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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】薄型アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20230418BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q1/22 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020187827
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077140
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】土屋 和彦
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-083052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 1/52
H01Q 9/00- 9/46
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状に形成されたアンテナエレメントと、
絶縁性のスペーサと、
前記アンテナエレメントの上下面よりも大きく形成されたグランドプレーンと、
を備え、
前記アンテナエレメントは、上下面に前記スペーサを介して前記グランドプレーンが対向するように配置され、かつ、前記アンテナエレメントの上下面の何れか一方から給電され
前記スペーサは、前記アンテナエレメントの上下面に接触している薄型アンテナ。
【請求項2】
前記アンテナエレメントは、導電性の金属製で円柱状に形成され、
前記アンテナエレメントの上下面に対向するように配置された上側のグランドプレーンと下側のグランドプレーンは、ともに同じ大きさに形成されている、請求項1に記載の薄型アンテナ。
【請求項3】
前記上側のグランドプレーンと前記下側のグランドプレーンは、何れか一方が他方よりも大きく形成されている、請求項1に記載の薄型アンテナ。
【請求項4】
前記上側のグランドプレーンと前記下側のグランドプレーンは、どちらか一方が車両のボデーで形成されている、請求項3に記載の薄型アンテナ。
【請求項5】
前記スペーサは、前記グランドプレーンの上下面よりも小さく形成されている、請求項1に記載の薄型アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直偏波の送受信を可能にする薄型アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の薄型アンテナとして、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示のアンテナ装置は、低背化された逆L型アンテナであり、給電点が設けられた基材と、この基材に立設されたアンテナエレメントと、給電点とアンテナエレメントとの間に設けられ、インピーダンスマッチングを取る整合回路と、を備えている。そして、このアンテナ装置は、水平面(XY面)/垂直偏波(V偏波)において、凹みが少ない丸い指向性の放射パターン(特許文献1の図7)となり、利得は、Ave=-13.39dBiとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-17250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の低背化されたアンテナ装置は、著しく放射特性が劣化してしまっていることが分かる。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、低背であり、かつ、水平面垂直偏波において放射特性の良い車載用アンテナとして用いて好適な薄型アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る薄型アンテナは、柱状に形成されたアンテナエレメントと、絶縁性のスペーサと、前記アンテナエレメントの上下面よりも大きく形成されたグランドプレーンと、を備え、前記アンテナエレメントは、上下面に前記スペーサを介して前記グランドプレーンが対向するように配置され、かつ、前記アンテナエレメントの上下面の何れか一方から給電されるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低背であり、かつ、水平面垂直偏波において放射特性の良い車載用アンテナとして用いて好適な薄型アンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る薄型アンテナの一例を示す斜視図である。
図2】上記薄型アンテナの給電点周辺の部分を断面で示す拡大側面図である。
図3】上記薄型アンテナの分解斜視図である。
図4】上記薄型アンテナでの水平面垂直偏波における平均利得の解析値を表すグラフである。
図5】上記薄型アンテナの放射パターンを示すグラフである。
図6】上記薄型アンテナの下側のグランドプレーンを上側のグランドプレーンよりも大きくした場合の放射パターンを示すグラフである。
図7】上記薄型アンテナの上側のグランドプレーンを下側のグランドプレーンよりも大きくした場合の放射パターンを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る薄型アンテナについて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係る薄型アンテナの一例を示す斜視図である。図2は薄型アンテナの給電点周辺の部分を断面で示す拡大側面図である。図3は薄型アンテナの分解斜視図である。図4は薄型アンテナでの水平面垂直偏波における平均利得の解析値を表すグラフである。図5は薄型アンテナの放射パターンを示すグラフである。
【0011】
図1図2に示すように、薄型アンテナ10は、アンテナエレメント11と、上下一対の絶縁性のスペーサ12,13と、アンテナエレメント11の上下面11a,11bよりも大きく形成された上下一対のグランドプレーン14,15と、を備えている。
【0012】
図3に示すように、アンテナエレメント11は、中実の円柱状に形成されており、導電性材料、例えば銅又は鉄等の金属製である。そして、アンテナエレメント11は、その上下面11a,11bに上下一対のスペーサ12,13を介して上下一対のグランドプレーン14,15が対向するように配置されている。すなわち、アンテナエレメント11は、上側のグランドプレーン14と下側のグランドプレーン15に上側のスペーサ12と下側のスペーサ13を介して上下で挟まれた形状となっている。
【0013】
また、図2に示すように、アンテナエレメント11の下面11bには、後述する給電ケーブル17に接続される給電点16が設けられていて、アンテナエレメント11の下面(下部)11bにて給電がされるようになっている。さらに、アンテナエレメント11は、使用されるアンテナ周波数(電磁波)の波長をλとするとき、λ/4以下の高さ(Z方向)Hに形成されている。すなわち、薄型アンテナ10のアンテナ形状では、高さHが11mm程度と低背に形成されている。この高さHは、下側のグランドプレーン15の板厚は含まない寸法である。また、本実施形態のアンテナエレメント11の形状/寸法と各グランドプレーン14,15の形状/寸法と各スペーサ12,13の形状/寸法は、薄型アンテナ10を0.815~0.875GHz帯に対応させた場合の形状/寸法となっている。なお、所望の周波数に応じてアンテナエレメント11とグランドプレーン14,15とスペーサ12,13の形状/寸法は、適宜変更される。
【0014】
図2に示すように、給電ケーブル17は、同軸ケーブルであり、その芯線17aがアンテナエレメント11の下面11bに接続され(給電点16)、同軸ケーブルを構成する編組18が下側のグランドプレーン15の下面15bに接続されている。なお、給電ケーブル17の絶縁被覆17bの先端は、下側のグランドプレーン15の挿入孔15cに挿入されている。
【0015】
図2に示すように、上下一対のスペーサ12,13は、外径φ20mm、内径φ10mmの円環状の薄型板状に形成されており、絶縁性材料、例えば合成樹脂等の樹脂製である。そして、上側のスペーサ12は、上側のグランドプレーン14の下面14bに、下側のスペーサ13は、下側のグランドプレーン15の上面15aに、所定手段によりそれぞれ貼り付けられている。本実施形態では、上下に設けられるスペーサ12,13は、円環状に形成しているが、給電点16を有していない面については、円環状でなくともよく、円盤状でもよい。また、上下一対のスペーサ12,13は、グランドプレーン14,15よりも小さければよく、アンテナエレメント11より大きくともよい。より好ましくは、スペーサ12,13は、アンテナエレメント11よりも小さく形成されている。
【0016】
図1図2に示すように、上下一対のグランドプレーン14,15は、一辺の長さLが200mmの正方形の薄型板状に形成されており、導電性材料、例えば銅又は鉄等の金属製である。そして、接地面(グランド面)としての下側のグランドプレーン15は、薄型アンテナ10が車両ルーフ等の車両(図示省略)に取り付けられる際に、金属製のボデー又はルーフに接地するように取り付けられる。
【0017】
以上実施形態の薄型アンテナ10によれば、図2に示すように、アンテナエレメント11の高さHは、上側のグランドプレーン14等によりλ/4よりも短縮され、アンテナエレメント11の径は所望帯域幅に応じて決定する。すなわち、本実施形態のアンテナ形状は、高さHが11mm程度と低背である。
【0018】
また、図4の薄型アンテナ10での水平面(XY面)/垂直偏波(V偏波)における平均利得の解析値に示すように、利得もAve=-3dBi以上となり、良好な放射特性が得られている。
【0019】
さらに、上側のグランドプレーン14と下側のグランドプレーン15を同じ大きさに形成したことで、図5に示すように、上下側共に同形状の放射パターン(放射特性)が得られ、水平面での良好な通信が可能となる。
【0020】
このように、薄型アンテナ10の高さHを低背化しつつ、水平面/垂直偏波での放射特性を良好とすることができる。また、薄型アンテナ10を低背化することで、限られたスペースでの設置が可能となる。さらに、水平面での良好な通信(送受信)が可能となる。よって、低背化された薄型アンテナ10は、車載用アンテナとして用いて好適なものとなる。
【0021】
また、本実施形態では、上側のグランドプレーン14と下側のグランドプレーン15を同じ大きさに形成したが、下側のグランドプレーン15を上側のグランドプレーン14よりも大きく形成、例えば、下側のグランドプレーン15を一辺の長さLが600mmの正方形に形成してもよい。この場合、図6に示すように、上方へ強く放射される放射パターン(放射特性)が得られる。さらに、下側のグランドプレーン15を上側のグランドプレーン14よりも大きく形成する場合、車両のルーフをグランドプレーンとして兼用することができる。この場合、給電点16は、アンテナエレメント11の下面11bに設ける。
【0022】
さらに、本実施形態では、上側のグランドプレーン14と下側のグランドプレーン15を同じ大きさに形成したが、上側のグランドプレーン14を下側のグランドプレーン15よりも大きく形成、例えば、上側のグランドプレーン14を一辺の長さLが600mmの正方形に形成してもよい。この場合、図7に示すように、下方へ強く放射される放射パターン(放射特性)が得られる。この場合、給電点16は、アンテナエレメント11の上面11aに設ける。
【0023】
給電点16は、グランドプレーンの形状が大きい方に設けることが好ましい。グランドプレーンの形状が小さい方の方向に強く放射されるため、グランドプレーンの形状が大きい方に設けることで放射面側が給電ケーブル17等の影響を受けずに済む。
【0024】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0025】
すなわち、前記実施形態によれば、アンテナエレメントを導電性の金属製で中実の円柱状に形成したが、アンテナエレメントを導電性の金属製で角柱状(直方体状)等に形成してもよい。また、アンテナエレメントは上下面が閉塞されていればよく、中空の円柱状でもよい。
【0026】
また、前記実施形態によれば、グランドプレーンは、アンテナエレメントの上下面よりも大きく形成された正方形の薄型板状に形成したが、アンテナエレメントの上下面よりも大きく形成された円形(丸形)や多角形の薄型板状に形成してもよい。また、樹脂ルーフの場合、グランドプレーンの上下面の何れか一方が車両のボデーで構成されていても良い。さらに、金属製のルーフの場合は、グランドプレーンの上下面の何れか一方が車両のルーフで構成されていても良い。
【0027】
さらに、前記実施形態によれば、スペーサを円環状に形成したが、スペーサを多角形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 薄型アンテナ
11 アンテナエレメント
11a 上面
11b 下面
12,13 スペーサ
14,15 上下一対のグランドプレーン
14 上側のグランドプレーン
15 下側のグランドプレーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7