(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ハイドロフォイルおよび電動プロペラシステムを備えたウォータークラフト装置
(51)【国際特許分類】
B63B 32/10 20200101AFI20230418BHJP
B63H 21/17 20060101ALI20230418BHJP
B63H 5/125 20060101ALI20230418BHJP
B63H 21/21 20060101ALI20230418BHJP
B63B 32/60 20200101ALI20230418BHJP
【FI】
B63B32/10
B63H21/17
B63H5/125
B63H21/21
B63B32/60
(21)【出願番号】P 2020536486
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(86)【国際出願番号】 US2018023959
(87)【国際公開番号】W WO2019050570
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520084135
【氏名又は名称】カイ コンセプツ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】モンタギュー,ドナルド ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ブロック,ジョセフ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ,ジェイミーソン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】シャッブ,ダニエル エリオット
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0185430(US,A1)
【文献】特開2015-16865(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014005314(DE,A1)
【文献】特表2000-500086(JP,A)
【文献】独国実用新案第202017103703(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0139905(US,A1)
【文献】特開2015-147572(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0111650(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 32/10,32/60,
B63H 21/17,21/21, 5/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の、体重移動制御されるウォータークラフト装置であって、
ボードおよび動力システムを備え、
前記ボードは、前記動力システムに取外し可能に取付けられ、
前記動力システムは、動力供給システムおよび推進システムを備え、
前記動力供給システムは、第1の電池を収容している第1のトレイを備え、
前記推進システムは、支柱、推進ポッド、およびハイドロフォイルを備え、
前記支柱の第1の端部は、前記ボードに取外し可能に取付けられ、
前記推進ポッドは、電動モーターを備え、
前記推進ポッドは、前記支柱に取外し可能に取付けられ、
前記ハイドロフォイルは、前記支柱に取外し可能に取付けられ、
前記第1のトレイは、前記推進システムの前記支柱の
前記第1の端部に直接取外し可能に取付けられる、
ウォータークラフト装置。
【請求項2】
前記動力供給システムは、前記推進システムの前記支柱に直接取外し可能に取付けられる、請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項3】
前記動力供給システムは、前記ボードへの連結とは無関係に、前記推進システムの前記支柱に直接取外し可能に取付けられる、請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項4】
前記第1のトレイおよび前記第1の電池は相互に連結されて、一体型モジュラーユニットを形成し、かつ
前記一体型モジュラーユニットは、前記推進システムの前記支柱に直接取外し可能に取付けられる、
請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項5】
前記推進ポッドは、前記支柱に直接取外し可能に取付けられ、かつ
前記ハイドロフォイルは、前記支柱に直接取外し可能に取付けられる、
請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項6】
前記動力供給システムは、前記ボードのウェル内に取外し可能に収容され、かつ
前記動力供給システムは、前記ボードの上部表面部分を形成する上面を含む、
請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項7】
前記ウォータークラフト装置の操縦者からの入力を受信するように構成された第1の入力インタフェースを含
む無線スロットルコントローラであって、前記第1の入力インタフェースを介して受信した第1の入力に応答して第1の無線制御信号を提供するように構成されている、無線スロットルコントローラと、
電動モーター、モーターコントローラ、プロペラ、および前記無線スロットルコントローラによって生成された少なくとも1つの無線制御信号を受信するように構成された第2の入力インタフェースを含む前記推進ポッドの駆動システムと
をさらに含み、
前記駆動システムは、前記無線スロットルコントローラによって生成された少なくとも1つの制御信号の受信に応答して、前記電動モーターの出力を動的に変えるように構成される、
請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項8】
前記第1の電池は、少なくとも1つの電気導管を経由して前記推進ポッドに電気的に結合され、
前記推進ポッドは、前記電動モーターに物理的に取り付けられたプロペラを含み、
前記動力供給システムは、モーターコントローラを含み、前記モーターコントローラは前記少なくとも1つの電気導管を経由して前記電動モーターに電気的に結合され、
前記動力供給システムは、前記ボードのウェル内に取外し可能に収容され、かつ
前記動力供給システムは、前記ボードの上部表面部分を形成する上面を含む、
請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項9】
前記第1の電池は、少なくとも1つの電気導管を経由して前記推進ポッドに電気的に結合され、かつ
前記推進ポッドは電動モーター、前記電動モーターに電気的に結合されたモーターコントローラ、および前記電動モーターに物理的に取り付けられたプロペラを含む、
請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項10】
前記ウォータークラフト装置の操縦者からの入力を受信するように構成された第1の入力インタフェースを含
む無線スロットルコントローラであって、前記第1の入力インタフェースを介して受信した第1の入力に応答して第1の無線制御信号を提供するように構成されている、無線スロットルコントローラと、
電動モーター、モーターコントローラ、折り畳み可能プロペラ、および前記無線スロットルコントローラによって生成された少なくとも1つの無線制御信号を受信するように構成された第2の入力インタフェースを含む前記推進ポッドの駆動システムと
をさらに含み、
前記折り畳み可能プロペラは、前記折
り畳み可能プロペラを折り畳まれていない位置にするために前記無線スロットルコントローラによって生成された第2の無線制御信号に応答し、かつ前記折り畳み可能プロペラは、前記折
り畳み可能プロペラを折り畳まれた位置にするために前記無線スロットルコントローラによって生成された第3の無線制御信号にさらに応答する、
請求項1に記載のウォータークラフト装置。
【請求項11】
モジュール式の、体重移動制御されるウォータークラフト装置であって、
ボードおよび動力システムを備え、
前記ボードは、前記動力システムに取外し可能に取り付けられ
ており、
前記動力システムは、動力供給システム、および推進システムを備え、
前記動力供給システムは、第1の電池を収容している第1のトレイを備え、
前記推進システムは、支柱、推進ポッド、およびハイドロフォイルを備え、
前記支柱の第1の端部は、前記ボードに取外し可能に取り付けられており、
前記推進ポッドは、電動モーターを備え、
前記推進ポッドは、前記支柱に取外し可能に取り付けられており、
前記ハイドロフォイルは前記支柱に取外し可能に取り付けられており、かつ
前記第1のトレイは前記推進システムの前記支柱の
前記第1の端部に直接取外し可能に取り付けられている、
ウォータークラフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月11日に出願された、米国特許出願第15/700,658号の利益を主張し、それは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ハイドロフォイルを含み、かつ電動プロペラシステムを使用して動力供給されるウォータークラフト装置に関する。
【背景技術】
【0003】
凧(kite)、パドル、およびウィンドサーフィン用具との使用のためにハイドロフォイル(またはフォイル)を備えたボードがある。フォイルのない電気およびガソリンで動くボードがある。米国特許第7,047,901号は、電動ハイドロフォイル装置を開示する。米国特許第9,278,729号は、体重移動制御されるパーソナルハイドロフォイルウォータークラフトを開示する。上で特定された特許文書の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で開示するのは、ハイドロフォイルを含み、かつ電動プロペラシステムを使用して動力供給されるウォータークラフト装置を提供するための態様、特徴、要素、実施態様、および実施態様である。
【0005】
一実施態様では、ウォータークラフト装置が開示される。ウォータークラフト装置は、ボード、ボードの上面に連結されたスロットル、ボードの底面に連結されたハイドロフォイルを含み、ハイドロフォイルは、機械学習機構を使用してウォータークラフト装置を自動的に操縦する可動制御構造、およびハイドロフォイルに連結された電動プロペラシステムを含み、電動プロペラシステムは、スロットルから生成された情報を使用してウォータークラフト装置に動力供給し、さらに非フォイリングモードにおける浮心およびフォイリングモードにおける揚力中心が位置合わせされる。
【0006】
本開示のこれらおよび他の態様が、以下の実施形態の詳細な説明、添付の請求項および付随する図面で開示されている。
【0007】
開示する技術は、付随する図面と併せて読む場合、以下の詳細な説明から最も良く理解される。一般的な方法に従い、図面の様々な特徴は原寸に比例していないことを強調する。それとは逆に、様々な特徴の寸法は、明確にするために、任意に拡張または縮小される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーの部分の一例を示す。
【
図2】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのボードの一例の上面図を示す。
【
図3】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーの一例の側面図を示す。
【
図4】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのボードの一例の上面図を示す。
【
図5】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのボード内の第1のウェル(well)の一例を示す。
【
図6】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのボード内の第2のウェルの一例を示す。
【
図7A】本開示の実施態様に従った膨張式ボードを備えたジェットフォイラーの一例の上面図を示す。
【
図7B】本開示の実施態様に従った膨張式ボードを備えたジェットフォイラーのハイドロフォイル動力システムの一例を示す。
【
図8】本開示の実施態様に従った車輪付きボードを備えたジェットフォイラーの一例を示す。
【
図9】本開示の実施態様に従い、スロットルシステムを使用して制御されるジェットフォイラーの一例を示す。
【
図10A】本開示の実施態様に従い、ハンドルバースロットルを第1の位置で使用して制御されるジェットフォイラーの一例を示す。
【
図10B】本開示の実施態様に従い、ハンドルバースロットルを第2の位置で使用して制御されるジェットフォイラーの一例を示す。
【
図11】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのハイドロフォイルの一例を示す。
【
図12】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのハイドロフォイルの一例を示す。
【
図13】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーの推進ポッドの一例を示す。
【
図14】本開示の実施態様に従い、最適化された推進ポッド形状の一例を示す。
【
図15A】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーの動力システムの一例を示す。
【
図15B】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーの動力システムのモーターシステムの一例を示す。
【
図15C】本開示の実施態様に従ったモーターシステムの電池システムの一例を示す。
【
図16】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのプロペラシステムを例示する。
【
図17】本開示の実施態様に従った、ジェットフォイラーの操作中に乗り手の足位置と適合するプロペラのスピン方向の一例を示す。
【
図18】本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのプロペラシステムの折り畳み式プロペラブレードの一例を示す。
【
図19】本開示の実施態様に従い、可動操縦翼面を含むジェットフォイラーのハイドロフォイルの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記述および図面は例示であり、制限として解釈されるべきではない。多数の具体的詳細は完全な理解を提供するために説明される。しかし、場合によっては、記述を曖昧にするのを回避するために周知または従来型の詳細は説明されない。本開示における1つの実施形態の参照は、必ずしも同じ実施形態を参照せず、かかる参照は少なくとも1つを意味する。
【0010】
フォイルボード(フォイリング装置またはハイドロフォイルボード/装置とも呼ばれる)は、サーフボード(ボードとも呼ばれる)およびそのボードに連結されて、動作中にボードの下で水中に延出するハイドロフォイルを含むウォータークラフト装置である。ハイドロフォイルは揚力を発生させ、揚力は、高速でボードを水面上に上げる。本開示は、ハイドロフォイルボード(すなわち、ボードの表面の下に連結されたハイドロフォイルを備えたボード)およびウォータークラフト装置に動力供給する電動プロペラシステム(すなわち、電動モーターを使用して動力供給されるプロペラシステム)を含むウォータークラフト装置を表すジェットフォイラーを提供する。ジェットフォイラーは、電動ハイドロフォイル装置とも呼ぶことができる。ジェットフォイラーは、ガソリンで動くパーソナルウォータークラフトに対する静かな代替手段、非フォイリングクラフトに対するより効率的で航跡のない(no-wake)代替手段、および/または個人が娯楽のためにハイドロフォイル装置を使用するための無風または弱風の選択肢を提供することにより、ハイドロフォイルスポーツを幅広い聴衆に紹介する。それに応じて、本開示に従った方法およびシステムは、ボード、ボードに連結されたハイドロフォイル、およびジェットフォイラーに動力を供給するためにハイドロフォイルに連結された電動プロペラシステムを含むジェットフォイラーを提供する。ハイドロフォイルは、使用していない時には、簡易脱着を使用してボードから取り外されて、操縦者がジェットフォイラーをさらに容易に保管または移動するのを可能にし得る。ジェットフォイラーの操縦者は、体重移動またはコントローラを使用する別の機構を使用して、ジェットフォイラーの速度および方向の両方を制御できる。従って、ジェットフォイラーは、ハイドロフォイルを利用する、安全で、乗りやすくて、移送が容易な電動パーソナルサーフボードウォータークラフトである。
【0011】
図1は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラー100の部分の一例を示す。ジェットフォイラー100は、ボード102、ボード102に連結されたハイドロフォイル104、ハイドロフォイル104に連結された推進ポッド106、推進ポッド106に連結されたプロペラ108、およびプロペラ108を取り囲んでいるプロペラガード110を含む。いくつかの実施態様では、ジェットフォイラー100は、プロペラガード110のないプロペラ108を含む。ボード102が水域(例えば、湖または海)の表面に浮かんでいるとき、ハイドロフォイル104は水面下に沈んでいる(すなわち、ハイドロフォイル104は水中にある)。ジェットフォイラー100が十分であるか、または所定の速度に達すると、ハイドロフォイル104によって生じた揚力がボード102を水面より上に持ち上げる。従って、ハイドロフォイル104はジェットフォイラー100に揚力を供給する。ジェットフォイラー100は、ハイドロフォイル104だけ、2つ以上のハイドロフォイル、および先尾翼と連結したハイドロフォイルを含むが、それらに制限されない、様々なハイドロフォイルの組合せを含み得る。ボード102は、ハイドロフォイル104をボード102から取り外す/切り離すのを容易にするためのクイックコネクタを有し得る。
【0012】
ジェットフォイラー100の操縦者(乗り手または使用者とも呼ぶ)は、ボード102の上面上に直立姿勢で立つことができ、ボード102に連結されたコントローラ(図示せず)を使用してジェットフォイラー100を制御することができる。コントローラはスロットルコントローラと呼ぶこともできる。ボード102は、浮揚装置として機能でき、前方部分、中央部分、および後方部分を含む。ジェットフォイラー100の長手方向の方向制御は、操縦者により、体重移動、コントローラの使用(例えば、操縦者がジョイスティックまたはノブを右に動かし、それによってジェットフォイラー100が右方向に曲がる)、および所定の経路の使用(例えば、操縦者がジェットフォイラー100を操作する前に経路を入力し、ジェットフォイラー100はGPS座標を使用してその経路を自動的に辿る)のいずれかを使用して制御できる。加えて、ジェットフォイラー100の安定性は、操縦者により、体重移動、コントローラの使用(例えば、操縦者がボタンをクリックして急旋回したジェットフォイラー100のバランスを取り戻して安定させる)、およびジェットフォイラー100に組み込まれた別の装置の使用(例えば、ジャイロスコープを含むが、それに制限されない、MEMS装置)のいずれかを使用して制御できる。
【0013】
操縦者は、ボード102の上面上で(直立姿勢に加えて)うつ伏せまたは膝をついた姿勢を取ることもできる。ジェットフォイラー100は、操縦者がボード102上に座ったまま、または操縦者がボード102の上面上に位置付けられたか、もしくは連結された椅子に座ったまま、操作することもできる。推進ポッド106は、コントローラから命令を受信して(すなわち、操縦者のコントローラの利用に基づく)プロペラ108に動力を供給でき(例えば、動力システム112のモーターを使用)それにより推進システムとして機能してジェットフォイラー100を作動させる動力システム112を含むか、または収容できる。動力システム112は、モーター、モーターコントローラ(例えば、電子速度制御(ESC))、電池システム、および冷却システムのいずれかを含み得るが、それらに制限されない。動力システム112は、推進ポッド106内に完全に収容でき、図示するために
図1で明らかにされている。動力システム112は、モーター(例えば、電動モーター)からの電力を使用し、シャフトを介してプロペラ108に動力を供給して推進力を起こし、ジェットフォイラー100を水面上で加速できる。コントローラは、プロペラ108によって生じた推進力を調整することにより、動力システム112を介してジェットフォイラー100の速度を制御するスロットルを含み得る。
【0014】
ハイドロフォイル104は、支柱114、船尾翼116、および前方翼118を含むが、それらに制限されない、複数の構成要素を含み得る。いくつかの実施態様では、1つの翼だけ(船尾翼116または前方翼118または別の翼)がハイドロフォイル104に連結される。他の実施態様では、3つ以上の翼がハイドロフォイル104に連結される。いくつかの実施態様では、推進ポッド106、動力システム112、プロペラ108、およびプロペラガード110も、ハイドロフォイル104の構成要素と呼ばれる。ハイドロフォイル104およびボード102が調節可能な距離を用いて連結されるように、ハイドロフォイル104の複数の構成要素のいずれの位置も調整可能にできる。支柱114は、上端部および下端部を有し、上端部はボード102の底面に連結されている。支柱114の上端部は、中央部分と後方部分との間および中央部分近くを含むが、それらに制限されない、様々な位置でボード102の底面に連結できる。支柱114とボード102との間の連結は固定接続(例えば、ボルトの使用)または取外し可能接続(例えば、クリッピング機構を備えた防水電気ソケットの使用)にできる。支柱114とボード102との間の連結は、支柱取付け機構と呼ぶこともできる。
【0015】
いくつかの実施形態では、支柱取付け機構は、ソケット接続を形成する2つの嵌合プラスチック部品を含むクリッピング機構であり、2つの嵌合プラスチック部品の一方が支柱114に嵌まり、2つの嵌合プラスチック部品の他方がボード102に嵌まる。プラスチック部品の一方(例えば、ボード側部品)にはOリングを取り付けることができ、そのため2つの嵌合プラスチック部品を一緒に嵌め合わせて結合を形成すると、その結合は水の浸入を防ぐ。密封バネ式電気コネクタ(例えば、3弾丸コネクタ(three bullet connector))を2つの嵌合プラスチック部品内の専用区画に嵌めることができる。各コネクタの半分をボード側プラスチック部品に嵌めることができ、対応する半分を支柱側プラスチック部品に嵌めることができる。密封バネ式電気コネクタは、それぞれ、ボード102および支柱114内のワイヤーに取り付けることができる。取り付けられると、密封バネ式電気コネクタは、ボード102から推進ポッド106まで伸びる連続ワイヤーを形成できる。
【0016】
支柱取付け機構は、ヒンジ機構を用いても設計でき、使用者は支柱114の最上部の一端をボード102の底面上のヒンジ機構に嵌め込むであろう。これは、使用者が、支柱114を、所定の位置にロック機構(例えば、歯止めラッチ)を使用して嵌め込み得る、直立状態に回転できるようにする。ヒンジ機構が支柱取付け機構として機能するのを可能にするために、電気コネクタは、ソケット(例えば、スペードラグソケット)に適合できるように、弾丸形状とは異なった形にされる。
【0017】
支柱114はボード102を推進ポッド106に連結でき、船尾翼116および前方翼118の両方が推進ポッド106に連結できる。船尾翼116および前方翼118は総称してハイドロフォイル翼116~118と呼ぶことができる。推進ポッド106は支柱114の前方、支柱114の船尾、または支柱114を中心にして配置され得る。支柱114に対する推進ポッド106の位置決めは、支柱114に対するプロペラ108の位置決めに影響を及ぼして、ハイドロフォイル翼116~118が推進ポッド106に連結される場合、それらの位置決めに影響を及ぼし得る。船尾および前方翼116~118は、推進ポッド106を介して間接的とは対照的に、支柱114に連結されている水平胴体(例えば、推進ポッド106の上、または推進ポッド106の下にある支柱114の下端部の近くのいずれか)にも連結できる。船尾および前方翼116~118は、推進ポッド106の底面、上面、および中間部分(底面と上面との間)のいずれかに連結できる。いくつかの実施態様では、船尾および前方翼116~118は、推進ポッド106の底面に連結され、それ故、ハイドロフォイル104は、船尾および前方翼116~118を推進ポッド106と統合しない構造を含む。支柱114は、ボード102の底面および上面の両方の同様の位置に開口部を提供する支柱スロットを介してボード102に連結できる。支柱スロットは、形状およびサイズが異なり得、薄い長方形の線状開口部を含み得る。支柱114は、相似の寸法(例えば、長方形状)または上端部と下端部との間で変動する寸法(例えば、先細形状)をもつ垂直支柱にできる。
【0018】
船尾および前方翼116~118は、推進ポッド106の両側から延出する水平翼にできる。船尾および前方翼116~118(および推進ポッド106に連結された任意の他の翼)は、操縦者の経験レベルおよび要求に従ってジェットフォイラー100のカスタマイズを可能にするために様々なサイズおよび設計(例えば、様々な湾曲したフラップ、縁部から出るウィングレットなど)を含むことができる。船尾および前方翼116~118は、ハイドロフォイル104の固定構成要素にできるか、または船尾および前方翼116~118は、ジェットフォイラー100の操縦者によって制御される(例えば、コントローラを使用して制御される)可動構造であるか、もしくはそれを含み得る。加えて、ハイドロフォイル104の他の構成要素は、コントローラを使用して可動または再配置可能にできる。例えば、支柱114または推進ポッド106は、様々な角度で異なる位置に移動できる。操縦者は、経験レベルおよび性能要件を含むが、それらに制限されない、様々な条件に基づき、船尾および前方翼116~118を含む、ハイドロフォイル104の様々な構成要素を動かすことができる。
【0019】
推進ポッド106は、推進システム(すなわち、少なくともプロペラ108および動力システム112の一部を含むシステム)を支柱114に組み込んで結合構成要素を提供するために使用される水中ハウジングである。推進システムはプロペラシステムと呼ぶこともできる。結合構成要素は、炭素繊維、アルミニウム、または別の類似材料の連続したシェルを有するように製造できる。結合構成要素は、推進ポッド106および支柱114のハウジングの両方を提供でき、それにより部品、組立て労力、および製造コストを削減し、同時に構造的完全性を向上できる。推進ポッド106は支柱114から取外し可能でもあり得、その2つの部品(すなわち、推進ポッド106および支柱114)をもっと容易に製造する(例えば、別々の工場で迅速に組み立てられるか、または修理のために分解される)のを可能にする。船尾および前方翼116~118は、取外し可能ボルトを含むが、それに制限されない、複数の機構を用いて、推進ポッド106に固定できる。推進ポッド106は、動力システム112のモーターおよび他の構成要素(例えば、モーターコントローラ、電池など)を収容でき、船尾翼および前方翼116~118の間のスペーサとしても機能できる。
【0020】
いくつかの実施態様では、推進ポッド106は、ハイドロフォイル104の水平部分(例えば、胴体)の上方で支柱114に組み込むことができ、それ故、動力システム112のモーターおよび他の構成要素は推進ポッド106から他の場所に収容される(すなわち、動力システム112は推進ポッド106内に収容されない)。別の実施態様では、モーターおよびギアボックス(ギアボックスが使用される場合)ならびに任意選択としてモーターコントローラ(例えば、ESC)を含む、動力システム112の部品は推進ポッド106内に収容され、他方、電池システムまたは電池は別の場所(例えば、ボード102内)に収容される。他の実施態様では、推進ポッド106は、支柱114への取付けおよび支柱114からの取外しができる別個の構成要素であり(すなわち、推進ポッド106および支柱114は1つの連続した結合構成要素ではない)、推進ポッド106を充電場所/ステーションに持っていき、支柱114および/またはジェットフォイラー100全体も充電場所/ステーションに持っていく必要なく、推進ポッド106内に格納された動力システム112の電池を交換または充電するのを可能にする。
【0021】
ボード102は、軽量の低抗力プラットフォームであり得、幅広いよりもむしろ長い(すなわち、ボード102の長さはボード102の幅より大きい)。ボード102は、浮力材(例えば、ポリウレタンもしくは発泡ポリスチレンまたはガラス繊維布もしくは炭素布もしくは類似のタイプの布およびポリエステル樹脂もしくはエポキシ樹脂もしくは類似のタイプの樹脂の層で覆われた類似のタイプの発泡体)で作ることができ、ジェットフォイラー100の使用中に操縦者に立つ場所を提供するために設計されている。いくつかの実施態様では、ボード102は、ハイドロフォイル104および操縦者の固有の特性(例えば、専門知識レベル、身長、体重など)の両方に連携する設計形状を含む。例えば、ボード102は、大きくて、より浮力があり、滑走(planing)モードを含まない、初心者向け形状を含み得るか、またはボード102は、小さくて、安定している間に操縦者がボード102上に立つのに十分な浮揚性はなく、滑走モードは含む、上級向け形状を含み得る。
【0022】
いくつかの実施態様では、ボード102は、移動(または非フォイリング)モード、フォイリングモード、および適用される場合は、滑走モードにおいてボード102の抗力対速度曲線が相補的であり、それにより、ジェットフォイラー100の発進中(すなわち、操縦者がジェットフォイラー100の操作を開始しているとき)および着地中(すなわち、操縦者がジェットフォイラー100の操作を終了しているとき)の両方で、モード間の円滑な移行を達成するように設計形状を含む(または成形される)。ボード102は、現在のところボード102がどのモード(例えば、非フォイリングモード、フォイリングモード、滑走モードなど)であるか、またはこれから経験するか、を知る(または判断できる)のを可能にして様々なモード間の円滑な移行を提供する機構を含み得る。ジェットフォイラー100はフォイリング装置であり、そのため操縦者は、速度が変わると意図せずにモード間で移行し得、それにより経験が初心者レベルの操縦者はモード間で多大な時間を費やす。それ故、円滑な移行は、操縦者がジェットフォイラー100を操作するのをより容易にして、ジェットフォイラー100が様々なモード間で移行する際に、操縦者が落下することなく減速または加速するのを可能にする。
【0023】
ボード102が水面と接触して浮力を得る場合(例えば、操縦者が発進しようとしている場合)、ジェットフォイラー100は非フォイリング(または移動)モードである。ボード102が水面より上にあって水から浮力を得ていない場合(例えば、操縦者がジェットフォイラー100を操作している場合)、ジェットフォイラー100はフォイリングモードである。ジェットフォイラー100がボード102によって生じた揚力によって部分的に支持されて水面上をある速度で滑っている場合で、ジェットフォイラー100をフォイリングモードにする別の速度に達する前は、ジェットフォイラー100は滑走モードである。低速度で滑走するように設計されているウォータークラフト(例えば、ボート)は、十分な動力が供給されるとウォータークラフトが水から一部浮かび上がるのを可能にする浮上性船体(planing hull)を備えた設計を含む。ボード102は滑走モードのための浮上性船体を備えた設計形状を有するように同様に成形/設計できる。いくつかの実施態様では、ボード102は、非フォイリングモード中、操縦者の全体重を支持するのに十分な浮力を供給し得る。
【0024】
ボード102の設計形状およびジェットフォイラー100の翼配置は、非フォイリングモードにおけるジェットフォイラー100の浮心およびフォイリングモードにおけるハイドロフォイル翼116~118からの揚力中心が位置合わせされるか、または実質的に位置合わせされるように構成できる。言い換えれば、ボード102が水域に接触している(例えば、ボード102が移動または非フォイリングモードである)場合にボード102の浮力によって生じた押上げ力は、ボード102がフォイリングしている(例えば、ボード102がフォイリングモードである)場合にハイドロフォイル翼116~118によって生じた揚力からの押上げ力とほぼ同じ位置および同じ方向で(例えば、前方/船尾方向に)中心が置かれる。従って、ボード102の形状および構成は、ハイドロフォイル翼116~118の位置と相関して、浮心を揚力中心に一致させる位置合わせを提供する。
【0025】
浮心と揚力中心との位置合わせは、モードの移行中に操縦者が安定を維持するために最小限の再ポジショニングしか必要としない(すなわち、ジェットフォイラー100の操縦者は、非フォイリングモードからフォイリングモードへ、またはフォイリングモードから非フォイリングモードへなど、移行する際に足の位置を変える必要がないか、または実質的に自分の体重を分配し直す必要がない)ことを意味して、ジェットフォイラー100を乗りやすくする。加えて、操縦者は、非フォイリングモードからフォイリングモードへ移行するためにボード102上に座るか、または寝そべる必要がない。ハイドロフォイル翼116~118の位置決めは、ジェットフォイラー100がフォイリングモードにある場合に揚力中心の位置決めを決定し、ボード102がフォイリングモードにある場合に操縦者に対する最適な姿勢を決定する。
【0026】
ジェットフォイラー100は、動作中にさらなる安全性を提供するために、安全停止、速度制限、ならびにデータ収集および分析を含むが、それらに制限されない、様々な特徴を含み得る。例えば、ジェットフォイラー100は、操縦者が操作中に水中に落下した場合に付加的レベルの安全性(操縦者がスロットルを解放するか、または放すことができることから得られる安全レベルを超えて)を提供するために足首に繋ぐ磁気式キルスイッチを含み得る(すなわち、ジェットフォイラー100は、操縦者が水中に落下するとジェットフォイラー100から解除されているキルスイッチで停止できる)。ジェットフォイラー100は、キルスイッチロープ(例えば、操縦者に取り付けられた足首に繋ぐ磁気式キルスイッチ)がジェットフォイラー100によって検出された場合、たとえ操縦者がジェットフォイラー100から落下していなくても切り離されるようにモーターブレーキを提供するようにも構成できる。
【0027】
加えて、通常の動作中、ジェットフォイラー100は、所定の速度の間(例えば、8~10ノット)、非フォイリングモードからフォイリングモードへ移行するように構成できる。ジェットフォイラー100のスロットルは、所定の最大またはピークの制限速度(例えば、15ノットのピーク速度)に達するように制限して安全性をさらに強化できる。ピーク制限速度を変更するのをさらに容易にするためにスマートスロットル制限オプションも実装できる。例えば、操縦者は経験レベルを初心者に設定することができ、それは、ピーク制限速度を、上級経験レベルでの操作に対して設定されるより高いピーク制限速度と比較して、自動的に低くするであろう。ジェットフォイラー100は、折り畳み式プロペラも使用でき(すなわち、プロペラブレードと接触する潜在的な危害を低減する折り畳まれた位置を含む、様々な位置に折り畳むことができるプロペラブレードを備えたプロペラシステム)、使用中に意図的ではなく、ある位置から別の位置に折り畳むことによって操縦者の安全性を高める。ジェットフォイラー100は、装置の安全性をさらに高める装置固有の電池パック(例えば、LiFePO4またはLiIon電池)を有し得る。ジェットフォイラー100は、漏れ、操縦者の落下、プロペラおよび/または翼(またはジェットフォイラー100の他の構成要素)の損傷と関連付けられたデータを検出するための様々なセンサーを含むことができ、検出されたデータを操縦者または第三者(例えば、レンタル店)に送信してジェットフォイラー100の安全性および操作を改善することができる。
【0028】
ジェットフォイラー100は、優れた可搬性および運搬を提供するための様々な特徴を含み得る。例えば、ボード102は、ジェットフォイラー100を軽量に保つ炭素繊維材料から作ることができる。ジェットフォイラー100は、サイズおよび/または重量が削減されている動力システム112内の電池を含むことができ、それもさらなる軽量化に寄与する。ジェットフォイラー100のハイドロフォイル(例えば、ハイドロフォイル104)は、単純構造を使用して揚力を供給するために1つの垂直支柱(例えば、支柱114)および2つの水平翼(船尾および前方翼116~118)をもつ単一のハイドロフォイルを含み得、それはジェットフォイラー100を1人または2人で運び、水に浮かべて発進するのを容易にする。代替として、ジェットフォイラー100のハイドロフォイルは、ハイドロフォイル104よりも複雑で、かつ様々な位置および形状で一緒に連結される、複数の支柱ならびに船尾翼および前方翼に加えて複数の翼を含む構造を含み得る。
【0029】
加えて、ジェットフォイラー100は、搬送のために運搬装置に梱包できるようにジェットフォイラー100を小さくするのを可能にする取外し可能な翼設計も使用できる。ジェットフォイラー100のボード102は、膨張可能材料でも作ることができ、ボード102がその収縮状態にされてサイズが削減されると、運搬が容易になる。ボード102は、ジェットフォイラー100を1人で地面(例えば、ドック、ボートデッキ、ビーチなど)を転がすことができるように、1つ以上の格納式または取外し可能な車輪を含むことができる。ボード102は、ハイドロフォイル104をボード102から取り外すのを可能にする(例えば、様々な支柱取付け機構に関連して前述したような)搭載電子機器用のクイックコネクタを有し得る。搭載電子機器は、ボード102の上面に組み込まれているウェル内に格納されるジェットフォイラー100の操作/速度を制御するための電子機器を含み得る。
【0030】
図2は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのボード200の一例の上面図を示す。ボード200は、ジェットフォイラーのハイドロフォイルに連結されるジェットフォイラー(例えば、
図1のジェットフォイラー100)の構成要素である。ボード200は、幅よりも大きい長さを含み得る寸法を有する。例えば、ボード200の長さは、略2365ミリメートル(mm)であり得、ボード200の幅は、略698mmであり得る。ボード200は、ボード200の両側が同一になるように対称寸法を有し得るか、または非対称寸法を有し得る。ボードは、様々に異なる形状およびサイズにできる。例えば、ジェットフォイラーは、ボード200に比べて、もっと小さくて、さらに高い性能のために成形されているボードを含み得る。小型のボードは、ボードが移動中になるまで操縦者(すなわち、使用者/乗り手)が立つことができないボードであろう。かかるボードは、操縦者がうつ伏せまたは寝そべっている姿勢から直立姿勢に移行するのに役立つハンドルを備えて構成できる。
【0031】
ボード200は、ジェットフォイラーの操縦者の経験レベルを含むが、それらに制限されない、様々な考慮事項に基づいて、様々に異なる長さおよび幅寸法を含み得る(例えば、初心者操縦者向けのより大きな寸法、および上級操縦者向けの小型の寸法)。一例では、初心者操縦者向けに、ボード200は、フォイリングしていないときにその上に立ちやすいように大きなサイズであり得る(すなわち、ボード200は、より長い長さおよび長い幅を含む)。別の例では、ボード200は、より小型のサイズであり得(すなわち、ボード200は、初心者操縦者向けに使用されるより大型サイズと比較して、より短い長さおよび短い幅を含む)、それによりもっと上級操縦者向けに性能を向上させる(例えば、ボード200の抗力を減らす、非フォイリングモードからフォイリングモードへ移行する期間を短縮する、動力効率を向上させる、など)。ボード200は、類似の性能要件に対して変わり得る厚さも含む(例えば、初心者操縦者向けのより厚い寸法、および上級操縦者向けの薄い寸法)。ボード200が小さく、かつ/または狭い場合、ボード200はハンドルも含み得、操縦者が寝そべっている間に非フォイリングモードからフォイリングモードに移行して、一旦、操縦者がボード200をフォイリングモードにすると、立ち上がるのを容易にする。
【0032】
ジェットフォイラー(例えば、
図1のジェットフォイラー100)は操縦者によりコントローラを使用して操作でき、操縦者によりジェットフォイラーのボードに関連した体重移動および足の位置決めを使用して操縦できる。加えて、ジェットフォイラーは、可動ステアリングシステムを使用してジェットフォイラーを操縦するためにボードに連結された任意選択の舵タイプ装置を含み得る。操縦者は、コントローラと関与することにより(例えば、コントローラのノブを右に動かしてジェットフォイラーを右に進める)舵タイプ装置を使用してジェットフォイラーを操縦もしくは制御できるか、または舵タイプ装置は、機械学習機構および、様々な状態を検出し、それに応じてジェットフォイラーを調整するセンサーを使用して、ジェットフォイラーを自動的に操縦できる(例えば、ジェットフォイラーのセンサーは、ジェットフォイラーが右に傾き過ぎていることを認識し、そこで舵タイプ装置を自動的に調整して、ジェットフォイラーを左に進めることによりジェットフォイラーのバランスを取る)。
【0033】
動作中の全てのジェットフォイラーは、乗り手がジェットフォイラーをどのように操作しているか、およびジェットフォイラーがどのように応答しているかを示すデータのストリーム(例えば、高忠実度のデータストリーム)を記録できる(例えば、速度、海抜、姿勢、安定性、動力および温度などと関連付けられたデータ記録)。ジェットフォイラーは、インターネットに接続されている場合、任意選択としてこのデータを中央サーバーにアプロードできる。機械学習技術を採用して、全てのジェットフォイラーから集約されたデータから学習されることに基づいて、各ジェットフォイラーの応答性を変更することができ、ジェットフォイラーのボードを乗りやすくし、かつデフォイル(defoil)または過熱しにくくする。ジェットフォイラーは、船尾および前方翼116~118(すなわち、ハイドロフォイル翼116~118)上の調節可能フラップ(可動操縦翼面とも呼ばれる)を含むが、それらに制限されない、追加の構成要素を含むことができ、それは、ジェットフォイラーを安定させるために自動的に制御できる。ジェットフォイラーが舵タイプ装置を含んでいない場合、ジェットフォイラーは操縦者が自分の足をフットストラップ内で位置決めすることにより(例えば、フットストラップを後ろに引く)、かつ自分の体重を移動させることにより、ボードを操縦可能にできる。体重移動および足の位置決めを使用した操縦は、ウィンドサーフィンに類似しており、操縦者に対するジェットフォイラーの操縦プロセスを簡略化できる。
【0034】
図3は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラー300の一例の側面図を示す。ジェットフォイラー300は、
図1のジェットフォイラー100に類似し得る。ジェットフォイラー300は、ハイドロフォイル304の支柱構成要素に連結されたボード302を含む。ハイドロフォイル304の追加の構成要素(例えば、推進ポッド、翼など)は、水面下に沈んでいるので、図示されていない。ジェットフォイラー300は、ボード302の上面上に、ジェットフォイラー300を操作および操縦するために操縦者によって使用される少なくとも1つのフットストラップ320を含む。操縦者は、少なくとも1つのフットストラップ320に関して自分の足の位置決めを調整すること、自分の体重をボード302にわたって移動させること、少なくとも1つのフットストラップ320を後ろに引くこと、および少なくとも1つのフットストラップ320との接触を緩めることを含むが、それらに制限されない様々な方法で、少なくとも1つのフットストラップ320を使用してジェットフォイラー300を操縦できる。
【0035】
図4は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのボード400の一例の上面図を示す。ボード400は、ハイドロフォイル(例えば、
図1のハイドロフォイル104)に連結されているジェットフォイラー(例えば、
図1のジェットフォイラー100)の一構成要素である。ボード400は、支柱スロット402、第1のウェル(小さいウェルとも呼ばれる)406から第2のウェル(大きいウェルとも呼ばれる)408まで伸び、次いで大きいウェル408から支柱スロット402まで伸びている溝404を含む。支柱スロット402は、大きいウェル408の内部/下に位置付けられ得る。大きいウェル408は、防水蓋/シール(図示せず)を有する。蓋は、様々な方法で、例えば、ガスケットを密閉するために締め付けられる一連のボルトを用いて、または代替として、ヒンジ機構およびラッチを使用して封鎖されたバルブシールを用いて、取り付けることができる。ヒンジ機構を使用する場合、ボード400は、様々な材料で作られたバルブシール(例えば、ゴムで、ボード400に組み込まれたリップに隣接して位置付けられて、炭素繊維からで、大きいウェル408などの船尾ウェルの周囲に位置付けられて)を使用し得る。リップは残留水が船尾ウェルに入ってくるのを阻止でき、またバルブシールを押すのにも役立ち、蓋およびボード400が水密適合(watertight fit)を形成するのを確実にする。蓋は、ボード400と正確に係合するように炭素繊維から作ることができる。蓋をボード400に密封するために、ジェットフォイラーはヒンジ機構(例えば、加圧下で蓋を適所に保持するための蓋の一方上の2つのヒンジおよび蓋の他方上の機械式ロッキングシステム)を使用し得る。その結果、蓋はボード400の表面の大部分を形成でき、それが封鎖されている場合ボード400に対して水密をシールできる(すなわち、水密シールを形成する)。
【0036】
第2のウェル408(すなわち、船尾ウェル)は2つ(またはそれ以上)の区画に分割されて第2のウェル408の内容物を分類し得る(例えば、電池用の前方区画および他の電子機器用の船尾区画)。トンネルが2つの区画の間のボード材を通って伸びて、第2のウェル408の蓋が密閉された状態で、ワイヤーが2つの区画内の電子機器を接続するのを可能にし得る。第2のウェル408と第1のウェル406との間の溝404も覆われるか、または密閉され得、2つのウェル406~408の間のトンネルを含むように構築されて通信リンク(例えば、ワイヤー)が水と接触することなく2つのウェル406~408の間に伸びるのを可能にし得る。
【0037】
第1のウェル406(すなわち、前方ウェル)は、マイクロコントローラ、スロットルからの無線通信を受信するためのアンテナ、ディスプレイ(例えば、LCDディスプレイ)、および安全キルスイッチ取付けポイント(例えば、磁気取付けポイント)を含むが、それらに制限されない、様々な電子機器を含み得る。無線スロットルを使用するジェットフォイラーのバージョンでは、スロットルケーブルをボード電子機器に接続するために必要な接続箱はない。第1のウェル406は、第2のウェル408と同様に、蓋を有し得る。第1のウェル406の蓋は、構造において第2のウェル408の蓋と類似し得るか、またはウェル内部の構成要素(例えば、ディスプレイ)を見ることが操縦者にとって有益である場合には、プレキシガラスまたはガラスのような、透明材料から作られ得る。
【0038】
デッキパッド410は、少なくとも支柱スロット402、溝404の一部、および第2のウェル408を取り囲む。デッキパッド410は、第2のウェル408および支柱スロット402が取り囲まれている場合、第2のウェル408および支柱スロット402上の蓋を覆うことを含め、ボード400の他の領域を覆うことができる。ボード400は、フォームコア内部材料をもつ炭素繊維外部材料を含むが、それに制限されない、様々な材料から作ることができる。ボード400は、略7.75フィート×2.25フィート×0.4フィートを含むが、それに制限されない、様々な寸法を有し得る。より高い性能のボードは、5フィート×2フィート×0.5フィートを含むが、それに制限されない、寸法を有し得る。
【0039】
ボード400は、ボード400の底面上にヒートシンク(図示せず)も含み得る。ヒートシンクは、放熱性を有することが知られている材料(例えば、アルミニウム)から作ることができ、ジェットフォイラーの作動中、水および/または移動する空気と接触する。ジェットフォイラーの動作中に生成される過度または不必要な熱(例えば、電子機器によって、または第1および第2のウェル406~408を介してボード400に連結できる動力システムによって、生成される熱)を吸収するために、ヒートシンクは、受動熱交換器として知られている材料を使用して、ジェットフォイラー動力システムによって生成された熱を水中または空気中に移す。例えば、ボード400が、電池、モーターコントローラ、ならびに第1および第2のウェル406~408のいずれか内のモーターを含むが、それに制限されない、ある構成要素を、ハイドロフォイルの推進ポッドの動力システム(例えば、
図1のハイドロフォイル104の推進ポッド106の動力システム112)内にこれらの構成要素を収容する代わりに、収容する場合、ボード400はヒートシンクを含んで、熱を空気中または水中に放散することにより、これらの構成要素が過熱するのを防ぐことができる。例えば、ヒートシンクは、ボード400の底面に組み込まれたアルミニウム板から作られ得、時々、不必要な熱を発生している構成要素(例えば、モーターコントローラ)を保持している隣接したアルミニウムブラケットに連結される。いくつかの実施態様では、ボード400のヒートシンクは、水面を通過している支柱によって生じた水噴霧(支柱噴霧とも呼ばれる)がヒートシンクに当たり、それによってさらなる冷却を供給するように、ハイドロフォイルの支柱の後ろに配置される。
【0040】
ボード400は、少なくとも1つの電子機器ユニットなどの電子機器を収容するための組み込みウェル(例えば、第1のウェル406および第2のウェル408)を含むことができる。第1および第2のウェル406~408は、ジェットフォイラーの搭載電子機器および操縦者の特定の要求に対応するために、さらに小さい区画に分割することを含め、様々な方法でサイズを決め、間隔を空けることができる。第1および第2のウェル406~408の構成は、電子機器(例えば、少なくとも1つの電子機器ユニット)の取り外しを容易にして、ジェットフォイラー上で実施すべき合理化された修正、保守、および/または更新を提供し、ジェットフォイラーの動作と関連付けられたライドデータ(ride data)(例えば、GPS座標、速度、構成要素の健康状態など)を格納する記憶装置(例えば、メモリカード)へのアクセスを提供する。いくつかの実施態様では、使用者は、記憶装置を電子機器ユニットから取り外す必要がある代わりに、ライドデータを無線でアクセスおよび/またはダウンロードし得る(すなわち、記憶装置は格納したライドデータを無線で伝達できる)。
【0041】
いくつかの実施態様では、ボード400の電子機器は、第1および第2のウェル406~408内部に収容される代わりに、ボード400内部に固定または埋め込むことができ、電子機器の取外しを阻止して(例えば、水食から)保護する。第2のウェル408は、ボード400の船尾側3分の1(1/3)、船尾フットストラップ(図示せず)の前方および右舷/左舷に対して中心に配置できる。溝404は、所定のタイプの配線が第1および第2のウェル406~408の間を通るのを可能にするために、所定の深さの浅い溝であり得る。溝404はまた、通信リンク/ワイヤーが通る2つのウェル間のトンネルのように、完全に囲まれ得る。ボード400は、2つより少ないか、または第1および第2のウェル406~408に加えて3つ以上のウェルを有することができる。例えば、ボード400は、緊急用の補助電池を収容する別のウェルを有することができる。補助電池は、ボード400に連結されているハイドロフォイルの推進ポッドの動力システム内に収容された電池に対して追加の電池として機能できる。別の例として、ボード400は、私物(例えば、スマートフォン)および保護具(例えば、救急用具)を保管するための追加のウェルを有し得る。
【0042】
支柱スロット402は、ボード400の船尾側4分の1(1/4)に配置できる。ハイドロフォイル(図示せず)の支柱は、ボード400にボルトで固定できる。支柱は、ジェットフォイラーのモーター(例えば、動力システム内のモーター)を、そのモーターを制御できる第2のウェル408内部の電子機器ユニットに接続するワイヤーを含むことができる。ワイヤーは支柱を出て、電子機器ユニットを収容する第2のウェル408に入ることができる。ボード400の下でのハイドロフォイル(ならびに
図1の船尾および前方翼116~118などの関連した翼)の配置によって、操縦者をサポートする非フォイリングまたは移動モードにおける浮心を、操縦者をサポートするフォイリングモードにおける揚力中心と位置合わせするのを可能にするように、支柱スロット402は、ボード400内に位置付けられる。浮心が揚力中心と一致すると、モード間の移行/操作中に、操縦者が自分の位置を実質的に移動する必要なく、安定を維持するのを可能にする。
【0043】
溝404は、第1のワイヤーまたはケーブルが電子機器ユニットから第2のウェル408を経由して第1のウェル406に伸びるのを可能にできるだけでなく、第2のワイヤーまたはケーブルが電子機器ユニットから第2のウェル408を経由して支柱スロット402に伸びるのも可能にできる。第1および第2のワイヤーは、直線またはコイル状ワイヤーを含むが、それに制限されない、様々なワイヤーにできる。接続箱は、直線およびコイル状ワイヤーを結合することを含め、電線間の移行を容易にするために使用され得る。第1のワイヤーは、ジェットフォイラーの速度を調節するために、スロットルが電子機器ユニット(例えば、第2のウェル408内部に収容された電子機器ユニット)と、接続箱(例えば、第1のウェル406内部に配置された接続箱)を介して、または直接に接続箱なしで、通信するのを可能にできる。第2のワイヤーは、電子機器ユニットが、支柱スロット402を介してボード400の真下の面に連結されているハイドロフォイルの推進ポッド内に収容された動力システム(および関連したモーター)と通信するのを可能にできる。
【0044】
それ故、スロットルが操縦者によって調節される(すなわち、速度を上げる/下げるためにスロットルを押す/放す)と、電子機器ユニット(例えば、電子機器ユニットのマイクロコントローラまたは電子機器ユニットとして機能するマイクロコントローラ)は、その調節と関連付けられた情報を受信する。その情報は、電子機器ユニットに送信される前に、まず、任意選択の接続箱に送信することもできる。この情報は、無線で、または有線接続(例えば、スロットルを接続箱に、または電子機器ユニットに直接、接続するコイル状スロットルワイヤー)を経由して中継され得る。電子機器ユニットは次いで、その情報を処理して、モーターに連結されたモーターコントローラに送信される命令を生成し、それにより第2のワイヤーを経由してモーターをそれに応じて調節する。
【0045】
第1のウェル406は、デッキパッド410の前方に配置して、コイル状スロットルワイヤーの代わりに直線ワイヤー(例えば、第1のワイヤー)が溝404に沿って第2のウェル408まで伸びるのを可能にできる。第1のウェル406は、第2のウェル408から溝404を経てボード400を通る直線ワイヤーを、ジェットフォイラーの操作を可能にするために操縦者によって握られるスロットル(図示せず)まで伸びるコイル状スロットルワイヤーに接続する接続箱を保持または収容するように構成できる。いくつかの実施態様では、ボード400は、第1のウェル406またはその中に収容される接続箱を含まず、代わりに、スロットルは、第2のウェル408内に収容された電子機器ユニットに、ワイヤーまたは、アンテナを使用して、無線のいずれかによって、直接接続できる。電子機器ユニットはまた、拡張および/または分割され得、そのため電子機器の一部は第1のウェル406内に収容され、電子機器の一部は第2のウェル408内に収容される。電子機器ユニットは、マイクロコントローラ、キルスイッチ、ディスプレイ、接続箱または類似の構成要素、および任意の他の電子部品を含むが、それらに制限されない、複数の構成要素を含み得る。
【0046】
第2のウェル408は、電子機器ユニットを保持するのに十分に大きいサイズにされ、電池または電池システムを保持するのに十分に大きいサイズにされ得る。電子機器ユニットは、構成要素の一部が第1のウェル406内に収容され、一部は第2のウェル408内に収容されるように、2つのユニットに分割できる。電子機器ユニットは、少なくとも2つのマイクロコントローラ、キルスイッチ(例えば、1つの磁気式安全キルスイッチ)、およびディスプレイ(例えば、1つ以上のLCDまたはLEDディスプレイ)を含む電子機器ユニットを含むが、それに制限されない様々なタイプにできる。電子機器ユニットの第1のマイクロコントローラは、操縦者によって握られているスロットル(例えば、サムスロットル)からの操縦者の速度入力および関連情報を、動力システム(例えば、
図1の動力システム112)のモーター用のモーターコントローラに対する命令または指示に変えることにより、ボード400の速度を安全に制御するために使用できる。操縦者は、速度を調節するためにサムスロットルを調節でき(例えば、サムスロットルを押下して速度を上げる)、それによりジェットフォイラーの速度を調節するための情報を生成する。その情報は、スロットルケーブル(例えば、コイル状スロットルワイヤー)経由、または無線リンク経由でサムスロットルと通信する第1のマイクロコントローラによって受信できる。その情報は次いで、第1のマイクロコントローラからモーターコントローラへ、第1のワイヤーもしくは、第2のウェル408の電子機器ユニットから第1のウェル406に伸びるケーブルを経て、またはマイクロコントローラおよびモーターコントローラが同じウェル内に収容されている場合、もしくはモーターコントローラが推進ポッド内に収容されている場合は別のワイヤーもしくはケーブルを経て、伝達できる。モーターコントローラはその情報を命令または指示に変換でき、それらは次いでモーターコントローラによってモーター(例えば、電動モーター、ブラシレス電動モーターなど)に伝達されて、ジェットフォイラーの速度を調節する。第1のマイクロコントローラは、ジェットフォイラーの速度を調節する(例えば、停止させる)ためにキルスイッチからの入力も受け取ることができる。
【0047】
電子機器ユニットの第2のマイクロコントローラは、ジェットフォイラー(またはモーターを含むが、それに制限されないジェットフォイラーの様々な構成要素)の性能に関するデータを記録できる。そのデータはライドデータとも呼ばれ得、電子機器ユニットと関連付けられた記憶装置(例えば、SDカード)を用いて格納できる。電子機器ユニットは、無線スロットルにおいて送信機として機能するマイクロコントローラと通信するために受信機として機能するマイクロコントローラ、ライドデータを記録するマイクロコントローラ、電池を監視するマイクロコントローラ、およびサードパーティ装置と情報を送受信できる(例えば、ライドデータの無線通信)マイクロコントローラを含むが、それらに制限されない、追加の機能を提供するために追加のマイクロコントローラを含み得る。第1もしくは第2または任意の追加のマイクロコントローラは、速度制限、ディスプレイオプションの変更、スロットルカーブの制御など、を含むが、それらに制限されない、様々な機能を有するように構成できる。追加のマイクロコントローラの構成は、手動で行うことができるか、または無線で(例えば、モバイル機器、タブレット、コンピュータなど上のアプリケーションによって提供されるユーザーインタフェースに基づき)調整できる。追加のマイクロコントローラは、ボード400の外部のジェットフォイラーシステム内、例えば、無線送信機として、スロットルコントローラ内、または温度モニターとして、推進ポッド内に存在し得る。
【0048】
電子機器ユニットのディスプレイは、LCDまたはLEDディスプレイを含むが、それらに制限されない、様々なディスプレイにできる。そのディスプレイまたは別個のディスプレイは、スロットル、スロットルおよびボードの両方に連結された任意選択のハンドルバー上、任意選択のコンソール領域もしくは追加のウェル、もしくはジェットフォイラー上の別の場所、または無線スロットルもしくは操縦者によって保持もしくは装着されているウェアラブルディスプレイ上に配置できる。2つ以上のディスプレイがあり得、ディスプレイは、電池寿命状態(例えば、充電が必要になるまでの時間)、温度(例えば、環境、水、モーターなどの)、電池電圧、電流、出力、使用中のスロットルの百分率、モーターrpmおよび他の情報(例えば、プロペラシステムまたはモーターなどの様々な構成要素の健康状態)を含むが、それらに制限されない、様々な情報を表示するように構成できる。例えば、ディスプレイは、低電池アラームを提供する、距離測定を表示する、スタート位置に戻るためのメッセージを表示する、もっと効率的もしくは安全に乗る(例えば、速度を落とす)ように乗り手を促す、エラーコードを表示する、および/またはジェットフォイラーがその緊急停止を作動させているか否か(ジェットフォイラーは故障していないが、安全性のためにオフにされていること、またはキルスイッチが偶発的に始動されたことをユーザーに知らせる)を示すことができる。
【0049】
第2のウェル408の電子機器ユニットまたはボード400に連結されているか、もしくはスロットルユニットに組み込まれている任意の他の搭載電子機器は、様々な異なる構成要素を含むことができる。例えば、搭載電子機器は、操作および/もしくは格納中にジェットフォイラー位置を記録するための全地球測位システム(GPS)または類似の位置追跡機構を含み得る。この情報は、使用者にスタート位置に戻るべき時を助言するために使用でき、ライドデータの一部であり得る。別の例として、その構成要素は、漏れ、乗り手の落下、衝突、不適切な電池接続、プロペラの汚れ、および/または低動力システム効率を検出するセンサーまたは装置電子機器を含み得る。ジェットフォイラーは、これらの状態のいずれか、またはそれらの任意の組合せが搭載電子機器によって検出されると、動力システムを停止するように構成できる。搭載電子機器は、ビープコード、アラーム、振動、光(例えば、赤い閃光)、テキストメッセージ、他の通信メッセージ(例えば、電子メール)、またはそれらの任意の組合せを含むが、それらに制限されない、複数のアラート機構を用いて、検出された状態に関して使用者に助言する追加の構成要素を含むことができる。アラート機構は、電子機器ユニットのディスプレイ、ボード400自体、スロットル、操縦者によって装着されたリストバンド、またはジェットフォイラーの任意の他の見える領域を用いて表示できる。
【0050】
デッキパッド410は、操縦者に安定をもたらすためにゴム製パディングまたは類似のコーティングを含み得る。例えば、デッキパッド410は、エチレン酢酸ビニル(EVA)から作ることができ、操縦者/乗り手に対してクッションおよび粘着摩擦(traction)を提供する。デッキパッド410は、支柱スロット402および溝404を覆うことができ、第1および/または第2のウェル406~408が囲まれている(例えば、蓋を使用して囲まれている)場合、ウェルも覆い得る。デッキパッド410は、他の領域内にも配置できる。1つ以上のフットストラップ(例えば、
図3の少なくとも1つのフットストラップ320)がボード400上に配置されて、適切な乗り手体重分布および乗り手制御を提供する。いくつかの穴をボード400に開けることができ、操縦者の年齢、身長、体重、足位置、ライディングスタイル(例えば、レギュラーまたはグーフィー)、およびスキルレベルに適した方法で、操縦者が1つ以上のフットストラップを位置付けるのを可能にする。
【0051】
第1のウェル406または第2のウェル408(またはボード400の別の領域)内部に収容されたキルスイッチは、操縦者が落下した場合に、キルスイッチとコンタクタの分離により、ジェットフォイラーが走行するのを防ぐ物理スイッチである「デッドマンスイッチ」として機能できる。操縦者はロープを自分の足首に取り付けることができ、ジェットフォイラーから落下した場合に、ロープがボード400からキルスイッチを引き(例えば、コンタクタを用いてキルスイッチを電子機器ユニットに接続する磁気クリップを引き)離すようにして、キルスイッチを作動させてジェットフォイラーを停止または減速させる。いくつかの実施態様では、キルスイッチは、ペンダントと電子機器ユニットのコントローラとの間の無線リンクによって作動できる。操縦者がボード400から落下した場合、ジェットフォイラーは、物理スイッチのコンタクタをボード400から分離することによるのではなく、コントローラへのロジック電圧を止めることによって停止される。キルスイッチは、モーター制動オプションを提供するために使用できる。キルスイッチが作動される(物理スイッチの分断によるか、または無線リンクによるかのいずれか)場合、モーターコントローラがモーターを制御してジェットフォイラーの速度を落とし、このようにしてジェットフォイラーを安全のために停止できる。
【0052】
キルスイッチに加えて、様々なハードウェアおよびソフトウェアのフェイルセーフ機構がジェットフォイラーに追加できる。例えば、電子機器ユニットによって処理されるソフトウェアが、スロットルが制御する装置速度がある閾値を上回っているか、または下回っていることを検出する(例えば、検出された速度が、ジェットフォイラーが越えるべきでないピーク速度制限を上回っている)と、ソフトウェアは(例えば、電子機器ユニットを介してモーターに指示を送信することにより)、ジェットフォイラーを停止または減速できる。スロットルが使用されてない場合にソフトウェアが電流を検出すると、ジェットフォイラーを停止できるか、またはエラーメッセージが表示できる。別の例では、ジェットフォイラーが、適切な量の電流を引き出すことなく加速しているか、または操縦者がボード上にいるときに可能な速度よりも加速している場合、ジェットフォイラーは同様に停止または減速され得る。
【0053】
図5は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのボード内の第1のウェル500の一例を示す。第1のウェル500は、ボード(例えば、
図4のボード400)の上面に作ることができるか、または直接組み込むことができる。第1のウェル500は、ジェットフォイラーの操縦者から入力を受信するスロットルケーブル504に接続されている接続箱502を収容する。例えば、操縦者は、スロットルケーブル504に接続されたスロットルコントローラに関与でき(例えば、押す、放す、ジョイスティックを動かす、など)、関与した動作と関連付けられた情報が接続箱502に送信される。第1のウェル500は、大きいウェル(例えば、
図4の第2の/大きいウェル408)と比べれば、小さいウェル(例えば、
図4の第1の/小さいウェル406)である。
【0054】
大きいウェルは、接続箱502からの情報を処理のために受信できる電子機器ユニットを収容でき、それによりその後、ジェットフォイラーの電動プロペラシステムに送信できる命令または指示を生成して、ジェットフォイラーの動作を制御する。例えば、電動プロペラシステムのモーターを制御するモーターコントローラ(例えば、ESC)は、ジェットフォイラーの速度を上げるために電子機器ユニットから命令を受信し、それによりジェットフォイラーの速度は電動プロペラシステムによって上げられる結果となる。
【0055】
図6は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのボード内の第2のウェル600の一例を示す。第2のウェル600は、ボード(例えば、
図4のボード400および
図5の第1のウェル500に類似したもの)の上面に直接作り込むことができる。第2のウェル600は、ディスプレイユニット(例えば、LCDまたはLED)604、第1の通信リンク606、第2の通信リンク608、および複数のマイクロコントローラ(図示せず)を含む電子機器ユニット602を収容する。第1および第2の通信リンク606~608は、複数の様々なタイプのワイヤーを含むことができる。2つの通信リンク(すなわち、第1および第2の通信リンク606~608)よりも少ないか、または多い通信リンクが第2のウェル600内に収容できる。
【0056】
第1の通信リンク606は第2のウェル600を第1のウェル(例えば、
図5の第1のウェル500)に接続でき、ボードのデッキパッド(例えば、
図4のデッキパッド410)内を溝(例えば、
図4の溝404)に沿って伸び得る。第2の通信リンク608は第2のウェル600を動力システム(例えば、
図1の動力システム112)に接続でき、溝に沿って、支柱スロット(例えば、
図4の支柱スロット402)を通り支柱(例えば、
図1の支柱114)を経由して動力システムまで伸び得る。第2の通信リンク608は、動力システムのモーターコントローラと通信できる。第1および第2の通信リンク606~608は無線通信も使用して、ジェットフォイラーの様々な構成要素間でデータを送信できる(例えば、第2のウェル600の電子機器ユニット602とモーターコントローラとの間で、無線でデータを送信する)。それ故、第1および第2の通信リンク606~608は、有線通信リンクまたは無線通信リンクであり得る。
【0057】
複数のマイクロコントローラは、(操縦者入力によって)スロットルから受信した情報を使用して生成されている命令を送信するための第1のマイクロコントローラを含むことができる。命令は、第2の通信リンク608を経由して動力システムのモーターコントローラ(または別の構成要素)に送信でき、モーターコントローラは受信した命令を処理して、ジェットフォイラーの動作を制御または変更する(例えば、速度を上げる/下げる)。複数のマイクロコントローラは、情報(例えば、ライドデータ、実行時間、経路、構成要素温度、モーターrpm、操縦者特性など)を記録するための第2のマイクロコントローラを含むことができる。第2のウェル600は、フットストラップ620(例えば、
図3の少なくとも1つのフットストラップ320)へのコネクタおよびLCDディスプレイならびに操縦者がボードから落下した場合にジェットフォイラーの動作を停止させるために操縦者に結合できる(例えば、ロープ/リーシュまたは乗り手が落下している場合に感知する近接センサーを用いて)キルスイッチ630を含むが、それらに制限されない、様々な構成要素を含むことができる。いくつかの実施態様では、フットストラップ620およびキルスイッチ630は第2のウェル600内で連結されておらず、代わりに第1のウェル(例えば、
図5の第1のウェル500)またはボードの他の領域に連結される。
【0058】
ジェットフォイラーのボードは、ボードを膨張式にできる材料でも作ることができる。例えば、ボードは、ドロップステッチ(drop-stitch)構造を使用して作ることができる。ボードは、様々なポンプを使用して(例えば、ジェットフォイラー内に収容できるか、またはジェットフォイラーに連結できる自己膨張ポンプ)、15ポンド/平方インチ(psi)を含むが、それに制限されない所定の圧力まで膨張させることができる。膨張式ボードは、硬質ボード(例えば、
図1のボード102および
図4のボード400などの炭素繊維および/または発泡体で作られたボード)と比べると、より容易に運搬できる。PVCまたは類似の材料で作られている、膨張式ジェットフォイラーボードは、第1および第2のウェルの内容物を、炭素繊維または類似の材料で作られている硬質の卵型トレイ内に収容するために、統合できる。
【0059】
ジェットフォイラーの動力システム(例えば、
図1の動力システム112)は、推進ポッド(
図1に示すように)内、ボード内に配置された第2のウェル内、または支柱(例えば、
図1のハイドロフォイル104の支柱114)の上端において膨張式ボードで囲まれた硬質トレイ(トレイとも呼ばれる)内に収容でき、それにより、ハイドロフォイルおよび動力システムを異なるサイズおよび形状および特徴を伴う膨張式ボードと共に使用できるようにする。膨張式ボードの材料は、ボードが膨張しているときに硬質なトレイを受け入れるように設計された所定のカーブアウト(carve-out)を含み得る。膨張式ボードは、ハイドロフォイルとの連結(すなわち、ハイドロフォイル組立体)を可能にするためにアダプタを使用できる。アダプタは、トレイの尖った角を、膨張式ボードにもっと容易に嵌め込むことができる丸みを帯びた楕円形状に適合できる。アダプタの断面外形は、その外周に沿って半円形の内側凹面を含み、膨張式ボードの膨張圧でそれを適所に保持できるようにする。トレイが丸みを帯びた楕円形状で事前に成形されて膨張式ボードと連結しやすくされていれば、アダプタを使用することなく、膨張式ボードに連結できる。
【0060】
図7Aは、本開示の実施態様に従った膨張式ボード702を備えたジェットフォイラー700の一例の上面図を示す。ジェットフォイラー700は、ハイドロフォイル動力システム704の周辺に連結された膨張式ボード702を含む。
図7Aでは、ハイドロフォイル動力システム704の上部だけが示されている。
図7Bは、本開示の実施態様に従った膨張式ボード702を備えたジェットフォイラー700のハイドロフォイル動力システム704の一例を示す。
【0061】
ジェットフォイラー700は、一緒に連結できる2つの独立した構成要素(膨張式ボード702用に1つおよびハイドロフォイル動力システム704用にもう1つ)を含み得る。ジェットフォイラー700は、ハイドロフォイル動力システム704の周辺に連結された膨張式ボード702を含む単独装置も含み得る。ジェットフォイラー700が2つの独立した構成要素を含む場合、それらは再取付けおよび取付けを行うことができる(例えば、膨張式ボード702がアップグレードされるか、または損傷している場合)。ハイドロフォイル/硬質ボードの取付け/取外しと同様の方法で、ハイドロフォイル動力システム704をトレイ706から取り外すことも可能であり得る。膨張可能部分および材料を含む膨張式ボード702とは異なり、ハイドロフォイル動力システム704は、1つ以上の電池、動力システム(例えば、
図1の動力システム112)の一部または全部、およびマイクロコントローラ、LCDディスプレイ、安全キルスイッチの任意の組合せを含むが、それらに制限されない、電子機器ユニットを収容できるトレイ706を備えた、硬質装置であり得る。ハイドロフォイル動力システム704のハイドロフォイル710(例えば、
図1のハイドロフォイル104)は、トレイ706の底面に連結できる。
図7Bに示すように、ハイドロフォイル710は、支柱、支柱に連結された推進ポッド、推進ポッドに連結された少なくとも2つの翼、および推進ポッドに連結されたプロペラシステムを含み得る。推進ポッドは、動力システムの一部または全部も含み得る。ハイドロフォイル710は、2つ以上の翼の代わりに、1つの翼も含み得る。
【0062】
推進ポッド(例えば、推進ポッド106)内に収容される
図1の動力システム112とは異なり、ハイドロフォイル動力システム704の動力システムは、トレイ706内に収容できる。トレイ706は、トレイ706を取り囲んで、トレイ706が膨張式ボード702に連結されるのを可能にするアダプタ708に連結できる。アダプタ708は、その外周に沿って半円形の内側凹面(または異なるタイプの形状)を有することができ、トレイ706が尖った角の形状を有する場合に膨張式ボード702がトレイ706によってハイドロフォイル動力システム704に連結されるとき、膨張式ボード702の膨張圧が適所に保持するのを可能にする。いくつかの実施態様では、トレイ706は半円形の内側凹面を有し、そのためアダプタ708は必要とされない。トレイ706は、ディスプレイを備えた電子機器ユニット(例えば、
図6の電子機器ユニット602)および運搬しやすくするためのハンドルを含み得る。ハイドロフォイル動力システム704は(例えば、トレイ706によって)、膨張式ボード702を膨張させられる統合された膨張ポンプを含むことができる。膨張式ボード702は、膨張式ボード702およびハイドロフォイル動力システム704を一緒に連結する前、または後のいずれかに膨張させられる。
【0063】
図8は、本開示の実施態様に従った車輪付きボード802を備えたジェットフォイラー800の一例を示す。ジェットフォイラー800は、ハイドロフォイル804(例えば、
図1のハイドロフォイル104)に連結された車輪付きボード802を含む。車輪付きボード802は、運搬しやすくするために少なくとも1つの車輪806を追加した、
図1のボード102または
図4のボード400に類似し得る。車輪付きボード802は、
図8に示すように、ハイドロフォイル804と共に空中に逆さまにされて、操縦者/乗り手による引っ張りまたは搬送が可能である。いくつかの実施態様では、少なくとも1つの車輪806は、車輪付きボード802の上面船尾部分の外周近くに一対の車輪を含む。他の実施態様では、少なくとも1つの車輪806は、車輪付きボード802の上面船尾部分の中央領域近くに単一の車輪を含む。少なくとも1つの車輪806は、様々な材料(例えば、ゴム、ビーチ利用のためのクッション性材料など)で作ることができ、様々な形状およびサイズで提供され得、車輪付きボード802内の様々な位置に配置できる。
【0064】
少なくとも1つの車輪806は、車輪付きボード802の上面船尾部分上の組み込みスロット内に挿入できる。少なくとも1つの車輪806は、着脱式/取外し可能にできるか、または車輪付きボード802内に埋め込むことができ、従って取外し可能ではない。少なくとも1つの車輪806が取外し可能ではない場合、それは格納式にでき、そのため車輪付きボード802内に埋め込まれて、使う準備が整う(すなわち、動かし始める準備が整っている)と配備できるようになる。少なくとも1つの車輪806が取外し可能で再取り付けできる場合、少なくとも1つの車輪806は定位置に嵌め込むことができるか、またはクリッピングを含むが、それに制限されない別の機構を用いて固定できる。
【0065】
図9は、本開示の実施態様に従い、スロットルシステムを使用して制御されるジェットフォイラー900の一例を示す。ジェットフォイラー900は、ハイドロフォイル904(例えば、
図1のハイドロフォイル104)に連結されたボード902(例えば、
図1のボード102または
図4のボード400)を含む。ジェットフォイラー900の操縦者(すなわち、乗り手/使用者)は、スロットルシステム(スロットルとも呼ばれる)を使用してジェットフォイラー900を操作しながら、ボード902上に立つことができる。
図9では、ハイドロフォイル904の上端支柱部分だけが示されている(すなわち、推進ポッド、埋込み動力システム、およびプロペラシステムは水中に沈んでいる)。スロットルは、操縦者が握ることができるスロットルコントローラ906、および一方の端部上でスロットルコントローラ906に、もう一方の端部上でボード902に結合されるスロットルケーブル908を含むが、それらに制限されない、複数の構成要素を含む。スロットルケーブル908はスロットルコントローラ906をボード902に少なくとも1つのアンカーポイント(スロットルケーブル-ボードアンカーポイントとも呼ばれる)を経由して接続する。スロットルコントローラ906は、親指コントローラ、トリガーコントローラ、有線コントローラ、無線コントローラ(例えば、無線で通信可能なコントローラ、および従ってスロットルケーブル908を使用しない)、ジョイスティック、およびそれらの任意の組合せを含むが、それらに制限されない、様々なタイプのコントローラにできる。
【0066】
スロットルは、ジェットフォイラー900の動作(例えば、速度、方向など)を制御するために操縦者の親指または他の指で操作するように適合できる。操縦者がスロットルコントローラ906を使う(例えば、押す)場合、情報が生成され、その情報は、その情報を使用して命令または指示を生成する電子機器ユニットに(例えば、電子機器ユニットのマイクロコントローラを介して)送信される。電子機器ユニットに達する前に、情報は、スロットルコントローラ906から、仲介装置として機能する接続箱(例えば、
図5の接続箱502)に送信でき、接続箱は次いでその情報を電子機器ユニットに送信する。接続箱は仲介伝達装置であり得るか、またはスロットルコントローラ906と電子機器ユニットとの間で情報を伝達しているワイヤーを単に一緒に繋ぐだけであり得る。情報はまた、スロットルコントローラ906から直接(すなわち、接続箱または類似の仲介装置なしで、スロットルケーブル電線も必要ない)電子機器ユニットに無線でも伝達できる。情報はまた、スロットルコントローラ906から直接(接続箱または類似の仲介装置の必要なし)電子機器ユニットに任意選択のスロットルケーブル908を経由して有線フォーマットでも伝達できる。受信した情報を使用しての命令または指示の生成に応答して、電子機器ユニットはその命令または指示をモーターコントローラに送信して、ジェットフォイラー900の動作を制御する。従って、ジェットフォイラー900は、スロットルコントローラ906によって受信される操縦者の入力を使用して制御される。例えば、操縦者が、スロットルコントローラ906の下向き矢印ボタンを押すか、またはダイアルを後方に揺り動かしてジェットフォイラー900の速度を落とす場合、その動作と関連付けられた情報が電子機器ユニットに送信され、次いでモーターを減速するために送信される「減速命令」に処理される。
【0067】
スロットルコントローラ906は、電動自転車のスロットルに類似し得る。スロットルコントローラ906は、ボード902にスロットルケーブル908を経由してボード902の前方3分の1(1/3)の位置に取り付けることができる。操縦者は、乗っている間の安定のためにもスロットルケーブル908を使用し得る。スロットルケーブル908は、ワイヤー結線なしで、スロットルコントローラ906のセンサーに直接はんだ付けされる連続ワイヤーとして設計でき、それにより操縦者によって提供される様々な入力(例えば、速度入力)に影響を及ぼし得る短絡または水浸入を回避する。
【0068】
ワイヤーは、スロットルコントローラ906からスロットルケーブル908を経由して、電子機器ユニットのマイクロコントローラ(例えば、
図6の電子機器ユニット602の第1のマイクロコントローラ)への通信リンクとして機能できる。例えば、1本のワイヤーは、スロットルケーブル908内に埋め込むことができるか、またはスロットルケーブル908と統合できて、スロットルコントローラ906からボード902のウェル内の接続箱へ情報を送信でき、次いで別のワイヤーは、接続箱を電子機器ユニットに接続でき、接続箱は2本のワイヤー間の接続として機能する。マイクロコントローラは受信した情報を命令または指示に変換でき、それらは次いでモーターコントローラ(例えば、
図1の動力システム112の電動モーターのESCまたはモーターコントローラ)に送信されてジェットフォイラー900を操作する。スロットルケーブル908は、モーターによって使用される命令または指示を生成する情報を処理するために、スロットルコントローラ906を直接、電子機器ユニットに接続でき、それにより接続箱の必要性を回避する。いくつかの実施態様では、操縦者の相互作用(例えば、乗り手がスロットルコントローラ906を押す)に応答してスロットルコントローラ906によって生成される情報は、間接的に電子機器ユニット内のマイクロコントローラに、次いでモーターコントローラに、または直接モーターコントローラに、のいずれかで無線で伝達できる。無線通信の場合、送信機として機能する追加のマイクロコントローラがスロットルコントローラ906内に収容され得る。
【0069】
いくつかの実施態様では、スロットルコントローラ906はリールリーシュ上にあり、それがボード902に内に引っ込められるのを可能にして失われるのを防ぐ。スロットルは、最大有効出力の所定の割合(例えば、75%)までの使用に制限でき、操縦者に速度制御におけるさらに微妙な差異を認めて操縦者が安全速度(例えば、ピーク速度制限)を上回るのを防ぐ。スロットルは、ボード902がフォイリングしているか否かに応じて異なって制限できる。例えば、ジェットフォイラー900が非フォイリングモード(または移動モード)にある場合は少ない出力しか利用できず、そのため、操縦者は適切な技術を使用してフォイリング(またはフォイリングモード)を開始する必要があり、それにより電池使用を維持してフォイリング移行を操縦者に対して穏やかにする。出力制限は、動力システム構成要素が過熱するのを防ぐためにも使用され得る。
【0070】
スロットルコントローラ906が無線コントローラである場合、スロットルケーブル908は、スロットルシステムの構成要素の1つとして除外できる。無線スロットルコントローラは、それをボード902または操縦者に繋ぐためのリーシュを含み得る。無線スロットルコントローラは依然としてスロットルケーブル908に連結でき、スロットルケーブル908は、その埋め込まれた配線が通信リンクとして機能していない場合にはロープとして、またある状況で通信リンクとしての両方で、二重機能を果たす。これは、たとえ無線スロットルコントローラの無線機能が機能を停止している場合(例えば、無線スロットルコントローラに電力供給している電池が消耗している場合)でさえ、有線通信を経由したジェットフォイラー900の操作を可能にし得る。
【0071】
スロットルコントローラ906は、(ボード902のウェル内に搭載されたディスプレイに加えて、またはその代わりに)組み込みディスプレイを含み得る。スロットル上に提供されたディスプレイは、乗り手により近いので、より読み易くなり得る。スロットルコントローラ906は、速度、モーターrpm、装置の健康状態(例えば、電池残量、構成要素温度)、および/またはライディングの効率もしくは指示を、振動、光、テキスト、グラフィックス、雑音、もしくはそれらの任意の組合せを使用して乗り手に助言するために使用できる。例えば、スロットルコントローラ906は、ジェットフォイラー900の電池残量が減少していることを示すために振動し得るか、またはジェットフォイラー900が過剰な電流を引き出していることを示すメッセージを、ディスプレイを介して表示し得る。
【0072】
スロットルは、操縦者の特性に応じて、複数の事前に決められた設定に制限され得る。例えば、操縦者は、自分の特定のスキルレベルに応じて、「初心者」、「中級」、または「熟練者」モードを選択でき、それは、スロットルコントローラ906を使用している際に設定される速度閾値を変更し得る。時間とともに、レベルも次第に高まり、そのため、ジェットフォイラー900の全ての使用者は「初心者」レベルから始める必要があり、ある時間数(例えば、ライドデータを使用して判断される)の後、操縦者は次のレベルに進むことができる。スロットルは、プロペラを停止させ、かつ/または折り畳み式プロペラを折り畳むための安全制動機能(例えば、スロットルコントローラ906を用いて)を含むことができる。スロットルコントローラ906が無線である場合、それは操縦者が落下しているかどうかを判断するために使用されて(例えば、Bluetoothまたは別のデータパケット配信システムなどの無線接続がスロットルコントローラ906とボード902との間で失われた後、スロットルコントローラ906は、ボード902から所定の距離よりも離れていると判断されるので)、緊急ブレーキを作動させ得る。
【0073】
スロットルコントローラ906は、少なくとも1つのボタンまたはトリガーを含み得る。いくつかの実施態様では、スロットルコントローラ906は、速度を上げるために上方に、速度を落とすために下方にシフトできる1つのボタンだけを含む。他の実施態様では、かかるスロットルコントローラは、ボタンを左右に動かしてジェットフォイラー900を操縦する(例えば、翼の位置決めの移行、体重分配、オプションの舵の回転、およびジェットフォイラー900の他の特徴により)機能も含み得る。他の実施態様では、スロットルコントローラ906は、安全機能として2つのボタンを含み、ジェットフォイラー900を操作して動かすためにその両方を作動させる(例えば、乗り手が押す)必要がある。スロットルは、乗り手による制動を能動的に可能にする後進モードも有し得、それは、モーターを停止することなくジェットフォイラー900を減速できる。
【0074】
図10Aは、本開示の実施態様に従い、ハンドルバー1002を第1の位置1006で使用して制御されるジェットフォイラー1000の一例を示す。ハンドルバー1002は、一方の端部でハンドルバーに、もう一方の端部でジェットフォイラー1000のボード1004の上面の両方に連結されるフレーム(例えば、単一のアンカーポイントまたは複数のアンカーポイントをもつ硬い棒)に連結されたハンドルバーを含む。ハンドルバー1002は、スロットルコントローラ(例えば、
図9のスロットルコントローラ906)、およびスロットルコントローラ通信リンクをハンドルバーに組み込むことによるか、またはジェットフォイラーに乗っている間に無線コントローラを位置付けるか、もしくは差し込む(例えば、一時的に配線される)ためのクリップを提供することによるかのいずれかで、スロットルシステム(例えば、
図9のスロットルシステム)も組み込み得る。ジェットフォイラー1000の操縦者は、ハンドルバー1002からスロットルシステムに関与してジェットフォイラー100を制御できる。
【0075】
ハンドルバー1002は、柔軟性のために、第1の位置1006から複数の他の位置へ移動できる。
図10Bは、本開示の実施態様に従い、ハンドルバー1002を第2の位置1008で使用して制御されるジェットフォイラー1000の一例を示す。第2の位置1008は、ハンドルバー1002とボード1004との間に、第1の位置1006によって作られる大きな角度と比べて、小さい角度を作り出す。ハンドルバー1002は、様々な操縦者の身長に適合させるために調節可能な高さを有し得、ヒンジ、ジョイント、ならびにボールおよびソケット接続を含むが、それらに制限されない、複数の機構を用いてボード1004に連結できる。各々ハンドルバーまたはフレームのいずれかに連結されるディスプレイおよび容器を含むが、それらに制限されない、追加の構成要素をハンドルバー1002に連結できる。
【0076】
ハンドルバー1002は、操縦者に対して追加の安定性を提供でき、操縦者が、ジェットフォイラー1000を操作している間に、ボード1004の方向に影響を与えるのをさらに容易にできる。ハンドルバーは、スクーター上で使用される棒に類似した棒を含むか、または可撓性のあるAフレームを含むフレームに取り付けることができる。少なくともハンドルバーおよびフレームを含むハンドルバー1002の構成要素は、着脱式(すなわち、取外し可能および取付け可能)にできる。有線および無線スロットルコントローラは両方とも、ハンドルバー1002から取り外せるように作ることができ、フレームはボード1004から取り外すことができる。いくつかの実施態様では、フレームは、Aフレーム形状を有しており、砂時計嵌め込み(hourglass fitting)を使用してAフレーム形状の各脚を結合する。フレームは、ボード1004との機械式ヒンジまたは磁気アタッチメント上に緊急解除を含み、衝突または事故の場合には、フレームを折り畳んでジェットフォイラー1000および/または操縦者を保護できるようにする。フレームは、ボード1004の前方領域に連結されて、統合され得る。追加の電子機器(例えば、速度計)がハンドルバースロットル1002のハンドルバー上またはその近くに取り付けられ得る。
【0077】
図11は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのハイドロフォイル1100の一例を示す。ハイドロフォイル1100は、
図1のハイドロフォイル104に類似しており、ジェットフォイラーのボード(例えば、
図1のボード102)に連結される。ハイドロフォイル1100は支柱1102ならびに複数の翼接続ボルト1108によって推進ポッド1110に連結された船尾翼1104および前方翼1106を含む。ハイドロフォイル1100は、船尾翼および前方翼1104~1106よりも少ないか、または多い翼を含むことができる。複数の翼接続ボルト1108は、船尾翼1104および前方翼1106を、支柱1102に連結されている推進ポッド1110(例えば、
図1の推進ポッド106に類似した)に連結する。支柱1102は、スロットルシステム(図示せず)間の通信リンクとして機能できる少なくとも1本のワイヤーを含み得、スロットルシステムは乗り手がジェットフォイラーおよびモーター(例えば、
図1の動力システム112などの、動力システムの電動モーター)を制御するのを可能にし、モーターはスロットルシステムから受信した乗り手調整に基づいて生成された命令を使用してジェットフォイラーを制御する。
【0078】
いくつかの実施態様では、スロットルシステム(乗り手によって操作される)とジェットフォイラーのモーターとの間の通信経路は有線であり、スロットルシステムのスロットルコントローラ、ボードのウェル内の接続箱、ボードのウェル(例えば、同じウェルまたは異なるウェル)内の電子機器ユニット、ハイドロフォイル1100の支柱1102、および推進ポッド1110内の動力システムのモーターの間を伝わる。接続箱および電子機器ユニットは、2つの別個のシステムとは対照的に、1つの搭載電子機器システムを含み得る。他の実施態様では、通信経路は無線であり、そのため乗り手によるスロットルシステムに対する調節は、電子機器ユニットにより無線で直接受信でき、それは次いでモーターに向かわせて、ジェットフォイラーの操作の様々な態様(例えば、速度、方向など)を調整する。通信経路はスロットルシステムをモーター自体に無線でリンクすることもでき、情報を電子機器ユニットに送信する必要性を回避する。
【0079】
モーター(例えば、電動モーター)、モーターコントローラ、および少なくとも1つの電池を含む動力システムは、ハイドロフォイル1100と統合されている推進ポッド1110を含む滑らかにされた(faired)形状の水中ハウジング内にカプセル化できる。支柱1102はジェットフォイラーのボードと略垂直に伸びることができ、推進ポッド1110と統合され得る。支柱1102の上部または端部はボードの支柱スロット(例えば、
図4の支柱スロット402)に収まり得、支柱1102はボルトまたは類似の機構を使用してボードに取り付けることができる。支柱スロットの位置はボードの船尾4分の1(1/4)にできる。支柱1102は、フォームコアをもつ炭素繊維で作ることができ、少なくとも1本のワイヤーが支柱1102の長さ全体にわたって伸びるのを可能にするスペーシングを備えて、推進ポッド1110内部の動力システムを、ボードに連結されて、スロットルコントローラと通信する電子機器に接続する。支柱1102は推進ポッド1110内で終了でき、推進ポッド1110は、ハイドロフォイル1100の水平部分を船尾および前方翼1104~1106間に作ることができる。
【0080】
図12は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのハイドロフォイル1200の一例を示す。ハイドロフォイル1200は、ジェットフォイラーのボード(例えば、
図1のボード102)に連結される。ハイドロフォイル1200は、支柱1202、支柱1202の一方の端部に連結されたトレイ1204、および支柱1202に連結された推進ポッド1206を含む。支柱1202は推進ポッド1206の下に延出でき、ジェットフォイラーの操縦および安定化に役立つ翼(図示せず)を備えた胴体に連結できる。支柱1202は、略35インチ×4インチを含むが、それに制限されない、複数の寸法を有し得る。支柱1202は、一定のコード(例えば、4.7インチ×0.6インチ)を有し得る。支柱1202は、先細に(例えば、ボードに入る端部において4.9インチ長および推進ポッド1206に結合する反対側の端部において3.8インチに)できる。トレイ1204は、硬質なボードに連結できるか、または
図7Bのアダプタ708に類似した専用アダプタ1210を使用して膨張可能なボードに連結できる。
【0081】
トレイ1204は、動力システム(例えば、少なくともモーター、モーターコントローラ、電池などを含む動力システム)を収容でき、推進ポッド1206は1組の歯車1208を収容し、プロペラを囲んでいる任意選択の保護用プロペラガードを備えたプロペラ(例えば、
図1のプロペラ108およびプロペラガード110)に連結できる。かかるジェットフォイラーは、別個のボードに取り付けられたトレイではなく、ウェルを備えたボードを使用しても動力システムを収容し得る。1組の歯車1208はかさ歯車組立体を含み得る。1組の歯車1208の第1の歯車は、支柱1202内の駆動軸1210(ドライブシャフトとも呼ばれる)を介してトレイ1204内に格納されたモーターに連結される。1組の歯車1208の第2の歯車は、推進ポッド1206内のプロペラ軸1212を介してプロペラに連結されて、1組の歯車1208の第1の歯車と接触する。モーターが動く(例えば、速度を上げるためのモーターコントローラからの情報の受信に応答して)と、第1の歯車が駆動軸1210を介して(例えば、より高速で)回転し、それは第2の歯車の回転を引き起こし、それによりプロペラ軸1212を介してプロペラが回転してジェットフォイラーを操作する。
【0082】
トレイ1204は、駆動軸1210が支柱1202を通り抜けるのを可能にする穴(例えば、所定の開口)を含み得、駆動軸1210はその穴を通してトレイ1204内に収容されたモーターに連結する。支柱1202は、駆動軸1210が支柱1202の内部ハウジング領域を介して通り抜けるのも可能にする。推進ポッド1206は、
図11のハイドロフォイル1100におけるように翼に隣接する代わりに、ハイドロフォイル1200の翼(図示せず)の上の位置で支柱1202に統合できる。それ故、推進ポッド1206は、ボードにもっと近いポイントで支柱1202に統合され、別個の水平部品がハイドロフォイル1200の胴体(図示せず)部分を含んで、翼を位置付け得る。胴体はボードと平行に伸び得、支柱1202のもう一方の端部におおよそ直角に連結される。いくつかの実施態様では、支柱1202は、1つの構成要素として胴体と統合され得るか、または支柱1202は胴体内のスロットに収まり、取外し可能であり得る。
【0083】
別の実施態様では、ジェットフォイラーのハイドロフォイルはボードに連結され、ハイドロフォイルは支柱および支柱に連結された推進ポッドを含む。支柱は推進ポッドの下に延出でき、ジェットフォイラーの操縦および安定化に役立つ翼を備えた胴体に連結できる。支柱は、略31インチ×4インチを含むが、それに制限されない、複数の寸法を有し得る。支柱は、1つ以上のウェルをその中に備えた硬質ボードに直接連結できるか、または支柱は、硬質なボードに連結されているトレイに連結できるか、または支柱は、
図7Bのアダプタ708に類似した専用アダプタを使用して膨張可能なボードに連結できる。推進ポッドは、モーター、使用される場合にはギアボックス、およびプロペラ軸を含み得る。推進ポッドは、モーターコントローラも含み得るが、モーターコントローラは代わりに、ボード内に収容され得る。電池および電子機器ユニットはボードウェル内または、トレイが使用される場合は、トレイ内に収容できる。
【0084】
翼は、
図11の船尾および前方翼1104~1106に類似した船尾および前方翼を含み得る。ハイドロフォイル1200の翼は、推進ポッド1206の代わりに、胴体に取り付けることができる。翼は、一体化された部品として、または取外し可能な方法のいずれかで、取り付けることができる。翼は、炭素繊維から作ることができ、容易に取外し可能で、交換可能、および異なって(例えば、ボルトを使用)間隔が置かれるように設計できる。翼は、ジェットフォイラーの動作中に、揚力および安定性をもたらす。翼の取外しは、修理および交換目的のため(すなわち、翼が損傷した場合、それは交換される)にだけ使用できるのではなく、1台のジェットフォイラーが様々な能力および/または特性(例えば、異なる翼タイプおよび組合せは、長身の上級者乗り手および背の低い初心者乗り手が同じジェットフォイラーを使用できるようにする)の乗り手によって使用されるのを可能にするためにも使用できる。これは、乗り手が、熟達レベルが向上するのにつれて、ジェットフォイラーの翼を変更することにより、同じジェットフォイラーを使用するのを可能にする。翼は、(他の湾曲配向に加えて)上向きおよび/または下向きに曲がる湾曲した縁部を有することを含む、様々な形状で提供できる。翼は、湾曲した縁部を提供するフラップを含み得る。
【0085】
ジェットフォイラーの翼の相対取付角および船尾翼116と前方翼118との間の距離は、ジェットフォイラーが「高性能」(すなわち、上級者または熟練者レベル乗り手)向けまたは「低性能」(すなわち、初心者レベル乗り手)向けに調整されるか否かに影響を及ぼす。例えば、より近い間隔を置いた高いアスペクト比の翼は、より高い性能結果をもたらし、他方、より離して間隔を置いた低いアスペクト比の翼はより低い性能結果をもたらす。より高い性能結果は、ジェットフォイラーのボードは、より操縦しやすくて高速であるが、フォイリングの安定性を維持するための許容誤差は低いことを意味する。より低い性能結果は、ジェットフォイラーのボードは不安定性に対する過度の補正/補正不足により乗り手に対してより寛容であり、従って、乗りやすいことを意味する。翼の位置決めは、ジェットフォイラーがフォイリングモードである場合に、揚力中心がどこに置かれるかを決定する。認識される翼位置は、ジェットフォイラーの製造中に支柱スロットの位置を決定する際の考慮事項である。エンドユーザーがジェットフォイラーの翼を動かして性能結果を調整する場合、前方翼を支柱近くに位置付けるか、またはジェットフォイラーがフォイリングモードの場合の揚力中心が、ジェットフォイラーが移動モードの場合の浮心と一致するように翼の位置に対して他の調整を行うことは望ましくあり得る。
【0086】
ジェットフォイラーの表面を突き刺している支柱(例えば、
図1の支柱114、
図11の支柱1102、
図12の支柱1202)によって生じた波は、ジェットフォイラーの裏面に沿って積み重なり、上方向および横方向に空中に連なって、水しぶきを作る。水しぶき抗力(spray drag)は、支柱の抗力全体のかなりの部分であるが、ジェットフォイラーに都合よく使用できる。動力システムの一部がジェットフォイラーの推進ポッド内で水中に配置されない構成では、支柱の水しぶきは、ボードの底面上に配置された任意選択のボードヒートシンクに当たって、ジェットフォイラーの動力システムの構成要素(例えば、モーターコントローラ、電池)のいずれかの冷却をもたらす。加えて、動力システムは、水面下で支柱に取り込まれ、次いで支柱を通って上向きに動力システムまで送り込まれる、水冷却を使用して冷却できる。
【0087】
ジェットフォイラーのハイドロフォイル(例えば、
図1のハイドロフォイル104、
図11のハイドロフォイル1100、
図12のハイドロフォイル1200)は、複数のボードが1つのハイドロフォイル(すなわち、同じハイドロフォイル)で使用できるように、ボード(硬質または膨張式のいずれか)から取外し可能であり得る。ハイドロフォイルは回転させて、格納または運搬のために折り畳むことができる。ハイドロフォイルは、性能考察(例えば、安定性)のために揚力面の断面形状を変更するように調整できる可動操縦翼面(例えば、ハイドロフォイル翼領域に連結された調整可能なフォイルフラップ)を有することができる。可動操縦翼面は、船尾翼または前方翼のどちらにも連結できる。可動操縦翼面は、翼または異なる領域の後部または前部に連結できる。可動操縦翼面(すなわち、フラップ)は、翼全体または翼の所定の部分にだけ広がり得る。可動操縦翼面は、可動操縦翼面のフラップの動きを作動させるプッシュロッド機構を含み得る。ハイドロフォイル翼の船尾部分(すなわち、船尾制御フラップ)を構成する調整可能なフォイルフラップ(フラップまたは制御フラップとも呼ばれる)を動かすと、例えば、翼の断面形状が変わる。船尾ハイドロフォイル翼上のかかる可動操縦翼面は、ジェットフォイラーのトリム/ピッチを調整する。例えば、ジェットフォイラーの船尾翼上のフラップが回転でき、そのため後縁が下向きに位置付けられる場合、ジェットフォイラー船首を持ち上げて、ジェットフォイラーは、水面の上に高く、上昇する。ジェットフォイラーの船尾翼上のフラップが回転でき、そのため後縁が上に向く場合、ジェットフォイラー船首は水面に向かって下に向き、そのフラップ角度が維持される場合、ジェットフォイラーは前方に傾く。かかる船尾制御フラップは、慣性計測装置(IMU)、「ライド高(ride height)」センサー、機械式ワンド(mechanical wand)、または類似の機構を含むが、それらに制限されない、様々な方法で調整できる。
【0088】
IMUは、ボードの角度を測定し、ジャイロスコープまたは類似の装置を使用して、あるボード角度を維持するためにフラップを調整できる。「ライド高」センサー(例えば、超音波センサー)は、ボードと水面との間の距離を測定し、水面からの一定のライディング高さを維持するためにフラップを調整できる。機械式センサー(例えば、ジェットフォイラーボードの船首から引きずっているワンド)は、水面上の波を測定し、ケーブルまたは他の機械式装置を使用して直接フラップを調整でき、ジェットフォイラーを波に反応させて安定したボードを維持する。前部ハイドロフォイル(すなわち、前方制御フラップ)上の可動操縦翼面は、ジェットフォイラーの全体的な「ライド高」を調整し、そのため、ライド高は一定であるが、ジェットフォイラーは、前方制御フラップの位置に従い、水面からさらに高く、または低く浮かんで、翼によって生じる揚力量を変える。かかる前方制御フラップは、乗り手によってジョイスティックもしくは他の制御機構を動かすことにより、または乗り手によって水面からの一定の高さに対応する数を入力することにより、調整できる。
【0089】
いくつかの実施態様では、ジェットフォイラーの船尾および前方翼(例えば、
図11の船尾および前方翼1104~1106)ならびに追加の翼も、調整可能なフォイルフラップを含む可動操縦翼面に加えて調整される可動操縦翼面であり得る。可動操縦翼面は、翼に加えて推進ポッドに連結できるか、または支柱もしくは推進ポッド自体を含むが、それらに制限されない、ハイドロフォイルの他の領域に連結できる。可動操縦翼面は、インテリジェントにコンピュータ駆動でき(例えば、様々な状態、およびジェットフォイラーのMEMS装置などのセンサーを使用して検出された関連データに基づき、可動操縦翼面を自動的に調整する機械学習機構を使用して)、速度および乗り手の体重ならびにジェットフォイラーを制御する(例えば、速度の調整、操縦、および/または安定化)能力を自動的に補正する。可動操縦翼面は、様々な操縦者の必要性に基づき、乗り手によって手動でも(例えば、スロットルコントローラの使用)操作/変更できる。
【0090】
ジェットフォイラーは、加速度計、ジャイロスコープ、慣性計測装置(IMU)、または任意の他のタイプのフィードバックループ制御装置(例えば、他のMEMS装置)を使用して、電池からの出力を調節することによりライディングを安定させる自己安定化機構を提供でき、様々な状態のときに(例えば、乗り手が支援を要求する場合、波に応答して自動的に)ボードを安定させる。安定化装置は、ボードがひっくり返っているか、または何か硬いものにぶつかったかを判断するためにも使用でき、その場合、プロペラおよびモーターの動作を停止させる応答をトリガーして、ジェットフォイラーを緊急停止させる。
【0091】
図13は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーの推進ポッド1300の一例を示す。推進ポッド1300は、
図1の推進ポッド106に類似している。推進ポッド1300は、ジェットフォイラーのハイドロフォイル(例えば、
図11のハイドロフォイル1100)の支柱に連結される。推進ポッド1300は、ハウジング1302、ノーズコーンシールリング1306および少なくとも1つのボルト機構または類似の機構(例えば、ねじ式アタッチメント)を使用してハウジング1302に連結されたノーズコーン1304、ならびにハウジング1302に連結されたヒートシンク1308を含む。ヒートシンク1308は任意選択の構成要素であり得る。推進ポッド1300がアルミニウムで作られている場合、推進ポッド1300はヒートシンクとして機能でき、熱を放散する。推進ポッド1300が別の材料(例えば、炭素)で作られている場合には、アルミニウムまたは同様の熱放散性質を備えた何らかの他の材料で作られたヒートシンクを含むことが望ましくあり得る。ノーズコーンシールリング1306は、少なくとも1つのOリング(例えば、3つのシリコーンOリング)を備えたアルミニウムノーズコーンシールリングを含み得る。
【0092】
ジェットフォイラーの操作中にジェットフォイラーの乗り手が水中を記録できるようにするために、少なくとも1つのカメラをノーズコーン1304内部に埋め込むことができる。少なくとも1つのカメラは、point-of-view(POV)カメラまたはズーム機能を備えた360度カメラを含む、様々な異なるカメラタイプにできる。少なくとも1つのカメラは、カメラクリップを使用してノーズコーン1304に連結できる。ノーズコーン1304は、カメラクリップを使用して少なくとも1つのカメラの連結を可能にするために少なくとも1つの穴を有し得る。カメラ窓がノーズコーン1304に連結でき、傷防止シールドとして機能し、かつ防水シールを提供することにより少なくとも1つのカメラを保護する。少なくとも1つのカメラは、同様にノーズコーン1304内部に収容される配線によって、または無線機構によって、ジェットフォイラーの他の電子機器構成要素(例えば、ジェットフォイラーのボードのウェル内で結合された電子機器ユニット)に結合できる。
【0093】
推進ポッド1300のハウジング1302は、推進ポッド1300内部に収容されている動力システム(例えば、
図1の動力システム112)へのアクセスを可能するためのアクセスパネルも含み得る。プロペラおよびプロペラガード(例えば、
図1のプロペラ108およびプロペラガード110)を含むプロペラシステムも、内部動力システムに近接している端部または推進ポッド1300の別の領域上で推進ポッド1300に連結できる。プロペラシステムと動力システムの近接近は、ジェットフォイラーの作動中に、動力システムのモーターがプロペラをさらに効率的に制御するのを可能にする。モーターを含む動力システムを収容する推進ポッド1300の領域は、推進ポッド1300のモーターハウジング領域とも呼ぶことができ、推進ポッド1300の本体領域を表すハウジング1302とは区別される。
【0094】
推進ポッド(例えば、
図1の推進ポッド106または
図13の推進ポッド1300)は、ジェットフォイラーのハイドロフォイルの構成要素である。推進ポッドは、滑らかにされた球状および中空内部を有し得る水中ハウジングである。推進ポッドは、ハイドロフォイルの構造の部分であり、(推進ポッドに連結された)プロペラが流体力学的にハイドロフォイルの構造に加わるのを可能にする。推進ポッドは、カメラ、動力システム、および関連配線を含み得るが、それらに制限されない、必要な構成要素を収容するのに十分に大きい領域を残しながら、抗力および濡れ面積を最小限にするように設計される。製造が簡単な形状を保ちながら抗力を最小限にするために、推進ポッドの前方部分は楕円形状を有し得、他方、船尾部分は滑らかな弧を有し得る。
【0095】
推進ポッドの形状は、スパイク(spike)なしで可能な限り遠く船尾の方に滑らかに増大し、その後、滑らかに戻る圧力分布を探し求めることによって決定できる。圧力分布は、最適化された推進ポッド形状を使用してレンダリングされる最適な推進ポッド形状を判断するために使用される圧力分布曲線を使用して決定できる。選択される推進ポッド形状は、乗り手情報(例えば、体重およびスキルレベル)およびジェットフォイラー性能要件を含むが、それらに制限されない、様々な要因に基づいて変わり得る。
図14は、本開示の実施態様に従い、最適化された推進ポッド形状1400の一例を示す。最適化された推進ポッド形状1400は、圧力分布曲線1402を使用してグラフィカル描画(rendition)のために決定できる。
【0096】
推進ポッドがノーズコーンおよびテールコーンを備えたもっと円筒形状を有する場合、円筒とコーンが交わるところで低圧スパイクを生じ得る。
図14に示されるもののような、もっと連続した曲線を有する形状は、かかる低圧スパイクを生じるので、たとえ体積が大きくても、より低い流体力学的抗力を生じ得る。最適化された推進ポッド形状を作ることは、その曲線を作るとさらに重量を追加し得るので、製造目的のために実用的ではない可能性がある。例えば、推進ポッドがアルミニウムで作られているか、もっと断熱性の材料で作られているか、または炭素およびフォームコア材料で作られている場合、流線形のエアフォイル型は、円筒形状よりも重いか、または製造するのが難しい可能性がある。
【0097】
それに応じて、最適化された推進ポッド形状1400は、ポッド構成要素(例えば、モーターおよび潜在的にギアボックスおよびモーターコントローラ)の直径および長さによってさらに判断できる。推進ポッド構成要素の配置は、流線エアフォイル型と維持される円筒形状との間の最適バランスを決定できる。支柱に対する推進ポッドの位置決めも、流体力学的懸念事項の影響を受ける。推進ポッドを、支柱の船尾側ではなく、支柱の真下または支柱の前方に配置すると、ジェットフォイラーは、プロペラがもっと支柱の近くに移動され、支柱はジェットフォイラーの回転軸(pivot point)として機能するので、ターンがしやすくなり得る。しかし、プロペラが支柱に近づけ過ぎて位置付けられると、望ましくない圧力スパイクを生じ得、実質的にかかる設計をより大きな抗力源にする。
【0098】
ジェットフォイラーの動力システム全体が推進ポッド内に収容でき、それは、ジェットフォイラーのボード内にさらに重量を追加するのではなく、重量を水面下に統合することにより、乗り手の安定性に寄与する。動力システムの構成要素(例えば、モーター、モーターコントローラ、電池など)を相互に隣接して収容すると、より短い配線が様々な構成要素間に伸びた、より効率的なシステムをもたらす。推進ポッドは、炭素繊維で作ることができ、取外し可能なノーズコーン(例えば、
図13のノーズコーン1304)およびフォイル取付けハードポイントをもつ。いくつかの実施態様では、推進ポッドは、翼(例えば、船尾および前方翼)を推進ポッドの下に、従って、プロペラの下に取り付けるのを可能にする短いパイロンを含む。推進ポッドは、内部に収容された構成要素を変更しやすくするためのアクセスパネルを含み得る。ヒートシンク(例えば、
図13のヒートシンク1308)は、推進ポッドに連結でき、同様に内部ハウジングへのアクセスを提供する。閉じられている場合、ヒートシンクはモーターコントローラと直接接触して熱を水中に放散して、モーターコントローラが過熱するのを防ぐ。
【0099】
取外し可能なノーズコーンは、流体力学的形状ならびに、電池などの推進ポッドの内部構成要素を挿入および除去するためのアクセスポイントを提供する。推進ポッドは、取外し可能なノーズコーンによって提供されるアクセスを使用することにより、アクセスパネルの必要性を排除できる。ノーズコーンは、カメラクリップを使用してカメラ窓の後ろの適所に保持される組み込みPOVカメラを有し得る。ノーズコーンは、異なるカメラ位置付けのために異なる配向で固定できるようにする回転ディテール(rotation detail)を含む。推進ポッドは、略34インチ×6インチ×4インチを含むが、それに制限されない、複数の寸法を有し得る。
【0100】
いくつかの実施態様では、推進ポッドは、翼に対する取付けポイントとして機能する代わりに、翼の上の高い位置でハイドロフォイルの支柱に連結される。プロペラを翼より高く取り付けると、乗り手があまりに高くフォイリングした場合、プロペラは翼より先に水から出る結果となる。推進ポッドはまた、濡れ面積を減らしてさらに軽量で小型にするために、収容する動力システム構成要素を減らすことができる。例えば、推進ポッドは、モーターの回転をプロペラの回転に変換する歯車組立体(例えば、
図12の1組の歯車1208)を収容して、電動モーターおよび電池ならびに関連構成要素を、トレイ(例えば、
図12のトレイ1204)を用いてボードに取り付けるのを可能にでき、この場合、駆動軸(例えば、
図12の駆動軸1210)は、モーターから支柱内の通路を通って1組の歯車まで延出し、プロペラ軸(例えば、
図12のプロペラ軸1212)を介してプロペラを駆動できる。
【0101】
代替として、他の実施態様では、翼の上でハイドロフォイルの支柱に連結されている推進ポッドは、動力システム全体ではなく、また歯車組立体ではなく、動力システムの一部(例えば、モーター、ギアボックスなど)を収容できる。より小さい推進ポッドを使用して、濡れ面積を減らし、プロペラをハイドロフォイル翼の上に配置する場合、動力システムの一部はボード内に収容できる。最も重い構成要素(例えば、電池)を推進ポッド内に配置すると、ジェットフォイラーを乗るためにより安定させ得るが、ボードに重量を置くことも利点がある。例えば、ボードの重量を追加し/推進ポッドの重量を減らすと、ジェットフォイラーをターンしやすくできる。さらなる構成要素をボードに追加してもボードサイズは増大しないが、構成要素を推進ポッドに追加すると推進ポッドサイズが増大し得る。推進ポッドは、その質量の大部分が、支柱の前方、支柱の船尾側、または支柱とちょうど一致するように、位置付けられ得る。支柱に対する推進ポッドの位置決めは、プロペラと支柱との近さ、および推進ポッドの重量配分に影響を及ぼし、その両方は乗り手の位置決めに影響を及ぼす。支柱に沿って連結される代わりに、推進ポッドはまた、ジェットフォイラーの船尾翼の上を含むが、それに制限されない、胴体に沿った別のポイントでハイドロフォイルに結合できる。
【0102】
推進ポッドは、モーターおよび/またはモーターコントローラを冷却し、作動中に入ってきた水を除去するための統合された空気循環ビルジポンプを有し得る。水の侵入を検出するために、線形水分センサーストリップが推進ポッド全体にわたって、または動力システムを収容するトレイもしくはジェットフォイラーの他の領域に連結できる。線形水分センサーストリップは、継ぎ目およびシールの近くに、推進ポッドおよび/またはトレイの底面に沿って配置できる。水が検出されると、電池コンタクタが開いて、ディスプレイ(例えば、
図6のディスプレイユニット604)上へのエラーの表示をトリガーでき、それはジェットフォイラーを停止できる。プロペラの深さを検出するために水圧センサーも推進ポッドに連結できる。深さ情報は、ジェットフォイラーのボードの「ライド高」を検出するために使用できる。水圧センサーは、モーターからの出力を調節するために使用されて、ハイドロフォイルが換気する(ventilate)のを防ぐことができ、それによりジェットフォイラーが水から出てスピンするのを防ぐ。推進ポッドは、漏れをチェックするために加圧機によって加圧できる。圧力センサーは生じた圧力を測定するために提供され得、スマートシステムがジェットフォイラー内に提供されて、測定された圧力がジェットフォイラーを水中に留めておくか、およびジェットフォイラーは従って、操作するために水中に入れても安全かどうかに関して、操縦者/乗り手に助言し得る。
【0103】
いくつかの実施態様では、動力システムの一部(例えば、モーター、ギアボックス、モーターコントローラなど)を収容する推進ポッドは、熱を放散するアルミニウムなどの材料で作ることができ、そのため推進ポッド全体がヒートシンクとして機能して、ジェットフォイラーが水中を通過するときに内部の構成要素を冷却する。代替として、推進ポッドは、
図13の推進ポッド1300に類似して、炭素繊維または類似の材料で作られてヒートシンクパネルを有し得る。推進ポッドは、マイクロコントローラ(例えば、推進ポッド温度を監視するために使用されるマイクロコントローラ)を含むが、それに制限されない、電子機器ユニットの一部の構成要素も含み得る。推進ポッドはもっと小さいサイズにでき、長さ13.5インチおよび直径2.5インチのサイズを含むが、それに制限されない、様々なサイズを有し得る。サイズおよび形状は内部の構成要素(例えば、モーターの直径、モーターコントローラまたはマイクロコントローラが含まれるか否か)によって決定され得るが、圧力分布などの流体力学的懸念事項によっても決定され得る。
【0104】
加えて、推進ポッドは、ねじ機構を利用して、ノーズコーンおよびモーターハウジングの両方が推進ポッドの中央ユニットまたは本体にねじで取り付けおよび取り外し可能にできる。推進ポッドはOリング(例えば、シリコーンOリング)を使用して、ねじ接続部を水密にできる。これは、推進ポッド構成要素へのさらに容易なアクセスを提供することにより、また異なる工場で作られた部品(推進ポッド、モーター、モーターコントローラ)を組み立てやすくすることにより、推進ポッドの修理および組立ての容易さを向上させ得る。推進ポッドの中央ユニットは、推進ポッドを支柱から取り外すのを可能にするために、推進ポッドの上面および底面の両方またはいずれか上に滑らかにされた取付けポイントを有し得る。これは、製造を容易にするためにだけ使用でき、その場合、推進ポッドは支柱とは異なる材料(例えば、それぞれ、アルミニウムおよび炭素繊維)で作られて、各々異なる工場で作られ、次いで、恐らく永続的に一緒に組み立てられ得る。代替として、推進ポッドは、エンドユーザーに対する特徴として、ジェットフォイラー部品を別々に修理しやすくするため、および異なる能力または個人的特徴をもつ乗り手に同じ装置を使用させるために、乗り手が異なる推進ポッド(および従って、異なるモーター)を同じ支柱と、または異なる支柱を同じ推進ポッドと、使用できるようにするために、取外し可能にできる。
【0105】
図15Aは、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーの動力システム1500の一例を示す。動力システム1500は、ジェットフォイラーのハイドロフォイルの推進ポッド内に収容できる(例えば、
図1の動力システム112と同様)か、または動力システム1500は、ジェットフォイラーのハイドロフォイルの支柱に連結されたトレイ内に収容できる(例えば、
図12のトレイ1204内の動力システムと同様)か、または動力システム1500は、ボードのウェル内に収容できる。動力システム1500は、アクセスパネル1502、アクセスパネル1502に連結されたヒートシンク1504、ヒートシンク1504に連結されたモーターコントローラ1506、モーターコントローラ1506に連結されたモーターシステム1508、およびモーターシステム1508に連結されたプロペラ軸1510を含む。いくつかの実施態様では、動力システム1500は、アクセスパネル1502および/またはヒートシンク1504のいずれかを含まず、他の実施態様では、ヒートシンク1504、モーターコントローラ1506、および電池は、モーターシステム1508およびプロペラ軸(例えば、推進ポッド内)とは別の場所(例えば、ボード内)に収容され得る。モーターシステム1508は、電池に連結されて動力供給されるモーター、およびモーターのトルクを高めるためにモーターに連結されたギアボックスを含み得る。モーターシステム1508は、プロペラ軸1510を介してプロペラ(例えば、
図1のプロペラ108)を制御している。モーターシステム1508のモーターは、電動モーター、ガソリン式モーター、太陽光発電モーター、他のタイプのモーター、およびそれらの任意の組合せのいずれかを含み得る。
【0106】
モーターコントローラ1506は、推進ポッドの内部に、モーターシステム1508のモーターの船尾側に、ヒートシンク1504と接触して、および電池に隣接して配置され得る。モーターコントローラ1506は、ポッド全体がヒートシンクとして機能するように、アルミニウムまたは類似の材料で作られている、推進ポッドの内部に、モーターシステム1508のモーターの船尾側にも配置され得る。モーターコントローラ1506は、ボードの内部に、アダプタを用いて第2のウェル内またはトレイ内に、ヒートシンク1504に隣接しても配置され得る。動力システム1500は、モーターに結合できるデジタル温度センサー、モーターコントローラ1506、電池または複数の電池、および様々な温度を測定して、構成要素が適切に動作しているかどうかを判断するための動力システム1500の他の構成要素を含むが、それらに制限されない、1つ以上のセンサーも含み得る。デジタル温度センサーが検出する温度は、ジェットフォイラーのディスプレイ(例えば、
図6のディスプレイ604)上またはスロットル上のディスプレイ上に表示でき、試験記録(例えば、ライドデータの部分である試験記録)内に出現し得る。デジタル温度センサーは、乗り手の安全のために、ジェットフォイラーまたはジェットフォイラーの様々な構成要素(例えば、電子機器)のいずれかの警告信号または装置停止をトリガーするためにも使用できる。
【0107】
プロペラ軸1510は、モーターシステム1508から抜け出ることができ、プロペラシステムのプロペラを受け入れ得る。プロペラ軸1510は、プロペラが生じ得る推力および他の荷重を引き受けることが可能な軸受けによって支持される。プロペラ軸1510は、駆動軸(例えば、
図12の駆動軸1210)によって生じた荷重も引き受け得る。異なるサイズおよび形状のプロペラをプロペラ軸1510に取り付けることができる。
【0108】
図15Bは、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーの動力システム1500のモーターシステム1508の一例を示す。モーターシステム1508は、モーター1512、モーターに連結されたギアボックス1514、およびギアボックス1514に連結されたプロペラ軸1510を含む。モーター1512は、モーターハウジング1516(別個に示されている)内に収容される。モーターハウジング1516は、保護のためにモーター1512を取り囲む。ギアボックス1514は、モーター1512のトルクを高めると同時にrpmを下げる。ギアボックス1514を使用すると、例えば、モーター寸法を決定し得る、推進ポッドサイズ要件を支援できる、さらなるモーターオプションを提供する。いくつかの実施態様では、モーターシステム1508はギアボックス1514を含んでおらず、モーター1512はプロペラシステムを直接制御する。例えば、高トルク/低rpm定数(K
v)モーターは、伝動装置をあまり、または全く使用せずに(例えば、200K
vモーター、ギアボックスなし)プロペラを駆動するために使用できる。
【0109】
モーターシステム1508は、プロペラシステムのプロペラを制御するためにモーターコントローラ1506から指示を受信することによって作動または制御できる。例えば、ジェットフォイラーの操縦者がスロットルコントローラを押すと、情報(例えば、ジェットフォイラーの速度を上げる)が生成されて命令に処理され(例えば、ジェットフォイラーのボードに連結された電子機器ユニットによって処理される)、命令は次いでモーターコントローラ1506に送信される。一旦、命令がモーターコントローラ1506によって受信されると、モーターコントローラ1506はモーター1512の動作を制御し、それによりプロペラシステムの動作を変化させる。モーターコントローラ1506によって受信された命令がジェットフォイラー速度の上昇を含む場合、モーター1512はプロペラのスピンを加速するように調整し、それによりジェットフォイラーがもっと速く進むのを可能にする。
【0110】
モーターシステム1508は、モーター1512に動力供給するための1つ以上の電池を含む電池システムも含み得る。電池システムは、推進ポッドへ簡単に滑り込ませるため、ならびにモーターコントローラ1506およびモーター1512の両方への接続のために電池スレッド(battery sled)に結合されているスライド電池(sliding battery)を含み得る。電池スレッドは、使用者が充電のために電池を容易に取り外して、電池ワイヤーをモーターコントローラ1506および/またはモーター1512に直接再接続する必要なく、電池を再挿入するのを可能にする。電池スレッドは炭素繊維から作ることができ、制御ワイヤーを含み得、統合されたセルフロケートコネクタをその船尾端部上に有し得る。セルフロケートコネクタは円錐形を有し得、それは、電池スレッドが推進ポッドに挿入される際に、セルフロケートコネクタを所定の位置へ導くのに役立つ。一旦、電池スレッドが推進ポッドに挿入されると、統合されたセルフロケートコネクタは電池(および/または制御ワイヤー)をモーターコントローラ1506および/またはモーター1512の回路に接続する。
【0111】
電池スレッドは、ジェットフォイラーが横向きになっている場合に電池を直立状態で装填できる。この配向は、一人によって行われる電池交換および/または、特殊な器具なしでジェットフォイラーが横向きで安定に位置付けられるので、ボートデッキのような可動面上での電池交換を容易にする。
図15Cは、本開示の実施態様に従ったモーターシステム1508の電池システム1550の一例を示す。電池システム1550は、電池スレッド1552、電池スレッド1552に結合された電池1554、および電池スレッド1552の端部に結合されたセルフロケートコネクタ1556を含む。セルフロケートコネクタ1556は電池1554を動力システム1500の回路に接続する。2つ以上の電池が電池スレッド1552に結合できる。
【0112】
いくつかの実施態様では、また
図15A~
図15Cを参照すると、モーターコントローラ1506は160Aモーターコントローラであり得、モーター1512は、58Vで動く500K
Vモーターであり得、ギアボックス1514は4:1ギアボックスまたは8:1ギアボックスであり得、電池システム1550の電池1554は、8または10または12ゲージの電池ワイヤーを使用して直列に接続された2つのリチウムポリマー(LiPo)電池を含み得る。動力システム1500はモーターシステム1508および電池システム1550を含み、推進ポッド内部に収容される代わりに、ハイドロフォイルのトレイまたはボードのウェル内に収容できる。電池システム1550は、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)もしくはリチウムイオン(LiIon)電池またはそれらの任意の組合せを含むが、それらに制限されない、他のタイプの電池を含むことができる。
【0113】
いくつかの実施態様では、1つ以上の電池(例えば、
図15Cの電池1554)の充電を可能にするために電池スレッド(例えば、
図15Cの電池スレッド1552)を取り外す代わりに、1つ以上の電池は、推進ポッド、ボード、およびハイドロフォイルのトレイ(フォイルトレイとも呼ばれる)のいずれかに固着できる。使用者は次いで、1つ以上の電池を充電するために、ジェットフォイラー全体を充電装置に差し込み得る。使用者は電池を扱う必要がないので、この構成は安全面で利点をもたらすが、ジェットフォイラー全体を充電のために搬送する必要があるので、充電プロセスをさらに複雑にする。この構成は、操縦者/乗り手が長いライディングセッションを実施するか、または乗り手を交換するのも妨げ、それは、水上でのセッション途中での電池交換を要求し得る。他の実施態様では、電池システムは水面上(例えば、ジェットフォイラーのボードのウェル内またはジェットフォイラーのフォイルトレイ内)に収容され、電池ワイヤーを介して支柱を通り、モーターシステム1508に接続される。これは、1つ以上の電池の容易な交換および充電を可能にし得る。電池システムの1つ以上の電池に加えて補助電池がジェットフォイラー内(例えば、ボード内)に提供され得、電池システムの1つ以上の電池を交換または置換する必要がある場合に、予備の電池として機能する。
【0114】
電池システムの1つ以上の電池は、依然として1つ以上の電池のハイドロフォイルからの取外しを提供しながら、電池スレッド内に1つ以上の電池を収容するのと比較してさらに多くが含まれるような方法で、推進ポッド内に収容できる。例えば、電池パックは、信号が受信されるまで電池パックが作動するのを許可しない安全機能を備えて構成できる。信号は、ジェットフォイラーが水分センサーおよび他の安全センサーをチェックした後に、電池パックを作動させるために送信でき、ジェットフォイラーの操作が許可される。電池パックは、ジェットフォイラー用に使用でき、ジェットフォイラーに類似した他の装置で使用できる。ジェットフォイラーは、動力システム1500またはその構成要素のいずれかが正常に機能しているかどうかを判断するために、モーターコントローラ(例えば、
図15Aのモーターコントローラ1506)および電池(例えば、
図15Cの電池1554)ならびに動力システム1500の他の構成要素の状態(すなわち、「OK」状態メッセージ)に対する様々なメッセージングを含み得る。例えば、モーターコントローラおよび電池は、シリアルデータリンクを介して内部的に状態メッセージを監視および交換できる。電池がモーターコントローラとの連絡を失うと、電池と結合された電池コンタクタが開き得る。電池コンタクタが開くと、電池はモーターに動力供給できず、そのためジェットフォイラーの動作は停止する。従って、動作しているモーターコントローラに電池が差し込まれていない時(すなわち、電池がモーターコントローラとの連絡を失っている場合)はいつでも、ジェットフォイラーは、電池がかなりの電圧を出力しないように構成でき、そのためにジェットフォイラーは問題なく水中で発進できる(すなわち、使用者がジェットフォイラーを水に入れている間に電池がモーターに動力供給している場合、問題が起こり得る)。いくつかの実施態様では、使用者がジェットフォイラーを水に入れている間にモーターコントローラを不能にする装填(loading)モードを起動できる(例えば、スロットルシステムを使用するか、または緊急停止(e-stop)キーを取り外す)。
【0115】
電池の電池リード線とハイドロフォイルの炭素体との間の導通をチェックするために地絡検出装置もジェットフォイラーに実装できる。潜在的に水中を通って乗り手に流れる電流を引き起こし得る導通はあってはならない。従って、導通が検出されると、電池コンタクタは再度開かれ得、エラーメッセージがディスプレイ上に生成され得、それは導通問題が、検証されて解決される(例えば、地絡検出装置が導通なしを確認する)か、または使用者によって手動で除去されるまで、持続し得る。加えて、ロックされているか、または損傷した回転翼がある場合、ジェットフォイラーの電力消費を測定して、モーター(例えば、
図15Bのモーター1512)を停止するために、電流センサーが使用できる。電流センサーは、モーターが自由大気中でスピンしようとしている時を検出するために使用でき、その場合、(要求どおりに水中でスピンする代わりに)弱電流および高速を生じ得、それによりモーターを停止させるか、または制限する。弱電流および高速のレベルは、所定の閾値を使用して判断できる。
【0116】
図16は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのプロペラシステム1600を例示する。プロペラシステム1600は、2つ以上のプロペラブレード1604を含むプロペラ1602およびプロペラ1602を取り囲んでいるプロペラガード1606を含む。プロペラ1602は、4~16インチの直径を含むが、それに制限されない、様々な寸法を有し得る。プロペラシステム1600は、推進ポッド(例えば、
図1の推進ポッド106または
図13の推進ポッド1300)に連結でき、それは次いで、ジェットフォイラーのハイドロフォイルの支柱またはハイドロフォイル支柱(例えば、
図1のハイドロフォイル104の支柱114または
図11のハイドロフォイル1100の支柱1102)に連結される。プロペラ1602およびプロペラガード1606は推進ポッドに別々に連結できるか、またはプロペラガード1606は、推進ポッドに取付け機構を用いて連結されているプロペラ1602に連結できる。プロペラガード1606はまた、推進ポッドまたはハイドロフォイル翼にも統合され得る。
【0117】
2つ以上のプロペラブレード1604は、プロペラ軸(例えば、
図15のプロペラ軸1510)を介して推進ポッドに取り付けられる。プロペラ1602は、推進ポッドの前方または船尾のいずれか、およびハイドロフォイル支柱の前方または船尾のいずれかに取り付けることができる。プロペラ1602は、所定のプロペラrpm(例えば、4000プロペラrpm)において所定の入力された出力(例えば、3725ワットまたは略5馬力)での所定ノット(例えば、15ノット)巡航性能に対して最適化できる。いくつかの実施態様では、ジェットフォイラーは、プロペラシステム1600の代わりに、ダクトプロペラのピッチ分布を調整する形状をもつダクトプロペラを含み得る。ダクトプロペラは、非回転で、プロペラの効率を高める取水ノズルが装着されているプロペラを含む。ダクトプロペラは、ハイドロフォイルの胴体および翼の上または下のいずれかに位置付けられ得る。
【0118】
プロペラガード1606は、安全機能として働き得る。プロペラガード1606は、推進ポッドの上面および底面に(または一方の面のみに)ボルトで固定でき、モーターハウジングを越えて延出して、2つ以上のプロペラブレード1604を保護する。プロペラガードはダクトとして機能して、ダクトプロペラを提供でき、ジェットフォイラーの効率および動作を向上させるためにプロペラシステム1600に合わせて調整される。プロペラガード1606はプロペラシステム1600の効率を低速(例えば、略10ノット未満)において高め得る。プロペラガード1606は揚力/安定性をもたらすために多様な断面を有し得、船尾ハイドロフォイル翼として機能できる。プロペラガード1606は、略8インチの直径を含むが、それに制限されない、様々な寸法を有し得る。
【0119】
ジェットフォイラーは、乗り手のスタイルに応じて(例えば、「グーフィー」に対する1つのスタイルおよび「レギュラー」ライディングスタイルに対する別のスタイル)、プロペラ1602を異なる方向にスピンさせる。他の力がない場合、ジェットフォイラーのボードは、プロペラ1620がスピンしている方向とは反対の方向にロールし、操縦者/乗り手は、乗り手の体重で押し下げることによりその力に反応して、ボードを安定させる必要がある。乗り手がジェットフォイラーを加速させるか、またはもっと速く進むように操作するとき、乗り手はこれらの力のバランスを取るためにもっと押し下げる必要がある。乗り手が、踵の代わりに、つま先で押すことができ、そのためつま先が(踵の代わりに)フットストラップ機構または別のストラップ機構でボードの縁部の近くに位置付けられ得ることは乗り手の快適さにとって理想的である。
【0120】
プロペラ1602をある方向にスピンさせている場合、ジェットフォイラーは、ある乗り手スタイルにとってより乗りやすく、反対の乗り手スタイルにとっては乗りにくいであろう。プロペラ1602がより大きくて、ジェットフォイラーのモーター(例えば、
図15Bのモーター1512)によって印加されるトルクがより大きければ、乗り手の使いやすさに対するプロペラ1602のスピン方向の影響はより顕著である。ジェットフォイラーは、多数のスタイル(例えば、「グーフィー」、「レギュラー」など)の乗り手が快適な足位置で同じジェットフォイラーを使用できるようにするために、プロペラ1602のスピン方向を変えるオプションを含み得る。そのオプションは、乗り手が関与し(例えば、ジェットフォイラーを始動させるときに1つのスタイルから別のスタイルに設定を切り替える)、電子機器ユニット(例えば、
図6の電子機器ユニット603)を介してモーターコントローラ(例えば、
図15Aのモーターコントローラ1506)と通信する、スロットルコントローラで制御できる。受信した情報または命令に基づいて、モーターコントローラは、モーターコントローラに連結されたモーターによって印加されるトルクの方向を変更することにより、プロペラ1602のスピン方向を変えることができる。いくつかの実施態様では、ジェットフォイラーは、直列に取り付けられて、それぞれ反時計回りおよび時計回りにスピンする2つのプロペラを含み得、2つのプロペラの各々の速度を上げ下げすることにより、トルクロールを除去して、ジェットフォイラーのボードを安定させる。
【0121】
図17は、本開示の実施態様に従った、ジェットフォイラーの動作中に乗り手の足位置と適合するプロペラのスピン方向の一例1700を示す。プロペラのスピン方向は、プロペラ(例えば、
図1のプロペラ108または
図16のプロペラ1602)の回転方向を変更することにより、変えることができる。乗り手のスタイルに適合するようにプロペラのスピン方向を変えると、乗り手の足位置および乗りやすさが改善される。例1700は、第1の適合1702、第2の適合1704、および第3の適合1706を含み、各々、プロペラのスピン方向と乗り手の足位置との間の様々な構成を強調している。第1の適合1702では、「レギュラー」足位置の乗り手が「レギュラー」プロペラスピン方向と正しく適合されて使いやすさをもたらす。第1の適合1702のプロペラのスピン方向は、乗り手の足をジェットフォイラーのボードの縁部に向けて位置付ける、「レギュラー」乗り手の足位置から重みを加えられた力によって相殺される一方向の力を生じる。
【0122】
第2の適合1704では、「グーフィー」足位置の乗り手が「レギュラー」プロペラスピン方向と間違って適合されており、それは、ジェットフォイラーの動作中に問題を生じ得る。第2の適合1704のプロペラのスピン方向は、第1の適合1702に対して前述したのと同じ方向の力を生じるが、この力は、乗り手の足をボードの中心に向けて位置付ける、「グーフィー」乗り手の足位置から重みを加えられた力によって相殺されない。それ故、プロペラのスピン方向および乗り手の足位置は、第3の適合1706に従って適合されるべきであり、それは、乗り手の足をボードの反対側の縁部に向けて位置付ける「グーフィー」乗り手の足位置から重みを加えられた力を相殺するためにプロペラのスピン方向を逆転する。追加のプロペラスピン方向が、ジェットフォイラーにより、「レギュラー」または「グーフィー」として分類されない異なる乗り手スタイルを相殺するために利用できる。
【0123】
図18は、本開示の実施態様に従ったジェットフォイラーのプロペラシステムの折り畳み式プロペラブレード1800の一例を示す。折り畳み式プロペラブレード1800は、安全性を高めて抗力を減らし、それにより電池寿命を延ばすために使用できる。折り畳み式プロペラブレード1800は、ジェットフォイラーのハイドロフォイル(例えば、
図1のハイドロフォイル104)に連結されている推進ポッド(例えば、
図1の推進ポッド106または
図13の推進ポッド1302)に連結されているモーターに連結されているプロペラ軸に連結されている。折り畳み式プロペラブレード1800は、2つ以上のプロペラブレード(例えば、
図16の2つ以上のプロペラブレード1604)を含む。折り畳み式プロペラブレード1800は、第1の折り畳まれていない位置1802および第2の折り畳まれた位置1804に配向できる。折り畳み式プロペラブレード1800は、図示されていないさらなる位置(例えば、折り畳まれていない位置と折り畳まれた位置の間の位置など)に配向できる。折り畳み式プロペラブレード1800は、第1の折り畳まれていない位置1802と、第2の折り畳まれた位置1804との間を移行するが、プロペラシステム全体も移行できる。
【0124】
折り畳み式プロペラブレード1800は第1の折り畳まれていない位置1802(配備された位置とも呼ばれる)から第2の折り畳まれた位置1804(折り畳まれた位置とも呼ばれる)へ、またはその逆に移行するので、折り畳み式プロペラブレード1800を定位置に固定するために停止またはブロッキング機構(例えば、ブロック)が使用できる。加えて、折り畳み式プロペラブレード1800は、位置間での折り畳み式プロペラブレード1800のローテーションを可能にするために、ピンを使用して推進ポッドに連結できる。
【0125】
スロットルが作動されているか、または使用されている(例えば、乗り手によって操作されるスロットルコントローラを介して)場合、折り畳み式プロペラブレード1800はスピンを開始し、そのスピンからの第1の力つまり遠心力が、折り畳み式プロペラブレード1800上の第2の力つまり水勢を上回り、それにより、折り畳み式プロペラブレード1800が第1の折り畳まれていない位置1802に配備されるのを可能にする。折り畳み式プロペラブレード1800が所定以上に開くのを止める(例えば、損傷を防ぐ)ために第1のブロックが提供され、遠心力は、折り畳み式プロペラブレード1800を第1の折り畳まれていない位置1802で所定の位置に固定する。スロットルが解放されると、水勢が遠心力を上回って、折り畳み式プロペラブレード1800はスピンを停止し、それは、折り畳み式プロペラブレード1800が第2の折り畳まれた位置1804に移行して、別の、つまり第2のブロックによって再度停止される結果となる。折り畳み式プロペラブレード1800の各ブレードは、それらが第2の折り畳まれた位置1804に折り畳まれる際に、ブレードを羽根の付いた位置に導く、傾斜したスロット内でピンの周りを回転できる。
【0126】
折り畳み式プロペラブレード1800は、安全機能として使用でき、スロットルが作動されていないか、または使用されていない場合、折り畳み式プロペラブレード1800がスピンするのを妨げ、次いでそれらを第2の折り畳まれた位置1804に折り畳んで、乗り手および近くで泳いでいる人に対する危険を取り除く。ドック上で折り畳まれた位置にある折り畳み式プロペラシステムも安定性を高めて、プロペラシステムが損傷するのを防ぐ(例えば、プロペラガードがない場合)。折り畳み式プロペラシステムは、乗り手が、次の波に到達するために時々だけ動力補助を欲し得る、波乗りで使用できる。使用されていない場合、折り畳み式プロペラブレード1800は、第2の折り畳まれた位置1804または類似の折り畳まれた位置に折り畳まれて、抗力を減らして電池を節約し得る。
【0127】
折り畳み式プロペラの様々な位置への移行は、操作要件に基づき、乗り手によって(例えば、ボード内の電子機器ユニットのディスプレイまたはスロットルコントローラ上のディスプレイ上のオプションを選択することにより)手動で実行できるか、または様々な状態に基づきセンサーおよびフィードバック機構(例えば、機械学習機構)を使用してジェットフォイラーによって自動的に実行できる。それ故、折り畳み式プロペラブレード1800は、ジェットフォイラーを自動的に制御できるジェットフォイラーの可動操縦翼面(ハイドロフォイル翼上の調整可能フラップに加えて)を表し得る。
【0128】
図19は、本開示の実施態様に従い、可動操縦翼面1902を含むジェットフォイラーのハイドロフォイル1900の一例を示す。ハイドロフォイル1900は支柱1904、支柱1904に連結された推進ポッド1906、支柱1904に連結された胴体1908、胴体1908に連結された船尾翼1910、胴体1908に連結された前方翼1912、および推進ポッド1906に連結されたプロペラ1914を含む。船尾翼1910は、可動操縦翼面1902を含む。前方翼1912も可動操縦翼面1902を含む。各可動操縦翼面1902は、船尾翼1910および前方翼1912の両方に対して同様の可動操縦翼面にできるか、または様々なタイプ、形状、もしくは機構の可動操縦翼面であり得る。各可動制御翼面1902は、プッシュロッド機構(図示せず)または類似のタイプの機構を使用して操作される。プッシュロッド機構は、様々なセンサー(例えば、機械式トレーリングワンド(trailing wand)、ライド高センサー)のいずれかからのフィードバックに応答して、または操縦者からの入力(例えば、スロットルコントローラを経由した)に応答して、または自動安定化システム(例えば、IMUまたは機械学習機構)からの入力に応答して、各可動制御翼面1902を作動させる。
【0129】
本開示に従ったジェットフォイラーは、ジェットフォイラーの特異な形を安全に梱包するために耐久性があって防水性の発泡体(例えば、発泡ポリプロピレン)の可撓片を含むが、それに制限されない、梱包材を使用して梱包できる。発泡体のC型管が適切な長さに切断されて、ジェットフォイラーのハイドロフォイル、推進ポッド、およびボード構成要素を包み込み得る。推進ポッドなどの円形状を保護するために2つの部品が相互に向かい合って配置され得、梱包材を保管しやすくするために交互にすることもできる(すなわち、発泡部片は、保管のため、または発泡体自体の出荷のために、相互に内側に積み重ねられる)。梱包は、特異なサイズおよび形状の他の物体を出荷する一般的な目的のために使用できる。
【0130】
本開示に従ったジェットフォイラー(例えば、
図1のジェットフォイラー100または
図9のジェットフォイラー900)は、様々な手順またはプロセスを使用して操作できる。いくつかの実施態様では、ジェットフォイラーの使用者(すなわち、操縦者/乗り手)は、まず、電池スレッド内の電池を充電し、ジェットフォイラーの推進ポッド内のカメラ(例えば、POVカメラ)を設定することにより、ジェットフォイラーを操作するための準備ができる。ジェットフォイラーのハイドロフォイルおよびジェットフォイラーのボードを地面またはボートデッキに着けて、ジェットフォイラーが横向きになっている間に、使用者は電池スレッドを推進ポッドに開口部(例えば、前方開口部)から挿入できる。電池スレッドは、推進ポッドにしっかりと、または正確に押し込まれると、そのフォイル電子機器との係合を、一連のビープ音を鳴らすか、または光を点滅させることによって示し得る。これらのステップは乾いた領域で実行される。
【0131】
使用者は、必要に応じて、カメラを推進ポッドのノーズコーンに、カメラクリップを引っ張ってノーズコーンのカメラ窓から離し、カメラをカメラ窓の後ろの位置に嵌め込むことによって、挿入できる。使用者は、ノーズコーンを推進ポッドに再び取り付けて固定でき、そしてハイドロフォイルを最初に入れて、ジェットフォイラーを水中に入れることができる。ハイドロフォイルと岩などの表面との接触を回避するために、水は十分な深さが必要である。使用者は、安全リーシュの一方の端部を自分の身体に(例えば、自分の足首を用いて)取り付けることができ、磁石を含む他方の端部をジェットフォイラーのフェール/キルスイッチ位置に取り付けることができる。
【0132】
使用者は、自分の足をフットストラップの範囲内に(例えば、後ろ側の足をバックストラップの範囲内に、前側の足をフロントストラップの範囲内に、または後ろ側の足などの一方の足だけをバックストラップなどの単一のストラップの範囲内に)置くことができる。使用者はボード上で安定して、スロットルシステムのスロットルコントローラを優しく押して、進水台(例えば、ボート、ドック)から離れて動くことができる。使用者は、スロットルコントローラを使用することにより加速できる。一旦、前進速度が略8~10ノットに達すると、使用者は、前側の足を上げて、非フォイリングモードからフォイリングモードへの移行を開始できる。使用者は、フォイリングモードへの移行中、必要に応じて、自分の体重を前方に移動できる。使用者は、スロットルコントローラを使用するか、または解放することによって速度を調節できる。停止するために、使用者は、スロットルコントローラを完全に戻して、ジェットフォイラーを非フォイリングモードまたは移動モードに移行できる。使用者は、ジェットフォイラーの操作またはライディングを終えると、スロットルコントローラを完全に解放して、進水台に滑走して戻ることができる。
【0133】
いくつかの実施態様では、後進機能を備えたスロットルが使用される場合、使用者は、滑走して止まるのではなく、後進機能を使用してブレーキをかけることによりもっと迅速に、または正確に停止し得る。硬質ボードの代わりに膨張式ボードが使用される場合、使用者は、乗る前にボードを膨張させ得、膨張式ボードをハイドロフォイル動力システム(例えば、
図7Aのハイドロフォイル動力システム704)にボード-フォイルアダプタを使用して取り付けることができる。ジェットフォイラーがスマートスロットルを備えて構成される場合、スマートスロットルは、ボードが水と接触している間、出力を制限する。使用者が必要に応じて体重を移動させてフォイリングを開始すると(すなわち、非フォイリングモードからフォイリングモードへの移行後)、フォイリングが開始でき、センサーはボードがフォイリングしていると認識でき、それにより、スマートスロットルによって設定された以前の出力制限を解除する。取外し可能な推進ポッドを備えたジェットフォイラーが使用される場合、ユーザーは、電池自体だけを推進ポッドから取り外す代わりに、推進ポッド全体を取り外して充電できる。
【0134】
いくつかの実施態様では、折り畳み式プロペラが使用される場合、使用者は、波に乗るためにスロットルを使用して加速でき、それは、折り畳み式プロペラを配備する/広げる。使用者が、前方に推進する波の力を使用して、波またはうねりに乗る場合、モーターアシストは必要なく、そのため使用者は、サーフィンをしている間スロットルを解放でき、折り畳み式プロペラをフェザーリングするか、または格納して抗力を減らす。波乗りモードでは、折り畳み式プロペラは、スピンする必要がない。動力補助のために使用者がスロットルを再度使用すると、折り畳み式プロペラを配備できる。外洋では、ジェットフォイラーを使用するこの方法は、乗り手は大きく波打っている波に乗るので、乗り手が電池使用を抑えながら、長距離を走るのを可能にできる。停止するために、使用者は、スロットルを戻して、非フォイリングモードまたは移動モードに移行して戻ることができる。使用者がスロットルを完全に解放すると、折り畳み式プロペラを折り畳むことができ、ボードは滑走して止まる。
【0135】
本開示に従った方法およびシステムは、ハイドロフォイルおよび電動プロペラを備えたウォータークラフト装置を提供する。ウォータークラフト装置は、ボード、ボードの上面に連結されるか、またはボードに無線で結合されるスロットル、ボードの底面に連結されたハイドロフォイル、およびハイドロフォイルに連結された電動プロペラシステムを含み、電動プロペラシステムは、スロットルから生成された情報を使用して、ウォータークラフト装置に動力を供給する。一実施態様では、スロットルは、ボードの上面に連結されたアンカーポイント、アンカーポイントに結合されたケーブル、およびケーブルに結合されたスロットルコントローラを含み得、ウォータークラフト装置の操縦者がスロットルコントローラを使用すると情報が生成される。別の実施態様では、スロットルは、ボードの上面に連結されたハンドルバーとハンドルバーに連結されたスロットルコントローラとを含み得、ハンドルバーは複数の位置に調整可能であり、ウォータークラフト装置の操縦者がスロットルコントローラを使用すると情報が生成され、さらに操縦者は操作中、安定性のためにハンドルバーを握る。別の実施態様では、スロットルは、無線のハンドヘルドコントローラを含み得、それもまた操縦者に取り付けられるか、スロットルケーブルに取り付けられるか、またはハンドルバーに取り付けられ得る。
【0136】
ハイドロフォイルは、ボードの底面に連結された支柱、支柱に連結された推進ポッド、および推進ポッドに連結された少なくとも2つの翼を含み得る。いくつかの実施態様では、ハイドロフォイルは翼を1つだけ含む。ハイドロフォイルが少なくとも2つの翼を含む場合、その少なくとも2つの翼は、ウォータークラフト装置が電動プロペラシステムによって動力供給される場合、揚力を生じる。推進ポッドがハイドロフォイルの少なくとも2つの翼の上になる(すなわち、少なくとも2つの翼は推進ポッド内に統合されないか、または推進ポッドと一体化されない)ように、少なくとも2つの翼は、推進ポッドの底面に連結できる。少なくとも2つの翼は、推進ポッドの底面と上面の間の中央部分を含むが、それに制限されない、推進ポッドの他の領域にも連結できる。
【0137】
ハイドロフォイルは、支柱および推進ポッドのいずれか(またはジェットフォイラーの別の領域)に連結された舵、ならびに船尾または前方ハイドロフォイル翼(またはジェットフォイラーの別の領域)に連結された少なくとも1つの調整可能なフラップをさらに含み得、それらは、ジェットフォイラーに対する安定システムを提供する可動制御構造であり得る。可動安定システムは、動作速度、環境状態、ジェットフォイラーのライド高およびピッチ、ならびに操縦者と関連付けられたデータのいずれかを使用して、ウォータークラフト装置を自動的に安定させる。ジェットフォイラーのライド高およびピッチによって供給されるフィードバックループは、複数のセンサー(例えば、IMU)および複数のアルゴリズム(例えば、制御システムアルゴリズム)を含み得る。複数のセンサーはジェットフォイラーの制御を分析して、関連データを電子機器ユニットに送信でき、電子機器ユニットは複数のアルゴリズムを使用してそのデータを処理し、可動制御構造の調整をもたらしてジェットフォイラーを安定させる。
【0138】
例えば、フィードバック機構は、ジェットフォイラーが低すぎることを検出でき、可動制御構造を自動的に調整してジェットフォイラーを持ち上げることができる。制御システムのゲインまたは応答性も操縦者によって調整できる(例えば、ジェットフォイラーにリンクされたディスプレイまたは電話を使用して設定)。ジェットフォイラーは、様々な検出された状態(例えば、ジェットフォイラーのセンサーを使用して検出された)に基づいてジェットフォイラーのライディングを最適化する追加の機構(機械学習アルゴリズムなど)を含み得る。制御システムによって要求される補助レベルは、操縦者の年齢、身長、体重、足位置、ライディングスタイル、ライディング歴、およびスキルレベルに基づき得る。推進ポッドは、少なくとも1つのカメラ、ノーズコーンに連結された本体ハウジング、および本体ハウジングに連結されたヒートシンクを含むノーズコーンを含み得る。少なくとも2つの翼は、推進ポッドまたはハイドロフォイル胴体の船尾領域に連結された船尾翼、および推進ポッドまたはハイドロフォイル胴体の前方領域に連結された前方翼を含み得、前方翼は船尾翼よりも大きい。ハイドロフォイルが1つの翼だけを含む場合、1つの翼は、船尾翼、前方翼、または異なる位置に配置された異なるタイプの翼のいずれにでもできる。
【0139】
電動プロペラシステムは、電動モーター、電動モーターに動力を供給する電池、および電動モーターによって駆動されるプロペラ軸を含む動力システムを含み得、動力システムは、推進ポッドの本体ハウジング内に収容され、プロペラはプロペラ軸を介して動力システムに連結され、動力システムは、スロットルコントローラによって生成された情報を使用してプロペラ軸を介してプロペラを制御する。電動プロペラシステムは、推進ポッドのノーズコーンに連結されたプロペラガードをさらに含み得、プロペラガードはプロペラの周囲に位置付けられる。
【0140】
プロペラは、複数のブレードをもつ折り畳み可能プロペラ(または折り畳み式プロペラ)にでき、さらに、折り畳み可能プロペラは、スロットルコントローラが操縦者によって使用されておらず、複数のブレードがスピンを停止している場合に折り畳める。ウォータークラフト装置は、ボードの第1のウェルまたは第2のウェル内に収容された電子機器ユニットをさらに含み得、電子機器ユニットは、スロットルコントローラから情報を受信し、その情報を処理して少なくとも1つの命令を提供する。少なくとも1つの命令は、電子機器ユニットにより動力システムのモーターコントローラに送信されてモーターを制御でき、モーターはプロペラ軸を制御し、プロペラ軸はプロペラを制御する。
【0141】
電子機器ユニットは、スロットルコントローラから情報を受信し、その情報を処理して少なくとも1つの命令を提供し、少なくとも1つの命令を動力システムのモーターコントローラに送信する第1のマイクロコントローラ、およびウォータークラフト装置の操作に関連した追加の情報を記録する第2のマイクロコントローラを含み得る。電子機器ユニットは、ディスプレイおよびキルスイッチをさらに含み得、キルスイッチは、操縦者がウォータークラフト装置から引き離された場合にウォータークラフト装置を停止させるために、少なくとも1つのフットストラップまたは締め綱もしくはリーシュを用いて操縦者に繋がれる。電子機器ユニットは、有線接続および無線接続のいずれかを使用してスロットルコントローラから情報を受信する。
【0142】
非フォイリング(または移動)モードにおける浮心と、フォイリングモードにおける揚力中心が位置合わせされる。非フォイリングモードは、ウォータークラフト装置の発進中に、ボードが水域と接触している場合であり、フォイリングモードは、ウォータークラフト装置の動作中に、ボードが水面より上にある場合である。非フォイリングモードにおける浮心と、フォイリングモードにおける揚力中心は、ジェットフォイラーが非フォイリングモードである場合にボードの浮力によって生じた押上げ力の中心を、ジェットフォイラーがフォイリングモードの場合に少なくとも2つの翼によって生じた揚力からの押上げ力の中心と位置合わせすることによって、位置合わせされる。位置合わせは、ボードのある領域または位置(すなわち、ボード位置)に近いか、または近接しているか、または略近い浮心を提供する所定の設計で、ボードの下に少なくとも2つの翼を含むハイドロフォイルをボード位置に隣接して位置付けることにより、ボードを成形することを含み得る。ボードの上面に連結されている少なくとも1つのフットストラップも、ボードの所定の設計によって提供されるボード位置に関連して位置付けられ得る。
【0143】
ボードは、軽量の固体プラットフォームを提供する炭素繊維材料、浮揚性プラットフォームを提供するガラス繊維布および樹脂の層をもつ発泡材料、膨張可能なプラットフォームを提供するドロップステッチ織物材料、ならびにそれらの任意の組合せのいずれかを含み得る。ウォータークラフト装置は、ボードの上面に連結された少なくとも1つの車輪をさらに含み得る。
【0144】
開示する技術は、ある実施形態に関連して説明されているが、当然のことながら、開示する技術は、本開示する実施形態に制限されず、それとは逆に、添付のクレームの範囲に含まれる様々な修正および均等配置を含むことを意図し、その範囲は、法律で認められるとおり、かかる修正および均等構造の全てを包含するように、最も広い解釈に一致すべきである。