusia includens)、ビロードマメケムシ(Anticarsia gemmatalis)、グリーンクローバーアオムシ(Hypena scabra)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)、グラニュレートカットワーム(Agrotis subterranea)、西部ヨトウムシ(Agrotis orthogonia)、アワヨトウの幼虫(Pseudaletia unipuncta)、Pyralidae科の穿孔虫、ツツミノガ、ウェブワーム、コーンワーム、キャベツワーム及び葉肉食者、例えば、ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)、クルミマダラメイガ(Amyelois transitella)、ウスギンツトガ(Crambus caliginosellus)、クロオビクロノメイガ(Herpetogramma licarsisalis)、ヒマワリガ(Homoeosoma electellum)、モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)、Tortricidae科のハマキガ、青虫、シードワーム及びフルーツワーム、例えば、コドリンガ(Cydia pomonella)、グレープベリーガ(Endopiza viteana)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、ヒマワリ青虫ガ(Suleima helianthana)、ならびに、多くのその他の経済的に重要なLepidoptera、例えば、コナガ(Plutella xylostella)、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、マイマイガ(Lymantria dispar)が挙げられるがこれらに限定されない。Lepidoptera目のその他の害虫としては、例えば、Alabama argillacea(綿葉虫)、Archips argyrospila(果樹ハマキガ)、A.rosana(ヨーロッパハマキガ)、ならびに、その他のArchips種、Chilo suppressalis(ニカメイガ(Asiatic rice borer)またはニカメイガ(rice stem borer))、Cnaphalocrocis medinalis(イネハマキガ)、Crambus caliginosellus(ウスギンツトガ)、C.teterrellus(シバツトガ)、Diatraea grandiosella(南西部アワノメイガ)、D.saccharalis(サトウキビメイガ)、Earias insulana(スピニーボールワーム)、E.vittella(スポッテッドボールワーム)、Helicoverpa armigera(アメリカンボールワーム)、H.zea(オオタバコガ(corn earworm)またはオオタバコガ(cotton bollworm))、Heliothis virescens(ニセアメリカタバコガ)、Herpetogramma licarsisalis(クロオビクロノメイガ)、Lobesia botrana(ヨーロッパグレープバインガ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシ)、Phyllocnistis citrella(ミカンハモグリガ)、Pieris brassicae(オオモンシロチョウ)、P.rapae(モンシロチョウの幼虫またはモンシロチョウ)、Plutella xylostella(コナガ)、Spodoptera exigua(シロイチモジヨトウ)、S.litura(ハスモンヨトウ(tobacco cutworm)、ハスモンヨトウ(cluster caterpillar))、S. frugiperda(ツマジロクサヨトウ)、及び、Tuta absoluta(トマトキバガ)が挙げられる。
【0060】
また本明細書で開示するタンパク質を使用して、BCW特異的毒性タンパク質に特異的に結合する抗体を作製してもよく、BCW毒性種のその他の要素をスクリーニング及び検出するのに使用してもよい。
【0061】
一実施形態では、昆虫阻害性BCW 001関連タンパク質をコードする例示的なポリヌクレオチドは、配列番号:1、3、5、7、9及び11に記載されている。これらのタンパク質をコードするヌクレオチド配列をスクリーニング用のプローブ及びプライマーとして用い、熱または等温増幅法及び/またはハイブリダイゼーション法、ならびに当業者に周知のその他の同定法を使用して、その種のその他の要素を同定してもよい。
【0062】
本発明の一態様は関連タンパク質を発見するための方法を提供し、このような方法としては、Btゲノムのシークエンシング、シークエンスデータのアセンブリ、このような殺虫性タンパク質をコードするBt遺伝子の同定及びクローニング、ならびに、殺虫活性をアッセイするための新規Btタンパク質の発現及び試験が挙げられる。本発明の別の態様では、分子的方法を用いて、殺虫性タンパク質の種類に由来するタンパク質のキメラを含む商業的に利用可能なタンパク質を遺伝子操作及びクローニングするが、例えば、それらキメラをBCW毒性タンパク質のセグメントからアセンブリして別の実施形態を派生させてもよい。開示するタンパク質を互いにに対して、またその他のBt殺虫性タンパク質に対してアライメントしてもよく、キメラタンパク質の構築をもたらすアラインメントタンパク質間の置換に有用なそれぞれのこのようなタンパク質のセグメントを同定してもよい。このようなキメラタンパク質を害虫バイオアッセイ解析に供し、キメラにおけるそれぞれのこのようなセグメントが由来する親タンパク質と比較して上昇した生物活性及び/または広がった標的害虫スペクトルの存在の特徴を明らかにしてもよい。特定の害虫またはより広範なスペクトルの害虫に対する活性のために、その他のタンパク質とドメインまたはセグメントを交換することによりポリペプチドの殺虫活性を更に操作してもよい。
【0063】
一実施形態では、本明細書で開示するタンパク質は、本明細書で開示するタンパク質の機能的に同等なフラグメント(N末端またはC末端の欠失)を含む。
【0064】
本明細書ではBCW毒性タンパク質を提供する。特定の実施形態では、BCW 001関連毒性タンパク質を単離してもよく、組成物中、形質転換微生物中、または形質転換植物中に提供してもよい。本実施形態では、BCW 002タンパク質及び特にBCW 003タンパク質は、Lepidoptera阻害活性、特に、クロヨトウムシ及び/またはサトウキビメイガに対する阻害活性を付与する。本出願における「単離されたタンパク質」または同等の用語または語句への言及は、そのタンパク質が、単独でまたはその他の組成物と混合された状態で存在しているが、その天然環境中にはないタンパク質を意味することを意図する。例えば、生物内に自然に存在する本発明の毒性タンパク質などは、これら毒性タンパク質が、これらが自然に存在する生物内に存在している限りにおいて「単離された」とは考えられない。しかしながら、これらのそれぞれは、タンパク質が、それが自然に存在する生物内に存在していない限りにおいて本開示の範囲内において「単離された」ことになる。
【0065】
本明細書で使用する場合、「機能的に連結する」とは、一方の配列が、連結した配列に必要な機能または協調的もしくは有用な特徴をもたらすような、核酸配列またはアミノ酸配列の連結のことを意味する。
【0066】
BCW 001、BCW 002及びBCW 003と生物学的に機能的に同等なペプチド、ポリペプチド及びタンパク質としては、これらのBCW毒性タンパク質配列内に保存的アミノ酸置換を含むアミノ酸配列が挙げられるがこれらに限定されない。このようなアミノ酸配列では、配列内の1つまたは複数のアミノ酸が別のアミノ酸(複数可)で置換され、サイレントまたは保存的アミノ酸配列の変化がもたらされている。
【0067】
開示する昆虫阻害性ポリペプチドはBCW 001、BCW 002またはBCW 003タンパク質配列を含むことが好ましいが、この昆虫阻害性タンパク質の昆虫阻害活性と同一または同様の昆虫阻害活性を有するこの配列のフラグメント及び変異体もまた本明細書で開示されている。例えば、昆虫阻害活性を有するBCW関連毒性タンパク質内における少なくとも30、35、38、40、45、50、55、60、65、70、75、100、150、200、500、550またはそれ以上のアミノ酸の連続配列である。別の実施形態では、昆虫阻害活性を有するBCW関連毒性タンパク質のフラグメントは、BCW毒性タンパク質配列内にアミノ酸の置換、欠失、挿入または付加を含んでいてもよい。
【0068】
一実施形態では、昆虫阻害性ポリペプチドは、配列番号:2に記載のBCW 001タンパク質配列の約28残基から約618残基までの昆虫阻害性セグメントを含む。非限定的例としては、配列番号:2、4もしくは6、または、単独でまたはキメラタンパク質と機能的に連結して、この特定のBCW 001タンパク質の昆虫阻害活性と同一または同様の昆虫阻害活性を有するより短いフラグメントもしくは変異体のいずれか1つが挙げられる。別の実施形態では、昆虫阻害活性を有する配列番号:2、4または6のいずれか1つにおける少なくとも約38またはそれ以上のアミノ酸の連続アミノ酸配列を有するセグメントもまた、機能的な殺虫性タンパク質を提供する。昆虫阻害性のBCW 001毒性フラグメントはまた、配列番号:2、4または6のいずれか1つの配列の約28残基から約618残基に相当する591アミノ酸領域のうちの少なくとも30、35、38、40、45、50、100、150、200、500、550、555、560、565、570、572、574、580または585のアミノ酸残基を有するセグメントを含んでいてもよい。
【0069】
一部の実施形態では、成熟BCW 001タンパク質(成熟とは、昆虫害虫の消化管内におけるタンパク質加水分解により1180のアミノ酸が開裂して、N末端までわずか607残基から約618残基にあるコア毒素を遊離し、配列番号:2に記載の大体1残基から606残基まで、または約5から約618までの任意の数の残基を含む活性毒素セグメントを遊離する(遊離したセグメントがクロヨトウムシの幼虫に対して毒性特性を示す限りにおいて)、タンパク質のプロトキシン形態のことを意味する)のフラグメントは、昆虫阻害活性を有するタンパク質のN末端、C末端、中央部またはこれらの組み合わせから1つまたは複数のアミノ酸が欠失したトランケート形態であってもよい。これらのフラグメントは、BCW 001の天然または合成の変異体であってもよく、BCW毒性タンパク質の昆虫阻害活性を保持していてもよい。特定の実施形態では、成熟BCW 001、BCW 002またはBCW 003タンパク質のフラグメントは、そのフラグメントをそれらから誘導する出発タンパク質分子が有する殺虫活性を示す。本明細書に記載のフラグメントまたは変異体は、タンパク質の殺虫活性に影響を及ぼす本明細書中で同定したドメインを更に含んでいてもよい。昆虫阻害活性を有するトランケート誘導体は、配列番号:2に記載のBCW 001毒性タンパク質配列の約28残基から約606残基または618残基まで、または、配列番号:4または配列番号:6に記載のBCW毒性タンパク質の約29残基から約607残基及び619残基までに相当するBCW毒性タンパク質である。
【0070】
更に別の実施形態では、トランケートN末端欠失変異体としては、BCW毒性タンパク質の毒性部分(プロトキシンを含まない)または毒性コアのN末端及び/またはC末端のいずれかに由来するアミノ酸残基を欠くBCW 001毒性タンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、配列番号:2の残基28から残基618、または、配列番号:4または6の残基29から残基619に相当するBCW 001タンパク質の毒性コアにおける1~6N末端アミノ酸残基を欠失させてもよい。配列番号:2の残基28から残基618、または、配列番号:4または6の残基29から残基619に相当するBCW毒性タンパク質のトランケートC末端欠失変異体としては、1~6C末端アミノ酸残基を欠くBCW毒性タンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。その他の実施形態では、配列番号:2の対応する残基28から残基618、または、配列番号:4または6の対応する残基29から残基619を有するBCW毒性タンパク質は、1~6アミノ末端残基のN末端トランケート体と1~6カルボキシ末端残基のC末端トランケート体の両方を有していてもよい。
【0071】
一部の実施形態では、CPR24719-1とは異なるタンパク質にクロヨトウムシ活性を付与する、CPR24719タンパク質の個々のセグメント1~6、またはセグメント1~6の組み合わせはまた、同一または同様の機能を示してもよい。
【0072】
本明細書で開示するBCW毒性タンパク質のフラグメント及び変異体は、配列番号:2の残基28から残基618または配列番号:4または6の残基29から残基619に示す対応するアミノ酸配列を有する成熟BCW毒性タンパク質の対応するセグメントに対して、約62%以上の配列同一性、約65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、またはそれ以上の配列同一性、約99%、99.5%、100%のアミノ酸配列同一性を有していてもよい。
【0073】
本発明の一実施形態は、BCW毒性タンパク質をコードする組換えポリヌクレオチド組成物を含む。例えば、BCW毒性タンパク質は、タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有する単離されたポリヌクレオチド分子が、組換えDNA構築物を対象とするシステム内において機能的に発現するためにプロモーター及び任意のその他の調節エレメントなどのエレメントに機能的に連結する、組換えDNA構築物と共に発現し得る。本出願における「単離されたDNA分子」または同等の用語または語句への言及は、そのDNA分子が、単独でまたはその他の組成物と混合された状態で存在しているが、その天然環境中にはないDNA分子を意味することを意図する。例えば、生物のゲノムのDNA内に自然に存在する核酸エレメント、例えば、コード配列、イントロン配列、非翻訳リーダー配列、プロモーター配列、転写停止配列などは、そのエレメントが生物のゲノム内に存在している限りにおいて、またそのエレメントが自然に存在するゲノム内の位置に存在している限りにおいて「単離された」とは考えられない。しかしながら、これらエレメントのそれぞれ及びこれらエレメントのサブ部分は、そのエレメントが、生物のゲノム内に存在していない限りにおいて、またそのエレメントが自然に存在するゲノム内の位置に存在していない限りにおいて本開示の範囲内において「単離された」ことになる。同様に、殺虫性タンパク質またはそのタンパク質の任意の天然殺虫性変異体をコードするヌクレオチド配列は、そのヌクレオチド配列が、そのタンパク質をコードする配列が自然に存在する細菌のDNA内に存在していない限りにおいて単離されたヌクレオチド配列となる。天然殺虫性タンパク質のアミノ酸配列をコードする合成ヌクレオチド配列は、本開示の目的のために単離されたと考えられる。本開示の目的のために、任意の形質転換ヌクレオチド配列、すなわち、植物または細菌の細胞のゲノムに挿入されたDNAのヌクレオチド配列、または、染色体外ベクター内に存在するDNAのヌクレオチド配列は、その形質転換ヌクレオチド配列が、細胞を形質転換するのに用いるプラスミドまたは同様の構築物内に存在するかにかかわらず、植物または細菌のゲノム内に存在するかにかかわらず、または、その植物または細菌に由来する組織、子孫、生物試料または日用品内に検出可能量で存在するかにかかわらず、単離されたヌクレオチド配列であると考えられる。非限定的例としては、植物内においてBCW毒性タンパク質を発現するためにBCW毒性タンパク質コード配列に機能的に連結する植物機能的プロモーター、または、Bt内においてBCW毒性タンパク質を発現するためにBCW毒性タンパク質コード配列に機能的に連結するBt機能的プロモーターが挙げられる。BCW毒性タンパク質コード配列に機能的に連結可能なその他のエレメントとしては、エンハンサー、イントロン、リーダー、コードタンパク質固定化タグ(Hisタグ)、コード細胞内移行ペプチド(例えば、プラスチド移行ペプチド、シグナルペプチド)、翻訳後修飾酵素用のコードポリペプチド部位、リボソーム結合部位、及びRNAi標的部位が挙げられるがこれらに限定されない。
【0074】
本明細書で使用する場合、「組換えDNA分子」は、人間の介入なしには天然に共に存在しないDNA分子の組み合わせを含むDNA分子である。例えば、組換えDNA分子は、互いに対して非相同である少なくとも2種のDNA分子からなるDNA分子、天然に存在するDNA配列に由来するDNA配列を含むDNA分子、または、遺伝的形質転換または遺伝子編集により宿主細胞のDNAに組み込まれたDNA分子であってもよい。同様に、「組換えタンパク質分子」は、人間の介入なしには天然に共に存在しないアミノ酸の組み合わせを含むタンパク質分子である。例えば、組換えタンパク質分子は、互いに対して非相同である少なくとも2種のアミノ酸分子からなるタンパク質分子、天然に存在するアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むタンパク質分子、または、宿主細胞の遺伝的形質転換の結果としてまたは宿主細胞ゲノムの遺伝子編集により宿主細胞内で発現するタンパク質分子であってもよい。
【0075】
本明細書で提供する例示的な組換えポリヌクレオチド分子としては、配列番号:7、配列番号:9及び配列番号:11に加え、配列番号:3及び配列番号:5に記載のヌクレオチドセグメント、配列番号:2(BCW 001)、配列番号:4(BCW 002)、配列番号:6(BCW 003)に記載のアミノ酸配列を有する対応するポリペプチドまたはタンパク質をコードするヌクレオチドセグメントのそれぞれ、ならびに、配列番号:8、配列番号:10及び配列番号:12が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書で開示するタンパク質をコードする組換えポリヌクレオチド分子のコドンを同義コドンで置換してもよい(サイレント置換とも呼ばれる)。本明細書で開示するBCW毒性変異タンパク質のいずれかをコードする組換えポリヌクレオチドも提供する。
【0076】
BCW毒性タンパク質コード配列を含む組換えDNA構築物はまた、BCW毒性タンパク質をコードするDNA配列、BCW毒性タンパク質とは異なるタンパク質、昆虫阻害性dsRNA分子または殺虫性化合物を同時に発現するように、または、それらと共発現するように構成され得る、1種または複数種の昆虫阻害剤をコードするDNAの領域を更に含んでいてもよい。殺虫性化合物の非限定的例は、有機塩素化合物、有機リン化合物及びカルバメート、ピレスロイド、ネオニコチノイド、ならびに、リアノイドである。
【0077】
全てのタンパク質またはdsRNA分子が1つのプロモーターから発現するように、それぞれのタンパク質またはdsRNA分子が別々のプロモーターの制御下となるように、または、これらのいくつかの組み合わせとなるように、組換えDNA構築物をアセンブリしてもよい。本明細書で開示するタンパク質は、本明細書で開示する1種または複数種のタンパク質が共通のヌクレオチドセグメント(選択された発現系のタイプに応じてその他のオープンリーディングフレーム及び/またはプロモーターにも含まれる)から発現する多重遺伝子発現系から発現してもよい。例えば、細菌の多重遺伝子発現系は、単一のオペロン内から多重連結/タンデムオープンリーディングフレームの発現を駆動するのに単一のプロモーターを利用していてもよい。別の例では、植物の多重遺伝子発現系は、それぞれが異なるタンパク質またはその他の物質(例えば、1種または複数種のdsRNA分子など)を発現する多重連結発現カセットを利用していてもよい。更に別の例では、植物の多重遺伝子発現系は、それぞれが異なるタンパク質またはその他の物質(例えば、1種または複数種のdsRNA分子など)を発現する多重非連結発現カセットを利用していてもよい。本明細書に記載の組換え核酸に使用するプロモーターは、プロモーター活性または遺伝子調節活性を有する完全なプロモーター配列または任意のその変異体もしくはフラグメントを含んでいてもよい。
【0078】
ベクター、例えば、プラスミド、バキュロウイルス、人工染色体、ビリオン、コスミド、ファージミド、ファージまたはウイルスベクターなどを使用して、BCW毒性タンパク質コード配列を含む組換えポリヌクレオチドまたは組換えDNA構築物を宿主細胞に導入してもよい。このようなベクターを使用して、宿主細胞内におけるBCW毒性タンパク質コード配列の安定発現もしくは一過性発現、またはそれに続くポリペプチドの発現を達成してもよい。BCW毒性タンパク質コード配列を含み宿主細胞に導入された外来の組換えポリヌクレオチドまたは組換えDNA構築物のことを本明細書では「導入遺伝子」と呼ぶ。
【0079】
本明細書ではまた、本明細書で提供するBCW毒性タンパク質コード配列のうちのいずれか1種または複数種を発現する任意の組換えポリヌクレオチドを含有する形質転換細菌、形質転換植物細胞、形質転換植物、真菌及びイースト菌、ならびに、形質転換植物部位を提供する。用語「細菌細胞」または「細菌」としては、Agrobacterium、Bacillus、Escherichia、Salmonella、PseudomonasまたはRhizobium細胞を挙げることができるがこれらに限定されない。用語「植物細胞」または「植物」としては、アルファルファ、バナナ、大麦、インゲン、ブロッコリー、キャベツ、アブラナ属、人参、キャッサバ、トウゴマ、カリフラワー、セロリ、ヒヨコマメ、ハクサイ、柑橘類、ココナッツ、コーヒー、トウモロコシ、クローバー、綿、ウリ科、キュウリ、ダグラスモミ、ナス、ユーカリ、亜麻、ニンニク、ブドウ、ホップ、リーキ、レタス、テーダマツ、キビ、メロン、ナッツ、オート麦、オリーブ、タマネギ、観賞植物、ヤシ、牧草、エンドウ、ピーナッツ、コショウ、キマメ、マツ、ジャガイモ、ポプラ、カボチャ、ラジアータマツ、ダイコン、菜種、イネ、根茎、ライ麦、ベニバナ、低木、モロコシ、ダイオウマツ、ダイズ、ホウレンソウ、トウナス、イチゴ、サトウダイコン、サトウキビ、ヒマワリ、スイートコーン、モミジバフウ、サツマイモ、スイッチグラス、茶、タバコ、トマト、ライ小麦、芝草、スイカ及び小麦の植物細胞または植物を挙げることができるがこれらに限定されない。特定の実施形態では、形質転換植物細胞から再生した形質転換植物及び形質転換植物部位を提供する。特定の実施形態では、植物からその一部を、増殖、切断、破断、粉砕または別の方法で分離させることにより、形質転換種子から形質転換植物を得ることができる。特定の実施形態では、植物部位は、種子、さや、葉、花、茎、根もしくはその任意の部位、または、形質転換植物部位の再生不可能部位であってもよい。この文脈で使用される場合、形質転換植物部位の「再生不可能」部位は、誘導して完全な植物を生成することができない部位であるか、または、誘導して有性生殖及び/または無性生殖を実施可能な完全な植物を生成できない部位である。特定の実施形態では、植物部位の再生不可能部位は、形質転換種子、さや、葉、花、茎または根の部位である。
【0080】
本明細書ではまた、昆虫またはLepidoptera阻害量のBCW毒性タンパク質を含む形質転換植物を作製するための方法を提供する。本明細書で提供するBCW毒性タンパク質のいずれかをコードする組換えポリヌクレオチドを植物細胞に導入して、昆虫またはLepidoptera阻害量のBCW毒性タンパク質を発現する上記植物細胞から誘導した植物を選抜することにより、このような植物を作製することができる。再生、種子、花粉または分裂組織形質転換技術により、植物細胞から植物を誘導することができる。
【0081】
植物を形質転換するための方法は当技術分野において周知である。例えば、アグロバクテリウム媒介形質転換については、米国特許出願公開2009/0138985A1(ダイズ)、2008/0280361A1(ダイズ)、2009/0142837A1(トウモロコシ)、2008/0282432(綿)、2008/0256667(綿)、2003/0110531(小麦)、2001/0042257A1(サトウダイコン)、米国特許5,750,871(キャノーラ)、7,026,528(小麦)及び6,365,807(イネ)、ならびにin Arencibia et al.(1998)Transgenic Res.7:213-222(サトウキビ)に記載されている。
【0082】
本明細書ではまた、昆虫またはLepidopteraの蔓延を抑制するための、昆虫またはLepidoptera阻害量のBCW毒性タンパク質を発現する形質転換植物の使用を提供する。本明細書で提供する昆虫またはLepidopteraの蔓延から植物を保護するための方法に、上記の形質転換植物のいずれかを使用することができる。Lepidopteran活性タンパク質、例えば、Cry1Aタンパク質(米国特許番号5,880,275)、Cry1B(米国特許出願番号10/525318)、Cry1C(米国特許番号6,033,874)、Cry1F、Cry1A/Fキメラ(米国特許番号7,070,982、6,962,705及び6,713,063)、及び、Cry2Abタンパク質(米国特許番号7,064,249)などを発現する形質転換植物を得るための方法についても十分特徴が明らかとなっている。
【0083】
本明細書ではまた、BCW毒性タンパク質を生成するための、上記の形質転換宿主細胞のいずれかの使用を提供する。
【0084】
本発明の更なる態様は、抗体、ならびに、BCW毒性タンパク質または極めて特徴的なそのフラグメント及びセグメントをコードするポリヌクレオチドを検出するための方法、タンパク質種の別の昆虫阻害性要素、配合を同定するための方法、昆虫の増殖及び/または蔓延を抑制するための方法、及び、このような抑制を植物及びその他の受容宿主にもたらすための方法を含む。
【0085】
特定の実施形態では、植物製品は、形質転換植物または形質転換植物部位に由来する商品(commodity)またはその他の商品(other products of commerce)を含んでいてもよく、商品またはその他の製品は、ヌクレオチドセグメント、または、BCW毒性タンパク質の極めて特徴的な部位をコードするかまたはそれらを含む発現RNAもしくは発現タンパク質を検出することにより、商業を介して追跡することができる。このような商品またはその他の商品としては、植物部位、バイオマス、油、粗びき粉、砂糖、動物飼料、穀粉、フレーク、糠、リント、加工種子及び種子が挙げられるがこれらに限定されない。
【0086】
本明細書ではまた加工植物製品を提供し、上記加工製品は、BCW毒性タンパク質、そのセグメント、その昆虫阻害性フラグメントまたは極めて特徴的な任意のその部位をコードする検出可能量の組換えポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、加工製品は、植物バイオマス、油、粗びき粉、動物飼料、穀粉、フレーク、糠、リント外皮及び加工種子からなる群から選択される。特定の実施形態では、加工製品は再生不可能である。
【0087】
本明細書ではまた、昆虫を防除するための方法を提供する。特定の実施形態では、作物植物におけるLepidopteraの蔓延を抑制する。このような方法は、昆虫またはLepidoptera阻害量のBCW毒性タンパク質を含む植物を栽培することを含んでいてもよい。特定の実施形態では、このような方法は、(i)BCW毒性タンパク質を含むかまたはコードする任意の組成物を、植物またはその植物を生じる種子に散布すること、及び/または、(ii)植物またはその植物を生じる植物細胞を、BCW毒性タンパク質をコードするポリヌクレオチドで形質転換すること、のうちのいずれか1つまたは複数を更に含んでいてもよい。特定の実施形態では、植物は、昆虫またはLepidoptera阻害量のBCW毒性タンパク質を発現する導入遺伝子を含む一過性または安定的に形質転換された形質転換植物である。特定の実施形態では、植物は、BCW毒性タンパク質を含む組成物を散布した非形質転換植物である。このような方法の特定の実施形態では、植物はトウモロコシまたはサトウキビ植物である。特定の実施形態では、Lepidoptera種はAgrotis ipsilonである。特定の実施形態では、Lepidoptera種はDiatraea saccharalisである。特定の実施形態では、Lepidoptera種は作物田畑にいる。
【0088】
植物においてまたはプロセスによって本明細書で開示するタンパク質を濃縮することは、組換えポリペプチド/タンパク質を発現/生成する条件下で組換えBt細胞を培養することを含んでいてもよい。このようなプロセスとしては、上記組換えポリペプチドを発現/生成する組換えBt細胞の培養液の乾燥、凍結乾燥、ホモジナイゼーション、抽出、濾過、遠心分離、沈殿または濃縮による調製を挙げることができる。このようなプロセスにより、Bt細胞抽出液、細胞懸濁液、細胞ホモジネート、細胞溶解液、細胞上清、細胞濾液または細胞ペレットをもたらすことができる。そのように生成した組換えポリペプチド/タンパク質を得ることにより、組換えポリペプチド/タンパク質を含む組成物に細菌細胞、細菌芽胞及び副芽胞封入体を含ませることができ、農業用昆虫阻害性噴霧製品または食餌バイオアッセイに用いる昆虫阻害性製剤を含む様々な用途用にその組成物を製剤化することができる。
【0089】
一実施形態では、開示組換えポリペプチド/タンパク質を含む昆虫阻害性組成物/製剤は、同一のLepidopteran昆虫種に対して昆虫阻害活性を示すが、BCW毒性タンパク質またはその他のLepidopteran昆虫阻害性組成物に対するLepidopteran昆虫の耐性発現率を低下させる、組換えポリペプチドとは異なる少なくとも1種の別のポリペプチドを更に含んでいてもよい。このようなポリペプチドは、昆虫阻害性タンパク質、昆虫阻害性dsRNA分子及び化合物からなる群から選択される。このようなリボヌクレオチド配列を、昆虫害虫を防除するために使用する1つの例は、米国特許出願公開番号2006/0021087に記載されている。その他のこのような組成物の例としては、Cry1A(米国特許番号5,880,275)、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1Ae、Cry1B(米国特許出願番号10/525,318)、Cry1C(米国特許番号6,033,874)、Cry1E、Cry1F、ならびに、Cry1A/Fキメラ(米国特許番号7,070,982、6,962,705及び6,713,063)、Cry1G、Cry1H、Cry1I、Cry1J、Cry1K、Cry1L、Cry2A、Cry2Ab(米国特許番号7,064,249)、Cry2Ae、Cry4B、Cry6、Cry7、Cry8、Cry9、Cry15、Cry43A、Cry43B、ET35、ET66、TIC400、TIC800、TIC807、TIC834、TIC853及びTIC1415が挙げられるがこれらに限定されない。その他の非限定例は、本明細書で開示するタンパク質と組み合わせることができるLepidoptera活性タンパク質VIP、Axmi及びDIGであり、限定するわけではないが例えば、Vip3A、VIP3Ab、AXMI-184、AXMI-196、DIG-3、DIG-4、DIG-5及びDIG-11などである。
【0090】
その他の実施形態では、このような組成物は、得られた昆虫阻害スペクトルを広げるために、別の昆虫阻害性BCW毒性タンパク質による阻害を受けない昆虫に対して昆虫阻害活性を示す少なくとも1種の別のポリペプチドを更に含んでいてもよい。例えば、Coleopteran害虫を防除するために、昆虫阻害性BCW毒性タンパク質を、Coleopteran活性タンパク質、限定するわけではないが例えば、Cry1C変異体、Cry3A変異体、Cry3Bb(米国特許番号6,501,009)、Cry34/35、5307、Axmi184、Axmi205、AxmiR1、TIC407、TIC417、TIC431、TIC901、TIC1201、TIC3131、DIG-10及びeHIP(米国特許出願公開番号2010/0017914)などと組み合わせて使用してもよい。
【0091】
特定の殺虫剤に対する耐性を昆虫が発現する可能性については、当該技術分野において文書化されている。昆虫抵抗性管理戦略の1つは、異なる作用機序で作用する2種類の異なる昆虫阻害剤を発現する形質転換作物を採用することである。それゆえ、昆虫阻害剤のうちのいずれか一方に対して耐性を有する任意の昆虫を、もう一方の昆虫阻害剤で防除することができる。別の昆虫抵抗性管理戦略では、避難場所を設けるために、Lepidopteran害虫種に対して保護されていない植物の使用を採用する。1つの詳細な例が米国特許番号6,551,962に記載されている。
【0092】
本明細書で開示するその他の実施形態は、種子の処理にタンパク質と共に使用される、本明細書で開示するタンパク質によっても防除される害虫を防除するために設計された局所散布型の殺虫性化合物を含む。噴霧式、滴下式または塗布式の製剤を、直接土壌(土壌灌注)に散布してもよく、本明細書で開示するタンパク質を発現する生育中の植物に散布してもよく、または、開示タンパク質のうちの1種または複数種をコードする1種または複数種の導入遺伝子を含む種子に散布するために製剤化されてもよい。種子の処理に使用されるこのような製剤を、当該技術分野において周知の様々な展着剤及び粘着付与剤と共に散布してもよい。このような製剤は、MOAにおいて開示タンパク質と相乗的な殺虫剤を含有していてもよく、それにより、配合殺虫剤が異なるMOAで作用し、開示タンパク質で防除可能な同一または同様の害虫を防除する、または、このような殺虫剤が作用し、より広い宿主範囲内の害虫、例えば、Lepidopteran種もしくはHemipteran種など、または、効果的には防除されないその他の植物害虫種、例えば、Coleopteran種などを防除する。
【0093】
上記の組成物/製剤は、農業的に許容される担体、例えば、毒餌、粉末剤、粉剤、ペレット剤、顆粒剤、噴霧剤、エマルション剤、コロイド懸濁液、水溶液など、Bacillus芽胞/結晶体製剤、種子処理剤、形質転換されて1種または複数種のタンパク質を発現する組換え植物細胞/植物組織/種子/植物、または、形質転換されて1種または複数種のタンパク質を発現する細菌を更に含んでいてもよい。組換えポリペプチド固有の昆虫阻害性または殺虫阻害のレベル、及び植物に散布するまたは食餌アッセイに適用する製剤のレベルに応じ、組成物/製剤は、様々な重量%の組換えポリペプチド、例えば、0.0001重量%~0.001重量%~0.01重量%~1重量%~99重量%の組換えポリペプチドを含んでいてもよい。
【0094】
本明細書で開示するタンパク質を、植物の表面、土壌に局所散布する製剤中に混合させてもよく、種子処理用の製剤中に混合させてもよく、またLepidopteran種の標的害虫に対する毒性を有するその他の薬剤を含む製剤中に混合させてもよい。このような薬剤としては、Cry1Aタンパク質、Cry1B、Cry1C、Cry1F、Cry1A/Fキメラ、及び、Cry2Abタンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。
【実施例
【0095】
以下に開示する実施形態は本発明の単なる代表であり、様々な形態で実施され得る。それゆえ、本明細書で開示する特定の構造的詳細及び機能的詳細は限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に引用したそれぞれの参照文献の開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれると理解すべきである。
【0096】
実施例1
本実施例は、毒性タンパク質BCW 001の発見及び解析、ならびに、キメラ毒性BCW 002及びBCW 003の構築について教示する。
【0097】
芽胞結晶体製剤を使用した食餌バイオアッセイにおいて、Bt株EG4384がLepidopteran活性を付与することを確認した。この株のゲノムの配列を作製し、生シークエンスリードを加工し、加工リードからコンティグをアセンブリし、Cry1タンパク質に対して相同性を示すオープンリーディングフレームを同定し、演繹アミノ酸配列を解析した。配列番号:1に記載の特定のオープンリーディングフレームは、当該技術分野において周知の多くのCry1タンパク質と比較して新規のアミノ酸配列を示すタンパク質(BCW 001、配列番号:2)の演繹アミノ酸配列をコードすることが確認された。オープンリーディングフレームから演繹されたタンパク質は新規Cry1型タンパク質の特徴の全てを有しているが、実際は1180アミノ酸長であり、既知のCry1タンパク質に対するアライメントにより、このタンパク質が、約600~630のアミノ末端アミノ酸内に特徴的な3ドメイン構造、及び、Cry1A型に固有のプロトキシンアミノ酸配列構造を有していることが示された。この予測アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列は、Cry1に固有でもあるオープンリーディングフレーム、すなわち、毒素の予測ドメインIのC末端領域をコードするDNAセグメント内のNheI制限部位、及び、予測プロトキシンドメインのN末端部位をコードするDNAセグメント内のKpnI制限部位を含有している。
【0098】
BCW 001毒素のアミノ酸配列をCry1Acと比較することにより、ドメインIに相当するアミノ酸セグメント(約1位から約258位までのアミノ酸)がCry1Ac内のその同一セグメントに対してせいぜい約67%の同一性を示し、ドメインIIに相当するアミノ酸セグメント(約58位から約460位までのアミノ酸)がCry1Ac内のその同一のセグメントに対して極めて低いパーセント同一性を示し、ドメインIIIに相当するアミノ酸セグメント(約460位から約607位までのアミノ酸)がCry1Ah2のドメインIIIセグメントに対して約63%の同一性を示すことが明らかとなった。
【0099】
Cry1AcをコードするDNAセグメントを含有する発現ベクター内で、NheI制限部位からKpnI制限部位までの予測ドメインII及びIIIを実質的にコードするDNAセグメントを切除してCry1Acコード配列の対応するセグメントに置換することにより、Cry1AcのドメインIをコードする第1のセグメント、BCW 001のドメインII及びIIIをコードする第2のセグメント、及び、Cry1Ac毒性タンパク質のプロトキシンドメインをコードする第3のセグメントからなり、5プライムから3プライムにかけてこの連続順でインフレームに連結したオープンリーディングフレームをもたらした。このキメラ構築物(配列番号:3)は、本明細書ではBCW 002(配列番号:4)と呼ぶキメラ毒性タンパク質をコードする。ドメインIとドメインIIの間の区切り点をわずかにずらすことにより、本明細書ではBCW 003(配列番号:6)と呼ぶキメラ毒性タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号:5)(BCW 002とは酸位置259のみが異なるアミノ酸配列を有する)がもたらされた。BCW 003がBCW 001と同様に259位にスレオニン(T)を含有している一方で、BCW 002はその位置にイソロイシン(I)を含有している。BCW 001は主に毒素のドメインI内(すなわち、アミノ酸1~202)においてBCW 002及びBCW 003とは異なっており、上に記載したとおり、BCW 002とBCW 003は、259位のI/Tの差異を除き事実上同一である。
【0100】
実施例2
本実施例は、BCW 001、002及び003タンパク質の効果的なLepidopteran害虫防除生物活性について教示する。
【0101】
BCW 001、002及び003毒性タンパク質を発現する構築物を、E.coliまたは適用可能なBacillus thuringiensisもしくはその他のBacilliに形質転換することにより、バイオアッセイによる発現タンパク質の試験、及び、クロヨトウムシに対して毒性を有する当該技術分野において周知のタンパク質、例えば、Cry1Fa及びCry1Acなどとの比較が可能となった。得られた組換え株が、Lepidopteran害虫に対して活性を有する組換えタンパク質を発現することが認められた。バイオアッセイ活性は、クロヨトウムシ幼虫及びオオタバコガ幼虫に対して試験を行った際に特に強力であった。発明を実施するための形態、背景技術及び発明の概要において上で明記したとおり、クロヨトウムシに対する任意の顕著なレベルの生物活性を示すことが発見されている毒性タンパク質は極めて少ないことから、クロヨトウムシの蔓延から植物を保護するためにこのような植物に用いられるこのようなタンパク質を同定すること、及び、現在使用されている任意のクロヨトウムシ活性タンパク質、例えば、Cry1Fa毒性タンパク質などに対する耐性の任意の発現を克服するのに利用可能なこのような補助的なクロヨトウムシ活性タンパク質の十分な供給を確保することが当該技術分野において求められている。
【0102】
実施例3
本実施例は、BCW 001のドメインII及びIIIをその他のCry1毒素などの対応するドメインに置換する際に、このようなドメインが、クロヨトウムシ生物活性をその他のCry1毒性タンパク質に伝えるのに十分であることについて教示する。
【0103】
Lepidopteraに対する活性を有する多くのBCW毒素キメラを同定したが、特に2種類のキメラがBCW、WBC及びSCBに対して強力な活性を示した。
【0104】
Cry1Ab、Cry1Ac及びCry1Caをコードするヌクレオチド配列を有する構築物を使用して、Cry1Ab、Cry1Ac及びCry1Caの適用可能なドメインに置換したドメインII及びドメインIII BCW 001セグメントを含有するキメラを構築し、芽胞結晶体バイオアッセイで得られた天然タンパク質及びキメラタンパク質を試験した。このような食餌バイオアッセイにおけるBCW、FAW及びCEWに対する活性を表にした。試験を行った実験条件下において、Cry1AcはFAW、BCW及びCEWに対して活性を示し、Cry1AbはFAW及びCEWに対して活性を示したが、BCWに対しては活性を示さず、Cry1CaはFAW、BCWに加えCEWに対して活性を示さなかった。BCW 001はBCW及びCEWに対して活性を示したが、FAWに対しては活性を示さなかった。BCW 003と比較して、BCWに対するCry1Acの活性はCry1Acにおいて約10倍低かった。BCW 001のドメインII及びIIIを含有するCry1Abキメラ及びCry1Acキメラは、FAW、BCW及びCEWに対するバイオアッセイで試験を行った際に毒性特性を示した。Cry1AcはCEWに対して毒性を示さず、Cry1AbはBCWに対して毒性を示さなかった。Cry1CaドメインIIIをBCW 001の対応するドメインに置換したCry1Ca/BCW 001キメラを構築したが、得られたキメラ毒素がFAW、BCW及びCEWに対して毒性特性を示した一方で、Cry1Ca毒素はこれら害虫のうちのいずれかに対して試験を行った際に効果を示さなかった。
【0105】
実施例4
本実施例では、様々なLepidopteran害虫に対するバイオアッセイで試験を行った際のBCW 001、002及び003の毒性特性について説明する。
【0106】
バイオアッセイ、ならびに、昆虫の死亡率及び成長阻害をスコアリングするためのプロトコルは当該技術分野において周知であり、その例については、PCT特許出願公開番号WO2012/139004及び米国特許番号7,927,598に記載されている。
【0107】
図1は、様々なBCW 001、002及び003毒性タンパク質の、食餌バイオアッセイにおける昆虫種による殺虫活性との相関を示している。これら毒性タンパク質のそれぞれはLepidopteran昆虫に対して活性を示した。
【0108】
実施例5
本実施例は、植物、植物に使用する植物ベクター及び構築物の作製、ならびに、本発明のタンパク質を発現する植物の生成に使用する、本発明のタンパク質をコードする合成配列の構築について教示する。
【0109】
米国特許5,500,365に記載の方法に従い、BCW 001タンパク質をコードするヌクレオチド配列(配列番号:1)、BCW 002タンパク質をコードするヌクレオチド配列(配列番号:3)及びBCW 003タンパク質をコードするヌクレオチド配列(配列番号:5)を設計して合成した。植物における発現用に設計されたこれらの遺伝子操作コード領域を、BCW 001をコードする配列番号:7、BCW 002をコードする配列番号:9、及びBCW 003をコードする配列番号:11として本明細書で提供する。
【0110】
配列番号:7、9及び11に記載の配列を用いて様々な植物発現カセットを構築した。このような発現カセットは、植物プロトプラストにおける一過性発現または植物細胞の形質転換に有用である。細胞内における最終的なタンパク質の配置を基準として標準的な発現カセットを設計した。タンパク質が翻訳されて細胞質基質内に残るような様式で1セットの発現カセットを設計した。毒性タンパク質に隣接する移行ペプチドが細胞の細胞器官(例えば、葉緑体またはプラスチドなど)を標的とするように別のセットの発現カセットを設計した。全ての発現カセットを5´末端においてプロモーターで開始するように設計したが、導入遺伝子の発現を増強させるための連続して連結した複数のプロモーターエレメント及びエンハンサーエレメントからなっていてもよい。プロモーター配列は通常、プロモーターの3´側にある1つまたは複数のリーダー配列に連続して続いていた。イントロン配列は、導入遺伝子の発現を向上させるためにリーダー配列の3´側に設けられていた。毒素または移行ペプチド用のコード配列、及び毒素用のコード配列は、プロモーター、リーダー及びイントロン構成の3´側に配置されていた。転写の終了を容易とし得られた転写物のポリアデニル化に重要な配列をもたらすために、コード配列の3´側に配列を設けた。上記のエレメントの全ては、多くの場合、発現カセットの構築用に設けられた別の配列、例えば、制限エンドヌクレアーゼ部位またはライゲーション非依存性クローニング部位などを伴い連続して配列された。
【0111】
トウモロコシ植物において、Mexicanaユビキチン1プロモーターを含むBCW 001、Orysza sativaアクチン15プロモーターまたは35Sプロモーターを含むBCW 002、及び35Sプロモーターを含むBCW 003の細胞質基質発現用に、1セットの発現カセットを設計した。
【0112】
BCW 002及びBCW 003昆虫毒性タンパク質のトウモロコシ植物における標的発現用に、葉緑体ペプチドコード配列(例えば、CTP2)がBCW毒性タンパク質をコードするDNAのセグメントの5´末端にインフレームで融合した、別のセットの発現カセット(Orysza sativaアクチン15プロモーターまたは35Sプロモーター、及び35Sプロモーターを含む配列を含む)を設計した。
【0113】
植物形質転換ベクターを用いて、CaMV 35Sプロモーター、または35Sプロモーターに機能的に連結するPClSV.FLtプロモーターを含むサトウキビ植物発現カセットを構築した。一部の例では、葉緑体標的化Cry2Abを発現するカセットを含ませた。
【0114】
3齢のBCW、WBC、CEW、SWC及びSCBの幼虫に対して、本発明のタンパク質を発現する植物を試験した。BCW 001用の細胞質基質発現カセット、ならびに、BCW 002及びBCW 003用の細胞質基質及びプラスチド標的発現カセットをクローニングし、それらを使用して、これらのタンパク質を発現する形質転換トウモロコシイベントを生じさせた。当該技術分野において周知の方法を用いて形質転換細胞を誘導して植物を生成した。米国特許8,344,207に記載のとおり同様に、植物のリーフディスクを用いたバイオアッセイを実施した。昆虫により摂食されたリーフディスクの割合に基づき0(0%の摂食)~11(50%超の摂食)のスケールで葉損傷評定(LDR)の評定スコアを割り当てた。評定スコアの段階は5%毎に漸増する。同一遺伝子のトウモロコシ株を使用して陰性対照としての組織を誘導し、その結果を評価した。BCW 002昆虫毒性タンパク質とBCW 003昆虫毒性タンパク質のプラスチド標的発現と細胞質基質発現の両方は、非形質転換対照と比較して食害を抑制した。これらの昆虫に対するリーフディスクアッセイの結果は、上に示した実施例のバイオアッセイデータと一致した。細胞質基質発現用のBCW 003カセットを含む1つの構築物は、34の形質転換イベントをもたらし、これらのうちの25はBCW新生虫の完全な防除を示した。BCW 001とBCW 003を細胞質基質内に発現するトウモロコシ植物についても、CEW、SWC及びFAWに対して試験した。BCW 003を発現する植物はCEW及びSWCの100%の防除を示し、LDRの値は1~2の範囲であった。BCW 001を発現する3つの形質転換イベントはCEW及びSWCに対する効果を示す植物をもたらし、LDRの値は1~3の範囲であった。このことは、これまでの実施例に示す食餌バイオアッセイデータと一致する。
【0115】
BCW 003を発現する形質転換サトウキビ植物を作製し、バイオアッセイでSCBに対して試験した。それぞれのバイオアッセイは、陰性対照としての野生型サトウキビ由来のリーフディスク、及び高レベルのCry2Abを発現する陽性対照を含んでいた。蔓延の4日後に昆虫の死亡率及び葉の損傷を評価した。BCW 003を発現するいくつかの形質転換サトウキビイベントに由来するリーフディスクがin plantaでサトウキビメイガを防除することが判明し、陽性対照と同様の2未満の損傷評定、及び90~100%の平均昆虫死亡率を示した。
【0116】
BCW 003とCry2Abを発現する形質転換イベントは、BCW 003のみを発現するイベントと比較してより優れたSCBの防除を示した。
図1
図2-1】
図2-2】
【配列表】
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