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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/215 20110101AFI20230419BHJP
   B60R 21/203 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
B60R21/215
B60R21/203
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020030720
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021133781
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】藤村 健司
(72)【発明者】
【氏名】水野 喜夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 滋幸
(72)【発明者】
【氏名】森田 文平
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 孝敏
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-069163(JP,A)
【文献】特開2009-143279(JP,A)
【文献】特開平10-236259(JP,A)
【文献】特開2017-226348(JP,A)
【文献】特開平06-305425(JP,A)
【文献】特開2010-132013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/215
B60R 21/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張用ガスを流入させて折畳状態から展開膨張するエアバッグと、
折り畳まれた前記エアバッグを覆うエアバッグカバーと、
前記エアバッグと前記エアバッグカバーとを保持するホルダと、
を備え、
前記エアバッグカバーが、
膨張する前記エアバッグに押されて、ヒンジ部を回転中心として開く扉部と、
前記扉部の周囲を囲むように配設されて、前記ホルダに取り付けられる側壁部と、
を備え、
前記扉部に、機能部品が配設されて、車両に搭載されるエアバッグ装置であって、
前記エアバッグカバーが、前記側壁部の先端側に、外側に膨らませた係止頭部を有した複数の係止脚部を配設させ、
前記ホルダが、前記係止脚部を挿入させ、前記係止頭部を周縁で係止可能な係止孔を備え、
前記機能部品が、塑性変形可能な保持部材に連結保持されて、配設され、
前記保持部材が、
前記機能部品に連結させた先端側の先側連結部と、
前記ホルダ側に連結される元側連結部と、
前記先側連結部と前記元側連結部との間に配置されて、前記エアバッグの膨張時に、前記先側連結部における前記機能部品との連結保持状態を維持し、かつ、前記ヒンジ部に作用する前記機能部品の遠心力を抑制して、塑性変形する変形部と、
を備えて構成され
前記保持部材の前記元側連結部が、前記側壁部の内周側における前記係止脚部の側面から前記係止頭部の先端を係止可能な断面L字状のフック形状に形成されて、前記係止脚部の前記ホルダの前記係止孔への挿入係止時、前記係止脚部とともに、前記ホルダに連結されることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記機能部品が、乗員を撮影するカメラであることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
ステアリングホイールにおける操舵時に把持するリング部の中央付近のボス部に、搭載されることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記ホルダが、前記係止孔の周縁における前記係止頭部の係止縁側と逆側の縁に、先端を前記係止孔側に接近させるように曲げて、前記係止脚部を前記係止縁側に押圧する舌片、を配設させていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に関し、特に、膨張するエアバッグに押されて開くエアバッグカバーの扉部に、機能部品が配設されているエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両に搭載されるエアバッグ装置としては、膨張用ガスを流入させて折畳状態から展開膨張するエアバッグと、折り畳まれた前記エアバッグを覆うエアバッグカバーと、エアバッグとエアバッグカバーとを保持するホルダと、を備えて構成されていた(例えば、特許文献1参照)。このエアバッグ装置では、エアバッグカバーが、膨張するエアバッグに押されて、ヒンジ部を回転中心として開く扉部と、扉部の周囲を囲むように配設されて、ホルダに取り付けられる取付壁部と、を備え、扉部に、発光表示部からなる機能部品が配設されて、車両に搭載されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-226348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、機能部品が扉部の裏面側に取り付けられて、エアバッグの膨張時に、扉部と一体的に回転することから、扉部のヒンジ部には、扉部自体の重量とは別に、機能部品の重量も加わることから、ヒンジ部は、それらの遠心力に対抗できる強度が必要となって、補強部材を配設する必要が生じてしまう。そしてさらに、機能部品の重量が重くなれば、簡便に対処できなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグに押し開けられる扉部に機能部品を配設させる構成としても、扉部のヒンジ部の補強を抑制して、簡便に配設可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアバッグ装置は、膨張用ガスを流入させて折畳状態から展開膨張するエアバッグと、
折り畳まれた前記エアバッグを覆うエアバッグカバーと、
前記エアバッグと前記エアバッグカバーとを保持するホルダと、
を備え、
前記エアバッグカバーが、
膨張する前記エアバッグに押されて、ヒンジ部を回転中心として開く扉部と、
前記扉部の周囲を囲むように配設されて、前記ホルダに取り付けられる側壁部と、
を備え、
前記扉部に、機能部品が配設されて、車両に搭載されるエアバッグ装置であって、
前記機能部品が、塑性変形可能な保持部材に連結保持されて、配設され、
前記保持部材が、
前記機能部品に連結させた先端側の先側連結部と、
前記ホルダ側に連結される元側連結部と、
前記先側連結部と前記元側連結部との間に配置されて、前記エアバッグの膨張時に、前記先側連結部における前記機能部品との連結保持状態を維持し、かつ、前記ヒンジ部に作用する前記機能部品の遠心力を抑制して、塑性変形する変形部と、
を備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置では、扉部に配設される機能部品が、塑性変形可能な保持部材に連結保持されており、エアバッグの膨張に伴ない、扉部が、ヒンジ部を回転中心として、エアバッグに押し開かれる際、機能部品は、保持部材の変形部を塑性変形させつつ、扉部のヒンジ部に対して作用する機能部品の遠心力を抑制して、回転移動する。勿論、保持部材は、塑性変形可能な材料から形成されているものの、変形するまで、形状保持性を有し、さらに、元側連結部を、エアバッグ等を保持する強固なホルダに連結させており、機能部品を安定して保持できて、扉部への機能部品自体の組付(位置合わせ)を、簡便な構成により、容易に行える。
【0008】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、エアバッグに押し開けられる扉部に機能部品を配設させる構成としても、扉部のヒンジ部の補強を抑制して、簡便に配設することができる。
【0009】
本発明に係るエアバッグ装置では、前記機能部品として、乗員を撮影するカメラを例示でき、その場合には、他の発光装置等に比べて、重量があるものの、エアバッグカバーの扉部における開き時の回転中心となるヒンジ部に対して作用するカメラの遠心力を好適に抑制できることから、ヒンジ部に破損を生じさせず、支障なく、エアバッグに押されて開く扉部に、カメラを配設することができる。
【0010】
本発明に係るエアバッグ装置では、ステアリングホイールにおける操舵時に把持するリング部の中央付近のボス部に、搭載されることが例示できる。
【0011】
また、本発明に係るエアバッグ装置では、
前記エアバッグカバーが、前記側壁部の先端側に、外側に膨らませた係止頭部を有した複数の係止脚部を配設させ、
前記ホルダが、前記係止脚部を挿入させ、前記係止頭部を周縁で係止可能な係止孔を備え、
前記保持部材の前記元側連結部が、前記側壁部の内周側における前記係止脚部の側面から前記係止頭部の先端を係止可能な断面L字状のフック形状に形成されて、前記係止脚部の前記ホルダの前記係止孔への挿入係止時、前記係止脚部とともに、前記ホルダに連結されていてもよい。
【0012】
このような構成では、エアバッグカバーの係止脚部をホルダの係止孔に係止させる際、保持部材のフック形状の元側連結部を、予め、係止脚部の係止頭部の先端に、係止させておくだけで、その後は、単に、係止脚部ごと、ホルダの係止孔に挿入させれば、係止脚部における係止頭部の係止孔周縁への係止時、係止頭部とともに、元側連結部も、ホルダに係止される状態となることから、保持部材のホルダへの連結作業が手間取らない。
【0013】
この場合、前記ホルダが、前記係止孔の周縁における前記係止頭部の係止縁側と逆側の縁に、先端を前記係止孔側に接近させるように曲げて、前記係止脚部を前記係止縁側に押圧する舌片、を配設させていれば、保持部材の元側連結部とともに、係止脚部を、ホルダの係止孔に挿入させた後、舌片を曲げて、係止脚部を係止縁側に押圧すれば、ホルダの係止孔の係止縁に対し、係止頭部がより係止される状態となり、係止脚部とともに、一層、強固に、保持部材の元側連結部が、ホルダに連結されることとなる。
【0014】
また、本発明に係るエアバッグ装置では、前記保持部材の前記元側連結部が、前記ホルダに設けられた取付孔に挿入可能なボルトを備え、該ボルトを前記取付孔に挿入させ、ナットを締結させることにより、前記ホルダに連結されていてもよい。
【0015】
このような構成では、保持部材の元側連結部に配設されているボルトをホルダの取付孔に挿入させて、ボルトにナットを締結すれば、元側連結部をホルダに強固に連結することができる。
【0016】
この場合、前記保持部材の前記元側連結部が、前記エアバッグカバーの側壁部の内周面側に配設される連結片部を備えて、前記ボルトを、前記側壁部の内周面側から外周面側に突出させるように、前記連結片部に配設させて構成され、
前記連結片部に対向する前記エアバッグカバーの側壁部の部位が、先端から前記扉部側に延びるカバー側凹溝を備え、
前記ホルダが、前記エアバッグを取り付ける底壁部から前記エアバッグカバーの扉部側に延びて、前記カバー側凹溝を配設させた前記側壁部の部位の外周面側に配設される取付板部、を備え、
該取付板部が、先端から前記底壁部側に延びる凹溝であって、前記取付孔を構成可能なホルダ側凹溝、を備え、
前記カバー側凹溝と前記ホルダ側凹溝とが、前記ボルトを挿通可能で、かつ、前記ナットを挿通不能とする幅寸法として、配設されていてもよい。
【0017】
このような構成では、保持部材における元側連結部の連結片部に設けたボルトを、エアバッグカバーにおける側壁部のカバー側凹溝に挿通させ、さらに、ホルダにおける取付板部のホルダ側凹溝に挿通させて、ナットを締結すれば、保持部材の元側連結部をホルダに連結することができる。そして、ボルトが、エアバッグカバーの側壁部の内周面側に配設される連結片部から、側壁部の外周面側へ突出するように、配設されていても、側壁部には、ボルトを挿通可能なカバー側凹溝が、側壁部の先端から扉部側に延びるように配設されており、保持部材の先側連結部に連結保持される機能部品を扉部に配設させる際、側壁部の先端側から、ボルトをカバー側凹溝内に挿入させることができ、また、ホルダにも、取付板部の先端から底壁部側に延びるように、ボルトを挿入可能なホルダ側凹溝が配設されていることから、取付板部の先端側から、ボルトをホルダ側凹溝に挿入させつつ、ホルダを、エアバッグカバー側に接近させるように配設させることができて、エアバッグ装置の組立時に、支障なく、ボルトを、エアバッグカバーの側壁部とホルダの取付板部とに挿通させることができる。勿論、側壁部のカバー側凹溝と取付板部のホルダ側凹溝とは、ボルトを挿通可能で、かつ、ナットを挿通不能とする幅寸法に形成されており、挿通されたボルトにナットを締結すれば、ナットが、確実に、カバー側凹溝とホルダ側凹溝との周縁を締め付ける締め代を確保できることから、保持部材の元側連結部とエアバッグカバーの側壁部とを、強固に、ホルダに取り付けることができる。なお、ボルトは、保持部材の元側連結部において、外周側に突出する構成であって、収納されるエアバッグを傷付ける虞れがなく、また、エアバッグカバーのホルダに連結される側壁部を内周面側から外周面側に貫通するように配設される構成であって、エアバッグカバーの側壁部の高さ寸法を大きくせずに、すなわち、エアバッグ装置自体の高さ寸法を増大させずに、コンパクトに配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る第1実施形態のエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの平面図である。
図2】第1実施形態のステアリングホイールの前後方向に沿った概略縦断面図である。
図3】第1実施形態のエアバッグ装置の作動時における扉部が開く前の状態を示す概略縦断面図であり、図1のIII-III部位に対応する。
図4】第1実施形態のエアバッグ装置の作動時における扉部が開く状態を示す概略縦断面図であり、図1のIII-III部位に対応する。
図5】第1実施形態のエアバッグ装置の概略分解斜視図である。
図6】第1実施形態のエアバッグカバーに、保持部材を組み付ける状態を説明する説明図である。
図7】第2実施形態のエアバッグ装置の概略分解斜視図である。
図8】第2実施形態のエアバッグ装置の作動時における扉部が開く前の状態を示す概略縦断面図である。
図9】第2実施形態のエアバッグ装置の作動時における扉部が開く状態を示す概略縦断面図である。
図10】第2実施形態のエアバッグ装置の組立工程を説明する説明図である。
図11】第2実施形態のエアバッグ装置の組立工程を説明する説明図であり、図10の後の状態を示す。
図12】第2実施形態のエアバッグ装置の変形例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ装置20は、図1,2に示すように、車両における運転者が操舵するステアリングホイールWに搭載される。ステアリングホイールWは、図1に示すように、操舵時に把持するリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイール本体1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置20と、を備えて構成される。
【0020】
なお、本明細書での上下・左右・前後の方向は、ステアリングホイールWを車両のステアリングシャフトSS(図2参照)にナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトの軸直交方向の車両の前後方向に対応している(図1参照)。
【0021】
ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層7と、を備えて構成されている。被覆層7の表面には、皮革8が巻き付けられている。さらに、リング部Rの前部と後部の内周側には、加飾ガーニッシュ13,15が配設されている。
【0022】
芯金2は、リング部Rに配置されるリング芯金部3、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部4、及び、左右のスポーク部Sに配置されてリング芯金部3とボス芯金部4とを連結するスポーク芯金部5、から構成される。スポーク芯金部5は、実施形態の場合、前側の左右の二本のスポーク部Sの部位にしか配設されておらず、後部側のスポーク部Sには、後述するエアバッグカバー37の周囲を囲うベゼル14が配設されている。
【0023】
そして、芯金2のボス芯金部4の周縁には、エアバッグ装置20の後述する各ホーンスイッチ体58の組付ピン59を固定させる固定部10が、配設されている(図2参照)。固定部10は、下狭まりのテーパ状に貫通する係止孔11と、ボス芯金部4の下面側に配置されて、組付ピン59の先端を係止する係止ピン(図符号省略)と、を配設させて構成されている。係止ピンは、復元可能に、ボス芯金部4の下面に沿って、撓み可能なばね材から形成されている。
【0024】
また、ステアリングホイール本体1は、ボス部Bの下面側に、ロアカバー16を配設させて構成されている(図2参照)。
【0025】
エアバッグ装置20は、図1~3,5に示すように、膨張用ガスを流入させて膨らむエアバッグ32と、エアバッグ32に膨張用ガスを供給するインフレーター26と、折り畳まれたエアバッグ32を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のエアバッグカバー37と、エアバッグ32、インフレーター26、及び、エアバッグカバー37を保持する板金製のホルダ21と、リテーナ28と、を備えて構成されている。さらに、実施形態のエアバッグ装置20では、運転者を撮影するためのエアバッグカバー37に配設されるカメラ62と、カメラ62を保持する保持部材70と、を備えて構成されている。
【0026】
エアバッグ32は、球状に近似した厚みのある略円板状の膨張完了形状として、下部側に膨張用ガスを流入するために円形に開口した流入用開口33を備え、流入用開口33の周縁34には、リテーナ28のボルト28bを貫通させる貫通孔34aが4個形成されている。
【0027】
インフレーター26は、上部に膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口26bを設けた円柱状の本体部26aを備え、本体部26aの外周面には、四角環状のフランジ部26cが突設されている。フランジ部26cには、リテーナ28のボルト28bを貫通させる貫通孔26dが形成されている。
【0028】
リテーナ28は、四角環状の板金製の本体28aを備え、四隅に、下方に突出するボルト28bを突設させている。リテーナ28はエアバッグ32内の流入用開口33の周縁34に配設され、各ボルト28bをエアバッグ32の貫通孔34a、ホルダ21の貫通孔22b、及び、インフレーター26のフランジ部26cの貫通孔26dに、順に貫通させ、各ボルト28bにナット29を締結させることにより、ホルダ21に、エアバッグ32とインフレーター26とを取り付けている。
【0029】
ホルダ21は、図2~5に示すように、金属板から構成されて、底壁部22と、底壁部22の外周縁から上方に延びる側壁部23と、を備えて構成されている。底壁部22は、中央に、インフレーター26の本体部26aを下方から挿入可能な円形の挿入孔22aを配設させ、また、挿入孔22aの周縁には、既述のボルト28bを貫通させる貫通孔22bを配設させている。また、底壁部22の外周縁付近には、エアバッグカバー37を取付固定するための係止孔22cが、4箇所に配設されている。各係止孔22cは、エアバッグカバー37の後述する係止脚部54を係止する部位であり、挿入孔22aから離れた縁側を、係止縁22dとし、挿入孔22a側の縁には、係止孔22c内に進入させるように上方へ曲げて、係止脚部54を係止縁22d側に押圧して、係止脚部54の係止を強固にするための舌片22eが配設されている(図3の括弧書き参照)。
【0030】
また、底壁部22の各組付座22fには、複数(実施形態では3個)のホーンスイッチ体58が各々取り付けられており、これらのホーンスイッチ体58の組付ピン59を利用して、エアバッグ装置20が、ステアリングホイール本体1のボス芯金部4に取付固定されている。
【0031】
なお、ホーンスイッチ体58は、内部に可動側接点・固定側接点(図符号省略)を配設させており、エアバッグ装置20を押し下げると、可動側接点が固定側接点に接触して、ホーンを作動させるように使用される。
【0032】
また、側壁部23は、各係止孔22cの外縁側に配設されて、エアバッグカバー37における各係止孔22cに係止される係止脚部54付近が、エアバッグ32の膨張時に外側に膨らむ際の支持を行えるように、構成されている。
【0033】
エアバッグカバー37は、図1~5に示すように、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製として、ステアリングホイールWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。エアバッグカバー37は、上部側に配設されて、ボス部Bの内部に折り畳まれて収納されたエアバッグ32の上方を覆う天井壁部38と、天井壁部38の下面から略円筒状に延び、折り畳まれたエアバッグ32の前後左右の側方(外周側)を覆う側壁部53と、を備えて構成されている。
【0034】
天井壁部38には、膨張するエアバッグ32に押されて前方側に開く略円板状の扉部39が、配設されている。扉部39は、左後縁側にヒンジ部40を設けて、周囲に、上方から見て略円弧状とした薄肉の破断予定部41を設けて構成されている。
【0035】
さらに、扉部39の上面側には、透明な合成樹脂(例えば、PC樹脂、PMMA樹脂、PET樹脂等)からなる略T字形状のオーナメント50が固着されている。オーナメント50は、表面側がハーフミラー処理を施されて、エアバッグカバー37側(後述するカメラ62側)から運転者を視認できるものの、外側から鏡のように反射する状態としている。すなわち、実施形態のオーナメント50は、エアバッグカバー37側から見れば、全体が光透過部位51としている。
【0036】
また、扉部39の上面には、オーナメント50を取り付けるための収納凹部43が配設され、その中央には、カメラ62のレンズ部63を配置させる貫通孔46が配設されている。オーナメント50は、貫通孔46を塞ぐように、収納凹部43に、接着等により固着されている。また、収納凹部43の裏面側には、すなわち、扉部39の裏面39a側には、カメラ62を保持した保持部材70の先側連結部71と連結される複数(実施形態では4本)の係止突起45が、配設されている。各係止突起45は、保持部材70の先側連結部71の取付孔71aに挿入され、さらに、先端を拡径させるように、熱溶融させた係止頭部45aを設けて、構成されている。
【0037】
なお、扉部39が開くときには、オーナメント50は、扉部39と一体的に回転し、そして、裏面39a側の各係止突起45は、カメラ62を保持した先側連結部71の取付孔71aから離脱することとなる(図3,4参照)。すなわち、機能部品としてのカメラ62は、扉部39に対し、保持部材70の先側連結部71を利用して、扉部39の開き前には、位置ずれを防止され、扉部39の開き時には、離脱可能に、組み付けられている。
【0038】
エアバッグカバー37の側壁部53は、下端に、複数(実施形態では4本)の係止脚部54が突設されている。各係止脚部54は、ホルダ21の係止孔22cに挿入されて、ホルダ21に取付固定されるように、下端に、側壁部53の外周面(外側面)53b側に突出する係止頭部45aを配設させている。各係止脚部54の係止頭部45aは、ホルダ21の係止孔22cへの挿入係止時、係止孔22cの外縁側の係止縁22dの下面側に係止されることとなる。
【0039】
なお、エアバッグカバー37は、ホルダ21に対し、係止脚部54の係止により上方移動が規制され、側壁部53の先端53cの底壁部22への当接により下方移動が規制されることにより、上下移動を規制されて、取り付けられることとなる。
【0040】
また、後左側の係止脚部54の内側面(内周面)53a側には、保持部材70の元側連結部78を含めた縦板部70cを嵌め込み可能な凹部56が形成されている。凹部56は、上部側の幅広部56aと、下部側の幅狭部56bと、を備え、さらに、幅狭部56bから延びるように、係止頭部54bの先端面55側に配設される延設部56cを備えて構成されている。
【0041】
カメラ62は、運転者の瞳付近を撮影し、円滑にステアリングホイールWを操舵可能な運転可能状態、あるいは、居眠り等の状態として運転不能状態、としているかを判定する判定手段に、撮影データを出力するものであり、図示しないボルトやリベット等の固定手段を利用して、保持部材70の先側連結部71に連結保持されて、扉部39の裏面側に、配設されている。
【0042】
保持部材70は、塑性変形可能な鋼やアルミニウム合金等の金属材から形成されて(実施形態の場合は鋼等の金属板から形成されている)、エアバッグカバー37の扉部39の裏面39a側に配設される横板部70aと、エアバッグカバー37の側壁部53の内周面53a側に配設される縦板部70cと、エアバッグカバー37のヒンジ部40の内周側に配設されて、横板部70aと縦板部70cとの略90°で交差する部位の屈曲部70bと、を備えた略L字形状としている。
【0043】
そして、横板部70aの先端側が、カメラ62を連結保持するようにカメラ62を連結させた先側連結部71とし、縦板部70cの下端側が、ホルダ21に連結させる元側連結部78とし、屈曲部70b付近が、エアバッグ32の膨張時に、カメラ62を保持する状態を先側連結部71に維持させた状態で、塑性変形する変形部73としている。
【0044】
先側連結部71は、横板部70aの先端側における扉部39の裏面39a側に配置される平板状として、扉部39の係止突起45を係止させるための所定数の取付孔71aが貫通された略平板状に形成されている。
【0045】
元側連結部78は、縦板部70cの下端側に配置されている。縦板部70cは、エアバッグカバー37の側壁部53における左後側の係止脚部54の内側面(内周面)53aに沿うような平板状に形成されており、元側連結部78は、係止脚部54の係止孔22cに挿入される部位として、断面略L字状の係止片部79から形成されている。実施形態の場合、元側連結部78としての係止片部79は、縦板部70cが嵌め込まれる係止脚部54の内側面(内周面)53aに設けられた凹部56において、その幅狭部56bから延設部56cに嵌め込まれるように形成されている。すなわち、元側連結部78としての係止片部79は、縦板部70cの下端側で、上下方向に沿って延びて、幅狭部56bに嵌め込まれる平板状の首部79aと、首部79aの下端で直交するように曲がり、係止脚部54の係止頭部54bにおける先端面55を係止する係止鉤部79bと、を備えて構成されている。また、係止鉤部79bは、凹部56の延設部56cに嵌め込まれるように形成されている。
【0046】
変形部73は、エアバッグ32の膨張時に、先側連結部71がカメラ62との連結保持状態を維持し、かつ、ヒンジ部40に作用する機能部品としてのカメラ62の遠心力を抑制して、塑性変形する部位であり、実施形態の場合、屈曲部70b自体の本体部74と、屈曲部70bから先側連結部71側に延びる先側延設部75と、屈曲部70bから元側連結部78側に延びる元側延設部76と、を備えて、これらの各部74,75,76が、エアバッグ32の膨張時に塑性変形することとなる。
【0047】
すなわち、保持部材70は、ホルダ21に連結される元側連結部78からカメラ62を保持する先側連結部71までの長さ寸法DLとして、エアバッグ32の膨張時に、先側連結部71が膨張するエアバッグ32に押されて、変形部73を塑性変形させる際、扉部39の開き時にヒンジ部40に、カメラ62の慣性力等の影響を与えないように、先側連結部71側を回転移動させつつ、塑性変形する寸法を確保できるように設定されている。そして、変形部73は、エアバッグ32が膨張する際には、カメラ62を保持する先側連結部71が、膨張するエアバッグ32に押されて、屈曲部70bが拡開するように塑性変形する状態となり、変形部73の本体部74、先側延設部75、及び、元側延設部76、を塑性変形させる。その際、同時に、扉部39も、直接的に、若しくは、カメラ62や先側連結部71を介在させて、間接的に、膨張するエアバッグ32に押され、周囲の破断予定部41を破断させて、ヒンジ部40を開き時の回転中心として、開くこととなる。
【0048】
第1実施形態のエアバッグ装置20では、組み立て時、エアバッグ32内にリテーナ28の本体28aを入れるとともに、各ボルト28bを、貫通孔34aを利用して、エアバッグ32外に突出させた状態で、エアバッグ32を折り畳み、折り畳んだエアバッグ32を折り崩れ防止用のラッピング材35で包む。
【0049】
また、保持部材70の先側連結部71には、予め、カメラ62を取り付けておき、エアバッグカバー37にも、予め、オーナメント50を取り付けておく。そして、その保持部材70の縦板部70cを、エアバッグカバー37の側壁部53の凹部56に嵌めて、元側連結部78としての係止片部79の首部79aを、凹部56の幅狭部56bに嵌め、係止鉤部79bを、延設部56cに嵌めて、係止脚部54の先端面55に係止させる。と同時に、先側連結部71に取り付けておいたカメラ62のレンズ部63を、扉部39の裏面39a側から、貫通孔46に挿入させつつ、扉部39の裏面39a側から突出する係止突起45を、先側連結部71の取付孔71aから突出させ、係止突起45の先端を熱溶融させて、係止突起45の先端に係止頭部45aを形成して、先側連結部71を、扉部39に連結し、保持部材70をエアバッグカバー37に組み付ける。
【0050】
また、ラッピング材35に包まれたエアバッグ32から延びるリテーナ28の各ボルト28bを、ホーンスイッチ体58を取付済みのホルダ21の貫通孔22bに貫通させるとともに、インフレーター26の本体部26aを、下方から、ホルダ21の挿入孔22aに挿入させつつ、各ボルト28bをインフレーター26のフランジ部26cの各貫通孔26dに貫通させ、各ボルト28bにナット29を締結して、ホルダ21に対して、エアバッグ32とインフレーター26とを取付固定する。
【0051】
その後、エアバッグカバー37の側壁部53における各係止脚部54を、ホルダ21の各係止孔22cに挿入させ、各舌片22eを係止脚部54の内周面53a側に押し付けて、各係止脚部54の係止頭部54bを、各係止孔22cの係止縁22dに係止させるようにして、エアバッグカバー37をホルダ21に取付固定すれば、エアバッグ装置20を組み立てることができる。
【0052】
その後、ステアリングシャフトSSに締結済みのステアリングホイール本体1の各固定部10の係止孔11に対して、エアバッグ装置20の各ホーンスイッチ体58の組付ピン59を、挿入係止させて、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1に取り付ければ、エアバッグ装置20を、ステアリングホイールWとともに、車両に搭載することができる。
【0053】
なお、カメラ62から延びる撮影データ出力用や電力入力用の図示しないリード線は、扉部39の開き時に、保持部材70と同様に変形するように、保持部材70に沿わせ、かつ、ホルダ21を貫通させておき、そして、インフレーター26の作動用信号入力用の図示しないリード線とともに、ステアリングホイール本体1から延びる所定のコネクタに接続させておく。
【0054】
車両に搭載された第1実施形態のエアバッグ装置20では、作動前の状態では、扉部39の裏面39a側に配置させたカメラ62が、レンズ部63を配置させたオーナメント50の光透過部位51を経て、運転者の瞳付近を撮影して、その撮影データを所定の判定手段に出力する。なお、運転者を撮影するカメラ62が、ステアリングホイールWの前面側のボス部Bに搭載されており、操舵時、ステアリングホイールWのスポーク部S等に邪魔されずに運転者を撮影することができ、運転者を撮影する際に好適としている。
【0055】
そして、エアバッグ装置20の作動時には、図3,4に示すように、インフレーター26がガス吐出口26bから膨張用ガスを吐出することから、エアバッグ32が膨張し、エアバッグカバー37の扉部39を、直接的に、若しくは、保持部材70の先側連結部71やカメラ62を介在させて、間接的に、エアバッグ32が押すことから、扉部39は、周囲の破断予定部41を破断させて、ヒンジ部40を開き時の回転中心として、押し開かされ、エアバッグカバー37の天井壁部38に、エアバッグ突出用開口48を開口させる。と同時に、扉部39の裏面39a側に配置されたカメラ62やカメラ62を保持した保持部材70の先側連結部71も、膨張するエアバッグ32に押され、保持部材70の変形部73における本体部74、先側延設部75、及び、元側延設部76の塑性曲げ変形により、エアバッグ突出用開口48のエリアから、屈曲部70b付近を回転中心として、回転移動する。その際、カメラ62を保持した先側連結部71は、取付孔71aから係止突起45を離脱させて、カメラ62の扉部39との組付状態が解除されることから、カメラ62は、扉部39のヒンジ部40に大きな遠心力を作用させることなく、保持部材70の先側連結部71に保持されて、回転移動することとなる。すなわち、機能部品としてのカメラ62を配置させた扉部39のヒンジ部40自体に対して作用するカメラ62の遠心力を、抑制できることから(実施形態では、殆ど、遠心力を作用させないことから)、ヒンジ部40は、オーナメント50を設けた扉部39だけの強度を確保できればよく、カメラ62の重量を考慮せずに、設定できることから、簡便に、肉厚や配置位置等を設定できる。勿論、保持部材70は、塑性変形可能な材料から形成されているものの、変形するまで、形状保持性を有し、さらに、元側連結部78を、エアバッグ32等を保持する強固なホルダ21に連結させており、機能部品としてのカメラ62を安定して保持できて、扉部39へのカメラ62自体の組付(位置合わせ)を、係止突起45の取付孔71aへの挿入係止程度の簡便な構成により、容易に行える。
【0056】
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置20では、エアバッグ32に押し開けられる扉部39に機能部品としてのカメラ62を配設させる構成としても、扉部39のヒンジ部40の補強を抑制して、簡便に配設することができる。
【0057】
そして、第1実施形態では、機能部品を、乗員を撮影するカメラ62としており、他の発光装置等の機能部品に比べて、重量があるものの、扉部39の開き時の回転中心となるヒンジ部40に、カメラ62の遠心力を大きく作用させないことから、ヒンジ部40に破損を生じさせず、支障なく、エアバッグ32に押されて開く扉部39の裏面39a側に、カメラ62を配設することができる。
【0058】
なお、機能部品としては、カメラの他、液晶パネル等からなる発光装置を使用することができて、このような発光装置を、保持部材70に連結保持させて、エアバッグカバーにおけるエアバッグの膨張時に開く扉部の裏面側に、配設させてもよい。
【0059】
また、第1実施形態のエアバッグ装置20では、ステアリングホイールにおける操舵時に把持するリング部の中央付近のボス部Bに、搭載されており、そして、機能部品として、操舵する運転者を撮影するカメラ62を配設させていることから、カメラ62の撮影データの判定に基づいて、運転者に注意喚起を促すことができることから、操舵する車両の好適な走行状態を確保できることとなる。
【0060】
また、第1実施形態のエアバッグ装置20では、エアバッグカバー37が、側壁部53の先端53c側に、外側に膨らませた係止頭部54bを有した複数(実施形態では4本)の係止脚部54を配設させ、ホルダ21が、係止脚部54を挿入させ、係止頭部54bを周縁で係止可能な係止孔22cを備え、保持部材70の元側連結部78が、側壁部53の内周側における係止脚部54の側面から係止頭部54bの先端面55を係止可能な断面L字状のフック形状の係止片部79として形成されて、係止脚部54のホルダ21の係止孔22cへの挿入係止時、係止脚部54とともに、ホルダ21に連結されている。
【0061】
そのため、第1実施形態では、エアバッグカバー37の係止脚部54をホルダ21の係止孔22cに係止させる際、保持部材70のフック形状の元側連結部78としての係止片部79を、予め、係止脚部54の係止頭部54bの先端(先端面)55に、係止させておくだけで、その後は、単に、係止脚部54ごと、ホルダ21の係止孔22cに挿入させれば、係止脚部54における係止頭部54bの係止孔22c周縁の係止縁22dへの係止時、係止頭部54bとともに、元側連結部78の係止片部79も、ホルダ21に係止される状態となることから、保持部材70のホルダ21への連結作業が手間取らない。
【0062】
この場合、第1実施形態では、ホルダ21が、係止孔22cの周縁における係止頭部54bの係止縁22d側と逆側の縁に、先端を係止孔22c側に接近させるように曲げて、係止脚部54を係止縁22d側に押圧する舌片22e、を配設させている。そのため、保持部材70の元側連結部78としての係止片部79とともに、係止脚部54を、ホルダ21の係止孔22cに挿入させた後、舌片22eを曲げて、係止脚部54を係止縁22d側に押圧すれば、ホルダ21の係止孔22cの係止縁22dに対し、係止頭部54bがより係止される状態となり、係止脚部54とともに、一層、強固に、保持部材70の元側連結部78が、ホルダ21に連結されることとなる(図3の括弧書き参照)。
【0063】
つぎに、図7~11に示す第2実施形態のエアバッグ装置20Aについて説明すると、このエアバッグ装置20Aは、ボルト82とナット84とを利用して、保持部材70Aの元側連結部78Aをホルダ21Aに連結させている。
【0064】
この第2実施形態では、断面L字形の板金製とした保持部材70Aにおいて、縦板部70cの下端側の元側連結部78Aが、図7図10のA,Bに示すように、エアバッグカバー37Aの側壁部53の内周面53a側に配設される連結片部81を備えて、ボルト82を、側壁部53の内周面53a側から外周面53b側に突出させるように、連結片部81に配設させて構成されている。ボルト82は、ホルダ21Aの後述する取付孔として機能するホルダ側凹溝24を貫通して、ナット84が締結されることとなる(図7図11のA,B参照)。
【0065】
また、連結片部81に対向するエアバッグカバー37Aの側壁部53における係止脚部54Aの部位が、先端(下端)53cから扉部39側に延びるカバー側凹溝57を備えている。
【0066】
さらに、ホルダ21Aが、エアバッグ32を取り付ける底壁部22からエアバッグカバー37Aの扉部39側に延びて、カバー側凹溝57を配設させた側壁部53の係止脚部54Aの外周面53b側に配設される側壁部23に、取付板部23aを配設させている。取付板部23aは、先端(上端)23bから底壁部22側に延びて、取付孔として機能するホルダ側凹溝24、を備えている。
【0067】
そして、カバー側凹溝57とホルダ側凹溝24とが、ボルト82を挿通可能で、かつ、ナット84を挿通不能とする幅寸法CW,HW(図10参照)として、配設されている。
【0068】
なお、保持部材70Aにおける元側連結部78A以外の他の部位、例えば、カメラ62を保持する先側連結部71や変形部73等、あるいは、エアバッグカバー37Aにおける係止脚部54A以外の他の部位、例えば、オーナメント50を設けた扉部39やヒンジ部40等、さらに、ホルダ21Aにおける取付板部23a以外の他の部位、例えば、挿入孔22a等を設けた底壁部22等は、第1実施形態と同様な構成であり、第1実施形態と同様な部位には第1実施形態の同じ符号を付して、説明を省略する。
【0069】
この第2実施形態のエアバッグ装置20Aでは、図10のA,Bに示すように、保持部材70Aにおける元側連結部78Aの連結片部81に設けたボルト82を、エアバッグカバー37Aにおける側壁部53のカバー側凹溝57に挿通させる。その際、カメラ62を取り付けた先側連結部71を、係止突起45を利用して、エアバッグカバー37Aの扉部39の裏面39a側に連結させる(図8参照)。
【0070】
さらに、連結片部81に設けたボルト82を、図11のA,Bに示すように、エアバッグ32、インフレーター26、ホーンスイッチ体58を取付済みのホルダ21Aにおける取付板部23aのホルダ側凹溝24に挿通させて、ナット84を締結すれば、保持部材70Aの元側連結部78Aをホルダ21Aに連結することができて、エアバッグ装置20Aを組み立てることができる。なお、図11では、エアバッグ32、インフレーター26等は省略されて図示されている。
【0071】
このように組み立てたエアバッグ装置20Aは、第1実施形態と同様に、各ホーンスイッチ体58の組付ピン59を、ステアリングホイール本体1の係止孔11(図2参照)に挿入係止させて、エアバッグ装置20Aをステアリングホイール本体1に取り付ければ、エアバッグ装置20Aを、ステアリングホイールWとともに、車両に搭載することができる。
【0072】
そして、車両に搭載されたエアバッグ装置20Aでは、第1実施形態と同様に、作動前の状態では、扉部39の裏面39a側に配置させたカメラ62が、レンズ部63を配置させたオーナメント50の光透過部位51を経て、運転者の瞳付近を撮影して、その撮影データを所定の判定手段に出力する。
【0073】
また、エアバッグ装置20Aの作動時には、図8,9に示すように、インフレーター26がガス吐出口26bから膨張用ガスを吐出することから、エアバッグ32が膨張し、エアバッグカバー37Aの扉部39を、直接的に、若しくは、保持部材70Aの先側連結部71やカメラ62を介在させて、間接的に、エアバッグ32が押すことから、扉部39は、周囲の破断予定部41を破断させて、ヒンジ部40を開き時の回転中心として、押し開かされ、エアバッグカバー37Aの天井壁部38に、エアバッグ突出用開口48を開口させる。と同時に、扉部39の裏面39a側に配置されたカメラ62やカメラ62を保持した保持部材70Aの先側連結部71も、膨張するエアバッグ32に押され、保持部材70Aの変形部73における本体部74、先側延設部75、及び、元側延設部76の塑性曲げ変形により、エアバッグ突出用開口48のエリアから、屈曲部70b付近を回転中心として、回転移動する。その際、カメラ62を保持した先側連結部71は、取付孔71aから係止突起45を離脱させて、カメラ62の扉部39との組付状態が解除されることから、カメラ62は、扉部39のヒンジ部40に大きな遠心力を作用させることなく、保持部材70Aの先側連結部71に保持されて、回転移動することとなる。
【0074】
そのため、第2実施形態のエアバッグ装置20Aでも、第1実施形態と同様に、エアバッグ32に押し開けられる扉部39に機能部品としてのカメラ62を配設させる構成としても、扉部39のヒンジ部40の補強を抑制して、簡便に配設することができる。
【0075】
さらに、第2実施形態では、ボルト82が、エアバッグカバー37Aの側壁部53の内周面53a側に配設される連結片部81から、側壁部53の外周面53b側へ突出するように、配設されていても、側壁部53には、ボルト82を挿通可能なカバー側凹溝57が、側壁部53の先端(下端)53cから扉部39側に延びるように配設されており、保持部材70Aの先側連結部71に連結保持される機能部品としてのカメラ62を扉部39に配設させる際、側壁部53の先端(下端)53c側から、ボルト82をカバー側凹溝57内に挿入させることができ、また、ホルダ21Aにも、取付板部23aの先端(上端)23bから底壁部22側に延びるように、ボルト82を挿入可能なホルダ側凹溝24が配設されていることから、取付板部23aの先端23b側から、ボルト82をホルダ側凹溝24に挿入させつつ、ホルダ21Aを、エアバッグカバー37A側に接近させるように配設させることができて、エアバッグ装置20Aの組立時に、支障なく、ボルト82を、エアバッグカバー37Aの側壁部53とホルダ21Aの取付板部23aとに挿通させることができる。勿論、側壁部53のカバー側凹溝57と取付板部23aのホルダ側凹溝24とは、ボルト82を挿通可能で、かつ、ナット84を挿通不能とする幅寸法CW,HWに形成されており、挿通されたボルト82にナット84を締結すれば、ナット84が、確実に、カバー側凹溝57とホルダ側凹溝24との周縁を締め付ける締め代を確保できることから、保持部材70Aの元側連結部78Aとエアバッグカバー37Aの側壁部53とを、強固に、ホルダ21Aに取り付けることができる。
【0076】
また、第2実施形態では、保持部材70Aをホルダ21Aに固定するボルト82が、保持部材70Aの元側連結部78Aにおいて、外周側に突出する構成であって、収納されるエアバッグ32を傷付ける虞れがなく、また、エアバッグカバー37Aのホルダ21Aに連結される側壁部53を内周面53a側から外周面53b側に貫通するように配設される構成であって、エアバッグカバー37Aの側壁部53の高さ寸法を大きくせずに、すなわち、エアバッグ装置20A自体の高さ寸法を増大させずに、コンパクトに配設することができる。
【0077】
なお、エアバッグ装置として、機能部品を保持する保持部材の元側連結部に設けたボルトを利用して、保持部材をホルダに連結させる場合には、第2実施形態のように構成せず、例えば、図12に示すように、保持部材70Bの元側連結部78Bに設けたボルト82を、ホルダ21Aの底壁部22の取付孔22gに貫通させ、ナット84止めしてもよい。このような構成でも、保持部材70Bの元側連結部78Bに配設されているボルト82をホルダ21Aの取付孔22gに挿入させて、ボルト82にナット84を締結すれば、元側連結部78Bをホルダ21Aに強固に連結することができる。
【0078】
また、第1,2実施形態では、カメラ62を扉部39の裏面39a側に配設する際、扉部39の表面側にオーナメント50が配設され、オーナメント50が光透過部位51を備えて、光透過部位51の裏面側に、カメラ62のレンズ部63が、配設されている。
【0079】
そのため、カメラ62のレンズ部63が、オーナメント50により隠されて目立たなくすることが可能となり、見栄えを良好にすることができる。勿論、レンズ部63は、オーナメント50の光透過部位51に覆われていることから、撮影には支障がない。
【0080】
特に、第1,2実施形態のオーナメント50は、ハーフミラー処理されていることから、さらに、カメラ62のレンズ部63を目視し難くしており、運転者に、カメラ62を目立たなくしている。
【0081】
なお、カメラ62を扉部39の裏面39a側に配設する際、オーナメント50を設けずに、貫通孔46を開口させておくだけでもよい。あるいは、オーナメント50でなく、透明、あるいは、有色透明の保護板を貫通孔46に配設する構成としてもよい。
【0082】
さらに、第1,2実施形態のエアバッグ装置20,20Aでは、ステアリングホイールWにおける操舵時に把持するリング部Rの中央付近のボス部Bに、搭載される場合を例示したが、エアバッグ装置のエアバッグを覆ったエアバッグカバーの扉部に、カメラ等の機能部品を配設させる構成であれば、本発明を適用でき、例えば、助手席用エアバッグ装置のエアバッグカバーの扉部に、機能部品として発光装置等を配設する場合等にも、本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0083】
20,20A…エアバッグ装置、21,21A…ホルダ、22…底壁部、22c…係止孔、22d…係止縁、22e…舌片、23a…取付板部、23b…(上端)先端、24…ホルダ側凹溝、32…エアバッグ、37,37A…エアバッグカバー、39…扉部、39a…裏面、40…ヒンジ部、41…破断予定部、53…側壁部、53a…内周面、53b…外周面、53c…(下端)先端、54,54A…係止脚部、54b…係止頭部、55…先端面、57…カバー側凹溝、62…(機能部品)カメラ、70,70A,70B…保持部材、71…先側連結部、73…変形部、78,78A,78B…元側連結部、81…連結片部、82…ボルト、84…ナット、
CW…(カバー側凹溝の)幅寸法、HW…(ホルダ側凹溝の)幅寸法、R…リング部、B…ボス部、W…ステアリングホイール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12