(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】容器の中仕切り部材及びそれを用いた包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 25/04 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
B65D25/04 Z
(21)【出願番号】P 2019009803
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】飯酒盃 真
(72)【発明者】
【氏名】井口 陽介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕和
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-074618(JP,U)
【文献】実開昭49-017673(JP,U)
【文献】特開2004-091006(JP,A)
【文献】特開2004-231210(JP,A)
【文献】実公昭48-000792(JP,Y1)
【文献】特開昭59-175842(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103332358(CN,A)
【文献】西独国実用新案公開第01967160(DE,U)
【文献】独国特許出願公開第04017399(DE,A1)
【文献】中国実用新案第203638276(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103332370(CN,A)
【文献】実開昭60-106914(JP,U)
【文献】実開昭59-083724(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00-5/76
B65D 23/00-25/56
B65D 57/00-59/08
B65D 67/00-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
A21B 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収納され、その容器の空間を複数に区分けするための中仕切り部材であって、
展開状態のシート部材を折り込むことで底部の上面側に所定の仕切部を形成するものであり、
前記仕切部は、直交するように交差する第一仕切部と第二仕切部を有し、
前記第一仕切部は、前記底部に対して垂直に起立し、前記交差する部分
で分断されており、その分断された一対の前記第一仕切部同士が対向する面が、上方に行くほど接近する傾斜面となり、
一対の前記第一仕切部の前記傾斜面の上端同士が突き合わされて、その一対の前記第一仕切部の対向する部分に三角形状の空間が形成され、
前記第二仕切部
は、山型状に形成され
、前記三角形状の空間内に位置することを特徴とする中仕切り部材。
【請求項2】
前記第一仕切部の頂点の高さが、前記第二仕切部の頂点の高さよりも高い位置に配置することを特徴とする請求項1に記載の中仕切り部材。
【請求項3】
前記シート部材における前記第一仕切部と前記第二仕切部に対応する部位に開口部を設け、
その開口部の周縁形状が、前記第二仕切部に対応する領域に隣接する部位は平行な直線部とし、前記第一仕切部に対応する領域に隣接する部位は、両端から中央に向けて、前記開口部の中心に向けて傾斜する傾斜線部とすることを特徴とする請求項2に記載の中仕切り部材。
【請求項4】
前記シート部材の外周縁は、各辺の中間地点に外方に向けて突出する突出部を設け、
前記外周縁の形状が、一対の対辺間の距離が、中央部分より頂点側を短くすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の中仕切り部材。
【請求項5】
上方開口した容器内に、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の中仕切り部材を配置したことを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の中仕切り部材及びそれを用いた包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、個別包装された製品を、上方開放した容器内に複数個を並べて収納し、上方開放部位に蓋をして閉塞するようにした包装形態の包装箱がある。係る包装箱では内部に収納した複数の製品が、綺麗に並んだレイアウトの状態を維持できるように、容器内部の空間を複数の小さい空間に区分けする仕切部を配置し、その仕切部で区分けされた小さい空間に1個または少量の製品を収納するようにしたものがある。
【0003】
収納する製品の個数が増えるに伴い、係る仕切部を縦横に配置する構成にして、製品を収納する小さい空間をマトリクス状に配置する。そして、縦・横にそれぞれ延びるように配置した複数の仕切部を備える中仕切り部材の一つとして、例えば特許文献1に開示された「容器の中仕切り」がある。この特許文献1の第4図乃至第6図に示す実施例では、1枚のシートの適宜位置に正方形の切除部(18)を設けるとともに、その切除部の正方形の頂点或いは各辺の中点に繋がる折曲線(14,15)を形成し、当該折曲線を適宜折り曲げることで、複数の仕切部を所定位置に底部(16)から起立させるようにしている。このような中仕切り部材を用いると、1枚のシートから構成できるので、組立が容易で、保管・製造コストも抑えることができる。なお、図中の括弧内の数字は、特許文献1内で各部材要素に付された符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された中仕切り部材は、縦・横に延びるように配置される各仕切部は、いずれも底部から垂直に起立する平板状であり、強度が弱い。そのため、例えば他の仕切部と交差等せずにフリー状態の先端付近に、負荷がかかると撓むおそれがある。よって、例えば、製品が仕切部にあたり撓むと、仕切られた空間の形状が変形し製品の整列状況が崩れるおそれがある。また、製品が収納された包装箱を持ち歩きなどで立てた場合に、重力や移動に伴い包装体の揺れなどに伴い製品が仕切壁を付勢すると、上記の状況がより顕著に生じる。特に仕切られた空間の数が少なく、個々の空間が大きく仕切部が長くなった場合に、仕切部同士の交点から離れた位置の先端部分で顕著に生じる。
【0006】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の中仕切り部材は、(1)容器に収納され、その容器の空間を複数に区分けするための中仕切り部材であって、展開状態のシート部材を折り込むことで底部の上面側に所定の仕切部を形成するものであり、前記仕切部は、直交するように交差する第一仕切部と第二仕切部を有し、前記第一仕切部は、前記底部に対して垂直に起立し、前記交差する部分で分断されており、その分断された一対の前記第一仕切部同士が対向する面が、上方に行くほど接近する傾斜面となり、一対の前記第一仕切部の前記傾斜面の上端同士が突き合わされて、その一対の前記第一仕切部の対向する部分に三角形状の空間が形成され、前記第二仕切部は、山型状に形成され、前記三角形状の空間内に位置するようにした。
【0008】
このようにすると、第二仕切部が山型状で裾野が広がり剛性が増す。よって、仮に第二仕切部に対して負荷がかっても撓むおそれが可及的に抑制される。また、第一仕切部と第二仕切部との交差部分において、第二仕切部は、第一仕切部の対向する傾斜面の先端を突き合わせるように近づけることで、所定の角度で開いた山型形状に形成することができる。
【0009】
(2)前記第一仕切部の頂点の高さが、前記第二仕切部の頂点の高さよりも高い位置に配置するとよい。このようにすると、第二仕切部は、第一仕切部の対向する傾斜面の先端を突き合わせることで、所定の角度で開いた山型形状に形成することができる。また、第一仕切部の対向する傾斜面の先端が突き合わされることで、第一仕切部と第二仕切部の交差する部分に生じる隙間を無くすことができるし、直線上に位置する傾斜面の先端同士を突き合わせるので安定する。
【0010】
(3)前記シート部材における前記第一仕切部と前記第二仕切部に対応する部位に開口部を設け、その開口部の周縁形状が、前記第二仕切部に対応する領域に隣接する部位は平行な直線部とし、前記第一仕切部に対応する領域に隣接する部位は、両端から中央に向けて、前記開口部の中心に向けて傾斜する傾斜線部とするとよい。このようにすると、所望の形状・形態の第一仕切部と第二仕切部を、展開状態のシート部材に対する折込み処理で綺麗に形成することができる。
【0011】
(4)前記シート部材の外周縁は、各辺の中間地点に外方に向けて突出する突出部を設け、前記外周縁の形状が、一対の対辺間の距離が、中央部分より頂点側を短くするとよい。このようにすると、容器に対してセットする際に、シート部材の頂点が容器に干渉するおそれを可及的に抑制し、セット処理を容易に行いつつ突出部を用いて容器の所望の位置にセットすることができる。
【0012】
(5)本発明に係る包装箱は、上方開口した容器内に、(1)乃至(4)のいずれか1に記載の中仕切り部材を配置した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、仕切部の強度を増加することができ、負荷がかかっても撓みにくくなる。これにより、製品を収納する小さい空間(容器全体に比べて)の形状を所望の状態に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る包装箱の好適な一実施形態を製造する包装システムの一例を示す包装は混み組み立て工程図である。
【
図2】本発明に係る中仕切り部材の好適な一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る包装箱の好適な一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0016】
図1は、本発明に係る包装箱の好適な一実施形態を製造する包装システムの一例を示し、
図2は本発明に係る中仕切り部材の好適な一実施形態を示し、
図3は本発明に係る包装箱の好適な一実施形態の一部を示している。この包装システム1を説明しつつ、包装箱10,中仕切り部材11の構成を説明する。
【0017】
本実施形態の包装箱10は、
図1,
図3等に示すように、上方開口した底浅で矩形状の容器12と、その容器12内に収納した中仕切り部材11を備える。この容器12の上方から、例えば下方開口した矩形箱状の蓋体(図示省略)を被せることで、容器の上方開口を塞ぎ包装箱が形成される。
【0018】
中仕切り部材11は、十字状に配置される第一仕切部13及び第二仕切部14と、それら第一仕切部13と第二仕切部14で区画される4つの領域R内にそれぞれ収納される製品(図示省略する)を乗せる底部15を備える。そして、本形態では、第一仕切部13,第二仕切部14並びに底部15は、後述するように本形態の中仕切り部材11は、一枚のシート部材を適宜折り曲げて第一仕切部13,第二仕切部14を立ち上げて形成し、形成した中仕切り部材11を容器12内にセットする。具体的には以下の通りである。
【0019】
図1に示すように、包装システム1は、上流側に容器用ホッパー2を備え、その容器用ホッパー2内に、展開状態の第一シート部材3を積層した状態で収納する。この容器用ホッパー2内に収納された複数の第一シート部材3は、図示省略する取り出しロボット等によりその先頭のものから順に一枚ずつ取り出され、第一搬送ライン4上にセットされる。第一搬送ライン4は、例えばフィンガーコンベア等の搬送装置を備え、1枚ずつ供給された第一シート部材3を、水平方向に所定ピッチ間隔で搬送する。
【0020】
第一シート部材3は、適宜位置を折り込んで包装箱を構成する容器12を構成するもので、本形態で、矩形状の底部パネル3aの周囲の各辺に、側壁を構成するための適宜のフラップ3bを隣接して配置し、底部パネル3aとフラップ3bの境界並びに隣接する各フラップ3b同士の境界に折り線を形成している。 第一搬送ライン4では、第一シート部材3を縦長の姿勢で搬送する。そして、第一搬送ライン4の搬送方向の左右両側には、所定のフラップ3bを折り曲げるフラップ折り曲げ装置(図示省略)を配置しており、第一搬送ライン4上を搬送される第一シート部材3の、搬送方向の左右両側に位置するフラップ3bを立ち上げるなど所定の折り曲げ処理を行い、最終的な包装箱を構成する容器12の長辺側の第一側壁12aを形成する。
【0021】
第一搬送ライン4の下流側先端側には、その第一搬送ライン4から搬出される第一側壁12aを形成した第一シート部材3を下降移動する第二搬送ライン5を備える。この第二搬送ライン5は、第一シート部材3を下降移動する際に、第一搬送ライン4で未処理のフラップ3bを立ち上げるなど所定の折り曲げ処理を行い、最終的な包装箱を構成する容器12の短辺側の第二側壁12bを形成する。これにより、第二搬送ライン5を通過した際には、上方開口した底浅で矩形状の容器12が形成される。容器12の平面形状は、第一シート部材3の底部パネル3aに対応して長方形状となる。
【0022】
第二搬送ライン5の下端の搬出部位近傍には、第三搬送ライン6を配置する。第三搬送ライン6は、上流側の搬送ラインで製造された容器12を、上方開口した姿勢のまま水平方向に搬送する搬送コンベア装置を備える。この第三搬送ライン6の側方には、包装箱10を構成する中仕切り部材11を形成するための第四搬送ライン7を配置する。
【0023】
第四搬送ライン7は、その上流側に中仕切り部材用ホッパー8を備える。この中仕切り部材用ホッパー8内に、中仕切り部材11を構成するための展開状態の第二シート部材(ブランク)9を積層した状態で収納する。この複数の第二シート部材9は、図示省略する取り出しロボット等によりその先頭のものから順に一枚ずつ取り出され、第四搬送ライン7上にセットされる。第四搬送ライン7は、例えばフィンガーコンベア等の搬送装置を備え、1枚ずつ供給された第二シート部材9を、水平方向に所定ピッチ間隔で搬送する。
【0024】
第二シート部材9は、
図2(a)に示すように、外形状が略矩形状のシート本体20の中央に開口部21を備える。開口部21の周縁形状は、仮想正方形の4つの頂点と、その仮想正方形の一方の対辺の各中点位置から当該仮想正方形の中心に向けて所定距離移動させた2つの仮想点を頂点とする六角形状としている。つまり、開口部21の周縁形状は、例えば等脚台形の上辺同士をつなげた形状のようになり、正方形の一方の対辺は平行な直線のままで、他方の対辺は、頂点から中点に近づくにつれて対辺の間隔が徐々に接近する、くびれた形状となる。これにより、開口部21の周縁は、一対の平行な直線辺部21aと、その直線辺部21aの隣接する両端同士を繋ぐ傾斜辺部21bを有する。
【0025】
シート本体20の外形は、容器12の外形状に対応して一回り小さい概略長方形とし、開口部21の直線辺部21aは、シート本体20の概略長方形の一対の長辺と平行になるように配置する。これにともない、傾斜辺部21bは、シート本体20の概略長方形の一対の短辺に傾斜状態で対向するように配置する。
【0026】
シート本体20には、その外周縁と開口部21の所定位置同士を結ぶように折り癖線を有する。具体的には、開口部21の傾斜辺部21bの両端から傾斜辺部21bに対向するシート本体20の短辺側に向けて延びるように一対の第一谷折り線21cを設け、傾斜辺部21bの中央の奥まった先端位置からシート本体20の短辺側に向けて延びるように第一山折り線21dを設ける。一対の第一谷折り線21cは、隣接する開口部21の直線辺部21aと同一直線上に配置され、一対の第一谷折り線21cと第一山折り線21dは平行に配置される。
【0027】
また、開口部21の直線辺部21aの両端から直線辺部21aに対向するシート本体20の長辺側に向けて延びるように一対の第二谷折り線21eを設け、直線辺部21aの中点位置からシート本体20の長辺側に向けて延びるように第二山折り線21fを設ける。一対の第二谷折り線21eと第二山折り線21fは相互に平行で直線辺部21aに対しては直交するように配置される。
【0028】
さらにシート本体20の外周縁には、第一谷折り線21cとの接続部分に隣接し第一山折り線21dと反対側の領域に突出部21gを備える。同様に、シート本体20の外周縁には、第二谷折り線21eとの接続部分に隣接し第二山折り線21fと反対側の領域に突出部21hを備える。
【0029】
さらにまたシート本体20の突出部21g,21hから各頂点に向けて、シート本体20の対辺同士の距離が徐々に短くなるように緩やかな傾斜辺としている。すなわち、シート本体20の外形は、綺麗な長方形ではなく、緩やかな先端先細り状としている。一方、シート本体20の外周縁のうち、対となる第一谷折り線21c間や、第二谷折り線21eの間は、直線・平行にしている。これにより、外周縁の形状が、一対の対辺間の距離が、突出部21g,21hを設けた中央部分より、頂点側が短くなる。
【0030】
第四搬送ライン7に沿って適宜位置に配置した折り曲げ機構が、上述した形態からなる第二シート部材9に対して、その搬送中に谷折り線や山折り線の部分が折り曲げ処理を行い、中仕切り部材11を形成する。
【0031】
すなわち、上述したように中仕切り部材用ホッパー8から1枚ずつ取り出された第二シート部材9は、長辺側が搬送方向に沿うように縦長の状態で第四搬送ライン7に沿って搬送される。これにより、第二シート部材9は、第一谷折り線21c,第一山折り線21dが、搬送方向と平行な状態で搬送される。そして、第四搬送ライン7では、まずこの第一谷折り線21c,第一山折り線21dの部分を折り曲げ処理をし、一対の第一谷折り線21cで囲まれる領域を立ち上げる(工程A)。これにより、
図2(b)に示すように、搬送方向に沿った第一仕切部13を形成する。この工程Aでは、例えば第二シート部材9の下方から第一山折り線21dの部分に付勢板材を接触させて上方に押し上げると共に、第二シート部材9の上方から第一谷折り線21cに抑えガイドを接触させることで各折り線の部分で折り曲げて、綺麗に起立した第一仕切部13を形成する。第二シート部材9に設けた開口部21により、第一仕切部13は、第二シート部材9の中央部分で分断され、傾斜辺部21bにより上方に行くに連れて接近する傾斜面13aが形成される。
【0032】
さらに本形態では、工程Aでは、一対の第一谷折り線21cが接近するように折り込み処理をする。これにより、第一仕切部13は、底部15に対してほぼ垂直に切り立つように立ち上がった姿勢となる。
【0033】
このようにして第一仕切部13が形成された第二シート部材9は、第四搬送ライン7上をさらに搬送され、所定位置に第二谷折り線21e,第二山折り線21fの部分を折り曲げ処理をし、一対の第二谷折り線21eで囲まれる領域を立ち上げる(工程B)。これにより、
図2(c)に示すように、搬送方向に対して直交する方向に延びる第二仕切部14を形成する。この工程Bでは、例えば第二シート部材9の下方から第二山折り線21fの部分に付勢板材を接触させて上方に押し上げると共に、第二シート部材9の上方から第二谷折り線21eに抑えガイドを接触させることで各折り線の部分で折り曲げて、綺麗に起立した第二仕切部14を形成する。また、この第二仕切部14の形成に伴い、第二山折り線21fの部分が上昇し一対の第二谷折り線21eの間隔が近づくので、先に形成した第一仕切部13の対向する傾斜面13a間の距離も接近し、最終的には傾斜面13aの上端同士が突き合わされ、分断された第一仕切部13の対向する部分には略三角形状の空間が形成される。
【0034】
そして、工程Bにより立ち上がった第二仕切部14は、傾斜面13aの上端同士が突き合わされることで所定の角度に開いた三角形状・山型に立ち上がった形態となる。つまり、この第二仕切部14の三角形に立ち上がった傾斜角度は、第一仕切部13の傾斜面13aの長さにより自動的に決まる。
【0035】
さらに本実施形態では、第二仕切部14の頂部(第二山折り線21f)の高さより、第一仕切部13の頂部(第一山折り線21d,傾斜面13aの上端)の高さを高くし、一対の第一仕切部13の対向する空間内に第二仕切部14が収まり、一対の第一仕切部13の傾斜面13aの上端同士が第二仕切部14の上部空間で近接するようにしている。このようにすると、開口部21によって分離された一対の第一仕切部13の隣接する先端同士(傾斜面13aの上端同士)を近接させると共に、開口部21によって分離された一対の第二仕切部14の隣接する先端同士を近接させることができ、第一仕切部13と第二仕切部14の交差する部分での隙間が生じず、一体化を強め、剛性を増すことができる。これに対し、例えば一対の第一仕切部13,第二仕切部14の高さを等しくして隣接する4つの頂点を合わせようとすると紙厚があるので中心に隙間があいてしまうので、本実施形態のように高さを異ならせる構成を採るのがより好ましい。なお、隙間が空いたり、剛性が低下したりしても実質的な影響が生じない場合には、高さを等しくする構成を採っても良い。
【0036】
さらに本形態では、第一谷折り線21c,第二谷折り線21eは、その多くの区間をミシン目に形成する。これにより折り曲げやすくしている。
【0037】
このようにして工程Bを終了すると、中仕切り部材11が形成される。そして、第四搬送ライン7の下流端側に設けた図示省略する移し替え装置により、第四搬送ライン7の搬出箇所に位置する中仕切り部材11を例えば吸着保持して取り出し、水平平面内で90度回転させた後、第三搬送ライン6上の容器12内にセットする。また、第四搬送ライン7の下方所定位置には、糊付け装置を設けており、工程Bの実行により形成された中仕切り部材11の下面の所定位置に糊を塗布する。このように糊付け処理が行われると、容器12内にセットされた中仕切り部材11は、容器12に対して接着一体化する。
【0038】
中仕切り部材11で仕切られる各空間内に収納する製品は、例えばピロー包装品のように個別包装したものとすると良い。ピロー包装品を収納する場合、仕切られた一つの空間に複数個を収納するようにし、特にピロー包装品が細長なものの場合、個々のピロー包装品の長手方向を平行に並べて複数個(例えば3個或いはそれ以上)をサシミ状に収納する形態をとると、各ピロー包装品が容器12内に綺麗に配列された状態で収納できる。
【0039】
ピロー包装品を仕切られた各空間に詰めるときに、ロボットで行うことがある。係る場合、ピロー包装品のトップシール部が耳部となって突出した状態のまま容器に収納しようとすると、耳部が容器12の側壁や各仕切部に接触・干渉してスムーズに供給できず、係る干渉等生じないような大きな収納空間とすると大きな箱が必要となり無駄となる。そこで、ロボットで製品(ピロー包装品)を保持する際に、耳部を折り曲げた状態で当該ピロー包装品をロボットで掴み、容器12内の所定位置に供給することがある。係る供給の際、ピロー包装品の長さ方向を第二仕切部14と平行になる向きにし、第二仕切部14と平行な方向から供給するように構成すると、第一仕切部13はある程度倒れて逃げてくれた方が入れやすい。本形態では、第一仕切部13は、平板状で、底部に対し垂直方向に起立しているため、供給しやすくて良い。
【0040】
また、そのようにピロー包装品を長さ方向を第二仕切部14と平行になる向きで箱詰めするので、倒れやすい第一仕切部13が横向きになる方向で箱を持ち歩いても、耳部の反発等で荷崩れを起こしにくくなる。一方、第二仕切部14が横向きになる方向に箱を持ち歩くと、剛性のある第二仕切部14が支えるので荷崩れは起こりにくい。このように何れの向きで保持したとしても、荷崩れ等起こしにくい構造となるので好ましい。
【0041】
また、本実施形態では、容器12の第一側壁12a,第二側壁12bの内周面の下方所定位置に切り込み部が設けられており、中仕切り部材11に形成した突出部21g,21hがその切り込み部内に入り込み、位置決めされるとともに離脱しにくくしている。
【0042】
さらに、本実施形態では、シート本体20の外形状を、各辺の中央部よりも頂点側を短くしたので、中仕切り部材11の隣接する頂点間の距離は、容器12の内周面における隣接する頂点間の距離より短くなる。よって、中仕切り部材11を容器12にセットした状態では、中仕切り部材11の4つの各頂点は、容器12の内周面の各頂点よりも少し中央側に位置し離れた位置関係になるので、中仕切り部材11を容器12にセットする際に、中仕切り部材11の頂点が容器12の側壁に干渉することなくスムーズにセット作業が行える。そして、容器12と中仕切り部材11の相対位置関係は、中仕切り部材11の各辺の中央付近の対辺間の長さを、容器12の内周面の対辺の長さにあわせるとともに、突出部を切り込み部に挿入することで所望の位置にすることができる。
【0043】
このように中仕切り部材11がセットされた容器12は、第三搬送ライン6をさらに下流側に進み、適宜の位置で製品が供給され、蓋体が装着されて包装体が製造される。また、本形態では、第一仕切部13と第二仕切部14を十字状に配置し、容器12内に4つの収納用の空間を区分けしている。そして、その空間内にそれぞれ複数の製品を供給するようにした。製品の大きさにより、各空間内に収納する製品の数や供給レイアウトは適宜変更すると良く、1個でも良い。
【0044】
また、本実施形態では、第二シート部材の中央に1つの開口部を設け、第一仕切部13と第二仕切部14を十字状に配置するレイアウトをとったが、例えば特許文献1に示すように開口部を複数設け、各開口部に対して折り線を適宜設けることで、4つ以上の収納空間を設けるようにしてもよい。
【0045】
また上述した実施形態では、上方開口した容器12の上方を箱形の蓋体を被せて閉塞することを説明したが、蓋を設ける場合の蓋の形状・構造は任意であり、必ずしも別体で形成するものに限ることはなく、例えば容器に一体に形成したものでも良いし、蓋を設けない構成としても良い。
【0046】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0047】
9 :第二シート部材
10 :包装箱
11 :中仕切り部材
12 :容器
13 :第一仕切部
13a :傾斜面
14 :第二仕切部
15 :底部
20 :シート本体
21 :開口部
21a :直線辺部
21b :傾斜辺部
21c :第一谷折り線
21d :第一山折り線
21e :第二谷折り線
21f :第二山折り線
21g :突出部
21h :突出部