(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】透湿防水膜、透湿防水膜の製造方法及び透湿防水織物
(51)【国際特許分類】
C08J 9/00 20060101AFI20230418BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230418BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20230418BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20230418BHJP
B32B 5/32 20060101ALI20230418BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20230418BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20230418BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20230418BHJP
B29C 55/12 20060101ALI20230418BHJP
B29C 67/20 20060101ALI20230418BHJP
A41D 31/102 20190101ALI20230418BHJP
【FI】
C08J9/00 A CES
B32B27/32 E
B32B27/20 Z
B32B5/24 101
B32B5/32
C08L23/10
C08L23/26
C08K3/00
B29C55/12
B29C67/20 B
A41D31/102
(21)【出願番号】P 2021067652
(22)【出願日】2021-04-13
【審査請求日】2021-04-13
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.201,TUNG HWA N.RD.,TAIPEI,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】袁 ▲敬▼堯
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 文瑞
(72)【発明者】
【氏名】王 誌鋒
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1684999(CN,A)
【文献】国際公開第2017/099179(WO,A1)
【文献】特表2016-521784(JP,A)
【文献】特開2001-301001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
B32B 1/00-43/00
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B29C 44/00-44/60、55/00-55/30、
61/00-61/10、67/20
D06M 17/00-17/10
A41D 31/102
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度は、0.6g/cm
3~0.8g/cm
3である透湿防水膜であって、前記透湿防水膜に複数の微細孔が形成されており、前記微細孔の寸法は500nm未満であり、前記透湿防水膜は、
第1の原料で形成された第1の表層と、
中間層原料で形成された中間層と、
第2の原料で形成された第2の表層と、
を含み、
前記第1の原料は、70重量部の第1のポリプロピレン樹脂、及び30重量部の第2のポリプロピレン樹脂を含み、
前記中間層原料は、80重量部の第1のポリプロピレン樹脂、5重量部の第2のポリプロピレン樹脂、及び20重量部の無機粒子を含み、
前記第2の原料は、70重量部の第1のポリプロピレン樹脂、及び30重量部の第2のポリプロピレン樹脂を含み、
前記中間層は、前記第1の表層と、前記第2の表層との間に設置され、
前記第2のポリプロピレン樹脂は、親水性基を含むように変性されたポリプロピレン樹脂であり、前記第2のポリプロピレン樹脂と、前記第1のポリプロピレン樹脂とは互いに異な
り、
前記透湿防水膜の厚さは、15μm~50μmであり、前記中間層が占める厚さの比例は80%であり、前記第1の表層が占める厚さの比例は10%であり、前記第2の表層が占める厚さの比例は10%であり、
前記無機粒子の平均粒径(D
50
)は0.05μm~2μmである、ことを特徴とする透湿防水膜。
【請求項2】
前記透湿防水膜の耐水圧は、10000mm・H
2O~20000mm・H
2Oであり、前記透湿防水膜の、24時間で、1m
2あたりの透湿度は5000g~20000gである、請求項1に記載の透湿防水膜。
【請求項3】
前記第2のポリプロピレン樹脂における親水性基は、ヒドロキシ基、カルボン酸基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の透湿防水膜。
【請求項4】
材料がポリオレフィンである繊維布帛、及び前記繊維布帛に設置される透湿防水膜を含む透湿防水織物であって、前記透湿防水膜の密度は0.6g/cm
3~0.8g/cm
3であり、前記透湿防水膜に複数の微細孔が形成されており、前記微細孔の寸法は500nm未満であり、前記透湿防水膜は、
第1の原料で形成された第1の表層と、
中間層原料で形成された中間層と、
第2の原料で形成された第2の表層と、を含み、
前記第1の原料は、70重量部の第1のポリプロピレン樹脂、及び30重量部の第2のポリプロピレン樹脂を含み、
前記中間層原料は、80重量部の第1のポリプロピレン樹脂、5重量部の第2のポリプロピレン樹脂、及び20重量部の無機粒子を含み、
前記第2の原料は、70重量部の第1のポリプロピレン樹脂、及び30重量部の第2のポリプロピレン樹脂を含み、
前記中間層は、前記第1の表層と前記第2の表層との間に設置され、
前記第2のポリプロピレン樹脂は、親水性基を含むように変性されたポリプロピレン樹脂であり、前記第2のポリプロピレン樹脂と、前記第1のポリプロピレン樹脂とは互いに異な
り、
前記透湿防水膜の厚さは、15μm~50μmであり、前記中間層が占める厚さの比例は80%であり、前記第1の表層が占める厚さの比例は10%であり、前記第2の表層が占める厚さの比例は10%であり、
前記無機粒子の平均粒径(D
50
)は0.05μm~2μmである、ことを特徴とする透湿防水織物。
【請求項5】
前記透湿防水膜は、フィルムラミネート法によって前記繊維布帛に設置される、請求項
4に記載の透湿防水織物。
【請求項6】
第1の原料、中間層原料、及び第2の原料を提供するステップと、
前記第1の原料、前記中間層原料、及び前記第2の原料を圧延することで、三層構造のポリオレフィン薄片を形成するステップと、
前記ポリオレフィン薄片を延伸することで、透湿防水膜を形成するステップと、を含み、
前記第1の原料は、70重量部の第1のポリプロピレン樹脂、及び30重量部の第2のポリプロピレン樹脂を含み、
前記中間層原料は、80重量部の第1のポリプロピレン樹脂、5重量部の第2のポリプロピレン樹脂、及び20重量部の無機粒子を含み、
前記第2の原料は、70重量部の第1のポリプロピレン樹脂、及び30重量部の第2のポリプロピレン樹脂を含み、
前記第2のポリプロピレン樹脂は、親水性基を含むように変性されたポリプロピレン樹脂であり、前記第2のポリプロピレン樹脂と、前記第1のポリプロピレン樹脂とは互いに異なり、
前記透湿防水膜の密度は、0.6g/cm
3~0.8g/cm
3であり、前記透湿防水膜に複数の微細孔が形成されており、前記微細孔の寸法は500nm未満であ
り、
前記透湿防水膜の厚さは、15μm~50μmであり、中間層が占める厚さの比例は80%であり、第1の表層が占める厚さの比例は10%であり、第2の表層が占める厚さの比例は10%であり、
前記無機粒子の平均粒径(D
50
)は0.05μm~2μmである、ことを特徴とする透湿防水膜の製造方法。
【請求項7】
前記ポリオレフィン薄片を延伸するステップは、前記ポリオレフィン薄片に対して、タテ方向(MD)の延伸加工、及びヨコ方向(TD)の延伸加工を行うステップを含み、前記タテ方向の延伸加工の倍率は2.5~5.0倍であり、前記ヨコ方向の延伸加工の延伸倍率は6.0~10倍である、請求項
6に記載の透湿防水膜の製造方法。
【請求項8】
前記タテ方向の延伸加工、及び前記ヨコ方向の延伸加工は、先後して、または同時に行われる、請求項
7に記載の透湿防水膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透湿防水膜、透湿防水膜の製造方法及び透湿防水織物に関し、特に、ポリオレフィン系材料で製造される透湿防水膜、透湿防水膜の製造方法及び透湿防水織物に関する。
【背景技術】
【0002】
透湿防水膜は、水蒸気を透過する一方、液体の水分子を通さない性質を有する膜である。水蒸気は、水分子が気体になったものであり、体積が微細なため、毛細管現象により、透湿防水膜の一方側から他方側まで浸透することができ、それによって、水蒸気(湿気)を透過する効果を実現する。一方、水蒸気が凝結し液体の水分子になると、表面張力及び凝集力の共同作用により、液体の水分子は、凝集して、体積の大きい水クラスターを形成する傾向があるため、透湿防水膜の一方側から他方側まで透過することができない。それによって、透湿防水膜は防水効果を有することができる。
【0003】
透湿防水膜の応用の一つに、衣類製品への応用が挙げられる。人体は、体温が高すぎる場合、皮膚を発汗させて体温を調節する。しかしながら、汗が長時間皮膚表面に留まると、不快さを感じやすく、細菌も増殖しやすい。透湿防水膜を使用することにより、皮膚表面の汗を加速して排出し、皮膚表面の乾燥を維持できる。さらに、透湿防水膜は、同時に、外部からの液体の水分子が透湿防水膜を透過して皮膚に到達することを防ぐことができるため、防水効果を有する。
【0004】
今、市販の透湿防水膜は、多くは、ポリウレタン、または熱可塑性ポリウレタンを材料として製造され、透湿防水膜を繊維布帛に貼り合わせると、透湿防水織物が得られる。しかしながら、既存の繊維布帛の材料は、多くは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)またはナイロン(nylon)であって、すべて現在のよく見られる透湿防水膜の材料とは異なる。即ち、透湿防水膜及び繊維布帛は、互いに材料が異なるため、透湿防水織物は、直接的に再生できず、複数の精製ステップを行わなければ、分離させて単一成分の再生材を得ることができない。
【0005】
上記に基づいて、市場では、水蒸気を透過する一方、液体の水分子を通さない状態で、一般の繊維布帛に応用でき、かつ直接的に再生できる特性を有する、好ましい透湿防水膜がまだない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来技術の不足に対し、透湿防水膜、透湿防水膜の製造方法及び透湿防水織物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、透湿防水膜を提供することである。透湿防水膜は、ポリオレフィン原料を延伸して製造され、透湿防水膜の密度は、0.6g/cm3~0.8g/cm3であり、透湿防水膜に複数の微細孔が形成されており、微細孔の寸法は500nm未満である。なかでも、ポリオレフィン原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、15重量%~30重量%の第2のポリプロピレン樹脂、及び1重量%~10重量%の無機粒子を含む。第2のポリプロピレン樹脂は、親水性基を含むように変性されたポリプロピレン樹脂であり、第2のポリプロピレン樹脂と、第1のポリプロピレン樹脂とは互いに異なる。
【0008】
本発明の一実施形態において、第1のポリプロピレン樹脂は、プロピレンホモ重合体を主体とし、エチレン化合物、プロピレン化合物、ブチレン化合物、エチレンホモ重合体、ブチレンホモ重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブチレン共重合体、プロピレン-ブチレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブチレン共重合体、またはそれらの混合物を選択的に含む。
【0009】
本発明の一実施形態において、透湿防水膜の厚さは、15μm~50μmであり、透湿防水膜の耐水圧は、10000mm・H2O~20000mm・H2Oであり、透湿防水膜の、24時間で、1m2あたりの透湿度は5000g~20000gである。
【0010】
本発明の一実施形態において、無機粒子の寸法は0.05μm~2μmである。
【0011】
本発明の一実施形態において、第2のポリプロピレン樹脂における親水性基は、ヒドロキシ基、カルボン酸基、アミド基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0012】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用する別の技術的手段は、透湿防水膜を提供することである。透湿防水膜の密度は0.6g/cm3~0.8g/cm3であり、透湿防水膜に複数の微細孔が形成されており、微細孔の寸法は500nm未満であり、透湿防水膜は、第1の表層、中間層、及び第2の表層を含み、中間層は、第1の表層と、第2の表層との間に設置される。第1の表層は、第1の原料で形成され、第1の原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、及び20重量%~40重量%の第2のポリプロピレン樹脂を含む。中間層は、中間層原料で形成され、中間層原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、15重量%~30重量%の第2のポリプロピレン樹脂、及び5重量%~10重量%の無機粒子を含む。第2の表層は、第2の原料で形成され、第2の原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、及び20重量%~40重量%の第2のポリプロピレン樹脂を含む。なかでも、第2のポリプロピレン樹脂は親水性基を含むように変性されたポリプロピレン樹脂であり、第2のポリプロピレン樹脂と、第1のポリプロピレン樹脂とは互いに異なる。なかでも、第1の原料、中間層原料、及び第2の原料の総重量を100重量%とした場合、無機粒子の存在量は、1重量%~10重量%である。
【0013】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用する他の技術的手段は、透湿防水織物を提供することである。透湿防水織物は、繊維布帛及び透湿防水膜を含み、繊維布帛の材料はポリオレフィンである。透湿防水膜は繊維布帛に設置される。透湿防水膜の密度は0.6g/cm3~0.8g/cm3であり、透湿防水膜に複数の微細孔が形成されており、微細孔の寸法は500nm未満であり、透湿防水膜は、第1の表層、中間層、及び第2の表層を含み、中間層は、第1の表層と第2の表層との間に設置される。第1の表層は、第1の原料で形成され、第1の原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、及び20重量%~40重量%の第2のポリプロピレン樹脂を含む。中間層は、中間層原料で形成され、中間層原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、15重量%~30重量%の第2のポリプロピレン樹脂、及び5重量%~10重量%の無機粒子を含む。第2の表層は、第2の原料で形成され、第2の原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、及び20重量%~40重量%の第2のポリプロピレン樹脂を含む。なかでも、第2のポリプロピレン樹脂は、親水性基を含むように変性されたポリプロピレン樹脂であり、第2のポリプロピレン樹脂と、第1のポリプロピレン樹脂とは互いに異なる。なかでも、第1の原料、中間層原料、及び第2の原料の総重量を100重量%とした場合、無機粒子の含有量は、1重量%~10重量%である。
【0014】
本発明の一実施形態において、透湿防水膜は、フィルムラミネート法(lamination)、樹脂コーティング法(coating)、または繊維カプセル化(encapsulation)によって繊維布帛に設置される。
【0015】
上記の技術的問題を解決するために、本発明が採用する他の技術的手段は、透湿防水膜の製造方法を提供することである。透湿防水膜の製造方法は、以下のステップを含む:まず、ポリオレフィン系材料を提供し、次いで、ポリオレフィン系材料を圧延することで、ポリオレフィン薄片を形成し、その後、ポリオレフィン薄片を延伸することで、透湿防水膜を形成する。なかでも、ポリオレフィン系材料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、15重量%~30重量%の第2のポリプロピレン樹脂、及び1重量%~10重量%の無機粒子を含み、なかでも、第2のポリプロピレン樹脂は、親水性基を含むように変性されたポリプロピレン樹脂であり、第2のポリプロピレン樹脂と、第1のポリプロピレン樹脂とは互いに異なる。なかでも、透湿防水膜の密度は、0.6g/cm3~0.8g/cm3であり、透湿防水膜に複数の微細孔が形成されており、微細孔の寸法は500nm未満である。
【0016】
本発明の一実施形態において、ポリオレフィン薄片を延伸するステップは、ポリオレフィン薄片に対して、タテ方向(MD)の延伸加工、及びヨコ方向(TD)の延伸加工を行うステップを含み、タテ方向の延伸加工の倍率は2.5~5.0倍であり、ヨコ方向の延伸加工の延伸倍率は6.0~10倍である。
【0017】
本発明の一実施形態において、タテ方向の延伸加工、及びヨコ方向の延伸加工は、先後して、または同時に行われる。
【0018】
本発明が提供する透湿防水膜、透湿防水膜の製造方法及び透湿防水織物は、「透湿防水膜は、ポリオレフィン原料を延伸して製造される」、「透湿防水膜に複数の微細孔が形成されており、微細孔の寸法は500nm未満である」、及び「ポリオレフィン原料は、第1のポリプロピレン樹脂、第2のポリプロピレン樹脂、及び無機粒子を含む」といった技術的特徴により、軽量の透湿防水膜を提供し、かつ透湿防水膜をポリオレフィン系材料の繊維布帛に応用したとき、透湿防水織物は直接的に再生できる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る透湿防水膜を示す立体模式図である。
【
図2】本発明の透湿防水膜の製造方法を示すステップ流れ図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る透湿防水膜を示す側面模式図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態に係る透湿防水織物を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0021】
以下、所定の具体的な実施態様によって本発明が開示した「透湿防水膜、透湿防水膜の製造方法及び透湿防水織物」に係る実施形態を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行又は適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際の寸法に基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容は本発明の保護範囲を制限するためのものではない。
【0022】
理解すべきことは、本文には、「第1」、「第2」、「第3」という用語を使用して各種の素子を記述する可能性があるが、これらの素子は、これらの用語によって制限されない。これらの用語は主に、1つの素子ともう1つの素子を区別するためのものである。また、本文に使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つ又は複数の組み合わせを含む可能性がある。
【0023】
上記の問題に鑑みて、本発明は、改良されたポリオレフィン系材料を提供し、当該ポリオレフィン系材料は、透湿防水膜を形成する材料とすることができ、かつ透湿防水膜は、質量が軽い、及び再生できる、といった利点を有する。本発明の透湿防水膜は、繊維布帛に応用したとき、透湿防水、及び軽量化といった特性を有する透湿防水織物が得られる。さらに、繊維布帛の材料、及び透湿防水膜の材料が同様にポリオレフィンである場合、透湿防水織物は直接的に再生できる利点を有する。
[第1の実施形態]
【0024】
図1を参照されたい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る透湿防水膜を示す立体模式図である。本発明の透湿防水膜1は、単層構造であってもよく、透湿防水膜1には、湿気を排出する通路である複数の微細孔100が形成されている。本実施形態において、複数の微細孔100の寸法はすべて500nm未満である。透湿防水膜1に形成される微細孔100は寸法が小さいため、湿気は、毛細管現象により、透湿防水膜1の一方側から他方側まで浸透することができ、それによって、湿気を排出する効果を実現する。
【0025】
さらに言えば、透湿防水膜1における複数の微細孔100は、透湿防水膜1の相対する二つの表面を連通させる。微視的に見れば、一実施形態において、複数の微細孔100は、直線の通路とは限らず、湾曲した通路であってもよく、かつ複数の微細孔100の間は、互いに連通してもよく、それぞれ独立であってもよい。言い換えれば、本発明の複数の微細孔100の間が互いに直列または並列に連通することで、一つまたは複数の微細孔ネットワークを構成でき、かつ複数の微細孔ネットワークの間は互いに交差してもよく、部分的に重なってもよい。それによって、透湿防水膜1は、より多く湿気が通過するルートを有することで、透湿防水膜1の透湿率をさらに高めることができる。しかし、上記に挙げた例は一つの実施可能な実施形態のみであって、本発明を限定するためのものではない。
【0026】
本発明の透湿防水膜1は、ポリオレフィン系材料で形成され、具体的に言えば、ポリオレフィン系材料の総重量を100重量%濃度とした場合、ポリオレフィン系材料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、15重量%~30重量%の第2のポリプロピレン樹脂、及び1重量%~10重量%の無機粒子を含んでもよい。
【0027】
第1のポリプロピレン樹脂は、プロピレンホモ重合体(PP-H)を主体とする。他の実施形態において、プロピレンホモ重合体の他に、第1のポリプロピレン樹脂は、選択的に、エチレン、プロピレン、ブチレン、それらのホモ重合体、共重合体、またはそれらの混合物をさらに含んでもよい。即ち、第1のポリプロピレン樹脂は、プロピレンホモ重合体のみを含んでもよく、または、第1のポリプロピレン樹脂は、プロピレンホモ重合体の他に、エチレン化合物、プロピレン化合物、ブチレン化合物、エチレンホモ重合体、ブチレンホモ重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブチレン共重合体、プロピレン-ブチレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブチレン共重合体、またはそれらの混合物をさらに含んでもよい。また、上記の共重合体は、プロピレンブロック共重合体(PP-B)またはプロピレンランダム共重合体(PP-R)であってもよい。しかし、本発明は、上記に挙げた例に限らない。
【0028】
第2のポリプロピレン樹脂は、親水性基を含むように変性されたポリプロピレン樹脂であり、かつ第2のポリプロピレン樹脂と、第1のポリプロピレン樹脂とは互いに異なる。第2のポリプロピレン樹脂は、プロピレンホモ重合体(PP-H)、プロピレンブロック共重合体(PP-B)、プロピレンランダム共重合体(PP-R)、またはそれらの混合物であってもよく、かつポリプロピレンにおける親水性基は、ヒドロキシ基、カルボン酸基、アミド基、またはアミノ基の中から選ばれる少なくとも一種である。好ましい一実施形態において、ポリプロピレンにおける親水性基はヒドロキシ基である。しかし、本発明は、上記に挙げた例に限らない。ポリプロピレンは、親水性基によって変性されることで、水分子とより良く結合でき、それによって、湿気の吸収に寄与し、湿気の排出を早める。
【0029】
無機粒子は、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン、タルク、ゼオライト、アルミナ、及び硫化亜鉛の中から選ばれる少なくとも一種であってもよい。無機粒子の平均粒径(D50)は、0.05μm~2μmであり、好ましくは、無機粒子の平均粒径(D50)は0.1μm~1μmであり、さらに好ましくは、無機粒子の平均粒径(D50)は0.2μm~0.8μmである。材料の差異により、無機粒子と、第1のポリプロピレン樹脂、または第2のポリプロピレン樹脂とは互いに混合せず、即ち、ポリオレフィン系材料において、無機粒子は、第1のポリプロピレン樹脂、及び第2のポリプロピレン樹脂の中に分散する。しかし、本発明は、上記に挙げた例に限らない。
【0030】
前記第1のポリプロピレン樹脂、第2のポリプロピレン樹脂、及び無機粒子を均等に混合し、乾燥させると、ポリオレフィン系材料が得られる。次いで、ポリオレフィン系材料を押出機に入れ、ポリオレフィン系材料を250℃~270℃になるように加熱し、熔融状態のポリオレフィン系材料を得、熔融状態のポリオレフィン系材料を押出機によって圧延し、その後、ロールによって冷却及び固化を行うことができ、それによって、ポリオレフィン薄片を形成する。
【0031】
次いで、ポリオレフィン薄片を延伸機に入れ、ポリオレフィン薄片に対して、タテ方向(MD)の延伸加工、及びヨコ方向(TD)の延伸加工を行えば、本発明の透湿防水膜1が得られる。本実施形態において、ポリオレフィン薄片に対するタテ方向の延伸加工の倍率は2.5~5.0倍であり、ヨコ方向の延伸加工の延伸倍率は6.0~10倍である。さらに、タテ方向の延伸加工、及びヨコ方向の延伸加工は、先後して行なってもよく、同時に行なってもよい。
【0032】
延伸するステップを行うと、本発明の透湿防水膜1に上記の複数の微細孔100が形成され、複数の微細孔100の寸法は、すべて500nm未満である。しかし、上記に挙げた例は一つの実施可能な実施形態のみであって、本発明を限定するためのものではない。
【0033】
本発明において、無機粒子の融点は、第1のポリプロピレン樹脂、及び第2のポリプロピレン樹脂の融点よりも高い。そのため、ポリオレフィン系材料が、熔融、押出及び延伸のステップを経ても、無機粒子は、元来の物理的性質及び化学的性質を維持する。即ち、ポリオレフィン薄片の微視的構造をさらに分析すると、無機粒子は、ポリオレフィン薄片では分散相であり、第1のポリプロピレン樹脂及び第2のポリプロピレン樹脂は、分子構造が類似しているため互いに混合し、ポリオレフィン薄片では連続相である。
【0034】
また、ポリオレフィン薄片を延伸するステップにおいて、連続相(第1のポリプロピレン樹脂及び第2のポリプロピレン樹脂)が延伸されると、連続相と分散相(無機粒子)との境界に隙間が空けられ、それによって、上記の微細孔100が形成され、それによって、透湿及び防水の効果を実現する。
【0035】
図2を参照されたい。
図2は、本発明の透湿防水膜の製造方法を示すステップ流れ図である。まず、ポリオレフィン系材料を提供する(ステップS100)。次いで、ポリオレフィン系材料を圧延することで、ポリオレフィン薄片を形成する(ステップS110)。その後、ポリオレフィン薄片を延伸することで、透湿防水膜を形成する(ステップS120)。
[第2の実施形態]
【0036】
図3を参照されたい、
図3は、本発明の第2の実施形態に係る透湿防水膜を示す側面模式図である。本発明の透湿防水膜1は、三層構造であってもよく、第2の実施形態において、透湿防水膜1は、中間層10、第1の表層20、及び第2の表層30を含み、中間層10は、第1の表層20と、第2の表層30との間に設置される。また、中間層10は、中間層原料で形成され、第1の表層20は、第1の原料で形成され、第2の表層30は、第2の原料で形成される。
【0037】
第2の実施形態に係る透湿防水膜1にも複数の微細孔100が形成されており、第2の実施形態に係る微細孔100の構造と、第1の実施形態に係る微細孔100の構造とは近似し、複数の微細孔100の寸法はすべて500nm未満である。前述したように、湿気は、毛細管現象により、透湿防水膜1に形成される微細孔100を透過でき、それによって、湿気排出の効果を実現し、一方、液体の水分子は、透湿防水膜1における微細孔100を透過できず、それによって、透湿防水膜1は防水効果を有する。
【0038】
以下に、第2の実施形態に係る透湿防水膜1の製造方法を詳述する。まず、ポリオレフィン系材料を提供するステップ(ステップS100)において、それぞれ、中間層原料、第1の原料、及び第2の原料を提供する。中間層原料、第1の原料、及び第2の原料は、すべて上記の第1のポリプロピレン樹脂及び第2のポリプロピレン樹脂を含み、また、中間層原料における第1のポリプロピレン樹脂、及び第2のポリプロピレン樹脂の含有量比例、第1の原料における第1のポリプロピレン樹脂、及び第2のポリプロピレン樹脂の含有量比例、及び第2の原料における第1のポリプロピレン樹脂、及び第2のポリプロピレン樹脂の含有量比例は、互いに同様であってもよく、異なってもよい。
【0039】
注意すべきことは、中間層原料、第1の原料、及び第2の原料の中の少なくとも一つの原料は、前記無機粒子をさらに含む。例えて言えば、中間層原料、第1の原料及び第2の原料が、同時に無機粒子を含んでもよく、または、中間層原料、第1の原料及び第2の原料の中の二つの原料が無機粒子を含み、または、中間層原料、第1の原料及び第2の原料の中の一つの原料のみが無機粒子を含む。
【0040】
上記に基づいて、第2の実施形態に係る第1のポリプロピレン樹脂、第2のポリプロピレン樹脂、及び無機粒子の種類と、第1の実施形態に係る第1のポリプロピレン樹脂、第2のポリプロピレン樹脂、及び無機粒子の種類とは同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0041】
好ましい一実施形態において、中間層原料は、同時に、第1のポリプロピレン樹脂、第2のポリプロピレン樹脂、及び無機粒子を含み、第1の原料、及び第2の原料は、第1のポリプロピレン樹脂、及び第2のポリプロピレン樹脂のみを含む。
【0042】
具体的に言えば、中間層原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、15重量%~30重量%の第2のポリプロピレン樹脂、及び5重量%~10重量%の無機粒子を含んでもよい。第1の原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、及び20重量%~40重量%の第2のポリプロピレン樹脂を含む。第2の原料は、60重量%~80重量%の第1のポリプロピレン樹脂、及び20重量%~40重量%の第2のポリプロピレン樹脂を含む。また、ポリオレフィン系材料の総重量を100重量%とした場合、ポリオレフィン系材料における無機粒子の存在量は、1重量%~10重量%である。
【0043】
次いで、それぞれ、上記の中間層原料、第1の原料、及び第2の原料を均等に混合し、乾燥させた後、それぞれ、中間層原料、第1の原料、及び第2の原料を押出機に入れ、押出機中に、中間層原料、第1の原料、及び第2の原料を250℃~270℃になるように加熱し、それによって、熔融状態の中間層原料、第1の原料、及び第2の原料をそれぞれ形成する。その後、三層Tダイ(T die)により、熔融状態の第1の原料、中間層原料及び第2の原料を圧延し、ロールによって冷却し、固化させると、ポリオレフィン薄片を形成することができる(ステップS110)、ポリオレフィン薄片は三層構造である。
【0044】
冷却後のポリオレフィン薄片を延伸機に入れ、タテ方向の延伸及びヨコ方向の延伸を行えば、本発明の透湿防水膜1が得られる(ステップS120)。好ましい一実施形態において、ポリオレフィン薄片のタテ方向の延伸倍率は2.5倍~5.0倍であり、ポリオレフィン薄片のヨコ方向の延伸倍率は6.0倍~10倍である。しかし、上記に挙げた例は一つの実施可能な実施形態のみであって、本発明を限定するためのものではない。
【0045】
第2の実施形態において、中間層を形成する中間層原料のみが無機粒子を含むが、延伸倍率を多く設定することにより、依然として、分散相と、連続相との間の境界に隙間を空けることができ、それによって、透湿防水膜1に、相対する二つの表面を連通させる複数の微細孔100を形成し、複数の微細孔100は、互いに直列または並列に連通することで、一つまたは複数の微細孔ネットワークを構成できる。また、複数の微細孔ネットワークの間は互いに交差してもよく、部分的に重なってもよい。
[特性試験]
【0046】
本発明の透湿防水膜1の利点を裏付けるために、表1に示す原料を使用し、4倍のタテ方向の延伸倍率、及び8倍のヨコ方向の延伸倍率で、実施形態1~3、及び比較例1の透湿防水膜1を製造した。
【0047】
実施形態1~3、及び比較例1の透湿防水膜1において、中間層10が占める厚さの比例は80%であり、第1の表層20が占める厚さの比例は10%であり、第2の表層30が占める厚さの比例は10%である。それによって、第1の原料、中間層原料、及び第2の原料の総重量を100重量%とした場合、無機粒子の存在量は1重量%~10重量%である。
【0048】
また、実施形態1~3、及び比較例1の透湿防水膜1に対し、密度、透湿度及び耐水圧の試験を行い、特性試験の結果は表1に示す。
【0049】
表1に示す結果から、本発明の透湿防水膜1は、良好な透湿効果及び防水効果を有することが分かった。具体的に言えば、透湿防水膜1の厚さが15μm~50μmである場合、本発明の透湿防水膜1の耐水圧は10000mm・H2O~20000mm・H2Oに達することができ、かつ透湿防水膜は、24時間で、1m2あたりの透湿度は、5000g~20000gに達することができる。また、本発明の透湿防水膜1は、防水できる、及び湿気を排出できる効果を有するほか、軽量化の利点もあり、測定によると、本発明の透湿防水膜1の密度は0.6g/cm3~0.8g/cm3である。
【0050】
【0051】
図4を参照されたい。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る透湿防水織物を示す側面模式図である。本発明の透湿防水織物2は、上記の透湿防水膜1、及び繊維布帛40を含み、かつ透湿防水膜1は、繊維布帛40に設置されており、それによって、透湿効果及び防水効果を兼ね備える透湿防水織物2が得られる。
【0052】
繊維布帛40に透湿防水の効果を付与するために、第3の実施形態に係る透湿防水膜1は、フィルムラミネート法(lamination)によって繊維布帛40に設置することができる。フィルムラミネート法は、製造された透湿防水膜1を、完全に繊維布帛40を覆うように、接着剤によって繊維布帛40に貼り合わせることで、透湿防水織物2を作製する方法であってもよい。なかでも、接着剤を施す方法は、ディスペンス法(dispensing)、またはロールコーティング法(roll coating)であってもよい。しかし、本発明は、上記に挙げた例に限らない。
【0053】
他の実施形態において、透湿防水膜1は、コーティング法(coating)、または繊維カプセル化(encapsulation)によって繊維布帛40に設置されてもよい。
【0054】
樹脂コーティングの方法では、前記ポリオレフィン系材料を含む塗布液を、ブレードコーティング法comma coating)、またはロールコーティング法(roll coating)によって、繊維布帛40の外面に施し、乾燥、または固化のステップを経て、塗布液中のポリオレフィン系材料を繊維布帛40に成形することで、透湿防水織物2を作製する方法であってもよい。しかし、上記に挙げた例は一つの実施可能な実施形態のみであって、本発明を限定するためのものではない。
【0055】
繊維カプセル化は、毛糸、または繊維を、前記ポリオレフィン系材料を含む溶液に浸漬する(dipping)ことによって、毛糸、または繊維の外面に溶液の薄層を付着させ、乾燥、または固化のステップを経て、毛糸、または繊維の外面にポリオレフィン薄層を付着させる方法である。次いで、用途によって、異なる織り技術を使用し、表面処理された毛糸または繊維を布帛に織り上げれば、透湿防水織物2を作製できる。
【0056】
上記に基づいて、樹脂コーティング法、フィルムラミネート法、または繊維カプセル化の中の、いずれの方法を使用しても、最終的には、繊維布帛40に本発明の透湿防水膜1が形成される。しかし、上記に挙げた例は一つの実施可能な実施形態のみであって、本発明を限定するためのものではない。
【0057】
本実施形態において、繊維布帛40の材料はポリオレフィンであり、即ち、本発明の透湿防水膜1及び繊維布帛40は、材質が互いに同様である。それによって、本発明の透湿防水膜1を繊維布帛40に設置する場合、材料が互いに同様であるため、作製する透湿防水織物2は、軽量化する、及び直接的に再生できる、といった利点を有することができる。
[実施形態による有利な効果]
【0058】
本発明の一つの有利な効果として、本発明が提供する透湿防水膜1、その製造方法、及び透湿防水織物2は、「透湿防水膜1は、ポリオレフィン原料を延伸して製造される」、「透湿防水膜1に複数の微細孔100が形成されており、微細孔100の寸法は500nm未満である」、及び「ポリオレフィン原料は、第1のポリプロピレン樹脂、第2のポリプロピレン樹脂、及び無機粒子を含む」といった技術的特徴により、軽量の透湿防水膜1を提供し、かつ透湿防水膜1をポリオレフィン系材料の繊維布帛40に応用したとき、透湿防水織物2は直接的に再生できる利点を有する。
【0059】
さらに言えば、本発明が提供する透湿防水膜1、その製造方法、及び透湿防水織物2は、「透湿防水膜1の厚さは15μm~50μmである」という技術的特徴により、透湿防水膜1に、良好な耐水圧及び透湿度を付与できる。
【0060】
さらに言えば、本発明が提供する透湿防水膜1、その製造方法、及び透湿防水織物2は、「無機粒子の寸法は0.5μm~2μmである」という技術的特徴により、透湿防水膜1に寸法が500nm未満の微細孔100を形成でき、それによって、良好な透湿防水効果を付与できる。
【0061】
さらに言えば、本発明が提供する透湿防水織物2は、「繊維布帛40の材料はポリオレフィンである」という技術的特徴により、透湿防水織物2に、軽量化、及び直接的に再生できる、といった利点を付与できる。
【0062】
さらに言えば、本発明が提供する透湿防水膜1の製造方法は、「タテ方向の延伸加工の倍率は2.5~5.0倍である」、及び「ヨコ方向の延伸加工の延伸倍率は6.0~10倍である」といった技術的特徴により、透湿防水膜1に、寸法が500nm未満の微細孔100を形成でき、それによって、良好な透湿防水効果を付与できる。
【0063】
以上に開示される内容は、好ましい本発明の実施形態に過ぎず、発明の範囲を限定することを意図していない。そのため、本発明の明細書及び図面でなされた均等の技術的変形は、全て本発明の請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1:透湿防水膜
100:微細孔
10:中間層
20:第1の表層
30:第2の表層
2:透湿防水織物
40:繊維布帛