(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-17
(45)【発行日】2023-04-25
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01S 19/14 20100101AFI20230418BHJP
G01S 19/40 20100101ALI20230418BHJP
G01S 19/07 20100101ALI20230418BHJP
【FI】
G01S19/14
G01S19/40
G01S19/07
(21)【出願番号】P 2022130667
(22)【出願日】2022-08-18
【審査請求日】2022-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】村上 健祐
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113940(JP,A)
【文献】国際公開第2021/205559(WO,A1)
【文献】特開2018-163138(JP,A)
【文献】特開2020-115108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0085734(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0280413(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14,
G01S 19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が前記測位信号に基づいて測定する前記通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を設置する作業の作業状況と、前記基準局の位置と、を取得する取得部と、
表示装置において、前記作業状況と、1つの前記基準局の位置において前記基準局が
地上、鉄塔又はビル上のうちどこに設置される
かを示す情報と、に対応する表示態様の前記基準局を示す画像を、前記基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させる表示制御部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が前記測位信号に基づいて測定する前記通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を設置する作業の作業状況と、前記基準局の位置と、を取得する取得部と、
表示装置において、前記作業状況に対応する表示態様の前記基準局を示す画像を、前記基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させる表示制御部と、
前記表示装置に表示された一又は複数の前記基準局の中からユーザによって選択された前記基準局を示す情報を受け付ける受付部と、
を有し、
前記表示制御部は、選択された前記基準局の位置を基準として所定範囲内に位置する、選択された前記基準局とは異なる一又は複数の前記基準局の数を前記表示装置に表示させる、
情報処理装置。
【請求項3】
測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が前記測位信号に基づいて測定する前記通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を、前記通信端末が移動体通信を行うための通信信号を授受する基地局に設置する作業の作業状況と、前記基準局の位置と、を取得する取得部と、
表示装置において、前記作業状況と、前記基地局の種類と、に対応する表示態様の前記基準局を示す画像を、前記基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させる表示制御部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記作業状況が前記基準局の設置が完了していないことを示している場合と、前記作業状況が前記基準局の設置が完了していることを示している場合と、で異なる表示態様の前記画像を前記表示装置に表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記作業状況に加えて、1つの前記基準局の位置において前記基準局が
地上、鉄塔又はビル上のうちどこに設置される
かを示す情報に対応する表示態様の前記画像を前記表示装置に表示させる、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示装置に表示された一又は複数の前記基準局の中からユーザによって選択された前記基準局を示す情報を受け付ける受付部をさらに有し、
前記表示制御部は、選択された前記基準局の位置を基準として所定範囲内に位置する、選択された前記基準局とは異なる一又は複数の前記基準局の数を前記表示装置に表示させる、
請求項1又は3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記作業状況は、前記通信端末が移動体通信を行うための通信信号を授受する基地局に前記基準局を設置する作業の状況を示す、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記作業状況に加えて、前記基地局の種類に対応する表示態様の前記画像を前記表示装置に表示させる、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記基準局の位置として、前記基準局が設置されることが想定された想定位置と、前記基準局が実際に設置される又は設置された実際位置と、を取得し、
前記表示制御部は、前記基準局を示す画像を、前記想定位置に対応する前記地図上の位置と、前記実際位置に対応する前記地図上の位置と、に表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記基準局を保守するための物品を保管するための拠点の位置を取得し、
前記表示制御部は、前記基準局を示す画像に加えて、前記拠点を示す画像を、前記拠点の位置に対応する前記地図上の位置に表示させる、
請求項1又は3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記表示装置に表示された一又は複数の前記基準局の中からユーザによって選択された前記基準局を示す情報を受け付ける受付部をさらに有し、
前記表示制御部は、一又は複数の前記拠点のうち、選択された前記基準局と所定の関係にある前記拠点を示す画像を、他の前記拠点を示す画像とは異なる表示態様で前記表示装置に表示させる、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記取得部は、前記基準局から出力された情報が利用された回数に対応する利用状況を取得し、
前記表示制御部は、前記基準局を示す画像に加えて、前記利用状況が所定の条件を満たす前記地図上の領域を、前記地図上の他の領域とは異なる表示態様で表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、所定の形状の図形を前記地図上に表示させるとともに、前記基準局の位置に対応する前記地図上の位置が前記図形に含まれる前記基準局の数を前記表示装置に表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
プロセッサが実行する、
測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が前記測位信号に基づいて測定する前記通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を設置する作業の作業状況を取得するステップと、
前記基準局の位置を取得するステップと、
表示装置において、前記作業状況と、1つの前記基準局の位置において前記基準局が
地上、鉄塔又はビル上のうちどこに設置される
かを示す情報と、に対応する表示態様の前記基準局を示す画像を、前記基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項15】
プロセッサが実行する、
測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が前記測位信号に基づいて測定する前記通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を設置する作業の作業状況を取得するステップと、
前記基準局の位置を取得するステップと、
表示装置において、前記作業状況に対応する表示態様の前記基準局を示す画像を、前記基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させるステップと、
前記表示装置に表示された一又は複数の前記基準局の中からユーザによって選択された前記基準局を示す情報を受け付けるステップと、
選択された前記基準局の位置を基準として所定範囲内に位置する、選択された前記基準局とは異なる一又は複数の前記基準局の数を前記表示装置に表示させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項16】
プロセッサが実行する、
測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が前記測位信号に基づいて測定する前記通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を、前記通信端末が移動体通信を行うための通信信号を授受する基地局に設置する作業の作業状況を取得するステップと、
前記基準局の位置を取得するステップと、
表示装置において、前記作業状況と、前記基地局の種類と、に対応する表示態様の前記基準局を示す画像を、前記基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の測位システムにおいて、測位衛星が送信した測位信号に基づいて算出される通信端末の位置の精度を向上させるために、既知の基準局の位置を通信端末上に表示し、選択された基準局の位置を用いて通信端末の位置を算出するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測位システムにおいて様々な地域で高精度に測位できるようにするために、複数の基準局が広い範囲で計画的に設置される必要がある。特許文献1に記載されたシステムは、既に設置された基準局の位置を利用する技術であるため、基準局をこれから設置する作業を支援することはできなかった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、測位システムにおいて位置の基準となる基準局を設置する作業を円滑にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が前記測位信号に基づいて測定する前記通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を設置する作業の作業状況と、前記基準局の位置と、を取得する取得部と、表示装置において、前記作業状況に対応する表示態様の前記基準局を示す画像を、前記基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させる表示制御部と、を有する。
【0007】
前記表示制御部は、前記作業状況が前記基準局の設置が完了していないことを示している場合と、前記作業状況が前記基準局の設置が完了していることを示している場合と、で異なる表示態様の前記画像を前記表示装置に表示させてもよい。
【0008】
前記表示制御部は、前記作業状況に加えて、前記基準局の位置において前記基準局が設置される場所に対応する表示態様の前記画像を前記表示装置に表示させてもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記表示装置に表示された一又は複数の前記基準局の中からユーザによって選択された前記基準局を示す情報を受け付ける受付部をさらに有し、前記表示制御部は、選択された前記基準局の位置を基準として所定範囲内に位置する、選択された前記基準局とは異なる一又は複数の前記基準局の数を前記表示装置に表示させてもよい。
【0010】
前記作業状況は、前記通信端末が移動体通信を行うための通信信号を授受する基地局に前記基準局を設置する作業の状況を示してもよい。
【0011】
前記表示制御部は、前記作業状況に加えて、前記基地局の種類に対応する表示態様の前記画像を前記表示装置に表示させてもよい。
【0012】
前記取得部は、前記基準局の位置として、前記基準局が設置されることが想定された想定位置と、前記基準局が実際に設置される又は設置された実際位置と、を取得し、前記表示制御部は、前記基準局を示す画像を、前記想定位置に対応する前記地図上の位置と、前記実際位置に対応する前記地図上の位置と、に表示させてもよい。
【0013】
前記取得部は、前記基準局を保守するための物品を保管するための拠点の位置を取得し、前記表示制御部は、前記基準局を示す画像に加えて、前記拠点を示す画像を、前記拠点の位置に対応する前記地図上の位置に表示させてもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記表示装置に表示された一又は複数の前記基準局の中からユーザによって選択された前記基準局を示す情報を受け付ける受付部をさらに有し、前記表示制御部は、一又は複数の前記拠点のうち、選択された前記基準局と所定の関係にある前記拠点を示す画像を、他の前記拠点を示す画像とは異なる表示態様で前記表示装置に表示させてもよい。
【0015】
前記取得部は、前記基準局から出力された情報が利用された回数に対応する利用状況を取得し、前記表示制御部は、前記基準局を示す画像に加えて、前記利用状況が所定の条件を満たす前記地図上の領域を、前記地図上の他の領域とは異なる表示態様で表示させてもよい。
【0016】
前記表示制御部は、所定の形状の図形を前記地図上に表示させるとともに、前記基準局の位置に対応する前記地図上の位置が前記図形に含まれる前記基準局の数を前記表示装置に表示させてもよい。
【0017】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が前記測位信号に基づいて測定する前記通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を設置する作業の作業状況を取得するステップと、前記基準局の位置を取得するステップと、表示装置において、前記作業状況に対応する表示態様の前記基準局を示す画像を、前記基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、測位システムにおいて位置の基準となる基準局を設置する作業を円滑にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】本実施形態に係る管理サーバのブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る測位システムの模式図である。
【
図5】決定部が基準局画像を決定する方法を説明するための模式図である。
【
図6】表示装置が基準局画像及び拠点画像を表示する画面の模式図である。
【
図7】表示装置が選択された基準局の詳細情報を表示する画面の模式図である。
【
図8】想定位置と実際位置との差異を表示する画面の模式図である。
【
図9】表示装置が所定の形状の図形内に位置する基準局の数を表示する画面の模式図である。
【
図10】情報処理システムが実行する情報処理方法のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、測位衛星3が送信する測位信号に基づいて位置を測定するための測位システムに関する情報を管理するシステムである。情報処理システムSは、管理サーバ1と、表示装置2と、を含む。情報処理システムSは、その他の端末、装置等を含んでもよい。
【0021】
測位システムは、測位信号を送信する測位衛星3と、測位信号に基づいて位置を補正するための情報を通信端末5に出力する基準局4と、を含む。通信端末5は、測位衛星3から受信した測位信号に基づいて測定した位置を、基準局4が出力した情報に基づいて補正することによって、高精度に測位をすることができる。測位システムの具体的な構成については
図3を用いて後述する。
【0022】
管理サーバ1(情報処理装置)は、測位システムにおける基準局4に関する情報を管理するコンピュータである。管理サーバ1は、単一の装置、又は複数の装置である。また、管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウド上で動作する一又は複数の仮想的なサーバであってもよい。管理サーバ1は、無線通信又は有線通信によって、表示装置2との間で情報を送受信する。
【0023】
表示装置2は、ユーザが使用するコンピュータである。表示装置2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の通信端末である。ユーザは、例えば、基準局4に関する情報を入力し、管理し、又は閲覧する人又は事業者である。表示装置2は、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作部と、を有する。
【0024】
本実施形態に係る管理サーバ1が実行する処理の概要を以下に説明する。管理サーバ1は、測位システムが含む一又は複数の基準局4に関する基準局情報を取得する。基準局情報は、例えば、基準局4を設置する作業の作業状況と、基準局4の位置と、を含む情報である。作業状況は、例えば、基準局4を設置するための工事が完了しているか否かを示す。基準局4の位置は、例えば、緯度及び経度等の座標である。
【0025】
管理サーバ1は、取得した基準局情報に基づいて、表示装置2において、作業状況に対応する表示態様の基準局4を示す画像を、基準局4の位置に対応する地図上の位置に表示させる。管理サーバ1は、例えば、表示装置2において、作業状況ごとに異なるアイコン画像を、地図上の基準局4に対応する位置に重畳して表示させる。
【0026】
これにより、管理サーバ1は、基準局4の位置及び作業状況をユーザが地図上で容易に把握できるようにすることにより、ユーザが測位システムの基準局4を設置する作業を円滑にできる。
【0027】
[管理サーバ1の構成]
図2は、本実施形態に係る管理サーバ1のブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0028】
管理サーバ1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部11は、基準局4に関する基準局情報を予め記憶している。また、記憶部11は、基準局4を保守するための物品を保管するための拠点に関する拠点情報を予め記憶している。記憶部11は、管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0029】
制御部12は、受付部121と、取得部122と、決定部123と、表示制御部124と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部121、取得部122、決定部123及び表示制御部124として機能する。受付部121、取得部122、決定部123及び表示制御部124それぞれが行う処理については後述する。
【0030】
[測位システムの説明]
まず、管理サーバ1が情報を管理する対象である基準局4を含む測位システムの構成を以下に説明する。
図3は、本実施形態に係る測位システムの模式図である。測位システムは、例えば、準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellite System)、GPS(Global Positioning System)等のGNSSである。測位システムは、複数の測位衛星3と、複数の基準局4と、補正情報生成システム6と、を含む。
【0031】
測位衛星3は、通信端末5が位置を測定するために用いられる測位信号を送信する、宇宙空間に配置された人工衛星である。測位衛星3は、例えば、測位衛星3の位置及び送信時刻を示す測位信号を送信する。
【0032】
基準局4は、測位衛星3が送信した測位信号を受信することによって、補正情報生成システム6が補正情報を算出するための測定情報を出力する装置である。補正情報は、通信端末5が測位信号に基づいて測定する位置の補正に用いる情報である。基準局4は、例えば、地上の既知の位置に設置されており、測位信号を受信するためのアンテナを有する。複数の基準局4の位置は、補正情報生成システム6の記憶部に予め記憶されている。
【0033】
基準局4は、複数の測位衛星3から測位信号を受信する。基準局4は、既知の測位方法を用いて、基準局4の位置を測定する。基準局4は、例えば、基準局4が受信した測位信号の送信元である測位衛星3の位置及び測位信号の送信時刻を用いて、基準局4の位置を算出する。基準局4は、例えば、基準局を識別するための基準局識別情報(基準局ID(Identification))と、測定した基準局4の位置(座標等)と、を示す測定情報を、無線通信又は有線通信により補正情報生成システム6に送信する。
【0034】
基準局4は、通信端末5が行う移動体通信等の無線通信の信号を送受信する基地局7上に設置されてもよい。これにより、ユーザは、基準局4を設置するための用地の確保が必要なくなり、基準局4の電源を基地局7の電源と共用できるため、基準局4を設置する作業を効率的に進めることができる。
【0035】
補正情報生成システム6は、基準局4が出力した測定情報に基づいて、通信端末5が測定する位置を補正するための補正情報を生成するシステムである。補正情報生成システム6は、例えば、複数の基準局4それぞれの設置位置を、当該基準局4の基準局IDと関連付けて記憶部に予め記憶している。補正情報生成システム6は、例えば、基準局4から測定情報を受信したことに応じて、測定情報が示す基準局4の位置と、測定情報が示す基準局IDに関連付けられた基準局4の設置位置と、に基づいて、補正情報を生成する。
【0036】
補正情報生成システム6は、例えば、測定情報が示す基準局4の位置と、測定情報が示す基準局IDに関連付けられた基準局4の設置位置と、の間の差を誤差として示す補正情報を生成する。補正情報は、ここに説明した具体的な情報に限られず、通信端末5の位置の補正に用いることが可能なその他の情報を示してもよい。補正情報生成システム6は、例えば、基地局7を介して、生成した補正情報を、測定情報の送信元である基準局4を基準として所定範囲内の通信端末5に送信する。
【0037】
基準局4は、補正情報生成システム6として機能してもよい。この場合に、基準局4は、測位衛星3から受信した測位信号に基づいて上述の補正情報を生成し、通信端末5に送信する。
【0038】
通信端末5は、他の装置との間で無線通信を行うとともに、測位衛星3が送信した測位信号に基づいて通信端末5の位置を測定するコンピュータである。通信端末5は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、飛行体(ドローン)等である。通信端末5は、例えば、測位信号を受信するためのアンテナと、無線通信の信号を受信するためのアンテナと、を有する。
【0039】
通信端末5は、複数の測位衛星3から測位信号を受信する。また、通信端末5は、基地局7を介して、補正情報生成システム6から補正情報を受信する。通信端末5は、既知の測位方法を用いて、通信端末5の位置を測定する。通信端末5は、例えば、通信端末5が受信した測位信号の送信元である測位衛星3の位置及び測位信号の送信時刻を用いて、通信端末5の位置を算出する。そして通信端末5は、算出した位置に対して補正情報を用いて補正すること(例えば、補正情報が示す誤差を加算又は減算すること)により、通信端末5の位置を決定する。
【0040】
管理サーバ1は、ここに説明した具体的な測位システムに限られず、通信端末5が測定する位置を補正するための基準局4を含むその他の測位システムに関する情報を管理してもよい。
【0041】
[情報処理システムSの説明]
次に、管理サーバ1が本実施形態に係る処理を実行するための構成を以下に説明する。ユーザは、基準局4の位置の表示を希望する場合に、表示装置2を用いて所定の操作を行う。管理サーバ1において、受付部121は、ユーザによる操作に応じて、基準局4の位置を表示するための表示要求を、表示装置2から受け付ける。
【0042】
取得部122は、受付部121が表示要求を受け付けたことに応じて、測位システムが含む一又は複数の基準局4に関する基準局情報を記憶部11から取得する。基準局情報は、基準局4を設置する作業の作業状況と、基準局4の位置と、を含む。基準局4の位置は、例えば、基準局4を設置することが想定された位置と、基準局4が実際に設置された位置と、の少なくとも一方を含む。
【0043】
図4は、例示的な基準局情報の模式図である。基準局情報は、例えば、基準局4を識別するための基準局IDと、当該基準局4の名称(
図4の局名)と、当該基準局4の設置場所と、当該基準局4の想定位置と、当該基準局4の実際位置と、当該基準局4を設置する作業の作業状況(
図4のステータス)と、を含む情報である。
【0044】
基準局4の設置場所は、基準局4が実際に設置される位置(座標等)において設置される場所である。設置場所は、例えば、地上、鉄塔又はビル上である。設置場所が地上である場合に、基準局4は地上に直接設置される。設置場所が鉄塔である場合に、基準局4は鉄塔に設置される。設置場所がビル上である場合に、基準局4はビル等の建物の屋上に設置される。設置場所は、基準局4が実際に設置される場所が確定していない場合に、空欄であってもよい。基準局4は、ここに説明した具体的な設置場所に限られず、その他の設置場所に設置されてもよい。
【0045】
基準局4が鉄塔に設置される場合に、高所作業が必要になるため、地上に設置される場合に比べて設置及び保守の難度が高くなる傾向がある。また、基準局4がビル上に設置される場合に、ビルの所有者との交渉等が必要になるため、地上に設置される場合に比べて設置及び保守に時間及びコストが掛かる傾向がある。後述のように、管理サーバ1は、各基準局4の設置場所を地図上で俯瞰できるようにすることにより、各基準局4が設置される場所をユーザが把握しやすくできる。
【0046】
基準局4の想定位置は、基準局4を設置することが想定された位置である。基準局4の実際位置は、基準局4が実際に設置される又は設置された位置である。想定位置及び実際位置は、例えば、緯度及び経度等の座標によって表される。実際位置は、基準局4が実際に設置される位置が確定していない場合に、空欄であってもよい。測位システムが様々な地域で高精度に測位できるようにするために、複数の基準局4は所定の間隔でまんべんなく配置されることが想定されている。このように測位システムにおいて想定されている基準局4の位置を、想定位置という。一方、用地の都合等により基準局4が想定位置に配置できるとは限らないため、基準局4は想定位置とは異なる実際位置に設置され得る。
【0047】
作業状況は、基準局4を設置する作業の状況である。基準局4を設置する作業は、例えば、移動体通信等の無線通信の基地局7に、基準局4を設置する作業である。作業状況は、例えば、基準局4を設置するための設計を行っていること、基準局4を設置するための工事を行っていること又は完了したこと、基準局4を設置した後の検収が完了したこと等を含む。後述のように、管理サーバ1は、各基準局4の作業状況を地図上で俯瞰できるようにすることにより、複数の基準局4の作業状況をユーザが把握しやすくできる。
【0048】
また、取得部122は、基準局4を保守するための物品を保管するための一又は複数の拠点に関する拠点情報を記憶部11から取得する。拠点情報は、例えば、拠点を識別するための拠点IDと、当該拠点の位置と、当該拠点において保管されている物品で保守可能な一又は複数の基準局4の基準局IDと、を含む情報である。
【0049】
決定部123は、複数の基準局4それぞれに対して、取得部122が取得した基準局情報に基づいて、表示装置2に表示させる基準局画像を決定する。基準局画像は、各基準局4の基準局情報の内容に対応する表示態様のアイコン等の画像である。
【0050】
図5(a)、
図5(b)は、決定部123が基準局画像を決定する方法を説明するための模式図である。
図5(a)において、決定部123は、基準局情報が示す作業状況に対応する表示態様の基準局画像を決定する。
図5(a)の例では、決定部123は、作業状況に応じて基準局画像を異なる色にする。決定部123は、例えば、作業状況が基準局4の設置が完了していないこと(設計中又は工事中)を示している場合と、作業状況が基準局4の設置が完了していること(工事完了又は検収済)を示している場合と、で異なる表示態様の基準局画像を決定する。これにより、管理サーバ1は、基準局画像によって基準局4の作業状況をユーザに容易に把握させることができる。
【0051】
図5(b)において、決定部123は、基準局情報が示す設置場所に対応する表示態様の基準局画像を決定する。
図5(b)の例では、決定部123は、作業状況に応じて基準局画像を異なる模様にする。決定部123は、例えば、設置場所が地上である場合と、設置場所が鉄塔である場合と、設置場所がビル上である場合と、設置場所が未定(空欄)である場合と、で異なる表示態様の基準局画像を決定する。これにより、管理サーバ1は、基準局画像によって基準局4の設置場所をユーザに容易に把握させることができる。
【0052】
決定部123は、作業状況に加えて、設置場所に対応する表示態様の基準局画像を決定することが望ましい。すなわち、決定部123は、作業状況及び設置場所の組み合わせに対応する表示態様の基準局画像を決定することが望ましい。決定部123は、例えば、基準局画像を
図5(a)に例示した作業状況に対応する色にするとともに、基準局画像を
図5(b)に例示した設置場所に対応する模様にする。これにより、管理サーバ1は、1つの基準局画像によって基準局4の作業状況及び設置場所を同時にユーザに把握させることができる。
【0053】
また、決定部123は、例えば、作業状況が基準局4の設置が完了していないことを示す場合に、設置場所にかかわらず共通の基準局画像を決定し、作業状況が基準局4の設置が完了していることを示す場合に、設置場所に対応する表示態様の基準局画像を決定してもよい。
【0054】
基準局4が基地局7に設置される場合に、決定部123は、作業状況(又は作業状況及び設置場所)に加えて、基準局4の設置先の基地局7の種類に対応する表示態様の基準局画像を決定してもよい。この場合に、決定部123は、記憶部11に予め記憶された基地局7に関する情報に基づいて、基地局7の種類を特定する。基地局7の種類は、例えば、基地局7が3G(Generation)、4G/LTE(Long Term Evolution)、又は5Gのうちいずれの移動体通信に対応しているかによって表される。
【0055】
決定部123は、例えば、基準局4の設置先の基地局7が3G、4G/LTE、又は5Gのうちいずれの移動体通信に対応しているかに応じて異なる表示態様の基準局画像を決定する。これにより、管理サーバ1は、基準局画像によって基準局4の作業状況及び種類をユーザに同時に把握させることができる。
【0056】
表示制御部124は、表示装置2において、決定部123が決定した基準局画像を、基準局4の位置に対応する地図上の位置に表示させる。基準局画像は、上述のように基準局4の作業状況、設置場所、基準局4が設置される基地局7の種類等に対応する表示態様の画像である。表示制御部124は、例えば、一又は複数の基準局4それぞれの基準局画像と、当該基準局4の位置と、を含む表示情報を、表示装置2に送信する。基準局4の位置は、例えば、実際位置が確定した基準局4の場合には実際位置であり、実際位置が確定していない基準局4の場合には想定位置である。表示情報は、一又は複数の拠点それぞれの拠点画像と、当該拠点の位置と、をさらに含んでもよい。拠点画像は、例えば、所定のアイコン等の画像である。
【0057】
図6は、表示装置2が基準局画像及び拠点画像を表示する画面の模式図である。表示装置2は、所定範囲の地図(地図画像)を、表示部上に表示する。表示装置2は、表示装置2の記憶部に予め記憶された地図を表示してもよく、管理サーバ1又はその他のサーバから受信した地図を表示してもよい。表示装置2が表示する地図の範囲は、例えば、管理サーバ1が送信した表示情報が示す一又は複数の基準局4全ての位置を少なくとも含む範囲である。表示装置2が表示する地図の範囲は、ユーザによる操作に応じて変更されてもよい。
【0058】
表示装置2は、管理サーバ1が送信した表示情報に従って、一又は複数の基準局4それぞれの基準局画像21を、当該基準局4の位置に対応する地図上の位置に表示する。また、表示装置2は、管理サーバ1が送信した表示情報に従って、一又は複数の拠点それぞれの拠点画像22を、当該拠点の位置に対応する地図上の位置に表示する。
【0059】
これにより、ユーザは、一又は複数の基準局4それぞれの作業状況及び設置場所を地図上の分布として容易に把握できるため、基準局4を設置する作業を円滑に行うことができる。また、ユーザは、同じ地図上で、基準局4の位置に加えて、基準局4を保守するための物品を保管するための一又は複数の拠点の位置を容易に把握できるため、基準局4を保守する作業も円滑に行うことができる。
【0060】
また、管理サーバ1は、表示装置2において、基準局4の詳細情報を地図上に表示してもよい。ユーザは、基準局4の詳細情報の表示を希望する場合に、表示装置2を用いて、詳細情報の表示対象とする基準局4の基準局画像21を選択する操作を行う。管理サーバ1において、受付部121は、表示装置2に表示された一又は複数の基準局4の中からユーザによって選択された、詳細情報の表示対象とする基準局4を示す情報を、表示装置2から受け付ける。
【0061】
取得部122は、一又は複数の基準局4の基準局情報及び一又は複数の拠点の拠点情報を、記憶部11から取得する。決定部123は、取得部122が取得した一又は複数の基準局4の基準局情報に基づいて、詳細情報を生成する。決定部123は、例えば、選択された基準局4の想定位置と実際位置とのずれ量を決定する。この場合に、決定部123は、例えば、基準局4の想定位置と実際位置との間の距離を、ずれ量として算出する。また、決定部123は、例えば、選択された基準局4に関する外部情報(詳細な地図等)にアクセスするためのURI(Uniform Resource Identifier)等のリンク情報を決定する。
【0062】
また、決定部123は、例えば、選択された基準局4の位置を基準として所定範囲内に位置する、選択された基準局4とは異なる一又は複数の基準局4の数である他局数を決定する。この場合に、決定部123は、例えば、選択された基準局4の位置を中心とした所定半径の円(半径250kmの円等)内に位置する、選択された基準局4以外の基準局4の数を、他局数として算出する。
【0063】
また、決定部123は、一又は複数の拠点のうち、選択された基準局4と所定の関係にある拠点を決定する。決定部123は、例えば、拠点情報に基づいて、一又は複数の拠点のうち、選択された基準局4の位置に最も近い拠点を、選択された基準局4と所定の関係にある拠点として決定してもよい。また、決定部123は、例えば、拠点情報に基づいて、一又は複数の拠点のうち、選択された基準局4を保守するための物品を保管している拠点を、選択された基準局4と所定の関係にある拠点として決定してもよい。
【0064】
決定部123は、例えば、選択された基準局4の基準局情報が示す名称、設置場所及び作業状況と、決定したずれ量、リンク情報及び他局数と、を含む詳細情報を生成する。詳細情報は、決定部123が決定した、選択された基準局4に関連する拠点を示す情報をさらに含んでもよい。
【0065】
表示制御部124は、ユーザにより選択された基準局4の詳細情報を表示装置2に表示させる。表示制御部124は、例えば、決定部123が生成した詳細情報を、表示装置2に送信する。
【0066】
図7は、表示装置2が選択された基準局4の詳細情報を表示する画面の模式図である。表示装置2は、管理サーバ1が送信した詳細情報23を、選択された基準局4の基準局画像21に関連付けて地図上に表示する。
【0067】
ユーザは、詳細情報が含むずれ量を見ることにより、基準局4の当初想定された位置と実際の位置との差異を定量的に把握することができる。また、ユーザは、詳細情報が含む他局数を見ることにより、選択された基準局4の周りに十分な数の基準局4が設置されているか否かを容易に判断できる。また、ユーザは、リンク情報を選択することにより、選択された基準局4に関する情報に容易にアクセスできる。
【0068】
また、表示装置2は、管理サーバ1が送信した詳細情報に従って、選択された基準局4に関連する拠点の拠点画像22を、他の拠点の拠点画像とは異なる表示態様で表示させる。
図7の例では、表示装置2は、選択された基準局4の基準局画像21と、選択された基準局4に関連する拠点の拠点画像22と、を破線で結んで表示している。これにより、ユーザは、選択された基準局4に関連する拠点の位置を、地図上で容易に把握することができる。
【0069】
また、管理サーバ1は、表示装置2において、基準局4の想定位置と実際位置との差異を地図上に表示してもよい。ユーザは、基準局4の想定位置と実際位置との差異の表示を希望する場合に、表示装置2を用いて所定の操作を行う。管理サーバ1において、受付部121は、ユーザによる操作に応じて、基準局4の想定位置と実際位置との差異を表示するための表示要求を、表示装置2から受け付ける。
【0070】
取得部122は、一又は複数の基準局4の基準局情報を、記憶部11から取得する。基準局情報は各基準局4の想定位置及び実際位置を含む。
【0071】
表示制御部124は、表示装置2において、一又は複数の基準局4それぞれを示す画像を、当該基準局4の想定位置に対応する地図上の位置と、当該基準局4の実際位置に対応する地図上の位置と、に表示させる。表示制御部124は、例えば、一又は複数の基準局4それぞれの基準局画像と、当該基準局4の想定位置と、当該基準局4の実際位置と、を含む表示情報を、表示装置2に送信する。表示情報は、実際位置が確定していない基準局4の実際位置を含まなくてもよい。
【0072】
図8は、表示装置2が想定位置と実際位置との差異を表示する画面の模式図である。表示装置2は、管理サーバ1が送信した表示情報に従って、一又は複数の基準局4それぞれを示す画像を、当該基準局4の想定位置に対応する地図上の位置と、当該基準局4の実際位置に対応する地図上の位置と、に表示する。基準局4の実際位置を示す画像は、例えば、上述の基準局画像21である。基準局4の想定位置を示す画像は、例えば、所定のアイコン画像24である。これにより、ユーザは、複数の基準局4の当初想定された位置と実際の位置との差異を容易に把握することができる。
【0073】
また、管理サーバ1は、表示装置2において、地図上の所定の形状の図形内に位置する基準局4の数を地図上に表示してもよい。ユーザは、地図上の所定の形状の図形内に位置する基準局4の数の算出を希望する場合に、表示装置2を用いて、基準局4の数を算出する図形を指定する操作(例えば、地図上で円を配置する操作)を行う。管理サーバ1において、受付部121は、ユーザによって指定された、図形(例えば、円の位置及び半径)を示す情報を、表示装置2から受け付ける。
【0074】
取得部122は、一又は複数の基準局4の基準局情報を、記憶部11から取得する。決定部123は、ユーザにより指定された図形内に位置する一又は複数の基準局4の数である局数を決定する。決定部123は、例えば、基準局4の位置に対応する地図上の位置が、ユーザにより指定された図形に含まれる基準局4の数を、局数として算出する。
【0075】
表示制御部124は、ユーザにより指定された図形を地図上に表示させるとともに、決定部123が決定した局数を表示装置2に表示させる。表示制御部124は、例えば、ユーザにより指定された図形と、決定部123が決定した局数と、を含む表示情報を、表示装置2に送信する。
【0076】
図9は、表示装置2が所定の形状の図形内に位置する基準局4の数を表示する画面の模式図である。表示装置2は、管理サーバ1が送信した表示情報に従って、ユーザにより指定された図形25と、図形25内に位置する基準局4の局数26と、を地図上に表示する。これにより、ユーザは、指定した図形内に十分な数の基準局4が設置されているか否かを容易に判断できる。
【0077】
さらに、管理サーバ1は、表示装置2において、基準局4が出力する測定情報の利用頻度の高い領域を地図上に表示してもよい。ユーザは、基準局4が出力する測定情報の利用頻度の高い領域の表示を希望する場合に、表示装置2を用いて所定の操作を行う。管理サーバ1において、受付部121は、ユーザによる操作に応じて、基準局4が出力する測定情報の利用頻度の高い領域を表示するための表示要求を、表示装置2から受け付ける。
【0078】
取得部122は、基準局4から出力された測定情報が利用された回数に対応する利用状況を取得する。利用状況は、例えば、基準局4から出力された測定情報に基づいて生成された補正情報が、一又は複数の通信端末5に送信された回数である。取得部122は、例えば、補正情報生成システム6から利用状況を受信し、又は記憶部11に予め記憶された利用状況を取得する。
【0079】
決定部123は、例えば、一又は複数の基準局4それぞれに対して、取得部122が取得した利用状況が所定の条件(所定の閾値以上であること等)を満たすか否かを判定する。決定部123は、例えば、表示装置2に表示される地図上において、利用状況が条件を満たす基準局4を基準とした所定の大きさの領域(基準局4を中心とした所定半径の円等)を、利用状況が条件を満たす領域として決定する。
【0080】
表示制御部124は、表示装置2において、基準局画像に加えて、利用状況が条件を満たす地図上の領域を、当該地図上の他の領域とは異なる表示態様で表示させる。表示制御部124は、例えば、利用状況が条件を満たす領域を示す表示情報を、表示装置2に送信する。
【0081】
表示装置2は、管理サーバ1が送信した表示情報に従って、利用状況が条件を満たす地図上の領域を、当該地図上の他の領域とは異なる表示態様(色、模様等)で表示させる。これにより、ユーザは、例えば、高頻度に利用される基準局4の周囲の領域を地図上で容易に把握でき、基準局4の設置計画に反映することができる。
【0082】
[情報処理方法のフロー]
図10は、管理サーバ1が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。受付部121は、表示装置2から、ユーザによる操作に応じた情報を受け付ける(S11)。
【0083】
受付部121が基準局4の位置を表示するための表示要求を受け付けた場合に(S12のYES)、取得部122は、測位システムが含む一又は複数の基準局4に関する基準局情報を記憶部11から取得する。決定部123は、複数の基準局4それぞれに対して、取得部122が取得した基準局情報に基づいて、表示装置2に表示させる基準局画像を決定する(S13)。決定部123は、例えば、基準局4の作業状況及び設置場所の組み合わせに対応する表示態様の基準局画像を決定する。
【0084】
表示制御部124は、表示装置2において、決定部123が決定した基準局画像を、基準局4の位置に対応する地図上の位置に表示させる(S14)。表示制御部124は、例えば、一又は複数の基準局4それぞれの基準局画像と、当該基準局4の位置と、を含む表示情報を、表示装置2に送信する。
【0085】
受付部121が詳細情報の表示対象とする基準局4を示す情報を受け付けた場合に(S12のNO、S15のYES)、取得部122は、一又は複数の基準局4の基準局情報及び一又は複数の拠点の拠点情報を、記憶部11から取得する。決定部123は、取得部122が取得した一又は複数の基準局4の基準局情報に基づいて、詳細情報を生成する(S16)。決定部123は、例えば、選択された基準局4の基準局情報が示す名称、設置場所及び作業状況と、決定したずれ量、リンク情報及び他局数と、を含む詳細情報を生成する。
【0086】
表示制御部124は、ユーザにより選択された基準局4の詳細情報を表示装置2に表示させる(S17)。表示制御部124は、例えば、決定部123が生成した詳細情報を、表示装置2に送信する。
【0087】
受付部121が基準局4の想定位置と実際位置との差異を表示するための表示要求を受け付けた場合に(S15のNO、S18のYES)。取得部122は、一又は複数の基準局4の基準局情報を、記憶部11から取得する。基準局情報は各基準局4の想定位置及び実際位置を含む。
【0088】
表示制御部124は、表示装置2において、一又は複数の基準局4それぞれを示す画像を、当該基準局4の想定位置に対応する地図上の位置と、当該基準局4の実際位置に対応する地図上の位置と、に表示させる(S19)。表示制御部124は、例えば、一又は複数の基準局4それぞれの基準局画像と、当該基準局4の想定位置と、当該基準局4の実際位置と、を含む表示情報を、表示装置2に送信する。
【0089】
受付部121が基準局4の数を算出する図形(例えば、円の位置及び半径)を示す情報を受け付けた場合に(S18のNO)。取得部122は、一又は複数の基準局4の基準局情報を、記憶部11から取得する。決定部123は、ユーザにより指定された図形内に位置する一又は複数の基準局4の数である局数を決定する(S20)。
【0090】
表示制御部124は、ユーザにより指定された図形を地図上に表示させるとともに、決定部123が決定した局数を表示装置2に表示させる(S21)。表示制御部124は、例えば、ユーザにより指定された図形と、決定部123が決定した局数と、を含む表示情報を、表示装置2に送信する。
【0091】
所定の終了条件(例えば、ユーザが終了操作をしたこと)が満たされていない場合に(S22のNO)、管理サーバ1はステップS11~S21を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S22のYES)、管理サーバ1は処理を終了する。
【0092】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、管理サーバ1は、表示装置2において、基準局4の作業状況及び設置場所に対応する表示態様の画像を、地図上の基準局4の位置に表示させる。これにより、ユーザは、表示装置2を見ることにより、一又は複数の基準局4それぞれの作業状況及び設置場所を地図上の分布として容易に把握できるため、基準局4を設置する作業を円滑に行うことができる。
【0093】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0094】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0095】
管理サーバ1のプロセッサは、
図10に示す情報処理方法に含まれる各ステップ(工程)を実行する。すなわち、管理サーバ1のプロセッサは、
図10に示す情報処理方法を実行するためのプログラムを実行することによって、
図10に示す情報処理方法を実行する。
図10に示す情報処理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0096】
S 情報処理システム
1 管理サーバ
11 記憶部
12 制御部
121 受付部
122 取得部
123 決定部
124 表示制御部
2 表示装置
【要約】
【課題】測位システムにおいて位置の基準となる基準局を設置する作業を円滑にできるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る管理サーバ1は、測位衛星が送信した測位信号を受信することによって、通信端末が測位信号に基づいて測定する通信端末の位置の補正に用いる補正情報を算出するための情報を出力する基準局を設置する作業の作業状況と、基準局の位置と、を取得する取得部122と、表示装置において、作業状況に対応する表示態様の基準局を示す画像を、基準局の位置に対応する地図上の位置に表示させる表示制御部124と、を有する。
【選択図】
図2