IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】食器手洗い用液体洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/14 20060101AFI20230418BHJP
   C11D 1/88 20060101ALI20230418BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230418BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230418BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230418BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230418BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230418BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20230418BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C11D1/14
C11D1/88
C11D17/08
A61K8/02
A61K8/46
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q9/02
A61Q19/10
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021087463
(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公開番号】P2021193174
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】63/035,131
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20179702.4
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ジュリアン・マリー-ルイーズ・ビリオー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・クレ
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・アン・ランジュヴァン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・カイル・ヴィンソン
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-102295(JP,A)
【文献】特表2019-501985(JP,A)
【文献】特開2007-016246(JP,A)
【文献】特表2000-503699(JP,A)
【文献】特表2007-515409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
A61K 8/00
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、シェービングフォーム又はジェル、洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、パーソナル洗浄剤、固形石鹸、ハンドソープ、シャワージェル、自動食器洗浄組成物、食器手洗い用組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される液体洗剤組成物に使用するための、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤であって、
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、全アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、少なくとも90重量%のC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
a)前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、40重量%未満の直鎖状C13アルキルサルフェートと、
b)前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、60重量%超の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤であって、
前記2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、25重量%以下の2-ペンチルオクチルと、前記2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、25重量%超の2-メチルドデシルとを含む2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、
c)C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、5重量%未満の他の分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とからなり、
a、b、及びcを合算すると、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、100重量%となる、液体洗剤組成物に使用するための、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤。
【請求項2】
前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
a.前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、30重量%未満の直鎖状C13アルキルサルフェートと、
b.前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、70重量%超の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、
c.前記C13アルキルアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、3.0重量%未満の他の分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、からなる、請求項1に記載のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤。
【請求項3】
前記2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
a.前記2-分岐鎖C13アルキルサルフェートの重量に基づいて、5.0重量%~20重量%の2-ペンチルオクチルサルフェートアニオン性界面活性剤と、
b.前記2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、30重量%超の2-メチルドデシルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含む、請求項1又は2に記載のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤。
【請求項4】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はそれらの混合物から選択される、
請求項1~3のいずれか一項に記載のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤。
【請求項5】
界面活性剤系が、前記組成物全体の5.0重量%~60重量%の液体洗剤組成物であって、前記界面活性剤系が、
a)少なくとも1種のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤であって、前記アニオン性界面活性剤が、少なくとも45%の重量平均分岐度を有し、前記アルキルアニオン性界面活性剤が、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、少なくとも10重量%のC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
(i)前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、55重量%未満の直鎖状C13アルキルサルフェートと、
(ii)前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、20重量%超の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含み、
前記2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
前記2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、20重量%以下の2-ペンチルオクチルと、
前記2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、30重量%超の2-メチルドデシルと、を含む、液体洗剤組成物。
【請求項6】
前記液体洗剤組成物が、前記組成物全体の重量に基づいて、8.0重量%~45重量%の前記界面活性剤系を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の重量に基づいて、60重量%~90重量%の前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の平均アルキル鎖長が、8~18個の炭素原子である、請求項5~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、45%~80%の重量平均分岐度を有する、請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、15重量%~80重量%の、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤からなるアルキルサルフェートを含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
a.前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、50重量%未満の直鎖状C13アルキルサルフェートと、
b.前記C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、25重量%超の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
a.前記2-分岐鎖C13アルキルサルフェートの重量に基づいて、5.0重量%~20重量%の2-ペンチルオクチルサルフェートアニオン性界面活性剤と、
b.前記2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、30重量%超~60重量%の2-メチルドデシルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含む、請求項5~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はそれらの混合物から選択される
請求項5~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤組成物の重量に基づいて、30重量%未満の更なるアニオン性界面活性剤を含む、請求項5~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤系が、両性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される補助界面活性剤を更に含む、請求項5~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤系が、前記補助界面活性剤を、前記液体洗剤組成物の重量に基づいて、0.1重量%~20重量%の濃度で含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記界面活性剤系が、前記補助界面活性剤を、前記界面活性剤系の重量に基づいて、10重量%~40重量%の濃度で含む、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
前記界面活性剤系が、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と前記補助界面活性剤とを、1:1~8:1の重量比で含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記界面活性剤系が、非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項5~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1に記載のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を、更なる界面活性剤と組み合わせる工程を含む、請求項5~19のいずれか一項に記載の液体洗剤組成物の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤組成物、特に食器手洗い用液体洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の消費者は、シンク内で希釈した液体洗剤組成物に食器を浸けることによって食器を洗浄することを好む者がいる一方で、液体洗剤組成物を食器に直接、又はスポンジなどの用具を介して塗布することを好む。このような「直接塗布」法によって、より高い濃度の界面活性剤が汚れに直接塗布されるため、油脂の洗浄が改善される。このような、シンク中で希釈された洗剤組成物に浸ける塗布方法では、消費者は、典型的には、長続きする泡立ちを望む。生成物はまた、用量を制御するより低い能力につながり、例えば、洗剤ボトルから液体洗剤をあまりにも迅速に流出させること、並びに消費者が洗剤製品を低濃度で、したがってより低い品質及び金額に見合う価値として知覚させておくため、低粘度を有しないことが所望される。直接塗布法の場合に消費者が望んでいるのは、油脂洗浄性能が長く持続されることと、泡立ちが早く、かつ長続きすることである。従来、シンク中で希釈された洗剤組成物に浸ける塗布方法は、大多数の地理的地域において優勢な習慣であった。今日、依然としていくらかの地域差が存在するものの、両方の習慣は地域的には均衡しており、両方の消費者グループのニーズを満たす製品を消費者に届けるという課題が、洗浄剤の配合者には突きつけられている。以前に、界面活性剤レベルを増加させることによって、「持続性」などの、シンク中で希釈された洗剤組成物に浸ける塗布方法を主に標的とする場合には、このような「持続性」は、界面活性剤レベルを増加させることによって延長された。しかしながら、界面活性剤レベルを増加させると、希釈された液体洗剤組成物の泡立ちプロファイルが実際に改善されるが、界面活性剤レベルが高いほど、直接塗布食器洗い中に初期の泡立ちが不十分となる。その上、食器を洗浄するこのような「直接塗布」法による繰り返しの問題は、スメアリング(なすりつけ)である。スメアリングによって、食器上の汚れが希釈されていない又はわずかに希釈されただけの洗剤組成物と接触すると、食器上のその汚れはスポンジに吸収されるのではなく、むしろ食器の広い領域になすりつけられてしまうことになる。このようなスメアリングは、食器の油脂汚れが取れていない感じを残すだけでなく、その結果として食器のすすぎにより多くの労力を要することになる。このようなスメアリングは、直鎖又は低分岐鎖の界面活性剤材料を配合する際に特に存在する。
【0003】
分岐鎖界面活性剤、特に分岐鎖アニオン性及び非イオン性界面活性剤は、洗浄のこのような直接塗布方法中の油脂洗浄を改善するために使用されてきた。しかしながら、分岐は粘度を低下させることにつながる可能性があり、これは、直接塗布中に食器の汚れた領域からのより高い生成物の流出につながる。その上、このような分岐鎖アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤は、典型的には、生成物が有効性を低下させたという印象をユーザが有することにつながる泡持続性の低下をもたらす。
【0004】
したがって、シンクで浸ける方法及び直接塗布法の両方に好適な、食器を洗浄するのに好適な洗剤組成物であって、良好な粘度と組み合わせて、特にシンク中塗布法下で良好な泡持続性を提供する洗剤組成物が必要とされている。
【0005】
欧州特許出願公開第2606111(A)号、国際公開第9533025(A)号、米国特許第5968888(A)号、及び米国特許出願公開第2005/0170990(A)号は、希釈されていない形態の液体洗剤組成物に食器を接触させる工程を含む、食器を手洗いするための方法を開示している。米国特許出願公開第2007/0123447(A1)号、国際公開第2006/041740(A1)号、及び米国特許第6,008,181号は、分岐鎖界面活性剤を含む食器洗浄組成物を開示している。米国特許第9,493,725(B2)号は、洗剤組成物に関し、より具体的には、分岐鎖界面活性剤を含有する洗剤組成物に関する。欧州特許出願公開第3633016(A)号は、食器手洗い用液体組成物に関するが、その液体組成物は、特に油脂汚れ及び粒子状汚れの存在下において、希釈した食器手洗い用液体組成物を用いて食器類を洗浄する際に、泡立ちの量と泡の持続性とを改善しながら、なおも所望の洗浄力を発揮するものである。その組成物は、アルキルサルフェート界面活性剤及び補助界面活性剤を含む界面活性剤系と共に配合され、そのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖が、少なくとも50%のC12鎖及びC13鎖のモル分率を有し、当該アルキル鎖のC13/C12モル比が少なくとも57/43である。米国特許第9,828,565(B)号は、異なるトリデカノールの混合物を含む組成物及びそれらの誘導体、並びに洗濯洗剤、洗浄製品、又は農薬補助剤、乳化剤、潤滑添加剤、流動点降下剤、又はパーソナルケア成分としてのそれらの使用法に関するが、その組成物において、混合物の少なくとも約60重量%は直鎖トリデカノールであり、混合物の少なくとも約10重量%が、第2炭素原子上に分岐を有する分岐鎖トリデカノールである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第2606111(A)号
【文献】国際公開第9533025(A)号
【文献】米国特許第5968888(A)号
【文献】米国特許出願公開第2005/0170990(A)号
【文献】米国特許出願公開第2007/0123447(A1)号
【文献】国際公開第2006/041740(A1)号
【文献】米国特許第6,008,181号
【文献】米国特許第9,493,725(B2)号
【文献】欧州特許出願公開第3633016(A)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、シェービングフォーム又はジェル、洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、パーソナル洗浄剤、固形石鹸、ハンドソープ、シャワージェル、自動食器洗浄組成物、食器手洗い用組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される液体洗剤組成物に使用するための、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤に関し、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、全アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%のC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、a)C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、40重量%未満の直鎖状C13アルキルサルフェートと、b)C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、60重量%超の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤であって、2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、25重量%以下の2-ペンチルオクチルと、2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、25重量%超の2-メチルドデシルと、を含む、2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、c)C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、5重量%未満の他の分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とからなり、上記のa)、b)、及びc)を合算すると、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、100重量%となる。
【0008】
本発明は更に、全組成物の重量に基づいて、5.0重量%~60重量%の界面活性剤系を含む液体洗剤組成物に関し、界面活性剤系は、少なくとも1種のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、そのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、少なくとも45%の重量平均分岐度を有し、そのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、少なくとも10重量%のC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、そのC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、55重量%未満の直鎖C13アルキルサルフェートと、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、20重量%超の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含み、その2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、20重量%以下の2-ペンチルオクチルと、2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、30重量%超の2-メチルドデシルと、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
分岐鎖アニオン性界面活性剤を含むように液体洗剤組成物を配合することにより、分岐のサイズ及び位置が緊密に制御され、そのような組成物は、特にシンク中の食器洗浄方法中に、改善された粘度及び泡持続性の両方を有することが見出されている。
【0010】
定義
本明細書で使用するとき、特許請求項において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求される又は記載されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「含む」とは、特に言及したもの以外の工程、及び成分を付加することができることを意味する。この用語は、「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を包含する。本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるあらゆる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項を含み、これらからなり、あるいは、これらから本質的になることができる。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「食器類」は、非限定的な例として、セラミック、陶磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)及び木材から製造された調理器具及び食卓用食器類を含む。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「油脂」又は「油脂性の」は、物質が、少なくとも部分的に(すなわち、油脂の少なくとも0.5重量%)、飽和及び不飽和の脂肪及び油、好ましくは、牛肉、豚肉、及び/又は鶏肉などの動物性原料に由来する油及び脂肪を含んでいることを意味する。
【0014】
用語「含む(include/includes/including)」は、非限定的であることを意味する。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「粒子状汚れ」は、無機及び特に有機の固体汚れ粒子、特に食品粒子、非限定的な例としては、超微粒子状元素状炭素、焼成された油脂粒子、及び肉粒子を意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「泡立ちプロファイル」は、食器洗いプロセス中の泡の特徴に関する液体洗剤組成物の特性を指す。用語「洗剤組成物の「泡立ちプロファイル」には、洗浄水溶液中に液体洗浄組成物を溶解させ撹拌、典型的には手動で撹拌する際に発生する泡の体積と、食器洗いプロセス中の泡の維持とが含まれる。好ましくは、「良好な泡立ちプロファイル」を有することを特徴とする食器手洗い用液体洗剤組成物は、泡の体積が大きく、かつ/又は、とりわけ食器を手洗いするプロセスのかなりの部分又はその全体にわたって泡の体積が持続するという傾向がある。これは、消費者が泡の量が多いことを、十分な液体洗剤組成物が投入されたことの目安として使用しているので重要である。更に、消費者は泡の体積が持続していることを、食器洗いプロセスの終盤に向かっていても、十分な活性洗浄成分(例えば、界面活性剤)が存在していることの目安としても使用する。消費者は、通常、泡立ちが少なくなったときに洗浄溶液を新しくする。したがって、低発泡性の洗剤組成物は泡立ちのレベルが低いために、消費者は、必要以上に頻繁に洗浄溶液を取り替えるという傾向がある。
【0017】
本明細書に述べられ、かつ特許請求される、出願人らによる発明のパラメータのそれぞれの値を判定するには、本出願の試験方法の項に開示される試験方法が使用されなければならない点は理解されよう。
【0018】
本発明の全ての実施形態では、特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、文脈から明らかであるように、全ての割合は、組成物全体の重量によるものである。特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、全ての比は重量比であり、全ての測定は、特に指定しない限り25℃で行われる。
【0019】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤
本明細書に記載されるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、シェービングフォーム又はジェル、洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、パーソナル洗浄剤、固形石鹸、ハンドソープ、シャワージェル、自動食器洗浄組成物、食器手洗い用組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される液体洗剤組成物に使用することができ、かつ、洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、自動食器洗浄組成物、食器手洗い用組成物、及びこれらの混合物、とりわけ食器手洗い用組成物における使用に特に好ましい。
【0020】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、全アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%のC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、a)C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、40重量%未満の直鎖状C13アルキルサルフェートと、b)C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、60重量%超の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤であって、2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、25重量%以下の2-ペンチルオクチルと、2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、25重量%超の2-メチルドデシルと、を含む、2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、c)C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、5重量%未満の他の分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とからなり、上記のa)、b)、及びc)を合算すると、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、100重量%となる。
【0021】
C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤という用語は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、13個の炭素原子からなるアルキル鎖を含むことを意味する。したがって、平均鎖長が13個の炭素原子を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のブレンドの場合には、C13アルキル鎖を含むアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のみが、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の定義の下に入る。平均アルキル鎖長とは独立して、C13アルキル亜分画を含む異なる鎖長の混合物を含むアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のブレンドについては、このC13アルキル亜分画のみがC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の定義の下に入る(faals)。
【0022】
C2-分岐の具体的な程度及び種類に関しては、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、30重量%未満、好ましくは5.0重量%未満~25重量%の直鎖C13アルキルサルフェートと、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、70重量%超、好ましくは75重量%~95重量%の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、3.0重量%未満、好ましくは0.1%~2.0重量%の他の分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とからなり得る。上記の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、2-分岐鎖C13アルキルサルフェートの重量に基づいて、5.0重量%~20重量%、好ましくは10重量%~20重量%の2-ペンチル-1-オクチルサルフェートアニオン性界面活性剤と、2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、30重量%超、好ましくは30重量%~50重量%、より好ましくは35重量%~50重量%の2-メチル-1-ドデシルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含み得る。2-分岐鎖C13アルキルサルフェート中の残りの分画は、2-エチル-1-ウンデシルサルフェートアニオン性界面活性剤(2-分岐鎖C13アルキルサルフェートの重量に基づいて、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%~20重量%)と、2-プロピル-1-デシルサルフェートアニオン性界面活性剤(2-分岐鎖C13アルキルサルフェートの重量に基づいて、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%~20重量%)と、2-ブチル-1-ノニルサルフェートアニオン性界面活性剤(2-分岐鎖C13アルキルサルフェートの重量に基づいて、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、最も好ましくは5重量%~15重量%)と、を含み得る。
【0023】
したがって、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖は、高度に分岐しており、例えば、はるかに高いペンチル対メチル分岐比を有するIsalchem(登録商標)の商標で販売されているもののような、他の高度に分岐したアルコールと比較して、増加したメチル対ペンチル分岐比を有する。平均分岐度は、Neodol(登録商標)商標で販売されているものなどのOXOプロセスを介して生成される低級分岐鎖アルキルアルコールよりもはるかに高い。このようなNeodol(登録商標)アルキルアルコールは、約18%の重量平均分岐度を有する。
【0024】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0025】
C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤がアルコキシル化アニオン性サルフェート界面活性剤である場合、アルコキシル化C13アニオン性サルフェート界面活性剤は、好ましくはエトキシル化C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤である。好ましくは、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、本発明の組成物の、低温下での物理的安定性を改善し、泡持続性を改善するために、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは2未満かつ0.5超、最も好ましくは0.5~0.9の平均アルコキシル化度を有する。平均アルコキシル化度は、全てのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシル化のモル平均度数(すなわち、モル平均アルコキシル化度)である。したがって、モル平均アルコキシル化度を計算するとき、以下のようにC13非アルコキシル化サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数が含まれることになる。
モル平均アルコキシル化度=(x1界面活性剤1のアルコキシル化度+x2界面活性剤2のアルコキシル化度+....)/(x1+x2+....)
(式中、x1、x2、...は、混合物の各アルキル(又はアルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数であり、アルコキシル化度は、各アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤中のアルコキシ基の数である)。
【0026】
好適なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、以下のプロセスを使用して作製することができる。
2段階プロセスを使用して、直鎖アルファオレフィン原材料から分岐鎖アルデヒド生成物を生成することができ、その生成物から、本明細書に記載のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を誘導することができる。2段階プロセスは、第1のプロセス工程及び第2の工程の両方で、ロジウム有機リン触媒を使用する。第1の工程は異性化反応工程であり、第2のプロセス工程は、ヒドロホルミル化反応工程である。分岐鎖アルデヒドは、更なる水素化工程を経て分岐鎖アルコールを生成することができる。
【0027】
本明細書に開示される異性化反応及びヒドロホルミル化反応は、ロジウム有機リン触媒によって触媒され得るが、そのロジウム有機リン触媒は、(1)ロジウムと1種類の有機リン配位子との有機金属錯体、又は(2)ロジウムと2種類以上の有機リン配位子との有機金属錯体、のうちの少なくとも1つであり得る。
【0028】
有機リン配位子は、ホスフィンであり得る。ホスフィン配位子の非限定的な例では、ホスフィン配位子はトリフェニルホスフィンであり得る。有機リン配位子は、亜リン酸塩であってもよい。亜リン酸塩配位子の非限定的な例では、亜リン酸塩配位子は、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)亜リン酸塩であり得る。ホスフィンと亜リン酸塩との混合物などの、異なる種類の有機リン配位子の混合物も使用することができる。有機リン配位子の混合物の非限定的な例では、有機リン配位子は、トリフェニルホスフィンとトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)亜リン酸塩との混合物であり得る。反応系は、不活性高沸点溶媒、例えば、ポリアルファオレフィンを含有することができる。第1の触媒は、リン対ロジウムのモル比が1:1~1000:1、又は5:1~50:1、又は15:1~25:1の範囲であるときに形成され得る。ロジウムの濃度は、1ppm~1000ppm、又は10ppm~200ppm、又は25ppm~75ppmの範囲であり得る。CO対H2のモル比は、10:1~1:10、又は2:1~1:2、又は1.3:1~1:1.3の範囲であり得る。
【0029】
異性化反応中、第1の工程は、一酸化炭素(CO)及び水素(H2)の存在下で、第1の圧力で、直鎖アルファオレフィンを異性化する反応であり得る。異性化は、ロジウム有機リン触媒によって触媒され得るが、そのロジウム有機リン触媒は、(1)ロジウムと1種類の有機リン配位子との有機金属錯体、又は(2)ロジウムと2種類以上の有機リン配位子との有機金属錯体、のうちの少なくとも1つであり得る。異性化反応は、同一又は異なる種類の直鎖状内部オレフィンを含む異性化オレフィンを生成することができる。
【0030】
異性化工程は、30℃~500℃、又は50℃~150℃、又は70℃~100℃の範囲の温度で実施することができる。異性化工程は、0.1bar(大気圧よりも0.01MPa高い)~10bar(大気圧よりも1MPa高い)、又は0.5bar(大気圧よりも0.05MPa高い)~5バール(大気圧より0.5MPa高い)、又は1バール(大気圧よりも0.1MPa高い)~2バール(大気圧より0.2MPa高い)の範囲のゲージ圧で実施され得る。
【0031】
異性化工程は、20重量%以上の異性化オレフィン、又は40重量%以上の異性化オレフィン、又は60重量%以上の異性化オレフィン、又は90重量%以上の異性化オレフィンを含む反応生成物を生成することができる。
【0032】
ヒドロホルミル化反応工程中、異性化オレフィンは、CO及びH2の存在下で、第1の圧力よりも高い第2の圧力で、ヒドロホルミル化されて、分岐鎖アルデヒドを生成する。ヒドロホルミル化反応は、ロジウム有機リン触媒によって触媒され得るが、そのロジウム有機リン触媒は、(1)ロジウムと1種類の有機リン配位子との有機金属錯体、又は(2)ロジウムと2種類以上の有機リン配位子との有機金属錯体、のうちの少なくとも1つであり得る。得られた分岐鎖アルデヒドは、2-アルキル分岐鎖アルデヒドである。直鎖アルファオレフィンは1-ドデセンであり、分岐鎖アルデヒドは分岐鎖C13アルデヒドである。
【0033】
ヒドロホルミル化工程は、30℃~500℃、又は50℃~150℃、又は70℃~100℃の範囲の温度で実施することができる。ヒドロホルミル化工程は、5bar(大気圧よりも0.5MPa高い)~400bar(大気圧よりも40MPa高い)、又は10bar(大気圧よりも1.0MPa高い)~100bar(大気圧より10MPa高い)、又は15bar(大気圧よりも1.5MPa高い)~20bar(大気圧より2MPa高い)の範囲のゲージ圧で実施され得る。
【0034】
ヒドロホルミル化工程は、25重量%以上の分岐鎖アルデヒド、又は40重量%以上の分岐鎖アルデヒド、又は60重量%以上の分岐鎖アルデヒド、又は90重量%以上の分岐鎖アルデヒドを含む反応生成物を生成することができる。
【0035】
ヒドロホルミル化反応の生成物を蒸留することができる。そのプロセスは、蒸留プロセスを介して、ヒドロホルミル化で得られた分岐鎖アルデヒド生成物を塔頂留出物として、第1の触媒ストリームから分離する工程を有することができる。蒸留工程は、100℃~200℃、又は125℃~175℃の範囲の温度で実施することができる。蒸留工程は、500絶対ミリバール(0.05MPa)未満、又は100絶対ミリバール(0.01MPa)未満、又は30絶対ミリバール(0.003MPa)未満の圧力の、真空下で実施することができる。
【0036】
上記のプロセスはまた、分岐鎖アルデヒド生成物を水素化触媒の存在下で水素化して、分岐鎖アルコール生成組成物を生成する工程を有し得る。水素化触媒は、卑金属触媒、ニッケル担体触媒、コバルト担体触媒、Raney(登録商標)(W.R.Grace&Co.(7500 Grace Drive,Columbia,メリーランド州21044)製)ニッケル触媒又は貴金属触媒であり得る。水素化工程は、30℃~500℃、又は50℃~200℃、又は100℃~150℃の範囲の温度で実施することができる。水素化工程は、5バール(大気圧よりも0.5MPa高い)~400bar(大気圧よりも40MPa高い)、又は10bar(大気圧よりも1MPa高い)~100bar(大気圧よりも10MPa高い)、又は30bar(大気圧より3MPa高い)~50bar(大気圧より5MPa高い)のゲージ圧で実施することができる。
【0037】
水素化工程は、25重量%以上の分岐鎖アルコール、又は40重量%以上の分岐鎖アルコール、又は60重量%以上の分岐鎖アルコール、又は90重量%以上の分岐鎖アルコールを含む反応生成物を生成することができる。
【0038】
出発物質C13アルデヒドと、本発明において使用される後続のアルコールとを製造するためのヒドロホルミル化に使用されるC12オレフィン源は、出発原料C13アルコール中の不純物、したがってC13アルキルサルフェート中の不純物をも低いレベルに抑えることができる。理論に束縛されるものではないが、C12オレフィン原材料中に存在するそのような不純物としては、ビニリデンオレフィン、分岐鎖オレフィン、パラフィン、芳香族成分、及び12個以外の鎖長を有する低レベルのオレフィンを挙げることができる。分岐鎖及びビニリデンオレフィンは、典型的には、C12アルファオレフィン源において5%以下である。得られるC13アルコール中の不純物としては、C10~C16の範囲の直鎖及び分岐鎖の低レベルのアルコール、特にC11及びC15アルコールを、混合物重量に基づいて、典型的には2重量%未満、好ましくは1%未満含むことができ、分岐鎖及びビニリデンオレフィンから生じる2-アルキル位置以外の低レベルの分岐鎖を、典型的には、アルコール混合物の重量に基づいて、約5重量%未満、好ましくは2重量%未満含むことができ、パラフィン及びオレフィンを、典型的には、アルコール混合物の重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは約0.5%未満含むことができ、典型的には、500mg/kg未満、好ましくは約200mg/kg未満のカルボニル価を有する低レベルのアルデヒドを、含むことができる。アルコール中のこれらの不純物は結果として、低レベルのパラフィン、C13以外の全炭素数を有する直鎖及び分岐鎖アルキル、並びに2-アルキル位置以外の位置に分岐鎖を有するアルキルサルフェートを生成させ得るが、これらの分岐鎖は、その長さが変化し得るものの、典型的には、1~6個の炭素を有する直鎖アルキル鎖である。ヒドロホルミル化の工程はまた、直鎖及び分岐鎖パラフィンなどの不純物、不完全なヒドロホルミル化からの残留オレフィン、並びにエステル、ギ酸塩、及び重質留分(二量体、三量体)をも生成し得る。水素化工程でアルコールに還元されない不純物は、蒸留によりアルコールの最終精製中に除去され得る。
【0039】
アルキルサルフェートは、典型的には、脂肪族アルコールと三酸化硫黄(SO)又はその誘導体との反応によって、又は不飽和化合物と硫酸との反応によって調製される。三酸化硫黄を使用するプロセスは、特に、洗剤組成物に使用するためのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤製造において達成された。
【0040】
三酸化硫黄の好適な誘導体としては、例えば、クロロスルホン酸、硫酸、又はスルファミン酸などの三酸化硫黄錯体が挙げられる。三酸化硫黄は、より純粋な生成物をもたらす傾向があるため、好ましい。硫酸化反応は、典型的には、カスケード式の、流下膜反応器又は管束反応器を使用して連続プロセスで実行され、三酸化硫黄は、等モル又は若干過剰の量で、通常20℃~60℃の温度範囲で適用される。なお、反応温度は少なくとも部分的に、反応中の脂肪族アルコールの凝固点によって判定される。上記の反応は、典型的には、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の酸形態をもたらすが、これは、典型的には後続の工程で、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジアミン、ポリアミン、一級アミン、二級アミン、三級アミン、アミン含有界面活性剤、及びこれらの混合物などのアルカリを使用して中和される。
【0041】
また、脂肪族アルコールを硫酸化してアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を得るプロセスも、様々な不純物をもたらすことが周知である。これらの不純物の正確な性質は、硫酸化及び中和の条件に依存する。しかしながら、一般に、硫酸化プロセスの不純物は、1つ以上の無機塩、未反応脂肪族アルコール、及びオレフィンを含む(「The Effect of Reaction By-Products on the Viscosities of Sodium Lauryl Sulfate Solutions,」Journal of the American Oil Chemists’Society,Vol.55,No.12,p.909-913(1978),C.F.Putnik and S.E.McGuire)。本発明のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤中の非アルキルサルフェート不純物の濃度は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、6重量%未満、好ましくは4重量%未満、最も好ましくは2重量%未満であり得る。
【0042】
アルキルアルコキシサルフェートの場合は、硫酸化に先だってまず、脂肪族アルコールをアルコキシル化する。アルコキシル化は、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドなどの、より低分子量のエポキシド(オキシラン)を、脂肪族アルコールと反応させるプロセスである。これらのエポキシドは、様々な塩基又は酸触媒を用いて脂肪族アルコールと反応させることが可能である。塩基触媒によるアルコキシル化において、触媒(アルカリ金属、アルカリ金属酸化物、炭酸塩、水酸化物、又はアルコキシド)との反応により最初に形成されるアルコラートアニオンは、エポキシドを求核攻撃する。
【0043】
アルコキシル化のための従来のアルカリ触媒としては、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが挙げられ、これらはアルコキシレートの幾分広い分布を生じさせる。より狭いアルコキシレートオリゴマー分布をもたらすアルコキシル化のための他の触媒が開発されてきた。狭い範囲のアルコキシル化触媒の好適な例としては、多くのアルカリ土類(Mg、Ca、Ba、Srなど)誘導触媒、ルイス酸触媒、例えば、ジルコニウムドデカンオキシドサルフェート、及びある特定のハロゲン化ホウ素触媒が挙げられる。具体的な平均アルコキシル化度は、脂肪酸アルコール及びエチレンオキシドの出発量を選択することによって、又は平均アルコキシル化度が互いに異なる様々な量のアルコキシル化界面活性剤どうしを一緒にブレンドすることによって、達成され得る。
【0044】
液体洗剤組成物
液体洗剤組成物は、本明細書に記載されるように、前述のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を、更なる界面活性剤と、更には任意選択で、更なる成分と組み合わせる工程を含むプロセスによって提供され得る。
【0045】
液体洗剤組成物は、好ましくは、食器手洗い用液体洗剤組成物である。液体洗剤組成物は、好ましくは水性液体洗剤組成物である。したがって、組成物は、組成物全体の重量に基づいて、50重量%~85重量%、好ましくは50重量%~75重量%の水を含み得る。
【0046】
好ましくは、本組成物のpHは、20℃の蒸留水中10%希釈で測定されるとき、約6~約14、好ましくは約7~約12、又はより好ましくは約7.5~約10である。組成物のpHは、当該技術分野において既知のpH調整成分を使用して調整することができる。
【0047】
本発明の組成物は、ニュートン流体又は非ニュートン流体であり得るが、好ましくはニュートン流体である。好ましくは、組成物は、本明細書に説明される粘度測定方法を使用して、10mPa・s~10,000mPa・s、好ましくは100mPa・s~5,000mPa・s、より好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、又は最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・s、代替的にこれらの組み合わせの粘度を有する。
【0048】
界面活性剤系
液体洗剤組成物は、組成物全体の重量に基づいて、5.0重量%~60重量%、好ましくは8.0重量%~45重量%、最も好ましくは15重量%~40重量%の界面活性剤系を含む。
【0049】
界面活性剤系は、少なくとも45%、好ましくは45%~80%、より好ましくは45%~70%、最も好ましくは45%~65%の重量平均分岐度を有する少なくとも1つのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。そのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、少なくとも10重量%のC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。
【0050】
C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、55重量%未満の直鎖C13アルキルサルフェートと、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、20重量%超の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含むが、そのうちの2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、20重量%以下の2-ペンチルオクチルと、2-分岐鎖アルキル鎖の重量に基づいて、30重量%超の2-メチルドデシルと、を含む。
【0051】
上記のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、本明細書で定義されるようなC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤以外に、他のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み得る。このようなアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤ブレンドは、C12~C14の平均アルキル鎖長を有し得るが、その平均鎖長がC13であることが望ましい。
【0052】
界面活性剤系は、少なくとも1種類のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むことができる。上記の界面活性剤系は、その界面活性剤系の重量に基づいて、60重量%~90重量%、好ましくは65重量%~85重量%、より好ましくは70重量%~80重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0053】
そのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、15重量%~80重量%、好ましくは30重量%~70重量%の、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むことができる。
【0054】
上記のC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、50重量%未満、好ましくは20重量%~40重量%の直鎖C13アルキルサルフェートと、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、25重量%超、好ましくは25重量%~75重量%の2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含み得る。2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、2-分岐鎖C13アルキルサルフェートの重量に基づいて、5.0重量%~20重量%、好ましくは10重量%~20重量%の2-ペンチルオクチルサルフェートアニオン性界面活性剤と、2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、30重量%超~60重量%、好ましくは30重量%超~50重量%の2-メチルドデシルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含み得る。
【0055】
改善された油脂除去と向上された洗浄速度との組み合わせを提供するために、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均アルキル鎖長は、8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素原子であり得る。
【0056】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均アルキル鎖長は、アニオン性界面活性剤の炭素鎖長分布から導出することができる。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖の炭素鎖長分布は、界面活性剤又はそれを構成するアルキルアルコールの供給元の技術データシートから入手することができる。代替的に、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を作製するために使用される脂肪族アルコールの鎖長分布及び平均分子量は、当該技術分野において既知の方法によって判定することもできる。このような方法としては、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリカラムにおける炎イオン化検出を伴うキャピラリガスクロマトグラフィが挙げられる。鎖長分布は、出発アルコール及びアルコキシル化アルコールに基づく。したがって、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、例えば塩酸を使用して、分析前に加水分解して、対応するアルキルアルコール及びアルキルアルコキシル化アルコールに戻さなければならない。
【0057】
本明細書に記載される特定の種類の分岐の配合物と組み合わされた重量平均分岐は、改善された低温下での安定性、初期段階での泡の生成、及び泡の持続性を提供し、かつ増加された製品粘度を可能にすることが見出されている。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、45%~80%、好ましくは45%~70%、より好ましくは45%~65%の重量平均分岐度を有し得る。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、当該アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも25重量%のC2位における分岐を含み得る(非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤について硫酸基から炭素原子を計数することによって測定し、アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の硫酸基から最も遠いアルコキシ基から当該計数を行ったとき)。前述の分岐度を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を使用して本発明の組成物を配合した結果、低温下での安定性が改善されることが判明している。このような組成物は、低温における良好な物理的安定性を達成するために必要な溶媒がより少ない。したがって、組成物は、依然として改善された低温安定性を有しながら、液体洗剤組成物の重量に基づいて、5.0重量%未満という、低濃度の有機溶媒を含み得る。界面活性剤の分岐がより多いことによっても、初期の泡発生がより速くなるが、典型的には、泡持続性が低くなる。本発明による組成物中にC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を配合することにより、増加した分岐レベルにもかかわらず、良好な泡持続性プロファイルが達成される。これを超えると、高度に分岐した配合物を使用するとき、高粘性な製品を構築することがより困難であることが分かった。本発明で使用するC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を配合することにより、より高粘性な生成物を得ることができる。
【0058】
アニオン性界面活性剤混合物の重量平均分岐度は、以下の式を使用して計算することができる。
重量平均分岐度(%)=[(x1アルコール1中の分岐アルコール1の重量%+x2アルコール2中の分岐アルコール2の重量%+....)/(x1+x2+....)]100
(式中、x1、x2、...は、アルキル(アルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために(アルコキシル化及び)硫酸化の前に出発物質として使用したアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールの重量(グラム)である)。重量平均分岐度の計算では、分岐していないアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を形成するために使用されたアルキルアルコールの重量が含まれる。
【0059】
重量平均分岐度及び分岐分布は、典型的には、界面活性剤又はそれを構成するアルキルアルコールの技術データシートから得ることができる。代替的に、分岐は、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリカラムにおける炎イオン化検出を伴うキャピラリガスクロマトグラフィを含む、当該技術分野において既知の分析方法を通して判定することもできる。重量平均分岐度及び分岐分布は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために使用した出発アルコールに基づく。
【0060】
好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、好ましくはナトリウムである。
【0061】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択することができる。非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とのブレンドが好ましい。
【0062】
したがって、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤以外に、更なるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むことができ、しかもそうであることが好ましい。上記の更なるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非アルコキシル化若しくはアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤であってもよく、又はこれらの混合物であってもよい。ただし、その更なるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくはアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、より好ましくはエトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。
【0063】
上記の更なるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素原子の平均アルキル鎖長を有し得る。上記の更なるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が5未満、好ましくは3未満、より好ましくは0.5~2.0、最も好ましくは0.5~0.9の平均アルコキシル化度を有するような、平均アルコキシル化度を有し得る。
【0064】
上記の更なるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が45%超、好ましくは45%~80%、より好ましくは45%~70%、最も好ましくは45%~65%の重量平均分岐度を有するような、重量平均分岐度を有し得る。
【0065】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤がアルコキシル化サルフェート界面活性剤である場合、アルコキシル化アニオン性サルフェート界面活性剤は、好ましくはエトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤である。好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、本発明の組成物の、低温下での物理的安定性を改善し、泡持続性を改善するために、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは2未満かつ0.5超、最も好ましくは0.5~0.9の平均アルコキシル化度を有する。平均アルコキシル化度は、全てのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシル化のモル平均度数(すなわち、モル平均アルコキシル化度)である。したがって、モル平均アルコキシル化度を計算するとき、非アルコキシル化サルフェートアニオン性界面活性剤のモルが含まれる。
モル平均アルコキシル化度=(x1界面活性剤1のアルコキシル化度+x2界面活性剤2のアルコキシル化度+....)/(x1+x2+....)
(式中、x1、x2、...は、混合物の各アルキル(又はアルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数であり、アルコキシル化度は、各アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤中のアルコキシ基の数である)。
【0066】
好ましいアルキルアルコキシサルフェートは、アルキルエトキシサルフェートである。
【0067】
C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤に添加し得る、市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによってブランド名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによってブランド名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、Alfol(登録商標)、Nacol(登録商標)、Nafol(登録商標)、Isofol(登録商標)、Marlipal(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter & Gamble Chemicals社によって製造された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。このようなアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤若しくはアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせであり得る。アルコキシル化されるとき、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくは、エトキシル化される。
【0068】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤に達するために、出発アルキルアルコールが一緒にブレンド及び硫酸化され得る。代替的に、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を個々に、又はアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の混合物を一緒にブレンドして、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤としてもよい。
【0069】
アルコールは、アルキル鎖長の所望のモル分布を実現するために、供給元からの技術データシートから又は当該技術分野において既知の方法を使用する分析から得られた、出発アルコール内の異なるアルキル鎖長の相対分率に基づいて、ブレンドされ得る。
【0070】
油脂洗浄、泡立ち、低温安定性、及び最終製品の粘度を含む性能は、アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルコキシル化分布の幅によって影響され得る。アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を作製するときの触媒及びプロセス条件の選択を通して、その幅の広さを含むアルコキシル化分布を変化させることができる。
【0071】
理論に束縛されるものではないが、アルコキシル化、特にエトキシル化及び硫酸化の工程中、加工条件及び原材料組成を厳密に管理することを通じて、アルコキシル化、特にエトキシル化されたアルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン副生成物の量を最小限に抑えることができる。1,4-ジオキサン副生成物は、上記の結果として得られる1,4-ジオキサンのストリッピング、蒸留、蒸発、遠心分離、マイクロ波照射、分子ふるい、又は触媒若しくは酵素分解工程によって、更に低減することができる。アルコキシル化/エトキシル化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン含量を管理するプロセスは、当該技術分野において広く知られている。代替的に、例えば、5,6-ジヒドロ-3-(4-モルホリニル)-1-[4-(2-オキソ-1-ピペリジニル)フェニル]-2(1H)-ピリドン、コラン酸の3a-ヒドロキシ-7-オキソ-混合物、3-(N-メチルアミノ)-L-アラニン、及びこれらの混合物等、1,4-ジオキサンを含む配合物に1,4-ジオキサン阻害剤を添加することを通して、洗剤配合物内の1,4-ジオキサン濃度を管理することも当該技術分野において知られている。原材料及び洗剤の製造プロセスにわたって1,4-ジオキサンを厳密に管理することによって、製品配合物の残留1,4-ジオキサン含量を10ppm未満、好ましくは5ppm未満、更により好ましくは1ppm未満にすることができる。
【0072】
この界面活性剤系は、更なるアニオン性界面活性剤を含み得る。そのような更なるアニオン性界面活性剤が存在する場合、その更なるアニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の重量に基づいて、30%未満、好ましくは10%未満のレベルで存在し得る。より好ましくは、界面活性剤系は、更なるアニオン性界面活性剤を含まない。そのようなアニオン性界面活性剤が存在する場合、その例としては、アルキルベンゼンスルホネート、スルホサクシネート、アルキルカルボキシレート(石鹸)、アルキルエトキシカルボキシレート、アシルサルコシネート、アシルグリシネート、アシルグルタメート、ラムノ脂質、ソホロ脂質アニオン性界面活性剤などのスルホネート界面活性剤を挙げることができる。
【0073】
上記の界面活性剤系は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはアミンオキシド、ベタイン、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはアミンオキシド界面活性剤から選択される、補助界面活性剤を更に含むことができる。
【0074】
液体洗剤組成物は、界面活性剤の充填性を改善し、したがって油脂洗浄性及び泡持続性を改善するために、液体洗剤組成物の重量に基づいて、0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.5重量%~15重量%、特に2重量%~10重量%の補助界面活性剤を含み得る。
【0075】
本発明の液体洗剤組成物の界面活性剤系は、好ましくは、当該界面活性剤系の重量に基づいて、10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~35重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の補助界面活性剤を含む。
【0076】
希釈後の界面活性剤の充填性を改善し、したがって泡の持続性を改善するために、界面活性剤系は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤に加えて補助界面活性剤を、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤対補助界面活性剤の重量比が1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1となるように含むことができる。
【0077】
好適なアミンオキシド界面活性剤は、直鎖状であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖状が好ましい。好適な直鎖アミンオキシドは、典型的には水溶性であり、式R1-N(R2)(R3)O(式中、R1は、C8~18アルキルであり、R2及びR3部分は、C1~3アルキル基、C1~3ヒドロキシアルキル基、及びこれらの混合からなる群から選択される)によって特徴付けられる。例えば、R2及びR3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、及び3-ヒドロキシプロピル、並びにこれらの混合からなる群から選択することができるが、R2及びR3の一方又は両方がメチルであることが好ましい。直鎖状アミンオキシド系界面活性剤としては、特に、直鎖状C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖状C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを挙げることができる。
【0078】
好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。C8~18アルキルジメチルアミンオキシド、又はC10~16アルキルジメチルアミンオキシド(ココジメチルアミンオキシドなど)などのアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。好適なアルキルジメチルアミンオキシドとしては、C10アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C10~12アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。
【0079】
代替的な好適なアミンオキシド界面活性剤としては、中分岐鎖アミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用するとき、「中分岐鎖」とは、アミンオキシドが、n1個の炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、当該アルキル部分における1つのアルキル分岐は、n2個の炭素原子を有することを意味する。アルキル分岐は、アルキル部分上の窒素からα炭素上に位置する。アミンオキシドのこの種の分岐は、当該技術分野において、内部アミンオキシドとしても既知である。n1とn2との合計は、10~24個、好ましくは12~20個、より好ましくは10~16個の炭素原子であってもよい。1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、好ましくは、1つのアルキル分岐(n2)と炭素原子数が同じか又は類似しており、それによりその1つのアルキル部分とその1つのアルキル分岐とが対称となるようになっている。本明細書で使用するとき、「対称」とは、本明細書で使用される中分岐鎖アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%において、|n1-n2|が5個以下、好ましくは4個、最も好ましくは0~4個の炭素原子であることを意味する。アミンオキシドは、C1~3アルキル、C1~3ヒドロキシアルキル基、又は平均約1~約3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基から独立して選択される2つの部分を更に含む。好ましくは、それらの2つの部分は、C1~3アルキルから選択され、より好ましくは、いずれもがC1アルキルとして選択される。
【0080】
代替的に、アミンオキシド界面活性剤は、ローカットアミンオキシド及びミッドカットアミンオキシドの混合物を含む、アミンオキシドの混合物であってもよい。それゆえ、本発明の組成物のアミンオキシドは、
a)当該アミンオキシドの重量に基づいて、約10重量%~約45重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は、独立して、水素、C1~C4アルキル、又はこれらの混合から選択され、R3は、C10アルキル及びこれらの混合から選択される)のローカットアミンオキシドと、
b)当該アミンオキシドの重量に基づいて、55重量%~90重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は、独立して、水素、C1~C4のアルキル、又はこれらの混合から選択され、R6は、C12~C16のアルキル又はこれらの混合から選択される)のミッドカットアミンオキシドと、を含み得る。
【0081】
本明細書での使用に好ましいローカットアミンオキシドでは、R3はn-デシルであり、好ましくはR1及びR2の両方がメチルである。式R4R5R6AOのミッドカットアミンオキシドでは、好ましくはR4及びR5の両方がメチルである。
【0082】
好ましくはアミンオキシドは、アミンオキシドの重量に基づいて、約5重量%未満、より好ましくは3重量%未満の式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は水素、C1~C4のアルキル及びこれらの混合から選択され、R9はC8のアルキル及びこれらの混合から選択される)のアミンオキシドを含む。式R7R8R9AOのアミンオキシドの量を制限することにより、物理的安定性及び泡持続性の両方が改善される。
【0083】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン界面活性剤が挙げられる。このようなベタイン界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドアゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、並びにホスホベタインが挙げられ、好ましくは式(I)を満たす:
-[CO-X(CH-N(R)(R)-(CH-[CH(OH)-CH-Y
式(I)中、
R1は、飽和又は不飽和のC6~22アルキル残基、好ましくは、C8~18アルキル残基、より好ましくは、飽和C10~16アルキル残基、最も好ましくは、飽和C12~14アルキル残基からなる群から選択され、
Xは、NH、NR4(式中、R4は、C1~4アルキル残基である)、O、及びSからなる群から選択され、
nは、1~10、好ましくは2~5、より好ましくは3の整数であり、
xは、0又は1、好ましくは1であり、
R2及びR3は、独立して、C1~4アルキル残基、ヒドロキシエチルなどの置換されているヒドロキシ、及びこれらの混合からなる群から選択され、好ましくは、R2及びR3の両方がメチルであり、
mは、1~4の整数、好ましくは1、2、又は3の整数であり、
yは、0又は1であり、かつ
Yは、COO、SO3、OPO(OR5)O、又はP(O)(OR5)O(式中、R5は、H又はC1~4アルキル残基である)からなる群から選択される。
【0084】
好ましいベタインは、式(Ia)のアルキルベタイン、式(Ib)のアルキルアミドプロピルベタイン、式(Ic)のスルホベタイン、及び式(Id)のアミドスルホベタインであり:
-N(CH-CHCOO (IIa)
-CO-NH-(CH-N(CH-CHCOO (IIb)
-N(CH-CHCH(OH)CHSO (IIc)
-CO-NH-(CH-N(CH-CHCH(OH)CHSO (IId)
(式中、R1は、式(I)と同じ意味を有する)。特に好ましいのは、式(Ia)及び(Ib)のカルボベタイン[すなわち、式(I)中、Y-はCOO-である]であり、より好ましいのは、式(Ib)のアルキルアミドベタインである。
【0085】
好適なベタインは、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、セチルベタイン、セチルアミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、デシルベタイン、デシルアミドプロピルベタイン、水素添加タローベタイン/アミドプロピルベタイン、イソステアルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアドプロピルベタイン、オレイルベタイン、パームアミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、パーム核アミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、ウンデシルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができるか、又は[INCIに従って命名される]。好ましいベタインは、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。コカミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0086】
非イオン性界面活性剤:
上記の界面活性剤系は、この界面活性剤系の重量に基づいて、好ましくは1.0重量%~25重量%、より好ましくは1.25重量%~15重量%、最も好ましくは1.5重量%~5.0重量%のレベルの、非イオン性界面活性剤を更に含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0087】
好ましいアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、直鎖状又は分岐鎖状の一級又は二級アルキルアルコキシル化非イオン性界面活性剤であり、好ましくはアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤であり、好ましくは、そのアルキル鎖に平均9~15個、好ましくは10~14個の炭素原子を含み、アルコール1モル当たり平均5~12単位、好ましくは6~10単位、最も好ましくは7~8単位のエチレンオキシドを含むものである。
【0088】
追加成分:
組成物は、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、環状ポリアミン又はオリゴアミン、塩、ヒドロトロープ、有機溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの活性物質を更に含んでもよい。
【0089】
両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン:
本発明の組成物は、組成物全体の重量に基づいて、約0.05重量%~約2重量%、好ましくは約0.07重量%~約1重量%の両親媒性ポリマーを更に含み得る。好適な両親媒性ポリマーは、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、その液体組成物を洗浄前に洗浄用具(スポンジなど)に直接添加し、その後、ひどく油脂で汚れた表面と接触するとき、特に、洗浄用具が少量~ゼロの水を含むとき、例えば、予め軽く湿らせたスポンジを使用するときに、洗浄される硬質表面上におけるゲル形成を低減することが判明している。
【0090】
好ましくは、当該両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、100~5,000、好ましくは400~2,000、より好ましくは400~1,000ダルトンの重量平均分子量範囲を有するポリエチレンイミン主鎖を含むアルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーである。ポリエチレンイミン主鎖は、以下の修飾を含む:
(i)修飾がポリエチレンイミン主鎖における内部窒素原子に存在するか又は末端窒素原子に存在するかに応じて、窒素原子1個当たり1又は2個のアルコキシル化修飾であって、当該アルコキシル化修飾が、修飾1個当たり平均約1~約50個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による水素原子の置換からなり、当該アルコキシル化修飾の末端アルコキシ部分が、水素、C1~C4アルキル、又はこれらの混合物でキャップされている、アルコキシル化修飾、
(ii)置換がポリエチレンイミン主鎖における内部窒素原子に存在するか又は末端窒素原子に存在するかに応じて、窒素原子1個当たり1個のC1~C4アルキル部分の置換及び1又は2個のアルコキシル化修飾であって、当該アルコキシル化修飾が、修飾1個当たり平均約1~約50個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による水素原子の置換からなり、末端アルコキシ部分が、水素、C1~C4アルキル、又はこれらの混合物でキャップされている、置換及びアルコキシル化修飾、又は
(iii)これらの組み合わせ。
【0091】
例えば、ポリエチレンイミン主鎖における末端窒素原子に対して可能な修飾を以下に示すが、これらに限定されるものではない(式中、Rは、エチレンスペーサーを表し、Eは、C1~C4アルキル部分を表し、X-は、好適な水溶性対イオンを表す)。
【0092】
【化1】
【0093】
また、例えば、ポリエチレンイミン主鎖における内部窒素原子に対して可能な修飾を以下に示すが、これらに限定されるものではない(式中、Rは、エチレンスペーサーを表し、Eは、C~Cアルキル部分を表し、X-は、好適な水溶性対イオンを表す)。
【0094】
【化2】
【0095】
ポリエチレンイミン主鎖のアルコキシル化修飾は、平均約1~約50のアルコキシ部分、好ましくは約20~約45のアルコキシ部分、最も好ましくは約30~約45のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による水素原子の置換からなる。アルコキシ部分は、エトキシ(ethoxy、EO)、プロポキシ(propoxy、PO)、ブトキシ(butoxy、BO)、及びこれらの混合物から選択される。しかし、エトキシ単位のみを含むアルコキシ部分は、本発明の使用の範囲外である。好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、エトキシ/プロポキシブロック部分から選択される。より好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、約3~約30の平均エトキシル化度及び約1~約20の平均プロポキシル化度を有するエトキシ/プロポキシブロック部分、より好ましくは約20~約30の平均エトキシル化度及び約10~約20の平均プロポキシル化度を有するエトキシ/プロポキシブロック部分である。
【0096】
より好ましくは、エトキシ/プロポキシブロック部分は、3:1~1:1、好ましくは2:1~1:1の、エトキシ単位対プロポキシ単位の相対比を有する。最も好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、プロポキシ部分ブロックが末端アルコキシ部分ブロックである、エトキシ/プロポキシブロック部分である。
【0097】
この修飾の結果、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子が永久的に四級化されてもよい。永久的な四級化の程度は、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子の0%~約30%であってもよい。永久的に四級化されるのはポリエチレンイミン主鎖の窒素原子の30%未満であることが好ましい。最も好ましくは、四級化の程度は、約0%である。
【0098】
好ましい両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(II)の一般構造を有する。
【0099】
【化3】
式中、ポリエチレンイミン主鎖の重量平均分子量は、約600であり、式(II)のnの平均は、約10であり、式(II)のmの平均は、約7であり、式(II)のRは、水素、C~Cアルキル、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは水素である。式(II)の永久的な四級化の程度は、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子の0%~約22%であり得る。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは、10,000~15,000Daである。
【0100】
より好ましくは、当該両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(II)の一般構造を有するが、ポリエチレンイミン主鎖の重量平均分子量は約600Daであり、式(II)のnの平均は約24であり、式(II)のmの平均は約16であり、式(II)のRは、水素、C~Cアルキル、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは水素である。式(II)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン主鎖窒素原子の0%~約22%であってもよく、好ましくは0%である。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは25,000~30,000Da、最も好ましくは28,000Daである。
【0101】
両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、国際公開第2007/135645号により詳細に記載されている方法によって作製することができる。
【0102】
環状ポリアミン又はオリゴアミン:
組成物は、洗浄を助けるアミン官能基を有する環状ポリアミン又はオリゴアミンを含み得る。本発明の組成物は、好ましくは当該組成物の重量に基づいて、約0.1重量%~約3重量%、より好ましくは約0.2重量%~約2重量%、特に約0.5重量%~約1重量%の環状ポリアミン又はオリゴアミンを含む。
【0103】
本アミンは、それが使用される洗浄媒体のpHに応じてプロトン化をされ得る。好ましい環状ポリアミン又はオリゴアミンは、以下の式(III)を有する:
【0104】
【化4】
(式中、R、R、R、R、及びRは、独立して、NH2、-H、約1~約10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、及び約1~約10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルケニルからなる群から選択され、nは、約1~約3であり、好ましくはnは1であり、Rのうちの少なくとも1つはNH2であり、残りの「R」は、独立して、NH2、-H、約1~約10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル、及び約1~約10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルケニルからなる群から選択される)。好ましくは、環状ポリアミン又はオリゴアミンは、nが1であり、RがNH2であり、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つがCH3であり、残りのRがHである、ジアミンである。
【0105】
環状ポリアミン又はオリゴアミンは、少なくとも2つの一級アミン官能基を有する。一級アミンは、環状アミン内の任意の位置に存在してもよいが、油脂洗浄の観点から、一級アミンが1、3位に存在するときにより良好な性能が得られることが分かっている。置換基のうちの1個が-CH3であり、残りがHである環状アミンが、改善された油脂洗浄性能を提供することも判明している。
【0106】
したがって、本発明の液体洗剤組成物との使用に最も好ましい環状ポリアミン又はオリゴアミンは、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される環状ポリアミン又はオリゴアミンである。これら特定の環状ポリアミン又はオリゴアミンは、本発明の組成物の界面活性剤系と共に配合されたとき、食器洗浄プロセス全体を通して泡立ち及び油脂洗浄プロファイルを改善する機能を有する。
【0107】
塩:
本発明の組成物は、組成物全体の重量に基づいて、約0.05重量%~約2重量%、好ましくは約0.1重量%~約1.5重量%、又はより好ましくは約0.5重量%~約1重量%の塩、好ましくは一価若しくは二価の無機塩、又はこれらの混合物、より好ましくは、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択される塩を含み得る。塩化ナトリウムが最も好ましい。
【0108】
ヒドロトロープ:
本発明の組成物は、組成物全体の重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、又は好ましくは約0.5重量%~約10重量%、又はより好ましくは約1重量%~約10重量%のヒドロトープ又はその混合物、好ましくはクメンスルホン酸ナトリウムを含み得る。
【0109】
有機溶媒:
組成物は、組成物全体の重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、又は好ましくは約0.5重量%~約10重量%、又はより好ましくは約1重量%~約10重量%の有機溶媒を含み得る。好適な有機溶媒としては、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、及びこれらの混合物、好ましくはアルコール、グリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒が挙げられる。エタノールが好ましいアルコールである。ポリアルキレングリコール、特にポリプロピレングリコールが好ましいグリコールである。
【0110】
補助成分
液体洗剤組成物は、任意選択で、多くの他の補助成分を含み得るが、その例としては、ビルダ(好ましくはシトレート)、キレート剤、コンディショニングポリマー、他の洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、皮膚若返り活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、真珠光沢粒子、Ca/Mgイオンなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤(例えば、NaCl、並びに他の一価、二価、及び三価の塩などの塩)、並びにpH調整剤及び緩衝手段(例えば、クエン酸などのカルボン酸、HCl、NaOH、KOH、アルカノールアミン、炭酸ナトリウム、重炭酸塩、セスキ炭酸塩などの炭酸塩など)などが挙げられる。
【0111】
洗浄方法
本発明の組成物は、汚れ又は油脂のレベル及び種類、並びに消費者の好みに応じて様々な方法で、食器を洗浄するために使用することができる。
【0112】
例えば、組成物は、組成物を汚れた食器に塗布する前に、組成物を希釈し、食器類を手洗いする方法で使用することができる。本方法は、本発明の組成物を所定の体積の水に供給して洗浄溶液を形成する工程と、溶液中に食器類を浸漬する工程と、を含む。食器類は、水の存在下において組成物で洗浄される。所望により、食器類をすすいでもよい。本明細書では、「すすぐ」とは、本発明によるプロセスで洗浄された食器類を、かなりの量の適切な溶媒、典型的には水と接触させることを意味する。「かなりの量」とは、通常、約1~約20L又は流水下を意味する。
【0113】
本明細書の組成物は、その希釈形態で塗布され得る。汚れた食器類は、有効量、典型的には(処理される食器約25個当たり)約0.5mL~約20mL、好ましくは約3mL~約10mLの、本発明の液体洗剤組成物(好ましくは液体形態のもの)を水で希釈したものと接触させられる。使用される液体洗剤組成物の実際の量は、ユーザの判断に基づき、典型的には、液体洗剤組成物中の活性成分の濃度を含む液体洗浄組成物の特定の製品配合、洗浄される汚れた食器の数、食器の汚れの程度などの要因に依存する。一般に、約0.01mL~約150mL、好ましくは約3mL~約40mLの本発明の液体洗剤組成物を、シンク内の約2,000mL~約20,000mL、より典型的には約5,000mL~約15,000mLの水と組み合わせる。このように得られた希釈された液体洗剤組成物の入ったシンク内に汚れた食器類を浸漬した後、食器類の汚れた表面を布、スポンジ、又は類似の洗浄用具と接触させる。食器類と接触させる前に、布、スポンジ、又は類似の洗浄用具を、液体洗剤組成物と水との混合物中に浸漬してもよく、典型的には、約1~約10秒間の範囲の時間にわたって食器類と接触させるが、実際の時間は各用途及びユーザによって異なる。布、スポンジ、又は類似の洗浄用具を食器類と接触させることは、同時に食器類をこすることを伴う。
【0114】
本発明はまた、液体洗剤組成物を直接塗布する方法で使用することもできる。このような方法は、この組成物を、その未希釈形態で食器と接触させる工程を含む。この組成物は、その容器から食器の上に直接注がれてもよい。代替的に、組成物が最初に、ブラシ、スポンジ、不織布材料、又は織布材料などの洗浄装置又は用具に塗布されてもよい。洗浄装置又は用具、そしてその結果として未希釈形態の液体食器洗い用組成物は、次いで、汚れた食器の各々の表面に直接接触させられて、汚れを除去する。洗浄装置又は用具は通常、約1~約10秒の範囲の時間にわたって各食器表面と接触させられるが、実際の適用時間は、食器の汚れの程度などの要因に左右されることになる。洗浄装置又は用具を食器表面に接触させることは、好ましくは、同時にこすることを伴う。代替的に、装置又は用具は、洗浄装置を収容することができる小さな容器内で、未希釈の食器手洗い用液体洗剤組成物に浸漬されてもよい。その組成物を塗布する前に、汚れた食器を水浴に浸漬するか、又は流水下に保持して、食器の表面を濡らしてもよい。本方法は、液体洗剤組成物を食器と接触させる工程の後に、任意選択的なすすぎ工程を含んでもよい。
【0115】
本発明の組成物は、直接塗布による食器洗浄方法中及び洗剤組成物が希釈される(例えば、シンク中で)食器洗浄方法において、油脂洗浄及び泡の持続性改善に特に有用である。加えて、直接塗布による食器洗浄方法中において、初期の泡形成及びスメアリング回避にも有用であり、更に低温下での安定性を改善し、高粘性の配合物を提供することにも有用である。
【0116】
試験方法
泡持続性:
泡持続性指数試験の目的は、周期的な汚れ注入の影響下にある間の、指定の水硬度、溶液温度、及び配合物濃度における異なる試験配合物について発生した泡体積の経時的発達を比較することである。データを比較し、参照組成物に対する泡持続性指数として表す(参照組成物は泡持続性指数100を有する)。方法の工程は、以下のとおりである。
1. 標的とする組成物濃度(ここでは0.24重量%)に応じた規定量の試験組成物を、4バールの一定圧力で4Lになるまでシンクを満たす水流(ここでは、水硬度:15gpg、水温:42℃)にシンクの底面(寸法:直径300mm及び高さ288mm)の上方37cmの高さにおいて0.67mL/秒の流速でプラスチック製ピペットを通して分注する。
2. 発生した初期泡体積(平均泡高さ×シンクの表面積として測定し、cmで表す)を充填終了直後に記録する。
3. 固定量(6mL)の汚れを、シンクの中央に直ちに注入する。
4. 85RPMで20回回転する、45度の角度で気液界面においてシンクの中央に位置する金属ブレード(10cm×5cm)を用いて、得られた溶液を混合する。
5. 合計泡体積の別の測定値を、ブレードの回転終了直後に記録する。
6. 測定された合計泡体積が400cmの最低レベルに達するまで工程3~5を繰り返す。400cmのレベルに達するのに必要な汚れの添加量を、試験組成物の泡持続性とみなす。
7. 各試験組成物を、試験条件(すなわち、水温、組成物濃度、水硬度、汚れの種類)につき4回試験する。
8. サンプル毎に4回繰り返した平均として、平均泡持続性を計算する。
9. 参照組成物サンプルに対して試験組成物サンプルの平均持続性を比較することによって、泡持続性指数を計算する。計算は、以下のとおりである。
【0117】
【数1】
【0118】
表4に記載される成分の標準的な混合を通して汚れ組成物を生成する。
【0119】
【表1】
【0120】
粘度:
粘度は、Brookfield RT粘度計でスピンドル21を使用して、20℃、12RPMで測定する。
【実施例
【0121】
好適なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の例及びそれらの合成:
以下は、好適なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の代表的かつ非限定的な例であり、非限定的な合成方法も以下に含まれる。
【0122】
既に説明したプロセスを使用して、以下のアルコール実施例1及び2に記載のアルコール組成物を得て、炎イオン化検出(gas chromatography with flame ionization detection、GC/FID)を用いるガスクロマトグラフィにより分析する。試料は、1%(w/v)のジクロロメタン溶液として調製され、19分間の全実施時間にわたるオーブン温度プログラム[初期温度80℃で保持(1分)、10℃/分で220℃まで昇温、30℃/分で350℃まで昇温し、保持(1分)]を使用して、キャピラリGCカラム:DB-1(高さ15m×内径0.25mm、膜圧0.1μm)に注入する。更なるGCパラメータとしては、カラム流量:1.4mL/分(H)、注入温度:300℃、サンプル量:1μL、分割比:1/400、FID温度:350℃、H流量:40mL/分、空気流:400mL/分、及び補給ガス流量:25mL/分が挙げられる。
【0123】
アルコール実施例1.狭い分岐鎖のトリデカノール(アルコール1)の合成
C12直鎖アルファオレフィン原材料(1-ドデセン)を、Chevron Phillips Chemical Company LP(テキサス州ウッドランズ私書箱4910、77387-4910)から入手した。なお、同原材料は、商品名AlphaPlus(登録商標)1-ドデセン(Chevron Phillips Chemical Company LP社製、US、電話(800)231-3260)により識別されるものである。本実施例で使用される均質なロジウム有機リン触媒は、高圧ステンレス鋼撹拌オートクレーブ中で調製される。オートクレーブに、0.027重量%のRh(CO)2ACAC((アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I))、1.36重量%トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト配位子、及び98.62重量%Synfluid(登録商標)PAO 4 cSt(Chevron Phillips Chemical Company LP,テキサス州ウッドランズ私書箱4910、77387-4910)不活性溶媒を添加した。混合物を、CO/H2雰囲気及び2バール(大気圧よりも0.2MPa高い)ゲージ圧の存在下で80℃で4時間加熱して、活性ロジウム触媒溶液(109ppmロジウム、P:Rhモル比=20)を生成した。1-ドデセン直鎖アルファオレフィンを、オートクレーブ中のロジウム触媒溶液に添加して、35ppmのロジウム濃度である、出発反応混合物を生成した。次いで、アルファオレフィン供給材料を、CO/H2雰囲気及び1bar(大気圧よりも0.1MPa高い)ゲージ圧の存在下で、80℃で10時間にわたって異性化した。次いで、異性化オレフィンを、CO/H2雰囲気及び20bar(大気圧よりも2MPa高い)ゲージ圧の存在下で、70℃で8時間にわたってヒドロホルミル化した。異性化工程及びヒドロホルミル化工程の両方におけるCO対H2のモル比は、1:1.15に等しい。結果として得られたヒドロホルミル化反応生成物を140~150℃及び25ミリバールでフラッシュ蒸留して、ロジウム触媒溶液を底生成物として回収し、分岐鎖C13アルデヒドオーバーヘッド製品を回収し、組成物は、以下を含む。
1-トリデカノール 13.9重量%
2-メチル-ドデカナール 28.3重量%
2-エチル-ウンデカナール 15.2重量%
2-プロピル-デカナール 14.5重量%
2-ブチル-ノナナール 13.6重量%
2-ペンチル-オクタナール 12.6重量%
他 1.9重量%
分岐鎖C13アルデヒド生成物中の分岐の重量%は86.2%であった。
【0124】
分岐鎖C13アルデヒド生成物を高圧で水素添加し、Inconel 625撹拌オートクレーブを150C及び20bar(大気圧より2MPa高い)の水素ゲージ圧で水素添加した。使用した水素化触媒は、0.25重量%ローディングで使用したRaney(登録商標)Nickel 3111(W.R.Grace&Co.,7500 Grace Drive,Columbia,メリーランド州21044,US,電話1-410-531-4000)触媒であった。アルデヒドを10時間水素添加し、結果として得られた反応混合物を濾過して、以下を含む分岐鎖C13アルコール生成物(表1のアルコール1)を生成した。
1-トリデカノール 13.36重量%
2-メチル-ドデカノール 28.95重量%
2-エチル-ウンデカノール 16.25重量%
2-プロピル-デカノール 13.92重量%
2-ブチル-ノナノール 13.46重量%
2-ペンチル-オクタノール 13.02重量%
他 1.04重量%
分岐鎖C13アルコール生成物中の2-アルキル分岐の重量%は85.6%であった。
【0125】
アルキルサルフェートの実施例1.流下液膜硫酸化反応器を使用する、狭い分岐鎖のトリデカノールサルフェートの合成
アルコール実施例1のアルコールを、5.5lb/時間の硫黄で動作する硫黄燃焼ガスプラントから生成されたSO3を使用して、Chemithon単一15mm×2m管反応器を使用して流下膜で硫酸化して、体積基準で3.76% SO3を生成する。アルコール供給速度は15.2kg/時間であり、供給温度は81Fであった。アルコールのアルコールサルフェート混合物への転化を96.5%の完全性で達成した。50%水酸化ナトリウムでの中和は、周囲プロセス温度で0.65%過剰の水酸化ナトリウムに完了する。33ガロンのナトリウム中和されたC13狭い分岐鎖アルコールサルフェートペースト。標準的なカチオン性SO3滴定法による分析により、最終平均生成物活性は73.4%であると判定する。平均非硫酸化レベルは、2.10% w/wである。
【0126】
アルキルサルフェートの実施例2.アミン酸化物添加剤を用いる流下液膜硫酸化反応器を使用する、狭い分岐鎖のトリデカノールサルフェートの合成
アルコール実施例1のアルコールを、5.0lb/時間の硫黄で動作する硫黄燃焼ガスプラントから生成されたSO3を使用して、Chemithon単一15mm×2m管反応器を使用して流下膜で硫酸化して、体積基準で3.76% SO3を生成する。アルコール供給速度は13.8kg/時間であり、供給温度は75Fであった。アルコールのアルコールサルフェート混合物への転化を97%の完全性で達成した。中和は、50%水酸化ナトリウム及びC12/14ジメチルアミンオキシドと周囲プロセス温度で8.0のpHに共中和する。68キログラムのC13狭い分岐鎖アルコールサルフェート/アミンオキシドペーストを、51.7%のアルコールサルフェート及び11.76%のC12/14ジメチルアミンオキシドの標的活性に作製した。
【0127】
泡持続性及び粘度試験:
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖内の分岐の種類の効果を、本明細書に記載の試験方法に従って、泡持続性能並びに食器手洗い用液体配合物内の粘度を維持するためのそれらの能力について評価した。
【0128】
試験材料:
表1にまとめられている出発アルコールに基づいたアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤について、相対的な泡性能及び粘度衝撃を判定した。表1の全ての出発アルコールは、C13のアルキル鎖から本質的に構成された。本発明の組成物(複数可)中のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を製造するために使用されるアルコール1は、特許請求の範囲に記載されるような分岐の種類を有し、本明細書に記載の製造プロセスに従って製造された。アルコールAは、本発明で使用されるC13アルキルサルフェートに必要とされるものよりも高いペンチル型分岐を有し、本発明で使用されるC13アルキルサルフェートに必要とされるものよりも低いメチル型分岐を有する。
【0129】
【表2】
出発C13アルコールの重量に基づく割合
++ 分岐鎖C13アルコールの重量に基づく割合
+++ 例えば、C2位以外に分岐鎖を有する異性体、パラフィン、13個以外の鎖長を有するアルコールなど
【0130】
表1の出発C13アルコールと、表2bに記載される更なる(非エトキシル化及びエトキシル化)アルコールを、パイロットプラントにおいて個別に硫酸化した後、表2a及び表2bに記載されるように、アルキルサルフェートブレンドを達成するために混合し、それゆえ所望の平均分岐度及び平均エトキシル化度を有する一方で、本発明において使用されるか(C13アルコール1を使用することによる実施例1及び2)、又は比較組成物(C13アルコールAを使用することによる実施例A及びB)において使用されるかいずれかの分岐鎖分布を有する。得られた異なるAES組成物中のアルキルサルフェート分布は、表2cにまとめられる。
【0131】
【表3】
比較
【0132】
【表4】
比較
【0133】
表2a~表2bのアルキルサルフェートブレンドは、以下のA(E)アニオンの重量%の分布を有する。
【0134】
【表5】
【0135】
表3には、表2a~表2cに記載のような得られたアルキルエトキシサルフェートブレンドを使用して調製された、食器手洗い用液体洗剤組成物がまとめられる。AESレベルは、ナトリウム塩として表3に表される。液体洗剤配合物は、バッチ式プロセスを使用して、室温で個々の原材料を一緒に混合することによって調製された。
【0136】
【表6】
【0137】
表4のデータは、洗剤組成物の泡持続性及び粘度をまとめたものである。
【0138】
比較例A及びBから分かるように、洗剤組成物が、2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量に基づいて、20重量%超の2-ペンチル-オクチルサルフェートと、2-分岐鎖C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量い基づいて、30重量%未満の2-メチル-ドデシルサルフェートと、を含むC13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むように配合される場合、比較の組成物によって提供されるその組成物の泡持続性はより低くなり、粘度もより低くなった。
【0139】
実施例1及び2から分かるように、組成物は、本発明によって必要とされる濃度で2-メチル-ドデシルサルフェートアニオン性界面活性剤及び2-ペンチル-オクチルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む一方で、45%超のアルキル(エトキシ)サルフェートの重量平均分岐度を有する組成物は、結果として、泡持続性及び粘度の両方をもたらす。
【0140】
【表7】
比較
【0141】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0142】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0143】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。