(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】ブロック状で提供される冷凍食品を細断するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A23P 30/00 20160101AFI20230418BHJP
A47J 43/044 20060101ALI20230418BHJP
B02C 18/26 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
A23P30/00
A47J43/044
B02C18/26
(21)【出願番号】P 2021506019
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(86)【国際出願番号】 CH2018000016
(87)【国際公開番号】W WO2019200490
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】520407839
【氏名又は名称】パコトレード アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Pacotrade AG
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】マンツ,ローラント
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-513211(JP,A)
【文献】特開昭57-181651(JP,A)
【文献】特開平06-091711(JP,A)
【文献】国際公開第2017/102993(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23P 30/00
B02C 18/26
A47J 43/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック状で提供される冷凍食品を細断するための装置であって、
ツール(2)を垂直な回転軸(X)の周りで回転させることにより、前記冷凍食品ブロックの少なくとも一部を細断するための前記ツール(2)を有する細断装置(1)を含み、それによって、前記食品ブロックに向かって前記回転軸(X)に沿って方向(S)に前進し、それによって、食品の層を前記食品ブロックから削り取り、
前記細断装置(1)は、前記ツール(2)の前記回転運動および送り運動を生成するための第1の駆動モータ(3)および第2の駆動モータ(4)を含み、前記駆動モータは別々に制御可能であり、少なくとも1つは速度可変であり、
前記細断装置(1)は、前記2つの駆動モータ(3、4)に結合されたギヤ装置(5)を含み、前記ギヤ装置(5)は、前記第1の駆動モータ(3)のみが前記ツール(2)の回転を駆動するように機能し、両方の駆動モータ(3、4)が一緒になって前記ツールを送るように機能するように設計され、
前記2つの駆動モータ(3、4)の設定された回転方向、および前記2つの駆動モータ(3、4)の回転数の特定の比率で、前記ツール(2)が前記回転軸Xに沿ったどんな軸方向の動きを実行せずに回転し、
この特定の回転速度比がそれぞれ超過またはアンダーカットされた場合には、前記回転軸(X)に沿った前記ツール(2)の前進または後退運動が生成され、前記回転速度比のそれぞれ超過またはアンダーカットの増加に伴い、前進または後退運動の速度が増加するようになる、装置。
【請求項2】
前記細断装置(1)の前記ギヤ装置(5)は、前記ツール(2)を運ぶ回転可能なシャフト(6)であって、軸方向に変位可能な方法で支持され、前記第1の駆動モータ(3)で回転可能である、回転可能なシャフト(6)と、このシャフトと同心円状に配置され、軸方向に固定されて支持され、前記第2の駆動モータ(4)で回転可能である、回転可能な送り部材(7)と、を含み、
前記シャフト(6)および前記送り部材(7)は、前記シャフト(6)に対する前記送り部材(7)の回転が、前記送り部材(7)に対する前記シャフト(6)の軸方向変位を引き起こすように、ねじ山によって互いに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シャフト(6)は中空シャフトとして設計され、前記送り部材(7)はその中に配置された同心ねじ付きスピンドルとして設計される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シャフトは中央のねじ付きスピンドルとして設計され、前記送り部材は、このねじ付きスピンドル上に配置された送りナットである、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記送り部材は、雌ねじを有する中空シャフトとして設計され、その中に前記シャフトが配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の駆動モータ(3)は、第1の歯付きベルト(8)を介して前記シャフト(6)に結合され、前記第2の駆動モータ(4)は、第2の歯付きベルト(9)を介して前記送り部材(7)に結合される、請求項2~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記送り部材(7)は、軸方向の過負荷の場合にばねの力に逆らって前記ツール(2)から離れる方向を向かって前記軸方向に変位できるように支持される、請求項2~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記送り部材(7)は、軸方向の過負荷の場合にばねの力に逆らって前記ツール(2)から離れる方向を向かって前記軸方向に変位できるように支持される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記過負荷の場合の前記送り部材(7)の可能な最大軸方向変位は、前記第2の歯付きベルト(9)の幅の少なくとも3分の2に対応する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記送り部材(7)上のベルトホイール(10)は、前記送り部材(7)に面する側面に、この側面に開いた歯を含み、前記第2の歯付きベルト(9)の上に、スクレーパ装置(11)が存在し、前記スクレーパ装置(11)は、過負荷時に前記送り部材(7)に向かう方向に前記送り部材(7)の軸方向変位で前記送り部材の前記ベルトホイール(10)から前記第2の歯付きベルト(9)をこする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記送り部材上のベルトホイールは、前記送り部材に面する側面の前記歯付きベルトのためのランナップショルダを含み、
前記第2の駆動モータ
のベルトホイールは、送り部材とは反対側に面する側面に向かって開いている前記送り部材とは反対側に面する側面に歯を含み、そのようにして、前記第2の歯付きベルトが、前記送り部材とは反対側に面する前記側面の、前記軸方向の過負荷の下で、前記送り部材の軸方向変位で前記第2の駆動モータの前記ベルトホイールから外れる、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は容器(12)をさらに含み、意図した動作において、前記冷凍食品が前記容器(12)内で冷凍された食品のブロックとして提供され、前記意図した動作において、前記冷凍食品ブロックの少なくとも一部の前記細断が前記細断装置(1)によって行われる、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記冷凍食品の前記細断中に、前記容器(12)がガスで加圧され得るように設計される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記2つの駆動モータ(3、4)は、前記装置の支持構造体に対して固定されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の前記装置を動作させるための方法であって、前記少なくとも1つの可変速駆動モータ(3、4)の前記回転数は、前記回転軸(X)に沿った前記ツール(2)の間欠的な前後の動きが生じるように連続的に変化する、方法。
【請求項16】
ブロック状で提供される冷凍食品を細断するための装置が、冷凍食品をピューレ化またはパコタイズするための装置である、請求項1~
14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
過負荷の場合の前記送り部材(7)の可能な最大軸方向変位は、前記第2の歯付きベルト(9)の幅の少なくとも3分の2に対応する、請求項6に記載の装置。
【請求項18】
スクレーパ装置(11)が、スクレーパバー(11)である、請求項10に記載の装置。
【請求項19】
ガスが、空気である、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1バールの過剰圧力下で、前記容器(12)が加圧され得るように設計される、請求項13又は19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック状で提供される冷凍食品の細断、特にピューレ化またはパコタイズするための装置、および独立請求項の前文に従ってそのような装置を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロック状で提供される冷凍食品を細断するための一般的な装置は、ムース、茶碗蒸し、濃縮フレーバ、ペースト、ソース、スープ、アイスクリーム、またはシャーベットなどの、クリーム状または泡状の食品製品の製造に使用されており、今日では、プロの美食はそれらなしでは考えられないであろう。
【0003】
そのような装置の始まりは、スイスのエンジニアWilhelm Maurerに遡り、1980年代に究極のアイスクリームマシンを探して、冷凍食品を処理するための新しいプロセスを発明した。それは、-22℃に冷凍された食品のブロックから、削り取られた材料を解凍せずに、最も細かい層が削り取られる。今日、このプロセスは、スイスのPacojet AG,Zug社によって実行されるために特別に開発された商用製品「パコジェット」を参照して、「パコタイズ」としても知られている。
【0004】
EP 0 062 805 A2は、Wilhelm Maurerによって開発されたソフトアイスクリームメーカーのオリジナルバージョンを示しており、このバージョンでは、回転ナイフを使用してブロック状の冷凍アイスクリームの基材から細かい層を削り取り、ホイップして過圧下で空気と混ぜる。このソフトアイスクリームマシンは、ナイフの回転を駆動し、ナイフを前進させるための単一の駆動モータを備えている。この目的のために、ナイフを運ぶブレードシャフトは、軸方向に変位可能な方法で支持され、軸方向に固定されて支持されるねじ付きスピンドルによって中央に貫通される。ブレードシャフトとねじ付きスピンドルは、ねじ付きスピンドルのねじを介して、ブレードシャフトに対するねじ付きスピンドルの回転によりブレードシャフトの軸方向の変位が生じるように互いに結合されている。動作中、ブレードシャフトはモータによって直接駆動されるが、ねじ付きスピンドルはギヤボックスを介してモータによって駆動され、ブレードシャフトの軸方向の動きを生成するために、異なる回転速度で駆動され得る。しかしながら、この一般的な装置には、ナイフの送り速度を数回の固定ステップでしか調整できないという欠点があり、それぞれナイフの回転速度と同期しており、パコタイズプロセスの設計の可能性を大幅に制限している。さらに、使用されるギヤボックスはコストとメンテナンスの負荷が高く、通常、急激な速度変更のみが可能であり、構成要素の負荷が高くなる。
【0005】
WO 97/36498 A1から、ムースのような粘り気のある食品を製造する装置が知られており、これにより、EP 0 062 805 A2のソフトアイスクリームマシンの上記の欠点が解消される。装置の設計は、上記のソフトアイスクリームマシンの設計と非常によく似ているが、ギヤボックスがない代わりに、ステッピングモータを使用してブレードシャフトと一緒に回転するブレードシャフトの送り動作を生成し、そのモータシャフトはねじ付きスピンドルを形成する。この装置を使用すると、ブレードシャフトの回転速度とは独立して非同期にナイフを送ることができるが、ここでの欠点は、ブレードシャフトと一緒に回転するステッピングモータの電気制御を、スライド接点を介して実行する必要があることであり、これは複雑で、多くのメンテナンスが必要である。この設計のもう1つの欠点は、ブレードシャフトを前後に移動するためにステッピングモータを逆にする必要があることであり、これは、特にブレードシャフトが断続的に前後に移動する繰り返しのパコタイズモード中に、構成要素の負荷の増加とぎくしゃくした動作につながる可能性がある。
【0006】
ES 1 071 424 Uから、ブロック状の食品基材からクリーム状または泡状の食品を製造するための装置が知られており、ブレードスピンドルが第1のモータによって駆動され、第2のモータを備えた2つの平行なねじ付きスピンドルで前後に移動され得るヨークによって運ばれる。EP 0 062 805 A2に示されているソフトアイスクリームマシンとは対照的に、ブレードシャフトの回転速度とは無関係に非同期でこの装置を使用してナイフを送ることもできるが、ここでの欠点は、可動ヨークを使用した構造が複雑で、構造的に不安定で、摩耗が激しいことであり、言うまでもなく、比較的大きな設置スペースが必要である。この設計のもう1つの欠点は、ナイフを前後に移動させるために、ねじ付きスピンドルの駆動モータの回転方向を逆にする必要があることであり、これはまた、特にブレードシャフトが断続的に前後に移動する繰り返しのパコタイズモード中に、高い構成要素の負荷とぎくしゃくした動作につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
したがって、目的は、上記の最新技術の欠点を有さない、または少なくとも部分的にそれらを回避する技術的解決策を提供することである。
【0008】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。
【0009】
これらによれば、本発明の第1の態様は、ブロック状で提供される冷凍食品を、例えば、ピューレ化またはパコタイズするための細断装置に関する。装置は、冷凍食品ブロックの少なくとも一部を細断するためのシングルまたはマルチナイフツールを備えた細断装置を含む。この目的のために、装置の意図した動作において、細断装置のツールは、好ましくは垂直の回転軸の周りを回転し、それによって回転軸に沿って食品に向かう方向に前進し、食品ブロックから食品の層を削り取りながら、食品ブロックに浸透する。それによって、ツールは、好ましくは、1000rpm~3000rpmの回転速度で回転し、送り速度は、好ましくは、毎秒0.5mm~5mmである。
【0010】
細断装置は、別々に制御することができる2つの駆動モータ、好ましくは電動モータを含み、これらは、ツールの回転運動および送り運動を生成するのに役立つ。これら2つのモータの少なくとも1つは速度可変である、すなわち、回転速度は少なくとも特定の速度範囲内で連続的に変化させることができる。
【0011】
さらに、細断装置は、ツールを運ぶ機械的ギヤ装置を含み、これは、2つの駆動モータに結合され、意図した動作中に、これらの2つのモータの駆動回転からツールの回転運動および軸方向変位運動の両方を生成する。これにより、2つの駆動モータのうち1つだけがツールの回転駆動に使用され、両方の駆動モータが一緒にツール送りに使用される。この目的のために、ギヤ装置は、2つの駆動モータの設定された回転方向で、2つの駆動モータの回転数の特定の比率で、ツールは、回転軸に沿って軸方向に変位することなく、ギヤ装置と共に回転し、また、回転速度比がそれぞれ超過またはアンダーカットされると、ツールは回転するだけでなく、回転軸に沿ってさらに前進または後退する、つまり、回転速度比がますます超過またはアンダーカットされると、速度が増加するように設計される。
【0012】
軸方向に静止しているが回転するツールの場合、両方の駆動モータが特定の(中立)回転速度比で回転し、この回転速度比を一方向または他の方向に連続的に変化させることにより、ツールの前進と後退が行われ、少なくとも1つの可変速駆動モータの回転速度の変化の結果であり、駆動モータの1つの回転方向の逆転はない。
【0013】
言い換えれば、本発明の第1の態様は、したがって、ブロック状で提供される冷凍食品を細断するための装置に関し、これは、回転軸を中心に回転し、それによって、ブロックから食品の層を削り取りながら食品に向かって前進するツールを備えた細断装置を含む。細断装置は、ツールの回転運動と送り運動を生成するための2つの駆動モータを含み、これらのモータは、個別に制御可能であり、少なくとも1つは可変速度である。さらに、それは2つの駆動モータに結合され、駆動モータの第1のみがツールを駆動回転させ、両方の駆動モータが一緒になって、2つの駆動モータの特定の回転速度比でツールが軸方向の動きを実行することなく回転するようにツールを送るように機能するように設計されたギヤ装置を備え、この回転速度比がそれぞれ超過またはアンダーカットされた場合には、回転運動に加えて、回転軸に沿ったツールの前進または後退運動がそれぞれ起こる。
【0014】
本発明による装置を用いて、非常に高速であるが同時に、送り方向の低い応力変化が可能であり、これは送り速度の非常に敏感な制御可能性を有する。
【0015】
本発明による装置の好ましい実施形態では、細断装置のギヤ装置は、軸方向に変位可能な方法で取り付けられ、第1の駆動モータと共に回転することができるツールを運ぶ回転可能なシャフト、およびこのシャフトと同心円状に配置された回転可能な送り部材を含み、回転可能な送り部材は軸方向に固定されて支持され、第2の駆動モータで回転することができる。シャフトと送り部材は、シャフトに対する送り部材の回転が送り部材に対するシャフトの軸方向変位を引き起こし、したがってその回転軸に沿ってツールの軸方向変位を引き起こすように、ねじ山を介して互いに結合される。このタイプの設計により、比較的簡素で堅牢な解決策が可能になり、さらにスペースをほとんど必要としない。
【0016】
第1の好ましい実施形態では、シャフトは中空シャフトとして設計され、送り部材は、その中に配置された同心ねじ付きスピンドルであり、その雄ねじは、中空シャフトの対応する雌ねじに係合する。
【0017】
第2の好ましい実施形態では、シャフトは、中央のねじ付きスピンドルとして設計され、送り部材は、このねじ付きスピンドル上に配置され、そのねじ山に係合する送りナットとして設計される。
【0018】
第3の好ましい実施形態では、送り部材は、雌ねじを備えた中空シャフトとして設計され、その内部に、対応する雄ねじが形成された中空シャフトの雌ねじと係合するシャフトが配置される。
【0019】
本発明による装置の構造設計に応じて、これらの実施形態のうちの1つまたは別のものが好ましい場合がある。
【0020】
第1のモータが歯付きベルト(請求項によれば第1の歯付きベルト)によってツールを運ぶギヤ装置のシャフトに接続され、第2のモータもまた、歯付きベルト(請求項によれば第2の歯付きベルト)によって送り部材に接続される。このようなベルトドライブは、安価で静かで摩耗が少なく、駆動モータと被駆動要素間のすべりのない結合を可能にする。
【0021】
ツールを運ぶシャフトが軸方向に当接する送り部材は、軸方向の過負荷時にばねの力に抗してツールから軸方向に離れることができるように支持されることが好ましい。このようにして、軸方向の過負荷状態での致命的な「クラッシュ」を特定の制限内で防ぐことができる。
【0022】
第2のモータが歯付きベルトを介して送り部材に連結されている実施形態の場合、送り部材の可能な最大軸方向変位は、過負荷の場合の第2の歯付きベルトの幅の少なくとも2/3に対応することが好ましい。これにより、自動ベルト排出機能を簡単に実装でき、これは、第1の駆動モータとツールを運ぶシャフトとの間の歯付きベルトが破損した場合に特に重要であり、この場合のように、後者のシャフトはもはや回転せず、非常に速く前進する可能性があり、その結果、軸方向の過負荷が急速に増加する。
【0023】
このようなベルト排出機能は、様々な方法で実現できる。
【0024】
第1の好ましい実施形態では、送り部材上のベルトホイールは、この側面に向かって開いている送り部材に面する側面に歯を含む。送り部材を第2の駆動モータに接続する歯付きベルトの上に、スクレーパ装置、例えばスクレーパバーがあり、それは軸方向の過負荷の下で送り部材が軸方向に変位した場合にこの歯付きベルトを保持し、それによって送り部材のベルトホイールから送り部材に向かう方向にそれを削り取る。
【0025】
第2の好ましい実施形態では、送り部材のベルトホイールは、送り部材に面する側面に歯付きベルトのためのランナップショルダを含み、第2の駆動モータのベルトホイールは反対側に歯を有し、送り部材が軸方向の過負荷状態で軸方向に移動すると、歯付きベルトが第2の駆動モータのベルトホイールから外れるように、ギヤがこの側面に向かって開いている。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明による装置は、意図した動作において、冷凍食品が容器内に冷凍された食品のブロックとして提供され、意図した動作において、冷凍食品ブロックの少なくとも一部の細断、例えばピューレ化またはパコタイズが細断装置を使用して実行される。このような装置は、実際の使用に特に適していることが証明されている。
【0027】
さらに、それによって、装置は、好ましくは、冷凍食品の細断中に、特に少なくとも1バールの過圧まで、容器がガス、例えば空気で加圧され得るように設計される。このようにして、細断された食品製造のより風通しの良い一貫性を達成することができる。
【0028】
さらに、2つの駆動モータが装置の支持構造体に対して固定されていることが好ましい。これにより、固定部品から回転部品への高価で摩耗の激しい電力伝送および信号ラインが不要になる。
【0029】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による装置を動作させる方法に関し、少なくとも1つの可変速駆動モータの回転速度が、意図した動作中に連続的に変化し、その結果、回転軸に沿ったツールの断続的な前後の動きが生じる。本発明の利点は、特に反復パコタイズモード中に使用することができるそのような動作において特に明白である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のさらなる利点および用途は、図面に基づいた以下の説明から生じる。図面は以下のとおり。
【
図1】本発明による装置の細断装置の部分的に切り取られた斜視図である。
【
図2】
図1の細断装置の第2の駆動モータと送り部材との間のベルト駆動の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明による装置の細断装置1の部分的に切り取られた斜視図を、意図した動作位置にその上に配置された容器12と共に示し、それによって、意図した動作において、冷凍食品は容器12内の食品の冷凍ブロックとして提供され、意図した動作において、冷凍食品ブロックの少なくとも一部の細断、特にピューレ化またはパコタイズが細断装置1で行われる。
【0032】
この装置では、ブロック状で提供される冷凍食品(図示せず)の細断は、垂直回転軸Xを中心に多翼ナイフ2(請求項によればツール)を回転させ、それにより、この回転軸Xに沿って食品ブロックに向かってS方向に前進し、それにより、冷凍食品ブロックから微細な層を削り取ることにより実行される。
【0033】
図から分かるように、細断装置1は、ナイフ2の回転運動を生成し、送り運動を生成するための第1の電気駆動モータ3および第2の電気駆動モータ4を含む。両方のモータ3、4は別々に制御でき、速度が可変で、装置の固定支持構造(図示せず)に取り付けられている。さらに、細断装置1は、ギヤ装置5を含み、これは、2つの駆動モータ3、4と結合され、そして、第1の駆動モータ3のみがナイフ2を回転し、両方の駆動モータ3、4が一緒になってナイフを送るように機能するように設計される。
【0034】
この目的のために、ギヤ装置5は、ナイフ2を支持する回転可能な中空シャフト6を有し、これは、軸方向に変位可能な方法で取り付けられる。
【0035】
この中空シャフト6は、軸方向に静止し、回転可能に支持された、長手方向に歯のある駆動スリーブ13に同心円状に、かつ軸方向に変位可能な方法で配置され、その長手方向の歯が回転フォームロックを形成し、それによって、中空シャフト6は、第1の駆動モータ3を備えた駆動スリーブ13を介して回転軸Xを中心に回転することができる。この目的のために、駆動スリーブ13は、その外周にベルトホイール14を有し、ベルトホイール14は、歯付きベルト8を介して第1の駆動モータ3によって駆動することができる。
【0036】
中空のシャフト6に同心円状に配置されているのは、軸方向に静止した方法で支持され、第2の駆動モータ4で回転軸Xの周りを回転できるねじ付きスピンドル7である。この目的のために、ねじ付きスピンドル7は、その自由端部にベルトホイール10を有し、これは、第2の駆動モータ4を備えた歯付きベルト9を介して駆動することができる。
【0037】
中空シャフト6は、ねじ付きスピンドル7の雄ねじに係合する雌ねじセクション15を有する。中空シャフト6およびねじ付きスピンドル7は、それによって、中空シャフト6に対するねじ付きスピンドル7の回転が、軸方向に固定されたねじ付きスピンドル7に対する中空シャフト6の軸方向変位を引き起こすように結合される。言い換えれば、中空シャフト6とねじ付きスピンドル7との間の回転速度の差により、中空シャフト6が回転軸Xに沿って下降または上昇し、したがってナイフ2が細断される食品ブロックに対してそれぞれ前進または後退する。中空シャフト6とねじ付きスピンドル7の同一の回転速度で、ナイフ2は、回転軸Xに沿った軸方向移動を実行することなく回転する。
【0038】
言い換えれば、2つの駆動モータ3、4の設定された同一の回転方向、および2つの駆動モータ3、4の回転数の特定の比率で、中空シャフト6とねじ付きスピンドル7の回転速度は同一であり、ナイフ2は、回転軸Xに沿って軸方向の動きを実行することなく回転される。この特定の回転速度比が超過またはアンダーカットされると、回転軸Xに沿ったナイフ2のそれぞれの追加の後退運動の前進が生成され、回転速度比がそれぞれ超過またはアンダーカットされるにつれて速度が増加または減少する。
【0039】
図から分かるように、ねじ付きスピンドル7は、軸方向の過負荷の場合に、ばね16の力に対して、ナイフ2から離れる軸方向に動くことができるように支持されている。これにより、過負荷状態での可能な最大軸方向変位は、歯付きベルト9の幅の約1.5倍に相当する。
【0040】
特に、第2の駆動モータ
4とねじ付きスピンドル7との間のベルト駆動の拡大側面図を示す
図2の概要に見られるように、ねじ付きスピンドル7のベルトホイール10は、それに面する側面に開いた歯を有する。歯付きベルト9の上には、ねじ付きスピンドル7が軸方向過負荷の下で軸方向上向きに移動するときに歯付きベルト9を保持するスクレーパバー11があり、その場合、ベルトホイール10も上向きに移動し、それによってベルトホイール10からそれを削り取る。
【0041】
本出願において、本発明の好ましい実施形態が示されているが、本発明はそれに限定されず、以下の特許請求の範囲の範囲内で他の方法で実行できることを明確に述べる。