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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】薬剤収納ケース連結体
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/02 20060101AFI20230419BHJP
   A61J 1/14 20230101ALI20230419BHJP
【FI】
B65D21/02 301
A61J1/14 520
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018202728
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2020070024
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 康廣
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-76810(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202361(JP,U)
【文献】国際公開第2004/078095(WO,A1)
【文献】特開平11-319034(JP,A)
【文献】特開2001-130530(JP,A)
【文献】実開昭61-80217(JP,U)
【文献】実公昭49-18455(JP,Y1)
【文献】特開2011-207517(JP,A)
【文献】特開2000-168781(JP,A)
【文献】特開平9-168576(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0125982(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/00 - 21/08
A61J 1/00 - 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板、左右側板及び前後側板を備える上方開口であって、該前側板の後面に対応する該左右側板に、左右連結用パーツが嵌る厚さ方向に貫通する第1縦スリットを形成した薬剤収納ケースの複数個と、
隣接する2つの薬剤収納ケースを横方向に連結する樹脂製の左右連結用パーツと、を備え、
該左右側板は、その前端が該前側板より前方へ延びる左右突出部を有し、該前側板の前面に対応する該左右突出部に左右連結用パーツが嵌る厚さ方向に貫通する第2縦スリットを形成し、
該左右連結用パーツの連結の一方は、該第1縦スリット及び該第2縦スリットに差し込みで嵌められることを特徴とする薬剤収納ケース連結体。
【請求項2】
第1スリットは、所定幅寸法を有し、該前側板の後面と該第1スリットの前内壁面とが面一であることを特徴とする請求項1記載の薬剤収納ケース連結体。
【請求項3】
該後側板の前面に対応する該左右側板に、左右連結用パーツが嵌る厚さ方向に貫通する縦スリットを形成したものであり、スリットは、所定幅寸法を有し、該後側板の前面と該スリットの後内壁面とが面一であることを特徴とする請求項1記載の薬剤収納ケース連結体。
【請求項4】
該第1縦スリットと該第2縦スリットは、該第1縦スリットと該第2縦スリット間の前後方向の中心における縦中心軸に対して対称形状であることを特徴とする請求項記載の薬剤収納ケース連結体。
【請求項5】
該左右連結用パーツは、第1板状体と、該第1板状体と寸法m離れて対峙する第2板状体と、該第1板状体と該第2板状体を左右方向の中央で接続する接続体と、該第1板状体の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が該第2板状体方向に延びる可撓性の第1突起体と、該第2板状体の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が該第1板状体方向に延びる可撓性の第2突起体と、を有し、
該接続体より左右方向で一方の側が第1グリップであり、該接続体より左右方向で他方の側が第2グリップであり、該第1グリップの第1板状体と第1突起体又は該第1グリップの第2板状体と第2突起体が、一方の薬剤収納ケースの縦スリットに嵌合し、該第2グリップの第1板状体と第1突起体又は該第2グリップの第2板状体と第2突起体が、他方の薬剤収納ケースの縦スリットに嵌合することを特徴とする請求項記載の薬剤収納ケース連結体。
【請求項6】
該左右連結用パーツは、第1板状体と、該第1板状体と寸法h離れて対峙する第2板状体と、該第1板状体と該第2板状体を左右方向の中央で接続する接続体と、該第1板状体の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が該第2板状体方向に延びる可撓性の第1突起体と、該第2板状体の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が該第1板状体方向に延びる可撓性の第2突起体と、を有し、
該接続体より左右方向で一方の側が第1グリップであり、該接続体より左右方向で他方の側が第2グリップであり、第1グリップの第1板状体と第1突起体及び第1グリップの第2板状体と第2突起体が、一方の薬剤収納ケースの第2縦スリット及び第1縦スリットにそれぞれ嵌合し、第2グリップの第1板状体と第1突起体及び第2グリップの第2板状体と第2突起体が、他方の薬剤収納ケースの第2縦スリット及び第1縦スリットにそれぞれ嵌合することを特徴とする請求項記載の薬剤収納ケース連結体。
【請求項7】
該第1突起体及び該第2突起体は、高さが略h/2で、縦スリットへの差し込み方向と直交する方向に長さが延びる毛状断面突起又は矩形断面突起が、差し込み方向に互いに離れて、複数個形成されたものであることを特徴とする請求項5又は6記載の薬剤収納ケース連結体。
【請求項8】
該接続体は、差し込み方向と直交する方向に延びる板状体であることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の薬剤収納ケース連結体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬局で個人別の容器に薬を入れた状態で運搬でき、そのまま病院や施設の与薬棚の引き出しとして使用できる薬剤収納ケース連結体及びその一部品である薬剤収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬の管理方法としては、薬局から病院や施設へ複数人数分の薬をまとめて運び、病院や施設において、個人別の引き出しに、朝、昼、夕、寝る前等のタイミング別に薬剤収納ケースを入れ直すという作業を行っていた。
【0003】
薬局や病院で使用される薬剤収納ケースには、種々のものが提案されている。例えば、特開2012-76810号公報には、前壁部、一対の側壁部、底壁部、後壁部を有して上部が開口された筐体状の薬剤ケースにおいて、後部に大収納部、前部に小収納部を形成するように仕切り板で仕切るように構成された薬剤ケースであって、前記前壁部と前記小収納部との間に、薬剤の情報を伝達する表示部が配設されていることを特徴とする薬剤ケースが開示されている。この薬剤ケース(薬剤収納ケース)によれば、薬剤ケースに収納された薬剤に関する情報を確実に伝達して、間違った薬剤を取り出す虞のないように形成された薬剤ケースを提供できる。
【0004】
また、実用新案登録第3202361号公報には、前壁、後壁、一対の側壁、底壁を有し、上方が開口した薬剤収容部を備え、前記薬剤収容部は、前方に位置して前後寸法が相対的に小さい小収容部と、後方に位置して前後寸法が相対的に大きい大収容部と、を有し、前記小収容部は、前記底壁から上方に突出した突出部を有する薬剤ケースが開示されている。この薬剤ケースによれば、薬剤収容部の収容物、特に端数包装体を取り出し易い。このような従来の薬剤ケースは、いずれも、薬局と病院のいずれか施設でのオペレーションのための使用であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-76810号公報
【文献】実用新案登録第3202361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のような薬の管理方法は、薬局と病院の両方でオペレーションが必要となり、作業の効率化の点で問題となっている。従って、薬局で個人別の容器に薬を入れた状態で運搬でき、そのまま病院や施設の与薬棚の引き出しとして使用できる薬剤収納ケースであれば、患者に与薬する施設や病院でのオペレーションは確認のみとなり、施設や病院での仕事の効率化が図れて都合がよい。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、薬局で個人別の容器に薬を入れた状態で複数個を同時に運搬でき、そのまま病院や施設の与薬棚の引き出しとして使用できる薬剤収納ケースを提供することにある。
【0008】
従って、本発明は、上記課題を解決するものであり、底板、左右側板及び前後側板を備える上方開口の薬剤収納ケースであって、該前側板の後面又は該後側板の前面に対応する該左右側板に、左右連結用パーツが嵌る厚さ方向に貫通する縦スリットを形成したことを特徴とする薬剤収納ケースを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、該スリットは、所定幅寸法を有し、該前側板の後面と該スリットの前内壁面とが面一であることを特徴とする前記薬剤収納ケースを提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該スリットは、所定幅寸法を有し、該後側板の前面と該スリットの後内壁面とが面一であることを特徴とする前記薬剤収納ケースを提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該前側板の後面に対応する該左右側板に、左右連結用パーツが嵌る厚さ方向に貫通する縦スリットを形成したものであり、該縦スリットは、第1縦スリットであり、該左右側板は、その前端が該前側板より前方へ延びる左右突出部を有し、該前側板の前面に対応する該左右突出部に連結用パーツ用の厚さ方向に貫通する第2縦スリットを形成したことを特徴とする前記薬剤収納ケースを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該第1縦スリットと該第2縦スリットは、該第1縦スリットと該第2縦スリット間の前後方向の中心における縦中心軸に対して対称形状であることを特徴とする前記薬剤収納ケースを提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記薬剤収納ケースの複数個と、
隣接する2つの薬剤収納ケースを横方向に連結する樹脂製の左右連結用パーツと、を備え、
該左右連結用パーツは、第1板状体と、該第1板状体と寸法m離れて対峙する第2板状体と、該第1板状体と該第2板状体を左右方向の中央で接続する接続体と、該第1板状体の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が該第2板状体方向に延びる可撓性の第1突起体と、該第2板状体の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が該第1板状体方向に延びる可撓性の第2突起体と、を有し、
該接続体より左右方向で一方の側が第1グリップであり、該接続体より左右方向で他方の側が第2グリップであり、該第1グリップの第1板状体と第1突起体又は該第1グリップの第2板状体と第2突起体が、一方の薬剤収納ケースの縦スリットに嵌合し、該第2グリップの第1板状体と第1突起体又は該第2グリップの第2板状体と第2突起体が、他方の薬剤収納ケースの縦スリットに嵌合することを特徴とする薬剤収納ケース連結体を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記薬剤収納ケースの複数個と、
隣接する2つの薬剤収納ケースを横方向に連結する樹脂製の左右連結用パーツと、を備え、
該左右連結用パーツは、第1板状体と、該第1板状体と寸法m離れて対峙する第2板状体と、該第1板状体と該第2板状体を左右方向の中央で接続する接続体と、該第1板状体の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が該第2板状体方向に延びる可撓性の第1突起体と、該第2板状体の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が該第1板状体方向に延びる可撓性の第2突起体と、を有し、
該接続体より左右方向で一方の側が第1グリップであり、該接続体より左右方向で他方の側が第2グリップであり、第1グリップの第1板状体と第1突起体及び第1グリップの第2板状体と第2突起体が、一方の薬剤収納ケースの第2縦スリット及び第1縦スリットにそれぞれ嵌合し、第2グリップの第1板状体と第1突起体及び第2グリップの第2板状体と第2突起体が、他方の薬剤収納ケースの第2縦スリット及び第1縦スリットにそれぞれ嵌合することを特徴とする薬剤収納ケース連結体を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、該第1突起体及び該第2突起体は、高さが略m/2で、縦スリットへの差し込み方向と直交する方向に長さが延びる毛状断面突起又は矩形断面突起が、差し込み方向に互いに離れて、複数個形成されたものであることを特徴とする前記記載の薬剤収納ケース連結体を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、該接続体は、左右方向と直交する方向に延びる板状体であることを特徴とす前記薬剤収納ケース連結体を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数個の薬剤収納ケースを横並びで連結できるため、薬局で個人別の容器に薬を入れた状態で複数個を運搬でき、そのまま病院や施設の与薬棚の引き出しとして使用できる。このため、患者に与薬する施設や病院でのオペレーションは確認のみとなり、施設や病院での仕事の効率化が図れる。また、横並びに連結体することで、薬の多い患者に対しても倍の容量の容器として、与薬棚から一度に引き出すことができ、与薬作業が行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態における薬剤収納ケースの斜視図である。
図2図1の薬剤収納ケースの側面図である。
図3図1の薬剤収納ケース2個を横並びで連結する方法を説明する図である。
図4図1の薬剤収納ケースの2個が横並びで連結された図である。
図5図3の薬剤収納ケースの横断面図である。
図6図4の薬剤収納ケースの横断面図である。
図7図1の薬剤収納ケースの横連結に使用する左右連結用パーツの斜視図である。
図8図7の左右連結用パーツの平面図である。
図9図1のX-X線に沿って見た断面図である。
図10図9の符号X1部分の拡大図である。
図11図9の符号X2部分の拡大図である。
図12】薬剤収納ケース連結体の一例を示す斜視図である。
図13図7の左右連結用パーツの連結部を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態における薬剤収納ケースを図1及び2を参照して説明する。本明細書中、正面及び左右方向は、収納棚に設置された状態で、作業者側(薬剤収納ケース引き出し方向側)から見た方向を言う。薬剤収納ケース10は、底板3e、右側板3c、左側板3d、前側板3a、後側板3bを備える上方開口の前後方向に長いケース状である。これにより、紙等でパッキングされた患者A用の薬剤を収納できる。薬剤収納ケース10には、前部に一対の縦スリット(第1及び第2縦スリット)1a、後部に1条の「第1スリット1bが形成されている。第1スリット1b及び一対の第2縦スリット1aには、それぞれ左右連結用パーツ9の一部が嵌り、他の薬剤収納ケース10と横方向の連結を可能とする。
【0020】
薬剤収納ケース10において、後側板3bの前面31bに対応する左右側板3c、3dに、左右連結用パーツ9が嵌る厚さ方向に貫通する1条の縦スリット(第1縦スリット)1b、1bが形成されている。縦スリット1b、1bは、左右側板3c、3dの厚み方向に貫通する所定幅と所定高さを有する縦長の矩形状のスリットである。縦スリット1bは、後側板3bの前面と縦スリット1bの前内壁面とが面一である。縦スリット1b、1bには、左右連結用パーツ9の一部が嵌る。左右連結用パーツ9は、図7及び図8に示すように、連結体93を中心にした左右に第1グリップG1と第2グリップG2を有する樹脂製であり、縦スリット1bに、例えば、第1グリップG1を構成する第1板状体911と第1突起体941が差し込まれ、第1グリップG1で、後側板3bの前後両面をグリップする。縦スリット1b、1bのスリット高さは、左右連結用パーツ9の高さより僅かに高く、縦スリット1b、1bのスリット幅は、左右連結用パーツ9の第1板状体91又は第2板状体92の厚みより大である。なお、縦スリット1b、1bのスリット幅は、左右連結用パーツ9の第1板状体91又は第2板状体92の厚みより大き過ぎても、連結強さには影響しない。
【0021】
薬剤収納ケース10において、前側板3aの後面に対応する左右側板3c、3dに、左右連結用パーツ9が嵌る厚さ方向に貫通する所定幅と所定高さを有する縦長の矩形状のスリット(第1縦スリット)12aが形成されている。また、第1縦スリット12aは、前側板3aの後面と第1縦スリット12aの前内壁面とが面一である。薬剤収納ケース10の左右側板3c、3dは、その前端が前側板3aより前方へ延びる左右突出部31c、31dを有し、前側板3aの前面31aに対応する左右突出部31c、31dには、厚さ方向に貫通する第2縦スリット11aが形成されている。第2縦スリット11aは、左右突出部31c、31dの厚み方向に貫通する所定幅と所定高さを有する縦長の矩形状のスリットである。また、第2縦スリット11aは、前側板3aの前面と第2縦スリット11aの後内壁面とが面一である。第2縦スリット11aには、左右連結用パーツ9の第1グリップG1の一方又は他方あるいは第2グリップG2の一方又は他方が嵌る。なお、左右突出部31c、31dは、本例では、左右側板3c、3dの厚みと同じ厚みである。
【0022】
第1縦スリット12aと第2縦スリット11aは、第1縦スリット12aと第2縦スリット11a間の前後方向の中心における縦中心軸(仮想)に対して対称形状である。すなわち、第1縦スリット12aと第2縦スリット11aは、左右連結用パーツ9が嵌る一対のスリットを構成する。第1縦スリット12aには、左右連結用パーツ9の第1グリップG11の第1板状体911と第1突起体941が嵌り、第2縦スリット11aには、左右連結用パーツ9の第1グリップG11の第2板状体921と第2突起体951が嵌る。これにより、第1縦スリット12aと第2縦スリット11aに差し込まれた第1グリップG1は、前側板3aの前後両面をグリップする。なお、縦スリット12a、11aのスリット幅は、第1縦スリット1bと同様、左右連結用パーツ9の第1板状体91又は第2板状体92の厚みより大であり、そのスリット幅は、左右連結用パーツ9の第1板状体91又は第2板状体92の厚みより大き過ぎても、連結強さには影響しない。
【0023】
薬剤収納ケース10において、左右側板の上部内側には、前後方向に延びる係止溝レール4が形成されている。係止溝レール4は、他の薬剤収納ケース10の係止突起レール5が前後方向にスライド自在に嵌り、上下2つの薬剤収納ケース10を積層状に連結可能とする。
【0024】
薬剤収納ケース10において、左右側板3c、3dは、図0及び図11に示すように、上部において段差構造となっている。すなわち、左右側板3c、3dは上部において外側に直角に屈曲し、更に上方に直角に屈曲することで、段差を形成し、更に内側の側板となった側板が上方に僅かに延びて縦溝48を構成したものである。すなわち、係止溝レール4は、前後方向に延びる外縦板41と、外縦板41からm寸法離れた内側で、外縦板41の高さより低い高さの前後方向に延びる内縦板42とで形成される縦溝48と、内縦板42の上端からn寸法上方に離れて外縦板41の内側面から内側方向に延びる小横板43と、内縦板42の上端とで形成される横溝49との逆さL字断面の二重溝となっている。なお、横溝49は、外側が縦溝48に連続しており、横溝49の溝長さは、内縦板42の厚みとなる。また、外縦板41は、左右側板3c、3dの一部を構成する。
【0025】
また、小横板43の内側方向へ延びる長さ(突出長さ)は、縦溝48の溝幅寸法mと同じ又はこれより小となっている。これにより、他の(上側の)薬剤収納ケース10が上方に持ち上げられた際、係止突起レール5が小横板43と当接して持ち上げるため、他の(上側の)薬剤収納ケース10は、脱落することなく、連結状態を維持できる。また、横溝49の溝幅(図10中、上下長さ)は、別部材である蓋部材1の厚みより僅かに大の寸法である。これにより、蓋部材1は、横溝49にスライド自在に嵌合でき、更に嵌合後は、蓋部材1が持ち上げられても、小横板43がストッパーの役目となり、脱落することなく、連結できる。
【0026】
係止溝レール4において、小横板43は、前後方向に不連続で部分的(本例では3か所)に形成され、内縦板42は、部分的に形成された小横板43の対応する位置において切り欠かれている。係止溝レール4は、このように部分的に配置することで、他の薬剤収納ケースのスライドによる連結や、蓋部材のスライドによる連結を円滑にできる。また、蓋部材1の対応する位置と避ける位置に、抜け用の切り欠きを設ければ、蓋部材1をスライドして引き抜くことなく、スライド途中で外すことができる。
【0027】
薬剤収納ケース10において、左右側板3c、3dの下端には、図11に示すように、前後方向に延びる係止突起レール5が形成されている。係止突起レール5は、係止溝レール4の二重溝に嵌る突起形状であり、具体的には、正面視で、左右側板の下端が外側へ直角に屈曲し、更に下方に直角に屈曲する逆L字形状である。係止突起レール5は、前後方向に連続して形成されるものであるが、図1に示すように、後部の一部に切り欠き部59を有していてもよい。切り欠き部59は、収納棚に収納され、引き出す際、収納棚の底板の前端に係止して、作業を円滑にする。
【0028】
左右側板3c、3dの内側の面には、前後方向に所定のピッチで縦方向に延びる多数の仕切り板用の突起6が形成されている。左右で且つ前後に隣接する突起6間に仕切り板を取り付け、且つ仕切り板に表示プレートを貼付すれば、仕切り板間の薬剤の情報が明確となる。例えば、仕切り板を3つ使用し、薬剤収納ケース10内を4つに区画すれば、後方から前方に向けて、寝る前、夕、昼、朝用の薬剤を入れる区画となる。
【0029】
薬剤収納ケース10において、前側板3aの前面は、例えば、薬剤を使用する患者の名前などが書かれた表示板を収納する表示部が形成されている。これにより、薬剤収納ケース10がどの患者用のものであるかが明確となる。表示部は、表示板を差し込み自在のポケット構造としてもよい。
【0030】
次に、薬剤収納ケース横連結体(以下、単に「ケース横連結体」とも言う。)について、図3図6を参照して説明する。図3図6において、図1図2と同一構成要素には、同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について、主に説明する。ケース横連結体20は、薬剤収納ケース10の複数個(2個)と、左右連結用パーツ9の複数個(2個)を備える。左右方向に隣接する2つの薬剤収納ケース10a、10bは、左右連結用パーツ9、9により、左右方向に隣接して連結される。
【0031】
左右連結用パーツ9は、図7及び図8に示すように、第1板状体91と、第1板状体91と寸法m離れて対峙する第2板状体92と、第1板状体91と第2板状体92を左右方向の中央で接続する接続体93と、第1板状体91の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が第2板状体92方向に延びる可撓性の第1突起体94と、第2板状体92の裏面に起立状又は傾斜状に形成される、先端が第1板状体91方向に延びる可撓性の第2突起体95と、を有する。接続体93は、本例では、左右方向と直交する方向(上下方向)に長く延びる板状体である。左右連結用パーツ9は、連結時、正面視において、第1板状体91が正面となり、中の第1突起体94及び第2突起体95が正面及び背面から見えず、且つ接続体93が上下方向に長く延びている。
【0032】
第1板状体91及び第2板状体92は、数mmの厚みを有する板状体であり、例えば、硬質の塩ビが使用できる。第1板状体91及び第2板状体92の高さ寸法及び幅寸法は、適宜決定されるが、例えば、それぞれ30mm~40mm程度である。連結体93は、第1板状体91及び第2板状体92を連結する強度を有し、数mmの厚みを有する板状体であり、例えば、硬質の塩ビが使用できる。第1板状体91と第2板状体92間(符号h)、例えば、後側板の厚みより大であり、具体的には、概ね5mm~十数mmの間で、適宜決定される。
【0033】
第1突起体94及び第2突起体95は、例えば、軟質塩ビ製の可撓性であり、縦スリットへの差し込み方向と直交する方向、すなわち、上下方向に延びる長さと、略h/2の高さを有する、先尖りの毛状断面突起又は略矩形状断面突起が、差し込み方向に互いに離れて、複数個形成されたものである。また、第1突起体94は、根本から先端にかけて、接続部93側に傾斜状であり、第2突起体95は、同様に、根本から先端にかけて、接続部93側に傾斜状である。これにより、縦スリットへの差し込みの際、第1突起体94及び第2突起体95は傾斜方向に撓むため、差し込みの抵抗が小で円滑であり、一方、連結後は、図13に示すように、第1突起体94及び第2突起体95は撓難い方向に力が働き、引き抜き抵抗が大となり、外れ難い。本例では、第1突起体94がG1で3個、G2で3個、第2突起体95がG1で2個、G2で2個である。左右連結用パーツ9は、対象連結部材、例えば、後側板が、最小厚み1mm以上、最大厚み10mmであれば、連結可能である。
【0034】
左右連結用パーツ9は、図8に示すように、左側(一方)の第1グリップG1は、第1グリップG1の後グリップG12が、第2板状体921と第2突起体951であり、第1グリップG1の前グリップG11が、第1板状体911と第1突起体941である。また、右側(他方)の第2グリップG2の後グリップG22が、第2板状体922と第2突起体952であり、第2グリップG2の前グリップG21が、第1板状体912と第1突起体942である。
【0035】
ケース横連結体20において、左の薬剤収納ケース10aの後部の縦スリット1bには、前グリップG11が縦スリット1bに差し込まれ、後側板3bの前側面に強く当接し、後グリップG12が後側板3bの後側面に強く当接し、第1グリップG1が後側板3bを強く、挟み込む。この場合、左右連結用パーツ9のG12は、縦スリット1bに差し込まれてはいないものの、前方グリップG11が縦スリット1bに強く差し込まれており、容易には、抜けない。
【0036】
左の薬剤収納ケース10aの前部の縦スリット1a(11a、12a)において、第2縦スリット11aには、前方グリップG11が差し込まれ、前側板3aの前側面に強く当接し、第1縦スリット12aには、後グリップG12が差し込まれ、前側板3aの後側面に強く当接し、第1グリップG1が前側板3aを強く、挟み込む。
【0037】
ケース横連結体20において、右の薬剤収納ケース10bの左の薬剤収納ケース10aと対峙する側の後部の縦スリット1bには、第2グリップG2の前グリップG21が縦スリット1bに差し込まれ、後側板3bの前側面に強く当接し、後グリップG22が後側板3bの後側面に強く当接し、第2グリップG2が後側板3bを強く、挟み込む。この場合、左右連結用パーツ9のG22は、縦スリット1bに差し込まれてはいないものの、前方グリップG21が縦スリット1bに強く差し込まれており、容易には、抜けない。
【0038】
右の薬剤収納ケース10bの左の薬剤収納ケース10aと対峙する側の前部の縦スリット1a(11a、12a)において、第2縦スリット11aには、前方グリップG21が差し込まれ、前側板3aの前側面に強く当接し、第1縦スリット12aには、後グリップG22が差し込まれ、前側板3aの後側面に強く当接し、第2グリップG2が前側板3aを強く、挟み込む。右の薬剤収納ケース10bと左の薬剤収納ケース10aは、左右連結用パーツ9で強く連結されており、両者は手で外さない限り、外れない。
【0039】
ケース横連結体20において、上方開口は、蓋部材8により蓋されている。蓋部材8は、板状体であり、薬剤収納ケース10a、10bの上方開口を閉じ、係止溝レール4の横溝49にスライド自在となる寸法形状である。また、板状体の左右端部には、前後方向の所定のピッチで、2つ、左右で4つの切り欠き部13が形成されている。切り欠き部13の大きさは、部分的に形成されている係止溝レール4の大きさよりやや大である。また、切り欠き部13は、蓋部材1が薬剤収納ケース10に取り付けられた状態において、係止溝レール4に対応しない位置である。これにより、蓋部材1が薬剤収納ケース10に取り付けられた状態において、蓋部材1は、係止溝レール4の小横板43に当たり、外れることはなく、蓋部材1を外す際、部分的な係止溝レール4に対応する位置にくることで、蓋部材1を引き上げることで、係止を解除できる。
【0040】
ケース連結体30は、更に上下方向に積層、連結されている。すなわち、下方の薬剤収納ケース10の係止溝レール4と上方の薬剤収納ケース10の係止突起レール5が係止して積層連結され、蓋部材1は、上の薬剤収納ケース10の横溝49に嵌り、上方開口を閉じるように付設され、持ち運び可能である。ケース連結体20は、2つの薬剤収納ケース10、10の連結に限定されず、3つ以上の薬剤収納ケース10を上下方向に連結することができる。
【0041】
次に、ケース連結体30の組付け方法の一例について説明する。4つの薬剤収納ケース10、8つの左右連結用パーツ9及び2つの蓋部材1を準備する。例えば、一方の薬剤収納ケース10には、患者A用の1日の薬剤が朝、昼、夕、寝る前の4回分が収納されている。また、他方の薬剤収納ケース10には、患者B用の1日の薬剤が朝、昼、夕、寝る前の4回分が収納されている。また、患者C及びD用にも同様に準備する。この薬剤の患者毎のオペレーションは、薬局で行われる。次に、2つの薬剤収納ケース10、10を左右連結用パーツ9で横並びに連結し、更に上下方向に連結する。上下方向の連結は、上下近接位置となるよう上方の薬剤収納ケース10を前方位置で保持し、下方の薬剤収納ケース10の前側板3aの上面に、上方の薬剤収納ケース10の後側板3bの下端を載せ、上下位置を決定する。この状態から、上方の薬剤収納ケース10aを下方の薬剤収納ケース10に対して、後方側へスライド移動させる。この際、上方の薬剤収納ケース10の係止突起レール5と、下方の薬剤収納ケース10bの係止溝レール4は係止しながら、両者は連結される。上方の薬剤収納ケース10の後側板3bの下部が、下方の薬剤収納ケース10の後側板3bの上部に当接することで、両者の連結は完了する。
【0042】
次に、連結された4つの薬剤収納ケース10の上方の薬剤収納ケース10に蓋部材1を取り付ける。蓋部材1は、上方の薬剤収納ケース10の横溝49に、前方から後方に向けて、係止しつつスライドする。蓋部材1の後端が、上方の薬剤収納ケース10の後側板3aに当たることで、蓋部材1の取り付けは完了する。この際、蓋部材1の切り欠き部13は、係止溝レール4の対応する位置に来ておらず、また、蓋部材1の上面の左右縁部が、小横板43に当たっており、蓋部材1が外れることはない。そして、把持部12を把持して持ち上げれば、ケース連結体30を持ち上げることができる。
【0043】
ケース連結体30は、把持部12を把持し、手で運搬することができる。病院などの施設に運搬されたケース連結体30は、連結が解除される。ケース連結体30から蓋部材1を外す方法は、組付けの際の逆の方法で行えばよい。本例の場合、蓋部材1の切り欠き部13を、係止溝レール4と対応する位置までスライドさせ、蓋部材1の切り欠き部13と、係止溝レール4を一致させ、蓋部材1を引き上げればよい。2つの薬剤収納ケース10の取り外しは、組付けの逆の方法であり、上方の薬剤収納ケース10aを下方の薬剤収納ケース10bに対して、前方側へスライド移動させて、外せばよい。
【0044】
次に、薬剤収納ケース10を収納棚に収納及び引き出す。収納棚は、公知のものが使用できる。収納棚は、左右側板、天板、底板、後側板からなる前方開口の箱状体であり、薬剤収納ケース10を横並びで、例えば、4つ収納することができる。収納棚に、薬剤収納ケース10を収納するには、薬剤収納ケース10を前方から後方へ押し込むことで、収納できる。このように、順次、薬剤収納ケース10を収納棚に収納していく。収納棚、更に大きな収納能力を有するコンテナーなどに収納される。
【0045】
次に、収納棚から薬剤収納ケース10を引き出し、患者に与薬するには、先ず、薬剤収納ケース10の前側板3aの表示部を把持し、薬剤収納ケース10を前方に引き出す。この状態において、患者に与薬する薬剤を取り出す作業を行う。作業が終了すれば、薬剤収納ケース10の水平状態に保持して、後方に押し出し、収納棚への収納を完了する。
【0046】
本発明は、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形を採ることができる。例えば、左右連結用パーツ9の第1突起体及び第2突起体は、傾斜状のものに限定されず、第1板状体及び第2板状体から起立したものであってもよい。この場合、第1突起体の先端は、第2突起体の先端を超えて、延びていてもよい。すなわち、第1突起体及び第2突起体とは、両先端が平面視において、重なり合っていてもよい。この場合、第1突起体と第2突起体の高さは同じとする。第1突起体及び第2突起体の高さは、均一なものに限定されず、異なる高さのものが混在していてもよい。第1突起体の根本及び第2突起体の根本は、正面視において一致する必要はなく、異なっていてもよい。また、第1突起体及び第2突起体の延びる長さ方向は、上下方向に限定されず、斜め方向であってもよい。また、例えば、縦スリット1bにおいて、後側板3bの前面と縦スリット1bの前内壁面とは、必ずしも面一である必要はなく、後側板3bの前面が縦スリット1bの前内壁面より少し後方側にあってもよい。縦スリット1aについても同様である。縦スリットは、上記実施の形態のように、一対の縦スリット1aと1条の縦スリット1bの併用に限定されず、一対の縦スリットのみを2か所に設けてもよく、また、1条の縦スリットのみを2か所に設けてもよい。係止溝レールは、不連続の部分的なものに限定されず、連続した溝レールであってもよい。また、蓋部材1の切り欠き部13の設置は省略できる。また、蓋部材8の把持部は設置を省略できる。この場合、ケース連結体をゴムバンドなどで固定し、これにハンドルなどの把持部を設置し、運搬可能としてもよい。なお、小横板43の内側方向へ延びる長さ(突出長さ)は、縦溝48の溝幅寸法mより小又はそれより大であってもよい。小横板43の内側方向へ延びる長さ(突出長さ)は、縦溝48の溝幅寸法mより小であっても、持ち運びの際、上方の係止突起レール5は、下方の小横板43に引っかかっており、上下の連結体が外れることはない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、複数個の薬剤収納ケースを左右方向に連結できるため、薬局で個人別の容器に薬を入れた状態で複数個、運搬でき、そのまま病院や施設の与薬棚の引き出しとして使用できる。このため、薬局から病院への運搬効率が上がり、また、患者に与薬する施設や病院でのオペレーションは確認のみとなり、施設や病院での仕事の効率化が図れる。
【符号の説明】
【0048】
1、1a、1b 縦スリット
3e 底板
3c 右側板
3d 左側板
3a 前側板
3b 後側板
4 係止溝レール
5 係止突起レール
6 仕切り用突起
7 ロック片
8 蓋部材
10 薬剤収納ケース
11a 第2縦スリット
12a 第1縦スリット
41 外縦板
42 内縦板
43 小横板
48 縦溝
49 横溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13