IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7264822対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造
<>
  • -対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造 図1
  • -対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造 図2
  • -対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造 図3
  • -対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造 図4A
  • -対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造 図4B
  • -対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造 図4C
  • -対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造 図5
  • -対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】対向ピストンエンジンのシリンダボア表面構造
(51)【国際特許分類】
   F02B 75/28 20060101AFI20230418BHJP
   F02F 1/08 20060101ALI20230418BHJP
   F02F 1/00 20060101ALI20230418BHJP
   F02F 3/00 20060101ALI20230418BHJP
   F02B 77/02 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
F02B75/28 E
F02F1/08 A
F02F1/00 Q
F02F1/00 F
F02F1/00 R
F02F1/00 G
F02F3/00 B
F02B77/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019552197
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018022963
(87)【国際公開番号】W WO2018175255
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】62/474,960
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506405644
【氏名又は名称】アカーテース パワー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レドン,ファビエン,ジー.
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0199503(US,A1)
【文献】特開2006-161589(JP,A)
【文献】米国特許第07104240(US,B1)
【文献】特許第3623330(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0186561(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 75/28
F02F 1/08
F02F 1/00
F02F 3/00
F02B 77/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向ピストンエンジンであって、ポート付きシリンダを備え、
前記ポート付きシリンダは、
前記シリンダの排気ポートと前記シリンダの吸気ポートとの間に延在し、これらを含む内側領域によって分離される、前記ポート付きシリンダの吸気端および排気端に対応する、外側領域を含むボア表面と、
前記内側領域の第1のボア表面仕上げと、
第1の外側領域の第2のボア表面仕上げと、
第2の外側領域の第3のボア表面仕上げとを有し、
前記第1のボア表面仕上げが、前記第2のボア表面仕上げおよび前記第3のボア表面仕上げの両方よりも高い粗さから成る、対向ピストンエンジン。
【請求項2】
前記第2のボア表面仕上げおよび前記第3のボア表面仕上げが、それぞれ等しい粗さから成る、請求項に記載の対向ピストンエンジン。
【請求項3】
前記ポート付きシリンダが、前記内側領域の第1の端部に隣接して位置している前記排気ポートをさらに含み、前記ボア表面が、前記排気ポートと前記第1の外側領域との間に排気領域をさらに含む、請求項に記載の対向ピストンエンジン。
【請求項4】
前記ポート付きシリンダが、前記内側領域の第2の端部に隣接して位置している前記吸気ポートをさらに含み、前記ボア表面が、前記吸気ポートと前記第2の外側領域との間に吸気領域をさらに含む、請求項に記載の対向ピストンエンジン。
【請求項5】
対向ピストンエンジンのアセンブリであって、
一対のピストンであり、各ピストンが、クラウン部分、スカート部分および前記クラウン部分が接合する第1の端部と、前記第1の端部から長手方向に分離され、前記ピストンの開口端である第2の端部とを有する前記スカート部分、前記クラウン部分の少なくとも1つの圧縮リング、および、前記開口端の近くの前記スカート部分の少なくとも1つのオイル制御リングを備える、一対のピストンと、
シリンダであり、前記一対のピストンを反対方向に案内するためのボア表面、吸気ポートおよび排気ポートである各ポートが前記ボア表面を通るポート開口部のほぼ円周方向の配列を備え、シリンダ軸線に沿って長手方向に分離される、吸気ポートおよび排気ポート、および、前記吸気ポートと前記排気ポートとの間の前記シリンダの中間部分の前記ボア表面を通って開口する一対の噴射ポートを備える、シリンダと、
を備え、
前記シリンダの前記ボア表面が、前記シリンダ軸線に沿って長手方向に分離される少なくとも2つの領域を含み、各領域が、前記エンジンの動作中にピストン圧縮リングまたはピストンオイル制御リングによって単独で接触されるほぼ円周方向のボア表面領域を含み、各領域が、もう一方の領域とは異なるオイル保持能力に仕上げられており、
前記少なくとも2つの領域の第1の領域が、前記一対のピストンの前記圧縮リングによってのみ接触され、第1のオイル保持能力を持つ第1の表面仕上げを含み、前記少なくとも2つの領域の第2の領域が、前記一対のピストンの第1のピストンの前記少なくとも1つのオイルリングによってのみ接触され、第2のオイル保持能力を有する第2の表面仕上げを含み、前記第1のオイル保持能力が、前記第2のオイル保持能力よりも大きい、対向ピストンエンジンのアセンブリ。
【請求項6】
前記シリンダの前記ボア表面が、前記エンジンの動作中に重なり合う移動で圧縮リングおよびオイル制御リングによって接触されるほぼ円周方向のボア表面領域を備える第3の領域をさらに含み、前記第3の領域が、前記第1の領域または前記第2の領域とは異なるオイル保持能力に仕上げられている、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記シリンダが、前記第1の領域の外端部に隣接して位置している前記排気ポートをさらに含み、前記ボア表面が、前記排気ポートと前記第2の領域との間に排気領域をさらに含む、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
対向ピストンエンジン用のシリンダを製造する方法であって、
シリンダにボアを設けるステップと、
第1のボア表面領域をボア表面に指定するステップであって、前記第1のボア表面領域が、前記シリンダの長手方向軸線上に間隔を置いて配置された位置に同一中心に整列した第1および第2の円周方向ポート領域を含む、ステップと、
前記シリンダの対向する端部の近くにそれぞれの第2のボア表面領域を指定するステップと、
各々がそれぞれのポート領域とそれぞれの第2のボア表面領域との間に配置される、それぞれの第3のボア表面領域を指定するステップと、
前記指定された第1のボア表面領域の前記ボア表面を第1の表面粗さに仕上げるステップと、
前記指定された第2のボア表面領域の前記ボア表面を第2の表面粗さに仕上げるステップと、
前記指定された第3のボア表面領域の前記ボア表面を第3の表面粗さに仕上げるステップと、
を含み、
前記第1の表面粗さが、前記第2の表面粗さよりも大きい、方法。
【請求項9】
前記ボア表面を仕上げる各ステップが、オイル保持スロットを有する前記各ボア表面にパターン形成することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記ボア表面を仕上げるステップが、エンジン内で前記シリンダを運転開始するより前に、前記ボア表面に表面仕上げを生成するように前記ボアをホーニング加工するステップを含み、前記表面仕上げが、表面粗さ、表面うねり、および単位面積当たりのオイル保持面積のうちの少なくとも1つによって規定される、請求項またはに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、共同所有の米国出願12/931,199号、現在は2016年11月1日に発行した米国特許第9,482,153号、および、2016年10月6日に米国特許出願公開第2016/0290277号として公表された共同所有の米国出願第14/675,340号、現在は2017年12月19日に発行した米国特許第9,845,764号の主題に関連する主題を含む。
【0002】
本分野は、対向ピストン内燃機関である。より詳細には、この出願は、ポート付きシリンダのボア表面構造、およびボア表面上の潤滑油の流れおよび保持に影響を及ぼす対向ピストンエンジンの他のコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
2ストロークサイクルの対向ピストン内燃機関においては、シリンダボア内で反対の方向に移動するように配置される1組のピストンを持つ少なくとも1つのポート付きシリンダがある。シリンダ内のピストンの前後の摺動運動は、ボア表面によって案内される。1つの行程において、ピストンは、ボアの中間領域においてそれらの端面の間に燃焼室を形成するように互いに近づく。次の行程においては、ピストンは、燃焼イベントに応じて離れて行く。ピストンが一緒にかつ離れて摺動すると、ピストンのクラウンに取り付けられた内側ピストンリングは、燃焼室をシールするようにボア表面に接触し、ピストンの外端部近くでピストンのスカートに取り付けられた外側ピストンリングは、シリンダに出入りする潤滑油を運ぶようにボア表面をゴシゴシこする。ピストンの移動は、一方ではボア表面と他方ではピストンのリングおよびスカートとの間の摩擦を低減するために、ボアの表面の上におよびその全域に潤滑油を広める。
【0004】
エンジンの動作中、潤滑油は、外端部近くでシリンダ壁に形成される吸気および排気ポートに向かって、クランクケースからシリンダの外端部を通ってボア内に散らされる。ピストンがシリンダの内部から離れるように外側に移動すると、外側ピストンリングは、シリンダの開口端を通して、余分な飛散したオイルをシリンダボアから後ろへ払拭する。ピストンが反対方向に移動すると、外側ピストンリングは、吸気および排気ポートに向かって内側にオイルを引っ張る。ポートとシリンダの端部との間のシリンダボアに残っている潤滑油は、燃焼室が形成されるボア表面の内部領域のシリンダの内部に、ポートを通して、内側ピストンリングによって運ばれる。オイルは、ボア表面にテクスチャを与える表面仕上げによって、ボア内に保持される。オイルが外端部から内側領域に内向きに運ばれると、潤滑油は、表面仕上げによってボア表面に支持される被膜を形成する。この被膜は、エンジンの動作中にピストンリング/シリンダボアの界面を潤滑し、それによって摩擦が低減し、エンジンの耐久性が高まる。
【0005】
油膜の特性は、表面仕上げによって強く影響を及ぼされる。たとえば、仕上げが粗ければ粗いほど、より多くのオイルがボア表面に保持される。ピストン/シリンダ界面の摩擦を管理する際の重要なトレードオフは、内側リングの潤滑に利用できるオイルの量を大幅に低減することなく、燃焼プロセスに入るオイルの量(「オイル消費量」)を制限することである。対向ピストンエンジンのポート付きシリンダにおいては、このトレードオフは、潤滑油が排気および吸気ポートを越えて運ばれなければならないという事実によって強化され、これらの機能を通して過剰な量のオイルを移動させると、燃焼に悪影響を及ぼし、望ましくない排出物質を増加させる場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ボア表面に比較的滑らかな仕上げを行うことによって、外側リングがボアの外側領域に保持されるオイルの量を最小限にするのを支援することが望ましい。しかし、特に内側リングがポートを横切り燃焼が生じる内側領域においては、仕上げが細かすぎると、効率を向上させ、エンジンの寿命を延ばすために必要とされる摩擦を管理するのに不十分な油膜がもたらされる場合がある。したがって、シリンダボア表面の内側領域には、内側ピストンリング、ピストンスカート、および内側領域のボア表面の摩擦およびスカッフィングを最小限にするのに十分な油膜を支持するように、外側の領域よりも粗い表面仕上げが施される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
吸気ポートと排気ポートとの間に延在し、これらを含むシリンダボア表面の内側領域には、内側ピストンリング、ピストンスカート、およびシリンダの内側領域のボア表面の摩擦およびスカッフィングを最小限にするのに十分な油膜を支持するように、外側領域よりも粗い表面仕上げが施される。いくつかの態様においては、排気ポートおよび吸気ポートの外縁とそれぞれの外側領域との間に延在するボア表面の排気および吸気領域には、エンジン動作の各サイクル中の内側および外側リングの重なり合う移動に適合する表面仕上げが施される。
【0008】
いくつかの実装においては、対向ピストンエンジン用のシリンダは、異なる表面仕上げの2つ以上の領域を持つボア表面を含む。ボア表面の内側領域は、対向するピストン端面の間に形成される圧縮室をシールする内側ピストンリングによってのみ横切られるが、第1の表面仕上げが施される。ボア表面の外側領域は、ボア表面への行き返りのオイルを移動させる外側ピストンリングによってのみ横切られるが、第1の表面仕上げよりも小さい粗さから成る第2の表面仕上げが施される。好ましくは、ボア表面の2つの反対側に位置している外側領域は、それぞれの対向するピストンの外側ピストンリングによってのみ横切られるが、各々第1の表面仕上げよりも小さい粗さから成る、それぞれの第2の表面仕上げが施される。いくつかの場合には、第2の表面仕上げは、実質的に等しい。しかし、第2の仕上げは、ボア表面のそれぞれの吸気および排気領域で異なる可能性があると言える。
【0009】
内側領域のそれぞれの端部と反対側に位置している外側領域のそれぞれの端部との間に配置されるボア表面の排気および吸気領域には、高摩擦領域の特定の潤滑目的に向けて調整される第3の表面仕上げが施される。
【0010】
対向ピストンエンジンのコンポーネント機能は、2つの対向ピストンの移動を案内するためのボア表面を持つシリンダに関係し、その場合、第1のボア表面仕上げは、排気ポートの外縁から吸気ポートの外縁まで延在するボア表面の第1の領域に施され、第2のボア表面仕上げは、シリンダ端部の排気端の近くのボア表面の第2の領域に施され、第3のボア表面仕上げは、排気ポートの外縁とボア表面の第2の領域との間のボア表面の第3の領域に施される。
【0011】
第1の比較的粗い表面仕上げを持つ内側ボア表面領域のオプション機能は、内側領域に位置している2つのトップリング反転領域の各々に追加のボア表面仕上げを含み、そこで、トップリング反転領域は、ピストンが上部中央の位置を通過するときに方向を反転する際に、ピストンの内側リングによって接触されるボア表面の環状領域である。
【0012】
また、対向ピストンエンジンは、各々のシリンダにおいて、シリンダの中間部分の近くに、対向ピストンエンジンが作動しているときにほぼ燃焼が起こる場所に、2つ以上の燃料噴射ポート、排気および吸気ポートを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術の対向ピストンエンジンの概略図である。
【0014】
図2】対向ピストンエンジンで使用するための、ピストンの長手方向軸線を含む平面に沿って切断した、対向ピストンエンジンの従来技術のピストンの断面図である。
【0015】
図3】対向ピストンエンジンで使用するための従来技術のシリンダの側面立面図である。
【0016】
図4A】圧縮およびオイル制御リングが移動するボア表面の領域を示す、対向ピストンエンジンで使用するためのシリンダおよび対向ピストンの概略断面図である。
図4B】圧縮およびオイル制御リングが移動するボア表面の領域を示す、対向ピストンエンジンで使用するためのシリンダおよび対向ピストンの概略断面図である。
図4C】圧縮およびオイル制御リングが移動するボア表面の領域を示す、対向ピストンエンジンで使用するためのシリンダおよび対向ピストンの概略断面図である。
【0017】
図5】ボア表面仕上げの実施形態を示す、対向ピストンエンジンで使用するためのシリンダの概略断面図である。
【0018】
図6】本明細書において説明される、対向ピストンエンジンで使用するためのシリンダを製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において説明され図示されるコンポーネントおよびエンジンの実施形態は、2ストローク対向ピストンエンジンのための対応する設計の改善および変更である。他の態様は、対向ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの製造および使用の方法を含む。
【0020】
2ストロークサイクルエンジンは、クランクシャフトの単一の完全な回転、およびクランクシャフトに連結されるピストンの2ストロークで動作サイクルを完了する内燃機関である。2ストロークサイクルエンジンの一実施例は、2つのピストンがシリンダのボア内で対向して配置される対向ピストンエンジンである。エンジンの動作中、燃焼は、ピストンがボア内のそれぞれの上部中央位置を通って移動する場合に、2つのピストンの端面の間に形成される燃焼室で起こる。燃焼室は、ピストンの端面、および端面の間のボア表面の環状部分によって規定され、限られている。
【0021】
図1を参照すると、対向ピストンエンジン8は、2つのピストンが対向して移動する少なくとも1つのシリンダ10を含む。たとえば、エンジンは、2つのシリンダ、3つのシリンダ、または4つ以上のシリンダを有することができる。いずれにしても、シリンダは、シリンダ10によって表現されるように構成されることになる。関連する米国特許第8,485,147号に説明されているように、シリンダ10は、円筒形のボア表面13と、ボア表面13を通して開口する長手方向に変位する排気および吸気ポート14、16とを持つボア12を含む。排気および吸気ポートの各々は、開口部または穿孔の1つまたは複数の円周方向の配列を含む。いくつかの他の説明においては、各開口部は、「ポート」と呼ばれるが、この種の「ポート」の1つまたは複数の円周方向の配列の構造は、図1および本明細書の他の図に示されるポート構造と変わりない。また、1つまたは複数の噴射ポート17が、シリンダ10のボア表面13を通して開口する。この説明においては、「噴射ポート」は、燃料噴射器ノズルが固定されるシリンダの側壁を通る穴を備える。2つの反対に動くピストン20および22は、それらの端面20eおよび22eが互いに対向した状態でボア12内に配置される。圧縮行程においては、ピストンは、シリンダ内のそれらの最も内側の位置にある、ボア内のそれぞれの上部中央(TC)位置に向かって摺動する。燃焼が起こると、圧力は、ピストンに動力行程時にそれぞれの関連ポートに向かってTCから遠ざかるように摺動することを強いる。TCからの移動中、ピストンは、シリンダ内でそれらの最も外側の位置にあるそれぞれの底部中央(BC)位置に近づくまで、それらの関連するポートを閉じたままにしておく。ボア表面13の環状領域25は、燃焼が起こるボア容積、すなわち、ピストンがそれらのそれぞれのTC位置にあるかその近くにあるときのピストン端部の間のボア容積の部分を取り囲む。エンジンが作動している間に、領域25は、燃焼の温度および圧力から極端なひずみを受ける。いくつかの実施においては、構造強化および冷却対策が、燃焼の影響に抵抗するように領域25の周りに使用される。
【0022】
図2は、ピストンの長手方向軸線を含む平面に沿って切断した、図1のエンジン8などの対向ピストンエンジンのピストン200の断面図である。ピストン200は、クラウン210およびスカート250を含む。クラウン210は、端面212およびボウル219を含む。スカート250は、クラウン210の下からピストン200の開口端255まで延在する。スカートの下部は、側壁252と呼ばれる。ピストンには、2セットのリングが装備される。2つ以上のリング221の内側セットが、シリンダボア表面に接触することによって燃焼室をシールするように設けられる。内側リング221は、クラウン210およびスカート250の界面に隣接して、ボウル219の下のクラウン210に形成される溝に取り付けられる。これらの内側リング221は、燃焼室をシールし、スカートに沿ってガスが漏出するのを防ぐために、エンジンの運転中にシリンダボア表面にしっかりと押し付けられる。しばしば、これらのリングは「圧縮リング」と呼ばれるが、これらはまた、BCからTCに移動するときに、ポートを越えてボア表面の内側領域に潤滑油を運ぶ働きをすることができる。図2に示される事例においては、2つの圧縮リングが、オイルスプレッダリングなどの第3のリングを挟み込む。リング221は、シリンダボア表面の内側領域に乗るので、「内側リング」と呼ばれる。スカート250の外端部に取り付けられる2つ以上のリング260の外側セットは、吸気および排気ポートのうちの1つとシリンダの開口端との間のボア表面の外側領域から余分なオイルをこすり取るように設けられる。リング260は、ピストンの開口端255の近くの側壁252に形成される2つ以上の溝に着座される。リング260は、シリンダの開口端に隣接するシリンダボア表面の外側領域に乗るので、「外側リング」と呼ばれる。
【0023】
この開示のために、対向ピストンエンジンのシリンダは、シリンダブロック内にライナー無しのボーリング、またはライナー無しの形成された空間を含むことができる。あるいは、対向ピストンエンジンは、シリンダブロックのトンネルに保持されるライナー(またはスリーブ)を備えることができる。後者の構造の実施例は、本明細書において説明され図示される原理を限定することを意図するものではないが、図1のエンジン8などの対向ピストンエンジンで使用するためのシリンダ310の側面立面図が、図3に示されている。シリンダ310は、側壁およびボアを画定する管状ライナー312を含む。排気および吸気ポート314および316は、それぞれ、シリンダのそれぞれの端部315および317の近くに、側壁を通してシリンダに形成される。排気および吸気ポート314および316は、シリンダ310の長さに沿って長手方向に分離される。これらの端部315および317の各々は、最も近いポートで発生するガス輸送活性によって特徴付けられる。これに関して、排気ポート314に最も近いシリンダ310の端部315は、シリンダの「排気端部」と呼ばれる。同様に、吸気ポート316に最も近いシリンダ310の端部317は、シリンダの「吸気端」と呼ばれる。燃料噴射器用の噴射器ポート318は、ポート314とポート316との間のシリンダの側壁の一部に形成される。この実施例においては、燃料噴射器ポート318は、燃焼室が一対の対向するピストンの端面の間に形成されるシリンダの領域325内にあるかまたはそれに隣接している。
【0024】
図4Aおよび図4Bは、図1のエンジン8などの対向ピストンエンジンに設けられることになるシリンダおよびピストンの概略断面図である。図4Cは、内側および外側リングの異なる領域がシリンダのボア表面上を移動することを示している、ピストンが無い、図4Aおよび図4Bのシリンダの概略断面図である。シリンダ410は、ボア表面413、排気ポート414、吸気ポート416、排気および吸気端415および417、および2つ以上の噴射ポート418を持つライナー412を備えることができる。排気ポート414および吸気ポート416は、長手方向に分離されており、ボア表面の内側領域の両端に配置される。ピストン420および422は、それらの移動がボア表面413によって案内されるシリンダ内に対向して配置される。各ピストンは、ピストンがシリンダのボアに取り付けられるときに溝に挿入される一組の内側ピストンリング421および外側ピストンリング460を含む。各ピストンの端面は、ボウル419と、他のピストンの対向する端面と共同して燃焼室を形成するように形づくられる他の特徴を含む。
【0025】
図4Aにおいては、ピストン420および422は、動力行程の終わり近くに見いだされることになる、シリンダ410内のそれぞれのBC位置に示されている。これらの位置にピストンがある場合、ポート414および416は、完全に遮るものがなく、開いている。排気ガスは、排気ポート414を通してシリンダから流出し、吸気は、開いた吸気ポート416を通してシリンダに流入する。図4Bにおいては、ピストン420および422は、圧縮行程の終わり近くのシリンダ410のそれぞれのTC位置の近くに示されており、そこで、ポート414および416は、完全に閉じられ、燃料が噴射器ポート418を通してシリンダに噴射される。
【0026】
図4Cの断面図は、ピストンを取り外したシリンダ410のボア表面413を示している。ボア表面413のいくつかの別個の領域(「ボア表面領域」)が指定されている。これらの領域の各々は、ボア表面413の本質的に環状の部分から成る。各領域においては、ボア表面は、特定のタイプまたはグレードの表面仕上げ(「ボア仕上げ」とも呼ばれる)を含む。表面仕上げは、ボア表面とピストン表面との間の界面で所望の油膜厚さを維持するように、シリンダボア内のオイル保持の主な機能を有する。ボア仕上げの一般的で十分に理解されている尺度は、表面粗さ(または、単に「粗さ」)と呼ばれる。粗さは、表面の輪郭の変化の尺度として、またはオイル保持能力として表現され得る。
【0027】
図4Cを参照すると、5つの別個のボア表面領域が規定されており、すなわち、第1の内側領域440、2つの第2の外側の領域445および445、ならびに排気領域450および吸気領域450として示される2つの第3の領域である。第1のボア表面領域440は、その中で燃焼が起こる環状領域425を含む。対向ピストンエンジン動作の各サイクル中、ピストンがそれぞれのTC位置の方におよびそれから遠ざかるように移動する際に、2つのピストンの内側ピストンリング421のみが、第1のボア表面領域上を摺動する。図4A図4B、および図4Cにより、内側ピストンリング421のみが排気ポート414および吸気ポート416のボア表面セグメント上を摺動するので、これらのポートは、内側領域440に含まれる。内側領域440の両端414および416は、それぞれ排気ポート414および吸気ポート416の外縁と隣接しており、したがって、それらによって画定される。
【0028】
内側領域440は、2つの外側領域445および445と異なる表面仕上げを有することができる。エンジンが作動すると、内側ピストンリング421のみが内側ボア表面領域440に接触し、したがって、内側領域440の表面仕上げは、摩擦を最小限にしながらオイル燃焼を低減するように最適化され得る。これに関して、外側領域445および445は、エンジンが作動しているときに外側ピストンリング460のみがこれらの領域に接触するので、油の分配および消費を最適化する表面仕上げを有する。場合によっては、外側領域445および445は、ユニフロー掃気から生じる異なる条件に合わせて調整される多少異なる表面仕上げを有する場合があり、そこでは、シリンダの排気端415の平均温度は、吸気端417の場合よりも高くなる場合がある。第3の領域450および450は、外側ピストンリングおよび内側ピストンリングの両方がエンジン運転中に接触する領域である。これらの領域においては、表面仕上げは、第1の領域440の表面仕上げと異なり得る。大抵の実施形態においては、第1の領域440のシリンダボア表面仕上げの粗さは、外側領域445および445の粗さの場合よりも粗くなるであろう。
【0029】
図4A図4B、および図4Cにより、対向ピストンエンジン動作の各サイクル中に、外側ピストンリング460のみが、シリンダの端部に通じるシリンダボア表面の2つの最も外側の部分上を摺動し、これは、外側ボア表面領域445および445を構成する。対向ピストンエンジン動作の各サイクル中、第3のボア表面領域450および450は、内側リングおよび外側リングの重複する往復運動で、外側リングおよび内側リングによって順次接触される。したがって、第3のボア表面領域450および450の各々は、エンジン動作の各サイクル中にピストンリングセットによって4回乗られるが、他の領域は、2回だけ乗られる。
【0030】
【表1】
【0031】
図4A図4B、および図4Cを参照し、および表1も参照して、シリンダボア表面領域の粗さ構成のさまざまな例示的な実施形態が、図4Cに示されるボア表面マッピングに関して説明される。ボア表面領域マッピングが基本であるが、定義されたボア表面領域の間の粗さの関係は、表1に示される実施形態だけに限定されることを意味するものではない。適度に熟練した職人は、粗さの相対的な大きさが任意の特定の対向ピストンエンジンの性能要件によって決定されることになることを理解であろう。これらの実施形態においては、R440は、内側領域440の粗さを指し、R445Eは、シリンダ410の排気端415における外側領域445Eの粗さを指し、R450Eは、排気領域450の粗さを指し、R445Iは、シリンダ410の吸気端417における外側領域445の粗さ指し、かつR450Iは、吸気領域450の粗さを指す。外側領域445および445ならびに第3の領域450および450の粗さ値は、その中に領域があるシリンダの端部に応じるように調整され得る(例えば、吸気に対する排気)。あるいは、領域の表面粗さは、R445IおよびR445Eが同等であり、R4550IおよびR450Eが同等であるように、シリンダの両端に同様に適用され得る。
【0032】
第1の実施形態においては、内側領域の粗さR440の値は、耐久性を強調するように選択される。粗さ値R450EおよびR450Iは、R440よりも大きいが、値R445EおよびR445Iは、R440よりも小さい。ボア表面の粗さは、シリンダの先端で最も小さく(すなわち、最も滑らかであり)、そこで、オイル保持リングのみが、値R445EおよびR445Iに示される、ボア表面に接触する。内側ピストンリングへの油の分配は、領域450および450の焦点であり、したがって、ボア表面は、ここで最高の粗さ値R450EおよびR450Iを有する。スカッフィングおよび焼き付きは、適切な潤滑およびオイル保持によって軽減されるが、ポートを通って燃焼室に入る燃焼オイルと比較検討される必要がある懸念事項である。これにより、中央のシリンダボアの表面粗さがこの第1の実施形態においては中間値R440であることがもたらされる。
【0033】
表1に列挙された第2の実施形態は、粗さ値R445EおよびR450Eが、等しいかまたはほぼ同じであり、同様に、R445IおよびR450Iが、ほぼ同じかまたは等しいものである。シリンダの中央の粗さR440は、R445E、R445I、R450E、およびR450Iよりも大きい。この第2の実施形態においては、ボア表面上の内側ピストンリングの接触によるスカッフィングおよび過度の摩耗を防止するのに十分な油をシリンダボアの表面に保持することが解決の鍵である。領域450および450の粗さは、中央領域440の粗さよりも小さく、ピストンの外側リングのみがシリンダボアに接触する領域の粗さと同じとは言えないまでもそれにより近い。この実施形態においては、R450EおよびR450Iは、ピストンの外側リングとシリンダボア表面との間の摩擦を低下させるように、それぞれR445EおよびR445Iにほぼ等しい。
【0034】
表1は、粗さ値R440、R450E、およびR450Iは等しいか、またはほぼ同じであるが、シリンダの先端の粗さはより小さく、それによって、R440は、R445EよりもおよびR445Iよりも大きい第3の実施形態を列挙している。この第3の実施形態においては、ボア表面は、特に各ピストンの外側リングに関して油を保持し、耐久性を高める働きをするテクスチャで大部分は仕上げられる。
【0035】
図5は、ボア表面413の3つの別個の領域を示すようにピストン420および422を取り外したシリンダ410の断面図である。さらに、この図は、内側領域440に位置している2つのトップリング反転領域470および470の各々に追加のボア表面仕上げを含むオプション機能を示しており、そこで、ボア表面の環状領域は、上部中央位置を通過するときに排気および吸気ピストンの内側リングによってそれぞれ接触される。これらの領域470および470においては、ピストンは方向を変化し、内側リングの摺動速度の往復運動は低いが、内側リングをボア表面に押し付ける圧力は高く、それにより、固体を分離する液体潤滑剤を使用しないメタルオンメタル接触によって特徴づけられる、「乾式潤滑」と呼ばれる境界潤滑状態が発生する場合もある。乾式潤滑の条件下でのボア表面上のピストンの移動は、ボア表面および/またはリングを損傷する場合もある。乾式潤滑の他の望ましくない効果には、摩擦および摩耗の増加がある。これらの効果を軽減しまたは除去するために、エンジンの特定の動作条件に合わせて調整された粗さで、トップリング反転領域470および470の表面仕上げを行うことが有用であり得る。例えば、高馬力エンジンは、内側ボア表面領域440の残りの部分の場合よりも、トップリング反転領域470および470により高いレベルの粗さを必要とする場合がある。トップリング反転領域470および470の粗さは、両種類のピストンリングがシリンダボア表面に接触する領域450および450の粗さと同様であるか、または同じでさえあり得る。
【0036】
シリンダボア表面の異なる領域に適用され得る表面仕上げの種類には、さまざまなホーニング加工された表面、ならびに機械加工され、レーザテクスチャ―ド加工され(アブレーションされ)、イオンビームテクスチャード加工され、またはエッチングされたフィーチャがある。表面仕上げは、付加製造におけるある特定のステップによって選択的に適用され得る。表面仕上げは、摩耗、摩擦損失、および潤滑オイル消費量のいずれかを低減するように選択され得る。シリンダボアまたはシリンダライナーボアは、対向ピストンエンジンが運転開始される前に2以上の種類の表面仕上げを有することができる。
【0037】
エンジンが運転開始される前にシリンダボアの1つまたは複数の領域に適用される表面仕上げは、プラトーホーニングを含むことができる。シリンダボア表面のプラトーホーニングは、表面に谷を生成すると同時に、ピストンリングが横切るように谷の上に平らな表面を提供する。プラトーホーニング表面の谷は、オイルの保持およびオイル流れの方向を考慮に入れる。
【0038】
代替的にまたは追加的に、使用より前にシリンダボアの1つまたは複数の領域に適用される表面仕上げは、回転速度が低下したスライドホーニングツールを使用することによって製造される仕上げを含み得る。この螺旋ホーニングパターンのホーニング角は、ホーニングツールの回転速度の低下の結果として140度になる場合もある。比較すると、従来のプラトーホーニングで使用されるホーニング角は、45度の近くにあり得る。いくつかの実装においては、シリンダボアの領域のうちの1つまたは複数において表面仕上げを生成するために使用されるホーニング角の1つは、55度から65度に及ぶ。
【0039】
また、シリンダボア表面は、シリンダブロックまたはシリンダライナーの材料とは異なる材料でコーティングすることによって仕上げられ得る。コーティング材料を塗布するために使用され得る方法には、プラズマ溶射、プラズマ移行ワイヤアークアプリケーション、スクリーン印刷、電気めっき、陽極酸化などがある。シリンダボアに塗布されるコーティングされた材料は、単一の材料、2つ以上の材料の層状構造体、または2つ以上の材料の複合体を含むことができる。2つ以上の材料は、材料の構造が異なる場合にたとえ要素が同じであっても、異なるか、または別個である場合もある。すなわち、金属、合金、または酸化物の2つの異なる相または結晶構造は、シリンダボア表面にコーティングされる材料を説明する場合に、異なる材料と見なされ得るものである。シリンダのボアにコーティングされ得る材料は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、鉄、酸化鉄(例えば、ウスタイト(wuestite)またはウスタイト(wustite)、FeO)、固体潤滑剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、黒鉛、リン酸マンガン、リン酸亜鉛;、1つまたは複数の高温金属合金、酸化チタン、金属充填樹脂、摩耗性粉末コーティング、埋め込まれたセラミック、金属、および/またはグラファイト粒子を持つポリマーまたは樹脂マトリックス、などのうちの1つまたは複数を含む。金属合金には、チタンの合金、ニッケル含有合金、クロム含有合金、またはモリブデン含有合金があり得る。
【0040】
シリンダボアに塗布されるコーティングは、所望の仕上げを達成するようにホーニング加工され得る。シリンダボアに塗布されるコーティングは、数百ミクロンの初期厚さ(すなわち、200またはそれ以上のマイクロメートル)で塗布されることができ、最終コーティング厚さは、約100ミクロンから約150ミクロンであり得る。コーティングがホーニング加工される場合、これらは、ダイヤモンドホーニング技術を用いてホーニング加工され得る。あるいは、PTFEまたはポリマーマトリックスコーティングの場合は、コーティング材料は、約10ミクロンから50ミクロンの最終厚さを有することができる。シリンダボアにコーティングされた材料は、30MPa以上の付着強度を有することができ、仕上げられたコーティングは、仕上げられた表面のオイル貯蔵能力を高めることができる細孔を含むことができる。細孔は、材料コーティングプロセス(たとえば、陽極酸化、プラズマ溶射)によって形成され得るか、またはコーティングされた材料がレーザ、機械加工、またはエッチング技術を用いてホーニング加工された後に形成され得る。
【0041】
図6は、対向ピストンエンジンで使用するためのシリンダを製造する方法600を示している。この方法は、各ピストンがピストンの両端に配置される内側の(圧縮)ピストンリングおよび外側の(オイル制御)ピストンリング(たとえば、ピストンのクラウン部分に取り付けられる内側ピストンリング、およびピストンの開口端近くの、スカート部分に取り付けられる外側ピストンリング)を有する、一対のピストンと共に使用するためのシリンダを提供するステップによって610で始まる。
【0042】
611では、ボア表面領域が指定されている。この点に関して、内側ボア表面領域が、ピストンのボア表面に指定されている。内側ボア表面領域は、シリンダの長手方向軸線上の間隔を置いて配置される位置に同一中心に整列した第1および第2の円周方向ポート領域を含む。それぞれの外側ボア表面領域は、シリンダの両端近くに指定され、それぞれの排気および吸気ボア表面領域は、各々それぞれのポート領域とそれぞれの外側ボア表面領域との間に配置され、指定されている。
【0043】
613で、指定されたボア表面領域が仕上げられる。この点に関して、指定された内側ボア表面領域のボア表面部分は、第1の表面粗さに仕上げられ、指定された外側ボア表面領域のボア表面部分は、第2の表面粗さに仕上げられ、かつ、指定された排気および吸気ボア表面領域のボア表面部分は、第3の表面粗さに仕上げられる。
【0044】
615では、仕上げステップ613は、さまざまな程度の表面粗さを与えるように制御され、その場合、第1の表面粗さは、第2の表面粗さよりも大きい。
【0045】
617では、任意選択的に、表面仕上げは、表面粗さ、表面うねり、または単位面積あたりのオイル保持面積によって、あるいは、エンジンでシリンダを運転開始するより前にボア表面に存在する表面仕上げを生成するのに使用されるホーニング加工の種類によって規定され得る。
【0046】
当業者は、本明細書に記述した特定の実施形態が単に例示に過ぎず、さまざまな変更が、可能であり、対向ピストンエンジンのための主題のシリンダボア表面構造の範囲から逸脱することなくそこに実施され得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6