(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】基板、半導体モジュール、及び、基板モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20230418BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20230418BHJP
【FI】
H01L25/04 C
(21)【出願番号】P 2020142370
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 充晃
(72)【発明者】
【氏名】杉村 一男
(72)【発明者】
【氏名】椿 和也
(72)【発明者】
【氏名】大石 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】重實 泰行
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材
と、
前記基材に設けられ電源電力を伝送可能である3つの電源用パターン
と、
前記基材に設けられ制御信号を伝送可能である少なくとも2つの信号用パターン
と、を備え、
前記3つの電源用パターンと前記2つの信号用パターンとは、第1方向に沿って互いに平行に延在し、
前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが
、対向する一対の面の一方にドレイン部が設けられ他方の面にソース部及びゲート部が設けられた半導体チップを実装可能かつ当該実装され
る実装半導体チップの前記ドレイン部と接続可能であり、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続可能であり、
前記2つの信号用パターンは、前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続可能であ
り、
前記3つの電源用パターンは、前記第1方向と直交する第2方向に沿って、前記半導体チップを実装可能な前記2つの電源用パターンの間に、前記ソース部と接続可能な前記1つの電源用パターンが配置され、
前記信号用パターンは、4つ設けられ、2つの前記信号用パターンが前記ゲート部と接続可能であり、残りの2つの前記信号用パターンが前記ソース部と接続可能であり、前記ゲート部と接続可能な前記2つの信号用パターンが、前記第2方向に沿って前記3つの電源用パターンを挟んで一対で配置され、かつ、前記ソース部と接続可能な前記2つの信号用パターンが、前記第2方向に沿って前記3つの電源用パターンを挟んで一対で配置され、
前記半導体チップを実装可能な前記2つの電源用パターンは、前記ドレイン部に対する信号用パターンとしても兼用可能であることを特徴とする基板。
【請求項2】
基材と、
前記基材に設けられ電源電力を伝送可能である3つの電源用パターンと、
前記基材に設けられ制御信号を伝送可能である少なくとも2つの信号用パターンと、
前記3つの電源用パターンのいずれか1つと接続可能かつ前記
基材の外側に位置する外部接続相手と接続可能であり
、第1方向と直交する第2方向に沿って延在し、前記第1方向に沿って少なくとも前記3つの電源用パターンを挟んで一対で設けられる外部接続パターン
と、を備え、
前記3つの電源用パターンと前記2つの信号用パターンとは、前記第1方向に沿って互いに平行に延在し、
前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが、対向する一対の面の一方にドレイン部が設けられ他方の面にソース部及びゲート部が設けられた半導体チップを実装可能かつ当該実装される実装半導体チップの前記ドレイン部と接続可能であり、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続可能であり、
前記2つの信号用パターンは、前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続可能であることを特徴とする基板。
【請求項3】
対向する一対の面の一方にドレイン部が設けられ、他方の面にソース部及びゲート部が設けられた半導体チップと、
基材、前記基材に設けられ電源電力を伝送可能である3つの電源用パターン、及び、前記基材に設けられ制御信号を伝送可能である少なくとも2つの信号用パターンを含み、前記半導体チップを実装する基板と、を備え、
前記3つの電源用パターンと前記2つの信号用パターンとは、第1方向に沿って互いに平行に延在し、
前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつ当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続し、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続するものであり、
前記2つの信号用パターンは、前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続するものであり、
前記3つの電源用パターンは、1つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつ当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続される電源用接続パターンであり、別の1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続される電源用接続パターンであり、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ドレイン部、前記ソース部、及び、前記ゲート部に接続されない電源用非接続パターンであり、
前記信号用パターンは、4つ設けられ、1つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続される信号用接続パターンであり、別の1つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続される信号用接続パターンであり、残り2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップの前記ドレイン部、前記ソース部、及び、前記ゲート部に接続されない信号用非接続パターンであり、
前記実装半導体チップは、当該電源用パターンに単方向に流れる電流を通電又は遮断する単方向回路を構成する
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項4】
対向する一対の面の一方にドレイン部が設けられ、他方の面にソース部及びゲート部が設けられた半導体チップと、
基材、前記基材に設けられ電源電力を伝送可能である3つの電源用パターン、及び、前記基材に設けられ制御信号を伝送可能である少なくとも2つの信号用パターンを含み、前記半導体チップを実装する基板と、を備え、
前記3つの電源用パターンと前記2つの信号用パターンとは、第1方向に沿って互いに平行に延在し、
前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつ当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続し、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続するものであり、
前記2つの信号用パターンは、前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続するものであり、
前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつそれぞれが当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続され、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続され、
前記信号用パターンは、4つ設けられ、2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップのいずれかの前記ゲート部と接続され、残り2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップのいずれかの前記ソース部と接続され、
前記実装半導体チップは、当該電源用パターンに双方向に流れる電流を通電又は遮断する双方向回路を構成する
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項5】
対向する一対の面の一方にドレイン部が設けられ、他方の面にソース部及びゲート部が設けられた半導体チップと、
基材、前記基材に設けられ電源電力を伝送可能である3つの電源用パターン、及び、前記基材に設けられ制御信号を伝送可能である少なくとも2つの信号用パターンを含み、前記半導体チップを実装する基板と、
前記3つの電源用パターンのいずれか1つと接続
しかつ前記基板の外側に位置する外部接続相手と接続
し、第1方向と直交する第2方向に沿って延在し、前記第1方向に沿って少なくとも前記3つの電源用パターンを挟んで一対で設けられる外部接続パターン
とを備え、
前記3つの電源用パターンと前記2つの信号用パターンとは、前記第1方向に沿って互いに平行に延在し、
前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつ当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続し、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続するものであり、
前記2つの信号用パターンは、前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続するものであり、
前記半導体チップが実装された前記基板は、3つ設けられ、それぞれが前記第2方向に沿って並んで配置され、
隣り合う前記基板は、前記外部接続パターンを介して互いに接続され、
それぞれの前記基板において、前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつそれぞれが当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続され、残り1つの前記電源用パターンが1つの前記電源用パターンに実装された前記実装半導体チップの前記ソース部と接続され、前記ドレイン部と接続された前記2つの電源用パターンのうち一方の前記電源用パターンが他方の前記電源用パターンに実装された前記実装半導体チップの前記ソース部と接続され、
前記信号用パターンは、4つ設けられ、2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップのいずれかの前記ゲート部と接続され、残り2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップのいずれかの前記ソース部と接続され、
前記実装半導体チップは、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を構成する
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項6】
前記基板が載置されるベース部と、
前記基板が載置された前記ベース部に組み付けられるケースと、をさらに備え、
前記ケースは、ケース本体と、前記ケース本体に設けられ前記電源用パターンに接続
する電源用端子と、前記ケース本体に設けられ前記信号用パターンに接続
する信号用端子とを含んで構成される請求項
3~
5のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
基材、前記基材に設けられ電源電力を伝送可能である3つの電源用パターン、及び、前記基材に設けられ制御信号を伝送可能である少なくとも2つの信号用パターンを含み、対向する一対の面の一方にドレイン部が設けられ他方の面にソース部及びゲート部が設けられた半導体チップを実装可能である基板と、
前記基板が載置されるベース部と、
前記基板が載置された前記ベース部に組み付けられるケースと、を備え、
前記3つの電源用パターンと前記2つの信号用パターンとは、第1方向に沿って互いに平行に延在し、
前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが、対向する一対の面の一方にドレイン部が設けられ他方の面にソース部及びゲート部が設けられた半導体チップを実装可能かつ当該実装される実装半導体チップの前記ドレイン部と接続可能であり、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続可能であり、
前記2つの信号用パターンは、前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続可能であり、
前記ケースは、ケース本体と、前記ケース本体に設けられ前記電源用パターンに接続可能な電源用端子と、前記ケース本体に設けられ前記信号用パターンに接続可能な信号用端子とを含んで構成され、
前記ケース本体は、前記基板を個別に収容する複数の収容部を有し、
前記電源用端子は、1つの前記収容部に対して2つ設けられ、
前記信号用端子は、1つの前記収容部に対して6つ設けられることを特徴とする基板モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、半導体モジュール、及び、基板モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体モジュールとして、例えば、特許文献1には、基板と、当該基板が組み付けられるケースとを備えるパワー半導体モジュールが記載されている。このパワー半導体モジュールは、例えば、インテリジェントパワーモジュールの基板に接続するための端子をケースに設けることで、パワーモジュール及びインテリジェントパワーモジュールの両方の基板を組み付け可能な共通のケースを構成し、部品の共通化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のパワー半導体モジュールは、例えば、パワーモジュール及びインテリジェントパワーモジュールにおいてそれぞれ制御が異なるので、配線パターンがそれぞれ異なる基板を用いる必要があり、当該パワー半導体モジュールを製造する際に、回路に応じて配線パターンが異なる複数の基板を用意する必要があり、製造効率が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、部品を適正に共通化することができる基板、半導体モジュール、及び、基板モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る半導体モジュールは、対向する一対の面の一方にドレイン部が設けられ、他方の面にソース部及びゲート部が設けられた半導体チップと、基材、前記基材に設けられ電源電力を伝送可能である3つの電源用パターン、及び、前記基材に設けられ制御信号を伝送可能である少なくとも2つの信号用パターンを含み、前記半導体チップを実装可能である基板と、を備え、前記3つの電源用パターンと前記2つの信号用パターンとは、第1方向に沿って互いに平行に延在し、前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装可能かつ当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続可能であり、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続可能であり、前記2つの信号用パターンは、前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続可能であることを特徴とする。
【0007】
上記半導体モジュールにおいて、前記3つの電源用パターンは、前記第1方向と直交する第2方向に沿って、前記半導体チップを実装可能な前記2つの電源用パターンの間に、前記ソース部と接続可能な前記1つの電源用パターンが配置され、前記信号用パターンは、4つ設けられ、2つの前記信号用パターンが前記ゲート部と接続可能であり、残りの2つの前記信号用パターンが前記ソース部と接続可能であり、前記ゲート部と接続可能な前記2つの信号用パターンが、前記第2方向に沿って前記3つの電源用パターンを挟んで一対で配置され、かつ、前記ソース部と接続可能な前記2つの信号用パターンが、前記第2方向に沿って前記3つの電源用パターンを挟んで一対で配置され、前記半導体チップを実装可能な前記2つの電源用パターンは、前記ドレイン部に対する信号用パターンとしても兼用可能であることが好ましい。
【0008】
上記半導体モジュールにおいて、前記3つの電源用パターンのいずれか1つと接続可能かつ前記基板の外側に位置する外部接続相手と接続可能であり、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延在し、前記第1方向に沿って少なくとも前記3つの電源用パターンを挟んで一対で設けられる外部接続パターンをさらに備えることが好ましい。
【0009】
上記半導体モジュールにおいて、前記基板が載置されるベース部と、前記基板が載置された前記ベース部に組み付けられるケースと、をさらに備え、前記ケースは、ケース本体と、前記ケース本体に設けられ前記電源用パターンに接続可能な電源用端子と、前記ケース本体に設けられ前記信号用パターンに接続可能な信号用端子とを含んで構成されることが好ましい。
【0010】
上記半導体モジュールにおいて、前記3つの電源用パターンは、1つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつ当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続される電源用接続パターンであり、別の1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続される電源用接続パターンであり、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ドレイン部、前記ソース部、及び、前記ゲート部に接続されない電源用非接続パターンであり、前記信号用パターンは、4つ設けられ、1つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップの前記ゲート部と接続される信号用接続パターンであり、別の1つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続される信号用接続パターンであり、残り2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップの前記ドレイン部、前記ソース部、及び、前記ゲート部に接続されない信号用非接続パターンであり、前記実装半導体チップは、当該電源用パターンに単方向に流れる電流を通電又は遮断する単方向回路を構成することが好ましい。
【0011】
上記半導体モジュールにおいて、前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつそれぞれが当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続され、残り1つの前記電源用パターンが前記実装半導体チップの前記ソース部と接続され、前記信号用パターンは、4つ設けられ、2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップのいずれかの前記ゲート部と接続され、残り2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップのいずれかの前記ソース部と接続され、前記実装半導体チップは、当該電源用パターンに双方向に流れる電流を通電又は遮断する双方向回路を構成することが好ましい。
【0012】
上記半導体モジュールにおいて、前記3つの電源用パターンのいずれか1つと接続可能かつ前記基板の外側に位置する外部接続相手と接続可能であり、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延在し、前記第1方向に沿って少なくとも前記3つの電源用パターンを挟んで一対で設けられる外部接続パターンをさらに備え、前記半導体チップが実装された前記基板は、3つ設けられ、それぞれが前記第2方向に沿って並んで配置され、隣り合う前記基板は、前記外部接続パターンを介して互いに接続され、それぞれの前記基板において、前記3つの電源用パターンは、2つの前記電源用パターンが前記半導体チップを実装しかつそれぞれが当該実装された実装半導体チップの前記ドレイン部と接続され、残り1つの前記電源用パターンが1つの前記電源用パターンに実装された前記実装半導体チップの前記ソース部と接続され、前記ドレイン部と接続された前記2つの電源用パターンのうち一方の前記電源用パターンが他方の前記電源用パターンに実装された前記実装半導体チップの前記ソース部と接続され、前記信号用パターンは、4つ設けられ、2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップのいずれかの前記ゲート部と接続され、残り2つの前記信号用パターンが前記実装半導体チップのいずれかの前記ソース部と接続され、前記実装半導体チップは、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る基板、半導体モジュール、及び、基板モジュールにおいて、3つの電源用パターンは、2つの電源用パターンが半導体チップを実装可能かつ当該実装された実装半導体チップのドレイン部と接続可能であり、残り1つの電源用パターンが実装半導体チップのソース部と接続可能であるので、部品(基板)を適正に共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体モジュールの基本構成例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る基板の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るケースの構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第1バリエーション)を示す平面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第1バリエーション)を示す回路図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第2バリエーション)を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第2バリエーション)を示す回路図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第3バリエーション)を示す平面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第3バリエーション)を示す回路図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の変形例に係る半導体モジュールの構成例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の変形例に係る半導体モジュールの構成例を示す回路図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る半導体モジュールの基本構成例を示す分解斜視図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第1バリエーション)を示す平面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第1バリエーション)を示す回路図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第2バリエーション)を示す平面図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る半導体モジュールの構成例(第2バリエーション)を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔第1実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係る半導体モジュール1について説明する。まず、半導体モジュール1の基本構成について説明し、次に、半導体チップ10の構成に応じた半導体モジュール1の各種バリエーションについて説明する。
【0017】
〔基本構成〕
図1は、第1実施形態に係る半導体モジュール1の基本構成例を示す分解斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る基板20の構成例を示す斜視図である。
図3は、第1実施形態に係るケース40の構成例を示す斜視図である。
図1~
図3では、基板20に半導体チップ10を実装していない状態を図示している。
【0018】
半導体モジュール1の基本構成は、
図1~
図3に示すように、半導体チップ10と、基板20と、ベース部30と、ケース40とを備える。そして、半導体モジュール1は、この基本構成に対して半導体チップ10(
図4等参照)が実装されることで、半導体チップ10の構成に応じた各種半導体回路を構成する。
【0019】
ここで、本実施形態では、基板20のパターン形成面M(
図2参照)に形成される電源用パターン23及び信号用パターン22が延在する方向を第1方向Xとし、基板20のパターン形成面M上で第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとし、基板20のパターン形成面Mに直交する方向を第3方向Zとする。第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交する。
【0020】
半導体チップ10は、電流を通電又は遮断するものである。半導体チップ10は、例えば、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、
図2に示すように、ドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gを含んで構成される。半導体チップ10は、第3方向Zに沿って対向する一対の面の一方にドレイン部Dが設けられ、他方の面にソース部S及びゲート部Gが設けられている。半導体チップ10は、ドレイン部D側が電源用パターン23上に当接された状態で当該電源用パターン23に実装される。
【0021】
基板20は、電気回路を構成するものである。基板20は、基材21と、信号用パターン22と、電源用パターン23と、外部接続パターン24とを含んで構成される。
【0022】
基材21は、半導体チップ10を実装可能なものである。基材21は、樹脂等の絶縁部材から形成され、平板状且つ矩形状に構成されている。基材21は、3つ設けられ、それぞれが同じ形状を有している。各基材21は、第3方向Zにおいて、一対の面部を有し、一方側の面部には各パターンが形成されるパターン形成面Mが設けられている。パターン形成面Mには、4つの信号用パターン22、3つの電源用パターン23、及び、2つの外部接続パターン24が形成されている。基材21は、当該基材21に形成された電源用パターン23の上に、実現する半導体回路に応じて半導体チップ10が実装される。
【0023】
4つの信号用パターン22(221~224)は、制御信号を伝送可能な導電性のパターンである。4の信号用パターン22は、基材21に設けられ、線状に形成されている。4の信号用パターン22は、直線状に形成され、第1方向Xに沿って互いに平行に延在している。4つの信号用パターン22は、それぞれが同じ太さに形成されており、つまり第2方向Yの幅長が同じ長さに形成されており、3つの電源用パターン23よりも細く形成されている。4つの信号用パターン22(221~224)は、それぞれの第1方向Xの長さが全て同じ長さに形成され、2つの信号用パターン221、222と残りの2つの信号用パターン223、224とが、第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23を挟んで一対で配置されている。言い換えれば、4つの信号用パターン22は、2つの信号用パターン221、222が第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23の一方側に並んで配置され、残りの2つの信号用パターン223、224が第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23の他方側に並んで配置されている。4つの信号用パターン22は、第1方向Xにおける一方側のそれぞれの端部の位置が揃っており、第1方向Xにおける他方側のそれぞれの端部の位置も揃っている。4つの信号用パターン22は、2つの信号用パターン22が半導体チップ10のゲート部Gと接続可能であり、残りの2つの信号用パターン22が半導体チップ10のソース部Sと接続可能である。4つの信号用パターン22(221~224)は、例えば、ゲート部Gと接続可能な2つの信号用パターン222、223が、第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23を挟んで一対で配置され、かつ、ソース部Sと接続可能な2つの信号用パターン221、224が、第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23を挟んで一対で配置される。具体的には、4つの信号用パターン22(221~224)は、第2方向Yにおいて、内側(3つの電源用パターン23側)の2つの信号用パターン222、223が半導体チップ10のゲート部Gと接続可能であり、外側(3つの電源用パターン23とは反対側)の2つの信号用パターン221、224が半導体チップ10のソース部Sと接続可能である。
【0024】
3つの電源用パターン23(231~233)は、電源電力を伝送可能な導電性のパターンである。3つの電源用パターン23は、基材21に設けられ、線状に形成されている。3つの電源用パターン23は、直線状に形成され、第1方向Xに沿って互いに平行に延在している。そして、3つの電源用パターン23と2つの信号用パターン22とは、第1方向Xに沿って互いに平行に延在している。3つの電源用パターン23は、それぞれが同じ太さに形成されており、つまり第2方向Yの幅長が同じ長さに形成されており、4つの信号用パターン22よりも太く形成されている。3つの電源用パターン23は、それぞれの第1方向Xの長さが全て同じ長さに形成され、この例では、4つの信号用パターン22の第1方向Xの長さと同じ長さに形成されている。3つの電源用パターン23は、第2方向Yにおいて、2つの信号用パターン221、222と残りの2つの信号用パターン223、224との間に挟まれて配置している。3つの電源用パターン23は、第1方向Xにおける一方側のそれぞれの端部の位置が揃っており、第1方向Xにおける他方側のそれぞれの端部の位置も揃っている。さらに、3つの電源用パターン23は、第1方向Xにおける一方側のそれぞれの端部の位置が、4つの信号用パターン22の第1方向Xにおける一方側のそれぞれの端部の位置と揃っており、第1方向Xにおける他方側のそれぞれの端部の位置も、4つの信号用パターン22の第1方向Xにおける他方側のそれぞれの端部の位置と揃っている。3つの電源用パターン23は、第2方向Yに沿って順番に、第1電源用パターン231、第2電源用パターン232、及び、第3電源用パターン233から構成されている。第1、第3電源用パターン231、233は、半導体チップ10を実装可能かつ当該実装された半導体チップ10のドレイン部Dと接続可能なドレイン用の電源用接続パターンである。第2電源用パターン232は、当該実装された半導体チップ10のソース部Sと接続可能なソース用の電源用接続パターンである。3つの電源用パターン23は、半導体チップ10を実装可能な2つの第1、第3電源用パターン231、233が、第2方向Yに沿ってそれぞれ両側に配置され、半導体チップ10のソース部Sと接続可能な第2電源用パターン232が第2方向Yに沿って中央に配置されている。言い換えれば、3つの電源用パターン23(231~233)は、第2方向Yに沿って、半導体チップ10を実装可能な2つの第1、第3電源用パターン231、233の間に、ソース部Sと接続可能な1つの第2電源用パターン232が配置されている。半導体チップ10を実装可能な2つの第1、第3電源用パターン231、233は、ドレイン部Dに対する信号用パターン22としても兼用可能である。
【0025】
2つの外部接続パターン24は、電源電力を伝送可能な導電性のパターンである。2つの外部接続パターン24は、基材21に設けられ、線状に形成されている。2つの外部接続パターン24は、直線状に形成され、第2方向Yに沿って互いに平行に延在している。2つの外部接続パターン24は、それぞれが同じ太さに形成されており、つまり第1方向Xの幅長が同じ長さに形成されており、上述の3つの電源用パターン23と同等の太さに形成されている。2つの外部接続パターン24は、それぞれの第2方向Yの長さが同じ長さに形成され、第1方向Xに沿って少なくとも3つの電源用パターン23を挟んで一対で設けられている。典型的には、2つの外部接続パターン24は、第1方向Xに沿って3つの電源用パターン23及び4つの信号用パターン22を挟んで一対で設けられる。言い換えれば、2つの外部接続パターン24(241、242)は、第1方向Xにおいて、3つの電源用パターン23及び4つの信号用パターン22の一方側に第1外部接続パターン241が配置され、3つの電源用パターン23及び4つの信号用パターン22の他方側に第2外部接続パターン242が配置されている。2つの外部接続パターン24は、第2方向Yにおける一方側のそれぞれの端部の位置が揃っており、第2方向Yにおける他方側のそれぞれの端部の位置も揃っている。外部接続パターン24は、3つの電源用パターン23のいずれか1つと接続可能かつ基板20の外側に位置する外部接続相手(後述する電源用端子42、他の外部接続パターン24)と接続可能である。
【0026】
ベース部30は、3つの基板20を載置するものである。ベース部30は、熱伝導性を有する金属部材から形成され、平板状且つ矩形状に構成されている。ベース部30は、熱伝導性を有することにより、基板20に搭載された半導体チップ10により生じる熱を効率的に放熱することができる。ベース部30は、第3方向Zにおいて、一対の面部を有し、一方側の面部には3つの基板20及びケース40が搭載される基板搭載面N(
図1参照)が設けられている。
【0027】
ケース40は、半導体チップ10が実装された基板20を収容する筐体である。ケース40は、ケース本体41と、電源用端子42と、信号用端子43と、中継用端子44とを含んで構成される。
【0028】
ケース本体41は、樹脂等の絶縁性部材により形成され、3つの収容部411を有している。3つの収容部411は、基板20の外形に合わせて矩形状に形成され、第2方向Yに沿って並んで配置されている。3つの収容部411は、それぞれが基板20を個別に収容する。
【0029】
電源用端子42は、電源系統に接続される端子であり、ケース本体41に設けられている。電源用端子42は、第1端子421と、第2端子422とを含んで構成される。第1端子421と第2端子422は、ケース本体41の1つの収容部411に対して1つずつ設けられている。第1端子421は、1つの収容部411における第1方向Xの一方側に設けられている。第2端子422は、1つの収容部411における第1方向Xの他方側に設けられている。第1端子421及び第2端子422は、3つの収容部411に対してそれぞれ設けられている。第1端子421及び第2端子422は、電源用パターン23に接続可能であり、例えば、第1端子421が電源の正極及び電源用パターン23に接続され、第2端子422が負荷部及び電源用パターン23に接続される。
【0030】
信号用端子43は、制御系統に接続される端子であり、ケース本体41に設けられている。信号用端子43は、例えば、ケース本体41の1つの収容部411に対して6つ設けられている。6つの信号用端子43(D11、G11、S11、D12、G12、S12)は、3つの収容部411に対してそれぞれ設けられている。6つの信号用端子43は、3つの信号用端子43(D11、G11、S11)が1つの収容部411の第2方向Yにおける一方側に設けられ、残り3つの信号用端子43(D12、G12、S12)が1つの収容部411の第2方向Yにおける他方側に設けられている。6つの信号用端子43は、信号用パターン22に接続可能である。
【0031】
中継用端子44は、隣り合う基板20を互いに接続する端子である。中継用端子44は、ケース40に設けられ、第2方向Yにおいて隣り合う基板20の間に配置されている。中継用端子44は、例えば、中央の基板20の外部接続パターン24と、当該中央の基板20の第2方向Yにおける一方側に位置する基板20の外部接続パターン24との間に配置されている。さらに、中継用端子44は、中央の基板20の外部接続パターン24と、当該中央の基板20の第2方向Yにおける他方側に位置する基板20の外部接続パターン24との間に配置されている。中継用端子44は、外部接続パターン24を介して隣り合う基板20を互いに接続する。上述のように構成されるケース40は、基板20が載置されるベース部30に組み付けられる。例えば、ケース40は、当該ベース部30に接着され固定される。そして、半導体モジュール1は、半導体チップ10が実装された基板20及びケース40がベース部30に組み付けられた状態で、基板20上の半導体チップ10等が樹脂で封止される。
【0032】
〔第1バリエーション〕
次に、上記基本構成で説明した基板20に半導体チップ10を実装して単方向回路P1を構成する例について説明する。
図4は、第1実施形態に係る半導体モジュール1の構成例(第1バリエーション)を示す平面図である。
図5は、第1実施形態に係る半導体モジュール1の構成例(第1バリエーション)を示す回路図である。なお、
図5の回路図では、
図4に示す半導体モジュール1の構成例を簡略化して図示している。
【0033】
図4に示す半導体モジュール1は、例えば、車両の電源系統に設けられ、当該車両の電源から負荷部に単方向(一方向)に流れる電流を通電又は遮断するものである。半導体モジュール1は、半導体チップ10と、基板20と、ベース部30と、ケース40とを備える。半導体モジュール1は、車両の電源系統において、様々な箇所に配置可能である。半導体モジュール1は、例えば、電源+側と負荷部との間に配置された場合、電源用端子42の第1端子421が車両の電源+側に接続され、電源用端子42の第2端子422が負荷部に接続される。また、半導体モジュール1は、電源-側と負荷部との間に配置された場合、電源用端子42の第1端子421が負荷部に接続され、電源用端子42の第2端子422が車両の電源-側に接続される。また、半導体モジュール1は、電源用端子42の第1端子421がワイヤWaを介して第1外部接続パターン241に接続され、電源用端子42の第2端子422がワイヤWaを介して第2外部接続パターン242に接続されている。さらに、半導体モジュール1は、第1外部接続パターン241がワイヤWaを介して第1電源用パターン231に接続され、第2外部接続パターン242がワイヤWaを介して第2電源用パターン232に接続されている。
【0034】
半導体チップ(実装半導体チップ)10は、電源用パターン23上に3つ実装され、それぞれの半導体チップ10が電源用パターン23に並列に接続されている。3つの半導体チップ10は、例えば、それぞれが第1電源用パターン231上に実装され、それぞれの半導体チップ10のドレイン部Dが第1電源用パターン231に直接接続され、それぞれの半導体チップ10のソース部SがワイヤWaを介して第2電源用パターン232に接続されている。言い換えれば、3つの電源用パターン23は、1つの第1電源用パターン231が半導体チップ10を実装しかつ当該実装された半導体チップ10のドレイン部Dと接続される電源用接続パターンであり、別の1つの第2電源用パターン232がワイヤWaを介して半導体チップ10のソース部Sと接続される電源用接続パターンである。そして、残り1つの第3電源用パターン233は、半導体チップ10のドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gに接続されない電源用非接続パターンである。つまり、電源用非接続パターンである第3電源用パターン233には、電源から負荷部に電力を供給する際に電流が流れない。
【0035】
また、3つの半導体チップ10は、それぞれのソース部SがワイヤWbを介してソース用の信号用パターン221に接続され、それぞれのゲート部GがワイヤWbを介してゲート用の信号用パターン222に接続されている。言い換えれば、信号用パターン22は、1つの信号用パターン222が半導体チップ10のゲート部Gと接続される信号用接続パターンであり、別の1つの信号用パターン221が各半導体チップ10のソース部Sと接続される信号用接続パターンである。そして、残り2つの信号用パターン223、224は、ドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gに接続されない信号用非接続パターンである。そして、信号用接続パターンである2つの信号用パターン221、222には、各半導体チップ10を制御する際に制御信号が流れ、信号用非接続パターンである2つの信号用パターン223、224には、各半導体チップ10を制御する際に制御信号が流れない。
【0036】
ソース用の信号用パターン221は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S11(S21、S31)に接続され、ゲート用の信号用パターン222は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G11(G21、G31)に接続されている。第1電源用パターン231は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D11(D21、D31)に接続されている。ケース40の各信号用端子S11(S21、S31)、D11(D21、D31)、G11(G21、G31)は、外部の制御部(図示省略)に接続される。各半導体チップ10は、当該制御部から出力される制御信号に応じて電源用パターン23に単方向に流れる電流を通電又は遮断する単方向回路P1(
図5参照)を構成する。例えば、各半導体チップ10は、当該制御部によりゲート部Gに印加される電圧(制御信号)に応じて電源用パターン23に単方向に流れる電流を通電又は遮断する。
【0037】
なお、
図4に示す半導体モジュール1は、各半導体チップ10が実装された3つの基板20がケース40に収容され、同じ単方向回路P1を3つ構成している。そして、それぞれの当該基板20は、同じ構成となっているので、その他の基板20については詳細な説明を省略する。
【0038】
〔第2バリエーション〕
次に、第2バリエーションに係る半導体モジュール1Aについて説明する。半導体モジュール1Aは、双方向回路P2を構成する点で第1バリエーションに係る半導体モジュール1とは異なる。
図6は、第1実施形態に係る半導体モジュール1Aの構成例(第2バリエーション)を示す平面図である。
図7は、第1実施形態に係る半導体モジュール1Aの構成例(第2バリエーション)を示す回路図である。なお、
図7の回路図では、
図6に示す半導体モジュール1Aの構成例を簡略化して図示している。
【0039】
図6に示す半導体モジュール1Aは、例えば、車両の電源系統に設けられ、当該車両の電源と負荷部との間で双方向に流れる電流を通電又は遮断するものである。半導体モジュール1Aは、半導体チップ10A、10Bと、基板20と、ベース部30と、ケース40とを備える。半導体モジュール1Aは、電源用端子42の第1端子421が車両の電源に接続され、電源用端子42の第2端子422が負荷部に接続される。半導体モジュール1Aは、電源用端子42の第1端子421がワイヤWaを介して第1外部接続パターン241に接続され、電源用端子42の第2端子422がワイヤWaを介して第2外部接続パターン242に接続されている。半導体モジュール1Aは、第1外部接続パターン241がワイヤWaを介して第1電源用パターン231に接続され、第2外部接続パターン242がワイヤWaを介して第3電源用パターン233に接続されている。
【0040】
実装半導体チップとしての半導体チップ10A、10Bは、電源用パターン23上に6つ実装され、そのうち3つの半導体チップ10Aが電源用パターン23に並列に接続され、残り3つの半導体チップ10Bが別の電源用パターン23に並列に接続されている。3つの半導体チップ10Aは、例えば、それぞれが第1電源用パターン231上に実装され、それぞれの半導体チップ10Aのドレイン部Dが第1電源用パターン231に直接接続され、それぞれの半導体チップ10Aのソース部SがワイヤWaを介して第2電源用パターン232に接続されている。また、残り3つの半導体チップ10Bは、それぞれが第3電源用パターン233上に実装され、それぞれの半導体チップ10Bのドレイン部Dが第3電源用パターン233に直接接続され、それぞれの半導体チップ10Bのソース部SがワイヤWaを介して第2電源用パターン232に接続されている。言い換えれば、3つの電源用パターン23は、2つの第1、第3電源用パターン231、233が半導体チップ10A、10Bを実装しかつそれぞれが当該実装された半導体チップ10A、10Bのドレイン部Dと接続され、残り1つの第2電源用パターン232がワイヤWaを介して半導体チップ10A、10Bのソース部Sと接続されている。そして、3つの電源用パターン23は、半導体チップ10のドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gに接続されない電源用非接続パターンを含まず、全ての電源用パターン23が半導体チップ10のドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gの少なくとも1つに接続される電源用接続パターンである。
【0041】
3つの半導体チップ10Aは、それぞれのソース部SがワイヤWbを介してソース用の信号用パターン221に接続され、それぞれのゲート部GがワイヤWbを介してゲート用の信号用パターン222に接続されている。また、残り3つの半導体チップ10Bは、それぞれのソース部SがワイヤWbを介してソース用の信号用パターン224に接続され、それぞれのゲート部GがワイヤWbを介してゲート用の信号用パターン223に接続されている。言い換えれば、信号用パターン22は、2つの信号用パターン222、223が半導体チップ10A、10Bのゲート部Gのいずれかと接続され、残り2つの信号用パターン221、224が半導体チップ10A、10Bのソース部Sのいずれかと接続されている。そして、4つの信号用パターン22は、ドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gに接続されない信号用非接続パターンを含まず、全ての信号用パターン22がドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gのいずれかに接続される信号用接続パターンである。
【0042】
ソース用の信号用パターン221は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S11(S21、S31)に接続され、ゲート用の信号用パターン222は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G11(G21、G31)に接続されている。また、ソース用の信号用パターン224は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S12(S22、S32)に接続され、ゲート用の信号用パターン223は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G12(G22、G32)に接続されている。
【0043】
第1電源用パターン231は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D11(D21、D31)に接続されている。また、第3電源用パターン233は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D12(D22、D32)に接続されている。ケース40の各信号用端子S11、S12(S21、S22、S31、S32)、D11、D12(D21、D22、D31、D32)、G11、G12(G21、G22、G31、G32)は、外部の制御部(図示省略)に接続される。各半導体チップ10A、10Bは、当該制御部から出力される制御信号に応じて電源用パターン23に双方向に流れる電流を通電又は遮断する双方向回路P2(
図7参照)を構成する。例えば、各半導体チップ10A、10Bは、当該制御部によりゲート部Gに印加される電圧(制御信号)に応じて電源用パターン23に双方向に流れる電流を通電又は遮断する。
【0044】
なお、
図6に示す半導体モジュール1Aは、各半導体チップ10A、10Bが実装された3つの基板20がケース40に収容され、同じ双方向回路P2を3つ構成している。そして、それぞれの当該基板20は、同じ構成となっているので、その他の基板20については詳細な説明を省略する。
【0045】
〔第3バリエーション〕
次に、第3バリエーションに係る半導体モジュール1Bについて説明する。半導体モジュール1Bは、3相のインバータ回路P3を構成する点で第1、第2バリエーションに係る半導体モジュール1、1Aとは異なる。
図8は、第1実施形態に係る半導体モジュール1Bの構成例(第3バリエーション)を示す平面図である。
図9は、第1実施形態に係る半導体モジュール1Bの構成例(第3バリエーション)を示す回路図である。
【0046】
図8に示す半導体モジュール1Bは、例えば、車両の電源系統に設けられ、当該車両の電源から供給される直流電力を交流電力に変換するものである。半導体モジュール1Bは、複数の半導体チップ10C、10Dと、3つの基板20と、ベース部30と、ケース40とを備える。半導体モジュール1Bは、半導体チップ10C、10Dが実装された3つの基板20は、第2方向Yに沿って並んで配置されている。半導体モジュール1Bは、ケース40の電源用端子42において、第1端子421が車両の電源の正極(+B)に接続され、第2端子422、第3端子423、第4端子424が負荷部の入力端子に接続され、第5端子425がグランドGNDに接続される。半導体モジュール1Bは、第1端子421が第1電源用パターン231に接続され、第2端子422が第3電源用パターン233に接続されている。半導体モジュール1Bは、第1電源用パターン231が第2外部接続パターン242に接続され、第2電源用パターン232が第1外部接続パターン241に接続されている。半導体モジュール1Bは、隣り合う基板20が、外部接続パターン24を介して互いに接続されている。つまり、半導体モジュール1Bは、第1外部接続パターン241が中継用端子44を介して隣の基板20の第1外部接続パターン241に接続され、第2外部接続パターン242が中継用端子44を介して隣の基板20の第2外部接続パターン242に接続されている。
【0047】
半導体チップ10C、10Dは、1つ目の基板20(第2方向Yの一方側の基板20)において、電源用パターン23上に6つ実装され、そのうち3つの半導体チップ10Cが電源用パターン23に並列に接続され、残り3つの半導体チップ10Dが別の電源用パターン23に並列に接続されている。3つの半導体チップ10Cは、例えば、それぞれが第1電源用パターン231上に実装され、それぞれの半導体チップ10Cのドレイン部Dが第1電源用パターン231に直接接続され、それぞれの半導体チップ10Cのソース部SがワイヤWaを介して第3電源用パターン233に接続されている。また、残り3つの半導体チップ10Dは、それぞれが第3電源用パターン233上に実装され、それぞれの半導体チップ10Dのドレイン部Dが第3電源用パターン233に直接接続され、それぞれの半導体チップ10Dのソース部SがワイヤWaを介して第2電源用パターン232に接続されている。言い換えれば、3つの電源用パターン23は、2つの第1、第3電源用パターン231、233が半導体チップ10C、10Dを実装しかつそれぞれが当該実装された半導体チップ10C、10Dのドレイン部Dと接続され、残り1つの第2電源用パターン232が1つの第3電源用パターン233に実装された半導体チップ10Dのソース部Sと接続されている。そして、3つの電源用パターン23は、ドレイン部Dと接続された2つの第1、第3電源用パターン231、233のうち1つの第3電源用パターン233が別の1つの第1電源用パターン231に実装された半導体チップ10Cのソース部Sと接続されている。
【0048】
3つの半導体チップ10Cは、それぞれのソース部SがワイヤWbを介してソース用の信号用パターン221に接続され、それぞれのゲート部GがワイヤWbを介してゲート用の信号用パターン222に接続されている。また、残り3つの半導体チップ10Dは、それぞれのソース部SがワイヤWbを介してソース用の信号用パターン224に接続され、それぞれのゲート部GがワイヤWbを介してゲート用の信号用パターン223に接続されている。言い換えれば、信号用パターン22は、2つの信号用パターン222、223が半導体チップ10のゲート部Gと接続され、残り2つの信号用パターン221、224が半導体チップ10のソース部Sと接続されている。
【0049】
ソース用の信号用パターン221は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S11に接続され、ゲート用の信号用パターン222は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G11に接続されている。また、ソース用の信号用パターン224は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S12に接続され、ゲート用の信号用パターン223は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G12に接続されている。
【0050】
第1電源用パターン231は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D11に接続されている。また、第3電源用パターン233は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D12に接続されている。ケース40の各信号用端子S11、S12、D11、D12、G11、G12は、外部の制御部(図示省略)に接続される。
【0051】
上述の1つ目の基板20とは別の基板20についても、上記基板20と同様に構成されている。すなわち、2つ目の基板20(第2方向Yの中央の基板20)において、半導体チップ10C、10Dは、電源用パターン23上に6つ実装され、そのうち3つの半導体チップ10Cが電源用パターン23に並列に接続され、残り3つの半導体チップ10Dが別の電源用パターン23に並列に接続されている。半導体チップ10C、10Dの接続関係は、上述した1つ目の基板20における接続関係と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0052】
ソース用の信号用パターン221は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S21に接続され、ゲート用の信号用パターン222は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G21に接続されている。また、ソース用の信号用パターン224は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S22に接続され、ゲート用の信号用パターン223は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G22に接続されている。
【0053】
第1電源用パターン231は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D21に接続されている。また、第3電源用パターン233は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D22に接続されている。ケース40の各信号用端子S21、S22、D21、D22、G21、G22は、外部の制御部(図示省略)に接続される。
【0054】
上述の1つ目、2つ目の基板20とは別の3つ目の基板20についても、1つ目、2つ目の基板20と同様に構成されている。すなわち、3つ目の基板20(第2方向Yの他方側の基板20)において、半導体チップ10C、10Dは、電源用パターン23上に6つ実装され、そのうち3つの半導体チップ10Cが電源用パターン23に並列に接続され、残り3つの半導体チップ10Dが別の電源用パターン23に並列に接続されている。半導体チップ10C、10Dの接続関係は、上述した1つ目の基板20における接続関係と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0055】
ソース用の信号用パターン221は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S31に接続され、ゲート用の信号用パターン222は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G31に接続されている。また、ソース用の信号用パターン224は、ワイヤWbを介してケース40のソース用の信号用端子S32に接続され、ゲート用の信号用パターン223は、ワイヤWbを介してケース40のゲート用の信号用端子G32に接続されている。
【0056】
第1電源用パターン231は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D31に接続されている。また、第3電源用パターン233は、ワイヤWbを介してケース40のドレイン用の信号用端子D32に接続されている。ケース40の各信号用端子S31、S32、D31、D32、G31、G32は、外部の制御部(図示省略)に接続される。各半導体チップ10C、10Dは、当該制御部から出力される制御信号に応じて直流電力を交流電力に変換するインバータ回路P3を構成する(
図9参照)を構成する。例えば、各半導体チップ10C、10Dは、当該制御部によりゲート部Gに印加される電圧(制御信号)に応じて直流電力を交流電力に変換する。
【0057】
以上のように、第1実施形態に係る半導体モジュール1は、半導体チップ10と、基板20とを備える。半導体チップ10は、対向する一対の面の一方にドレイン部Dが設けられ、他方の面にソース部S及びゲート部Gが設けられている。基板20は、半導体チップ10を実装可能であり、基材21、基材21に設けられ電源電力を伝送可能である3つの電源用パターン23、及び、基材21に設けられ制御信号を伝送可能である少なくとも2つの信号用パターン22を含む。3つの電源用パターン23と2つの信号用パターン22とは、第1方向Xに沿って互いに平行に延在している。3つの電源用パターン23は、2つの電源用パターン23が半導体チップ10を実装可能かつ当該実装された半導体チップ10のドレイン部Dと接続可能であり、残り1つの電源用パターン23が半導体チップ10のソース部Sと接続可能である。2つの信号用パターン22は、半導体チップ10のゲート部Gと接続可能である。
【0058】
この構成により、半導体モジュール1は、電源用パターン23に実装される半導体チップ10の組み合わせを変更することにより、同じ基板20を用いて複数種類の回路を実現することができる。そして、半導体モジュール1は、3つの電源用パターン23から構成されるので、回路の種類によっては使用しない電源用パターン23の増加を抑制した上で、様々な種類の回路を実現することができる。つまり、半導体モジュール1は、回路の汎用性を確保した上で、電源用パターン23の無駄を省くことができる。また、半導体モジュール1は、3つの電源用パターン23及び2つの信号用パターン22が、第1方向Xに沿って互いに平行に延在しているので、半導体チップ10との接続性を向上することができる。この結果、半導体モジュール1は、基板20(部品)を適正に共通化することができる。そして、半導体モジュール1は、当該半導体モジュール1を製造する際に、実現する回路の種類に応じて配線パターンが異なる複数の基板を用意する必要がなく、製造効率の低下を抑制できる。また、半導体モジュール1は、基板20の共通化により、設計工数の削減や部品管理コストの削減を実現することができる。半導体モジュール1は、基板20の共通化によりケース40も共通化することができるので、ケース40の信号用端子43の配置を同じ配置とすることができる。これにより、半導体モジュール1は、信号用端子43を介して半導体モジュール1を制御する制御部の基板を共通化することができる。
【0059】
上記半導体モジュール1において、3つの電源用パターン23は、第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って、半導体チップ10を実装可能な2つの電源用パターン23の間に、ソース部Sと接続可能な1つの電源用パターン23が配置される。信号用パターン22は、4つ設けられ、2つの信号用パターン22がゲート部Gと接続可能であり、残りの2つの信号用パターン22がソース部Sと接続可能である。そして、4つの信号用パターン22は、ゲート部Gと接続可能な2つの信号用パターン22が、第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23を挟んで一対で配置され、かつ、ソース部Sと接続可能な2つの信号用パターン22が、第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23を挟んで一対で配置される。半導体チップ10を実装可能な2つの電源用パターン23は、ドレイン部Dに対する信号用パターンとしても兼用可能である。
【0060】
この構成により、半導体モジュール1は、第2電源用パターン232を第1、第3電源用パターン231、233のソース用の電源用接続パターンとして兼用することができる。さらに、半導体モジュール1は、第2電源用パターン232が第1電源用パターン231と第3電源用パターン233との間に位置するので、電源用パターン23を跨ぐことなく、第1、第3電源用パターン231、233と第2電源用パターン232とを接続することができる。これにより、半導体モジュール1は、第1、第3電源用パターン231、233と第2電源用パターン232とを接続するワイヤWaを相対的に短くすることができる。半導体モジュール1は、4つの信号用パターン22が3つの電源用パターン23の外側に配置されるので、4つの信号用パターン22が3つの電源用パターン23の内側に配置される場合と比較して、4つの信号用パターン22に接続されるワイヤWbの長さを短くすることができる。これにより、半導体モジュール1は、ワイヤWbのインダクタ成分を小さくすることができ、半導体チップ10を駆動する周波数を相対的に高くすることができる。また、半導体モジュール1は、4つの信号用パターン22に接続されるワイヤWbが、3つの電源用パターン23と短絡することを抑制できる。さらに、半導体モジュール1は4つの信号用パターン22に接続されるワイヤWbにより、3つの電源用パターン23に接続されるワイヤWaの配策スペースが減少することを抑制できる。
【0061】
上記半導体モジュール1において、3つの電源用パターン23のいずれか1つと接続可能かつ基板20の外側に位置する外部接続相手(電源用端子42、隣りの外部接続パターン24)と接続可能であり、第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って延在し、第1方向Xに沿って少なくとも3つの電源用パターン23を挟んで一対で設けられる外部接続パターン24をさらに備える。この構成により、半導体モジュール1は、例えば、外部接続パターン24を介して、隣り合う基板20を接続することができるので、拡張性を向上することができる。
【0062】
上記半導体モジュール1において、基板20が載置されるベース部30と、基板20が載置されたベース部30に組み付けられるケース40とをさらに備える。ケース40は、ケース本体41と、ケース本体41に設けられ電源用パターン23に接続可能な電源用端子42と、ケース本体41に設けられ信号用パターン22に接続可能な信号用端子43とを含んで構成される。この構成により、半導体モジュール1は、ケース40の電源用端子42を介して基板20を電源及び負荷部に接続することができると共に、ケース40の信号用端子43を介して基板20を制御部に接続することができるので、接続性を向上させることができる。
【0063】
上記半導体モジュール1において、3つの電源用パターン23は、1つの電源用パターン23が半導体チップ10を実装しかつ当該実装された半導体チップ10のドレイン部Dと接続される電源用接続パターンであり、別の1つの電源用パターン23が半導体チップ10のソース部Sと接続される電源用接続パターンであり、残り1つの電源用パターン23がドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gに接続されない電源用非接続パターンである。信号用パターン22は、4つ設けられ、1つの信号用パターン22が半導体チップ10のゲート部Gと接続される信号用接続パターンであり、別の1つの信号用パターン22が半導体チップ10のソース部Sと接続される信号用接続パターンであり、残り2つの信号用パターン22がドレイン部D、ソース部S、及び、ゲート部Gと接続されない電源用非接続パターンである。そして、半導体チップ10は、当該電源用パターン23に単方向に流れる電流を通電又は遮断する単方向回路P1を構成する。このように、半導体モジュール1は、基板20に実装される半導体チップ10の配置に応じてバリエーションの1つとして単方向回路P1を構成することができる。
【0064】
上記半導体モジュール1Aにおいて、3つの電源用パターン23は、2つの電源用パターン23が半導体チップ10を実装しかつそれぞれが当該実装された半導体チップ10のドレイン部Dと接続され、残り1つの電源用パターン23が半導体チップ10のソース部Sと接続される。信号用パターン22は、4つ設けられ、2つの信号用パターン22が半導体チップ10のいずれかのゲート部Gと接続され、残り2つの信号用パターン22が半導体チップ10のいずれかのソース部Sと接続される。そして、半導体チップ10は、当該電源用パターン23に双方向に流れる電流を通電又は遮断する双方向回路P2を構成する。このように、半導体モジュール1Aは、基板20に実装される半導体チップ10の配置に応じてバリエーションの1つとして双方向回路P2を構成することができる。
【0065】
上記半導体モジュール1Bにおいて、3つの電源用パターン23のいずれか1つと接続可能かつ基板20の外側に位置する外部接続パターン24と接続可能であり、第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って延在し、第1方向Xに沿って少なくとも3つの電源用パターン23を挟んで一対で設けられる外部接続パターン24をさらに備える。半導体チップ10が実装された基板20は、3つ設けられ、それぞれが第1方向Xと直交する第2方向Yに沿って並んで配置される。隣り合う基板20は、外部接続パターン24を介して互いに接続される。それぞれの基板20において、3つの電源用パターン23は、2つの電源用パターン23が半導体チップ10を実装しかつそれぞれが当該実装された半導体チップ10のドレイン部Dと接続され、残り1つの電源用パターン23が1つの電源用パターン23に実装された半導体チップ10のソース部Sと接続され、ドレイン部Dと接続された2つの電源用パターン23のうち一方の電源用パターン23が他方の電源用パターン23に実装された半導体チップ10のソース部Sと接続される。信号用パターン22は、4つ設けられ、2つの信号用パターン22が半導体チップ10のいずれかのゲート部Gと接続され、残り2つの信号用パターン22が半導体チップ10のいずれかのソース部Sと接続される。そして、半導体チップ10は、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路P3を構成する。このように、半導体モジュール1Bは、基板20に実装される半導体チップ10の配置に応じてバリエーションの1つとしてインバータ回路P3を構成することができる。
【0066】
〔第1実施形態の変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。なお、変形例では、実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図10は、第1実施形態の変形例に係る半導体モジュール1Cの構成例を示す平面図である。
図11は、第1実施形態の変形例に係る半導体モジュール1Cの構成例を示す回路図である。半導体モジュール1Cは、外部接続パターン24Aが基板20Aに設けられるのではなく、ケース40Aに設けられる点で第1実施形態の半導体モジュール1とは異なる。
【0067】
半導体モジュール1Cは、半導体チップ10と、基板20Aと、ベース部30と、ケース40Aとを備える。
【0068】
基板20Aは、基材21と、信号用パターン22(221~224)と、電源用パターン23(231~233)とを含んで構成され、外部接続パターン24Aを含んでいない。
【0069】
ケース40Aは、ケース本体41と、電源用端子42(421、422)と、信号用端子43(D11、S11、G11、D12、S12、G12等)と、外部接続パターン24Aとを含んで構成される。外部接続パターン24Aは、それぞれの基板20Aにおいて、ケース本体41に2つ設けられ、線状に形成されている。2つの外部接続パターン24A(241A、242A)は、直線状に形成され、第2方向Yに沿って互いに平行に延在している。2つの外部接続パターン241A、242Aは、それぞれが同じ太さに形成されており、つまり第1方向Xの幅長が同じ長さに形成されている。2つの外部接続パターン241A、242Aは、それぞれの第2方向Yの長さが同じ長さに形成され、第1方向Xに沿って少なくとも3つの電源用パターン23(231~233)を挟んで一対で設けられている。典型的には、2つの外部接続パターン241A、242Aは、第1方向Xに沿って3つの電源用パターン23(231~233)及び4つの信号用パターン22(221~224)を挟んで一対で設けられる。2つの外部接続パターン241A、242Aは、第2方向Yにおける一方側のそれぞれの端部の位置が揃っており、第2方向Yにおける他方側のそれぞれの端部の位置も揃っている。2つの外部接続パターン241A、242Aは、3つの電源用パターン23のいずれか1つと接続可能かつ基板20Aの外側に位置する外部接続相手(電源用端子42(421、422)、他の外部接続パターン24A)と接続可能である。このように、半導体モジュール1Cは、それぞれの基板20Aにおいて、2つの外部接続パターン241A、242Aをケース40Aに設ける構成であってもよい。なお、
図10及び
図11では、半導体モジュール1Cは、上述した単方向回路P1を構成する例を図示している。
【0070】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る半導体モジュール1Dについて説明する。
図12は、第2実施形態に係る半導体モジュール1Dの基本構成例を示す分解斜視図である。半導体モジュール1Dは、基板20Bを1つ有する点で第1実施形態に係る半導体モジュール1とは異なる。
【0071】
半導体モジュール1Dの基本構成は、
図12に示すように、半導体チップ10と、基板20Bと、ベース部30Aと、ケース40Bとを備える。そして、半導体モジュール1Dは、この基本構成に対して半導体チップ10が実装されることで、半導体チップ10の構成に応じた各種半導体回路を構成する。
【0072】
基板20Bは、基材21と、信号用パターン22と、電源用パターン23とを含んで構成され、外部接続パターン24を含んでいない。
【0073】
ベース部30Aは、1つの基板20Bを載置するものである。ベース部30Aは、熱伝導性を有する金属部材から形成され、平板状且つ矩形状に構成されている。ベース部30Aは、第3方向Zにおいて、一対の面部を有し、一方側の面部には1つの基板20B及びケース40Aが搭載される基板搭載面Nが設けられている。
【0074】
ケース40Aは、半導体チップ10が実装された基板20Bを収容する筐体である。ケース40Aは、ケース本体41Aと、電源用端子42と、信号用端子43とを含んで構成され、中継用端子44を含んでいない。
【0075】
ケース本体41Aは、樹脂等の絶縁性部材により形成され、1つの収容部411を有している。1つの収容部411は、基板20Bの外形に合わせて矩形状に形成されている。
【0076】
電源用端子42は、ケース本体41Aに設けられ、第1端子421と、第2端子422を含んで構成される。第1端子421は、1つの収容部411における第1方向Xの一方側に設けられている。第2端子422は、第2端子422は、1つの収容部411における第1方向Xの他方側に設けられている。
【0077】
信号用端子43は、ケース本体41Aに設けられ、ソース用の信号用端子S11、S12と、ドレイン用の信号用端子D11、D12と、ゲート用の信号用端子G11、G12とを含んで構成される。ソース用の信号用端子S11、ドレイン用の信号用端子D11、及び、ゲート用の信号用端子G11は、1つの収容部411の第2方向Yにおける一方側に設けられている。また、ソース用の信号用端子S12、ドレイン用の信号用端子D12、及び、ゲート用の信号用端子G12は、1つの収容部411の第2方向Yにおける他方側に設けられている。
【0078】
半導体モジュール1Dは、外部接続パターン24及び中継用端子44を含まない点で、半導体モジュール1よりも構成を簡略化することができる。
【0079】
〔第2実施形態の第1バリエーション〕
次に、上記基本構成で説明した基板20Bに半導体チップ10を実装してケース40Aに収容し、1つの単方向回路P1を構成する例について説明する。
図13は、第2実施形態に係る半導体モジュール1Dの構成例(第1バリエーション)を示す平面図である。
図14は、第2実施形態に係る半導体モジュール1Dの構成例(第1バリエーション)を示す回路図である。なお、
図14の回路図では、
図13に示す半導体モジュール1Dの構成例を簡略化して図示している。
【0080】
図13に示す半導体モジュール1Dは、例えば、車両の電源系統に設けられ、当該車両の電源から負荷部に単方向(一方向)に流れる電流を通電又は遮断するものである。半導体モジュール1Dは、車両の電源系統において、様々な箇所に配置可能である。半導体モジュール1Dは、例えば、電源+側と負荷部との間に配置された場合、電源用端子42の第1端子421が車両の電源+側に接続され、電源用端子42の第2端子422が負荷部に接続される。また、半導体モジュール1Dは、電源-側と負荷部との間に配置された場合、電源用端子42の第1端子421が負荷部に接続され、電源用端子42の第2端子422が車両の電源-側に接続される。また、半導体モジュール1Dは、電源用端子42の第1端子421がワイヤWaを介して第1電源用パターン231に接続され、電源用端子42の第2端子422がワイヤWaを介して第2電源用パターン232に接続されている。なお、3つの半導体チップ10や信号用パターン22の接続関係は、
図4に示した半導体モジュール1と同等であるため、その説明を省略する。このように、半導体モジュール1Dは、1つの単方向回路P1を構成するようにしてもよい。
【0081】
〔第2実施形態の第2バリエーション〕
次に、第2実施形態の第2バリエーションに係る半導体モジュール1Eについて説明する。半導体モジュール1Eは、双方向回路P2を構成する点で第2実施形態の第1バリエーションに係る半導体モジュール1Dとは異なる。
図15は、第2実施形態に係る半導体モジュール1Eの構成例(第2バリエーション)を示す平面図である。
図16は、第2実施形態に係る半導体モジュール1Eの構成例(第2バリエーション)を示す回路図である。なお、
図16の回路図では、
図15に示す半導体モジュール1Eの構成例を簡略化して図示している。
【0082】
図15に示す半導体モジュール1Eは、例えば、車両の電源系統に設けられ、当該車両の電源から負荷部に双方向に流れる電流を通電又は遮断するものである。半導体モジュール1Eは、例えば、電源用端子42の第1端子421が車両の電源に接続され、電源用端子42の第2端子422が負荷部に接続される。半導体モジュール1Eは、双方向回路のため、電源用端子42の第1端子421が負荷部に接続され、電源用端子42の第2端子422が車両の電源に接続されてもよい。また、半導体モジュール1Eは、電源用端子42の第1端子421がワイヤWaを介して第1電源用パターン231に接続され、電源用端子42の第2端子422がワイヤWaを介して第3電源用パターン233に接続されている。なお、6つの半導体チップ10や信号用パターン22の接続関係は、
図6に示した半導体モジュール1Aと同等であるため、その説明を省略する。このように、半導体モジュール1Eは、1つの双方向回路P2を構成するようにしてもよい。
【0083】
なお、上記説明では、3つの電源用パターン23は、半導体チップ10を実装可能な2つの電源用パターン23が、第2方向Yに沿ってそれぞれ両側に配置され、ソース部Sと接続可能な1つの電源用パターン23が第2方向Yに沿って中央に配置される例について説明したが、これに限定されない。例えば、3つの電源用パターン23は、半導体チップ10を実装可能な2つの電源用パターン23が、第2方向Yに沿って一方側に配置され、ソース部Sと接続可能な1つの電源用パターン23が第2方向Yに沿って他方側に配置されてもよい。
【0084】
信号用パターン22は、4つ設けられる例について説明したが、これに限定されず、少なくとも2つ設ければよい。信号用パターン22が2つの場合、各信号用パターン22は、ゲート部Gと接続可能である。
【0085】
4つの信号用パターン22は、2つの信号用パターン22と残りの2つの信号用パターン22とが、第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23を挟んで一対で配置される例について説明したが、これに限定されない。例えば、4つの信号用パターン22は、第2方向Yに沿って3つの電源用パターン23の間に設けられてもよい。
【0086】
4つの信号用パターン22(221~224)は、第2方向Yにおいて、内側(3つの電源用パターン23側)の2つの信号用パターン222、223が半導体チップ10のゲート部Gと接続可能であり、外側(3つの電源用パターン23とは反対側)の2つの信号用パターン221、224が半導体チップ10のソース部Sと接続可能である例について説明したが、これに限定されない。例えば、4つの信号用パターン22(221~224)は、第2方向Yにおいて、内側(3つの電源用パターン23側)の2つの信号用パターン222、223が半導体チップ10のソース部Sと接続可能であり、外側(3つの電源用パターン23とは反対側)の2つの信号用パターン221、224が半導体チップ10のゲート部Gと接続可能であってもよい。
【0087】
半導体チップ10は、Nチャネル型のMOSFETである例について説明したが、これに限定されず、例えば、Pチャネル型のMOSFETであってもよい。
【0088】
4つの信号用パターン22は、それぞれの第1方向Xの長さが全て同じ長さに形成され、同じ太さに形成される例について説明したが、これに限定されず、それぞれが異なる長さや太さであってもよい。
【0089】
3つの電源用パターン23は、それぞれの第1方向Xの長さが全て同じ長さに形成され、同じ太さに形成される例について説明したが、これに限定されず、それぞれが異なる長さや太さであってもよい。
【0090】
4つの信号用パターン22は、3つの電源用パターン23と同じ長さに形成される例について説明したが、これに限定されず、3つの電源用パターン23とは異なる長さであってもよい。4つの信号用パターン22は、例えば、3つの電源用パターン23よりも短くてもよいし、3つの電源用パターン23よりも長くてもよい。
【0091】
ベース部30は、平板状且つ矩形状に構成される例について説明したが、これに限定されず、例えば、放熱フィンを設けて放熱性を高めるように構成してもよい。
【0092】
〔参考例〕
3つの電源用パターン23は、直線状に形成される例について説明したが、参考例として、L字形状としてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1、1A、1B、1C、1D、1E 半導体モジュール
10、10A、10B、10C、10D 半導体チップ
20 基板
21 基材
23 電源用パターン
231 第1電源用パターン
232 第2電源用パターン
233 第3電源用パターン
22、221、222、223、224 信号用パターン
24、24A 外部接続パターン(外部接続相手)
30 ベース部
40、40A、40B ケース
41 ケース本体
42 電源用端子(外部接続相手)
43 信号用端子
D ドレイン部
S ソース部
G ゲート部
P1 単方向回路
P2 双方向回路
P3 インバータ回路
X 第1方向
Y 第2方向