(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】電動送風機及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/056 20060101AFI20230419BHJP
F04D 29/054 20060101ALI20230419BHJP
F04D 29/28 20060101ALI20230419BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
F04D29/056 A
F04D29/054
F04D29/28 L
F04D29/58 P
(21)【出願番号】P 2019038769
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝英
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-048506(JP,U)
【文献】実開昭51-086665(JP,U)
【文献】特開2016-133105(JP,A)
【文献】特開2016-000960(JP,A)
【文献】特開昭50-134203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/056
F04D 29/054
F04D 29/28
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、
前記ファンを回転させるモータと、
前記ファンを覆うファンカバーと、
前記ファンから排出された空気を整流する整流体と、を備え、
前記ファンは、吸込側から排気側に向かって拡大する円錐状のベース部と、前記ベース部に設けられた複数のブレードと、前記ベース部の排気側の中央部に設けられた軸受部と、を有するターボファンであり、
前記モータは、
シャフトと、
前記シャフトに配置された磁石部と、
前記シャフトに配置された前記ファンとともに回転するスピンドルと、
前記シャフトを回転可能に保持するベアリングと、を有し、
前記ファンは、吸込側を前記磁石部側として配置され、
前記
整流体は、前記ファンに対し前記磁石部と反対側に位置して前記ファンの前記ベース部と前記軸受部とにより囲まれる空間部に挿入され
るベアリング保持部を有し、
前記ベアリング保持部は、先端部に凹部を備え、
前記ベアリングは、前記
凹部の底部に端部が当接した状態で前記ベアリング保持部に保持されている
ことを特徴とする電動送風機。
【請求項2】
前記モータを駆動させる駆動回路を備え、
前記駆動回路は、前記ファンの上流側に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の電動送風機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電動送風機を備えた
ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁石部を備えるモータを有する電動送風機及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動送風機のモータのシャフトは、複数のベアリングにより回転自在に保持されている。このような電動送風機において、ファンの回転により生じた負圧に起因するベアリングの一端部と他端部との圧力差によって、ベアリングの内部の回転体と回転体を保持するリテーナとの間の潤滑剤が放出されて短寿命化しないようにするために、ベアリングの端部を別部材で覆う電動送風機が知られている。しかしながら、別部材を用いずに、電動送風機の構成をより簡素化しつつ長寿命化できるようにすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、簡素な構成で長寿命化が可能な電動送風機及びこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電動送風機は、ファンと、ファンを回転させるモータと、ファンを覆うファンカバーと、ファンから排出された空気を整流する整流体と、を備える。ファンは、吸込側から排気側に向かって拡大する円錐状のベース部と、ベース部に設けられた複数のブレードと、ベース部の排気側の中央部に設けられた軸受部と、を有するターボファンである。モータは、シャフトと、シャフトに配置された磁石部と、スピンドルと、ベアリングと、を有する。スピンドルは、シャフトに配置されたファンとともに回転する。ベアリングは、シャフトを回転可能に保持する。ファンは、吸込側を磁石部側として配置される。整流体は、ファンに対し磁石部と反対側に位置してファンのベース部と軸受部とにより囲まれる空間部に挿入されるベアリング保持部を有する。ベアリング保持部は、先端部に凹部を備える。ベアリングは、凹部の底部に端部が当接した状態でベアリング保持部に保持されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態の電動送風機を示す断面図である。
【
図2】(a)は一実施形態の電動送風機のファンを吸込側から示す斜視図、(b)は一実施形態の電動送風機のファンを排気側から示す斜視図である。
【
図3】一実施形態の電動送風機の
図1のI-I相当位置の断面図である。
【
図4】一実施形態の電動送風機を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
図1において、1は電動送風機を示す。電動送風機1は、負圧を生じさせ、負圧により空気を吸い込むとともに、内部を通過した空気を排気する。以下、本実施形態において、電動送風機1に空気が吸い込まれる側又は上流側を一端部側、空気が排気される側又は下流側を他端部側と定義する。
図1において、矢印A側を一端部側、矢印B側を他端部側とする。
【0009】
電動送風機1は、回転により負圧を生じさせるファン2を備える。ファン2は、合成樹脂又は金属により形成されている。本実施形態において、ファン2は、ターボファン又は3Dファンである。ターボファンとは、円錐状のベース部と、ベース部に設けられた複数のブレードと、を備えるファンをいう。すなわち、本実施形態において、ファン2は、円錐状のベース部3と、ベース部3に設けられた複数のブレード4と、を備える。
図2(a)及び
図2(b)に示すように、ベース部3は、吸込側である一端部から排気側である他端部に向かって拡大して形成されている。ファン2は、一端部の中央部から吸い込み、他端部の外周部側に排気するように形成されている。また、ベース部3の中央部には、ボス状の円筒部である軸受部5が形成されている。また、ブレード4は、ベース部3の表面に一体的に設けられている。各ブレード4は、ベース部3の一端部から他端部に向かい、ベース部3の稜線に対して湾曲して形成される。なお、ファン2は、ターボファン又は3Dファンに限られず、複数のブレード4を備える2Dファンでも構わない。
【0010】
ファン2は、ファンカバー6により覆われる。本実施形態において、ファンカバー6は、円筒状のカバー本体部7と、カバー本体部7の一端部に突設された円筒状の吸込部8と、を備えている。吸込部8は、他端部から一端部に向かい、徐々に縮径されるように形成されている。吸込部8には、ファン2の一端部側が挿入されて配置されている。吸込部8の先端部である一端部は、カバー吸込口9として開口されている。カバー吸込口9とファン2のブレード4との隙間が、吸い込まれた空気が通過する通気口10となっている。
【0011】
ファンカバー6は、モータ11に取り付けられる。ファン2の一端部側にモータ11が位置する。モータ11は、ブラシレスモータである。モータ11は、駆動回路13により駆動される。駆動回路13は、ファン2の上流側である電動送風機1の一端部側に配置されている。また、モータ11は、フレーム14を備えている。フレーム14は、合成樹脂等により形成されている。本実施形態において、フレーム14は、第一フレーム体15と、第二フレーム体16と、を備える。第一フレーム体15は、円筒状に形成されている。第一フレーム体15は、一端部から他端部に亘り、一定又は略一定の外径寸法を有する。本実施形態において、第一フレーム体15は、ファンカバー6のカバー本体部7と同径又は略同径に形成されている。第二フレーム体16は、円板状に形成されている。
図3に示すように、第二フレーム体16は、電動送風機1の吸込口となる通気穴18を備える。通気穴18は、単数又は複数形成されている。第二フレーム体16の通気穴18間は、放射状に延びる腕部19となっている。第二フレーム体16は、第一フレーム体15の一端部に取り付けられる。第二フレーム体16の他端部側にて第一フレーム体15の他端部側の内部に、ファンカバー6の吸込部8と、吸込部8の内方に位置するファン2の一端部側と、が位置する。なお、フレーム14は、第一フレーム体15と第二フレーム体16とにより構成されるものに限られず、三つ以上のフレーム体により構成されるものでもよいし、一つのフレーム体で一体的に構成されるものでもよい。
【0012】
図1に示すように、モータ11は、ステータ20を備える。ステータ20は、フレーム14の内部に位置している。本実施形態において、ステータ20は、第一フレーム体15の内部に位置している。ステータ20は、第二フレーム体16に対して他端部側に離れて位置している。
【0013】
ステータ20は、ステータコア21を備える。ステータコア21は、電磁鋼板等の磁性体が積層されて形成されている。ステータコア21は、対をなすティース22と、ティース22間に磁路を形成するヨーク部23とを一体的に備えている。ティース22は、中心軸に向かって突出している。ティース22は、互いに対向する先端部同士が離れて位置している。ティース22の先端部には、開口部24が形成されている。また、ステータ20は、各ティース22に巻回されるコイルを備えている。コイルは、ティース22に対し絶縁され、各ティース22に固定磁極を形成する。また、コイル及びティース22が、フレーム14の通気穴18に対向して配置されている。
【0014】
また、モータ11は、スピンドル26を備える。スピンドル26は、ロータを構成し、ファン2と一体的に回転する。スピンドル26は、ファン2が接続されるシャフト27を備えている。シャフト27は、金属等により形成された長尺の棒状体である。シャフト27の他端部側は、ファン2のベース部3の
図2(b)に示す軸受部5に挿通され、ファン2と一体的に固定されている。また、
図1に示すスピンドル26は、磁石部30を備えている。磁石部30は、シャフト27に固定されている。磁石部30は、焼結磁石や、ボンド磁石等が用いられる。磁石部30は、円筒状に形成され、シャフト27が同軸状に挿通されている。磁石部30は、シャフト27の一端部寄りに配置されている。磁石部30は、開口部24に位置し、外周面がステータコア21のティース22の先端部に対して隙間を介して対向するように配置されている。また、磁石部30の他端部は、ファン2の一端部に対向して位置している。ファン2の吸込側に磁石部30が位置する。
【0015】
さらに、モータ11は、ベアリング32を備えている。ベアリング32は、シャフト27を回転自在に保持している。ベアリング32は、シャフト27が接続される円環状の内輪51と、内輪51を囲む円環状の外輪52と、これら内輪51と外輪52との間に位置する複数の回転体53と、これら回転体53を保持するリテーナ54と、を備える。回転体53は、ボールやコロが用いられる。回転体53とリテーナ54との間には、潤滑剤であるグリースが保持されている。
【0016】
ベアリング32は、複数備えられている。本実施形態において、ベアリング32は、一対備えられている。ベアリング32には、第一ベアリング32aと、第二ベアリング32bと、が設定されている。第一ベアリング32aと第二ベアリング32bとは、シャフト27の長手方向又は軸方向に互いに離れて位置することで、スピンドル26又はロータの回転軸を安定させている。さらに、第一ベアリング32aと第二ベアリング32bとは、磁石部30を挟んで、シャフト27の一端部及び他端部にそれぞれ配置されている。
【0017】
シャフト27の一端部に配置された第一ベアリング32aは、一対のベアリングのうち、ファン2に対して遠くに位置する方のベアリングである。第一ベアリング32aは、フレーム14に保持されている。第一ベアリング32aは、磁石部30に対し、ファン2とは反対側に位置している。本実施形態において、第一ベアリング32aは、第二フレーム体16の中央部に形成された
図3に示す保持穴部33に取り付けられている。保持穴部33には、
図1に示す外輪52の外周部が固定されている。
【0018】
また、シャフト27の他端部に配置された第二ベアリング32bは、一対のベアリングのうち、ファン2に対して近くに位置する方のベアリングである。第二ベアリング32bは、ファン2に対し、磁石部30とは反対側に位置している。第二ベアリング32bと磁石部30との間にファン2が配置されている。第二ベアリング32bは、ファン2の排気側に位置している。本実施形態において、第二ベアリング32bは、整流体である整流板35に保持されている。整流板35は、ファン2から排出された空気を整流する。整流板35は、円環状の外囲部37と、外囲部37により周囲が囲まれる円形状の本体部38と、本体部38と外囲部37とを連結する一又は複数の整流翼39と、を備える。整流板35とモータ11との間に、ファンカバー6が挟み込まれている。外囲部37と、モータ11のフレーム14の第一フレーム体15と、の間に、ファンカバー6のカバー本体部7が挟み込まれている。本実施形態において、外囲部37は、フレーム14の第一フレーム体15と同径又は略同径に形成されている。また、整流板35には、第二ベアリング32bを保持するベアリング保持部40が突設されている。ベアリング保持部40は、本体部38に突設されている。ベアリング保持部40は、先端部がファン2の内部にまで延びている。ここで、ファン2の内部とは、任意平面に対するファン2の投影形状における外形よりも内側の部分をいうものとする。本実施形態において、ベアリング保持部40は、先端部である一端部が、ファン2の他端部よりも一端部寄りに位置している。また、ベアリング保持部40は、一端部が、ファン2のベース部3の背後にてベース部3と軸受部5とにより囲まれる空間部41に挿入されている。空間部41は、第二ベアリング32bに向かって徐々に拡径されている。ベアリング保持部40には、一端部に凹部42が形成されている。凹部42には、第二ベアリング32bが固定されている。第二ベアリング32bは、一端部がファン2の軸受部5に対して離れて対向し、他端部が凹部42の底部に当接している。本実施形態においては、第二ベアリング32bの全体がファン2の内部に位置しているが、第二ベアリング32bの少なくとも一部がファン2の内部に位置するようにしてもよい。また、本体部38と外囲部37との間が、通気開口43となっている。通気開口43に整流翼39が位置する。整流翼39は、整流板35の周方向に互いに離れて位置している。
【0019】
図4に示すように、電動送風機1は、電気掃除機45に用いられる。電気掃除機45は、本体46と、制御回路と、風路48と、集塵部49と、を備える。制御回路は、電動送風機1等を制御する。風路48は、電動送風機1の吸込側と連通して形成される。集塵部49は、風路48を介して空気とともに吸い込まれた塵埃を集積する。なお、
図4においては、使用者が本体46を被掃除面上で走行させて掃除をする、床走行型の電気掃除機45を示すが、本体46に直管状の風路48が接続されるスティック型やアップライト型、本体46を直接把持して掃除するハンディ型、あるいは本体46が自律走行して掃除する自走式等の各種掃除機でもよい。
【0020】
次に、一実施形態の電動送風機1の動作を説明する。
【0021】
駆動回路13によりモータ11が駆動され、スピンドル26がファン2とともに回転すると、ファン2の回転により生じた負圧によって、電動送風機1へと空気が吸い込まれる。空気は、駆動回路13の全体に沿って流れつつ一端部の通気穴18からフレーム14の内部に流入し、ステータ20の巻線間や開口部24を他端部に向かい流れて、ステータ20及び磁石部30を冷却する。さらに、空気は、カバー吸込口9とファン2との間の通気口10に流入し、ファン2のブレード4によりファン2の外周側へと吸込部8内を流れた後、ファン2の外周側から整流板35の整流翼39により整流されつつ、通気開口43から他端部へと排出される。
【0022】
上述したように、一実施形態によれば、ファン2が吸込側を磁石部30側として配置され、第二ベアリング32bが、ファン2に対し磁石部30と反対側に配置されているため、第二ベアリング32bの位置では、ファン2から空気が排出されて圧力が開放されているので、第二ベアリング32bの一端部と他端部との圧力差が少ない。そのため、第二ベアリング32bの一端部と他端部との圧力差による内部への空気の流れ込みを抑制でき、第二ベアリング32bの内部への塵埃の侵入や回転体53とリテーナ54との間の潤滑剤の流出を抑制できるので、別部材等を用いることなく簡素な構成で、電動送風機1を長寿命化できる。
【0023】
また、第二ベアリング32bがファン2に対し磁石部30側に配置されている場合には、第二ベアリング32bの両端部間の圧力差を抑制するためにファン2と第二ベアリング32bとの間の距離を十分に取らなければならなかったのに対し、本実施形態の場合には、第二ベアリング32bがファン2に対し磁石部30とは反対側に配置されているので、ファン2と第二ベアリング32bとの距離を離す必要がなく、電動送風機1が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0024】
さらに、従来の技術では、ファン2の吸込側を磁石部30側として配置するとともに、ファン2の吸込側の内方にポケット部を設け、このポケット部の内部に第二ベアリング32bを配置して第二ベアリング32bの端部をシールする。この場合には、ファン2のベース部3の一端部側の径寸法を、第二ベアリング32bが内部に配置されたポケット部よりも大きくしなければならないため、ファン2の径寸法を一定とする場合にはブレード4の幅が短くなり、電動送風機1の性能が低下するとともに、ブレード4の幅を一定とする場合には、ファン2の径寸法が大きくなり、電動送風機1が径方向に大型化する。それに対し、本実施形態の場合には、第二ベアリング32bがファン2に対し磁石部30とは反対側に配置されているので、従来の技術と比べて電動送風機1の性能の低下や径方向の大型化を招きにくい。
【0025】
また、第二ベアリング32bは、ベアリング保持部40の凹部42の底部に他端部が当接されていることで、他端部側がベアリング保持部40によってシールされる。そのため、第二ベアリング32b内に空気がより流れ込みにくくなることで、第二ベアリング32bの内部の潤滑剤の流出や塵埃の侵入をより効果的に抑制でき、電動送風機1をより長寿命化できる。
【0026】
特に、ファン2が、ターボファンである場合、真空度が高くなることから、第二ベアリング32bがファン2の吸込側にあると、一端部と他端部との圧力差がより大きくなる。そのため、本実施形態のように、ファン2に対し磁石部30と反対側に第二ベアリング32bを配置することで、ファン2をターボファンとした場合でも、圧力差に起因する空気の流れ込みによる第二ベアリング32bの内部からの潤滑剤の流出を抑制できる。
【0027】
また、モータ11がブラシレスモータの場合、磁石部30には焼結磁石やボンド磁石が用いられる。特にボンド磁石は熱に弱いため、シャフト27の周囲に位置する磁石部30に対してファン2の吸込側を対向させることで、ファン2の中心側に吸い込まれる空気によって磁石部30を効果的に冷却でき、熱に起因する磁石部30の劣化や磁石部30の過熱に起因する電動送風機1の性能の低下を抑制できる。
【0028】
第二ベアリング32bを整流板35に保持することで、第二ベアリング32bを保持するための別途の部材が不要であり、構成を簡素化でき、電動送風機1を低コスト化できる。
【0029】
第二ベアリング32bがファン2の内方の位置に配置されているため、第二ベアリング32bをより空気の流れがない場所に配置可能となるので、第二ベアリング32bの内部への塵埃の侵入や第二ベアリング32bの内部の潤滑剤の流出をより効果的に抑制でき、潤滑剤の流出に起因する短寿命化を抑制できる。また、第一ベアリング32aと第二ベアリング32bとの距離が近くなるので、スピンドル26又はシャフト27を短くすることができ、電動送風機1の剛性を向上でき、低振動化及び低騒音化が可能になる。
【0030】
特に、ファン2は、ベース部3が円錐形状のターボファンであるため、ベース部3の他端部側の空間部41を利用し、この空間部41に第二ベアリング32bを配置することで、ファン2の吸込側の形状を大きく変える必要がなく、ブレード4の十分な幅を確保して電動送風機1の性能を確保できる。
【0031】
モータ11を駆動させる駆動回路13をファン2の上流側に配置することで、駆動回路13全体に吸込風を当てることができ、駆動回路13を効果的に冷却できる。
【0032】
電動送風機1を電気掃除機45に用いることで、小型かつ軽量であるとともに、長寿命で低騒音の電気掃除機45を提供可能となる。
【0033】
なお、上記一実施形態において、第二ベアリング32bは、ファン2に対して磁石部30と反対側に配置されていれば、その位置はファン2の内部に限られない。
【0034】
第二ベアリング32bは、ファン2に対し磁石部30と反対側に位置していれば、整流板35に限られず、ファン2の磁石部30とは反対側の任意の構造体に保持される構成としてよい。
【0035】
電動送風機1は、吸引掃除機に限られず、ブロワ等の排気を利用する電気掃除機に利用してもよいし、電気掃除機以外の電気機器に利用してもよい。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 電動送風機
2 ファン
3 ベース部
4 ブレード
5 軸受部
6 ファンカバー
11 モータ
13 駆動回路
26 スピンドル
27 シャフト
30 磁石部
32b 第二ベアリング
35 整流体である整流板
40 ベアリング保持部
41 空間部
42 凹部
45 電気掃除機