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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】コインホッパー、コイン処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20230419BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
G07D1/00 Z GBN
A63F5/04 605D
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020148851
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043535
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安部 寛
(72)【発明者】
【氏名】山宮 毅人
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-241928(JP,A)
【文献】特開2001-126097(JP,A)
【文献】特開平10-083468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインを格納する樹脂製の格納容器と、
樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、
前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、
前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、
前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、
前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、
前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、
前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、
前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、
前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、
前記底板には、内外を貫通する第1の貫通孔が備わり、
前記接触部は、前記回転体軸の先端であり、
前記回転体軸は、前記第1の貫通孔を通り、前記底板から先端が突出ていることを特徴とするコインホッパー。
【請求項2】
前記回転体軸の先端は平坦であり、前記回転体軸の先端は前記回転体軸の軸方向に垂直であることを特徴とする請求項1に記載のコインホッパー。
【請求項3】
前記底板には、前記回転体軸の軸受が配置され、
前記軸受の中央部には第2の貫通孔が設けられており、
前記回転体軸は先端側が縮径しており、
前記回転体軸の縮径した先端側が前記第2の貫通孔と前記第1の貫通孔を通り前記底板から突出しており、
前記回転体軸を支持する前記支持部と前記軸受の間に、前記駆動機構の最終段の歯車が前記回転体軸に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコインホッパー。
【請求項4】
前記モーターは、前記ケースの前記底板に対して対向する側から、一部が突出して配置され、
前記モーターの回転軸であるモーター軸は、前記回転体軸と並行に配置され、前記モーター軸と前記回転体軸とは前記駆動機構で接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のコインホッパー。
【請求項5】
コインを格納する樹脂製の格納容器と、
樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、
前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、
前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、
前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、
前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、
前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、
前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、
前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、
前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、
前記モーターは、前記ケースの前記底板に対して対向する側から、一部が突出して配置され、
前記モーターの回転軸であるモーター軸は、前記回転体軸と並行に配置され、前記モーター軸と前記回転体軸とは前記駆動機構で接続されていることを特徴とするコインホッパー。
【請求項6】
コインを格納する樹脂製の格納容器と、
樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、
前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、
前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、
前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、
前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、
前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、
前記回転体軸の側面に圧接された接触子を有し、
前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、
前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、
前記接触子が前記接触部に接続されており、
前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通することを特徴とするコインホッパー。
【請求項7】
前記底板は脚を備え、
前記脚は、前記底板から突出して配置され、
前記接触部は、前記底板から突出した位置に配置されており、
前記脚の前記底板からの突出量が前記接触部の前記底板からの突出量よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のコインホッパー。
【請求項8】
コインを格納する樹脂製の格納容器と、
樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、
前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、
前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、
前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、
前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、
前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、
前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、
前記底板は脚を備え、
前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、
前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、
前記脚は、前記底板から突出して配置され、
前記接触部は、前記底板から突出した位置に配置されており、
前記脚の前記底板からの突出量が前記接触部の前記底板からの突出量よりも大きいことを特徴とするコインホッパー。
【請求項9】
前記接触部は、前記回転体の回転軸の延長線上に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載のコインホッパー。
【請求項10】
前記コインホッパーを載置台に載置するときに前記コインホッパーを載置位置に案内する案内溝が、前記ケースの長手方向に沿ったそれぞれの側壁に配置されており、上面視でそれぞれの前記側壁の前記案内溝の間に前記接触部が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載のコインホッパー。
【請求項11】
コインを格納する樹脂製の格納容器と、
樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、
前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、
前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、
前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、
前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、
前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、
前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、
前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、
前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、
前記コインホッパーを載置台に載置するときに前記コインホッパーを載置位置に案内する案内溝が、前記ケースの長手方向に沿ったそれぞれの側壁に配置されており、上面視でそれぞれの前記側壁の前記案内溝の間に前記接触部が配置されていることを特徴とするコインホッパー。
【請求項12】
前記ケースの長手方向の一方側の端部に、外部機器に接続するコネクタを有し、他方側の端部に排出される前記コインを検出するセンサーが配置され、
前記底板は、外側に向けて開口する凹部を有し、前記凹部は前記接触部を避けて配置され、前記凹部に前記センサーの信号を伝えるケーブルを嵌め込み固定することを特徴とする請求項1から請求項11の何れか1項に記載のコインホッパー。
【請求項13】
コインを格納する樹脂製の格納容器と、
樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、
前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、
前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、
前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、
前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、
前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、
前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、
前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、
前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、
前記ケースの長手方向の一方側の端部に、外部機器に接続するコネクタを有し、他方側の端部に排出される前記コインを検出するセンサーが配置され、
前記底板は、外側に向けて開口する凹部を有し、前記凹部は前記接触部を避けて配置され、前記凹部に前記センサーの信号を伝えるケーブルを嵌め込み固定することを特徴とするコインホッパー。
【請求項14】
前記回転体は、前記回転体軸に導電性のネジで固定されていることを特徴とする請求項1から請求項13の何れか1項に記載のコインホッパー。
【請求項15】
コインを格納する樹脂製の格納容器と、
樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、
前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、
前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、
前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、
前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、
前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、
前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、
前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、
前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、
前記回転体は、前記回転体軸に導電性のネジで固定されていることを特徴とするコインホッパー。
【請求項16】
前記回転体は導電性であることを特徴とする請求項1から請求項15の何れか1項に記載のコインホッパー。
【請求項17】
請求項1から請求項16の何れか1項に記載のコインホッパーと、
複数台の前記コインホッパーを配置する載置台と、
配置された各々の前記コインホッパーから排出される前記コインを受けて集めるコイン受部と、
を有するコイン処理装置において、
前記載置台には、前記コインホッパーの前記接触部に接触させるアース端子が配置され、
前記載置台に前記コインホッパーを載置することで、前記接触部に前記アース端子が接触し、前記格納容器内の帯電した前記コインの静電気を前記アース端子から逃がすことを特徴とするコイン処理装置。
【請求項18】
コインを格納する樹脂製の格納容器と、
樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、
前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、
前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、
前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、
前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、
前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、
前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、
前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、
前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーと、
複数台の前記コインホッパーを配置する載置台と、
配置された各々の前記コインホッパーから排出される前記コインを受けて集めるコイン受部と、
を有するコイン処理装置において、
前記載置台には、前記コインホッパーの前記接触部に接触させるアース端子が配置され、
前記載置台に前記コインホッパーを載置することで、前記接触部に前記アース端子が接触し、前記格納容器内の帯電した前記コインの静電気を前記アース端子から逃がすことを特徴とするコイン処理装置。
【請求項19】
前記アース端子は、前記載置台に載置されるそれぞれの前記コインホッパーの前記接触部に対応する位置に配置され、
それぞれの前記アース端子は、板状の基板に一体に設けられていることを特徴とする請求項18に記載のコイン処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に格納されたコインを一枚ずつ送り出すコインホッパー、及び該コインホッパーを搭載したコイン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコインが格納されているコイン容器から、一枚ずつコインを排出するコインホッパーが知られている。コインホッパーは、コインを一枚ずつ排出し、排出するコインの枚数をカウントすることができる。自動釣銭機などのコイン処理装置では、金種毎にコインホッパーが備えられている。例えば、POSシステムなどの上位装置からコイン処理装置に、釣銭データが出力される。釣銭データには、金種毎の排出枚数のデータが含まれる。コイン処理装置は、釣銭データを入力すると、釣銭データに含まれる金種に対応するコインホッパーを駆動し、指定された枚数のコインを排出する。排出されたコインは、受取口に集積され、利用者に渡される。
【0003】
コインホッパーは、コインを格納する容器、コインが一枚ずつ入る開口を備えた回転ディスクを備えている。例えば特開2013-250777号公報には、容器内のコインを一枚ずつ排出するコインホッパーが記載されている。コインホッパーは、容器内のコインが帯電すると、コインの排出時に不具合が生じる場合がある。そのため、コインホッパーには、容器の内側から筐体の外部に導電路が設けられている。コインホッパーは、導電路を介してコインに帯電した静電気を逃がす。
【0004】
また、コインホッパーを搭載したコイン処理装置が知られている。例えば特開2017-151818号公報に記載のコイン処理装置は、投入口から投入された複数枚のコインを一枚ずつ分離して送り出す工程、次に、1枚ずつ搬送されるコインの金種を識別する工程、次に、識別されたコインを金種毎に格納する工程を備える。
【0005】
投入口から投入された複数枚のコインを1枚ずつ分離して送り出す工程では、傾斜して配置されたベース及びその上を回転するディスクを用いる。ディスクの下方には、コインを収納する収納容器が配置されている。例えば、ディスクの下方の大凡半分程度を覆うように、収納容器が配置されている。投入された複数枚のコインは、収納容器に一時的に収納される。ディスクを回転させ、収納容器のコインを、一枚ずつ拾い上げる。ディスクには、コインが1枚入る凹部が設けられている。回転するディスクの凹部が収納容器内を通ることで、収納容器内に堆積しているコインが、凹部に1枚だけ入り、搬送される。ディスクの上方には、次工程にコインを受け渡す機構が備えられている。コインは、ディスクの上方に搬送され、次工程に受け渡される。次工程では、受け渡されたコインの金種が識別される。コインのサイズや材質などの特性を検出する複数のセンサーによって、コインは金種が識別される。
【0006】
コイン処理装置では、コインは、コインの識別後に、さらに次工程に受け渡たされる。次工程では、コインはベルトによって搬送される。ベルトによるコインの搬送路の途中に、スライドが金種毎に配置されている。それぞれのスライドは、金種毎に配置されたコインホッパーに接続されている。金種を識別されたコインは、搬送中に対応する金種のスライドに落とされる。スライドに落とされたコインは、金種毎にコインホッパーの貯留容器まで滑り落ち、そこに格納される。
【0007】
コインホッパーは、コインを1枚ずつ排出することができる。例えば、自動釣銭機は、釣銭の額に応じて、排出するコインの金種および枚数を演算し、各金種に対応するコインホッパーを制御して、釣銭の額に応じたコインを排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-250777号公報
【文献】特開2017-151818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
コインホッパーのコインを格納する格納容器には、複数枚のコインが格納されている。格納容器に格納されているコインは、ディスクの回転に伴い、撹拌される。コイン同士、コインと格納容器、コインとディスク、コインとベースなどの接触によって静電気が生じる。帯電したコインを排出する場合、コインとセンサーやコネクタなどの電子部品との間で放電が生じる。こ結果、帯電したコインが原因となり、電子部品の故障、センサーの誤検出などの不具合が生じる。また、コインホッパーを搭載したコイン処理装置では、排出されるコインの不足、過払いなどの不具合を引き起こす。
【0010】
また、格納容器にアース用の電極を配置する場合、格納容器内のコインの数が少ないときには、電極にコインが接触しない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コインホッパーのコイン容器内の静電気を好適に除電し、センサーの誤検出、故障などの不具合を防止し、コインを好適に排出できるコインホッパー及びコイン処理装置を提供する。
【0012】
本発明のコインホッパーは、コインを格納する樹脂製の格納容器と、樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、前記ケースの前記底板には、内外を貫通する第1の貫通孔が備わり、前記接触部は、前記回転体軸の先端であり、前記回転体軸は、前記第1の貫通孔を通り、前記底板から先端が突出ていることを特徴とする。
また、本発明のコインホッパは、コインを格納する樹脂製の格納容器と、樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、前記モーターは、前記ケースの前記底板に対して対向する側から、一部が突出して配置され、前記モーターの回転軸であるモーター軸は、前記回転体軸と並行に配置され、前記モーター軸と前記回転体軸とは前記駆動機構で接続されていることを特徴とすることができる。
また、本発明のコインホッパは、コインを格納する樹脂製の格納容器と、樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、前記回転体軸の側面に圧接された接触子を有し、前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、前記接触子が前記接触部に接続されており、前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通することを特徴とすることができる。
また、本発明のコインホッパは、コインを格納する樹脂製の格納容器と、樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、前記底板は脚を備え、前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、前記脚は、前記底板から突出して配置され、前記接触部は、前記底板から突出した位置に配置されており、前記脚の前記底板からの突出量が前記接触部の前記底板からの突出量よりも大きいことを特徴とすることができる。
また、本発明のコインホッパは、コインを格納する樹脂製の格納容器と、樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、前記コインホッパーを載置台に載置するときに前記コインホッパーを載置位置に案内する案内溝が、前記ケースの長手方向に沿ったそれぞれの側壁に配置されており、上面視でそれぞれの前記側壁の前記案内溝の間に前記接触部が配置されていることを特徴とすることができる。
また、本発明のコインホッパは、コインを格納する樹脂製の格納容器と、樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、前記ケースの長手方向の一方側の端部に、外部機器に接続するコネクタを有し、他方側の端部に排出される前記コインを検出するセンサーが配置され、前記底板は、外側に向けて開口する凹部を有し、前記凹部は前記接触部を避けて配置され、前記凹部に前記センサーの信号を伝えるケーブルを嵌め込み固定することを特徴とするとすることができる。
また、本発明のコインホッパは、コインを格納する樹脂製の格納容器と、樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーにおいて、前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、前記回転体は、前記回転体軸に導電性のネジで固定されていることを特徴とするとすることができる。
【0013】
本発明のコイン処理装置は、上述のコインホッパーと、複数台の前記コインホッパーを配置する載置台と、配置された各々の前記コインホッパーから排出される前記コインを受けて集めるコイン受部と、を有するコイン処理装置において、前記載置台には、前記コインホッパーの前記接触部に接触させるアース端子が配置され、前記載置台に前記コインホッパーを載置することで、前記接触部に前記アース端子が接触し、前記格納容器内の帯電した前記コインの静電気を前記アース端子から逃がすことを特徴とする。
また、本発明のコイン処理装置は、コインを格納する樹脂製の格納容器と、樹脂製の平坦なベースの上方に配置され、前記コインを1枚ずつ分離する回転体と、前記回転体に固定され、前記回転体の回転軸である導電性の回転体軸と、前記回転体軸を駆動するモーターと前記回転体軸を所定の歯車比で接続する駆動機構と、前記回転体軸を回転自在に支持する支持部と、前記駆動機構と前記支持部を内部に収納するケースと、を有し、前記ケースは、前記ベースに対して対向する側に底板を備え、前記ケースの外部に配置された端子に接触する接触部は前記ケースの底板から外部に露出するように配置され、前記接触部と前記回転体軸とは導通しており、前記接触部は前記回転体軸を経由して前記格納容器に格納されている前記コインに導通し、前記回転体を回転させ、前記格納容器に格納された前記コインを1枚ずつ排出するコインホッパーと、複数台の前記コインホッパーを配置する載置台と、配置された各々の前記コインホッパーから排出される前記コインを受けて集めるコイン受部と、を有するコイン処理装置において、前記載置台には、前記コインホッパーの前記接触部に接触させるアース端子が配置され、前記載置台に前記コインホッパーを載置することで、前記接触部に前記アース端子が接触し、前記格納容器内の帯電した前記コインの静電気を前記アース端子から逃がすことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、格納容器内のコインが帯電しても、好適に除電でき、コインホッパーの不具合や故障を防止できるコインホッパーおよびコイン処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、コイン処理装置の外観の斜視図である。
図2図2は、コイン処理装置の構成を説明する図である。
図3図3は、コイン処理装置の主要部の斜視図である。
図4図4は、コイン処理装置に搭載されているコインホッパーの配置例を説明する図である。
図5図5は、コインホッパーの斜視図である。
図6図6は、コインホッパーの側面図である。
図7図7は、コインホッパーの主要部の斜視図である。
図8図8は、コインホッパーの裏側からの斜視図である。
図9図9は、コインホッパーの断面図である。
図10図10は、コインホッパーのアース方法の第1例である。
図11図11は、コインホッパーのアース方法の第2例である。
図12図12は、コインホッパーのアース方法の第3例である。
図13図13は、コインホッパーを載置台にセットする場合の例を説明する図である。
図14図14は、コインホッパーのアース端子との接触部分の別の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、コイン処理装置の外観の斜視図である。コイン処理装置1は、投入されたコインを一枚ずつ分離し、金種を識別し、金種毎にコインホッパーに格納し、所望の金種と枚数のコインを排出する。コイン処理装置1は、例えば、自動釣銭機、自動両替機等である。コイン処理装置1は、略立方体状の外装ケースに覆われている。コイン処理装置1には、コインを投入する投入口2、払出されるコインを受けるトレー3が備えられている。
【0018】
コインを投入する投入口2の開口が外装ケースの上面の手前側に配置されている。払出されるコインを受けるトレー3が、外装ケースのフロント面に配置されている。コイン処理装置1の内側と外側とを貫通する出金口4が、トレー3に対応する位置に設けられている。出金口4を介して払出されるコインを、トレー3が受け止める。投入口2の隣に表示装置5が配置されている。表示装置5は、コイン処理装置1の状態や、入金額、出金額、案内などを表示する。投入されたコインを分離、識別、格納、払出す装置が外装ケースに格納されている。
【0019】
例えば、コイン処理装置1は、自動釣銭機、自動両替機等のコインを入出金する装置である。投入口2にコインが投入される。投入されたコインの金種及び枚数を不図示の制御部が取得し、投入された金額を把握する。払出しの有無が演算され、払出しがある場合は、払出すコインの金種、枚数が演算され、コインホッパーを制御してコインを排出する。排出されたコインは、トレー3に送られる。
【0020】
次に、コイン処理装置1の構成について説明する。図2は、コイン処理装置の構成を説明する図である。一般に使用されているコインは、複数の金種から構成される。コインは、サイズ、材質、デザインなどの要素が金種毎に異なる。
【0021】
コイン処理装置1は、投入されたコインを一枚ずつに分離し、分けられたコイン毎に金種を識別し、識別したコインを金種毎に格納する。また、コイン処理装置1は、金種毎に格納されたコインを、払出に再利用する。
【0022】
コイン処理装置1は、大きく3つの部分に分けられる。3つの部分は、投入されたコインを1枚ずつ区分して送り出す分離部6、コインの金種を識別する識別部8、コインを金種毎に分けて格納する振分部9である。
【0023】
コイン処理装置1の投入口2には、複数の金種のコインが混ぜられた状態で投入される。投入口2に入れられたコイン10は、コイン通路11を通り、貯留容器12に格納される。投入口2、コイン通路11、貯留容器12は、図2では破線で示されている。
【0024】
保持ベース13の上面には、コイン10を搬送するディスク15およびホイール21が配置されている。ディスク15の鉛直方向の下方側に貯留容器12が配置されている。貯留容器12には、ディスク15の外周に沿った形状の底部が備わる。貯留容器12は、ディスク15の下側半分から三分の一程度を覆う。ディスク15と貯留容器12に囲まれた部分にコイン10が格納される。
【0025】
また、ディスク15には、コイン10を保持するディスク凹部16が3カ所に設けられている。コイン10は、このディスク凹部16内に入り搬送される。また、ディスク15の外周側の領域が開放されている。コイン10は、受渡部7で分離部6から識別部8に受け渡される。
【0026】
保持ベース13とディスク15は水平方向に対して傾斜して配置されている。貯留容器12の中で、コイン10はディスク15側にもたれ掛る。貯留容器12の中のコイン10は、ディスク15の回転に伴い、ディスク15に対して相対的に移動する。コイン10が、貯留容器12を通過するディスク凹部16に入り込む。
【0027】
ディスク凹部16に入り込んだコイン10の側面は、ディスク凹部16の内壁に当接する。保持ベース13及びディスク15は、水平方向に対して斜めの姿勢をとるように配置されているので、コイン10をディスク15のディスク凹部16内に保持することができる。保持ベース13の傾斜角度は、30度~80度の範囲内にする。40度~50度がより好ましい。傾斜角度が小さいと不要なコイン10をディスク凹部16から滑り落とせなくなり、傾斜角度が大きいとディスク凹部16内にコインが入り難くなる。また、ディスク凹部16の内壁の高さは、コイン10の厚みより低く構成され、コイン10が1枚しか入らないようにしている。また、最小サイズのコイン10の直径を考慮して、ディスク凹部16は、最小サイズのコイン10が1枚しか入らないように作られている。また、ディスク凹部16には、最大サイズのコイン10も1枚しか入らない。
【0028】
コイン10は、ディスク凹部16の平坦な底面にコイン10の表面又は裏面を対向させる姿勢で、保持される。また、ディスク凹部16の内壁は、ディスク15の外周側の領域で途切れているので、この途切れている領域を通りコイン10は次工程に渡される。ディスク15の外周の外側には、コイン10をディスク回転方向に案内する案内壁が配置されている。コイン10は、側面が案内壁とディスク凹部16の内壁とに接触した状態で搬送される。
【0029】
ディスク15は、矢印で示されているディスク回転方向17に、ディスク回転軸14を中心にして回転する。ディスク凹部16は、貯留容器12に格納されているコイン10を一枚ずつ拾い上げる。ディスク15が水平方向に対して斜めに配置されているので、貯留容器12内のコイン10は、ディスク15にもたれ掛る。ディスク15にもたれ掛かるコイン10は、ディスク凹部16に容易に入り込む。
【0030】
分離部6の上方であり、識別部8の下方の位置においてコイン10が受け渡される。図2では識別部8と分離部6とを上下に配置した例を示したが、識別部8と分離部6を左右に配置することもできる。ディスク15は、コイン10を1枚ずつ、受渡部7に搬送し、次工程である識別部8にコイン10を受け渡すことができる。
【0031】
ホイール21は、矢印で示されるホイール回転方向22に、ホイール回転軸20を中心にして回転する。ホイール21は、ディスク15の回転と連動して回転している。分離部6から送り出されるコイン10は、側面をホイール21に当接させ、ホイール21に押されて保持ベース13上を摺動する。保持ベース13は平坦な平面である。識別部8には、コイン10のサイズ、材質等の特徴を検出する識別センサー19が配置されている。保持ベース13上を移動するコイン10の特徴を識別センサー19で検出し、不図示の制御部によってコイン10の金種を識別する。コイン10が、ホイール21によって一枚ずつ区分されて搬送されるので、識別センサー19はコイン10の特徴を1枚ずつ好適に検出することができる。コイン10は、表面又は裏面を前述の保持ベース13に接触させ、且つ側面を案内部18に接触させた状態で、ホイール21に押されて案内部18に沿って移動する。識別部8で金種を識別されたコイン10は、次工程の振分部9に受け渡される。
【0032】
振分部9では、コイン10を案内するレール25が配置されている。識別部8から振分部9のレール25にコイン10が渡される。このレール25に沿ってコイン10が搬送される。レール25に沿って搬送ベルト24が配置されている。搬送ベルト24には、搬送ピンローラー23が等間隔で配置されている。搬送ピンローラー23間に1枚のコイン10が入る。搬送ピンローラー23は、コイン10を1枚ずつ押し、レール25に沿ってコイン10を搬送する。搬送ピンローラー23は、コイン10を押して搬送する押動体とも言える。搬送ベルト24は、無端ベルトであり、ディスク15およびホイール21と連動して、矢印で示されている搬送ベルト回転方向26に回転する。
【0033】
レール25に沿って、第1スライダー27、第2スライダー29、第3スライダー31、第4スライダー33、第5スライダー35、第6スライダー37、第7スライダー39が配置されている。これらのスライダーは、予め決められた金種のコインホッパーまたは容器に接続されている。識別部8で識別されたコイン10は、対応する金種のスライダーに落とされ、対応する金種のコインホッパーまたは容器に格納される。
【0034】
第1スライダー27は第1コインホッパー28に接続されている。第2スライダー29は第2コインホッパー30に接続されている。第3スライダー31は第3コインホッパー32に接続されている。第4スライダー33は第4コインホッパー34に接続されている。第5スライダー35は第5コインホッパー36に接続されている。第6スライダー37は第6コインホッパー38に接続されている。また、第7スライダー39はオーバーフロー容器40に、接続されている。
【0035】
第8スライダー41は、排出ベルト42にコイン10を導く。金種が識別不能であったコイン10や、利用できないコイン10を排出ベルト42上に導き、トレー3に排出する。
【0036】
コインホッパーに格納可能なコイン10の格納量は、予め決められている。コインホッパーのコイン10の格納量がフルの場合は、それ以上のコイン10をコインホッパーに格納できない。コイン10がコインホッパーに格納できない場合には、格納できないコイン10は、オーバーフロー容器40に格納される。フルになったコインホッパーからコイン10が払出された場合、コインホッパーはコイン10を再び格納できる。コインホッパーに格納しきれないコイン10をオーバーフロー容器40に格納する構成によって、コイン処理装置1のメンテナンスの回数を減らすことができる。コイン処理装置1は、効率的に運用される。オーバーフロー容器40は、コイン10を格納できれば良いので、コインを排出する機能が無い容器であってもよいし、コインホッパーであっても良い。
【0037】
各コインホッパーは、排出ベルト42に沿って2列に配置されている。排出ベルト42を駆動することで、各コインホッパーから排出されたコイン10は、出金口4に導かれ、トレー3に集められる。すなわち排出ベルト42は、複数台のコインホッパーから排出されるコイン10を受け取って集めるコイン受部とも言える。投入口2に入れられたコイン10は、払出用のコイン10として再利用される。また、コインホッパーに格納されているコイン10に帯電した静電気を逃がすために、コインホッパーはコイン処理装置1と電気的に接続されている。コインホッパーをコイン処理装置1に設けられている後述の載置台に載置することで、コイン処理装置1とコインホッパーとが電気的に接続される。
【0038】
ディスク15はディスク回転軸14を中心に回転する。ホイール21はホイール回転軸20を中心に回転する。ディスク回転軸14とホイール回転軸20は、不図示のモーターによって回転する。モーターとディスク回転軸14の間は不図示の輪列によって接続されている。また、モーターとホイール回転軸20の間は不図示の輪列によって接続されている。輪列は、モーターの回転数を所定の比率で減速する。モーター及び輪列はディスク15とホイール21を回転させる駆動部を構成している。
【0039】
コイン10は、分離部6から受渡部7を介して識別部8に摺動される。コイン10の移動経路では、それぞれが平坦な面を備え、段差無く配置されている。
【0040】
ディスク15には、ディスク凹部16がディスク回転軸14を中心として、等角に複数箇所設けられている。例えば、120度間隔に3カ所設けられている。各ディスク凹部16には、レバー43が配置されている。受渡部7にコイン10が運ばれると、このレバー43が動作する。レバー43は、ディスク15の外周方向すなわち識別部8の方向にコイン10を押し出す。コイン10は、分離部6から識別部8に受け渡たされる。
【0041】
コイン10は、分離部6のディスク15から押し出され、識別部8のホイール21に拾われる。
【0042】
ホイール21には、ホイール回転軸20を中心として120度の間隔で受取体が放射状に配置されている。各受取体の間にコイン10が入り、そのコイン10を受取体の側面の押動壁で押す。コイン10は保持ベース13上を摺動する。ホイール21はディスク15と連動して回転し、その回転方向は逆方向である。
【0043】
識別部8では、案内部18に沿って移動しているコイン10を、一枚ずつ識別センサー19によって検出し、金種を識別する。案内部18は案内壁が直線状に配置されている。コイン10は、案内部18に沿って直線状に移動する。
【0044】
コイン10は、ホイール21に押され、識別部8から振分部9に渡される。ホイール21によって押されたコイン10は、レール25上に渡される。ホイール21と搬送ベルト24は、連動して回転している。隣り合う搬送ピンローラー23間に1枚のコイン10が入るように、搬送ピンローラー23が搬送ベルト24に配置されている。
【0045】
レール25に沿って移動するコイン10を、金種に対応したスライダーに落とす。コインホッパーには、同一の金種のコイン10が格納される。
【0046】
次にコイン処理装置1の主要部分について説明する。図3は、コイン処理装置の主要部の斜視図である。
【0047】
分離部6では、投入されたコイン10が貯留容器12に貯留される。貯留容器12に複数のコイン10を一時的に貯留することができる。貯留されたコイン10は、ディスク15によって、1枚ずつ搬送される。コイン10が受渡部7の位置に搬送されると、レバー43が動作し、コイン10を識別部8の方向に押し出す。押し出されたコイン10は、受渡部7を通り、ホイール21の受取体間に入る。図3においては、識別部8を覆うセンサーカバーが開いている状態を図示している。通常の使用状態では、センサーカバーが閉じている。
【0048】
識別部8では、コイン10は、ホイール21によって押動される。コイン10は、1枚ずつ保持ベース13上を移動する。案内部18は、識別部8の下方側に配置されている。案内部18は、コイン10の進行方向が鉛直方向において高くなるように、斜めに配置されている。案内部18は、ホイール21の外周の外側に配置された案内壁の一部である。案内部18は、コイン10を一定の条件で検出するために、直線状に配置された案内壁である。ホイール21は、コイン10を押動する。コイン10は、案内部18に沿って、保持ベース13上を摺動する。保持ベース13が水平方向に対して傾斜して配置されているので、コイン10は、側面が案内壁に接し、表面または裏面が保持ベース13に接する。コイン10には、重力によって下方に力が加わっている。最下点を通過したホイール21は、コイン10を重力に抗して上方に搬送する。コイン10は案内部18に接した状態で搬送される。コイン10の外周が案内部18に接しながら摺動あるいは転動する。コイン10は、識別センサー19の検出領域を一定の条件で通過する。
【0049】
識別センサー19によって金種を識別されたコイン10は、識別部8から振分部9に渡される。搬送ピンローラー23の間に1枚のコイン10が入る。コイン10は搬送ピンローラー23によって押され、搬送される。識別部8において、ホイール21によって1枚ずつ分離されたコイン10は、振分部9において、搬送ピンローラー23によって1枚ずつ分離され、搬送される。
【0050】
識別部8で識別されたコイン10は、搬送中に振分部9の各スライダーの何れかに落とされる。
【0051】
第1バー44、第2バー45、第3バー46、第4バー47は不図示の制御回路によって制御され、コイン10の進路を変更する。第1バー44は、コイン10を第1スライダー27に落とすか、第4スライダー33に落とすか、通過させるかの何れかの状態にする。第2バー45は、コイン10を第2スライダー29に落とすか、第5スライダー35に落とすか、通過させるかの何れかの状態にする。第3バー46は、コイン10を第3スライダー31に落とすか、第6スライダー37に落とすか、通過させるかの何れかの状態にする。第4バー47は、コイン10を第8スライダー41に落とすか、通過させるかの何れかの状態にする。また全スライダーを通過したコイン10は、第7スライダーに落ちる。識別部8で識別された結果の金種に基づいてコイン10は、何れかのスライダーに落ち、所定のコインホッパー等に導かれる。
【0052】
図4は、コイン処理装置に搭載されているコインホッパーの配置例を説明する図である。コインホッパーを載置する第1載置台50、第2載置台51が排出ベルト42を挟み配置されている。コインホッパーは、排出ベルト42の両側のそれぞれに列状に配置される。
【0053】
第1載置台50には、第1コインホッパー28、第2コインホッパー30、第3コインホッパー32が列状に載置されている。第2載置台51には、第4コインホッパー34、第5コインホッパー36、第6コインホッパー38が列状に載置されている。
【0054】
第1排出口53は、第1コインホッパー28のコイン10を排出する開口である。第2排出口54は、第2コインホッパー30のコイン10を排出する開口である。第3排出口55は、第3コインホッパー32のコイン10を排出する開口である。第1排出口53、第2排出口54、第3排出口55は、排出ベルト42側に配置されている。排出ベルト42はプーリー52と不図示の駆動プーリーに掛け回されたベルトである。駆動プーリーを不図示のモーターで駆動することで、排出ベルト42を回転させ、排出ベルト42の上に排出されたコイン10を、出金口4を介してトレー3に導く。
【0055】
コインホッパーは、金種に応じて最適化されている。第1載置台50は、複数台のコインホッパーを載置する。第1載置台50には、4台のコインホッパーが載置される。第2載置台も同様である。第1載置台50と第2載置台51に載置されるコインホッパーは、金種に応じてセットする位置が予め決められている。また、第1載置台50と第2載置台51には、誤った位置にコインホッパーがセットされることを防止する識別突起が配置されている。識別突起の形状は、金種に応じて予め決められた形状である。コインホッパーには金種に応じた識別突起に対応する凹部が設けられている。識別突起と凹部が一致しなければ、コインホッパーを第1載置台50にセットすることができない。第2載置台51も同様である。
【0056】
第1載置台50および第2載置台51によって、予め決められた位置に対応する金種のコインホッパーを容易に配置できる。
【0057】
次にコインホッパーについて説明する。図5は、コインホッパーの斜視図である。コインホッパーは金種によって設定が最適化されたものを用いるが、基本的な構成は全ての金種で同じである。
【0058】
コインホッパーは、複数のコインを1枚ずつ分離して排出する装置である。コインホッパーは、大きく分けて、本体60とコイン格納容器61に分けられる。コイン格納容器61は、本体60に対して着脱が可能である。コイン格納容器61は、後述する回転体に対向する部分が開口している。接続部64は、その開口の外周部分である。コイン格納容器61には、所定の金種のコイン10を複数枚格納できる。コイン格納容器61の中のコイン10は、回転体の上に堆積する。本体60は、ケースに覆われ、内部に駆動機構が配置されている。本体60には、後述する回転体を用いて、複数のコイン10を1枚ずつに分離して排出する機構が配置されている。
【0059】
撹拌棒65は、コイン格納容器61に固定された金属の棒である。撹拌棒65は、コイン格納容器61に固定されて根元側にバネが配置されている。撹拌棒65の先端側は、根元側のバネの弾性によって、様々な方向に移動する。コイン格納容器61の中のコイン10は、後述の回転体を回転させることで移動する。撹拌棒65によって、コイン格納容器61の中のコイン10を撹拌できるので、コイン10が重なってブリッジ状になることを防止できる。モーター69は、回転体を駆動する。
【0060】
第1支持部66、第2支持部67は、本体60の側面に設けられている。第1支持部66、第2支持部67は、コイン格納容器61の側面を支持する。
【0061】
コイン10を排出する払出口62は、本体60の一方側に設けられている。本体60の払出口62が設けられている側を正面側と称し、反対側を裏面側と称する。払出口62から1枚ずつコイン10を排出する。排出されるコイン10は、払出センサー63によって検出される。払出センサー63によってコイン10を検出することで、コイン10が払出されたことが分かる。
【0062】
本体60の両側面には案内溝68が設けられている。本体60の側面の所定の部分に、一定の深さで溝が設けられている。すなわち、本体60のケースの側壁に案内溝68が設けられている。案内溝68は、コインホッパーをコイン処理装置の所定の位置に配置するときに使用される。
【0063】
図6は、コインホッパーの側面図である。
【0064】
コインホッパーのコイン格納容器61は容器傾斜部74を備え、コイン10を後述の回転体に導く。コイン10はコイン格納容器61の下方側に堆積する。
【0065】
本体60の上面の裏面側には、モーター69が配置されている。モーター69の回転軸であるモーター軸は、本体60の内部で、不図示の輪列を介して、後述の回転体に接続されている。輪列は、モーター69の回転軸であるモーター軸と回転体の回転軸とを所定の歯車比で接続する。
【0066】
コイン格納容器61の側面には、第2支持突起73が設けられている。第2支持部67に設けられている孔に、第2支持突起73が嵌る。また、第1支持突起が逆側に設けられている。第1支持部66(図5)に設けられている孔に、第1支持突起が嵌る。コイン格納容器61の両側面が、本体60に支持される。
【0067】
本体60の側面には、段差部75が設けられている。本体60は、段差部75によって、側面に案内溝68が形成される。段差部75は、本体60の底板76側から上方に並行に設けられている。例えば、案内溝68に対応する突起を、コインホッパーの載置台の載置位置に設ける。載置台に設けた突起に案内溝68を合わせることで、載置台の所定位置にコインホッパーを容易にセットできる。案内溝68は本体60の両側面に設けられている。
【0068】
回転体軸70が本体60の底板76から突出している。回転体軸70は、後述の回転体が固定され、回転体の回転中心を通る回転軸である。モーター69に接続されている輪列の最終段の歯車が、回転体軸70に固定されている。
【0069】
底板76には、支持脚71が配置されている。支持脚71は底板76から突出している。側面視において、支持脚71と底板76の前面端部72との間に回転体軸70が配置されている。また、側面視において、支持脚71と前面端部72との間に案内溝68が配置されている。平坦な面上にコインホッパーを置いた場合、前面端部72と支持脚71とが平坦な面に接し、回転体軸70が平坦な面から離間する。コインホッパーを置いたときに、回転体軸70に物が当接しないようにできる。また、前面端部72から回転体軸70までの距離は、回転体軸70から支持脚71までの距離より長い。すなわち、回転体軸70は、前面端部72よりも支持脚71側に偏って配置されている。回転体軸70が、物に当たらないようにするため、支持脚71を回転体軸70の近くに配置するのが好ましい。また、回転体軸70を取り囲むように支持脚71を3カ所以上設けてもよいし、支持脚71の代りとなる枠を設けても良い。
【0070】
側面視において、回転体軸70は、案内溝68の2つの段差部75の間に配置されている。案内溝68は底板76に対して垂直方向に沿って配置されている。載置台にコインホッパーをセットする場合、コインホッパーは案内溝68に沿って上から下に移動する。すなわち、段差部75の延在する方向に沿って、上から下にコインホッパーが移動する。回転体軸70の先端も同様に上から下に移動する。
【0071】
図7は、コインホッパーの主要部の斜視図である。コインホッパーの本体60の斜視図である。
【0072】
本体60の上面側には、ホッパーベース81が配置され、その上に回転体80が配置されている。回転体80は、回転体軸70(図6)に、ネジ77によって固定されている。ネジ77は、導電性のある金属製のネジである。コイン10が入る回転体凹部82が、回転体80に4カ所設けられている。
【0073】
ホッパーベース81には、不図示の移動制御ピンが設けられている。回転体凹部82にコイン10が入っている状態で、回転体80を回転させると、押圧壁78にコイン10が押され、回転体80と共にコイン10が移動する。移動制御ピンにコイン10が当接すると、コイン10の移動方向が変わり、払出口62からコイン10が排出される。回転体80には、移動制御ピンを避けるために逃溝79が設けられている。回転体80は移動制御ピンに当たらずに回転することができる。
【0074】
払出センサー63は、払出口62から排出されるコイン10を検出する。検出の結果をカウントすることで、コイン10が払出口62から何枚排出されたか把握することができる。
【0075】
固定部83は、第1支持部66、第2支持部67と共にコイン格納容器61(図5)を支持する。固定部83にはネジが備わり、コイン格納容器61(図5)を本体60に固定する。コイン格納容器61(図5)は本体60に対して着脱可能に固定することができる。
【0076】
モーター69の回転軸は、ホッパーベース81に対して垂直方向である。回転体80の回転軸と並行に配置されている。すなわち、モーター69の回転軸は、回転体軸70(図6)に並行である。並行に配置されたモーター69の回転軸と回転体軸70(図6)との間は不図示の輪列で接続されている。輪列は、モーター69の駆動力を回転体軸70(図6)に伝達する。
【0077】
モーター69の回転軸の先端側は本体60の内部に配置された不図示の輪列に接続されている。モーター69のコイルや磁石を納めた外装ケースが、本体60の外部に配置されている。モーター69の一部が本体60の外部に配置されているので、本体60の厚み方向のサイズを小さくできる。本体60の厚み方向のサイズを小さくできるので、回転体軸70(図6)の長さも小さくできる。回転体80の軸を短くすることで、軸に対して垂直方向からの力による影響を小さくできる。
【0078】
図8は、コインホッパーの裏側からの斜視図である。
【0079】
底板76の払出口62側の端部には、位置決孔86が設けられている。位置決孔86の内部には識別孔87が配置される。位置決孔86は、中心から8方向の放射方向に半円形の凸部が設けられている。8方向の凸部の何れか一つが深く窪んでいる。この窪みの位置は、対応する金種を示している。コインホッパーを載置する台には、識別孔87に対応する突起が配置され、予め決められた金種のコインホッパーを、予め決められた位置にセットできる。
【0080】
底板76の払出口62側の反対側の端部には、第1コネクタ84が配置されている。第1コネクタ84は、コインホッパーの動作を制御する各種信号線、電源を、外部機器と接続するためのコネクタである。払出センサー63は、底板76に設けられたケーブル溝89に嵌合するケーブル88によって配線される。ケーブル88をケーブル溝89に嵌合させることで、ケーブル88がケーブル溝89から振動で外れることが無い。ケーブル溝89の開口部を底部よりも狭くすることで、ケーブル88がケーブル溝89から外れ難くできる。ケーブル88は複数の線を1本にまとめたケーブルである。
【0081】
払出センサー63と第1コネクタ84は、コインホッパーの長手方向のそれぞれの端部に配置されている。本体60の内部には、回転体80(図7)の駆動機構が配置されている。ケーブル88が駆動機構に接すると、断線や、駆動不良が生じる。そのため、ケーブル88を固定するか、ケーブル88と駆動機構とを分離する手段を備える必要がある。しかし、ケーブル88と駆動機構との接触を防止する手段を設ける場合に、ケーブル88の配置位置や本体60の内外の連通位置などの制限もあり、短い距離で配線することができない場合がある。そこで、ケーブル88と駆動機構とが接触することの無い本体60の外部にケーブル88を配置している。本体60の一方側の端部に第1コネクタ84を配置し、他方側の端部に払出センサー63が配置されている。両者を何れか一方に配置できれば、ケーブル88の配置が容易となり好ましい。それができない場合は、本体60の外部に溝を設けてケーブル88を配置するのが好ましい。
【0082】
支持脚71は底板76に2カ所設けられている。前面端部72の両端と、2つの支持脚によって囲む位置に、回転体軸70が配置されている。底板76から突出している回転体軸70は、支持脚71によって保護される。回転体軸70はコインホッパーの短手方向の略中央に配置されている。案内溝68の底板76側には、溝縁部85が設けられている。溝縁部85には、底板76に向かい案内溝68の溝が深くなるように斜面が形成されている。コインホッパーを載置するときに、載置し易い。
【0083】
図9は、コインホッパーの断面図である。
【0084】
コイン格納容器61は、複数のコイン10を格納できる。コイン10は、回転体80の上に堆積する。回転体80を回転させ、回転体凹部82の中に入ったコイン10を搬送する。回転体80を回転させることで、回転体凹部82の内周の押圧壁78は、コイン10の周面に接触する。コイン10は、回転体80の回転に伴い移動する。コイン10は、ホッパーベース81上を摺動する。
【0085】
帯電しているコイン10は、電子部品に悪影響を与える恐れがあるので、静電気を逃がす必要がある。ホッパーベース81とコイン格納容器61が樹脂製の場合に、コイン10の静電気を、ホッパーベース81、コイン格納容器61からアースに逃がすことができない。
【0086】
回転体80は、ネジ77によって回転体軸70に固定されている。回転体軸70は金属製の軸であり、導電性である。例えば、ステンレス製の軸である。また、ネジ77も同様に金属製であり、導電性である。回転体軸70は、本体60の底板76から先端が突出している。回転体軸70の先端は、平坦な軸底面98を備えている。帯電したコイン10の静電気を、回転体軸70を経由して軸底面98に伝えることができる。軸底面98にアースに接続されている端子を接触させることで、コイン10の静電気を逃がすことができる。すなわち、コイン10は、軸底面98に導通する。
【0087】
軸底面98は、回転体軸70の軸方向に垂直な方向に形成されている。例えば、ホッパーベース81の平坦な面と平行である。仮に、軸底面98が回転体軸70の軸方向に斜めに形成されている場合、先端が鋭利となり、軸底面98に当接する端子が傷ついてしまう。
【0088】
回転体80が、樹脂製などの絶縁性の材質で作られている場合は、ネジ77、回転体軸70を経由してコイン10の静電気を逃がすことができる。コイン10は、軸底面98に導通する。
【0089】
回転体80が、金属製などの導電性の材質で作られている場合は、回転体80、回転体軸70を経由してコイン10の静電気を逃がすことができる。コイン10は、軸底面98に導通する。
【0090】
回転体軸70は、ホッパーベース81の裏面側に配置された第1摺動部92で、回転自在に支持される。第1摺動部92はベアリングなどを用い、回転体軸70を回転させながら支持する。また、回転体軸70は、止め輪94の部分に溝が設けられ、その溝に止め輪94が嵌められている。止め輪94は、回転体軸70の軸方向の移動を制限するとともに、第1摺動部92の軸方向の移動も制限している。
【0091】
また、底板76には、回転体軸70を外部に露出させるための貫通孔が設けられている。例えば、貫通孔に回転体軸70を通し、底板76から突出させることができる。回転体軸70は、底板76の内側に配置された軸受部91を含む第2摺動部93で、回転自在に支持される。回転体軸70は、軸受部91の部分で縮径している。回転体軸70は、軸受部91の部分の段差によって、底板76から外れ出ることは無い。軸受部91の中央部には、貫通孔が設けられている。回転体軸70の先端は、軸受部91の貫通孔と底板76の貫通孔を通され、底板76から外部に露出させる。すなわち、底板76に設けられた貫通孔から回転体軸70の先端を外部に露出させる。例えば、貫通孔から露出させた回転体軸70の先端をアースに接触させることで、静電気を外部に逃がすことができる。底板76の貫通孔は第1の貫通孔、軸受部91の貫通孔は第2の貫通孔とも称する。回転体軸70の先端は、第1の貫通孔と第2貫通孔を通り抜け、底板76から突出している。
【0092】
本体60の外部にアースの端子を設け、軸底面98をそのアースの端子に接触させる。帯電したコイン10の静電気を、軸底面98から本体60の外部に逃がすことができる。しかし、回転体軸70と外部のアースの端子を接触させるので、回転体軸70には、外部から力が加わる。回転体軸70に外力が加わるので、回転体軸70は、回転に悪影響を受ける可能性がある。例えば、回転ムラ、軸の揺れなどである。そこで、回転体軸70の揺れを低減するために、第1摺動部92と第2摺動部93を離して配置し、少なくとも2カ所で回転体軸70を支持する。第1摺動部92と第2摺動部93との間に、輪列の最終段の駆動歯車95が回転体軸70に固定されている。支持部間に最終段の駆動歯車95を配置することで、外部からの力の影響を抑えながら、駆動力を伝達する。
【0093】
回転体軸70と外部のアースの端子を接触させるので、回転体軸70には、軸方向に外部から力が加わる。回転体軸70の軸方向にかかるアースの端子からの力を、回転体軸70と回転体80の合計の重量未満にすることで、回転体軸70の軸方向からの力の影響を抑えながら回転体80を回転させることができる。回転体軸70および回転体80がアースの端子からの力によって浮き上がることを防止できる。
【0094】
回転体軸70は、上面視で回転体80の中心に配置されている。回転体80の上には、複数のコイン10が堆積するので、回転体80には、かなりの負荷がかかる。その状態で回転体80を回転させるので、回転体軸70の上面視での位置は、重心の位置かまたは重心に近い位置に配置することが好ましい。回転体軸70が重心の位置から離れると、コインホッパーが揺れやすくなり、振動の原因になる恐れがある。
【0095】
回転体軸70には、駆動歯車95が固定されている。また、底板76は、底板76の本体60の内側に突出して設けたリブ96によって強度を高めている。リブ96と駆動歯車95は接触しない。
【0096】
ケーブル88を収納するケーブル溝89は、本体60の内部では突出したケーブル溝内壁97を形成する。本体60の強度を向上させるリブでもある。また、ケーブル溝内壁97によってケーブル88を外部に分離できるので、ケーブル88の交換などのメンテナンスも容易に行うことができる。また、メンテナンス時に、ケーブル88が他の部品と接触しないように隔離する必要がないので、メンテナンス作業が軽減できる。また、本体60内の配線材をなるべく少なくすることで、組み立てが容易になり、またメンテナンスも容易になる。
【0097】
図10は、コインホッパーのアース方法の第1例である。例として第1載置台50にコインホッパーをセットする場合を説明する。
【0098】
第1載置台50は、底面を構成する基部100と周囲を構成する枠部101とを含む。コインホッパーは、コイン格納容器61を上にし、本体60を下にして、基部100にセットする。
【0099】
基部100には、コインホッパーの回転体軸70に対応する部分にアース溝103が設けられている。基部100には、コインホッパーの支持脚71に対応する部分に脚逃部102が設けられている。基部100には、コインホッパーの回転体軸70、支持脚71に対応する部分に窪みが設けられている。また基部100には、コインホッパーの第1コネクタ84に対応する部分に第2コネクタ104が設けられている。また、基部100には、コインホッパーの位置決孔86と識別孔87に対応する部分に位置決突起109と識別突起108が設けられている。枠部101には、コインホッパーの段差部75に対応する部分にガイド部90が設けられている。
【0100】
基部100は、コインホッパーの凹凸に対応する部分に突起や窪みが設けられ、コインホッパーを載置する場合に、基部100は、コインホッパーを所定の位置に導き、また載置後のコインホッパーが、がたつかないように構成されている。第1載置台50にコインホッパーを載置した場合に、コインホッパーの底板76の平坦な部分が、基部100の底面の平坦な部分に接触する。払出口62は、コインを排出す際に障害にならないように、枠部101の縁より高い位置に配置される。
【0101】
アース端子106は、アースライン107を介してアースに接続されている。アース溝103には、アースに接続されているアース端子106が配置されている。第1載置台50にコインホッパーをセットした場合に、軸底面98がアース端子106の表面に接触する。アース端子106は回転体軸70が非接触の状態では、点線で示す非接続時のアース端子位置105に位置する。第1載置台50にコインホッパーをセットした場合、軸底面98がアース端子106に接触し、押し下げる。押し下げ量は、回転体軸70の底板76からの突出量である。アース端子106は撓み、回転体軸70を付勢する。多少の衝撃では、回転体軸70とアース端子106の接触は解除されない。
【0102】
コインホッパーを第1載置台50にセットする動作を説明する。第1載置第50には、所定の金種を示す識別突起108が固定されている。この識別突起108に適合した識別孔87を備えるコインホッパーだけがセットできる。第1コネクタ84や回転体軸70に、枠部101や基部100の平坦面が当接しないように、ガイド部90によって挿入位置が決められている。
【0103】
まず、ガイド部90に段差部75が嵌り、コインホッパーがガイド部90に沿って枠部101内の奥に移動する。次に、位置決孔86内に位置決突起109の先端が挿入され、第2コネクタ104に第1コネクタ84の先端が挿入される。コインホッパーを枠部101の奥に更に移動させることで、支持脚71が脚逃部102に挿入される。その後、底板76の平坦部が基部100の平坦部に当接し、コインホッパーの載置が完了するまでに、軸底面98が、アース端子106に接し、アース端子106を押し下げる。アース端子106は、回転体軸70によって変形する。この状態では、第1コネクタ84が第2コネクタ104に嵌合し、電気的に接続される。コインホッパーの重さによって、アース端子106の弾性によって持ち上がることなく、コインホッパーを第1載置台50にセットできる。
【0104】
アース端子106に軸底面98が接触し、アースすることができる。アース端子106の撓み量は、回転体軸70の底板76からの突出量である。この突出量は支持脚71の突出量よりも小さい。撓み量が小さいので、アース端子106が、回転体軸70を押す力も小さく、回転体軸70の回転に影響を与えない。アース端子106は、例えば、板状のバネである。一端を固定し、他端側を自由端にした構成が考えられる。また、両端を固定し、中央部を撓ませる板状のバネであっても良い。
【0105】
また、アース端子106の非接続時のアース端子位置105は、アース溝103から突出しない位置であることが好ましい。アース溝103からアース端子106が飛び出さないので、他の物との接触による破損を防止できる。
【0106】
図11は、コインホッパーのアース方法の第2例である。バネ110の一端をアース溝103に固定し、他端にアース端子106を固定する。アース端子106は軸底面98と接する部分が平坦であり、周囲を折り曲げてある。アース端子106を指示するバネ110は、非接続時のアース端子位置105の位置から、回転体軸70に押されて縮む。バネ110か、またはアース端子106にアースライン107を接続する。アース端子106は、軸底面98との接触面を平坦にし、アース端子106を回転体軸70の軸方向に沿って移動する構成とした。軸底面98は、好適にアース端子106に接触する。アース端子106の先端の平坦な面は、アース溝103から突出するが、アース端子106の周囲の折り曲げ部の先端は、アース溝103の内部に配置する。
【0107】
図12は、コインホッパーのアース方法の第3例である。回転体軸70は、底板76から突出していない。この場合、アース端子106を、アース溝103から、突出させて配置する。このとき、アース端子106が、底板76に接触しないように配置する。
【0108】
図13は、コインホッパーを載置台にセットする場合の例を説明する図である。アース溝103内のアース端子106の配置についての例を説明する。アース溝103は、基部100に設けた溝である。アース溝103の底面は平坦な面で有り、その上にアースベース111が配置されている。アースベース111は、金属の基板である。アースベース111の一部を切り、折り曲げてバネ状体を形成する。バネ状体をアース端子106とする。アースベース111をアースに接続する。金属の基板であるアースベース111にアース端子106が一体に設けられている。コインホッパーの軸底面98が接触位置112で接触する。接触位置112は好ましくは平坦部を備え、軸底面98に面接触できるようにする。また、1枚のアースベース111を備えることで、一列に並ぶ複数台のコインホッパーのアースが可能となる。コインホッパーに対して個別にアースベース111を設けることもできるが、組み立て性を考えると、複数台のコインホッパーに対して1枚のアースベース111によってアースをする構成が好ましい。
【0109】
図14は、コインホッパーのアース端子との接触部分の別の例を説明する図である。コインホッパーの回転体軸70の先端は底板76から突出させない。その代りに底板76から突出させた接触部115を備える。接触部115は、回転体軸70の回転軸の延長線上に配置するのが好ましい。回転体軸70の下方側に配置した駆動歯車95の下に、接触子113を配置する。接触子113は、回転体軸70の接触させる電極であり、回転体軸70方向に付勢した状態で接触する。接触子113は回転体軸70に圧接されるので、接触子113は回転体軸70に常に電気的に接続される。接触子113を2カ所以上設けることが好ましい。各接触子113はアース接続線114によって接触部115に接続されている。接触部115の先端は平坦であり、軸底面98(図9)と同様に、底板76から突出している。コインホッパーは、部品点数が多くなってしまうので、製造し難くなる。一方で、回転体軸70に外部から力が加わらないので、安定した回転動作ができる。
【符号の説明】
【0110】
1 コイン処理装置
2 投入口
3 トレー
4 出金口
5 表示装置
6 分離部
7 受渡部
8 識別部
9 振分部
10 コイン
11 コイン通路
12 貯留容器
13 保持ベース
14 ディスク回転軸
15 ディスク
16 ディスク凹部
17 ディスク回転方向
18 案内部
19 識別センサー
20 ホイール回転軸
21 ホイール
22 ホイール回転方向
25 レール
24 搬送ベルト
23 搬送ピンローラー
26 搬送ベルト回転方向
27 第1スライダー
28 第1コインホッパー
29 第2スライダー
30 第2コインホッパー
31 第3スライダー
32 第3コインホッパー
33 第4スライダー
34 第4コインホッパー
35 第5スライダー
36 第5コインホッパー
37 第6スライダー
38 第6コインホッパー
39 第7スライダー
40 オーバーフロー容器
41 第8スライダー
42 排出ベルト
43 レバー
44 第1バー
45 第2バー
46 第3バー
47 第4バー
50 第1載置台
51 第2載置台
52 プーリー
53 第1排出口
54 第2排出口
55 第3排出口
60 本体60
61 コイン格納容器
62 払出口
63 払出センサー
64 接続部
65 撹拌棒
66 第1支持部
67 第2支持部
68 案内溝
69 モーター
70 回転体軸
71 支持脚
72 前面端部
73 第2支持突起
74 容器傾斜部
75 段差部
76 底板
77 ネジ
78 押圧壁
79 逃溝
80 回転体
81 ホッパーベース
82 回転体凹部
83 固定部
84 第1コネクタ
85 溝縁部
86 位置決孔
87 識別孔
88 ケーブル
89 ケーブル溝
90 ガイド部
91 軸受部
92 第1摺動部
93 第2摺動部
94 止め輪
95 駆動歯車
96 リブ
97 ケーブル溝内壁
98 軸底面
100 基部
101 枠部
102 脚逃部
103 アース溝
104 第2コネクタ
105 非接続時のアース端子位置
106 アース端子
107 アースライン
108 識別突起
109 位置決突起
110 バネ
111 アースベース
112 接触位置
113 接触子
114 アース接続線
115 接触部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14