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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】段ボール箱の折り曲げ装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/99 20170101AFI20230419BHJP
   B65B 67/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
B31B50/99
B65B67/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019003496
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020110978
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】519012345
【氏名又は名称】大村 裕子
(73)【特許権者】
【識別番号】391044834
【氏名又は名称】関 和治
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】大村 裕子
(72)【発明者】
【氏名】関 和治
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-117605(JP,U)
【文献】特開平06-092327(JP,A)
【文献】特開2013-216055(JP,A)
【文献】特開2002-001841(JP,A)
【文献】特開2004-257939(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0031676(US,A1)
【文献】特開2002-000722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/00
B65B 7/00
B65B 67/00
B65D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール箱が載置される載置台と、載置台を昇降させるとともに所要位置で停止させる昇降機構と、直線状に横方向に延びる上端部を有して上記載置台に載置された段ボール箱の側面に外方側から接触する折り曲げ部材とを備え、
載置台に載置された段ボール箱の隅部に刃物で下方に向けて切り込みを入れた際に、上記折り曲げ部材の上端部に上記刃物が当接することで、上記切れ込みの下端部が規制されるとともに、折り曲げ部材の上端部の位置で段ボール箱の側面の上方部を外方に折り曲げることで、側面の所要高さ位置に直線状の折り曲げ線を形成可能としたことを特徴とする段ボール箱の折り曲げ装置。
【請求項2】
上記折り曲げ部材は、かぎ状に形成されるとともに上記載置台及び昇降機構を外方から覆うように鉛直上方に向けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱の折り曲げ装置。
【請求項3】
上端部が横方向に直線状に延びる平板状の折り曲げ部材と、該折り曲げ部材が昇降自在に取り付けられるガイド部材と、上記折り曲げ部材をガイド部材に対して所要の高さ位置で停止させる固定手段とを備えて、
作業場の床又は支持面に段ボール箱が置かれてから該段ボール箱の側面に上記折り曲げ部材の内面を接触させるように構成されており、
作業場の床又は支持面に段ボール箱が置かれてから該段ボール箱の側面に上記折り曲げ部材の内面を接触させた状態で段ボール箱の隅部に上方から刃物で切り込みを入れた際に、該刃物が上記折り曲げ部材の上端部に当接することで、上記切れ込みの下端部が位置決めされるとともに、折り曲げ部材の上端部の位置で段ボール箱の側面の上方部分を外方に折り曲げることで、側面の所要高さ位置に直線状の折り曲げ線を形成可能としたことを特徴とする段ボール箱の折り曲げ装置。
【請求項4】
段ボール箱内に収容される収容物の高さと、折り曲げ部材の上端部の高さをほぼ一致させるための高さ確認機構が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の段ボール箱の折り曲げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は段ボール箱の折り曲げ装置に関し、より詳しくは、収容物の大きさに合わせて段ボール箱の高さを容易に変更可能な段ボール箱の折り曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容物を段ボール箱に梱包してこれを発送する際、段ボール箱の大きさの違い応じて送料が変化するため、収容物の大きさに合わせて段ボール箱をなるべく小さくして収容物を梱包することが行われている。
その際、従来では、製函された段ボール箱の4箇所の隅部を刃物で所要量、下方へ切れ込みを入れた後、該切れ込みの下端部の高さで側面の上方部を内方側へ折り曲げることにより、段ボール箱の高さを低くして収容物を梱包するようにしている。
しかしながら、段ボール箱の4か所の隅部に切れ込みを入れてから、該切れ込みの下端部の高さで側面を内方へ折り曲げる際に、側面には予め直線状の折り込み線が形成されていないので、4つの側面を折り曲げた際の折り曲げ部が整った直線状に成形されず、梱包後の段ボール箱の外観が良くないという問題があった。また、4箇所の隅部に入れる切れ込みの高さが揃わないため折り曲げた稜線が斜めになり、内方向に折り曲げた部分が箱外観から見苦しくはみ出すという問題があった。
このような問題に鑑み、予め段ボール箱の側面に切断部分として想定される位置に折れ線を形成した段ボール箱(特許文献1)や、段ボール箱の側面の上縁部分をガイドとして折り曲げ器を横方向に移動させて、切れ込み線を形成する技術も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-104384号公報
【文献】特開2004-122738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の段ボール箱は、予め所要位置に複数の折れ線を形成するためコストが高く、例えば使用済みの段ボール箱を再利用したい場合には適用することができないという問題がある。
また、特許文献2の折り曲げ器は、段ボール箱の側面に折れ線の基準となる切れ込み線を形成するようになっているが、当該折れ線の位置まで四隅に切れ込みを入れる際に、当該切れ込みの下端部を上記折れ線の位置に合わせるのが難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、第1の本発明は、段ボール箱が載置される載置台と、載置台を昇降させるとともに所要位置で停止させる昇降機構と、直線状に横方向に延びる上端部を有して上記載置台に載置された段ボール箱の側面に外方側から接触する折り曲げ部材とを備え、
載置台に載置された段ボール箱の隅部に刃物で下方に向けて切り込みを入れた際に、上記折り曲げ部材の上端部に上記刃物が当接することで、上記切れ込みの下端部が規制されるとともに、折り曲げ部材の上端部の位置で段ボール箱の側面の上方部を外方に折り曲げることで、側面の所要高さ位置に直線状の折り曲げ線を形成可能としたことを特徴とするものである。
また、第2の本発明は、上端部が横方向に直線状に延びる平板状の折り曲げ部材と、該折り曲げ部材が昇降自在に取り付けられるガイド部材と、上記折り曲げ部材をガイド部材に対して所要の高さ位置で停止させる固定手段とを備えて、
作業場の床又は支持面に段ボール箱が置かれてから該段ボール箱の側面に上記折り曲げ部材の内面を接触させるように構成されており、
作業場の床又は支持面に段ボール箱が置かれてから該段ボール箱の側面に上記折り曲げ部材の内面を接触させた状態で段ボール箱の隅部に上方から刃物で切り込みを入れた際に、該刃物が上記折り曲げ部材の上端部に当接することで、上記切れ込みの下端部が位置決めされるとともに、折り曲げ部材の上端部の位置で段ボール箱の側面の上方部分を外方に折り曲げることで、側面の所要高さ位置に直線状の折り曲げ線を形成可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、段ボール箱に収容物を収容して梱包する際に、該収容物の大きさに応じて段ボール箱の高さを容易に変更できるとともに、梱包後の段ボール箱の外観も良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施例を示す斜視図。
図2図1の段ボール箱折り曲げ装置の使用状態を示す斜視図。
図3】本発明の第2実施例を示す正面図。
図4】本発明の第3実施例を示す正面図。
図5】本発明の第4実施例を示す正面図。
図6】本発明の第5実施例を示す正面図。
図7】本発明の第6実施例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2は本発明の第1実施例を示した斜視図であり、1は段ボール箱の折り曲げ装置である。この段ボール箱の折り曲げ装置1は、製函後の段ボール箱2を利用して、該段ボール箱2内に収容物を収容して梱包する際に、収容物の大きさに応じて段ボール箱2の4つの側面2Aの高さ(段ボール箱の高さ)を容易に変更できるようになっている。
製函された段ボール2は、4つの側面2A(各1対の幅面及び長さ面)を備えるとともに、各側面2Aの上端に折り込み線2Bの位置から連続してフラップ2C(各1対の内フラップ、外フラップ)が連設されている。図面上では隠れているが、段ボール箱2の底部2Eは、上記4箇所のフラップ2Cと同様の4枚のフラップを折り曲げて平坦に構成されており、所要箇所を金具又はテープで留められている。
このように製函された段ボール箱2に小さな収容物が収容する場合には、そのままの大きさの段ボール箱2に収容物を収容すると、内部の上方が不要空間となるため、収容物の大きさに合わせて段ボール箱2の高さ(側面2Aの高さ)を変更する必要がある。そこで、本実施例は、収容物の大きさに応じて、段ボール箱2の側面2Aの高さ(段ボール箱の高さ)を容易に変更可能な段ボール箱折り曲げ装置1を提供するものである。
【0009】
図1ないし図2において、本実施例の段ボール箱折り曲げ装置1は、長方形の枠状をした基部フレーム3と、この基部フレーム3に設けられて、リンク機構4A及びガスシリンダーを用いた昇降機構4と、昇降機構4の上端に取り付けられ、かつ水平状態を維持して昇降される載置台5と、下端部を上記基部フレーム3の隣り合う長辺と短辺に連結されて、鉛直上方に向けて配置されたかぎ状の折り曲げ部材6とを備えている。
【0010】
昇降機構4は、ガスシリンダーとリンク機構4Aを用いた従来公知のものであり、リンク機構4Aの上端部に載置台5が水平に取り付けられている。また、図面上では隠れているが、載置台5の下面側にガスシリンダーが配置されるとともに、載置台5の一側に昇降機構4を操作するための操作レバー7が設けられている。
現場の作業者が操作レバー7を押すと載置台5の固定が解除され、その解除状態で作業者が載置台5を軽く持って所要量、上下に昇降させることができる。そして、所要の高さ位置で操作レバー7から作業者が手を離すと、その高さ位置で載置台5が水平状態で固定されるようになっている。
これにより、載置台5に段ボール箱2を載置した状態において、昇降機構4によって載置台5上の段ボール箱2を所要の高さに位置させて、その位置に固定できるようになっている。
載置台5は、基部フレーム3よりも少し小さな長方形に形成されており、段ボール箱2を余裕をもって載置できる大きさになっている。
【0011】
折り曲げ部材6は、長辺部6aと短辺部6bとを備えたかぎ状の板状部材からなり、載置台5の隣り合う長辺5Aと短辺5Bを外方から覆うように、それらに近接させて配置されている。そのため、折り曲げ部材6の内面6Aは、載置台5が昇降される際の実質的な昇降ガイドを兼ねている。
折り曲げ部材6の上端部6Bは、全域で同じ高さとなっており、したがって、上端部6Bは、水平面の横方向及び縦方向で一直線となっている。これにより、水平な載置台5と折り曲げ部材6の水平な上端部6Bとが相互に平行になっており、載置台5は上端部6Bと平行な状態を維持して昇降されるようになっている。
上端部6Bは、その外方側を斜めに切り落としてあるので、上端部6Bの断面は鋭角になっている。本実施例においては、折り曲げ部材6の上端部6Bが、段ボール箱2の各側面2Aを外方に向けて折り曲げる際の支持部として機能するようになっている。また、載置台5に段ボール箱2が載置されて、その隣合う側面2A、2Aが折り曲げ部材6の内面6Aに接触した状態では、折り曲げ部材6の長辺部6a及び短辺部6bの自由端は、段ボール箱2の隅部2Dよりも外方に突出するようになっている(図2の状態)。
【0012】
本実施例の段ボール箱の折り曲げ装置1は以上のように構成されており、この段ボール箱の折り曲げ装置1は、以下のようにして使用される。
すなわち、先ず、作業者は、段ボール箱2とそれに収容する収容物を作業場の床に並べてから、段ボール箱2の隅部2Dに、収容物の高さに応じた位置に鉛筆等で目印をつける。
その後、作業者は、段ボール箱2を載置台5に載置すると同時に、隣り合う側面2A(幅面と長手面)を折り曲げ部材6の内面6Aに当接させる。
次に、作業者は、操作レバー7を操作して載置台5の高さを調整して載置台5の段ボール箱2の隅部2Dに付した目印が折り曲げ部材6の上端部6Bとほぼ一致する高さで載置台5を固定する(図2の状態)。この状態においては、載置台5及び折り曲げ部材6の上端部6Bは相互に平行となり、かつ水平となっている。
この後、作業者は、段ボール箱2における折り曲げ部材6に当接した位置の3か所の隅部2D(隣り合う側面の境界部)にカッターナイフで上方側から下方へ切れ込み2Daを入れる。その際、カッターナイフが折り曲げ部材6の上端部6Bに当たると、その位置でカッターナイフを停止させる。つまり、切れ込み2Daの下端の位置が折り曲げ部材6の上端部6Bによって規制される。これにより、3か所の隅部2Dの切れ込み2Daの下端部の高さを、先に目印をつけた高さと一致させることができる。換言すると、目印を付けた高さが、新たな側面2Aの上端の高さとなり、そこがこの後、折り曲げ線2Aaとして形成される。
この後、作業者は、折り曲げ部材6の内面6Aに当接した2箇所の側面2Aを、折り曲げ部材6の上端部6Bを支持部として外方側に折り曲げる。これにより、側面2Aの新たな上端が、折り曲げ線2Aaとして水平方向に直線状に形成される。これにより、先ず、隣合う2つの側面2Aの高さが変更されたことになり、かつ、それらの上端として2つの折り曲げ線2Aaが形成されたことになる。
この後、作業者は、段ボール箱2を載置台5上で180°回転させてから、残りの2か所の側面2Aを折り曲げ部材6の内面6Aに当接させる。その後、段ボール箱2の残り1か所の隅部2Dに上述した手順でカッターナイフにより切れ込み2Daを入れる。その際、カッターナイフが折り曲げ部材6の上端6Bに当接したら、そこでカッターナイフを停止させ、そこが切れ込み2Daの下端部となる。これにより、4か所の隅部2Dの切れ込み2Daの下端部の高さが一致する。
その後、折り曲げ部材6に当接した2箇所の側面2Aを、折り曲げ部材6の上端部6Bを支持部として外方側に折り曲げる。これにより、側面2Aの上端が折り曲げ線2Aaとして水平方向に直線状に形成される。これにより、4か所の側面2Aの高さが所要の高さに変更されるとともに、側面2Aの新たな上端が折り曲げ線2Aaとして形成される。
この後、段ボール箱2内に図示しない収容物を収容した後、各側面2Aの折り曲げ線2Aaよりも上方部分を、該折り曲げ線2Aaの位置で内方側に順次折り曲げて内部の収容物を上方から覆うとともに、所要箇所を粘着テープで留めて梱包が終了する。
梱包後において、段ボール箱2は収容物の大きさに合わせて4か所の側面2Aの高さ(段ボール箱の高さ)は同じ高さに変更してあるので、内部上方に不要な隙間が形成されることなく梱包できるとともに、各側面2Aの上端となった折り曲げ線2Aaの箇所は水平方向の直線状となる。したがって、梱包後の段ボール箱2は、各側面2Aの上端が同じ高さで水平方向に直線状に延びた綺麗な立方体(又は直方体)となる。
【0013】
以上のように、本実施例の段ボール箱の折り曲げ装置1によれば、製函済みの段ボール箱2に収容物を収容する際に、該収容物の大きさに応じて側面2Aの高さ(段ボール箱2の高さ)を容易に変更することができる。
しかも、梱包後の段ボール箱2の側面2Aの上端、つまり折り曲げ線2Aaの箇所は水平方向の直線状となり、フラップ2Cの上端の角部等が側面2Aの外方へはみ出すことないので、梱包後の段ボール箱2の外観も良好なものとなる。
【0014】
次に、図3は本発明の第2実施例を示したものであり、この第2実施例は、前述した第1実施例の構成を前提として、高さ確認機構11を追加したものである。この高さ確認機構11によって、載置台5に載せた段ボール箱2の高さを、収容物の大きさに応じて容易に確認できるようになっている。
高さ確認機構11は、基部フレーム3の短辺の中央に立設した支持部材12と、この支持部材12の上端部に回転可能に取り付けられ水平アーム13と、水平アーム13の先端に所要長さのひも14を介して垂下した錘15とから構成されている。その他の構成は上記第1実施例と同じであり、第1実施例と対応する各部材には同じ部材番号を付している。
この第2実施例では、ひもに14に垂下した錘15の高さを、予め折り曲げ部材6の上端6Bの高さとほぼ一致させている。そして、載置台5に段ボール箱2を載置する前の状態においては、水平アーム13及び、ひも4と錘15は載置台5の上方からはずれた位置に位置させておき、その状態で段ボール箱2を載置台5に載置するとともに、段ボール箱2内に収容物10を収容する。
その後、水平アーム13を回転させてから錘15を段ボール箱2の上方まで移動させる。この後、作業者は、昇降機構4によって載置台5を所要量昇降させて、錘15が段ボール箱2内の収容物10の上面に軽く接触する高さで、載置台5を固定する。また、水平アーム13及びひも14と錘15を段ボール箱2からはずれた位置に退避させる。
これにより、折り曲げ部材6の上端部6Bの高さが、収容物10の上面の高さとほぼ一致し、そのことを作業者は目視で容易に確認することができる。
この後は、前述した要領で段ボール箱2の各隅部2Dにカッターナイフで切り込み2Daを入れる。その際には、カッターナイフが折り曲げ部材6の上端6Bに当接することで、切れ込み2Daの下端部が規制される。その後、フラップ状となった側部2Aの上方部分を折り曲げ部材6の上端部6Bを支持部として外方へ折り曲げて、そこに新たな上端となる折り曲げ線2Aaを形成する。
そして、4か所の側面2Aにおける上方側のフラップ状の部分を順次、折り曲げ線2Aaの位置で内方側に折り曲げて、収容物10を上方から覆った後に所要箇所を粘着テープで留めて梱包が完了する。
このような第2実施例であっても上記第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。また、この第2実施例は、高さ確認機構11を備えているので、載置台5に載せた段ボール箱2を昇降させて所要位置に停止させる作業が容易になる。
【0015】
次に図4は本発明の第3実施例を示したものであり、この第3実施例は、高さ確認機構11として上記第2実施例のひも14と錘15の代わりに投光器16、16を用いたものである。
すなわち、水平アーム13の中央部と先端には、所定角度傾斜させて下方に向けて光束が拡散しない光Lを照射する投光器16、16が配置されている。これらの投光器16からは同時に光Lが照射されるようになっており、両方の投光器16から照射された光Lは、所定の高さ位置Xで交差する(重合する)ようなっている。
そして、この実施例では、両方の光Lが交差する高さ位置Xが、折り曲げ部材6の上端部6Bとほぼ同じ高さとなるように投光器16、16の傾斜が調整されている。この高さ位置Xは、段ボール箱2を載置台5に載置してから段ボール箱2内に収容される収容物10の上面の高さとほぼ一致するようになっている。その他の構成は上記第2実施例と同じであり、それと対応する各部材には同じ部材番号を付している。
この第3実施例においては、段ボール箱2を載置台5に載置するとともに、段ボール箱2内に収容物10を収容してから水平アーム13を段ボール箱2内の収容物の上方に位置させる。
そして、その状態において両方の投光器16から同時に下方に向けて光Lを照射させる。これにより、両方の投光器16から照射された2つの光Lは、段ボール箱2内の収容物10の上面に照射される。
ここで、段ボール箱2内の収容物10の上面の高さが、折り曲げ部材6の上端部6Bの高さよりも高い場合、あるいは低い場合には、図4中の右側のカッコ内に示すように、収容物10の上面に2箇所の光Lの照射スポットが現れる。
そこで、作業者は、昇降機構4によって載置台5を所要量昇降させてゆき、収容物10の上面に照射された光Lの照射位置が1点となる高さ位置で、載置台5を固定する。これにより、段ボール箱2内の収容物10の上面の高さが、折り曲げ部材6の上端部6Bの高さとほぼ一致したことが容易に確認される。
この後は、第2実施例と同様にして、段ボール箱2の4箇所の隅部2Dに切れ込み2Daを入れてから上述した要領で4つの側面2Aの上方部を折り曲げ部材6の上端部6Aを支持部として外方側に折り曲げて折り曲げ線2Aaを形成する。
その後、各側面2Aの上方部分を折り曲げ線2Aaの位置で内方側に折り曲げて収容物を覆ったのち、所要箇所に粘着テープを貼り付けて梱包を終了する。
このような第3施例であっても上記第2実施例と同様の作用・効果を得ることができる。なお、投光器16から照射する光Lとしてレーザ光を用いても良い。
【0016】
次に図5は本発明の第4実施例を示したものであり、この第4実施例は上記第3実施例における光束が拡散しない光Lを用いた投光器16の代わりに、下方に向けて光Lを照射する光源18と光Lを集光する凸レンズ19からなる投光器16を採用したものである。投光器16は、水平アーム13の先端に鉛直下方に向けて1台だけ配置されている。その他の構成は、図4に示した第3実施例の構成と同じであり、それと対応する各部材には同じ部材番号を付している。
この第4実施例の高さ確認機構11の使用法は、上記第3実施例における高さ確認機構11と同じである。すなわち、載置台5に段ボール箱2を載置し、該段ボール箱2内に収容物10を収容した状態で、投光器16の光源18から下方に向けて光Lを照射する。
ここで、凸レンズ19の焦点の高さ位置Xが、折り曲げ部材6の上端部6Bの高さと一致するように予め調整されている。そのため、収容物10に照射される光Lの投影面積が最も小さくなる位置まで、作業者は昇降機構4によって載置台5を昇降させ、その高さ位置で載置台5を固定する。
これにより、載置台5に載置された段ボール箱2内の収容物10の上面の高さが折り曲げ部材6の上端部6Bの高さとほぼ一致する。
この後は、第3実施例と同様の手順で、各隅部2Dに切れ込み2Daを入れてから4つの側面2Aを折り曲げ部材6の上端部6Bの位置で外方に折り曲げて折り曲げ線2Aaを形成し、その後、前述した要領で段ボール箱2を梱包する。
このような第4施例であっても上記第3実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0017】
次に図6は本発明の第5実施例を示したものであり、この第5実施例は、上記第4実施例における水平アーム13を省略して、支持部材12の上端に斜め下方に向けて投光器16を配置したものである。投光器16は、上記第4実施例と同様に、光源18と凸レンズ19から構成されている。その他の構成は、上記第4実施例と同じであり、それと対応する各部材には同じ部材番号を付している。
この第5実施例における高さ確認機構11の使用法は、上記第4実施例の場合と同様である。すなわち、段ボール箱2内の収容物10に投光器16から光Lが照射されると、凸レンズ19の焦点の高さ位置X以外では、光Lの投光形状が薄暗く大きな楕円形となる。これに対して、段ボール箱2内の収容物10に投光器16から光Lが照射されると、凸レンズ19の焦点の高さ位置Xでは、投光スポットが明るい小さな丸い点となるので、その高さ位置で載置台5を固定すれば良い。それによって、段ボール箱2内の収容物10の上面の高さ位置を、折り曲げ部材6の上端部6の高さ位置にほぼ一致させることができる。
この後は、図5の第4実施例と同様の手順で段ボール箱2を梱包する。
このような第5施例であっても上記第3実施例及び第4実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
なお、図1図6に示した各実施例においては、リンク機構を用いた昇降機構4を採用しているが、その他の昇降機構を用いて載置台5を昇降させるようにしても良い。
また、上記図1図6に示した各実施例においては、載置台5は水平状態を維持して昇降されるとともに、折り曲げ部材6の上端部6Bも水平となっており、それらは常に平行となるように構成されているが、載置台5と上端部6Bとが平行状態を維持されるようにして、載置台5及び折り曲げ部材6を傾斜させて設けても良い。
【0018】
次に図7は本発明の第6実施例としての段ボール箱の折り曲げ装置1を示したものである。この第6実施例は、上記各実施例における昇降機構4と載置台5を省略してあり、それによって全体の構成が大幅に簡略化されている。
すなわち、第6実施例の段ボール箱の折り曲げ装置1は、鉛直方向上方を向けて使用される平板状のガイド部材21と、このガイド部材21に昇降自在に設けられた板状の折り曲げ部材6と、折り曲げ部材6の外面側に取り付けられたハンドル22と、このハンドル22の中央部に設けられて、折り曲げ部材6をガイド部材21における所要の高さ位置に固定するための操作ボタン23と、折り曲げ部材6の長手方向の一端に取り付けられた高さ確認機構11とを備えている。
ガイド部材21における内面21Aの下端の全域にわたって、内方側に向けて水平方向に延びる帯状部21Bが形成されている。つまり、ガイド部材21の本体部分と帯状部21Bは直交した状態となる。
この実施例においては、先ず、作業現場の床26に段ボール箱2をおいてから、帯状部21Bを段ボール箱2の側面2Aの下端部(底部2E)と床26との間に挟み込ませる。それにより、ガイド部材21に昇降自在に取り付けた折り曲げ部材6の内面6Aが段ボール箱2の側面2Aと接触するようになっている。つまり、段ボール箱2の底部2Eと床26との間に帯状部21Bを挟み込ませることで、折り曲げ装置1全体を鉛直方向に立てた状態とし、その状態で使用するようになっている。
この実施例の折り曲げ部材6は、その下端部となる端面(底面6C)から上端部6Bに近い位置まで内部に遊底の切り欠き部が形成されており、その切り欠き部にガイド部材21が下方側から摺動自在に係合されている。
これにより、折り曲げ部材6及びそれに取り付けた高さ確認機構11が、ガイド部材21に沿って昇降できるようになっている。その際、折り曲げ部材6の上端部6Bは、ガイド部材21の底部21Cと平行な水平状態を維持して昇降されるようになっている。
ハンドル22に設けた操作ボタン23を作業者が押した状態では、折り曲げ部材6がガイド部材21に対して自由に昇降可能であるが、操作ボタン23から作業者が手を離すと、ガイド部材21はその高さ位置に固定されるようになっている。つまり、折り曲げ部材6の内部には、ガイド部材21に折り曲げ部材6を固定するための固定手段が内蔵されており、操作ボタン23によって固定手段による固定と固定状態の解除を行うようになっている。また、折り曲げ部材6の横方向の長さ(水平方向の長さ)は、段ボール箱2の側面2Aの横方向長さよりも長く設定されている。
高さ確認機構11は、折り曲げ部材6の端部に折り畳み可能に取り付けられたアーム13と、そのアーム13の上端に取り付けられた図6と同様の投光器16から構成されている。投光器16の使用法は、図6の第5実施例と同様である。
【0019】
以上の構成において、第6実施例の段ボール箱の折り曲げ装置1は、次のようにして使用される。
すなわち、作業者が、作業場の床26に段ボール箱2を置き、その後、該段ボール箱2の1つの側面2Aの外方側から、該側面2Aの下端部(底部2E)と床26との間に、帯状部21Bを差し込むと同時に折り曲げ部材6の内面6Aを側面2Aに接触させる。この時、折り曲げ部材6の水平方向の両端部は、内面6Aが接触した側面2Aよりも外方側に突出した状態となる。
この後、作業者は、投光器16のスイッチを入れて、該投光器16から段ボール箱2の収容物の上面に向けて光Lを照射させる。また、作業者はハンドル22の操作ボタン23を押して折り曲げ部材6の固定状態を解除し、その状態で折り曲げ部材6を所要量、昇降させて、投光器16から収容物に照射される光Lが点となる高さで、操作ボタン23から手を離して折り曲げ部材6をその高さに固定する。
その後、側面2Aとその隣の側面2Aとの2箇所の隅部2Dに図示しないカッターナイフで切れ込み2Daを入れる。その際、カッターナイフが、隅部2Dよりも外方(側方)に突出した状態の折り曲げ部材6の上端6Bに当接することで、切れ込み2Daの下端部が規制される。その後、該側面2Aを折り曲げ部材6の上端部6Bを支持部として外方に折り曲げて、そこに折り曲げ線2Aaを形成する。
この後、上述した作業手順と同様にして、残り3つの側面2Aについて折り曲げ装置1を外方から順次当接させるとともに、残りの隅部2Dにカッターナイフで切れ込みをいれてから各側面2Aを外方に折り曲げて、折り曲げ線2Aaを形成する。
これにより段ボール箱2における4つの側面2Aの上端の高さが、収容物に応じた同じ高さに変更されるとともに、4箇所の折り曲げ線2Aaが形成されるので、この後は、上述した各実施例と同様にして各側面2Aの上方部分を折り込み線2Aaの位置で内方側に折り曲げて梱包を終了する。
このような第6実施例によれば、簡略な構成でありながら上述した他の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
なお、この第6実施例における高さ確認機構11は省略しても良い。また、高さ確認機構11は、アーム13を折り畳みする構成となっているが、このアーム13の代わりに伸び縮みする伸縮機構を用いても良い。
また、上記ガイド部材21には帯状部21Bが形成されているが、この帯状部21Bは省略しても良い。
【符号の説明】
【0020】
1‥段ボール箱の折り曲げ装置 2‥段ボール箱
2A‥側面 2C‥フラップ
5‥載置台 4‥昇降機構
6‥折り曲げ部材 6B‥上端部
11‥高さ確認機構 21‥ガイド部材
23‥操作ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7