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特許7264923電子回路メッキ工法を用いたIME構造及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】電子回路メッキ工法を用いたIME構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20230418BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20230418BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230418BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20230418BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/26
H05K1/02 B
H05K3/12 610A
C25D7/00 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021018836
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022094271
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0174369
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517245958
【氏名又は名称】イントップス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ホン,テ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジュン ヨン
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-130283(JP,A)
【文献】特開2004-152934(JP,A)
【文献】特開2017-056624(JP,A)
【文献】特開2012-241149(JP,A)
【文献】特表2020-516487(JP,A)
【文献】特表2017-501056(JP,A)
【文献】特開平09-321427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デザインが形成されたフィルムと、前記フィルムの下部に位置する第1プラスチック樹脂と、前記第1プラスチック樹脂の下部に位置する第2プラスチック樹脂とを含むIME(In-mold electronics)構造の製作方法であって、
製品の形状に合わせて成形されたフィルムと第2プラスチック樹脂を提供する段階と、
製品形状と同じ形状のキャビティ(cavity)を有するモールドの上部に前記フィルムを装着し、モールドの下部に前記第2プラスチック樹脂を装着する段階と、
キャビティの内部にプラスチック樹脂を注入して充填し、所定の温度及び圧力の下でインサート射出工程を遂行して前記第1プラスチック樹脂を成形することにより、前記フィルムと、前記第1プラスチック樹脂と、前記第2プラスチック樹脂とからなるIME構造を完成する段階とを含み、
前記第2プラスチック樹脂を提供する段階は、
前記第2プラスチック樹脂の素材を製品形状に合わせて射出成形する段階であって、貫通ホールを形成することを含む段階と、
射出成形された前記第2プラスチック樹脂の上面又は両面にメッキ工法で電子回路を形成する段階と、
前記電子回路が形成された前記第2プラスチック樹脂の上面又は両面に電子素子を実装する段階とを含み、
上面に形成された電子回路の一部が下面に露出するよう射出成形段階から形成された貫通ホールを通して前記電子回路の一部を下面まで延長する段階からなる、IME構造の製作方法。
【請求項2】
前記第2プラスチック樹脂の上面又は両面に電子素子を実装する段階は、
熱損傷を最小化するために低温ソルダリング工法又は局部加熱方式のソルダリング工法を適用する段階からなる、請求項1に記載のIME構造の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子回路メッキ工法を用いたIME(In-mold electronics)構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IME(In-mold electronics)技術は印刷された伝導性インクとインモールド装飾技法を統合して3D形状及び機能を具現する技術であり、比較的最近に胎動した。自動車分野では、2012年にフォード社がオーバーヘッドコンソル(overhead console)に初めて商用化した後、飛躍的に発展し、現在には家電製品、医療装備、小売店、携帯用電子機器、国防及び航空の分野に拡張している。
【0003】
IME技術は、普通、装飾(decoration)、タッチ制御部又はアンテナをプラスチックフィルム上に印刷する1段階、フィルム上に多様な電子部品を実装(surface mounting)する2段階、フィルムを熱成形(thermoforming)して3D形状に製作する3段階、及び3Dフィルムをプラスチック樹脂とインサート成形で一体化する工程からなる。このように製造された完成品は自動車分野では、例えば運転席のダッシュボード又はドアトリムに美麗な外装フィルムとして視認されるように装着され、スマートフォンの画面タッチやプッシュ動作と類似した操作でフィルムをタッチして自動車ドアを開放するかウィンドウを昇降させることができる。IME製品は、自動車に必要な大部分の電気、電子の機能を提供することができ、機械式のボタン、ノブ、リンク、シャフト又はモーターのような部品が必要ではなく、空間を節約することができ、優れたデザインを有する外装品を提供するなどの多くの利点を有する。
【0004】
IME関連従来技術で二つのフィルムを用いて製作する工程は次のようである。
【0005】
まず、上部フィルムにデザインを印刷した後、所定の形状になるように成形し、フィルムAを切断する。デザインは、デコレーション、ロゴ、エムブレム、アイテムの作動や機能を示すボタンデザインなどに適用することができ、これらに制限されない。
【0006】
これとは別に、下部フィルムには伝導性インクで電子回路を印刷した後、電子素子を実装し、リフロー(reflow)工法で電子素子を接合し、上部フィルムと同じ形状に下部フィルムを成形して切断する。
【0007】
そして、上部フィルム、プラスチック樹脂及び下部フィルムをインサート射出成形して最終製品を完成する。
【0008】
ところが、このような方法によれば、下部フィルムBの形状によって伝導性回路の構成に制約が多く、工程が非常に複雑な欠点がある。
【0009】
IMEに関連した特許文献を見れば、韓国公開特許第10-2016-0094936号公報は、フィルムを生成し、フィルム上に伝導体及びグラフィックを形成し、フィルム上に電子素子を付着した後、3次元形状を成すように射出成形する内容を開示している。韓国公開特許第10-2017-0130395号公報は、基板上に導電体をスクリーン印刷し、電子素子を実装した後、3次元形状に射出成形する内容を開示している。米国特許公開第2018/0213651号明細書は、フィルム上に導電性回路を形成し、電子素子を実装し、フィルムを熱成形して立体構造を製造する工程を開示している。これらの特許は、単一のフィルム上に電子回路パターンと電子素子を実装し、フィルムをフォーミング(forming)する一般的な内容を開示するという限界がある。
【0010】
発明者は、以上の特許文献を考慮して、複合層を有する新規のIME構造及びその製造方法を開発することになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0094936号公報
【文献】韓国公開特許第10-2017-0130395号公報
【文献】米国特許公開第2018/0213651号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は自動車や家電製品に広範囲に適用可能な堅固で耐久性に優れたIME構造、及びこの構造を迅速で簡便にかつ効率的に製作することができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明は、IME(In-mold electronics)構造であって、デザインが形成されたフィルムと、フィルムの下部に位置する第1プラスチック樹脂と、第1プラスチック樹脂の下部に位置する第2プラスチック樹脂とを含み、前記第2プラスチック樹脂の上面又は両面にはメッキ工法で電子回路が形成され、電子素子が実装されることにより、フィルムと、第1プラスチック樹脂と、電子回路及び電子素子が形成された第2プラスチック樹脂とが一体化したIME構造を提供する。
【0014】
前記第1プラスチック樹脂は全体としてフィルムの形状と類似しており、その上面はフィルムの下面と結合され、第2プラスチック樹脂の上面全体と側面を完全に取り囲んで密封する高さを有することができる。
【0015】
第2プラスチック樹脂の高さは第1プラスチック樹脂の高さより小さくなるように薄く成形され、左右の幅が第1プラスチック樹脂の幅より短く、第2プラスチック樹脂の下面全体は外部に露出されることができる。
【0016】
第1プラスチック樹脂の下面は、IME構造の最外周縁から第2プラスチック樹脂の側面に至る内側まで延びて下方に露出される露出部、及び第2プラスチック樹脂の側面及び上面と直接対面して構造的に一体に結合される非露出部の2部分からなることができる。
【0017】
電子回路の部分と電気的に連結され、第2プラスチック樹脂の貫通ホールを通して下方に延びた端子部をさらに含むことができる。
【0018】
また、本発明は、デザインが形成されたフィルムと、フィルムの下部に位置する第1プラスチック樹脂と、第1プラスチック樹脂の下部に位置する第2プラスチック樹脂とを含むIME(In-mold electronics)構造の製作方法であって、弾力性を有するプラスチック樹脂から素材層を製作する段階と、前記素材層上にシルクスクリーン、パッド、インクジェット、オフセット、又はデジタルプリンティング工程による印刷、蒸着又はUVモールディングによってデザインを形成する段階と、デザインが形成された素材層を熱成形、真空成形又は高圧成形でフォーミングして3次元形状に製作する段階と、製品の形状に合わせてフォーミングされたフィルムを製品のサイズに合わせて切断する段階とを含むIME構造の製作方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、デザインが形成されたフィルムと、フィルムの下部に位置する第1プラスチック樹脂と、第1プラスチック樹脂の下部に位置する第2プラスチック樹脂とを含むIME(In-mold electronics)構造の製作方法であって、第2プラスチック樹脂の素材を製品形状に合わせて射出成形する段階であって、貫通ホールを形成することを含む段階と、射出成形された第2プラスチック樹脂の上面又は上面及び下面にメッキ工法で電子回路を形成する段階と、射出成形された第2プラスチック樹脂の両面にメッキ工法で、電子回路の形成の際に下面の電子回路を保護するための保護層を形成する段階と、電子回路が形成された第2プラスチック樹脂の上面又は上面及び下面に、熱損傷を最小化するために、低温硬化性ソルダーペーストを用いた低温ソルダリング方式、又はソルダーペーストが塗布された部位のみ局部加熱する方式を含むソルダリング工法で電子素子を実装する段階とを含むIME構造の製作方法を提供する。
【0020】
前記メッキ工法で電子回路を形成する段階は、メッキ工程のために、アルカリ性溶液又は酸性溶液で第2プラスチック樹脂の上面を前処理する工程と、電子回路がメッキされる領域にレーザーで微細な凹凸を形成する工程と、電子回路の具現のために、伝導性金属をエッチングされた前記凹凸に充填するメッキ工程とを含むことができる。
【0021】
また、本発明は、デザインが形成されたフィルムと、フィルムの下部に位置する第1プラスチック樹脂と、第1プラスチック樹脂の下部に位置する第2プラスチック樹脂とを含むIME(In-mold electronics)構造の製作方法であって、製品の形状に合わせて成形されたフィルムと第2プラスチック樹脂を提供する段階と、製品形状と同じ形状のキャビティ(cavity)を有するモールドの上部にフィルムを装着し、モールドの下部に第2プラスチック樹脂を装着する段階と、キャビティの内部にプラスチック樹脂を注入して充填し、所定の温度及び圧力の下でインサート射出工程を遂行して第1プラスチック樹脂を成形することにより、フィルムと、第1プラスチック樹脂と、第2プラスチック樹脂とからなるIME構造を完成する段階とを含むIME構造の製作方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は先行技術に比べて簡素化した工程を提供し、メッキ工法を適用したプラスチック樹脂の表面に直接電子回路を具現して製品形状による制約を最小化し、耐久性が強く、プラスチック樹脂層の熱損傷を最小化するためのソルダリング工法で多様な電子素子を直接実装することにより、発光及びタッチセンシングなどの多様な機能を発揮するIME構造及びその製造方法を提供する効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のIME構造の構成要素を示す断面図である。
図2】本発明のフィルムの製作工程を示すフローチャートである。
図3図2の製作工程による本発明のフィルムの段階別の形状を示す図である。
図4】本発明の第2プラスチック樹脂の製作工程を示すフローチャートである。
図5図4の製作工程による本発明の第2プラスチック樹脂の段階別の形状を示す図である。
図6】本発明のメッキ工法を適用して電子回路を形成する工程の一例を示す図である。
図7a】本発明の電子回路とメインボードの連結のための端子部形成構造を示す図である。
図7b】本発明の電子回路とメインボードの連結のための他の端子部形成構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による各実施例は本発明の理解を助けるための一例に過ぎず、本発明がこのような実施例に限定されるものではない。本発明は各実施例に含まれる個別構成及び個別機能の少なくとも一つ以上の組合せから構成されることができる。
【0025】
<IME構造1>
図1は本発明のIME構造1の構成要素を示す断面図である。IME構造1は、自動車、家電製品、携帯電話などの分野にも適用可能であるが、以下では主に自動車を前提として説明する。
【0026】
IME構造1は、上から順にフィルム2と、フィルム2の下部に位置する第1プラスチック樹脂4と、第1プラスチック樹脂4の下部に位置する第2プラスチック樹脂6とを含む。第2プラスチック樹脂6の上面6a又は上面6a及び下面6bを含む両面には電子回路8及び電子素子10が形成される。IME構造1は、所定のデザインが形成されたフィルム2と、第1プラスチック樹脂4と、電子回路8及び電子素子10などが形成された第2プラスチック樹脂6とが一体化した構造である。
【0027】
フィルム2には、デコレーション、ロゴ、エムブレム、アイテムの作動や機能を示すボタンアイコンなどのデザインDが形成されている。フィルム素材はPC、PMMA、PET、TPUなどの多様な素材が適用可能であり、制限されない。フィルム2は中央が膨らんでいる曲面で、左右両側は平面である全体としてディスク形を例示したが、これに限定されない。フィルム2に照明部が透過することができるように、印刷層又はデザイン構成層に貫通部22が形成される。フィルム2の上面2aは外部に露出されて視認され、貫通部22を通して、例えばLEDのような電子素子10の光が発光することができる。
【0028】
第1プラスチック樹脂4は全体としてフィルム2の形状と類似しており、上面4aがフィルム2の下面2bと結合されるが、側面4cの高さは十分に高いので、第1プラスチック樹脂4は第2プラスチック樹脂6の上面6a全体と側面6cを完全に取り囲んで密封する堅固で厚い構造を有する。樹脂の種類はPC、アクリル、ABS、AESなどのいずれも適宜使うことができるが、これらに制限されない。
【0029】
第2プラスチック樹脂6はフィルム2と類似したディスク形を有するが、その高さが第1プラスチック樹脂4より小さくなるように薄く成形され、左右の幅が第1プラスチック樹脂4の幅より短いので、前述したように、その上面6aと側面6cが第1プラスチック樹脂4によって完全に覆われる。しかし、第2プラスチック樹脂6の下面6b全体は外部に露出され、上面6aと同じ形状を有する。よって、第1プラスチック樹脂4の下面4bは、IME構造1の最外周縁から側面6cに至る内側まで延びて下に露出される露出部4b1、及び第2プラスチック樹脂の側面6c及び上面6aと直接対面して構造的に一体に結合される非露出部4b2の2部分からなる。樹脂の種類としては、PC、アクリル、ABS、AESなどのいずれも適宜使うことができるが、これらに制限されない。
【0030】
電子回路8は、電子素子10に電流又は電源を供給するための回路パターン、ケーブル又は導電性インクなどを含み、特に制限されない。電子回路8は、後述するように、メッキ工法によって第2プラスチック樹脂6の上面6a又は上面6a及び下面6bに形成され、所要仕様によって適宜選択可能である。
【0031】
電子素子10は、LED素子、静電容量センサー、チップ、プロセッサ、電気スイッチなどを含み、IME構造1の用途によっていずれでも適宜選択されて第2プラスチック樹脂6の上面6a又は上面6a及び下面6bに実装(surface mounting)される。
【0032】
また、電子回路8とメインボード(図示せず)のコネックティングのために電子回路8の部分と電気的に連結され、第2プラスチック樹脂6の上面6aに形成された電子回路の一部と接地されたフレキシブルプリント基板(FPCB)又は金属ピンが貫通ホール6’を通過して第2プラスチック樹脂6の下面6bに露出される端子部100が形成されるか、又は電子回路が第2プラスチック樹脂6の上面6aから下面6bに延びた電子回路の一部に接地されて端子部100が形成される。これについては図7を参照して後述する。
【0033】
第2プラスチック樹脂6に形成される電子回路8及び電子素子10は、前述したように、上面6aは第1プラスチック樹脂4、下面6bは別途のコーティング層によって取り囲まれて封止されるので、外部の衝撃、変形又は破損に対して十分な耐久性を有する。
【0034】
また、第2プラスチック樹脂6の下面6bに電子回路8及び電子素子10が形成されない構造では別途のコーティング層は必要でない。
【0035】
以上説明した本発明のIME構造1は以下で説明するそれぞれの構成要件の制作工程によって構造的な意味と物性の特徴がより明らかになるであろう。
【0036】
<フィルム2の製作工程>
図2は本発明のフィルム2の製作工程を示すフローチャート、図3図2の製作工程による本発明のフィルム2の段階別形状を示す図である。
【0037】
両図を一緒に参照すると、まず本発明のフィルム2の素材を平面状に準備する(S10)。フィルム2の素材は、PC、PMMA、PET、TPUなどの弾力性を有する多様な素材であれば適用可能であり、制限されない。
【0038】
ついで、前記素材層上にデザインDを印刷する(S12)。デザインDの印刷工程は、シルクスクリーン、パッド、インクジェット、オフセット、デジタルプリンティング工程によって遂行することができる。デザインDは、プリンティングだけでなく、蒸着、UVモールディングの方法で形成することができる。
【0039】
ついで、このように完成された中間材であるフィルムをフォーミング(forming)して、図示のように、3次元形状に成形する(S14)。フォーミング工程は、主に熱成形、真空成形、高圧成形方式で遂行し、フォーミング作業によって製品形状に合う3次元形状に製作される。
【0040】
ついで、製品形状に合わせてフォーミングされたフィルムを製品サイズに合わせて切断する(S16)。切断工程は、プレス打抜き、CNC加工、レーザー加工の工法で遂行することができる。
【0041】
<電子回路8及び電子素子10を備えた第2プラスチック樹脂6の製作工程>
図4は本発明の第2プラスチック樹脂6の製作工程を示すフローチャート、図5図4の製作工程による本発明の第2プラスチック樹脂6の段階別形状を示す図である。
【0042】
まず、第2プラスチック樹脂6を製品形状に合わせて射出成形する(S20)。この射出成形工程で、端子部100のための貫通ホール6’を同時に形成する。
【0043】
ついで、射出成形された第2プラスチック樹脂6の上面6a又は上面6a及び下面6bを含む両面にメッキ工法で電子回路8を形成する(S22)。エンジニアリングプラスチックメッキ工法は、前処理、エッチング及び電子回路8メッキ工程を含む。メッキ工法は素材の制約なしに多様な形状のパターンを具現することができ、突出した層構造を有しない点で他の工法に比べて有利である。
【0044】
図6は本発明のメッキ工程を適用した電子回路形成の一例を示している。前処理工程では、メッキ工程のためにアルカリ性溶液又は酸性溶液でメッキすべき表面、つまり第2プラスチック樹脂6の上面6a又は上面6a及び下面6bを前処理する。電子回路として使われる金属との密着性及び表面状態を考慮して、水洗、脱脂(cleaning)及び触媒活性化工程を経る。エッチング作業では、電子回路8がメッキされる領域にレーザーで微細な凹凸8bを形成する。メッキ工程では、電子回路8の具現のために、伝導性金属をエッチングされた前記凹凸8bに充填する。メッキは、エッチングと前処理工程を経たので、電解メッキ方式よりは無電解メッキ方式を用いることが好ましい。
【0045】
ついで、電子回路8が形成された第2プラスチック樹脂6の上面6a又は上面6a及び下面6bの両面に電子素子10を実装する(S24)。電子素子10は、LED、ICチップなどの電気的機能を有する素材を使う。ここで、第2プラスチック樹脂6の熱損傷を最小化するために、低温ソルダリング工法を適用する。具体的に、低温硬化性ソルダーペーストを塗布して接合する方式と、一般的なソルダーペーストが塗布された部位のみ局部加熱する接合方式とによって第2プラスチック樹脂6の熱損傷を最小化することができ、所要仕様によって選択的に用いる。電子素子10を実装しながらリフロー(reflow)作業を行うことにより、電気素子10のピンを溶融して表面に固定する。リフロー作業は第2プラスチック樹脂6の熱損傷を最小化する温度以下で実施することが好ましい。
【0046】
ついで、第2プラスチック樹脂6の下面に電子回路8及び電子素子10を形成した場合、コーティング層を形成して、外部の衝撃、変形又は破損に対する十分な耐久性を有するようにする(S26)。
【0047】
次に、図7を参照して本発明の電気連結構造について説明する。
【0048】
まず、図7aは、電子回路8のメッキの際、貫通ホール6’を通して第2プラスチック樹脂6の上面6aから下面6bまで電子回路を延ばして露出させた後、拡大図に示すようなコネクター端子、パッド又はフレキシブルプリント基板(FPCB)を用いてメインボードと連結させる構造を示している。この場合、前記構成要件が図1の端子部100に相当すると言える。
【0049】
これとは違い、図7bは、貫通ホール6’を通して端子部100を電子回路8と電気的に連結させるとともにこれを下方に延ばして露出させる構造を示している。端子部100はフレキシブルプリント基板(FPCB)、パッド又は伝導性金属ピンからなる。
【0050】
端子部100はメインボード(図示せず)と電気的に接続するように下方に露出される。図7bは端子部100が接地された状態を示す。貫通ホール6’は中央又は側面などの適切な部位に形成される。
【0051】
電子回路8及び電子素子10は第2プラスチック樹脂6の上面6a又は両面に固定され、メインボードから電源が印加されれば、端子部100を介して電源が供給され、電子回路8に属する伝導性パターンを介して電流が供給され、例えばLEDのような電子素子10が発光するなど、自動車機能の具現のための多様な機能を果たすことができる。自動車の電装部品のために使われる場合、タッチセンサー(静電容量及び静電圧方式)又は発光機能を具現することができる。
【0052】
<フィルム2と第2プラスチック樹脂6の結合工程>
以上の工程によってそれぞれ完成された本発明のフィルム2と、電子回路8及び電子素子10が一体化した第2プラスチック樹脂6とはインサート射出成形工程によって最終的なIME構造1に完成される。
【0053】
フィルム2と第2プラスチック樹脂6は既に製品の形状に合わせて成形されているので、図1で説明した第1プラスチック樹脂4の形成のために、完成製品の形状と同じ形状のキャビティ(cavity)を有するモールド又は金型を準備する。ついで、モールドの上部にフィルム2を装着し、モールドの下部には電子回路8及び電子素子10が一体化した第2プラスチック樹脂6を装着した後、キャビティの内部にプラスチック樹脂を注入して充填し、所定の温度及び圧力の下でインサート射出工程を遂行する。すると、第1プラスチック樹脂4が成形されるにつれて、フィルム2と、フィルム2の下部に位置する第1プラスチック樹脂4と、第1プラスチック樹脂4の下部に位置する第2プラスチック樹脂6とからなるIME構造1が出来上がる。
【0054】
第1プラスチック樹脂4の素材は、第2プラスチック樹脂6と同様に制限がないが、例えば電子素子10がタッチ式センサーの場合には、フィルム2を押す指の力が充分に伝達されるように弾力性を有する素材であることが好ましい。
【0055】
以上で本発明の実施例を説明したが、これは本発明を限定せず、本発明の多様な変形及び修正が可能である。本発明の権利範囲は以下で記述する請求範囲と同一又は均等な範囲まで及ぶというのは自明である。
【符号の説明】
【0056】
1 IME構造
2 フィルム
4 第1プラスチック樹脂
6 第2プラスチック樹脂
8 電子回路
10 電子素子
22 貫通部
100 端子部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b