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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】音響出力装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20230418BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H04R3/04
H04R3/00 310
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019540351
(86)(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 KR2018000691
(87)【国際公開番号】W WO2018139793
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2017-0012271
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン,イン ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ギ ボム
(72)【発明者】
【氏名】リム,ドン ヒョン
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-098951(JP,A)
【文献】特表2016-522597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/04
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響出力装置において、
入力部と、
出力部と、
複数のフィルタに関する情報を保存する保存部と、
前記保存部に保存された複数のフィルタのうち、前記音響出力装置のボリュームレベルに対応する音圧を示す出力特性に基づいて第1フィルタを選択し、
前記第1フィルタを用いて、前記入力部を介して受信されたオーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングし、
前記保存部に保存された複数のフィルタのうち、前記音響出力装置が出力可能な固有周波数帯域を示す周波数応答特性に基づいて第2フィルタを選択し、
前記第2フィルタを用いて、前記第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングし、
前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音響レベルに基づいて、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整し、
前記調整されたオーディオ信号を前記出力部を介して出力するよう制御するプロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれない場合、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを補償して前記出力部に提供し、前記認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間に含まれる場合、前記受信されたオーディオ信号を前記出力部に提供する、ことを特徴とする音響出力装置。
【請求項2】
前記音響出力装置の音圧別複数のRLB加重値フィルタ及び前記音響出力装置の周波数応答特性に応じた出力装置特性フィルタに関する情報を保存する保存部を更に含み、
前記プロセッサは、
前記音響出力装置の音圧に対応するRLB加重値フィルタに基づいて、前記受信されたオーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングし、前記出力装置特性フィルタに基づいて、前記第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングすることを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
予め設定された時間区間単位で前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルに基づいて、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整することを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
オーディオ信号の音圧レベルと周波数との関係を示す等感曲線(equal loudness contours)に基づいて、前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の周波数及び前記音響出力装置の音圧に応じた認知音量レベルを判断することを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記保存部は、
オーディオ信号の周波数別シェルビング(Shelving)フィルタ情報を更に含み、
前記プロセッサは、
前記シェルビングフィルタ情報に基づいて、前記受信されたオーディオ信号をフィルタリングすることを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間を超過すると、前記オーディオ信号の認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間の上限値になるように前記受信されたオーディオ信号を補償し、前記認知音量レベルが前記予め設定された区間未満であると、前記オーディオ信号の認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間の下限値になるように前記受信されたオーディオ信号を補償することを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記オーディオ信号のタイプ、現在の時刻、周辺の騒音レベル及びユーザの好みのうち少なくとも一つに基づいて、前記予め設定されたレベル区間の上限値及び下限値のうち少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記音響出力装置は、
低音域(woofer)スピーカ、中音域(midrange)スピーカ、及び高音域(tweeter)スピーカのうち、少なくとも一つで実現されることを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項9】
音響出力装置の制御方法において、
オーディオ信号を受信するステップと、
前記音響出力装置に保存された複数のフィルタのうち、前記音響出力装置のボリュームレベルに対応する音圧を示す出力特性に基づいて第1フィルタを選択するステップと、
前記第1フィルタを用いて、前記オーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングするステップと、
前記音響出力装置に保存された複数のフィルタのうち、前記音響出力装置が出力可能な固有周波数帯域を示す周波数応答特性に基づいて第2フィルタを選択するステップと、
前記第2フィルタを用いて、前記第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングするステップと、
前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音響レベルに基づいて、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整するステップと、
前記調整されたオーディオ信号を出力するステップと、
を含み、
前記調整するステップは、
前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれない場合、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用し、前記認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間に含まれる場合、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用しない、ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
前記音響出力装置は、前記音響出力装置の音圧別複数のRLB加重値フィルタ及び前記音響出力装置の周波数応答特性に応じた出力装置特性フィルタに関する情報を含み、
前記第1フィルタリングするステップは、
前記音響出力装置の音圧に対応するRLB加重値フィルタに基づいて、前記オーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングし、
前記第2フィルタリングするステップは、
前記出力装置特性フィルタに基づいて、前記第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングすることを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記調整するステップは、
予め設定された時間区間単位で前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルに基づいて、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整することを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記調整するステップは、
オーディオ信号の音圧レベルと周波数との関係を示す等感曲線(equal loudness contours)に基づいて、前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の周波数及び前記音響出力装置の音圧に応じた認知音量レベルを判断することを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項13】
前記音響出力装置は、オーディオ信号の周波数別シェルビング(Shelving)フィルタ情報を更に含み、
前記シェルビングフィルタ情報に基づいて、前記受信されたオーディオ信号をフィルタリングするステップを更に含むことを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響出力装置及びその制御方法に係り、より詳しくは、オーディオ信号を出力する音響出力装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発達により、コンテンツの特性を反映してユーザにコンテンツを最適の状態で提供するための様々な試みが行われている。特に、一般家庭で最も多く使われているテレビ(TV)のような映像装置及びオーディオのような音響装置は、コンテンツの特性に応じてコンテンツの有する音の大きさを自動的に調節して出力している。
【0003】
ただ、従来の自動音量調節に係る技術は、低音域と高音域とに応じて、ユーザの認知音量が異なる特徴及び電子機器の有する音圧などを反映できなかった。よって、ユーザが最終的に感じる認知音量は、原音の有するダイナミックレンジ(dynamic range)が損傷された状態か、原音が歪んでしまった状態になるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的とするところは、音響出力装置の音圧及び周波数応答特性に基づいてフィルタリングを施したオーディオ信号を出力する音響出力装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上のような目的を達成するための本発明の一実施形態に係る音響出力装置は、入力部(例えば、入力回路を含む)と、出力部(例えば、出力回路を含む)と、前記音響出力装置の音圧に基づいて、前記入力部を介して受信されたオーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングし、前記音響出力装置の周波数応答特性に基づいて、前記第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングし、前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音響レベルに基づいて、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整し、前記調整されたオーディオ信号を前記出力部を介して出力するよう制御するプロセッサと、を含む。
【0006】
音響出力装置は、前記音響出力装置の音圧別複数のRLB加重値フィルタ及び前記音響出力装置の周波数応答特性に応じた出力装置特性フィルタに関する情報を保存する保存部を更に含み、前記プロセッサは、前記音響出力装置の音圧に対応するRLB加重値フィルタに基づいて、前記受信されたオーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングし、前記出力装置特性フィルタに基づいて、前記第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングする。
【0007】
前記プロセッサは、予め設定された時間区間単位で前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルに基づいて、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整する。
【0008】
前記プロセッサは、オーディオ信号の音圧レベルと周波数との関係を示す等感曲線(equal loudness contours)に基づいて、前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の周波数及び前記音響出力装置の音圧に応じた認知音量レベルを判断する。
【0009】
前記保存部は、オーディオ信号の周波数別シェルビング(Shelving)フィルタ情報を更に含み、前記プロセッサは、前記シェルビングフィルタ情報に基づいて、前記受信されたオーディオ信号をフィルタリングする。
【0010】
前記プロセッサは、前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれない場合、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを補償して前記出力部に提供し、前記認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれる場合、前記受信されたオーディオ信号を前記出力部に提供する。
【0011】
前記プロセッサは、前記認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間を超過すると、前記オーディオ信号の認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間の上限値になるように前記受信されたオーディオ信号を補償し、前記認知音量レベルが前記予め設定された区間未満であると、前記オーディオ信号の認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間の下限値になるように前記受信されたオーディオ信号を補償する。
【0012】
前記プロセッサは、前記オーディオ信号のタイプ、現在の時刻、周辺の騒音レベル及びユーザの好みのうち少なくとも一つに基づいて、前記予め設定されたレベル区間の上限値及び下限値のうち少なくとも一方を調整する。
【0013】
前記音響出力装置は、低音域(woofer)スピーカ、中音域(midrange)スピーカ、及び高音域(tweeter)スピーカのうち、少なくとも一つで実現される。
【0014】
一方、本発明の一実施形態に係る音響出力装置の制御方法は、オーディオ信号を受信するステップと、前記音響出力装置の音圧に基づいて、前記オーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングするステップと、前記音響出力装置の周波数応答特性に基づいて、前記第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングするステップと、前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音響レベルに基づいて、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整するステップと、前記調整されたオーディオ信号を出力するステップと、を含む。
【0015】
ここで、前記音響出力装置の制御方法は、前記音響出力装置の音圧別複数のRLB加重値フィルタ及び前記音響出力装置の周波数応答特性に応じた出力装置特性フィルタに関する情報を含み、前記第1フィルタリングするステップは、前記音響出力装置の音圧に対応するRLB加重値フィルタに基づいて、前記オーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングし、前記第2フィルタリングするステップは、前記出力装置特性フィルタに基づいて、前記第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングする。
【0016】
前記調整するステップは、予め設定された時間区間単位で前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルに基づいて、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整する。
【0017】
前記調整するステップは、オーディオ信号の音圧レベルと周波数との関係を示す等感曲線(equal loudness contours)に基づいて、前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の周波数及び前記音響出力装置の音圧に応じた認知音量レベルを判断する。
【0018】
前記音響出力装置の制御方法は、オーディオ信号の周波数別シェルビング(Shelving)フィルタ情報を更に含み、前記制御方法は、前記シェルビングフィルタ情報に基づいて、前記受信されたオーディオ信号をフィルタリングするステップを更に含む。
【0019】
前記調整するステップは、前記第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれない場合、前記受信されたオーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用し、前記認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれる場合、前記受信されたオーディオ信号に補償利得を適用しない。
【0020】
前記調整するステップは、前記認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間を超過すると、前記オーディオ信号の認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間の上限値になるように前記オーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用し、前記認知音量レベルが前記予め設定された区間未満であると、前記オーディオ信号の認知音量レベルが前記予め設定されたレベル区間の下限値になるように前記オーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用する。
【0021】
前記予め設定されたレベル区間は、前記オーディオ信号のタイプ、現在の時刻、周辺の騒音レベル及びユーザの好みのうち少なくとも一つに基づいて調整される。
【0022】
前記制御方法は、低音域(woofer)スピーカ、中音域(midrange)スピーカ及び高音域(tweeter)スピーカのうち、少なくとも一つで実現される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、オーディオ信号の正規化を行ううえで原音の有するダイナミックレンジ(Dynamic range)を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る音響出力装置の構成を示すブロック図である。
図2】オーディオ信号の音圧レベルと周波数との関係を示す等感曲線(equal loudness contours)のグラフである。
図3】本発明の一実施形態に係るRLB加重値フィルタを説明するためのグラフである。
図4】本発明の一実施形態に係るシェルビング(Shelving)フィルタを説明するためのグラフである。
図5】本発明の一実施形態に係る予め設定されたレベル区間を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係る音響出力装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係るラウドネスを補償してオーディオ信号を出力する音響出力装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係る受信されたオーディオ信号と補正されたオーディオ信号とを比較して説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。そして、本発明を説明するうえで、関連する公知機能或いは構成に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断した場合、その詳細な説明は省略する。更に、以下の実施形態は、他にも様々な形態に変形されてよく、本発明の技術的思想の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。逆に、これらの実施形態は、本発明をより充実かつ完全なものとし、当業者に本発明の技術的な思想を完全に伝えるために提供されるものである。
【0026】
なお、ある構成要素を「含む」とは、特にそうでないとの記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素を更に含むことができることを意味する。また、図面における多様な要素と領域は、概略を描いたものである。よって、本発明の技術的思想は、添付の図に描いた相対的な大きさや間隔によって制限されない。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る音響出力装置の構成を示すブロック図である。
図1によると、音響出力装置100は、入力部110(例えば、入力回路を含む)、出力部120(例えば、出力回路を含む)、及びプロセッサ130を含む。
【0028】
音響出力装置100は、オーディオ信号出力が可能な多様な電子装置で実現される。例えば、音響出力装置100は、少なくとも一つのスピーカを備えるテレビなどのディスプレイ装置、スピーカ装置などで実現されるが、それに限定されない。この場合、音響出力装置100は、オーディオ信号を受信し、本発明の多様な実施形態に係るオーディオ信号処理を施した後にスピーカを介して出力する。ただし、それに限定されるものではなく、音響出力装置100は、本発明の一実施形態によって、オーディオ信号を処理し、音響出力装置100と有線または無線で接続された外部出力装置(図示せず)に伝送する形態で実現されてもよい。以下では、説明の便宜のために、音響出力装置100がスピーカを備えて直接オーディオ信号を出力する場合を想定して説明する。
【0029】
入力部110は、オーディオ信号を受信する。例えば、入力部110は、AP基盤のWi-Fi(登録商標)(Wireless LANネットワーク)、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))、Zigbee、有/無線LAN(Local Area Network)、WAN、イーサネット(登録商標)、IEEE 1394、HDMI(登録商標)、USBなどの通信方式を通じて外部装置、外部サーバなどからオーディオ信号を入力されてもよい。ここで、オーディオ信号は、音楽、動画、ラジオ放送、地上波放送、通話中の相手の音声信号などの様々な形態の音声コンテンツまたは音響コンテンツであってよく、それに限定されない。ただ、オーディオ信号は、音響出力装置100に予め保存されたコンテンツになり得ることは勿論である。
【0030】
出力部120は、オーディオ信号を出力する機能を担う。例えば、出力部120は、少なくとも一つのスピーカユニット(例えば、スピーカ及びオーディオアンプ(Audio Amplifier)のような回路を含む)を含む。
【0031】
具体的に、出力部120は、低音域(woofer)スピーカ、中音域(midrange)スピーカ及び高音域(tweeter)スピーカのうち、少なくとも一つを含む。ただ、それに限定されるものではなく、出力部120は、複数のスピーカを含んでもよい。この場合、音響出力装置100は、再生帯域を低音、中音、高温に分け、それぞれに適するオーディオ信号を分担させるマルチウェイ方式で実現される。例えば、3つのスピーカに分担させた3ウェイ方式の場合、出力部120は、高周波オーディオ信号を再生するための高音域スピーカ(tweeter)、中間周波数オーディオ信号を再生するための中音域スピーカ(midrange)、低周波音響信号を再生するための低音域スピーカ(または、ウーファー(woofer))などを含む形態で実現される。
【0032】
プロセッサ130は、音響出力装置100の動作全般を制御する機能を担う。プロセッサ130は、中央処理装置(central processing unit(CPU))、コントローラ(controller)、アプリケーションプロセッサ(Application Processor(AP))、またはコミュニケーションプロセッサ(Communication Processor(CP))、ARMプロセッサ、処理回路のうち一つまたはそれ以上を含むが、それに限定されない。なお、プロセッサ130は、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor(DSP))で実現されてもよく、コンテンツプロセッシングアルゴリズムが内蔵されたSoCで実現されてもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)形態で実現されてもよい。特に、プロセッサ130は、入力されたオーディオ信号にフィルタリングを施し、フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルに基づいて受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整する。具体的に、プロセッサ130は、音響出力装置100の音圧に基づいて、オーディオ信号の周波数帯域をフィルタリングするためのフィルタを選択する。ここで、音響出力装置100の音圧は、音響出力装置100のボリューム情報に基づいて獲得される。一例として、音響出力装置100の出力特性に基づいて、音響出力装置100のボリュームレベルに応じた音圧に対する情報が、実験によって獲得され、予め保存されている。例えば、音響出力装置100の出力特性が高い場合、相対的に低いボリュームに高い音圧がマッチされる。
【0033】
よって、プロセッサ130は、音響出力装置100に現在設定されているボリューム情報に基づいて、オーディオ信号の周波数帯域に第1フィルタリングを施すためのフィルタを選択する。
【0034】
なお、プロセッサ130は、音響出力装置100の周波数応答特性に基づいて、オーディオ信号の周波数帯域をフィルタリングするためのフィルタを選択する。ここで、音響出力装置100の周波数応答特性は、音響出力装置100に備えられた少なくとも一つのスピーカが有する出力特性であってもよい。具体的に、スピーカは、目的または性能に応じて、出力可能な固有周波数帯域を有している。例えば、ウーファーは100Hz~299Hz、ミドルウーファーは300Hz~499Hz、スコーカーは500Hz~2.9KHz、ツイッターは3KHz~6.9KHz、スーパーツイッターは7KHz~20KHz程度の周波数帯域を出力する。よって、プロセッサ130は、出力装置の周波数に応じた出力特性に基づいて、オーディオ信号に第2フィルタリングを施すための第2フィルタを選択する。
【0035】
プロセッサ130は、選択された第1フィルタ及び第2フィルタを用いて、オーディオ信号に第1フィルタリング及び第2フィルタリングを施し、第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音響レベルに基づいてオーディオ信号のラウドネスを調整する。
【0036】
具体的に、本発明の一実施形態によると、プロセッサ130は、第1及び第2フィルタリングされたオーディオ信号のエネルギーに基づいて認知音量レベルを獲得し、獲得された認知音量レベルに基づいて追加処理を行う。ここで、認知音量レベルは、第1及び第2フィルタリングされたオーディオ信号に予め設定された時間区間単位の二乗平均(mean square)または、ITU-R BS.1770に規定された方法を適用して獲得する。なお、認知音量レベルは、デシベルスケールに変換されたラウドネス(loudness)値である。ここで、ラウドネスは、オーディオ信号の物理的な強さではない、人間の心理的な特性が反映されたオーディオ信号の大きさを意味する。ラウドネス及び第1フィルタに対する具体的な説明は、図2及び図3を参照して後述する。
【0037】
本発明の一実施形態に係るプロセッサ130は、獲得された認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれるかを判断する。認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれない場合、プロセッサ130は、受信されたオーディオ信号のラウドネスを補償して出力部120に提供する。なお、認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれる場合、受信されたオーディオ信号そのものを出力部120に提供する。予め設定されたレベル区間に対する具体的な説明は、図5を参照して後述する。
【0038】
一方、プロセッサ130は、オーディオ信号をデコーディングした後、デコーディングされたオーディオ信号を出力可能な形態のオーディオデータに変換することは言うまでもない。なお、増幅、ノイズフィルタリングなどのオーディオ信号に対する多様な信号処理を施すことができる。
【0039】
一方、音響出力装置100は、保存部(図示せず)を更に含んでもよい。保存部は、音響出力装置100を駆動/制御するための多様なデータ、プログラムまたはアプリケーションを保存する。
【0040】
特に、保存部は、音響出力装置の音圧別複数のRLB加重値フィルタ及び音響出力装置100の周波数応答特性に応じた出力装置特性フィルタに対する情報を保存する。よって、プロセッサ130は、保存部に保存されたフィルタに対する情報を用いて、第1及び第2フィルタリングを施す。
【0041】
なお、保存部は、オーディオ信号の周波数別シェルビング(Shelving)フィルタ情報を保存する。よって、プロセッサ130は、シェルビングフィルタ情報を用いて、オーディオ信号をフィルタリングできる。具体的に、プロセッサ130は、オーディオ信号にシェルビングフィルタリングを施した後に、上述の第1及び第2フィルタリングを順次に行う。ただ、オーディオ信号にシェルビングフィルタリング、第1フィルタリング及び第2フィルタリングが施される順番は制限的なものではなく、オーディオ信号にシェルビングフィルタリング、第1フィルタリング及び第2フィルタリングのうち少なくとも一つのフィルタリングを施すこともできる。例えば、プロセッサ130は、オーディオ信号に第2フィルタリングを施した後に、第1フィルタリングを施すこともできる。一方、シェルビングフィルタに対する具体的な説明は、図4を参照して後述する。
【0042】
図2は、オーディオ信号の音圧レベルと周波数との関係を示す等感曲線(equal loudness contours)のグラフである。
【0043】
等感曲線は、人間の聴覚特性を示すグラフである。具体的に、等感曲線のY軸は音圧(Sound pressure level:SPL)として、最小可聴限界レベルを基準に測定した音の圧力をdB単位で示したものである。等感曲線のX軸はオーディオ信号の周波数を示すものである。
【0044】
等感曲線によると、オーディオ信号が同じデシベルを有する場合でも、ユーザが認知する音の大きさはオーディオ信号の周波数に応じて異なる。即ち、物理的に測定した音の強度は、人間の聴覚システムを通じて実際に認知される音の大きさと一致しない。例えば、人間が50Hzにおける70dBの音と、200Hzにおける70dBの音を聞く場合、人間の聴覚システムは200Hzにおける70dBの音の方をより大きく認知する。なお、人間は、1kHzにおける60dBと200Hzにおける70dBと同じ大きさと認知する。
【0045】
本発明の一実施形態に係るプロセッサ130は、オーディオ信号の周波数及び音響出力装置100の音圧に基づいて、オーディオ信号のラウドネスを判断する。ここで、ラウドネスとは、ある音が人間の耳に伝達されたとき、人間の聴覚システムが認知する主観的な音の大きさを意味する。
【0046】
一方、音響出力装置100の音圧は、音響出力装置100のボリューム情報に基づいて識別される。具体的に、本発明の一実施形態に係る保存部は、音響出力装置100のボリュームレベルにマッチする音圧に対する情報を保存する。よって、プロセッサ130は、音響出力装置100のボリュームにマッチする音圧、オーディオ信号の周波数及び等感曲線に基づいてオーディオ信号のラウドネスを判断する。
【0047】
なお、プロセッサ130は、オーディオ信号の予め設定された時間区間単位の平均値、中央値、最頻値、二乗平均(mean square)値のうち、少なくとも一つによって認知音量レベルを算出する。ここで、認知音量レベルは、音響出力装置100のボリュームとマッチする音圧、オーディオ信号の周波数及び等感曲線に基づいて判断されたオーディオ信号のラウドネスを意味する。以下では、音響出力装置の音圧に対応するRLB加重値フィルタをオーディオ信号に適用する方法について説明する。
【0048】
図3は、本発明の一実施形態に係るRLB加重値フィルタを説明するためのグラフである。
【0049】
図3に示すRLB加重値フィルタ(RLB weighting curve)は、人間の聴覚システム特性に基づいた加重値フィルタの一例である。本発明の一実施形態に係るプロセッサ130は、ISO 226:2003に定義された等感曲線を逆に適用したものと類似するフィルタリングが施されるようにRLB加重値フィルタを設計することができる。具体的に、図2に示す等感曲線によると、人間の聴覚システムは低いデシベルで約250Hz以下の低周波を正常に認知できない。よって、図3に示すRLB加重値フィルタは、低周波領域の加重値は減少させ、1kHz以上の周波数帯域は低周波領域対比相対的な加重値を増加させるように設計される。
【0050】
一方、上述のように、音響出力装置100の音圧に対応するRLB加重値フィルタに対する情報は保存部に予め保存されていてもよい。この場合、プロセッサ130は、音響出力装置100の音圧に対応するRLB加重値フィルタを保存部から獲得し、獲得されたRLB加重値フィルタに基づいて、オーディオ信号の周波数帯域に第1フィルタリングを施す。
【0051】
一方、本発明の一実施形態に係るプロセッサ130は、第1フィルタリングが施されたオーディオ信号に第2フィルタリングを施すことができる。ここで、第2フィルタリングは、音響出力装置100の周波数応答特性に基づいて設計された第2フィルタを用いて施されるフィルタリングである。
【0052】
上述のように、音響出力装置100に含まれたスピーカは、目的または性能に応じて、周波数に応じた出力特性が異なってくる。例えば、低音域スピーカは40Hzないし500Hz、中音域スピーカは250ないし2kHz、高音域スピーカは2kHzないし20kHzの周波数帯域を出力する。普通の音響出力装置100は、上記の複数のスピーカを用いて、周波数全帯域を出力する。このとき、出力装置の使用されるスピーカの組合せ及び特性などによって最終的に出力装置の周波数応答特性が決定される。
【0053】
よって、プロセッサ130は、音響出力装置の周波数応答特性、即ち、周波数帯域による出力特性を反映した出力装置特性フィルタを設計してオーディオ信号に対する第2フィルタリングに利用できる。
【0054】
一方、上述のように、音響出力装置100の周波数応答特性による出力装置特性フィルタに対する情報が保存部に予め保存されていてもよい。この場合、プロセッサ130は、音響出力装置の周波数応答特性に対応する出力装置特性フィルタに対する情報を保存部から獲得し、獲得された出力装置特性フィルタに基づいて第2フィルタリングを施す。
【0055】
なお、第1及び第2フィルタリングの他に、プロセッサ130によって行われるシェルビングフィルタリングについて、以下で説明する。
【0056】
図4は、本発明の一実施形態に係るシェルビング(Shelving)フィルタを説明するためのグラフである。
図4に示すシェルビングフィルタは、人間の頭の形態による音認知特性を反映したフィルタの一例である。
【0057】
ITU-R BS.1770に規定されているように、通常の放送番組で多く使われる48kHzに対するシェルビングフィルタは、約1kHzを基準に1kHz以下のオーディオ信号はそのまま通過させ、1kHz以上のオーディオ信号は0~4dBの利得を与えて通過させる。
【0058】
一方、本発明の一実施形態に係るプロセッサ130は、受信されたオーディオ信号にシェルビングフィルタリングを施した後、第1及び第2フィルタリングを施す。ただ、上述のように、シェルビングフィルタリング、第1及び第2フィルタリングが施される順番は制限的なものではなく、オーディオ信号に全てのフィルタリングが施されなければならないものでもない。
【0059】
フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれるかを判断し、受信されたオーディオ信号のラウドネスを調整する具体的な例について、以下で説明する。
【0060】
図5は、本発明の一実施形態に係る予め設定されたレベル区間を説明するための図である。
【0061】
プロセッサ130は、第1及び第2フィルタリングされたオーディオ信号のエネルギーに基づいて認知音量レベルを獲得する。具体的に、認知音量レベルは、第1及び第2フィルタリングされたオーディオ信号に予め設定された時間区間単位の二乗平均(mean square)またはITU-R BS.1770に規定された方法を適用して獲得する。よって、認知音量レベルは、フィルタリングされたオーディオ信号を二乗平均して獲得するか、または二乗平均値に加重係数を掛け算し、デシベルスケールに変換して獲得する。ここで、加重係数は音が人間の聴覚システムに到達する方向に応じて、身体の部位の影響で音の大きさが変化する要因を踏まえた係数を意味する。
【0062】
図5に示すコンポート(Comport)区間は、予め設定されたレベル区間を意味する。本発明の一実施形態に係る予め設定されたレベル区間は、ターゲットレベル(0)を基準に+2.4[dB]の区間上限レベル510及び-5.4[dB]の区間下限レベル520を有する。例えば、ターゲットレベルが-24[dB]なら、区間上限レベル510は-21.6[dB]で、区間下限レベル520は-29.4[dB]である。
【0063】
なお、予め設定されたレベル区間は、出力されたオーディオ信号をユーザが認知するうえで、不都合を感じないレベル区間を意味する。具体的に、ターゲットレベル(0)を基準に10.8[dB]と大きいオーディオ信号は、ユーザが非常に(不愉快になるほど)大きく感じ、ターゲットレベル(0)を基準に-19.1[dB]と小さいオーディオ信号はユーザが非常に(不愉快になるほど)小さく感じる。よって、一つのコンテンツに対応するオーディオ信号が出力されるうえで、予め設定されたレベル区間から外れる場合に、ユーザは音響出力装置100のボリュームを調節する必要があると感じるようになる。
【0064】
本発明の一実施形態に係るプロセッサ130は、獲得された認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれない場合、受信されたオーディオ信号のラウドネスを補償して認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれるようにオーディオ信号を調整する。即ち、プロセッサ130は、オーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれるようにオーディオ信号のラウドネスに補償利得値を適用する。例えば、予め設定されたレベル区間の上限値が21.6[dB]であり、認知音量レベルが30[dB]であれば、プロセッサ130は、30[dB]-21.6[dB]、即ち、8.4[dB]の補償利得値をオーディオ信号のラウドネスから差し引くことができる。よって、認知音量レベル[dB]から目標レベル[dB]を引いた値で補償利得値を算出できる。なお、認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれる場合、補償利得値は0[dB]であり、音響出力装置100は受信されたオーディオ信号を出力する。
【0065】
具体的に、プロセッサ130は、認知音量レベルが予め設定されたレベル区間を超過すると、オーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間の上限値(区間上限レベル510)と一致するようにオーディオ信号のラウドネスを補償し、認知音量レベルが予め設定されたレベル区間未満であれば、オーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間の下限値(区間下限レベル520)と一致するようにオーディオ信号のラウドネスを補償する。例えば、認知音量レベルがターゲットレベル(0)を基準に5.6[dB]と大きい場合、プロセッサ130は、2.4[dB]に一致するようにラウドネスに補償利得値を適用する。よって、ユーザはボリュームを減らす必要があると感じないことになる。
【0066】
一方、本発明の一実施形態に係るプロセッサ130は、オーディオ信号のタイプ、現在の時刻、周辺の騒音レベル及びユーザの好みのうち、少なくとも一つに基づいて予め設定されたレベル区間を調整する。具体的に、ユーザが音響出力装置100を利用する時間、周辺の騒音レベルなどが変化する場合、予め設定されたレベル区間も、それに相応するように変更される必要がある。例えば、人間の聴覚システムがオーディオ信号の大きさの変化に敏感になる夜及び夜中の時間帯には、プロセッサ130は区間上限レベル510及び区間下限レベル520をターゲットレベルの近くにまで調整する。なお、音響出力装置100の周辺の騒音レベルが高い場合には、プロセッサ130は目標レベルを変更し、相対的に大きいデシベルに調整されたオーディオ信号を出力する。なお、ユーザの設定によって、予め設定されたレベル区間が変更されてよい。
【0067】
一方、オーディオ信号のタイプは、音響出力装置100が再生中のオーディオコンテンツのジャンル、オーディオ信号を伝送する外部装置の種類などを意味する。例えば、プロセッサ130は、オーディオ信号がセットトップボックスまたはアンテナなどを通じて受信される放送番組信号である場合と、ブルーレイディスク(登録商標)プレーヤ(BDP)またはDVD(登録商標)プレーヤなどを通じて受信される信号である場合に、それぞれ異なるように予め設定されたレベル区間を設定できる。
【0068】
図6は、本発明の一実施形態に係る音響出力装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図6に示すように、音響出力装置の制御方法は、オーディオ信号を受信し(S610)、受信されたオーディオ信号の周波数及び音響出力装置の音圧に基づいて、オーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングする(S620)。
【0069】
音響出力装置の周波数応答特性に基づいて、第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングする(S630)。
【0070】
第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルに基づいてオーディオ信号のラウドネスを調整する(S640)。
なお、調整されたオーディオ信号を出力する(S650)。
【0071】
なお、音響出力装置は、音響出力装置の音圧別複数のRLB加重値フィルタ及び音響出力装置の周波数応答特性による出力装置特性フィルタに対する情報を含む。
【0072】
ここで、第1フィルタリングするステップ(S620)は、音響出力装置の音圧に対応するRLB加重値フィルタに基づいてオーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングする。
【0073】
第2フィルタリングするステップ(S630)は、出力装置特性フィルタに基づいて、第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングする。
【0074】
一方、ラウドネスを調整するステップ(S640)は、予め設定された時間区間単位で第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルに基づいてオーディオ信号のラウドネスを調整する。
【0075】
なお、ラウドネスを調整するステップ(S640)は、オーディオ信号の音圧レベルと周波数との関係を示す等感曲線(equal loudness contours)に基づいて、第2フィルタリングされたオーディオ信号の周波数及び音響出力装置の音圧に応じた認知音量レベルを判断する。
【0076】
一方、音響出力装置は、オーディオ信号の周波数別シェルビング(Shelving)フィルタ情報を更に含み、制御方法は、シェルビングフィルタに基づいて受信されたオーディオ信号をフィルタリングするステップを更に含んでもよい。
【0077】
なお、ラウドネスを調整するステップ(S640)は、第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれない場合、第2フィルタリングされたオーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用し、認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれる場合、オーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用しない。
【0078】
ここで、ラウドネスを調整するステップ(S640)は、認知音量レベルが予め設定されたレベル区間を超過すると、オーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間の上限値になるようにオーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用し、認知音量レベルが予め設定された区間未満であれば、オーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間の下限値になるように前記オーディオ信号のラウドネスに補償利得を適用する。
【0079】
なお、予め設定されたレベル区間は、オーディオ信号のタイプ、現在の時刻、周辺の騒音レベル及びユーザの好みのうち少なくとも一つに基づいて調整される。
【0080】
一方、音響出力装置は、低音域(woofer)スピーカ、中音域(midrange)スピーカ及び高音域(tweeter)スピーカのうち、少なくとも一つで実現される。
【0081】
以下では、オーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれるようにオーディオ信号のラウドネスを補償する方法を具体的に説明する。
【0082】
図7は、本発明の一実施形態に係るラウドネスを補償してオーディオ信号を出力する音響出力装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0083】
図7に示すように、音響出力装置の制御方法は、オーディオ信号を受信し(S710)、シェルビングフィルタに基づいて受信されたオーディオ信号をフィルタリングする(S720)。
【0084】
音響出力装置の音圧に対応するRLB加重値フィルタに基づいてオーディオ信号の周波数帯域を第1フィルタリングする(S730)。
【0085】
音響出力装置の周波数応答特性に基づいて、第1フィルタリングされたオーディオ信号の周波数帯域を第2フィルタリングする(S740)。
【0086】
第2フィルタリングされたオーディオ信号の認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれると(S750:Y)、受信されたオーディオ信号を出力する(S760)。
【0087】
一方、獲得された認知音量レベルが予め設定されたレベル区間に含まれない場合(S750:N)、受信されたオーディオ信号のラウドネスを補償して出力する(S770)。
【0088】
図8は、本発明の一実施形態に係る受信されたオーディオ信号と補正されたオーディオ信号とを比較して説明するための図である。
【0089】
図8に示すように、受信されたオーディオ信号、即ち、原音810は、P1(830)ないしP6の間、非常に大きなダイナミックレンジ(dynamic range)を有する。よって、原音810をそのまま出力する場合、ユーザはP2(840)及びP6の区間で音響出力装置のボリュームを減らす必要性を感じるようになり、P4区間では、音響出力装置のボリュームを高める必要性を感じるようになる。
【0090】
ただ、本発明の多様な実施形態に係る信号処理が施されたオーディオ信号、即ち、出力信号820は予め設定されたレベル区間内の認知音量レベルを有するようになる。具体的に、P2(840)区間のオーディオ信号は、P1(830)区間のオーディオ信号より大きいラウドネスを有するため、ユーザがボリュームを減らす必要性を感じない範囲内で、ユーザに原音810が有するダイナミックレンジを提供できる。
【0091】
一方、上述の本発明の多様な実施形態に方法は、従来の音響出力装置に対するソフトウェア/ハードウェアアップグレードだけでも実現できる。
【0092】
なお、本発明に係る制御方法を順次に行うプログラムが保存された非一時的な読み取り可能な媒体(non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。
【0093】
非一時的な読み取り可能な媒体とは、レジスタやキャッシュ、メモリ等の短い間データを保存する媒体ではなく、半永久的にデータを保存し、機器によって読み取り(Reading)が可能な媒体を意味する。具体的には、上述の多様なアプリケーションまたはプログラムは、CDやDVD、ハードディスク、ブルーレイディスク、USB、メモリカード、ROM等の非一時的な読み取り可能な媒体に保存されて提供されてもよい。
【0094】
以上、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨の範疇内において、各種の変更例または修正例が想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0095】
100 音響出力装置
110 入力部
120 出力部
130 プロセッサ
510 区間上限レベル
520 区間下限レベル
810 原音
820 出力信号
830 P1
840 P2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8