(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】2つのロッカアームおよび折り畳み機構を備えるバルブ作動システム
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20230418BHJP
【FI】
F01L13/00 302B
(21)【出願番号】P 2021532000
(86)(22)【出願日】2019-12-07
(86)【国際出願番号】 US2019065112
(87)【国際公開番号】W WO2020118283
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-04
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、マテイ
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ゲイブリエル エス.
(72)【発明者】
【氏名】マンデル、ジョン
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-175207(JP,A)
【文献】特開昭60-116808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0306016(US,A1)
【文献】特開2013-253550(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10155800(DE,A1)
【文献】特開平06-299819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/34- 1/356
F01L 9/00- 9/04
F01L 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンの気筒に付随する少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるためのシステムであって、
ロッカシャフト上に回転可能に取付けられ、主バルブ作動運動源から主バルブ作動運動を受容するように構成されている第1のハーフロッカアームと、
前記ロッカシャフト上に回転可能に取付けられ、前記少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるように構成されている第2のロッカアームと、
ボアの中にスライド可能に配置されたプランジャと機械的係止機構とを有し、油圧で制御される折り畳み機構であって、前記折り畳み機構は、前記第1のハーフロッカアームおよび前記第2のロッカアームに対して、第1の折り畳み機構状態において、前記第1のハーフロッカアームから前記第2のロッカアームに主バルブ作動運動を伝達し、第2の折り畳み機構状態において、前記第1のハーフロッカアームから前記第2のロッカアームに前記主バルブ作動運動を伝達するのを防止するように構成されている
、折り畳み機構と、を備え
、
前記機械的係止機構が、前記プランジャが前記ボア内でスライドすることを防止して、前記第1の折り畳み機構状態の間に前記プランジャを延伸位置に維持し、前記第2の折り畳み機構状態の間に前記プランジャが前記ボア内で往復することを許容し、
前記第1のハーフロッカアームまたは前記第2のロッカアームのいずれかが、前記折り畳み機構と連通する油圧通路を備える、
システム。
【請求項2】
前記折り畳み機構を前記第1の折り畳み機構状態から前記第2の折り畳み機構状態に、またはその逆に遷移させるように構成された制御システムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記折り畳み機構が、前記第1のハーフロッカアームに配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のロッカアームが、折り畳み機構接触面を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記折り畳み機構が、前記第2のロッカアームに配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のハーフロッカアームが、前記第1のハーフロッカアームを前記主バルブ作動運動源と接触させるように付勢するための弾性要素と協働的に係合するように構成された弾性要素接触面を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のハーフロッカアームまたは前記第2のロッカアームのいずれかが、油圧式ラッシュアジャスタを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記折り畳み機構によって前記油圧式ラッシュアジャスタに加えられる付勢力を制限するように構成されている移動制限器をさらに備える、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2のロッカアームが、第2のハーフロッカアームである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のハーフロッカアームを前記主バルブ作動運動源と接触するように付勢するために、前記第1のハーフロッカアームと前記第2のロッカアームとの間に配置されている弾性要素をさらに備える、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のロッカアームが、補助バルブ作動運動源から補助バルブ作動運動を受容するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2のロッカアームが、第1のアクチュエータ状態において、前記第2のロッカアームから前記少なくとも1つのエンジンバルブへ前記補助バルブ作動運動を伝達するため、第2のアクチュエータ状態において、前記第2のロッカアームから前記少なくとも1つのエンジンバルブへの前記補助バルブ作動運動の伝達を防止するため、前記第2のロッカアームに対して構成された油圧式制御アクチュエータおよび少なくとも1つのエンジンバルブを備える、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記主バルブ作動運動源が、前記折り畳み機構が前記第1の折り畳み機構状態で動作し、かつ前記
油圧式制御アクチュエータが前記第1のアクチュエータ状態で動作している場合に、少なくとも1つのエンジンバルブの閉鎖速度を制御するように構成された少なくともサブベースサークル閉鎖ランプを有するカムを備える、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記主バルブ作動運動源が、前記折り畳み機構が前記第1の折り畳み機構状態にある間、前記第2のロッカアームが前記主バルブ作動運動と前記補助バルブ作動運動とを同時に伝達するように、前記油圧式制御アクチュエータの延伸を可能にするように構成された少なくともサブベースサークルを有するカムを備える、請求項
12に記載のシステム。
【請求項15】
前記折り畳み機構を前記第1の折り畳み機構状態から前記第2の折り畳み機構状態に遷移する前に、前記油圧式制御アクチュエータを前記第2のアクチュエータ状態から前記第1のアクチュエータ状態に遷移するように構成されている制御システムをさらに備える、請求項
12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月7日に出願された「VALVE ACTUATION SYSTEM COMPRISING TWO ROCKER ARMS AND A COLLAPSING MECHANISM」と題された同時係属仮特許出願番号第62/776,935号の利益を主張し、その同時係属仮特許出願の教示は参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、同日付で出願された、バルブ護士整理番号JVSPP090USを有する「VALVE ACTUATION SYSTEM COMPRISING AT LEAST TWO ROCKER ARMS AND A ONE-WAY COUPLING MECHANISM」と題された同時係属出願に関連している。
【0002】
本開示は、概して、内燃エンジンにおけるバルブ作動システムに関し、詳細には、2本のロッカアームおよび折り畳み機構に基づくバルブ作動システムに関する。
【背景技術】
【0003】
内燃エンジンにおいて使用されるバルブ作動システムは、当技術分野で周知である。いくつかのバルブ作動システムは、いわゆる補助バルブ作動運動、すなわち、燃料の燃焼を通じて正の動力生成モードでエンジンを動作させるために使用されるバルブ作動運動(主バルブ作動運動とたびたび言及される)以外の、またはそれに加えて、バルブ作動運動を提供するように構成される。このような補助バルブ作動運動には、制限するものではないが、エンジンの気筒が、本質的に空気圧縮機として機能するように燃料なしの状態で動作され、それによって車両のドライブトレインを介して車両減速力を提供する圧縮解放エンジンブレーキが含まれる。いわゆる高出力密度(HPD)圧縮解放エンジンブレーキは、エンジンの各サイクルに2つの圧縮解放動作を提供し、これは、エンジンの各サイクルに単一の圧縮解放動作のみが提供される先行技術の圧縮解放システムと比較して、増加された抑制動力を提供する。このようなHPDシステムでは、HPDエンジンブレーキを実施する補助バルブ作動運動を優先して、主バルブ作動運動が「失われる」(エンジンバルブに伝達されない)ようにする必要がある。
【0004】
主動作運動が失われるのを促進するために、HPDバルブ作動システムは、例えば、米国特許番号8,936,006号および/または米国特許出願公開番号第2014/0245992号に記載されているように、バルブブリッジに折り畳み機構を組み込むことが知られている。これらの先行技術のシステムでは、折り畳み機構は、機械的に係止された状態において、バルブの作動運動がバルブブリッジを介して伝達されることを可能にし、機械的に係止解除された状態において、折り畳み機構に、いかなる適用されたバルブ作動運動も吸収させて、バルブブリッジを介したそれらの伝達を防止する油圧制御の係止機構を備える。
【0005】
さらに、他の有益点の中でもとりわけ、燃料効率を改善し、テールパイプ排出量を削減するために、いわゆる気筒停止(CDA)は、多くの内燃エンジンにおいて望ましい機能である。折り畳みバルブブリッジは、この目的にも使用され得る。
【0006】
しかしながら、いくつかの場合では、バルブブリッジに展開された折り畳み機構が実装不可能であるか(例えば、十分な空間の不足または折り畳み機構を収容できないガイド付きバルブブリッジの使用のため)、またはバルブブリッジが望ましくない。結果として、CDAの提供を容易にするバルブ作動システム、および/または従来のまたはHPDエンジンブレーキなどの補助バルブ作動は、当技術分野の歓迎すべき進歩を代表し得る。
【発明の概要】
【0007】
先行技術の解決策の上述の欠点は、主バルブ作動運動源からの主バルブ作動運動を受容するように構成されている、第1のハーフロッカアームおよび少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるように構成されている、第2のロッカアームを備える、少なくとも1つのエンジンバルブを作動させるためのシステムの提供を通じて対処される。第1の折り畳み機構状態において、第1のハーフロッカアームから第2のロッカアームに主バルブ作動運動を伝達するため、かつ第2の折り畳み機構状態において、第1のハーフロッカアームから第2のロッカアームへの主バルブ作動運動の伝達を防止するために、第1のハーフロッカアームおよび第2のロッカアームに対して、折り畳み機構も提供および構成される。折り畳み機構は、第1のハーフロッカアームまたは第2のロッカアームに配置され得、折り畳み機構を含まないロッカアームには、折り畳み機構接触面が設けられ、さらなる実施形態では、折り畳み機構は、油圧式制御係止機構を備え得る。第1のハーフロッカアームは、第1のハーフロッカアームを主バルブ作動運動源と接触するように付勢するための弾性要素と協働的に係合するように構成された弾性要素接触面を備え得る。第1のハーフロッカアームまたは第2のロッカアームのいずれかは、油圧式ラッシュアジャスタを備え得る。この場合、折り畳み機構によって油圧式ラッシュアジャスタに加えられる付勢力を制限する移動制限器も設けられ得る。
【0008】
一実施形態では、第2のロッカアームは、第2のハーフロッカアームである。この実施形態では、システムは、第1のハーフロッカアームと第2のロッカアームとの間に配置され、かつ第1のハーフロッカアームを主バルブ作動運動源と接触するように付勢する弾性要素をさらに備え得る。
【0009】
別の実施形態では、第2のロッカアームは、補助バルブ作動運動源から補助バルブ作動運動を受容するようにさらに構成される。この実施形態では、第2のロッカアームは、第1のアクチュエータ状態において、補助バルブ作動運動を第2のロッカアームから少なくとも1つのエンジンバルブへ伝達するため、第2のアクチュエータ状態において、第2のロッカアームから少なくとも1つのエンジンバルブへの補助バルブ作動運動の伝達を防止するため、第2のロッカアームに対して構成された油圧式制御アクチュエータおよび少なくとも1つのエンジンバルブを備え得る。さらに、この実施形態では、主バルブ作動運動源は、折り畳み機構が第1の折り畳み機構状態で動作し、かつアクチュエータが第1のアクチュエータ状態で動作している場合に、少なくとも1つのエンジンバルブの閉鎖速度を制御するように構成された少なくともサブベースサークル閉鎖ランプを有するカムを備え得る。さらに、主バルブ作動運動源は、第2のロッカアームが主バルブ作動運動と補助バルブ作動運動とを同時に伝達するように、折り畳み機構が第1の折り畳み機構状態にある間に、油圧式制御アクチュエータの延伸を可能にするように構成された少なくともサブベースサークルを有するカムを備え得る。この実施形態によるシステムは、折り畳み機構を第1の折り畳み機構状態から第2の折り畳み機構状態に遷移する前に、油圧式制御アクチュエータを第2のアクチュエータ状態から第1のアクチュエータ状態に遷移するように構成された制御システムをさらに備え得る。
【0010】
本開示に説明されている特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。これらの特徴および付随する有益点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を検討することから明らかになるであろう。ここで、1つ以上の実施形態を例としてのみ、添付の図面を参照して説明し、そこでは同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1の実施形態によるバルブ作動システムの概略図である。
【
図2】
図1の実施形態に係るバルブ作動システムの一例の上等角図である。
【
図3】
図1の実施形態に係るバルブ作動システムの一例の下等角図である。
【
図4】
図1の実施形態に係るバルブ作動システムの一例の側面断面図である。
【
図5】本開示の第2の実施形態によるバルブ作動システムの概略図である。
【
図6】
図5の実施形態に係るバルブ作動システムの一例の右上等角図である。
【
図7】
図5の実施形態に係るバルブ作動システムの一例の上面図である。
【
図8】
図5の実施形態に係るバルブ作動システムの一例の左上等角図である。
【
図9】
図5の実施形態に係るバルブ作動システムの一例の
図6の断面線IX-IXに沿った右側断面側面図である。
【
図10】
図5の実施形態に係るバルブ作動システムの一例の
図6の断面線X-Xに沿った左側断面側面図である。
【
図11】本開示による主バルブ作動運動源の排気バルブ運動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、主バルブ作動運動源102によって提供されるバルブ作動運動が、第1および第2のロッカ104、106を介して、1つ以上のエンジンバルブ108(内燃エンジン100の気筒109に関連付けられる)に伝達されるように、選択的に結合され得る第1のロッカアーム104および第2のロッカアーム106を備える、バルブ作動システム101を概略的に示す。代替的に、第1および第2のロッカアーム104、106は、第1のロッカアーム104に加えられたバルブ作動運動が第2のロッカアーム106に伝達されないように、すなわちバルブ作動運動が失われるように、互いに選択的に結合解除され得る。当技術分野で知られているように、エンジンバルブ108は、吸気バルブ、排気バルブ、または補助バルブを備え得、一実施形態では、別個のバルブ作動システム101を、単一の気筒、例えば、気筒の吸気バルブ用のバルブ作動システム101および同じ気筒の排気用のバルブ作動システム101の1つのインスタンスに関連する異なるエンジンバルブタイプについて別個に提供することができる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「結合された」という用語は、構成要素の一方に適用されるバルブ作動運動の少なくとも一部が、必ずしも固定または双方向接続を必要とせずに他方の構成要素に伝達されるように、構成要素間の十分な通信を指し、さらに「結合解除された」という用語は、バルブの作動運動がそれらの構成要素を介して伝達されないような、構成要素間の通信の欠如または不十分を指す。したがって、例えば、単に互いに接触する構成要素は、ある構成要素から別の構成要素へのバルブ作動運動の伝達が達成される程度まで結合され得る。代替的に、互いに接触しているが、ある構成要素から別の構成要素へのバルブ作動運動の伝達をもたらさない構成要素(例えば、本明細書に記載の係止解除された係止機構の場合のように)は結合解除される。さらに別の代替案として、結合解除は、2つの構成要素間に十分な量のクリアランスまたはラッシュ空間を確立することから生じ得、その結果、一方の構成要素に加えられたすべてのバルブ作動運動は、他方の構成要素に伝達される前に失われる。しかしながら、2つの構成要素間にラッシュ空間を確立しても、すべてではないが一部の適用されたバルブ作動運動が伝達されるため、これらの構成要素間の結合と見なされる。
【0014】
これに関係なく、第1および第2のロッカアーム104、106の結合/結合解除は、図示のように、第1または第2のロッカアーム104、106のいずれかに配置された折り畳み機構110、112を使用することによって達成することができる。
図1の折り畳み機構110、112の代替的な構成を示しているにもかかわらず、システム101には単一の折り畳み機構のみが提供されていることに留意されたい。現在好ましい実施形態では、折り畳み機構110は、第1のロッカアーム104内に配置されている。折り畳み機構110、112は、米国特許第9,790,824号に記載されているタイプの油圧式作動係止機構を備え得、その米国特許の教示は、この参照により本明細書に組み込まれる(その例は、
図4および10を参照して以下に示される)。代替的に、機械的係止機構に依存するのではなく、当技術分野で知られているように、制御バルブを使用して折り畳み機構を実装して、ピストンまたは同様の構成要素を延伸された位置で堅固に維持させる閉じ込められた容量の油圧流体を製造することができるが、それ以外の場合は、閉じ込められた量の油圧流体が解放されると後退する。さらに、当業者は、折り畳み機構が油圧作動装置に限定される必要はなく、代わりに空気圧または電磁的に実施され得ることを理解するであろう。
【0015】
それがどのように実施されるかに関係なく、折り畳み機構110、112は、第1および第2のロッカアーム104、106が結合される、第1の折り畳み機構状態、または第1および第2のロッカアーム104、106が結合解除される、第2の折り畳み機構状態に維持され得る。折り畳み機構110、112が第2の折り畳み機構状態で動作されると、すべてのバルブ作動運動が失われるので、気筒109は、停止状態に維持することができ、すなわち、正の動力を生成することができない。
【0016】
図1にさらに示されるように、制御システム114は、結合機構110、112の第1の折り畳み機構状態から第2の折り畳み機構状態への、およびその逆の遷移を制御するために提供される。例えば、折り畳み機構110、112が油圧制御された係止機構を備える場合、制御システム114は、当技術分野でも知られている、1つ以上の高速ソレノイドと通信する、当技術分野でも知られている好適なエンジン制御ユニット(ECU)を備え得る。この場合、ECUは、高速ソレノイドを制御して、油圧流体を折り畳み機構110、112に供給するか、または油圧流体の流れを折り畳み機構110、112に制限し、それによって、折り畳み機構の動作状態を制御することができる。所与のエンジン100が複数のバルブ作動システム101(単一の気筒内および/またはエンジン内の複数の気筒にわたる別個のバルブタイプに対応する)を備え得る程度で、ECUは、この目的のために、複数のバルブ作動システム101への油圧流体を制御する単一のソレノイド、または個別のバルブ作動システム101またはバルブ作動システム101のサブグループをそれぞれ制御する複数のソレノイドと通信し得る。
【0017】
図1に示されるシステム101によるバルブ作動システムの例は、
図2~4に関してさらに示される。図示されるように、この実施形態では、第1および第2のロッカアーム204、206はそれぞれ、ロッカシャフト(図示せず)上に回転可能に配置されたハーフロッカを備える。第1のロッカ204の場合、ハーフロッカは、当技術分野で知られているような、カムシャフト(図示せず)上にあるカムの形態でバルブ作動運動源からバルブ作動運動を受容するように構成された好適なフォロア302(ローラフォロワが
図4に示されている)を備える。
図3に最もよく示されるように、第2のロッカアーム206はU字形であり、ロッカシャフトを受容するためのロッカシャフト開口部216(1つのみを図示)をそれぞれが有する2つのアーム304、306を備える。アーム304、306は、(それぞれのロッカシャフト開口部に対して)それらの遠位端部で、アーム304、306が一斉に動くように拘束されるように、クロス部材308によって一緒に結合される。図示されるように、第2のロッカアーム206のアーム304、306は、第1のロッカアーム204がそれらの間に適合するのに十分な空間を提供するために、それぞれから離間されている。第1のロッカアーム204の一部204aは、同様のロッカシャフト開口部(図示せず)を画定する。第2のロッカアーム206は、
図4に最もよく示されるように、折り畳み機構接触面404を提供する接触ボス218を備えるが、その動作は、以下でさらに詳細に説明される。同様に、一対のエンジンバルブボス210、212が第2のロッカアーム206に提供され、ボス210、212は、一対のエンジンバルブ(図示せず)と整列するように構成される。スイベル211、213は、エンジンバルブと接触するために、対応するエンジンバルブボス210、212から下向きに延伸し得る。一実施形態では、バルブボス210、212のそれぞれは、当技術分野で知られているように、油圧式ラッシュアジャスタを備え得る。この場合、第2のロッカアーム206は、油圧式ラッシュアジャスタに油圧流体の連続供給を提供するための油圧通路を含み得る。
【0018】
図4に最もよく示されるように、第1のロッカアーム204は、第1のロッカアーム204に形成されたボア401内に配置された折り畳み機構402を備え、折り畳み機構402は、折り畳み機構接触面404との接触を確立する。特に、
図4に示される折り畳み機構402は、ボア401内に配置されたハウジング410を備える、油圧式作動係止機構である。ハウジング410は、例えば、ハウジング410とハウジングボア401との間の保持リングとのねじ込み係合、締まりばめまたはスリップばめによって、ハウジングボア401内に固定的に保持される。ハウジング410は、図示の実施形態で提供されるが、本明細書で説明されるハウジング410の特徴は、第3のロッカアーム700の本体に直接提供され得ることであるということが理解される。これに関係なく、次に、ハウジング410は、その中にスライド可能に配置された外側プランジャ412を有するボア411を備える。ボア401の外に延伸する外側プランジャ412の端部は、ボール422およびスイベル424を有するキャップ422によって終端され、これらは、図示されるように、折り畳み機構接触面404との接触を集合的に確立する。外側プランジャ412はまた、内側プランジャ414がその中にスライド可能に配置されたボア413を有する。図示の実施形態では、係止ばね420は、内側プランジャ414を外側プランジャボア413の中に付勢する。係止ばね420によって提供される付勢力が対抗されない限り、内側プランジャ414は、外側プランジャボア413に付勢され、それによって、係止要素416が、外側プランジャ412の側壁に形成された開口部を通って延伸する。さらに図示されるように、ハウジング410は、その内壁に形成された外側凹部418を有する。係止要素416が延伸され、外側凹部418と位置合わせされる場合、外側プランジャ412は、ハウジングボア411内でスライドすることが機械的に防止され、すなわち、ハウジング410に対して係止されて、外側プランジャ412が第1のロッカアーム204に適用されるバルブ作動運動に関係なく、延伸された位置に維持される。その結果、第1のロッカアーム204に加えられたバルブ作動運動は、折り畳み機構402および折り畳み機構接触面404を介して第2のロッカアーム206に伝達され、すなわち、折り畳み機構は、第1の折り畳み機構状態で動作される。
【0019】
ハウジング410はまた、その外側側壁表面に形成された環状チャネル430と、第1のロッカアーム204に形成された通路(図示せず)から油圧流体を受容することができるその側壁を通って延伸する半径方向開口部432とを備える。このように供給された油圧流体は、油圧流体によって加えられる圧力が係止ばね420によって提供される付勢によって提供される付勢を打ち消し、さらに内側プランジャ414を、外側プランジャボア413からスライドして外れさせるように、外側プランジャボア413(図示されていないが、外側プランジャ413における開口部を介して)の中にさらに経路が定められ得る。そうすることにより、内側プランジャ414の直径が縮小された部分が係止要素416と整列し、それにより、係止要素416が後退され、外側の凹部418から外れることが可能になる。この状態では、外側プランジャ412は、ハウジングボア411内にさらにスライドすることができ、すなわち、係止解除される。その結果、第1のロッカアーム204に適用されるバルブ作動運動は、そのような運動が単に外側プランジャ412をハウジングボア410内で往復運動させる、すなわち折り畳み機構が第2の折り畳み機構状態において動作される程度に、折り畳み機構402を介して第2のロッカアーム206に伝達されない。
【0020】
上述のように、油圧式ラッシュアジャスタは、本明細書に記載のシステムで提供され得る。一実施形態では、移動制限器は、第2の折り畳み機構状態(すなわち、係止解除)にある場合に、折り畳み機構402によって油圧式ラッシュアジャスタに加えられる付勢を制限するために提供され得る。油圧式ラッシュアジャスタおよび移動制限器の使用例を、
図10に関連して以下でさらに詳細に説明する。しかしながら、そこに記載されている原理は、そこに記載されている実施形態のいずれにも等しく適用され得ることが理解される。
【0021】
図2~4にさらに示されるように、弾性要素214(図示されるような圧縮ばねなど)は、第1のロッカ204、206の間に提供され得る。
図4に最もよく示されるように、弾性要素214は、外側プランジャ412、キャップ422、ボール422、およびスイベル424の周りに配置され、さらに、一方の端部で第1のロッカアーム204に当接し、他方の端部で第2のロッカアーム206に当接する。この実施形態では、弾性要素214の端部は、折り畳み機構接触面404で第2のロッカアーム206に当接するが、当業者は、これが要件ではないことを理解するであろう。このように構成された弾性要素214は、第1のロッカアーム204を第2のロッカアーム206から離れるように付勢し、運動源と接触させる。
【0022】
再度、折り畳み機構402および対応する折り畳み機構接触面404の展開は、
図2~4に示される構成から逆にすることができ、すなわち、折り畳み機構402は、第2のロッカアーム206に、さらに第1のロッカアーム204に設けられた折り畳み機構接触面404に設けられることに留意されたい。
【0023】
ここで、
図5に概略的に示されている第2の実施形態を参照すると、システム501は、第1のロッカアーム504および第2のロッカアーム506を備える。この場合、第1のロッカアーム504は、再び、主バルブ作動運動源502からバルブ作動運動を受容するように構成されたハーフロッカアームである。本明細書で使用される場合、記述子「主」は、エンジンの正の動力生成状態の間に使用されるバルブ作動運動を指す。他方、第2のロッカアーム506は、補助バルブ作動運動源520からバルブ作動運動を受容するように構成され、さらに、主および/または補助バルブ作動運動を1つ以上のエンジンバルブ108に伝達するように構成される。本明細書で使用される場合、記述子「補助」は、例えば、様々なタイプのエンジンブレーキ、後期吸気バルブ閉鎖(LIVC)、早期排気バルブ開放(EEVO)のような、正の動力生成に加えて、またはその代わりに、エンジン動作の状態中に使用されるバルブ作動運動を指す。
図1に示される第1の実施形態の場合のように、上述のタイプの折り畳み機構510、512が、第1のロッカアーム504または第2のロッカアーム506のいずれかに提供される(この実施形態では、第2のロッカアーム506に折り畳み機構512を展開することが好ましい)。さらに、この第2の実施形態では、第2のロッカアーム506は、アクチュエータ524、例えば、第2のロッカアーム506から延伸または後退するように選択的に制御され得る油圧起動アクチュエータが任意選択的に提供される。
図1の場合のように、折り畳み機構510、512は、制御を使用して、主および第2のロッカアーム504、506を結合/結合解除するように、すなわち、上述のように、制御システム114を使用して、第1および第2の折り畳み機構状態で動作するように制御され得る。アクチュエータ524は、同様に、制御システム114によって制御されて、補助バルブ作動運動源520から受容されたバルブ作動運動をバルブ108に伝送するか、またはそのような運動の伝達を防止する(すなわち、それらを失う)。
【0024】
折り畳み機構510、512およびアクチュエータ524の選択的動作を通じて、
図5に示されるシステムを使用して、いくつかの異なるエンジン動作モードをサポートすることができる。折り畳み機構510、512およびアクチュエータ524の両方が起動されていない(または「オン」状態にない)第1の状態では、主運動源502または補助運動源520のどちらからのバルブ作動運動もエンジンバルブ108に伝達されず、それにより、対応する気筒109を効果的に停止させる。折り畳み機構510、512が起動されるが、アクチュエータ524が起動されない、第2の状態では、典型的な正の動力動作の場合のように、主運動源502からのバルブ作動運動のみがバルブ108に伝達される。折り畳み機構510、512が起動されないが、アクチュエータ524が起動される、第3の状態では、例えば、HPDエンジンブレーキ動作中、または主動作を早期または後期に閉鎖するための低リフト主バルブ作動動作中の場合に、補助運動源520からのバルブ作動運動のみがバルブ108に伝達される。折り畳み機構510、512が起動され、アクチュエータ524が起動される第4の状態では、例えば、従来の(非HPD)圧縮開放エンジンブレーキ、LIVCまたはEEVOの場合に、主運動源502および補助運動源520の両方からのバルブ作動運動がバルブ108に伝達される。さらに、この第4の動作状態は、以下でさらに説明するように、エンジン動作状態間、例えば、正出力動作とエンジンブレーキ動作(または他の補助動作)との間、およびその逆に遷移する場合にも望ましい場合がある。
【0025】
図5のシステム501による実施形態の例が、
図6~10をさらに参照して示されている。図示されるように、システムは、その中に形成されたロッカシャフト開口部
805、612を介してロッカシャフト(図示せず)に回転可能に取り付けるように構成された第1のロッカアーム604および第2のロッカアーム606を備える。第1のロッカアーム604は、ハーフロッカアームであり、主動作バルブ作動運動源(図示しないが、例えば、カム)からバルブ作動運動を受容するローラフォロワ803(
図8および10)を備える。第1のロッカアーム604は、
図8および10に最もよく示されるように、調整可能な接触面608および付勢ばねシート610をさらに備える。
図10にさらに示されるように、調整可能な接触面608(または折り畳み機構接触面)は、ボルト1002に取り付けられ、係止ナット1004で固定されたスイベルを備える。ボルト1002は、当技術分野で知られている手動のラッシュ調整ボルトのように、調整可能な接触面608が第1のロッカアーム604から離れて延伸する距離を調整するように回転させることができる。付勢ばねシート610は、第1のロッカアーム604に付勢力を適用し、それによって第1のロッカアーム604を主バルブ作動運動源と接触させるように付勢する弾性要素(図示せず)を受容するように構成される。図示の実施形態では、この弾性要素は、固定面(図示せず)にさらに接触する。しかしながら、
図2~4に示されているものと同様の、すなわち、第1および第2のロッカ604、606の間に配置された弾性要素を等しく使用できることが理解される。
【0026】
第2のロッカアーム606は、補助バルブ作動運動源(図示しないが、例えば、カム)からバルブ作動運動を受容するためにその上に取り付けられたローラフォロワ704を有する運動受容端部702を有する。補助またはブレーキロッカアーム606はまた、1つ以上のエンジンバルブに接触するように構成された運動付与端部706を有する(多くの場合、当技術分野で知られているバルブブリッジを介して)。
【0027】
図7、8および10に最もよく示されるように、第2のロッカアーム606はまた、2つの油圧式作動構成要素、すなわち折り畳み機構616およびアクチュエータ802を含む。図示の実施形態では、折り畳み機構616は、第2のロッカアーム606から第1のロッカアーム604に向かって横方向に延伸する折り畳み機構ボス614内に存在する。付加的に、アクチュエータ802は、第2のロッカアーム606の運動付与端部706で形成されたアクチュエータボス804内に存在する。折り畳み機構616およびアクチュエータ802が油圧で作動される実施形態では、油圧流体は、既知の技術によって、第2のロッカアーム606およびロッカシャフトに形成された油圧通路(図示せず)を介して折り畳み機構616およびアクチュエータ802に提供され得る。
【0028】
図9に最もよく示されるように、アクチュエータ802は、アクチュエータボス804に形成されたボア902内に存在し、アクチュエータボア902内にスライド可能に配置されたアクチュエータピストン904を備える。図示されるように、手動ラッシュ調整組立体908がボア902に提供され、アクチュエータピストン904は、ラッシュ調整組立体908とアクチュエータピストン904との間に挿入されたアクチュエータ付勢ばね906によってボア902に付勢される。さらに、制御バルブ618は、第2のロッカアーム606に設けられている。当技術分野で知られているように、油圧流体は、制御バルブ618および第2のロッカアーム606の油圧通路(図示せず)を介してアクチュエータボア902に送られ得る。制御バルブ618を介してボア902に油圧が加えられると、アクチュエータピストン906はボア902から延伸し、当技術分野で知られているように、制御バルブ618によって提供される油圧流体の係止された量により、この延伸位置(すなわち、第1のアクチュエータ状態)に堅固に維持される。他方、制御バルブ618(およびその結果としてボア902)に加えられる油圧がないことにより、係止された油圧流体が解放され、それによってアクチュエータピストン904がボア902内で自由にスライドできるようになる(すなわち、第2のアクチュエータ状態)。
【0029】
図10に最もよく示されているように、折り畳み機構616は、上述のタイプと実質的に同様の油圧式作動係止機構を備え得(
図4と比較して)、折り畳み機構616は、制御され得る1つ以上の係止要素416を備え、折り畳み機構が第1のロッカアーム604の調整可能な接触面608に堅固に接触するように、内側プランジャ414の動作を介して、外側プランジャ412を所定の位置に、例えば、ハウジング410に対して延伸位置に係止する。他方、前のように、係止要素416は、外側プランジャ412が、この場合、外側プランジャ付勢ばね1006によって提供される付勢の効力によって、調整可能な接触面608に接触したまま、外側プランジャ412がハウジングボア内で自由にスライドできるようにする。
【0030】
一実施形態では、折り畳み機構616は、エンジンの正の動力動作中などに係止状態に維持されると、折り畳み機構616と調整可能な接触面608との間の接触の効力により、第2のロッカアーム606が第1のロッカアーム604から運動を受容することを可能にする。対照的に、エンジンの補助またはエンジンブレーキ動作中などの係止解除状態に維持されると、折り畳み機構616は、第1のロッカアーム604によって提供されるバルブ作動運動を吸収し、それによってそのような運動が第2のロッカアーム606およびエンジンバルブに伝達されるのを防止する。
【0031】
図10は、折り畳み機構616と協働して油圧式ラッシュアジャスタ1008の適切な動作を確実にするための任意選択的な油圧式ラッシュアジャスタ1008および移動制限器1010の使用をさらに示す。この例では、油圧式ラッシュアジャスタ1008は、ボルト1002が配置されている第1のロッカアーム604に配置されている。この場合、油圧式ラッシュアジャスタ1008が存在するので、ボルト1002は、ラッシュ調整に必要とされない。折り畳み機構の第2の状態(すなわち、係止解除)で動作されると、外側プランジャ付勢ばね1006によって提供される付勢は、外側プランジャ412を油圧式ラッシュアジャスタ1008に対して継続的に押し付け、最終的に油圧式ラッシュアジャスタ1008を完全に折り畳ませる。これが発生するのを防止するために、折り畳み機構が折り畳み機構の第2の状態にある場合に外側プランジャ412がバルブ作動運動を吸収することを依然として可能にするために、移動制限器1010が設けられ、外側プランジャ412が油圧式ラッシュアジャスタ1008に対して継続的に反力を自由に提供しないようにし得る。したがって、図示の例では、外側プランジャ412は、図示されるように、例示の移動制限器1010を備えている。外側プランジャ412が自由に往復運動できる場合、ハウジングボアからのその移動(すなわち、
図10の図では左方向)は、第2のロッカアーム606の外側面に当接するように構成されたワッシャ/ナット組立体を含む移動制限器1010によって制限される。このようにして、外側プランジャ付勢ばね1006が、油圧式ラッシュアジャスタ1008の折り畳みを引き起こし、その目的を損なうことを防止する。さらに、折り畳み機構が折り畳み機構の第1の状態にある(すなわち、係止されている)場合、外側プランジャ412の最大移動距離は、係止要素416がハウジングの凹部内のその両側にラッシュ空間を有するように配置されるように選択される。このようにして、ハウジングの凹部の側壁を有する係止要素416への摩擦負荷は最小化または完全に排除され、それにより、折り畳み機構616が折り畳み機構の第2の状態に切り替えられた場合に係止要素416の後退を容易にする。
【0032】
さらに、エンジンの正の出力動作中、アクチュエータ802は、第2のロッカアーム606のローラフォロワ704と補助バルブ作動運動源との間にラッシュ空間が発生することを可能にするように、第2のアクチュエータ状態に維持され、それによって補助バルブ作動運動がエンジンバルブに伝達されるのを防止する。一方、エンジンの補助動作中、アクチュエータ802は第1のアクチュエータ状態に維持され、それにより、補助バルブ作動運動が第2のロッカアーム606を介してエンジンバルブへ通過するように、ローラフォロワ704と補助バルブ作動運動源との間のラッシュを吸収する(一方、主動作運動は、上述のように、折り畳み機構616を介して、場合によっては、同時に失われるか、または失われない可能性がある)。
【0033】
図6~10に示されるシステムの一態様は、エンジンの正の動力動作とエンジンブレーキ動作(または他の補助動作)との間の遷移中に、およびその逆に、吸気逆流が発生する可能性である。例えば、エンジンブレーキのオン(すなわち、正の動力発生からエンジンブレーキ動作への遷移)中に、折り畳み機構616が、アクチュエータ802が完全に延伸する前に、係止解除または折り畳み状態に切り替わる可能性があり、エンジンブレーキバルブの作動運動をエンジンバルブに適用する前に、主動作バルブの作動運動が失われ、その結果、この間、排気バルブが開かれなくなる。遷移中に排気バルブを開くことができないため、吸気ロッカアームがより高い気筒圧力に逆らって開く。これらの高圧は、吸気マニホルドに逆流し、ターボチャージャのコンプレッサホイールに戻る可能性があり、これにより、望ましくないターボサージが発生する可能性がある。
【0034】
正の動力動作とエンジンブレーキ動作との間の遷移に関する上記の問題を回避するための1つのアプローチは、アクチュエータ802および折り畳み機構616のシーケンス制御である。したがって、一実施形態では、アクチュエータ802および折り畳み機構616は、折り畳み機構616を第1の折り畳み機構状態(すなわち、主バルブ作動運動を伝達する)から第2の折り畳み機構状態(すなわち、主バルブ作動運動を伝達する)に遷移する前に、アクチュエータ802が第2のアクチュエータ状態(すなわち、補助バルブ作動運動を伝達しないように)から第1の作動状態(すなわち、補助バルブ作動運動を伝達する)に遷移するように制御される(
図5に示されるような制御システム114を介して)。このようにして、アクチュエータ802が第1のアクチュエータ状態にあり、折り畳み機構616が第1の折り畳み機構状態にある間、主バルブおよび補助バルブの両方の作動運動が遷移中にエンジンバルブに伝達される。その後、折り畳み機構616は、第2の折り畳み機構状態で動作するように制御され、それにより、主バルブ作動運動が失われる。
【0035】
正の動力動作中、
図11に示されるタイプの主動作1102(下の破線の曲線)は、主バルブ動作1102の開始と終了にて、エンジンバルブの速度(特に、シート速度)を制御するカムのベースサークルレベルでのいわゆるランプ1102a~bを含む。他方で、上述のように、正の動力生成からエンジンブレーキに遷移する場合に、アクチュエータ802を完全に起動させる(つまり、完全に延伸することができるようにするため)のに十分な時間を提供するために、折り畳み機構616の停止を遅らせることが望ましい(つまり、動作を伝達するのではなく、動作を吸収させる)。しかしながら、そのような遷移中に、
図8に示される上部破線曲線1104のようなバルブリフトプロファイルの少なくとも一部は、折り畳み機構およびアクチュエータの両方が一定期間それらの延伸された状態(すなわち、運動伝達状態)にある可能性があるという事実により、エンジンバルブに提示され得る。制御されていないバルブ速度を防止するために、図示されるように、追加のランプ1104a~bが、開始ランプ1102aの前および終了ランプ1102bの後にサブベースサークルレベルで提供される。このようにして、エンジンバルブの開放および閉鎖速度は、上述のように折り畳み機構およびアクチュエータの遷移中に制御されている方法で進行することが保証される。さらに、提供されるサブベースサークルは、第1の折り畳み機構状態の折り畳み機構と第1のアクチュエータ状態のアクチュエータ、すなわち両方が完全に延伸された状態での同時動作を可能にするように構成され得る。
【0036】
特定の好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、当業者は、本発明の教示から逸脱することなく変更および修正を行うことができることを理解するであろう。したがって、上記の教示のありとあらゆる修正、変形、または同等物は、上記に開示され、本明細書で主張される基本的な基本原理の範囲内にあると考えられる。例えば、折り畳み機構の特定の実装が上述されているが、他のタイプの折り畳み機構が使用され得ることが理解される。さらに、
図5~10の実施形態はすべて、第2のロッカアーム606の運動付与端部706内に配置されているアクチュエータ802を示している。しかしながら、これは要件ではなく、アクチュエータは、作動されるフォロアの形で実装することができ、例えば、同様の方法で延伸および後退され得るピストン上に配置されたローラフォロワである。さらに、上記の実施形態のそれぞれにおいて、ロッカアームは、固定されたロッカシャフトの周りで旋回可能であるように構成される。しかしながら、2つのロッカは、互いに対して旋回するように構成することができることが理解される。例えば、第2のロッカアームが第1のロッカアームに取り付けられ、さらに第1のロッカアームによって提供される旋回のまわりで旋回可能であるように、さらに折り畳み機構が上述のように依然としてバルブ作動運動を吸収できるように、旋回がロッカアームの第1に提供される。