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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】自動車ボデー
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
B62D25/08 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020045156
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021146752
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】島崎 修
(72)【発明者】
【氏名】末若 大輔
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136921(JP,A)
【文献】特開平04-126679(JP,A)
【文献】実開平04-009378(JP,U)
【文献】特開2003-261068(JP,A)
【文献】特開2015-101217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともキャビンを画定する自動車ボデーであり、
前記キャビンの前部に沿って、左右方向に延びるダッシュクロスメンバと、
前記キャビンの側部に沿って、前記ダッシュクロスメンバの一端から後方に延びるロッカと、
前記キャビンの側部に沿って、前記ロッカから上方に延びるフロントピラーと、
一端が前記ダッシュクロスメンバに結合されており、他端が前記フロントピラーに結合されている補強プレートと、
を備え、
前記ダッシュクロスメンバの前記キャビン側に位置する内壁は、左右方向に延びる少なくとも一つの屈曲部を形成する非平坦な形状を有し、
前記フロントピラーの前記キャビン側に位置する内壁は、前後方向に延びる少なくとも一つの屈曲部を形成する非平坦な形状を有し、
前記補強プレートは、前記一端から前記他端まで延びる少なくとも一つの屈曲部を形成する形状を有し、
前記補強プレートの前記一端は、少なくとも部分的に、前記ダッシュクロスメンバの前記非平坦な形状に応じて屈曲する形状を有し、
前記補強プレートの前記他端は、少なくとも部分的に、前記フロントピラーの前記非平坦な形状に応じて屈曲する形状を有する、
自動車ボデー。
【請求項2】
前記補強プレートの前記他端は、前記ロッカにも結合されている、請求項1に記載の自動車ボデー。
【請求項3】
前記フロントピラーの前記キャビン側に位置する内壁には、開口が形成されており、
前記補強プレートは、前記開口の少なくとも一部を覆っている、請求項1又は2に記載の自動車ボデー。
【請求項4】
前記補強プレートには、前記開口を閉塞するカバープレートが取り付けられている、請求項に記載の自動車ボデー。
【請求項5】
前記カバープレートと前記フロントピラーとの間には、環状のシール部材が介挿されている、請求項に記載の自動車ボデー。
【請求項6】
前記ダッシュクロスメンバは、第1ダッシュクロスメンバと、前記第1ダッシュクロスメンバよりも上方に位置する第2ダッシュクロスメンバとを含み、
前記ロッカの前端は、前記第1ダッシュクロスメンバの一端に接続されており、
前記補強プレートの前記一端は、前記第2ダッシュクロスメンバに結合されている、請求項1からのいずれか一項に記載の自動車ボデー。
【請求項7】
前記ダッシュクロスメンバから前方に向けて延びるフロントサイドメンバをさらに有する、請求項1からのいずれか一項に記載の自動車ボデー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、自動車ボデーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、自動車ボデーが開示されている。この自動車ボデーでは、ダッシュクロスメンバとフロントピラーとの間が、補強プレートを介して連結されている。このような構成によると、側面衝突において、フロントピラーのキャビンに向かう変形が抑制されると説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-193843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車ボデーには、優れた衝突安全性能が必要とされており、様々な衝突試験において一定の水準(安全基準)を満たことが求められる。そのなかでも、スモールオーバーラップ(SOL)衝突試験は、衝突荷重が自動車ボデーの一部に集中するという点で、最も厳しい衝突試験の一つとされている。本明細書は、スモールオーバーラップ衝突試験を含め、自動車ボデーの衝突安全性能を向上し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術は、少なくともキャビンを画定する自動車ボデーに具現化される。この自動車ボデーは、キャビンの前部に沿って左右方向に延びるダッシュクロスメンバと、キャビンの側部に沿ってダッシュクロスメンバの一端から後方に延びるロッカと、キャビンの側部に沿ってロッカから上方に延びるフロントピラーと、一端がダッシュクロスメンバに結合されており、他端がフロントピラーに結合されている補強プレートとを備える。ダッシュクロスメンバのキャビン側に位置する内壁は、左右方向に延びる少なくとも一つの屈曲部を形成する非平坦な形状を有する。そして、補強プレートの一端は、少なくとも部分的に、ダッシュクロスメンバの非平坦な形状に応じて屈曲する形状を有する。
【0006】
上記した構造では、ダッシュクロスメンバの非平坦な内壁が、左右方向に沿って少なくとも一つの屈曲部を形成しており、その内壁に結合された補強プレートの一端が、少なくとも部分的に、その非平坦な内壁に沿って屈曲する形状を有している。このような構成によると、ダッシュクロスメンバと補強プレートとの結合部分において、それぞれの剛性が高まるとともに、両者が強固に結合される。その結果、ダッシュクロスメンバとフロントピラーとの間が、補強プレートを介して強固に連結されることとなり、衝突荷重を受けたダッシュクロスメンバを、ロッカ及びフロントピラーによって強く支持することができる。これにより、例えばスモールオーバーラップ衝突試験においても、ダッシュクロスメンバがキャビンに向けて変形することを有意に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の自動車ボデー10の外観を示す。なお、図1図9において、方向FRは、前後方向における前方を示し、その反対方向は、前後方向における後方を示す。また、方向RHは、左右方向における右方を示し、その反対方向は、左右方向における左方を示す。そして、方向UPは、上下方向における上方を示し、その反対方向は、上下方向における下方を示す。
図2】ダッシュクロスメンバ18を含む一部を示す平面図。
図3】補強プレート30が取り付けられた部分を示す斜視図。
図4図3に示す部分を補強プレート30を取り外した状態で示す斜視図。
図5】補強プレート30を示す斜視図。
図6】左右方向に垂直な断面図であって、ダッシュクロスメンバ18の断面を示す。
図7】上下方向に垂直な断面図であって、補強プレート30が取り付けられた部分を示す。
図8】前後方向に垂直な断面図であって、フロントピラー26の開口50を覆う補強プレート30及びカバープレート32を示す。
図9】上下方向に垂直な断面図であって、フロントピラー26の開口50を覆う補強プレート30及びカバープレート32を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の一実施形態において、補強プレートは、一端から他端まで延びる少なくとも一つの屈曲部を形成する形状を有してもよい。このような構成によると、補強プレートの剛性がより高まることで、ダッシュクロスメンバとフロントピラーとの間が、補強プレートによってさらに強固に結合される。
【0009】
本技術の一実施形態において、補強プレートの他端は、ロッカにも結合されていてもよい。このような構成によると、ダッシュクロスメンバとロッカとの間が、補強プレートによってさらに強固に連結される。
【0010】
本技術の一実施形態において、フロントピラーのキャビン側に位置する内壁には、開口が形成されていてもよい。この場合、補強プレートは、開口の少なくとも一部を覆っていてもよい。補強プレートが開口の少なくとも一部を覆うことで、開口を通じてキャビン内へ異物が侵入することを抑制することができる。
【0011】
上記した実施形態において、補強プレートには、開口を閉塞するカバープレートが取り付けられていてもよい。このような構成によると、補強プレートとカバープレートとを区別して設計することができ、補強プレートの機械的強度に影響を与えることなく、フロントピラーの開口を閉塞することができる。
【0012】
上記した実施形態において、カバープレートとフロントピラーとの間には、環状のシール部材が介挿されていてもよい。このような構成によると、微小な異物や雨水がキャビンへの侵入することを抑制することができる。
【0013】
本技術の一実施形態において、ダッシュクロスメンバは、第1ダッシュクロスメンバと、第1ダッシュクロスメンバよりも上方に位置する第2ダッシュクロスメンバとを含んでもよい。この場合、ロッカの前端は、第1ダッシュクロスメンバの一端に接続されていてもよい。そして、補強プレートの一端は、第2ダッシュクロスメンバに結合されていてもよい。
【0014】
本技術の一実施形態において、自動車ボデーは、ダッシュクロスメンバから前方に向けて延びるフロントサイドメンバをさらに有してもよい。この場合、フロントサイドメンバの前端は、例えばクラッシュボックスを介して、バンパリインフォースメントに接続されていてもよい。
【0015】
本明細書において単に前後方向との記載は、自動車ボデーにおける前後方向を意味するものとする。同様に、単に左右方向との記載は、自動車ボデーにおける左右方向を意味し、単に上下方向との記載は、自動車ボデーにおける上下方向を意味する。例えば、自動車が水平面上に配置されたときに、自動車ボデーの上下方向は、鉛直方向と一致する。また、自動車ボデーの左右方向は、自動車の車軸に平行な方向であり、自動車ボデーの前後方向は、水平面に平行かつ自動車の車軸に垂直な方向となる。
【実施例
【0016】
図面を参照して、実施例の自動車ボデー10について説明する。本実施例の自動車ボデー10は、特に限定されないが、例えば電動自動車に採用することができる。ここでいう電動自動車とは、一又は複数の車輪をモータによって駆動する車両を広く意味し、例えば、外部の電源によって充電される再充電式の電気自動車、燃料電池を電源とする燃料電池車、及び、エンジンを併せ持つハイブリッド車等が含まれる。但し、本実施例の自動車ボデー10は、電動自動車に限られず、例えばエンジン車といった他の種類の自動車にも採用することができる。また、本実施例の自動車ボデー10は金属で構成されているが、自動車ボデー10を構成する材料は金属に限定されない。
【0017】
ここで、本実施例の自動車ボデー10は、概して左右対称の構造を有する。従って、以下の説明では、左右対称の構造に対して同一の符号を付し、主に右側の構造について説明する一方で、左側の構造については重複する説明を省略する。即ち、特に言及がない限り、下記に説明する特徴は、右側の構造だけでなく、左側の構造にも適用される。
【0018】
図1図3に示すように、自動車ボデー10は、キャビン12と、キャビン12の前方に位置するフロントコンパートメント14を画定している。自動車ボデー10は、ダッシュパネル16とダッシュクロスメンバ18とを備える。ダッシュパネル16は、キャビン12とフロントコンパートメント14とを区分する隔壁である。ダッシュパネル16は、キャビン12の前部に沿って、左右方向及び上下方向に広がっている。ダッシュクロスメンバ18は、自動車ボデー10の骨格部分の一つである。ダッシュクロスメンバ18は、ダッシュパネル16に沿って設けられており、キャビン12の前部に沿って左右方向に延びている。
【0019】
本実施例におけるダッシュクロスメンバ18は、第1ダッシュクロスメンバ20と第2ダッシュクロスメンバ22とを含む。第1ダッシュクロスメンバ20と第2ダッシュクロスメンバ22との各々は、左右方向に沿って閉空間を形成する筒状形状を有している(図6参照)。第2ダッシュクロスメンバ22は、第1ダッシュクロスメンバ20の上方に位置しており、二つのダッシュクロスメンバ20、22は、互いに隣接しながら左右方向に延びている。特に限定されないが、二つのダッシュクロスメンバ20、22は、互いに異なる断面形状を有しており、第1ダッシュクロスメンバ20の断面積は、第2ダッシュクロスメンバ22の断面積よりも大きい。
【0020】
自動車ボデー10は、一対のフロントサイドメンバ40をさらに備える。一対のフロントサイドメンバ40は、自動車ボデー10において左右対称に設けられている。各々のフロントサイドメンバ40は、自動車ボデー10の骨格部分の一つであり、フロントコンパートメント14に位置している。各々のフロントサイドメンバ40は、ダッシュクロスメンバ18から前方に向けて延びている。各々のフロントサイドメンバ40の前端は、例えばクラッシュボックスを介して、バンパリインフォースメント42に接続されている。
【0021】
自動車ボデー10はさらに、一対のロッカ24を備える。一対のロッカ24は、自動車ボデー10において左右対称に設けられている。各々のロッカ24は、自動車ボデー10の骨格部分の一つであり、サイドシルとも称される。一対のロッカ24の間には、キャビン12の床を画定するフロアパン28が設けられている。右側のロッカ24は、キャビン12の右側部に沿って、ダッシュクロスメンバ18の右端(詳しくは、第1ダッシュクロスメンバ20の右端)から後方に延びている。左側のロッカ24は、キャビン12の左側部に沿って、ダッシュクロスメンバ18の左端(詳しくは、第1ダッシュクロスメンバ20の左端)から後方に延びている。各々のロッカ24は、特に限定されないが、前後方向に沿って閉空間を形成する筒状形状を有している(図8参照)。
【0022】
自動車ボデー10はさらに、一対のフロントピラー26を備える。一対のフロントピラー26は、自動車ボデー10において左右対称に設けられている。各々のフロントピラー26は、自動車ボデー10の骨格部分の一つであり、Aピラーとも称される。右側のフロントピラー26は、キャビン12の右側部に沿って、右側のロッカ24から上方に延びている。同様に、左側のフロントピラー26は、キャビン12の左側部に沿って、左側のロッカ24から上方に延びている。特に限定されないが、各々のフロントピラー26は、上下方向に沿って閉空間を形成する筒状形状を有している(図7参照)。
【0023】
自動車ボデー10はさらに、一対の補強プレート30を備える。一対の補強プレート30は、自動車ボデー10において左右対称に設けられている。各々の補強プレート30は、ダッシュクロスメンバ18とロッカ24とフロントピラー26とに結合されている。詳しくは、補強プレート30の一端30aが、締結部材36a、36bによって、ダッシュクロスメンバ18(詳しくは、第2ダッシュクロスメンバ22)に結合されている。補強プレート30の他端30bは、締結部材36cによってフロントピラー26に結合されており、かつ、締結部材36dによってロッカ24に結合されている。補強プレート30は、複数の締結部材36a-36dによって取り付けられており、例えばメンテナンスや修理の際に取り外すことができる。但し、補強プレート30を結合する構造については特に限定されない。例えば、補強プレート30は、ダッシュクロスメンバ18やフロントピラー26に対して溶接されていてもよい。
【0024】
図3図5に示すように、ダッシュクロスメンバ18(詳しくは、第2ダッシュクロスメンバ22)のキャビン12側に位置する内壁23は、キャビン12側へ部分的に膨出しており、非平坦な形状を有している。これにより、ダッシュクロスメンバ18の内壁23には、少なくとも一つの屈曲部23X(例えば、山折り部又は谷折り部)が、左右方向に沿って形成されている。そして、その内壁23に結合された補強プレート30の一端30aには、少なくとも部分的に、ダッシュクロスメンバ18の非平坦な形状に応じて屈曲する形状が与えられている。同様に、フロントピラー26のキャビン12に位置する内壁27は、キャビン12側へ部分的に膨出しており、非平坦な形状を有している。これにより、フロントピラー26の内壁27には、前後方向に沿って少なくとも一つの屈曲部27Xが形成されている。そして、その内壁27に結合された補強プレート30の他端30bには、少なくとも部分的に、フロントピラー26の非平坦な形状に応じて屈曲する形状が与えられている。但し、フロントピラー26の内壁27は、屈曲部27Xを有さない平坦面であってもよい。これに応じて、補強プレート30の他端30bについても、平坦な形状を有してもよい。
【0025】
以上のように、本実施例の自動車ボデー10では、補強プレート30が、ダッシュクロスメンバ18とフロントピラー26とのそれぞれに結合され、両者を互いに連結している。ダッシュクロスメンバ18と補強プレート30との結合部分では、ダッシュクロスメンバ18の非平坦な内壁23が、左右方向に沿って少なくとも一つの屈曲部23Xを形成しており、補強プレート30の一端30aが、少なくとも部分的に、その非平坦な内壁23に沿って屈曲する形状を有している。このような構成によると、ダッシュクロスメンバ18と補強プレート30との結合部分において、それぞれの剛性が高まるとともに、両者が強固に結合される。その結果、ダッシュクロスメンバ18とフロントピラー26との間が、補強プレート30を介して強固に連結される。これにより、自動車が前面衝突したときに、衝突荷重を受けたダッシュクロスメンバ18を、ロッカ24及びフロントピラー26によって強く支持することができる。従って、例えばスモールオーバーラップ衝突試験においても、ダッシュクロスメンバ18がキャビン12に向けて変形することを有意に抑制することができる。
【0026】
特に限定されないが、本実施例の自動車ボデーでは、フロントピラー26と補強プレート30との結合部分においても、フロントピラー26の非平坦な内壁27が、前後方向に沿って少なくとも一つの屈曲部27Xを形成している、そして、補強プレート30の他端30bが、少なくとも部分的に、その非平坦な内壁27に沿って屈曲する形状を有している。これにより、フロントピラー26と補強プレート30との結合部分においても、それぞれの剛性が高まるとともに、両者が互いに強固に結合されている。
【0027】
補強プレート30の具体的な形状は特に限定されない。一例ではあるが、図5に示すように、本実施例における補強プレート30は、いわゆるハット形状(チャネル形状の両端にフランジを有する形状)を有しており、上下方向の中間部分が、一端30aから他端30bまで連続的に膨出している。これにより、補強プレート30には、複数の屈曲部30Xが形成されている。このように、補強プレート30が、一端30aから他端30bまで延びる少なくとも一つの屈曲部30Xを形成していると、補強プレート30の剛性が有意に高まる。そして、補強プレート30の剛性が高まることで、ダッシュクロスメンバ18とフロントピラー26との間が、補強プレート30によってさらに強固に結合される。
【0028】
図4に示すように、フロントピラー26の内壁27には、開口50が形成されていてもよい。この場合、補強プレート30は、開口50の少なくとも一部を覆うように配置されてもよい。補強プレート30が開口50の少なくとも一部を覆うことで、開口50を通じてキャビン12内へ異物が侵入することを抑制することができる。なお、図5図8図9に示すように、本実施例における補強プレート30には、開口50を閉塞するカバープレート32が取り付けられている。補強プレート30とカバープレート32とが互いに独立した部材であると、補強プレート30とカバープレート32とを区別して設計することができ、補強プレート30の機械的強度に影響を与えることなく、フロントピラー26の開口50を確実に閉塞することができる。また、カバープレート32とフロントピラー26との間には、環状のシール部材34が介挿されている。シール部材34は、開口50を取り囲んでおり、微小な異物や雨水がキャビン12への侵入することを抑制する。
【0029】
前述したように、本実施例の自動車ボデー10では、ダッシュクロスメンバ18は、第1ダッシュクロスメンバ20と、第1ダッシュクロスメンバ20よりも上方に位置する第2ダッシュクロスメンバ22とを含んでいる。そして、ロッカ24の前端は、第1ダッシュクロスメンバ20に接続されている。一方、補強プレート30は、第2ダッシュクロスメンバ22に結合されている。但し、他の実施形態として、ダッシュクロスメンバ18は、単一であってよいし、三以上のダッシュクロスメンバの集合で構成されてもよい。
【0030】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書、又は、図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書又は図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0031】
10:自動車ボデー
12:キャビン
14:フロントコンパートメント
16:ダッシュパネル
18:ダッシュクロスメンバ
20:第1ダッシュクロスメンバ
22:第2ダッシュクロスメンバ
23:ダッシュクロスメンバの内壁
24:ロッカ(サイドシル)
26:フロントピラー
27:フロントピラーの内壁
28:フロアパン
30:補強プレート
32:カバープレート
34:シール部材
36a-36d:締結部材
40:フロントサイドメンバ
42:バンパリインフォースメント
50:フロントピラーの開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9