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特許7264998生物学的及び化学的物質を検出するための光磁気泳動法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】生物学的及び化学的物質を検出するための光磁気泳動法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/49 20060101AFI20230418BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20230418BHJP
   G01N 15/04 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
G01N33/543 541A
G01N33/543 581F
G01N15/04 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021517532
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 ES2018070392
(87)【国際公開番号】W WO2019229276
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-01-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513130180
【氏名又は名称】セプマグ、システムズ、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】SEPMAG SYSTEMS,S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ベネルメッキ エレトビー,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ガッソ ポンス,セルヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス ガルシア,リュイス ミケール
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-168636(JP,A)
【文献】特開2002-357594(JP,A)
【文献】特表2015-508158(JP,A)
【文献】特表2006-524533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
G01N 33/48-33/98
JMEDPlus(JDreamIII)
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化された磁性粒子を含む懸濁液と混合された特定のサンプル中の生物学的又は化学物質の存在又は不在を検出するための方法であって、前記粒子は10と1000nmとの間の直径を有し、及び生物学的又は化学的物質の非存在下又は存在下でそれらの磁気分離時間が異なるような飽和磁化を有し、前記懸濁液の光学特性を監視することにより、当該方法は:
- 光源と検出器とを提供するステップ;
- 光の伝播方向に垂直な方向に、サンプルボリューム内において一定の磁場勾配を有しており且つ前記サンプル中の前記磁性粒子の飽和磁場よりも大きい磁場を適用することにより、一定の磁力を前記サンプルボリューム内の前記粒子に提供するステップであって、磁場の絶対値は0.1Tよりも高くなる、ステップ;
- 前記磁性粒子の懸濁液の透明度と時間の変化を測定するステップ;
- 対象の生物学的又は化学的物質の存在下と非存在下での前記磁性粒子の懸濁液の透明度の経時変化を比較するステップ;
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の、官能化磁性粒子を含む懸濁液中の生物学的又は化学物質の存在を検出するための方法であって、ここで、磁力は、永久磁石を含む磁力発生器によって提供される方法。
【請求項3】
前記磁力発生器が、円筒形支持体内の四重極のハルバッハ進行に続く少なくとも4つの永久磁石によって形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記磁力発生器が、2組の磁石によって形成され、各組の磁石が反対の極性を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記検出器が分光光度計である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子の磁気モーメントが10-16A/m未満である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記光源がUV-可視光源である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明の分野
本発明は、物質(有機、無機又は生物学的)の検出のための方法に関する。特に、本発明は、サンプル中の材料が官能化磁性粒子と混合される新規の磁気泳動技術を使用し、その結果、光学特性の変化が時間に対して監視され、標的の化学的又は生物学的物質の欠如時間の変化と比較される。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
ここ数年、特異的で感度が高いため、免疫学的手法を伴う臨床診断法の使用が増加している。利用可能な多くの不均一及び均一免疫アッセイ法のうち、ラテックス粒子の凝集反応(aglutinacion)に基づく均一アッセイは、流体試験サンプル中の少量の抗体又は抗原を検出するための生物学及び医学で広く使用され続けている。これらのテストのいくつかの利点は、手順が単純で、広く適用可能で、危険ではなく、テスト結果が非常に短時間で取得されることである。凝集反応は、微視的な担体粒子(通常、ラテックスと呼ばれる本質的に高分子)のin vitro凝集(agregacion)を伴う。この凝集は、抗体と抗原などの2つの分子間の特定の反応によって媒介され、そのうちの1つはラテックス粒子の表面に固定化されて、感度を高め、等量点を広げる。目的のリガンドを含む流体が、増感された担体粒子の懸濁液に導入され、凝集がリガンドを示すものとして示される。凝集反応は、目的のリガンドを検出するためにさまざまな方法で使用でき、それぞれに独自の制限と用途がある。
【0003】
ラテックス粒子の凝集反応を検出するための光散乱現象に基づくいくつかの技術がある: 濁度測定、ネフェロメトリー、角度異方性、及び光子相関分光法。濁度測定では、入射ビームがサンプルを通過する際の強度を測定する。光ビームは懸濁液を通過するか、粒子によって吸収、反射、又は散乱される。結果として、光の強度は、懸濁液を通って伝播するにつれて減少する。非吸収性粒子の場合、散乱による光強度の減少はヘイズとして表される。この手法はすばやく簡単に使用できる。実際、比濁法では、一般に臨床検査室で利用できる分光光度計以外の特別な機器は必要ない。
【0004】
透過光を希望の時間に自動的に測定するだけでなく、希釈、ピペッティング、便利な量の試薬とサンプルバッファーをキュベットに移し、プログラムされた温度でインキュベートし、選択したキャリブレーション曲線とアルゴリズムを使用して必要な計算を実行する全自動分光光度計がある。これらの自動分析装置でラテックス凝集試験を実行する機能により、新しい機器や人員に投資することなく、数百のサンプルを短時間で処理できる。
【0005】
ただし、凝集中に発生する濁度の変化を最適化するには、適切な粒子サイズを選択することが重要である。例えば、免疫凝集反応中の粒子ペア間の抗原-抗体ブリッジの数は約2~10である。粒子が大きいと、これらのブリッジを通過するせん断応力により、自動機械で高速でポンピングされたときに、結合された材料が乱れる可能性がある。したがって、直径の小さい粒子は、より堅牢なアッセイを生成できる。粒子が凝集するためには、最初に衝突して抗原-抗体ブリッジを形成できるようにする必要がある。小さな分子や粒子の場合、拡散は凝集体の形成に必要な最初の衝突を引き起こすのに十分な速さである。粒子が大きい場合、拡散係数は粒子サイズに反比例するため、拡散は低くなる(つまり、凝集速度論)。免疫凝集体の生成速度を高めるために粒子又は凝集体間の衝突の頻度を増やす必要があるため、小さな粒子が望ましい。
【0006】
比濁検出は、入射光の粒子サイズと波長に大きく依存する。濁度は時間の経過とともにピークに達するため、適切な波長に適した粒子(サイズ)を慎重に選択することが重要である。最大値は、信号の変化が測定システムの光学的限界を超えたときに発生する。凝集体のサイズの変化は、比濁試験で観察されたプラトーを超えて継続することが、光子相関分光法によって観察されている。最適な性能は、入射波長に対する粒子径の比率、及び粒子の屈折率の関数である可能性がある。したがって、粒子材料の選択、粒子サイズ、及び凝集反応の検出波長はすべて、アッセイの感度を最適化する上で重要な要素である。光の波長に比べて小さい粒子の場合、散乱は波長の4乗の逆数で増加する。340nmなどの短い波長は、450nmなどの長い波長よりも凝集反応中に大きな信号差を与える。一方、選択した波長での粒子の屈折率が高いほど、光の散乱信号が大きくなる。
【0007】
一般に、材料の屈折率は、より短い波長で大きくなる。ラテックス免疫凝集アッセイの感度を高めるために、ポリビニルナフタレンコアを有する粒子が提案されている。Galvin et al.は、検出限界を下げるには、粒子は40~70nmのサイズ範囲にあり、屈折率は高いが、使用する光の波長での吸収は低いと主張した。
【0008】
粒子(材料)のサイズと屈折率、及び入射光の波長の間のこのバランスは、テストの感度を決定する可能性がある。結果として、テストを完了するには、より高度な検出器(例えば、高解像度の多波長検出器)が必要になる場合がある。残念ながら、これらの検出器はより高価であるため、特に開発途上国では実装がより困難である。また、各テストに最適な粒子を選択するには、高度な光学的知識と、多数の粒子に簡単にアクセスできる必要がある。
【0009】
磁性ミクロスフェア及び磁性ナノスフェアの分野における技術の開発において、実質的な進歩が見られた。非磁性マトリックス(以下、磁性粒子)に超常磁性核を含むこれらの磁性ナノスフェア及びミクロスフェアは、多くの生物学的用途で使用されている。それらは、例えば、外部磁場を使用して特定のサイトをターゲットにすることができるキャリアとして使用される。
【0010】
前述の磁性粒子は、超常磁性応答の高い磁性粒子を生成するように設計されている。実際、これらの磁性粒子は通常、ポリスチレンやナノポーラスシリカなどの非磁性マトリックスに超常磁性ナノ結晶を含めることによって作られる。得られた磁性粒子は、それらを構成する超常磁性ナノ結晶の超常磁性応答を保持し、外部磁場が印加されたときに、より大きな磁化を示す。さらに、使用温度では強制力も残留磁気も観察されない。ただし、構成ナノクリスタルの固有の超常磁性挙動に加えて、近接によるスケルトンマトリックス内のナノクリスタル間の相互作用とコーティングによる表面効果を考慮する必要がある。これらは、コロイド粒子の全体的な磁気応答の変化につながる可能性がある。
【0011】
生体磁気分離(上記の磁性粒子を使用)は、ライフサイエンスで多くの用途がある。細胞分離から分子診断まで、この技術は数ナノリットル(ラボオンチップ)から数十リットル(IVD試薬製造)の範囲の容量で使用できます。従来の小さな個別の磁気チューブ(又は単純な磁石)を使用する際の問題の1つは、磁力のぼやけである。磁場とその勾配が距離とともに変化する場合、懸濁液中の磁性粒子の力は一定ではなく、懸濁液の挙動の変化を制御することは困難である。
【0012】
EP0339623は、レーザー磁気免疫測定法及び抗原-抗体反応に基づくシステムを開示している。この方法では、ナノビーズが必要であり、磁力を生成するために電磁石が使用される。磁性ナノ粒子(D<<100nm)の使用は、それらの磁気モーメントが非常に小さいことを意味する。したがって、各粒子は、隣接する粒子と磁気的に相互作用することなく移動する。この場合、分離速度は
v=(D/18n)*μ*M(H)*∇(H)*ρ
である。ここで、Dは粒子の直径、nはバッファーの粘度、ρは粒子の密度である。この個々の磁気泳動挙動は、分離速度が遅く、個々のナノビーズの特性に強く依存していることを意味する。これは、実際の磁性粒子のセットのサイズの固有の分散による大きな変動性を意味する。さらに、速度は磁場プロファイルにも依存する。ソフト強磁性ポールピースを備えた電磁石を使用すると、十分に制御された磁場変動を生成することが非常に困難になるため、磁場勾配の達成できる範囲が制限され、したがって達成できる磁力が制限される。ポールピースの透過性も電界の局所値(強磁性体の固有のヒステリシスを含む)に強く依存するため、磁束経路はポイントごとにスムーズに変化する。ポールピース(及びその結果としてエアギャップ)の磁場の局所値も、加えられた磁力(アンペールターン)とその以前の値によって異なる。個々の磁性ナノビーズにかかる磁力の値は、電磁石に適用される強度の値に依存するが、電流が増加又は減少している場合、及びポールピースが飽和しているかどうか(つまり、電流)によって異なる。適用された値は、ポールピース材料の最大磁化に達するのに十分高い値に達した)。これらすべての効果は、個々のビーズの特定のセットについて、最終位置(又は特定のポイント)に到達するのに必要な時間の大きな変動、さらには物理的特性(サイズ、密度、磁気特性)のまったく同じ分布を持つことを意味する)、再現性には、電流の正確な制御と、それが電磁石にどのように適用されるかを厳密に制御する必要がある。
【0013】
これらすべてのバリエーションは、免疫捕捉されたターゲットのためにビーズに誘発された磁気泳動的変化を部分的又は完全にマスクする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
さらに、レーザーを使用すると、光学システムが高価で複雑になる。これは、レーザーを一点に集束させ、散乱した後方光を測定する必要があるため、適切に制御された光学環境が必要になるためである。さらに、必要な磁力を生成するために使用されるかさばる電磁石は、取り扱いが難しい熱を生成する高い電力消費を必要としする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
本発明は、光磁気泳動技術に基づいて生物学的又は化学的物質の存在又は不在を検出するための方法を提供し、ここで、材料は、均一な磁場勾配の存在下で、10~1000nmの範囲の官能化磁性粒子と反応する。既知の比濁法のように磁性粒子の非磁性マトリックスの屈折率に依存せず、デバイスはレーザー又は電磁石を必要としないため、本発明は上記の問題を解決する。この方法は、光源及び検出器を提供するステップ、光の伝播方向に垂直な磁力を一定の磁場勾配で、絶対値が0.1Tより大きい絶対値で提供するステップ、時間に対する磁性粒子懸濁液の透明度の変化を測定するステップを含む。本発明を実施するためのシステムは、光源と検出器、光の伝播方向に垂直な磁力を生成する永久磁石で構成され、磁場勾配が一定で、絶対値が0.1Tを超える磁力発生器と時間に対する磁性粒子懸濁液の透明度の変化を測定するための処理手段を含む。一実施形態では、磁力発生器は、円筒形支持体上の四重極のハルバッハ進行に従う少なくとも4つの永久磁石によって形成される。
別の実施形態では、磁力発生器は、反対の極性を有する2つの永久磁石によって形成され、光及び検出器は、分光光度計である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面の簡単な説明
説明を完成させ、本発明のより良い理解を提供するために、一連の図面が提供される。前記図面は、本発明の好ましい実施形態を示しており、これは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明をどのように実施できるかの例としてのみ解釈されるべきである。
図1図1a~1dは、本発明によるシステムの動作原理を示している。
図2a図2aは、本発明で使用される磁力発生器の上面図である。
図2b図2bは、前の図で説明した作業領域を表したものである。
図3a図3aは、4つの容器が組み込まれたときの本発明の上面図を示している。
図3b図3bは、分離手順が終了したときの上記の実施形態の上面図を示している。
図3c図3cは、前の実施形態の2つの側面図を示している。
図4a図4aは、円形ではなく線形構成の本発明の第2の実施形態を示している。
図4b図4bは、上記の実施形態の上面図である。
図4c図4cは、前の図で説明した作業領域を表したものである。
図5図5は、抗C反応性タンパク質(CRP)抗体で官能化された磁気ビーズを含む懸濁液の磁気分離中の透明度と時間の関係に関するデータを示す。
図6図6は、図4a~4bで説明したデバイスを使用した磁性粒子の磁気分離中の時間に対する透明度データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい実施の説明
本発明において、サンプル中の材料は、溶液中の標的生物学的材料を特異的に結合して磁性コロイド凝集体を生成するように官能化された磁性粒子(市販)と反応する。磁性粒子は、タンパク質抗原でコーティングされ、対応する抗体、又は遺伝的及び病原性疾患の検出のための相補的又は非相補的オリゴヌクレオチドと反応することができる。他の凝集は、磁性粒子と生物学的材料との間の静電相互作用に基づいているか、又は磁性粒子の表面での材料の吸収によるものである。微生物の場合、磁性粒子は微生物の表面に吸収される。骨材は磁力によって懸濁液を含む透明な容器の壁に向けられ、懸濁液の透明性が高まる。懸濁液の漸進的な透明度はリアルタイムで監視される。本発明における分離の速度は、粒子の磁化及びサイズに依存する。これらのパラメータは、粒子のサイズと磁気含有量を調整することで調整できる。本発明で使用するのに最も適切な粒子は、20~60%の磁気含有量を有する直径200~300nmの粒子である。
【0018】
磁性粒子が機能化されて分析物と混合されると、磁性粒子と分析物を含むコロイド凝集体が形成される。これらの凝集体は、均一な磁場勾配の下で運ばれると、最初の単分散磁性粒子(分析物のないコロイド)よりも速い速度で移動する。Andreu et al (J. S. Andreu et al, PHYSICAL REVIEW E 84, 021402 (2011))が説明しているように、磁性粒子の動きは、個々の粒子が隣接するものと双極子-双極子磁気相互作用を持つのに十分な磁気モーメントを持ち、熱攪拌を克服するのに十分強い協調現象である。これが発生した場合、磁性粒子は、孤立した磁性粒子よりもはるかに速く移動するチェーンを形成する。チェーンを形成する粒子の平均数は、式
【数1】
から推定できる。ここで、φは粒子の濃度、Γは磁気エネルギーと熱エネルギーの比率
G=(μπD )/(72kT)
である。ここで、Dは粒子の直径、Mはその飽和磁化である。N>1の場合、磁性粒子は相互作用し、N<<1の場合よりもはるかに速く移動し、各粒子は孤立して移動する。したがって、選択した磁性粒子の正しい直径と飽和磁化を選択することにより、凝集していないときは孤立粒子として(遅い)移動し、凝集しているときは協調して(速い)移動させることができる。分析物との反応により結合した粒子は、より大きな直径を持つ粒子として機能する。直径の増加はΓの値に大きな影響を及ぼし(結合された材料の有効なMは小さくなるが)、Nへの影響は指数関数的であることに注意。
【0019】
この振る舞いは、形成された凝集体と単分散磁性粒子の磁気分離時間に有意差を引き起こす。磁気分離時間のこの違いは、懸濁液の透明度をリアルタイムで測定することによって光学的に監視される。凝集体形成の場合、懸濁液は、単分散磁性粒子の懸濁液と比較して、より短い時間でより高い透明度に達する。この光学的モニタリング(懸濁液の透明度)は、白色光(電磁スペクトルの異なる波長の組み合わせ)、又はUV-可視スペクトル(350nm、580nm)などの特定の波長で実行できる。特定の波長での光学的モニタリングには、白色光を使用した光学的モニタリングに比べて追加の利点があり、0.001%という低い濃度で凝集体を検出できる。さらに、凝集体は透明な容器の壁に集中しているため、磁場が最大になる領域では、この動作により、後で分析するためにそれらを収集できる。
【0020】
従来の比濁法では、凝集体が懸濁液中に残り、濁度が高くなる(透過率が低くなる)ため、測定システムの光学限界を超えないように、粒子の特性と入射光の波長を慎重に選択する必要がある。比較すると、本発明では、適切な波長に対して粒子を選択する必要はない。骨材は磁性を帯びており、懸濁液の磁力によって除去されるため、実験結果は入射光と骨材の相互作用に依存しない。また、多くの種類の磁性粒子(非磁性マトリックスに含まれる酸化鉄ナノ粒子複合材料)を使用できる。
【0021】
図1a及び1bは、本発明による磁気泳動法の側面図及び上面図を示している。光は、透明な容器の反対側に配置された光検出器に到達するまで、懸濁液を通って磁力(Fmag)に垂直な方向に伝播する。1cで、均一に分散した凝集体が磁力(Fmag)により血管壁に向かって移動し始めまる。1dの手順の最後に、すべての磁性粒子が容器の壁の近くにあり、懸濁液が入射光に対して透明になる。透過光は、分離手順の終了を示す光検出器によって検出される。
【0022】
骨材がある場合とない場合のサンプルの透明度の時間依存性を評価するために、サンプルボリューム全体にわたって一定の磁力が生成される。一定の磁力を得るには、一定の磁場勾配と磁性粒子の磁気モーメントの飽和という2つの条件を満たす必要がある。磁力は、光の伝播方向に対して垂直でなければならない。
【0023】
磁性粒子に作用する磁力は、磁気モーメントと印加磁場の積の勾配である。粒子の磁気モーメントが一定である場合、磁場勾配も一定であるときに力は一定である。同時に、粒子の磁気モーメントは、印加された磁場に依存する。印加磁場が小さい場合、磁気モーメントは後者に比例する。結果として生じる磁気モーメントは、非磁性マトリックス(磁性粒子)に含まれる磁性ナノ粒子の磁化の値による粒子の体積(又は質量)の積である。磁化は、磁化率(材料に固有の定数)に印加磁場を掛けたものである。磁場が特定の値に達すると、磁化はほぼ一定に保たれる。つまり、磁化は飽和状態になり、各粒子の磁気モーメントは一定になる。磁気モーメントがその応答を線形から飽和に変化させる印加磁場の値は、飽和磁場(B)として知られている。
【0024】
本発明による磁力発生器は、透明度の変化を測定するためにサンプルが配置される領域において一定の勾配及び飽和磁場よりも大きい絶対値を有する磁場を生成する磁場源である。実用的な目的では、本発明での使用に適した市販の粒子の飽和を確実にするために、0.1Tの磁場で十分である。サンプルホルダーに配置される磁性粒子の速度は、磁力とバッファー懸濁液の粘度によって生成される抗力との間の競合の結果である。これらの力の平衡から生じる速度は、磁気ビーズの直径の2乗、印加される磁場の勾配、磁化、及び粒子の密度に比例し、バッファーの粘度に反比例する。したがって、ビーズが大きい場合(他の特性を一定に保つ場合)、直径が大きいため、分離速度が速くなる。集合体はより大きな粒子のように機能するため、個々の粒子よりも速く移動する。
【0025】
このアプリケーション用に選択された磁気ビーズの直径と磁気電荷の適切な範囲については(つまり、ターゲットのキャプチャによってバインドされていない場合は単一の粒子として移動するが、ターゲット物質のキャプチャによって集約された場合は協調的な磁気泳動運動を行うビーズ)、分離を数時間ではなく数分で行う場合は、大容量で1T/mから100T/mの磁場勾配が必要である。これらの勾配(比較的大きなエアギャップ内)は、柔らかい強磁性ポールピースの使用に固有の制限のため、電磁石で取得するのは非常に困難である。ただし、希土類ベースの材料など、現在の磁気結晶異方性永久磁石を使用すると、隣接する磁石の磁化方向に影響を与えることなく、異なる方向の磁場源の効果を追加できるため、大きな磁場変動が発生する。より大きく、よりボリュームのある電磁石で、電源を必要とせずに得られるものよりも大きい線形定数勾配を含む空間磁気的に活性化された細胞分離又はEP0339623に使用されるような非常に小さい磁気ビーズの場合、これらの磁場勾配は、実際のアプリケーションに十分な速度で分離を実行するのに十分な高さではない場合があることに注意されたい。
【0026】
生成された磁力がサンプルの位置で均一である場合(つまり、磁気勾配が一定で、磁場が飽和磁場よりも大きい場合)、すべてのビーズが同じ速度で移動する。したがって、より速いビーズが動き始めると、それらの動きは透明なパッドと不透明な領域の間の境界をマークする。すべてのビーズが同じ速度で移動しているため、境界の前の領域の光学密度は一定である。これらの条件下では、時間の関数としての透明度の変化をパラメータ化するのは簡単である。これにより、凝集体の有無、したがって対象の分析物の存在をより簡単に相関させることができる。
【0027】
光学的手段は、光を生成するLEOや、サンプルを透過する光の量を測定するフォトダイオードや光依存抵抗などの検出器のように単純なものにすることができる。この単純な配置により、サンプルを独自の光源と検出器とともに配置して、単一の分析物、又は円筒形のウェル内の複数のサンプルを測定できるため(それぞれに光源と検出器を備えた)、複数の検体又は平均数の検体アッセイで、1回のアッセイ実行で複数の検体を同時に測定できる。これは、一度に1つの分析物を測定する手順とは異なる。
【0028】
第1の実施形態では、デバイスは円筒形の構成を有する。この場合、必要な磁場は四重極である。したがって、半径方向の磁場勾配は一定であり、シリンダーの軸上の強度はゼロである。これには、得られた磁場プロファイルが複数のサンプルを配置するのに十分な大きさであり、各サンプルに光源と光学センサーがあるという利点もある。この目的のために、いくつかの磁石は、四重極のハルバッハ進行に従うリングタイプのサポートに配置される。図2aで説明されているように、各磁石の磁化の方向は、キャビティによって定義された円筒形座標系におけるその中心の角度位置に対する角度の3倍でなければならない。
【0029】
好ましい実施形態では、より単純でより容易な製造のために、正方形断面の磁石が使用される。N個の同一の磁石が配置される。Nは4より大きく、シリンダー軸の中心から同じ半径方向の距離Rで、それらの側面の1つに沿って磁化され、一定の角度間隔θで分布する。ここで、
θ=2π/N
永久磁石の角度位置は、n=1、...、Nの場合、nθであり、各磁石の磁化の方向は、γ(n)=3nθで定義される。(図2a)。より大きな磁場勾配が必要な場合は、いくつかの同心リングを追加できる。この構成では、1~100T/mの範囲の勾配を簡単に取得できる。サンプルは、磁場が磁性ナノ粒子(B)の飽和磁場よりも大きい半径方向の距離に配置される。サンプルが距離r>r(r=B/∇|B|)に配置されている場合、V|B|は、永久磁石アセンブリによって生成される一定の磁場勾配の半径方向成分の値である(図2b)。
【0030】
本発明の一実施形態による円筒形磁力発生器は、それらの側面に沿って磁化された高さ40mm及び20x20mmの正方形断面の12個の永久NdFeB磁石を使用する。磁石は、中心が56mmの円周に沿って、角度距離が30°になるように配置できる。説明したように、磁化は連続する磁石間で90°(30°x3)回転する必要がある。この磁力の発生器は、磁石によって定義されるシリンダーの中心面に8T/mの磁気勾配を生成する。
【0031】
直径8cmの円筒形キャビティ内で半径方向に一定の磁場勾配8T/mの場合、骨材が入っている透明な容器は、空洞の円筒軸から半径1.25cm(0.1/8=0.0125m)を超える距離に配置できる。ナノ粒子が半径方向に移動すると、光学システムはそれに垂直に整列する。言い換えれば、サンプルホルダーの中心によって定義される円周に対して接線方向である(図3a-c)。
【0032】
図3a及び3bは、磁気光学デバイスの上面図を示す。サンプルを含む4つのキュベットがデバイスに挿入される。各サンプルは片側から照射され、光検出器は透明な容器(サンプル)の反対側に配置される。磁力は光の伝播方向に垂直である。図3aは、サンプルがシステムに導入されたときの初期状態(t=0)を表す。サンプルは入射光に対して不透明であるため、光センサーに光は透過しない。分離手順の最後(t=tf)に、すべての磁性粒子が透明な容器の壁に閉じ込められ(図3b)、懸濁液が入射光に対して透明になり、手順の終了を示す。図3c、ステージ1及びステージ2は、それぞれ図3a及び3bの側面図を示している。
【0033】
分離手順の最後に、時間tに対する懸濁液の透明度の振る舞いを示すS字曲線が得られる。凝集体の有無による磁気分離の速度の違いは、特定のレベルの透明度、例えば最小透明度と最大透明度の間の50%に到達するのに必要な時間を測定することによって決定される。基準時間は、分析物を含まない磁気ビーズの懸濁液を使用して取得される。新しいサンプルで分析物の存在をテストする必要がある場合は、濃度を一定に保つために同じ数の磁気ビーズを追加する。サンプルはインキュベートされ、磁力発生器に供給される。透明度の変化と、決定された透明度の定義されたレベルを達成するために必要な時間が監視される。この時間は参照時間と等しくなる可能性がある。これは、分析物がテストサンプルに存在しない場合に形成されない凝集体がないことを示す。この2番目の結果は、分析対象のサンプルに分析物が存在するために形成された凝集体の存在を示す(分離手順中に速く移動する)。
【0034】
感度を向上させるために、最小二乗法(又は他の同様のアルゴリズム)を使用して、実験データをシグモイド曲線に適合させることができる。次に、データを最大透明度と最小透明度の間で正規化できる。調整パラメータにより、分析曲線を取得し、時間値をより正確に決定できる。例えば、実験点(透明度と時間)は、最小二乗法を使用して、式V(t)=V+(V-V)/(1+(t/t50)で近似できる。調整パラメータは、手順開始時の光学センサーの出力であるV(透明度のマイナー値)になる。V、t=無限大(最大透明度)での光学センサーの出力。t50、センサー出力が正確にVとVの平均である時間。p、t50での曲線の傾きに比例する指数。時間に対する透明度曲線は正規化できる(V=0%、V=100%)、V=100%/(1+(t/t50)。選択した透明度のレベルが50%の場合、この設定は時間値(t50)を直接提供する。
【0035】
分離時間の決定が特定の波長で行われる実験のために、それが分光光度計に組み込まれることができるように、長方形の磁力発生器が提案される。2組の永久磁石が提供され(各組が2つの磁石から構成される)、均一な磁力を生成する。磁石は、2つの平行な表面に組み込まれ、極性が反対の異なる厚さを持っている(図4a-4b)。この実施形態の光源は、分光光度計光源(通常はUV可視光)である。光は、磁力の方向に垂直な方向に以前と同じように透過する。アセンブリは、前の実施形態と同じ方法で、サンプルボリュームに一定の勾配を生成する(必要なボリュームが比較的小さいことに注意)(図4a)。異なる厚さの磁石を使用し、サンプルをより厚い磁石の近くに配置することにより、図4cに示すように、一定の磁場勾配とサンプルの飽和磁場よりも大きい磁場が生成される。この長方形の構成は、円筒形の構成と同じ特性を持っている(図4a-abに示されているように、サンプルボリュームでの均一な磁力の生成に関して図2aで説明されている)。この長方形のデバイスの設計により、磁場Bが磁気飽和磁場Bよりも大きい作業領域にサンプルを挿入できる(図4cを参照)。鉄製のシリンダーヘッド(una culata de hierro)(又はその他の柔らかい強磁性体)を使用すると、デバイスのサイズを大きくすることなく磁場勾配の強度を最大化できる。これにより、市販の分光光度計内での統合が容易になる(図4a~4bを参照)。
【0036】
特定の実施形態では、20x20x40mmの2つのNdFeB磁石が5mmの厚さの鉄板上に配置される。両方の磁石は、短辺の1つに沿って磁化されている。磁石は、最も長い辺が平行になり、1mm離れて、上部に位置合わせされ、磁化の方向が鉄板から離れる方向を向くように配置される。10x10x40mmの寸法のNdFeB磁石の2番目のセットは、厚さ5mmの2番目の鉄板に配置される。4つの磁石は10mm方向の1つに沿って磁化され、40mm側(1mm間隔)に沿って平行に配置され、上部に配置される。磁化の方向は鉄板を指す。2枚の鉄板(磁石が取り付けられているもの)の内面は、平行に配置し、磁石の中心を揃える必要がある。この構成では、磁場勾配は中央領域で一定であり、値は7T/mである。磁場の値は、10x10x40磁石の表面から20mmでゼロになる。これは、鉄板の内面から等距離の平面から15mmである。結果として、中央(光学モニタリングのためにサンプルが配置される場所)の磁場は0.113テスラであり、磁気ビーズを飽和させるのに十分な高さである。
【0037】
前の実施形態に関するこの長方形の設計の利点は、任意の市販の分光光度計に容易に組み込むことができ、次に特定の波長を選択して、マグネットが保持位置に移動している間、ナノ粒子が時間の関数として懸濁液の透過率の変化を測定できることである。この永久磁石アセンブリと分光光度計光学系の組み合わせを使用すると、透過率の時間依存性のみを比較することにより、磁性ナノ粒子の濃度が0.001%(w/v)未満であっても、凝集物のあるサンプルとないサンプルを区別できる。
【0038】
好ましい実施形態では、免疫アッセイ試験のために、磁性粒子は、抗体又は抗原で官能化され、次いで、分析されるサンプル(分析物を含む)と混合される。インキュベーション後の分離時間の短縮は、磁性粒子の凝集を示す。これは、フォーマットが免疫サンドイッチ型か競合型かに応じて、サンプルに存在する分析物の含有量に直接又は間接的に比例する。このシステムは、分子捕捉として抗体又は抗原を使用せずに、広く使用されている生物学的ペア(ストレプトアビジンやビオチンなど)を使用した、別の分子に結合する自然な能力を持つ分子を備えた、及び官能化又は非官能化粒子とサンプル中に存在する分析物との間に特異的又は非特異的結合がある他の代替物を用いて、アプタマー(ヌクレオチド又はペプチドベース)を使用して機能することもできる。この方法は、分析されるサンプル中の微生物を認識する官能化磁性粒子を混合することによる微生物及び細菌への適用を含む。磁性粒子は、抗体(又は対象の微生物内の特定の曝露分子を特異的に認識して結合できる任意の分子)で官能化することができる。次に、微生物の凝集体-磁性粒子が形成され、磁気光学システムによって監視される。さらに、個別の微生物凝集体を収集して、インキュベーション及びさらなる分析を行うことができる。
【0039】
別の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション試験では、磁性粒子の2つの集団がそれぞれ相補的又は非相補的オリゴヌクレオチドで機能化され、分析対象のサンプルと混合される。これは、磁性粒子に一方又は両方がコーティングされた相補的なオリゴヌクレオチドを含むことができる。このサンプルは、PCRによるヌクレオチド増幅(DNA)の生成物、特定の細胞又は微生物からのDNA又はRNAの抽出の結果、あるいはその他のDNA又はRNAの供給源である可能性がある。混合物のインキュベーション後、分離時間が磁性粒子の分離時間よりも短い場合、これは凝集体の形成を示し、次に両方の粒子のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを示し、これはサンプルがそうではないことを示す相補的なオリゴヌクレオチドが含まれている。あるいは、粒子の凝集は、サンプルに存在するDNA/RNAと粒子に結合したオリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーション又は架橋に起因する可能性がある。
【実施例
【0040】
実施例
図5は、0.1%w/vの濃度の2つの懸濁液の磁気分離中の透明度と時間の関係のデータを示す。粒子は直径230nmで、マグネタイト含有量は60%であり、分離手順は、半径方向の勾配が14T/mの円筒形磁力発生器を使用して実行された。透明度は、サンプルを白色LEDで照らし、反対側にLDRを配置することによって測定される。サンプル、LED、及び検出器は、磁力発生器によって定義されたシリンダー半径に対して位置合わせされ、垂直になっている。塗りつぶされた記号は、CRPを含まないサンプルとインキュベートした抗C反応性タンパク質(CRP)抗体懸濁液で官能化された磁気ビーズについて得られた透明度対時間のデータである。実線の記号曲線は、CRPを含まないサンプルとインキュベートした懸濁液に対応する。塗りつぶされていない記号曲線は、CRPサンプルとインキュベートされた懸濁液に対応する。分離手順の開始時(t=0)、両方の懸濁液は不透明であり、光は光検出器に送信されない。約10~20秒後、懸濁液は部分的に透明になり、入射光は部分的に検出器に透過し、60秒後に両方の懸濁液はほぼ完全に透明になる。実験データは、式:
V(t)=V+(V-V)/(1+(t/t50
に最小二乗法を使用して適合されている。ここで、VとVは最小及び最大の透明度である。
【0041】
CRP(塗りつぶされた記号)が存在しないサンプルのt50値は14.5秒である。塗りつぶされていないシンボル曲線のt50は8.7秒で、参照値の14.5秒よりも短いため、サンプルにCRPが存在するために磁気ビーズ凝集体が存在することを示す。この方法は、とりわけタンパク質、小分子、微生物、及びDNAの検出に適用することができる。
【0042】
図6は、図4a~4bで説明したデバイスを使用した、磁性粒子(直径240nm、フェライト含有量40%)の磁気分離中の時間に対する透明度データを示す。説明されているデバイスは、7T/mの磁場勾配を生成する。2つの磁性粒子懸濁液(0.001%w/v)を調製し、市販の分光光度計で350nmの波長で磁気分離手順を実行した。対象のDNA配列(塗りつぶされた記号)は、懸濁液の1つに存在しない。2番目(塗りつぶされていない記号)には、対象のDNAシーケンスが存在する。分離手順の開始時(t=0)、懸濁液中の磁性粒子が入射光を吸収し、光は部分的に検出器(分光光度計の検出器)を透過する。加えられた磁力の下で磁性粒子が壁に向かって移動し始めると、より多くの光が検出器に伝達される。手順の終了時に、透過率は最大に達し、手順の終了を示す。実験データは、最小二乗法を使用して、式
V(t)=V+(V-V)/(1+(t/t50
に対して調整されている。ここで、VとVは最小及び最大の透明度である。ターゲットDNAシーケンスのないサンプルの場合、取得されるt50は219秒である。塗りつぶされていないシンボルプロットの場合、176秒のt50が得られた。これは、DNAシーケンスの存在によって生成された凝集体の存在を示す。CRPを検出する例(図4)と比較すると、懸濁液中の磁性粒子の濃度が低いため、分離時間が長くなる。より高い磁気勾配を備えた磁力発生器を使用することにより、分離時間を短縮することができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「含む(comprende)」という用語及びその派生語(「含む(que comprende)」など)は、排他的な意味で理解されるべきではない。つまり、これらの用語は、記述及び定義されたものにち追加の要素、ステージなどが含まれる可能性を排除するものとして解釈されるべきではない。
【0044】
他方、本発明は、明らかに、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、請求項で定義されているとおり、当技術分野の任意の人が本発明の一般的な範囲内であると見なすことができる任意の変形も包含する(例えば、材料、寸法、コンポーネント、構成などの選択に関して)。
【0045】
請求項1
官能化された磁性粒子を含む懸濁液と混合された特定のサンプル中の生物学的又は化学物質の存在又は不在を検出するための方法であって、前記粒子は10と1000nmとの間の直径を有し、前記懸濁液の光学特性を監視することにより、当該方法は以下のステップ:
- 光源と検出器とを提供するステップ;
- 一定の磁場勾配を適用することにより、光の伝播方向に垂直な一定の磁力を提供するステップ、かつここで、磁場の絶対値は0.1Tよりも高くなる、ステップ;
- 前記磁性粒子の懸濁液の透明度と時間の変化を測定するステップ;
- 対象の生物学的又は化学的物質の存在下と非存在下での前記磁性粒子の懸濁液の透明度の経時変化を比較するステップ;
を含む方法。
請求項2
請求項1に記載の、官能化磁性粒子を含む懸濁液中の生物学的又は化学物質の存在を検出するための方法であって、ここで、磁力は、永久磁石を含む磁力発生器によって提供される方法。
請求項3
前記磁力発生器が、円筒形支持体内の四重極のハルバッハ進行に続く少なくとも4つの永久磁石によって形成される、請求項2に記載の方法。
請求項4
前記磁力発生器が、反対の極性を有する2組の磁石によって形成される、請求項2に記載の方法。
請求項5
前記検出器が分光光度計である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
請求項6
前記粒子の磁気モーメントが10-16A/m未満である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
請求項7
前記光源がUV-可視光源である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5
図6