(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ガラスシート梱包システム
(51)【国際特許分類】
B65H 39/02 20060101AFI20230418BHJP
B65H 5/08 20060101ALI20230418BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
B65H39/02
B65H5/08 A
B65H5/08 C
B65H35/04
(21)【出願番号】P 2020521591
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(86)【国際出願番号】 US2018056099
(87)【国際公開番号】W WO2019079309
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-18
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】湯原 幸雄
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-213918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 39/02
B65H 5/08
B65H 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレート上にガラスシートと間紙とを立位で交互に集積するためのガラスシート梱包システムであって、
前記梱包システムは、ガラスシート供給装置及び間紙供給装置を備え、
前記ガラスシート供給装置は:
吸引カップのセットであって、前記ガラスシート梱包システムへと立位の配向に連続的に搬送された各前記ガラスシートを保持し、前記ガラスシート
をガラスシート配置面に配置した後で前記ガラスシートを解放するよう構成された、吸引カップのセット;及び
第1のロボットアームであって、前記第1のロボットアームに固定された前記吸引カップを備え、前記吸引カップが保持した前記ガラスシートを前記ガラスシート配置面上へと供給するよう構成された、第1のロボットアーム
を備え、
前記間紙供給装置は:
前記間紙のウェブを巻き取られた状態で保持するよう構成された、ロールシャフト;
前記ウェブをその前端側から解くことによって前記ウェブを伸展させるよう構成された、ウェブ伸展ユニット;
解かれた前記ウェブの前記前端が前記ガラスシート配置面の上方から下向きに移動するように、解かれた前記ウェブをガイドすることによって、前記ウェブを前記ガラスシート配置面に対面させるよう構成された、ウェブガイド;
前記ウェブの前記前端の近傍の部分を保持及び解放するよう構成された1対のクランパと、前記クランパを前記ガラスシート配置面に沿って上下に移動させるよう構成されたエレベータとを備える、ウェブ引き下げユニットであって、前記エレベータは、第1の期間及び第2の期間中に、下向きに移動することによって、前記ウェブを保持する前記クランパを下向きに移動させて前記ウェブを引き下げ、前記第1の期間と前記第2の期間との間には休止期間が挟まっている、ウェブ引き下げユニット;
前記第1の期間中に引き下げられた前記ウェブが前記ガラスシート配置面に対面する位置にある場合、前記休止期間中に、前記ウェブの前記前端から所定の距離において前記ウェブを切断して間紙を形成するよう構成された、カッター;
前記間紙を保持及び解放するよう構成された吸引保持器と、前記吸引保持器を移動させるよう構成された第2のロボットアームとを備える、間紙移送ユニットであって、前記吸引保持器は、前記休止期間中に前記間紙の後端の近傍の部分を保持し、前記第2のロボットアームは、前記第2の期間中に、前記エレベータの下向きの移動に同期して前記吸引保持器を下向きに移動させることにより、前記間紙を、前記間紙が前記ガラスシート配置面に対面する所定の高さ位置へと移送し、移送された前記間紙の上に前記ガラスシート供給装置が1つの前記ガラスシートを供給した後で、前記間紙を前記吸引保持器の吸引から解放する、間紙移送ユニット;並びに
前記休止期間中の、前記ウェブが前記カッターによって切断される前から、前記間紙が前記間紙移送ユニットの前記吸引保持器によって保持されるまで、前記ウェブを固定位置に保持するよう構成された、ウェブ固定ユニット
を備える、ガラスシート梱包システム。
【請求項2】
前記ウェブ固定ユニットは、吸引面を備えた吸引バーを備え、前記吸引面は、前記ウェブ固定ユニットへと供給される前記ウェブの幅の方向に延在し、また前記ガラスシート配置面に対面する前記ウェブの表面を吸引して固定するよう構成される、請求項1に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項3】
前記吸引バーは、前記吸引バーが前記ウェブを吸引及び固定していないときの、前記吸引バーの前記吸引面が前記ウェブから離間している後退位置と、前記吸引バーが前記ウェブを吸引及び固定しているときの、前記吸引バーの前記吸引面が前記ウェブに接触している吸引位置との間で移動可能である、請求項2に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項4】
前記間紙移送ユニットの前記吸引保持器は、前記吸引バーの前記吸引面に固定された前記間紙の前記後端の近傍の部分を吸引及び保持する、請求項2又は3に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項5】
前記間紙移送ユニットの前記吸引保持器は、前記休止期間中の、前記ウェブが前記カッターによって切断される前にも、前記ウェブを吸引して、前記固定位置に保持し得る、請求項1~4のいずれか1項に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項6】
前記ウェブ引き下げユニットの前記ウェブの供給速度は、前記ウェブ伸展ユニットの供給速度よりも早く、
前記ウェブを緩めるため及び緩みを吸収するために移動可能なダンサローラは、前記ウェブ伸展ユニットと前記ウェブ引き下げユニットとの間のウェブ供給経路に設けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項7】
前記間紙移送ユニットの前記吸引保持器は、前記ウェブ
の幅全体にわたって延在する吸引面を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項8】
前記ガラスシート供給装置は、前記ガラスシート梱包システムへと垂直方向に連続的に搬送されたガラスシートを、供給された各前記ガラスシートが搬送経路内で停止する位置から最小経路に沿って、前記ガラスシート配置面上へと供給するよう構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項9】
前記第2のロボットアームは、前記エレベータの下向きの移動と同期した前記吸引保持器の下向きの移動を、前記間紙に張力を印加することなく実施する、請求項1~8のいずれか1項に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項10】
前記カッターは、前記ウェブ
の幅全体にわたって延在する切断ブレードを備え、前記切断ブレードを前記ウェブの厚さの方向に移動させることによって前記ウェブを切断する、請求項1~9のいずれか1項に記載のガラスシート梱包システム。
【請求項11】
前記クレートの前記ガラスシート配置面は、わずかに上方を向くように傾斜している、請求項1~10のいずれか1項に記載のガラスシート梱包システム。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2017年10月18日出願の米国仮特許出願62/573,949号の優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は依拠され、その全体が参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、クレート上に薄いガラスシートを集積するためのガラスシート梱包システムに関し、より詳細には、ガラスシートと間紙とを立位で交互に集積するためのガラスシート梱包システムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば特許文献1において教示されているような、クレート上にガラスシートと間紙とを立位で交互に集積するためのガラスシート梱包システムが知られている。特許文献1は、上述のようにガラスシートをクレート上に集積する際に、ウェブを切断して間紙を形成することも教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェブを切断して間紙を形成し、クレート上にガラスシートと間紙とを立位で交互に集積する、従来のガラスシート梱包システムでは、ウェブの切断からガラスシートの配置までのプロセスの時間を削減する改良が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の状況に鑑み、本開示は、ウェブの切断からガラスシートの配置までのプロセスを完了するための時間を削減できるガラスシート梱包システムを説明する。
【0007】
ガラスシート梱包システムのある態様は、クレートのガラスシート配置面上にガラスシートと間紙とを立位で交互に集積するためのガラスシート梱包システムであり、上記梱包システムは、以下で説明されるように:1)ガラスシート供給装置;及び2)間紙供給装置を備える。
【0008】
即ち、1)上記ガラスシート梱包システムを形成する上記ガラスシート供給装置は:
a.吸引カップのセットであって、上記ガラスシート梱包システムへと垂直方向に連続的に搬送された各上記ガラスシートを保持し、上記ガラスシートを上記ガラス配置面に配置した後で上記ガラスシートを解放するよう構成された、吸引カップのセット;及び
b.第1のロボットアームであって、上記第1のロボットアームに固定された上記吸引カップを備え、上記吸引カップが保持した上記ガラスシートを上記ガラスシート配置面上へと供給するよう構成された、第1のロボットアーム
を備える。
【0009】
更に、2)上記ガラスシート梱包システムを形成する上記間紙供給装置は:
a.2‐1)上記間紙のウェブを巻き取られた状態で保持するよう構成された、ロールシャフト;
b.2‐2)上記ウェブをその前端側から解くことによって上記ウェブを伸展させるよう構成された、ウェブ伸展ユニット;
c.2‐3)解かれた上記ウェブの上記前端が上記ガラスシート配置面の上方から下向きに移動するように、解かれた上記ウェブをガイドすることによって、上記ウェブを上記ガラスシート配置面に対面させるよう構成された、ウェブガイド;
d.2‐4)上記ウェブの上記前端の近傍の部分を保持及び解放するよう構成された1対のクランパと、上記クランパを上記ガラスシート配置面に沿って上下に移動させるよう構成されたエレベータとを備える、ウェブ引き下げユニットであって、上記エレベータは、第1の期間及び第2の期間中に、下向きに移動することによって、上記ウェブを保持する上記クランパを下向きに移動させて上記ウェブを引き下げ、上記第1の期間と上記第2の期間との間には休止期間が挟まっている、ウェブ引き下げユニット;
e.2‐5)上記第1の期間中に引き下げられた上記ウェブが上記ガラスシート配置面に対面する位置にある場合、上記休止期間中に、上記ウェブの上記前端から所定の距離において上記ウェブを切断して間紙を形成するよう構成された、カッター;
f.2‐6)上記間紙を保持及び解放するよう構成された吸引保持器と、上記吸引保持器を移動させるよう構成された第2のロボットアームとを備える、間紙移送ユニットであって、上記吸引保持器は、上記休止期間中に上記間紙の後端の近傍の部分を保持し、上記第2のロボットアームは、上記第2の期間中に、上記エレベータの下向きの移動に同期して上記吸引保持器を下向きに移動させることにより、上記間紙を、上記間紙が上記ガラスシート配置面に対面する所定の高さ位置へと移送し、移送された上記間紙の上に上記ガラスシート供給装置が1つの上記ガラスシートを供給した後で、上記間紙を上記吸引保持器の吸引から解放する、間紙移送ユニット;並びに
g.2‐7)上記休止期間中の、上記ウェブが上記カッターによって切断される前から、上記間紙が上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器によって保持されるまで、上記ウェブを固定位置に保持するよう構成された、ウェブ固定ユニット
を備える。
【0010】
上記ウェブ固定ユニットは、吸引面を備えた吸引バーを備えることが望ましく、上記吸引面は、上記ウェブ固定ユニットへと供給される上記ウェブの幅の方向に延在し、また上記ガラスシート配置面に対面する上記ウェブの表面を吸引して固定するよう構成される。
【0011】
上記吸引バーは、上記吸引バーが上記ウェブを吸引及び固定していないときの、上記吸引バーの上記吸引面が上記ウェブから離間している後退位置と、上記吸引バーが上記ウェブを吸引及び固定しているときの、上記吸引バーの上記吸引面が上記ウェブに接触している吸引位置との間で移動可能であることが、より望ましい。
【0012】
上記ウェブ固定ユニットが上述のような吸引バーを備える場合、上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器は、上記吸引バーの上記吸引面に固定された上記間紙の上記後端の近傍の部分を吸引及び保持することが望ましい。上記ウェブ固定ユニットが上述のような吸引バーを備え、かつ上記吸引バーが上記後退位置と上記吸引位置との間で移動可能である場合、上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器は、上記吸引バーの上記吸引面に固定された上記間紙の上記後端の近傍の部分を吸引及び保持することが望ましい。
【0013】
上記ガラスシート梱包システムでは、上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器が上記ウェブ固定ユニットとしても機能することが望ましい。
【0014】
上記ガラスシート梱包システムでは、上記ウェブ引き下げユニットの上記ウェブの供給速度が上記ウェブ伸展ユニットの供給速度よりも早いこと、並びに上記ウェブを緩めるため及び緩みを吸収するために移動可能なダンサローラが、上記ウェブ伸展ユニットと上記ウェブ引き下げユニットとの間のウェブ供給経路に設けられることが望ましい。
【0015】
上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器は、上記ウェブの上記幅、例えば上記ウェブの上記幅全体にわたって延在する吸引面を備えることが望ましい。
【0016】
上記ガラスシート供給装置は、上記ガラスシート梱包システムへと垂直方向に連続的に搬送されたガラスシートを、供給された各上記ガラスシートが搬送経路内で停止する位置から最小経路に沿って、上記ガラスシート配置面上へと供給するよう構成されることが望ましい。
【0017】
上記第2のロボットアームは、上記エレベータの下向きの移動と同期した上記吸引保持器の下向きの移動を、上記間紙に張力を印加することなく実施することが望ましい。
【0018】
上記カッターは、上記ウェブ、例えば上記ウェブの上記幅全体にわたって延在する切断ブレードを備え、上記切断ブレードを上記ウェブの厚さの方向に移動させることによって上記ウェブを切断することが望ましい。
【0019】
上記クレートの上記ガラスシート配置面は、わずかに上方を向くように傾斜していることが望ましい。
【0020】
上記ガラスシート梱包システムでは、上記ウェブを切断することによって形成された間紙は、上記間紙を上記クレート上に配置するために上記間紙を最低位置まで移動させる過程で、上記ウェブ引き下げユニットを形成する上記クランパから、上記ロボットアームと共に上記間紙移送ユニットを形成する上記吸引保持器まで、移送される。上記間紙を上記クレートの上記ガラスシート配置面上に供給するために、高速動作が比較的しにくいものの高精度の動作が可能である上記ロボットアームを用いて、上記間紙を移送する。一方、上記移送の前に上記ウェブを引き下げるために、高速動作が可能なエレベータブロック及び上記クランパを使用する。このようにして、上記ウェブの引き下げの速度を上昇させることにより、上記ウェブの切断から上記ガラスシートの配置までの上記プロセスを完了するための時間を削減できる。
【0021】
更に、上記間紙を上記クランパから上記吸引保持器へと移送することにより、上記間紙が上記最低位置に到達する前に、即ち1つのガラスシートを上記間紙の上に配置する前に、上記ウェブ引き下げユニットを形成する上記エレベータブロックを最高位置まで戻して、次の上記ウェブの引き下げを開始できる。この実施形態のガラスシート梱包システムのこのような特徴もまた、上記ウェブの切断から上記ガラスシートの配置までの上記プロセスを完了するための時間の削減に寄与している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】例示的実施形態によるガラスシート梱包システムの概略側面図
【
図3】ガラスシート梱包システムのウェブ固定ユニットの概略側面図
【
図4】ガラスシート梱包システムのウェブ引き下げユニットの概略斜視図
【
図5】ガラスシート梱包システムのウェブ引き下げユニット及びウェブ伸展ユニットの動作のタイミングの概略図
【
図6】
図3のウェブ固定ユニットの、異なる状態における概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
これより、本開示の例示的実施形態について詳細に言及するが、この言及は、図面を参照して記述される。図面全体を通して、同一又は同様の部分を指すためには可能な限り同一の参照番号を使用する。しかしながら本開示は多数の異なる形態で具現化でき、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈してはならない。
図1及び2はそれぞれ、例示的実施形態によるガラスシート梱包システム1の側面図及び斜視図である。これらの図に示すように、システム1は、ガラスシート搬送ユニット10によってガラスシート梱包システム1へと1つずつ連続的に搬送されたガラスシートGと、間紙5とを、クレート6上に交互に集積するよう構成される。
図1及び2に示すように、システム1は、ガラスシート供給装置20及び間紙供給装置40を備える。
【0024】
ガラスシート搬送ユニット10は、ガラスシート供給装置20付近の位置へとガラスシートGを搬送するよう構成され、レール11と、レール11から懸架されてレール11に沿って走行するドリー12と、単一のガラスシートGを保持するために各ドリー12に取り付けられたホルダ13とを含む。レール11は、ガラスシート製造セクション(図示せず)から、ガラスシート供給装置20の近傍を通過して、ガラスシート製造セクションへと戻るように、円形の経路に沿って延在する。各ドリー12は円形のレール11から懸架される。ガラスシート製造セクションでは、各ドリー12のホルダ13が単一のガラスシートGを立位に保持する。そして、それぞれ単一のガラスシートGを保持しているドリー12は、レール11に沿って走行して、ガラスシート供給装置20の近傍に連続的に到着する。ガラスシートGをガラスシート供給装置20に対面する位置まで搬送した各ドリーは、その位置で一時的に停止する。
【0025】
クレート6は、ガラスシート供給装置20の近傍に配置される。クレート6は、ガラスシートGがその上に配置されるガラスシート配置面6a、上に置かれたガラスシートGを下から支持するための底部プレート6b、及び床面100上に配置されたマウント6cを含む。ガラスシート配置面6aは、垂直方向に対して傾斜するように配置され、これにより、クレート6を直立させたときにわずかに上方を向く。更に、クレート6を配置する位置(クレートセット位置)は、ガラスシート配置面6aの水平方向の中央が、一時的に停止したドリー12によって保持されているガラスシートGの水平方向の中央と整列するように、決定される。
【0026】
ガラスシートG及び間紙5は、後述のようにクレート6上に集積され、この集積作業が完了すると、クレート6はクレートセット位置から除去され、別の空のクレート6がクレートセット位置に供給される。クレートセット位置に対するクレート6の供給及び除去は、クレートが間紙供給装置40と干渉しないように、クレート6を床面100上で
図2に示す矢印Qの方向(±Q方向)に移動させることによって達成され、この間紙供給装置40の特徴については後述する。Q方向は、水平面内でガラスシートGの搬送方向Xと斜めに交差する方向である。
【0027】
なお、ガラスシートGを間紙5と共にクレート6上に集積するプロセスは、ガラスシートGを最終製品としてこの状態で出荷する状況、又はガラスシートGを更なる加工のために移送する状況に適用可能である。このプロセスはまた、ガラス加工作業が一時的に実施可能でないときに、ガラスシート搬送ユニット10によって特定のガラス加工作業の場所にガラスシートGが連続的に搬送される状況にも適用でき、例えば搬送されたガラスシートGを加工ライン外に運搬して一時的に集積できる。
【0028】
ガラスシート供給装置20は、ガラスシート保持フレーム21、ガラスシート保持フレーム21によって保持された複数の吸引ノズル22、及び6軸関節ロボット等のガラスシート供給ロボット23を含む。ガラスシート供給ロボット23のロボットアーム24は、ガラスシート保持フレーム21に連結される。なお、ロボットアーム24は、本開示の第1のロボットアームを形成する。
【0029】
吸引ノズル22は複数の行及び列として配設できる。各吸引ノズル22は、制御弁を介して、共通の吸引源(図示せず)と流体連通できる。制御弁を開放して吸引ノズル22が空気を吸入すると、吸引ノズル22、即ちガラスシート保持フレーム21は、吸引によって単一のガラスシートGを保持できる。この状態から、制御弁を閉鎖して吸引ノズル22による吸引を停止すると、ガラスシートGは吸引ノズル22の吸引から解放されて、ガラスシート保持フレーム21から解放される。吸引ノズル22は、ガラスシートGを損傷させないよう、ゴム等の軟質材料で作製でき、また一般に「吸引カップ」と呼ばれる形状を有することができる。
【0030】
再び
図1及び2を参照すると、間紙供給装置40は:間紙5の材料であるウェブ5Wを、巻き取られた状態で保持するよう構成された、ロールシャフト41;ロールシャフト41を、ウェブ5Wが解かれる方向に回転させるよう構成された、ロールシャフト駆動手段42;解かれたウェブ5Wが巻きつけられるガイドローラ43~48;ガイドローラ43とガイドローラ44との間において、解かれたウェブ5Wが巻きつけられる、ダンサローラ49;ウェブ5Wの前端をガイドするよう構成されたガイド50;ガイド50を通過したウェブ5Wを切断するよう構成されたカッター51;1対のガイドバー60;対応するガイドバー60に沿って走行するようにそれぞれ構成された、クランパ62;ロボットアーム72を有する、6軸関節ロボット等の間紙移送ロボット63;及びウェブ固定ユニットとして機能する吸引バー64を含む。
【0031】
ロボットアーム72は本開示の第2のロボットアームに対応し、その前端に保持された吸引保持器70を含む。吸引保持器70は、
図1に示すx方向に延在するロッド状のエアチューブ73の長手方向に配設された、複数の吸引ノズル71を含む。エアチューブ73は、閉鎖された対向する端部を有する中空の管であり、エアチューブ73の内部は、制御弁を介して吸引源(図示せず)と連通している。制御弁を開放して吸引ノズル71が空気を吸入すると、吸引保持器70上に保持された吸引ノズル71は、吸引によって間紙5を保持できる。この状態から、制御弁を閉鎖して吸引ノズル71による吸引を停止すると、間紙5は吸引保持器70の吸引から解放される。吸引保持器70及びロボットアーム72は、吸引保持器70を移動させて、本開示の間紙移送ユニットを形成するよう構成される。
【0032】
ガイドローラ43~48のうち、ガイドローラ47及び48は、これらの間にウェブ5Wを挟むように構成される。ガイドローラ47及び48を駆動手段(図示せず)で回転駆動することによって、これらの間に挟まれたウェブ5Wを、
図1に示すように左へと供給できる。即ち、ガイドローラ47及び48、並びに上述のロールシャフト駆動手段42は、ウェブ5Wをその前端側から解くことによってウェブ5Wを伸展させるよう構成されたウェブ伸展ユニットを形成する。
【0033】
ガイドローラ47及び48によって供給されたウェブ5Wは、ウェブ5Wの前端がクレート6のガラスシート配置面6aの上方から下向きに移動するように、ガイド50によってガイドされ、これによりウェブ5Wをガラスシート配置面6aに対面させる。即ちガイド50は、本開示のウェブガイドを形成する。
【0034】
カッター51は、ウェブ5Wに関してそれぞれ裏側及び表側に配置された、下側ブレード52及び上側ブレード53を含む。下側ブレード52及び上側ブレード53はそれぞれ、ウェブ5Wの幅より大きな長さを有する。上側ブレード53は、下側ブレード52から離れた後退位置と、上側ブレード53が下側ブレード52と係合する切断位置との間で往復運動するよう構成される。上側ブレード53を後退位置から切断位置まで移動させると、ウェブ5Wは、ウェブ5Wの前端から所定の距離において、幅、例えば幅全体を横断して切断され、1枚の間紙5が形成される。
【0035】
吸引バー64は、カッター51のすぐ下、即ちウェブ5Wが供給される方向におけるカッター51の上流に位置する。吸引バー64は、閉鎖された対向する端部を有する中空の管であり、
図2にはっきりと示されているように、ウェブ5Wに対面する表面64Sに複数の吸引孔64aを含む。吸引バー64の内部は、制御弁を介して吸引源(図示せず)と連通している。制御弁を開放して吸引孔64aが空気を吸入すると、表面64Sは、吸引によってウェブ5W又は間紙5を保持できる。この状態から、制御弁を閉鎖して吸引孔64aによる吸引を停止すると、ウェブ5W又は間紙5は吸引バー64の吸引から解放される。
【0036】
吸引バー64は、駆動手段(図示せず)によって、
図3に示す4つの位置へと、
図3に示す矢印m1、m2、m3、及びm4の方向に移動される。第1の位置はウェブ受承位置であり、これは
図3に実線で示されている。この位置では、吸引バー64はカッター51の下側ブレード52の近傍にあり、表面64Sは、ガイド50によって保持されたウェブ5Wの裏側5B(クレート6のガラスシート配置面6aに接触する側)の延長線からわずかに離間している。ウェブ受承位置はP1で表され、この位置にある吸引バー64は、
図3では「64(P1)」で表されている。第2の位置は後退位置P2であり、吸引バー64は、ウェブ受承位置P1からこの後退位置P2へと、ウェブ5Wから離れる方向に移動される。後退位置P2にある吸引バー64は、
図3では「64(P2)」で表されている。第3の位置は下端位置P3であり、吸引バー64は、ウェブ受承位置P1からこの下端位置P3へと、ウェブ5Wが供給される方向にわずかに移動される。下端位置P3にある吸引バー64は、
図3では「64(P3)」で表されている。第4の位置は下端後退位置P4であり、吸引バー64は下端位置P3からこの下端後退位置P4へと、ウェブ5Wから離れる方向に移動される。下端後退位置P4にある吸引バー64は、
図3では「64(P4)」で表されている。
【0037】
1対のガイドバー60はそれぞれ、
図2にはっきりと示されているように、クレート6の左側端部及び右側端部から離間した横方向外側の位置に配置される。各ガイドバー60は、これらに取り付けられたエレベータブロック61を含み、エレベータブロック61はガイドバー60に沿って上下に移動し、またクランパ62がエレベータブロック61に設置されている。これら2つのエレベータブロック61は、互いに対して同一の高さ位置を維持するために同期して上下に移動される。各クランパ62は、クランパ62の内側端部において、即ち他方のクランパ62に対面する端部において、ウェブ5Wを保持する。更に、各クランパ62は、エレベータブロック61上において、水平方向に、即ち
図2に示す矢印Xの方向(±X方向)に、移動可能である。この移動は、2つのクランパ62が互いに向かって又は互いから離れるように移動されるように、同期して発生する。上述のガイドバー60、エレベータブロック61、及びクランパ62は、本開示のウェブ引き下げユニットを形成する。
【0038】
より具体的には、
図4において拡大して示されているように、各クランパ62は、エレベータブロック61に設置されたベース62aと、ベース62aの内側端部に取り付けられた1対のクランプ半体62b、62bとを含む。ベース62aは、エレベータブロック61に対して矢印Xの方向に移動される。1対のクランプ半体62b、62bは、矢印Hの方向に、互いに向かって又は互いから離れるように同期して移動される。
【0039】
クランパ62がウェブ5Wを保持しているとき、まず、各クランパ62の1対のクランプ半体62b、62bは、互いから最大距離に位置決めされる。更に1対のクランパ62のベース62a、62aは、互いから最大距離に位置決めされ、従ってこれらはそれぞれ、ウェブ5Wの左側端部及び右側端部から離間した横方向外側の位置に配置される。この状態から、ウェブ5Wが各クランパ62の1対のクランプ半体62b、62bの間に位置決めされるまでベース62a、62aを内向きに移動させ、続いて1対のクランプ半体62b、62bを互いに向かって移動させる。これにより、ウェブ5Wが各クランパ62の1対のクランプ半体62b、62bによって保持される。即ち、「クランパ62がウェブ5Wを保持する」という場合、これは更に具体的には、各クランパ62のクランプ半体62b、62bがウェブ5Wを保持することを意味している。このウェブ保持状態から、1対のクランプ半体62b、62bが互いから離れるように移動されると、ウェブ5Wはクランプ半体62b、62bから解放される。即ち、「クランパ62がウェブ5Wを解放する」という場合、これは更に具体的には、各クランパ62のクランプ半体62b、62bがウェブ5Wを解放することを意味している。なお、ウェブ5Wが既に間紙5へと切断されている場合、以下で説明するように、上述のようなクランパ62によるウェブ5Wの保持及び解放は、クランパ62による間紙5の保持及び解放を意味する。
【0040】
ここで、上述の特徴を有するガラスシート梱包システム1の動作を説明する。ガラスシート梱包システム1によって複数のガラスシートGをクレート6上に梱包するとき、まず、ウェブ5Wを所定の長さに切断して間紙5を形成し、続いてこの間紙5をクレート6のガラスシート配置面6a上に配置する。次にその上にガラスシートGを配置し、別の間紙5をガラスシートG上に配置する。このプロセスを繰り返すことによって、ガラスシートGと間紙5とをクレート6のガラスシート配置面6a上に交互に集積する。
【0041】
図5は、ガイドローラ47、48及びロールシャフト駆動手段42で構成されるウェブ伸展ユニットによるウェブ5Wの供給(伸展)の速度、並びに上述のプロセス中のガイドバー60に沿ったクランパ62の移動(即ちエレベータブロック61の移動)の速度を示す。
図5では、前者の速度は一点鎖線で表され、後者の速度は太い実線で表されている。後者の速度に関して、ガイドバー60に沿った下向きの移動の速度は「+」(正の)値として示されており、上向きの移動の速度は「-」(負の)値として示されている。
図5に関する説明を以下で行う。
【0042】
まず、ウェブ5Wを切断するステップの前、即ち
図5に示されている時点T0では、吸引バー64は
図3に示すウェブ受承位置P1にある。この時点において、1対のエレベータブロック61は最上位置にあり、ここではクランパ62が吸引バー64の上方の位置(即ちガイド50の近傍)にある。1対のクランパ62はそれぞれ、ウェブ5Wの左側端部及び右側端部から離間した横方向(矢印Xの方向)外側の位置にある。この状態、即ち時点T0から、
図5に示す時点T1までの期間中、1対のクランパ62は互いに向かって移動され、ウェブ5Wの前端の近傍の横方向端部を保持する。
【0043】
1対のクランパ62がウェブ5Wを保持した後、クランパ62の下向きの移動、即ちエレベータブロック61の下向きの移動による、ウェブ5Wの引き下げと、ガイドローラ47、48及びロールシャフト駆動手段42によるウェブ5Wの伸展とが開始される。これは、
図5に示す時点T1において開始される。エレベータブロック61の下向きの移動の前に、吸引バー64は、下向きに移動するエレベータブロック61及びクランパ62に干渉しないように、
図3に示す後退位置P2へと移動される。
【0044】
エレベータブロック61の下向きの移動の開始から所定の時間が経過すると、エレベータブロック61の駆動源(図示せず)がオフにされる。エレベータブロック61は、駆動源をオフにした後も慣性によって下向きの移動を継続し、その後、
図5に示す時点T4において完全に停止する。即ち、エレベータブロック61及びクランパ62は、
図5に示す時点T1から時点T4までの期間にわたって下向きに移動し、ウェブ5Wを引き下げる。なお、時点T1から時点T4までの期間は、本開示の第1の期間に対応する。ウェブ5Wの引き下げが完全に停止する直前、吸引バー64は、
図3に示す後退位置P2からウェブ受承位置P1へと戻る。その前、吸引バー64は後退位置P2にあり、従って引き下げられているウェブ5Wは吸引バー64の表面64Sに接触しない。
【0045】
吸引バー64がウェブ受承位置P1に戻り、ウェブ5Wの引き下げが完全に停止すると、吸引バー64の吸引孔64aは空気を吸引する。従ってウェブ5Wは、吸引バー64の吸引面である表面64S上で吸引され、ウェブ5Wは固定位置に、即ちウェブ5Wが容易には動くことができないように、保持される。なお、
図5に示す、ウェブ5Wの引き下げが完全に停止する時点T4から、
図5に示す、ウェブ5Wの引き下げが再び開始される時点T5までの期間は、本開示の休止期間に対応する。なお、吸引保持器70もまた、ウェブ5Wを固定位置に保持する役割を果たすことができる。
【0046】
ウェブ5Wが上述のように固定位置に保持されると、カッター51の上側ブレード53が駆動され、上側ブレード53の位置において、ウェブ5Wがその幅、例えば幅全体にわたって切断する。このようにしてウェブ5Wを切断して間紙5を形成する。固定位置におけるウェブ5Wの保持及び切断は、休止期間中に実施される。ウェブ5Wの前端から、ウェブ5Wが切断される位置までの長さは、エレベータブロック61の下向きの移動の速度及び第1の期間の長さが変化しない限り、不変のままである。従って、ガラスシートGの長さよりわずかに大きな間紙5の所定の長さを設定できる。一方、適切な幅を有するウェブ5Wを選択して使用することにより、ガラスシートGの幅よりわずかに大きな間紙5の所定の幅を設定できる。
図6は、
図3に示す状態の後に間紙5が形成された状態を示す。この状態では、吸引バー64は、吸引によって、間紙5の後端の近傍の部分を保持する。間紙5の後端とは、ガイド50の近傍の端部、即ち間紙5の上端を指す。
【0047】
ウェブ5Wの切断後、間紙移送ロボット63のロボットアーム72を駆動して、ロボットアーム72に連結された吸引保持器70を、
図6に破線で示された位置にセットする。このような吸引保持器70の位置は、ウェブ受承位置P1の吸引バー64のわずかに下であり、ここで吸引保持器70は間紙5に対面しながら間紙5からわずかに離間する。吸引保持器70がこの位置に来た後、吸引バー64は、間紙5の後端の近傍の部分を吸引によって保持したまま、
図3及び6に示す下端位置P3へと下向きに移動される。この吸引バー64の下向きの移動は、
図5に示す時点T5において開始される。吸引バー64の下向きの移動に同期して、間紙5を保持するクランパ62(即ちエレベータブロック61)は下向きに移動し始める。
【0048】
吸引バー64が下端位置P3に到達すると、ロボットアーム72を駆動して、吸引保持器70を間紙5に接触させる。続いて吸引保持器70の吸引ノズル71は空気を吸引し、間紙5の上端の近傍の部分を吸引によって吸引保持器70上で保持する。間紙5は吸引によって吸引保持器70に保持されるため、吸引バー64の吸引孔64aの吸引を停止して、間紙5を吸引バー64から解放する。即ち、間紙5は吸引バー64から吸引保持器70へと移送され、吸引によって吸引保持器70に保持される。この移送は、
図5に示す時点T5の直後に実施される。なお、吸引保持器70の、中に吸引ノズル71が形成されている吸引面の長さは、ウェブ5Wの幅全体と同一であるか、又は上記幅全体よりもわずかに大きく、これにより、吸引保持器70の吸引面は、左側のガイドバー60と右側のガイドバー60との間を通過できる。なお、
図1に実線で示されているロボットアーム72及び吸引保持器70の位置は、上述の方法で吸引保持器70が間紙5を吸引によって保持するときの位置である。
【0049】
吸引によって間紙5を保持する吸引保持器70は、間紙5を保持するクランパ62の下向きの移動(即ちエレベータブロック61の下向きの移動)と同期して駆動されるロボットアーム72によって、下向きに移動される。即ち、間紙5は、クランパ62の下向きの移動による間紙5の引き下げと同時に、吸引保持器70によって移送される。なお、間紙5が吸引バー64の表面64Sに接触するのを防止するために、間紙5の引き下げ及び移送の開始直前に、吸引バー64は、
図3及び6に示す下端位置P3から、下端後退位置P4へと移動される。吸引バー64が下端後退位置P4に到達すると、吸引バー64は後退位置P2へと移動され、続いて、ウェブ5Wの次の切断に備えてウェブ受承位置P1へと移動される。
【0050】
ロボットアーム72は、クレート6のガラスシート配置面6aに沿って、吸引保持器70が吸引によって保持している間紙5の下端が底部プレート6bの上面に略整列する位置まで、吸引保持器70を下向きに移動させ、その後吸引保持器70をガラスシート配置面6aに向かって移動させる。これにより、間紙5は、ガラスシートGをガラスシート配置面6a上に配置するとき、間紙5はガラスシート配置面6aにもう少しで接触する状態となるか、又は間紙5はガラスシート配置面6a上に配置されたガラスシートGにもう少しで接触する状態となる。
【0051】
吸引保持器70と共に下向きに移動された1対のエレベータブロック61は、吸引保持器70がガラスシート配置面6aに向かって移動される前に停止される。そのしばらく後、1対のエレベータブロック61はガイドバー60に沿って上向きに移動され、停止する。この時点におけるエレベータブロック61の操作のタイミングについて、
図5を参照して説明する。下向きの移動は時点T5において開始され、この下向きの移動は時点T6において完全に停止する。続いて上向きの移動が時点T7において開始され、この上向きの移動は時点T10において完全に停止する。時点T5から時点T6までの期間は、本開示の第2の期間に対応する。なお、1対のエレベータブロック61の下向きの移動が上述のように停止すると、各エレベータブロック61が保持するクランパ62は間紙5を解放し、クランパ62は横方向外向きに移動されて、間紙5から完全に離れる。クランパ62から解放された間紙5は、クレート6の底部プレート6bによって下から受承され、ガラスシート配置面6aの上、又は既にガラスシート配置面6aの上に配置されているガラスシートGの上に配置される。
【0052】
上向きに移動する1対のエレベータブロック61が完全に停止する位置は、上述の最上位置である。この最上位置において、エレベータブロック61は、ウェブ5Wの次の引き下げを待機する。エレベータブロック61が最上位置に戻る時点(時点T10)は、間紙5がガラスシート配置面6a又はガラスシートGにもう少しで接触する状態となる時点に近い。即ち、エレベータブロック61は、後述するように1つのガラスシートGがこの間紙5の上に配置される前に、最上位置に戻る。エレベータブロック61が最上位置に戻る時点において、上述のように横方向外向きに移動されていたクランパ62は、ウェブ5Wの左側端部及び右側端部から横方向外側に離間した位置にある。
【0053】
なお、ガラスシート配置面6aに沿った吸引保持器70の下向きの移動の速度は、吸引保持器70と共に下向きに移動されるエレベータブロック61の下向きの移動の速度よりわずかに速くなるように設定される。これにより、そうでない場合に吸引保持器70及びクランパ62によって印加される張力によって、吸引保持器70及びクランパ62によって保持された間紙5が破壊されるのが防止される。
【0054】
次に、ガラスシートGを配置する方法について説明する。例えば、上述のようにウェブ5Wを切断する時点付近において、単一のガラスシートGを保持しているドリー12は、
図2に示す矢印Xの方向(+X方向)に、所定の距離にわたって、レール11に沿って走行し、停止する。ドリー12が停止するとき、ドリー12が保持しているガラスシートGは、ガラスシートGの水平方向の中央がクレート6のガラスシート配置面6aの水平方向の中央と整列する、上述の位置にある。このようにしてガラスシートGがクレート6に対して停止する位置を設定することによって、ガラスシートGをクレート6に供給する経路を最小化できる。そしてこれにより、ガラスシートを集積するための時間を削減できる。
【0055】
ドリー12が停止すると、ガラスシート供給ロボット23のロボットアーム24が駆動され、ガラスシート保持フレーム21が、吸引ノズル22がガラスシートGの一方の表面に接触する位置へと移動される。続いて吸引ノズル22は空気を吸引して、ガラスシートGをガラスシート保持フレーム21上に保持する。ガラスシートGはこのようにして、吸引によってガラスシート保持フレーム21に保持されるため、ドリー12のホルダ13はガラスシートGを解放する。その後、ドリー12はガラスシート供給装置20から離れるように移動して、円形のレール11に沿って走行し、上述のガラスシート製造セクションに戻る。
【0056】
ガラスシート保持フレーム21がガラスシートGを保持しているとき、間紙5は上述のように、クレート6のガラスシート配置面6a、又は既にガラスシート配置面6a上に配置されているガラスシートGにもう少しで接触する状態となる。続いて、ガラスシート供給ロボット23のロボットアーム24を駆動して、ガラスシートGの下端がクレート6の底部プレート6bの上面と略整列した状態でガラスシートGが間紙5上に保持される位置へと、ガラスシート保持フレーム21を移動させる。この状態では、吸引ノズル22の吸引が停止され、ガラスシートGはガラスシート保持フレーム21から解放されて間紙5上に配置される。その後、ガラスシート供給ロボット23のロボットアーム24を駆動して、ガラスシート保持フレーム21を、ガラスシート保持フレーム21に供給される次のガラスシートを保持するための位置に戻す。
【0057】
ガラスシートGが間紙5上に配置され、間紙5がガラスシートGの重量によって圧迫されている状態では、吸引保持器70による吸引が停止され、間紙5は吸引保持器70の吸引から解放される。その後、間紙移送ロボット63のロボットアーム72を駆動して、吸引保持器70を、次のウェブ5Wを保持するための位置へと上向きに戻す。なお、
図1に破線で示したロボットアーム72及び吸引保持器70の位置は、上述のようにガラスシートGが間紙5上に配置される位置である。
【0058】
上述のプロセスを繰り返して、クレート6のガラスシート配置面6a上に、ガラスシートGと間紙5とを立位で集積する。上述のように、間紙5の長さ及び幅はそれぞれガラスシートGの長さ及び幅より大きく、これにより、ガラスシートGの表面全体を間紙5で保護できる。なお、この実施形態では一例として、ガラスシートGは、各ガラスシートGのいわゆるA側(ガラスシートGを用いて製造される製品の正面側になるガラス表面)が上を向くように集積されている。
【0059】
図5に示すように、ガイドローラ47、48及びロールシャフト駆動手段42によってウェブ5Wを伸展する速度、並びにクランパ62の下向きの移動によってウェブ5Wを引き下げる速度は、伸展及び引き下げの開始から徐々に上昇し、これらの速度が最大値に到達した後、上記最大値が所定の時間にわたって維持される。例えば、ウェブ5Wの伸展の速度は、時点T2から時点T8までの期間にわたって最大値に維持される。その後、ウェブ5Wの伸展及び引き下げが停止されると、伸展の速度及び引き下げの速度は、最大値から徐々に低下し、最終的に0に到達する。ウェブ5Wの引き下げの速度は、時点T4及び時点T6において0に到達し、ウェブ5Wの伸展の速度は、時点T9において0に到達する。
【0060】
ウェブ5Wの伸展は、ロールシャフト41上のウェブ5Wを解くことによって達成される。従って一般に、ウェブの伸展の速度の最大値は、
図5に示すように、ウェブの引き下げの速度の最大値ほど上昇させることはできない。このため、
図1に示すダンサローラ49の下流のウェブ5Wの移動の速度は、ダンサローラ49の上流(ダンサローラ49とロールシャフト41との間)のウェブ5Wの移動の速度より速い。この移動の速度の差は、ウェブ5Wの移動の量の差として現れる。ウェブ5Wの移動の量の差は、ダンサローラ49が
図1に示す位置に対して上方に移動することによって、吸収される。即ち、ダンサローラ49は、ウェブ5Wを緩めるため及びウェブ5Wの緩みを吸収するために上下に移動可能となるよう構成される。ダンサローラ49が下向きに移動すると、ウェブ5Wの緩みが吸収される。
図5に示す例では、ウェブ5Wの移動の量の差は、時点T1から徐々に増大し、時点T3において最大値に到達する。ダンサローラ49が上向きに移動すると、この移動の量の差が吸収されて、緩みがなくなる。従ってダンサローラ49は、時点T3においてウェブの移動の量の差を吸収するために十分な上下方向のストロークを可能とするように形成される。
【0061】
上述のように動作するダンサローラ49を適用すると、エレベータブロック61及びクランパ62によるウェブ5Wの高速での引き下げが可能となり、これは、ウェブ5Wの切断からガラスシートGの配置までのプロセスを完了するための時間の削減において有利である。なお、例えば
図5に示す時点T6から時点T9までの期間中、ウェブ5Wは引き下げられないものの、ウェブ5Wはロールシャフト41から伸展される。従ってウェブ5Wはこの期間中に緩み、ダンサローラ49は下向きに移動してこの緩みを吸収する。
【0062】
上述のように、この実施形態のガラスシート梱包システム1では、ウェブ5Wを切断することによって形成された間紙5は、間紙5をクレート6上に配置するために間紙5を最低位置まで移動させる過程で、ウェブ引き下げユニットを形成するクランパ62から、ロボットアーム72と共に間紙移送ユニットを形成する吸引保持器70まで、移送される。間紙5をクレート6のガラスシート配置面6a上に供給するために、高速動作が比較的しにくいものの高精度の動作が可能であるロボットアーム72を用いて、間紙5を移送する。一方、上記移送の前にウェブ5Wを引き下げるために、高速動作が可能なエレベータブロック61及びクランパ62を使用する。このようにして、ウェブ5Wの引き下げの速度を上昇させることにより、ウェブ5Wの切断からガラスシートGの配置までのプロセスを完了するための時間を削減できる。
【0063】
更に、上述のように間紙5をクランパ62から吸引保持器70へと移送することにより、間紙5が上記最低位置に到達する前に、即ち1つのガラスシートGを間紙5の上に配置する前に、上記ウェブ引き下げユニットを形成するエレベータブロック61を最高位置まで戻して、次のウェブの引き下げを開始できる。この実施形態のガラスシート梱包システム1のこのような特徴もまた、ウェブ5Wの切断からガラスシートGの配置までの上記プロセスを完了するための時間の削減に寄与している。
【0064】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0065】
実施形態1
クレート上にガラスシートと間紙とを立位で交互に集積するためのガラスシート梱包システムであって、
上記梱包システムは、ガラスシート供給装置及び間紙供給装置を備え、
上記ガラスシート供給装置は:
吸引カップのセットであって、上記ガラスシート梱包システムへと立位の配向に連続的に搬送された各上記ガラスシートを保持し、上記ガラスシートを上記ガラス配置面に配置した後で上記ガラスシートを解放するよう構成された、吸引カップのセット;及び
第1のロボットアームであって、上記第1のロボットアームに固定された上記吸引カップを備え、上記吸引カップが保持した上記ガラスシートを上記ガラスシート配置面上へと供給するよう構成された、第1のロボットアーム
を備え、
上記間紙供給装置は:
上記間紙のウェブを巻き取られた状態で保持するよう構成された、ロールシャフト;
上記ウェブをその前端側から解くことによって上記ウェブを伸展させるよう構成された、ウェブ伸展ユニット;
解かれた上記ウェブの上記前端が上記ガラスシート配置面の上方から下向きに移動するように、解かれた上記ウェブをガイドすることによって、上記ウェブを上記ガラスシート配置面に対面させるよう構成された、ウェブガイド;
上記ウェブの上記前端の近傍の部分を保持及び解放するよう構成された1対のクランパと、上記クランパを上記ガラスシート配置面に沿って上下に移動させるよう構成されたエレベータとを備える、ウェブ引き下げユニットであって、上記エレベータは、第1の期間及び第2の期間中に、下向きに移動することによって、上記ウェブを保持する上記クランパを下向きに移動させて上記ウェブを引き下げ、上記第1の期間と上記第2の期間との間には休止期間が挟まっている、ウェブ引き下げユニット;
上記第1の期間中に引き下げられた上記ウェブが上記ガラスシート配置面に対面する位置にある場合、上記休止期間中に、上記ウェブの上記前端から所定の距離において上記ウェブを切断して間紙を形成するよう構成された、カッター;
上記間紙を保持及び解放するよう構成された吸引保持器と、上記吸引保持器を移動させるよう構成された第2のロボットアームとを備える、間紙移送ユニットであって、上記吸引保持器は、上記休止期間中に上記間紙の後端の近傍の部分を保持し、上記第2のロボットアームは、上記第2の期間中に、上記エレベータの下向きの移動に同期して上記吸引保持器を下向きに移動させることにより、上記間紙を、上記間紙が上記ガラスシート配置面に対面する所定の高さ位置へと移送し、移送された上記間紙の上に上記ガラスシート供給装置が1つの上記ガラスシートを供給した後で、上記間紙を上記吸引保持器の吸引から解放する、間紙移送ユニット;並びに
上記休止期間中の、上記ウェブが上記カッターによって切断される前から、上記間紙が上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器によって保持されるまで、上記ウェブを固定位置に保持するよう構成された、ウェブ固定ユニット
を備える、ガラスシート梱包システム。
【0066】
実施形態2
上記ウェブ固定ユニットは、吸引面を備えた吸引バーを備え、上記吸引面は、上記ウェブ固定ユニットへと供給される上記ウェブの幅の方向に延在し、また上記ガラスシート配置面に対面する上記ウェブの表面を吸引して固定するよう構成される、実施形態1に記載のガラスシート梱包システム。
【0067】
実施形態3
上記吸引バーは、上記吸引バーが上記ウェブを吸引及び固定していないときの、上記吸引バーの上記吸引面が上記ウェブから離間している後退位置と、上記吸引バーが上記ウェブを吸引及び固定しているときの、上記吸引バーの上記吸引面が上記ウェブに接触している吸引位置との間で移動可能である、実施形態2に記載のガラスシート梱包システム。
【0068】
実施形態4
上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器は、上記吸引バーの上記吸引面に固定された上記間紙の上記後端の近傍の部分を吸引及び保持する、実施形態2に記載のガラスシート梱包システム。
【0069】
実施形態5
上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器は、上記吸引バーの上記吸引面に固定された上記間紙の上記後端の近傍の部分を吸引及び保持する、実施形態3に記載のガラスシート梱包システム。
【0070】
実施形態6
上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器は、上記ウェブ固定ユニットとしても機能する、実施形態1に記載のガラスシート梱包システム。
【0071】
実施形態7
上記ウェブ引き下げユニットの上記ウェブの供給速度は、上記ウェブ伸展ユニットの供給速度よりも早く、
上記ウェブを緩めるため及び緩みを吸収するために移動可能なダンサローラは、上記ウェブ伸展ユニットと上記ウェブ引き下げユニットとの間のウェブ供給経路に設けられる、実施形態1に記載のガラスシート梱包システム。
【0072】
実施形態8
上記ウェブ引き下げユニットの上記ウェブの供給速度は、上記ウェブ伸展ユニットの供給速度よりも早く、
上記ウェブを緩めるため及び緩みを吸収するために移動可能なダンサローラは、上記ウェブ伸展ユニットと上記ウェブ引き下げユニットとの間のウェブ供給経路に設けられる、実施形態2に記載のガラスシート梱包システム。
【0073】
実施形態9
上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器は、上記ウェブの上記幅全体にわたって延在する吸引面を備える、実施形態1に記載のガラスシート梱包システム。
【0074】
実施形態10
上記間紙移送ユニットの上記吸引保持器は、上記ウェブの上記幅全体にわたって延在する吸引面を備える、実施形態2に記載のガラスシート梱包システム。
【0075】
実施形態11
上記ガラスシート供給装置は、上記ガラスシート梱包システムへと垂直方向に連続的に搬送されたガラスシートを、供給された各上記ガラスシートが搬送経路内で停止する位置から最小経路に沿って、上記ガラスシート配置面上へと供給するよう構成される、実施形態1に記載のガラスシート梱包システム。
【0076】
実施形態12
上記ガラスシート供給装置は、上記ガラスシート梱包システムへと垂直方向に連続的に搬送されたガラスシートを、供給された各上記ガラスシートが搬送経路内で停止する位置から最小経路に沿って、上記ガラスシート配置面上へと供給するよう構成される、実施形態2に記載のガラスシート梱包システム。
【0077】
実施形態13
上記第2のロボットアームは、上記エレベータの下向きの移動と同期した上記吸引保持器の下向きの移動を、上記間紙に張力を印加することなく実施する、実施形態1に記載のガラスシート梱包システム。
【0078】
実施形態14
上記第2のロボットアームは、上記エレベータの下向きの移動と同期した上記吸引保持器の下向きの移動を、上記間紙に張力を印加することなく実施する、実施形態2に記載のガラスシート梱包システム。
【0079】
実施形態15
上記カッターは、上記ウェブの上記幅全体にわたって延在する切断ブレードを備え、上記切断ブレードを上記ウェブの厚さの方向に移動させることによって上記ウェブを切断する、実施形態1に記載のガラスシート梱包システム。
【0080】
実施形態16
上記カッターは、上記ウェブの上記幅全体にわたって延在する切断ブレードを備え、上記切断ブレードを上記ウェブの厚さの方向に移動させることによって上記ウェブを切断する、実施形態2に記載のガラスシート梱包システム。
【0081】
実施形態17
上記クレートの上記ガラスシート配置面は、わずかに上方を向くように傾斜している、実施形態1に記載のガラスシート梱包システム。
【0082】
実施形態18
上記クレートの上記ガラスシート配置面は、わずかに上方を向くように傾斜している、実施形態2に記載のガラスシート梱包システム。
【符号の説明】
【0083】
1 ガラスシート梱包システム
5 間紙
5B ウェブ5Wの裏側
5W ウェブ
6 クレート
6a ガラスシート配置面
6b 底部プレート
6c マウント
10 ガラスシート搬送ユニット
11 レール
12 ドリー
13 ホルダ
20 ガラスシート供給装置
21 ガラスシート保持フレーム
22 吸引ノズル
23 ガラスシート供給ロボット
24 ロボットアーム
40 間紙供給装置
41 ロールシャフト
42 ロールシャフト駆動手段
43~48 ガイドローラ
49 ダンサローラ
50 ガイド
51 カッター
52 下側ブレード
53 上側ブレード
60 ガイドバー
61 エレベータブロック
62 クランパ
62a ベース
62b クランプ半体
63 間紙移送ロボット
64 吸引バー
64a 吸引孔
64S 表面
70 吸引保持器
71 吸引ノズル
72 ロボットアーム
73 エアチューブ
100 床面
G ガラスシート
X 搬送方向