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特許7264928液状食品の分注装置および前記装置の作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】液状食品の分注装置および前記装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20230418BHJP
   A47J 31/60 20060101ALI20230418BHJP
   A47J 31/40 20060101ALI20230418BHJP
   A47J 31/46 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A47J31/44 430
A47J31/60
A47J31/40 102
A47J31/46
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021042408
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2021164632
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】10 2020 107 545.6
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512218854
【氏名又は名称】フランケ・カフェーマシーネン・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】FRANKE KAFFEEMASCHINEN AG
【住所又は居所原語表記】FRANKE‐STRASSE 9, 4663 AARBURG, SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ゼルゲ・ヴェヒター
(72)【発明者】
【氏名】ジモン・ミュラー
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-119186(JP,A)
【文献】国際公開第2011/105942(WO,A1)
【文献】特開2018-122864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00~31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状食品、とりわけミルクを分注するための装置であって、前記液状食品を加熱するための加熱装置(30)を備え、前記加熱装置は、前記液状食品のための流路(31a、31b)と電気ヒータ(34)とを有し、前記流路(31a、31b)と前記ヒータ(34)は、大熱容量および/または高伝熱性の金属からなる熱蓄積器(33)に熱接触しており、前記熱蓄積器(33)は、前記ヒータ(34)によって動作温度に調節され、前記動作温度は、80℃未満であり、前記流路(31a、31b)は、少なくとも1つの方向制御弁(27a、27b、23a、23b)を介して洗浄管に接続可能であり、前記洗浄管を介してクリーニングのために、水および/または洗剤溶液を、前記流路(31a、31b)を通して導くことができる、分注装置において、
制御装置(50)を備え、前記制御装置は、熱的再生を実行するために前記加熱装置(30)を、100℃超の高温に加熱し、前記流路(31a、31b)を通して水または洗剤溶液を高温に加熱された前記加熱装置(30)に一回または複数回通流するために、前記方向制御弁(27a、27b、23a、23b)を開放するように構成されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御装置(50)は、前記加熱装置(30)の高温への加熱前に、前記流路(31a、31b)に、前記方向制御弁(27a、27b、23a、23b)を介して水または洗剤溶液を充填するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御装置(50)は、高温に加熱された前記加熱装置(30)に前記流路(31a、31b)を通して水を断続的に通流させるために、前記方向制御弁(27a、27b、23a、23b)を複数回、短時間開放するように構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記液状食品を食品供給管を介して備蓄容器(21a、21b)から搬送するためのポンプ(22a、22b)を備え、前記加熱装置(30)は、前記ポンプ(22a、22b)から搬送された食品を加熱するために、前記ポンプ(22a、22b)の圧力側に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記洗浄管は、前記ポンプ(22a、22b)の吸引側で前記食品供給管に合流する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ポンプ(22a、22b)の吸引側で前記食品供給管に合流する空気入口を備え、前記洗浄管は、前記空気入口から前記食品供給管に至る空気吸引管(24a、24b)に合流する、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御装置(50)は、前記加熱装置(30)が熱的再生の最中に高温に加熱された際に、冷えた新鮮水を、前記流路(31a、31b)を通して導き、前記加熱装置(30)がオフになっている際、または動作温度に加熱されている際に、その前にまたは引き続き、洗浄液を前記流路(31a、31b)を通して前記加熱装置(30)に導くように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
液状食品、とりわけミルクを加熱するために前記液状食品の分注時に用いられる加熱装置(30)の作動方法であって、前記加熱装置(30)は、前記液状食品のための流路(31a、31b)と、電気ヒータ(34)とを有し、前記流路(31a、31b)とヒータ(34)は、大熱容量および/または高伝熱性の金属からなる熱蓄積器(33)に熱接触しており、前記熱蓄積器(33)は、前記ヒータ(34)によって分注時に80℃未満の動作温度に調節され、前記流路(31a、31b)をクリーニングするために、少なくとも1つの方向制御弁(27a、27b、23a、23b)を介して洗浄管に接続され、前記洗浄管を介して水および/または洗剤溶液が前記流路(31a、31b)を介して導かれる、作動方法において、
前記加熱装置(30)を、熱的再生を実行するために100℃超の高温に加熱し、前記方向制御弁(27a、27b、23a、23b)を、前記流路(31a、31b)を通して、水または洗剤溶液を高温に加熱された前記加熱装置(30)に一回または複数回導くために開放する、ことを特徴とする作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状食品、とりわけミルクを分注するための装置に関し、液状食品を加熱するための加熱装置を備え、この加熱装置は、液状食品のための流路と電気ヒータとを有し、流路とヒータは、熱容量が大きく高伝熱性の材料からなる熱蓄積器に熱接触しており、前記熱蓄積器は、ヒータによって80℃未満、好ましくは70℃未満の動作温度に調節され、前記流路は、少なくとも1つの方向制御弁を介して洗浄管と接続可能であり、洗浄管を介して、クリーニングのために水または洗剤を、前記流路を通して導くことができる。
【背景技術】
【0002】
コーヒーのようなホットドリンクを調製する際には、ミルク、ミルク泡または代用乳製品のような液状食品がしばしば添加される。このような液状食品は冷却されて保存されるので、これをホットドリンクに添加する前に加熱しなければならない。このことは、熱容量を持った連続フローヒータ、いわゆるサーモブロックによって行うことができる。
【0003】
サーモブロックは、液状食品のための流路と電気ヒータとを有する加熱装置であり、流路とヒータは、アルミニウム、真鍮または銅のような、大熱容量および/または高伝熱性の金属からなる熱蓄積器に熱接触している。液状食品を分注するためのこの種の装置は、全自動コーヒーマシンに組み込むことができ、または追加機器として構成することができる。
【0004】
ミルクまたは他のタンパク質含有液状食品を加熱する際には、流路の内壁に堆積物、いわゆるファウリングが生じることがある。ここでは特に高温により、堆積物の形成が増強される。したがってミルク用の瞬間湯沸かし器は、通常70℃未満の温度で作動され、堆積物の形成の増強を回避する。さらに流路を定期的に、水または専用ミルククリーナにより洗浄しなければならない。
【0005】
70℃未満の動作温度に温度制御しても、堆積は完全には回避されず、定期的にクリーニングしても、堆積物は不完全にしか除去されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第3349627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、堆積物を加熱装置の領域において良好に除去することのできる、液状食品の分注装置及び前記装置の作動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、装置に関しては請求項1の特徴によって、方法に関しては請求項10の特徴によって解決される。有利な構成は、従属請求項から得られる。
【0009】
冒頭に述べた形式の装置には、本発明により制御装置が設けられており、この制御装置は、熱的再生を実行するために、加熱装置の熱蓄積器を100℃超の温度に加熱し、水または洗剤溶液を、高温に加熱された加熱装置の流路を通して通流するために、方向制御弁を1回または複数回、開放するように構成されている。
【0010】
本発明の基礎となる発見は、100℃超に加熱された加熱装置では、洗剤なしの冷水による1回または複数回の洗浄でも、非常に高いクリーニング効果を、加熱装置の流路に付着した残滓に対して達成できるということである。100℃超に加熱された流路内には、通流する冷水の局所的に蒸発と凝縮が生じる。このキャビテーションは、強力な壁せん断応力および圧力変動を引き起こす。さらに堆積物の構造が、その中に含まれる水分の蒸発によって破壊され、その結果、これを簡単に分解することができる。ここで有利な温度は、好ましくは110℃超、さらに好ましくは120℃超である。
【0011】
好ましくは、制御部はここで、すでに加熱装置の高温への加熱前に、流路に、方向制御弁を介して水または洗剤溶液を充填するように構成されている。これにより、流路に液状食品が存在しないことが保証される。液状食品が存在していると、加熱の際にさらなる残滓が形成されることとなる。
【0012】
制御部はとりわけ、高温に加熱された加熱装置の流路を通して水を断続的に通流させるために、方向制御弁を複数回、短時間開放するように構成することができる。水により断続的に洗浄することによって、特に良好なクリーニング効果が達成される。
【0013】
好ましい一実施形態では、装置は、食品供給管を介して液状食品を備蓄容器から搬送するためのポンプを有し、ポンプにより搬送された食品を加熱するための加熱装置は、ポンプの圧力側に配置されている。付加的に、洗浄管が、ポンプの吸引側で食品供給管に合流するようにすることができる。したがってポンプを、装置の動作時に液状食品の搬送のためと、加熱装置のクリーニングのために同じように使用することができ、後者の場合、ポンプによって水または洗剤溶液が、洗浄管を介して吸引され、加熱装置を通して搬送される。同時にここでは、ポンプ自体が洗浄され、食品残滓が除去される。
【0014】
好ましい一発展形態では、付加的に、ポンプの吸引側で食品供給管に合流する空気入口が設けられている。この空気入口を介して、液状食品の他に空気を吸引することができ、空気により液状食品がポンプ内で泡立てられ、発泡食品として分注される。ここで本発明の枠内で、とりわけ洗浄管は、空気入口から食品供給管に至る空気吸引管に合流することができる。空気入口は、さらに空気弁を介して閉鎖することができる。空気弁は、一方では吸引された空気量を調量するために用いることができる。他方では、クリーニングの場合、空気入口を閉鎖し、空気吸引管に合流する洗浄管を介して水または洗剤溶液を、ポンプの方向に導くことができる。
【0015】
熱的再生の最中に熱蓄積器が高温に加熱された際に、流路を通して冷たい新鮮水を導くと特に有利であることが判明した。そのために第1の方向制御弁が、新鮮水洗浄管に向けて開放される。熱的再生は、洗剤溶液による通流クリーニングと組み合わせることができる。このことは、加熱装置がオフになっている際、または動作温度に加熱されている際に、その前にまたは引き続き、洗浄溶液を加熱装置の流路を通して導くことにより行われる。そのためにポンプを介して洗剤溶液が洗剤溶液混合容器から吸引され、流路を通して導かれる。引き続き再度、温水および/または冷水により後洗浄される。
【0016】
本発明による加熱装置の作動方法の枠内で、本発明によれば、熱的再生を実行するために、熱蓄積器を100℃超の高温に加熱し、水または洗浄溶液を高温に加熱された加熱装置の流路を通して導くために、方向制御弁を1回または複数回開放することができる。
【0017】
本発明のさらなる利点および構成は、図面に基づく実施例の後述の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】液状食品を分注するための装置の流体スキームを示す図である。
図2】ホットドリンク分注装置に使用されるサーモブロックの等角図である。
図3】2つの分離した流路を備えるサーモブロックの断面図である。
図4】らせん状の流体管、並びに図2のサーモブロックのヒータの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、ホットドリンク分注装置の液圧部品(hydraulischen Komponenten)のいわゆる水通過スキームが示されている。ホットドリンク分注装置は、とりわけ全自動コーヒーマシンとすることができる。この装置は、流出ヘッド10を含み、その下方に飲用容器11が位置決めされる。流出ヘッド10を介して、種々のホットドリンクあるいは飲料食材を飲用容器11に分注することができる。さらに装置は、ボイラーの形態の温水提供器12を含む。弁13a、13bを介して温水を流出ヘッド10の出口10a、10bに分注することができる。切替弁14a、14bを介して温水を、流路の洗浄のために、排水管15を介しても排出口に直接導くことができる。
【0020】
温水ボイラー12からの温水により、例えばホットティーまたは淹れたてのコーヒーを調製することができる。それ自体公知であり、従来の構造形式の対応の抽出装置は、見やすくするため図示されていない。
【0021】
本発明の枠内で重要なのは、備蓄容器に蓄えられる液状食品、とりわけミルクの分注である。さらに冷蔵庫20が設けられており、冷蔵庫には2つの備蓄容器21a、21bが冷却され格納されている。したがって、通常の全乳および無乳糖乳または低脂肪乳、またはアーモンド乳、米乳、豆乳または麦乳などの代用乳製品など、2つの異なる液状食品を蓄えることができる。同様に、紅茶などの他の既製飲料を備蓄容器21a、21bに蓄え、選択的にホットドリンクとして、または温かい飲料添加物として分注することも可能である。
【0022】
2つの備蓄容器21a、21bの各々は、それぞれ吸引管を介してポンプ22a、22bに接続されており、ポンプを介して該当する液状食品を備蓄容器21a、21bから流出ヘッド10に搬送することができる。2つの備蓄容器21a、21bに蓄えられた液状食品のための流路は、流出ヘッド10まで完全に分離されて延在する。2つの備蓄容器21a、21bからの液状食品のための液圧回路は対称に構成されているから、以下では備蓄容器21aからの食品のための流路だけを説明する。同じ説明が、第2の備蓄容器21bからの食品の第2の流路に対しても、意味的に当てはまる。
【0023】
備蓄容器21aとポンプ22aとの間の吸引管にはシャットオフバルブ23aが存在する。さらにシャットオフバルブ23aとポンプ22aとの間の吸引管には空気管24aが合流する。空気管には空気弁25aが設けられている。空気弁25aが開放されると、ポンプ22aの動作時に、備蓄容器21aからの液状食品の他に空気も共に吸引される。このようにして備蓄容器21aからの液状食品をポンプ22a内で泡立て、ミルク泡のような発泡飲用添加物として分注することができる。空気弁25aのクロック動作により、空気量を調量することができる。さらに空気管24aには洗浄管26aが合流する。この洗浄管を介して、洗浄弁27aが開放することにより、新鮮水がミルクシステムを通して導入され、ミルクシステムを洗浄する。
【0024】
ポンプの圧力側には、螺旋混合器28aが配置されており、この螺旋混合器28aは、ポンプ内の圧力を高めるために背圧要素(Gegendruckelement)として用いられる。これによって液状食品の発泡が促進される。螺旋混合器の代わりに、任意の他の背圧要素、例えば固定絞りまたは迷路状の抵抗通過要素を使用することもできる。
【0025】
背圧要素28aの後方には、並列回路に2つの閉鎖弁29、29’が配置されている。弁29の開放により、備蓄容器21aからポンプ22aによって搬送された液状食品が、食品供給管33aを介してサーモブロックとして構成された加熱装置30に、さらにこの加熱装置を介して流出ヘッド10にある飲料出口10aに導かれる。サーモブロック30では液状食品が加熱され、その結果、液状食品は、加熱された飲料食材としてホットドリンクの調製のために分注される。択一的に、弁29を閉鎖し、弁29’を開放することもできる。これにより、サーモブロックを迂回し、搬送された液状食品は直接、すなわち加熱せずに、流出ヘッド10の飲料出口10aで分注される。この任意選択肢は、ホットドリンクではなく、アイスコーヒーまたはアイスチョコレートのような冷えた飲料が所望される場合に選択される。
【0026】
装置は付加的に、第2の温水ボイラー40を有する。この第2の温水ボイラーを介して温水を、クリーニングのために洗剤混合容器41に注入することができる。調量ポンプ42を介して、さらに洗剤容器43から洗剤を洗剤混合容器41に搬送することができる。このようにして洗剤溶液が混合される。差し替え可能な接続要素44aを介して、ポンプ22aから到来する吸引管を洗剤混合容器41に接続することができる。これにより洗浄液体を吸引し、ミルクシステムを通して搬送することができる。排出弁14aは、この場合、排出管15の方向に開放され、それにより洗剤溶液が誤って飲料容器に分注されることはない。引き続き弁27aの開放により、水によって後洗浄される。対応の組み込まれたクリーニングシステムが、欧州出願公開第3349627号公報に記載されており、この公報が、不要な繰り返しを避けるために内容的に完全に引用される。
【0027】
接続要素44aと、第2の備蓄容器21bのための並列の接続要素44bは、接続容器、および選択的に洗剤混合容器41のための差込接続部として用いられ、洗剤混合容器を、クリーニングの実行のために備蓄容器21a、21bの代わりに接続することができる。
【0028】
サーモブロック30は、2つの別個の流路31a、31bを有する。流路31aは、第1の備蓄容器21aから到来する食料供給管23aに接続されており、一方、流路31bは、第2の備蓄容器21bから到来する食料供給管32bに接続されている。
【0029】
図2から図4には、サーモブロック30の構造が詳細に示されている。サーモブロック30の本体33は、アルミニウム鋳造体からなる。本体には流路31a、31bとして用いられる管路、並びに電気接続接点を備える電気ヒータ34が埋め込まれている。管路31a、31bは、ステンレス鋼からなり、サーモブロック30内に螺旋状に延在する。電気ヒータ34も同様に螺旋状に構成されている。螺旋状のヒータ34および螺旋状の管路31a、31bは、ここではサーモブロック30の中央軸線を中心に同心に配置されており、ヒータ34は最内側の螺旋を形成する。
【0030】
択一的な実施形態では、サーモブロックは、銅製の本体から作製することもでき、本体には流路として食料供給管がろう付けされている。ヒータは、この場合、本体の内部、または食料供給管に対向する本体の側に配置することができる。
【0031】
ヒータ34により、サーモブロック30は、60℃から70℃の間の一定の動作温度に調節される。螺旋状の管路31a、31bを通って流れる流体は、その途中でサーモブロック30により加熱される。アルミニウム鋳造体33の大きな熱容量によってヒータ34を介して、流路31aおよび/または31bを通して液状食品が導かれる時に一定の動作温度を維持することができる。サーモブロック30にある温度センサ35により、サーモブロックの温度が常時測定され、ヒータ34を介して追従制御することができる。
【0032】
2つのボイラー12、40は、水供給路45に接続されている。供給路にはウォータポンプがあり、これにより新鮮水が搬送される。さらに、ウォータポンプ46からボイラーに至る2つの供給路には流量計47、48が配置されており、これらにより水量が測定される。これにより、温水ボイラー12に関しては飲料量を、温水ボイラー40に関しては洗剤混合容器41内の洗剤溶液の濃度を調量することができる。さらに水供給管からは、洗浄弁27a、27bを介して2つの流路の空気吸引管に至る管路が分岐する。すでに記載したように、これらの弁を介してミルクシステムのそれぞれの流路を洗浄することができる。
【0033】
実施例では、2つの別個の流路を備えるサーモブロックが図示されている。基本的に、別個のサーモブロックを2つの食料品種に対して設けることも可能であろう。同様に、2超の異なる液状食品を蓄えて分注すべき場合には、2超の流路を相応に設けることができる。同様に、2超の液状食品タイプがある場合、別個のサーモブロックを設けることが可能であろう。
【0034】
サーモブロック30をクリーニングするために熱的再生が実行され、そのためにサーモブロック30には弁27aと27bの開放によって冷水が充填される。ここでは弁23a、23bが閉鎖され、したがってポンプ22a、22bは、空気管24a、24bを介して水を水供給管47から吸引する。さらに排出弁14a、14bが排水管15に切り替えられ、したがって加熱された水がサーモブロック30から、流出ヘッド10ではなく、排出口に直接到達する。引き続きサーモブロック30は、約125℃の温度に加熱される。流路31a、31b内の水が沸騰し始める。そして弁27aと27bが複数回、新たに短時間開放され、これにより加熱されたサーモブロックを何回も水により洗浄する。ここでは局所的な蒸発と、さらなる凝縮が生じる。これに伴うキャビテーションは、強力な壁せん断応力および圧力変動を引き起こす。高温に加熱されたサーモブロック30を冷水により複数回洗浄するだけで、洗剤を使用せずに、サーモブロック内に付着するミルク残滓に対して非常に大きなクリーニング効果が発揮される。さらにミルク堆積物の構造が、その中に含まれる水分の蒸発によって破壊され、これによって簡単に分解することができる。
【0035】
サーモブロック30の熱的再生は、“通常”クリーニングの後に実行するか、または“通常”クリーニングに組み込むことができる。
【0036】
“通常”クリーニングのためにヒータがスイッチオフされ、前もって洗剤混合容器41内で混合された暖かい洗剤溶液をポンプ22a、22bによりサーモブロックを通して搬送することによってクリーニング過程が実行される。そのためにポンプ22a、22bは、両方の備蓄容器21a、21bではなく、洗剤混合容器41に至る吸引管に、2つの接続要素44a、44bを手動でクリーニング位置に差し替えることによって接続される。接続要素44a、44bの位置は、ここではリード接点によって監視することができ、したがって接続要素44a、44bがクリーニング位置にもたらされたときにのみ、クリーニングの実行が制御部によって許可される。弁23a、23bが開放され、それによりポンプ22a、22bは洗剤溶液を吸引する。洗剤溶液がミルクシステムを通して通流された後、再度温水により後洗浄される。
【0037】
前記“通常”クリーニング過程と、そのために必要な手動の工程の終了後、サーモブロック30の熱的再生を独立して行うことができる。
【0038】
択一的に、洗剤溶液の通流後に、熱的再生を、サーモブロック30の引き続く冷却も含めて行うことができる。その後、温水により後洗浄することにより、“通常”クリーニングの第2の部分が行われる。
【0039】
ホットドリンク分注装置の制御は、プログラミング可能な制御装置50を介して行われる。制御装置は、例えば接触感知性のディスプレイまたは同等の表示および入力ユニットの形態のユーザインタフェース51に接続されている。制御装置50を介して、ホットドリンク分注装置の機能全体、とりわけウォータポンプ22a、22b、全ての方向制御弁14a、14b、23a、23b、27a、27b、サーモブロック30並びにクリーニングシステム41、42、43およびその調量ポンプ42の作動が制御される。温度調整も制御装置により行うことができる。そのために制御部は、サーモブロック30に接続された温度センサ35を読み取る。したがって制御装置50を介して、通常動作時にはコーヒー飲料または他のホットドリンクの調製を制御することができ、ミルクシステムおよびサーモブロック30のクリーニングも実行することができる。
【0040】
もちろん、弁、ポンプおよび/またはサーモブロック30の加熱を、さらに互いに通信する別個の制御要素を介して制御することも本発明の枠内である。
図1
図2
図3
図4