(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】基板の厚さを制御するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
C03B17/06
(21)【出願番号】P 2020546889
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 US2019020781
(87)【国際公開番号】W WO2019173358
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-03
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アブラモフ,アナトリ アナトリエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,アンピン
(72)【発明者】
【氏名】ニシモト,マイケル ヨシヤ
(72)【発明者】
【氏名】ウェドン,ウイリアム アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジェ ヒュン
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137237(JP,A)
【文献】特表2015-536895(JP,A)
【文献】特開2000-281371(JP,A)
【文献】特表2013-508248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
C03B 7/00-7/22
9/00-17/06
19/00-19/10
21/00-21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の少なくとも一部の厚さを制御するように構成された制御装置であって、該制御装置が、
2つ以上のレーザアセンブリと、対応する数の2つ以上の遮蔽アセンブリと、を含む2つ以上の制御ユニットと、を含み、
前記2つ以上のレーザアセンブリは、それぞれ光路に沿って伝播方向に移動する細長いレーザビームを生成するように構成され
、前記細長いレーザビームが前記伝播方向に垂直な平面内に形状を有し、該形状が主軸を画成
し、
前記2つ以上の遮蔽アセンブリは、それぞれ前記光路に選択的に配置され、かつ前記細長いレーザビームの領域の光学強度を低下させるように構成された
2つ以上の遮蔽を含
み、 前記
2つ以上の遮蔽アセンブリ
のそれぞれが、前記主軸を横切る前記細長いレーザビームの強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変更するように構成される、
制御装置。
【請求項2】
前記目標強度プロファイルが第1の領域及び第2の領域を含み、さらに、前記第2の領域の光学強度が前記第1の領域の光学強度より小さい、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記
2つ以上のレーザアセンブリ
の各々が、レーザビームを放出するように構成されたレーザ光源を含み、前記放出されたレーザビームの形状を変更するように構成された光学系をさらに含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記
2つ以上の遮蔽
アセンブリの各々が、前記
2つ以上の遮蔽に連結し、該
2つ以上の遮蔽を前記光路に出入りするように選択的に移動させるように動作可能なコントローラをさらに含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記
2つ以上の遮蔽が、前記光路に配置されたときに前記
細長いレーザビームの領域を遮断するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記
2つ以上の遮蔽のうちの第1の遮蔽の形状が主面を画成し、さらに、前記第1の遮蔽が前記光路に配置されたときに、前記第1の遮蔽の前記主面が前記伝播方向に略垂直である、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記
2つ以上の遮蔽のうちの第1の遮蔽の形状が主面を画成し、さらに、前記第1の遮蔽が前記光路に配置されたときに、前記第1の遮蔽の前記主面が前記伝播方向に対して傾斜している、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記2つ以上の遮蔽が第2の遮蔽をさらに含み、さらに、前記
2つ以上の遮蔽アセンブリが、前記第1及び第2の遮蔽がいずれも前記光路に配置されたときに、前記第1の遮蔽が前記第2の遮蔽によって影響を受ける前記細長いレーザビームの領域とは異なる前記細長いレーザビームの領域に影響を与えるように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
ガラスリボンを成形するシステムにおいて、該システムが、
ガラスリボンを生成するように構成されたガラス成形装置、及び
制御装置
、を備えており、
該制御装置は、2つ以上のレーザアセンブリと、対応する数の2つ以上の遮蔽アセンブリと、を含む2つ以上の制御ユニットと、を含み、
前記2つ以上のレーザアセンブリは、それぞれ光路に沿って伝播方向に移動する細長いレーザビームを生成するように構成され
、前記細長いレーザビームが前記伝播方向に垂直な平面内に形状を有し、該形状が主軸を画成
し、
前記2つ以上の遮蔽アセンブリは、それぞれ前記光路に選択的に配置され、かつ前記細長いレーザビームの領域の光学強度を低下させるように構成された遮蔽を含
み、
前記
2つ以上の遮蔽アセンブリが、
それぞれ前記主軸を横切る前記細長いレーザビームの強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変更するように構成されており、
前記
2つ以上の制御
ユニットの各々が、前記目標強度プロファイルを有する前記細長いレーザビームを制御し、前記ガラスリボン上に方向づけて、前記ガラスリボンの一部の厚さを減少させるように構成される、
システム。
【請求項10】
基板の少なくとも1つの事前に選択された部分の厚さを制御する方法において、該方法が、
伝播方向に移動する
2つ以上の細長いレーザビームを生成する工程であって、該
2つ以上の細長いレーザビーム
のそれぞれが前記伝播方向に垂直な平面内に形状を含み、前記形状が主軸を画成し、前記
2つ以上の細長いレーザビームが前記主軸を横切る強度プロファイルをさらに含む、工程、
前記
2つ以上の細長いレーザビームの
対応する領域を
それぞれ遮蔽して、前記強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変化させる工程であって、前記目標強度プロファイルが第1の領域及び第2の領域を含み、前記第2の領域の光学強度が前記第1の領域の光学強度より小さい、工程、及び
前記目標強度プロファイルを有する前記
2つ以上の細長いレーザビーム
それぞれを前記基板上に方向づける工程であって、前記基板の第1の部分に対応する前記第1の領域と前記基板の第2の部分に対応する前記第2の領域とを含み、前記第1の部分における前記基板の厚さの減少を生じさせる、工程
を含む、方法。
【請求項11】
前記方向づける工程が
、前記第2の部分における前記基板の厚さが実質的に変化しないまま維持される
ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記生成する工程が、
2つ以上のレーザ光源から
2つ以上のレーザビームを放出する工程、及び
前記放出された
2つ以上のレーザビームの形状を
それぞれ光学的に変化させて、前記
2つ以上の細長いレーザビームを生成する工程
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方向づける工程が、前記第1の部分における前記基板の厚さを変化させるのに十分に、前記基板の前記第1の部分の温度を上昇させ、粘度を低下させる工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記
2つ以上の細長いレーザビーム
のそれぞれが光路に沿って移動し、さらに、前記
2つ以上の細長いレーザビームの一部を
それぞれ遮蔽する工程が、
2つ以上の遮蔽アセンブリを動作させる工程
を含み、
前記
2つ以上の遮蔽アセンブリ
のそれぞれが
2つ以上の遮蔽を含み、該2つ以上の遮蔽が第1の遮蔽及び第2の遮蔽を含み、前記第1の遮蔽が第1の位置で前記光路に選択的に挿入可能であり、かつ前記第2の遮蔽が第2の位置で前記光路に選択的に挿入可能であり、
さらに、前記第2の位置における前記第2の遮蔽が前記目標強度プロファイルの前記第2の領域を生成する、
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記基板の厚さを監視する工程、及び
前記第1の部分に対応する位置における前記基板の厚さの不均一性と、前記第2の部分に対応する位置における前記基板の厚さの均一性とを特定する工程
をさらに含み、
前記
2つ以上の遮蔽アセンブリを動作させる工程が、前記特定された厚さの関数として前記第1及び第2の遮蔽を操作する工程を含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記制御装置は、前記基板の1つ以上の選択された部分を冷却するよう動作する冷却アセンブリをさらに含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項17】
制御装置は、前記2つ以上の遮蔽のうちの1つの遮蔽によって反射されたレーザビームを反射して前記基板の所望の部分に方向付ける反射体をさらに含む、請求項1に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2018年3月6日出願の米国仮特許出願第62/639,197号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、ガラスなどの基板を製造するための装置及び方法に関する。より詳細には、ガラス製造プロセスにおいてガラス基板の厚さを制御するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
さまざまな用途では、製造される基板の厚さの厳密な制御が重要になる場合がある。例えば、ガラスリボンの厚さの変動を生じさせるフュージョンダウンドロー法及び他のガラス製造方法によって製造された液晶ディスプレイ(LCD)ガラス(又は他のディスプレイタイプのガラス)において生じうる厚さの変動を制御するために、さまざまな手順が実施され、提案されている。熱機械的状態及びガラスの流動状態は、フュージョンダウンドロー法で成形されるガラスリボンの幅の全体又は一部にわたり、不均一になる可能性がある。通常、成形されたままのガラスリボンの表面張力は、ガラスリボンの厚さに生じうる変動を完全に取り除くには不十分である。変動は数マイクロメートルのサイズであるかもしれないが、そのような変動の結果は、例えばディスプレイガラスの最終的に使用する用途に関して重要である可能性がある。
【0004】
ガラスリボンの厚さの変動に対処するための従来の技術は、ガラスリボンの温度がその軟化点にある位置で、ガラスリボンの近くに高熱伝導性のプレートを配置することを伴う。それぞれが冷却流体をプレート上に排出する管群がプレートの後ろに配置される。その目的は、ガラスの移動方向に垂直に、ガラスリボン全体に温度勾配を生成することである。これらの温度勾配は、ガラスの局部粘度を変更し、したがって、下向きの引っ張り力のために、局所的に厚さが変わる。各管からの流体の流れは個別に制御することができる。管からの流体の流れを調整することにより、プレート前面の局所温度を制御することができる。この局所的な温度は、溶融ガラスの局所的な熱損失に影響を与え、したがって局所的な温度にも影響を与え、これが次に、リボンの幅全体にわたる最終的な厚さの分布に影響を与える。例えば、ガラスリボンの厚さトレースが、ガラスリボンの幅全体にわたる特定の領域が所望される厚さよりも厚いことを示す場合には、厚さトレースは、このより厚い領域に隣接するガラスリボンのゾーンを冷却することによって修正される(例えば、より薄いゾーンに対応する管を通して冷却流体を送達することによって、より薄いゾーンを冷却するが、より厚い領域に対応する管には冷却流体は送達されない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広く受け入れられているが、上記のガラスの厚さ制御技術では、厳密な厚さ均一性の仕様を満たす高解像度の温度勾配を生成することができない場合がある。ガラスリボンを横切って走査する従来のスポット型のレーザビームでガラスリボンの小さいセグメントを加熱するなどの他の概念は、法外な費用がかかり、ガラスリボンの製造に関連するものなど、高温環境には適さない複雑な機構を伴う場合がある。
【0006】
したがって、ガラス製造プロセスにおいてガラスリボンを連続的に移動させるなど、基板の厚さを制御するための代替的な装置及び方法が、本明細書に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の幾つかの実施形態は、ガラスリボンなどの基板の少なくとも一部の厚さを制御するための制御装置に関する。該制御装置は、レーザアセンブリと遮蔽アセンブリとを含む。レーザアセンブリは、光路に沿って伝播方向に移動する細長いレーザビームを生成するように構成される。細長いレーザビームは伝播方向に垂直な平面内に形状を有し、細長いレーザビームの形状は主軸を画成する。遮蔽アセンブリは、光路に選択的に配置された遮蔽を含む。遮蔽は、細長いレーザビームの領域の光学強度を低下させるように構成される。遮蔽アセンブリは、主軸を横切る細長いレーザビームの強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変更するように構成される。幾つかの実施形態では、遮蔽アセンブリは、光学強度が上昇した1つ以上の領域と、光学強度が低下した1つ以上の領域(ゼロレーザエネルギー又は出力を含む)とを有する目標強度プロファイルを生成する。光学強度が上昇した(一又は複数の)領域のレーザエネルギー又は出力は、粘性状態にあるガラスリボンなどの基板の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに十分であり;光学強度が低下した(一又は複数の)領域のレーザエネルギー又は出力は、粘性状態にある基板の温度を上昇させ、粘度を低下させるには不十分である。幾つかの実施形態では、遮蔽アセンブリは、2つ以上の遮蔽と、遮蔽のそれぞれを光路に出し入れするために遮蔽の各々に関連付けられたアクチュエータとを含む。
【0008】
本開示のさらに他の実施形態は、ガラスリボンを成形するためのシステムに関する。該システムは、ガラス成形装置と制御装置とを含む。ガラス成形装置は、ガラスリボンを生成するように構成される。該制御装置は、レーザアセンブリと、遮蔽アセンブリとを含む。レーザアセンブリは、光路に沿って伝播方向に移動する細長いレーザビームを生成するように構成される。細長いレーザビームは、伝播方向に垂直な平面内に形状を有する。細長いレーザビームの形状は主軸を画成する。遮蔽アセンブリは、光路に選択的に配置された遮蔽を含む(すなわち、遮蔽アセンブリは、遮蔽が光路に配置又は位置づけられるという操作上の取り決め、及び遮蔽が光路に配置又は位置づけられないという他の操作上の取り決めを可能にするか、又は容易にする)。遮蔽は、細長いレーザビームの領域の光学強度を低下させるように構成される。遮蔽アセンブリは、主軸を横切る細長いレーザビームの強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変更するように構成される。制御装置は、目標強度プロファイルを有する細長いレーザビームを制御し、ガラスリボンに方向づけて、ガラスリボンの一部の厚さを減少させるように構成される。
【0009】
本開示のさらに他の実施形態は、ガラスリボンなどの基板の少なくとも1つの事前に選択された部分の厚さを制御する方法に関する。該方法は、伝播方向に移動する細長いレーザビームを生成する工程を含む。細長いレーザビームは、伝播方向に垂直な平面内に形状を含む。該形状は主軸を画成する。細長いレーザビームは、主軸を横切る強度プロファイルをさらに含む。細長いレーザビームの領域は、強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変化させるように遮蔽される。目標強度プロファイルは第1の領域と第2の領域とを含み、第2の領域の光学強度は第1の領域の光学強度より小さい。目標強度プロファイルを有する細長いレーザビームは、基板へと方向づけられる。これに関して、第1の領域は基板の第1の部分に対応し、第2の領域は基板の第2の部分に対応し、第1の部分における基板の厚さに減少を生じさせる。幾つかの実施形態では、該方法は、基板の厚さを監視する工程、及び光路に対して遮蔽を操作して、監視された厚さの関数として目標強度プロファイルを生成する工程をさらに含む。
【0010】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかとなり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含めた本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0011】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、さまざまな実施形態を説明しており、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図していることが理解されるべきである。添付の図面は、さまざまな実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載されるさまざまな実施形態を例証しており、その説明とともに、特許請求の範囲の主題の原理及び動作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の原理によるガラス成形装置及び制御装置を含むガラス製造システムの一部の概略的な斜視図。該システムは、ガラスリボンを生成するように動作する。
【
図2】
図1の制御装置とガラスリボンの概略的な上面図
【
図3A】ガラスリボンに衝突する、
図1の制御装置によって生成された細長いレーザビームの概略図
【
図3B】フラットトップモードでの細長いレーザビームのエネルギー強度プロファイルを概略的に示す図
【
図4A】
図1の制御装置で有用なレーザアセンブリに含まれ、放出されたレーザビームを変換する光学部品の簡略化された側面図
【
図4C】
図4A及び4Bの光学部品を通って伝播するレーザビームの簡略化された横方向の表現図
【
図4D】
図4A及び4Bの光学部品を通って伝播するレーザビームの簡略化された横方向の表現図
【
図4E】
図4A及び4Bの光学部品を通って伝播するレーザビームの簡略化された横方向の表現図
【
図5】
図1の制御装置で有用な別のレーザアセンブリの概略的な上面図
【
図6A】
図1の制御装置で有用な遮蔽アセンブリの簡略化された上面図
【
図6B】複数の遮蔽を含む、
図6Aの遮蔽アセンブリの簡略化された端面図
【
図6C】異なる構成で配置された複数の遮蔽を有する
図6Bの遮蔽アセンブリを示す図
【
図6D】異なる構成で配置された複数の遮蔽を有する
図6B及び6Cの遮蔽アセンブリを示す図
【
図7A】細長いレーザビームに対して第1の配向の遮蔽を示す、
図6Aの遮蔽アセンブリの一部の拡大された簡略化された上面図
【
図7B】
図7Aの配置の簡略化された端面図であり、遮蔽に接続されたアクチュエータをさらに示している。
【
図8A】細長いレーザビームに対して第2の配向の遮蔽を有する
図7Aの部分を示す図
【
図8B】細長いレーザビームに対して第2の配向の遮蔽を有する
図7Bの部分を示す図
【
図9A】ガラスリボン上に細長いレーザビームを放出するレーザアセンブリの概略的な上面図
【
図9B】
図9Aの配置でガラスリボンに衝突する細長いレーザビームの概略的な端面図
【
図10A】ガラスリボン上に細長いレーザビームを放出する本開示の制御装置の概略的な上面図
【
図10B】
図10Aの配置でガラスリボンに衝突する細長いレーザビームの概略的な端面図
【
図11A】ガラスリボン上に細長いレーザビームを放出する本開示の制御装置の概略的な上面図
【
図11B】
図11Aの配置でガラスリボンに衝突する細長いレーザビームの概略的な端面図
【
図12A】ガラスリボン上に細長いレーザビームを放出する本開示の制御装置の概略的な上面図
【
図12B】
図12Aの配置でガラスリボンに衝突する細長いレーザビームの概略的な端面図
【
図13】ガラスリボンに対して細長いレーザビームを放出する本開示の制御装置の概略的な上面図。該制御装置は遮蔽アセンブリを備えている。
【
図14A】細長いレーザビームに関連する、第1の構成における
図13の遮蔽アセンブリの簡略化された端面図
【
図15】第3の構成における遮蔽アセンブリを含む、
図13の制御装置の概略的な上面図
【
図16A】ガラスリボン上に細長いレーザビームを放出する本開示の制御装置の概略的な上面図
【
図16B】
図16Aの配置でのガラスリボンによる温度変化プロファイル経験を示す図
【
図17A】ガラスリボン上に細長いレーザビームを放出する本開示の制御装置の概略的な上面図
【
図17B】
図17Aの配置でガラスリボンに衝突する細長いレーザビームの概略的な端面図
【
図18】ガラスリボン上に細長いレーザビームを放出する本開示の制御装置の概略的な上面図
【
図19】ガラス成形装置に設置された本開示の制御システムの概略的な側面図
【
図25】本開示の原理による基板の厚さ制御のシミュレーションによって生成されたデータのプロット
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、ガラスリボン及びガラス製造動作など、基板の厚さを制御するための装置及び方法のさまざまな実施形態を詳細に参照する。可能な場合はいつでも、同一又は類似した部分についての言及には、図面全体を通して同じ参照番号が用いられる。
【0014】
例えば、ガラス又はプラスチック基板などの基板の製造では、製造される基板の厚さが不均一である場合がありうる。この不均一性は局所化する場合があり、この場合、不均一性は、幅全体から見たときに、基板の一部に幾らか離散して存在するであろう。他方では、場合によっては、基板の幅全体にわたって複数の不均一性が存在する可能性がある。
【0015】
通常、例えばガラス又はプラスチック基板などの基板の製造において、基板の特定の厚さの不均一性は、補正されない場合、基板が製造され続けるにつれて、引き続き顕在化し続ける。本開示の幾つかの態様によれば、これらの厚さの不均一性は、該不均一性がその後に製造される基板において実質的に排除できるように注意するために、識別され、事前に選択される。厚さの不均一性の修正は、基板が粘性状態にある間に、不均一性が存在する基板の部分の温度を上げ、粘度を下げることによって達成される。結果として、基板の各不均一部分のそれぞれの厚さは、以下でより詳細に説明されるように、その後に製造される基板において均一にされる。
【0016】
基板は、その粘度が、応力の適用に対する基板の応答が純粋な液体と弾性固体の挙動の中間であるようなものである限り、粘性状態にあると見なされる。基板の応答が弾性固体の応答である場合は常に、基板の厚さは、その用語が本明細書で使用され、適用される場合には、「固定」されていると見なされる。
【0017】
本開示の幾つかの態様は、連続的に形成されたガラスリボンが、厚さの不均一性の制御又は修正を促進する条件に供される、ガラスリボン製造システムを提供する。システム、装置、及び方法は、ガラスリボン又はガラスシートに有用であるとして本明細書で説明されているが、本開示のシステム、装置、及び方法は、プラスチック基板などの他の基板にも使用することができる。このことを考慮して、
図1は、本開示の原理による、幅W及び厚さTを有するガラスリボン22の形成に有用なシステム20の一実施形態を示している。該システム20は、概ね30で示されるガラス成形装置と、概ね32で示される制御装置とを含む。大まかに言えば、ガラス成形装置30は、ガラスリボン22を生成し、制御装置32は、細長いレーザビーム34をガラスリボン22上に方向づけることなどによって、ガラスリボン22の厚さTの不均一性を修正するか、又は不均一性に対処するように動作可能である。以下により詳細に説明するように、制御装置32は、細長いレーザビーム34をフォーマットして、幅Wにわたって適用されるレーザエネルギーを変化させる、ガラスリボン22における標的強度プロファイルを有するか又は示す。
【0018】
幾つかの非限定的な実施形態では、ガラス成形装置30はダウンドローガラス成形装置でありうる。ガラスリボン22などのガラス基板を製造し、ガラス成形装置30などの装置を使用するためのダウンドローガラス成形プロセスは、フュージョンプロセス、オーバーフロープロセス、又はオーバーフローダウンドロープロセスと呼ばれる。ガラス成形装置30及び制御装置32の概略図は、例えば、ガラスリボン22などのガラス基板の厚さの制御に関係する装置の態様、実施形態、及び方法の以下の説明に関して、本明細書で参照される。
【0019】
図1に示されるガラス成形装置30の実施形態には、開放チャネル52(一般に参照される)と、成形本体50のルート58を含む下側の頂点で収束する一対の収束成形面54、56とを含む成形本体(例えば、ウェッジ)50が含まれる。溶融ガラスは、開放チャネル52に送給され、その壁からあふれて流れ、それによって、成形表面54、56上を流れる2つの別個のフロー又は流れ60、62に分離する。溶融ガラスの別個の流れ60、62がルート58に到達すると、再結合又は融着して、ルート58から下降する粘性溶融ガラスの単一のリボン(すなわち、ガラスリボン22)を形成する。ほぼこの時点で、ガラスリボン22は粘性状態にあり、ガラスリボン22の厚さは固定されておらず、したがって、ガラスリボン22の厚さは、本開示の幾つかの態様に従って変更することができる。ガラスリボン22は、矢印64によって示されるように、ルート58から延伸される。例えば、引っ張りローラ(図示せず)又は同様の装置をルート58の下流に配置し、ガラスリボン22に張力を印加するように動作させることができる。引っ張りローラは、ルート58の十分に下に配置することができ、ガラスリボン22の厚さは実質的にその位置で固定される。引っ張りローラは、ガラスリボン22がルート58で形成されるときのガラスリボン22の厚さを確立する所定の速度で、ガラスリボン22をルート58から下向きに延伸する。本開示の態様は、基本的なプロセスが当業者によく知られている、片面オーバーフロープロセス又はスロットドロープロセスなどの他の基板(例えば、ガラスリボン)成形技術に等しく適用可能である。
【0020】
図1に示される態様では、制御装置32は、細長いレーザビーム34が粘性状態でガラス基板上に方向づけられ、それによって、ガラス基板の少なくとも1つの事前に選択された部分の厚さを変化させる場合に、例えば、粘性状態のガラスリボン22など、粘性状態のガラス基板の少なくとも1つの事前に選択された部分の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに適した細長いレーザビーム34を生成し、放出するように構成される。
図1の態様に示されるように、細長いプロファイルのレーザビーム34は、ガラスリボン22が粘性状態にある、成形本体50のルート58に隣接する位置で、ガラスリボン22に向けられる。しかしながら、細長いレーザビーム34は、ガラスリボン22が粘性状態にある他の位置で、ガラスリボン22に向けることができる。
【0021】
一態様では、ガラス基板の特性に依存して、粘性状態のガラス基板の粘度は、約100,000ポアズ(約10,000Pa・s)を超えるが、基板の厚さが固定されるほど大きくはないであろう。100,000ポアズ(約10,000Pa・s)を超えるが、厚さが固定されたときのガラス基板の粘度未満の粘度では、ガラス基板に熱を印加すると、熱が印加された時点でのガラス基板の粘度が効果的に低下し、基板の粘度がより低い場合に起こるような、ガラス基板内での熱の放散は生じない。
【0022】
ガラスリボンの少なくとも1つの事前に選択された部分の温度を上昇させ、粘度を低下させることを目的としたレーザビームの妥当性は、主に、粘性状態でのガラスリボンの特性、レーザビームの波長及び出力レベル、並びに、目的がガラス基板の限られた部分又は多数の事前に選択された部分の厚さを変更することであるかどうかの関数である。例えば、ガラス基板が単層を含む一態様によれば、レーザビームの波長は、該レーザビームがガラス基板によって実質的に吸収され、ガラス基板を容易に通過しないように選択されうる。
【0023】
上記を考慮して、
図2は、遮断形態の制御装置32の一実施形態を示している。制御装置32は、レーザアセンブリ100と遮蔽アセンブリ102とを含む。一般的には、レーザアセンブリ100は、伝播方向104に移動する細長いレーザビーム34(その外側の範囲が破線で表されている)を生成するように構成される。遮蔽アセンブリ102は、細長いレーザビーム34の一部の光学強度を低下させるようにそれぞれ構成された細長いレーザビーム34の光路に配置された1つ以上の遮蔽106(一般に描かれている)を含む。結果として、細長いレーザビーム34の光学強度プロファイルは、遮蔽アセンブリ102によって初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変更される。言い換えれば、レーザアセンブリ100によって生成される細長いレーザビーム34は、遮蔽アセンブリ102の光学的に前又は上流の初期強度プロファイル(一般に、
図2の領域108aによって識別される)を有しているか又は示す。初期強度プロファイルは、遮蔽アセンブリ102によって目標強度プロファイルへと変更される。したがって、結果として得られる目標強度プロファイルは、遮蔽アセンブリ102の後に又は下流に光学的に存在する(概して、
図2の領域108bによって識別される)。後述するように、細長いレーザビーム34の目標強度プロファイルは、厚さの不均一性を有すると指定されたガラスリボン22の部分に対し、より明確に影響を与えるように選択される。
【0024】
本開示全体を通して用いられる場合、細長いレーザビーム34の「形状」は、伝播方向104に垂直な平面内の細長いレーザビーム34の周囲形状又は範囲を基準としている。レーザアセンブリ100は、形状が細長くなる(例えば、円形ではない)ように、細長いレーザビーム34を生成するように構成される。例えば、細長いレーザビーム34は、
図3Aによって表されるように、伝播方向104に垂直な平面内に楕円形状を有することができる。楕円形であっても、又は楕円形でなくてもよく、又は楕円形を含んでもよい、他の細長い形状も許容される(例えば、細長い形状は線又は平面でありうる)。いずれにせよ、
図2と
図3Aの相互参照により、伝播方向104に垂直な平面内の(それ以外の場合は
図3Aのページの平面内にある)細長いレーザビーム34の細長い形状は、主軸110と、該主軸110に直交する非主軸112とを画成する。細長いレーザビーム34の形状の幅WLは主軸110に沿った寸法として定義され、高さHLは非主軸112に沿った寸法として定義される。細長いレーザビーム34は、それが空間を伝播するときに発散を経験する可能性があり、幾つかの実施形態では、この発散は、主軸110に沿って、より顕著であることが理解されよう。したがって、幅WL及び任意選択的に高さHLは、基準点とレーザアセンブリ100との間の距離の関数として変化しうる。しかしながら、レーザアセンブリ100は、細長いレーザビーム34がガラスリボン22に衝突する点で、細長いレーザビーム34の幅:高さ(WL:HL)のアスペクト比が4:1以上、任意選択的に10:1以上になるように、ガラスリボン22(又は対象とする他の基板)に対して構成及び配置される。幾つかの非限定的な実施形態では、ガラスリボン22における細長いレーザビーム34の幅WLは約60~1000ミリメートル(mm)であってよく、高さHLは約1~4mmでありうる。他の寸法もまた許容される。
図2はさらに、幾つかの実施形態では、レーザアセンブリ100が、ガラスリボン22(又は対象とする他の基板)上の衝突点で、細長いレーザビーム34の形状ガラスリボン22の幅W全体に及ぶように配置されることを反映している。例えば、細長いレーザビーム34がレーザアセンブリ100(及び/又は遮蔽アセンブリ102)から発散する場合、該レーザアセンブリ100は、衝突点で、細長いレーザビーム34の幅WLがガラスリボン22の幅Wに近似するか、又はそれより大きくなりうるように、ガラスリボン22から適切な距離に配置することができる。他の実施形態では、ガラスリボン22に対するレーザアセンブリ100の構成及び/又はレーザアセンブリ100の配置は、細長いレーザビーム34の幅WLが、衝突点でのガラスリボン22の幅Wよりも小さくなるようにすることができる。
【0025】
細長いレーザビーム34は、幅WLに沿ってさまざまなエネルギー分布プロファイルを有することができる。一般的には、細長いレーザビーム34のエネルギー分布プロファイルは、幅WLに沿って最大強度Imax(W)を示し;幅WLは、Imax(W)・e
-2の強度を有するビームの片側の点からImax(W)・e
-2の強度を有するビームの反対側の点までの幅方向の直線距離として定義することができ、ここでeはオイラーの無理数である。幾つかの実施形態では、細長いレーザビーム34は、非ガウスエネルギー分布プロファイルを有することができる。例えば、細長いレーザビーム34は、
図3Bに概略的に示されているように、幅WLに沿ってフラットトップモード分布を有することができる。「フラットトップモード」とは、所与の方向に沿ったレーザビームのエネルギー強度分布が実質的に非ガウスであることを意味し、例えば、その教示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第9,302,346号明細書に記載されているように、比較的平坦な上部を示す。本開示で有用なエネルギー分布プロファイルの他の例には、ガウスエネルギー分布プロファイル、Dモードエネルギー分布プロファイルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
レーザアセンブリ100は、上記のように細長いレーザビーム34を生成するのに適したさまざまな形態をとることができ、少なくとも1つのレーザ光源120を含む。一例として、レーザ光源120には、多数の商業的供給源から入手可能なタイプの二酸化炭素(CO2)レーザ発生器などの高強度赤外線レーザ発生器が含まれうる。CO2レーザ発生器によって生成される光の波長と生成される出力は可変であり、生成されるレーザビームは、ガラス基板の厚さの変動を補正するのに十分な、ガラスリボン22などの粘性状態のガラス基板の一部の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに十分であるように選択することができる。例えば、約9.4マイクロメートルから約10.6マイクロメートルの波長及び数千ワットの出力を有するレーザビームは、ガラスリボン22などの粘性状態のガラス基板の一部の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに適している可能性がある。しかしながら、異なるガラス基板は、異なる波長で異なる程度にレーザビームを吸収するため、約9.4マイクロメートルから約10.6マイクロメートルの範囲外の波長を使用することができる。例えば、他の実施形態では、使用できる有用な波長は約1マイクロメートルから約11マイクロメートルの範囲であり、レーザビームは、ファイバレーザ、固体レーザ、CO2レーザ、量子カスケードレーザ、レーザダイオードなどのさまざまな異なるレーザ光源によって生成される。さらに他の実施形態では、レーザ光源120は、各々が異なる特性(例えば、異なる波長)を有するレーザビームを放出するように構成された2つ以上のレーザ発生器を含む。少なくとも2つの波長の組み合わせにより、ガラス基板全体の温度のより正確な制御を促進することができる。例えば、細長いレーザビーム34は、約5マイクロメートルの波長を有する量子カスケードレーザ発生器から放出されるレーザビームと、約10.6マイクロメートルの波長を有するCO2レーザ発生器から放出されるレーザビームとの組合せとして生成することができ、また、CO2レーザ発生器から放出されるレーザビームのみと比較して、ガラス基板をその厚さ全体にわたってより均一に加熱することが可能になりうる。この場合、細長いレーザビーム34の量子カスケードレーザビーム部分は、ガラス基板の厚い層によって吸収され、一方、細長いレーザビーム34のCO2レーザビーム部分は、数十マイクロメートル後に完全に消耗する。2つのレーザ発生器の出力比を制御することにより、さまざまな温度プロファイルを生成することができる。局所的な熱プロファイルは、局所的な領域の熱張力と圧縮力とを制御することができ、したがって、ガラスの局所的な形状を変更することができる。レーザ厚さ制御の他のプロセス変数には、レーザ露光時間、エネルギーピーク幅、エネルギーピーク高さ、露光ガラス粘度、レーザ浸透深さ、及びガラス流量密度/流量が含まれうる。例えば、制御装置32は、細長いレーザビーム34が、ガラスリボン22への所望の熱流束深さを達成するのに適切な粘度、温度、厚さ、又は他の特性をガラスリボン22が有する位置で、ガラスリボン22に衝突するように配置することができる。この選択された位置での細長いレーザビーム34の波長、サイズ、露光時間などは、所望の熱プロファイルを達成するため、したがって厚さの変化を達成するために必要とされる粘度勾配をより正確に生成することができる。
【0027】
正確な構造に関係なく、レーザ光源120は、光源レーザビーム122を放出する。幾つかの実施形態では、レーザ光源120の構造は、光源レーザビーム122が、伸長されていない円形又は同様の形状を有するようなものである。これら及び関連する実施形態では、レーザアセンブリ100は、光源レーザビーム122を細長いレーザビーム34へと変更するためのさまざまな構成を組み込むことができる。例えば、幾つかの任意選択的な実施形態では、レーザアセンブリ100は、光源レーザビーム122の光路に配置された1つ以上の光学部品124をさらに含む。円形ビームを細長いビーム形状に変換するのに適切な光学部品、例えば、主に1つの軸に円形レーザビームを集束又は拡大するように配置された1つ以上のシリンドリカルレンズ及び/又は非球面レンズが当業者に知られている。
図4A及び4Bの1つの非限定的な例では、光学部品124は、円筒形の平凹レンズ130及び円筒形の平凸レンズ(例えば、矩形柱)132を含むことができる。光源レーザビーム122(レーザ光源120から放出される)は、円筒形の平凹レンズ130に入射し、拡大される(
図4A及び4Bでは中間レーザビーム134として識別される)。中間レーザビーム134は、円筒形の平凸レンズ142に入射し、主に一方向にさらに拡大され、結果として細長いレーザビーム34をもたらす。
図4C~4Eは、光学部品132によって形成されるような、伝播方向104に垂直な平面におけるレーザビームの形状の簡略化された図を提供している(すなわち、
図4Cは、円筒形の平凹レンズ130の前の光源レーザビーム122の形状を示しており;
図4Dは、平凹レンズ130の後かつ円筒形の平凸レンズ132の前の中間レーザビーム134の形状を示しており;
図4Eは、平凸レンズ132の後の細長いレーザビーム34の形状を示している)。
【0028】
図2に戻ると、円形ビームの変換に適した他の光学部品もまた使用することができる(例えば、1つ以上の非球面レンズ)。さらに他の実施形態では、細長いレーザビーム34は、2つ以上の重なり合うレーザビームの組合せによって生成することができる。本開示の原理に従った別の例示的なレーザアセンブリ140が
図5に示されている。レーザアセンブリ140は、各々が光源レーザビーム(それぞれ、144a、144b、144c、144dとして識別される)を放出する、レーザ光源142a、142b、142c、142dなどの複数のレーザ光源を含む。レーザ光源142a、142b、142c、142dは、光源レーザビーム144a、144b、144c、144dが互いに重なり合って、ガラスリボン22に細長いレーザビーム34を集合的に形成するように、互いに対して(例えば、並列で)、かつ、ガラスリボン22(又は他の基板)から適切な距離に、配置されている。
図5は、レーザ光源142a、142b、142c、142dのうちの4つを含むものとしてレーザアセンブリ140を示しているが、より大きい又はより小さい他の任意の数も許容される。
図5の例では、複数のレーザ光源は、ビームスキャナ(例えば、1つの長くて狭いレーザビームを生成する、回転する多面鏡を組み込んだレーザ光源)などの線状の光源レーザビームを放出するのに適したさまざまな形態をとることができる。
【0029】
図2に戻ると、遮蔽アセンブリ102は、概して、1つ以上の遮蔽又は遮蔽体106を光路に選択的に挿入することによって、主軸110を横切る細長いレーザビーム34の光学強度プロファイルを変更するように構成される(
図3A)。これを考慮して、遮蔽アセンブリ102の一例が、
図6A及び6Bにさらに詳細に示されている。遮蔽アセンブリ102は、1つ以上の遮蔽106、筐体150、1つ以上のアクチュエータ152、及びコントローラ154を含む。1つ以上の遮蔽106は、筐体150内に維持され、対応するアクチュエータ152によって、細長いレーザビーム34の光路に出入りするように選択的に操作される。アクチュエータ152の動作は、次に、コントローラ154によって制御される。この構造により、遮蔽アセンブリ102は、以下でより詳細に説明するように、細長いレーザビーム34に所望の目標強度プロファイルを生成するように動作可能である。
【0030】
図6A及び6Bの非限定的な例では、1つ以上の遮蔽106は、第1、第2、第3、第4、及び第5の遮蔽106a、106b、106c、106d、106eを含む。その大小にかかわらず、任意の他の数も同様に許容される。2つ以上の遮蔽106が提供される場合、遮蔽106は、サイズ、形状、及び/又は(一又は複数の)材料に関して類似又は同一であって構わないが、そうである必要はない。ともかく、幾つかの実施形態では、遮蔽106の各々は、光路に配置されたときに、細長いレーザビーム34が遮蔽106の隣接するもの同士の間を通過するのを防ぐ態様で、遮蔽106の隣接するもの同士が互いに重なり合う(例えば、第2の遮蔽106bが第1及び第3の遮蔽106a、106cと重なる)ように、選択された周囲/エッジ形状を有するプレート(例えば、長方形の遮断)でありうる。遮蔽106の各々の材料及び構造は、レーザビームエネルギーを部分的又は完全に遮断、吸収、又は散乱するように構成される。例えば、遮蔽106の各々(又は、入ってくる細長いレーザビーム34に面するように配置された遮蔽106の各々の少なくとも表面)は、レーザビームエネルギーを遮断、吸収、又は散乱するのに適した金属、セラミック、又は複合材料で形成することができる。さらには、そうでなければ入ってくる細長いレーザビーム34に面するように配置される遮蔽106の各々の少なくとも表面は、細長いレーザビーム34を散乱させ、細長いレーザビーム34のエネルギーを分散させる小さいトポロジー的特徴(例えば、細孔、リブなど)を有することができる。幾つかの非限定的な例では、遮蔽106の各々(又は、そうでなければ入ってくる細長いレーザビーム34に面するように配置される遮蔽106の各々の少なくとも表面)は、独立気泡又は多孔質の金属又はセラミック、例えば酸化アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、炭化ケイ素などで形成することができる。Ever-Guard(登録商標)の商品名でKentek Corp.(米国ニューハンプシャー州ピッツフィールド所在)から入手可能なレーザ遮蔽材料を、1つ以上の遮蔽106として使用することができる。
【0031】
筐体150は、作用を受ける基板(例えば、ガラスリボン22(
図1))の環境において、遮蔽106(及び、任意選択的にアクチュエータ152及び他の任意選択的な構成要素)を収容及び維持するのに適切なさまざまな形態をとることができる。例えば、以下でより詳細に説明される幾つかの実施形態では、筐体150は、熱及び/又は湿気保護を提供するシュラウドであってよく、又はそれに類似するものとすることができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、アクチュエータ152のそれぞれ1つが、遮蔽106の各々に提供される。したがって、
図6Bは、第1、第2、第3、第4、及び第5のアクチュエータ152a、152b、152c、152d、152eを含むものとして遮蔽アセンブリ102を示しているが、遮蔽106の数に対応する他の任意の数も同様に許容される。他の実施形態では、アクチュエータ152のうちの1つを、遮蔽106のうちの2つ(又はそれ以上)に関連付けることができる。アクチュエータ152の各々は、少なくとも、対応する遮蔽106を細長いレーザビーム34の光路に出入りさせるのに適切な機械的及び/又は空気圧構成を有することができる。
図6Bの非限定的な例では、アクチュエータ152の各々は、対応する遮蔽106を上下させるように構成される(例えば、第1のアクチュエータ152aは、第1の遮蔽106aを上下させるように動作するなど)。参考として、
図6Bの図では、第1から第5のアクチュエータ152a~152eの各々は、細長いレーザビーム34の光路内に対応する遮蔽106a~106eを配置するように動作しており;
図6Cの図では、第2及び第4のアクチュエータ152b、152dは、対応する第2及び第4の遮蔽106b、106dを細長いレーザビーム34の光路から下げるように動作している。言い換えれば、
図6Cの配置では、細長いレーザビーム34の一部は、第1、第3、及び第5の遮蔽106a、106c、106eによって遮断されるか、そうでなければ影響を受け、細長いレーザビーム34の他の部分は、第1の遮蔽106aと第3の遮蔽106cとの間の位置で(すなわち、第2の遮蔽106bの位置は、光路に配置された第2の遮蔽106bである)、及び第3の遮蔽106cと第5の遮蔽106eとの間の位置で(すなわち、第4の遮蔽106dの位置は、光路に配置された第4の遮蔽106dである)、自由に通過するか、そうでなければ遮蔽アセンブリ102による影響を受けない。幾つかの実施形態では、遮蔽アセンブリ102は、遮蔽106の1つ以上が細長いレーザビーム34の部分的遮断をもたらすように配置されうる。例えば、
図6Dの例示的な配置では、第1及び第5の遮蔽106a、106eは、細長いレーザビーム34の高さHL全体を包含するか又は遮断するように配置されており、第2及び第4の遮蔽106b、106dは、細長いレーザビーム34の完全に外側に配置されており(例えば、遮断なし)、第3の遮蔽106cは、細長いレーザビーム34の部分的な遮断をもたらすように配置されている(例えば、第3の遮蔽106cは、高さHLの全体ではなく、一部に沿って延在する)。
【0033】
幾つかの任意選択的な実施形態では、アクチュエータ152の1つ以上は、対応する遮蔽106を選択的に回転させるようにさらに構成される(例えば、モーター駆動回転、空気圧駆動回転など)。さらなる説明として、
図7A及び7Bは、細長いレーザビーム34の部分及び伝播方向104とともに、遮蔽106の1つ及びアクチュエータ152の対応する1つを分離して示している。遮蔽106の形状は主面160を画成する。
図7A及び7Bの構成では、遮蔽106は、主面160が、伝播方向104に略垂直(すなわち、真に垂直な配置から5度以内)になるように配置される。アクチュエータ152が遮蔽106を選択的に回転させるようにさらに構成された任意選択的な実施形態では、遮蔽106を、例えば、
図8A及び8Bの配置へと回転させることができる。示されるように、遮蔽106は、主面160が伝播方向104に対して略垂直ではなく、代わりに(伝播方向104に対して)非垂直かつ非平行な配向になるように回転又は配置されている。
図7A及び7Bを
図8A及び8Bと比較すると、伝播方向104に対して遮蔽106を回転させると、遮蔽106が細長いレーザビーム34に提示する障害物の表面積又は「サイズ」が縮小することがわかる。特に、主面160が
図7A及び7Bのように伝播方向104に略垂直に配置される場合、遮蔽106によって細長いレーザビーム34に提示されるレーザビーム障害物の領域(一般に
図7Aに162で表される)が最大化される。
図8A及び8Bのように主面160が伝播方向104に略垂直にならないように遮蔽106を回転させると、レーザビーム障害物の領域(一般に
図8Aに162’で表される)のサイズが縮小する。
【0034】
図6A~6Cに戻ると、コントローラ154は、アクチュエータ152の各々に電子的に接続されたコンピュータ又はコンピュータ様デバイス(例えば、プログラマブルロジックコントローラ)でありうるか、又はそれらを含むことができる。コントローラ154は、アクチュエータ152の各々の動作を指示し、したがって、細長いレーザビーム34の光路に対する(すなわち、細長いレーザビーム34の光路内、又は光路外の)遮蔽106の各々の位置を指示する。コントローラ154は、以下により詳細に説明されるように、遮蔽106の所望の配置を識別する1つ以上のアルゴリズムを用いてプログラミングされてよく、あるいは、プログラミングで動作することができる(例えば、ソフトウェア、ハードウェアなど)。幾つかの任意選択的な実施形態では、コントローラ154は、
図2に示されるように、レーザ光源120などの他の構成要素の動作を制御するように電子的にプログラムされてもよい。
【0035】
図2に戻ると、使用中、制御装置32は、目標強度プロファイルを有する細長いレーザビーム34をガラスリボン22に放出し、該目標強度プロファイルは、細長いレーザビーム34の幅WLにわたり、レーザエネルギー又は光学強度が比較的高い1つ以上の領域と、レーザエネルギー又は光学強度がない(又は比較的低い)1つ以上の領域とを有している。レーザエネルギー又は光学強度が比較的高い(一又は複数の)領域は、厚さTの減少をもたらすのに十分な、ガラスリボン22における温度の上昇及び対応する粘度の低下をもたらすが、レーザエネルギー又は光学強度がない(又は比較的低い)領域はそうではない。したがって、ガラスリボン22の幅Wの全体は、幾つかの実施形態では、細長いレーザビーム34の幅WL(
図3A)内にありうるが、幅Wにわたるガラスリボン22の選択された部分は比較的高いレーザエネルギー又は光学強度にさらされるのに対し、幅Wにわたる細長いレーザビーム34の幅WL内にあるガラスリボン22の他の部分はさらされない。したがって、目標強度プロファイルは、ガラスリボン22の所望の選択された部分に対応しており、遮蔽アセンブリ102によって細長いレーザビーム34に付与される。
【0036】
細長いレーザビーム34の光学強度プロファイル(レーザアセンブリ100によって初期に生成された)を目標強度プロファイルに修正する際の遮蔽アセンブリ102の動作は、それ以外の場合は細長いレーザビーム34をガラスリボン22に放出するレーザアセンブリ100を表す、
図9Aを最初に参照してさらに説明される。
図9Aの描写では、上述の遮蔽106(
図6)は細長いレーザビーム34の光路内にない。言い換えれば、レーザアセンブリ100によって生成される細長いレーザビーム34の強度プロファイルは、ガラスリボン22に衝突する前に修正又は変更されていない。
図9Bは、
図9Aのシナリオの下でのガラスリボン22上の細長いレーザビーム34の簡略化された描写である。
図9Bの細長いレーザビーム34の陰影は、ガラスリボン22に印加されているレーザエネルギーを表している。レーザエネルギーは、細長いレーザビーム34の形状内のガラスリボン22のすべての領域でガラスリボン22に印加されている。
図9Aに戻ると、ガラスリボン22における細長いレーザビーム34の強度プロファイル170の描写は、トレース又はプロット線によって示されている。細長いレーザビーム34の強度プロファイル170は、細長いレーザビーム34の幅WL全体にわたって、したがってガラスリボン22の幅W全体にわたって一貫している。光路に遮蔽又は障害がないという点で、
図9Aに示される強度プロファイル170は、レーザアセンブリ100によって生成される細長いレーザビーム34の初期強度プロファイルである。初期強度プロファイル170は、広く平坦なプラトー形状を有していてよく;
図9Bに表されるように、この初期強度プロファイル170は、中断することなく、ガラスリボン22の幅W全体にわたってレーザエネルギーを印加する。
【0037】
図10Aの図では、遮蔽106の1つは、遮蔽アセンブリ102(一般的に参照される)の動作を介して、細長いレーザビーム34に挿入される。すなわち、レーザアセンブリ100のレーザビーム出力及びガラスリボン22に対する関係は、
図9A及び10Aにおいて同一であるが、
図9Aの配置とは異なり、
図10Aでは、遮蔽106が細長いレーザビーム34の光路に挿入される。非限定的な例として、
図6B及び6Cの遮蔽アセンブリ102の例を参照すると、遮蔽アセンブリ102は、第3の遮蔽106cを光路に配置し、第1、第2、第4、及び第5の遮蔽106a、106b、106d、106eを光路から後退させるように動作させることができる。
図10Aに戻ると、遮蔽106は、細長いレーザビーム34が伝播方向104(
図2)に移動し、ガラスリボン22に衝突するときに、細長いレーザビーム34の一部を遮る(
図10Aに180で概略的に表される)。遮蔽106は、ガラスリボン22において、細長いレーザビーム34が目標強度プロファイル182を有するように、細長いレーザビーム34の領域の光学強度を低下させる。光学強度が低下した領域は184で識別される。さらに明確にするために、
図9Aの初期強度プロファイル170が遮蔽106の光学的に前又は上流の
図10Aの細長いレーザビーム34の強度プロファイルを表していることを思い出していただきたい;初期強度プロファイル170と目標強度プロファイル182との比較は、光学強度が低下した領域184を生成する際の遮蔽106の効果を示している。さらには、
図10Bは、
図10Aのシナリオの下でのガラスリボン22上の細長いレーザビーム34の簡略化された描写である。
図10Bの細長いレーザビーム34の陰影は、ガラスリボン22に印加されているレーザエネルギーを表しており;示されるように、光学強度が低下した領域184は、ガラスリボン22の幅Wにわたる細長いレーザビーム34の光学強度の中断である。
【0038】
幾つかの実施形態では、遮蔽106は、閉塞部分180で細長いレーザビーム34を完全に遮断する。
図10Bは、これらの状況下では、光学強度が低下した領域184において、レーザエネルギーがガラスリボン22に衝突しないことを示している。他の実施形態では、幾らかのレーザエネルギーが遮蔽106及び/又はその周りを通過することができ、幾らかのレーザエネルギーは光学強度が低下した領域184でガラスリボン22に到達する。ともかく、ガラスリボン22における目標強度プロファイル182は、光学強度が低下した領域184と、光学強度が上昇した1つ以上の領域(
図10A及び10Bで識別される領域186など)とを含む。細長いレーザビーム34の光学強度は、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域186と比較して、光学強度が低下した領域184の方が低い。光学強度が上昇した(一又は複数の)領域186でガラスリボン22に印加されるレーザエネルギーは、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域186でガラスリボン22の部分の厚さを低下させるのに十分に、ガラスリボン22(粘性状態)の温度を上昇させ、粘度を低下させる。逆に、光学強度が低下した領域184でガラスリボン22に印加されるレーザエネルギーは、もしあれば、光学強度が低下した領域184においてガラスリボン22の温度を上昇させるのに十分ではないか、あるいは、光学強度が低下した領域184でのガラスリボン22の厚さの減少が、もしあれば、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域186よりも少なくなるように、(光学強度が上昇した(一又は複数の)領域186と比較して)より少ない程度で、光学強度が低下した領域184でガラスリボン22の温度を上昇させ、粘度を低下させる。
【0039】
図10Aは、遮蔽アセンブリ102の配置の1つの非限定的な例である。
図11Aは、遮蔽アセンブリ102(一般に参照される)が、細長いレーザビーム34の光路に遮蔽106b、106dとして識別される2つの遮蔽を挿入するように動作する、別の可能な配置を示している。すなわち、レーザアセンブリ100のレーザビーム出力及びガラスリボン22に対する関係は、
図9A及び11Aにおいて同一であるが、
図9Aの配置とは異なり、遮蔽106b、106dは、
図11Aでは細長いレーザビーム34の光路に挿入される。非限定的な例として、
図6B及び6Cの遮蔽アセンブリ102の例を参照すると、遮蔽アセンブリ102は、第2及び第4の遮蔽106b、106dを光路に配置し、第1、第3、及び第5の遮蔽106a、106c、106eを光路から後退させるように動作させることができる。いずれにせよ、
図11Aに戻ると、遮蔽106b、106dはそれぞれ、細長いレーザビーム34が伝播方向104(
図2)に移動し、ガラスリボン22に衝突するときに、細長いレーザビーム34の一部を遮る(
図11Aに、それぞれ、190及び192で概略的に表される)。遮蔽106b、106dはそれぞれ、ガラスリボン22において、細長いレーザビーム34が目標強度プロファイル194を有するように、細長いレーザビームの領域34の光学強度を低下させる。光学強度が低下した対応する第1及び第2の領域は、それぞれ、196及び198で識別される。さらに明確にするために、
図9Aの初期強度プロファイル170が、遮蔽106b、106dの光学的に前又は上流の
図11Aの細長いレーザビーム34の強度プロファイルを表していることを思い出していただきたい;初期強度プロファイル170と目標強度プロファイル194との比較は、光学強度が低下した領域196、198を生成する際の遮蔽106b、106dの効果を示している。さらには、
図11Bは、
図11Aのシナリオの下でのガラスリボン22上の細長いレーザビーム34の簡略化された描写である。
図11Bの細長いレーザビーム34の陰影は、ガラスリボン22に印加されているレーザエネルギーを表しており;示されるように、光学強度が低下した領域196、198は、ガラスリボン22の幅Wにわたる細長いレーザビーム34の光学強度の中断である。
【0040】
ガラスリボン22における目標強度プロファイル194は、光学強度が低下した領域196、198と、光学強度が上昇した1つ以上の領域(
図11A及び11Bで識別される領域200など)とを含む。細長いレーザビーム34の光学強度は、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域200と比較して、光学強度が低下した領域196、198の方が低い。光学強度が上昇した(一又は複数の)領域200でガラスリボン22に印加されるレーザエネルギーは、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域200でガラスリボン22の部分の厚さを低下させるのに十分に、ガラスリボン22(粘性状態)の温度を上昇させ、粘度を低下させる。逆に、光学強度が低下した領域196、198でガラスリボン22に印加されるレーザエネルギーは、もしあれば、ガラスリボン22の温度を上昇させるのに十分ではないか、あるいは、光学強度が低下した領域196、198でのガラスリボン22の厚さの減少が、もしあれば、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域200よりも少なくなるように、(光学強度が上昇した(一又は複数の)領域200と比較して)より少ない程度で、ガラスリボン22の温度を上昇させ、粘度を低下させる。
【0041】
図7A~8Bに関して前述したように、幾つかの実施形態では、遮蔽アセンブリ102は、伝播方向104に対する1つ以上の遮蔽106の回転を容易にするように構成することができる。これを考慮して、
図12Aは、第4の遮蔽106dが伝播方向104に対して回転していることを除き、
図11Aのものと非常に類似した遮蔽アセンブリ102の別の可能な配置を示している(すなわち、第2及び第4の遮蔽106b、106dは、細長いレーザビーム34の光路を対象としている)。この場合も、遮蔽106b、106dはそれぞれ、細長いレーザビーム34が伝播方向104に移動し、ガラスリボン22に衝突するときに、細長いレーザビーム34の一部を遮る(
図12Aに、それぞれ、190及び210で概略的に表される)。遮蔽106b、106dはそれぞれ、ガラスリボン22において、細長いレーザビーム34が目標強度プロファイル212を有するように、細長いレーザビーム34の領域の光学強度を低下させる。光学強度が低下した対応する第1及び第2の領域は、それぞれ、196及び214で識別される。
図11A及び12Aの比較は、第4の遮蔽106dを回転させることにより、光学強度が低下した対応する領域214のサイズ(ガラスリボン22の幅Wに対して)が(
図11Aの光学強度が低下した領域198と比較して)縮小することを明らかにする。さらには、
図12Bは、
図12Aのシナリオの下でのガラスリボン22上の細長いレーザビーム34の簡略化された描写である。
図12Bの細長いレーザビーム34の陰影は、ガラスリボン22に適用されたレーザエネルギーを表しており;示されるように、光学強度が低下した領域196、214は、それぞれ、ガラスリボン22の幅Wにわたる細長いレーザビーム34の光学強度の中断であり、第4の遮蔽106dによって生成された光学強度が低下した領域214のサイズは、第2の遮蔽106bによって生成された光学強度が低下した領域196のサイズよりも小さい。
【0042】
ガラスリボン22における目標強度プロファイル212は、光学強度が低下した領域196、214と、光学強度が上昇した1つ以上の領域(
図12A及び12Bで識別される領域216など)とを含む。細長いレーザビーム34の光学強度は、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域216と比較して、光学強度が低下した領域196、214の方が低い。光学強度が上昇した(一又は複数の)領域216でガラスリボン22に印加されるレーザエネルギーは、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域216でガラスリボン22の厚さを低下させるのに十分に、ガラスリボン22(粘性状態)の温度を上昇させ、粘度を低下させる。逆に、光学強度が低下した領域196、214でガラスリボン22に印加されるレーザエネルギーは、もしあれば、ガラスリボン22の温度を上昇させるのに十分ではないか、あるいは、光学強度が低下した領域196、214でのガラスリボン22の厚さの減少が、もしあれば、光学強度が上昇した(一又は複数の)領域216よりも少なくなるように、(光学強度が上昇した(一又は複数の)領域216と比較して)より少ない程度で、ガラスリボン22の温度を上昇させ、粘度を低下させる。
【0043】
遮蔽106は、概して、プレート状で示されているが、他の構造もまた許容される。例えば、本開示の原理による別の制御装置250の一部が、ガラスリボン22とともに
図13に示されている。制御装置250は、遮蔽アセンブリ252とともに、上記のようなレーザアセンブリ100を含む。上記説明に相応して、レーザアセンブリ100は細長いレーザビーム34を放出するように動作し、遮蔽アセンブリ252は細長いレーザビーム34の領域の光学強度を低下させるように動作する。結果として、細長いレーザビーム34はガラスリボン22との衝突点において目標強度プロファイルを有する。
【0044】
遮蔽アセンブリ252は、筐体(又はシュラウド)254と複数のピン256とを含む。筐体254は、本開示に記載される任意の形態をとることができ、概して、細長いレーザビーム34の光路にピン256を配置する態様で、レーザアセンブリ100及びガラスリボン22に対して設置するように構成される。ピン256はそれぞれ、上記のようにレーザビームエネルギーを吸収、遮断、又は散乱する材料で形成されている。ピン256は、格子又はアレイ状のフォーマットで、例えば第1及び第2の列258、260として、筐体254内に配置することができるが、他の列数(2より多い又は少ない)もまた許容される。また、列258、260の各々に提供されるピン256の数は、
図13の簡略化された表現によって反映されるものよりも多くても少なくてもよい(例えば、ピン256の各々のサイズ又は直径の関数として)。ともかく、ピン256は、細長いレーザビーム34の光路に対して選択的に操作することができる。例えば、遮蔽アセンブリ252は、筐体254の内外への個々のピン256の手動での挿入/取り外しを可能にする方法で、ピン256の各々を支持する棚(図示せず)又は同様の構造を含むことができる。代替的に又は加えて、遮蔽アセンブリ252は、光路の内外のいずれかに個々のピン256を選択的に配置するように、筐体254に対するピン256の自動的な移動を容易にする1つ以上の機構(図示せず)を含むことができる。さらなる説明として、
図14Aの図に見られるピン256のそれぞれは、細長いレーザビーム34の光路に配置されている。
図13をさらに参照すると、
図14Aは、第1の列258のピン256を示しており、第2の列260のピン256は
図14Aでは隠されていることが理解されよう。ピン256の2つ(又はそれ以上)の列を任意選択的に含めることにより、細長いレーザビーム34の所望の領域でレーザビームエネルギーをより完全に遮断する能力を高めることができる。例えば、第1の列258のピン256のうちの2つの直接隣接するもの間で望ましくない「漏出」をするレーザビームエネルギーは、それ以外の場合は第1の列258のピン256のすぐ後ろに位置する、第2の列260のピン256によって遮断、吸収、又は散乱されうる。ピン256の2つ以上の列は、後述するように、他のレーザビーム強度制御オプションを提供することができる。
【0045】
使用中、遮蔽アセンブリ252のピン256は、所望の目標強度プロファイルを達成するように構成することができる。
図14Bは、ピン256の幾つかが(第1及び第2の列258、260の両方から(
図13))取り外されており、結果として開放セグメント262をもたらす、遮蔽アセンブリ252の1つの可能な配置を提供する。細長いレーザビーム34は、開放セクション262を除き、ピン256によって遮断(又は放散)される。遮蔽アセンブリ252を出る細長いレーザビーム34の結果として得られる目標強度プロファイルは、セクション262に対応する光学強度が上昇した領域と、ピン256に対応する領域における光学強度が低下した(例えば、ゼロ光学強度)領域とを有する。したがって、ピン256の配置は、所望の目標強度プロファイルを生成するように選択することができる。
【0046】
ピン256の別の可能な配置が
図15に示されている。第1及び第2の列258、260のピン256は、開放セクション264では取り外されており、第1の列258のピン256の1つおきのピンは部分開放セクション266で取り外されている(例えば、第2の列260のピン256は、部分開放セクション266に存在している、又は取り外されていない)。これ及び同様の構造では、細長いレーザビーム34の光学強度は、開放セクション264では遮蔽アセンブリ252によって影響を受けたり低下させられたりせず、部分開放セクション266では部分的に低下させられ(しかしながら、完全に遮断されず)、他のすべてのセグメントでは完全に遮断される(すなわち、部分開放セクション266よりも大幅に遮断される)。遮蔽アセンブリ252を出る細長いレーザビーム34の結果として得られる目標強度プロファイルは、開放セクション264に対応する光学強度が上昇する領域、部分開放セクション266に対応する中間の光学強度の領域、及び他のすべての位置での光学強度が低下する領域(例えば、ゼロ光学強度)を有する。中間の光学強度の領域の光学強度は、光学強度が上昇した領域の光学強度よりも低く、光学強度が低下した領域の光学強度よりも大きくなる。したがって、伝播方向104に垂直な方向に遮蔽アセンブリ252からピン256のすべてではないが幾つかを取り外すことによって、所望の態様で、完全に排除することなく、細長いレーザビーム34の強度を低下させることができる。
【0047】
図1に戻ると、本開示の制御装置32は、任意選択的に、ガラスリボン22などの基板の幅全体にわたる制御された厚さの修正をさらに容易にする、1つ以上の追加の特徴を含むことができる。例えば、本開示の原理による別の制御装置270の一部が、ガラスリボン22とともに、
図16Aに簡略化された形態で示されている。制御装置270は制御装置32(
図2)に類似しており、冷却アセンブリ272とともに、上述のようなレーザアセンブリ100及び遮蔽アセンブリ102(一般に参照される)を含む。上記の説明に相応して、レーザアセンブリ100は、細長いレーザビーム34を放出するように動作し、遮蔽アセンブリ102は、(1つ以上の遮蔽106を光路に挿入することなどによって)細長いレーザビーム34の領域の光学強度を低下させるように動作する。結果として、細長いレーザビーム34は、ガラスリボン22との衝突点において、目標強度プロファイル(トレース又はプロット線274によって表される)を有する。冷却アセンブリ272は、冷却媒体276の流れをガラスリボン22の1つ以上の選択された部分に、あるいはガラスリボン22の方向に方向づけるように動作するが、実際にはガラスリボン22に衝突せず、したがって、後述するように、選択された部分においてガラスリボン22から熱を抽出する。明確化のポイントとして、冷却媒体276の流れは、
図16Aに概略的に表されており、細長いレーザビーム34が冷却媒体276の流れによって妨害又は変更されていることを必ずしも意味するものではない。
【0048】
冷却アセンブリ272は、冷却媒体をガラスリボン22上に方向づけるのに適したさまざまな形態をとることができる。例えば、冷却アセンブリ272は、送達管280と流量コントローラ282とを含むことができる。送達管280は、概して、冷却媒体276(空気などの気体、液体など)の流れを、分配端部284から集束パターンで方向付けるように構成される。例えば、送達管280は、分配端部284にノズルを備えていてもいなくてもよい、小径の管でありうる。流量コントローラ282は、冷却媒体の供給源(例えば、加圧された空気供給源)(図示せず)と流体連通しており、該供給源から送達管280への冷却媒体の送達を調節する。幾つかの実施形態では、冷却アセンブリ272は、(例えば、分配端部284とガラスリボン22との間の距離を伸長又は短縮して、ガラスリボン22の幅Wに対して分配端部284をシフトさせるなど)ガラスリボン22に対して分配端部284を選択的に配置するように動作可能な1つ以上の機構又は支持体(図示せず)をさらに含むことができる。冷却アセンブリ272は単一の送達管280からなるものとして示されているが、他の実施形態では、2つ以上の送達管280が提供されてもよい。これら及び関連する実施形態では、個別の流量コントローラ282を個々の送達管280のそれぞれに提供することができ;あるいは、2つ以上の送達管280を流量コントローラ282のうちの1つに接続することができる。さらに他の実施形態では、冷却アセンブリ272は、ガラスリボン22の反対側(レーザアセンブリ100の反対側)に配置することができ;関連する実施形態では、1つ以上の冷却アセンブリ272をガラスリボン22の両側に配置することができる。
【0049】
使用中、細長いレーザビーム34は、目標強度プロファイル274を有するガラスリボン22に方向づけられる。多数の異なる目標強度プロファイルは、遮蔽アセンブリ102によって実現することができるが、
図16Aの例では、目標強度プロファイル274は、光学強度が低下した領域290と、光学強度が上昇した第1、第2、及び第3の領域292、294、296とを含む。光学強度が上昇した第1、第2、及び第3の領域は、それぞれ、第1、第2、及び第3の部分300、302、304においてガラスリボン22に衝突する。冷却アセンブリ272は、同時に動作して、第3の部分304(すなわち、光学強度が上昇した第3の領域296に対応する位置)において冷却媒体276の流れをガラスリボン22に方向づける。細長いレーザビーム34は、光学強度が上昇した第3の領域296を介して、ガラスリボン22の第3の部分304の温度を上昇させるように作用する一方で、冷却媒体276の流れが同時に第3の部分304を冷却する。結果として、第3の部分304でガラスリボン22が経験する温度の上昇(もしあれば)は、(それぞれ、光学強度が上昇した第1及び第2の領域292、294がガラスリボン22に衝突する)第1及び第2の部分300、302と比較して小さく、その結果、第3の部分304におけるガラスリボン22の粘度の低下(もしあれば)及び対応する厚さの低下(もしあれば)もまた第1及び第2の部分300、302と比較して小さくなる。
図16Bのトレース又はプロット線306は、
図16Aの配置の下でのガラスリボン22の幅Wにわたる温度の上昇を示している。示されるように、第3の部分304での正味の温度上昇は、冷却媒体276の流れに起因して、第1及び第2の部分300、302における温度上昇よりも小さい。これら及び同様の実施形態では、冷却アセンブリ272は、遮蔽アセンブリ102を再構成することなく、ガラスリボン22の温度プロファイルを「微調整」するように動作させることができる。
【0050】
本開示の原理による別の制御装置310の一部が、ガラスリボン22とともに、
図17Aに簡略化された形態で示されている。制御装置310は、制御装置32(
図2)に類似しており、強度アセンブリ312(一般に参照される)とともに、上述のようにレーザアセンブリ100及び遮蔽アセンブリ102(一般に参照される)を含む。上記の説明に相応して、レーザアセンブリ100は、細長いレーザビーム34を放出するように動作し、遮蔽アセンブリ102は、
図17Aで識別される第1及び第2の遮蔽314a、314bなど、1つ以上の遮蔽を光路に挿入することによって細長いレーザビーム34の領域の光学強度を低下させるように動作する。
図17Aの非限定的な実施形態では、遮蔽アセンブリ102は、
図12A及び12Bに関して上述したものと同様に構成又は配置されている。さらには、少なくとも第2の遮蔽314bは、レーザビームエネルギーを反射する表面(例えば、ミラー)を提示する。
【0051】
強度アセンブリ312は反射体316を含む。反射体316の少なくとも表面は、レーザビームエネルギーを反射する材料(例えば、ミラー)で形成されている。反射体316は、概して平面であるように示されているが、他の形状又はレーザビームに影響を与える特徴を使用することができる。強度アセンブリ312は、遮蔽アセンブリ102に対して反射体316を選択的に配置するように動作可能な1つ以上の機構又は支持体(図示せず)をさらに含むことができる(例えば、第2の遮蔽314bなどの遮蔽に向かって、又は遮蔽から離れて、回転するなど)。ともかく、強度アセンブリ312は、
図17Aの配置における第2の遮蔽314bなどの1つ以上の遮蔽によってそこに方向づけられたレーザビームエネルギーを反射するように反射体316を配置し、かつ、概して
図17Aの線318で示されるように、そのように反射されたレーザビームエネルギーをガラスリボン22の所望の部分に方向づけるように構成される。
【0052】
上記の構造では、制御装置310は、ガラスリボン22にレーザエネルギーを目標強度プロファイルで送達するように動作し、その例が
図17Aのトレース又はプロット線320によって示されている。
図17Aの非限定的な配置(遮蔽アセンブリ102及び強度アセンブリ312の構成を含む)では、目標強度プロファイル320は、それぞれ、光学強度が上昇した第1、第2、及び第3の領域322、324、326と、光学強度が低下した領域328(そのうちの1つが
図17Aにラベル付けされている)とを含む。参考として、目標強度プロファイル320は、細長いレーザビーム34(遮蔽アセンブリ102によって修正される)と反射レーザエネルギー318との組合せを表している。強度アセンブリ312なしでは、目標強度プロファイルは、代わりに、
図12Aに示される目標強度プロファイル212に類似するであろう。反射レーザエネルギー318は、(光学強度が上昇した第2及び第3の領域324、326と比較して)光学強度が上昇した第1の領域322の強度を上昇させるのに役立つ。結果として、ガラスリボン22は、光学強度が上昇した第2及び第3の領域324、326が衝突するガラスリボン22の部分と比較して、光学強度が上昇した第1の領域322に対応する部分において、より大きい温度上昇及び粘度低下を経験する。
図17Bは、
図17Aのシナリオの下でのガラスリボン22状のレーザエネルギーの簡略化された表現である。
図17Bの陰影は、ガラスリボン22に印加された細長いレーザビーム34を表しており;示されるように、光学強度が低下した領域328は、それぞれ、ガラスリボン22の幅Wにわたるレーザエネルギーの光学強度の中断である。
【0053】
図2に戻ると、幾つかの実施形態では、本開示の制御装置は、(上述の他の任意選択的な特徴とともに)制御装置32について示されているレーザアセンブリ100及び遮蔽アセンブリ102などの単一のレーザアセンブリ及び単一の遮蔽アセンブリを含むことができる。他の実施形態では、2つ以上のレーザアセンブリ100と、対応する数の遮蔽アセンブリとを含むことができる。例えば、
図18は、第1、第2、第3及び第4の制御ユニット352a、352b、352c、352dなど、複数の制御ユニット352を含む別の実施形態の制御装置350を示している。4つの制御ユニット352が示されているが、それよりも多い又は少ない他の任意の数もまた許容される。幾つかの実施形態では、制御ユニット352の各々は、例えば、各々が上述のように(第1の制御ユニット352aについてラベル付けされた)レーザアセンブリ100及び遮蔽アセンブリ102を含む、係属中の本開示に記載されている制御装置の1つ以上に類似した同様の構造を有することができる。制御ユニット352の各々は、細長いレーザビーム、例えば
図18で識別される細長いレーザビーム354a、354b、354c、354dを放出するように動作する。制御ユニット352は、細長いレーザビーム354a、354b、354c、354dがそれぞれガラスリボン22のセクションに衝突し、ガラスリボン22の幅Wの全体(又はほぼ全体)を集合的に包含するように配置されている。制御ユニット352のそれぞれの動作(例えば、対応する遮蔽アセンブリ102に関連する遮蔽又は他のレーザ遮断体のそれぞれの配置)は、コントローラ356によって制御することができる;他の実施形態では、制御ユニット352のそれぞれは、専用のコントローラを含むことができる。ともかく、
図18の任意選択的な構造により、制御ユニット352は、ガラスリボン22に比較的近接して設置することができ、レーザアセンブリ100のそれぞれに関連するレーザ光源120は、(ガラスリボン22の幅W全体を包含するために単一のレーザ光源からの細長いレーザビームを使用する他の実施形態の制御装置と比較して)比較的低い出力設定で動作することができる。
【0054】
図1に戻ると、制御装置32は、細長いレーザビーム34をガラスリボン22の片側又は片面(すなわち、
図1の360でラベル付けされた側)に方向づけるものとして示され、説明されている。本開示の他の実施形態では、細長いレーザビームを反対側(すなわち、側面360の反対側)に放出する1つ以上の追加の制御装置を提供することができる。これらの代替的な構造の制御装置は、係属中の本願に記載されている形態のいずれかをとることができ、同一であっても同一でなくてもよい。さらには、2つ以上の制御装置の動作は、共通のコントローラによって指示することができ、あるいは、それぞれが専用のコントローラを有していてもよい。
【0055】
本開示の制御装置は、対象の基板に対してさまざまな方法で設置することができる。ガラスリボンの厚さを制御するために制御装置が用いられる非限定的な実施形態では、追加の任意選択的な構成要素を提供することができる。例えば、
図19は、
図1に関して上述したガラス成形装置30に関連する、本開示の原理による制御システム400の1つの例示的な設置を示している。この場合も、ガラス成形装置30は、ルート58で終端する成形本体50を含むことができ、そこからガラスリボン22が方向62に延伸される。幾つかの構造では、ガラス成形装置30は、絶縁筐体又はマッフル402をさらに含み、制御システム400は、後述するように、絶縁筐体402に設置することができる。
【0056】
制御システム400は、本開示に記載された形態のいずれかをとることができる制御装置410を含みうる。例えば、制御装置410は、レーザアセンブリ412と遮蔽アセンブリ414とを含む。レーザアセンブリ412は、上述のように細長いレーザビーム34を生成するように適合された、レーザ光源及び任意選択的な光学系を含む。遮蔽アセンブリ414は、2つ以上のレーザビーム遮蔽体(例えば、プレート、ピンなど)を含み、そのうちの1つが416に概略的に示されている。上述のように、遮蔽体416のそれぞれは、例えば、上述のような対応するアクチュエータ418によって、細長いレーザビーム34の光路の内外に選択的に配置される。さらには、遮蔽アセンブリ414は、遮蔽体416及びアクチュエータ418が維持される筐体又はシュラウド420を含むことができる。レーザアセンブリ412に関連する構成要素(例えば、円形レーザビームを細長いレーザビームに変換する光学系など)もまた、任意選択的にシュラウド420内に配置される。
【0057】
制御システム400は、細長いレーザビーム34がルート58の近くのガラスリボン22に衝突するように、成形本体50に近接する位置で既存の絶縁筐体402に制御装置410を取り付けるための構成要素を含むことができる。参考として、
図19は、細長いレーザビーム34がルート58のわずかに下流のガラスリボン22に衝突するように配置された制御装置410を示しているが、ルート58のわずかに上流でガラスリボン22(又はガラスリボン22に結合する溶融ガラスの流れ)に衝突する細長いレーザビーム34を含む、他の設置配置もまた許容される。通常のガラス成形条件下では、溶融ガラスを製造する場合に、この任意選択的な設置場所の温度が非常に高くなりうることが理解されよう。制御システム400は、この高熱環境でレーザアセンブリ412及び他の構成要素(例えば、アクチュエータ418)を保護する特徴を含むことができる。例えば、シュラウド420は気密構造を有することができ、ジャケット422及び窓424を含む。ジャケット422は、低い熱伝達を示す材料で形成することができ、任意選択的に、冷却流体の流れに接続された内部通路を形成する(例えば、ジャケット422は、水冷ジャケットでありうる)。レーザアセンブリ412の少なくともレーザ光源を、示されるように、シュラウド420に直列に取り付けることができる。窓424は、シュラウド420の気密構造を維持し、かつレーザビームエネルギーに対して光学的に透明な材料で形成されている。幾つかの非限定的な実施形態では、例えば、窓424は、セレン化亜鉛(ZnSe)材料でありうる。
【0058】
加えて又は代替として、制御システム400は、シュラウド420をガラス成形装置30の絶縁筐体402に接続又は取り付けるブラケット430をさらに含むことができる。参考として、ブラケット430は、絶縁筐体402内の既存の開口部432に取り付けることができる;あるいは、開口部432は、設置プロセスの一部として形成することができる。ともかく、ブラケット430は、ジャケット422の材料とは異なる(例えば、異なる熱伝達特性)材料で形成することができる。ブラケット430はシュラウド420と絶縁筐体402との間に挿入されるため(すなわち、シュラウド420は、絶縁筐体402に直接接触しない)、絶縁筐体402からシュラウド420への熱伝導は制限される。逆に、起こりうるヒートシンク効果(すなわち、開口部432及び制御システム400の存在に起因するガラス成形装置30からの望ましくない熱の損失)を相殺するために、制御システム400は、任意選択的に、1つ以上のアクティブヒータ部品434を含むことができる。(一又は複数の)アクティブヒータ部品434は、当技術分野で知られているさまざまな形態、例えば、金属加熱素子(鉄-クロム-アルミニウム(FeCrAl)合金、ニッケル-クロム(NiCr)合金など)、赤外線エミッタ(ハロゲン赤外線エミッタなど)などをとることができる。参考として、
図19は、ガラス成形装置30が絶縁筐体402に事前にアセンブリされたヒータ436を含むことができることを示している。制御システム400のアクティブヒータ部品434を、既存のヒータ436に加えて、該ヒータに取り付けることができる。あるいは、ガラス成形装置30は既存のヒータ436を有していなくてもよい。ともかく、(一又は複数の)任意選択的なアクティブヒータ部品434は、開口部432に取り付けられ、起こりうるヒートシンク効果を軽減するように動作する。
【0059】
窓424の結露を軽減するために、制御システム400は、交換可能なシリカゲルカートリッジ又は交換可能な水冷カートリッジなど、1つ以上の水分制御装置438を含むことができる。(一又は複数の)水分制御装置438は、窓424に比較的近接してブラケット430に取り付けることができる。さらには、制御システム400は、ブラケット430を通る空気流通路などによって、窓424及び(一又は複数の)水分制御装置438の領域内の空気のパージを提供することができる。
【0060】
制御システム400は、ガラスリボン22などの基板に対する本開示の制御装置の設置の1つの非限定的な例にすぎない。他の多数の設置構成も同様に許容可能であり、制御システム400に関して上述した1つ以上の構成要素/部品を含む場合も含まない場合もある。
【0061】
図2に戻ると、前述の説明に基づいて、幾つかの態様によれば、ガラスリボン22などの基板の少なくとも1つの事前に選択された部分の厚さを制御する方法が提供されることが理解されよう。本方法は、細長いレーザビームを生成し、目標強度プロファイルを細長いレーザビームにもたらし、目標強度プロファイルを有する細長いレーザビームを粘性状態の基板上に方向づけることを含むことができ、ここで、細長いレーザビームの位置における基板の厚さは固定されていない。目標強度プロファイルの少なくとも1つの領域は、基板の少なくとも1つの事前に選択された部分の厚さを変化させるのに十分な、粘性状態の基板の少なくとも1つの事前に選択された部分の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに十分なエネルギーを有する。その結果、基板の少なくとも1つの事前に選択された部分に、所望の厚さを達成させることができる。幾つかの実施形態では、目標強度プロファイルの2つ以上の領域は、細長いレーザビームが基板の2つ以上の事前に選択された部分の厚さを同時に変えるように、基板の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに十分なエネルギーを有する。
【0062】
図20は、ガラスリボン22などの基板の厚さを制御する本開示の方法の一態様を示すブロック図を含む。ステップ500では、基板の幅全体にわたる基板の厚さ(例えば、厚さプロファイル)が測定、決定、又は推定される。例えば、成形本体50で成形され、方向62に延伸されるガラスリボン22を別の方法で示す
図21をさらに参照すると、ガラスリボン22の幅Wにわたるガラスリボン22の厚さプロファイルは、細長いレーザビーム(図示せず)が印加される箇所の下流の位置で測定、決定、又は推定することができる。
図21では、細長いレーザビームの予想される位置は、概ね550で示されており、厚さ測定の1つの可能な位置は、概ね552で示されている。幾つかの実施形態では、ガラスリボン22に存在する厚さの不均一性を識別する目的で、厚さ測定トレースをガラスリボン22上で実行することができる。また、例として、ガラスリボン22の厚さプロファイルを、ガラスリボン22が製造されるときにリアルタイムで監視することができる。ガラスリボン22の厚さの監視又は決定は、干渉測定、色共焦点測定、白色光トポグラフィ、白色光干渉法など、当技術分野で知られているさまざまな技術を用いて達成することができる。問題となる基板がガラスリボン以外の材料の場合、基板の特定の組成及び/又はフォーマットに適した他の厚さ測定技術を代わりに使用することができる。
【0063】
そのように決定された厚さのトレース又はプロファイルは、ステップ502でコントローラ154(
図2)に発信される。コントローラ154は、厚さプロファイルを分析するようにプログラムすることができる。幾つかの実施形態では、厚さプロファイルの厚さが増加した(例えば、所定の絶対値を超える厚さ;他のセグメントの厚さを所定の値又はパーセンテージだけ超える1つのセグメントの厚さなど)任意のセグメントを特定することができ、(一又は複数の)特定されたセグメントの位置(及び、任意選択的にサイズ)を、ガラスリボン22の幅Wにわたるガラスリボン22の一又は複数の領域と相関させることができる。非限定的な例として、測定位置552で生成された仮想の厚さトレース又はプロファイル554が
図21に示されている。厚さトレース554は、始点556及び終点558で終端している。厚さトレース554は、許容可能な厚さのセグメント560、並びに厚さが増加した第1及び第2のセグメント562、564を示していると解釈することができる。参考として、始点556はガラスリボン22の第1のエッジ570に対応しており、終点558は反対側の第2のエッジ572に対応している。厚さトレース554における厚さが増加した第1及び第2のセグメント562、564は、ガラスリボン22の幅Wにわたる第1及び第2の標的領域574、576(
図21に想像線で描かれている)に対応する(例えば、厚さが増加した第1のセグメント562が始点556から10ミリメートル(mm)で始まる場合、第1の標的領域574は幅Wの方向に第1のエッジ570から10mmで始まる)。上記の分析に基づいて、第1及び第2の標的領域574、576は、厚さの減少の恩恵を受けるものとして指定又は選択することができる。幅Wにわたるガラスリボン22の他のすべての領域(すなわち、第1及び第2の標的領域574、576以外)は、厚さの減少を必要としないものとして指定又は選択することができる。
【0064】
ステップ504では、コントローラ154は、ステップ502で行われた識別に従って遮蔽アセンブリを構成するように動作する。非限定的な例として、
図6A~6Cの例示的な遮蔽アセンブリ102をさらに参照すると、遮蔽106a~106eの直列配置は、第1のエッジ570に対応する第1の遮蔽106a(すなわち、細長いレーザビーム34の光路における第1の遮蔽106aの存在又は不存在は、第1のエッジ570での細長いレーザビーム34の光学強度に影響を与える)と、第2のエッジ572に対応する第5の遮蔽106eとを含む、ガラスリボン22の幅Wと相関しうる。遮蔽106a~106eは所与の寸法又は既知の寸法を有しているため、幅Wにわたるガラスリボン22の対応する部分に対する遮蔽106a~106eの各々の関係を決定することができる。追加的に又は代替的に、測定された厚さプロファイル又はトレースに対する遮蔽106a~106eの各々の相関もまた既知であるか、又は決定することができる。例えば、
図22は、遮蔽106a~106eと厚さトレース554との関係を示しており;示されるように、遮蔽106a~106eの各々は、厚さトレース554の異なるセグメントに対応する。次に、これらの関係の一方又は両方から、ガラスリボン22の選択された部分での厚さの減少を達成するために、遮蔽106a~106eを光路に対してどのように配置すべきかについて決定を下すことができる。上記の仮説を続けて、
図6A~6C及び
図21に戻ると、ガラスリボン22の幅Wに対して、第2の遮蔽106bが第1の標的領域574に対応し、第4の遮蔽106dが第2の標的領域576に対応すると決定することができる。代替的に又は加えて、厚さトレース554に対して、第2の遮蔽106bは、厚さが増加した第1のセグメント562に対応し、第4の遮蔽106dは、厚さが増加した第2のセグメント564に対応すると決定することができる。これらの決定の一方又は両方に基づいて、遮蔽アセンブリ102は、第2及び第4の遮蔽106b、106dが光路から取り除かれ、第1、第3、及び第5の遮蔽106a、106c、106eが光路に挿入されるように(すなわち、
図6Cの配置)、ステップ504で構成されている(例えば、コントローラ154はアクチュエータ152を動作させる)。
【0065】
ステップ506では、制御装置を、目標強度プロファイルを有する細長いレーザビーム34をガラスリボン22に放出するように動作させる。目標強度プロファイルは、ステップ504で構成された遮蔽アセンブリによって決定される。上記の仮説を続けると、細長いレーザビーム34は、
図23のガラスリボン22に衝突するものとして示されている。細長いレーザビーム34の目標強度プロファイルは、トレース580によって表されており、強度が上昇した第1の領域582、強度が上昇した第2の領域584、及び強度が低下した領域586(例えば、最小又はゼロレーザビームエネルギー)を含む。強度が上昇した第1及び第2の領域582、584もまた、細長いレーザビーム34の図に概略的に示されている。強度が上昇した第1及び第2の領域582、584は、ガラスリボン22の幅Wに対して、それぞれ、第1及び第2の標的領域574、576に対応する。言い換えれば、第1のエッジ570に対して強度が上昇した第1の領域582の位置(又は、幅Wに沿った任意の他の基準点)は、第1のエッジ570に対する第1の標的領域574の位置と同じであってよく、第1のエッジ570に対して強度が上昇した第2の領域584の位置は、第2の標的領域576の位置と同じでありうる。目標強度プロファイル580の残りの領域586では、ガラスリボン22における細長いレーザビーム34の光学強度は、最小又はゼロである(すなわち、細長いレーザビーム34が第1、第3、及び第5の遮蔽106a、106c、106eによって遮断されている場合)。結果として、ガラスリボン22の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに十分なレーザビームエネルギーが、第1及び第2の標的領域574、576に対応するガラスリボン22の選択された部分に印加される。
【0066】
より具体的には、レーザビームゾーン590をガラスリボン22に沿って指定することができ、そこに細長いレーザビーム34が適用される。レーザビームゾーン590はガラスリボン22の幅W全体を包含し、第1のエッジ570から第2のエッジ572までの一連の連続した部分を含むと見なすことができる。さらなる説明として、
図24は、レーザビームゾーン590を横切って幅Wの方向に延びる仮想の第1、第2、第3、第4及び第5の部分592~600を識別する。
図23及び
図24間を参照すると、ガラスリボン22への細長いレーザビーム34の衝突は、第2の部分594と位置合わせされ、レーザエネルギーを印加することを含む、強度が上昇した第1の領域582;第4の部分598と位置合わせされ、レーザを適用することを含む、強度が上昇した第2の領域584;並びに、第1、第3、及び第5の部分592、596、600のそれぞれ1つと位置合わせされた、強度が低下した領域586を含むものと説明することができる。幾つかの実施形態では、強度が低下した領域586はレーザエネルギー又はレーザ出力が完全に存在しないことを特徴とすることが理解されよう;これらの状況下では、レーザエネルギーは第1、第3、及び第5の部分592、596、600に適用されない。
図23の細長いレーザビーム34の図は、このシナリオを概ね反映している。他の実施形態では、幾らかの最小レベルのレーザエネルギーを印加することができる。ともかく、
図23及び24の例では、第2及び第4の部分594、598は、ガラスリボン22の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに十分なレーザビームエネルギーを受け取るように予め選択されたガラスリボン22の部分を構成する。粘度の低下は、事前に選択された部分594、598における厚さの減少をもたらしうる。レーザビームゾーン590の残りの部分592、596、600は、ガラスリボン22への細長いレーザビーム34の印加に応答してガラスリボン22の温度を上昇させ、粘度を低下させるのに十分なレーザビームエネルギーを受け取らない。
【0067】
上記の仮説は、本開示の方法及び装置によって対処又は制御することができる、多数の異なる基板厚さの不均一性シナリオの1つにすぎないことが理解されよう。より一般的には、ガラスリボン22の幅Wにわたる特定の厚さプロファイルに対処するのに適切な目標強度プロファイルは、遮蔽アセンブリの対応する配置によって、細長いレーザビーム34に付与することができる。これに関して、目標強度プロファイルにおける強度が上昇した(一又は複数の)領域のサイズ及び位置(幅Wに対する)の解像度又は精度は、遮蔽アセンブリに付属する遮蔽の数、サイズ、及び空間分節の関数でありうる。ともかく、細長いレーザビーム34は、ガラスリボン22に対して静止させたまま維持することができる。ガラスリボン22が方向62に連続的に延伸されている場合など、ガラスリボン22(又は他の基板)が移動している実施形態では、細長いレーザビーム34が作用するガラスリボン22の領域は、最終的に、厚さが測定されている位置552に到達する。対応する更新された厚さトレースは、厚さが増加したセグメントを表示しなくなる可能性がある。他のシナリオでは、更新された厚さトレースは、厚さが増加した1つ以上のセグメントを示す可能性がある。コントローラ154(又は、コントローラ154の動作を制御する他のコンピュータ)は、更新された厚さトレースを継続的に受信することができ、適切な閉ループ制御アルゴリズムを操作して、遮蔽アセンブリの新しい構成、したがって、細長いレーザビーム34における新しい目標強度プロファイルをもたらすようにプログラムすることができる。
【0068】
図20の方法は、遮蔽アセンブリに設けられた遮蔽の配置を自動制御することを意味する。他の実施形態では、オペレータは、例えば、厚さ情報に基づいて遮蔽を手動で配置することができる。ともかく、本開示の制御装置及び方法は、延伸動作(又は他のガラスリボン成形技術)におけるガラスリボンの製造の一部など、基板の厚さの不均一性に対処するのに非常に適している。
【0069】
例えば、
図25は、目標強度プロファイルを有する細長いレーザビームが厚さの不均一性を有するガラスリボン(又は「シート」)に衝突するシミュレーションの結果を示している。厚さのプロット線610は、幅にわたるさまざまな位置でのガラスリボンの厚さを表している。参考として、
図25の「シート上の位置」軸は、ガラスシートのエッジから幅方向の増分距離を示しており、エッジから1500mmの位置から始まり、エッジから1900mmの位置で終わる。
図25の表現では、厚さプロット線610は、細長いレーザビームの適用前に、ガラスリボンが、約1650mmから約1710mmの厚さが増加した1つの領域と、約1800mmから始まる厚さが増加した別の領域とを有していることを示している。シミュレーションでは、細長いレーザビームがガラスリボンに適用され、細長いレーザビームの左端の外側の範囲が約1585mmの位置でガラスリボンに衝突し、細長いレーザビームの右端の外側の範囲が約1825mmの位置でガラスリボンに衝突する(すなわち、細長いレーザビームは約240mmの幅を有している)ように、配置することができると仮定した。さらには、細長いレーザビームのレーザエネルギー密度は、ガラスの温度を摂氏7度(℃)上昇させるのに十分であり、ガラスリボンの厚さプロファイルの最も厚い部分の温度を4℃上げることで、厚さプロファイルの最も薄い部分にほぼ一致する厚さの変化をもたらすことができると仮定した。細長いレーザビームの一部の遮蔽をシミュレーションするために、ガラスリボンを、細長いレーザビームの入射エネルギーに対して開放した又は閉鎖した5mmのセクションに分割した。入射エネルギーに近いセクション(すなわち、遮蔽によって細長いレーザビームが遮断された部分を表している)は612で識別されており;入射エネルギーに対して開放されているセクション(すなわち、細長いレーザビームがガラスリボンに衝突した部分を表している)は614で識別されている。ガラスリボンは、閉鎖セクション612では温度変化を経験せず、開放セクション614では7℃の温度上昇を経験した。示されるように、閉鎖及び開放セクション612、614をパターン化することにより、シミュレーションは、温度変化プロット線616によって表される、ガラスリボンの幅の一部にわたって有効な温度変化を生成した。示されるように、温度変化プロット線616は、厚さプロット線610の対応する領域を模倣しており、既存の厚さの不均一性を相殺するように作用する温度変化プロファイルを生成するように、ガラスリボン全体に均一なエネルギー密度を分配する細長いレーザビームが断続的に「遮断」されうることを示している。
【0070】
前述の説明から、本開示の制御装置及び方法を実施するガラス製造システム(例えば、ダウンドローガラス成形装置)は、ガラスの製造とともに利用される場合、100mmの距離にわたって厚さの偏差が1マイクロメートル未満の厚さ均一性を有するガラスを製造することができると予想される。
【0071】
特許請求の範囲の主題の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態にさまざまな修正及び変更を加えることができる。したがって、本明細書は、このような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入る限り、本明細書に記載されるさまざまな実施形態の修正及び変更に及ぶことが意図されている。
【0072】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0073】
実施形態1
基板の少なくとも一部の厚さを制御するように構成された制御装置であって、該制御装置が、
光路に沿って伝播方向に移動する細長いレーザビームを生成するように構成されたレーザアセンブリであって、前記細長いレーザビームが前記伝播方向に垂直な平面内に形状を有し、該形状が主軸を画成する、レーザアセンブリと、
前記光路に選択的に配置され、かつ前記細長いレーザビームの領域の光学強度を低下させるように構成された第1の遮蔽を含む遮蔽アセンブリと
を含み、
前記遮蔽アセンブリが、前記主軸を横切る前記細長いレーザビームの強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変更するように構成される、
制御装置。
【0074】
実施形態2
前記目標強度プロファイルが第1の領域及び第2の領域を含み、さらに、前記第2の領域の光学強度が前記第1の領域の光学強度より小さい、実施形態1に記載の制御装置。
【0075】
実施形態3
前記第2の領域の光学強度が、前記第1の領域の光学強度の少なくとも10分の1である、実施形態2に記載の制御装置。
【0076】
実施形態4
前記目標強度プロファイルが、第3の領域をさらに含み、前記第2の領域が前記主軸に対して前記第1の領域と前記第3の領域との間にあり、さらに、前記第2の領域の光学強度が、前記第3の領域の光学強度の少なくとも10分の1である、実施形態3に記載の制御装置。
【0077】
実施形態5
前記第2の領域の前記光学強度が約0W/mm2である、実施形態3に記載の制御装置。
【0078】
実施形態6
前記レーザアセンブリが、レーザビームを放出するように構成されたレーザ光源を含み、前記放出されたレーザビームの形状を変更するように構成された光学系をさらに含む、実施形態1に記載の制御装置。
【0079】
実施形態7
前記遮蔽装置が、前記第1の遮蔽に連結し、該第1の遮蔽を前記光路に出入りするように選択的に移動させるように動作可能なコントローラをさらに含む、実施形態1に記載の制御装置。
【0080】
実施形態8
前記第1の遮蔽が、前記光路に配置されたときに前記成形されたレーザビームの領域を遮断するように構成される、実施形態1に記載の制御装置。
【0081】
実施形態9
前記第1の遮蔽の形状が主面を画成し、さらに、前記第1の遮蔽が前記光路に配置されたときに、前記第1の遮蔽の前記主面が前記伝播方向に略垂直である、実施形態1に記載の制御装置。
【0082】
実施形態10
前記第1の遮蔽の形状が主面を画成し、さらに、前記第1の遮蔽が前記光路に配置されたときに、前記第1の遮蔽の前記主面が前記伝播方向に対して傾斜している、実施形態1に記載の制御装置。
【0083】
実施形態11
前記遮蔽アセンブリが、前記光路に選択的に配置され、かつ前記細長いレーザビームの一部の光学強度を低下させるように構成された第2の遮蔽をさらに含み、さらに、前記遮蔽アセンブリが、前記第1及び第2の遮蔽がいずれも前記光路に配置されたときに、前記第1の遮蔽が前記第2の遮蔽によって影響を受ける前記細長いレーザビームの領域とは異なる前記細長いレーザビームの領域に影響を与えるように構成される、請求項1に記載の制御装置。実施形態1に記載の制御装置。
【0084】
実施形態12
ガラスリボンを成形するシステムにおいて、該システムが、
ガラスリボンを生成するように構成されたガラス成形装置、及び
制御装置であって、
光路に沿って伝播方向に移動する細長いレーザビームを生成するように構成されたレーザアセンブリであって、前記細長いレーザビームが前記伝播方向に垂直な平面内に形状を有し、該形状が主軸を画成する、レーザアセンブリと、
前記光路に選択的に配置され、かつ前記細長いレーザビームの領域の光学強度を低下させるように構成された遮蔽を含む、遮蔽アセンブリと
を含む、制御装置
を備えており、
前記遮蔽アセンブリが、前記主軸を横切る前記細長いレーザビームの強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変更するように構成されており、
前記制御装置が、前記目標強度プロファイルを有する前記細長いレーザビームを制御し、前記ガラスリボン上に方向づけて、前記ガラスリボンの一部の厚さを減少させるように構成される、
システム。
【0085】
実施形態13
基板の少なくとも1つの事前に選択された部分の厚さを制御する方法において、該方法が、
伝播方向に移動する細長いレーザビームを生成する工程であって、該細長いレーザビームが前記伝播方向に垂直な平面内に形状を含み、前記形状が主軸を画成し、前記細長いレーザビームが前記主軸を横切る強度プロファイルをさらに含む、工程、
前記細長いレーザビームの領域を遮蔽して、前記強度プロファイルを初期強度プロファイルから目標強度プロファイルへと変化させる工程であって、前記目標強度プロファイルが第1の領域及び第2の領域を含み、前記第2の領域の光学強度が前記第1の領域の光学強度より小さい、工程、及び
前記目標強度プロファイルを有する前記細長いレーザビームを前記基板上に方向づける工程であって、前記基板の第1の部分に対応する前記第1の領域と前記基板の第2の部分に対応する前記第2の領域とを含み、前記第1の部分における前記基板の厚さの減少を生じさせる、工程
を含む、方法。
【0086】
実施形態14
前記方向づける工程が、実質的に変化しないまま維持される前記第2の部分の厚さをさらに含む、実施形態13に記載の方法。
【0087】
実施形態15
前記生成する工程が、
レーザ光源からレーザビームを放出する工程、及び
前記放出されたレーザビームの形状を光学的に変化させて、前記細長いレーザビームを生成する工程
を含む、実施形態13に記載の方法。
【0088】
実施形態16
前記方向づける工程が、前記第1の部分における前記基板の厚さを変化させるのに十分に、前記基板の前記第1の部分の温度を上昇させ、粘度を低下させる工程を含む、実施形態13に記載の方法。
【0089】
実施形態17
前記細長いレーザビームが光路に沿って移動し、さらに、前記細長いレーザビームの一部を遮蔽する工程が、
遮蔽アセンブリを動作させる工程
を含み、
前記遮蔽アセンブリが第1の遮蔽及び第2の遮蔽を含み、前記第1の遮蔽が第1の位置で前記光路に選択的に挿入可能であり、かつ前記第2の遮蔽が第2の位置で前記光路に選択的に挿入可能であり、
さらに、前記第2の位置における前記第2の遮蔽が前記目標強度プロファイルの前記第2の領域を生成する、
実施形態13に記載の方法。
【0090】
実施形態18
前記基板の厚さを監視する工程、及び
前記第1の部分に対応する位置における前記基板の厚さの不均一性と、前記第2の部分に対応する位置における前記基板の厚さの均一性とを特定する工程
をさらに含み、
前記遮蔽アセンブリを動作させる工程が、前記特定された厚さの関数として前記第1及び第2の遮蔽を操作する工程を含む、
実施形態17に記載の方法。
【0091】
実施形態19
前記操作する工程が、前記第1の遮蔽を前記光路の外側に配置すること、及び前記第2の遮蔽を前記光路内に配置することを含む、実施形態18に記載の方法。
【0092】
実施形態20
前記基板が、ガラスリボン幅を画成する対向するエッジを含むガラスリボンであり、さらに、前記主軸に沿った前記細長いレーザビームの幅が、前記ガラスリボン幅以上である、実施形態13に記載の方法。
【符号の説明】
【0093】
20 システム
22 ガラスリボン
30 ガラス成形装置
32,250,270,310,350,410 制御装置
34 細長いレーザビーム
50 成形本体
52 開放チャネル
54,56 収束成形面/成形表面
58 ルート
60,62 溶融ガラスの流れ
100 レーザアセンブリ
102,252,414 遮蔽アセンブリ
104 伝播方向
106 遮蔽
106a~106e 第1~第5の遮蔽
110 主軸
112 非主軸
120 レーザ光源
122 光源レーザビーム
124 光学部品
130 平凹レンズ
132 平凸レンズ
134 中間レーザビーム
140,412 レーザアセンブリ
142a,142b,142c,142d レーザ光源
144a,144b,144c,144d 光源レーザビーム
150,254 筐体
152,418 アクチュエータ
152a~152e 第1~第5のアクチュエータ
154,356 コントローラ
160 主面
170 初期強度プロファイル
182,194,212 目標強度プロファイル
184,196,198,214,290,328,586 光学強度が低下した領域
186,200,216,292,294,296,300,302,304,322,324,326,582,584 光学強度が上昇した領域
256 ピン
262 開放セグメント/セクション
272 冷却アセンブリ
276 冷却媒体
280 送達管
282 流量コントローラ
284 分配端部
312 強度アセンブリ
316 反射体
400 制御システム
402 絶縁筐体/マッフル
416 遮蔽体
420 シュラウド
422 ジャケット
424 窓
430 ブラケット
432 開口部
434 アクティブヒータ部品
436 ヒータ
570 第1のエッジ
572 第2のエッジ
574 第1の標的領域
576 第2の標的領域
590 レーザビームゾーン