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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】基板保持装置、および、基板保持方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230418BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/302 201B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020157121
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022050928
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】水野 博喜
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-302551(JP,A)
【文献】特開平07-153750(JP,A)
【文献】特開2020-042116(JP,A)
【文献】特開2018-101676(JP,A)
【文献】特開2013-168461(JP,A)
【文献】特開2020-136480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内において、少なくとも中央部が凸に湾曲されたステージの上面に基板を配置する工程と、
前記基板の両端部を、前記ステージの前記上面に設けられる少なくとも一対のクランプを用いて保持する工程とを備え
前記基板の上面には、薄膜が形成されており、
複数の照射部から前記真空チャンバ内に光を照射することによって、前記薄膜を部分的に除去する工程をさらに備え、
それぞれの前記照射部から照射される前記光の光軸は、前記ステージの前記上面と直交し、
それぞれの前記照射部と前記ステージの前記上面との間の距離が等しい、
基板保持方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板保持方法であり、
前記基板を配置する工程は、前記真空チャンバ内において、第1の方向に沿って湾曲する前記ステージの前記上面に前記基板を配置する工程であり、
前記基板の前記両端部を保持する工程は、前記基板の、前記第1の方向における前記両端部を、前記ステージの前記上面に設けられる前記少なくとも一対のクランプを用いて保持する工程である、
基板保持方法。
【請求項3】
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に設けられ、かつ、少なくとも中央部が凸に湾曲するステージと、
前記ステージの上面に設けられ、かつ、前記上面に配置される基板の両端部を保持するための少なくとも一対のクランプとを備え
前記基板の上面には、薄膜が形成されており、
前記真空チャンバ内に光を照射することによって前記薄膜を部分的に除去する複数の照射部をさらに備え、
それぞれの前記照射部から照射される前記光の光軸は、前記ステージの前記上面と直交し、
それぞれの前記照射部と前記ステージの前記上面との間の距離が等しい、
基板保持装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板保持装置であり、
前記ステージは、第1の方向に沿って湾曲し、
前記少なくとも一対のクランプは、前記上面に配置される前記基板の、前記第1の方向における前記両端部を保持する、
基板保持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板保持装置であり、
前記クランプは、前記ステージの前記上面において、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向において延びて設けられる、
基板保持装置。
【請求項6】
請求項4に記載の基板保持装置であり、
前記クランプは、前記ステージの前記上面において、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向において複数に離間して設けられる、
基板保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板保持装置、および、基板保持方法に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の製造工程では、基板処理装置を用いて基板に対して様々な処理が行われている。
【0003】
基板処理の際に基板を保持する方法としては、真空吸着による真空チャックなどが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-040805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、真空チャンバ内で基板処理を行う場合には、上記のような真空チャックを用いて基板を適切に保持することは困難である。
【0006】
また、基板処理に用いられる基板には湾曲しているものも含まれるため、そのような基板も含めて適切に保持することが望まれる。
【0007】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、真空チャンバ内において、湾曲している基板であっても適切に保持するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である基板保持方法は、真空チャンバ内において、少なくとも中央部が凸に湾曲されたステージの上面に基板を配置する工程と、前記基板の両端部を、前記ステージの前記上面に設けられる少なくとも一対のクランプを用いて保持する工程とを備え、前記基板の上面には、薄膜が形成されており、複数の照射部から前記真空チャンバ内に光を照射することによって、前記薄膜を部分的に除去する工程をさらに備え、それぞれの前記照射部から照射される前記光の光軸は、前記ステージの前記上面と直交し、それぞれの前記照射部と前記ステージの前記上面との間の距離が等しい
【0009】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である基板保持方法は、第1の態様である基板保持方法に関連し、前記基板を配置する工程は、前記真空チャンバ内において、第1の方向に沿って湾曲する前記ステージの前記上面に前記基板を配置する工程であり、前記基板の前記両端部を保持する工程は、前記基板の、前記第1の方向における前記両端部を、前記ステージの前記上面に設けられる前記少なくとも一対のクランプを用いて保持する工程である。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第3の態様である基板保持装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内に設けられ、かつ、少なくとも中央部が凸に湾曲するステージと、前記ステージの上面に設けられ、かつ、前記上面に配置される基板の両端部を保持するための少なくとも一対のクランプとを備え、前記基板の上面には、薄膜が形成されており、前記真空チャンバ内に光を照射することによって前記薄膜を部分的に除去する複数の照射部をさらに備え、それぞれの前記照射部から照射される前記光の光軸は、前記ステージの前記上面と直交し、それぞれの前記照射部と前記ステージの前記上面との間の距離が等しい
【0011】
本願明細書に開示される技術の第4の態様である基板保持装置は、第3の態様である基板保持装置に関連し、前記ステージは、第1の方向に沿って湾曲し、前記少なくとも一対のクランプは、前記上面に配置される前記基板の、前記第1の方向における前記両端部を保持する。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第5の態様である基板保持装置は、第4の態様である基板保持装置に関連し、前記クランプは、前記ステージの前記上面において、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向において延びて設けられる。
【0013】
本願明細書に開示される技術の第6の態様である基板保持装置は、第4の態様である基板保持装置に関連し、前記クランプは、前記ステージの前記上面において、前記第1の方向と交差する方向である第2の方向において複数に離間して設けられる。
【発明の効果】
【0017】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1、3の態様によれば、湾曲している基板であっても、ステージの上面に沿って湾曲しつつ適切に保持される。
【0018】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に関する、真空処理装置の構成の例を概略的に示す斜視図である。
図2】実施の形態に関する真空処理装置の、真空チャンバの内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
図3】変形例としての真空処理装置の、真空チャンバの内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
図4】基板がステージに配置される際の動作の例を示す斜視図である。
図5】基板がステージに配置される際の動作の例を示す斜視図である。
図6】基板がステージに配置される際の動作の例を示す斜視図である。
図7】ステージに備えられるクランプの変形例を示す斜視図である。
図8】変形例としての真空処理装置の、真空チャンバの内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0021】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0022】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0023】
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0024】
また、以下に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0025】
また、以下に記載される説明における、相対的または絶対的な位置関係を示す表現、たとえば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」または「同軸」などは、特に断らない限りは、その位置関係を厳密に示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において角度または距離が変位している場合を含むものとする。
【0026】
また、以下に記載される説明において、等しい状態であることを示す表現、たとえば、「同一」、「等しい」、「均一」または「均質」などは、特に断らない限りは、厳密に等しい状態であることを示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において差が生じている場合を含むものとする。
【0027】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0028】
また、以下に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「甲の上面に設けられる乙」と記載される場合、甲と乙との間に別の構成要素「丙」が介在することを妨げるものではない。
【0029】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板保持装置、および、基板保持方法について説明する。
【0030】
<基板保持装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する真空処理装置1の構成の例を概略的に示す斜視図である。図1においては、真空チャンバ12を支持するチャンバフレーム、または、実際に接続される配線などは、便宜のため図示が省略されている。なお、本実施の形態における「真空」とは、基板Wの特性劣化を防止するために高真空(たとえば、0.00001Pa)であることが望ましいが、当該高真空に達しない真空度である場合も含むものとする。
【0031】
図1に例が示されるように、真空処理装置1は、真空チャンバ12と、石定盤などの外部固定部14と、真空チャンバ12と外部固定部14とを接続する、たとえばステンレスなどで形成された伸縮性部材であるベローズ16Aと、真空チャンバ12内に光を照射する照射機構18と、真空チャンバ12内を減圧して真空状態にする真空ポンプ20と、真空処理装置1のそれぞれの駆動部を制御する制御部22とを備える。上記では、伸縮性部材の例として、ステンレスなどで形成されたベローズが示されているが、求められる仕様に応じて、ステンレス以外の金属で形成された伸縮性部材が採用されてもよいし、樹脂などで形成された伸縮性部材が採用されてもよい。また、伸縮性部材の形状は、上記のベローズ16Aのような蛇腹形状でなくてもよい。
【0032】
真空チャンバ12は、内部に基板Wが収容される空間を有する。なお、当該基板Wは、たとえば、上面に薄膜が形成された状態の基板である。また、真空チャンバ12の側面には、基板Wを搬入および搬出する際に基板Wが通過するための開口部12Aが形成されている。開口部12Aは、真空チャンバ12が真空状態となる際に適宜閉じられる。真空チャンバ12の内部に収容される他の構成については、後述する。
【0033】
照射機構18は、真空チャンバ12内に収容された基板Wの上面に向けて光を照射する。照射機構18は、たとえばレーザー光を照射する。なお、照射機構18は、加工などの目的に応じて、たとえば電子線などの光を照射するものであってもよい。照射機構18は、図示しない照射窓(石英などの透明板)を介して、真空チャンバ12の外部から真空チャンバ12内に収容された基板Wの上面に光を照射する。そして、真空チャンバ12内の基板Wが照射機構18に対して相対的に移動することによって、または、照射機構18における光学系の制御によって、光が基板Wの上面を走査する。また、照射機構18は、外部固定部14に固定された架台24の上面に配置される。
【0034】
制御部22は、たとえば、ハードディスクドライブ(Hard disk drive、すなわち、HDD)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)を含む記憶装置と、たとえば、当該記憶装置、外部のCD-ROM、外部のDVD-ROM、または、外部のフラッシュメモリなどに格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)などの処理回路と、マウス、キーボード、タッチパネル、または、各種スイッチなどの、情報を入力することができる入力装置と、ディスプレイ、液晶表示装置、または、ランプなどの、情報を出力することができる出力装置とを含むことができる。
【0035】
制御部22は、照射機構18における光源の出力および照射領域の制御、または、真空ポンプ20の出力制御、さらには、後述するそれぞれの駆動部(たとえば、リニアモータ機構の駆動部またはリフトピン機構の駆動部)の駆動制御などを行う。
【0036】
図2は、本実施の形態に関する真空処理装置1の、真空チャンバ12の内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。図2に例が示されるように、真空チャンバ12の内部には、基板Wが上面に配置されるステージ42と、Y軸方向に移動可能であり、かつ、ステージ42を下方から支持するスライダー44と、真空チャンバ12とは独立して外部固定部14に固定されたベース46と、ベース46に固定され、かつ、Y軸方向に延びるリニアガイド48と、スライダー44をリニアガイド48に沿ってY軸方向に移動させるリニアモータ機構50と、ステージ42に形成された貫通孔(ここでは図示せず)を貫通して基板Wを支持するリフトピン52Aを有するリフトピン機構52とを備える。
【0037】
ステージ42は、基板Wの加工面を上方に向けつつ、基板Wを保持する。ステージ42の上面は、X軸方向に沿って凸形状(すなわち、Z軸正方向に凸形状)に湾曲しており、当該上面に沿って基板Wを湾曲させて保持する。なお、ステージ42の上面は、X軸方向に沿って凹形状(すなわち、Z軸正方向に凹形状)に湾曲していてもよい。また、ステージ42に保持される基板Wは、ステージ42に保持されない状態(たとえば、ステージ42に保持される前の乾燥工程などの影響を受けた状態)において湾曲していてもよいし、湾曲していなくてもよい。
【0038】
また、ステージ42は、基板Wが保持される位置の、X軸方向における両端部において、一対のクランプ42Bを備える。クランプ42Bは、ステージ42の上面に配置される基板WのX軸方向における両端部を押さえることによって、基板Wをステージ42の上面に保持する。なお、クランプは少なくとも一対あればよく、二対以上あってもよい。
【0039】
ステージ42を支持するスライダー44がリニアモータ機構50によってY軸方向に移動し、また、照射機構18から照射される光がX軸方向に走査されることによって、平面視において基板Wの加工領域の全面を光によって走査することが可能となる。なお、リフトピン機構52は、ベース46に固定される。
【0040】
リニアモータ機構50は、真空チャンバ12の側面に形成された開口部12Bを介して、真空チャンバ12の側方に位置する外部固定部14に固定される。具体的には、リニアモータ機構50は、開口部12Bに溶接されるベローズ16Aの中を通る中空の柱状部材14Aの端部に固定される。この際、リニアモータ機構50に接続される配線などは、柱状部材14Aの内部を通って真空チャンバ12の外部に導出される。なお、外部固定部14に含まれる柱状部材14Aは、外部固定部14に含まれる外部部材14Bに固定される。また、柱状部材14Aは、真空チャンバ12の側面に接続されたベローズ16Aとは接触しない。
【0041】
ベース46は、真空チャンバ12の底面に形成された開口部12Cを介して、真空チャンバ12の下方に位置する外部固定部14に固定される。具体的には、ベース46は、開口部12Cに溶接されるベローズ16Bの中を通る柱状部材14Cの端部に固定される。なお、外部固定部14に含まれる柱状部材14Cは、外部固定部14に含まれる外部部材14Bに固定される。また、柱状部材14Cは、真空チャンバ12の底面に接続されたベローズ16Bとは接触しない。
【0042】
図2では、外部固定部14は、真空チャンバ12の側方および下方に渡って配置されるが、これらの位置における外部固定部14が連続していることは必須ではなく、これらの位置に分散して設けられていてもよいし、いずれかの位置のみに設けられていてもよい。また、真空チャンバ12は、ベローズ16Bとは別にチャンバフレーム(図示せず)によって鉛直方向下方から支持されて固定されるが、当該チャンバフレームは、外部固定部14とは独立して設けられる。
【0043】
図3は、変形例としての真空処理装置の、真空チャンバ112の内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。図3に例が示されるように、真空チャンバ112の内部には、ステージ42と、スライダー44と、真空チャンバ112とは独立して外部固定部114に固定されたベース46と、リニアガイド48と、スライダー44をリニアガイド48に沿ってY軸方向に移動させるリニアモータ機構150と、リフトピン機構52とを備える。リニアモータ機構150は、柱状部材14Dの端部に固定されるコイルモジュールと、コイルモジュールに対してY軸方向に移動可能なマグネットモジュールと、コイルモジュールに電流を流すための配線とを備える。
【0044】
リニアモータ機構150は、真空チャンバ112の底面に形成された開口部12Dを介して、真空チャンバ112の下方に位置する外部固定部114に固定される。具体的には、リニアモータ機構150は、開口部12Dに溶接されるベローズ16Cの中を通る中空の柱状部材14Dの端部に固定される。この際、リニアモータ機構150に接続される配線などは、柱状部材14Dの内部を通って真空チャンバ112の外部に導出される。なお、外部固定部114に含まれる柱状部材14Dは、外部固定部114に含まれる外部部材14Eに固定される。また、柱状部材14Dは、真空チャンバ112の底面に接続されたベローズ16Cとは接触しない。
【0045】
ベース46は、真空チャンバ112の底面に形成された開口部12Cを介して、真空チャンバ112の下方に位置する外部固定部114に固定される。具体的には、ベース46は、開口部12Cに溶接されるベローズ16Bの中を通る柱状部材14Cの端部に固定される。なお、外部固定部114に含まれる柱状部材14Cは、外部固定部114に含まれる外部部材14Eに固定される。また、柱状部材14Cは、真空チャンバ112の底面に接続されたベローズ16Bとは接触しない。
【0046】
図3では、外部固定部114は、真空チャンバ112の下方全体に渡って配置されるが、当該範囲に外部固定部114が連続していることは必須ではなく、分散して設けられていてもよいし、いずれかの位置のみに設けられていてもよい。また、真空チャンバ112は、ベローズ16Bおよびベローズ16Cとは別にチャンバフレーム(図示せず)によって鉛直方向下方から支持されて固定されるが、当該チャンバフレームは、外部固定部114とは独立して設けられる。
【0047】
上記のような構成によれば、真空チャンバ112内が真空状態となって真空チャンバ112が縮むなどの変形が生じる場合であっても、柱状部材14Dを介して外部部材14Eに固定されているリニアモータ機構150の位置ずれは抑制される。
【0048】
また、上記のような構成によれば、真空チャンバ112の側面にはベローズが接続されない。そのため、たとえば、真空チャンバ112の上面および側面と、真空チャンバ112の底面とを切り離し可能に構成すれば、真空チャンバ112の上面および側面を取り去り、かつ、真空チャンバ112の底面にベローズ16Bおよびベローズ16Cを接続した状態で、真空チャンバ112内に収容されるそれぞれの構成の配置調整などを容易に行うことができる。
【0049】
また、ベース46およびリニアモータ機構150は、図3においては別々のベローズ内における柱状部材を介して外部部材14Eに固定されているが、これらが同一のベローズおよびその内部の同一または別々の柱状部材などを介して、同一または別々の外部部材に固定されてもよい。
【0050】
図4図5および図6は、基板Wがステージ42に配置される際の動作の例を示す斜視図である。
【0051】
図4図5および図6に例が示されるように、ステージ42には一対のクランプ42Bが設けられている。それぞれのクランプ42Bは、支持部142と、支持部142を中心にY軸回りに回動する板部144とを備える。クランプ42Bは、Y軸方向に延びて設けられる。
【0052】
まず、図4に例が示されるように、図示しないロボットアームなどによって基板Wが真空チャンバ12内のステージ42の上方に配置される。次に、図5に例が示されるように、基板Wがステージ42の上面に配置される。
【0053】
次に、図6に例が示されるように、ステージ42のX軸方向の両端部に設けられているクランプ42Bが、支持部142を中心にして板部144を回動させ、ステージ42のX軸方向の両端部において基板Wの端部を保持する。こうすることによって、基板Wがステージ42の上面に沿って湾曲しつつ、ステージ42の上面に保持される。
【0054】
図7は、ステージに備えられるクランプの変形例を示す斜視図である。図7に例が示されるように、ステージ242には、複数のクランプ42Cが設けられている。クランプ42Cは、基板Wが保持される位置の、X軸方向における両端部において、それぞれ少なくとも1つ設けられている。図7においては、それぞれの端部で3つのクランプ42CがY軸方向において互いに離間して設けられている。クランプ42Cは、ステージ242の上面の法線軸回りに回動する。
【0055】
クランプ42Cが回動することによって、クランプ42Cの爪部243が基板Wの端部に接触するか接触しないかを切り替えることができるため、基板Wの保持およびその解除を行うことができる。
【0056】
図8は、変形例としての真空処理装置の、真空チャンバ12の内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
【0057】
図8に例が示される真空処理装置では、図2に示される場合とは異なり、基板Wに光を照射する照射機構18Aが、複数の照射部182、照射部184および照射部186を備えており、それぞれの照射部から照射される光の光軸182A、光軸184A、光軸186Aが異なっている。
【0058】
具体的には、照射部182から照射される光の光軸182Aは、ステージ42の湾曲する上面の法線方向に沿う。同様に、照射部184から照射される光の光軸184Aは、ステージ42の湾曲する上面の法線方向に沿う。同様に、照射部186から照射される光の光軸186Aは、ステージ42の湾曲する上面の法線方向に沿う。ステージ42の上面の湾曲形状に合わせて光の光軸が設定されることによって、たとえば、基板Wの上面に形成された薄膜の除去精度を維持することができる。
【0059】
なお、基板Wにおける光の照射分布の均一性を高めるために、それぞれの照射部から基板W(または、ステージ42)の上面までの距離が等しくなるように、照射部182、照射部184および照射部186が配置されてもよい。
【0060】
また、照射部182、照射部184および照射部186は、照射機構18Aに内蔵される光学系によって、1つの光源から分岐する光で実質的に実現されるものであってもよい。
【0061】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0062】
以上に記載された実施の形態によれば、基板保持方法において、真空チャンバ12(または、真空チャンバ112。以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)内において、第1の方向(たとえば、X軸方向)に沿って湾曲するステージ42(または、ステージ242。以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)の上面に基板Wを配置する。そして、基板Wの、第1の方向における両端部を、ステージ42の上面に設けられる一対のクランプ42B(または、クランプ42C。以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)を用いて保持する。
【0063】
このような構成によれば、真空チャンバ12内において、基板Wがステージ42の上面に沿って湾曲しつつ、ステージ42の上面に適切に保持される。
【0064】
なお、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0065】
また、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0066】
以上に記載された実施の形態によれば、基板保持装置は、真空チャンバ12と、ステージ42と、一対のクランプ42Bとを備える。ステージ42は、真空チャンバ12内に設けられる。また、ステージ42は、第1の方向に沿って湾曲する。クランプ42Bは、ステージ42の上面に設けられる。また、クランプ42Bは、上面に配置される基板Wの、第1の方向における両端部を保持する。
【0067】
このような構成によれば、真空チャンバ12内において、基板Wがステージ42の上面に沿って湾曲しつつ、ステージ42の上面に適切に保持される。
【0068】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0069】
また、以上に記載された実施の形態によれば、クランプ42Bは、ステージ42の上面において、第1の方向と交差する方向である第2の方向(たとえば、Y軸方向)において延びて設けられる。このような構成によれば、クランプ42Bによって基板Wの第1の方向における端部を全面的に保持することもできるため、基板Wの保持が安定する。
【0070】
また、以上に記載された実施の形態によれば、クランプ42Cは、ステージ242の上面において、第1の方向と交差する方向である第2の方向(たとえば、Y軸方向)において複数に離間して設けられる。このような構成によれば、第2の方向に延びて設けられる場合に比べてクランプ42Cの構成を小型化かつ軽量化することができる。
【0071】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板Wの上面には、薄膜が形成される。そして、基板保持装置は、少なくとも1つの照射部(たとえば、照射部182、照射部184および照射部186)を備える。照射部182(または、照射部184、照射部186)は、真空チャンバ12内に光を照射することによって、薄膜を部分的に除去する。このような構成によれば、真空チャンバ12内において、基板Wの上面に形成された薄膜を照射部から照射される光を用いて除去することができる。
【0072】
また、以上に記載された実施の形態によれば、照射部は複数設けられる。そして、それぞれの照射部(たとえば、照射部182、照射部184および照射部186)から照射される光の光軸は、ステージ42の上面と直交する。このような構成によれば、それぞれの照射部から照射される光が、湾曲して保持されている基板Wの上面に対して直交して(すなわち、入射角が0度で)入射するため、それぞれの光の基板Wの上面における照射範囲が楕円形などに歪むことがない。よって、基板Wの上面に対して均一な光を照射することができる。
【0073】
また、以上に記載された実施の形態によれば、それぞれの照射部(たとえば、照射部182、照射部184および照射部186)とステージ42の上面との間の距離が等しい。このような構成によれば、光の焦点距離および強度を複数の照射部において統一的に制御することができるため、基板Wの上面に対して容易に均一な光を照射することができる。
【0074】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0075】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0076】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0077】
1 真空処理装置
12,112 真空チャンバ
12A,12B,12C,12D 開口部
14,114 外部固定部
14A,14C,14D 柱状部材
14B,14E 外部部材
16A,16B,16C ベローズ
18,18A 照射機構
20 真空ポンプ
22 制御部
24 架台
42,242 ステージ
42B,42C クランプ
44 スライダー
46 ベース
48 リニアガイド
50,150 リニアモータ機構
52 リフトピン機構
52A リフトピン
142 支持部
144 板部
182,184,186 照射部
182A,184A,186A 光軸
243 爪部
図1
図2
図3
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図6
図7
図8