(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】電子的代理投票システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230418BHJP
G06F 21/62 20130101ALI20230418BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F21/62 318
(21)【出願番号】P 2020506262
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(86)【国際出願番号】 US2018044558
(87)【国際公開番号】W WO2019027990
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-03
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521493400
【氏名又は名称】プロキシミティ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Proxymity Limited
【住所又は居所原語表記】Waverley House, 3rd Floor, 7-12 Noel Street, London, United Kingdom, W1F 8GQ
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】リトル,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】スモーリー,ジョナサン
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-187067(JP,A)
【文献】特開2003-248753(JP,A)
【文献】特開2002-049742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0016887(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0186665(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0161980(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0112705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリに結合された1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能であって、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人に対する投資家の地位に関するデータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1の発行人端末装置のプロセッサと、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間で直接的でインタラクティブな電子通信チャネルをマップするインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能と、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能であって、直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置に対し、少なくとも1の発行人のための総会に関する通知を示すデータを送信するインテリジェント・アプリケーション・通知機能と、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能であって、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサから、直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の発行人端末装置のプロセッサに対し、少なくとも1の投資家の総会における前記投資家の地位に関連づけられた投資家投票権の行使を示すデータを返信するインテリジェント・アプリケーション・投票機能と、
を備えたシステムにおいて、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、さらに、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人における投資家の地位に関するデータを、それぞれの管理仲介人端末装置から受信し、
前記インテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、前記管理仲介人によってアップロードされた関連づけのための情報、すなわち、発行人から投資家までの一連の関係において、当該管理仲介人よりも発行人に近い他の管理仲介人において当該管理仲介人が保有するアカウントと、当該管理仲介人よりも投資家に近い他の管理仲介人において当該管理仲介人のが保有するアカウントとを含む情報に基づいて、投資家と発行人とを関連づけることで前記電子通信チャネルをマップすることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムにおいて、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、さらに、少なくとも1の発行人における前記投資家の地位に結びつけられた投資家投票権を、前記それぞれの管理仲介人によって保持されている投資家の地位に関するデータに少なくとも部分的に基づいて認識するシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムにおいて、
前記少なくとも1の発行人における前記投資家の地位を、投資家を代理して保持するそれぞれの管理仲介人には、少なくとも、グローバル・カストディアン・エンティティ、サブ管理エンティティ、資産管理エンティティ、プライベートバンク・エンティティの一つを含むシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、さらに、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人における前記投資家の地位に関する更新データに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1の発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間における直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを繰り返しマップするシステム。
【請求項5】
請求項4のシステムにおいて、
前記少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人における前記投資家の地位に関する更新データは、さらに、それぞれの管理仲介人間の結びつきに関する更新データを含むシステム。
【請求項6】
請求項1のシステムににおいて、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、さらに、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人における前記投資家の地位に関するデータに少なくとも部分的に基づくアルゴリズムにしたがって、少なくとも1の発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間における直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを定義するシステム。
【請求項7】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対し、総会において権利行使できる少なくとも1の発行人における前記投資家の地位に関連づけられた投資家投票権を示すデータを送信するシステム。
【請求項8】
請求項7のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、さらに、前記少なくとも1の発行人における前記投資家の地位に関連づけられた投資家投票権を認識するシステム。
【請求項9】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、さらに、前記直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対し、少なくとも1の発行人の総会に関する通知を表すデータを、総会に関する情報の更新に対応してリアルタイムに送信するシステム。
【請求項10】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、さらに、前記直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対し、少なくとも1の発行人の総会に関する通知を表すデータを、前記それぞれの管理仲介人のだれからも中断されることなく送信するシステム。
【請求項11】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、さらに、前記直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対し、少なくとも1の発行人の総会に関する通知を表すデータを、総会予定日の所定日数前に送信するシステム。
【請求項12】
請求項1のシステムにおいて、
前記投資家端末装置には、投資家の投票アドバイス代理人端末装置も含み、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、前記直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、前記投資家の投票アドバイス代理人端末装置のプロセッサに対して送信するシステム。
【請求項13】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、さらに、前記直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対し、投票のために用意された全てのアイテム、投票のための市場遮断、投資家投票権の権利行使可能数の少なくとも一部を含む総会に関する通知を表すデータを送信するシステム。
【請求項14】
請求項1のシステムにおいて、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能は、さらに、前記投資家投票権の行使を表すデータが有効であり投資家の地位と対応しているかを認識するシステム。
【請求項15】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能は、さらに、前記直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対し、前記投資家投票権の行使について会議後の確認を表すデータを送信するシステム。
【請求項16】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサは、1以上のウエブベースの中央プラットフォーム・プロセッサを備えるシステム。
【請求項17】
請求項1のシステムにおいて、
前記1以上の中央プラットフォーム・プロセッサは、認証されたユーザによってのみアクセス可能な、1以上のウエブベースの中央プラットフォーム・プロセッサを備えるシステム。
【請求項18】
メモリに結合された1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能によって、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人に対する投資家の地位に関するデータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1の発行人端末装置のプロセッサと、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間で直接的でインタラクティブな電子通信チャネルをマップし、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能によって、直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置に対し、少なくとも1の発行人のための総会に関する通知を示すデータを送信し、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能によって、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサから、直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の発行人端末装置のプロセッサに対し、少なくとも1の投資家の総会における前記投資家の地位に関連づけられた投資家投票権の行使を示すデータを返信することを備えた方法において、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、さらに、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人における投資家の地位に関するデータを、それぞれの管理仲介人端末装置から受信し、
前記インテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、前記管理仲介人によってアップロードされた関連づけのための情報、すなわち、発行人から投資家までの一連の関係において、当該管理仲介人よりも発行人に近い他の管理仲介人において当該管理仲介人が保有するアカウントと、当該管理仲介人よりも投資家に近い他の管理仲介人において当該管理仲介人のが保有するアカウントとを含む情報に基づいて、投資家と発行人とを関連づけることで前記電子通信チャネルをマップすることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18の方法において、
1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能によって、前記直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対し、前記投資家投票権の行使について会議後の確認を表すデータを送信することをさらに備える方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権出願】
【0001】
この出願は、2017年7月31日出願の米国仮出願62/539,164「電子的代理投票システムおよび方法」に基づく優先権を主張するものであり、当該仮出願を参照して本明細書に組み込む。
【技術分野】
【0002】
この発明は、電子的代理投票システムに関するものであり、詳しくは、管理人や他の財務的仲介アカウントおよび発行人と投資家の間の代理投票関連データの前記直接的でインタラクティブな電子通信のための地位データを電子的に区別して階層化するシステムおよび方法に関するものである。
【発明の背景】
【0003】
証券発行者の株式や債券は、投資家に代わり、金融サービス会社(以下、管理人または管理仲介人という)を介して、機関投資家などによって間接的に保有される。近年、これら証券は、通常、投資家に代わって、一連の契約によって結びつけられている互いに独立した一連の管理人によって保持される。したがって、投資家は、第1管理人と契約を交わすことになるが、この第1管理人は、一以上の他の管理人と契約を行っており、当該他の管理人も同様に、さらに他の管理人と契約を行っていることが多い。これら各契約は、投資家と第1管理人との間の契約とは独立したものである。
【0004】
代理投票により、投資家は、株主総会に参加することなく投票を行うことが可能となる。投資家による代理投票の最近のプロセスは、一連の管理仲介人によって特徴付けられており、たとえば機関投資家に対して総会を通知して株主総会の開催を行おうとする株式発行者にとって、あるいは株式について投票を行おうとする機関投資家にとって極めて困難なものとなっている。
【0005】
投票プロセスは、株券発行者が総会の開催を計画すること、たとえば、総会の資料を株券発行者の指定代理人に提供することからスタートする。株券発行者の代理人は、投資家に対する株式の販売および配布を代理するものである。株券発行者の代理人は、たとえば、株主名簿に現在の株主として登録されている株主に対し総会資料を郵送したり、サブ管理人銀行に対し総会資料をメールしたり、マーケットによっては、そのマーケットの中央証券保管所により提供されている電子的プラットフォームにて総会をアナウンスするなど様々なメディアの形態にて、総会を公にアナウンスする。
【0006】
銀行などのサブ管理人は、特定のマーケットまたは領域において業務を行っていない、あるいはオフィスを有していないような他の管理人を代理して、当該特定のマーケットまたは領域において取引された株券についての管理サービスを提供する。上記アナウンスを受けたサブ管理人は、総会における投票のためのアイテムを含む総会アジェンダの電子的バージョンの生成を開始する。次に、サブ管理人は、この電子バージョンによる総会アジェンダを、ISO15022 SWIFTフォーマットのMT564メッセージのような電子メッセージとして、一連の管理人のうちの契約の相手方(ブローカーディーラやグローバル・カストディアン(複数国の有価証券の管理などを統括して取り扱う保管銀行)を含む)に対して送信する。
【0007】
グローバル・カストディアンは、サブ管理人のネットワークおよび/または他のグローバルな管理人との契約関係を維持することによって、投資家のために証券を集中的に保持する機関である。伝統的には、グローバル・カストディアンは、たとえば、資産管理者、ファンド・マネージャ、政府系ファンドのような購入側機関に対してサービスを提供する。一般的に、グローバル・カストディアンにとって、このような電子メッセージの形式は好ましいものではない。投票のためのアイテムのような総会に関連する重要情報が、フリーフォーマットのテキストブロックのメッセージに含まれており、グローバル・カストディアンは、システマチックにかつ自動的に、これらのメッセージを読むことができず、内部システムのプラットフォームに適合させることができず、クライアントに対して総会情報をアナウンスすることができないからである。
【0008】
したがって、グローバル・カストディアンは、援助者として複数の外部代理投票の専門サービス提供者に頼る必要がある。このような代理投票の専門サービス提供者は、たとえば、種々のサブ管理人からグローバル・カストディアンが受領した総会案内の全てを照合し、総会の1つの記録を作成する。この専門サービス提供者は、管理人サービスによって提供された外部委託情報を、グローバル・カストディアンの代理人として、グローバル・カストディアンのクライアント(その多くは機関投資家または機関投資家を有する主体である)に総会をアナウンスするために使用する。
【0009】
証券発行者によって開催される総会の案内を機関投資家が受け取る現在のプロセスでは、当該プロセス中に少なくとも3つ以上の仲介機関による、総会情報の人手による処理が含まれることが明らかである。たとえば、最小でも、仲介機関として、少なくとも、サブ管理人、グローバル・カストディアン、グローバル・カストディアンが外部委託した代理投票の専門サービス提供者が含まれる。現在のプロセスでは、投資家が総会案内を受け取るのが遅くなってしまい、その結果、投資家がどのように投票するのかの検討の開始を遅らせ、代理投票の専門サービス提供者への投票指示を遅らせることになる。
【0010】
代理投票の専門サービス提供者がこの投票指示を受け取ると、当該サービス提供者は、サブ管理人に対して送信し、およびマーケットに配信するためにグローバル・カストディアンに返信するなど、投票指示を一連の管理人に配信する。サブ管理人のレイヤーに投票指示が送り返される際、ISO15022 MT565メッセージのようなフリーフォーマットのテキストブロックのメッセージ中に投票指示を含めて送信される。したがって、システマチックに処理をすることができず、人手による処理が必要となる。このため、たとえば発展途上のマーケットでのサブ管理人は、投票指示をプリントアウトして、証券発行者またはその代理人にEメールしたり、中央証券保管所によって用意されている端末にログインしたり、総会が開催されている場所にいる実際の代理人によるなどマーケットのローカルルールに従って、マーケットにおいてローカルに投票を行わなければならないことがほとんどであった。
【0011】
したがって、一連の仲介人が総会情報を扱うような現状のプロセスでは、投資家が総会情報をうけ取るのが遅くなってしまう。さらに、総会情報を物理的な媒体から取得してフリーフォーマットのテキストブロックとして電子化しなければならないので、総会情報に誤りを生じることもあった。さらにまた、異なるバージョンのアジェンダが存在し、どのアジェンダが正しいのか、総会で何が投票対象となっているのかについて、世界の投資家を惑わせることになる。
【0012】
投資家が投票指示を一連の管理人に与えたとしても、現在のプロセスでは多数の組織や人が関与するので、株式発行人に届くまでには日数を要することになる。したがって、株式発行人が投票支持をこれら機関から受け取ったときには総会の数時間前であることもあり、誤った投票指示であると信じる発行人や、投資家の不安を和らげるために対話を行いたいと望む発行人にとって、投資家とすりあわせを行うための時間が短すぎることもあった。多くの場合、一連の仲介人や関与する指定機関のために、発行人は、どの投資家がどのように投票指示を行ったのかを知ることはできないので、かかる情報を得るための会社と契約しなければならなかった。
【0013】
上述のように、現状の代理投票プロセスでは、発行者から総会情報を受け取る代理投票サービス専門プロバイダにアウトソーシングしていた。しかし、今のところ、代理投票サービス専門プロバイダは、総会情報伝達のプロセスを簡単化するため、この総会情報を用いて一連の管理人のマップを作成する等を行っていない。むしろ、一連の管理人のうち次の仲介人に、当該次の仲介人が、現在の代理投票構造のもとで同様のサービスを行うようにこれらを使うことを期待して、単純にサービスを提供している。その結果、現在のプロセスでは、機関投資家は、早い投票締め切りに間に合わず不利益を被ったり、どの程度の証券発行人が投票指示を受け取ったかを確認することもできない。たとえば、機関投資家は、当該機関投資家の契約する管理人に対して投票指示を行ったこと、当該管理人が一連の管理人のうちの次の管理人に対してこの投票指示を転送したことを確認することができるにとどまっている。
【0014】
現在、世界中のいろいろなマーケットにおいて、電子投票プラットフォームが用いられているが、投票が可能なプラットフォームは、発行人またはその代理人によって直接的に認められたものだけであり、一連の管理人を介して保有する投資の投資家は用いることができない。機関投資は、通常、発行人との間に3以上の仲介人を介しているので、一般的にいって、機関投資家が発行人に関与することはできないことが多い。このため、現状のプロセスは、機関投資家にとって、契約相手である管理人の透明性が低く、その投票が確かに受領され、株主総会にて計数されたかという点について信頼をすることができていない。
【0015】
電子的代理投票システムや、上述の伝統的なシステムの問題点を解決する方法が求められている。この発明の実施形態によって解決される問題は、伝統的アプローチの技術的な限定にその本質があり、改良された技術である。特に、現在採用されているメカニズムの問題を解決するためには、改良された技術的応用が必要である。さらに、前述の伝統的アプローチにおいての技術では、以下に述べる電子的代理投票システムおよび方法において求められる能力を達成できていない。
【発明の概要】
【0016】
この発明の実施形態は、上述の伝統的プロセスの問題を解決するための技術分野およびその周辺技術分野を進歩させるものである。実施形態においては、これに限定するわけではないが、メモリおよび非一時的コンピュータ読取可能記録媒体と関連づけられた1以上のプロセッサを含むコンピュータハードウエアとコンピュータソフトウエアを使用する。1以上の実行プログラムがこの記録媒体に記録され、このプログラムがプロセッサに、マッピングの実行および代理投票に関するデータのインタラクティブ通信を指示する。
【0017】
この発明の実施形態は、たとえば、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人に対する投資家の地位に関するデータに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1の発行人端末装置のプロセッサと、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間で直接的でインタラクティブな電子通信チャネルをマップする、メモリに結合された、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能と、直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家端末装置に対し、少なくとも1の発行人のための総会に関する通知を示すデータを送信する1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能と、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサから、直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の発行人端末装置のプロセッサに対し、少なくとも1の投資家の総会における前記投資家の地位に関連づけられた投資家投票権の行使を示すデータを返信する、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能とを用いた自動化システムを含む技術的解決に関する。
【0018】
この発明の実施形態の他の側面において、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人に対する投資家の地位に関するデータは、たとえば、それぞれの管理仲介人間の紐付けに関するデータを備えている。追加的な側面として、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人における投資家の地位に関するデータを、それぞれの管理仲介人端末装置から受信してもよい。
【0019】
この発明の実施形態のさらに他の側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、それぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人における投資家の地位に関するデータに少なくとも部分的に基づいて、発行人における投資家の地位に関連づけられた投資家の投票権を認識する。
【0020】
この発明のさらなる実施形態においては、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人におけるそれぞれの管理仲介人によって保持されている、発行人における投資家の地位に関する更新データに少なくとも部分的に基づいて、発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間の直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを、繰り返しマッピングする。さらに他の側面において、投資家のための一連の管理仲介人におけるそれぞれの管理仲介人によって保持されている、発行人における投資家の地位に関する更新データは、たとえば、それぞれの管理仲介人の間の関連(リンク)に関するデータを含んでいてもよい。
【0021】
この発明の実施形態の追加の側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能は、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人におけるそれぞれの管理仲介人によって保持されている、少なくとも1の発行人における投資家の地位に関するデータに少なくとも部分的に基づくアルゴリズムに従って、発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間の直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを定義する。
【0022】
この発明の実施形態のさらなる側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間の直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、発行人における投資家の地位に関連づけられた総会(ミーティング)で権利行使可能な投資家の投票権に関するデータを送信する。他の側面においては、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション通知機能は、発行人における投資家の地位に関連づけられた投資家の投票権を認識してもよい。追加の側面においては、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション通知機能は、発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間の直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、総会に関する情報のアップロードに応じてリアルタイムに、発行人のための総会に関する通知を表すデータを送信してもよい。
【0023】
この発明の実施形態のさらなる他の側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間の直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、それぞれの管理仲介人による解釈を排除して、発行人のための総会に関する通知を表すデータを送信してもよい。さらなる側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間の直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、総会の予定日より所定日数前に、発行人のための総会に関する通知を表すデータを送信してもよい。
【0024】
この発明の実施形態の追加の側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、投資家のための投票アドバイス代理人端末装置のプロセッサに対する直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して送信してもよい。他の側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能は、少なくとも1の投資家に対する直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、投票対象となっている全ての事項、投票のためのマーケット遮断、投資家投票権の行使可能数の少なくとも一部を含む総会に関する通知を表すデータを送信してもよい。
【0025】
この発明の実施形態のさらに他の側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能は、投資家投票権の行使を表すデータは、有効であり、投資家の地位と合致していることを認識する。さらなる側面において、たとえば、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能は、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対する直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、投資家投票権行使の総会後の確認を表すデータを送信してもよい。分断化された伝統的なプロセスでは、たとえばこの発明の実施形態による階層化(レイヤーリング)によって可能となるこのような機能はサポートされていないことが理解できるであろう。さらなる側面において、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサは、たとえば、認証されたユーザだけがアクセスできる1以上のウエブベースの中央プラットフォーム・プロセッサを含んでいてもよい。
【0026】
この発明の実施形態では、たとえば、メモリに結合された1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・マッピング機能により、少なくとも1の投資家のための一連の管理仲介人におけるそれぞれの管理仲介人によって保持されている発行人における投資家の地位に関するデータに少なくとも部分的に基づいて、発行人端末装置のプロセッサと少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサとの間の直接的でインタラクティブな電子通信チャネルのマッピングし;1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・通知機能により、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサに対する直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、発行人の総会に関する通知を表すデータを送信し;1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーション・投票機能により、少なくとも1の投資家端末装置のプロセッサから、発行人端末装置のプロセッサに対する直接的でインタラクティブな電子通信チャネルを介して、少なくとも1の投資家の総会における地位に関連づけられた投資家投票権の行使を表すデータを返信することを含む方法も提供される。
【0027】
この発明のこれらの側面および他の側面は、以下の明細書において一部説明し、当業者であれば発明の実施から理解することができるであろう。これら全ての側面は、この明細書に含まれ、この発明の範囲内にあって、添付の請求項によって保護されるものであることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、この発明の実施形態による、コンポーネントおよび中央プラットフォームのコンポーネント間の情報の流れの概要例を示す図解ダイアグラムである。
【
図2A】
図2Aは、この発明の実施形態による1以上の中央プラットフォーム・プロセッサによって、投資家を一連の管理人にマッピングし、一連の仲介人を、発行人端末装置と1以上の投資家端末装置との間の直接的でインタラクティブな電子通信のために階層化するプロセスの概要例を示す図解ダイアグラムの部分図である。
【
図2B】
図2Bは、この発明の実施形態による1以上の中央プラットフォーム・プロセッサによって、投資家を一連の管理人にマッピングし、一連の仲介人を、発行人端末装置と1以上の投資家端末装置との間の直接的でインタラクティブな電子通信のために階層化するプロセスの概要例を示す図解ダイアグラムの部分図である。
【
図3】
図3は、この発明の実施形態による、代理投票関連データの直接的でインタラクティブな電子通信をマッピングし、実行するプロセスの例を示すフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
1以上の例を添付図面に示しつつ、この発明の実施形態を以下に説明する。それぞれの例は、発明を説明するために示したものであり、発明を限定するために示すものではない。当業者であれば、この発明の本質および範囲を離れることなく、種々の変更やバリエーションが可能であることが明らかである。たとえば、実施形態の一部として説明ないし記載した特徴は、他の実施形態に適用してさらに他の実施形態を作り出すことができる。したがって、この発明は、これら変更やバリエーションをその範囲内に含むようにカバーするものである。
【0030】
この発明の実施形態は、上述の現在用いられている複雑な一連の仲介人および不透明で、非効率的で、高価で、間違いの生じやすい代理投票データの取り扱いに関する課題を解決するための技術分野およびその周辺の技術分野を進歩させるものである。この発明の実施形態によってもたらされる技術的解決は、このような複雑な一連の仲介人や情報の取り扱いを用いる伝統的な代理投票プロセスから離れるものである。
【0031】
この発明の実施形態では、機関投資家クライエントを有する管理人、サブ管理人、グローバル・カストディアンその他の管理仲介人が、固定ファイルフォーマットによって、またはダイナミック・アプリケーション・プログラミング/インターフェイスのようなよりダイナミックなインターフェイスによって、またはネットワークのノードを介して、投資家データをプラットフォームにアップロードできる中央プラットフォーム・アプリケーションを提供する。この発明の実施形態において、このような投資家データは、アカウントデータ、地位データおよび一連の管理人を構成するため1から他に結びつけられた、投資家と仲介人との間の関連(リンク)に関するデータを含んでいる。
【0032】
この発明の実施形態のプラットフォームは、メモリに結合された1以上のプロセッサにおいて実行される、発行人と投資家との間の直接的な経路(コンジット)を構築するマッピング機能のための1以上のアルゴリズムを用いるインテリジェント・アプリケーションを備えている。さらに、このプラットフォームは、たとえば毎日にように周期的に、発行人と投資家との間の直接的な経路(コンジット)を繰り返しマッピングする。たとえば、1以上のプラットフォーム・プロセッサは、各投資家の発行人における地位を対応する投票権と合致させ、関連する発行人の総会のアナウンスを投資家に通知するために1以上のアルゴリズムを用いる。投資家がこの通知を受けると、投資家またはその委任を受けた代理人が、このプラットフォーム上で直接投票を行うことができる。
【0033】
したがって、この発明の実施形態のプラットフォームは、発行人からその投資家の間の所有権の直接的経路をデジタルにマッピングし認証することで、発行人から投資家までの完全な代理投票プロセスを提供する。これにより、発行人はプラットフォーム上で直接的に投資家に対し総会をアナウンスすることができる。投資家は、総会情報を吟味し、決定した投票内容を入力することができる。同様に、必要であれば、選任された投票アドバイザは、総会情報を吟味しプラットフォームを介して投票内容を入力して投資家をサポートすることができる。
【0034】
この発明の実施形態のプラットフォーム・アプリケーションは、発行人またはその代理人がアプリケーションの上で総会を生成したことを知るために、十分にインテリジェントである。このため、総会情報はアプリケーションに直接入力できる。さらに、アプリケーションは、いずれの投資家が発行人における地位を有しており、当該投資家に対応する投票権を有しているかを知るために、十分にインテリジェントである。さらに、アプリケーションは、投資家に対し、投票のためのマーケットの遮断(market cut-off)、投資家が行使できる投票権の数、総会において投票する全ての項目を連絡することができる。
【0035】
したがって、この発明の実施形態においては、投資家は、発行人または発行人代理人が総会情報をアップロードするやいなや、総会についての情報に直ちにアクセスする。この情報は情報源(発行人)からアップロードされてコンボ発明の実施形態によるプラットフォームを介して送信されるので、投資家によってアクセス可能で利用可能なこの情報は、いずれの仲介人よっても劣化させられることがない。たとえば、機関投資家が、発行人によってアナウンスされた事項についてどのように投票するかを決定するに至った時、この発明の実施形態による応用では、契約仲介人により投資家が保有するアカウントにおける投資家の投票を、たとえば、経路の反対側の発行人または発行人代理人に対して送信する経路を用いることができる。したがって、発行人は、この発明の実施形態のプラットフォームから受信したダウンロードが、マーケットにおいて投資家によって保持されている地位に合致する真正な投票であることを認識することができる。さらに、発行人は、この発明の実施形態のプラットフォームを介して、投票確認を、直接、投資家に提供することができる。
【0036】
したがって、上述のように、この発明の実施形態によれば、上述の伝統的なプロセスが持つ問題を解決するための技術分野や関連する技術分野を進歩させることができる。たとえば、投資家に対し、管理仲介人による解釈なしに、投票中止の期限との衝突もなく、直接的でインタラクティブに正確な総会情報の迅速な通信をを提供し、迅速に投票した投資家から発行人への直接的でインタラクティブな通信を提供する。さらに、1以上のプラットフォーム・プロセッサは、また、投資家に対し、当該投票の確認を直接的でインタラクティブに通信することを提供する。したがって、この発明の実施形態により、伝統的なプロセスの非効率な仲介プロセスや高コストを解消することができることが明らかである。
【0037】
図1は、この発明の実施形態のためのプラットフォームの構成要素例の全体と、当該構成要素間の情報の流れを示す概略ダイアグラムである。
図1に示すように、実施形態においては、インテリジェント・アプリケーションを実行する中央プラットフォーム100の1以上のプロセッサを用いることができる。このプロセッサは、管理人ユーザインターフェイス122、投資家または投資家代理人ユーザインターフェイス124、発行人または発行人代理人インターフェイス126などのユーザインターフェイスを介してアクセス可能である。
【0038】
図2Aおよび
図2Bは、実施例の全体を示す概略ダイアグラムの部分詳細である。この例では、投資家が一連の管理人にマップされ、一連の仲介人が階層化されている。これは、本発明の実施形態によるインテリジェントなアプリケーションを実行する中央プラットフォーム200の1以上のプロセッサによって、発行人と投資家の間のインタラクティブな通信を実現するためである。
図2Aおよび
図2Bの概略ダイアグラムには、この発明の実施形態における、投資家202、204、206、208、210など1以上の投資家と発行人または発行人代理人212との間の情報の流れが一例として示されている。
【0039】
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムにあるように、各投資家のアカウントは、投資家に対応づけられたアカウント番号によって示されている。
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムにおいては、発行人212と投資家202、204、206、208、210の間の管理仲介人のダイレクトな経路の構築に関連して、この発明の実施形態によるプラットフォーム・アプリケーション200によって内部的に提供される情報の例も示されている。
【0040】
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムにおいて、一連の管理人における管理主体には、たとえば、グローバル・カストディアン214、216、218、220、222、サブ管理人224、226、228、資産管理者(ウエルス・マネージャ)230、プライベートバンク232が含まれる(これらの限定されるものではない)。
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムにおいて、たとえば、215、217、219、221、223に示すようにグローバル・カストディアン214、216、218、220、222により、225、227、229に示すようにサブ管理人224、226、228により、231に示すように資産管理者230により、233に示すようにプライベート・バンク232により、地位やアカウント情報などの投資家情報が、プラットフォーム200にアップロードされる。
【0041】
アップロードされた地位およびアカウント情報に基づいて、この発明の実施形態によるインテリジェント・アプリケーションを実行する1以上のプラットフォーム・プロセッサ200が、
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムに示すように、投資家202、204、206、208、210と発行人または発行人代理人212との間のブロックを構築するアルゴリズムを実施する。たとえば、ブロック234にて表わされているサブ管理人228は、ブロック236にて表わされているグローバル・カストディアン216およびブロック238にて表されているグローバル・カストディアン220にコンタクトする。さらに、サブ管理人228を表すブロック234にリストアップされているアカウントが、それぞれグローバル・カストディアン216、220を表すブロック236、238にリンク付けられる。上述のようにして、各投資家202、204、206、208、210のために、それぞれの管理仲介人によって、地位やアカウント情報がプラットフォーム200にアップロードされる。
【0042】
図1に示すように、この発明の実施形態では、たとえば、投資家102、104、106、108が、直接または投票アドバイス代理人110を介して、同じく直接または発行代理人114を介して発行人112との間で情報をやり取りすることができる。総会はその開催予定日の所定日数前、たとえば開催予定日の20日または21日前にアナウンスされる。しかし、開催予定日に先だって他の好ましい日数前に、総会のアナウンスをすることも考えられる。したがって、発行人112または発行代理人114は、総会の開催予定日の所定日数前に、総会情報を、この発明の実施形態によるプラットフォーム100に入力することができる。
【0043】
この発明の実施形態による管理人ユーザインターフェイス122を介してプラットフォーム100にアップロードされた情報に関し、
図1に示す直接的な管理人116やグローバル・カストディアン118、120は、
図2の概要図に示す1以上のグローバル・カストディアン214、2116、218、220、222、サブ管理人224、226、228、資産管理者230、プライベート・バンク232に応答する。たとえば、管理人116、118、120は、投資家102、104、106、108などの契約クライアントを代理して、発行人112における地位を保持することができる。
【0044】
図1において、投資家102、104、106、108は、このような地位の正当な受益権のある保有者であり、一連の管理人の中で投資家としてこれらの地位を投票する権利を有する。この発明の実施形態では、管理人116、118、120は、一連の管理人をプラットフォーム100にアップロードすることが求められる。たとえば、管理人116、118、120は、どの地位がどのアカウントに属するのかの情報をアップロードしなければならず、これにより、この発明の実施形態におけるプラットフォーム100は、それぞれの投資家のために、これら情報の全てを関連づけることができる。その結果、プラットフォームにおいて特定の特定の投資家が投票権限を有する株式の数と資格が表される。
【0045】
図1において、投資家達の投票は、プラットフォームに投じられ、この発明の実施形態によるプラットフォームを介して、発行人112に送られる。さらに、投資家108のような投資家は、投資家ユーザインターフェイス124により、プラットフォーム100と直接的にやり取りをすることができる。また、投資家102、104、106のような投資家は、投票アドバイス代理人110を介して、プラットフォーム100とやり取りをすることができる。同様に、発行人112のような発行人は、ユーザインターフェイス126によりプラットフォーム100と直接やり取りや情報のアップロードを行うことができ、あるいは、発行人に代わってプラットフォームにに情報をアップロードする機能を実行するための発行代理人114を任命することができる。
【0046】
図1の概略ダイアグラムに示された特徴と、
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムに示された特徴とは、互いに対応している。たとえば、
図1のダイアグラムは、この発明の実施形態によるシステムの構成要素間の情報流の例を示しており、
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムは、発行人と投資家の間の一連の管理人の例を示している。
図1のダイアグラムは、高いレベルでの情報の流れとこの発明の実施形態によるプラットフォーム内のアクセスポイントを示し、
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムは、プラットフォームが管理人から投資家への管理のダイレクトパスとなる方法を詳細に示している。
【0047】
図3は、マッピング処理および本発明の実施形態による代理投票関連データのダイレクトでインタラクティブな電子通信の実行処理の例を示すものである。
図3の301において、メモリに接続された1以上の中央プラットフォームプロセッサのインテリジェント・アプリケーションのマッピング機能によって、少なくとも投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人が保有する発行人における投資家の地位に基づいて、発行人端末装置のプロセッサと投資家端末装置のプロセッサとの間のダイレクトでインタラクティブな通信チャネルがマッピングされる。
【0048】
図3の302において、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーションの通知機能は、投資家端末装置のプロセッサへの上記のダイレクトでインタラクティブな電子通信チャネルを介して、発行人の総会に関する通知を示すデータを送信する。303において、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーションの投票機能は、投資家端末装置のプロセッサからダイレクトでインタラクティブな電子通信チャネルを介して発行人端末装置のプロセッサに対し、総会における投資家の地位に紐付けられた投資家の投票権の行使を示すデータを返信する。さらに、1以上の中央プラットフォーム・プロセッサのインテリジェント・アプリケーションの投票機能は、ダイレクトでインタラクティブな電子通信チャネルを介して少なくとも1つの投資家端末装置のプロセッサに対し、上記投資家の投票権の行使を確認するデータを送信することができる。
【0049】
図3においては、1人の投資家が含まれる簡単な例を示しているが、
図1、
図2A、
図2Bの概略ダイアグラムに示すように、この発明の実施形態には、たとえば、各投資家のための一連の管理仲介人中のそれぞれの管理仲介人が保持する発行人についての投資家の地位に関するデータに基づいて、発行人端末装置または発行代理人端末装置のプロセッサと、任意の数の投資家端末装置または投資家代理人端末装置のプロセッサとの間のダイレクトでインタラクティブな電子通信チャネルをマッピングすることが含まれる。同様に、通知データは、それぞれのダイレクトでインタラクティブな電子通信チャネルを介して、各投資家に送信され、各投資家による投票権の行使を示すデータは、それぞれのダイレクトでインタラクティブな電子通信チャネルを介して、発行人に返信される。
【0050】
この発明の実施形態におけるホストサーバ装置の1以上のプロセッサにて動作するプラットフォーム・アプリケーションは、許可されたユーザがアクセスすることのできるウエブベースのプラットフォームとしてもよい。対象主体がこのプラットフォームのクライアントになれば、ウエブベースのプラットフォームへのアクセスを許可され、当該クライアントにおいて利用可能なデータを見ることができるようになる。
【0051】
この発明の種々の実施形態についての記載は、説明のために示したものであり、開示した実施形態を限定したり制限したりするためのものではない。当業者であれば、記述された実施形態の範囲および精神から離れることなく、種々の改良や変更が可能である。ここで用いた用語は、実施形態の原理を適切に説明するために選ばれたものであり、当業者がここに開示した実施形態を理解することが可能なように選ばれたものである。。実際への応用(Practical application)や技術的進歩は、市場において見いだされる。この発明は、統合の可能な技術詳細レベルにおいて、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム・プロダクトとすることができる。コンピュータプログラム・プロダクトは、プロセッサにこの発明の特徴を実施させるコンピュータ可読のプログラム指示を記録したコンピュータ可読の蓄積媒体(または複数の媒体)とすることができる。
【0052】
この発明の実施形態は、コンピュータプログラム・プロダクトのプロセス群として実施することができる。それぞれのプロセスは、単一の物理的プラットフォームまたは複数のプラットフォームにまたがる1以上のプロセッサによって実行される。プラットフォームとしては、たとえば、インターネット、イントラネット、WAN、LAN、携帯電話ネットワークその他の適切なネットワークのようなシステムまたはネットワークなどがある。この発明の実施形態においては、プロセッサに結合されたランダム・アクセス・メモリ(RAM)(これに限定するものではない)などのコンピュータ可読媒体を備えたクライアント装置を使用することができる。プロセッサは、メモリに記録されたコンピュータによって実行可能なプログラム指令を実行する。プロセッサとしては、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)および/または状態機械(state machine)を用いることができる(これらに限定するものではない)。プロセッサは、当該プロセッサによって実行させることで、前述の1以上のステップを当該プロセッサに実施させるような指令を記録するコンピュータ可読媒体などの媒体を備え、もしくはこれらと通信可能であるようにしてもよい。
【0053】
コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読の指示をプロセッサに提供することのできる、電子的、光学的、磁気的、RFIDまたは他のストレージまたは送信装置を含むものである(これに限定するものではない)。好ましい媒体の他の例としては、CD-ROM、DVD、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、構成されたプロセッサ(configured processor)、光学媒体、磁気媒体または他のプロセッサが指令を読み出すことのできる好ましい媒体を含むものである(これに限定するものではない)。この発明の実施形態においては、ルータ、プライベートまたは公衆ネットワークまたは他の有線または無線による送信装置またはチャネルを含む、コンピュータに指令を送信しあるいは伝達するコンピュータ可読媒体の他の形態を用いることができる。この指令には、C、C++、C#、ビジュアルベーシック、Java(商標)、Python、PerlおよびJava(商標)Scriptを含む適切なコンピュータ・プログラム言語によるコードを含んでいてもよい(これに限定するものではない)。
【0054】
この発明の実施形態によって用いられているクライアント装置は、マウス、CD-ROM、DVD、キーボード、ディスプレイまたは他の入力、出力装置のような、いくつかの外部または内部装置を備えていることが理解できるであろう。一般に、このようなクライアント装置は、ネットワークに接続され、1以上のアプリケーション・プログラムと相互作用し、適切なオペレーティングシステム上で動作する、適切な形式のプロセッサベースのプラットフォームとすることができる。サーバ装置は、ネットワークおよび同様にクライアント装置に結合されてもよく、当該サーバ装置は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)などのコンピュータ可読媒体に結合されたプロセッサを備えることができる。シングル・コンピュータ・システムとすることのできるサーバ装置は、ネットワーク・コンピュータ・プロセッサとして実施することができる。かかるサーバ装置の例としては、複数のサーバ装置、複数のメインフレーム・コンピュータ、複数のネットワークコンピュータ、プロセッサベースの装置、これらに類似するタイプのシステムおよび装置がある。
【0055】
この発明の側面を、この発明の実施形態による方法、装置(システム)およびコンピュータプログラムのフローチャートおよび/またはブロック・ダイアグラムを参照して説明した。これらの各フローチャートおよび/またはブロック・ダイアグラムおよびフローチャートとブロック・ダイアグラムの組合せは、コンピュータ可読プログラム指令によって実現されるものであると理解されよう。これらコンピュータプログラム指示は、機械(マシン)を生成するために、特定目的のコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に提供されてもよい。コンピュータその他のプログラム可能な装置またはデバイス上で実行される指示によって、フローチャートおよび/またはブロック・ダイアグラムまたは複数のブロックに示された機能/動作が実現される。
【0056】
これらのコンピュータ可読プログラム指令は、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置および/または他の装置を所定の様式にて機能するように、コンピュータ可読記録媒体に記録することができる。指令を記録したコンピュータ可読記録媒体は、フローチャートおよび/またはブロックダイアグラムブロックまたは複数のブロックにおいて示された機能/動作の側面を実施する指令を含む製造物を備えている。コンピュータ可読プログラム指令は、コンピュータ、他のプログラム可能装置または他のコンピュータ実行プロセスを生成する装置において実行されるべき一連の機能ステップをもたらすように、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置または他の装置にロードされる。これにより、コンピュータ、他のプログラム可能装置またはその他の装置において実行される指令は、フローチャートおよび/またはブロックダイアグラムブロックまたは複数のブロックにて示された機能/動作を実行する。
【0057】
図面における概要ダイアグラムは、この発明の種々の実施形態にしたがう、システム、方法およびコンピュータプログラム・プロダクトのアーキテクチャ、機能および動作を示している。この点につき、フローチャート、ブロックダイアグラムの各ブロックは、特定の論理機能を実現するための1以上の実行可能な指令を含むモジュール、セグメントまたは指令の一部を表している。他の実現例において、複数のブロックに記載された複数の機能は、図面に表された順番ではなく生じることが可能である。たとえば、連続して示される2つのブロックは、含まれる機能に応じて、実質的に同時に実行してもよく、あるいは、時には反対の順番にて実行してもよい。複数のブロックダイアグラムおよび/またはフローチャートおよびブロックダイアグラムおよび/またはフローチャートの複数のブロックの組合せにおける各ブロックは、特定の機能または動作を実施する特定目的のハードウエアベースのシステムまたは特定目的のハードウエアとコンピュータ指令との組合せの実施によって実現可能である。