(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】核酸プローブ、及び固形担体に核酸プローブを固定する方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6806 20180101AFI20230418BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20230418BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230418BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20230418BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6876 Z ZNA
C12M1/00 A
C12Q1/686 Z
(21)【出願番号】P 2020511487
(86)(22)【出願日】2018-08-24
(86)【国際出願番号】 DK2018050207
(87)【国際公開番号】W WO2019037828
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-05
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】エリクセン、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】チン、ワイ ホー
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン ソー、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー、マーティン
【審査官】幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-057565(JP,A)
【文献】Tran Quang Hung et al.,A novel lab-on-chip platform with integrated solid phase PCR and Supercritical Angle Fluorescence (SAF) microlens array for highly sensitive and multiplexed pathogen detection.,Biosensors and Bioelectronics,2017年04月15日,Vol.90,p.217-223,doi: 10.1016/j.bios.2016.11.028
【文献】Yi Sun et al.,Direct immobilization of DNA probes on non-modified plastics by UV irradiation and integration in microfluidic devices for rapid bioassay.,Anal Bioanal Chem,2011年10月26日,Vol.402, No.2,p.741-748,doi: 10.1007/s00216-011-5459-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形担体に核酸プローブを固定する方法であって、
・末端アンカー鎖部分とキャプチャー部分とを含むように前記核酸プローブを提供することと、
・前記固形担体の表面上に前記核酸プローブを堆積させることと、
・UV光に暴露することにより前記固形担体に前記核酸プローブのアンカー鎖部分をアンカーすることと、を含み、
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が
、N個のヌクレオチドの配列
を含み、Nが少なくとも18であり
、
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(
T)
Y-(C)
Z-)
M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含み、
式中、Yは1~5の整数であり、Zは1または2であり、Y≧Zであり、且つMは4~20の整数であり、または、
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(
T)
Y2-(C)
Z-(
T)
Y2-)
M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含み、
式中、Y
2は1~4の整数であり、Zは1~4の整数であり、且つMは4~20の整数であり、
塩基タイプ
Tの数は、塩基タイプCの数よりも大きい、方法。
【請求項2】
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、塩基タイプ
Tの2~5個のヌクレオチドのストレッチおよび塩基タイプCのヌクレオチドで構成された少なくともN個のヌクレオチドの配列を含み、
Nが少なくとも20である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(
T)
Y-(C)
Z-)
M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含み、
式中、
Yが2~5の整数であり、Zが1または2であり、
且つY>Zで
ある、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
Y=2且つM≧10であるか、
又は
Y=3且つM≧6であるか、
又は
Y=4且つM≧4である、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、配列番号16のポリヌクレオチド(42TTC
14
)、配列番号17のポリヌクレオチド(40TTTC
10
)、または配列番号18のポリヌクレオチド(40TTTTC
8
)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(
T)
Y2-(C)
Z-(
T)
Y2-)
M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含み、
式中、
Y
2が2~3の整数であり
、Zが1~3の整数であ
り、且つY
2
≧Zである、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項7】
Y
2
=2且つM≧10、または
Y
2
=3且つM≧4である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、配列番号22のポリヌクレオチド(42TTCCTT
7
)または配列番号21のポリヌクレオチド(39TCT
13
)を含む、請求項1および6~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記キャプチャー部分が、ヌクレオチドの配列を含むプライマー及び/又はハイブリダイゼーション鎖部分を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記核酸プローブがスポッティングにより前記固形担体の表面上に堆積され、前記スポッティングが、前記固形担体の表面上に溶媒中の前記核酸プローブをスポットすることを含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記固形担体がポリスチレン(PS)を含むか又はポリスチレン(PS)である、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記固形担体が、ポリスチレン(PS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又は上述したポリマーの1つ以上を含む混合物を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記固形担体
の表面が、1つ以上のアミン基を含まない、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記固形担体が、チャネルを画定するチャネル表面を備えたチャネルを含むカートリッジの少なくとも一部であり、前記固形基材の表面が、前記チャネル表面の少なくとも一部を形成し、
前記チャネルが反応セクションを含み、前記方法が、前記チャネルの反応セクション内の表面に前記核酸プローブを固定することを含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応セクションが少なくとも1つの光学エレメントを含み、
前記光学エレメントが超臨界角蛍光構造体(SAF構造体)を含み、前記SAF構造体がトップ表面を有し、且つ前記方法が、前記トップ表面に前記核酸プローブを固定することを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記光学エレメントが、切頭体角α、トップ表面、トップ直径D、及び高さhを有する円錐状切頭体形状を有するSAF構造体である、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記切頭体角αが、30°~70°であり、前記少なくとも1つのSAF構造体がトップ表面凹部を有し、1.1以下のトップ直径対高さのアスペクト比D/hを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記核酸のアンカー鎖部分が、250nm~500nmの範囲内の波長を含むUV光に暴露することにより前記固形担体にアンカーされる、請求項1~
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
固形担体に固定するのに好適な核酸プローブであって、前記核酸プローブが末端アンカー鎖部分とキャプチャー部分とを含み、前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が
、N個のヌクレオチドの配列
を含み、Nが少なくとも18であり
、
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(
T)
Y-(C)
Z-)
M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含み、
式中、Yは1~5の整数であり、Zは1または2であり、Y≧Zであり、且つMは4~20の整数であり、または、
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(
T)
Y2-(C)
Z-(
T)
Y2-)
M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含み、
式中、Y
2は1~4の整数であり、Zは1~4の整数であり、且つMは4~20の整数であり、
塩基タイプ
Tの数は、塩基タイプCの数よりも大きい、核酸プローブ。
【請求項20】
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(
T)
Y-(C)
Z-)
M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含み、
式中、
Y=2且つM≧10、
又は
Y=3且つM≧6、
又は
Y=4且つM≧4である、請求項
19に記載の核酸プローブ。
【請求項21】
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、配列番号16のポリヌクレオチド(42TTC
14
)、配列番号17のポリヌクレオチド(40TTTC
10
)、または配列番号18のポリヌクレオチド(40TTTTC
8
)を含む、請求項19または20に記載の核酸プローブ。
【請求項22】
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(
T)
Y2-(C)
Z-(
T)
Y2-)
M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含み、
式中、
Y
2≧Zであり、
Y
2=2且つM≧10であるか、
又は
Y
2=3且つM≧4である、請求項
19に記載の核酸プローブ。
【請求項23】
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、配列番号22のポリヌクレオチド(42TTCCTT
7
)または配列番号21のポリヌクレオチド(39TCT
13
)を含む、請求項19または22に記載の核酸プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、マイクロ流体カートリッジなどの固形基材に核酸プローブを固定することに関する。かかる核酸プローブは、標的成分をキャプチャーするために及び/又はハイブリダイゼーションアッセイの目的のために有利に適用しうる。
【背景技術】
【0002】
バイオ分子の研究及び/又は検出に使用するためのアッセイデバイスは、非常に重要なツールである。近年、ハイブリダイゼーションアッセイのための固定プローブを担持したさまざまなタイプのデバイスが開発され市販されてきた。
【0003】
アッセイデバイスを改善するための及び所望のプローブを固定するためのいくつかの試みが提案されてきた。いくつかの先行技術の方法は、ヌクレオチド配列を担体構造上に直接合成することを含む。他のより有効な方法は、たとえば、天然源から単離することにより又は合成することにより、核酸プローブを最初に提供することを含む。
【0004】
(非特許文献1)には、金表面へのプレ合成オリゴヌクレオチドのアセンブリーに及ぼすDNA長及びアンカー基の存在の影響の研究が開示されている。チオールアンカー基はオリゴヌクレオチド固定を強く増強するが、より長い鎖長では増強は低減されることが、研究から示される。24塩基よりも長い鎖では、表面カバレッジはプローブ長と共に顕著に減少し始める。
【0005】
(非特許文献2)には、アミン官能基化基材上への光化学的(254nm UV)DNA固定の研究が開示されている。ハイブリダイゼーション配列に装着されたウラシル、チミン、及び限られた範囲内でグアニンの短いホモオリゴマー配列(テール)は、固定を改善すると結論付けられた。アミン官能基化基材へのこうしたヌクレオチドのグラフトを説明する、可能性のある機序が提案された。
【0006】
類似の固定方法は、(特許文献1)に開示されている。そこに開示される発明は、核酸を固定するためにより長い波長すなわち300~500nmを使用することに焦点を当てており、かかる長波長光を用いると核酸分子の損傷を引き起こすリスクが低減されると考えられる。開示された方法は、
(a)1つの塩基タイプのみのヌクレオチドストレッチを有する核酸を提供する工程であって、1つの塩基タイプのみのヌクレオチドストレッチが少なくとも核酸の3’又は5’末端に位置する、工程と、
(b)光で架橋することにより固形担体上に核酸を固定する工程であって、光で架橋することが約300~500nmの波長で、好ましくは365nmの波長で実施され、1つの塩基タイプのみのヌクレオチドストレッチが約7~約100ヌクレオチドの長さを有し、且つ架橋することが約0.5ジュール/cm2~約10ジュール/cm2の範囲内のエネルギー量を用いて実施される、工程と、
を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】A.B.スティール(A.B.Steel)ら著、DOI:http://dx.doi.org/10.1016/S0006-3495(00)76351-X、「固体表面への核酸の固定:層アセンブリーに及ぼすオリゴヌクレオチド長の影響(Immobilization of Nucleic Acids at Solid Surfaces:Effect of Oligonucleotide Length on Layer Assembly)」、バイオフィジカル・ジャーナル(Biophysical Journal)、第79巻、2000年8月、p.975~981
【文献】アンケ・ピエリク(Anke Pierik)ら著、DOI:10.1021/ac902561w、「アミン官能基化固形基材上へのホモオリゴマーテールを有するオリゴヌクレオチドの固定及びハイブリダイゼーションに及ぼす影響(Immobilization of Oligonucleotides with Homo-oligomer Tails onto Amine-Functionalized Solid Substrates and the Effects on Hybridization)」、アナリティカル・ケミストリー(Anal.Chem.)、2010年、第82巻、第4号、p.1191~1199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、固形基材に核酸プローブを固定する単純且つ効果的な代替法を提供することである。
ある実施形態では、固形基材に核酸プローブを固定する方法であって、基材が、前処理、たとえば、固形担体のアミン官能基化又はチオール官能基化を含む前処理を必要としないものである、好ましくは、基材が、射出成形により作製された後でなんら表面官能基化を必要としない熱可塑性・射出成形性材料である、方法を提供することが目的である。
【0010】
ある実施形態では、固形基材に核酸プローブを固定する方法であって、基材がUV光による固定後に洗浄を必要としない、方法を提供することが目的である。それにより、固定プローブを担持した最終デバイス担体は、コストを削減して作製可能である。
【0011】
本発明の目的は、きわめて有効に基材に核酸プローブを固定するための末端アンカー鎖部分を含むプローブを提供することであり、有利には基材は前処理を必要としない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的は、特許請求の範囲に規定される及び本明細書の以下に記載される本発明又はその実施形態により達成された。
本発明は、固形担体に核酸プローブを固定する新しい有効な方法を提供する。本発明の発明者らは、固定効率が驚くほど高い且つ核酸プローブの望ましくない損傷リスクが非常に低い、固形担体に核酸プローブを固定するための新規なアンカーチェンジを見いだした。
【0013】
固形担体に核酸プローブを固定する方法である本方法は、
・末端アンカー鎖部分とキャプチャー部分とを含むように核酸プローブを提供することと、
・固形担体の表面上に核酸プローブを適用することと、
・UV光に暴露することにより固形担体に核酸プローブのアンカー鎖部分をアンカーすることと、
を含む。
【0014】
核酸プローブの末端アンカー鎖部分は、塩基タイプシトシン(C)の中間ヌクレオチドと任意選択的に塩基タイプグアニン(G)の1ヌクレオチドとを伴う塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチで構成されたNヌクレオチドの配列又はそれに対して少なくとも90%の類似性を有する配列を含む。塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、互いに独立して1~5ヌクレオチドを含む。Nは少なくとも18であり、且つ各塩基タイプXは、互いに独立して塩基タイプチミン(T)又は塩基タイプウラシル(U)を表す。ある実施形態では、Nは少なくとも20である。
【0015】
ある実施形態では、末端アンカー鎖部分は、塩基タイプGの多くとも1ヌクレオチドを有するか又はそのヌクレオチドを含まない。
パーセント類似性は、塩基タイプCの中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXの1~5ヌクレオチドのストレッチの組成と異なるNヌクレオチドの配列中のヌクレオチドの数nをカウントして類似性パーセント100×(N-n)/Nを計算することにより決定される。
【0016】
特定の塩基タイプ、たとえば、それぞれ塩基タイプシトシン(C)、塩基タイプチミン(T)、又は塩基タイプウラシル(U)のヌクレオチドという用語は、本明細書では、特定の塩基タイプを含むヌクレオチド、さらには機能的に等価なその誘導体又は修飾体をはじめとする相補的塩基と相互作用可能な当業者に公知のその化学誘導体を含めて用いられる。「機能的に等価な」という用語は、ヌクレオチド又はその由来源の塩基の非共有結合に化学的に類似した相補的塩基との非共有結合を確立する塩基の能力を意味する。かかる機能的に等価な又は修飾された塩基は、相補的塩基とのハイブリダイゼーション結合を依然として達成可能でありうる。
【0017】
「末端アンカー鎖部分」、「ポリテール」、又は単に「アンカーチェンジ」という用語は、本明細書では同義的に用いられる。
「標的成分」という用語は、キャプチャー部分よりキャプチャーされうる及び/又はハイブリダイゼーション、プライマー伸長、他の反応などによりキャプチャー部分で合成されうるいずれかの成分を意味する。
【0018】
「先端」及び「基端」という用語は、最小侵襲手術との関連で使用される光トランスミッターデバイス又はいずれかの他のデバイスの向きを基準にして解釈すべきである。
「約」という用語は、一般的には、測定不確実性の範囲内のものを含むように用いられる。範囲で用いられた場合、「約」という用語は、本明細書では、測定不確実性の範囲内のものがその範囲に含まれることを意味するものとみなすべきである。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「を含む」という用語は、オープンタームであると解釈すべきことが強調されるべきである。すなわち、要素、単位、整数、工程、成分、それらの組合せなどの具体的に述べられた特徴の存在を特定するものとみなすべきであるが、1つ以上の他の述べられた特徴の存在又は追加を妨げるものではない。
【0020】
とくに明記されていない限り又は文脈から明らかでない限り、「実質的に」という用語は、通常の測定不確実性又は製品のバラツキ及び許容度のどちらか大きい方が含まれることを意味する。
【0021】
「本質的に」という用語は、本明細書では、当該目的には実用上無関係である変動が含まれることを意味するものとみなすべきである。
本明細書又は特許請求の範囲の全体を通じて、とくに明記されていない限り又は文脈上必要とされない限り、単数は複数を包含する。
【0022】
「ある実施形態」という語句は、挙げられた実施形態の特徴を含む本発明の実施例を含むものと解釈すべきである。
範囲及び好ましい範囲を含めて、本明細書に記載の本発明の特徴及び本発明の実施形態はすべて、かかる特徴を組み合わせない特別な理由がない限り、本発明の範囲内で各種方法で組み合わせうる。
【0023】
新規な核酸プローブを提供することにより、本発明の発明者らは、固形基材に核酸を固定する技術に大きな価値ある寄与を果たした。本発明者らにより提供された方法は、以下でさらに説明されるいくつかの非常に価値ある利点を有する。
【0024】
ある実施形態では、核酸プローブの末端アンカー鎖部分は、塩基タイプシトシン(C)の中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチで構成されたNヌクレオチドの前記配列を含む。塩基タイプXと塩基タイプCとの組合せは、高い固定効率を得るのに非常に有利であることが示された。そのため、ある実施形態では、Nヌクレオチドの少なくとも約90%、たとえば少なくとも約95%、たとえば各々は、互いに独立して塩基タイプX又は塩基タイプCである。
【0025】
塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、各ストレッチに対して塩基タイプXの少なくとも1ヌクレオチドを含む。塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、等しい又は異なる長さを有しうる。ある実施形態では、塩基タイプXのヌクレオチドのいくつかのストレッチ、たとえば、2つごと又は3つごとのストレッチは、第1の長さを有し、且つ塩基タイプXのヌクレオチドのいくつかの他のストレッチ、たとえば、2つごと又は3つごとのストレッチは、2番目に長い長さを有する。
【0026】
核酸プローブが、2~5ヌクレオチドを含む塩基タイプXのヌクレオチドの1つ以上のストレッチを含む場合、偽陰性を与えるプローブの脱離リスクは、大幅に低減されうることが見いだされた。
【0027】
有利には、Nヌクレオチドの配列は、プリン核酸塩基を有するヌクレオチドを10%未満、好ましくは5%未満、たとえば、プリン核酸塩基を有するヌクレオチドを1又は0個含む。
【0028】
プリン核酸塩基を有するヌクレオチドは、アデニン(A)及びグアニン(G)である。プリン核酸塩基を有するヌクレオチドは、核酸プローブの固定効率を一般に低減することが見いだされた。この理由は、核酸プローブの高い固定効率がピリミジンのC=C二重結合での反応による共有結合の形成により引き起こされることでありうると考えられる。そのため、プリン核酸塩基を有するヌクレオチドは、この反応により固形担体に結合されないであろう。
【0029】
有利には、Nヌクレオチドの配列は、ピリミジン核酸塩基を有するヌクレオチドを排他的に含む。
ある実施形態では、核酸プローブの末端アンカー鎖部分は、塩基タイプCの中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXの2~5ヌクレオチドのストレッチで構成された少なくともNヌクレオチドの配列を含む。
【0030】
末端アンカー鎖部分のヌクレオチドの数Nは、有利には、少なすぎないようにすべきである。なぜなら、この結果、末端アンカー鎖部分と固形担体との間の結合が弱くなりすぎるおそれがあるからである。しかしながら、また、核酸プローブのヌクレオチドの全数は、多すぎないことが望まれる。なぜなら、この結果、単位面積当たりの固定された核酸プローブの数が少なくなるおそれがあるからであり、及び/又は核酸プローブが互いに部分的にブロックし合って比較的弱い固定を生じるおそれがあるからである。有利には、Nは、少なくとも26、たとえば少なくとも30、たとえば少なくとも34、たとえば少なくとも38、たとえば少なくとも40である。
【0031】
一般的には、末端アンカー鎖のヌクレオチドの数Nを60超に増加させると、固定効率のさらなる増加は得られないと考えられる。ある実施形態では、末端アンカー鎖のヌクレオチドの数Nは50未満である。
【0032】
有利には、塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、塩基タイプCの1~4ヌクレオチドにより互いに独立して分離される。
ある実施形態では、塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、等しい長さ、好ましくは塩基タイプXの2ヌクレオチドの長さ、塩基タイプXの3ヌクレオチドの長さ、又は塩基タイプXの4ヌクレオチドの長さである。
【0033】
末端アンカー鎖部分が塩基タイプXのヌクレオチドと塩基タイプCのヌクレオチドとの繰返しサブ配列を含む場合、非常に高い固定効率が得られうるとともに、DNA断片の増幅のためにPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)で適用される熱サイクルなどの熱サイクルプロセスで提供されるような温度シフトに暴露されたときでさえも、固定された核酸プローブの脱離リスクが非常に低いことを見いだした。
【0034】
きわめて好適な実施形態では、Nヌクレオチドの配列は、式
(-(X)Y-(C)Z-)M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含む。式中、Yは1~5の整数であり、Zは1~5の整数であり、Y≧Zであり、且つMは4~20の整数である。
【0035】
有利には、Yは2~5の整数であり、Zは1~4の整数であり、Y>Zであり、且つMは4~20の整数である。
ある実施形態では、Z=1である。ある実施形態では、Z=2である。ある実施形態では、Y=2且つM≧10、たとえばM≧12、たとえばM≧14である。ある実施形態では、Y=3且つM≧6、たとえばM≧8、たとえばM≧10である。ある実施形態では、Y=4且つM≧4、たとえばM≧6、たとえばM≧8である。
【0036】
きわめて好適な他の一実施形態では、Nヌクレオチドの配列は、式
(-(X)Y2-(C)Z-(X)Y2-)M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含む。式中、Y2は1~4の整数であり、Zは1~4の整数であり、且つMは4~20の整数である。
【0037】
好ましくは、Y2は2~3の整数であり、Zは1~3の整数である。ある実施形態では、Y2≧Z、好ましくはY2>Zである。ある実施形態では、Y2=2且つM≧10、たとえばM≧12、たとえばM≧14である。ある実施形態では、Y2=3且つM≧4、たとえばM≧6、たとえばM≧8である。
【0038】
塩基タイプXの数が塩基タイプCの数よりも大きい実施形態は、非常に高い安定な固定効率を得るのに好適であることが見いだされた。
ある実施形態では、Y又はY2の数はZの数よりも大きく、好ましくはY又はY2の数はZの数の少なくとも2倍である。
【0039】
ある実施形態では、塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、塩基タイプTのヌクレオチドのストレッチである。
ある実施形態では、塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、塩基タイプUのヌクレオチドのストレッチである。
【0040】
固形担体への末端アンカー鎖部分の結合は、ピリミジンのC=C二重結合に局在する反応による共有結合の形成により生じる結合であると考えられるので、塩基タイプUのヌクレオチドは、塩基タイプTのヌクレオチドの結合効率に対応する結合効率を有するであろうと考えられる。
【0041】
ある実施形態では、塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、塩基タイプTのヌクレオチドと塩基タイプUのヌクレオチドとを交互に含むなど、塩基タイプTのヌクレオチド及び塩基タイプUのヌクレオチドの両方を含む。
【0042】
末端アンカーのNヌクレオチドの配列は、核酸プローブのどちらかの末端に位置しうる。ある実施形態では、末端アンカーのNヌクレオチドの配列は、5’末端に位置する。ある実施形態では、末端アンカーのNヌクレオチドの配列は、3’末端に位置する。
【0043】
ある実施形態では、核酸プローブは、その5’末端又はその3’末端の両方に末端アンカーを有し、5’末端及び3’末端のそれぞれのNヌクレオチドの配列は、互いに等しくても異なっていてもよい。
【0044】
核酸プローブのキャプチャー部分は、DNA、RNA、PNA、CNA、HNA、LNA、又はANA、それらのオリゴヌクレオチド、それらの断片、又はそれらのいずれかの組合せを含みうる。
【0045】
ある実施形態では、キャプチャー部分は、RNAのアナログとして通常使用される2’O-メチルRNAを含み、この場合、ヌクレオシドのリボース部分の2’ヒドロキシルにメチル基が付加されてメトキシ基が形成される。
【0046】
DNAは、たとえば、A-DNA、B-DNA、又はZ-DNAの形態でありうる。RNAは、たとえば、p-RNAすなわちピラノシル-RNA又はヘアピンRNAやステム-ループRNAのような構造修飾形の形態でありうる。
【0047】
「PNA」という用語は、DNA又はRNAに類似した人工的に合成されたポリマーであるペプチド核酸を意味する。これは生物学的研究及び医学的治療に使用されるが、天然に存在することが知られていない。PNA骨格は、ペプチド結合により結合されたN-(2-アミノエチル)-グリシン単位を繰り返すことで構成されうる。
【0048】
「HNA」という用語は、ヘキシトール核酸、すなわち、標準的核酸塩基とリン酸化1,5-アンヒドロヘキシトール骨格とから構築されたDNAアナログを意味する。
「LNA」という用語は、ロックド核酸を意味する。典型的には、ロックド核酸は、修飾によりアクセス不能にしたRNAヌクレオチドである。LNAヌクレオチドのリボース部分は、たとえば、2’炭素と4’炭素とを接続する追加のブリッジで修飾される。
【0049】
「ANA」という用語は、アラビノン核酸又はその誘導体を意味する。
「CNA」という用語は、アミノシクロヘキシルエタン酸核酸を意味する。そのうえさらに、この用語は、シクロペンタン核酸、すなわち、2’-デオキシカルバグアノシンなどを含む核酸分子を意味する。
【0050】
ある実施形態では、核酸プローブのキャプチャー部分は、DNA、RNA、PNA、CNA、HNA、LNA、及びANAのいずれか1つの組合せ又はその断片を含みうる。
ある実施形態では、核酸プローブのキャプチャー部分である本明細書に定義される核酸分子は、短いオリゴヌクレオチド、長いオリゴヌクレオチド、又はポリヌクレオチドの形態でありうる。
【0051】
ある実施形態では、核酸プローブのキャプチャー部分は一本鎖である。ある実施形態では、核酸プローブのキャプチャー部分は二本鎖である。
ある実施形態では、核酸プローブは、天然源から得られるか又は全合成若しくは部分合成される。
【0052】
一般的には、核酸プローブの少なくとも末端アンカー鎖部分は、少なくとも部分合成、好ましくは全合成されることが望ましい。
ある実施形態では、全核酸プローブは一本鎖である。
【0053】
ある実施形態では、核酸プローブは、その長さの少なくとも一部、たとえば、そのキャプチャー部分の一部が二本鎖である。
キャプチャー部分は、原理的には、標的成分をキャプチャー可能ないずれかの種類の部分でありうる。
【0054】
ある実施形態では、キャプチャー部分は、プライマー伸長に適合化されたプライマーなどのプライマーを含む。プライマー伸長は、たとえば、RNAの5’末端をマッピングするために使用される技術である。プライマー伸長は、たとえば、転写の開始部位を決定するために使用可能である。
【0055】
ある実施形態では、キャプチャー部分は、標的核酸プローブの相補的領域にハイブリダイズするように適合化させた及び/又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを実施するように適合化されたヌクレオチド配列などのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーション鎖部分を含む。PCRが固形担体に固定されたプライマー/プローブから実施される場合、それは固相PCR又はSP-PCRともいいうる。
【0056】
ある実施形態では、キャプチャー部分は、マイクロアレイハイブリダイゼーション、PCR、LAMP、WGA(全ゲノム増幅)、HDA、固相PCRなどの用途で相補的標的DNAをアニールするように適合化される。
【0057】
ループ媒介等温増幅(LAMP)では、標的DNAの6~8識別可能領域を認識する4~6プライマーが使用される。鎖置換DNAポリメラーゼは合成を開始し、且つプライマーの2つは、増幅の後続ラウンドを容易にするためにループ構造を形成する。LAMPは迅速で感度が良く、且つ増幅は非常に広範にわたり反応時に生成されたピロリン酸マグネシウムを目視可能であるので、LAMPはフィールド診断に好適である。
【0058】
鎖置換増幅(SDA)は、プライマーに含まれる部位に鎖限定制限エンドヌクレアーゼ又はニッキング酵素により形成されたニックで開始する鎖置換DNAポリメラーゼ、典型的にはBst DNAポリメラーゼ、ラージフラグメント、又はクレノウフラグメント(3’-5’エキソ-)に依拠する。ニッキング部位は、各ポリメラーゼ置換工程で再生され、指数関数的増幅をもたらす。SDAは、典型的には臨床診断に使用される。
【0059】
ヘリカーゼ依存増幅(HDA)は、鎖を分離するヘリカーゼの二本鎖DNA巻戻し活性を利用してプライマーのアニーリング及び鎖置換DNAポリメラーゼによる伸長を可能にする。PCRのように、このシステムは2つのプライマーのみを必要とする。HDAは、いくつかの診断デバイス及びFDA承認試験で利用されてきた。
【0060】
ニッキング酵素増幅反応(NEAR)は、ニッキング酵素により形成されたニックで開始する鎖置換DNAポリメラーゼを利用して標的配列から多くの短い核酸を迅速に生成する。このプロセスはきわめて迅速で感度が良いので、何分かで少ない標的量の検出を可能にする。NEARは、臨床用途及びバイオセーフティー用途で病原体検出に通常使用される。
【0061】
定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)としても知られるリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(リアルタイムPCR)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく分子生物学の検査技術である。それは、PCR時に、すなわち、従来のPCRの場合のようにその終了時ではなくリアルタイムで標的DNA分子の増幅をモニターする。
【0062】
有利には、キャプチャー部分は、約200ヌクレオチドまで、好ましくはより短いヌクレオチド鎖を含む。ある実施形態では、キャプチャー部分は、約4~約100ヌクレオチド、たとえば約10~約50ヌクレオチド、たとえば約20~約30ヌクレオチドを有するヌクレオチド鎖を含む。
【0063】
キャプチャー部分は、末端アンカー鎖部分に直接結合しうる。
ある実施形態では、キャプチャー部分は、スペーサ、たとえば脱塩基スペーサ、たとえばある繰返し数のスペーサを介して末端アンカー鎖部分に結合される。
【0064】
スペーサの例としては、スペーサC3、PC(光切断性)スペーサ、ヘキサンジオールスペーサ、スペーサ9、スペーサ18、1’,2’-ジデオキシリボース(dスペーサ)、及びヌクレオチド(A、T、G、C)スペーサが挙げられる。
【0065】
スペーサC3は、オリゴヌクレオチドに短いスペーサアームを組み込むために使用される3炭素スペーサである。より長いスペーサが必要な場合、逐次付加によりスペーサC3を組込み可能である。スペーサ9は、9原子長(炭素数6+酸素数3)のトリエチレングリコール鎖であり、オリゴヌクレオチドにスペーサアームを組み込むために使用される。スペーサ9は、より長いスペーサが必要な場合には常に、逐次付加により組込み可能である。スペーサ18は、18原子長(炭素数12+酸素数6)のヘキサエチレングリコール鎖であり、オリゴヌクレオチドに長いスペーサアームを組み込むために使用される。スペーサ18は、より長いスペーサが必要な場合には常に、逐次付加により組込み可能である。
【0066】
これらの及び他の好適なスペーサは、たとえば、米国ニューヨーク州のジーン・リンク・インコーポレーテッド(Gene Link,Inc.)又は米国テキサス州のバイオ-シンセシス・インコーポレーテッド(Bio-Synthesis Inc.)から購入しうる。
【0067】
ある実施形態では、末端アンカー鎖部分は、核酸プローブの5’末端又は3’末端に位置し、且つキャプチャー部分Hは、5’末端及び3’末端の他の1つに位置する。
ある実施形態では、核酸プローブは、5’末端及び3’末端の両方に末端アンカー鎖部分を含み、且つキャプチャー部分は、末端アンカー鎖部分間に位置し、それらの間に任意選択的にスペーサを有する。
【0068】
ある特定の用途では、核酸プローブはマーカを含むことが望ましい。他の用途又は同一の用途では、標的成分はマーカを担持する。両方ともマーカを担持する場合、マーカは異なることが望ましいこともある。マーカは、原理的には、いずれの種類のマーカであってよい。
【0069】
ある実施形態では、核酸プローブは、放射性マーカや蛍光マーカなどのマーカ、たとえば、シアニン色素、たとえば、Cy3(1,1’-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-3,3,3’,3’-テトラメチルインドカルボシアニン)又はCy5(1,1’-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-3,3,3’,3’-テトラメチルインドジカルボシアニン)を含む。
【0070】
シアニン色素は、可視光波長で強力且つ安定な蛍光を呈するオリゴヌクレオチドの重要な化学修飾体である。シアニン色素は、シャープな吸収バンド、高い吸光係数、優れた耐光漂白性を有し、DNA及び他のオリゴマーを高蛍光性にするので、単一分子でさえも観測可能である。
【0071】
核酸プローブは、スポッティングなどのいずれかの方法により固形担体の表面上に堆積しうる。
「スポッティング」及び「プリンティング」という用語は、本明細書では同義的に用いられる。
【0072】
有利には、スポッティングは、固形基材の表面上に溶媒中の核酸プローブをスポットすることを含む。
スポッティングは、たとえば、コンピュータープリンターと同一の技術を用いてインクの代わりにプローブ溶液のナノリットル~ピコリットルの体積のドロップレットを固形担体の表面上に吐出するスポッティングロボット及び/又はインクジェットプリンターを用いて実施しうる。代替的に、こうしたプローブは、ピンを用いて固形担体の表面上の特定の位置に直接適用可能である。
【0073】
有利には、核酸プローブは溶媒で固形担体上に堆積される。溶媒中の核酸プローブの最適濃度は、主に核酸プローブの長さに依存する。しかしながら、以上に記載の好ましい末端アンカー鎖部分を有する核酸プローブを使用した場合、核酸プローブの濃度を増加させうることも見いだした。
【0074】
ある実施形態では、核酸プローブは、100μMまでの濃度、たとえば約1μM~約80μM、たとえば約3μM~約70μM、たとえば約5μM~約60μMの濃度の溶媒でスポットされる。ある実施形態では、核酸プローブは、約800ng/μLまで、たとえば約1ng/μL~約500ng/μLの濃度の溶媒でスポットされる。
【0075】
個別スポットは、たとえば約0.1nL~約1nL、たとえば約0.05nL~約1nL、たとえば約0.1nL~約0.8nL、たとえば約0.3nL~約0.6nLの体積を有しうる。
【0076】
好適な溶媒の例としては、SSC(生理食塩水クエン酸ナトリウム)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NaHPO4(第二リン酸ナトリウム)、SDS(ナトリウムドデシルスルフェート)、及びNaOH(水酸化ナトリウム)が挙げられる。さらなる例としては、SSCと組み合わされたトリトン(Triton)X-100が挙げられる。
【0077】
固形担体上にスポットした後、核酸プローブは放置乾燥などにより乾燥される。その後、核酸プローブを含む固形担体はUV処理に付される。
実際には、固形担体は、いずれの種類の材料であってもそれらの組合せであってもよい。有利には、固形担体は、ポリマー担体又はガラス担体であり、好ましくは、担体は、ポリスチレン(PS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又は上述したポリマーの1つ以上を含む混合物を含む。
【0078】
固形担体は層状担体でありうる。
好ましい実施形態では、固形担体は、ポリスチレン(PS)を含むか又はポリスチレン(PS)である。好ましくは、核酸プローブがスポットされた固形担体の少なくとも表面はPS表面である。一般的には、基材は非発泡体であり、略低摩擦の平滑表面を有することが望ましい。
【0079】
固形担体は、有利には射出成形固形担体でありうる。射出成形固形担体は、固形担体の表面に極性基を導入するために、任意選択的に酸素リッチプラズマによる成形後表面改質に付しうる。表面に親水特性を付与する場合、これはとくに有利でありうる。
【0080】
核酸の固定効率のおかげで、固形担体へのいずれの前処理もいずれの官能基の付与も必要ないこともある。
そのため、ある実施形態では、固形担体表面は、アミン基、メチレン基、チオール基、エポキシ基、ジアゾ基、又はアミド基の1つ以上を本質的に含まず、好ましくは、担体表面は、アミン基、メチレン基、チオール基、エポキシ基、ジアゾ基、又はアミド基のすべてを本質的に含まない。
【0081】
固形担体は、有利には、カートリッジ、ELISAアッセイプレート、キュベット、マイクロプレート、又はそれらのいずれかの組合せの一部でありうるか又は一部を形成しうる。
【0082】
かかるアッセイデバイスは一般に知られており、原理的には、これらはいずれも固形担体を形成しうる。
ある実施形態では、固形担体は、チャネルを画定するチャネル表面を備えたチャネルを含むカートリッジの一部であるか又は一部を形成し、固形基材の表面は、チャネル表面の少なくとも一部を形成する。
【0083】
ある実施形態では、チャネルは反応セクションを含み、本方法は、チャネルの反応セクション内の表面に核酸プローブを固定することを含む。反応はチャネルの長さセクションでありうる。
【0084】
ある実施形態では、反応セクションは少なくとも1つの光学エレメントを含む。光学エレメントは、有利には、固定された核酸プローブの又は核酸プローブに接続された蛍光マーカ(フルオロフォア)から発せられた光をリダイレクトするように、好ましくはコリメートするように構築しうる。
【0085】
ある実施形態では、光学エレメントは、レンズ構造体及び/又は超臨界角蛍光構造体(SAF構造体)を含み、SAF構造体は、好ましくはトップ表面を有し、且つ本方法は、トップ表面に核酸プローブを固定することを含む。
【0086】
光学エレメントは、有利には、以下にさらに記載されるように円錐切頭体形状を有する。
有利には、固形基材は、以下にさらに記載される試験デバイスの一部であるか又は一部を形成する。
【0087】
固形担体は、有利にはマイクロ流体カートリッジ、たとえば国際公開第17133741号パンフレット(本出願をもって参照により組み込まれる)に開示されるマイクロ流体カートリッジでありうる。ある実施形態では、固形担体は、国際公開第17133741号パンフレットに開示されるSAF構造体により提供され、且つ核酸プローブは、SAF構造体のトップ表面に固定される。
【0088】
比較的低いUV光照射量を用いて固形担体上に核酸プローブを固定することにより、核酸プローブのキャプチャー部分の損傷リスクを比較的低くするかさらには回避することが保証されうることを見いだした。
【0089】
ある実施形態では、核酸のアンカー鎖部分は、約250nm~500nmの範囲内の波長を含む、好ましくは約254nm、約265nm、及び/又は約365nmの少なくとも1つの波長を含むUV光に暴露することにより固形担体にアンカーされる。
【0090】
ある実施形態では、核酸のアンカー鎖部分は、ごく少量のエネルギー、たとえば約0.2ジュール/cm2~約1ジュール/cm2、たとえば約0.3ジュール/cm2以上を用いてUV光に暴露することにより固形担体にアンカーされる。
【0091】
ある実施形態では、核酸のアンカー鎖部分は、約0.4ジュール/cm2~約15ジュール/cm2、たとえば約1ジュール/cm2~約10ジュール/cm2、たとえば約1.5ジュール/cm2~約6ジュール/cm2、たとえば約1.6ジュール/cm2~約3ジュール/cm2、たとえば約1.7ジュール/cm2~約2ジュール/cm2のエネルギー量を用いてUV光に暴露することにより固形担体にアンカーされる。
【0092】
ある実施形態では、核酸プローブは、スポットされて乾燥された核酸プローブを担持した固形担体を少なくとも30秒間、たとえば約1~約8分間、たとえば約2~約6分間にわたりUV照射に暴露することにより固定される。UV照射は、たとえばUVエミッター、たとえば3~12W UVエミッター、たとえば5~10W UVエミッターにより提供しうる。
【0093】
少量の発せられたUV光のみが核酸プローブに達して影響を及ぼすにすぎない。そのため、固形担体が単位面積当たり受けるエネルギー量を計算する場合、UVエミッターと固形担体との間の距離さらには発せられたビームの発散を考慮していなければならない。
【0094】
本発明はまた、以上に開示される方法により得られた固定された核酸プローブを含む固形担体を含む。
紫外光は、C=C二重結合に局在する反応により共有結合の形成を誘発すると考えられる。ピリミジンダイマーは、光化学反応を介してDNA中のチミン塩基又はシトシン塩基から形成された損傷から形成された分子損傷である。したがって、理論上、DNA分子自体の損傷は、実際にはプローブとPSとの間の結合を形成する。
【0095】
以上に説明したように、核酸プローブの末端アンカー鎖部分は、PS固形担体などの固形担体への固定効率の増加をもたらす。この理由はUV光がC=C二重結合に局在する反応により共有結合の形成を誘発することにあるという仮説が立てられる。以下の実施例に示されるように、42TTCCTT7
(配列番号22)ポリテールは、20T10C10
(配列番号1)ポリテールと比較して固定効率を少なくとも18倍に増加させた。ポリテールの命名は以下の通りである。第1の数は、末端アンカー鎖部分(ポリテール)の全長を示し、文字は、ヌクレオチドタイプを示し、上付きの数は、上述したヌクレオチド配列の繰返し回数を示す。
【0096】
固形担体の表面の構造及び結合は、たとえば、「XPS及びSIMS技術によるポリマー表面の特徴付け(SURFACE CHARACTERIZATION OF POLYMERS BY XPS AND SIMS TECHNIQUES)」、ヤネス・コバ(Janez Kova)著、マテリアルズ・アンド テクノロジー(Materials and technology)、2011年、第45巻、第3号、p.191~197などに記載のX線光電子分光法による表面分析を用いて検査されうる。
【0097】
本発明はまた、以上に開示される核酸プローブを含む。
新規な核酸プローブは、増加した固定効率で固形担体に固定可能である。核酸プローブは、末端アンカー鎖部分とキャプチャー部分とを含み、核酸プローブの末端アンカー鎖部分は、塩基タイプシトシン(C)の中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチで構成されたNヌクレオチドの配列又はそれに対して少なくとも90%の類似性を有する配列を含み、塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチは、互いに独立して2~5ヌクレオチドを含み、Nは少なくとも18である。
【0098】
好ましい核酸プローブは、上に記載の核酸プローブである。
とくに好ましい核酸プローブは、Nヌクレオチドの配列が式
(-(X)Y-(C)Z-)M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含む核酸プローブである。式中、Y、Z、及びMは、以上に記載した通りである。
【0099】
他のとくに好ましい核酸プローブは、Nヌクレオチドの配列が式
(-(X)Y2-(C)Z-(X)Y2-)M
で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含む核酸プローブである。式中、Y2、Z、及びMは、以上に記載した通りである。
【0100】
本発明はまた、以上に記載の方法に使用するのに好適な試験デバイスに関する。
試験デバイスは、以上に記載の固形担体でありうる固形担体を含む。固形担体は、少なくとも1つの超臨界角蛍光構造体(SAF構造体)を含む。SAF構造体は、切頭体角α、トップ表面、トップ直径D、及び高さhを有する円錐状切頭体形状を有する。
【0101】
最適な切頭体角は、通常、フルオロフォアがその光のほとんどを発する角度と等しいであろう。この角度は、それぞれSAF構造体及びSAF構造体を取り囲んでそれに接触する媒体、すなわち、空気又はサンプル流体、たとえば、水又は水性流体(通常は水と同一の屈折率を有する)の2つの屈折率に依存する。水/PS界面では60度が最良であり、一方、空気/PS界面では約50度がより良好であることを見いだした。
【0102】
切頭体角αは、たとえば約40度~約70度、たとえば55度~約65度、たとえば約60度でありうる。
一般的には、切頭体角αは、約30度~約70度、たとえば約35~約65、たとえば約40度~約60度、たとえば約40度又は約60度であることが望ましい。SAF構造体がポリスチレンであり且つSAF構造体の表面で空気/ポリスチレン界面を取り囲んでそれを形成する空気と併用するように適合化された実施形態では、切頭体角αは有利には約35度~約55度である。SAF構造体がポリスチレンであり且つSAF構造体の表面で空気/ポリスチレン界面を取り囲んでそれを形成する水(たとえば水性サンプル流体)と併用するように適合化された実施形態では、切頭体角αは有利には約55度~約65度である。
【0103】
使用時、核酸プローブは、たとえば、本明細書の他の箇所に記載されるように、SAF構造体のトップ表面上にスポットして乾燥させうる。
有利には、SAF構造体の高さhは、少なくとも約0.2mm、たとえば約0.25mm~約0.5mm、たとえば約0.3mm~約0.35mmである。最適なシグナルを得るために高さが重要でありうることを見いだした。
【0104】
有利には、トップ直径は、約0.05mm~約0.5mm、たとえば約0.1mm~約0.3mmである。一般的には、1つ好ましくはそれ以上のSAF構造体は比較的小さいことが望ましい。なぜなら、こうすれば同一の試験デバイスでより多くのSAF構造体が可能になるからである。それにより1つの試験デバイスを用いていくつかの試験を実施しうる。しかしながら、トップ直径が非常に小さい場合、核酸プローブのいくつかは、トップ表面のエッジさらにはトップ表面以外にスポットされるおそれがある。そのため、Dが約0.2未満である場合など非常に小さなトップ直径を有するSAF構造体は、スポッティングに対して低いロバスト性を有するおそれがある。
【0105】
少なくとも1つのSAF構造体がそのトップ直径と比較して相対的に高いことを保証することにより、得られる読取りシグナルが非常に良好な強度を有することを見いだした。有利には、SAF構造体は、約1.1以下、たとえば約1.05以下、たとえば約1以下のトップ直径対高さのアスペクト比D/hを有する。
【0106】
固形担体は、好ましくはポリマー担体又はガラス担体でありうる。好ましくは、担体は、ポリスチレン(PS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又は上述したポリマーの1つ以上の混合物若しくは組合せを含む。
【0107】
担体材料は、有利には、少なくとも読取り又は励起に使用することが予想されるシグナル波長で透明でありうる。
たとえば、Cy3は、緑黄色の蛍光を発し(約550nm励起、約570nm発光)、一方、Cy5は、赤色領域に蛍光を発する(約650励起、670nm発光)。
【0108】
ある実施形態では、担体材料は、可視領域内及び可視領域外の1つ以上の波長に対して透明である。
ある実施形態では、SAF構造体は、1.1以下のアスペクト比D/hを有するPS SAF構造体である。
【0109】
ある実施形態では、少なくとも1つのSAF構造体のトップ表面は、トップ表面凹部を有する。かかるトップ表面凹部は、SAF構造体のスポッティングロバスト性を改善しうるとともに、スポットされた核酸プローブを所望によりSAF構造体の中心に確実に位置決めしうることを見いだした。そのため、シグナル損失のリスクを低減しうる。
【0110】
トップ表面凹部は有利には丸形である。しかしながら、それは卵形や角形などの他の形状を有しうる。
有利には、トップ表面凹部は、SAF構造体の中心軸に平行な中心軸を有する。凹部中心軸は、有利には、SAF構造体の中心軸から多くとも約0.2mmのオフセット、たとえば多くとも約0.1mmのオフセットを有する。好ましくは、表面凹部の中心軸は、SAF構造体の中心軸に一致する。
【0111】
有利には、凹部は、実質的にフラットな凹部フロアを有する。凹部は、たとえば、トップ直径Dの約10%以上、たとえば約15%~約80%、たとえばトップ直径Dの約20%~約50の直径dを有しうる。約0.01~約0.2、たとえば約0.25~約0.1の凹部直径dが一般に望ましい。
【0112】
有利には、トップ表面の凹部を取り囲むエッジは、少なくとも0.01mmの幅を有する。実際には、トップ表面凹部と0.005未満の幅を有する周囲エッジとを備えたSAF構造体を作製するのは高価でありうる。一方、非常に大きなエッジ幅、たとえば0.1以上、さらには0.2以上は、いくつかの用途では望ましくないおそれがある非常に小さな凹部直径dをもたらしうる。
【0113】
有利には、凹部を高すぎないようにすべきであることを見いだした。なぜなら、こうすると読取りシグナルが低減されるおそれがあるからである。好ましくは、凹部の高さh1をSAFの高さhの25%未満、たとえばSAFの高さhの20%未満にすべきであることが望まれる。
【0114】
ある実施形態では、凹部の高さh1は、約0.05mm以下、たとえば約0.02以下である。
凹部のエッジは、シャープであっても丸形であってもよい。ある実施形態では、凹部は丸形凹部エッジを有し、好ましくは、凹部エッジは、約0.1mm以下、たとえば0.01~0.8mmの丸形半径Rを有する丸形である。
【0115】
好ましい実施形態では、凹部は、フロアにより形成された表面により形成されたトップ表面を有する円錐状切頭体形状を有する。したがって、凹部円錐状切頭体形状は、SAF円錐状切頭体形状を逆さまにしたものである。
【0116】
好ましくは、凹部円錐状切頭体形状は、約40度~約70度、たとえば約55度~約65度、たとえば約60度の凹部切頭体角θを有する。凹部切頭体角θが切頭体角αに近い場合、たとえば5度までの度、好ましくは2度までの差である場合、シグナルを増加させうることを見いだした。好ましくは、凹部切頭体角θは、切頭体角αと実質的に同一である。
【0117】
好ましくは、試験デバイスは、チャネルを画定するチャネル表面を備えたチャネルを含むカートリッジの一部であるか又は一部を形成し、少なくとも1つのSAF構造体を含む固形基材は、チャネル表面の少なくとも一部を形成する。
【0118】
カートリッジは、有利には、国際公開第2017/133741号パンフレットに記載のマイクロ流体カートリッジとして存在しうるが、SAF構造体が本明細書に記載のものである点が異なる。
【0119】
本発明の以上の及び/又は追加の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照すれば、限定されるものではないが以下の例示的な本発明の実施形態及び実施例の説明により、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【
図1】第1の実施例で試験されたいくつかの標識(marked)ポリテールを示す図である(本発明のある実施形態に係るマイクロ流体カートリッジの模式的上面図)。
【
図2】第1の実施例の標識ポリテールそれぞれの固定パーセントを示す図である。
【
図3】さらなる実施例で適用されたプロセス図である。
【
図4】さらなる実施例で試験されたいくつかの標識ポリテールの固定パーセントを示す図である。
【
図5】さらなる実施例のポリテールのスポットの画像である。
【
図6】本発明の実施形態の2つの核酸プローブと比較ポリテール(末端アンカー鎖部分)を有する1つの核酸プローブとを示す図である。
【
図7】標識された
図6a及び6bの核酸プローブのさまざまな濃度の画像を示す図である。
【
図8】対照プローブ並びに2つの異なるキャプチャー部分、すなわち、サルモネラ菌を標的とするFlic遺伝子及びボルデテラ属(Bordetella)細菌を標的とするBrfz遺伝子の画像である。
【
図9a】SP-PCRを実施するための第1のプロセススキームを示す図である。
【
図9b】SP-PCRを実施するための第2のプロセススキームを示す図である。
【
図10a】スポットされた核酸プローブが洗浄あり及び洗浄なしでSP-PCRに付された固形担体の画像である。
【
図10b】
図10aの画像の平均シグナル-バックグラウンドのプロットである。
【
図11】異なるUV暴露時間を用いてポリテール/核酸プローブを固定したときのいくつかの標識ポリテール及び核酸プローブの固定パーセントを示す図である。
【
図12】標識ポリテールについてUV暴露時間の関数として固定パーセントを示す図である。
【
図13a】異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られたいくつかの固定されたポリテール及び核酸プローブの画像であり、使用したUVエミッターは、8W UVエミッターであった。
【
図13b】異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られたいくつかの固定されたポリテール及び核酸プローブの画像であり、使用したUVエミッターは、8W UVエミッターであった。
【
図13c】異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られたいくつかの固定されたポリテール及び核酸プローブの画像であり、使用したUVエミッターは、8W UVエミッターであった。
【
図13d】異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られたいくつかの固定されたポリテール及び核酸プローブの画像であり、使用したUVエミッターは、8W UVエミッターであった。
【
図13e】異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られたいくつかの固定されたポリテール及び核酸プローブの画像であり、使用したUVエミッターは、8W UVエミッターであった。
【
図14a】異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られたいくつかの固定されたポリテール及び核酸プローブの画像であり、使用したUVエミッターは、16W UVエミッターであった。
【
図14b】異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られたいくつかの固定されたポリテール及び核酸プローブの画像であり、使用したUVエミッターは、16W UVエミッターであった。
【
図14c】異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られたいくつかの固定されたポリテール及び核酸プローブの画像であり、使用したUVエミッターは、16W UVエミッターであった。
【
図15a】異なるポリテールを有するいくつかの標識核酸プローブのシグナル-バックグラウンドを示す図である。
【
図16a】異なるUV暴露時間及びそれによるUV照射量を用いて固形担体に固定された標識核酸プローブのシグナル-バックグラウンドを示す図であり、固定された核酸プローブはSP-PCRに付された。
【
図17】固定された核酸プローブを含むSAF構造体の断面図である。
【
図18】カートリッジの反応チャネルのセクションの斜視図であり、反応セクションは、SP-CPRに付された固定された核酸プローブを有するSAP構造体を含む。
【
図19】切頭体角αを示すために点線で示されたトップ部と共に例示されたSAF構造体の斜視図である。
【
図19a】60度の切頭体角を有する標準的SAF構造体を例示する斜視図である。
【
図19b】60度の切頭体角を有する標準的SAF構造体を例示する上面図である。
【
図19c】60度の切頭体角を有する標準的SAF構造体を例示する側面図である。
【
図19d】60度の切頭体角を有する標準的SAF構造体を例示する断面図である。
【
図20a】トップ表面凹部を有するSAF構造体を示す斜視図である。
【
図20b】トップ表面凹部を有するSAF構造体を示す上面図である。
【
図20c】トップ表面凹部を有するSAF構造体を示す側面図である。
【
図20d】トップ表面凹部を有するSAF構造体を示す断面図である。
【
図20e】トップ表面凹部を有するSAF構造体を示す図である。
【
図21a】トップ表面凹部を有す他のSAF構造体を示す斜視図である。
【
図21b】トップ表面凹部を有す他のSAF構造体を示す上面図である。
【
図21c】トップ表面凹部を有す他のSAF構造体を示す側面図である。
【
図21d】トップ表面凹部を有す他のSAF構造体を示す断面図である。
【
図22】実施例11で使用した7つの異なるSAF構造体を示す図である。
【
図23】実施例11のシグナル強度の結果を示す図である。
【
図24】実施例11の変動率の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図は模式的であり、明確さを期して単純化されている。全体を通じて、同じの参照数字は同一の部分又は対応する部分に用いられる。
本発明のさらなる適用可能範囲は、これ以降に与えられた説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲に含まれる各種の変更形態及び修正形態は、この説明及び実施例から当業者には明らかになるであろうから、説明及び具体例は、本発明の好ましい実施形態を示すが単に例示を目的として与えられているにすぎないことを理解すべきである。
【0122】
各種基材上にTCタグ付きDNAオリゴヌクレオチドを装着するために単純なUV架橋プロセススキームを使用した。使用したプロセススキームは、サン Y(Sun Y)、パーチ-ニールセン I(Perch-Nielsen I)、デュフバ M(Dufva M)ら著、「迅速バイオアッセイのためのマイクロ流体デバイスにおけるUV照射及びインテグレーションによる非修飾プラスチック上へのDNAプローブの直接固定(Direct immobilization of DNA probes on non-modified plastics by UV irradiation and integration in microfluidic devices for rapid bioassay)」、アナリティカル・アンド・バイオアナリティカル・ケミストリー(Anal Bioanal Chem.)、2012年、第402巻、第2号、p.741~748. doi:10.1007/s00216-011-5459-4に記載のプロセススキームに対応する。
【0123】
この技術は高い多用途性だけでなく、他の技術に匹敵する高い熱安定性も有することが示されている。本研究では、この方法を用いてPS固形担体にさまざまな標識ポリテール及び標識核酸プローブを固定した。以下の実施例で使用したマーカは蛍光色素であった。蛍光色素として「クエーサ(Quasar)570」及び「Cy3」を使用した。
【0124】
以下の表1に列挙されたものを含めていくつかの異なる標識ポリテール及び核酸プローブを実験に使用した。
【0125】
【表1】
核酸プローブ又は番号5、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、及び29のポリテールを含む核酸プローブは、本発明の実施例である。残りの核酸プローブ又はポリテールを含む核酸プローブは、比較例である。
【0126】
実施例1
この実施例では、核酸プローブ又は番号6、9、10、1、2、3、4、5、7、8(
図1に示される順に)のポリテールを含む核酸プローブ。
【0127】
0.04%トリトン(Triton)X-100(シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、米国)を含む5×生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液(プロメガ(Promega)、米国ウィスコンシン州)でポリテール/核酸プローブを希釈した。非接触サイフレックスアレイヤー(sciFLEXARRAYER)S11スポッティング機(サイエニオン(Scienion)、独国)を用いて、クリーニングされたPSスライド上にポリテール/核酸プローブ溶液をスポットした。4スポット連続して各ポリテール/核酸プローブ溶液をスポットした。乾燥後、ウルトラバイオレット・クロスリンカー(Ultraviolet Crosslinker)(UVP、フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)、デンマーク国)により1.8ジュール/cm2のエネルギーを用いて254nmのUV照射にスライドを暴露して基材の表面上にポリテール/核酸プローブを固定した。
【0128】
その後、ミリポア・コーポレーション(Millipore Corporation)から得たミリQ(milliQ)水を用いて固形担体(PSスライド)を5分間洗浄した。各種関係当局により定義されるように(たとえばISO3696)、ミリQ(MilliQ)水は「タイプ1」の「超高純度」水であった。
【0129】
UV暴露後、以下のように固定効率(固定パーセント)を測定し決定した。
固定効率は、以下の式:
【0130】
【0131】
結果を
図2に示す。ポリテール40TC
20(上に列挙された番号5のポリテール)は、比較ポリテールよりもきわめて高い固定効率を有することが分かる。
実施例2
この実施例は、
図3に示されるプロセス図に従って行った。
【0132】
種々の長さ及び構成のTCポリテール/種々のポリテールを有する核酸プローブを使用した。使用した標識ポリテール/核酸プローブは、次の通り番号12、5、13、14、15、16、17、18、22、19、20、21、23、24、25、26、27、28、29、30であった(
図4に示される順に左から右に挙げる)。
【0133】
実施例1に記載のものと同一の手順を用いてポリテール/核酸プローブを固定した。その後、固形担体を洗浄した。
スポットしUV架橋した後、異なるポリテール/プローブのシグナルを顕微鏡により得た。次いで、0.1×生理食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液で5分間及びミリQ(MilliQ)水でさらに5分間にわたりスライドを洗浄し、装着されていないプローブ及び蛍光シグナルを除去した。
【0134】
固形担体のイメージングを行い、以下の式:
【0135】
【0136】
各ポリテール/核酸プローブについての洗浄後の固定効率は、
図4に第1のカラムとして示される。
実施例3
固定され洗浄されたポリテール/核酸プローブは、その後、厳しいSP-PCRサーモサイクラー処理条件に対応する処理条件に付した。
【0137】
固定されたポリテール/プローブは、94℃で2分間、続いて94℃で10秒間、60℃で20秒間、72℃で20秒間の30サイクル、次いで、94℃で10秒間、65℃で20秒間、72℃で20秒間のさらなる15PCRサイクルのPCRプログラムにより、さまざまな温度に付した。フラットベッドPCRサーモサイクラー(プロフレックス(Proflex)、サーモ・フィッシャー(Thermo fisher))でポリテールを試験し、蛍光シグナルを得た。
【0138】
PCRサーモサイクラー処理後の固定効率は、以下:
【0139】
【0140】
各ポリテール/核酸プローブについてのPCRサーモサイクラー処理後の固定効率は、
図4に第2のカラムとして示される。
洗浄後及びとくにPCRサーモサイクラー処理後の固定効率は両方とも、本発明の核酸プローブではきわめて高いことが分かる。特に、上述した好ましい核酸プローブは、並外れた高い固定効率を示す。
【0141】
実施例2及び3においてPSスライド固形担体で得られた画像を
図5に示す。明らかなように、より多くの塩基タイプTを有するポリテールを備えた核酸プローブは、並外れた高い固定効率を有する。
【0142】
実施例4
次のものを含む3つの異なる核酸プローブを合成した。a)本発明のある実施形態に係る第1の核酸プローブは、ヌクレオチド配列40TTTTC
8
(配列番号18)のポリテールとhilA遺伝子を標的とするキャプチャー部分とを有し、b)本発明のある実施形態に係る第2の核酸プローブは、ヌクレオチド配列42TTCCTT
7
(配列番号22)のポリテールとhilA遺伝子を標的とするキャプチャー部分とを有し、且つc)比較核酸プローブは、ヌクレオチド配列20T
10C
10
(配列番号1)のポリテールとサルモネラ属(Salmonella)種を検出するためのhilA遺伝子を有するキャプチャー部分とを有していた。核酸プローブを
図6に示す。
【0143】
固形担体(PS基材)に1μM~60μMの異なる濃度で核酸プローブをプロットした。
25μLのSP-PCR反応混合物を調製した。SP-PCR混合物は、1×フュージョン(Phusion)(登録商標)ヒト検体PCR緩衝液(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))、400nM hilAフォワードプライマー及び1600nM hilAリバースプライマー、並びに0.05U/μLフュージョン(Phusion)ホットスタートII高忠実度DNAポリメラーゼ(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))からなる。ジーン・フレーム(Gene Frame)(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))を用いて固形担体プライマーアレイを取り囲む25μL反応チャンバーを形成した。ピペットによりジーン・フレームにPCRマスターミックスをロードし、カバースリップでシールした。PSスライドに核酸プローブをスポットした。フラットベッドPCRサーモサイクラーでSP-PCRを行った。厚さ1cmのポリスチレン断熱フォームのピースを用いてPCRサーモサイクラーの蓋からスライドを分離した。SP-PCR条件は、94℃で2分間、続いて94℃で10秒間、60℃で20秒間、72℃で20秒間の30サイクル、次いで、94℃で10秒間、65℃で20秒間、72℃で20秒間のさらなる15PCRサイクルであった。SP-PCRを増強するために後段の15PCRサイクルでより高いアニーリング温度を使用した。SP-PCR後、0.1×SSC及び0.1%ナトリウムドデシルスルフェート(SDS)(プロメガ(Promega)、米国ウィスコンシン州)でチャンバーを5分間洗浄し、次いで、脱イオン水で濯ぎ、そして室温で乾燥させた。スライドのスキャニングの準備ができた。
【0144】
SP-PCR後、顕微鏡(ツァイス・アキシオバート(ZEISS Axiovert)200、独国)を用いてスライドをスキャンした。イメージJ(ImageJ)ソフトウェア(モレキュラー・デバイス(Molecular devices))を用いてマイクロアレイ画像を分析した。円を描いてスポットのサイズに調整し、平均光強度値をシグナルとして決定した。近くにもう1つの円を描いて、バックグラウンドとして使用した。この研究ではアレイ上の4つのスポットのシグナルとしてシグナルを定義し、平均バックグラウンドを減算した。
【0145】
図7は、PS-PCR後に異なる核酸プローブ濃度で得られた固定効率を示す。本発明の核酸プローブは、比較核酸プローブよりもかなり高い固定効率を有することが容易に分かる。
【0146】
図8は、対照プローブ並びに2つの異なるキャプチャー部分、すなわち、サルモネラ菌を標的とするFlic遺伝子及びボルデテラ属(Bordetella)細菌を標的とするBrtz遺伝子の画像である。対照プローブとしてポリテール42TTCCTT
7
(配列番号22)を使用した。
【0147】
図7に示されるように、サルモネラ属(Salmonella)種を標的とするポリテール42TTCCTT
7
(配列番号22)は、SP PCR後、SP PCR前とほぼ同一の丸形形状を示した。つまり、42TTCCTT
7
(配列番号22)ポリテールは、全プローブを非常に高い結合効率で表面に固定させるのに役立つ。
【0148】
図9aに示されるSP-PCRを実施するための第1のプロセススキームは、標準的プロセススキームである。
図9bに示されるSP-PCRを実施するための第2のプロセススキームは、新規なSP-PCRプロセスであり、これは本発明のおかげで利用可能になった。核酸プローブ及び本発明の方法により提供される高い固定効率のおかげで、今や、UV架橋(固定)後の洗浄なしで及び/又はPS-PCR手順後の洗浄なしでSP-PCRを実施しうる。
【0149】
図10aは、スポットされた核酸プローブが洗浄あり及び洗浄なしでSP-PCRに付された固形担体の画像である。
実施例5
実施例5では、本発明の実施形態を提示する実施例5の2つの核酸プローブを使用した。すなわち、核酸プローブa)として、本発明のある実施形態に係る第1の核酸プローブは、ヌクレオチド配列40TTTTC
8
(配列番号18)のポリテールとhilA遺伝子を標的とするキャプチャー部分とを有し、核酸プローブb)として、本発明のある実施形態に係る第2の核酸プローブは、ヌクレオチド配列42TTCCTT
7
(配列番号22)のポリテールとhilA遺伝子を標的とするキャプチャー部分とを有していた。
【0150】
スポッティング及びSP-PCR手順は、60μMの核酸プローブ濃度を用いて実施例4の手順に従って実施した。
洗浄前及び洗浄後の結果を
図10aに示す。
図10bは、洗浄あり及び洗浄なしでシグナル-バックグラウンドの平均を示しており、非洗浄サンプルでは偽陽性の量が比較的少ないことが分かる。
【0151】
実施例6
固定のためにいくつかの異なる標識ポリテール/核酸プローブを異なるUV暴露時間及び異なるUV照射量に付した。使用したポリテール/核酸プローブは
図1に示した。
【0152】
実施例1に記載したように固形担体にポリテール/核酸プローブをプロットしたが、異なるUV暴露を用いた。
各ポリテール/核酸プローブの4つのスポットを3分間にわたり8W UVエミッターからのUV暴露に付した。各ポリテール/核酸プローブの4つのスポットを8分間にわたり16W UVエミッターからのUV暴露に付した。
【0153】
結果は
図11に示され、各ポリテール/核酸プローブに対する左側のプロットは、3分間処理の8W UVエミッターであり、且つ各ポリテール/核酸プローブに対する右側左側のプロットは、8分間処理の16W UVエミッターである。3分間処理の8W UVエミッターは、8分間処理の16W UVエミッターよりも良好であると思われる。
【0154】
実施例7
この試験では配列40T/C(40TC20とも呼ばれる)(配列番号5)を有する標識ポリテールを使用した。実施例1に記載したように固形担体にポリテールのサンプルをプロットしたが、異なるUV暴露を用いた。
【0155】
いくつかのサンプルでは、8W UVエミッターを使用し、他のサンプルでは、16W UVエミッターを使用した。
図12に示されるように暴露時間を変化させた。ここでは、2つのエミッターの各々で暴露時間の関数として洗浄後の固定効率をプロットした。
【0156】
ワット数の高いエミッターよりもワット数の低い方(8ワット UVエミッター)が良好であることが分かる。さらに、8Wエミッターは、約3分間で固定が最適となる。つまり、核酸プローブは、かなり低いUV照射量で固定可能である。それによりキャプチャー部分の損傷リスクを低減さらには回避しうるので、このことはきわめて有利である。
【0157】
本発明のある実施形態では、
核酸はヌクレオチド配列40TTTTC
8
(配列番号18)のポリテールを有し、hilA遺伝子を標的とするキャプチャー部分が使用された。
3つの異なる核酸プローブを合成した。また、c)比較核酸プローブは、ヌクレオチド配列20T
10C
10
(配列番号1)のポリテールとサルモネラ属(Salmonella)種を検出するためのhilA遺伝子を有するキャプチャー部分とを有する。核酸プローブを
図6に示す。
【0158】
図13a~13eには、8W UVエミッターを用いて異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られた固定されたポリテールの画像が示される。
図14a~14cには、16W UVエミッターを用いて異なるUV暴露時間で洗浄前及び洗浄後に得られた固定されたポリテールの画像が示される。
【0159】
実施例8
異なる長さのポリテールを有する核酸プローブを試験した。核酸プローブは、ボルデテラ属(Bordetella)細菌を標的とするBrtz遺伝子を含んでいた。
【0160】
実施例1に記載のプロセスに従って、核酸プローブをスポットし、固定し、そして洗浄した。
図15aは、各種核酸プローブのシグナル-バックグラウンドを示す。非常に短いポリテールを有する核酸プローブは固定が困難であり、18ヌクレオチド以上のポリテールを有する本発明の実施形態の核酸プローブは効果的な固定を示すことが分かる。
図15bは、固定された核酸プローブの画像である。
【0161】
実施例10
ポリテール42TTCCTT7
(配列番号22)とボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)細菌を標的とするキャプチャー部分とを有する本発明のある実施形態の核酸プローブのサンプルを試験した。
【0162】
実施例1に記載のプロセスに従って、核酸プローブサンプルをスポットし、固定し、そして洗浄したが、異なるUV暴露時間を用いた。固定後、サンプルを実施例2に記載のPS-PCR処理に付した。
【0163】
PS-PCR処理後、各サンプルのシグナル-バックグラウンドシグナルを決定した。
図16aは結果を示しており、本発明の実施形態であれば、非常に低いUV照射量を用いて核酸プローブの効果的固定を達成しうることが分かる。
【0164】
図16bは、固定された核酸プローブの画像である。
SAF構造体1は、国際公開第17133741号に開示されたSAF構造体に対応しており、さらなる詳細は、この文献に見いだしうる。SAF構造体は、マイクロ流体カートリッジのチャネルの反応セクションのボトム2に取り付けられる。フルオロフォアで標識された本発明のある実施形態の核酸プローブ3は、SAF構造体1のトップ表面に取り付けられる。
【0165】
SAF構造体1は、トップ表面を有する円錐状切頭体形状を有する。SAF構造体1は、突出高さ、トップ表面直径、及びボトム直径を有する。励起されたフルオロフォアは、サンプル、空気、又は反応セクション内の液体よりも高い屈折率を有するSAF構造体内に超臨界角(θc)を超える角度で異方的に光を発する。発光光はコリメートされ、光の円としてリーダーにより読取り可能である。
【0166】
図18は、カートリッジのエッジ12を有する反応チャネルのセクションの斜視図であり、反応セクションは、SP-CPRに付された固定された核酸プローブを有するSAP構造体11を含む。
【0167】
図19は、切頭体角αを示すために点線で示されたトップ部と共に例示されたSAF構造体を示す。SAF構造体21は、固形担体の残りの部分に取り付けられるか又はインテグレートされるボトム外周24を有する。そのボトム外周では、SAF構造体はボトム直径d
bを有する。SAF構造体は、直径Dを有するトップ表面23を有する。ボトムからトップ表面まで、SAF構造体は高さhを有する。例示されたトップ部は、切頭体角を例示するために示された仮想トップである。
【0168】
図19a~19dは、トップ表面33を含む標準的SAF構造体31を例示する。SAF構造体は、固形担体32の残りの部分にインテグレートされる。固形担体の残りの部分のいくつかのみが示される。以上に説明したように、固形担体は、チャネルを有するカートリッジを形成しうるか又はその一部でありうる。
【0169】
図19aはSAF構造体31の斜視図である。
図19bはSAF構造体31の上面図である。
図19cはSAF構造体31の側面図である。
【0170】
図19dは、
図19cのセクションA-Aに見られるSAF構造体31の断面図である。
SAF構造体は、高さh及びトップ直径Dを有する。D及びhは、本明細書の他の箇所に互いに個別に開示されうる。SAF構造体31は、60度の切頭体角で例示される。SAF構造体は、本明細書の他の箇所に開示される他の切頭体角を有しうることを理解すべきである。
【0171】
トップ表面はフラットであることが分かる。
ある実施形態では、SAF構造体31は、次の寸法:D=0.2mm、h=0.25mmを有するとともに、SAF切頭体角αは60度である。
【0172】
図20a~20dは、凹部44を有するトップ表面43を含む好ましいSAF構造体41を例示する。SAF構造体は、固形担体42の残りの部分にインテグレートされる。
図20aはSAF構造体41の斜視図である。
【0173】
図20bはSAF構造体41の上面図である。
図20cはSAF構造体41の側面図である。
図20dは、
図20cのセクションA-Aに見られるSAF構造体41の断面図である。
【0174】
図20eは、
図20aの一部を示しており、凹部エッジ幅Wが表されている。凹部エッジ幅Wは、有利には少なくとも約0.008、たとえば少なくとも約0.01、たとえば少なくとも約0.015である。
【0175】
SAF構造体は、高さh及びトップ直径Dを有する。D及びhは、本明細書の他の箇所に互いに個別に開示されうる。SAF構造体の高さhは、凹部44を含まないトップ表面43から決定される。
【0176】
凹部は、本明細書の他の箇所に開示される通りでありうる高さh1を有する。
凹部は実質的に丸形であり、その中心軸はSAFの中心軸に一致するように位置決めされる。凹部は、本明細書の他の箇所に開示される通りでありうる高さh1を有する。
【0177】
見て分かるように、凹部フロアは実質的にフラットである。凹部直径dは凹部のフロアで決定され、本明細書の他の箇所に開示される通りでありうる。
凹部は、フロアにより形成されたトップ表面を有する円錐状切頭体形状を有する。
【0178】
示された実施形態では、切頭体角θ及び切頭体角αは両方とも60度である。凹部切頭体角θ及びSAF切頭体角αは、本明細書の他の箇所に開示される他の値を有しうることを理解すべきである。
【0179】
凹部は、スポッティングロバスト性を増加させるとともに、読取りシグナル強度を増加させる。
ある実施形態では、SAF構造体41は、次の寸法:D=0.2mm、h=0.25mm、d=0.05mm、h1=0.01mmを有し、SAF切頭体角αは60度であり、且つ凹部切頭体角θは60度である。
【0180】
他の一実施形態では、SAF構造体41は、次の寸法:D=0.2mm、h=0.3mm、d=0.05mm、h1=0.01mmを有し、SAF切頭体角αは60度であり、且つ凹部切頭体角θは60度である。
【0181】
図21a~21dは、凹部54を有するトップ表面53を含む他の好ましいSAF構造体51を例示する。SAF構造体は、固形担体52の残りの部分にインテグレートされる。
【0182】
図21aはSAF構造体51の斜視図である。
図21bはSAF構造体51の上面図である。
図21cはSAF構造体51の側面図である。
【0183】
図21dは、
図21cのセクションA-Aに見られるSAF構造体51の断面図である。
D及びhは、本明細書の他の箇所に互いに個別に開示されうる。D及びhは、本明細書の他の箇所に互いに個別に開示されうる。SAF構造体の高さhは、凹部54を含まないトップ表面53から決定される。
【0184】
凹部54は、本明細書の他の箇所に開示される通りでありうる高さh1を有する。
凹部は実質的に丸形であり、その中心軸はSAFの中心軸に一致するように位置決めされる。凹部は、本明細書の他の箇所に開示される通りでありうる高さh1を有する。
【0185】
見て分かるように、凹部フロアは実質的にフラットである。凹部直径dは凹部のフロアで決定され、本明細書の他の箇所に開示される通りでありうる。
凹部は、本明細書の他の箇所に開示される通りでありうる丸形半径Rを有する丸形凹部エッジを有する。
【0186】
ある実施形態では、SAF構造体51は、次の寸法:D=0.2mm、h=0.25mm、d=0.08mm、h1=0.01mmを有し、凹部エッジは半径R=0.05mmを有する丸形であり、且つSAF切頭体角αは60度である。
【0187】
他の一実施形態では、SAF構造体51は、次の寸法:D=0.2mm、h=0.3mm、d=0.08mm、h1=0.01mmを有し、凹部エッジは半径R=0.05mmを有する丸形であり、且つSAF切頭体角αは60度である。
【0188】
実施例11
ポリスチレンから7つのカートリッジを作製した。各カートリッジは、反応セクションと、反応セクションの壁から突出する8つの同一のSAF構造体と、を有するマイクロ流体チャネルを有していた。
【0189】
第1のカートリッジのSAF構造体は、
図22のSAF構造体no.1として造形され、第2のカートリッジの構造体は、
図22のSAF構造体no.2として造形され、以下同様であった。
【0190】
SAF構造体no.3は、
図19a~19dに示されるタイプであった。
SAF構造体no.5は、
図21a~21dに示されるタイプであり、SAF構造体no.6は、
図20a~20eに示されるタイプであった。
【0191】
それぞれのSAF構造体の各々のトップ表面上に等量のCy3標識(labelled)オリゴをスポットし乾燥させた。
第1の試験ラウンドでは、反応チャンバーは、空気が充填された状態を維持した。Cy3標識を励起波長(約550nm)の光に暴露し、SAF構造体発光シグナルのシグナル強度を検出した。
【0192】
各カートリッジで、SAF構造体の平均空気/PS界面強度シグナルを決定した。
第2の試験ラウンドでは、それぞれのカートリッジの反応チャンバーに水を充填した。Cy3標識を励起波長(約550nm)の光に暴露し、SAF構造体発光シグナルのシグナル強度を検出した。
【0193】
各カートリッジで、SAF構造体の平均水/PS界面強度シグナルを決定した。
結果を
図23に示す。
それぞれのカートリッジのSAF構造体で変動率(CoV)を決定した。
【0194】
SAF構造体no.1及び2は、空気/PS界面シグナルが比較的高い光強度であったことが分かる。しかしながら、空気/PS界面シグナル強度及び水/PS界面シグナルの両方で、CoVが比較的高かった。
【0195】
SAF構造体no.6は、水/PS界面シグナルで最も高い光強度を有しCoVを有していた。しかしながら、空気/PS界面シグナル強度及び水/PS界面シグナルの両方で、CoVが比較的高かった。
【0196】
しかしながら、サンプル6のCoVは比較的高かった。この比較的高いCoVの理由は、SAF構造体の一部が残りの固形担体にインテグレートされるボトム外周で、シグナル損失をもたらしうる小さな表面コルゲーション及び/又は突起を有することにあると考えられる。そのため、トップ直径対高さのアスペクト比D/hを減少させることにより、こうした光シグナルの損失可能性を軽減させうると予想される。高さをたとえば約0.3mm増加させることにより、シグナルを増加させうるとともにCoVを減少させうると考えられる。
【0197】
SAF構造体no.5は、水/PS界面シグナルで最も高い光強度及び低いCoVの両方を有していた。
凹部の丸形エッジにより非常に効率的且つロバストなスポッティングが確保され、低いCoVが付与されると考えられる。
【0198】
SAF構造体no.6は、水/PS界面シグナルで最も高い光強度を有しCoVを有していた。しかしながら、空気/PS界面シグナル強度及び水/PS界面シグナルの両方で、CoVが比較的高かった。
(付記)
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[項目1]
固形担体に核酸プローブを固定する方法であって、
・末端アンカー鎖部分とキャプチャー部分とを含むように前記核酸プローブを提供することと、
・前記固形担体の表面上に前記核酸プローブを適用することと、
・UV光に暴露することにより前記固形担体に前記核酸プローブのアンカー鎖部分をアンカーすることと、を含み、
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、塩基タイプシトシン(C)の中間ヌクレオチドと任意選択的に塩基タイプグアニン(G)の1ヌクレオチドとを伴う塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチで構成されたN個のヌクレオチドの配列又はそれに対して少なくとも90%の類似性を有する配列を含み、前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが、互いに独立して1~5ヌクレオチドを含み、Nが少なくとも18であり、且つ各塩基タイプXが、互いに独立して塩基タイプチミン(T)又は塩基タイプウラシル(U)を表す、方法。
[項目2]
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、塩基タイプシトシン(C)の中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチで構成されたN個のヌクレオチドの前記配列を含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記N個のヌクレオチドの配列が、プリン核酸塩基を有するヌクレオチドを5%未満、たとえば、プリン核酸塩基を有するヌクレオチドを1又は0個含む、項目1又は項目2に記載の方法。
[項目4]
前記N個のヌクレオチドの配列が、ピリミジン核酸塩基を有するヌクレオチドを排他的に含む、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、塩基タイプCの中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXの2~5ヌクレオチドのストレッチで構成された少なくともN個のヌクレオチドの配列を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項目6]
Nが少なくとも20、たとえば少なくとも26、たとえば少なくとも30、たとえば少なくとも34、たとえば少なくとも38、たとえば少なくとも40である、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
[項目7]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが、塩基タイプCの1~4ヌクレオチドにより互いに独立して分離される、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが、等しい長さ、好ましくは塩基タイプXの2ヌクレオチドの長さ、塩基タイプXの3ヌクレオチドの長さ、又は塩基タイプXの4ヌクレオチドの長さである、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
[項目9]
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(X)
Y
-(C)
Z
-)
M
(式中、Yは1~5の整数であり、Zは1~5の整数であり、Y≧Zであり、且つMは4~20の整数である)で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項目10]
Yが2~5の整数であり、Zが1~4の整数であり、Y>Zであり、且つMが4~20の整数である、項目9に記載の方法。
[項目11]
Z=1である、項目9又は項目10に記載の方法。
[項目12]
Z=2である、項目9又は項目10に記載の方法。
[項目13]
Y=2且つM≧10、たとえばM≧12、たとえばM≧14であるか、又は
Y=3且つM≧6、たとえばM≧8、たとえばM≧10であるか、又は
Y=4且つM≧4、たとえばM≧6、たとえばM≧8である、項目9~12のいずれか一項に記載の方法。
[項目14]
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(X)
Y2
-(C)
Z
-(X)
Y2
-)
M
(式中、Y
2
は1~4の整数であり、Zは1~4の整数であり、且つMは4~20の整数である)で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
[項目15]
Y
2
が2~3の整数であり、且つZが1~3の整数である、項目14に記載の方法。
[項目16]
Y
2
≧Z、好ましくはY
2
>Zである、項目14又は項目15に記載の方法。
[項目17]
Y
2
=2且つM≧10、たとえばM≧12、たとえばM≧14であるか又は
Y
2
=3且つM≧4、たとえばM≧6、たとえばM≧8である、項目14~16のいずれか一項に記載の方法。
[項目18]
Y又はY
2
の数がZの数よりも大きい、好ましくはY又はY
2
の数がZの数の少なくとも2倍である、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
[項目19]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが塩基タイプTのヌクレオチドのストレッチである、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
[項目20]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが塩基タイプUのヌクレオチドのストレッチである、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
[項目21]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが、塩基タイプTのヌクレオチドと塩基タイプUのヌクレオチドとの両方を含む、たとえば塩基タイプTのヌクレオチドと塩基タイプUのヌクレオチドとを交互に含む、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
[項目22]
前記末端アンカーのN個のヌクレオチドの配列が5’末端若しくは3’末端に位置するか、又は前記核酸プローブがその5’末端若しくはその3’末端の両方に末端アンカーを有し、前記5’末端及び前記3’末端それぞれのN個のヌクレオチドの配列が互いに等しくても異なっていてもよい、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
[項目23]
前記核酸プローブが、DNA、RNA、PNA、CNA、HNA、LNA、又はANA、それらのオリゴヌクレオチド、それらの断片、又はそれらのいずれかの組合せを含む、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
[項目24]
前記核酸プローブが天然源から得られるか又は全合成若しくは部分合成される、好ましくは前記核酸プローブ又は前記核酸プローブの少なくとも末端アンカー鎖部分が少なくとも部分合成、好ましくは全合成される、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
[項目25]
前記核酸プローブが一本鎖である、項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
[項目26]
前記核酸プローブにおいてその長さの少なくとも一部が、たとえばそのキャプチャー部分の一部が二本鎖である、項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
[項目27]
前記キャプチャー部分が、プライマー伸長に適合化されたプライマーなどのプライマーを含む、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
[項目28]
キャプチャー部分が、標的核酸プローブの相補的領域にハイブリダイズするように適合化された及び/又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを実施するように適合化されたヌクレオチドの配列などのヌクレオチドの配列を含むハイブリダイゼーション鎖部分を含む、項目1~27のいずれか一項に記載の方法。
[項目29]
前記キャプチャー部分が、約4~約100ヌクレオチド、たとえば約10~約50ヌクレオチド、たとえば約20~約30ヌクレオチドを有するヌクレオチド鎖を含む、項目1~28のいずれか一項に記載の方法。
[項目30]
前記キャプチャー部分が前記末端アンカー鎖部分に直接結合される、項目1~29のいずれか一項に記載の方法。
[項目31]
前記キャプチャー部分が、スペーサ、たとえば脱塩基スペーサ、たとえばある繰返し数のスペーサを介して前記末端アンカー鎖部分に結合される、項目1~29のいずれか一項に記載の方法。
[項目32]
前記末端アンカー鎖部分が前記核酸プローブの5’末端又は3’末端に位置し、且つ前記キャプチャー部分Hが前記5’末端及び前記3’末端の他の一方に位置する、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
[項目33]
前記核酸プローブが5’末端及び3’末端の両方に末端アンカー鎖部分を含み、且つ前記キャプチャー部分が前記末端アンカー鎖部分の間に位置し、任意選択的にその間にスペーサを有する、項目1~32のいずれか一項に記載の方法。
[項目34]
前記核酸プローブが、マーカ、たとえば放射性マーカ又は蛍光マーカ、たとえばシアニン色素、たとえばCy3(1,1’-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-3,3,3’,3’-テトラメチルインドカルボシアニン)又はCy5(1,1’-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-3,3,3’,3’-テトラメチルインドジカルボシアニン)を含む、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
[項目35]
前記核酸プローブがスポッティングにより前記固形担体の表面上に堆積され、好ましくは、前記スポッティングが、前記固形担体の表面上に溶媒中の前記核酸プローブをスポットすることを含む、項目1~34のいずれか一項に記載の方法。
[項目36]
前記核酸プローブが、溶媒中に100μMまでの濃度で、たとえば約1μM~約80μM、たとえば約3μM~約70μM、たとえば約5μM~約60μMの濃度でスポットされる、項目35に記載の方法。
[項目37]
前記スポットされた核酸プローブが、UV光に暴露される前に乾燥される、項目35又は項目36に記載の方法。
[項目38]
前記固形担体がポリマー担体又はガラス担体であり、好ましくは、前記担体が、ポリスチレン(PS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又は上述したポリマーの1つ以上を含む混合物を含む、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
[項目39]
前記固形担体がポリスチレン(PS)を含むか又はポリスチレン(PS)であり、好ましくは、前記固形担体の少なくとも表面はPS表面、好ましくは非発泡基材である、項目1~38のいずれか一項に記載の方法。
[項目40]
前記固形担体が、極性基を導入するために任意選択的に酸素リッチプラズマで成形後表面改質に付された射出成形固形担体である、項目1~39のいずれか一項に記載の方法。
[項目41]
前記固形担体表面が、アミン基、メチレン基、チオール基、エポキシ基、ジアゾ基、又はアミド基の1つ以上を本質的に含まない、好ましくは、前記担体表面が、アミン基、メチレン基、チオール基、エポキシ基、ジアゾ基、又はアミド基のすべてを本質的に含まない、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目42]
前記固形担体が、チャネルを画定するチャネル表面を備えたチャネルを含むカートリッジの少なくとも一部であり、前記固形基材の表面が、前記チャネル表面の少なくとも一部を形成する、項目1~41のいずれか一項に記載の方法。
[項目43]
前記チャネルが反応セクションを含み、前記方法が、前記チャネルの反応セクション内の表面に前記核酸プローブを固定することを含む、項目42に記載の方法。
[項目44]
前記反応セクションが少なくとも1つの光学エレメントを含み、前記光学エレメントが、好ましくは、前記固定された核酸プローブの又は核酸プローブに接続された蛍光マーカ(フルオロフォア)から発せられた光をリダイレクトするように、好ましくはコリメートするように構築される、項目43に記載の方法。
[項目45]
前記光学エレメントがレンズ構造及び/又は超臨界角蛍光構造体(SAF構造体)を含み、前記SAF構造体が好ましくはトップ表面を有し、且つ前記方法が、前記トップ表面に前記核酸プローブを固定することを含む、項目44に記載の方法。
[項目46]
前記光学エレメントが、切頭体角α、トップ表面、トップ直径D、及び高さhを有する円錐状切頭体形状を有し、好ましくは、前記切頭体角αが、空気/ポリスチレン界面の場合、約30°~約70°、たとえば約35~約65、たとえば約40°~約60°、たとえば約40°若しくは約60°、たとえば約35°~約55°である、又は水/ポリスチレン界面の場合、約55°~約65°である、項目45に記載の方法。
[項目47]
前記高さhが、少なくとも約0.2mm、たとえば約0.25mm~約0.5mm、たとえば約0.3mm~約0.35mmである、項目46に記載の方法。
[項目48]
前記トップ直径が、約0.05mm~約0.5mm、たとえば約0.1mm~約0.3mmである、項目46又は項目47に記載の方法。
[項目49]
前記少なくとも1つのSAF構造体が、約1.1以下、たとえば約1.05以下、たとえば約1以下のトップ直径対高さのアスペクト比D/hを有し、好ましくは前記SAF構造体がポリマーSAF構造体であり、より好ましくは前記SAF構造体がポリスチレン(PS)である、項目46~48のいずれか一項に記載の方法。
[項目50]
前記少なくとも1つのSAF構造体のトップ表面がトップ表面凹部を有し、前記トップ表面凹部が好ましくは丸形であり、より好ましくは前記トップ表面凹部が前記SAF構造体の中心軸に平行な中心軸を有し、且つ好ましくは前記SAF構造体の中心軸から多くとも約0.2mmのオフセット、たとえば多くとも約0.1mmのオフセットを有し、より好ましくは前記表面凹部の中心軸が前記SAF構造体の中心軸に一致する、項目46~49のいずれか一項に記載の方法。
[項目51]
前記凹部が実質的にフラットな凹部フロアを有し、好ましくは前記凹部が、前記トップ直径Dの約10%以上、たとえば前記トップ直径Dの約15%~約80%、たとえば約20%~約50の直径dを有し、好ましくは前記トップ表面の凹部を取り囲むエッジが少なくとも0.01mmの幅を有する、項目50に記載の方法。
[項目52]
前記凹部直径dが、約0.01~約0.2、たとえば約0.25~約0.1である、項目51に記載の方法。
[項目53]
前記凹部が、約0.05mm以下、たとえば約0.02以下の高さh1を有する、項目50~52のいずれか一項に記載の方法。
[項目54]
前記凹部が丸形凹部エッジを有し、好ましくは、前記凹部エッジが、約0.1mm以下、たとえば0.01~0.8mmの丸形半径Rを有する丸形である、項目50~53のいずれか一項に記載の方法。
[項目55]
前記凹部が、前記フロアにより形成された表面により形成されたトップ表面を有する円錐状切頭体形状を有し、好ましくは前記凹部の円錐状切頭体形状が、約40°~約70°、たとえば約55°~約65°、たとえば約60°である凹部切頭体角θを有し、より好ましくは前記凹部切頭体角θが、前記切頭体角αと実質的に同一である、項目50~53のいずれか一項に記載の方法。
[項目56]
前記核酸のアンカー鎖部分が、約250nm~500nmの範囲内の波長を含む、好ましくは約254nm、約265nm、及び/又は約365nmの少なくとも1つの波長を含むUV光に暴露することにより前記固形担体にアンカーされる、項目1~55のいずれか一項に記載の方法。
[項目57]
前記核酸のアンカー鎖部分が、約0.2ジュール/cm
2
~約15ジュール/cm
2
、たとえば約1ジュール/cm
2
~約10ジュール/cm
2
、たとえば約1.5ジュール/cm
2
~約6ジュール/cm
2
、たとえば約1.6ジュール/cm
2
~約3ジュール/cm
2
、たとえば約1.7ジュール/cm
2
~約2ジュール/cm
2
のエネルギー量を用いてUV光に暴露することにより前記固形担体にアンカーされる、項目1~56のいずれか一項に記載の方法。
[項目58]
項目1~57のいずれか一項に記載の方法により得られる固形基材である、固定された核酸プローブを含む固形担体。
[項目59]
固形担体に固定するのに好適な核酸プローブであって、前記核酸プローブが末端アンカー鎖部分とキャプチャー部分とを含み、前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、塩基タイプシトシン(C)の中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチで構成されたN個のヌクレオチドの配列又はそれに対して少なくとも90%の類似性を有する配列を含み、前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが互いに独立して2~5ヌクレオチドを含み、Nが少なくとも18であり、且つ各塩基タイプXが互いに独立して塩基タイプチミン(T)又は塩基タイプウラシル(U)を表す、核酸プローブ。
[項目60]
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、塩基タイプシトシン(C)の中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチで構成されたN個のヌクレオチドの前記配列を含む、項目59に記載の核酸プローブ。
[項目61]
前記N個のヌクレオチドの配列が、プリン核酸塩基を有するヌクレオチドを5%未満、たとえば、プリン核酸塩基を有するヌクレオチドを1又は0個含む、項目59又は項目60に記載の核酸プローブ。
[項目62]
前記N個のヌクレオチドの配列が、ピリミジン核酸塩基を有するヌクレオチドを排他的に含む、項目59~61のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目63]
前記核酸プローブの末端アンカー鎖部分が、塩基タイプCの中間ヌクレオチドを伴う塩基タイプXの2~5ヌクレオチドのストレッチで構成された少なくともN個のヌクレオチドの配列を含む、項目59~62のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目64]
Nが少なくとも20、たとえば少なくとも26、たとえば少なくとも30、たとえば少なくとも34、たとえば少なくとも38、たとえば少なくとも40である、項目59~63のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目65]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが、塩基タイプCの1~4ヌクレオチドにより互いに独立して分離される、項目59~64のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目66]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが、等しい長さ、好ましくは塩基タイプXの2ヌクレオチドの長さ、塩基タイプXの3ヌクレオチドの長さ、又は塩基タイプXの4ヌクレオチドの長さである、項目59~65のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目67]
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(X)
Y
-(C)
Z
-)
M
(式中、Yは1~5の整数であり、Zは1~5の整数であり、Y≧Zであり、且つMは4~20の整数である)で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含む、項目59~66のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目68]
Yが2~5の整数であり、Zが1~4の整数であり、Y>Zであり、且つMが4~20の整数である、項目59~67のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目69]
Z=1又はZ=2である、項目67~68のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目70]
Y=2且つM≧10、たとえばM≧12、たとえばM≧14であるか、又は
Y=3且つM≧6、たとえばM≧8、たとえばM≧10であるか、又は
Y=4且つM≧4、たとえばM≧6、たとえばM≧8である、項目67~69のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目71]
前記N個のヌクレオチドの配列が、式
(-(X)
Y2
-(C)
Z
-(X)
Y2
-)
M
(式中、Y
2
は1~4の整数であり、Zは1~4の整数であり、且つMは4~20の整数である)で示される塩基タイプのヌクレオチドの繰返しサブ配列を含む、項目59~66のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目72]
Y
2
が2~3の整数であり、Zが1~3の整数である、項目71に記載の核酸プローブ。
[項目73]
Y
2
≧Z、好ましくは
Y
2
=2且つM≧10、たとえばM≧12、たとえばM≧14又は
Y
2
=3且つM≧4、たとえばM>=6、たとえばM≧8である、項目71又は項目72に記載の核酸プローブ。
[項目74]
Xの数がZの数よりも大きい、好ましくはXの数がZの数の少なくとも2倍である、項目59~73のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目75]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが塩基タイプTのヌクレオチドのストレッチである、項目59~74のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目76]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが塩基タイプUのヌクレオチドのストレッチである、項目59~74のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目77]
前記塩基タイプXのヌクレオチドのストレッチが、塩基タイプTのヌクレオチドと塩基タイプUのヌクレオチドとの両方を含む、たとえば塩基タイプTのヌクレオチドと塩基タイプUのヌクレオチドとを交互に含む、項目59~74のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目78]
前記末端アンカーのN個のヌクレオチドの配列が5’末端若しくは3’末端に位置するか、又は前記核酸プローブがその5’末端若しくはその3’末端の両方に末端アンカーを有し前記5’末端及び前記3’末端それぞれのN個のヌクレオチドの配列が互いに等しくても異なっていてもよい、項目59~77のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目79]
前記核酸プローブが、DNA、RNA、PNA、CNA、HNA、LNA、又はANA、それらのオリゴヌクレオチド、それらの断片、又はそれらのいずれかの組合せを含む、項目59~78のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目80]
前記キャプチャー部分が、プライマー伸長に適合化されたプライマーなどのプライマーを含む、項目59~79のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目81]
キャプチャー部分が、標的核酸プローブの相補的領域にハイブリダイズするように適合化された及び/又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを実施するように適合化されたヌクレオチドの配列などのヌクレオチドの配列を含むハイブリダイゼーション鎖部分を含む、項目59~80のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目82]
前記キャプチャー部分が、約4~約100ヌクレオチド、たとえば約10~約50ヌクレオチド、たとえば約20~約30ヌクレオチドを有するヌクレオチド鎖を含む、項目59~81のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目83]
前記キャプチャー部分が前記末端アンカー鎖部分に直接結合される、項目59~82のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目84]
前記キャプチャー部分が、スペーサ、たとえば脱塩基スペーサ、たとえばある繰返し数のスパッターを介して前記末端アンカー鎖部分に結合される、項目59~82のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目85]
前記末端アンカー鎖部分が前記核酸プローブの5’末端又は3’末端に位置し、且つ前記キャプチャー部分Hが前記5’末端及び前記3’末端の他の1つに位置する、項目59~84のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目86]
前記核酸プローブが5’末端及び3’末端の両方に末端アンカー鎖部分を含み、且つ前記キャプチャー部分が前記末端アンカー鎖部分間に位置し、任意選択的にその間にスペーサを有する、項目59~85のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目87]
前記核酸プローブが、マーカ、たとえば放射性マーカ又は蛍光マーカ、たとえばシアニン色素、たとえばCy3(1,1’-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-3,3,3’,3’-テトラメチルインドカルボシアニン)又はCy5(1,1’-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-3,3,3’,3’-テトラメチルインドジカルボシアニン)を含む、項目59~86のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
[項目88]
固形担体を含む試験デバイスであって、前記固形担体が少なくとも1つの超臨界角蛍光構造体(SAF構造体)を含み、前記SAF構造体が、切頭体角α、トップ表面、トップ直径D、及び高さhを有する円錐状切頭体形状を有し、好ましくは、切頭体角αが、空気/ポリスチレン界面の場合、約30°~約70°、たとえば約35~約65、たとえば約40°~約60°、たとえば約40°又は約60°、たとえば約35°~約55°である、又は水/ポリスチレン界面の場合、約55°~約65°である、試験デバイス。
[項目89]
前記高さhが、少なくとも約0.2mm、たとえば約0.25mm~約0.5mm、たとえば約0.3mm~約0.35mmである、項目88に記載の試験デバイス。
[項目90]
前記トップ直径が、約0.05mm~約0.5mm、たとえば約0.1mm~約0.3mmである、項目88又は項目89に記載の試験デバイス。
[項目91]
前記少なくとも1つのSAF構造体が、約1.1以下、たとえば約1.05以下、たとえば約1以下のトップ直径対高さのアスペクト比D/hを有し、好ましくは前記SAF構造体がポリマーSAF構造体である、項目88~90のいずれか一項に記載の試験デバイス。
[項目92]
前記固形担体がポリマー担体又はガラス担体であり、好ましくは、前記担体が、ポリスチレン(PS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又は上述したポリマーの1つ以上を含む混合物若しくは組合せを含む、項目88~91のいずれか一項に記載の試験デバイス。
[項目93]
前記SAF構造体がポリスチレン(PS)である、項目88~92のいずれか一項に記載の試験デバイス。
[項目94]
前記少なくとも1つのSAF構造体のトップ表面がトップ表面凹部を有し、前記トップ表面凹部が好ましくは丸形であり、より好ましくは前記トップ表面凹部が前記SAF構造体の中心軸に平行な中心軸を有し、且つ好ましくは前記SAF構造体の中心軸から多くとも約0.2mmのオフセット、たとえば多くとも約0.1mmのオフセットを有し、より好ましくは前記表面凹部の中心軸が前記SAF構造体の中心軸に一致する、項目88~93のいずれか一項に記載の試験デバイス。
[項目95]
前記凹部が実質的にフラットな凹部フロアを有し、好ましくは前記凹部が、前記トップ直径Dの約10%以上、たとえば前記トップ直径Dの約15%~約80%、たとえば約20%~約50の直径dを有し、好ましくは前記トップ表面の凹部を取り囲むエッジが少なくとも0.01mmの幅を有する、項目94に記載の試験デバイス。
[項目96]
前記凹部直径dが、約0.01~約0.2、たとえば約0.25~約0.1である、項目95に記載の試験デバイス。
[項目97]
前記凹部が、約0.05mm以下、たとえば約0.02以下の高さh1を有する、項目88~96のいずれか一項に記載の試験デバイス。
[項目98]
前記凹部が丸形凹部エッジを有し、好ましくは、前記凹部エッジが、約0.1mm以下、たとえば0.01~0.8mmの丸形半径Rを有する丸形である、項目88~97のいずれか一項に記載の試験デバイス。
[項目99]
前記凹部が、前記フロアにより形成された表面により形成されたトップ表面を有する円錐状切頭体形状を有し、好ましくは前記凹部の円錐状切頭体形状が、約40°~約70°、たとえば約55°~約65°、たとえば約60°である凹部切頭体角θを有し、より好ましくは前記凹部切頭体角θが、前記切頭体角αと実質的に同一である、項目88~98のいずれか一項に記載の試験デバイス。
[項目100]
前記試験デバイスが、チャネルを画定するチャネル表面を備えたチャネルを含むカートリッジの少なくとも一部であり、前記少なくとも1つのSAF構造体を含む固形基材が、前記チャネル表面の少なくとも一部を形成する、項目88~99のいずれか一項に記載の試験デバイス。