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特許7265013有機分子、有機分子の使用、組成物、光電子デバイス及び光電子デバイスを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】有機分子、有機分子の使用、組成物、光電子デバイス及び光電子デバイスを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20230418BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230418BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230418BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230418BHJP
   H01L 31/04 20140101ALI20230418BHJP
   H01L 29/00 20060101ALI20230418BHJP
【FI】
C07F5/02 D CSP
C09K11/06 660
H05B33/14 B
H05B33/10
H01L31/04
H01L29/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021535790
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2019082382
(87)【国際公開番号】W WO2020135953
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】18001021.7
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュック セバスティアン
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195669(WO,A1)
【文献】特開2014-024845(JP,A)
【文献】特開2014-058504(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108675985(CN,A)
【文献】国際公開第2018/202840(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの構造を有する有機分子であって、
【化1】

式I
式中、
nは、0または1であり;
m=1-nであり;
Xは、NまたはCRIIであり;
Vは、NまたはCRXVであり;
Wは、一重結合であり
は、
-C-アルキルであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの;
-C60-アリールであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの;および
-C57-ヘテロアリールであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの、からなる群から選択され;
、RII、RIII、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX、XI、RXII、RXIII、およびRXVIは互いに独立して、水素、
重水素、
N(R
OR
SR
Si(R
B(OR
OSO
CF
CN、
ハロゲン、
-C40-アルキルであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C40-アルコキシであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C40-チオアルコキシであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C40-アルケニルであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C40-アルキニルであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C60-アリールであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの;および
-C57-ヘテロアリールであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの、からなる群から選択され;
XVは、
水素、
重水素、
ハロゲン、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
SiMe
SiPh
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリミジニル、および
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいトリアジニル、からなる群から選択され;
ならびにRXIVは、
水素、
重水素、
Me、
Pr、
Bu、
SiMe
SiPh
Me、Pr、Bu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいカルバゾリル、
および、N(Ph)からなる群から選択され、
IVおよびRは、一緒に一重結合を形成してもよく、または互いに独立して、水素、
重水素、
N(R
OR
SR
Si(R
B(OR
OSO
CF
CN、
ハロゲン、
-C40-アルキルであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C40-アルコキシであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C40-チオアルコキシであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C40-アルケニルであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C40-アルキニルであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよく、および
一つ以上の非隣接のCH基が、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよいもの;
-C60-アリールであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの;および
-C57-ヘテロアリールであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの、からなる群から選択され;
は、各出現位置で互いに独立して、水素、重水素、OPh、SPh、CF、CN、F、Si(C-C-アルキル)、Si(Ph)
-C-アルキルであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C-アルコキシであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C-チオアルコキシであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C-アルケニルであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C-アルキニルであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C18-アリールであって、
一つ以上のC-C-アルキル置換基で置換されていてもよいもの;
-C17-ヘテロアリールであって、
一つ以上のC-C-アルキル置換基で置換されていてもよいもの;
N(C-C18-アリール)
N(C-C17-ヘテロアリール);および
N(C-C17-ヘテロアリール)(C-C18-アリール)、からなる群から選択され;
は、各出現位置で互いに独立して、水素、重水素、OPh、SPh、CF、CN、F、Si(C-C-アルキル)、Si(Ph)
-C-アルキルであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C-アルコキシであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C-チオアルコキシであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C-アルケニルであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C-アルキニルであって、
一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CFまたはFにより置換されていてもよいもの;
-C18-アリールであって、
一つ以上のC-C-アルキル置換基で置換されていてもよいもの;
-C17-ヘテロアリールであって、
一つ以上のC-C-アルキル置換基で置換されていてもよいもの;
N(C-C18-アリール)
N(C-C17-ヘテロアリール);および
N(C-C17-ヘテロアリール)(C-C18-アリール)、からなる群から選択され;
式中、R、R、RII、RIII、RVI、RVII、RVIII、RIX、R、RXI、RXII、RXIII、およびRXVIからなる群から選択される少なくとも一つの置換基が、前記少なくとも一つの置換基に隣接して位置する前記群からの一つ以上の置換基と、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族、および/またはベンゾ-縮合環系を形成してもよい、有機分子。
【請求項2】
IVおよびRは、一緒に一重結合を形成し、または互いに独立して、
水素、
重水素、
ハロゲン、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
SiMe
SiPh
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいトリアジニル、
および、N(Ph)からなる群から選択され;
ならびに
IXおよびRは、互いに独立して、
水素、
重水素、
ハロゲン、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
SiMe
SiPh
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいトリアジニル、
および、N(Ph)からなる群から選択される、請求項1に記載の有機分子。
【請求項3】
以下の式IIの構造を有する、請求項1または2に記載の有機分子。
【化2】

式II
【請求項4】
以下の式IIIの構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機分子。
【化3】

式III
【請求項5】
XがCRIIであり、VがCRXVである、請求項1~4のいずれか一項に記載の有機分子。
【請求項6】
、RII、RIII、RVI、RVII、RVIII、RXI、RXII、RXIII、およびRXVIが互いに独立して、
水素、
重水素、
ハロゲン、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
SiMe
SiPh
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリミジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいカルバゾリル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいトリアジニル、
および、N(Ph)からなる群から選択され;
ならびに
は、
-C-アルキルであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの;
-C30-アリールであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの;および
-C30-ヘテロアリールであって、
一つ以上の置換基Rで置換されていてもよいもの、からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の有機分子。
【請求項7】
II、RVI、RVIII、RXI、およびRXIIIが互いに独立して、
水素、
重水素、
ハロゲン、
Me、
Pr、
Bu、
CN、
CF
SiMe
SiPh
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択
される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリジニル、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいピリミジニル、および
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいトリアジニル、からなる群から選択され;
ならびにR、RIII、RVII、RXII、およびRXVIは互いに独立して、
水素、
重水素、
Me、
Pr、
Bu、
SiMe
SiPh
Me、Pr、Bu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいカルバゾリル、
および、N(Ph)からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の有機分子。
【請求項8】
II、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVは互いに独立して、
水素、重水素、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh
Me、Pr、Bu、CN、CF、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、からなる群から選択され;
ならびに
、RIII、RVII、RXII、RXIV、およびRXVIは互いに独立して、水素、重水素、Me、Pr、Bu、SiMe、SiPh
Me、Pr、Bu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいPh、
Me、Bu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよいカルバゾリル、および
N(Ph)からなる群から選択される、請求項7に記載の有機分子。
【請求項9】
が、C6-30-アリールであり、
前記アリールは、Me、Pr、Bu、CN、CF、SiMe、SiPh、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい、請求項1~8のいずれか一項に記載の有機分子。
【請求項10】
光電子デバイスにおける発光体としての請求項1~9のいずれか一項に記載の有機分子の使用。
【請求項11】
前記光電子デバイスが、
・ 有機発光ダイオード(OLED)、
・ 発光電気化学セル、
・ OLEDセンサー、
・ 有機ダイオード、
・ 有機太陽電池、
・ 有機トランジスター、
・ 有機電界効果トランジスター、
・ 有機レーザー、および
・ ダウンコンバージョン素子、からなる群から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
(a) 発光体および/またはホストの形態での請求項1~9のいずれか一項に記載の有機分子、および
(b) 請求項1~9のいずれか一項に記載の有機分子とは異なる発光体材料および/またはホスト材料を含み、
(c) 染料および/または溶媒を含んでもよい、組成物。
【請求項13】
有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学セル、OLEDセンサー、有機ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスター、有機電界効果トランジスター、有機レーザーならびにダウンコンバージョン素子からなる群から選択されるデバイスの形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の有機分子、または請求項12に記載の組成物を含む、光電子デバイス。
【請求項14】
- 基板、
- アノード、
- カソード、
- 発光層、を備え、前記アノードまたは前記カソードが前記基板上に配置され、前記発光層が、前記アノードと前記カソードの間に配置され、前記有機分子または前記組成物を含む、請求項13に記載の光電子デバイス。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の有機分子、または請求項12に記載の組成物が使用され、真空蒸着法により、または溶液から、前記有機分子を処理することを含む、光電子デバイスを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光有機分子に関するものであり、ならびに有機発光ダイオード(OLED:organic light-emitting diode)および他の光電子デバイスにおける当該発光有機分子の使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、光電子デバイスにおける使用に適した分子を提供することである。
【0003】
この目的は、新規有機分子を提供する本発明により達成される。
【0004】
本発明によれば、有機分子は純粋な有機分子であり、すなわち、当該有機分子は、光電子デバイスにおける使用が公知である金属錯体とは異なり、いかなる金属イオンも含有しない。
【0005】
本発明によれば、有機分子は、青色、水色または緑色のスペクトル領域に発光極大を示す。有機分子は、特に420nm~520nm、好ましくは440nm~495nm、より好ましくは450nm~470nmにおいて発光極大を示す。本発明による有機分子のフォトルミネッセンス量子収率は、特に50%以上である。例えば、有機発光ダイオード(OLED)などの光電子デバイスにおける、本発明による分子の使用は、当該デバイスによる半値全幅(FWHM:full width at half maximum)により表される、より高い効率性、またはより高い色純度をもたらす。対応するOLEDは、公知の発光体材料および同等の色を備えたOLEDよりも高い安定性を有する。
【0006】
本発明の有機発光分子は、以下の式Iの構造を含む、または以下の式Iの構造からなり:
【化1】
式I
式中、
nは、0または1であり;
m=1‐n、すなわち、RVIIおよびRVIIIは、n=0の場合にのみ存在することができ;
Xは、NまたはCRIIであり;
Vは、NまたはCRXVである。
【0007】
Wは、一重結合、Si(R32、C(R32、およびBR3からなる群から選択される。
【0008】
本発明のある実施形態では、Wは、一重結合を表す。したがって、有機分子は、以下の式IIの構造を含むか、または以下の式IIの構造からからなる:
【化2】
式II
以下の定義が適用される:
1は、
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC1-C5-アルキル;
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC6-C60-アリール;および
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC3-C57-ヘテロアリール、からなる群から選択される。
【0009】
I、RII、RIII、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX、XI、RXII、RXIII、およびRXVIは互いに独立して、水素、重水素、N(R52、OR5、SR5、Si(R53、B(OR52、OSO25、CF3、CN、ハロゲン、
1-C40-アルキルであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
1-C40-アルコキシであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
1-C40-チオアルコキシであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
2-C40-アルケニルであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
2-C40-アルキニルであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
6-C60-アリールであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換されるもの;および
3-C57-ヘテロアリールであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換されるもの、からなる群から選択される。
IVおよびRVは、一緒に一重結合を形成してもよく、または互いに独立して、水素、重水素、N(R52、OR5、SR5、Si(R53、B(OR52、OSO25、CF3、CN、ハロゲン、
1-C40-アルキルであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
1-C40-アルコキシであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
1-C40-チオアルコキシであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
2-C40-アルケニルであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
2-C40-アルキニルであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換され、および
任意で一つ以上の非隣接のCH2基が、R5C=CR5、C≡C、Si(R52、Ge(R52、Sn(R52、C=O、C=S、C=Se、C=NR5、P(=O)(R5)、SO、SO2、NR5、O、SまたはCONR5により置換されるもの;
6-C60-アリールであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換されるもの;および
3-C57-ヘテロアリールであって、
任意で一つ以上の置換基R5で置換されるもの、からなる群から選択される。
5は、各出現位置で互いに独立して、水素、重水素、OPh、SPh、CF3、CN、F、Si(C1-C5-アルキル)3、Si(Ph)3
1-C5-アルキルであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
1-C5-アルコキシであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
1-C5-チオアルコキシであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
2-C5-アルケニルであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
2-C5-アルキニルであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
6-C18-アリールであって、
任意で一つ以上のC1-C5-アルキル置換基で置換されるもの;
3-C17-ヘテロアリールであって、
任意で一つ以上のC1-C5-アルキル置換基で置換されるもの;
N(C6-C18-アリール)2
N(C3-C17-ヘテロアリール)2;および
N(C3-C17-ヘテロアリール)(C6-C18-アリール)、からなる群から選択される。
6は、各出現位置で互いに独立して、水素、重水素、OPh、SPh、CF3、CN、F、Si(C1-C5-アルキル)3、Si(Ph)3
1-C5-アルキルであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
1-C5-アルコキシであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
1-C5-チオアルコキシであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
2-C5-アルケニルであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
2-C5-アルキニルであって、
任意で一つ以上の水素原子が互いに独立して、重水素、CN、CF3またはFにより置換されるもの;
6-C18-アリールであって、
任意で一つ以上のC1-C5-アルキル置換基で置換されるもの;
3-C17-ヘテロアリールであって、
任意で一つ以上のC1-C5-アルキル置換基で置換されるもの;
N(C6-C18-アリール)2
N(C3-C17-ヘテロアリール)2;および
N(C3-C17-ヘテロアリール)(C6-C18-アリール)、からなる群から選択される。
【0010】
任意で、R1、RI、RII、RIII、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX、RXI、RXII、RXIII、およびRXVIは、R1、RI、RII、RIII、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX、RXI、RXII、RXIII、およびRXVIからなる群から選択される一つ以上の隣接する置換基とともに、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族および/またはベンゾ-縮合環系を形成する。ある実施形態では、R1は、RIまたはRXVIとともに環系を形成する。
【0011】
IVおよびRVが一緒に一重結合を形成する場合、有機分子は、以下の式Iの環の構造を含むか、または以下の式Iの環の構造からなる。
【化3】
式Iの環
【0012】
本発明の有機分子の一つの実施形態では、Xは、Nであり、Vは、CRXVである。
【0013】
一つの実施形態において、Xは、CRIIであり、Vは、Nである。
【0014】
一つの実施形態において、XおよびVの両方が、各々Nである。
【0015】
別の実施形態において、Xは、CRIIであり、Vは、CRXVである。
【0016】
一つの実施形態において、RI、RII、RIII、RIV、RV、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、およびRXVIは各々Hである。
【0017】
一つ実施形態において、RIVおよびRVは、一緒に一重結合を形成するか、または互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0018】
一つ実施形態において、RIXおよびRXは、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0019】
ある実施形態において、RIVおよびRVは、一緒に一重結合を形成してもよく、または互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、
およびN(Ph)2からなる群から選択され;ならびに
IXおよびRXは、互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0020】
一つの実施形態において、Wは一重結合を表す。したがって、有機分子は、以下の式IIIの構造を含むか、または以下の式IIIの構造からからなる:
【化4】
式III
式中、上述の定義が適用される。
【0021】
ある実施形態において、有機分子は、以下の式IIaの構造を含むか、または以下の式IIaの構造からからなる:
【化5】
式IIa
式中、上述の定義が適用される。
【0022】
ある実施形態では、有機分子は、式IIaの構造からなり、ならびにRI、RII、RIII、RIV、RV、RVI、RVII、RVIII、RIX、RX、RXI、RXII、RXIII、RXIV、RXV、およびRXVIは各々Hである。
【0023】
ある実施形態では、有機分子は、式IIaの構造からなり、式中、R1は、任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC6-C60アリールであり、
および式中、R1は任意で、RIおよびRXVIから選択される群のうちの一つ以上の置換基とともに、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族および/またはベンゾ-縮合環系を形成する。
【0024】
ある実施形態では、有機分子は、式IIaの構造からなり、式中、R1は、任意で一つ以上の置換基R6と置換されるフェニル(Ph)であり、式中、R1は、任意で、RIおよびRXVIから選択される群のうちの一つ以上の置換基とともに、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族および/またはベンゾ-縮合環系を形成する。
【0025】
ある実施形態において、有機分子は、以下の式IIIa-1の構造を含むか、または以下の式IIIa-1の構造からからなる:
【化6】
式IIIa-1
式中、上述の定義が適用される。
【0026】
一つの実施形態において、有機分子は、以下の式IIIb-1の構造を含むか、または以下の式IIIb-1の構造からからなる:
【化7】
式IIIb-1
式中、上述の定義が適用される。
【0027】
一つの実施形態において、有機分子は、以下の式IIIc-1の構造を含むか、または以下の式IIIc-1の構造からからなる:
【化8】
式IIIc-1
式中、上述の定義が適用される。
【0028】
一つの実施形態において、有機分子は、以下の式IIIc-2の構造を含むか、または以下の式IIIc-2の構造からからなる:
【化9】
式IIIc-2
式中、上述の定義が適用される。
【0029】
本発明のさらなる実施形態において、RI、RII、RIII、RVI、RVII、RVIII、RXI、RXII、RXIII、およびRXVIは互いに独立して、
水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0030】
本発明のさらなる実施形態において、R1は、
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC1-C5-アルキル;
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC6-C30-アリール;および
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC3-C30-ヘテロアリール、からなる群から選択される。
【0031】
本発明のある実施形態において、RI、RII、RIII、RVI、RVII、RVIII、RXI、RXII、RXIII、およびRXVIは互いに独立して、
水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、
およびN(Ph)2からなる群から選択され;ならびに
1は、
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC1-C5-アルキル;
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC6-C30-アリール;および
任意で一つ以上の置換基R6で置換されるC3-C30-ヘテロアリール、からなる群から選択される。
【0032】
一つの実施形態では、有機分子は、式IIaの構造を含むか、または式IIaの構造からなり、RII、RIV、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVは互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、および
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、からなる群から選択される。
一つの実施形態では、有機分子は、式IIaの構造を含むか、または式IIaの構造からなり、RI、RIII、RV、RVII、RXII、RXIV、およびRXVIは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0033】
一つの実施形態では、有機分子は、式IIaの構造を含むか、または式IIaの構造からなり、RII、RIV、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVは互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、および
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、からなる群から選択され、ならびに
I、RIII、RV、RVII、RXII、RXIV、およびXVIは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0034】
一つの実施形態では、RII、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVは互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、および
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、からなる群から選択される。
一つの実施形態では、RI、RIII、RVII、RXII、RXIV、およびRXVIは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0035】
ある実施形態では、RII、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVは互いに独立して、水素、重水素、ハロゲン、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリジニル、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるピリミジニル、および
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるトリアジニル、からなる群から選択され、ならびに
I、RIII、RVII、RXII、RXIV、およびRXVIは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0036】
一つの実施形態では、有機分子は、式IIaの構造を含むか、または式IIaの構造からなり、RII、RIV、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3、および
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、からなる群から選択される。
【0037】
一つの実施形態では、有機分子は、式IIaの構造を含むか、または式IIaの構造からなり、RI、RIII、RV、RVII、RXII、RXIV、およびRXVIは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0038】
一つの実施形態では、有機分子は、式IIaの構造を含むか、または式IIaの構造からなり、RII、RIV、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3、および
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、からなる群から選択され、ならびに
I、RIII、RV、RVII、RXII、RXIV、およびXVIは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0039】
一つの実施形態では、RII、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3、および
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、からなる群から選択される。
【0040】
ある実施形態では、RI、RIII、RVII、RXII、RXIV、およびRXVIはそれぞれ互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0041】
ある実施形態では、RII、RVI、RVIII、RXI、RXIII、およびRXVはそれぞれ互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3、および
任意でMe、iPr、tBu、CN、CF3、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、からなる群から選択され、ならびに
I、RIII、RVII、RXII、RXIV、およびRXVIは互いに独立して、水素、重水素、Me、iPr、tBu、SiMe3、SiPh3
任意でMe、iPr、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるPh、
任意でMe、tBu、およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で置換されるカルバゾリル、
および、N(Ph)2からなる群から選択される。
【0042】
ある実施形態では、R1は、Me、iPr、tBu、CN、CF3、SiMe3、SiPh3およびPhからなる群から互いに独立して選択される一つ以上の置換基で任意で置換されるC6-C30-アリールである。
【0043】
本明細書において使用される場合、「アリール基」および「芳香族」という用語は、任意の単環式、二環式または多環式の芳香族部分として最も広範な意味で理解することができる。したがって、アリール基は6個~60個の芳香環原子を含み、ヘテロアリール基は5個~60個の芳香環原子を含み、その中の少なくとも一個はヘテロ原子である。それにもかかわらず、本明細書にわたって、芳香環原子の数は、特定の置換基の定義において下付き文字として与えられていてもよい。特に、ヘテロ芳香環は、1個~3個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール基」および「ヘテロ芳香族」という用語もまた、任意の少なくとも一つのヘテロ原子を含む単環式、二環式または多環式ヘテロ芳香族部分として、最も広範な意味で理解することができる。ヘテロ原子は、出現ごとに同じでも異なってもよく、個々にN、OおよびSからなる群から選択されうる。したがって、「アリレン」という用語は、他の分子構造との二つの結合部位を保持し、それによってリンカー構造として機能する二価の置換基を指す。例示的な実施形態の中の基がここで与えられている定義と異なって定義される場合、例えば、芳香環原子の数またはヘテロ原子の数が与えられている定義と異なる場合には、例示的な実施形態での定義が適用されるものとする。本発明によれば、縮合(環化)した芳香族またはヘテロ芳香族多環式は、縮合反応を経て多環を形成する、ニつ以上の単一の芳香族またはヘテロ芳香族環で構築され、これらは縮合反応を介して多環式を形成した。
【0044】
特に本明細書全体にわたり使用されるように、「アリール基」または「ヘテロアリール基」という用語は、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンズピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6‐キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ‐7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジノイミダゾール、キノキサリノイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、1,3,5-トリアジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、カルボリン、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,2,3,4-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたは先述した基の組み合わせから誘導される芳香族またはヘテロ芳香族基の任意の位置を介して結合することができる基を含む。
【0045】
本明細書全体で使用されるように、「環式基」という用語は、任意の単環式、二環式または多環式の部分として最も広範な意味で理解することができる。
【0046】
本明細書全体で使用されるように、置換基としての「ビフェニル」という用語は、オルト-ビフェニル、メタ-ビフェニル、またはパラ-ビフェニルとして最も広義の意味で理解されることができ、この場合においてオルト、メタ、およびパラは、別の化学部分との結合部位に関して定義される。
【0047】
本明細書全体で使用されるように、「アルキル基」という用語は、任意の直鎖、分枝、または環式のアルキル置換基として最も広範な意味で理解することができる。特に、アルキルという用語は、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、i-プロピル(iPr)、シクロプロピル、n-ブチル(nBu)、i-ブチル(iBu)、s-ブチル(sBu)、t-ブチル(tBu)、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオ-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオ-ヘキシル、シクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、シクロヘプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2,2,2]オクチル、2-ビシクロ[2,2,2]-オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、アダマンチル、2,2,2-トリフルオレチル、1,1-ジメチル-n-ヘキサ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-デカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ドデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-テトラデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘキサデカ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-デカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ドデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-テトラデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサデカ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタデカ-1-イル、1-(n-プロピル)-シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ブチル)-シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ヘキシル)-シクロヘキサ-1-イル、1-(n-オクチル)-シクロヘキサ-1-イル、および1-(n-デシル)-シクロヘキサ-1-イルである置換基を含む。
【0048】
本明細書全体で使用されるように、「アルケニル」という用語は、直鎖、分枝、および環式のアルケニル置換基を含む。「アルケニル基」という用語は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルである置換基を含む。
【0049】
本明細書全体で使用されるように、「アルキニル」という用語は、直鎖、分枝、および環式のアルキニル置換基を含む。「アルキニル基」という用語は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを含む。
【0050】
本明細書全体で使用されるように、「アルコキシ」という用語は、直鎖、分枝、および環式のアルコキシ置換基を含む。「アルコキシ基」という用語は、例示的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシおよび2-メチルブトキシを含む。
【0051】
本明細書全体で使用されるように、「チオアルコキシ」という用語は、直鎖、分枝、および環式のチオアルコキシ置換基を含み、この場合、例示的なアルコキシ基のOはSで置き換えられている。
【0052】
本明細書全体で使用されるように、「ハロゲン」および「ハロ」という用語は、好ましくはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であるものとして、最も広範な意味で理解することができる。
【0053】
本明細書において水素(H)に言及するときはいつでも、出現ごとに重水素で置換することも可能である。
【0054】
分子の断片が置換基である、またはさもなければ別の部分に付加されていると記載されている場合、その名称は、それが断片であるかのように(例えば、ナフチル、ジベンゾフリル)またはそれが全分子であるかのように(例えば、ナフタレン、ジベンゾフラン)書かれていてもよいことを理解されたい。本明細書で使用される場合、置換基または付加された断片を命名するこれらの異なる方式は等しいものとみなされる。
【0055】
一実施形態においては、本発明による有機分子は、10重量%の有機分子を有するポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)のフィルム内で、室温で、150μ秒以下、100μ秒以下、特に50μ秒以下、より好ましくは10μ秒以下、または7μ秒以下の励起状態寿命を有する。
【0056】
本発明のさらなる実施形態においては、本発明による有機分子は、可視領域または近紫外領域、すなわち380~800nmの波長領域に発光ピークを有し、その半値全幅が、10重量%の有機分子を含むポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)のフィルムの状態で、室温で、0.40eV未満、好ましくは0.35eV未満、より好ましくは0.33eV未満、さらにより好ましくは0.30eV未満、またはなおさらに0.28eV未満である。
【0057】
軌道状態および励起状態のエネルギーは、いずれか実験方法によって決定することができる。最高被占分子軌道EHOMOのエネルギーは、サイクリックボルタンメトリー測定から当業者に公知の方法により、0.1eVの精度で求められる。最低空軌道ELUMOのエネルギーは、EHOMO+Egap(式中、Egapは以下の通り求められる)のように計算される:別途述べられていない限り、ホスト化合物に対しては、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)中に10重量%のホストを有するフィルムの発光スペクトルの立ち上がりをEgapとして使用する。発光体分子に対しては、PMMA架橋物中に10質量%の発光体を有するフィルムの励起および発光スペクトルでのエネルギーとして、Egapを求める。本発明による有機分子に対しては、PMMA架橋物中に1質量%の発光体を有するフィルムの励起および発光スペクトルでのエネルギーとして、Egapを求める。
【0058】
第一励起三重項状態T1のエネルギーは、低温、通常は77Kでの発光スペクトルの立ち上がりから求める。第一励起一重項状態および最低三重項状態がエネルギー的に>0.4eVの分だけ分離されているホスト化合物に対して、リン光は2-Me-THFにおける定常状態スペクトルにおいて通常可視である。三重項エネルギーは、リン光スペクトルの立ち上がりとして求めることができる。TADF発光体分子に対しては、第一励起三重項状態T1のエネルギーは、別段の記載が無い限りは10重量%の発光体を有するPMMAのフィルムにおいて測定された、そして本発明による有機分子の場合には1重量%の本発明による有機分子を有するPMMAのフィルムにおいて測定された、77Kでの遅延発光スペクトルの立ち上がりから求められる。ホスト化合物と発光体化合物の両方に対しては、第一励起一重項状態S1のエネルギーは、別段の記載が無い限り10重量%のホスト化合物または発光体化合物を有するPMMAのフィルムにおいて測定された、そして本発明の有機分子の場合には1重量%の本発明による有機分子を有するPMMAのフィルムにおいて測定された、発光スペクトルの立ち上がりから求められる。
【0059】
発光スペクトルの立ち上がりは、x軸と、発光スペクトルへの接線との交点を計算することにより求める。発光スペクトルの接線は、発光帯の高エネルギー側で、また発光スペクトルの最大強度の半値の点で設定される。
【0060】
本発明のさらなる態様は、光電子デバイスにおける、発光体としての、もしくは発光吸収体としての、および/またはホスト材料としての、および/または電子輸送材料としての、および/または正孔注入材料としての、および/または正孔ブロッキング材料としての本発明による有機分子の使用に関する。
【0061】
一つの実施形態は、光電子デバイスにおける、発光体としての本発明による有機分子の使用に関する。
【0062】
光電子デバイスは、可視領域又は近紫外(UV)領域での、すなわち380~800nmの波長領域での発光に好適である有機材料ベースの任意のデバイスとして広義で理解されうる。より好ましくは、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、可視範囲、すなわち、400nm~800nmで光を発光することができる。
【0063】
こうした使用の文脈においては、光電子デバイスは、より具体的には以下からなる群から選択される:
・ 有機発光ダイオード(OLED)、
・ 発光電気化学セル、
・ OLEDセンサーであって、特に周囲に対して気密封止されていない気体および蒸気のセンサーにおけるOLEDセンサー、
・ 有機ダイオード、
・ 有機太陽電池、
・ 有機トランジスター、
・ 有機電界効果トランジスター、
・ 有機レーザー、および
・ ダウンコンバージョン素子。
【0064】
当該使用の状況における特定の実施形態では、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学セル(LEC)、および発光トランジスターから成る群から選択されるデバイスである。
【0065】
使用する場合、光電子デバイス、より具体的にはOLEDにおける発光層内の本発明による有機分子の分率は、0.1%~99重量%、より具体的には1%~80重量%である。代替的な実施形態においては、発光層中の有機分子の割合は、100重量%である。
【0066】
一つの実施形態においては、発光層は、本発明による有機分子だけでなく、三重項(T1)および一重項(S1)エネルギー準位が、有機分子の三重項(T1)および一重項(S1)エネルギー準位よりエネルギー的に高いホスト材料も含む。
【0067】
本発明のさらなる態様は、以下のものを含む、またはそれから成る組成物に関する:
(a) 特に発光体および/またはホストの形態での少なくとも一つの本発明による有機分子、ならびに
(b) 本発明による有機分子とは異なる、一つ以上の発光体材料および/またはホスト材料、ならびに
(c) 随意の一つもしくは複数の染料および/または一つもしくは複数の溶媒。
【0068】
一つの実施形態においては、発光層は、以下のものを含む、または以下のものからなる組成物を含む(または本質的に当該組成物からなる):
(a) 特に発光体および/またはホストの形態での少なくとも一つの本発明による有機分子、ならびに
(b) 本発明による有機分子とは異なる、一つ以上の発光体材料および/またはホスト材料、ならびに
(c) 随意の一つもしくは複数の染料および/または一つもしくは複数の溶媒。
【0069】
特定の実施形態においては、発光層EMLは、以下のものを含む、または以下のものからなる組成物を含む(または本質的に当該組成物からなる):
(i) 0.1~10質量%、好ましくは0.5~5質量%、特に1~3質量%の本発明による一つ以上の有機分子、
(ii) 5~99重量%、好ましくは15~85重量%、特に20~75重量%の少なくとも一つのホスト化合物H、および
(iii) 本発明による分子の構造とは異なる構造を有する、0.9~94.9重量%、好ましくは14.5~80重量%、特に24~77重量%の少なくとも一つのさらなるホスト化合物D、および
(iv) 任意で、0~94重量%、好ましくは0~65重量%、特に0~50重量%の溶媒、および
(v) 任意で、本発明による分子の構造とは異なる構造を有する、0~30重量%、特に0~20重量%、好ましくは0~5重量%の少なくとも一つのさらなる発光体分子F。
【0070】
好ましくは、エネルギーは、ホスト化合物Hから一つまたは複数の本発明による有機分子まで移動することが可能であり、特に、ホスト化合物Hの第一励起三重項状態T1(H)から一つまたは複数の本発明Eによる有機分子の第一励起三重項状態T1(E)まで、および/または、ホスト化合物Hの第一励起一重項状態S1(H)から一つまたは複数の本発明Eによる有機分子の第一励起一重項状態S1(E)まで移動することが可能である。
【0071】
一つの実施形態においては、ホスト化合物Hは、-5~-6.5eVの範囲のエネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)を有し、少なくとも一つのさらなるホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)(EHOMO(H)>EHOMO(D)である)を有する最高被占分子軌道HOMO(D)を有する。
【0072】
さらなる実施形態においては、ホスト化合物HはエネルギーELUMO(H)を有する最低被占分子軌道LUMO(H)を有し、少なくとも一つのさらなるホスト化合物DはエネルギーELUMO(D)(ELUMO(H)>ELUMO(D)である)を有する最低被占分子軌道LUMO(D)を有する。
【0073】
一つの実施形態においては、ホスト化合物HはエネルギーEHOMO(H)を有する最高被占分子軌道HOMO(H)およびエネルギーELUMO(H)を有する最低被占分子軌道LUMO(H)を有し、
少なくとも一つのさらなるホスト化合物Dは、エネルギーEHOMO(D)を有する最高被占分子軌道HOMO(D)およびエネルギーELUMO(D)を有する最低被占分子軌道LUMO(D)を有し、
本発明Eによる有機分子は、エネルギーEHOMO(E)を有する最高被占分子軌道HOMO(E)およびエネルギーELUMO(E)を有する最低被占分子軌道LUMO(E)を有し、
式中、
HOMO(H)>EHOMO(D)であり、本発明Eによる有機分子の最高被占分子軌道HOMO(E)のエネルギーレベル(EHOMO(E))と、ホスト化合物Hの最高被占分子軌道HOMO(H)のエネルギーレベル(EHOMO(H))との差は、-0.5eV~0.5eVであり、より好ましくは-0.3eV~0.3eVであり、さらにより好ましくは-0.2eV~0.2eV、またはさらに-0.1eV~0.1eVであり、
LUMO(H)>ELUMO(D)であり、本発明Eによる有機分子の最低被占分子軌道LUMO(E)のエネルギーレベル(ELUMO(E))と、少なくとも一つのさらなるホスト化合物Dの最低被占分子軌道LUMO(D)(ELUMO(D))との差は、-0.5eV~0.5eVであり、より好ましくは-0.3eV~0.3eVであり、さらにより好ましくは-0.2eV~0.2eV、またはさらに-0.1eV~0.1eVである。
【0074】
本発明の一つの実施形態において、ホスト化合物Dおよび/またはホスト化合物Hは、熱活性化遅延蛍光性(TADF:thermally-activated delayed fluorescence)材料である。TADF材料は、第一励起一重項状態(S1)と第一励起三重項状態(T1)との間のエネルギー差に相当する、2500cm-1未満のΔEST値を示す。好ましくは、TADF材料は、3000cm-1未満、より好ましくは1500cm-1未満、さらにより好ましくは1000cm-1未満、またはさらには500cm-1未満のΔEST値を呈する。
【0075】
一つの実施形態において、ホスト化合物Dは、TADF材料であり、ホスト化合物Hは、2500cm-1を超えるΔEST値を呈する。特定の実施形態において、ホスト化合物Dは、TADF材料であり、ホスト化合物Hは、CBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール、および9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールからなる群から選択される。
【0076】
一つの実施形態において、ホスト化合物Hは、TADF材料であり、ホスト化合物Dは、2500cm-1を超えるΔEST値を呈する。特定の実施形態では、ホスト化合物Hは、TADF材料であり、ホスト化合物Dは、T2T(2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、T3T(2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、および/またはTST(2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン)からなる群から選択される。
【0077】
さらなる態様においては、本発明は、より具体的には有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学セル、OLEDセンサー、より具体的には、外部から気密封止されていない気体および蒸気センサー、有機ダイオード、有機太陽電池、有機トランジスター、有機電界効果トランジスター、有機レーザーおよびダウンコンバージョン素子からなる群から選択されるデバイスの形態の本明細書に記載されているような有機分子または組成物を含む光電子デバイスに関する。
【0078】
ある実施形態では、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、有機発光ダイオード(OLED)、発光電気化学セル(LEC)、および発光トランジスターからなる群から選択されるデバイスである。
【0079】
本発明Eの光電子デバイスの一実施形態においては、本発明Eによる有機分子を、発光層EML中の発光材料として用いる。
【0080】
本発明の光電子デバイスの一実施形態では、発光層EMLは、本明細書に記載されている本発明による組成物から成る。
【0081】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスがOLEDである場合、これは、例えば以下の層構造を有してもよい:
1.基板
2.アノード層A
3.正孔注入層、HIL
4.正孔輸送層、HTL
5.電子ブロッキング層、EBL
6.発光層、EML
7.正孔ブロッキング層、HBL
8.電子輸送層、ETL
9.電子注入層、EIL
10.カソード層。
【0082】
この場合において、OLEDは、HIL、HTL、EBL、HBL、ETLおよびEILの群から選択される各層を含み、任意選択的にのみ、異なる層が融合されてもよく、またOLEDは上記で定義されたそれぞれの層タイプのうち2層以上を含んでもよい。
【0083】
また、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、一つの実施形態においては、水分、蒸気および/または気体を含む、環境内の有害種への損傷的曝露からデバイスを保護する一つ以上の保護層を含んでもよい。
【0084】
本発明の一つの実施形態において、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、以下の反転した層構造を伴うOLEDである:
1.基板
2.カソード層
3.電子注入層、EIL
4.電子輸送層、ETL
5.正孔ブロッキング層、HBL
6.発光層、B
7.電子ブロッキング層、EBL
8.正孔輸送層、HTL
9.正孔注入層、HIL
10.アノード層A。
【0085】
この場合において、OLEDは、HIL、HTL、EBL、HBL、ETLおよびEILの群から選択される各層を含み、任意選択的にのみ、異なる層が融合されてもよく、またOLEDは上記で定義されたそれぞれの層タイプのうち2層以上を含んでもよい。
【0086】
本発明の一つの実施形態において、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、スタック構造を有し得るOLEDである。この構造では、OLEDが並んで配置される典型的な構造とは異なり、個々の構成単位が互いの上にスタックされている。スタック構造を示すOLEDを用いてブレンドされた光を作ることができ、特に青色、緑色および赤色のOLEDをスタッキングすることにより白色光を作ることができる。さらに、スタック構造を示すOLEDは、電荷発生層(CGL)を含んでもよく、この電荷発生層は通常、二つのOLEDサブユニットの間に位置し、通常、n-ドープしたおよびp-ドープした層から成り、一つのCGLのn-ドープした層は通常アノード層のより近くに位置する。
【0087】
本発明の一実施形態においては、有機エレクトロルミネッセンスデバイスはOLEDであり、それはアノードとカソード間に二つ以上の発光層を備える。特に、このいわゆる直列OLEDは、三つの発光層を含み、一つの発光層が赤色光を発光し、一つの発光層が緑色光を発光し、一つの発光層が青色光を発光し、随意に個々の発光層の間でさらなる層、例えば、電荷発生層、ブロッキング層または輸送層などを含んでもよい。さらなる実施形態においては、発光層は隣接してスタックされる。さらなる実施形態においては、直列OLEDは、発光層の各二層間に電荷発生層を備える。さらに、隣接する発光層または電荷発生層で分離された発光層は、融合されてもよい。
【0088】
基板は、任意の材料または材料の組成物によって形成されてもよい。最もよく基板として用いられるのはガラススライドである。代わりに、薄い金属層(例えば、銅、金、銀またはアルミニウムフィルム)またはプラスチックフィルムまたはスライドを用いてもよい。これにより、より高度な可撓性が可能になる。アノード層Aは、(本質的に)透明なフィルムを得ることを可能にする材料で主に構成される。OLEDからの発光を可能にするように両方の電極の少なくとも一つが(本質的に)透明であるべきなので、アノード層Aまたはカソード層Cのいずれかは透明である。好ましくは、アノード層Aは、透明導電性酸化物(TCO)を大量に含有するか、またはそれから成る。このようなアノード層Aは、酸化インジウムスズ、アルミニウム酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、インジウム酸化亜鉛、PbO、SnO、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、グラファイト、ドープSi、ドープGe、ドープGaAs、ドープポリアニリン、ドープポリーピロールおよび/またはドープポリチオフェンを例えば含んでもよい。
【0089】
アノード層Aは、(本質的に)酸化インジウムスズ(ITO)(例えば、(InO30.9(SnO20.1)からなりうる。透明導電性酸化物(TCO)により引き起こされるアノード層Aの粗さは、正孔注入層(HIL)を使用することにより埋め合わせることができる。さらに、TCOから正孔輸送層(HTL)への擬電荷担体の輸送が促進されるという意味で、HILは擬電荷担体(すなわち、正孔)の注入を促進することができる。正孔注入層(HIL)は、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホネート(PSS)、MoO2、V25、CuPCまたはCuI、特にPEDOTとPSSの混合物を含むことができる。正孔注入層(HIL)はまた、アノード層Aから正孔輸送層(HTL)への金属の拡散を阻止することができる。HILは、PEDOT:PSS(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート)、PEDOT(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)、mMTDATA(4,4’,4”-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン)、スピロ-TAD(2,2’,7,7’-テトラキス(n,n-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン)、DNTPD(N1,N1’-(ビフェニル-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-di-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン)、NPB(N,N’-nis-(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス-フェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン)、NPNPB(N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-[4-(N,N-ジフェニル-アミノ)フェニル]ベンジジン)、MeO-TPD(N,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン)、HAT-CN(1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル)および/またはスピロ-NPD(N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(1-ナフチル)-9,9’-スピロビフルオレン-2,7-ジアミン)を例えば含んでもよい。
【0090】
アノード層Aまたは正孔注入層(HIL)に隣接して、通常は正孔輸送層(HTL)が位置する。本明細書においては、任意の正孔輸送化合物を使用することができる。例えば、電子を豊富に含むヘテロ芳香族化合物、例えば、トリアリールアミンおよび/またはカルバゾールなどを正孔輸送化合物として使用することができる。HTLは、アノード層Aと発光層EMLとの間のエネルギーバリアを低減することができる。正孔輸送層(HTL)はまた電子ブロッキング層(EBL)であってもよい。好ましくは、正孔輸送化合物は、これらの三重項状態T1と同等の高エネルギーレベルを保持する。例えば、正孔輸送層(HTL)は、星形状ヘテロ環、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、ポリ-TPD(ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニル-アミン))、[アルファ]-NPD(ポリ(4-ブチルフェニル-ジフェニル-アミン))、TAPC(4,4’-シクロヘキシリデン-ビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、2-TNATA(4,4’,4”-トリス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン)、スピロ-TAD、DNTPD、NPB、NPNPB、MeO-TPD、HAT-CNおよび/またはTrisPcz(9,9’-ジフェニル-6-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール)を含む。さらに、HTLは、有機正孔輸送マトリックスにおいて無機または有機ドーパントで構成され得るp-ドープ層を含んでもよい。遷移金属オキシド、例えば、酸化バナジウム、酸化モリブデンまたは酸化タングステンなどを例えば無機ドーパントとして使用することができる。テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)、銅-ペンタフルオロベンゾエート(Cu(I)pFBz)または遷移金属複合体を例えば有機ドーパントとして使用することができる。
【0091】
EBLは、例えば、mCP(1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン)、TCTA、2-TNATA、mCBP(3,3-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、tris-Pcz、CzSi(9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール)、および/またはDCB(N,N’-ジカルバゾリル-1,4-ジメチルベンゼン)を含んでもよい。
【0092】
発光層EMLは、典型的には正孔輸送層(HTL)に隣接して配置される。発光層EMLは、少なくとも一つの発光分子.を含む。特に、EMLは、本発明Eによる少なくとも一つの発光分子を含む。一つの実施形態において、発光層は、本発明による有機分子のみを含む。典型的には、EMLは一つ以上のホスト材料Hを追加的に含む。例えば、ホスト材料Hは、CBP(4,4’-ビス-(N-カルバゾリル)-ビフェニル)、mCP、mCBP Sif87(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン)、CzSi、Sif88(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン)、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾール、T2T(2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、T3T(2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)および/またはTST(2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン)から選択される。ホスト材料Hは、典型的に、有機分子の第一の三重項エネルギーレベル(T1)および第一の一重項エネルギーレベル(S1)よりもエネルギー的に高い、第一の三重項エネルギーレベル(T1)および第一の一重項エネルギーレベル(S1)を示すように選択されるべきである。
【0093】
本発明の一実施形態においては、EMLは、少なくとも一つの正孔が優位なホストおよび一つの電子が優位なホストを有するいわゆる混合したホストシステムを含む。特定の実施形態においては、EMLは、本発明にかかる厳密に一つの発光有機分子と、電子優勢ホストとしてT2Tならびに、ホール優勢ホストとしてCBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾールおよび9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択されたホストを含む混合ホスト系と、を含む。さらなる実施形態では、EMLは、50~80重量%、好ましくは60~75重量%の、CBP、mCP、mCBP、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾフラン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3-(ジベンゾチオフェン-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール、9-[3,5-ビス(2-ジベンゾフラニル)フェニル]-9H-カルバゾールおよび9-[3,5-ビス(2-ジベンゾチオフェニル)フェニル]-9H-カルバゾールから選択されるホスト;10~45重量%、好ましくは15~30重量%のT2T、および5~40重量%、好ましくは10~30重量%の本発明による発光分子を含む。
【0094】
発光層EMLに隣接して、電子輸送層(ETL)が位置してもよい。本明細書においては、任意の電子輸送体を用いることができる。例示的には、例えば、ベンズイミダゾール、ピリジン、トリアゾール、オキサジアゾール(例えば1,3,4-オキサジアゾール)、ホスフィンオキシドおよびスルホン等の電子不足の化合物が使用されてもよい。電子輸送体はまた、星形状ヘテロ環、例えば、1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル(TPBi)であってもよい。ETLは、NBphen(2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Alq3(アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン))、TSPO1(ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド)、BPyTP2(2,7-ジ(2,2’-ビピリジン-5-イル)トリフェニル)、Sif87(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イルトリフェニルシラン)、Sif88(ジベンゾ[b,d]チオフェン-2-イル)ジフェニルシラン)、BmPyPhB(1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン)および/またはBTB(4,4’-ビス-[2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジニル)]-1,1’-ビフェニル)を含んでもよい。随意に、ETLは、Liqなどの材料でドープされていてもよい。電子輸送層(ETL)はまた正孔をブロックすることもでき、または正孔ブロッキング層(HBL)が導入される。
【0095】
HBLは、例えばBCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン=バソクプロイン)、BAlq(ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリン)-(4-フェニルフェノキシ)アルミニウム)、NBphen(2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Alq3(アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン))、TSPO1(ジフェニル-4-トリフェニルシリルフェニル-ホスフィンオキシド)、T2T(2,4,6-トリス(ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、T3T(2,4,6-トリス(トリフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン)、TST(2,4,6-トリス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)-1,3,5-トリアジン)および/またはTCB/TCP(1,3,5-トリス(N-カルバゾリル)ベンゾール/1,3,5-トリス(カルバゾール)-9-イル)ベンゼン)を含みうる。
【0096】
カソード層Cは、電子輸送層(ETL)に隣接して配置されてもよい。カソード層Cは、例えば、金属(例えば、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、LiF、Ca、Ba、Mg、In、W、もしくはPd)または金属合金を含んでもよいし、またはこれから成ってもよい。実用的な理由から、カソード層はまた、不透明な金属、例えば、Mg、CaまたはAlなどから(本質的に)成ってもよい。代わりにまたはさらに、カソード層Cはまた、グラファイトおよびまたは炭素ナノチューブ(CNT)を含んでもよい。代わりに、カソード層Cはまた、ナノスケールの銀導線から成ってもよい。
【0097】
OLEDは、さらに随意に、電子輸送層(ETL)とカソード層C(電子注入層(EIL)と命名することもできる)の間に保護層を含んでもよい。この層は、フッ化リチウム、フッ化セシウム、銀、Liq(8-ヒドロキシキノリノラトリチウム)、Li2O、BaF2、MgOおよび/またはNaFを含んでもよい。
【0098】
任意選択的に、電子輸送層(ETL)および/またはホールブロッキング層(HBL)はさらに、一つ以上のホスト化合物Hを含んでもよい。
【0099】
発光層EMLの発光スペクトルおよび/または吸収スペクトルをさらに改変するため、発光層EMLは、一つまたは複数のさらなる発光体分子Fをさらに含んでもよい。このような発光体分子Fは、当技術分野で公知の任意の発光体分子であってよい。こうした発光体分子Fは、本発明Eにかかる分子の構造とは異なる構造をもつ分子であることが好ましい。発光体分子Fは随意にTADF発光体であってもよい。代わりに、発光体分子Fは、随意に、発光層EMLの発光スペクトルおよび/または吸収スペクトルをシフトすることができる蛍光のおよび/またはリン光発光体分子であってもよい。例示としては、本発明による有機発光体分子から発光体分子Fへと三重項および/または一重項の励起子が輸送され、その後、有機分子による発光と比較して通常は赤方偏移した光を発することにより、基底状態S0へと緩和される。任意選択的に、発光体分子Fは、二光子効果を誘発することもできる(すなわち、最大吸収エネルギーの半分の二つの光子の吸収)。
【0100】
任意選択的に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(例えばOLED)は、例えば、本質的に白色の有機エレクトロルミネッセンスデバイスであってよい。例えば、こうした白色の有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、少なくとも一つの(深)青色発光体分子および緑色光および/または赤色光を発する一つ以上の発光体分子を含むことができる。次いで任意選択的に、上記に記載した分子の二個以上の間のエネルギー透過率も存在し得る。
【0101】
本明細書で使用される場合、特定の状況においてより具体的に定義されていない限り、発光するおよび/または吸収される光の色の命名は以下の通りである:
紫色:波長範囲>380~420nm;
深青色:波長範囲>420~480nm;
水色:波長範囲>480~500nm;
緑色:波長範囲>500~560nm;
黄色:波長範囲>560~580nm;
オレンジ色:波長範囲>580~620nm;
赤色:波長範囲>620~800nm。
【0102】
発光体分子に関して、こうした色が発光極大を指す。したがって、例えば、深青色発光体は、>420~480nmの範囲に発光極大を有し、水色発光体は、>480~500nmの範囲に発光極大を有し、緑色発光体は、>500~560nmの範囲に発光極大を有し、赤色発光体は、>620~800nmの範囲に発光極大を有する。
【0103】
深青色発光体は、好ましくは480nm未満、より好ましくは470nm未満、さらにより好ましくは465nm未満またはさらには460nm未満の発光極大を有してもよい。発光極大は通常、420nm超、好ましくは430nm超、より好ましくは440nm超、またはさらに450nm超である。
【0104】
したがって、本発明のさらなる態様は、1000cd/m2において、8%を超える、より好ましくは10%を超える、より好ましくは13%を超える、さらにより好ましくは15%を超える、もしくはさらには20%をも超える外部量子効率を示し、および/または420nm~500nmの間、好ましくは430nm~490nmの間、より好ましくは440nm~480nmの間、さらにより好ましくは450nm~470nmの間の発光極大を示し、および/または500cd/m2において、100hを超える、好ましくは200hを超える、より好ましくは400hを超える、さらにより好ましくは750hを超える、もしくはさらに1000hを超える、LT80値を示すOLEDに関する。したがって、本発明のさらなる態様は、その発光が、0.45未満、好ましくは0.30未満、より好ましくは0.20未満またはさらにより好ましくは0.15未満、またはさらに0.10未満の、CIEy色座標を示すOLEDに関する。
【0105】
本発明のさらなる態様は、明確な色ポイントにおいて光を発光するOLEDに関する。本発明によれば、OLEDは、狭い発光帯(小さな半値全幅(FWHM))を有する光を発光する。一態様においては、本発明によるOLEDは、0.35eV未満、好ましくは0.30eV未満、より好ましくは0.25eV未満、さらにより好ましくは0.20eV未満、またはさらに0.18eV未満の、主要発光ピークのFWHMを有する光を発光する。
【0106】
本発明のさらなる態様は、ITU-R Recommendation BT.2020(Rec.2020)で定義されているような原色の青色(CIEx=0.131およびCIEy=0.046)のCIEx(=0.131)およびCIEy(=0.046)色座標に近いCIExおよびCIEyの色座標で発光し、したがって、超高精細(UHD)ディスプレイ、例えば、UHD-TVなどにおける使用に適合したOLEDに関する。したがって、本発明のさらなる態様は、その発光が0.02~0.30の間、好ましくは0.03~0.25の間、より好ましくは0.05~0.20の間、もしくはさらにより好ましくは0.08~0.18の間、もしくはさらに0.10~0.15の間のCIEx色座標、および/または0.00~0.45の間、好ましくは0.01~0.30の間、より好ましくは0.02~0.20の間、もしくはさらにより好ましくは0.03~0.15の間、もしくはさらに0.04~0.10の間のCIEy色座標を示すOLEDに関する。
【0107】
さらなる態様においては、本発明は、光電子部品の製造方法に関する。この場合、本発明の有機分子が用いられる。
【0108】
有機エレクトロルミネッセンスデバイス、特に本発明によるOLEDは、任意の手段の蒸気堆積および/または液体処理によって製造することができる。したがって、少なくとも一つの層は、
- 昇華プロセスによって調製され、
- 有機気相堆積プロセスによって調製され、
- キャリアガス昇華プロセスによって調製され、
- 溶液処理または溶液印刷される。
【0109】
有機エレクトロルミネッセンスデバイス、特に本発明によるOLEDを製造するために用いる方法は、この技術分野において公知である。異なる層は、続く堆積プロセスにより、適切な基板上に個々におよび逐次的に堆積される。個々の層は、同じまたは異なる堆積方法を使用して堆積させることができる。
【0110】
蒸気堆積処理は、例えば、熱的(共)蒸着、化学蒸着および物理蒸着を含む。アクティブマトリックスOLEDディスプレイに対して、AMOLEDバックプレーンを基板として使用する。個々の層は、十分な溶媒を利用して、溶液または分散液から処理してもよい。溶液堆積処理は、例えば、スピンコーティング、ディップコーティングおよびジェット式プリンティングを例示的に含む。液体処理は、任意選択的に、不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)で行ってもよく、溶媒は、最先端技術で公知である手段によって、完全にまたは部分的に除去してよい。
【実施例
【0111】
一般的合成スキームI
【0112】
【化10】

合成の一般的手順:
I0(1.00当量)、I0-1(1.00当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム Pd2(dba)3(0.02当量;CAS:51364-51-3)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(S-Phos、CAS:657408-07-6、0.08当量)、および三塩基性リン酸カリウム(K2PO4;3.00当量)を、テトラヒドロフラン/水の混合液中、85℃で12時間、窒素雰囲気下で攪拌する。室温(rt)まで冷却した後、反応混合液をトルエンとブラインの間で抽出し、層を分離させる。一つにまとめた有機層を、1mol/lの塩酸で3回洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、次いで溶媒を減圧下で除去する。得られた粗生成物を再結晶化により精製して、固形物としてI1を得る。
【0113】
ボロン酸エステルの代わりに、対応するボロン酸を用いてもよい。
【0114】
I1(1.00当量)を窒素雰囲気下でtert-ブチルベンゼンに溶解させ、溶液を-30℃に冷却した。tert-ブチルリチウム(tBuLi)(3.30当量)の溶液を滴下して加え、反応混合液を0℃まで加温した。60℃で120分間攪拌した後、tBuLi溶液の溶媒と副産物を減圧下で除去して、反応混合液を再度-30℃に冷却した。三臭化ホウ素(BBr3、CAS:10294-33-4、2.00当量)の溶液を滴下して加え、槽を取り外して反応混合液を室温(rt)まで加温させた。室温で30分間攪拌した後、反応混合液を0℃に冷却し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、CAS:7087-68-5、3.00当量)を添加した。反応混合液を室温まで加温し、次いで120℃で3時間、還流で加熱した。続いて反応混合液を水に注いで、得られた沈殿物を濾過し、最小量の酢酸エチルで洗浄して、固形生成物としてP1を得た。P1は、再結晶化、またはフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製することができる。
【0115】
サイクリックボルタンメトリー
サイクリックボルタモグラムは、ジクロロメタンまたは適切な溶媒中10-3モル/Lの濃度の有機分子および適切な支持電解質(例えば0.1モル/Lのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート)を有する溶液から測定する。測定は、窒素雰囲気下、室温で、3電極接合体(作用電極および対電極:Pt導線、基準電極:Pt導線)を用いて行われ、内部標準としてFeCp2/FeCp2 +を使用して較正される。飽和カロメル電極(SCE)に対する内部標準としてフェロセンを用いて、HOMOデータを補正した。
【0116】
密度汎関数法の計算
分子構造は、BP86関数手法および単位の分解手法(RI)を利用して最適化する。励起エネルギーは、時間依存性DFT(TD-DFT)法を利用した、(BP86)最適化構造を使用して計算する。B3LYP関数を用いて、軌道および励起状態エネルギーを計算する。数値積分のためのDef2-SVPベースのセットおよびm4-グリッドを使用する。全ての計算に、Turbomoleプログラムパッケージを用いる。
【0117】
光物理的測定
サンプルの事前処理:スピンコーティング
装置:Spin150、SPS euro。
サンプル濃度は、10mg/mlであり、適切な溶媒に溶解している。
プログラム:1)400U/分で3秒;1000U/分で、1000Upm/秒で20秒。3)4000U/分で、1000Upm/秒で10秒。コーティング後、フィルムは70℃で1分間試す。
【0118】
光ルミネセンス分光法およびTCSPC(時間相関シングルフォトンカウンティング)
150W Xenon-Arcランプ、励起および発光モノクロメーター、ならびに浜松ホトニクス製R928光電子増倍管および時間相関シングルフォトンカウンティングオプションを備えた、堀場製作所製FluoroMax-4型で定常状態の発光分光法を測定する。標準的な補正適合を使用して発光および励起スペクトルを補正する。
【0119】
FM-2013装置および堀場製作所製Yvon TCSPC hubを用いたTCSPC方法を使用して、同じシステムを利用して、励起状態寿命を決定する。
励起光源:
NanoLED 370(波長:371nm、パルス幅:1,1ns)
NanoLED 290(波長:294nm、パルス幅:<1ns)
SpectraLED 310(波長:314nm)
SpectraLED 355(波長:355nm)。
【0120】
データ分析(指数近似)は、ソフトウエアスイートDataStationおよびDAS6分析ソフトウエアを使用して行う。適合はカイ二乗検定を使用して特定する。
【0121】
フォトルミネッセンス量子収率測定
フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)測定のため、絶対PL量子収率測定C9920-03Gシステム(浜松ホトニクス製)を使用する。量子収率およびCIE座標は、ソフトウエアU6039-05バージョン3.6.0を使用して決定する。
発光極大はnmで、量子収率Φは%で、CIE座標はx、y値として与えられる。
PLQYは、以下のプロトコルを使用して決定する。
1) 品質保証:エタノール中のアントラセン(公知の濃度)を基準物質として使用する
2) 励起波長:有機分子の最大吸収を決定し、この波長を使用して分子を励起させる
3) 測定
【0122】
窒素雰囲気下、溶液またはフィルムの試料に対して量子収率を測定する。収率は、以下の式を用いて計算する:
【数1】

式中、nphotonはフォトン数を示し、Int.は強度を示す。
【0123】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスの生成および特徴付け
本発明による有機分子を含むOLEDデバイスは真空堆積法を介して生成することができる。層が一つ超の化合物を含有する場合、一つ以上の化合物の重量パーセンテージは%で与えられる。総重量パーセンテージ値は100%になるため、したがって、値が与えられていない場合、この化合物の分率は、与えられた値と100%との間の差異に等しい。
【0124】
標準的方法を使用して、ならびにエレクトロルミネッセンススペクトル、フォトダイオードにより検出した光を使用して計算した、強度に対する依存性における外部量子効率(単位:%)、および電流を測定して、完全には最適化されていないOLEDを特徴付ける。OLEDデバイス寿命は、定電流密度での動作中の輝度の変化から抽出する。LT50値は、測定された輝度が最初の輝度の50%まで低減する時間に対応し、同様にLT80は、測定された輝度が最初の輝度の80%まで低減する時間点に対応し、LT95は、測定された輝度が最初の輝度の95%まで低減する時間点に対応する。
【0125】
加速された寿命測定を実施する(例えば、より高い電流密度を適用することによって)。例えば、500cd/m2でのLT80値は、以下の方程式を使用して決定する。
【数2】

(式中、L0は、適用された電流密度での最初の輝度を表す)
【0126】
値はいくつかのピクセル(通常、2~8)の平均に相当し、これらのピクセル間の標準偏差が与えられる。
【0127】
HPLC-MS:
HPLC-MS分析は、MS-検出器(Thermo LTQ XL)を有するAgilent製1100シリーズによりHPLC上で実施する。
【0128】
典型的なHPLC方法の例は以下の通りである:逆相カラム4,6mm×150mm、アジレントの粒子サイズ3,5μm(ZORBAX Eclipse Plus 95Å C18、4.6x150mm、3.5μm HPLCカラム)がHPLCに使用される。HPLC-MS測定は、勾配に従って室温(rt)で実施される。
【表1】

【0129】
以下の溶媒混合物を使用する:
【表2】

【0130】
0.5mg/mLの濃度の分析物を含む溶液から、5μLの注入量を測定用に採取する。
プローブのイオン化は、ポジティブ(APCI+)またはネガティブ(APCI-)のイオン化モードのいずれかで、APCI(大気圧化学イオン化)源を使用して実施される。
【0131】
実施例1
【化11】

実施例1の発光スペクトルが記録された(PMMA中、1重量%)。発光極大は、429nmである。フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)は71%である。
【0132】
実施例2
【化12】

実施例2の発光スペクトルが記録された(PMMA中、5重量%)。発光極大は、443nmである。フォトルミネッセンス量子収率(PLQY)は50%である。
【0133】
本発明の有機分子の追加実施例
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】