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特許7264985LNBを操作する方法、LNB、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、衛星放送信号受信機を操作する方法、及び、衛星放送信号受信機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】LNBを操作する方法、LNB、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、衛星放送信号受信機を操作する方法、及び、衛星放送信号受信機
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/61 20110101AFI20230418BHJP
   H04N 21/426 20110101ALI20230418BHJP
   H04N 21/6332 20110101ALI20230418BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20230418BHJP
   H04H 20/63 20080101ALI20230418BHJP
【FI】
H04N21/61
H04N21/426
H04N21/6332
H04B1/18 B
H04H20/63
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021500524
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2018068826
(87)【国際公開番号】W WO2020011351
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルマズラー イズマイル
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0222682(US,A1)
【文献】米国特許第07542715(US,B1)
【文献】特開2013-123155(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114607(WO,A1)
【文献】特開2013-258658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04B 1/18
H04H 20/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一ケーブル配線に従って動作するサテライトディッシュの低ノイズブロックダウンコンバータLNBを操作する方法であって、当該単一ケーブル配線では、第1のユーザバンド周波数は前記LNBから信号を受信する第1の衛星放送信号受信機用に割り当てられ、前記第1のユーザバンド周波数と異なる第2のユーザバンド周波数は前記LNBから信号を受信する第2の衛星放送信号受信機用に割り当てられており、当該方法は、
前記LNBが、前記第1の衛星放送信号受信機から、ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記第1の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信し、前記LNBがそれに応じて前記第1の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第1のユーザバンド周波数で前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を提供する工程と、
前記LNBが、前記第2の衛星放送信号受信機から、ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記第2の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信する工程と、を備え、
前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと異なる場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を、前記第2の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第2のユーザバンド周波数で提供し、
前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと同じ場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機に対し、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1のユーザバンド周波数で前記LNBによって提供されている前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の前記信号を受信するように、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1のユーザバンド周波数に再同調するよう指示を出す、
ことを特徴とするLNBを操作する方法。
【請求項2】
請求項1に記載のLNBを操作する方法であって、
前記LNBは、前記第1のユーザバンド周波数で中間周波数信号を生成するための第1の局部発振器と、前記第2のユーザバンド周波数で中間周波数信号を生成するための第2の局部発振器とを少なくとも備え、前記LNBによって衛星放送信号受信機に送られるブロードキャストプログラムのチャンネル用の前記信号は、前記サテライトディッシュで受信される前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の無線信号を当該衛星放送信号受信機用の前記中間周波数信号と混合して形成され、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと同じ場合、前記第2の局部発振器は操作されない、又は、スイッチを切られる、又は、別の衛星放送信号受信機に異なるブロードキャストプログラムのチャンネルを提供するために使用される、
ことを特徴とするLNBを操作する方法。
【請求項3】
単一ケーブル配線に従って動作可能であるサテライトディッシュ用の低ノイズブロックダウンコンバータLNBであって、当該単一ケーブル配線では、第1のユーザバンド周波数は前記LNBから信号を受信する第1の衛星放送信号受信機用に割り当てられ、前記第1のユーザバンド周波数と異なる第2のユーザバンド周波数は前記LNBから信号を受信する第2の衛星放送信号受信機用に割り当てられており、前記LNBは、
前記第1の衛星放送信号受信機から、ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記第1の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信し、それに応じて前記第1の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第1のユーザバンド周波数で前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を提供し、
前記第2の衛星放送信号受信機から、ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記第2の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信し、
前記LNBは、
前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと異なる場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を、前記第2の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第2のユーザバンド周波数で提供し、
前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと同じ場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機に対し、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1のユーザバンド周波数で前記LNBによって提供されている前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の前記信号を受信できるように、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1のユーザバンド周波数に再同調するよう指示を出す、
ように構成されることを特徴とするLNB。
【請求項4】
請求項3に記載のLNBであって、前記LNBは、前記第1のユーザバンド周波数で中間周波数信号を生成するための第1の局部発振器と、前記第2のユーザバンド周波数で中間周波数信号を生成するための第2の局部発振器とを少なくとも備え、前記LNBによって衛星放送信号受信機に送られるブロードキャストプログラムのチャンネル用の前記信号は、前記サテライトディッシュで受信される前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の無線信号を当該衛星放送信号受信機用の前記中間周波数信号と混合して形成され、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと同じ場合、前記第2の局部発振器は操作されない、又は、スイッチを切られる、又は、別の衛星放送信号受信機に異なるブロードキャストプログラムのチャンネルを提供するために使用されるように構成される、
ことを特徴とするLNB。
【請求項5】
単一ケーブル配線に従って動作するサテライトディッシュのLNBで実行されるコンピュータプログラムを格納した、コンピュータにより読取可能な記録媒体であって、前記LNBによって前記コンピュータプログラムが実行されることで
前記LNBが、第1の衛星放送信号受信機から、ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記第1の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信し、前記LNBがそれに応じて前記第1の衛星放送信号受信機に割り当てられた第1のユーザバンド周波数で前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を提供する工程と、
前記LNBが、第2の衛星放送信号受信機から、ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記第2の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信する工程と、を備え、
前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと異なる場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を、前記第2の衛星放送信号受信機に割り当てられた第2のユーザバンド周波数で提供し、
前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと同じ場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機に対し、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1のユーザバンド周波数で前記LNBによって提供されている前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の前記信号を受信するように、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1のユーザバンド周波数に再同調するよう指示を出す、
ことを特徴とするコンピュータプログラムを格納した記録媒体
【請求項6】
請求項5に記載のコンピュータプログラムを格納した記録媒体であって、前記LNBが、前記第1のユーザバンド周波数で中間周波数信号を生成するための第1の局部発振器と、前記第2のユーザバンド周波数で中間周波数信号を生成するための第2の局部発振器とを少なくとも備え、前記LNBによって衛星放送信号受信機に送られるブロードキャストプログラムのチャンネル用の前記信号が、前記サテライトディッシュで受信される前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の無線信号を当該衛星放送信号受信機用の前記中間周波数信号と混合して形成され、
前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルと同じ場合、前記第2の局部発振器は操作されない、又は、スイッチを切られる、又は、別の衛星放送信号受信機に異なるブロードキャストプログラムのチャンネルを提供するために使用されるような指示を含む、ことを特徴とするコンピュータプログラムを格納した記録媒体
【請求項7】
単一ケーブル配線に従って動作するサテライトディッシュのLNBから信号を受信するための衛星放送信号受信機を操作する方法であって、当該単一ケーブル配線では、第1のユーザバンド周波数は前記LNBから信号を受信する第1の衛星放送信号受信機用に割り当てられ、前記第1のユーザバンド周波数と異なる第2のユーザバンド周波数は前記LNBから信号を受信する第2の衛星放送信号受信機用に割り当てられており、当該方法は、
前記衛星放送信号受信機が、前記LNBに対して、前記LNBがブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記衛星放送信号受信機に送信するリクエストを送る工程を含み、
前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが別の衛星放送信号受信機によって前記LNBからリクエストされたブロードキャストプログラムのチャンネルと異なる場合、前記衛星放送信号受信機はそれに応じて、前記LNBから、前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記衛星放送信号受信機に割り当てられたユーザバンド周波数で受信し、
前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが別の衛星放送信号受信機によってリクエストされたブロードキャストプログラムのチャンネルと同じ場合、前記衛星放送信号受信機は前記LNBによって前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために使用されているユーザバンド周波数に再同調し、前記衛星放送信号受信機は前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために前記LNBによって使用されているユーザバンド周波数で前記LNBによって提供されている前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の前記信号を受信する、
ことを特徴とする衛星放送信号受信機を操作する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の衛星放送信号受信機を操作する方法であって、前記衛星放送信号受信機は、前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために前記LNBによって使用されているユーザバンド周波数に、前記衛星放送信号受信機が前記LNBから前記ユーザバンド周波数に再同調する指示を受信すると、再同調する、
ことを特徴とする衛星放送信号受信機を操作する方法。
【請求項9】
単一ケーブル配線に従って動作するサテライトディッシュのLNBから信号を受信するための衛星放送信号受信機であって、当該単一ケーブル配線では、第1のユーザバンド周波数は前記LNBから信号を受信する第1の衛星放送信号受信機用に割り当てられ、前記第1のユーザバンド周波数と異なる第2のユーザバンド周波数は前記LNBから信号を受信する第2の衛星放送信号受信機用に割り当てられており、前記衛星放送信号受信機は、
前記LNBに対し、前記LNBが前記衛星放送信号受信機にブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を送信するリクエストを送るように構成され、
前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが別の衛星放送信号受信機によって前記LNBからリクエストされたブロードキャストプログラムのチャンネルと異なる場合、前記衛星放送信号受信機は、前記衛星放送信号受信機に割り当てられたユーザバンド周波数で前記衛星放送信号受信機によってリクエストされたブロードキャストプログラムのチャンネル用の信号を前記LNBから受信するように構成され、
前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記ブロードキャストプログラムのチャンネルが別の衛星放送信号受信機によってリクエストされたブロードキャストプログラムのチャンネルと同じ場合、前記衛星放送信号受信機は、前記別の衛星放送信号受信機に信号を供給するために前記LNBによって使用されているユーザバンド周波数に再同調し、前記衛星放送信号受信機は、前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために前記LNBによって使用されている前記ユーザバンド周波数で前記LNBによって提供されている前記ブロードキャストプログラムのチャンネル用の前記信号を受信できるように構成される、
ことを特徴とする衛星放送信号受信機。
【請求項10】
請求項9に記載の衛星放送信号受信機であって、前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために前記LNBによって使用されているユーザバンド周波数に、前記ユーザバンド周波数に再同調する指示を前記LNBから受信すると再同調する、
ことを特徴とする衛星放送信号受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サテライトディッシュのLNB(低ノイズブロックダウンコンバータ)、衛星放送信号受信機、操作方法、及び、そのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送信号受信機は、一般的にはテレビ及び/又はラジオチャンネルを受信する際に、衛星によって送信される信号を受信するために、サテライトディッシュのLNBに接続されて使用される。受信機は、サテライトディッシュが受信可能な所望のチャンネルを選択するためにLNBを再設定するために、必要に応じて制御信号をLNBに送信する。
【0003】
一つのサテライトディッシュから多数の受信機(一般的には多数のユーザ用)に一本の同軸ケーブルを介してチャンネルを同時配信可能な、いわゆる「単一ケーブル配線」(「ユニケーブル」という名称で知られる場合もある)が知られている。周知の単一ケーブル配線では、チャンネル信号(すなわち、ブロードキャストプログラム)を伝達して、サテライトディッシュから受信機まで通過する信号用の中心周波数(中間周波数)が異なる「ユーザバンド」が各受信機に割り当てられる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される第1の態様によれば、単一ケーブル配線に従って動作するサテライトディッシュの低ノイズブロックダウンコンバータLNBを操作する方法であって、当該単一ケーブル配線では、第1の周波数は前記LNBから信号を受信する第1の衛星放送信号受信機用に割り当てられ、前記第1の周波数と異なる第2の周波数は前記LNBから信号を受信する第2の衛星放送信号受信機用に割り当てられており、当該方法は、前記LNBが、前記第1の衛星放送信号受信機から、チャンネル用の信号を前記第1の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信し、前記LNBがそれに応じて前記第1の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第1の周波数で前記チャンネル用の信号を提供する工程と、前記LNBが、前記第2の衛星放送信号受信機から、チャンネル用の信号を前記第2の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信する工程と、を備え、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと異なる場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネル用の信号を、前記第2の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第2の周波数で提供し、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと同じ場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機に対し、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1の周波数で前記LNBによって提供されている前記チャンネル用の前記信号を受信するように、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1の周波数に再同調するよう指示を出す、ことを特徴とする方法が提供される。
【0005】
このように、複数の衛星放送信号受信機が同じチャンネルを見る又は聞くために使用されている場合、LNBは当該複数の衛星放送信号受信機のために一つの周波数で一つの信号を提供しさえすればよいので、LNBにおける消費電力は減少しうる。いくつかの(例えば、通常の最大値8個まで)衛星放送信号受信機がLNBに接続され、全て同じチャンネルを見る又は聞くために使用されている場合、比較的大きな節約をもたらすことができる。さらに、数千もしくは数百万もの配備された単一ケーブル配線システムにわたって適用されるとすれば、集団における全体の節電は大きなものとなりうる。
【0006】
テレビ又はラジオ又は同様のチャンネルを含む信号は、ケーブルを介して衛星放送信号受信機に送信される。単一ケーブル配線では、LNBから、LNBよりチャンネルを受信することになっている衛星放送信号受信機全てに単一ケーブルが通っている(すなわち、最後には別々のケーブルがその単一ケーブルから分離し、個々の衛星放送信号受信機に対する最終的な接続を実現しうるとしても、少なくとも、LNBから衛星放送信号受信機が配置された住戸又は他の建物内に単一ケーブルが存在する)。
【0007】
一例において、前記LNBは、前記第1の周波数で中間周波数信号を生成するための第1の局部発振器と、前記第2の周波数で中間周波数信号を生成するための第2の局部発振器とを少なくとも備え、前記LNBによって衛星放送信号受信機に送られるチャンネル用の前記信号は、前記サテライトディッシュで受信される前記チャンネル用の無線信号を当該衛星放送信号受信機用の前記中間周波数信号と混合して形成され、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと同じ場合、前記第2の局部発振器は操作されない、又は、スイッチを切られる、又は、別の衛星放送信号受信機に異なるチャンネルを提供するために使用される。
【0008】
本明細書に開示される第2の態様によれば、単一ケーブル配線に従って動作可能であるサテライトディッシュ用のLNBであって、当該単一ケーブル配線では、第1の周波数は前記LNBから信号を受信する第1の衛星放送信号受信機用に割り当てられ、前記第1の周波数と異なる第2の周波数は前記LNBから信号を受信する第2の衛星放送信号受信機用に割り当てられており、前記LNBは、前記第1の衛星放送信号受信機から、チャンネル用の信号を前記第1の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信し、それに応じて前記第1の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第1の周波数で前記チャンネル用の信号を提供し、前記第2の衛星放送信号受信機から、チャンネル用の信号を前記第2の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信し、前記LNBは、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと異なる場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネル用の信号を、前記第2の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第2の周波数で提供し、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと同じ場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機に対し、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1の周波数で前記LNBによって提供されている前記チャンネル用の前記信号を受信できるように、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1の周波数に再同調するよう指示を出す、ように構成されることを特徴とするLNBが提供される。
【0009】
一例において、前記LNBは、前記第1の周波数で中間周波数信号を生成するための第1の局部発振器と、前記第2の周波数で中間周波数信号を生成するための第2の局部発振器とを少なくとも備え、前記LNBによって衛星放送信号受信機に送られるチャンネル用の前記信号は、前記サテライトディッシュで受信される前記チャンネル用の無線信号を当該衛星放送信号受信機用の前記中間周波数信号と混合して形成され、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと同じ場合、前記第2の局部発振器は操作されない、又は、スイッチを切られる、又は、別の衛星放送信号受信機に異なるチャンネルを提供するために使用されるように構成される。
【0010】
本明細書に開示される第3の態様によれば、単一ケーブル配線に従って動作するサテライトディッシュのLNBで実行されると、前記LNBが方法を実行するような指示を含むコンピュータプログラムであって、当該方法は、前記LNBが、前記第1の衛星放送信号受信機から、チャンネル用の信号を前記第1の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信し、前記LNBがそれに応じて前記第1の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第1の周波数で前記チャンネル用の信号を提供する工程と、前記LNBが、前記第2の衛星放送信号受信機から、チャンネル用の信号を前記第2の衛星放送信号受信機に送信するリクエストを受信する工程と、を備え、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと異なる場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネル用の信号を、前記第2の衛星放送信号受信機に割り当てられた前記第2の周波数で提供し、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが、前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと同じ場合、前記LNBはそれに応じて、前記第2の衛星放送信号受信機に対し、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1の周波数で前記LNBによって提供されている前記チャンネル用の前記信号を受信するように、前記第2の衛星放送信号受信機が前記第1の周波数に再同調するよう指示を出す、ことを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。
【0011】
上記のように、コンピュータプログラムを記憶する、非一次的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供されてもよい。
【0012】
一例において、前記コンピュータプログラムは、前記LNBが、前記第1の周波数で中間周波数信号を生成するための第1の局部発振器と、前記第2の周波数で中間周波数信号を生成するための第2の局部発振器とを少なくとも備え、前記LNBによって衛星放送信号受信機に送られるチャンネル用の前記信号が、前記サテライトディッシュで受信される前記チャンネル用の無線信号を当該衛星放送信号受信機用の前記中間周波数信号と混合して形成される時、前記第2の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが前記第1の衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルと同じ場合、前記第2の局部発振器は操作されない、又は、スイッチを切られる、又は、別の衛星放送信号受信機に異なるチャンネルを提供するために使用されるような指示を含む。
【0013】
本明細書に開示される第4の態様によれば、単一ケーブル配線に従って動作するサテライトディッシュのLNBから信号を受信するための衛星放送信号受信機を操作する方法であって、当該単一ケーブル配線では、第1の周波数は前記LNBから信号を受信する第1の衛星放送信号受信機用に割り当てられ、前記第1の周波数と異なる第2の周波数は前記LNBから信号を受信する第2の衛星放送信号受信機用に割り当てられており、当該方法は、前記衛星放送信号受信機が、前記LNBに対して、前記LNBがチャンネル用の信号を前記衛星放送信号受信機に送信するリクエストを送る工程を含み、前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが別の衛星放送信号受信機によって前記LNBからリクエストされたチャンネルと異なる場合、前記衛星放送信号受信機はそれに応じて、前記LNBから、前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネル用の信号を前記衛星放送信号受信機に割り当てられた周波数で受信し、前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが別の衛星放送信号受信機によってリクエストされたチャンネルと同じ場合、前記衛星放送信号受信機は前記LNBによって前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために使用されている周波数に再同調し、前記衛星放送信号受信機は前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために前記LNBによって使用されている周波数で前記LNBによって提供されている前記チャンネル用の前記信号を受信する、ことを特徴とする方法が提供される。
【0014】
一例において、前記衛星放送信号受信機は、前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために前記LNBによって使用されている周波数に、前記衛星放送信号受信機が前記LNBから前記周波数に再同調する指示を受信すると、再同調する。
【0015】
本明細書に開示される第5の態様によれば、単一ケーブル配線に従って動作するサテライトディッシュのLNBから信号を受信するための衛星放送信号受信機であって、当該単一ケーブル配線では、第1の周波数は前記LNBから信号を受信する第1の衛星放送信号受信機用に割り当てられ、前記第1の周波数と異なる第2の周波数は前記LNBから信号を受信する第2の衛星放送信号受信機用に割り当てられており、前記衛星放送信号受信機は、前記LNBに対し、前記LNBが前記衛星放送信号受信機にチャンネル用の信号を送信するリクエストを送るように構成され、
前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが別の衛星放送信号受信機によって前記LNBからリクエストされたチャンネルと異なる場合、前記衛星放送信号受信機は、前記衛星放送信号受信機に割り当てられた周波数で前記衛星放送信号受信機によってリクエストされたチャンネル用の信号を前記LNBから受信するように構成され、
前記衛星放送信号受信機によってリクエストされた前記チャンネルが別の衛星放送信号受信機によってリクエストされたチャンネルと同じ場合、前記衛星放送信号受信機は、前記別の衛星放送信号受信機に信号を供給するために前記LNBによって使用されている周波数に再同調し、前記衛星放送信号受信機は、前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために前記LNBによって使用されている前記周波数で前記LNBによって提供されている前記チャンネル用の前記信号を受信できるように構成される、ことを特徴とする衛星放送信号受信機が提供される。
【0016】
一例において、衛星放送信号受信機は、前記別の衛星放送信号受信機に信号を提供するために前記LNBによって使用されている周波数に、前記周波数に再同調する指示を前記LNBから受信すると再同調する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の理解を促し、かつ、実施形態がどのように実施されうるかを示すために、例として、以下の添付図面が参照される。
【0018】
図1】本開示の一態様に係る単一ケーブル配線システムのサテライトディッシュに接続された、複数の衛星放送信号受信機の一例を概略的に示す。
図2】本開示の一態様に係る方法の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述のように、衛星放送信号受信機は、一般的にはテレビ及び/又はラジオチャンネルを受信する際に、衛星によって送信される信号を受信するために、サテライトディッシュのLNBに接続されて使用される。受信機は、サテライトディッシュが受信可能な所望のチャンネルを選択するためにLNBを再設定するために、必要に応じて制御信号をLNBに送信する。
【0020】
いわゆる「単一ケーブル配線」(「ユニケーブル」という名称で知られる場合もある)が、一つのサテライトディッシュから多数の受信機(一般的には多数のユーザ用)に一本の同軸ケーブルを介してチャンネルを同時配信可能とする。周知の単一ケーブル配線では、各受信機は、チャンネル信号(すなわち、ブロードキャストプログラム)を伝達して、サテライトディッシュから受信機まで通過する信号用の中心中間周波数が異なる「ユーザバンド」を割り当てられる。これにより、多数の受信機が同じサテライトディッシュを使用することが可能になり、例えば、多数の受信機が全て同じ建物に設けられる場合には、その建物に設けられた一つのサテライトディッシュで多数の受信機のためのサービスを提供でき、有益である。さらに、単一ケーブルにより、サテライトディッシュを多数の受信機全てに接続でき、ユーザやシステムの設置者にとって都合がよい。(再度、完全を期すために言及するが、従来の設置では、最後には別々のケーブルがその単一ケーブルから分離し、個々の衛星放送信号受信機に対する最終的な接続を実現しうるとしても、LNBから衛星放送信号受信機が配置された住戸又は他の建物内に単一ケーブルが存在する。)
【0021】
次に図1を参照する。同図は、サテライトディッシュ20に接続された複数の衛星放送信号受信機10の一例を概略的に示す。衛星放送信号受信機10は、例えば、テレビ、セットトップボックス、パーソナルビデオレコーダ(PVR:personal video recorderであり、デジタルビデオレコーダー(DVR:digital video recorder)としても知られる)、コンピュータの拡張カード等でもよく、一般的には、同種の装置でも異なる装置でもよい。衛星放送信号受信機10は、一つ以上の処理部11と、データを記憶するための不揮発性データ記憶部12等を有する。サテライトディッシュ20装置は、実際に室外に設置されるか否かで、室外ユニット(ODU)と称される場合もある。衛星放送信号受信機10は、インテグレーテッドレシーバ/デコーダ(IRD)と称される場合もある。
【0022】
各衛星放送信号受信機10は、有線接続部30によってサテライトディッシュ20に接続される。図示されるシステムは単一ケーブル配線システムである。従って、サテライトディッシュ20から異なる衛星放送信号受信機10まで一つの有線接続部30が存在する(ただし、異なる衛星放送信号受信機10に対する個々の最終有線接続部31も存在する)。図示される例において、衛星放送信号受信機10は、単一ケーブル配線システムにおける一般的な最大数の8個(いくつかは省略記号…で示される)である。有線接続部30は一般的には同軸ケーブルだが、プラスチック光ファイバや他の接続部を用いてもよい。
【0023】
よく知られていることだが、サテライトディッシュ20は、放送衛星(図示されず)からいわゆるLNB(低ノイズブロックダウンコンバータ)22に受信される信号を集める、パラボラ型反射部21を備える。LNB22は、パラボラ型反射部21の焦点に、すなわち、少なくとも可能な限り焦点の近くに設けられる。通常、LNB22は、実質的には、低ノイズ増幅器と、周波数ミキサーと、局部発振器と、中間周波数(IF)増幅器との組み合わせである。一般的には、これらの構成要素のうち、例えばミキサーを含むいくつかが別体の構成要素ないしモジュールとして設けられてもよいし、全てが一つのLNBブロックないしモジュールに含まれてもよい。LNBは、しばしば「衛星チャンネルルータ」と称される一つ以上の専用半導体チップに実装または使用してもよい。
【0024】
LNB22は、放送衛星によって送信され、パラボラ型反射部21によって集められた(マイクロ波)信号を受信して増幅し、周波数のブロックを中間周波数(IF)の低いブロックにダウンコンバートする。LNB22でのダウンコンバートにより、比較的安価な同軸ケーブル30を使用して、LNB22を衛星放送信号受信機10に接続可能となる。ケーブル30はLNB22に接続される。
【0025】
周知の通り、衛星によって送信され、サテライトディッシュ20によって受信される放送信号は、通常一つ以上の特定の周波数帯域にあり、特定の偏光を用いてもよい。例えば、欧州では、デジタルビデオ放送衛星サービスDVB-S/DVB-S2によって現在使用されている周波数は、二つの偏光H(水平)及びV(垂直)で10.7-12.75GHzである。(米国では、欧州及び少なくともほとんどの他の国で使用される水平及び垂直偏光ではなく、左右の回転偏光が用いられる。)この領域は、10.7-11.7GHzの「低帯域」と11.7-12.75GHzの「高帯域」に分けられる。この結果、各々が約1GHzの帯域幅を有し、各々が二つの偏光を可能とする二つの周波数帯域が形成される。LNB22において、これらの帯域は、LNB22と受信機10の間の同軸ケーブルにおける衛星サービス用に割り当てられた周波数範囲である950-2150MHzの範囲の周波数にダウンコンバートされる。多数の個々のチャンネル(すなわち、テレビ及び/又はラジオチャンネル)は各帯域内で送信され、一つの偏光又は他方を有する。
【0026】
前述されたように、また、図1で概略的に図示されたように、周知の単一ケーブル配線では、各受信機10は、チャンネル信号(すなわち、ブロードキャストプログラム)を伝達して、サテライトディッシュ20のLNB22から受信機10まで通過する信号用の中心中間周波数が異なる「ユーザバンド」UB1、UB2、・・・を割り当てられる。異なる中間周波数は、多くの方法により受信機10に割り当て可能である。例えば、CENELEC(欧州電気標準化委員会)、「SATELLITE SIGNAL DISTRIBUTION OVER A SINGLE COAXIAL CABLE IN SINGLE DWELLING INSTALLATIONS(単一住居設備における単一同軸ケーブルを介した衛星信号分配)」と題されたEN 50494規格によれば、受信機10はLNB20に対し、利用可能な中間周波数で多数の信号をLNB20が生成する命令を送信し、受信機10は、信号の帯域をスキャンする際に出会う第1の周波数を採用する。あるいは、又は、さらに、LNB22は、どの中間周波数を使用すべきか受信機10に指示することができる。LNB22は複数の局部発振器を有し、それぞれケーブル30を介して個々の受信機10に信号を提供する際に使用される複数の中間周波数の異なる一つを生成可能である。
【0027】
ユーザによって選択された特定のチャンネルを受信し、復調可能にするために、ユーザに関連付けられた受信機10は、制御信号をLNB22に送信し、衛星によってブロードキャストされた正確な対応する信号をLNB22に受信させ、処理させる。例えば、制御信号は、衛星によってブロードキャストされた、対応する偏光(水平又は垂直)を有する対応する帯域(高又は低)を、LNB22に受信させ、処理させてもよい。このことを示す具体例として、英国テレビチャンネルBBC One HDが10,847GHz及び垂直偏光で(現在)放送されている。従って、ユーザがBBC One HDを視聴できるように、制御信号が受信機10によってLNB22に送信され、垂直偏光の低周波数帯域に同調するようにLNB22に指示する。
【0028】
このような制御信号に関する多くの異なる構成や規格が可能であり、使用される。このことを示すための具体例として、13Vの電圧が送られて垂直偏光が選択され、18Vの電圧が送られて水平偏光が選択されてもよく、また、22kHzの「トーン信号」が送信されて高周波数帯域が選択され、トーン信号がないことで低周波数帯域が選択されたとLNB22が見なしてもよい。
【0029】
周知の単一ケーブル配線システムにおける動作において、この趣旨は以下の通りである。第1の衛星放送信号受信機#1を有する第1のユーザであるユーザ#1がチャンネルAを視聴したいとする。従って、LNB22の第1の局部発振器は、その周波数を、第1の衛星放送信号受信機#1に割り当てられた中心中間周波数を有するユーザバンドであるUB1として設定し、ケーブル30においてチャンネルAをUB1周波数+チャンネルA周波数として提供する。そして、第2のユーザであるユーザ2もチャンネルAを視聴したいとする。従って、LNB22の第2の局部発振器は、その周波数を、第2の衛星放送信号受信機#2に割り当てられた中心中間周波数を有するユーザバンドであるUB2として設定し、ケーブル30においてチャンネルAをUB2周波数+チャンネルA周波数として提供する。つまり、ユーザ1及びユーザ2の二つの衛星放送信号受信機10を介して一つのチャンネルのみが視聴されているにもかかわらず、LNB22の二つの局部発振器が動作している。同様に、別のユーザ達が同じチャンネルAを視聴したい場合、リクエストされたチャンネルAを当該別のユーザ達のそれぞれの衛星放送信号受信機10にそれぞれのユーザバンド周波数で提供するために、LNB22において対応した数の別の局部発振器が動作する。その結果、同じチャンネルAが送信されている場合、LNB22による消費電力が不必要に高くなる。
【0030】
これに対処すべく、本明細書に記載される各例では、第2の衛星放送信号受信機#2によってリクエストされたチャンネルが第1の衛星放送信号受信機#1によってリクエストされたチャンネルと異なる場合、それに応じて、LNB22(すなわち、より具体的には、LNB22の、又は、に関連付けられるミキサー)は、第2の衛星放送信号受信機#2によってリクエストされたチャンネル用の信号を、第2の衛星放送信号受信機#2に(通常)割り当てられた第2の周波数UB2で提供する。これが実際の単一ケーブル配線システムにおける通常動作である。一方、第2の衛星放送信号受信機#2によってリクエストされたチャンネルが第1の衛星放送信号受信機#1によってリクエストされたチャンネルと同じ場合、そのリクエストを受けると、LNB22は、第2の衛星放送信号受信機#2に対し、第2の衛星放送信号受信機#2が第1の衛星放送信号受信機#1に割り当てられた第1の周波数UB1に再同調する指示を出す。その指示を受けると、第2の衛星放送信号受信機#2は、第1の周波数UB1に再同調する。このようにして、第2の衛星放送信号受信機#2は、第1の周波数UB1でLNB22によってすでに提供されているリクエストされたチャンネル用の信号を受信する。つまり、通常は第2の衛星放送信号受信機#2用の第2の周波数UB2の信号を生成するLNB22の第2の局部発振器は操作される必要がない、又は、スイッチを切ることができる。これにより、従来の単一ケーブル配線システムに比べ、速やかに節電がもたらされる。さらに、節電は、自身の衛星放送信号受信機で同じチャンネルを視聴している追加のユーザ毎に増大する。というのは、それらの衛星放送信号受信機それぞれに対して、再同調して、第1の周波数UB1でLNB22によってすでに提供されているリクエストされたチャンネルを受信するよう指示できるからである。さらにまた、他の構成では、追加の衛星放送信号受信機10がLNB22に接続されてもよく、他の衛星放送信号受信機10用の信号を提供する特定の時間に使用されていないLNB22の局部発振器を利用することができる。これにより、追加の衛星放送信号受信機10を接続できることから、より効率的に単一ケーブル配線システムを使用することができる。すなわち、例えば、他の衛星放送信号受信機10用の信号を提供する特定の時間に使用されていないLNB22の局部発振器は、別の衛星放送信号受信機に対して異なるチャンネルを提供するために使用することができる。
【0031】
このことは図2に概略的に示される。200において、衛星放送信号受信機(上記では、衛星放送信号受信機#2)は、チャンネルリクエストをLNB22に送る。202において、LNB22は、リクエストされたチャンネルがすでに別のUB周波数で別の衛星放送信号受信機(上記では、衛星放送信号受信機#1)のために提供されているかチェックする。Yesの場合、204において、LNB22は、リクエスト中の衛星放送信号受信機(ここでは、衛星放送信号受信機#2)に対し、リクエストされたチャンネルを別の衛星放送信号受信機(ここでは、衛星放送信号受信機#1)に送信するために使用されている、別のUB周波数に再同調するようにメッセージを送る。さらに、LNB22は、リクエスト中の衛星放送信号受信機(ここでは、衛星放送信号受信機#2)用の局部発振器が動作中であれば、その動作を停止する。一方、202におけるチェックで、リクエストされたチャンネルが別のUB周波数で提供されていないと判断された場合、206において、LNB22は、リクエスト中の衛星放送信号受信機(ここでは、衛星放送信号受信機#2)用の局部発振器を、リクエスト中の衛星放送信号受信機用のUB周波数で動作するように設定する。
【0032】
LNB22及び衛星放送信号受信機10間の各種コマンド、リクエスト、指示等は、LNB22及び衛星放送信号受信機10間のシグナル伝達のためのデジタル衛星機器通信(DiSEqC 1.x)プロトコルを規定する、CENELEC EN 50494規格に準拠してもよい。
【0033】
なお、本明細書において言及されるプロセッサ、又は、処理システム、又は、回路は、実際のところ、一つのチップ又は集積回路、もしくは、複数のチップ又は集積回路によって実現されてもよく、任意でチップセットや、特定用途向け集積回路(ASIC)や、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)や、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)や、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)等として実現されてもよい。チップ又は複数のチップは、上記実施形態に従って動作するように構成可能な、データプロセッサ又は複数のデータプロセッサと、デジタル信号プロセッサ又は複数のデジタル信号プロセッサと、ベースバンド回路と、無線周波数回路のうち一つ以上を具現化するための回路(ファームウェアでも可)を備えてもよい。これに関し、各実施形態は、少なくとも一部が、(非一次的な)メモリに保存され、プロセッサによって、又は、ハードウェアによって、又は、実体的に保存されたソフトウェアとハードウェア(及び実体的に保存されたファームウェア)の組み合わせによって実行可能なコンピュータソフトウェアによって実現されてもよい。
【0034】
本明細書において、データを記憶するためのデータ記憶部が参照される。これは一つの装置又は複数の装置によって実現されてもよい。好適な装置としては、ハードディスクや不揮発性半導体メモリが挙げられる。
【0035】
図面を参照して本明細書で記載された少なくともいくつかの実施形態の態様は、処理システム又はプロセッサで実施されるコンピュータ処理を有するが、本発明は、本発明を実現可能なコンピュータプログラム、特に、キャリア上ないし内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、部分コンパイラ形式といった、非一次的なソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース、オブジェクトコードの形式、又は、本発明に係る各処理の実現の際に使用に適した他の非一次的な形式であってもよい。キャリアは、プログラムを担持可能な任意の実体又は装置であってもよい。例えば、キャリアは、ソリッドステートドライブ(SSD)や他の半導体系RAMといった記憶媒体、CD ROMや半導体ROM等のROM、フロッピーディスクやハードディスク等の磁気記録媒体、一般的な光メモリ装置、等を備えてもよい。
【0036】
本明細書に記載される例は、本発明の実施形態の説明を目的とした例として理解されるものである。さらなる実施形態及び例が想定される。いずれかの例又は実施形態に関連して記載される特徴事項は、単独で使用されてもよいし、他の特徴事項と組み合わせて使用されてもよい。また、いずれかの例又は実施形態に関連して記載される特徴事項は、他の例又は実施形態の一つ以上の特徴事項と組み合わせて用いられてもよく、又、他の例又は実施形態と組み合わせて用いられてもよい。さらにまた、本明細書で記載されない均等物及び変形例もまた、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲内で採用されてもよい。
図1
図2