(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】腹部膨満感改善用組成物及び腹部膨満感改善作用を有する物質又は組成物をスクリーニングする方法
(51)【国際特許分類】
A23K 20/163 20160101AFI20230418BHJP
A01K 67/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A23K20/163
A01K67/00 E
(21)【出願番号】P 2021131426
(22)【出願日】2021-08-11
(62)【分割の表示】P 2017227527の分割
【原出願日】2017-11-28
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】391015351
【氏名又は名称】ビオフェルミン製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】前田 彩子
(72)【発明者】
【氏名】巻▲崎▼ 寛
(72)【発明者】
【氏名】田中 良紀
(72)【発明者】
【氏名】大野 裕史
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/085321(WO,A2)
【文献】特開2006-104094(JP,A)
【文献】特開平08-289783(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102614203(CN,A)
【文献】伊川勇樹,アカルボース(グルコバイ)の作用機序・特徴・おならの回数が増える時の対応(ハイリスク薬),ファーマシスタ,日本,2016年08月03日,[2023年1月10日検索],インターネット<URL:https://pharmacista.jp/contents/skillup/academic_info/diabetes/2284/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
A01K 11/00 - 29/00
A01K 33/00 - 37/00
A01K 41/00 - 59/06
A01K 67/00 - 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)セルロース、(2)単糖を2以上有する多糖類(但し、セルロースを除く)、及び(3)アミラーゼ阻害剤又はα-グルコシダーゼ阻害剤を含有し、成分(2)を高濃度に含有する
盲腸内ガス産生亢進モデル動物作製用飼料。
【請求項2】
(3)が、アカルボースである、請求項1に記載の飼料。
【請求項3】
(2)が、デンプンである、請求項1又は2に記載の飼料。
【請求項4】
(2)の濃度が40~70質量%である、請求項1~3いずれかに記載の飼料。
【請求項5】
請求項1~4いずれかに記載の飼料を摂取
させることを特徴とする、盲腸内ガス産生亢進モデル動物の作製方法。
【請求項6】
盲腸内ガス産生亢進モデル動物がラットである、請求項5に記載の
方法。
【請求項7】
被験物質又は組成物を、
請求項1~4いずれかに記載の飼料を摂取した実験用動物に投与する工程、並びに被験物質又は組成物を投与した実験用動物の腸管内のガス量及び/又は腸管体積を測定する工程を含む、腹部膨満感改善作用を有する物質又は組成物をスクリーニングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹部膨満感改善用組成物及び腹部膨満感改善作用を有する物質又は組成物をスクリーニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消化酵素を有効成分として含有する脱ガス組成物が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクスを含有する経口投与用組成物、及びそれが腹部膨満感改善に有用であることは知られていない。さらには、腹部膨満を呈するモデル動物に関する報告もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、腹部膨満感改善用組成物及び腹部膨満感改善作用を有する物質又は組成物をスクリーニングする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクスを組み合わせることによって、これらを含有する組成物が、腹部膨満感を改善できることを見い出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、さらに検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクスを含有する経口投与用組成物。
[2]プロバイオティクスが、乳酸菌及び/又はビフィズス菌である前記[1]に記載の組成物。
[3]腹部膨満感改善のために用いられる前記[1]又は[2]に記載の組成物。
[4](1)セルロース、(2)単糖を2以上有する多糖類(但し、セルロースを除く)、及び(3)アミラーゼ阻害剤又はα-グルコシダーゼ阻害剤を含有し、成分(2)を高濃度に含有する飼料。
[5]前記[4]に記載の飼料を摂取した実験用動物。
[6]被験物質又は組成物を、前記[5]に記載の実験用動物に投与する工程、並びに被験物質又は組成物を投与した実験用動物の腸管内のガス量及び/又は腸管体積を測定する工程を含む、腹部膨満感改善作用を有する物質又は組成物をスクリーニングする方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、腹部膨満感改善用組成物及び腹部膨満感改善作用を有する物質又は組成物をスクリーニングする方法を提供することができる。また、本発明は、当該スクリーニングする方法において使用される実験用動物、及び実験動物に摂取させる飼料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、正常群と盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸内ガス体積の差異を示す(n=6、平均値±標準誤差、*p<0.05vs.正常群)。
【
図2】
図2は、正常群と盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸相対体積の差異を示す(n=6、平均値±標準誤差、*p<0.05vs.正常群)。
【
図3】
図3は、盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸内ガス体積に対する消泡剤単独の影響を示す(n=6、平均値±標準誤差)。
【
図4】
図4は、盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸内ガス体積に対するケツメイシ単独の影響を示す(n=6、平均値±標準誤差)。
【
図5】
図5は、盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸内ガス体積に対するプロバイオティクス単独の影響を示す(n=6、平均値±標準誤差)。
【
図6】
図6は、盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸内ガス体積に対する消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクスの併用の効果を示す(n=6、平均値±標準誤差、*p<0.05vs.対照群)。
【
図7】
図7は、盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸相対体積に対する消泡剤単独の影響を示す(n=6、平均値±標準誤差)。
【
図8】
図8は、盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸相対体積に対するケツメイシ単独の影響を示す(n=6、平均値±標準誤差)。
【
図9】
図9は、盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸相対体積に対するプロバイオティクス単独の影響を示す(n=6、平均値±標準誤差)。
【
図10】
図10は、盲腸内ガス産生亢進モデル動物における盲腸相対体積に対する消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクスの併用の効果を示す(n=6、平均値±標準誤差、*p<0.05vs.対照群)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.組成物
本開示は、消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクスを含有する経口投与用組成物(以下、本発明の組成物ともいう。)を包含する。
【0011】
組成物含有成分1:消泡剤
本発明の組成物において、消泡剤は、液体に泡ができるのを防ぐ作用を有するもの、又は、存在する泡を消す作用を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ジメチコン又はシメチコン等のジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルビニルシリコーン等のシリコーン;含水エタノール、エタノール、オクトキシノール等のアルコール等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらは、市販品を使用することができる。
本発明の組成物全体に対する消泡剤の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、通常0.1~90質量%であり、好ましくは1~70質量%であり、特に好ましくは1~20質量%である。また、消泡剤の1日配合量は通常36~180mgであり、好ましくは90~180mgであり、特に好ましくは120~180mgである。
【0012】
組成物含有成分2:ケツメイシ
ケツメイシ(決明子)は、通常、マメ科のエビスグサ(学名:Senna obtusifolia)の種子である。ケツメイシは、アントラキノン類、ナフタリン誘導体又はアントラン誘導体等を含み得る。本開示において、ケツメイシは、採取した状態の未加工のものに加えて、乾燥物、裁断物若しくはそれらの粉末、搾汁、又は抽出物などの処理物であってもよい。抽出物とは、ケツメイシに含まれる成分が抽出された物であれば特に限定されないが、例えば、ケツメイシやその乾燥物、裁断物若しくはそれらの粉末を水(熱水又は温水)、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン又はこれらの混合物(例えば、20~80vol%の濃度の含水エタノール)等の溶媒で、室温又は加熱下、約1分~12時間程度抽出して得られる抽出液、その希釈液や濃縮液、又はそれらの乾燥物やその粉末が挙げられる。抽出作業後、ろ過、遠心分離などの固液分離操作を行い、不溶な固形物を除去することが好ましい。
【0013】
好ましくは、ケツメイシの乾燥物を、原料ホッパー、粉砕機、分級機又は製品ホルダーなどの粉砕機で粉砕、破砕、又は細断などして、これに2~20倍質量の溶媒を加え、0℃~溶媒の還流温度の範囲で約1分~12時間、静置、振盪、攪拌、還流などの任意の条件下にて抽出を行う。抽出作業後、ろ過、遠心分離などの固液分離操作を行い、不溶な固形物を除去する。液層を、必要に応じて希釈、濃縮などの操作に付することにより、抽出液を得る。さらに、分離された不溶物についても同じ操作を繰り返して抽出し、その抽出液を先の抽出液と合わせて用いてもよい。これらの抽出液は、当業者が通常用いる精製方法により、さらに精製して使用してもよい。得られた抽出液は、そのままで、又は濃縮するなどして、例えば、液状物、濃縮物、さらにこれらを乾燥した乾燥物などの形態でケツメイシとして用いることができる。乾燥は特に限定されず、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥又は流動乾燥などの当業者が通常用いる方法により行われる。さらに、以上の方法で得られた乾燥物を、当業者に知られる方法を用いて粉末化するなどして得られたものを、本開示におけるケツメイシとして使用することが可能である。
本発明の組成物全体に対するケツメイシの含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、通常0.1~99質量%であり、好ましくは1~90質量%であり、特に好ましくは1~70質量%である。ケツメイシとして1日量は通常0.1~10gであり、好ましくは0.2~2gであり、特に好ましくは0.2~1.5gである。
【0014】
組成物含有成分3:プロバイオティクス
本発明において用いられるプロバイオティクスは、例えば、ビフィズス菌、乳酸菌、糖化菌、酪酸菌及び酵母からなる群より選ばれる少なくとも1種の菌であることが好ましい。
【0015】
本発明における好ましいプロバイオティクスとして、具体的には例えば、Bifidobacterium bifidum(例えばBifidobacterium bifidum G9-1)、B. longum、 B. breve、B. adolescentis、B. infantis、B. pseudolongum、B. thermophilum等のビフィズス菌;例えば、Lactobacillus acidophilus、L. casei、L. gasseri、L. plantarum、L. delbrueckii subsp bulgaricus、L. delbrueckii subsp. lactis、L. fermentum、L. helveticus、L. johnsonii、L. paracasei subsp. paracasei、L. reuteri、L. rhamnosus、L. salivarius、L. brevis等の乳酸桿菌;例えば、Leuconostoc mesenteroides、Streptococcus(Enterococcus) faecalis(例えばStreptococcus faecalis 129 BIO 3B)、Streptococcus(Enterococcus) faecium、 Streptococcus(Enterococcus) hirae、Streptococcus thermophilus、 Lactococcus lactis、L. cremoris、Tetragenococcus halophilus、Pediococcus acidilactici、P. pentosaceus、Oenococcus oeni等の乳酸球菌;例えば、Bacillus subtilis、Bacillus mesentericus、Bacillus polyfermenticus等の糖化菌;例えば、Bacillus coagulans等の有胞子性乳酸菌; Bacillus toyoi、B.licheniformis、Clostridium butyricum等の酪酸菌;その他の有用菌が挙げられる。本発明においては、このようなビフィズス菌、乳酸菌、糖化菌及び酪酸菌からなる群より選ばれる少なくとも1種の菌を使用することが好ましい。中でも、乳酸菌及び/又はビフィズス菌を使用することが、より優れた本発明の効果を奏し得る点で、より好ましい。
【0016】
これらの菌は、例えば、形態的特徴(例えば、コロニーの形状、細胞の形等)、生理、生化学性状(例えば、糖の資化性、生育温度、至適pH等)、化学分類学的性状(菌体脂肪酸組成等)等の性状を既知の特定の腸内有用菌と比較し、その性状の比較結果に基づき同定した菌であってもよく、16S rRNA遺伝子の塩基配列の解析に基づき同定した菌等であってもよい。菌は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の菌を組み合わせて用いる場合の配合比率は特に限定されない。
【0017】
これらの菌は、例えばATCC(登録商標)又はIFO等の機関や財団法人 日本ビフィズス菌センター、独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター等から容易に入手することができる。また、市販されているものを適宜使用することもできる。
【0018】
上記菌は、公知の条件又はそれに準じる条件で培養することにより得ることができる。例えば、ビフィズス菌又は乳酸菌の場合は、通常、グルコ-ス、酵母エキス、及びペプトン等を含む液体培地で前記ビフィズス菌や乳酸菌の1種又は2種以上を通常約25~45℃程度で約4~72時間程度、好気又は嫌気培養し、培養液から菌体を集菌し、湿菌体を得る。また、糖化菌の場合は、通常、肉エキス、カゼイン製ペプトン、塩化ナトリウム等を含む寒天培地で1種又は2種以上を通常約25~45℃程度で約4~72時間程度、好気培養し、培地から菌体を集菌し、湿菌体を得る。
【0019】
本発明においては、通常、上記の菌類の生菌を乾燥処理した乾燥物(菌体乾燥物)が配合される。菌体乾燥物とは、通常は乾燥された個々の菌体又は乾燥された菌体の集合物をいう。生菌の乾燥処理は、常法、例えば、熱乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等により行うことができる。菌体乾燥物を得るには、適当な安定剤、例えばグルタミン酸モノナトリウム塩、アドニトール等を加えた中性の緩衝液に菌を懸濁させておき、公知方法又は自体公知の方法で乾燥することもできる。
【0020】
本発明においては、菌体乾燥物を粉末化したもの又はシングルミクロンの菌体乾燥物をプロバイオティクスとして用いることが好ましい。シングルミクロンとは、菌体乾燥物が小数第1位を四捨五入して1~10μmとなる範囲をいう。本発明に使用されるビフィズス菌、乳酸菌、糖化菌、酪酸菌及び酵母からなる群より選ばれる少なくとも1種の菌として、シングルミクロンの菌体乾燥物を使用すると、得られる製剤中の生菌率がより向上するため好ましい。
プロバイオティクスが、一定数(約106~1012CFU/g)に菌を希釈して調製した粉末である場合、本発明の組成物全体に対するプロバイオティクスの含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、通常0.1~30質量%であり、好ましくは1~25質量%であり、特に好ましくは1~10質量%である。また、本発明の組成物全体に対するプロバイオティクスの生菌数が約104~1011CFU/gであることが好ましい。より好ましくは、組成物全体に対する生菌数が約105~109CFU/gである。
【0021】
質量比
消泡剤とケツメイシの質量比(消泡剤:ケツメイシ)は、1:(1~15)であってもよく、1:(1~10)であってもよい。
ケツメイシとプロバイオティクスの質量比(ケツメイシ:プロバイオティクス)は、1:(0.01~1.0)であってもよく、1:(0.05~0.5)であってもよい。
プロバイオティクスと消泡剤の質量比(プロバイオティクス:消泡剤)は、1:(2~4)であってもよく、1:(2.5~3.5)であってもよい。
消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクスの質量比(消泡剤:ケツメイシ:プロバイオティクス)は、1:(1.0~15):(0.25~0.5)であってもよく、1:(1.0~10):(0.3~0.4)であってもよい。
尚、上記ケツメイシは、原生薬であってもよく、例えば5.9倍に濃縮された抽出粉末であってもよい。上記プロバイオティクスは、一定数(約106~1012CFU/g)に菌を希釈して調製した粉末であることが好ましい。
上記範囲内であれば、より優れた腹部膨満感改善用組成物を提供することができる。
【0022】
組成物含有成分4:その他
本発明の組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクス以外の成分を含有していてもよい。
【0023】
使用方法(経口投与)
本発明の組成物は、飲食品、飲食品添加物、飼料、医薬品、又は医薬部外品等の分野で使用されてもよい。
本発明の組成物は、経口で動物に投与することができる。経口剤の剤形としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、水剤、シロップ剤、乳剤、又は懸濁剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、飲食品、飲食品添加物、飼料、医薬品、又は医薬部外品等の分野において一般的に使用されるその他の添加剤を用いて製剤化することができる。そのような添加物として、例えば、増粘剤、酵素、調味料、強化剤、製造用剤、着色料、甘味料、苦味料、酸味料、ガムベース、光沢剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤、乳化安定剤、乳化助剤、殺菌料、漂白剤、発色剤、香料、防かび剤、抽出溶剤、豆腐用凝固剤、被膜剤、小麦粉処理剤、イーストフード、pH調整剤、pH緩衝剤、膨張剤、栄養強化剤、保存剤、賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、若しくはデンプン等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、コーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)安定剤、矯味剤、溶解補助剤(グルタミン酸、若しくはアスパラギン酸等)、緩衝剤、懸濁化剤、着香剤、粘稠剤、収斂剤、ナノ化物質、防腐剤、界面活性剤、金属封鎖剤、油剤、保護剤、保湿剤、洗浄剤、消炎剤、抗菌剤、皮膜剤、剥離剤、エモリエント剤、可塑剤、ビタミン剤、感触改良剤、安定化剤、加脂肪剤、滑剤、可溶化剤、還元剤、酸化剤、基剤、希釈剤、起泡剤、吸着剤、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、若しくはメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、ゲル化剤、コンディショニング剤、細胞賦活剤、柔軟剤、浸透剤、成形改良剤、成形剤、造膜剤、帯電防止剤、中和剤、撥水剤、発泡剤、付着剤、分散剤、噴霧剤、変性剤、抱水剤、保留剤、溶解剤、溶剤等が挙げられる。これらの添加剤は、従来充分に確立されているので、本発明においてもそれらの従来公知の技術に従ってよい。
【0024】
飲食品には、機能性表示食品、特定保健用食品、健康食品、サプリメント又は病者用食品が含まれる。飲食品の形態は特に限定されないが、例えば、自然流動食、半消化態栄養食若しくは成分栄養食、又はドリンク剤等の加工形態とすることもできる。飲食品の形態として、例えば茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、発酵飲料、アルコール飲料等の飲料、そば、うどん、中華麺、即席麺等の麺類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子及びパン類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊等のレトルトパウチ食品、アイスクリーム、シャーベット、又はかき氷等の冷菓、卵加工食品等を挙げることができる。また、腹部膨満改善効果をコンセプトとする旨が表示されている機能性表示食品、特定保健用食品、サプリメント又は栄養補助食品等を含む。当該飲食品は、飲食品中に本発明の組成物を添加する工程も含めて、一般的な飲食品の製造方法に従って製造することができる。
【0025】
飲食品添加剤の形態は特に限定されないが、例えば、粉末状、フレーク状、液状、ペースト状、又は顆粒状等が挙げられる。当該飲食品添加剤は、飲食品添加剤中に本発明の組成物を添加する工程も含めて、一般的な飲食品添加剤の製造方法に従って製造することができる。
【0026】
飼料としては、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、リャマ、アルパカ、ラクダ、ウサギ、ミンク、キツネ、チンチラ、ガチョウ、鶏若しくはアヒル等の家畜用飼料、又はモルモット、ハムスター、マウス、イヌ、ネコ、サル若しくはチンパンジー等のペット若しくは実験用動物用飼料等が挙げられる。当該飼料は、飼料中に本発明の組成物を添加する工程も含めて、一般的な飼料の製造方法に従って加工製造することができる。
【0027】
医薬又は医薬部外品は、経口用の固形剤(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、若しくは顆粒剤等)、又は経口用の液剤等の形態で実施することができる。これらの製剤は、上記と同様の手法により製剤化することができる。
【0028】
本発明の組成物を投与する対象の動物は、特に限定されるものではないが、例えば、ヒト、又はヒト以外の動物等であってもよい。ヒト以外の動物としては、特に限定されないが、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、リャマ、アルパカ、ラクダ、ウサギ、ミンク、キツネ、チンチラ、ガチョウ、鶏、アヒル、モルモット、ハムスター、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル又はチンパンジー等が挙げられる。
【0029】
効果(腹部膨満感改善)
In vivo試験で、腹部膨満を呈する動物モデルに試料を投与し、非投与群と比較して投与群の腸管内のガス量及び/又は腸管体積の減少が認められる場合に腹部膨満感改善作用ありと判断することができる。また、腹部膨満感改善効果の有無について、例えば、試料投与前と投与後とでVASアンケートの結果、検査項目「腹部膨満感改善」において有意差又は有意傾向が認められる場合に腹部膨満感改善作用ありと判断することができる。そのための試験乃至評価方法は常法に従って行われる。
【0030】
2.飼料
本開示は、(1)セルロース、(2)単糖を2以上有する多糖類(但し、セルロースを除く)、及び(3)アミラーゼ阻害剤又はα-グルコシダーゼ阻害剤を含有し、成分(2)を高濃度に含有する飼料(以下、本発明の飼料ともいう。)を包含する。
【0031】
(1)セルロース
セルロースは、グルコースが、β-1,4-グルコシド結合をした多糖類であり、(C6H10O5)nで表される。セルロースは、市販されているため、市販品を購入することによりこれを入手することができる。セルロースとして、例えば、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファセルロース等が挙げられる。
セルロースの含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、本発明の飼料全体に対して通常0.1~50質量%であり、好ましくは1~30質量%であり、特に好ましくは2~20質量%である。
【0032】
(2)単糖を2以上有する多糖類(但し、セルロースを除く)
本発明の飼料における単糖を2以上有する多糖類は、セルロース以外の二糖類、3~10程度の糖を有するオリゴ糖、又は多糖類を包含する。二糖類としては、例えばマルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、又はラクトース(乳糖)が挙げられる。オリゴ糖としては、例えばラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノース、スタキオース、シクロデキストリン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖又はマンナンオリゴ糖が挙げられる。多糖類としては、例えば、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、グリコーゲン、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン又はキシログルカンが挙げられ、中でもデンプン(アミロース、アミロペクチン)が好ましい。デンプンは、中でもコーンスターチが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらは、市販品を使用することもできる。
単糖を2以上有する多糖類(但し、セルロースを除く)の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、本発明の飼料全体に対して通常10~90質量%であり、好ましくは30~80質量%であり、特に好ましくは40~70質量%である。
【0033】
(3)アミラーゼ阻害剤又はα-グルコシダーゼ阻害剤
アミラーゼ阻害剤又はα-グルコシダーゼ阻害剤として、例えばボグリボース、アカルボース、ミグリトール等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらは、市販品を使用することもできる。
アミラーゼ阻害剤又はα-グルコシダーゼ阻害剤の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、本発明の飼料全体に対して通常0.001~0.1質量%であり、好ましくは0.005~0.05質量%であり、特に好ましくは0.005~0.015質量%である。
【0034】
製造方法
上記成分(1)~(3)のいずれかを含有する飼料に、当該飼料に含まれていない上記成分(1)~(3)のいずれかを混合したり、上記成分(1)~(3)及び必要に応じて通常飼料に含有されている成分(例えば、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン等)を混合したりすることにより、本発明の飼料を製造することができる。
【0035】
3.実験用動物
本開示は、本発明の飼料を摂取した実験用動物(以下、本発明の実験用動物ともいう。)を包含する。
本発明の実験用動物は、例えば、実験用動物を通常の方法により入手し、当該動物に、本発明の飼料を経口摂取させることで作製される。より詳しくは、例えば、実験用動物に本発明の飼料を自由に又は強制的に約3~21日間、より好ましくは約7~14日間、経口摂取させることで作製される。この間、実験用動物に自由に水を摂取させてよい。
実験用動物の種類としては、マウス、モルモット、ラット、ウサギ、イヌ、サル、チンパンジー等が挙げられる。
実験用動物の1日当たりの飼料の摂取量は、例えばラットの場合、通常10~20gである。
【0036】
4.スクリーニング方法
本開示は、被験物質又は組成物を投与した本発明の実験用動物の腸管内のガス量及び/又は腸管体積を測定する工程を含む、腹部膨満感改善作用を有する物質又は組成物をスクリーニングする方法(以下、本発明のスクリーニング方法ともいう。)を包含する。
【0037】
被験物質又は組成物
被験物質又は組成物は、実験者が腹部膨満感改善作用を有するかもしれないと考える物質又は組成物であればよく、実際には腹部膨満感改善作用を有しない物質又は組成物であってもよい。
【0038】
被験物質又は組成物の投与方法
被験物質又は組成物の投与方法として、例えば、摂餌による経口投与;強制経口投与;皮下注射、皮内注射、腹腔内投与、尾静脈注射等の非経口投与が挙げられ、摂餌による経口投与及び強制経口投与を組み合わせてもよい。
【0039】
腸管内のガス量の測定方法
実験動物の腸の両端を結紮して摘出し、一定量の水を充填したビーカーに腸を浸水させて、水中で切開して放出される気体を捕集して、腸内ガス量(体積)を測定することができる。具体的には、例えば、10mLのメスフラスコの開口部にロートを設置し、水中でメスフラスコ内の空気をすべて取り除き、空気が入らないようにメスフラスコおよびロートを逆にし、摘出した腸を水中で切開して放出される気体を、ロートを介してメスフラスコ内に捕集して、腸内ガス量(体積)を計測することができる。腸として、例えば、盲腸、回腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸S状部、上部直腸、下部直腸、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、盲腸が腹部膨満の症状を示すことができる腸管体積の増加、また腹部膨満の原因であるガスの貯留が顕著に確認できる点で好ましい。被験物質又は組成物投与群の腸管内のガス量(体積)が、被験物質又は組成物非投与群のそれと比較して小さい場合、その被験物質又は組成物は腹部膨満感改善作用を有すると判断することができる。
【0040】
腸管体積の測定方法
実験動物の腸の両端を結紮して摘出し、満タンに水を満たしたビーカーに腸を浸水させて、漏水質量を腸体積として測定し、腸体積を(cm3/実験動物の体重100g)単位に換算して、腸管の相対体積として求めることができる。腸として、例えば、盲腸、回腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸S状部、上部直腸、下部直腸、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、盲腸が腹部膨満の症状を示すことができる腸管体積の増加、また腹部膨満の原因であるガスの貯留が顕著に確認できる点で好ましい。
被験物質又は組成物投与群の腸管体積が、被験物質又は組成物非投与群のそれと比較して小さい場合、その被験物質又は組成物は腹部膨満感改善作用を有すると判断することができる。
【0041】
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
【実施例】
【0042】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
本実施例中の「%」は、特に断わらない限り「質量%」を意味する。
【0043】
1.被検薬物及び試薬
被検薬物として、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、ケツメイシ抽出乾燥粉末(商品名ケツメイシエキス;小城製薬社製;以下単にケツメイシという)、プロバイオティクス(Bifidobacterium bifidum G9-1(ビオフェルミン製薬株式会社製;以下G9-1ともいう)の乾燥菌体及びStreptococcus faecalis 129 BIO 3B(ビオフェルミン製薬株式会社製;以下3Bともいう))の乾燥菌体を用いた。尚、ケツメイシ抽出乾燥粉末は、日局「ケツメイシ」より製した30%エタノール製乾燥エキスで、原料ケツメイシが5.9倍濃縮されている抽出物である。すなわち、ケツメイシ量に関する比(原生薬量:製品量)は、(100:17)である。盲腸内ガス産生亢進モデル動物の作製には、表1に示す組成の高コーンスターチ飼料(日本クレア株式会社製)及び成分(3)のα-グルコシダーゼ阻害薬であるアカルボース(グルコバイ錠100mg、富士フイルムファーマ株式会社製)を用いた。
【0044】
【0045】
2.使用動物及び飼育条件
4週齢のWistar雄性ラットを日本SLCより購入し、1週間の予備飼育後、実験に供した。
動物は、室温22±3℃、湿度55±5%及び12時間照明(7:00~19:00)条件下のSPF環境下にて飼育した。なお、飼料としてCE-2(日本クレア株式会社製)を自由に与え、上水道水を給水瓶により自由に摂取させた。
【0046】
3.試験方法
1)盲腸内ガス産生亢進モデル作製
グルコバイ錠100mgを常法に従って粉砕し、これと上記表1に示す組成の高コーンスターチ飼料とを混合して、0.01質量%アカルボース含有高コーンスターチ飼料(コーンスターチ54.7質量%、結晶セルロース5.0質量%含有)を調製し、飼料として自由にラットに7日間摂取させた。尚、正常群のラットには、飼料として上記表1に示す組成の高コーンスターチ飼料を自由に7日間摂取させた。
【0047】
2)薬物投与
(1)消泡剤単独投与群
3.0mg/2.5mL/kgとなるようにリン酸緩衝生理食塩水でジメチコンを懸濁し、1日1回、7日間連続強制経口投与した。
(2)ケツメイシ単独投与群
5.8mg/2.5mL/kgとなるようにリン酸緩衝生理食塩水でケツメイシを懸濁し、1日1回、7日間連続強制経口投与した。
(3)プロバイオティクス単独投与群
0.01%アカルボース含有高コーンスターチ飼料にG9-1及び3Bの乾燥菌体を各約3×108CFU/gとなるように配合した飼料を7日間自由に摂取させた。
(4)併用投与群
ジメチコン及びケツメイシのそれぞれを、3.0mg/kg及び5.8mg/kgとなるようリン酸緩衝生理食塩水に懸濁し7日間連続強制経口投与するとともに、0.01%アカルボース含有高コーンスターチ飼料にG9-1及び3Bの乾燥菌体を各約3×108CFU/gとなるように配合した飼料を7日間摂取させた。薬物の最終経口投与5時間後に盲腸の両端を結紮して摘出し、盲腸体積及び盲腸内ガス体積を測定した。
(5)対照群
薬物を投与しない対照群として、上記盲腸内ガス産生亢進モデル動物を使用した。
【0048】
3)盲腸体積及び盲腸内ガス体積の測定方法
腹部膨満の程度を評価するため、盲腸と回腸及び結腸の接合部を縫合糸で結紮し、盲腸を摘出した。水を満タンに満たした100mLのビーカーに盲腸を浸水させて、漏水する水の重量を盲腸体積として測定し、当該盲腸体積とラットの体重から、ラット体重100gあたりの盲腸体積を導き出し、盲腸相対体積(cm3/体重100g)を算出した。さらに、盲腸を水中で切開して放出される気体を捕集して、盲腸内ガス体積を測定した。より具体的には、10mLのメスフラスコの開口部にロートを設置し、水中でメスフラスコ内の空気をすべて取り除き、空気が入らないようにメスフラスコおよびロートを逆にし、摘出した盲腸を水中で切開して放出される気体を、ロートを介してメスフラスコ内に捕集して、盲腸内ガス量(体積)を計測した。
【0049】
4.試験結果
1)盲腸内ガス産生亢進モデルにおける盲腸内ガス体積及び盲腸相対体積の測定結果
0.01%アカルボース含有高コーンスターチ飼料をラットに7日間経口自由摂取させた場合、正常群と比較して盲腸内ガス体積(
図1)及び盲腸相対体積(
図2)の有意な増加が認められた。そのため、本モデルを盲腸内ガス産生亢進モデルとした。
尚、上記0.01%アカルボース含有高コーンスターチ飼料中の結晶セルロースを除いた飼料で同様の試験を行った結果、糞便排出量の低下が認められ、腸内に多くの糞便が残り、腸内におけるガスの体積が少なく、盲腸内ガス産生亢進モデルとしては不適当であると考えられる。
【0050】
2)盲腸内ガス産生亢進モデルの盲腸内ガス体積及び盲腸相対体積に対する消泡剤、ケツメイシ、プロバイオティクスの効果
盲腸内ガス産生亢進モデルの盲腸内ガス体積及び盲腸相対体積に対する消泡剤、ケツメイシ、又はプロバイオティクス単独の効果、及びこれらの併用による効果を測定した結果を表2及び
図3~10に示した。尚、これらの図表において「%of対照群」は、対照群を100%とした場合の各群の割合のことを意味する。高コーンスターチ飼料にアカルボースを混餌投与した場合、盲腸内ガス体積及び盲腸相対体積の増加が認められた(
図3~10において対照群に相当する)。これに対し、消泡剤及びケツメイシをそれぞれ単独投与することにより盲腸内ガス体積及び盲腸相対体積の増加の有意な抑制は認められなかった(
図3、4、7及び8)。プロバイオティクスを単独投与することにより盲腸内ガス体積の増加の有意な抑制が認められたが(
図5)、盲腸相対体積の増加の有意な抑制は認められなかった(
図9)。一方、これらすべての成分を併用投与することにより盲腸内ガス体積(
図6)及び盲腸相対体積(
図10)の増加が有意に抑制された。さらに、以下に示すとおり、併用投与群の実測値(盲腸内ガス:67.58、盲腸体積:27.95)がコルビーの式での理論値よりも大きい値となったため、消泡剤、ケツメイシ、及びプロバイオティクスを組み合わせて投与することにより盲腸内ガス産生亢進モデルにおける盲腸内ガス体積及び盲腸相対体積の増加が相乗的に抑制されることが示された。
なお、各群の摂餌量には差は認められなかった。
【0051】
【0052】
下記コルビーの式より算出される理論値よりも値が大きい場合、相乗効果があると判断される。
コルビーの式(3種)
理論値=(A+B+C)-(AB+AC+BC)/100+(ABC)/10000
【産業上の利用可能性】
【0053】
腹部膨満感を改善し得る、消泡剤、ケツメイシ及びプロバイオティクスを含有する経口投与用組成物、及びこのような腹部膨満感改善作用を有する物質又は組成物をスクリーニングする方法は、医薬及び飲食品の分野において有用である。