(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】制御装置および検出システム
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20230418BHJP
B62J 45/412 20200101ALI20230418BHJP
B62J 45/414 20200101ALI20230418BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J45/412
B62J45/414
(21)【出願番号】P 2021082199
(22)【出願日】2021-05-14
(62)【分割の表示】P 2018123312の分割
【原出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】仁木 一喬
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/181371(WO,A1)
【文献】特表2018-511510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0253606(US,A1)
【文献】特開2018-008557(JP,A)
【文献】中国実用新案第204587117(CN,U)
【文献】中国実用新案第206826824(CN,U)
【文献】特開2000-085675(JP,A)
【文献】特開2016-175432(JP,A)
【文献】特開2014-166125(JP,A)
【文献】特開2011-063131(JP,A)
【文献】特開2017-024645(JP,A)
【文献】特開2004-352121(JP,A)
【文献】特開平06-281471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0329112(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0113929(KR,A)
【文献】特開2000-108982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B62M 25/00
B62M 9/122
B62M 9/123
B62M 9/131
B62M 9/132
B62M 9/133
B62L 3/08
B60T 7/12
B62K 25/08
B62J 1/08
B62J 45/412
B62J 45/414
B62J 99/00
F16H 59/60
F16H 61/02
F16H 63/40
B60W 10/00
B60W 10/11
B60W 10/18
B60W 10/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出装置の検出結果に基づいて、人力駆動車の第1コンポーネント、および、前記人力駆動車の第2コンポーネントを電気的に制御する制御部を備え、
前記第1コンポーネントは、前記第2コンポーネントとは異なる機能を有し、
前記制御部は、
前記第1コンポーネントの制御開始後において、前記検出結果が所定条件から外れる場合、前記第2コンポーネントを制御し、
前記第2コンポーネントの制御開始後において、前記第1コンポーネントの状態と前記検出結果とに基づいて、前記第1コンポーネントを制御する、制御装置。
【請求項2】
設定情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記所定条件は、前記設定情報に対応する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記設定情報を変更可能に記憶する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
検出装置の検出結果に基づいて、人力駆動車の第1コンポーネント、および、前記人力駆動車の第2コンポーネントを制御する制御部を備え、
前記第1コンポーネントは、前記第2コンポーネントとは異なる機能を有し、
前記制御部は、前記第1コンポーネントの制御開始後において、前記検出結果が所定条件から外れる場合、前記第2コンポーネントを制御し、
設定情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記所定条件は、前記設定情報に対応し、
前記記憶部は、前記設定情報を変更可能に記憶する、制御装置。
【請求項5】
変更入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記変更入力に基づいて前記記憶部の前記設定情報を変更する、請求項2から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
検出装置の検出結果に基づいて、人力駆動車の第1コンポーネント、および、前記人力駆動車の第2コンポーネントを制御する制御部を備え、
前記第1コンポーネントは、前記第2コンポーネントとは異なる機能を有し、
前記制御部は、前記第1コンポーネントの制御開始後において、前記検出結果が所定条件から外れる場合、前記第2コンポーネントを制御し、
設定情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記所定条件は、前記設定情報に対応し、
変更入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記変更入力に基づいて前記記憶部の前記設定情報を変更する、制御装置。
【請求項7】
前記設定情報は、前記人力駆動車の走行速度に関するパラメータ、または、ユーザのコーナー走行の操作の傾向に関する情報である、請求項2から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記検出装置の前記検出結果は、前記人力駆動車の進行方向の車両、動物、信号、標識、および、マークの少なくとも1つを含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記検出装置の前記検出結果は、前記人力駆動車の進行方向に関するヨー軸角度、ピッチ軸並進方向の加速度、ハンドル操舵角度、および、ハンドル操舵加速度の少なくとも1つを含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
検出装置の検出結果に基づいて、人力駆動車の第1コンポーネント、および、前記人力駆動車の第2コンポーネントを電気的に制御する制御部を備え、
前記第1コンポーネントは、前記第2コンポーネントとは異なる機能を有し、モータを含
み、
前記検出装置の前記検出結果は、前記人力駆動車の進行方向の車両、前記人力駆動車の進行方向の動物、前記人力駆動車の進行方向の信号、前記人力駆動車の進行方向の標識、前記人力駆動車の進行方向のマーク、前記人力駆動車の進行方向に関するヨー軸角度、ピッチ軸並進方向の加速度、ハンドル操舵角度、および、ハンドル操舵加速度の少なくとも1つを含む、制御装置。
【請求項11】
前記第1コンポーネントは、変速装置、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、および、走行補助装置の少なくともいずれか1つを含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第2コンポーネントは、制動装置を含む、請求項1から
11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第2コンポーネントを制御する場合、前記検出結果に応じて前記第1コンポーネントをさらに制御する、請求項1から
12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記検出結果は、前記人力駆動車の走行速度に関するパラメータを含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記検出装置は、前記人力駆動車の走行速度に関するパラメータとして、前記人力駆動車の走行速度、加速度、および、躍度の少なくとも1つを検出する、請求項
14に記載の制御装置。
【請求項16】
前記検出装置の前記検出結果は、前記人力駆動車の走行路の状態を含む、請求項1から
15のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記検出装置の前記検出結果は、地図情報に基づく前記人力駆動車の位置および前記人力駆動車の操作装置へのユーザの入力の少なくとも1つを含む、請求項1から
16のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項18】
請求項1から
17のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記検出装置と、を備える検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地図情報に基づいて、車両がコーナーを通過不能であると判定した場合、車両が適切な走行速度でコーナーを通過できるように走行速度の調整を行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、減速が必要なときに、人力駆動車の走行速度を効率的に調整できる制御装置および検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車の第1コンポーネント、および、人力駆動車の第2コンポーネントを制御する制御部を備える制御装置であって、前記第1コンポーネントは、前記第2コンポーネントとは異なる機能を有し、前記第2コンポーネントは、制動装置であり、前記制御部は、前記第2コンポーネントの動作よりも先に前記第1コンポーネントが動作するように前記第1コンポーネントを制御する。
上記第1側面の制御装置によれば、ブレーキ前に第1コンポーネントを制御することで、効果的に人力駆動車を減速させることができる。このため、減速が必要なときに、人力駆動車の走行速度を効率的に調整できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記第1コンポーネントは、変速装置、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、および、走行補助装置の少なくともいずれか1つを含む。
上記第2側面の制御装置によれば、第1コンポーネントを制御することで、効果的に人力駆動車を減速させることができる。
【0007】
本発明の第3側面に従う制御装置は、検出装置の検出結果に基づいて、人力駆動車の第1コンポーネント、および、人力駆動車の第2コンポーネントを制御する制御部を備え、前記第1コンポーネントは、前記第2コンポーネントとは異なる機能を有する。
上記第3側面の制御装置によれば、2つのコンポーネントを連動して制御できるので、ユーザがより快適になる。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1コンポーネントの制御開始後において、前記検出結果が所定条件から外れる場合、前記第2コンポーネントを制御する。
上記第4側面の制御装置によれば、1つのコンポーネントで不十分な場合のみ2つのコンポーネントを連動させるので、コストの低減に寄与する。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記制御部は、前記第2コンポーネントを制御する場合、前記検出結果に応じて前記第1コンポーネントをさらに制御する。
上記第5側面の制御装置によれば、第1コンポーネント、第2コンポーネント、第1コンポーネントの順に制御するので、制御のバリエーションの幅が広くなる。
【0010】
前記第4または第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、設定情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記所定条件は、前記設定情報に対応する。
上記第6側面の制御装置によれば、所定条件を設定に応じて制御可能である。
【0011】
前記第3~第6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、前記第1コンポーネントは、変速装置、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、および、走行補助装置の少なくともいずれか1つを含む。
上記第7側面の制御装置によれば、制動装置を制御する前に第1コンポーネントを制御することで、効果的に人力駆動車を減速させることができる。
【0012】
前記第3~第7側面のいずれか1つに従う第8側面の制御装置において、前記第2コンポーネントは、制動装置を含む。
上記第8側面の制御装置によれば、ブレーキ前に制動装置とは異なる第1コンポーネントを制御するため、ユーザの快適性が向上する。
【0013】
本発明の第9側面に従う制御装置は、設定情報を変更可能に記憶する記憶部と、検出装置による検出結果、および、前記設定情報に対応する所定条件に基づいて、人力駆動車のコンポーネントを制御する制御部と、を備える。
上記第9側面の制御装置によれば、設定情報に対応する所定条件に基づいて人力駆動車のコンポーネントを制御するため、ユーザの快適性が向上する。
【0014】
前記第9側面に従う第10側面の制御装置において、前記人力駆動車のコンポーネントは、変速装置、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、走行補助装置、および、制動装置の少なくともいずれか1つを含む。
上記第10側面の制御装置によれば、設定情報に対応する所定条件に基づいて人力駆動車のコンポーネントを制御するため、ユーザの快適性が向上する。
【0015】
前記第6、第9、および、第10側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、変更入力を受け付ける入力部をさらに備え、前記制御部は、前記変更入力に基づいて前記記憶部の前記設定情報を変更する。
上記第11側面の制御装置によれば、変更入力に基づいて設定情報を変更できるため、ユーザの快適性が向上する。
【0016】
前記第3~第11側面のいずれか1つに従う第12側面の制御装置において、前記検出結果は、前記人力駆動車の走行速度に関するパラメータを含む。
上記第12側面の制御装置によれば、検出装置の検出結果に基づいて、人力駆動車のコンポーネントを制御することができるため、ユーザの快適性が向上する。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の制御装置において、前記検出装置は、前記人力駆動車の走行速度に関するパラメータとして、前記人力駆動車の走行速度、加速度、および、躍度の少なくとも1つを検出する。
上記第13側面の制御装置によれば、検出装置の検出結果に基づいて、人力駆動車のコンポーネントを制御することができるため、ユーザの快適性が向上する。
【0018】
前記第3~第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記検出装置は、前記人力駆動車の進行方向の車両、動物、信号、標識、および、マークの少なくとも1つを検出する。
上記第14側面の制御装置によれば、人力駆動車の進行方向の車両、動物、信号、標識、および、マークの少なくとも1つに基づいて、人力駆動車のコンポーネントを制御することができるため、ユーザの快適性が向上する。
【0019】
前記第3~第14側面のいずれか1つに従う第15側面の制御装置において、前記検出装置は、前記人力駆動車の走行路の状態を検出する。
上記第15側面の制御装置によれば、人力駆動車の走行路の状態に基づいて、人力駆動車のコンポーネントを制御することができるため、ユーザの快適性が向上する。
【0020】
前記第3~第15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御装置において、前記検出装置は、地図情報に基づく前記人力駆動車の位置および前記人力駆動車の操作装置へのユーザの入力の少なくとも1つを検出する。
上記第16側面の制御装置によれば、地図情報に基づく人力駆動車の位置および人力駆動車の操作装置へのユーザの入力の少なくとも1つに基づいて、人力駆動車のコンポーネントを制御することができるため、ユーザの快適性が向上する。
【0021】
前記第3~第16側面のいずれか1つに従う第17側面の制御装置において、前記検出装置は、前記人力駆動車の進行方向に関するヨー軸角度、ピッチ軸並進方向の加速度、ハンドル操舵角度、および、ハンドル操舵加速度の少なくとも1つを検出する。
上記第17側面の制御装置によれば、人力駆動車の進行方向に関するヨー軸角度、ピッチ軸並進方向の加速度、ハンドル操舵角度、および、ハンドル操舵加速度の少なくとも1つに基づいて、人力駆動車のコンポーネントを制御することができるため、ユーザの快適性が向上する。
【0022】
本発明の第18側面に従う検出システムは、前記制御装置と、前記検出装置と、を備える。
上記第18側面の検出システムによれば、検出装置の検出結果に基づいて、ブレーキ前に人力駆動車のコンポーネントを制御することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の制御装置および検出システムによれば、減速が必要なときに、人力駆動車の走行速度を効率的に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態の制御装置が適用される人力駆動車の側面図。
【
図3】車両制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図5】車両制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
図1を参照して、検出システム40を含む人力駆動車Aについて説明する。
ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する走行補助装置66を含む自転車である。具体的には、図示される人力駆動車Aは、シティサイクルである。人力駆動車Aの構成は、任意に変更可能である。人力駆動車Aは、走行補助装置66を省いて構成できる。言い換えれば、人力駆動車Aは人力駆動力によってのみ駆動される通常の自転車であってもよい。人力駆動車Aの種類は、ロードバイク、マウンテンバイク、または、クロスバイクであってもよい。人力駆動車Aは、本体A1、ハンドルバーA2、フロントホイールA3、リアホイールA4、および、駆動機構Bをさらに含む。本体A1は、フレームA5を含む。人力駆動車Aは、コンポーネントCをさらに含む。コンポーネントCは、第1コンポーネントC1および第2コンポーネントC2を含む。
【0026】
駆動機構Bは、人力駆動力をリアホイールA4に伝達する。駆動機構Bは、フロントスプロケットB1、リアスプロケットB2、チェーンB3、クランクアセンブリE、および、一対のペダルB4を含む。なお、駆動機構Bは、例えばベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0027】
クランクアセンブリEは、クランク軸E1、右クランクE2、および、左クランクE3を含む。クランク軸E1は、フレームA5に設けられるボトムブラケットに回転可能に支持される。右クランクE2および左クランクE3は、それぞれクランク軸E1に連結される。一対のペダルB4の一方は右クランクE2に回転可能に支持される。一対のペダルB4の他方は左クランクE3に回転可能に支持される。
【0028】
フロントスプロケットB1は、クランク軸E1に連結される。クランク軸E1の回転軸心はフロントスプロケットB1の回転軸心と同軸である。フロントスプロケットB1をクランク軸E1と連結するための構造は、任意に選択可能である。クランク軸E1とフロントスプロケットB1との間にワンウェイクラッチが設けられる。ワンウェイクラッチは、前転するクランク軸E1の回転速度が、フロントスプロケットB1の回転速度よりも速い場合に、クランク軸E1の回転をフロントスプロケットB1に伝達する。なお、ワンウェイクラッチは省略されてもよい。
【0029】
リアスプロケットB2は、リアホイールA4のハブHに支持される。チェーンB3は、フロントスプロケットB1およびリアスプロケットB2に巻き掛けられる。一対のペダルB4に加えられる人力駆動力によってクランク軸E1およびフロントスプロケットB1が前転する場合、チェーンB3およびリアスプロケットB2を介して伝達される人力駆動力によってリアホイールA4が前転する。
【0030】
図2に示されるように、検出システム40は、制御装置50と、検出装置70とを備える。制御装置50は、人力駆動車Aの第1コンポーネントC1、および、人力駆動車Aの第2コンポーネントC2を制御する制御部52を備える。制御部52は、第2コンポーネントC2の動作よりも先に第1コンポーネントC1が動作するように第1コンポーネントC1を制御する。制御部52は、CPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)等から構成される。制御装置50は、記憶部54をさらに備える。制御装置50は、制御部52が記憶部54に格納されるプログラムを実行することにより、車両制御を実現する。記憶部54は、設定情報54Aを記憶する。記憶部54は、設定情報54Aを変更可能に記憶する。制御装置50は、記憶部54に記憶される設定情報54Aの変更入力を受け付ける入力部56をさらに備える。制御部52は、入力部56が受け付ける変更入力に基づいて、記憶部54の設定情報54Aを変更する。設定情報54Aは、人力駆動車Aの走行速度に関するパラメータ、および、ユーザのコーナー走行の操作の傾向に関する情報を含む。記憶部54は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等から構成される。
【0031】
制御部52は、検出装置70の検出結果、および、設定情報54Aに対応する所定条件に基づいて、人力駆動車AのコンポーネントCを制御する。所定条件は、設定情報54Aに対応する。所定条件は、例えば人力駆動車Aの走行速度に関する条件を含む。人力駆動車AのコンポーネントCは、変速装置60、サスペンション62、アジャスタブルシートポスト64、走行補助装置66、および、制動装置68の少なくともいずれか1つを含む。第1コンポーネントC1は、第2コンポーネントC2とは異なる機能を有する。一例では、第1コンポーネントC1は、変速装置60、サスペンション62、アジャスタブルシートポスト64、および、走行補助装置66の少なくともいずれか1つを含む。第2コンポーネントC2は、制動装置68を含む。
【0032】
制御部52は、第1コンポーネントC1の制御開始後において、検出装置70の検出結果が所定条件から外れる場合、第2コンポーネントC2を制御する。制御部52は、例えば人力駆動車Aの走行速度が第1所定値以上である場合、第2コンポーネントC2を制御する。制御部52は、第2コンポーネントC2を制御する場合、検出装置70の検出結果に応じて第1コンポーネントC1をさらに制御する。
【0033】
変速装置60は、リアホイールA4のハブHに設けられる内装変速装置を含む。内装変速装置は遊星ギア機構を含み、ギアのかみ合い状態を変化させることで人力駆動車Aの変速比を変化させるように構成される。一例では、制御部52は、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があると判定した場合、変速装置60の変速比を変化させて人力駆動車Aの減速を促す。制御部52は、例えば変速装置60の変速比を現在よりも低くして空転させたり、変速装置60の変速比を現在よりも高くしてペダルB4を重くしたりすることで人力駆動車Aの減速を促す。また、制御部52は、変速装置60の変速比を変化させることにより、人力駆動車Aの減速をユーザに事前に通知する。
【0034】
サスペンション62は、フロントサスペンションを含む。フロントサスペンションは、フロントホイールA3が地面から受ける衝撃が緩和されるように動作する。制御部52は、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があると判定した場合、サスペンション62を変化させて人力駆動車Aの減速を待機する。制御部52は、例えばサスペンション62をロックさせて、制動時にユーザの姿勢を安定させる。
【0035】
アジャスタブルシートポスト64は、電動モータを含み、フレームA5に対する人力駆動車AのシートSの高さを変化させるように構成される。制御部52は、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があると判定した場合、アジャスタブルシートポスト64を制御して人力駆動車Aの減速を待機する。制御部52は、例えば人力駆動車AのシートSを現在よりも低くして、制動時にユーザの姿勢を安定させる。
【0036】
走行補助装置66は、補助モータ66A、駆動回路66B、減速機66C、および、ワンウェイクラッチを含む。走行補助装置66は、フロントスプロケットB1にトルクを伝達することによって人力駆動車Aの推進をアシストする。補助モータ66Aは、電力供給装置BTから供給される電力によって動作する。制御部52は、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があると判定した場合、走行補助装置66を制御して人力駆動車Aの減速を促す。制御部52は、例えば走行補助装置66のアシストに関するパラメータを変更することで、人力駆動車Aの減速を促す。走行補助装置66のアシストに関するパラメータは、アシスト比、最大アシストトルク、および、立ち上がり曲線を含む。
【0037】
制動装置68は、人力駆動車Aの回転体Fを制動するように電力によって駆動される。回転体Fは、例えば人力駆動車AのフロントホイールA3およびリアホイールA4に設けられるディスクブレーキロータである。この実施形態では、フロントホイールA3およびリアホイールA4にそれぞれ対応する一対の制動装置68が設けられる。一例では、制動装置68は、ディスクブレーキロータの回転速度を変更するディスクブレーキ装置である。制動装置68は、電気モータ68Aおよび制動部68Bを備える。電気モータ68Aは、電力供給装置BTから供給される電力によって動作する。制動部68Bは、例えば油圧機構、および、油圧機構によって動作する制動部材を含む。制動部68Bは、ディスクブレーキロータである人力駆動車Aの回転体Fを、一対の制動部材によって挟み込むことで制動する。なお、制動装置68は、リムブレーキ装置であってもよい。
【0038】
制御部52は、検出装置70の検出結果に基づいて人力駆動車Aの第1コンポーネントC1、および、人力駆動車Aの第2コンポーネントC2を制御する。検出装置70の検出結果は、人力駆動車Aの走行速度に関するパラメータを含む。なお、制御部52は、検出装置70の検出結果に限らず、後述する操作装置80の操作に基づいて人力駆動車Aの第1コンポーネントC1、および、人力駆動車Aの第2コンポーネントC2を制御してもよい。
【0039】
検出装置70は、人力駆動車Aの走行速度に関するパラメータとして、人力駆動車Aの走行速度、加速度、および、躍度の少なくとも1つを検出する。検出装置70は、ホイール回転センサを含む。ホイール回転センサの検出結果は、人力駆動車Aの走行速度に関するパラメータを含む。ホイール回転センサは、人力駆動車AのフロントホイールA3およびリアホイールA4の少なくともいずれか一方の回転速度を検出する。ホイール回転センサは、例えば人力駆動車Aのフロントフォークに設けられる。ホイール回転センサは、フロントホイールA3に取り付けられる磁石M1とホイール回転センサとの相対位置の変化に応じた信号を制御部52に出力する。制御部52は、ホイール回転センサから出力される信号に基づいて人力駆動車Aの走行速度を算出する。ホイール回転センサは、リアホイールA4に取り付けられる磁石M2とホイール回転センサとの相対位置の変化に応じた信号を制御部52に出力してもよい。なお、ホイール回転センサは、回転体Fであるディスクブレーキロータの回転を検出するように、制動装置68に設けられてもよい。
【0040】
検出装置70は、クランク回転センサを含む。クランク回転センサの検出結果は、人力駆動車Aの走行速度に関するパラメータを含む。クランク回転センサは、人力駆動車Aのクランク軸E1の回転速度に基づいて、人力駆動車Aのケイデンスを検出する。クランク回転センサは、例えば人力駆動車AのフレームA5に設けられる。クランク回転センサは、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。クランク回転センサは、クランク軸E1の回転速度および回転角度に応じた信号を制御部52に出力する。
【0041】
検出装置70は、トルクセンサを含む。トルクセンサの検出結果は、人力駆動車Aの走行速度に関するパラメータを含む、トルクセンサは、人力駆動車Aの走行時にクランク軸E1に作用するトルクの大きさを検出する。トルクセンサは、例えば人力駆動車Aのクランク軸E1に設けられる。トルクセンサは、クランク軸E1に作用するトルクに応じた信号を制御部52に出力する。
【0042】
検出装置70は、人力駆動車Aの加速度を検出するための加速度センサを含む。加速度センサは、フレームA5に取り付けられる。人力駆動車Aの躍度は、例えば人力駆動車Aの加速度の時間的変化に基づき制御部52によって算出される。
【0043】
検出装置70は、人力駆動車Aの進行方向の車両、動物、信号、標識、および、マークの少なくとも1つを検出する。一例では、検出装置70は、人力駆動車Aの進行方向の車両、動物、信号、標識、および、マークの少なくとも1つを検出する環境センサを含む。環境センサは、可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を検出するように人力駆動車Aに設けられる。可視光線の周波数の範囲はISO(International Organization for Standardization)の規定に基づく範囲である。環境センサは、可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を出力し、反響した電磁波を検出する。このため、人力駆動車Aの周辺環境を精度よく検出できる。以下では、可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を単に電磁波と称す。検出装置70は、紫外線、赤外線、サブミリ波、および、ミリ波の少なくとも1つを検出する。検出装置70は、紫外線、赤外線、サブミリ波、および、ミリ波のうちの少なくとも1つを含む電磁波を出力し、反響した電磁波を検出する。
【0044】
検出装置70は、人力駆動車Aの走行路の状態を検出する。走行路の状態は、斜度、凹凸、カーブ曲率、湿潤度、障害物の有無、階段、および、段差を含む。一例では、検出装置70は、人力駆動車Aの加速度に基づいて路面からの振動を検出する振動センサを含む。制御部52は、検出装置70により検出される振動の大きさに応じて人力駆動車AのコンポーネントCを制御する。制御部52は、例えば路面からの振動が大きいほど、人力駆動車Aの減速を促すように人力駆動車AのコンポーネントCを制御する。また、制御部52は、人力駆動車Aの走行路が滑りやすい状態である場合、人力駆動車Aのトラクションを上げる制御を行う。人力駆動車Aが滑りやすい状態は、人力駆動車Aの前方に泥地、木の根、石、岩場、および、こけ等が存在する状態などを含む。人力駆動車Aのトラクションを上げる制御は、変速ギアの段数調整、アシスト出力の調整、タイヤ空気圧の低減、サスペンション62の開放、および、警告の出力などを含む。
【0045】
検出装置70は、地図情報に基づく人力駆動車Aの位置および人力駆動車Aの操作装置80へのユーザの入力の少なくとも1つを検出する。一例では、検出装置70は、GPS(Global Positioning System)機能を有するサイクルコンピュータを含む。この場合、サイクルコンピュータは、例えばGPSに関する情報および地図情報に基づいて、人力駆動車Aの位置を特定し、人力駆動車Aの進行方向のコーナーの斜度データを検出し、その検出信号を制御部52に出力する。別の例では、検出装置70は、人力駆動車Aの操作装置80へのユーザの入力を検出する検出器を含む。
【0046】
検出装置70は、人力駆動車Aの進行方向に関するヨー軸角度、ピッチ軸並進方向の加速度、ハンドル操舵角度、および、ハンドル操舵加速度の少なくとも1つを検出する。一例では、検出装置70は、傾斜角センサ、加速度センサ、および、操舵センサの少なくとも1つを含む。傾斜角センサは、人力駆動車Aの進行方向に関するヨー軸角度を検出する。加速度センサは、人力駆動車Aのピッチ軸並進方向の加速度を検出する。操舵センサは、人力駆動車Aのハンドル操舵角度、および、人力駆動車Aのハンドル操舵加速度の少なくとも1つを検出する。
【0047】
操作装置80は、人力駆動車Aの第1コンポーネントC1および第2コンポーネントC2の少なくとも一方を制御するために手操作される。操作装置80は、例えば制動操作レバーを含む。操作装置80は、制動操作レバーの操作に応じた信号を制御部52に送信する。操作装置80は、PLC(Power Line Communication)が可能な電線、または、通信線によって、制御部52と通信可能に接続される。なお、操作装置80は、無線通信が可能な無線通信ユニットによって制御部52と通信可能に接続されてもよい。操作装置80が操作された場合、フロントホイールA3およびリアホイールA4の少なくとも一方を制動するための信号が制御部52に送信され、その信号に応じて制動装置68が動作する。
【0048】
制御部52は、第1コンポーネントC1の制御の実行後に第2コンポーネントC2を制御する。制御部52は、第1コンポーネントC1の制御の実行後に制動装置68を制御することで人力駆動車Aに制動力を付与する。制御部52は、検出装置70により検出される人力駆動車Aの速度、トルク、および、ケイデンスに応じて、人力駆動車Aに付与する制動力の大きさを決定する。
【0049】
図3を参照して、車両制御の一例について説明する。制御部52は、ステップS11において、検出装置70の検出結果に基づいて、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があるか否かを判定する。一例では、制御部52は、人力駆動車Aの進行方向にコーナーが存在するか否かに基づいて、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があるか否かを判定する。ステップS11における判定結果が否定判定の場合、制御部52は、ステップS11の処理を繰り返す。一方、ステップS11における判定結果が肯定判定の場合、制御部52は、ステップS12において、第1コンポーネントC1を制御する。本実施形態において、第1コンポーネントC1は少なくとも変速装置60を含み、制御部52は、人力駆動車Aの変速比が増加または低下するように変速装置60を制御する。次いで、制御部52は、ステップS13において、人力駆動車Aの走行速度が第1所定値以上か否かを判定する。ステップS13における判定結果が肯定判定の場合、制御部52は、ステップS14において、第2コンポーネントC2を制御する。本実施形態において、第2コンポーネントC2は制動装置68を含み、制御部52は、人力駆動車Aの走行速度が低下するように制動装置68を制御する。本実施形態において、制御部52は、第1コンポーネントC1を制御した後に第2コンポーネントC2を制御する。すなわち、制御部52は、第2コンポーネントC2の動作よりも先に第1コンポーネントC1が動作するように第1コンポーネントC1を制御する。
【0050】
制御部52は、ステップS15において、人力駆動車Aの走行速度が第1所定値よりも小さいか否かを判定する。ステップS15における判定結果が否定判定の場合、制御部52は、ステップS14の処理を再度実行する。ステップS15における判定結果が肯定判定の場合、制御部52は、ステップS16において、第2コンポーネントC2の制御を停止する。次いで、制御部52は、ステップS17において、第1コンポーネントC1の動作状態が人力駆動車Aの走行速度に適合しているか否かを判定する。本実施形態において、制御部52は、人力駆動車Aの変速比が人力駆動車Aの走行速度に適合しているか否かを判定する。ステップS17における判定結果が否定判定の場合、制御部52は、ステップS18において、第1コンポーネントC1を制御する。本実施形態において、制御部52は、人力駆動車Aの変速比が増加または低下するように変速装置60を制御する。制御部52は、ステップS13における判定結果が否定判定の場合、ステップS17における判定結果が肯定判定の場合、および、ステップS18の処理を実行した後、車両制御を終了する。
【0051】
本実施形態の作用を説明する。人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要がある場合、まず第1コンポーネントC1を制御して、人力駆動車Aの第1段階の減速および/または第2段階の減速のための報知を行う。そして、第1コンポーネントC1の制御の実行後、第2コンポーネントC2を制御することにより、人力駆動車Aの第2段階の減速を行う。また、本実施形態では、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要が無くなった時点で、人力駆動車Aの変速比を適正な値に設定することにより、人力駆動車Aの漕ぎ出しを容易にする。
【0052】
なお、ステップS11において、制御部52は、人力駆動車Aの進行方向にコーナーが存在するか否かとは異なる基準に基づいて、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があるか否かを判定してもよい。第1例では、制御部52は、人力駆動車Aの進行方向に人力駆動車Aの進行方向の車両、動物、信号、標識、および、マークの少なくとも1つが存在するか否かに基づいて、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があるか否かを判定してもよい。第2例では、制御部52は、人力駆動車Aの進行方向の走行路の状態に基づいて、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があるか否かを判定してもよい。第3例では、制御部52は、地図情報に基づく人力駆動車Aの位置および人力駆動車Aの操作装置80へのユーザの入力の少なくとも1つに基づいて、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があるか否かを判定してもよい。第4例では、制御部52は、人力駆動車Aの進行方向に関するヨー軸角度、ピッチ軸並進方向の加速度、ハンドル操舵角度、および、ハンドル操舵加速度の少なくとも1つに基づいて、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があるか否かを判定してもよい。また、本実施形態において、ステップS17およびS18は省略されてもよい。
【0053】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る制御装置150は、電気的な接続関係以外の点で、第1実施形態に係る制御装置50と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0054】
図4に示されるように、第2実施形態の人力駆動車Aは、第1実施形態の検出システム40に代えて検出システム140を含む。検出システム140は、制御装置150と、検出装置70とを備える。制御装置150は、人力駆動車Aの第1コンポーネントC1、および、人力駆動車Aの第2コンポーネントC2を制御する制御部152を備える。制御部152は、第1実施形態の制御部52と実質的に同じ構成および機能を有する。制御装置150は、設定情報154Aを記憶する記憶部154をさらに備える。制御装置150は、制御部152が記憶部154に格納されるプログラムを実行することにより、車両制御を実現する。記憶部154は、第1実施形態の記憶部54と実質的に同じ構成および機能を有する。設定情報154Aは、第1実施形態の設定情報54Aと実質的に同じである。制御装置150は、記憶部154に記憶される設定情報154Aの変更入力を受け付ける入力部156をさらに備える。制御部152は、入力部156が受け付ける変更入力に基づいて、記憶部154の設定情報154Aを変更する。
【0055】
図5を参照して、車両制御の一例について説明する。制御部152は、コーナー走行中に、人力駆動車Aの走行速度を自動的に調整可能である。制御部152は、ステップS21において、人力駆動車Aがコーナーを走行中であるか否かを判定する。本実施形態において、制御部152は、検出装置70により検出されるヨー軸角速度に基づいて、人力駆動車Aがコーナーを走行中であるか否かを判定する。ステップS21における判定結果が肯定判定の場合、制御部152は、ステップS22において、検出装置70により検出される人力駆動車Aの走行速度が第2所定値以上であるか否かを判定する。ステップS22における判定結果が肯定判定の場合、制御部152は、ステップS23において、第2コンポーネントC2を制御する。この場合、制御部152は、検出装置70の出力に基づくコーナーの斜度データに基づいて、人力駆動車Aがコーナーを通過するときの旋回予想角度を算出し、算出された旋回予想角度に応じた制動力を発生させるように第2コンポーネントC2を制御する。なお、制御部152は、旋回予想角度を算出する場合、ユーザの過去の走行履歴を考慮してもよい。次いで、制御部152は、ステップS24において、人力駆動車Aの走行速度が第2所定値よりも小さいか否かを判定する。ステップS24における判定結果が否定判定の場合、制御部152は、ステップS23の処理を再度実行する。ステップS24における判定結果が肯定判定の場合、制御部152は、ステップS25において、第2コンポーネントC2の制御を停止する。次いで、制御部152は、ステップS26において、第1コンポーネントC1の動作状態が人力駆動車Aの走行速度に適合しているか否かを判定する。本実施形態において、制御部52は、人力駆動車Aの変速比が人力駆動車Aの走行速度に適合しているか否かを判定する。ステップS26における判定結果が否定判定の場合、制御部152は、ステップS27において、第1コンポーネントC1を制御する。本実施形態において、制御部152は、人力駆動車Aの変速比が増加または低下するように第1コンポーネントC1を制御する。制御部152は、ステップS21およびステップS22における判定結果が否定判定の場合、ステップS26における判定結果が肯定判定の場合、ならびに、ステップS27の処理を実行した後、車両制御を終了する。
【0056】
本実施形態の作用を説明する。制御装置150は、人力駆動車Aがコーナーを通過する際に、第2コンポーネントC2を制御して人力駆動車Aの減速を促す。また、制御装置150は、第2コンポーネントC2の制御の実行後、人力駆動車Aの変速比が人力駆動車Aの走行速度と適合していない場合には、第1コンポーネントC1を制御して人力駆動車Aの変速比を適正な値に設定することにより、人力駆動車Aの漕ぎ出しを容易にする。
【0057】
なお、ステップS21において、検出装置70により検出されるヨー軸角速度とは異なる基準に基づいて、人力駆動車Aがコーナーを走行中であるか否かを判定してもよい。制御部152は、検出装置70により検出されるピッチ軸並進方向の加速度、ハンドル操舵角度、および、ハンドル操舵加速度の少なくとも1つに基づいて、人力駆動車Aがコーナーを走行中であるか否かを判定してもよい。また、第2所定値は、第1所定値と同じでもよいし、異なってもよい。また、本実施形態において、ステップS26およびS27は省略されてもよい。
【0058】
<変形例>
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う制御装置および検出システムの例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う制御装置は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わされる形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
・第1コンポーネントC1は、報知装置を含んでいてもよい。報知装置は、振動、光、および、音等を発生させる。報知装置は、例えばサイクルコンピュータ、アイウェア、スマートフォン、スマートウォッチ、ランプ、および、スピーカの少なくとも1つを含む。本実施形態において、報知装置は、ハンドルバーA2に取り付けられるサイクルコンピュータを含む。制御装置50、150は、人力駆動車Aの走行速度を低下させる必要があると判定した場合、振動、光、音等によって人力駆動車Aに搭乗するユーザに速度低下の必要性を報知するように報知装置を制御する。
【0060】
・制御装置50、150は、人力駆動車Aに搭乗するユーザが所持する携帯情報端末と通信可能に接続してもよい。この場合、制御装置50、150は、携帯情報端末に搭載されたGPSを用いて、人力駆動車Aの位置を特定してもよい。
【0061】
・制御装置50、150は、人力駆動車Aの位置に基づいて、地図情報を参照して人力駆動車Aの前方の合流地点、または、分岐地点を検出してもよい。この場合、制御装置50、150は、人力駆動車Aの前方から合流地点、または、分岐地点を検出した時点で、人力駆動車Aの減速を促すように人力駆動車AのコンポーネントCを制御してもよい。
【0062】
・制御装置50、150は、人力駆動車Aの位置に基づいて、予め設定したコースでのオート変速を実現するように人力駆動車AのコンポーネントCを制御してもよい。この場合、複数の人力駆動車Aから走行データをサーバに収集し、サーバに収集したデータに基づいて予め設定したコースの地点毎に変速段数または坂道のレベルを事前に設定してもよい。また、制御装置50、150は、人力駆動車Aの走行地点の斜度の変化に基づいて、人力駆動車Aの走行速度の変化量を予測し、その予測結果に基づいて予め設定したコースの地点毎に適正な変速段数となるように人力駆動車Aの変速タイミングを調整してもよい。
【0063】
・制御装置50、150は、GPSを通じて特定される人力駆動車Aの走行状況に関するパラメータ基づいて、人力駆動車AのコンポーネントCを制御してもよい。人力駆動車Aの走行状況に関するパラメータは、標高、斜度、距離、運動時間、および、目的地までの予想時間を含む。不測の状況は、交差点の右左折、トレイルの分岐、および、道路勾配の上り・下りの変化点を含む。
【符号の説明】
【0064】
A…人力駆動車、C…コンポーネント、C1…第1コンポーネント、C2…第2コンポーネント、40…検出システム、50…制御装置、52…制御部、54…記憶部、54A…設定情報、56…入力部、60…変速装置、62…サスペンション、64…アジャスタブルシートポスト、66…走行補助装置、68…制動装置、70…検出装置、80…操作装置、140…検出システム、150…制御装置、152…制御部、154…記憶部、154A…設定情報、156…入力部。