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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】留め具及び靴紐の挿通方法
(51)【国際特許分類】
   A43C 7/02 20060101AFI20230419BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20230419BHJP
【FI】
A43C7/02
A44B99/00 611N
A44B99/00 601Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022141431
(22)【出願日】2022-09-06
【審査請求日】2022-09-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516090252
【氏名又は名称】坂下 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】110003513
【氏名又は名称】kakeruIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂下 幹夫
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06202443(US,B1)
【文献】実開平05-034907(JP,U)
【文献】特許第7126286(JP,B2)
【文献】特開2009-050454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0261235(US,A1)
【文献】特開2014-004074(JP,A)
【文献】特開2008-178593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 7/00
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端部に開口を有する、2つの筒部と、
2つの前記筒部を、軸方向の両端部において、軸方向に移動可能に支持する連結軸部と、
2つの前記筒部を、前記連結軸部の軸方向外側に付勢するバネと、を備え、
2つの前記筒部は、
短手方向に1組の透孔が穿設された側壁を備え、
前記連結軸部は、
短手方向に2つの貫通路が穿設され、2つの前記貫通路の間に位置する軸方向の側面が平坦である柱状部と、を備え、
2つの前記筒部を、前記バネの付勢に抗して移動させた際に、2つの1組の前記透孔が、2つの前記貫通路と連通し、
前記透孔及び前記貫通路は、軸方向に底辺を持つ三角形状である、ことを特徴とする
留め具。
【請求項2】
軸方向の一端部に開口を有する、2つの筒部と、
2つの前記筒部を、軸方向の両端部において、軸方向に移動可能に支持する連結軸部と、
2つの前記筒部を、前記連結軸部の軸方向外側に付勢するバネと、を備え、
2つの前記筒部は、
短手方向に1組の透孔が穿設された側壁を備え、
前記連結軸部は、
短手方向に2つの貫通路が穿設され、2つの前記貫通路の間に位置する軸方向の側面が平坦である柱状部と、を備え、
2つの前記筒部を、前記バネの付勢に抗して移動させた際に、2つの1組の前記透孔が、2つの前記貫通路と連通し、
前記透孔は、軸方向に伸びて前記透孔を2つに分ける透孔仕切部を備え、
前記貫通路は、前記透孔仕切部に対応する位置に、貫通路仕切部を備える、ことを特徴とする
留め具。
【請求項3】
軸方向の一端部に開口を有する、2つの筒部と、
2つの前記筒部を、軸方向の両端部において、軸方向に移動可能に支持する連結軸部と、
2つの前記筒部を、前記連結軸部の軸方向外側に付勢するバネと、を備え、
2つの前記筒部は、
短手方向に1組の透孔が穿設された側壁を備え、
前記連結軸部は、
短手方向に2つの貫通路が穿設され、2つの前記貫通路の間に位置する軸方向の側面が平坦である柱状部と、を備え、
2つの前記筒部を、前記バネの付勢に抗して移動させた際に、2つの1組の前記透孔が、2つの前記貫通路と連通し、
前記貫通路は、短手方向中央位置から、短手方向外側に向かって、軸方向と短手方向に直交する方向に傾斜しており、
前記透孔は、前記貫通路の端部に対応して位置している、ことを特徴とする
留め具。
【請求項4】
前記筒部の前記側壁は、軸方向の外側に向かって、外形が小さくなるように傾斜している、ことを特徴とする、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の留め具。
【請求項5】
軸方向の一端部に開口を有する、2つの筒部と、
2つの前記筒部を、軸方向の両端部において、軸方向に移動可能に支持する連結軸部と、
2つの前記筒部を、前記連結軸部の軸方向外側に付勢するバネと、を備え、
2つの前記筒部は、
短手方向に1組の透孔が穿設された側壁を備え、
前記連結軸部は、
短手方向に2つの貫通路が穿設され、2つの前記貫通路の間に位置する軸方向の側面が平坦である柱状部と、を備え、
2つの前記筒部を、前記バネの付勢に抗して移動させた際に、2つの1組の前記透孔が、2つの前記貫通路と連通する留め具を用いた、甲部に靴紐挿通孔が複数組双設されている靴における、靴紐の挿通方法であって、
前記靴紐の一端部を、履き口から最も離れた前記靴紐挿通孔から前記履き口から3番目以降に位置する他方の前記靴紐挿通孔まで挿通させるとともに、前記靴紐の他端部を、前記靴紐の一端部が最後に挿通された前記靴紐挿通孔と同一行に位置する、一方の前記靴紐挿通孔まで挿通させる第1挿通工程と、
前記靴紐の一端部を、前記留め具に設けられた一方の1組の前記透孔に、前記留め具の短手方向の他端部側から挿通させ、その後、半円弧の輪を作った上で、他方の1組の前記透孔に、前記留め具の短手方向の一端部側から挿通させる第2挿通工程と、
前記靴紐の他端部を、前記留め具に設けられた一方の1組の前記透孔に、前記留め具の短手方向の一端部側から挿通させ、その後、半円弧の輪を作った上で、他方の1組の前記透孔に、前記留め具の短手方向の他端部側から挿通させる第3挿通工程と、
前記靴紐の一端部を、前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって2番目の行に位置する、他方の前記靴紐挿通孔に挿通させ、その後、前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって1番目の行に位置する、一方の前記靴紐挿通孔に挿通させる第4挿通工程と、
前記靴紐の他端部を、前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって2番目の行に位置する、一方の前記靴紐挿通孔に挿通させ、その後、前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって1番目の行に位置する、他方の前記靴紐挿通孔に挿通させる第5挿通工程と、
前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって1番目の行に位置する前記靴紐挿通孔を挿通した先の、それぞれの靴紐に、前記靴紐挿通孔よりも大きな抜止部を設ける抜止部設置工程と、
を含むことを特徴とする靴紐の挿通方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留め具及び靴紐の挿通方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載されているように、靴紐(靴ロープ2)に取り付けられる留め具(ロープ締め具3)が知られている。
【0003】
この留め具は、最も履き口に近い靴紐挿通孔に挿通させた後の、靴紐に取り付けられ、前記留め具のピストン状部(押圧素子32)を操作することで、前記留め具が、前記靴紐に対して移動できるようになっている。
【0004】
この留め具により、使用者は、靴紐を速やかに締めたり緩めたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3109516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載の留め具は、シリンダー状の本体31において、透孔(貫通孔315)間が平坦であるため、靴紐の挿通のさせ方によっては、靴紐の調整が困難となる可能性があった。
例えば、本発明の図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、靴紐を緩めた際(図17)、透孔間の、シリンダー状の本体31の側面と靴紐との間に隙間ができないため、靴紐を締めようとする際、透孔間の靴紐に指をかけることが難しかった。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の留め具は、最も履き口に近い靴紐挿通孔付近に取り付けられているため、靴紐を緩めるために前記留め具を移動させたとしても、最も履き口に近い靴紐挿通孔付近の靴紐だけしか緩めることができなかった。
【0008】
加えて、上記特許文献1に記載の留め具は、靴紐を、靴紐挿通孔から上方に向かって挿通させるため、挿通後の靴紐が、少なからず上方に飛び出してしまい、例えば、運動中に靴紐が引っ掛かり、靴紐が緩む可能性が高まってしまっていた。
【0009】
本発明は、このような課題を考慮して提案されたもので、靴紐をより速やかに締めたり緩めたりすることができ、かつ、靴紐が緩む可能性を低減させる留め具及び靴紐の挿通方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明の一態様に係る留め具は、
軸方向の一端部に開口を有する、2つの筒部と、
2つの前記筒部を、軸方向の両端部において、軸方向に移動可能に支持する連結軸部と、
2つの前記筒部を、前記連結軸部の軸方向外側に付勢するバネと、を備え、
2つの前記筒部は、
短手方向に1組の透孔が穿設された側壁を備え、
前記連結軸部は、
短手方向に2つの貫通路が穿設され、2つの前記貫通路の間に位置する軸方向の側面が平坦である柱状部と、を備え、
2つの前記筒部を、前記バネの付勢に抗して移動させた際に、2つの1組の前記透孔が、2つの前記貫通路と連通する、ことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、靴紐を緩めた際(図17)、連結軸部の側面と靴紐との間に隙間ができるため、靴紐を締めようとする際、連結軸部の側面の靴紐に指をかけやすくすることができる。
その結果、靴紐をより速やかに締めることができる。
【0012】
上記の留め具において、前記透孔及び前記貫通路は、軸方向に底辺を持つ三角形状である構成としてもよい。
【0013】
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、靴紐を緩める(留め具を上方に持ち上げる)際に、靴紐を、透孔及び貫通路における面積が大きい方向(三角形の底辺方向)に移動させることができる。
その結果、靴紐をより速やかに緩めることができる。
【0014】
上記の留め具において、前記透孔は、軸方向に伸びて前記透孔を2つに分ける透孔仕切部を備え、前記貫通路は、前記透孔仕切部に対応する位置に、貫通路仕切部を備える構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、留め具内に位置する2つの靴紐を、透孔仕切部及び貫通路仕切部で仕切られた空間にそれぞれ配置させることができるため、靴紐同士が接触することがなくなる。
その結果、靴紐が、靴紐間で滑って緩む可能性を低減させることができる。
【0016】
上記の留め具において、前記貫通路は、短手方向中央位置から、短手方向外側に向かって、軸方向と短手方向に直する方向に傾斜しており、前記透孔は、前記貫通路の端部に対応して位置している構成としてもよい。
【0017】
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、留め具に挿通させた後の靴紐が、上方に飛び出してしまう可能性を低減させることができる。
その結果、例えば、運動中に靴紐が引っ掛かり、靴紐が緩む可能性を低減させることができる。
【0018】
上記の留め具において、前記筒部の前記側壁は、軸方向の外側に向かって、外形が小さくなるように傾斜している構成を設けてもよい。
【0019】
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、靴の舌片と筒部の側壁との間に、隙間を設けることができる。
その結果、留め具の筒部の操作をしやすくすることができる。
【0020】
また、本発明の留め具を用いた、甲部に靴紐挿通孔が複数組双設されている靴における、靴紐の挿通方法は、
前記靴紐の一端部を、履き口から最も離れた前記靴紐挿通孔から前記履き口から3番目以降に位置する他方の前記靴紐挿通孔まで挿通させるとともに、前記靴紐の他端部を、前記靴紐の一端部が最後に挿通された前記靴紐挿通孔と同一行に位置する、一方の前記靴紐挿通孔まで挿通させる第1挿通工程と、
前記靴紐の一端部を、前記留め具に設けられた一方の1組の前記透孔に、前記留め具の短手方向の他端部側から挿通させ、その後、半円弧の輪を作った上で、他方の1組の前記透孔に、前記留め具の短手方向の一端部側から挿通させる第2挿通工程と、
前記靴紐の他端部を、前記留め具に設けられた一方の1組の前記透孔に、前記留め具の短手方向の一端部側から挿通させ、その後、半円弧の輪を作った上で、他方の1組の前記透孔に、前記留め具の短手方向の他端部側から挿通させる第3挿通工程と、
前記靴紐の一端部を、前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって2番目の行に位置する、他方の前記靴紐挿通孔に挿通させ、その後、前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって1番目の行に位置する、一方の前記靴紐挿通孔に挿通させる第4挿通工程と、
前記靴紐の他端部を、前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって2番目の行に位置する、一方の前記靴紐挿通孔に挿通させ、その後、前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって1番目の行に位置する、他方の前記靴紐挿通孔に挿通させる第5挿通工程と、
前記第1挿通工程において最後に挿通された前記靴紐挿通孔から履き口に向かって1番目の行に位置する前記靴紐挿通孔を挿通した先の、それぞれの靴紐に、前記靴紐挿通孔よりも大きな抜止部を設ける抜止部設置工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
この方法によれば、靴紐を緩めるために留め具を移動させた場合、複数の靴紐挿通孔付近の靴紐を緩めることができる。
また、留め具に挿通させた後の靴紐が、上方に飛び出してしまう可能性を低減させることができる。
その結果、靴紐をより速やかに締めたり緩めたりすることができ、かつ、靴紐が緩む可能性を低減させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の留め具及び靴紐の挿通方法によれば、靴紐をより速やかに締めたり緩めたりすることができ、かつ、靴紐が緩む可能性を低減させる留め具及び靴紐の挿通方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施形態に係る留め具の(a)平面図、(b)正面図及び(c)靴紐への取り付けた状態を表す説明図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る筒部の(a)平面図、(b)図2(a)のA-A線における断面図及び(c)右側面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る連結軸部の(a)平面図、(b)正面図、(c)図3(a)のA-A線における断面図及び(c)図3(a)のB-B線における断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るバネの(a)正面図及び(b)右側面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る留め具における筒部を操作する前の(a)平面図、(b)正面図及び(c)図5(a)のA-A線における断面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る留め具における筒部を操作した後の(a)平面図、(b)正面図及び(c)図6(a)のA-A線における断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る留め具の(a)平面図、(b)正面図及び(c)図7(a)のA-A線における断面図、(d)靴紐を固定していることを表す説明図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る留め具における(a)連結軸部の平面図、(b)連結軸部の正面図、(c)図8(a)のB-B線における断面図及び(d)筒部の正面図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係る留め具における(a)連結軸部の平面図、(b)連結軸部の正面図、(c)図9(a)のB-B線における断面図及び(d)筒部の正面図である。
図10】本発明の第5の実施形態に係る留め具の(a)平面図、(b)正面図及び(c)図10(a)のA-A線における断面図である。
図11】本発明の第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の第1挿通工程を表す説明図である。
図12】本発明の第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の第2挿通工程を表す説明図である。
図13】本発明の第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の第3挿通工程を表す説明図である。
図14】本発明の第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の第4挿通工程及び第5挿通工程を表す説明図である。
図15】本発明の第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の抜止部設置工程を表す説明図である。
図16】本発明の第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法で、靴紐を挿通した後に、靴紐を締めたところを表す説明図である。
図17】本発明の第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法で、靴紐を挿通した後に、靴紐を緩めたところを表す説明図である。
図18】本発明の第1変形例に係る留め具の(a)平面図及び(b)正面図である。
図19】本発明の靴紐の変形例における説明図である。
図20】本発明の留め具の第1変形例における(a)留め具の正面図、(b)連結軸部の正面図及び(c)靴紐への取り付けた状態を表す説明図である。
図21】本発明の留め具の第2変形例における(a)留め具の正面図、(b)連結軸部の平面図及び(c)連結軸部の正面図である。
図22】本発明の留め具の第3変形例における(a)平面図及び(b)正面図である。
図23】本発明の留め具の第3変形例における(a)ピストン状部の正面図及び(b)図22(a)のA-A線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.第1の実施形態
1.1.構成
以下、第1の実施形態に係る留め具10の構成について、図1乃至図4を参照して説明する。
なお、図1は、第1の実施形態に係る留め具の(a)平面図、(b)正面図及び(c)靴紐への取り付けた状態を表す説明図、
図2は、第1の実施形態に係る筒部の(a)平面図、(b)図2(a)のA-A線における断面図及び(c)右側面図、
図3は、第1の実施形態に係る連結軸部の(a)平面図、(b)正面図、(c)図3(a)のA-A線における断面図及び(c)図3(a)のB-B線における断面図、
図4は、第1の実施形態に係るバネの(a)正面図及び(b)右側面図である。
図1(b)に示すように、本発明の第1の実施形態に係る留め具10は、筒部1、連結軸部2、バネ3を備えている。
【0025】
1.1.1.筒部1
筒部1は、例えば、図2(a)乃至図2(c)に示すように、略円柱形状の側壁11からなり、前記側壁には、短手方向に1組の透孔12、連結軸部2が挿通される開口13が穿設されている。
【0026】
この筒部1の材質としては、製造のしやすさや製造コスト等を考慮して、合成樹脂を用いることが好ましい。
【0027】
筒部1の大きさは、例えば、軸方向(図2(a)におけるX方向)を約2cm、短手方向(図2(a)におけるY方向)の長さを約1cmとすることができる。
【0028】
透孔12の大きさ、形状は、靴紐が2本通せるように、例えば、直径約0.7cmの円形状とすることができる。
【0029】
開口13は、連結軸部2が挿通可能であれば、その大きさ、形状は限定されない。
【0030】
1.1.2.連結軸部2
連結軸部2は、例えば、図3(a)乃至図3(c)に示すように、軸方向の一端部に突出片21と、前記突出片21に接続され、貫通路22が穿設された柱状部23と、係止部24を備えている。
また、連結軸部2は、長手方向の両端部において、2つの筒部1を軸方向に移動可能に支持している。
【0031】
この連結軸部2の材質としては、製造のしやすさや製造コスト等を考慮して、合成樹脂を用いることが好ましい。
【0032】
連結軸部2の大きさは、例えば、軸方向(図3(a)におけるX方向)の長さを約3.5cm、短手方向(図3(a)におけるY方向)の長さを約0.8cmとすることができる。
【0033】
突出片21の形状は、バネ3を効果的に保持できるように、例えば、略円柱形状とすることできる。
【0034】
貫通路22の大きさ、形状は、靴紐が2本通せるように、例えば、直径約0.5cmの円柱形状とすることができる。
また、貫通路22の端部は、筒部1の透孔12の位置と対応している。
【0035】
係止部24の形状は、特に限定されないが、筒部1の透孔12に係止するような凸部とすることができる。
【0036】
1.1.3.バネ3
バネ3は、例えば、図4(a)、図4(b)及び図5(c)に示すように、筒部1を、連結軸部2の軸方向外側に付勢している。
また、バネ3の力が、適切に筒部1に伝わるように、バネ3は、連結軸部2の突出片21に嵌まるように形成している。
【0037】
このバネ3は、金属製のコイルバネを用いることができる。
【0038】
1.2.作用
以下、第1の実施形態に係る留め具10の作用について、図5及び図6を参照して説明する。
なお、図5は、第1の実施形態に係る留め具における筒部を操作する前の(a)平面図、(b)正面図及び(c)図5(a)のA-A線における断面図、
図6は、第1の実施形態に係る留め具における筒部を操作した後の(a)平面図、(b)正面図及び(c)図6(a)のA-A線における断面図である。
【0039】
留め具10は、筒部1に何の操作も加えていない場合には、図5(a)乃至図5(c)に示すように、筒部1が、バネ3の弾性力により、連結軸部2の軸方向外側に付勢されているため、筒部1の透孔12a、12b、12c、12dと、連結軸部2の貫通路22a、22bが連通していない。
【0040】
そのため、靴紐を通す場合には、図6(a)乃至図6(c)に示すように、筒部1を、連結軸部2の軸方向内側に押し込み、透孔12a、12b、12c、12dと、貫通路22a、22bを連通させる必要がある。
【0041】
透孔12a、12b、12c、12dと、貫通路22a、22bを連通させて、靴紐を通した後に、筒部1の操作を止めると、バネ3の弾性力により、筒部1が元の位置に戻ろうとする。
それにより、靴紐は、透孔12a、12b、12c、12dと、貫通路22a、22bとの間に挟み込まれて固定される。
【0042】
なお、靴紐を、留め具10から外す場合には、靴紐を通す場合の工程と反対の工程を辿ればよい。
【0043】
1.3.効果
以上に詳述したように、第1の実施形態の留め具10は、
軸方向の一端部に開口13を有する、2つの筒部1と、
2つの前記筒部1を、軸方向の両端部において、軸方向に移動可能に支持する連結軸部2と、
2つの前記筒部1を、前記連結軸部2の軸方向外側に付勢するバネ3と、を備え、
2つの前記筒部1は、
短手方向に1組の透孔12が穿設された側壁11を備え、
前記連結軸部2は、
短手方向に2つの貫通路22が穿設された柱状部23と、を備え、
2つの前記筒部1を、前記バネ3の付勢に抗して移動させた際に、2つの1組の前記透孔12が、2つの前記貫通路22と連通する、ことを特徴とする。
【0044】
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、靴紐を緩めた際(図17)、連結軸部2の側面と靴紐との間に隙間16ができるため、靴紐を締めようとする際、連結軸部2の側面の靴紐に指をかけやすくすることができる。
その結果、靴紐をより速やかに締めることができる。
【0045】
2.第2の実施形態
2.1.構成
以下、第2の実施形態に係る留め具10について、図7を参照して説明する。
なお、図7は、第2の実施形態に係る留め具の(a)平面図、(b)正面図及び(c)図7(a)のA-A線における断面図、(d)靴紐を固定していることを表す説明図である。
【0046】
2.1.1.透孔12、貫通路22
第2の実施形態においては、図7(b)及び図7(c)に示すように、筒部1の透孔12及び連結軸部2の貫通路22は、軸方向に底辺を持つ三角形状となっている点で、第1の実施形態と異なる。
【0047】
2.2.作用
以下、第2の実施形態に係る留め具10の作用について、図7及び図17(b)を参照して説明する。
【0048】
第2の実施形態に係る留め具10においては、筒部1の透孔12及び連結軸部2の貫通路22が、軸方向に底辺を持つ三角形状となっているため、図7(d)に示すように、留め具10内の靴紐5は、バネ3により軸方向外側に向かう透孔12と、貫通路22により形成された三角形状の空間4に挟み込まれて固定される。
【0049】
そのような構成により、第2の実施形態に係る留め具10においては、第1の実施形態に係る留め具10と異なり、靴紐5が、三角形を構成する3つの辺から圧力を受けることとなる。
その結果、靴紐がより強固に固定される。
【0050】
また、透孔12及び貫通路22が、軸方向に底辺を持つ三角形状であることから、図17(b)に示すように、靴紐を緩める(留め具10を上方に持ち上げる)際、靴紐を、透孔12及び貫通路22における面積が大きい方向(三角形の底辺方向)に移動させることができる。
【0051】
2.3.効果
この構成によれば、靴紐を、より強固に締めることができるとともに、靴紐をより速やかに緩めることができる。
【0052】
3.第3の実施形態
3.1.構成
以下、第3の実施形態に係る留め具10について、図8を参照して説明する。
なお、図8は、第3の実施形態に係る留め具における(a)連結軸部の平面図、(b)連結軸部の正面図、(c)図8(a)のB-B線における断面図及び(d)筒部の正面図である。
【0053】
3.1.1.透孔12、貫通路22
第3の実施形態においては、図8(d)に示すように、筒部1の透孔12は、軸方向に伸びて透孔12を2つに分ける透孔仕切部14を備え、また、図8(b)に示すように、連結軸部2の貫通路22は、透孔仕切部14に対応する位置に、貫通路仕切部25を備える点で、第1の実施形態と異なる。
なお、貫通路仕切部25における「透孔仕切部14に対応する位置」とは、図6のように筒部1を操作して、透孔12と貫通路22が連通した際に、透孔仕切部14と貫通路仕切部25が重なる位置であることを意味する。
【0054】
靴紐5を、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、2つの靴紐5が留め具内に位置することになるが、第3の実施形態においては、その2つの靴紐5はそれぞれ、例えば図8(c)及び図8(d)に示す、透孔仕切部14及び貫通路仕切部25により2つに分けられた透孔12b1、12b2及び貫通路22b1、22b2に挿通させることができる。
【0055】
3.2.効果
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、留め具内に位置する2つの靴紐を、透孔仕切部及び貫通路仕切部で仕切られた空間にそれぞれ配置させることができるため、靴紐同士が接触することがなくなる。
その結果、靴紐が、靴紐間で滑って緩む可能性を低減させることができる。
【0056】
4.第4の実施形態
4.1.構成
以下、第4の実施形態に係る留め具10について、図9を参照して説明する。
なお、図9は、第4の実施形態に係る留め具における(a)連結軸部の平面図、(b)連結軸部の正面図、(c)図9(a)のB-B線における断面図及び(d)筒部の正面図である。
【0057】
4.1.1.透孔12、貫通路22
第4の実施形態においては、図9(b)及び図9(c)に示すように、連結軸部2の貫通路22は、短手方向中央から外側に向かって、長手方向と短手方向に直する方向(図9(b)におけるZ方向)に傾斜しており、また、図9(d)に示すように、筒部1の透孔12は、貫通路22の端部に対応して位置している点で、第1の実施形態と異なる。
なお、の透孔12における「貫通路22の端部に対応する位置」とは、図6のように筒部1を操作した際に、透孔12と貫通路22が連通する位置であることを意味する。
【0058】
靴紐5を、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした際、第4の実施形態においては、透孔12及び貫通路22が、図9(b)におけるZ方向(下向き)に傾斜していることから、透孔12及び貫通路22を通った靴紐が、Z方向(下向き)に傾斜して留め具10の外側に出ることになる。
【0059】
4.2.効果
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、留め具に挿通させた後の靴紐が、上方に飛び出してしまう可能性を低減させることができる。
その結果、例えば、運動中に靴紐が引っ掛かり、靴紐が緩む可能性を低減させることができる。
【0060】
5.第5の実施形態
5.1.構成
以下、第5の実施形態に係る留め具10について、図10を参照して説明する。
なお、図10は、第5の実施形態に係る留め具の(a)平面図、(b)正面図及び(c)図10(a)のA-A線における断面図である。
【0061】
5.1.1.筒部1
第5の実施形態においては、図10に示すように、筒部1の側壁11が、軸方向の中央から外側に向かって、外形が小さくなるように傾斜している点で、第1の実施形態と異なる。
【0062】
筒部1をどの程度湾曲させるかは、特に限定されないが、例えば、靴の舌片と、筒部1の側壁11との間に、使用者の指先が入る程度の隙間を作ること等を考慮して設定することができる。
【0063】
5.2.効果
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、靴の舌片と筒部の側壁との間に、隙間を設けることができる。
その結果、留め具の筒部の操作をしやすくすることができる。
【0064】
6.第6の実施形態
6.1.靴紐の挿通方法
以下、上記の実施形態1乃至6における留め具10を用いた、甲部に靴紐挿通孔61、62、63、64、65が複数組双設されている靴における、靴紐5の挿通方法について、図11乃至図15を参照して説明する。
なお、図11は、第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の第1挿通工程を表す説明図、
図12は、第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の第2挿通工程を表す説明図、
図13は、第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の第3挿通工程を表す説明図、
図14は、第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の第4挿通工程及び第5挿通工程を表す説明図、
図15は、第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法の抜止部設置工程を表す説明図である。
【0065】
6.1.1.第1挿通工程
靴紐5の挿通方法は、図11に示すように、前記靴紐5の両端部を、それぞれ、履き口から最も離れた靴紐挿通孔65から履き口から3番目の靴紐挿通孔63まで挿通させる第1挿通工程を含んでいる。
なお、図11に示す実施形態では、履き口から最も離れた靴紐挿通孔65から「履き口から3番目の靴紐挿通孔63」まで挿通させているが、履き口から3番目以降の靴紐挿通孔(63、64若しくは65)であれば、どの靴紐挿通孔としても良い。
【0066】
図11に示す実施形態では、靴紐5を、靴紐挿通孔に内側から外側へ挿通させる、いわゆるアンダーラップと呼ばれる挿通方法を採用しているが、その挿通方法は特に限定されない。
【0067】
6.1.2.第2挿通工程
靴紐5の挿通方法は、図12(a)に示すように、前記靴紐5の一端部51aを、前記留め具10に設けられた一方の1組の前記透孔12a、12bに、前記留め具10の短手方向の他端部側(12b側)から挿通させ、その後、図12(b)に示すように、半円弧の輪52aを作った上で、他方の1組の前記透孔(12c、12d)に、前記留め具10の短手方向の一端部側(12d側)から挿通させる第2挿通工程を含んでいる。
【0068】
6.1.3.第3挿通工程
靴紐5の挿通方法は、図13(a)に示すように、前記靴紐5の他端部51bを、前記留め具10に設けられた一方の1組の前記透孔12a、12bに、前記留め具10の短手方向の一端部側(12a側)から挿通させ、その後、図13(b)に示すように、半円弧の輪52bを作った上で、他方の1組の前記透孔(12c、12d)に、前記留め具10の短手方向の他端部側(12c側)から挿通させる第3挿通工程を含んでいる。
【0069】
第2挿通工程と第3挿通工程を経ると、透孔12及び貫通路22には、それぞれ靴紐5が2本通る形となる。
また、第2挿通工程及び第3挿通工程で形成される半円弧の輪52a、52bは、靴紐5を緩める際の遊びとして用いられるとともに、靴紐5を締める際に、使用者の指を引っ掛ける部分としても用いられる。
なお、第2挿通工程と第3挿通工程の順序を反対とすることも可能である。
【0070】
6.1.4.第4挿通工程
靴紐5の挿通方法は、図14(a)に示すように、前記靴紐5の一端部51aを、履き口から3番目の前記靴紐挿通孔63から履き口に向かって2番目の、他方の靴紐挿通孔61bに挿通させ、その後、履き口から3番目の前記靴紐挿通孔63から履き口に向かって1番目の一方の靴紐挿通孔62aに挿通させる第4挿通工程を含んでいる。
なお、図14(a)に示す実施形態では、第1挿通工程において、履き口から最も離れた靴紐挿通孔65から「履き口から3番目の靴紐挿通孔63」まで挿通させているが、
「履き口から4番目の靴紐挿通孔64」まで挿通させた場合には、靴紐5を、靴紐挿通孔62b及び靴紐挿通孔63aに挿通させ、
「履き口から5番目の靴紐挿通孔65」まで挿通させた場合には、靴紐5を、靴紐挿通孔63b及び靴紐挿通孔64aに挿通させることとなる。
【0071】
図14(a)に示す実施形態では、靴紐5を、靴紐挿通孔61bに外側から内側へ挿通させているが、内側から外側としても良い。
ただし、靴紐5を、靴紐挿通孔61bに挿通させた後に、留め具10の舌片側を通すため、靴紐挿通孔61bに外側から内側へ挿通させることが好ましい。
【0072】
6.1.5.第5挿通工程
靴紐5の挿通方法は、図14(b)に示すように、前記靴紐5の他端部51bを、履き口から3番目の前記靴紐挿通孔63から履き口に向かって2番目の、一方の靴紐挿通孔61aに挿通させ、その後、履き口から3番目の前記靴紐挿通孔63から履き口に向かって1番目の他方の靴紐挿通孔62bに挿通させる第5挿通工程を含んでいる。
なお、図14(b)に示す実施形態では、第1挿通工程において、履き口から最も離れた靴紐挿通孔65から「履き口から3番目の靴紐挿通孔63」まで挿通させているが、
「履き口から4番目の靴紐挿通孔64」まで挿通させた場合には、靴紐5を、靴紐挿通孔62a及び靴紐挿通孔63bに挿通させ、
「履き口から5番目の靴紐挿通孔65」まで挿通させた場合には、靴紐5を、靴紐挿通孔63a及び靴紐挿通孔64bに挿通させることとなる。
【0073】
図14(b)に示す実施形態では、靴紐5を、靴紐挿通孔61aに外側から内側へ挿通させているが、内側から外側としても良い。
ただし、靴紐5を、靴紐挿通孔61aに挿通させた後に、留め具10の舌片側を通すため、靴紐挿通孔61aに外側から内側へ挿通させることが好ましい。
【0074】
なお、第4挿通工程と第5挿通工程の順序を反対とすることも可能である。
【0075】
6.1.6.抜止部設置工程
靴紐5の挿通方法は、図15に示すように、履き口から3番目の前記靴紐挿通孔63から履き口に向かって1番目の靴紐挿通孔62を挿通した先の、それぞれの靴紐5に、靴紐挿通孔よりも大きな抜止部53を設ける抜止部設置工程を含んでいる。
なお、図15に示す実施形態では、第1挿通工程において、履き口から最も離れた靴紐挿通孔65から「履き口から3番目の靴紐挿通孔63」まで挿通させているが、
「履き口から4番目の靴紐挿通孔64」まで挿通させた場合には、抜止部設置工程においては、靴紐5を、靴紐挿通孔63に挿通させ、
「履き口から5番目の靴紐挿通孔65」まで挿通させた場合には、抜止部設置工程においては、靴紐5を、靴紐挿通孔64に挿通させることとなる。
【0076】
図15に示す実施例では、抜止部53a、53bは、靴紐を結ぶことで構成している。結び目よりも先の靴紐5は、必要に応じて切断することができる。
この方法によれば、靴紐と留め具以外の別の部材を用意することなく、靴紐を挿通することが可能となる。
【0077】
また、図15に示す実施形態では、靴紐5を、靴紐挿通孔62に内側から外側へ挿通させているが、外側から内側としても良い。
ただし、靴紐挿通孔よりも大きな抜止部53の作りやすさ等を考慮して、靴紐挿通孔62に内側から外側へ挿通させることが好ましい。
【0078】
6.2.靴紐を調整する方法
以下、第6の実施形態に係る靴紐5の挿通方法で靴紐5を挿通した後に、靴紐5を調整する方法について、図16及び図17を参照して説明する。
なお、図16は、第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法で、靴紐を挿通した後に、靴紐を締めたところを表す説明図、
図17は、第6の実施形態に係る靴紐の挿通方法で、靴紐を挿通した後に、靴紐を緩めたところを表す説明図である。
【0079】
靴紐5を締める場合には、図16に示される、留め具10を挿通してできた2つの輪52a、52bに、それぞれ指を引っ掛けて、その指を、留め具10の短手方向(図16(a)のY方向)外側に引っ張ることで、靴紐5を締めることができる。
【0080】
靴紐5を緩める場合には、例えば、一方の手の親指と人差し指を使い、図16(a)に示される、留め具10の筒部1を、留め具10の軸方向(図16(a)のX方向)内側に向け押し込みながら、上方(図16(b)のZ方向)に引っ張ることで、靴紐5を緩めることができる。
なお、図17は、留め具10を上方に引っ張り、靴紐5を緩めた状態を示している。
【0081】
留め具10は、軸方向(図17(a)のX方向)の透孔間(例えば、透孔12aと透孔12dとの間)に凹部があるため、靴紐5を緩めた場合に、留め具10の側面と、靴紐5との間に隙間16が生じる。
【0082】
この構成によれば、靴紐5を締める際に、靴紐5を摘まみやすくなる。
【0083】
6.3.効果
この方法によれば、靴紐5を緩めるために留め具10を移動させた場合、複数の靴紐挿通孔(61及び63)付近の靴紐を緩めることができる。
また、留め具10に挿通させた後の靴紐5が、上方に飛び出してしまう可能性を低減させることができる。
その結果、靴紐5をより速やかに締めたり緩めたりすることができ、かつ、靴紐5が緩む可能性を低減させることができる。
【0084】
7.その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0085】
7.1.構成
7.1.1.筒部1
本発明の第1の実施形態では、図1乃至6に示すように、筒部1を円柱形状としているが、例えば、四角柱等の多角形状とすることも可能であり、その形状は限定されない。
【0086】
本発明の各実施形態では、図1乃至7に示すように、透孔12は略円形若しくは三角形としているが、例えば、楕円形や三角形以外の多角形とすることも可能である。
【0087】
本発明の第5の実施形態では、図10に示すように、側壁11が傾斜した筒部1に設けられた透孔12の形状は略円形のものであるが、側壁11が傾斜した筒部1であっても、透孔12の形状は特に限定されない。
また、側壁11が傾斜した筒部1であっても、透孔12に、図8(d)に示すような透孔仕切部14を設けても良い。
【0088】
7.1.2.連結軸部2
本発明の第1の実施形態では、図3に示すように、連結軸部2の係止部24が、筒部1の透孔12に係止する構成としているが、例えば、筒部1の内側に係止部を設け、連結軸部2側に、筒部1の係止部を係止する凹部を設ける構成としても良い。
【0089】
本発明の第4の実施形態では、図9(c)に示すように、貫通路22の中央部に角が設けられているが、角を無くした、滑らかな局面形状とすることも可能である。
【0090】
本発明の各実施形態では、図1乃至7に示すように、貫通路22は略円形若しくは三角形としているが、例えば、楕円形や三角形以外の多角形とすることも可能である。
【0091】
本発明の第4の実施形態では、図9に示すように、略円形の貫通路22が傾斜する構成となっているが、傾斜する貫通路22は、種々な形状のものであっても良い。
また、種々な形状の傾斜する貫通路22に、図8(b)に示すような貫通路仕切部25を設けても良い。
【0092】
本発明の各実施形態では、図9(b)及び図9(c)に示すように、貫通路22には、特段何も設けていないが、貫通路22a、22bを通る靴紐5が滑らないようにするために、靴紐5に食い込む突起を設けることも可能である。
【0093】
連結軸部2には、図18に示すように、靴紐5を締めようとする際、連結軸部2の側面の靴紐5に指をかけやすくするための凹部26を設けることも可能である。
【0094】
7.1.3.バネ3
本発明の各実施形態では、バネ3をコイルバネで構成しているが、その形状等は限定されるものではない。
【0095】
7.1.4.靴紐5
本発明の各実施形態では、図11に示すように、靴紐5の先端部51が、紐が解れないように合成樹脂や金属で覆われたものを採用しているが、図19に示すように、両端部(51a、51b)のみだけでなく、所定の間隔で、両端部のような合成樹脂や金属で覆われた部分(51c、51d、51e、51f)を設けた靴紐5を採用してもよい。
【0096】
この構成によれば、靴紐5を切断することで長さの調整をした場合であっても、切断部が解れないようにしやすくなる。
【0097】
本発明の第6の実施形態では、靴紐挿通孔よりも大きな抜止部53として、結び目を作る構成としているが、これに限らず、別の部材を用いて抜止部53を構成することも可能である。
【0098】
7.1.5.留め具10の変形例1
本発明の各実施形態においては、図1に示すように、留め具10は、軸方向に伸びた直線状の構成となっているが、例えば、図20に示すように、筒部1の軸方向の両端部が、軸方向と短手方向に直する方向(図20(a)におけるZ方向)に湾曲し、連結軸部2が、筒部1の湾曲に対応する形で湾曲する構成としても良い。

【0099】
この構成によれば、図11図17に示すような靴紐の挿通のさせ方をした場合には、靴の舌片と筒部1の側壁11との間に、隙間を設けることができる。
その結果、留め具10の筒部1の操作をしやすくすることができる。
【0100】
7.1.6.留め具10の変形例2
本発明の各実施形態においては、図1に示すように、留め具10は、筒部1を2つ有しているが、図21(a)に示すように、筒部1を軸方向に伸ばして1つの部材とし、側壁11に、2組の透孔12を穿設する構成としても良い。
【0101】
筒部1を1つの部材で構成した場合には、連結軸部2は、図21(b)及び図21(c)に示すように、バネ3が嵌まる突出片21を、長手方向の一端部側のみに設ける構成とすることができる。
そして、全ての係止部24を、貫通路22の長手方向の一端部側に設ける構成とすることができる。
【0102】
この構成によれば、留め具10の部品数を少なくすることができる。
【0103】
7.1.7.留め具10の変形例3
本発明の各実施形態においては、図3に示すように、留め具10を、使用者に操作される部位(筒部1)を筒状に形成しているが、図22及び図23に示すように、使用者に操作される部位(ピストン状部8)ではなく、それを移動可能に支持する部材(シリンダー状部7)を筒状に形成することができる。
【0104】
このような構成とする場合には、図22及び図23に示すように、シリンダー状部7に、2組の透孔12、開口13、周縁部15を設け、ピストン状部8に、突出片21、貫通路22、係止部24を設けることができる。
なお、上記の各実施形態の部位と同じ機能の部位には、同じ番号を付している。
【0105】
シリンダー状部7の周縁部15は、図23(b)に示すように、ピストン状部8の係止部24と係合し、ピストン状部8がシリンダー状部7から抜けてしまうことを防止する。
【0106】
なお、留め具10の変形例1乃至3においても、上記の第2乃至第5の実施形態、他の実施形態における構成を採用することができる。
【0107】
ただし、留め具10の変形例2及び3においては、連結軸部が存在しないため、図18に示すような、靴紐5に指をかけやすくするための凹部26を設けることができない。
そのため、変形例2においては側壁11に、変形例3においてはシリンダー状部7に凹部を設けることで、同様の機能を有する形とすることが可能である。
【0108】
7.1.8.靴紐の挿通方法
本発明の靴紐の挿通方法は、留め具10の他の実施形態、変形例1乃至3においても使用することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 :留め具
1 :筒部
11 :側壁
12 :透孔
13 :開口
14 :透孔仕切部
15 :周縁部
16 :隙間
2 :連結軸部
21 :突出片
22 :貫通路
23 :柱状部
24 :係止部
25 :貫通路仕切部
26 :凹部
3 :バネ
4 :空間
5 :靴紐
51 :先端部
52 :輪
53 :抜止部
61 :履き口から1番目の靴紐挿通孔
62 :履き口から2番目の靴紐挿通孔
63 :履き口から3番目の靴紐挿通孔
64 :履き口から4番目の靴紐挿通孔
65 :履き口から5番目の靴紐挿通孔
7 :シリンダー状部
8 :ピストン状部






【要約】
【課題】靴紐をより速やかに締めたり緩めたりすることができ、かつ、靴紐が緩む可能性を低減させる留め具及び靴紐の挿通方法を提供する。
【解決手段】留め具10は、軸方向の一端部に開口13を有する、2つの筒部1と、2つの前記筒部1を、軸方向の両端部において、軸方向に移動可能に支持する連結軸部2と、2つの前記筒部1を、前記連結軸部2の軸方向外側に付勢するバネ3と、を備え、2つの前記筒部1は、短手方向に1組の透孔12が穿設された側壁11を備え、前記連結軸部2は、短手方向に2つの貫通路22が穿設された柱状部23と、を備え、2つの前記筒部1を、前記バネ3の付勢に抗して移動させた際に、2つの1組の前記透孔12が、2つの前記貫通路22と連通する。
【選択図】図1


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23