(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】表面処理剤
(51)【国際特許分類】
C09K 3/18 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
C09K3/18 104
(21)【出願番号】P 2022069179
(22)【出願日】2022-04-20
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2021071009
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100188802
【氏名又は名称】澤内 千絵
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小澤 香織
(72)【発明者】
【氏名】三橋 尚志
(72)【発明者】
【氏名】山下 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 章広
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大貴
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-290323(JP,A)
【文献】特開2019-131808(JP,A)
【文献】特開2019-070098(JP,A)
【文献】特開2007-197425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
[式中:
R
F1は、各出現においてそれぞれ独立して、Rf
1-R
FA-O
q-であり;
Rf
1は、各出現においてそれぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、分岐構造を有するフルオロポリエーテル基であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1であり;
R
S1は、各出現においてそれぞれ独立して、
下記式(S1)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化2】
[式中:
R
11
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
12
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
11
n1
R
12
3-n1
)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
X
11
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基であり;
R
13
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
R
14
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11
-SiR
11
n1
R
12
3-n1
であり;
R
15
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり;
R
a1
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1
-SiR
21
p1
R
22
q1
R
23
r1
であり;
Z
1
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1’
-SiR
21’
p1’
R
22’
q1’
R
23’
r1’
であり;
R
22
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p1、q1、及びr1の合計は、SiR
21
p1
R
22
q1
R
23
r1
単位において、3であり;
Z
1’
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21’
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1”
-SiR
22”
q1”
R
23”
r1”
であり;
R
22’
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23’
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p1’、q1’、及びr1’の合計は、SiR
21’
p1’
R
22’
q1’
R
23’
r1’
単位において、3であり;
Z
1”
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
22”
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23”
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1”及びr1”の合計は、SiR
22”
q1”
R
23”
r1”
単位において、3であり;
R
b1
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
c1
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
k1、l1及びm1の合計は、SiR
a1
k1
R
b1
l1
R
c1
m1
単位において、3であり;
R
d1
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2
-CR
31
p2
R
32
q2
R
33
r2
であり;
Z
2
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
31
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2’
-CR
32’
q2’
R
33’
r2’
であり;
R
32
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3
-SiR
34
n2
R
35
3-n2
であり;
R
33
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p2、q2、及びr2の合計は、SiR
31
p2
R
32
q2
R
33
r2
単位において、3であり;
Z
2’
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
32’
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3
-SiR
34
n2
R
35
3-n2
であり;
R
33’
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2’、及びr2’の合計は、SiR
32’
q2’
R
33’
r2’
単位において、3であり;
Z
3
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
34
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
35
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
e1
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3
-SiR
34
n2
R
35
3-n2
であり;
R
f1
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
k2、l2及びm2の合計は、CR
d1
k2
R
e1
l2
R
f1
m2
単位において、3であり;
R
g1
及びR
h1
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
4
-SiR
11
n1
R
12
3-n1
、-Z
4
-SiR
a1
k1
R
b1
l1
R
c1
m1
、又は-Z
4
-CR
d1
k2
R
e1
l2
R
f1
m2
であり;
Z
4
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
ただし、式(S1)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。]
で表される基であり;
X
Aは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)、及び
下記式(2):
【化3】
[式中:
R
F2は、-Rf
2
p-R
FB-O
q-であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、直鎖のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0又は1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1であり;
R
S2は、各出現においてそれぞれ独立して、
下記式(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化4】
[式中:
R
11
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
12
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
11
n1
R
12
3-n1
)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
a1
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1
-SiR
21
p1
R
22
q1
R
23
r1
であり;
Z
1
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1’
-SiR
21’
p1’
R
22’
q1’
R
23’
r1’
であり;
R
22
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p1、q1、及びr1の合計は、SiR
21
p1
R
22
q1
R
23
r1
単位において、3であり;
Z
1’
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21’
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1”
-SiR
22”
q1”
R
23”
r1”
であり;
R
22’
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23’
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p1’、q1’、及びr1’の合計は、SiR
21’
p1’
R
22’
q1’
R
23’
r1’
単位において、3であり;
Z
1”
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
22”
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23”
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1”及びr1”の合計は、SiR
22”
q1”
R
23”
r1”
単位において、3であり;
R
b1
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
c1
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
k1、l1及びm1の合計は、SiR
a1
k1
R
b1
l1
R
c1
m1
単位において、3であり;
R
d1
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2
-CR
31
p2
R
32
q2
R
33
r2
であり;
Z
2
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
31
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2’
-CR
32’
q2’
R
33’
r2’
であり;
R
32
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3
-SiR
34
n2
R
35
3-n2
であり;
R
33
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p2、q2、及びr2の合計は、SiR
31
p2
R
32
q2
R
33
r2
単位において、3であり;
Z
2’
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
32’
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3
-SiR
34
n2
R
35
3-n2
であり;
R
33’
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2’、及びr2’の合計は、SiR
32’
q2’
R
33’
r2’
単位において、3であり;
Z
3
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
34
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
35
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
e1
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3
-SiR
34
n2
R
35
3-n2
であり;
R
f1
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
k2、l2及びm2の合計は、CR
d1
k2
R
e1
l2
R
f1
m2
単位において、3であり;
R
g1
及びR
h1
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
4
-SiR
11
n1
R
12
3-n1
、-Z
4
-SiR
a1
k1
R
b1
l1
R
c1
m1
、又は-Z
4
-CR
d1
k2
R
e1
l2
R
f1
m2
であり;
Z
4
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
ただし、式(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基であり;
X
Bは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)
を含む、表面処理剤。
【請求項2】
R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3X
F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
X
Fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。]
で表される基であって、少なくとも1つの分岐構造を有する基であり、
R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3X
F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
X
Fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。]
で表される基であって、直鎖の基である
請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項3】
R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)又は(f6):
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり;
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化5】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基であって、少なくとも1つの分岐構造を有する基である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項4】
R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)又は(f6):
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり;
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化6】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基であって、直鎖の基である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項5】
R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1a):
-(OCF(CF
3)CF
2)
d-(OCF(CF
3))
e- (f1a)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
で表される基である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項6】
R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f2b):
-(OCF
2CF
2CF
2CF
2)
c-(OCF
2CF
2CF
2)
d-(OCF
2CF
2)
e-(OCF
2)
f- (f2b)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
で表される基である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項7】
α、β、及びγは、1である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項8】
X
A及びX
Bは、それぞれ独立して、単結合又は下記式:
-(R
51)
p5-(X
51)
q5-
[式中:
R
51は、単結合、-(CH
2)
s5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s5は、1~20の整数であり、
X
51は、-(X
52)
l5-であり、
X
52は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-Si(R
53)
2-、-(Si(R
53)
2O)
m5-Si(R
53)
2-、-CONR
54-、-O-CONR
54-、-NR
54-及び-(CH
2)
n5-からなる群から選択される基であり、
R
53は、各出現においてそれぞれ独立して、一価の有機基であり、
R
54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、又は一価の有機基であり、
m5は、各出現においてそれぞれ独立して、1~100の整数であり、
n5は、各出現においてそれぞれ独立して、1~20の整数であり、
l5は、1~10の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される基である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項9】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)と前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)の合計に対して、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)の含有量は、50mol%以上である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項10】
防汚性コーティング剤又は防水性コーティング剤として使用される、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項11】
湿潤被覆用である、請求項1に記載の表面処理剤。
【請求項12】
基材と、該基材上に、請求項1~
11のいずれか1項に記載の表面処理剤より形成された層とを含む物品。
【請求項13】
光学部材である、請求項
12に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の含フッ素シラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水性、撥油性、防汚性などを提供し得ることが知られている。含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層(以下、「表面処理層」とも言う)は、いわゆる機能性薄膜として、例えばガラス、プラスチック、繊維、衛生用品、建築資材など種々多様な基材に施されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の含フッ素シラン化合物は、優れた機能を有する表面処理層を与えることができるが、より高い摩耗耐久性を有する表面処理層が求められている。
【0005】
本開示は、摩耗耐久性がより高い表面処理層を形成することができる表面処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の態様を含む。
[1] 下記式(1):
【化1】
[式中:
R
F1は、各出現においてそれぞれ独立して、Rf
1-R
FA-O
q-であり;
Rf
1は、各出現においてそれぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、分岐構造を有するフルオロポリエーテル基であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1であり;
R
S1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基を有するSi原子を含む基であり;
X
Aは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)、及び
下記式(2):
【化2】
[式中:
R
F2は、-Rf
2
p-R
FB-O
q-であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、直鎖のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0又は1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1であり;
R
S2は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基を有するSi原子を含む基であり;
X
Bは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)
を含む、表面処理剤。
[2] R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3X
F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
X
Fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。]
で表される基であって、少なくとも1つの分岐構造を有する基であり、
R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式:
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3X
F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f-
[式中、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
X
Fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。]
で表される基であって、直鎖の基である
上記[1]に記載の表面処理剤。
[3] R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)又は(f6):
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり;
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化3】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基であって、少なくとも1つの分岐構造を有する基である、上記[1]又は[2]に記載の表面処理剤。
[4] R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)または(f6):
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり;
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり;
gは、2~100の整数である。]、
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化4】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基であって、直鎖の基である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[5] R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1a):
-(OCF(CF
3)CF
2)
d-(OCF(CF
3))
e- (f1a)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
で表される基である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[6] R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f2b):
-(OCF
2CF
2CF
2CF
2)
c-(OCF
2CF
2CF
2)
d-(OCF
2CF
2)
e-(OCF
2)
f- (f2b)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
で表される基である、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[7] R
S1及びR
S2は、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化5】
[式中:
R
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
11
n1R
12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基であり;
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
11
n1R
12
3-n1であり;
R
15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり;
R
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p1、q1、及びr1の合計は、SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1単位において、3であり;
Z
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p1’、q1’、及びr1’の合計は、SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’単位において、3であり;
Z
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
22”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1”及びr1”の合計は、SiR
22”
q1”R
23”
r1”単位において、3であり;
R
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
k1、l1及びm1の合計は、SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1単位において、3であり;
R
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり;
Z
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
31は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり;
R
32は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p2、q2、及びr2の合計は、SiR
31
p2R
32
q2R
33
r2単位において、3であり;
Z
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
32’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2’、及びr2’の合計は、SiR
32’
q2’R
33’
r2’単位において、3であり;
Z
3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
k2、l2及びm2の合計は、CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2単位において、3であり;
R
g1及びR
h1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
4-SiR
11
n1R
12
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり;
Z
4は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[8] R
S1及びR
S2は、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S1)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化6】
[式中:
R
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
11
n1R
12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基であり;
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
11
n1R
12
3-n1であり;
R
15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり;
R
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p1、q1、及びr1の合計は、SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1単位において、3であり;
Z
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p1’、q1’、及びr1’の合計は、SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’単位において、3であり;
Z
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
22”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1”及びr1”の合計は、SiR
22”
q1”R
23”
r1”単位において、3であり;
R
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
k1、l1及びm1の合計は、SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1単位において、3であり;
R
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり;
Z
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
31は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり;
R
32は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
p2、q2、及びr2の合計は、SiR
31
p2R
32
q2R
33
r2単位において、3であり;
Z
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
32’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2’、及びr2’の合計は、SiR
32’
q2’R
33’
r2’単位において、3であり;
Z
3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
k2、l2及びm2の合計は、CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2単位において、3であり;
R
g1及びR
h1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
4-SiR
11
n1R
12
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり;
Z
4は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
ただし、式(S1)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。]
で表される基である、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[9] α、β、及びγは、1である、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[10] X
A及びX
Bは、それぞれ独立して、単結合又は下記式:
-(R
51)
p5-(X
51)
q5-
[式中:
R
51は、単結合、-(CH
2)
s5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s5は、1~20の整数であり、
X
51は、-(X
52)
l5-であり、
X
52は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-Si(R
53)
2-、-(Si(R
53)
2O)
m5-Si(R
53)
2-、-CONR
54-、-O-CONR
54-、-NR
54-及び-(CH
2)
n5-からなる群から選択される基であり、
R
53は、各出現においてそれぞれ独立して、一価の有機基であり、
R
54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、又は一価の有機基であり、
m5は、各出現においてそれぞれ独立して、1~100の整数であり、
n5は、各出現においてそれぞれ独立して、1~20の整数であり、
l5は、1~10の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される基である、上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[11] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)と前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)の合計に対して、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)の含有量は、50mol%以上である、上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[12] 防汚性コーティング剤又は防水性コーティング剤として使用される、上記[1]~[11]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[13] 湿潤被覆用である、上記[1]~[12]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[14] 基材と、該基材上に、上記[1]~[13]のいずれか1項に記載の表面処理剤より形成された層とを含む物品。
[15] 光学部材である、上記[14]に記載の物品。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、より高い摩耗耐久性を有する表面処理層を形成することができる表面処理剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において用いられる場合、「一価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、1価の有機基を意味する。また、「2~10価の有機基」とは、炭素を含有する2~10価の基を意味する。かかる2~10価の有機基としては、特に限定されないが、有機基からさらに1~9個の水素原子を脱離させた2~10価の基が挙げられる。例えば、二価の有機基としては、特に限定されるものではないが、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた二価の基が挙げられる。
【0009】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、炭化水素から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい、C1-20炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。
【0010】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
【0011】
本明細書において用いられる場合、「加水分解性基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、ハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
【0012】
本開示の表面処理剤は、分岐構造を有するフルオロポリエーテル基を含有するシラン化合物(A)、及び直鎖のフルオロポリエーテル基を含有するシラン化合物(B)を含む。
【0013】
[フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)]
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)は、下記式(1):
【化7】
[式中:
R
F1は、各出現においてそれぞれ独立して、Rf
1-R
FA-O
q-であり;
Rf
1は、各出現においてそれぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
R
FAは、各出現においてそれぞれ独立して、分岐構造を有するフルオロポリエーテル基であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1であり;
R
S1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基を有するSi原子を含む基であり;
X
Aは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数である。]
で表される。
【0014】
RF1は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、Rf1-RFA-Oq-である。
【0015】
上記式において、Rf1は、各出現においてそれぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
【0016】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
【0017】
Rf1は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCF2H-C1-15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
【0018】
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF3、-CF2CF3、又は-CF2CF2CF3である。
【0019】
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1である。一の態様において、qは0である。別の態様においてqは1である。
【0020】
上記式において、RFAは、各出現においてそれぞれ独立して、分岐構造を有するフルオロポリエーテル基である。
【0021】
本明細書において、フルオロポリエーテル基は、典型的には、下記式(f0):
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3XF
6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f- (f0)
[式中、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、
XFは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。]
で表される。
【0022】
式(f0)において、XFは、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。
【0023】
式(f0)において、a、b、c、d、e及びfは、好ましくは、それぞれ独立して、0~100の整数であってもよい。
【0024】
式(f0)において、a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下又は30以下であってもよい。
【0025】
式(f0)において、上記繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、環構造を含んでいてもよい。例えば、-(OC6F12)-は、-(OCF2CF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF2CF(CF3))-等であってもよい。-(OC5F10)-は、-(OCF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3))-等であってもよい。-(OC4F8)-は、-(OCF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-及び-(OCF2CF(C2F5))-のいずれであってもよい。-(OC3F6)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2)-及び-(OCF2CF(CF3))-のいずれであってもよい。-(OC2F4)-は、-(OCF2CF2)-及び-(OCF(CF3))-のいずれであってもよい。
【0026】
上記環構造は、下記三員環、四員環、五員環、又は六員環であり得る。
【化8】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0027】
上記環構造は、好ましくは四員環、五員環、又は六員環、より好ましくは四員環、又は六員環であり得る。
【0028】
環構造を有する繰り返し単位は、好ましくは、下記の単位であり得る。
【化9】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0029】
一の態様において、式(f0)は、下記式(f1)~(f6)のいずれかで表される。
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは、0又は1、好ましくは1である。]
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。];
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。];
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化10】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0030】
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。一の態様において、eは0である。別の態様において、eは1である。
【0031】
上記式(f2)において、e及びfは、それぞれ独立して、好ましくは5~200、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。
【0032】
上記式(f3)において、R6は、好ましくは、OC2F4である。上記(f3)において、R7は、好ましくは、OC2F4、OC3F6及びOC4F8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC3F6及びOC4F8から選択される基である。OC2F4、OC3F6及びOC4F8から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OC2F4OC3F6-、-OC2F4OC4F8-、-OC3F6OC2F4-、-OC3F6OC3F6-、-OC3F6OC4F8-、-OC4F8OC4F8-、-OC4F8OC3F6-、-OC4F8OC2F4-、-OC2F4OC2F4OC3F6-、-OC2F4OC2F4OC4F8-、-OC2F4OC3F6OC2F4-、-OC2F4OC3F6OC3F6-、-OC2F4OC4F8OC2F4-、-OC3F6OC2F4OC2F4-、-OC3F6OC2F4OC3F6-、-OC3F6OC3F6OC2F4-、及び-OC4F8OC2F4OC2F4-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC2F4、OC3F6、OC4F8、OC5F10及びOC6F12は、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよい。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC2F4-OC3F6)g-又は-(OC2F4-OC4F8)g-である。
【0033】
上記式(f4)において、R
6、R
7及びgは、上記式(f3)の記載と同意義であり、同様の態様を有する。R
6’、R
7’及びg’は、それぞれ、上記式(f3)に記載のR
6、R
7及びgと同意義であり、同様の態様を有する。R
rは、好ましくは、
【化11】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり、より好ましくは
【化12】
[式中、*は、結合位置を示す。]
である。
【0034】
上記式(f5)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0035】
上記式(f6)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0036】
上記式(f0)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)及び(f6)において、f及びeが1以上である場合、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1~10であり、好ましくは0.2~5であり、より好ましくは0.2~2であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、さらにより好ましくは0.2~0.85である。e/f比を10以下にすることにより、この化合物から得られる表面処理層の滑り性、摩耗耐久性及び耐ケミカル性(例えば、人工汗に対する耐久性)がより向上する。e/f比がより小さいほど、表面処理層の滑り性及び摩耗耐久性はより向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。
【0037】
上記フルオロポリエーテル基の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。本明細書において、フルオロポリエーテル基の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0038】
上記式(1)中、RFAは、各出現においてそれぞれ独立して、好ましくは式(f0)で表される基であって、少なくとも1つの分岐構造を有する基である。
【0039】
一の態様において、RFAは、各出現においてそれぞれ独立して、すべての繰り返し単位が分岐構造を有する式(f0)で表される基である。
【0040】
上記分岐構造における分岐鎖としては、例えば、CF3、CF2CF3、CF2CF2CF3等を挙げることができ、好ましくはCF3である。
【0041】
上記分岐構造を有する繰り返し単位としては、例えば、-(OC6F12)-としては、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF2CF(CF3))-等を挙げることができる。-(OC5F10)-としては、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3))-等を挙げることができる。-(OC4F8)-としては、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-および-(OCF2CF(C2F5))-を挙げることができる。-(OC3F6)-(即ち、上記式(f0)中、XFはフッ素原子である)としては、-(OCF(CF3)CF2)-および-(OCF2CF(CF3))-を挙げることができる。-(OC2F4)-としては、-(OCF(CF3))-を挙げることができる。
【0042】
RFAは、分岐構造を有する繰り返し単位に加え、直鎖状の繰り返し単位を含んでいてもよい。直鎖状の繰り返し単位としては、-(OCF2CF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2)-が挙げられる。
【0043】
RFAにおいて分岐構造を有する繰り返し単位の数は、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、さらに好ましくは少なくとも20である。
【0044】
RFA中、繰り返し単位の合計数(例えば、上記a、b、c、d、eおよびfの和)100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は、好ましくは40以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは80以上である。RFA中、繰り返し単位数の合計数100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は、100以下であってもよく、例えば90以下であってもよい。
【0045】
RFA中、繰り返し単位の合計数100に対して、分岐構造を有する繰り返し単位の数は、好ましくは40~100、より好ましくは60~100、さらに好ましくは80~100である。
【0046】
好ましい態様において、RFAは、各出現においてそれぞれ独立して、上記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)または(f6)で表される基であって、少なくとも1つの分岐構造を有する基である。
【0047】
好ましい態様において、RFAは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1a):
-(OCF(CF3)CF2)d-(OCF(CF3))e- (f1a)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
で表される基である。
【0048】
RS1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基を有するSi原子を含む基(以下、かかる基を単に「加水分解性シラン基」ともいう)である。
【0049】
R
S1は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化13】
[式中:
R
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、(SiR
11
n1R
12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
X
11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基であり;
R
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
R
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X
11-SiR
11
n1R
12
3-n1であり;
R
15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数であり;
R
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1-SiR
21
p1R
22
q1R
23
r1であり;
Z
1は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1’-SiR
21’
p1’R
22’
q1’R
23’
r1’であり;
R
22は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
21’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
1”-SiR
22”
q1”R
23”
r1”であり;
R
22’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
22”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
23”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2-CR
31
p2R
32
q2R
33
r2であり;
Z
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
31は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
2’-CR
32’
q2’R
33’
r2’であり;
R
32は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
32’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
33’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
Z
3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
R
35は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
3-SiR
34
n2R
35
3-n2であり;
R
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
R
g1及びR
h1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z
4-SiR
11
n1R
12
3-n1、-Z
4-SiR
a1
k1R
b1
l1R
c1
m1、又は-Z
4-CR
d1
k2R
e1
l2R
f1
m2であり;
Z
4は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基であり;
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である。
【0050】
上記式中、R11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0051】
R11は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0052】
R11は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0053】
上記式中、R12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0054】
R12において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0055】
上記式中、n1は、(SiR11
n1R12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、式(S1)においては、n1が1~3である(SiR11
n1R12
3-n1)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、式(S1)においてすべてのn1が同時に0になることはない。換言すれば、式(S1)において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
【0056】
n1は、(SiR11
n1R12
3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0057】
上記式中、X11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は二価の有機基である。かかる二価の有機基は、好ましくは-R28-Ox-R29-(式中、R28及びR29は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。かかるC1-20アルキレン基は、好ましくはC1-10アルキレン基、より好ましくはC1-6アルキレン基、さらに好ましくはC1-3アルキレン基である。
【0058】
一の態様において、X11は、各出現においてそれぞれ独立して、-C1-6アルキレン-O-C1-6アルキレン-又は-O-C1-6アルキレン-である。
【0059】
好ましい態様において、X11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又は直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合又は直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合又は直鎖のC1-2アルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖のC1-2アルキレン基である。
【0060】
上記式中、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基である。
【0061】
好ましい態様において、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は直鎖のC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子又は直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0062】
上記式中、tは、各出現においてそれぞれ独立して、2以上の整数である。
【0063】
好ましい態様において、tは、各出現においてそれぞれ独立して、2~10の整数、好ましくは2~6の整数である。
【0064】
上記式中、R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X11-SiR11
n1R12
3-n1である。かかるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。好ましい態様において、R14は、水素原子である。
【0065】
上記式中、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0066】
一の態様において、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0067】
好ましい態様において、R15は、単結合である。
【0068】
一の態様において、式(S1)は、下記式(S1-a)である。
【化14】
[式中、
R
11、R
12、R
13、X
11、及びn1は、上記式(S1)の記載と同意義であり;
t1及びt2は、各出現においてそれぞれ独立して、1以上の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは2~10の整数、例えば1~5の整数又は2~5の整数であり;
t1及びt2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0069】
好ましい態様において、式(S1)は、下記式(S1-b)である。
【化15】
[式中、R
11、R
12、R
13、X
11、n1及びtは、上記式(S1)の記載と同意義である]
【0070】
上記式中、Ra1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1-SiR21
p1R22
q1R23
r1である。
【0071】
上記Z1は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z1として記載する構造は、右側が(SiR21
p1R22
q1R23
r1)に結合する。
【0072】
好ましい態様において、Z1は、二価の有機基である。
【0073】
好ましい態様において、Z1は、Z1が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0074】
上記Z1は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0075】
好ましい態様において、Z1は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4-である。Z1がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0076】
別の好ましい態様において、上記Z1は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1は、-CH2CH2-であり得る。
【0077】
上記R21は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’である。
【0078】
上記Z1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)に結合する。
【0079】
好ましい態様において、Z1’は、二価の有機基である。
【0080】
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0081】
上記Z1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1’-O-(CH2)z2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3’-フェニレン-(CH2)z4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0082】
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3’-フェニレン-(CH2)z4’-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4’-である。Z1’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0083】
別の好ましい態様において、上記Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CH2CH2-であり得る。
【0084】
上記R21’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR22”
q1”R23”
r1”である。
【0085】
上記Z1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR22”
q1”R23”
r1”)に結合する。
【0086】
好ましい態様において、Z1”は、二価の有機基である。
【0087】
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0088】
上記Z1”は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1”-O-(CH2)z2”-(式中、z1”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z3”-フェニレン-(CH2)z4”-(式中、z3”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0089】
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z3”-フェニレン-(CH2)z4”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0090】
別の好ましい態様において、上記Z1”は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CH2CH2-であり得る。
【0091】
上記R22”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0092】
上記R22”は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0093】
上記R22”は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0094】
上記R23”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0095】
上記R23”において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0096】
上記q1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q1”とr1”の合計は、(SiR22”
q1”R23”
r1”)単位において、3である。
【0097】
上記q1”は、(SiR22”
q1”R23”
r1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0098】
上記R22’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0099】
R22’は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0100】
R22’は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0101】
上記R23’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0102】
R23’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0103】
上記p1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、q1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p’、q1’とr1’の合計は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位において、3である。
【0104】
一の態様において、p1’は、0である。
【0105】
一の態様において、p1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1’は、3である。
【0106】
一の態様において、q1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0107】
一の態様において、p1’は0であり、q1’は、(SiR21’
p1’R22’
q1’R23’
r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0108】
上記R22は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0109】
R22は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0110】
R22は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0111】
上記R23は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0112】
R23において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0113】
上記p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p1、q1とr1の合計は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位において、3である。
【0114】
一の態様において、p1は、0である。
【0115】
一の態様において、p1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1は、3である。
【0116】
一の態様において、q1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0117】
一の態様において、p1は0であり、q1は、(SiR21
p1R22
q1R23
r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0118】
上記式中、Rb1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0119】
上記Rb1は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0120】
上記Rb1は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0121】
上記式中、Rc1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0122】
上記Rc1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0123】
上記k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1とm1の合計は、(SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1)単位において、3である。
【0124】
一の態様において、k1は、(SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は、3である。
【0125】
好ましい態様において、式(S3)において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0126】
好ましい態様において、式(S3)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0127】
好ましい態様において、式(S3)で表される基は、-Z1-SiR22
q1R23
r1(式中、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1は、0~2の整数である。)、-Z1’-SiR22’
q1’R23’
r1’(式中、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1’は、0~2の整数である。)、又は-Z1”-SiR22”
q1”R23”
r1”(式中、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1”は、0~2の整数である。)のいずれか1つを有する。Z1、Z1’、Z1”、R22、R23、R22’、R23’、R22”、及びR23”は、上記と同意義である。
【0128】
好ましい態様において、式(S3)において、R21’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21’において、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0129】
好ましい態様において、式(S3)において、R21が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21において、p1’は、0であり、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0130】
好ましい態様において、式(S3)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、p1は、0であり、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0131】
好ましい態様において、式(S3)において、k1は2又は3、好ましくは3であり、p1は0であり、q1は2又は3、好ましくは3である。
【0132】
Rd1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2-CR31
p2R32
q2R33
r2である。
【0133】
Z2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z2として記載する構造は、右側が(CR31
p2R32
q2R33
r2)に結合する。
【0134】
好ましい態様において、Z2は、二価の有機基である。
【0135】
上記Z2は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5-O-(CH2)z6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0136】
好ましい態様において、Z2は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7-フェニレン-(CH2)z8-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8-である。Z2がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0137】
別の好ましい態様において、上記Z2は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z2は、-CH2CH2-であり得る。
【0138】
R31は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR32’
q2’R33’
r2’である。
【0139】
Z2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR32’
q2’R33’
r2’)に結合する。
【0140】
上記Z2’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5’-O-(CH2)z6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7’-フェニレン-(CH2)z8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0141】
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7’-フェニレン-(CH2)z8’-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0142】
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CH2CH2-であり得る。
【0143】
上記R32’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。
【0144】
上記Z3は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z3として記載する構造は、右側が(SiR34
n2R35
3-n2)に結合する。
【0145】
一の態様において、Z3は酸素原子である。
【0146】
一の態様において、Z3は二価の有機基である。
【0147】
上記Z3は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0148】
好ましい態様において、Z3は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8”-である。Z3がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0149】
別の好ましい態様において、上記Z3は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z3は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z3は、-CH2CH2-であり得る。
【0150】
上記R34は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0151】
R34は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解性基である。
【0152】
R34は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORh、-OCORh、-O-N=CRh
2、-NRh
2、-NHRh、又はハロゲン(これら式中、Rhは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh(即ち、アルコキシ基)である。Rhとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rhは、メチル基であり、別の態様において、Rhは、エチル基である。
【0153】
上記R35は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0154】
上記R35において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0155】
上記式中、n2は、(SiR34
n2R35
3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、式(S4)の末端部分においては、n2が1~3である(SiR34
n2R35
3-n2)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、かかる末端部分において、すべてのn2が同時に0になることはない。換言すれば、式(S4)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
【0156】
n2は、(SiR34
n2R35
3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0157】
上記R33’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0158】
上記R33’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0159】
一の態様において、R33’は、水酸基である。
【0160】
別の態様において、R33’は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0161】
上記q2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q2’とr2’の合計は、(CR32’
q2’R33’
r2’)単位において、3である。
【0162】
q2’は、(CR32’
q2’R33’
r2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0163】
R32は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。かかる-Z3-SiR34
n2R35
3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0164】
上記R33は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0165】
上記R33において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0166】
一の態様において、R33は、水酸基である。
【0167】
別の態様において、R33は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0168】
上記p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2及びr2の合計は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位において、3である。
【0169】
一の態様において、p2は、0である。
【0170】
一の態様において、p2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p2は、3である。
【0171】
一の態様において、q2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0172】
一の態様において、p2は0であり、q2は、(CR31
p2R32
q2R33
r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0173】
上記Re1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2である。かかる-Z3-SiR34
n2R35
3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0174】
上記Rf1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0175】
上記Rf1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(CsH2s)t1-(O-CsH2s)t2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0176】
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
【0177】
別の態様において、Rf1は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0178】
上記k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2及びm2の合計は、(CRd1
k2Re1
l2Rf1
m2)単位において、3である。
【0179】
一の態様において、式(S4)において、n2は1~3、好ましくは2又は3、より好ましくは3である(SiR34
n2R35
3-n2)単位は、式(S4)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
【0180】
好ましい態様において、式(S4)において、R32’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32’において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0181】
好ましい態様において、式(S4)において、R32が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0182】
好ましい態様において、式(S4)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0183】
好ましい態様において、式(S4)において、k2は0であり、l2は2又は3、好ましくは3であり、n2は、2又は3、好ましくは3である。
【0184】
上記Rg1及びRh1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z4-SiR11
n1R12
3-n1、-Z4-SiRa1
k1Rb1
l1Rc1
m1、-Z4-CRd1
k2Re1
l2Rf1
m2である。ここに、R11、R12、Ra1、Rb2、Rc1、Rd1、Re1、Rf1、n1、k1、l1、m1、k2、l2、及びm2は、上記と同意義である。
【0185】
好ましい態様において、Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z4-SiR11
n1R12
3-n1である。
【0186】
上記Z4は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子又は二価の有機基である。尚、以下Z4として記載する構造は、右側が(SiR11
n1R12
3-n1)に結合する。
【0187】
一の態様において、Z4は酸素原子である。
【0188】
一の態様において、Z4は二価の有機基である。
【0189】
上記Z4は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0190】
好ましい態様において、Z4は、C1-6アルキレン基又は-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-、好ましくは-フェニレン-(CH2)z8”-である。Z3がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0191】
別の好ましい態様において、上記Z4は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z4は、-CH2CH2CH2-であり得る。別の態様において、Z4は、-CH2CH2-であり得る。
【0192】
一の態様において、RS1は、式(S1)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、高い摩耗耐久性を有する表面処理層を形成することができる。
【0193】
一の態様において、RS1は、式(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、高い摩耗耐久性を有する表面処理層を形成することができる。
【0194】
一の態様において、RS1は、式(S3)又は(S4)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に、一のSi原子又はC原子から分岐した複数の加水分解性基を有し得ることから、さらに高い摩耗耐久性を有する表面処理層を形成することができる。
【0195】
一の態様において、RS1は、式(S1)で表される基である。好ましい態様において、式(S1)は、式(S1-b)で表される基である。好ましい態様において、式中、R13は、水素原子であり、X11は、単結合、又は-R28-Ox-R29-(式中、R28及びR29は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0196】
一の態様において、RS1は、式(S2)で表される基である。好ましい態様において、式中、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0197】
一の態様において、RS1は、式(S3)で表される基である。好ましい態様において、式(S3)は、-SiRa1
2Rc1、又は-SiRa1
3であり、Ra1は、-Z1-SiR22
q1R23
r1であり、Z1は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、又は、-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、q1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0198】
一の態様において、RS1は、式(S4)で表される基である。好ましい態様において、式(S4)は、-CRe1
2Rf1、又は-CRe1
3であり、Re1は、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2であり、Z3は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n2は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0199】
一の態様において、RS1は、式(S5)で表される基である。好ましい態様において、Rg1及びRh1は、-Z4-SiR11
n1R12
3-n1であり、Z4は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0200】
XAは、主に撥水性及び表面滑り性等を提供するフルオロポリエーテル部(RF1)と基材との結合能を提供する部(RS1)とを連結するリンカーと解される。従って、当該XAは、式(1)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの基であってもよい。
【0201】
上記式(1)において、αは1~9の整数であり、βは1~9の整数である。これらα及びβは、XAの価数に応じて変化し得る。α及びβの和は、XAの価数と同じである。例えば、XAが10価の有機基である場合、α及びβの和は10であり、例えばαが9かつβが1、αが5かつβが5、又はαが1かつβが9となり得る。また、XAが二価の有機基である場合、α及びβは1である。
【0202】
XAは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
【0203】
上記XAにおける2~10価の有機基は、好ましくは2~8価の有機基である。一の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは2~4価の有機基であり、より好ましくは二価の有機基である。別の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは3~8価の有機基、より好ましくは3~6価の有機基である。
【0204】
一の態様において、XAは、単結合又は二価の有機基であり、αは1であり、βは1である。
【0205】
一の態様において、XAは3~6価の有機基であり、αは1であり、βは2~5である。
【0206】
一の態様において、XAは、3価の有機基であり、αは1であり、βは2である。
【0207】
X
Aが、単結合又は二価の有機基である場合、式(1)は、下記式(1’)で表される。
【化16】
【0208】
一の態様において、XAは単結合である。
【0209】
別の態様において、XAは二価の有機基である。
【0210】
一の態様において、XAとしては、例えば、単結合又は下記式:
-(R51)p5-(X51)q5-
[式中:
R51は、単結合、-(CH2)s5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CH2)s5-であり、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、
X51は、-(X52)l5-であり、
X52は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-Si(R53)2-、-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54-及び-(CH2)n5-からなる群から選択される基であり、
R53は、各出現においてそれぞれ独立して、一価の有機基であり、好ましくはフェニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基、より好ましくはフェニル基又はC1-6アルキル基、より好ましくはメチル基であり、
R54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、又は一価の有機基であり、好ましくは水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
m5は、各出現においてそれぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n5は、各出現においてそれぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
l5は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される二価の有機基が挙げられる。ここに、XA(典型的にはXAの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、XAは、これらの基により置換されていない。
【0211】
上記炭素数1~10のオキシアルキレン含有基は、-O-C1-10アルキレン-を含む基であり、例えば、-R55-(-O-C1-10アルキレン)n-R56(式中、R55は、単結合又は二価の有機基、好ましくはC1-6アルキレン基であり、nは任意の整数、好ましくは2~10の整数であり、R56は、水素原子又は1価の有機基、好ましくはC1-6アルキル基である。)である。上記アルキレン基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0212】
好ましい態様において、上記XAは、それぞれ独立して、-(R51)p5-(X51)q5-R52-である。R52は、単結合、-(CH2)t5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CH2)t5-である。t5は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R52(典型的にはR52の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R56は、これらの基により置換されていない。
【0213】
好ましくは、上記XAは、それぞれ独立して、
単結合、
C1-20アルキレン基、
-R51-X53-R52-、又は
[式中、R51及びR52は、上記と同意義であり、
X53は、
-O-、
-S-、
-CO-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-O-(CH2)u5-CONR54-、
-O-(CH2)u5-CO-、
-Si(R53)2-、
-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-Si(R53)2-O-Si(R53)2-CH2CH2-Si(R53)2-O-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-Si(OCH3)2OSi(OCH3)2-、
-CONR54-(CH2)u5-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-CONR54-(CH2)u5-N(R54)-、又は
-CONR54-(o-、m-又はp-フェニレン)-Si(R53)2-
(式中、R53、R54及びm5は、上記と同意義であり、
u5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。)である。]
であり得る。
【0214】
より好ましくは、上記XAは、それぞれ独立して、
単結合、
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、
-X53-(CH2)t5-、又は
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
[式中、X53、s5及びt5は、上記と同意義である。]
である。
【0215】
好ましい態様において、上記XAは、それぞれ独立して、
単結合
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、
-X53-(CH2)t5-又は
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
[式中、
X53は、-O-、-CO-、-CONR54-、-O-CONR54-、-O-(CH2)u5-CONR54-、又は-O-(CH2)u5-CO-であり、
R54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数であり、
u5は1~20の整数である。]
であり得る。
【0216】
好ましい態様において、上記XAは、それぞれ独立して、
-(CH2)s5-O-(CH2)t5-、
-CONR54-(CH2)t5-、
-(CH2)s5-O-(CH2)u5-CO-、又は
-(CH2)s5-O-(CH2)u5-CONR54-(CH2)t5-
[式中、
R54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数であり、
u5は1~20の整数である。]
であり得る。
【0217】
上記XAは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、XAは、非置換である。
【0218】
尚、上記XAは、各式の左側がRF1に結合し、右側がRS1に結合する。
【0219】
一の態様において、XAは、それぞれ独立して、-O-C1-6アルキレン基、C1-6アルキレン基-O-C1-6アルキレン基以外であり得る。
【0220】
別の態様において、X
Aとしては、例えば下記の基が挙げられる:
【化17】
【化18】
[式中、R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、又はC
1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
-CH
2O(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3-、
-CF
2O(CH
2)
3-、
-(CH
2)
2-、
-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
4-、
-CONH-(CH
2)
3-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
3-、
-CON(Ph)-(CH
2)
3-(式中、Phはフェニルを意味する)、及び
【化19】
(式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1-6のアルキル基又はC
1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、-(CH
2)
n-(nは2~6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のR
F1に結合し、Eは、R
S1に結合する。]
【0221】
上記X
Aの具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CH
2OCH
2-、
-CH
2O(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3-、
-CH
2O(CH
2)
4-、
-CH
2O(CH
2)
5-、
-CH
2O(CH
2)
6-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2-C(O)NH-CH
2-、
-CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2-、
-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-、
-CH
2-、
-(CH
2)
2-、
-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
4-、
-(CH
2)
5-、
-(CH
2)
6-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH
2-、
-CONH-(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
4-、
-CONH-(CH
2)
5-、
-CONH-(CH
2)
6-、
-CON(CH
3)-CH
2-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
2-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
3-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
4-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
5-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
6-、
-CON(Ph)-CH
2-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
2-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
3-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
4-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
5-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
6-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CH
2)
2NH(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
6NH(CH
2)
3-、
-CH
2O-CONH-(CH
2)
3-、
-CH
2O-CONH-(CH
2)
6-、
-CH
2OCH
2-CONH-CH
2-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
2-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
3-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
4-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
5-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
6-、
-CH
2OCH
2-CO-、
-S-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
2S(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-C(O)O-(CH
2)
3-、
-C(O)O-(CH
2)
6-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-CH(CH
3)-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
3-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-CH(CH
3)-CH
2-、
-OCH
2-、
-O(CH
2)
3-、
-OCFHCF
2-、
【化20】
などが挙げられる。
【0222】
さらに別の態様において、XAは、それぞれ独立して、式:-(R16)x1-(CFR17)y1-(CH2)z1-で表される基である。式中、x1、y1及びz1は、それぞれ独立して、0~10の整数であり、x1、y1及びz1の和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0223】
上記式中、R16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、-NR18-(式中、R18は、水素原子又は有機基を表す)又は二価の有機基である。好ましくは、R18は、酸素原子又は二価の極性基である。
【0224】
上記「二価の極性基」としては、特に限定されないが、-C(O)-、-C(=NR19)-、及び-C(O)NR19-(これらの式中、R19は、水素原子又は低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1~6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピルであり、これらは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0225】
上記式中、R17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0226】
さらに別の態様において、X
Aの例として、下記の基が挙げられる:
【化21】
[式中、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、又はC
1-6アルコキシ基好ましくはメチル基であり;
各X
A基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のR
F1又はR
F2に結合する以下の基:
-CH
2O(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3-、
-CF
2O(CH
2)
3-、
-(CH
2)
2-、
-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
4-、
-CONH-(CH
2)
3-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
3-、
-CON(Ph)-(CH
2)
3-(式中、Phはフェニルを意味する)、又は
【化22】
[式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1-6のアルキル基又はC
1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のR
Siに結合し、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C
1-6アルコキシ基又はラジカル捕捉基又は紫外線吸収基である。
【0227】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、又はトリアジン類の残基が挙げられる。
【0228】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換及び未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレート又はアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0229】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基又は紫外線吸収基としては、
【化23】
が挙げられる。
【0230】
この態様において、XAは、それぞれ独立して、3~10価の有機基であり得る。
【0231】
さらに別の態様において、X
Aの例として、下記の基が挙げられる:
【化24】
[式中、R
25、R
26及びR
27は、それぞれ独立して2~6価の有機基であり、
R
25は、少なくとも1つのR
F1に結合し、R
26及びR
27は、それぞれ、少なくとも1つのR
Siに結合する。]
【0232】
一の態様において、上記R25は、単結合、C1-20アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、C5-20アリーレン基、-R57-X58-R59-、-X58-R59-、又は-R57-X58-である。上記、R57及びR59は、それぞれ独立して、単結合、C1-20アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、又はC5-20アリーレン基である。上記X58は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-又は-COO-である。
【0233】
一の態様において、上記R26及びR27は、それぞれ独立して、炭化水素、又は炭化水素の端又は主鎖中にN、O及びSから選択される少なくとも1つの原子を有する基であり、好ましくは、C1-6アルキル基、-R36-R37-R36-、-R36-CHR38
2-などが挙げられる。ここに、R36は、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~6のアルキル基、好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。R37は、N、O又はSであり、好ましくはN又はOである。R38は、-R45-R46-R45-、-R46-R45-又は-R45-R46-である。ここに、R45は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基である。R46は、N、O又はSであり、好ましくはOである。
【0234】
この態様において、XAは、それぞれ独立して、3~10価の有機基であり得る。
【0235】
上記式(1)で表されるフルオロポリエーテル基含有化合物は、特に限定されるものではないが、5×102~1×105の数平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、1,000~30,000、より好ましくは1,500~10,000の数平均分子量を有することが、摩耗耐久性の観点から好ましい。なお、かかる「数平均分子量」は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0236】
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)は、公知の方法により合成することができる。
【0237】
[フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)]
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)は、下記式(2):
【化25】
[式中:
R
F2は、-Rf
2
p-R
FB-O
q-であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
FBは、各出現においてそれぞれ独立して、直鎖のフルオロポリエーテル基であり;
pは、0又は1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1であり;
R
S2は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基を有するSi原子を含む基であり;
X
Bは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される
【0238】
RF2は、-Rf2
p-RFB-Oq-である。
【0239】
上記式において、Rf2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
【0240】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
【0241】
上記Rf2は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
【0242】
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF2-、-CF2CF2-、又は-CF2CF2CF2-である。
【0243】
上記式において、pは、0又は1である。一の態様において、pは0である。別の態様においてpは1である。
【0244】
上記式において、qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1である。一の態様において、qは0である。別の態様においてqは1である。
【0245】
上記式において、RFBは、直鎖のフルオロポリエーテル基である。
【0246】
上記フルオロポリエーテル基は、典型的には、上記式(f0)で表される基である。
【0247】
上記式(2)中、RFBは、各出現においてそれぞれ独立して、好ましくは、式(f0)で表される基であって、すべての繰り返し単位が直鎖である基である。
【0248】
好ましい態様において、RFBは、各出現においてそれぞれ独立して、上記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)または(f6)で表される基であって、直鎖の基である。
【0249】
好ましい態様において、RFBは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f2b):
-(OCF2CF2CF2CF2)c-(OCF2CF2CF2)d-(OCF2CF2)e-(OCF2)f- (f2b)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり;
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり;
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり;
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
で表される基である。
【0250】
RS2は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基を有するSi原子を含む基である。RS2は、上記RS1について記載した基と同意義であり得、同様の態様を含む。
【0251】
好ましい態様において、RS2は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、上記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。
【0252】
一の態様において、RS2は、式(S1)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、高い摩耗耐久性を有する表面処理層を形成することができる。
【0253】
一の態様において、RS2は、式(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、高い摩耗耐久性を有する表面処理層を形成することができる。
【0254】
一の態様において、RS2は、式(S3)又は(S4)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に、一のSi原子又はC原子から分岐した複数の加水分解性基を有し得ることから、さらに高い摩耗耐久性を有する表面処理層を形成することができる。
【0255】
一の態様において、RS2は、式(S1)で表される基である。好ましい態様において、式(S1)は、式(S1-b)で表される基である。好ましい態様において、式中、R13は、水素原子であり、X11は、単結合、又は-R28-Ox-R29-(式中、R28及びR29は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0256】
一の態様において、RS2は、式(S2)で表される基である。好ましい態様において、式中、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0257】
一の態様において、RS2は、式(S3)で表される基である。好ましい態様において、式(S3)は、-SiRa1
2Rc1、又は-SiRa1
3であり、Ra1は、-Z1-SiR22
q1R23
r1であり、Z1は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z1-O-(CH2)z2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、又は、-(CH2)z3-フェニレン-(CH2)z4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、q1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0258】
一の態様において、RS2は、式(S4)で表される基である。好ましい態様において、式(S4)は、-CRe1
2Rf1、又は-CRe1
3であり、Re1は、-Z3-SiR34
n2R35
3-n2であり、Z3は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n2は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0259】
一の態様において、RS2は、式(S5)で表される基である。好ましい態様において、Rg1及びRh1は、-Z4-SiR11
n1R12
3-n1であり、Z4は、C1-6アルキレン基、-(CH2)z5”-O-(CH2)z6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CH2)z7”-フェニレン-(CH2)z8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0260】
XBは、主に撥水性及び表面滑り性等を提供するフルオロポリエーテル部(RF2)と基材との結合能を提供する部(RS2)とを連結するリンカーと解される。従って、当該XBは、式(2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの基であってもよい。
【0261】
上記式(2)において、γは1~9の整数である。γは、XBの価数に応じて変化し得る。即ち、γは、XBの価数から1を引いた値である。
【0262】
XBは、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の有機基である。
【0263】
上記XBにおける2~10価の有機基は、好ましくは2~8価の有機基である。一の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは2~4価の有機基であり、より好ましくは二価の有機基である。別の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは3~8価の有機基、より好ましくは3~6価の有機基である。
【0264】
一の態様において、XBは、単結合又は二価の有機基であり、αは1であり、βは1である。
【0265】
一の態様において、XBは、単結合又は二価の有機基であり、γは1である。
【0266】
一の態様において、XBは3~6価の有機基であり、γは2~5である。
【0267】
一の態様において、XBは、3価の有機基であり、γは2である。
【0268】
X
Bが、単結合又は二価の有機基である場合、式(2)は、下記式(2’)で表される。
【化26】
【0269】
XBは、XAについて上記した基と同意義であり得、同様の態様を含む。なお、XBとして記載される各基は、左側が式(2)のRF2に結合し、右側が式(2)のRS2に結合する。
【0270】
一の態様において、XBは単結合である。
【0271】
別の態様において、XBは二価の有機基である。
【0272】
一の態様において、XBとしては、例えば、単結合又は下記式:
-(R51)p5-(X51)q5-
[式中:
R51は、単結合、-(CH2)s5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CH2)s5-であり、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、
X51は、-(X52)l5-であり、
X52は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-Si(R53)2-、-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54-及び-(CH2)n5-からなる群から選択される基であり、
R53は、各出現においてそれぞれ独立して、一価の有機基であり、好ましくはフェニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基、より好ましくはフェニル基又はC1-6アルキル基、より好ましくはメチル基であり、
R54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、又は一価の有機基であり、好ましくは水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
m5は、各出現においてそれぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n5は、各出現においてそれぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
l5は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される二価の有機基が挙げられる。ここに、XB(典型的にはXBの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、XBは、これらの基により置換されていない。
【0273】
上記炭素数1~10のオキシアルキレン含有基は、-O-C1-10アルキレン-を含む基であり、例えば、-R55-(-O-C1-10アルキレン)n-R56(式中、R55は、単結合又は二価の有機基、好ましくはC1-6アルキレン基であり、nは任意の整数、好ましくは2~10の整数であり、R56は、1価の有機基、好ましくはC1-6アルキル基である。)である。上記アルキレン基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0274】
好ましい態様において、上記XBは、それぞれ独立して、-(R51)p5-(X51)q5-R52-である。R52は、単結合、-(CH2)t5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CH2)t5-である。t5は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R52(典型的にはR52の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R56は、これらの基により置換されていない。
【0275】
好ましくは、上記XBは、それぞれ独立して、
単結合、
C1-20アルキレン基、
-R51-X53-R52-、又は
[式中、R51及びR52は、上記と同意義であり、
X53は、
-O-、
-S-、
-CO-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-O-(CH2)u5-CONR54-、
-O-(CH2)u5-CO-、
-Si(R53)2-、
-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-Si(R53)2-O-Si(R53)2-CH2CH2-Si(R53)2-O-Si(R53)2-、
-O-(CH2)u5-Si(OCH3)2OSi(OCH3)2-、
-CONR54-(CH2)u5-(Si(R53)2O)m5-Si(R53)2-、
-CONR54-(CH2)u5-N(R54)-、又は
-CONR54-(o-、m-又はp-フェニレン)-Si(R53)2-
(式中、R53、R54及びm5は、上記と同意義であり、
u5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。)である。]
であり得る。
【0276】
より好ましくは、上記XBは、それぞれ独立して、
単結合、
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、
-X53-(CH2)t5-、又は
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
[式中、X53、s5及びt5は、上記と同意義である。]
である。
【0277】
好ましい態様において、上記XBは、それぞれ独立して、
単結合
C1-20アルキレン基、
-(CH2)s5-X53-、
-X53-(CH2)t5-又は
-(CH2)s5-X53-(CH2)t5-
[式中、
X53は、-O-、-CO-、-CONR54-、-O-CONR54-、-O-(CH2)u5-CONR54-、又は-O-(CH2)u5-CO-、
であり、
R54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数であり、
u5は1~20の整数である。]
であり得る。
【0278】
好ましい態様において、上記XBは、それぞれ独立して、
-(CH2)s5-O-(CH2)t5-、
-CONR54-(CH2)t5-、
-(CH2)s5-O-(CH2)u5-CO-、又は
-(CH2)s5-O-(CH2)u5-CONR54-(CH2)t5-
[式中、
R54は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)又は炭素数1~10のオキシアルキレン含有基であり、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数であり、
u5は1~20の整数である。]
であり得る。
【0279】
上記XBは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、XBは、非置換である。
【0280】
尚、上記XBは、各式の左側がRF1に結合し、右側がRS1に結合する。
【0281】
一の態様において、XBは、それぞれ独立して、-O-C1-6アルキレン基、C1-6アルキレン基-O-C1-6アルキレン基以外であり得る。
【0282】
上記X
Bの具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CH
2OCH
2-、
-CH
2O(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3-、
-CH
2O(CH
2)
4-、
-CH
2O(CH
2)
5-、
-CH
2O(CH
2)
6-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2-、
-CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2-、
-CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2-C(O)NH-CH
2-、
-CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2-、
-CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2-、
-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-、
-CH
2-、
-(CH
2)
2-、
-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
4-、
-(CH
2)
5-、
-(CH
2)
6-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH
2-、
-CONH-(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
4-、
-CONH-(CH
2)
5-、
-CONH-(CH
2)
6-、
-CON(CH
3)-CH
2-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
2-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
3-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
4-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
5-、
-CON(CH
3)-(CH
2)
6-、
-CON(Ph)-CH
2-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
2-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
3-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
4-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
5-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH
2)
6-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CH
2)
2NH(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
6NH(CH
2)
3-、
-CH
2O-CONH-(CH
2)
3-、
-CH
2O-CONH-(CH
2)
6-、
-CH
2OCH
2-CONH-CH
2-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
2-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
3-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
4-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
5-、
-CH
2OCH
2-CONH-(CH
2)
6-、
-CH
2OCH
2-CO-、
-S-(CH
2)
3-、
-(CH
2)
2S(CH
2)
3-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-CONH-(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2-、
-C(O)O-(CH
2)
3-、
-C(O)O-(CH
2)
6-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-CH(CH
3)-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-(CH
2)
3-、
-CH
2-O-(CH
2)
3-Si(CH
3)
2-(CH
2)
2-Si(CH
3)
2-CH(CH
3)-CH
2-、
-OCH
2-、
-O(CH
2)
3-、
-OCFHCF
2-、
【化27】
などが挙げられる。
【0283】
上記式(2)で表されるフルオロポリエーテル基含有化合物は、特に限定されるものではないが、5×102~1×105の数平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、1,000~30,000、より好ましくは1,500~10,000の数平均分子量を有することが、摩耗耐久性の観点から好ましい。なお、かかる「数平均分子量」は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0284】
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)は、公知の方法により合成することができる。
【0285】
好ましい態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)において、RFAは式(f1a)で表される基であり、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RFBは式(f2b)で表される基である。フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)及びフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)が、上記のフルオロポリエーテル基を有することにより、形成される表面処理層の摩耗耐久性と紫外線耐性が高くなる。
【0286】
より好ましい態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)において、RFAは式(f1a)で表される基であり、RS1は、式(S3)、(S4)又は(S5)で表される基であり、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)において、RFBは式(f2b)で表される基であり、RS2は、式(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)及びフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)が、上記のフルオロポリエーテル基及び加水分解性シラン基を有することにより、形成される表面処理層の摩耗耐久性と紫外線耐性が高くなる。
【0287】
本開示の表面処理剤中、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)とフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)の合計に対して、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)の含有量は、好ましくは50mol%以上、より好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上である。フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)の含有量を50mol%以上とすることにより、形成される表面処理層の紫外線耐性が高くなる。
【0288】
本開示の表面処理剤中、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)とフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)の合計に対して、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)の含有量は、好ましくは95mol%以下、より好ましくは90mol%以下、例えば80mol%以上である。フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)の含有量の上限を上記の範囲とすることにより、形成される表面処理層の摩耗耐久性が高くなる。
【0289】
好ましい態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)とフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)の合計に対して、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)の含有量は、好ましくは50~95mol%、より好ましくは60~90mol%、さらに好ましくは70~90mol%である。
【0290】
上記表面処理剤は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)及びフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)(以下、まとめて「本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物」ともいう)に加え、他の成分を含んでいてもよい。かかる他の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、触媒、低級アルコール、遷移金属、ハロゲン化物イオン、分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物などが挙げられる。
【0291】
上記含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(1)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf5-(OC4F8)a’-(OC3F6)b’-(OC2F4)c’-(OCF2)d’-Rf6 ・・・(1)
式中、Rf5は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rf6は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1-16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子又は水素原子を表し、Rf5及びRf6は、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’及びd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’及びd’の和は少なくとも1、好ましくは1~300、より好ましくは20~300である。添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。上記繰り返し単位中に少なくとも1の分岐構造を有する。すなわち、上記繰り返し単位は、少なくとも1のCF3末端(具体的には、-CF3、-C2F5等、より具体的には-CF3)を有する。分岐構造を有する繰り返し単位としては、-(OC4F8)-としては、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-及び-(OCF2CF(C2F5))-;-(OC3F6)-としては、-(OCF(CF3)CF2)-及び-(OCF2CF(CF3))-;-(OC2F4)-としては、-(OCF(CF3))-を挙げることができる。
【0292】
上記一般式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(1a)及び(1b)のいずれかで示される化合物(1種又は2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf5-(OCF(CF3)CF2)b’’-Rf6 ・・・(1a)
Rf5-(OC4F8)a’’-(OC3F6)b’’-(OCF(CF3))c’’-(OCF2)d’’-Rf6 ・・・(1b)
これら式中、Rf5及びRf6は上記の通りであり;式(1a)において、b’’は1以上100以下の整数であり;式(1b)において、a’’及びb’’は、それぞれ独立して1以上30以下の整数であり、c’’及びd’’はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a’’、b’’、c’’、d’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。-(OC4F8)-、-(OC3F6)-は分岐構造を有する。
【0293】
上記含フッ素オイルは、1,000~30,000の数平均分子量を有していてよい。特に、式(1a)で表される化合物の数平均分子量は、2,000~8,000であることが好ましい。かかる数平均分子量を有することにより、良好な摩擦耐久性を得ることができる。一の態様において、式(1b)で表される化合物の数平均分子量は、3,000~8,000である。別の態様において、式(1b)で表される化合物の数平均分子量は、8,000~30,000である。
【0294】
上記表面処理剤中、含フッ素オイルは、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物100質量部に対して、例えば0~500質量部、好ましくは0~100質量部、より好ましくは1~50質量部、さらに好ましくは1~5質量部で含まれ得る。
【0295】
上記表面処理剤中、含フッ素オイルは、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び含フッ素オイルの合計量に対して、例えば0~30モル%、好ましくは0~20モル%、より好ましくは0~10モル%で含まれ得る。
【0296】
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf’-F(式中、Rf’はC5-16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。Rf’-Fで表される化合物及びクロロトリフルオロエチレンオリゴマーは、RfがC1-16パーフルオロアルキル基である上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物と高い親和性が得られる点で好ましい。
【0297】
含フッ素オイルは、表面処理層の摩耗耐久性を向上させるのに寄与する。
【0298】
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0299】
上記表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~50質量部、好ましくは0~5質量部で含まれ得る。
【0300】
シリコーンオイルは、表面処理層の摩耗耐久性を向上させるのに寄与する。
【0301】
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
【0302】
触媒は、上記含フッ素シラン化合物の加水分解及び脱水縮合を促進し、表面処理層の形成を促進する。
【0303】
上記他の成分としての低級アルコールとしては、炭素数1~6のアルコール化合物が挙げられる。
【0304】
上記遷移金属としては、白金、ルテニウム、ロジウム等が挙げられる。
【0305】
上記ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン等が挙げられる。
【0306】
上記分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物しては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピリジン、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等を挙げられる。これらの化合物の中で、ジメチルスルホキシド、又はテトラメチレンスルホキシドを用いることが好ましい。
【0307】
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
【0308】
一の態様において、上記表面処理剤は、上記他の成分である含フッ素オイル、シリコーンオイル、触媒、低級アルコール、遷移金属、ハロゲン化物イオン、分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物を含まない。
【0309】
本態様の組成物(例えば、表面処理剤)は、摩擦耐久性の良好な硬化層の形成に寄与し得る。さらに、本態様の組成物を用いて形成される硬化層の摩擦耐久性が良好になり、硬化層の表面における滑り性が良好になる。また、本態様の組成物では、RF部分の二次構造がらせん構造をとりやすく、単位面積当たりのポリマー密度やシランカップリング剤の架橋密度が大きくなるため、硬化層の強度が高くなると考えられる。
【0310】
一の態様において、本開示の表面処理剤は、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、及び含フッ素オイルを含む。
【0311】
一の態様において、本開示の表面処理剤は、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含み、上記他の成分である、含フッ素オイルを含まない(例えば、含フッ素オイルの含有量が、表面処理剤100質量部に対して、1質量部以下であり、より具体的には、0質量部である)。
【0312】
本開示の表面処理剤には、必要に応じて、さらに、加水分解縮合触媒、例えば、有機錫化合物(ジブチル錫ジメトキシド、ジラウリン酸ジブチル錫など)、有機チタン化合物(テトラn-ブチルチタネートなど)、有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、フッ素変性カルボン酸など)、無機酸(塩酸、硫酸など)を添加してもよい。これらの中では、特に酢酸、テトラn-ブチルチタネート、ジラウリン酸ジブチル錫、フッ素変性カルボン酸などが望ましい。
【0313】
上記加水分解縮合触媒の添加量は触媒量であり、通常、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物100質量部に対して0.01~5質量部、特に0.1~1質量部である。
【0314】
本開示の表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
【0315】
本開示の表面処理剤は、防汚性コーティング剤又は防水性コーティング剤として使用される。
【0316】
上記コーティング剤(以下、「本開示のコーティング剤」ともいう)は、本開示の組成物と液状媒体とを含む。本開示のコーティング剤は、液状であればよく、溶液であってもよく、分散液であってもよい。
【0317】
本開示のコーティング剤は、本開示の組成物を含んでいればよく、化合物(A)、化合物(B)等の製造工程で生成した副生成物等の不純物を含んでもよい。
【0318】
本開示の組成物の濃度は、本開示のコーティング剤中、0.001~50質量%が好ましく、0.05~30質量%がより好ましく、0.05~10質量%がさらに好ましく、0.1~1質量%が特に好ましい。
【0319】
液状媒体としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒は、フッ素系有機溶媒であってもよく、非フッ素系有機溶媒であってもよく、両溶媒を含んでもよい。
【0320】
フッ素系有機溶媒としては、フッ素化アルカン、フッ素化芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フッ素化アルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。
【0321】
フッ素化アルカンとしては、炭素数4~8の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばC6F13H(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AC-2000)、C6F13C2H5(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AC-6000)、C2F5CHFCHFCF3(ケマーズ社製、バートレル(登録商標)XF)等が挙げられる。
【0322】
フッ素化芳香族化合物としては、たとえばヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0323】
フルオロアルキルエーテルとしては、炭素数4~12の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばCF3CH2OCF2CF2H(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AE-3000)、C4F9OCH3(3M社製、ノベック(登録商標)7100)、C4F9OC2H5(3M社製、ノベック(登録商標)7200)、C2F5CF(OCH3)C3F7(3M社製、ノベック(登録商標)7300)等が挙げられる。
【0324】
フッ素化アルキルアミンとしては、たとえばペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
【0325】
フルオロアルコールとしては、たとえば2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
【0326】
非フッ素系有機溶媒としては、水素原子および炭素原子のみからなる化合物と、水素原子、炭素原子および酸素原子のみからなる化合物が好ましく、炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒が挙げられる。
【0327】
本開示のコーティング剤は、液状媒体を50~99.999質量%含むことが好ましく、70~99.5質量%含むことがより好ましく、90~99.5質量%含むことがさらに好ましく、99~99.9質量%含むことが特に好ましい。
【0328】
本開示のコーティング剤は、本開示の組成物および媒体の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。
【0329】
その他の成分としては、たとえば、加水分解性シリル基の加水分解と縮合反応を促進する酸触媒や塩基性触媒等の公知の添加剤が挙げられる。
【0330】
本開示のコーティング剤における、その他の成分の含有量は、10質量%以下が好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
【0331】
本開示のコーティング剤の固形分濃度は、0.001~50質量%が好ましく、0.05~30質量%がより好ましく、0.05~10質量%がさらに好ましく、0.01~1質量%が特に好ましい。
【0332】
コーティング剤の固形分濃度は、加熱前のコーティング剤の質量と、120℃の対流式乾燥機にて4時間加熱した後の質量とから算出する値である。
【0333】
本開示の組成物の濃度は、固形分濃度と、本開示の組成物および溶媒等の仕込み量とから算出可能である。
【0334】
本開示の表面処理剤は、特に、タッチパネル等の表示入力装置のコート;透明なガラス製または透明なプラスチック製部材の表面保護コート、キッチン用防汚コート;電子機器、熱交換器、電池等の撥水防湿コートや防汚コート;トイレタリー用防汚コート;導通しながら撥液が必要な部材へのコート;熱交換機の撥水・防水・滑水コート;振動ふるいやシリンダ内部等の表面低摩擦コート等に用いることができる。より具体的な使用例としては、ディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板、あるいはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの、携帯電話(例えば、スマートフォン)、携帯情報端末、ゲーム機、リモコン等の機器のタッチパネルシートやタッチパネルディスプレイ等の人の指または手のひらで画面上の操作を行う表示入力装置を有する各種機器のコート(例えば、表示部等に使用するガラスまたはフィルムに対するコート、ならびに、表示部以外の外装部分に使用するガラス、フィルムまたは金属に対するコート)、トイレ、風呂、洗面所、キッチン等の水周りの装飾建材のコート、配線板用防水コーティング、熱交換機の撥水・防水・滑水コート、太陽電池の撥水コート、プリント配線板の防水・撥水コート、電子機器筐体や電子部品用の防水・撥水コート、送電線の絶縁性向上コート、各種フィルタの防水・撥水コート、電波吸収材や吸音材の防水性コート、風呂、厨房機器、トイレタリー用防汚コート、振動ふるいやシリンダ内部等の表面低摩擦コート、機械部品、真空機器部品、ベアリング部品、自動車等の輸送機器用部品、工具等の表面保護コートなどが挙げられる。
【0335】
以下、本開示の物品について説明する。
【0336】
本開示の物品は、基材と、該基材表面に本開示の表面処理剤より形成された層(表面処理層)とを含む。
【0337】
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然又は合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよい)、金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、衛生用品、任意の適切な材料で構成され得る。
【0338】
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラス又は透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(又は膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層及び多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Ti2O5、Al2O3、Ta2O5、Ta3O5,Nb2O5、HfO2、Si3N4、CeO2、MgO、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3などが挙げられる。これらの無機物は、単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiO2及び/又はSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I-CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、及び液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
【0339】
上記基材の形状は、特に限定されず、例えば、板状、フィルム、その他の形態であってよい。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途及び具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
【0340】
一の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜又は熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入又は増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素-炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア-ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
【0341】
別の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi-H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
【0342】
好ましい態様において、上記基材はガラスである。かかるガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、及び化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
【0343】
本開示の物品は、上記基材の表面に、上記の本開示の表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の表面処理剤から層を形成することにより製造することができる。
【0344】
本開示の表面処理剤の層形成は、上記表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用でき、好ましくは湿潤被覆法が使用される。
【0345】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング及び類似の方法が挙げられる。
【0346】
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
【0347】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0348】
表面処理剤の層形成は、層中で本開示の表面処理剤が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
【0349】
触媒には、任意の適切な酸又は塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
【0350】
本開示の表面処理剤を用いて形成された表面処理層は、本開示の表面処理剤に含まれるフルオロポリエーテル基含有化合物を実質的に含有しない。
【0351】
従って、本開示は、基材と、該基材上に形成された表面処理層とを含む物品であって、前記表面処理層は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物から形成され、フルオロポリエーテル基含有化合物を実質的に含有しない、物品を提供する。
【0352】
本開示の物品に含まれる表面処理層は、高い摩耗耐久性を有する。また、上記表面処理層は、高い摩耗耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(又は潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)、耐薬品性などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
【0353】
従って、本開示はさらに、上記表面処理層を最外層に有する光学材料にも関する。
【0354】
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例えば、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイ又はそれらのディスプレイの保護板、又はそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
【0355】
本開示の物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
【0356】
また、本開示の物品は、医療機器又は医療材料であってもよい。
【0357】
上記層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、上記層の厚さは、1~50nm、1~30nm、好ましくは1~15nmの範囲であることが、光学性能、摩耗耐久性及び防汚性の点から好ましい。
【0358】
以上、本開示の物品及びその製造方法について詳述した。なお、本開示の物品及び物品の製造方法などは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例】
【0359】
以下、本開示について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、以下に示される化学式はすべて平均組成を示す。また、パーフルオロポリエーテルを構成する繰り返し単位の存在順序は任意である。
【0360】
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)として、下記化合物(a1)及び(a2)を準備した。
・化合物(a1)及び(a2)
CF3CF2CF2O[CF(CF3)CF2O]nCF(CF3)CONHCH2C[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
(化合物(a1):n=12;化合物(a2):n=24)
【0361】
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)として、下記化合物(b1)~(b4)を準備した。
・化合物(b1)
[(CH3O)3SiCH2CH2CH2]3CCH2NHCOCF2O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF2CONHCH2C[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
(m=18、n=29)
・化合物(b2)
[(CH3O)3SiCH2CH2CH2]2NCOCF2O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF2CON[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]2
(m=18、n=29)
・化合物(b3)
[(CH3O)3SiCH2CH2CH2]2NCOCH2OCH2CF2O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF2CH2OCH2CON[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]2
(m=18、n=29)
・化合物(b4)
[(CH3O)3SiCH2CH2CH2]3CCH2NHCOCH2OCH2CF2O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF2CH2OCH2CONHCH2C[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
(m=18、n=29)
【0362】
さらに、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)として、下記化合物(b5)を合成した。
【0363】
(合成例1)
HOOCCF2-(CF2CF2O)m-(CF2O)n-CF2COOH(m≒20、n≒33)を2.0g、トルエンを15g、m-ヘキサフルオロキシレンを15g、N,N-ジメチルホルムアミドを0.23mL、それぞれ加えた後、塩化チオニル0.65mLを仕込み、60℃に加熱し5時間攪拌した。その後、減圧下で揮発分を留去し、ヨウ化リチウム4.0gを加え、220℃に加熱し12時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のポリエーテル基含有化合物(b5’)10.5gを得た。
【0364】
ポリエーテル基含有化合物(b5’)
【化28】
(m≒20、n≒33)
【0365】
(合成例2)
合成例1で得られたポリエーテル基含有化合物(b5’)ICF2-(CF2CF2O)m-(CF2O)n-CF2I(m≒20、n≒33)を5.0g、m-ヘキサフルオロキシレンを5.0g、トリクロロビニルシランを1.3mL、tert-ブチルペルオキシドを0.40mL、それぞれ加えた後、130℃に加熱し10時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去し、亜鉛0.8g及びテトラデカフルオロヘキサン5.0gを加え、氷浴で冷却し、メタノール6.3mLを加えた後、45℃で8時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のポリエーテル基含有化合物(b5)3.6gを得た。
【0366】
ポリエーテル基含有化合物(b5)
【化29】
(m≒20、n≒33、k≒3)
【0367】
対照化合物として、下記化合物(c1)を準備した。
・化合物(c1)
CF3O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF2CONHCH2C[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3
(m=18、n=29)
【0368】
[表面処理層の形成]
上記化合物を組み合わせ、ノベック7200(スリーエム社製)に溶解させて、合計濃度20wt%になるように、表面処理剤を調製した。調製した表面処理剤を、化学強化ガラス(コーニング社製、「ゴリラ」ガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。真空蒸着法の条件は、抵抗加熱式蒸着機(シンクロン製)、チャンバーサイズ1,900mmφ、真空度5.0E-05、電流値240A、電圧10V、基材温度40℃であった。次に、蒸着した化学強化ガラスを、温度150℃の雰囲気下で30分静置し、その後室温まで放冷させ、ガラス基材上に表面処理層を形成した。化合物の組み合わせとその組成は、下記表に示す。なお、化合物(a1)と(b2)、化合物(a2)と(b2)、化合物(a1)と(b1)、化合物(a1)と(b3)、化合物(a1)と(b4)、及び化合物(a1)と(b5)の組み合わせは実施例であり、化合物(c1)と(b2)の組み合わせは比較例である。
【0369】
[評価]
(静的接触角の測定)
静的接触角は、水平に置いた基板にマイクロシリンジから水を2μL滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより求めた。測定は、全自動接触角計DropMaster700(協和界面科学社製)を用いて行った。
【0370】
(初期評価)
まず、初期評価として、表面処理層を形成後、その表面に未だ何も触れていない状態で、水の静的接触角を測定した。
【0371】
(消しゴム耐久性試験)
上記で形成された表面処理層について、ラビングテスター(新東科学社製)を用いて、下記条件で往復回数1000回後に水の静的接触角を測定した。
消しゴム:Raber Eraser(Minoan社製)
接地面積:6mmφ
移動距離(片道):40mm
移動速度:3,600mm/分
荷重:1kg/6mmφ
温度:25℃
湿度:40%RH
【0372】
(UV耐久性試験)
上記で形成された表面処理層について、48時間UV照射後の水の静的接触角を測定した。UV照射は、UVB-313ランプ(Q-Lab社製、310nmにおいて放射照度0.63W/m2)を用い、基材のブラックパネル温度は、63度で、ランプと表面処理層との距離を5cmとして行った。
【0373】
【0374】
【0375】
上記の結果から、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(A)及びフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(B)を組み合わせることにより、摩耗耐久性及びUV耐久性が高い表面処理層を形成できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0376】
本開示の表面処理剤は、種々多様な用途に好適に利用され得る。