(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 651B
H01L21/304 651L
(21)【出願番号】P 2019054965
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】植村 知浩
(72)【発明者】
【氏名】伊豆田 崇
(72)【発明者】
【氏名】東 克栄
(72)【発明者】
【氏名】脇田 明日香
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-082226(JP,A)
【文献】特開2008-078329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転可能に保持する基板保持部と、
前記基板の上面にリンス液を
斜めに吐出するリンス液ノズルを有するリンス液供給部と、
前記基板の前記上面に有機溶剤を吐出する有機溶剤ノズルを有する有機溶剤供給部と、
前記リンス液供給部および前記有機溶剤供給部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記リンス液が前記基板の前記上面を覆うように前記リンス液ノズルに前記基板の前記上面の中央に前記リンス液を吐出させ、
前記リンス液ノズルから吐出
される前記リンス液の吐出量を減少させることにより前記リンス液が前記基板に到達する到達位置を前記基板の前記上面の中央から外側に移動させ
、
前記リンス液の到達位置が前記基板の中央から外側に向かって移動した状態で前記有機溶剤ノズル
に前記基板の上面の中央に前記有機溶剤の吐出を開始
させ、
その後、前記リンス液の供給を停止
させ、
前記有機溶剤
が前記基板の前記上面を覆うように
、前記有機溶剤ノズルから前記基板の上面の中央に前記有機溶剤を吐出する、基板処理装置。
【請求項2】
前記リンス液ノズルは、前記リンス液の吐出量を減少させることにより前記リンス液の到達位置が前記基板の上面の中央から外側に移動するように固定されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記リンス液ノズルは、前記基板保持部が備えられるチャンバーに固定されている、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記リンス液ノズルからの前記リンス液の到達位置を移動させる際に前記リンス液が前記基板の前記上面の中心を覆うように前記リンス液供給部を制御する、請求項1
から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記リンス液ノズルは、前記基板の到達位置に到達した前記リンス液が前記基板の回転方向に対して反対方向の成分を有するように前記リンス液を吐出する、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記リンス液ノズルは、前記リンス液の吐出の開始から前記リンス液の吐出の停止までの間に移動せずに前記リンス液を吐出する、請求項1から
5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記リンス液ノズルは、前記リンス液の吐出の開始から前記リンス液の吐出の停止までの間に移動する、請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記有機溶剤ノズルは、前記有機溶剤の吐出の開始から前記有機溶剤の吐出の停止までの間に移動せずに前記有機溶剤を吐出する、請求項1から7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記有機溶剤ノズルからの前記有機溶剤の吐出を停止した後、前記基板の回転を継続するように前記基板保持部を制御する、請求項1から8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記基板の前記上面に対向する遮蔽板を有する遮蔽部材をさらに備える、請求項1から9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記遮蔽部材は、前記有機溶剤ノズルを有する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記遮蔽部材は、前記基板の前記上面に向けてガスを供給するガスノズルを有する、請求項10または11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板を保持しながら前記基板を回転させる工程と、
前記基板の上面にリンス液ノズルからリンス液を
斜めに吐出する工程と、
前記基板の前記上面に有機溶剤ノズルから有機溶剤を吐出する工程と
を包含し、
前記リンス液を吐出する工程および前記有機溶剤を吐出する工程において、
前記リンス液が前記基板の前記上面を覆うように前記リンス液ノズルに前記基板の前記上面の中央に前記リンス液を吐出させ、
前記リンス液ノズルから吐出
される前記リンス液の吐出量を減少させることにより前記リンス液が前記基板に到達する到達位置を前記基板の前記上面の中央から外側に移動させ
、
前記リンス液の到達位置が前記基板の中央から外側に向かって移動した状態で前記有機溶剤ノズル
に前記基板の上面の中央に前記有機溶剤の吐出を開始
させ、
その後、前記リンス液の供給を停止
させ、
前記有機溶剤
が前記基板の前記上面を覆うように
、前記有機溶剤ノズルから前記基板の上面の中央に前記有機溶剤を吐出する、基板処理方法。
【請求項14】
前記基板を回転させる工程において、前記基板は、疎水化処理されている、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記リンス液を吐出する前に、前記基板を薬液処理する工程をさらに包含する、請求項13に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、基板処理方法および半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、基板処理装置は半導体基板の製造に好適に用いられる。半導体基板の製造時にウォーターマークが発生することが問題となっている。ウォーターマークは基板上に不均一に発生するため、基板特性に悪影響を及ぼす。このため、ウォーターマークの発生を抑制する目的で、乾燥用有機溶剤としてIPAを供給する際に低湿度ガスを吐出することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の基板処理装置では、処理液としてリンス液を供給した後に、低湿度ガスを供給した状態でIPAの供給を開始しており、これにより、ウォーターマークの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基板処理装置では、処理液としてリンス液を供給した後に、リンス液ノズルを退避位置に退避させるとともにIPA吐出ノズルを基板の直上に移動させる。しかしながら、このように、リンス液の吐出と有機溶剤の吐出とを切り替える場合、低湿度ガスの流量が低いと、基板の上面が露出してしまい、基板にウォーターマークが発生することがある。また、低湿度ガスを長時間供給し続けると、基板処理にかかるコストが増大することになる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リンス液および有機溶剤を吐出する際のウォーターマークの発生を抑制可能な基板処理装置、基板処理方法および半導体製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板保持部と、リンス液供給部と、有機溶剤供給部と、制御部とを備える。前記基板保持部は、基板を回転可能に保持する。前記リンス液供給部は、前記基板の上面にリンス液を斜めに吐出するリンス液ノズルを有する。前記有機溶剤供給部は、前記基板の前記上面に有機溶剤を吐出する有機溶剤ノズルを有する。前記制御部は、前記リンス液供給部および前記有機溶剤供給部を制御する。前記制御部は、前記リンス液が前記基板の前記上面を覆うように前記リンス液ノズルに前記基板の前記上面の中央に前記リンス液を吐出させ、前記リンス液ノズルから吐出される前記リンス液の吐出量を減少させることにより前記リンス液が前記基板に到達する到達位置を前記基板の前記上面の中央から外側に移動させ、前記リンス液の到達位置が前記基板の中央から外側に向かって移動した状態で前記有機溶剤ノズルに前記基板の上面の中央に前記有機溶剤の吐出を開始させ、その後、前記リンス液の供給を停止させ、前記有機溶剤が前記基板の前記上面を覆うように、前記有機溶剤ノズルから前記基板の上面の中央に前記有機溶剤を吐出する。
ある実施形態において、前記リンス液ノズルは、前記リンス液の吐出量を減少させることにより前記リンス液の到達位置が前記基板の上面の中央から外側に移動するように固定されている。
ある実施形態において、前記リンス液ノズルは、前記基板保持部が備えられるチャンバーに固定されている。
【0008】
ある実施形態において、前記制御部は、前記リンス液ノズルからの前記リンス液の到達位置を移動させる際に前記リンス液が前記基板の前記上面の中心を覆うように前記リンス液供給部を制御する。
【0010】
ある実施形態において、前記リンス液ノズルは、前記基板の到達位置に到達した前記リンス液が前記基板の回転方向に対して反対方向の成分を有するように前記リンス液を吐出する。
【0011】
ある実施形態において、前記リンス液ノズルは、前記リンス液の吐出の開始から前記リンス液の吐出の停止までの間に移動せずに前記リンス液を吐出する。
【0012】
ある実施形態において、前記リンス液ノズルは、前記リンス液の吐出の開始から前記リンス液の吐出の停止までの間に移動する。
【0013】
ある実施形態において、前記有機溶剤ノズルは、前記有機溶剤の吐出の開始から前記有機溶剤の吐出の停止までの間に移動せずに前記有機溶剤を吐出する。
【0014】
ある実施形態において、前記制御部は、前記有機溶剤ノズルからの前記有機溶剤の吐出を停止した後、前記基板の回転を継続するように前記基板保持部を制御する。
【0015】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、前記基板の前記上面に対向する遮蔽板を有する遮蔽部材をさらに備える。
【0016】
ある実施形態において、前記遮蔽部材は、前記有機溶剤ノズルを有する。
【0017】
ある実施形態において、前記遮蔽部材は、前記基板の前記上面に向けてガスを供給するガスノズルを有する。
【0018】
本発明の別の局面によれば、基板処理方法は、基板を保持しながら前記基板を回転させる工程と、前記基板の上面にリンス液ノズルからリンス液を斜めに吐出する工程と、前記基板の前記上面に有機溶剤ノズルから有機溶剤を吐出する工程とを包含する。前記リンス液を吐出する工程および前記有機溶剤を吐出する工程において、前記リンス液が前記基板の前記上面を覆うように前記リンス液ノズルに前記基板の前記上面の中央に前記リンス液を吐出させ、前記リンス液ノズルから吐出される前記リンス液の吐出量を減少させることにより前記リンス液が前記基板に到達する到達位置を前記基板の前記上面の中央から外側に移動させ、前記リンス液の到達位置が前記基板の中央から外側に向かって移動した状態で前記有機溶剤ノズルに前記基板の上面の中央に前記有機溶剤の吐出を開始させ、その後、前記リンス液の供給を停止させ、前記有機溶剤が前記基板の前記上面を覆うように、前記有機溶剤ノズルから前記基板の上面の中央に前記有機溶剤を吐出する。
【0019】
ある実施形態では、前記基板を回転させる工程において、前記基板は、疎水化処理されている。
【0020】
ある実施形態では、前記基板処理方法は、前記リンス液を吐出する前に、前記基板を薬液処理する工程をさらに包含する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、リンス液および有機溶剤を吐出する際のウォーターマークの発生を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。
【
図3】(a)~(d)は、本実施形態の基板処理方法のフローを説明するための模式図である。
【
図4】(a)~(d)は、本実施形態の基板処理方法のフローを説明するための模式図である。
【
図6】本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。
【
図7】(a)~(c)は、本実施形態の基板処理方法のフローを説明するための模式図である。
【
図8】(a)~(c)は、本実施形態の基板処理方法のフローを説明するための模式図である。
【
図9】(a)~(c)は、本実施形態の基板処理方法のフローを説明するための模式図である。
【
図10】(a)および(b)は、本実施形態の基板処理装置においてリンス液の到達位置の移動を示す模式図である。
【
図11】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【
図12】(a)~(d)は、本実施形態の基板処理方法のフローを説明するための模式図である。
【
図13】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置、基板処理方法および半導体製造方法の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を記載することがある。典型的には、X方向およびY方向は水平方向に平行であり、Z方向は鉛直方向に平行である。
【0025】
図1を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。
【0026】
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0027】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板を含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0028】
基板処理装置100は、チャンバー110と、基板保持部120と、リンス液供給部130と、有機溶剤供給部140とを備える。チャンバー110は、基板Wを収容する。基板保持部120は、基板Wを保持する。リンス液供給部130は、基板Wにリンス液を供給する。有機溶剤供給部140は、基板Wに有機溶剤を供給する。
【0029】
チャンバー110は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー110は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー110には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー110内に収容され、チャンバー110内で処理される。チャンバー110には、基板保持部120、リンス液供給部130、有機溶剤供給部140のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0030】
基板保持部120は、基板Wを保持する。基板保持部120は、基板Wの上面Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。
【0031】
例えば、基板保持部120は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部120は、基板Wを裏面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部120は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部120は、非デバイス形成面である基板Wの裏面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部120は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0032】
例えば、基板保持部120は、スピンベース121と、チャック部材122と、シャフト123と、電動モーター124とを含む。チャック部材122は、スピンベース121に設けられる。チャック部材122は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース121には、複数のチャック部材122が設けられる。
【0033】
シャフト123は、中空軸である。シャフト123は、回転軸AXに沿って鉛直方向に延びている。シャフト123の上端には、スピンベース121が結合されている。基板Wの裏面は、スピンベース121に接触し、基板Wは、スピンベース121の上方に載置される。
【0034】
スピンベース121は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト123は、スピンベース121の中央部から下方に延びる。電動モーター124は、シャフト123に回転力を与える。電動モーター124は、シャフト123を回転方向Rに回転させることにより、回転軸AXを中心に基板Wおよびスピンベース121を回転させる。ここでは、回転方向Rは、反時計回りである。
【0035】
リンス液供給部130は、基板Wの上面Waにリンス液を供給する。リンス液を用いたリンス処理により、基板Wの上面Waに付着した薬液および不純物等を洗い流すことができる。リンス液供給部130から供給されるリンス液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0036】
リンス液供給部130は、リンス液ノズル132と、供給管134と、バルブ136とを含む。ノズル132は、基板Wの上面Waと対向し、基板Wの上面Waに向けてリンス液を吐出する。供給管134は、ノズル132に結合される。ノズル132は、供給管134の先端に設けられる。供給管134には、供給源からリンス液が供給される。バルブ136は、供給管134に設けられる。バルブ136は、供給管134内の流路を開閉する。本明細書において、リンス液ノズル132を単にノズル132と記載することがある。
【0037】
有機溶剤供給部140は、基板Wの上面Waに有機溶剤を供給する。有機溶剤を用いた有機溶剤処理により、基板Wの上面Waのリンス液が有機溶剤に置換される。典型的には、有機溶剤の揮発性は、リンス液の揮発性よりも高い。
【0038】
有機溶剤供給部140から供給される有機溶剤は、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol:IPA)を含んでもよい。あるいは、有機溶剤は、エタノール、アセトン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(propylene glycol ethyl ether:PGEE)、または、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propyleneglycol monomethyl ether acetate:PGMEA)を含んでもよい。
【0039】
有機溶剤供給部140は、有機溶剤ノズル142と、供給管144と、バルブ146とを含む。ノズル142は、基板Wの上面Waと対向し、基板Wの上面Waに向けて有機溶剤を吐出する。供給管144は、ノズル142に結合される。ノズル142は、供給管144の先端に設けられる。供給管144には、供給源から有機溶剤が供給される。バルブ146は、供給管144に設けられる。バルブ146は、供給管144内の流路を開閉する。本明細書において、有機溶剤ノズル142を単にノズル142と記載することがある。
【0040】
有機溶剤供給部140は、ノズル移動部148をさらに含む。ノズル移動部148は、吐出位置と退避位置との間でノズル142を移動する。ノズル142が吐出位置にある場合、ノズル142は、基板Wの上方に位置する。ノズル142が吐出位置にある場合、ノズル142は、基板Wの上面Waに向けて有機溶剤を吐出する。ノズル142が退避位置にある場合、ノズル142は、基板Wよりも基板Wの径方向外側に位置する。
【0041】
ノズル移動部148は、アーム148aと、回動軸148bと、ノズル移動機構148cとを含む。アーム148aは、略水平方向に沿って延びる。アーム148aの先端部にはノズル142が取り付けられる。アーム148aは、回動軸148bに結合される。回動軸148bは、略鉛直方向に沿って延びる。ノズル移動機構148cは、回動軸148bを略鉛直方向に沿った回動軸線のまわりに回動させて、アーム148aを略水平面に沿って回動させる。その結果、ノズル142が略水平面に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構148cは、回動軸148bを回動軸線のまわりに回動させるアーム揺動モーターを含む。アーム揺動モーターは、例えば、サーボモーターである。また、ノズル移動機構148cは、回動軸148bを略鉛直方向に沿って昇降させて、アーム148aを昇降させる。その結果、ノズル142は、略鉛直方向に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構148cは、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるアーム昇降モーターとを含む。アーム昇降モーターは、例えば、サーボモーターである。
【0042】
基板処理装置100は、カップ180をさらに備える。カップ180は、基板Wから飛散した液体を回収する。カップ180は、基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇できる。また、カップ180は、基板Wの側方から鉛直下方に下降してもよい。
【0043】
基板処理装置100は、制御装置101をさらに備える。制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。
【0044】
制御装置101は、制御部102と、記憶部104とをさらに備える。制御部102は、プロセッサを含む。プロセッサは、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、プロセッサは汎用演算機を有してもよい。例えば、制御部102は、基板保持部120、リンス液供給部130、有機溶剤供給部140および/またはカップ180を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター124、バルブ136、バルブ146、ノズル移動機構148cおよび/またはカップ180を制御する。
【0045】
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0046】
なお、記憶部104には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されている。基板処理装置100は、コンピュータプログラムに定められた手順に従って動作する。
【0047】
本実施形態の基板処理装置100では、ノズル132から吐出されたリンス液で基板Wの上面Waを覆う。これにより、基板Wの上面Waはリンス処理される。この場合、ノズル132からの到達位置は、基板Wの上面Waの中央であることが好ましい。これにより、ノズル132からのリンス液の流量が比較的少なくてもリンス液で基板Wの上面Waを覆うことができる。
【0048】
また、本実施形態の基板処理装置100では、基板Wの上面Waにおけるノズル132からのリンス液の到達位置を移動させてノズル142からの有機溶剤の吐出を開始する。これにより、リンス液の到達位置から離れた位置に有機溶剤を吐出することができ、リンス液と有機溶剤とのスプラッシュによる不具合の発生を抑制できる。また、本実施形態の基板処理装置100では、ノズル142から吐出された有機溶剤で基板Wの上面Waを覆う。これにより、基板Wの上面Waを覆うリンス液は有機溶剤に置換される。なお、基板Wの上面Waを覆うリンス液を有機溶剤に置換することにより、基板Wの上面Waを好適に乾燥させることができる。
【0049】
本実施形態の基板処理装置100によれば、簡易な構成でリンス処理および有機溶剤処理を行いつつ、リンス処理と有機溶剤処理との間に基板Wの上面Waが露出することを回避できる。さらに、本実施形態の基板処理装置100では、リンス液と有機溶剤とを同じ位置に吐出することによって生じるスプラッシュを抑制できる。
【0050】
なお、本実施形態の基板処理装置100は、半導体の設けられた半導体基板の処理に好適に用いられる。典型的には、半導体基板には、基材の上に導電層および絶縁層が積層されている。基板処理装置100は、半導体基板の製造時に、導電層および/または絶縁層の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0051】
なお、リンス液として水または水系溶液が好適に用いられる。この場合、基板Wの上面Waが疎水化処理されていると、リンス液が基板Wの上面Waを流れる速度は、有機溶剤が基板Wの上面Waを流れる速度よりも速く、ノズル142からの有機溶剤を吐出するタイミングが遅れると、基板Wの上面Waの少なくとも一部がいずれの液体にも覆われずに露出してしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態の基板処理方法によれば、ノズル142からの有機溶剤の吐出を開始する際に、ノズル132からリンス液が吐出されているため、基板Wの上面Waが露出することを抑制できる。このように、本実施形態の基板処理方法は、疎水性の基板Wの処理に好適に適用される。ただし、本実施形態の基板処理方法は、親水性の基板Wの処理に適用されてもよい。
【0052】
以下、
図1および
図2を参照して、本実施形態の基板処理方法のフローを説明する。
図2は、本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。
【0053】
ステップS102において、リンス液供給部130は、基板Wの上面Waにリンス液を供給する。ここでは、リンス液供給部130のノズル132から基板Wの上面Waにリンス液が吐出される。基板Wの上面Waの全面はリンス液で覆われ、上面Waはリンスされる。
【0054】
なお、基板Wは、チャンバー110内に収容されており、基板Wは、基板保持部120に保持されている。基板Wが基板保持部120に保持されて所定の回転速度で回転した状態で、リンス液供給部130は基板Wにリンス液を供給する。このとき、リンス液供給部130の供給したリンス液は、基板Wの上面Waにわたって広がり、基板Wの上面Waの全体を覆う。
【0055】
例えば、
図1に示したように、ノズル132は、基板Wの上面Waに対して斜めに向いていてもよい。この場合、ノズル132は、チャンバー110に固定されていてもよい。また、ノズル132は、基板Wの上面Waの上方から基板Wに対して斜めにリンス液を吐出してもよい。あるいは、ノズル132は、基板Wの上面Waに対して垂直に対向しており、ノズル132は、基板Wの上面Waの上方から基板Wに対して鉛直方向にリンス液を吐出してもよい。
【0056】
例えば、ノズル132から吐出されたリンス液は、チャンバー110内の雰囲気中を飛行して基板Wの上面Waの中央に到達する。例えば、リンス液は、基板Wの中心に到達してもよい。あるいは、リンス液は、基板Wの中心近傍に到達してもよい。
【0057】
ステップS104において、リンス液供給部130のノズル132からのリンス液が基板Wに到達する位置を移動させる。例えば、リンス液の到達位置は、基板Wの中央から基板Wの端部に向かって移動する。
【0058】
一例では、ノズル132から斜めにリンス液を吐出する場合、ノズル132から吐出されるリンス液の流量を減少することにより、リンス液が基板Wに到達する到達位置を移動できる。あるいは、ノズル132の位置を移動させることにより、リンス液が基板Wに到達する到達位置を移動できる。
【0059】
リンス液の到達位置の移動とともに、ノズル132から吐出されるリンス液の流量(吐出量)を変更してもよい。例えば、リンス液の到達位置の移動とともに、ノズル132からのリンス液の流量を減少させてもよい。ただし、リンス液の流量は、リンス液の到達位置が移動した後でも少なくとも基板Wの上面Waの中心がリンス液に覆われるように設定されていることが好ましい。
【0060】
あるいは、ノズル132の位置を移動させることにより、リンス液が基板Wの上面Waに到達する到達位置を移動してもよい。例えば、ノズル132の位置を基板Wの径方向外側に向かって移動させることにより、リンス液が基板Wに到達する到達位置を移動してもよい。または、ノズル132から斜めにリンス液を吐出する場合、ノズル132の位置を下方に移動させることにより、リンス液が基板Wに到達する到達位置を移動させてもよい。
【0061】
ステップS106において、リンス液供給部130のノズル132からのリンス液が基板Wの上面Waにリンス液を吐出した状態で、有機溶剤供給部140は、有機溶剤を基板Wの上面Waに供給する。このとき、有機溶剤供給部140のノズル142から、有機溶剤が基板Wの上面Waに吐出される。
【0062】
なお、ノズル142は、基板Wの上面Waに対して垂直に対向しており、ノズル142は、基板Wの上面Waの上方から基板Wに対して鉛直方向に有機溶剤を吐出してもよい。あるいは、ノズル142は、基板Wの上面Waに対して斜めに向いており、ノズル142は、基板Wの上面Waの上方から基板Wの上面Waに対して斜めに有機溶剤を吐出してもよい。
【0063】
なお、S104においてノズル132からのリンス液の到達位置の移動が始まってからすぐに、S106におけるノズル142からの有機溶剤の吐出を開始してもよい。あるいは、S104においてノズル132からのリンス液の到達位置の移動が始まってから所定期間経過後に、S106におけるノズル142からの有機溶剤の吐出を開始してもよい。
【0064】
ステップS108において、ノズル142からの有機溶剤の吐出を継続する一方で、ノズル132からのリンス液の吐出を停止する。なお、有機溶剤の吐出を継続する場合でも、ノズル142からの有機溶剤の流量を変化させてもよい。例えば、ノズル142からの有機溶剤の流量を増加させてもよい。
【0065】
本実施形態の基板処理方法によれば、ノズル132は、基板Wの上面Waの全面を覆うことができる位置からリンス液を吐出した後で、ノズル142が有機溶剤の吐出を開始する前に、リンス液の到達位置を別の位置に移動させてノズル132およびノズル142からそれぞれリンス液および有機溶剤を吐出する。このように、リンス液の吐出を停止する前にリンス液および有機溶剤を同時に吐出するため、ウォーターマークの発生を抑制できる。また、ノズル132からのリンス液およびノズル142からの有機溶剤は、それぞれ基板Wの上面Waの全面を覆うことができる。このため、簡易な構成かつ少量のリンス液および有機溶剤で基板Wの上面Waの全面を処理できる。
【0066】
なお、有機溶剤およびリンス液を同時に吐出する場合、有機溶剤の到達位置はリンス液の到達位置とは異なることが好ましい。この場合、リンス液および有機溶剤を同時に吐出する際に生じるウォーターマークの発生を抑制できる。
【0067】
リンス液および有機溶剤が同時に同じ到達位置に到達してスプラッシュが発生すると、リンス液および有機溶剤の液滴が発生してカップまたはチャンバーに付着することがある。この場合、カップまたはチャンバーに付着した液滴が、その後の基板処理時に基板Wに付着すると、基板Wにウォーターマークが発生することがある。また、スプラッシュの発生によって、チャンバー内にリンス液および有機溶剤がミスト化することがある。この場合、ミスト化した成分がその後の基板処理時に基板Wに付着すると、ウォーターマークが発生することがある。また、スプラッシュの発生によって、基板Wの上面Waを覆う液体が跳ね上がり、基板Wの上面Waが瞬間的に露出してしまうと、基板Wの上面Waが汚染されてしまい、ウォーターマークが発生することがある。
【0068】
このため、有機溶剤およびリンス液を同時に吐出する場合、有機溶剤の到達位置がリンス液の到達位置とは異なることが好ましい。これにより、リンス液および有機溶剤を同時に吐出する際に生じるウォーターマークの発生を抑制できる。
【0069】
なお、ノズル132からのリンス液およびノズル142からの有機溶剤は、基板Wの上面Waの中央に到達する場合、リンス液および有機溶剤のそれぞれの流量が比較的少なくても、リンス液および有機溶剤のそれぞれは、基板Wの上面Waの全面を覆うことができる。ただし、ノズル132からのリンス液とともにノズル142から有機溶剤を吐出する際にノズル142からの有機溶剤が基板Wの中心に到達するように設定される場合、ノズル132からのリンス液の移動のタイミングおよび/またはノズル142からの有機溶剤の吐出開始のタイミングのずれを考慮して、リンス処理時のノズル132からのリンス液の到達位置は基板Wの中心から若干離れていることが好ましい。
【0070】
次に、
図1~
図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100のフローを説明する。
図3は、基板処理装置100の基板処理方法を説明するための模式図である。
【0071】
図3(a)に示すように、ノズル132は、基板Wにリンス液を吐出する。基板Wの上面Waは、リンス液でリンスされる。
【0072】
ここでは、ノズル132は、基板Wの上面Waに対して斜めを向くように配置されており、ノズル132から吐出されたリンス液は基板Wの上面Waに対して斜めに入射する。ノズル132から、比較的高い流量のリンス液を吐出すると、リンス液は、ノズル132から基板Wの上面Waに向かって直線状に進行する。例えば、リンス液の流量は、500mL/秒以上5000mL/秒以下である。
【0073】
例えば、基板Wの直径は、40mm以上400mm以下である。また、基板Wの厚さは、0.3mm以上2mm以下である。
【0074】
基板保持部120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。基板Wの回転速度は、100rpm以上3000rpm以下である。基板Wは、
図3(a)から
図3(d)にわたって回転する。
【0075】
ノズル132は、基板Wの中央にリンス液を吐出する。これにより、リンス液は、基板Wの上面Waの中央に到達し、中央から基板Wの上面Waの全面を覆うように流れる。典型的には、基板Wの上面Waにおいて、到達位置のリンス液の厚さは、他の領域のリンス液の厚さよりも大きい。
【0076】
なお、ノズル132の到達位置は、基板Wの上面Waの中央である一方で、基板Wの上面Waの中心でなくてもよい。ノズル132は、基板Wの中心近傍にリンス液を吐出してもよい。一例では、ノズル132は、基板Wの中心から5mm以上30mm以下の離れた位置にリンス液を吐出する。詳細は後述するが、リンス液は、基板Wの回転方向に対して反対方向の成分を有するように吐出されることが好ましい。
【0077】
図3(b)に示すように、基板Wに対するノズル132からのリンス液の到達位置を移動させる。ノズル132からのリンス液の到達位置は、基板Wの中央から基板Wの端部に向かって移動する。このとき、ノズル132からのリンス液の流量は、リンス液が基板Wの上面Waの全面を覆うことができる量である。
【0078】
ここでは、ノズル132の向きを変更することにより、ノズル132からのリンス液の到達位置が移動する。例えば、ノズル132の向きと鉛直方向とのなす角度が小さくなるようにノズル132の向きを変更させる。
【0079】
図3(c)に示すように、基板Wに対するノズル132からのリンス液の到達位置が基板Wの中央から端部に向かって移動した後で、ノズル142から有機溶剤を基板Wの上面Waに吐出する。リンス液の到達位置の移動距離は、例えば、5mm以上30mm以下である。例えば、移動距離は、基板Wの直径の2%以上20%以下である。
【0080】
例えば、ノズル142からの有機溶剤の流量は、
図3(a)におけるノズル132からのリンス液の流量よりも少ない。典型的には、ノズル142からの有機溶剤の流量は、100mL/秒以上1000mL/秒以下である。
【0081】
図3(d)に示すように、ノズル142から有機溶剤を基板Wの上面Waに吐出し続ける一方で、ノズル132からのリンス液の吐出を停止する。ノズル142からの有機溶剤の流量は、有機溶剤が基板Wの上面Waの全面を覆うことができる量である。
【0082】
有機溶剤を所定期間吐出した後で、有機溶剤の吐出を停止する。さらに、有機溶剤の吐出を停止した後も、基板Wの回転を継続して基板Wの上面Wa上の有機溶剤を乾燥させることが好ましい。
【0083】
本実施形態によれば、ノズル132からのリンス液は、基板Wの上面Waの全面を覆う位置に単独で吐出された後で、リンス液の到達位置を移動させて、有機溶剤を基板Wの上面Waに吐出する。このため、ノズル132からのリンス液およびノズル142からの有機溶剤で基板Wの上面Waの全面を覆うことができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、リンス液は、基板Wの上面Waの全面を覆う位置に単独で吐出された後で、有機溶剤を基板Wの上面Waに吐出する際に、リンス液の到達位置が有機溶剤の到達位置とは異なる位置に移動している。このため、有機溶剤を吐出する際に有機溶剤の到達位置がリンス液の到達位置とは異なるため、リンス液および有機溶剤を同時に基板Wの上面Waに吐出してもスプラッシュに起因する不具合の発生を抑制できる。
【0085】
さらに、本実施形態によれば、必ずしも基板Wの回転速度を変化させなくてもよい。このため、基板Wの処理のスループットを低下させることなく基板Wをリンス液および有機溶剤で処理できる。
【0086】
なお、
図3では、リンス液の到達位置が移動する前後においてリンス液の流量を変化させなかったが、本実施形態はこれに限定されない。リンス液の到達位置が移動する前後においてリンス液の流量を変化させてもよい。
【0087】
次に、
図1~
図4を参照して、本実施形態の基板処理方法のフローを説明する。
図4(a)~
図4(d)は、本実施形態の基板処理方法を説明するための模式図である。なお、
図4(a)~
図4(d)のうちの
図4(a)および
図4(d)は、上述した
図3(a)および
図3(d)と同様であるため、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
【0088】
図4(a)に示すように、ノズル132からリンス液を基板Wの上面Waに吐出する。ここでは、ノズル132は、斜め方向から基板Wの上面Waにリンス液を吐出する。
【0089】
図4(b)に示すように、ノズル132からのリンス液の到達位置を移動させるとともに、リンス液の流量を減少する。ただし、この場合でも、リンス液は、基板Wの上面Waの中心を覆うように吐出される。また、リンス液の流量は、リンス液が基板Wの上面Waの全面を覆う量であることが好ましい。
【0090】
図4(c)に示すように、ノズル132からのリンス液の流量が減少した状態で、ノズル142から有機溶剤を基板Wの上面Waに吐出する。ここでは、有機溶剤の流量は、基板Wの上面Waの全面を覆うことのできる量であることが好ましい。
【0091】
図4(d)に示すように、リンス液の供給を停止する一方で、ノズル142からの有機溶剤の吐出を継続する。これにより、有機溶剤は、基板Wの上面Waの全面を覆う。なお、ノズル142からの有機溶剤の流量は、リンス液の供給の停止の前からリンス液の供給の停止の後にわたって増加させてもよい。
【0092】
本実施形態によれば、ノズル142から有機溶剤を吐出する際に、リンス液の到達位置は基板Wの中心から離れているとともにリンス液の流量も減少している。このため、ノズル142から有機溶剤を吐出しても、有機溶剤およびリンス液の同時吐出によるスプラッシュに起因してウォーターマークが発生することを抑制できる。
【0093】
なお、
図4では、ノズル142から有機溶剤を吐出する前にノズル132からのリンス液の流量を低減させたが、本実施形態はこれに限定されない。ノズル132からのリンス液の流量を変化させることなくリンス液の到達位置を移動させるとともに、ノズル142からの有機溶剤の吐出を開始し、有機溶剤の流量を増加させてもよい。ただし、典型的には、リンス処理時のリンス液の流量は、有機溶剤処理時の有機溶剤の流量よりも大きいため、リンス液の流量は比較的大きく変更可能である。
【0094】
なお、本実施形態におけるリンス液および有機溶剤で処理する前に、基板Wを薬液で処理することが好ましい。また、有機溶剤で処理した後に、基板Wの上面Waを乾燥させることが好ましい。
【0095】
次に、
図5を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図5は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。なお、
図5の基板処理装置100は、薬液供給部150、遮蔽部材160およびガス供給部170をさらに備える点を除いて、
図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。本実施形態の基板処理装置100は、チャンバー110、基板保持部120、リンス液供給部130および有機溶剤供給部140に加えて薬液供給部150、遮蔽部材160およびガス供給部170をさらに備える。
【0096】
薬液供給部150は、基板Wの上面Waに薬液を供給する。薬液により、基板Wを処理できる。例えば、薬液により、基板Wには、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つが行われる。
【0097】
例えば、薬液は、フッ酸(フッ化水素水:HF)を含む。あるいは、薬液は、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、クエン酸、バッファードフッ酸(BHF)、希フッ酸(DHF)、アンモニア水、希アンモニア水、過酸化水素水、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液であってもよい。また、薬液は、上記液を混合した混合液であってもよい。例えば、これらを混合した薬液の例としては、SPM(硫酸過酸化水素水混合液)、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)等が挙げられる。
【0098】
薬液供給部150は、薬液ノズル152と、供給管154と、バルブ156とを含む。ノズル152は、基板Wの上面Waと対向し、基板Wの上面Waに向けて薬液を吐出する。供給管154は、ノズル152に結合される。ノズル152は、供給管154の先端に設けられる。供給管154には、供給源から薬液が供給される。バルブ156は、供給管154に設けられる。バルブ156は、供給管154内の流路を開閉する。本明細書において、薬液ノズル152を単にノズル152と記載することがある。
【0099】
薬液供給部150は、ノズル移動部158をさらに含む。ノズル移動部158は、吐出位置と退避位置との間でノズル152を移動する。ノズル152が吐出位置にある場合、ノズル152は、基板Wの上方に位置する。ノズル152が吐出位置にある場合、ノズル152は、基板Wの上面Waに向けて薬液を吐出する。ノズル152が退避位置にある場合、ノズル152は、基板Wよりも基板Wの径方向外側に位置する。
【0100】
ノズル移動部158は、アーム158aと、回動軸158bと、ノズル移動機構158cとを含む。アーム158aは、略水平方向に沿って延びる。アーム158aの先端部にはノズル152が取り付けられる。アーム158aは、回動軸158bに結合される。回動軸158bは、略鉛直方向に沿って延びる。ノズル移動機構158cは、回動軸158bを略鉛直方向に沿った回動軸線のまわりに回動させて、アーム158aを略水平面に沿って回動させる。その結果、ノズル152が略水平面に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構158cは、回動軸158bを回動軸線のまわりに回動させるアーム揺動モーターを含む。アーム揺動モーターは、例えば、サーボモーターである。また、ノズル移動機構158cは、回動軸158bを略鉛直方向に沿って昇降させて、アーム158aを昇降させる。その結果、ノズル152は、略鉛直方向に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構158cは、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるアーム昇降モーターとを含む。アーム昇降モーターは、例えば、サーボモーターである。
【0101】
遮蔽部材160は、チャック部材122の上方に位置する。遮蔽部材160は、遮蔽板162と、支軸164と、ノズル166とを含む。
【0102】
遮蔽板162は、例えば、略円板状である。遮蔽板162の直径は、例えば、基板Wの直径と略同一である。ただし、遮蔽板162の直径は、基板Wの直径よりも若干小さくてもよいし、若干大きくてもよい。遮蔽板162は、遮蔽板162の下面が略水平になるように配置されている。さらに、遮蔽板162は、遮蔽板162の中心軸線が基板保持部120の回転軸AX上に位置するように配置されている。遮蔽板162の下面は、チャック部材122に保持された基板Wの上面Waに対向している。遮蔽板162は、水平な姿勢で支軸164の下端に連結されている。ノズル166は、基板Wの上面Waに流体を供給する。
【0103】
遮蔽部材160は、ユニット移動部168をさらに含んでもよい。ユニット移動部168は、近接位置と退避位置との間で、基板Wに対して遮蔽板162を上昇または下降させる。遮蔽板162が近接位置にある場合、遮蔽板162は、下降して基板Wの上面に所定間隔をあけて近接する。近接位置では、遮蔽板162は、基板Wの表面を覆って、基板Wの上方を遮蔽する。遮蔽板162が退避位置にある場合は、遮蔽板162は近接位置よりも上方に位置している。遮蔽板162が近接位置から退避位置に変化するとき、遮蔽板162は上昇して基板Wから離間する。
図5において、遮蔽板162は、退避位置に位置する。例えば、ユニット移動部168は、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える昇降モーターとを含む。昇降モーターは、例えば、サーボモーターである。
【0104】
なお、遮蔽板162の近接位置は、第1近接位置と、第2近接位置とを含んでもよい。遮蔽板162が第1近接位置にある場合、遮蔽板162は、基板Wの上面Waの上方を覆って、基板Wの上方を遮蔽する。また、遮蔽板162が第2近接位置にある場合、遮蔽板162は、第1近接位置よりも基板Wの上面Waに近づいて基板Wの上面Waを覆って、基板Wの上方を遮蔽する。
【0105】
ガス供給部170は、ガスノズル172と、供給管174と、バルブ176とを含む。ノズル172は、基板Wの上面Waと対向し、基板Wの上面Waに向けてガスを吐出する。供給管174は、ノズル172に結合される。ノズル172は、供給管174の先端に設けられる。供給管174には、供給源からガスが供給される。例えば、ガスは、不活性ガスである。典型的には、ガスは、窒素ガスを含む。バルブ176は、供給管174に設けられる。バルブ176は、供給管174内の流路を開閉する。本明細書において、ガスノズル172を単にノズル172と記載することがある。
【0106】
ここでは、遮蔽部材160のノズル166として、有機溶剤供給部140のノズル142およびガス供給部170のノズル172が設けられる。このため、遮蔽部材160は、ノズル142から有機溶剤を吐出する。また、遮蔽部材160は、ノズル172からガスを吐出する。
【0107】
以下、
図1、
図5および
図6を参照して、本実施形態の基板処理方法のフローを説明する。
図6は、本実施形態の基板処理方法を説明するためのフロー図である。なお、
図6のステップS102~ステップS108は、
図2を参照して上述したステップS102~ステップS108と同様であり、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0108】
ステップS100aにおいて、基板Wがチャンバー110に搬入される。その後、基板Wは、基板保持部120に保持されるように取り付けられる。詳細には、基板Wは、上面Waが上方を向くようにスピンベース121に載置されてスピンベース121に装着される。基板Wの裏面Wbがスピンベース121の上面に接触した状態で、基板Wが基板保持部120に保持される。
【0109】
ステップS100bにおいて、電動モーター124が基板Wの回転を開始する。このとき、カップ180は基板Wの側方まで上昇する。
【0110】
ステップS101において、バルブ156が開かれ、薬液供給部150のノズル152から基板Wの上面Waへの薬液の吐出が開始される。基板Wの上面Waに供給された薬液は、遠心力によって基板Wの上面Waの全体に行き渡る。これにより、基板Wが薬液によって処理される。このとき、薬液供給部150のノズル152は、退避位置から吐出位置に移動している。
【0111】
ステップS102において、バルブ136が開かれ、リンス液供給部130のノズル132から基板Wの上面Waへのリンス液の吐出が開始される。基板Wの上面Waに供給されたリンス液は、遠心力によって基板Wの上面Waの全体に行き渡る。これにより、基板Wがリンス液によって処理される。このとき、薬液供給部150のノズル152は、吐出位置から退避位置に移動している。
【0112】
ステップS104において、ノズル132から基板Wへのリンス液の到達位置が移動する。例えば、リンス液の到達位置は、基板Wの中央から基板Wの端部に向かって移動する。
【0113】
ステップS106において、リンス液の吐出が維持された状態で、バルブ146が開かれ、有機溶剤供給部140のノズル142から基板Wの上面Waへの有機溶剤の吐出が開始される。このとき、遮蔽板162は、退避位置から近接位置に移動している。例えば、遮蔽板162は、第1近接位置に移動する。
【0114】
ステップS108において、バルブ146は開かれたままであり、有機溶剤供給部140のノズル142から基板Wの上面Waへの有機溶剤の吐出が継続される。基板Wの上面Waに供給された有機溶剤は、遠心力によって基板Wの上面Waの全体に行き渡る。これにより、基板Wが有機溶剤によって処理される。
【0115】
ステップS110において、基板Wの上面Waを乾燥させる。このとき、バルブ146を閉じて、有機溶剤供給部140のノズル142から基板Wの上面Waへの有機溶剤の吐出が停止する。また、ノズル172から基板Wの上面Waに向けてガスを吐出する。このとき、遮蔽板162は、第1近接位置から第2近接位置に移動してもよい。
【0116】
ステップS112において、基板Wをチャンバー110から搬出する。このとき、基板Wは、基板保持部120から取り外される。詳細には、基板Wはスピンベース121から脱着される。
【0117】
以上のようにして、基板Wを、薬液、リンス液および有機溶剤で処理した後で乾燥させてもよい。上述したように、本実施形態の基板処理方法は、疎水化処理された基板Wに対して好適に用いられる。このため、薬液処理では、基板Wの上面Waを疎水化処理することが好ましい。例えば、薬液としてフッ酸を用いることが好ましい。
【0118】
次に、
図5~
図9を参照して、本実施形態の基板処理方法のフローを説明する。
図7~
図9は、本実施形態の基板処理方法を説明するための模式図である。
【0119】
まず、
図7(a)に示すように、基板Wを搬入する。搬入した基板Wは、基板保持部120に装着される。基板Wは、ロボットによって搬入されてもよい。
【0120】
図7(b)に示すように、基板Wを基板保持部120によって回転させる。なお、基板Wの回転は、基板Wの乾燥が終了まで継続してもよい。
【0121】
図7(c)に示すように、ノズル152から薬液を基板Wの上面Waに吐出する。薬液は、基板Wの上面Waを覆う。これにより、基板Wは薬液で処理される。
【0122】
図8(a)に示すように、ノズル132からリンス液を基板Wの上面Waに吐出する。これにより、基板Wはリンス液で処理される。リンス液により、基板Wは洗浄される。リンス液は、基板Wの上面Waを覆う。このとき、リンス液の到達位置は基板Wの上面Waの中央である。ただし、リンス液の到達位置は、基板Wの上面Waの中心ではなく、ほぼ中心である。
【0123】
図8(b)に示すように、ノズル132から基板Wの上面Waに吐出されるリンス液の到達位置が基板Wの上面Waの中央から外側に向かって移動する。例えば、ノズル132から吐出されるリンス液の流量を減少しながら、リンス液の到達位置は基板Wの中央から外側に向かって移動する。
【0124】
図8(c)に示すように、リンス液の到達位置が基板Wの中央から外側に向かって移動した状態で遮蔽部材160のノズル142から有機溶剤が基板Wの上面Waに吐出される。このとき、遮蔽板162は、退避位置から第1近接位置に移動している。
【0125】
なお、ノズル142からの有機溶剤の到達位置と基板Wの上面Waの中心との間の距離は、リンス液の到達位置と基板Wの上面Waの中心との間の距離よりも短い。典型的には、ノズル142からの有機溶剤の到達位置は、基板Wの上面Waのほぼ中心である。
【0126】
図9(a)に示すように、ノズル142からの有機溶剤の吐出を継続する一方で、ノズル132からのリンス液の吐出を停止する。基板Wの上面Waは、有機溶剤で覆われる。
【0127】
図9(b)に示すように、ノズル142からの有機溶剤の吐出を所定期間続けた後、ノズル142からの有機溶剤の吐出を停止し、遮蔽部材160のノズル172から基板Wにガスを供給する。なお、基板保持部120は基板Wの回転を継続したままである。これにより、基板Wの上面Waを乾燥させることができる。なお、遮蔽部材160が基板Wにガスを供給する際に、遮蔽板162は、基板Wの第2近接位置にまで下降していることが好ましい。これにより、ガス雰囲気下において、基板Wの上面Waを乾燥させることができる。
【0128】
図9(c)に示すように、基板保持部120から基板Wを脱着して基板Wを搬出する。基板Wは、ロボットによって搬出されてもよい。以上のようにして、基板Wを処理できる。
【0129】
なお、上述したように、リンス液供給部130は、基板Wに対して斜めにリンス液を供給してもよい。この場合、リンス液は、基板Wの回転方向Rに対して反対方向に向かう成分を有するように吐出されることが好ましい。
【0130】
以下、
図1、
図2および
図10を参照して、本実施形態の基板処理装置100においてリンス液が基板Wに到達する到達位置の変化を説明する。
図10(a)は、リンス液の到達位置が移動する前の基板Wに対するリンス液の到達位置を示す模式的な斜視図であり、
図10(b)は、リンス液の到達位置が移動した後の基板Wに対するリンス液の到達位置を示す模式的な斜視図である。
【0131】
図10(a)に示すように、ノズル132は基板Wの上面Waの径方向外側に配置されており、ノズル132は、斜め方向にリンス液を吐出する。ノズル132から吐出されたリンス液は基板Wの上面Waの中央に到達する。ここでは、リンス液は基板Wの上面Waのほぼ中心に到達する。このとき、リンス液は、進行方向Lに沿って進行しようとする。
【0132】
一方、基板Wは回転方向Rに沿って回転しており、リンス液は、回転方向Rに沿って回転する基板Wに供給される。このため、到達位置に到達したリンス液は回転方向Rに沿った力を受ける。
【0133】
図10(a)には、リンス液の進行方向Lを、到達位置から法線方向に向かう成分Laと、到達位置から中心に向かう成分Lbとに分離して示している。進行方向Lの成分Lbが回転方向Rと反対向きであることから、到達位置に到達したリンス液は基板Wの上面Waに比較的長く留まって基板Wの上面Wa上で広がり、基板Wの上面Waの中心Oを覆う。その後、リンス液は、基板Wの上面Waの全面にわたって広がって基板Wの上面Waの全面を覆う。このように、リンス液は、基板Wの回転方向とは反対方向の成分を有するように到達位置に吐出されることにより、リンス液の流量が比較的少なくても、リンス液が基板Wの中心Oを充分に覆うことができる。
【0134】
図10(b)に示すように、ノズル132からのリンス液の到達位置は、ノズル142から有機溶剤を吐出する前または有機溶剤の吐出と同じタイミングで、基板Wの上面Waの中央から外側に移動する。例えば、リンス液の流量を減少させることにより、リンス液の到達位置は、基板Wの上面Waの中央から外側に向かって移動する。ただし、このときも、リンス液の流量は、基板Wの上面Waの少なくとも中心を覆うことが可能な量であることが好ましい。
【0135】
なお、
図1~
図10に示した基板処理装置100では、リンス液供給部130は、基板Wに対して斜めにリンス液を供給するように配置されていたが、本実施形態はこれに限定されない。リンス液供給部130は、基板Wに対して垂直にリンス液を供給してもよい。また、
図1~
図10に示した基板処理装置100では、リンス液供給部130のノズル132は固定されていたが、本実施形態はこれに限定されない。ノズル132は、移動可能であってもよい。
【0136】
図11を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図11は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。なお、
図11の基板処理装置100は、リンス液供給部130がノズル移動部138をさらに備え、ノズル132からのリンス液が基板Wの上面Waに対して垂直に吐出される点を除いて、
図1を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0137】
ここでは、ノズル132は、基板Wの上面Waに対して垂直に向いている。ノズル132からのリンス液は、基板Wの上面Waに対して垂直に吐出される。
【0138】
リンス液供給部130は、ノズル移動部138をさらに含む。ノズル移動部138は、吐出位置と退避位置との間でノズル132を移動する。ノズル132が吐出位置に位置する場合、ノズル132は、基板Wの上方に位置する。ノズル132が吐出位置に位置するときに、ノズル132は、基板Wの上面Waに向けてリンス液を吐出する。ノズル132が退避位置に位置する場合、ノズル132は、基板Wよりも基板Wの径方向外側に位置する。
【0139】
具体的には、ノズル移動部138は、アーム138aと、回動軸138bと、ノズル移動機構138cとを含む。アーム138aは略水平方向に沿って延びる。アーム138aの先端部にはノズル132が取り付けられる。アーム138aは回動軸138bに結合される。回動軸138bは、略鉛直方向に沿って延びる。ノズル移動機構138cは、回動軸138bを略鉛直方向に沿った回動軸線のまわりに回動させて、アーム138aを略水平面に沿って回動させる。その結果、ノズル132が略水平面に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構138cは、回動軸138bを回動軸線のまわりに回動させるアーム揺動モーターを含む。アーム揺動モーターは、例えば、サーボモーターである。また、ノズル移動機構138cは、回動軸138bを略鉛直方向に沿って昇降させて、アーム138aを昇降させる。その結果、ノズル132が略鉛直方向に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構138cは、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるアーム昇降モーターとを含む。アーム昇降モーターは、例えば、サーボモーターである。
【0140】
次に、
図11および
図12を参照して、本実施形態の基板処理装置100のフローを説明する。
図12は、本実施形態の基板処理装置100の基板処理方法を説明するための模式図である。
【0141】
図12(a)に示すように、ノズル132は、基板Wの上面Waに向けてリンス液を吐出する。ここでは、ノズル132から吐出されたリンス液は、基板Wの上面Waの中心に到達する。これにより、基板Wは、リンス液で処理される。ここでは、ノズル132は、吐出位置に位置する。
【0142】
図12(b)に示すように、ノズル132はリンス液を吐出しながら、ノズル132を移動させる。ここでは、ノズル132から吐出されたリンス液は、基板Wの中心から外側に向かって移動する。ノズル132は、吐出位置から退避位置への移動を開始する。このとき、基板Wの上面Waの中心は、リンス液で覆われる。
【0143】
図12(c)に示すように、ノズル132がリンス液を吐出しながら、ノズル142からの有機溶剤の吐出を開始する。ノズル142は、退避位置から吐出位置に移動する。この場合、有機溶剤の到達位置と基板Wの中心との間の距離は、リンス液の到達位置と基板Wの中心との間の距離よりも短い。典型的には、ノズル142から基板Wの上面Waに吐出された有機溶剤は、基板Wの中心に到達する。
【0144】
図12(d)に示すように、ノズル142からの有機溶剤の吐出を継続する一方で、ノズル132からのリンス液の吐出を停止する。ここでは、ノズル132は、吐出位置から退避位置に移動する。この場合、基板Wの上面Waは、有機溶剤で覆われる。その後、ノズル142からの有機溶剤の吐出を所定期間継続した後で、有機溶剤の吐出を停止する。さらに、有機溶剤の吐出の停止に引き続いて基板Wの上面Waを乾燥させてもよい。基板Wの乾燥は、基板Wの回転を継続することによって行ってもよい。あるいは、基板Wの乾燥は、基板Wの回転数をさらに増加させて行ってもよい。さらには、基板Wの乾燥は、
図5に示した遮蔽部材160からガスを供給して行われてもよい。
【0145】
以上のように、本実施形態によれば、基板Wの上面Waを覆うようにリンス液を供給した後で、ノズル132を移動させることでリンス液の到達位置を移動させ、有機溶剤を基板Wの上面Waに吐出して基板Wの上面Waを覆う。このため、ノズル132からのリンス液とノズル142からの有機溶剤とが同じ到達位置で吐出されることを避けることができ、スプラッシュに起因する不具合の発生を抑制できる。さらに、本実施形態によれば、ノズル132の移動により、ノズル132から吐出されるリンス液は基板Wの上面Waを覆うとともに、有機溶剤の吐出直前に基板Wの上面Waの少なくとも一部を覆うために用いられる。このため、簡便な構成でリンス液および有機溶剤を吐出する際のウォーターマークの発生を抑制できる。
【0146】
なお、
図12を参照した上述の説明では、ノズル132の移動が開始してからノズル142からの有機溶剤の吐出が開始するまでの間に、ノズル132からのリンス液の流量は変化しなかったが本実施形態はこれに限定されない。ノズル132の移動が開始してからノズル142からの有機溶剤の吐出が開始するまでの間に、ノズル132からのリンス液の流量は減少してもよい。
【0147】
次に、
図13を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。本実施形態の基板処理装置100は複数のチャンバー110を備える点で、上述した基板処理装置100とは異なる。ただし、冗長な説明を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0148】
図13は、基板処理装置100の模式的な平面図である。
図13に示すように、基板処理装置100は、成分液キャビネット100Aと、複数の流体ボックス100Bと、複数のチャンバー110と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。
【0149】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRとチャンバー110との間で基板Wを搬送する。チャンバー110の各々は、基板Wに薬液、リンス液および/または有機溶剤を吐出して、基板Wを処理する。流体ボックス100Bの各々は流体機器を収容する。成分液キャビネット100Aは、薬液、リンス液および/または有機溶剤を収容する。
【0150】
具体的には、複数のチャンバー110は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(
図13では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数のチャンバー110(
図13では3つのチャンバー110)を含む。複数の流体ボックス100Bは、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。成分液キャビネット100A内の薬液、リンス液および/または有機溶剤は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全てのチャンバー110に供給される。
【0151】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、基板処理装置、基板処理方法および半導体製造方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0153】
100 基板処理装置
110 チャンバー
120 基板保持部
130 リンス液供給部
140 有機溶剤供給部
W 基板