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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】配線板組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/61 20110101AFI20230419BHJP
【FI】
H01R12/61
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019140749
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021026803
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】古本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
(72)【発明者】
【氏名】松永 章宏
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-023957(JP,A)
【文献】特開平04-311085(JP,A)
【文献】特開平05-075248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接点部を有する第1配線板と、第2接点部を有する第2配線板と、を重ねて前記第1接点部及び前記第2接点部を互いに接触させることで構成され、第1方向に沿って曲げることが可能な配線板組立体であって、
前記第1接点部において前記第1配線板を切り欠いて形成され、且つ、前記第1方向において互いに反対向きに突出した一対の第1突出片を有し、
前記第2接点部において前記第2配線板を切り欠いて形成され、且つ、前記第1方向において互いに反対向きに突出した一対の第2突出片を有し、
前記第1配線板には、前記第1方向と直交する第2方向において一対の前記第1突出片が存在する範囲に形成され、且つ、少なくとも一部が前記第1方向において一対の前記第1突出片の間に位置する第1孔が設けられており、
前記第2配線板には、前記第2方向において一対の前記第2突出片が存在する範囲に形成され、且つ、少なくとも一部が前記第1方向において一対の前記第2突出片の間に位置する第2孔が設けられていることを特徴とする配線板組立体。
【請求項2】
第1接点部を有する第1配線板と、第2接点部を有する第2配線板と、を重ねて前記第1接点部及び前記第2接点部を互いに接触させることで構成され、第1方向に沿って曲げることが可能な配線板組立体であって、
前記第1接点部において前記第1配線板を切り欠いて形成された第1突出片を有し、
前記第2接点部において前記第2配線板を切り欠いて形成された第2突出片を有し、
前記第1配線板には、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1突出片が存在する範囲に形成され、且つ、少なくとも一部が前記第1方向において前記第1突出片の根元部分に位置する第1孔が設けられており、
前記第2配線板には、前記第2方向において前記第2突出片が存在する範囲に形成され、且つ、少なくとも一部が前記第1方向において前記第2突出片の根元部分に位置する第2孔が設けられていることを特徴とする配線板組立体。
【請求項3】
前記第1孔は、前記第2方向において前記第1突出片の両端よりも内側に設けられており、
前記第2孔は、前記第2方向において前記第2突出片の両端よりも内側に設けられている、請求項1又は2に記載の配線板組立体。
【請求項4】
前記第1孔は、前記第2方向において前記第1突出片の中央部に位置し、
前記第2孔は、前記第2方向において前記第2突出片の中央部に位置する、請求項3に記載の配線板組立体。
【請求項5】
ベース板の表面に突起が設けられた第1コネクタ部と、嵌合プレートに嵌合孔が設けられた第2コネクタ部と、を有するコネクタを備え、
前記第1接点部は、前記第1突出片の根元部分にて屈曲可能であり、
前記第2接点部は、前記第2突出片の根元部分にて屈曲可能であり、
前記コネクタは、互いに対向して重ねられた前記第1配線板の前記第1接点部と前記第2配線板の前記第2接点部を巻き込みながら前記突起が前記嵌合孔に嵌め込まれ、前記突起の側面と前記嵌合孔の内面との間において、前記第1接点部と前記第2接点部とを互いに弾性的に押し付けて接触させることで電気的に接続させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の配線板組立体。
【請求項6】
前記第1配線板には、前記第1突出片と隣接する第1切り欠き部が設けられ、
前記第2配線板には、前記第2突出片と隣接する第2切り欠き部が設けられ、
前記第1切り欠き部及び前記第2切り欠き部は、前記第1方向に延びた一対の切り欠き側部と、前記第2方向に延びて前記一対の切り欠き側部同士を連結する切り欠き連結部とを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の配線板組立体。
【請求項7】
前記第1切り欠き部が有する前記一対の切り欠き側部のそれぞれの末端は、前記第1突出片の根元部分と隣り合い、
前記第1孔は、前記第1方向において、前記第1突出片の根元部分を横切る位置に設けられており、
前記第2切り欠き部が有する前記一対の切り欠き側部のそれぞれの末端は、前記第2突出片の根元部分と隣り合い、
前記第2孔は、前記第1方向において、前記第2突出片の根元部分を横切る位置に設けられている、請求項6に記載の配線板組立体。
【請求項8】
前記第1接点部及び前記第2接点部は、前記第1突出片に形成された第1接点、及び、前記第2突出片に形成された第2接点にて互いに接触し、
前記第1配線板において、前記第1孔は、前記第1接点に接続された第1配線部から離れた位置に設けられており、
前記第2配線板において、前記第2孔は、前記第2接点に接続された第2配線部から離れた位置に設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の配線板組立体。
【請求項9】
前記第1配線板において、前記第1接点は、前記第2方向における前記第1突出片の両端部のそれぞれに設けられ、前記第1孔は、前記第2方向における前記第1接点の間に設けられており、
前記第2配線板において、前記第2接点は、前記第2方向における前記第2突出片の両端部のそれぞれに設けられ、前記第2孔は、前記第2方向における前記第2接点の間に設けられている、請求項8に記載の配線板組立体。
【請求項10】
前記第1孔及び前記第2孔は、それぞれ、前記第1方向に沿って延びている、請求項1~9のいずれか一項に記載の配線板組立体。
【請求項11】
前記第1孔における、前記第1方向において前記第1突出片の自由端に近い方の端は、前記第1突出片の自由端から離れており、
前記第2孔における、前記第1方向において前記第2突出片の自由端に近い方の端は、前記第2突出片の自由端から離れている、請求項10に記載の配線板組立体。
【請求項12】
前記第1接点部は、前記第1方向に並ぶ一対の前記第1突出片を有し、
前記第1配線板には、一対の前記第1突出片のそれぞれの根元部分を横切る位置に前記第1孔が設けられており、
前記第2接点部は、前記第1方向に並ぶ一対の前記第2突出片を有し、
前記第2配線板には、一対の前記第2突出片のそれぞれの根元部分を横切る位置に前記第2孔が設けられている、請求項11に記載の配線板組立体。
【請求項13】
前記第1配線板には、複数の前記第1接点部が前記第1方向に並んで設けられており、
前記第1方向において隣り合う2つの前記第1接点部のそれぞれが有する前記第1突出片は、第1突出片連結部分を介して連結しており、
前記第1突出片連結部分、及び、前記第1突出片連結部分を介して連結された前記第1突出片の各々の根元部分を横切る位置に1つの前記第1孔が設けられており、
前記第2配線板には、複数の前記第2接点部が前記第1方向に並んで設けられており、
前記第1方向において隣り合う2つの前記第2接点部のそれぞれが有する前記第2突出片は、第2突出片連結部分を介して連結しており、
前記第2突出片連結部分、及び、前記第2突出片連結部分を介して連結された前記第2突出片の各々の根元部分を横切る位置に1つの前記第2孔が設けられている、請求項11又は12に記載の配線板組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板組立体に係り、特に、第1接点部を有する第1配線板と、第2接点部を有する第2配線板とを重ねて構成され、且つ曲げることが可能な配線板組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(FPC)等からなる2つの配線板を重ねて構成される配線板組立体が、例えば特許文献1に記載されている。この配線板組立体は、図27に示されるように、突起3Tを有する第1コネクタ部3と、屈曲可能な第1接点部1Cを有する第1配線板1と、屈曲可能な第2接点部2Cを有する第2配線板2と、嵌合孔4Hが形成された第2コネクタ部4と、を重ねて構成される。
【0003】
上記の各構成部品を組み立てる際には、第1配線板1の第1接点部1Cと第2配線板2の第2接点部2Cとが互いに対向して重ねられ、第1コネクタ部3の突起3Tが、重ねられた状態の第1接点部1C及び第2接点部2Cを巻き込みながら第2コネクタ部4の嵌合孔4Hに嵌め込まれる。これにより、図28に示すように、突起3Tの側面5と嵌合孔4Hの内面6との間において、第1接点部1C及び第2接点部2Cが互いに弾性的に押し付けられて接触し、電気的に接続するようになる。
【0004】
以上の要領によって組み立てられた配線板組立体は、突起3Tの側面5と嵌合孔4Hの内面6との間において第1接点部1C及び第2接点部2Cを屈曲させて互いに接触させるものであり、その厚み方向(図27におけるZ方向)に極めて薄い構造となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-23957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の第1配線板1、第2配線板2、第1コネクタ部3及び第2コネクタ部4が、それぞれフレキシブルなプレート体である場合、これらを重ねて構成される配線板組立体は、可撓性を有し、図27のY方向に沿って曲げることができる。このような可撓性を有する配線板組立体は、取付場所の形状等に応じて柔軟に折れ曲がる(変形する)ことができる一方で、曲げ回数が多くなる場合にも破損し難いものである必要がある。つまり、曲げ可能な配線組立体において、曲げ時に各配線板に生じる負荷(引っ張り応力負荷)を軽減させて当該負荷による破損を抑えることが求められている。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、曲げ時に各配線板に生じる引っ張り応力負荷に起因した破損を抑えることが可能な配線板組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の配線板組立体は、第1接点部を有する第1配線板と、第2接点部を有する第2配線板と、を重ねて第1接点部及び第2接点部を互いに接触させることで構成され、第1方向に沿って曲げることが可能な配線板組立体であって、第1接点部において第1配線板を切り欠いて形成され、且つ、第1方向において互いに反対向きに突出した一対の第1突出片を有し、第2接点部において第2配線板を切り欠いて形成され、且つ、第1方向において互いに反対向きに突出した一対の第2突出片を有し、第1配線板には、第1方向と直交する第2方向において一対の第1突出片が存在する範囲に形成され、且つ、少なくとも一部が第1方向において一対の第1突出片の間に位置する第1孔が設けられており、第2配線板には、第2方向において一対の第2突出片が存在する範囲に形成され、且つ、少なくとも一部が第1方向において一対の第2突出片の間に位置する第2孔が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のもう一つの配線板組立体は、第1接点部を有する第1配線板と、第2接点部を有する第2配線板と、を重ねて第1接点部及び第2接点部を互いに接触させることで構成され、第1方向に沿って曲げることが可能な配線板組立体であって、第1接点部は、第1配線板を切り欠いて形成された第1突出片を有し、第2接点部は、第2配線板を切り欠いて形成された第2突出片を有し、第1配線板には、第1方向と直交する第2方向において第1突出片が存在する範囲に形成され、且つ、少なくとも一部が第1方向において第1突出片の根元部分に位置する第1孔が設けられており、第2配線板には、第2方向において第2突出片が存在する範囲に形成され、且つ、少なくとも一部が第1方向において第2突出片の根元部分に位置する第2孔が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の配線板組立体において、第1孔は、第2方向において第1突出片の両端よりも内側に設けられており、第2孔は、第2方向において第2突出片の両端よりも内側に設けられてもよい。
また、本発明の配線板組立体において、第1孔は、第2方向において第1突出片の中央部に位置し、第2孔は、第2方向において第2突出片の中央部に位置してもよい。
【0011】
また、本発明の配線板組立体において、ベース板の表面に突起が設けられた第1コネクタ部と、嵌合プレートに嵌合孔が設けられた第2コネクタ部と、を有するコネクタ部を備え、第1接点部は、第1突出片の根元部分にて屈曲可能であり、第2接点部は、第2突出片の根元部分にて屈曲可能であり、コネクタは、互いに対向して重ねられた第1配線板の第1接点部と第2配線板の第2接点部を巻き込みながら突起が嵌合孔に嵌め込まれ、突起の側面と嵌合孔の内面との間において、第1接点部と第2接点部とを互いに弾性的に押し付けて接触させることで電気的に接続させると、好適である。
この場合、第1配線板には、第1突出片と隣接する第1切り欠き部が設けられ、第2配線板には、第2突出片と隣接する第2切り欠き部が設けられ、第1切り欠き部及び第2切り欠き部は、第1方向に延びた一対の切り欠き側部と、第2方向に延びて一対の切り欠き側部同士を連結する切り欠き連結部とを有するように構成することができる。
また、第1切り欠き部が有する一対の切り欠き側部のそれぞれの末端は、第1突出片の根元部分と隣り合い、第1孔は、第1方向において、第1突出片の根元部分を横切る位置に設けられており、第2切り欠き部が有する一対の切り欠き側部のそれぞれの末端は、第2突出片の根元部分と隣り合い、第2孔は、第1方向において、第2突出片の根元部分を横切る位置に設けられてもよい。
【0012】
また、本発明の配線板組立体において、第1接点部及び第2接点部は、第1突出片に形成された第1接点、及び、第2突出片に形成された第2接点にて互いに接触し、第1配線板において、第1孔は、第1接点に接続された第1配線部から離れた位置に設けられており、第2配線板において、第2孔は、第2接点に接続された第2配線部から離れた位置に設けられていると、好適である。
この場合、第1配線板において、第1接点は、第2方向における第1突出片の両端部のそれぞれに設けられ、第1孔は、第2方向における第1接点の間に設けられており、第2配線板において、第2接点は、第2方向における第2突出片の両端部のそれぞれに設けられ、第2孔は、第2方向における第2接点の間に設けられていると、より好適である。
【0013】
また、本発明の配線板組立体において、第1孔及び第2孔は、それぞれ、第1方向に沿って延びてもよい。
また、第1孔における、第1方向において第1突出片の自由端に近い方の端は、第1突出片の自由端から離れており、第2孔における、第1方向において第2突出片の自由端に近い方の端は、第2突出片の自由端から離れてもよい。
【0014】
また、本発明の配線板組立体において、第1接点部は、第1方向に並ぶ一対の第1突出片を有し、第1配線板には、一対の第1突出片のそれぞれの根元部分を横切る位置に第1孔が設けられており、第2接点部は、第1方向に並ぶ一対の第2突出片を有し、第2配線板には、一対の第2突出片のそれぞれの根元部分を横切る位置に第2孔が設けられてもよい。
この場合、第1配線板には、複数の第1接点部が第1方向に並んで設けられており、第1方向において隣り合う2つの第1接点部のそれぞれが有する第1突出片は、第1突出片連結部分を介して連結しており、第1突出片連結部分、及び、第1突出片連結部分を介して連結された第1突出片の各々の根元部分を横切る位置に1つの第1孔が設けられており、第2配線板には、複数の第2接点部が第1方向に並んで設けられており、第1方向において隣り合う2つの第2接点部のそれぞれが有する第2突出片は、第2突出片連結部分を介して連結しており、第2突出片連結部分、及び、第2突出片連結部分を介して連結された第2突出片の各々の根元部分を横切る位置に1つの第2孔が設けられていると、好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1方向に沿って曲げることが可能な配線板組立体において、第1配線板及び第2配線板の各々を切り欠いて突出片を形成し、第1方向と直交する第2方向において突出片が存在する範囲に孔を設ける。この孔は、少なくとも一部が第1方向において一対の突出片の間に位置し、あるいは、少なくとも一部が第1方向において突出片の根元部分に位置する。これにより、配線板組立体の曲げ時に、第1配線板及び第2配線板の各々において上記の孔を第2方向に広げることができる。これにより、曲げ時に各配線板に生じる引っ張り応力負荷が軽減され、当該引っ張り応力負荷による配線板組立体の破損を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る配線板組立体の組立て前の第1コネクタ部、第1配線板、第2配線板及び第2コネクタ部を斜め上方から見た図である。
図2】第1実施形態に係る配線板組立体の組立て前の第1コネクタ部、第1配線板、第2配線板及び第2コネクタ部を斜め下方から見た図である。
図3】第1実施形態に係る第1配線板の表面を示す部分拡大図である。
図4】第1実施形態に係る第1配線板の裏面を示す部分拡大図である。
図5】第1実施形態に係る第2配線板の表面を示す部分拡大図である。
図6】第1実施形態に係る第2配線板の裏面を示す部分拡大図である。
図7】表面に絶縁層が形成された第2配線板を示す部分拡大図である。
図8】第1実施形態に係る第1コネクタ部を示す底面図である。
図9】第1実施形態に係る第1コネクタ部を斜め下方から見た部分斜視図である。
図10図8のA-A線断面図である。
図11】第1実施形態に係る第2コネクタ部を示す平面図である。
図12】第1実施形態に係る第2コネクタ部を斜め上方から見た部分斜視図である。
図13図11のB-B線断面図である。
図14】第1実施形態に係る配線板組立体の組立て後の状態を斜め上方から見た図である。
図15】第1実施形態に係る配線板組立体の組立て後の状態を斜め下方から見た斜視図である。
図16】第1実施形態に係る配線板組立体の平面図である。
図17】第1実施形態に係る配線板組立体の底面図である。
図18図16のC-C線断面図である。
図19】第1コネクタ部の突起と第2コネクタ部の嵌合孔との嵌合状態を示す図18の部分拡大図である。
図20】比較例に係る配線板の表面を示す図である。
図21】配線板に生じるクラックを示す部分拡大図である。
図22】第2実施形態に係る配線板の表面を示す部分拡大図である。
図23】第2実施形態の変形例に係る配線板の表面を示す部分拡大図である。
図24】第3実施形態に係る配線板の表面を示す部分拡大図である。
図25】第4実施形態に係る配線板組立体における第1コネクタ部の突起と第2コネクタ部の嵌合孔との嵌合状態を示す部分断面図である。
図26】第4実施形態の変形例に係る配線板組立体における第1コネクタ部の突起と第2コネクタ部の嵌合孔との嵌合状態を示す部分断面図である。
図27】従来の配線板組立体の組立て前の第1コネクタ部、第1配線板、第2配線板及び第2コネクタ部を斜め上方から見た図である。
図28】従来の配線板組立体における第1コネクタ部の突起と第2コネクタ部の嵌合孔との嵌合状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の配線板組立体について、添付図面に示す幾つかの好適な実施形態(第1~第4実施形態)を例に挙げて説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例であり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。特に、本発明に用いられる各部材の材質及び寸法等については、本発明の用途及び本発明の実施時点での技術水準等に応じて自由に設定することができる。また、当然ながら、本発明には、その等価物が含まれる。
【0018】
なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3つの方向を、それぞれX方向、Y方向及びZ方向とする。ここで、配線板組立体の厚み方向は、Z方向に該当し、配線板組立体がXY面に沿って延びていることとする。なお、Y方向は、本発明の「第1方向」に相当し、X方向は、本発明の「第2方向」に相当する。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る配線板組立体は、図1及び2に示す第1配線板11、第2配線板21及びコネクタCを組み立てることで構成される。図1及び2は、組立て前の第1配線板11、第2配線板21及びコネクタCを示す斜視図である。コネクタCは、互いに嵌合可能な構造を有する第1コネクタ部31及び第2コネクタ部41からなる。第1配線板11、第2配線板21、第1コネクタ部31及び第2コネクタ部41は、いずれも可撓性を有する平板状の部材であって、互いに平行に配置され、第1コネクタ部31と第2コネクタ部41との間に、第1配線板11及び第2配線板21が順次配置される。
【0020】
組み立てられた配線板組立体は、XY面に沿った方向に広がっており、可撓性を有し、Y方向に沿って曲げることができ、例えば、配線板組立体の取付箇所及びその変位に応じて適宜曲げることができる。なお、「Y方向に沿って曲げる」とは、Y方向に沿った線(曲げ線)を起点として曲げることを意味する。
【0021】
次に、第1配線板11、第2配線板21、第1コネクタ部31及び第2コネクタ部41のそれぞれの構成について説明する。以降の説明では、便宜上、Z方向において、第2コネクタ部41から第1コネクタ部31に向かう向きを+Z側と呼ぶこととする。
【0022】
[第1配線板]
第1配線板11は、図3及び4に示すように、フレキシブルな絶縁性の第1基板12を有し、第1基板12には、第1配線板11の長さ方向であるY方向に並ぶ2つの第1接点部14からなる第1接点部群13が、第1配線板11の幅方向であるX方向において一定間隔毎に4個配列されている。図3及び4は、それぞれ、第1配線板11の表面及び裏面を示す部分拡大図である。
なお、第1接点部群13においてY方向に並ぶ第1接点部14の数は、2つに限定されず、1つ以上であればよい。また、第1接点部群13の数についても、4個に限定されず、1個以上であればよい。
【0023】
4個の第1接点部群13が有する2つの第1接点部14のうち、+Y側の第1接点部14は、Y方向において第1接点部群13間で同一の位置に配置され、-Y側の第1接点部14も、Y方向において第1接点部群13間で同一の位置に配置されている。ただし、これに限定されず、+Y側の第1接点部14、及び-Y側の第1接点部14がY方向において第1接点部群13間で互いに異なる位置に配置されてもよい。
【0024】
各第1接点部群13が有する2つの第1接点部14のそれぞれは、図3に示すように、Y方向に並ぶ一対の第1突出片16A,16Bを有し、それぞれの第1突出片16A,16Bの根元部分にて屈曲可能である。一対の第1突出片16A,16Bは、Y方向において互いに反対向き(遠ざかる向き)に突出しており、第1突出片16Aは、-Y側に向かって突出し、第1突出片16Bは、X方向において第1突出片16Aと同じ位置に配置されて+Y側に向かって突出し、且つ第1突出片連結部分16Cを介して第1突出片16Aの+Y側端部に連結されている。
【0025】
一対の第1突出片16A,16Bのそれぞれは、図3に示すように平面視で矩形状であり、第1配線板11の第1基板12をU字状又は逆U字状に切り欠くことで形成されている。換言すると、第1基板12において第1突出片16A,16Bの縁と隣接する位置には、第1基板12をZ方向に貫通する開口からなる第1切り欠き部15が配置されている。第1切り欠き部15は、図3に示すように、Y方向に延びた一対の切り欠き側部15A,15Bと、X方向に延びて一対の切り欠き側部15A,15B同士を連結する切り欠き連結部15Cと、を有する。一対の切り欠き側部15A,15Bのそれぞれの末端は、隣接する第1突出片16A,16Bの根元部分と隣り合い、一対の切り欠き側部15A,15Bのそれぞれの先端同士が切り欠き連結部15Cによって連結されている。
なお、それぞれの第1接点部群13において、+Y側の第1接点部14が有する第1突出片16Aと隣接する第1切り欠き部15と、-Y側の第1接点部14が有する第1突出片16Bと隣接する第1切り欠き部15とは、切り欠き連結部15C同士が隣接しているので、互いに連通して略H型の開口を構成している。
【0026】
第1基板12の表面12Aでは、図3に示されるように、第1突出片16Aの-X側端部及び+X側端部に一対の導電性の第1接点14Aが形成されるとともに、第1突出片16Bの-X側端部及び+X側端部に一対の導電性の第1接点14Bが形成されている。つまり、1個の第1接点部14には、一対の第1接点14A及び一対の第1接点14Bを含む計4個の接点が設けられている。これら4個の接点は、互いに絶縁されており、それぞれ、対応する導電性の第1配線部17Aに接続されており、第1配線部17A及びビア(via)17Bを介して、図4に示される第1基板12の裏面12B上の対応する導電性の第1配線部17Cに接続されている。
なお、図4に示されるように、第1基板12の裏面12Bでは、絶縁性を有する第1基板12の一部からなる第1突出片16A,16Bが、そのまま露出している。
【0027】
また、第1配線板11には、図1及び2に示されるように、X方向に配列された4個の第1接点部群13の-X側及び+X側にそれぞれ形成された矩形状の位置決め用貫通孔18A,18Bが設けられている。+X側に配置された位置決め用貫通孔18Bは、-X側に配置された位置決め用貫通孔18AのY方向長さよりも長いY方向長さを有する。
【0028】
また、第1配線板11の第1基板12には、図3に示すように、X方向において第1突出片16A,16Bが存在する範囲に矩形状の第1孔19が設けられている。第1孔19は、第1基板12中、第1接点部14が形成される領域に配置され、Z方向において第1基板12を貫通しており、Y方向に沿って延びている。そして、第1孔19は、少なくとも一部がY方向において一対の第1突出片16A,16Bの間に位置し、且つ、少なくとも一部がY方向において各第1突出片16A,16Bの根元部分に位置するように形成されている。より詳しく説明すると、第1孔19は、Y方向において、各第1接点部14が有する一対の第1突出片16A,16Bのそれぞれの根元部分、及び、その間に配置された第1突出片連結部分16Cを横切る位置に配置されている。また、第1孔19は、X方向において、一対の第1突出片16A,16Bのそれぞれの両端(両側端)よりも内側に設けられており、且つ、X方向において、各第1突出片16A,16Bの中央部に位置している。
【0029】
さらに、X方向において、図3に示すように、第1孔19の-Y側端部は、第1突出片16Aに設けられた一対の第1接点14Aの間に位置し、第1孔19の+Y側端部は、第1突出片16Bに設けられた一対の第1接点14Bの間に位置している。つまり、第1孔19は、X方向において第1接点14Aの間のスペース内、及び第1接点14Bの間のスペース内に設けられており、第1孔19のX方向長さは、X方向における一対の第1接点14Aの間隔、及び一対の第1接点14Bの間隔よりも小さい。換言すると、第1配線板11において、第1孔19は、一対の第1接点14A,14B、及び一対の第1接点14A,14Bのそれぞれに接続された第1配線部17Aから離れた位置に設けられている。
【0030】
さらにまた、図3に示すように、第1孔19は、Y方向において、第1突出片16Aと隣接する第1切り欠き部15が有する一対の切り欠き側部15A,15Bのそれぞれの末端と同じ位置を通過しており、且つ、第1突出片16Bと隣接する第1切り欠き部15が有する一対の切り欠き側部15A,15Bのそれぞれの末端と同じ位置を通過している。また、Y方向において、第1孔19の-Y側端(第1突出片16Aの-Y側端に近い方の端)は、第1突出片16Aの-Y側端(自由端)から幾分+Y側に離れた位置にあり、第1孔19の+Y側端(第1突出片16Bの+Y側端に近い方の端)は、第1突出片16Bの+Y側端(自由端)から幾分-Y側に離れた位置にある。
【0031】
[第2配線板]
第2配線板21は、第1配線板11と同様の構成を有している。すなわち、第2配線板21は、図5及び6に示すように、フレキシブルな絶縁性の第2基板22を有し、第2基板22には、第2配線板21の長さ方向であるY方向に並ぶ2つの第2接点部24からなる第2接点部群23が、第2配線板21の幅方向であるX方向において一定間隔毎に4個配列されている。図5及び6は、それぞれ、第2配線板21の表面及び裏面を示す部分拡大図である。
なお、第2接点部群23においてY方向に並ぶ第2接点部24の数は、2つに限定されず、1つ以上であって、第1配線板11における各第1接点部群13が有する第1接点部14の数と同数であればよい。また、第2接点部群23の数についても、1個以上であればよいが、第1接点部群13の数と同数とするのがよい。
【0032】
4個の第2接点部群23が有する2つの第2接点部24のうち、+Y側の第2接点部24は、Y方向において第2接点部群23間で同一の位置に配置され、-Y側の第2接点部24も、Y方向において第2接点部群23間で同一の位置に配置されている。ただし、+Y側の第2接点部24、及び、-Y側の第2接点部24がY方向において第2接点部群23間で互いに異なる位置に配置されてもよい。
なお、第1基板12の表面12Aにおける所定領域と、第2基板22の表面22Aにおける所定領域とを重ね合わせた状態では、第2配線板21における8個の第2接点部24の各々が、第1配線板11に設けられた8個の第1接点部14のうち、対応する1つの第1接点部14とX及びY方向において同じ位置に配置される。
【0033】
各第2接点部群23が有する2つの第2接点部24のそれぞれは、図5に示すように、Y方向に並ぶ一対の第2突出片26A,26Bを有し、それぞれの第2突出片26A,26Bの根元部分にて屈曲可能である。一対の第2突出片26A,26Bは、Y方向において互いに反対向き(遠ざかる向き)に突出しており、第2突出片26Aは、-Y側に向かって突出しており、第2突出片26Bは、X方向において第2突出片26Aと同じ位置にて+Y側に向かって突出しており、且つ第2突出片連結部分26Cを介して第2突出片26Aの+Y側端部に連結されている。
【0034】
一対の第2突出片26A,26Bのそれぞれは、図5に示すように平面視で矩形状であり、第2配線板21の第2基板22をU字状又は逆U字状に切り欠くことで形成されている。換言すると、第2基板22において第2突出片26A,26Bの縁と隣接する位置には、第2基板22をZ方向に貫通する開口からなる第2切り欠き部25が配置されている。第2切り欠き部25は、図5に示すように、Y方向に延びた一対の切り欠き側部25A,25Bと、X方向に延びて一対の切り欠き側部25A,25B同士を連結する切り欠き連結部25Cと、を有する。一対の切り欠き側部25A,25Bのそれぞれの末端は、隣接する第2突出片26A,26Bの根元部分と隣り合い、一対の切り欠き側部25A,25Bのそれぞれの先端同士が切り欠き連結部25Cによって連結されている。
なお、それぞれの第2接点部群23において、+Y側の第2接点部24が有する第2突出片26Aと隣接する第2切り欠き部25と、-Y側の第2接点部24が有する第2突出片26Bと隣接する第2切り欠き部25とは、切り欠き連結部25C同士が隣接しているので、互いに連通して略H型の開口を構成している。
【0035】
第2基板22の表面22Aでは、図5に示されるように、第2突出片26Aの-X側端部及び+X側端部に一対の導電性の第2接点24Aが形成されるとともに、第2突出片26Bの-X側端部及び+X側端部に一対の導電性の第2接点24Bが形成されている。つまり、1個の第2接点部24には、一対の第2接点24A及び一対の第2接点24Bを含む計4個の接点が設けられている。これら4個の接点は、互いに絶縁されており、それぞれ、対応する導電性の第2配線部27Aに接続されており、第2配線部27A及びビア(via)27Bを介して、図6に示される第2基板22の裏面22B上の対応する導電性の第2配線部27Cに接続されている。
なお、図6に示されるように、第2基板22の裏面22Bでは、絶縁性を有する第2基板22の一部からなる第2突出片26A,26Bが、そのまま露出している。
【0036】
また、第2配線板21には、図1及び2に示されるように、X方向に配列された4個の第2接点部群23の-X側及び+X側にそれぞれ形成された矩形状の位置決め用貫通孔28A,28Bが設けられている。これらの位置決め用貫通孔28A,28Bは、それぞれ、第1配線板11の位置決め用貫通孔18A,18BのY方向長さよりも僅かに長いY方向長さを有する。また、+X側に配置された位置決め用貫通孔28Bは、-X側に配置された位置決め用貫通孔28AのY方向長さよりも長いY方向長さを有する。
【0037】
また、図5に示すように、第2配線板21の第2基板22には、X方向において第2突出片26A,26Bが存在する範囲に矩形状の第2孔29が設けられている。第2孔29は、第2基板22中、第2接点部24が形成される領域に配置され、Z方向において第2基板22を貫通しており、Y方向に沿って延びている。そして、第2孔29は、少なくとも一部がY方向において一対の第2突出片26A,26Bの間に位置し、且つ、少なくとも一部がY方向において各第2突出片26A,26Bの根元部分に位置するように形成されている。より詳しく説明すると、第2孔29は、Y方向において、各第2接点部24が有する一対の第2突出片26A,26Bのそれぞれの根元部分、及び、その間に配置された第2突出片連結部分26Cを横切る位置に配置されている。また、第2孔29は、X方向において、一対の第2突出片26A,26Bのそれぞれの両端(両側端)よりも内側に設けられており、且つ、X方向において、各第2突出片26A,26Bの中央部に位置している。
【0038】
さらに、図5に示すように、X方向において、第2孔29の-Y側端部は、第2突出片26Aに設けられた一対の第2接点24Aの間に位置し、第2孔29の+Y側端部は、第2突出片26Bに設けられた一対の第2接点24Bの間に位置している。つまり、第2孔29は、X方向において第2接点24Aの間のスペース内、及び第2接点24Bの間のスペース内に設けられており、第2孔29のX方向長さは、X方向における一対の第2接点24Aの間隔、及び一対の第2接点24Bの間隔よりも小さい。換言すると、第2配線板21において、第2孔29は、一対の第2接点24A,24B、及び一対の第2接点24A,24Bのそれぞれに接続された第2配線部27Aから離れた位置に設けられている。
【0039】
さらにまた、図5に示すように、第2孔29は、Y方向において、第2突出片26Aと隣接する第2切り欠き部25が有する一対の切り欠き側部25Aのそれぞれの末端と同じ位置を通過しており、且つ、第2突出片26Bと隣接する第2切り欠き部25が有する一対の切り欠き側部25Aのそれぞれの末端と同じ位置を通過している。また、Y方向において、第2孔29の-Y側端(第2突出片26Aの-Y側端に近い方の端)は、第2突出片26Aの-Y側端(自由端)から幾分+Y側に離れた位置にあり、第2孔29の+Y側端(第2突出片26Bの+Y側端に近い方の端)は、第2突出片26Bの+Y側端(自由端)から幾分-Y側に離れた位置にある。
【0040】
第2配線板21には、図7に示すように、絶縁層21Tがさらに設けられている。図7は、表面に絶縁層21Tが形成された第2配線板21を示す部分拡大図である。絶縁層21Tにより、コネクタCの第1コネクタ部31及び第2コネクタ部41が互いに嵌合し、第1配線板11の表面と第2配線板21の表面とが重ね合わされた状態において、第1配線板11の第1配線部17Aと第2配線板21の第2配線部27Aとの短絡が回避される。絶縁層21Tは、第2基板22の表面22A上に形成され、各第2接点部24の第2突出片26A,26B、各第2突出片26A,26Bの表面上に形成された一対の第2接点24A及び一対の第2接点24B、並びに位置決め用貫通孔28A,28B以外の部分を覆っている。
【0041】
なお、図1に示す構成では、絶縁層21Tが第2配線板21に設けられているが、第2配線板21の代わりに、第1配線板11の表面に絶縁層が設けられてもよく、あるいは、第1配線板11の表面及び第2配線板21の表面の双方に絶縁層が設けられてもよい。
【0042】
[第1コネクタ部]
図1及び2に示されるように、コネクタCの第1コネクタ部31は、絶縁性を有するフレキシブルなベース板32を有し、図8に示されるように、ベース板32には、Y方向に並ぶ2つの突起34からなる突起群33が、X方向において一定間隔毎に4個配列されている。図8は、第1コネクタ部31を示す底面図である。
なお、突起群33においてY方向に並ぶ突起34の数は、2つに限定されず、1つ以上であって、第1配線板11における各第1接点部群13が有する第1接点部14の数と同数であればよい。また、突起群33の数についても、1個以上であればよいが、第1接点部群13の数と同数とするのがよい。
【0043】
第1コネクタ部31において、X方向における突起群33の配置ピッチは、第1配線板11での第1接点部群13の配置ピッチ、及び、第2配線板21での第2接点部群23の配置ピッチと等しい。また、Y方向において、突起群33内にある2つの突起34の間隔は、第1接点部群13内にある2つの第1接点部14の間隔、及び、第2接点部群23内にある2つの第2接点部24の間隔と等しい。
【0044】
各突起群33が有する2つの突起34のそれぞれは、ベース板32の表面に設けられており、例えば図9に示されるように金属ばねからなり、互いにY方向に対向する一対のばね片36を有する。図9は、第1コネクタ部31を斜め下方から見た部分斜視図である。それぞれのばね片36は、互いにX方向に並んで配置された2つの腕部37に分割されており、ベース板32から-Z方向に向かって突出し、且つY方向に弾性を有している。
【0045】
ベース板32において各突起群33が設けられた領域には、ベース板32の-Z方向側の面上に、各突起34を囲むようにベース板32から-Z方向に向かって突出する保護壁部35が形成されている。保護壁部35は、図10に示されるように、突起34よりもさらに-Z方向に突出している。図10は、図8のA-A線断面図である。
また、ベース板32は、保護壁部35の内側に形成された貫通孔35Aを有し、突起34は、貫通孔35A内に挿入された状態でベース板32に保持されている。ベース板32の+Z方向側の面には、図10に示すように、絶縁シート39が固定されており、突起34の+Z方向を向いた部分が絶縁シート39により覆われている。
【0046】
[第2コネクタ部]
図1及び2に示されるように、コネクタCの第2コネクタ部41は、絶縁性を有するフレキシブルな嵌合プレート42を有し、図11に示すように、嵌合プレート42には、Y方向に並ぶ2つの嵌合孔44かなる嵌合孔群43が、X方向に4個配列されている。図11は、第2コネクタ部41を示す平面図である。
なお、嵌合孔群43においてY方向に並ぶ嵌合孔44の数は、2つに限定されず、1つ以上であって、第1配線板11における各第1接点部群13が有する第1接点部14の数と同数であればよい。また、嵌合孔群43の数についても、1個以上であればよいが、第1接点部群13の数と同数とするのがよい。
【0047】
第2コネクタ部41において、X方向における嵌合孔群43の配置ピッチは、第1配線板11での第1接点部群13の配置ピッチ、及び、第2配線板21での第2接点部群23の配置ピッチと等しい。また、Y方向において、嵌合孔群43内にある2つの嵌合孔44の間隔は、第1接点部群13内にある2つの第1接点部14の間隔、及び、第2接点部群23内にある2つの第2接点部24の間隔と等しい。
【0048】
各嵌合孔群43が有する2つの嵌合孔44のそれぞれは、図12に示されるように、嵌合プレート42をZ方向に貫通し、且つ互いにY方向に離れて配置された一対のばね片挿入孔46を有する。第1コネクタ部31と第2コネクタ部41とが嵌合するとき、一対のばね片挿入孔46には、第1コネクタ部31の対応する突起34の一対のばね片36がそれぞれ挿入される。図12は、第2コネクタ部41を斜め上方から見た部分斜視図である。
なお、図13に示すように、各嵌合孔群43において-Y側に位置する嵌合孔44を構成する一対のばね片挿入孔46の一つ(厳密には、+Y側のばね片挿入孔46)と、+Y側に位置する嵌合孔44を構成する一対のばね片挿入孔46の一つ(厳密には、-Y側のばね片挿入孔46)とは、Y方向に隣接しており、互いに連通して1つの開口部を形成している。図13は、図11のB-B線断面図である。
【0049】
また、嵌合プレート42には、図12に示すように、一対のばね片挿入孔46の間を仕切る仕切り部47が設けられている。仕切り部47のY方向の両側面により、嵌合孔44の内面が形成されており、第1コネクタ部31と第2コネクタ部41とが嵌合したとき、一対のばね片挿入孔46に挿入された一対のばね片36の先端部により、仕切り部47のY方向の両側面が弾性的に挟み込まれるように構成されている(後述の図19参照)。
【0050】
さらに、図1及び2に示されるように、第2コネクタ部41は、嵌合プレート42の-X側端部及び+X側端部にそれぞれ形成された一対の位置決め用突出部45A,45Bを有する。位置決め用突出部45A,45Bは、それぞれ、+Z方向に向かって突出しており、その根本部分から+Z方向の先端部分に向かうにつれて、Y方向の長さが2段階に変化するような形状を有する。-X側の位置決め用突出部45Aについては、根本部分が、第2配線板21の-X側の位置決め用貫通孔28AのY方向長さよりも短く、且つ第1配線板11の-X側の位置決め用貫通孔18AのY方向長さよりも長いY方向長さを有し、先端部分が、第1配線板11の-X側の位置決め用貫通孔18AのY方向長さよりも短いY方向長さを有する。+X側の位置決め用突出部50Bについては、根本部分が、第2配線板21の+X側の位置決め用貫通孔28BのY方向長さよりも短く、且つ第1配線板11の+X側の位置決め用貫通孔18BのY方向長さよりも長いY方向長さを有し、先端部分が、第1配線板11の+X側の位置決め用貫通孔18BのY方向長さよりも短いY方向長さを有する。
【0051】
上述した形状の位置決め用突出部45A,45Bが設けられていることで、第2コネクタ部41の上に第2配線板21と第1配線板11とを順次配置する際に、誤った順序での配置、具体的には第2コネクタ部41の上に第1配線板11及び第2配線板21を、その順序で配置しないようにすることができる。
【0052】
[配線板組立体の組立て手順]
以上までに説明してきた第1配線板11、第2配線板21及びコネクタCを用いて配線板組立体を組み立てる際には、先ず、図1及び2に示されるように、第1コネクタ部31と第1配線板11と第2配線板21と第2コネクタ部41を、この順序でZ方向に並べて位置合わせする。このとき、第1配線板11と第2配線板21は、第1配線板11の第1基板12の表面12Aと第2配線板21の第2基板22の表面22Aとが互いに対向するように配置される。
【0053】
第1コネクタ部31と第1配線板11と第2配線板21と第2コネクタ部41を位置合わせした状態では、第2配線板21に設けられた8個の第2接点部24の各々が、XY面に沿った方向において、第1配線板11に設けられた8個の第1接点部14のうち、対応する1つの第1接点部14と対向する。つまり、上記の状態では、第1コネクタ部31に設けられた8個の突起34の各々の-Z方向側に、第1配線板11の第1接点部14と、第2配線板21の第2接点部24と、第2コネクタ部41の嵌合孔44とが順次位置することになる。
【0054】
上記の状態で、第1コネクタ部31を第2コネクタ部41に向けて-Z方向に相対的に移動させることにより、第1コネクタ部31の複数の突起34が、第1配線板11の複数の第1接点部14、及び第2配線板21の複数の第2接点部24を巻き込みながら、第2コネクタ部41の複数の嵌合孔44に嵌め込まれる。これにより、図14及び15に示すように、第1配線板11と第2配線板21とが重ねられて第1コネクタ部31と第2コネクタ部41の間に挟み込まれる。以上までの組立て手順により、第1配線板11と第2配線板21とが重ね合わされて第1接点部14及び第2接点部24が互いに接触し、その結果、配線板組立体が完成する。図14及び15は、組立て後の配線板組立体を示す斜視図である。
【0055】
また、配線板組立体の組立時、図16及び17に示されるように、第2コネクタ部41の位置決め用突出部45A,45Bを、第2配線板21の位置決め用貫通孔28A,28B、及び第1配線板11の位置決め用貫通孔18A,18Bにそれぞれ挿入することにより、第1配線板11と第2配線板21と第2コネクタ部41の間でXY面に沿った方向に位置ずれを生じることなく、配線板組立体を容易に組み立てることができる。
図16及び17は、それぞれ、組み立て後の配線板組立体の平面図又は底面図である。
【0056】
以上のように、第1配線板11と第2配線板21を互いに重ね合わせ、第1配線板11の複数の第1接点部14及び第2配線板21の複数の第2接点部24を介して、第1コネクタ部31の複数の突起34を、第2コネクタ部41の複数の嵌合孔44に嵌め込むだけで、配線板組立体を簡単に組み立てることができ、それぞれの第1接続部14とそれぞれの第2接点部24とを容易に接続することができる。
【0057】
なお、配線板組立体を組み立てる際には、第2コネクタ部41を作業台等の固定面上に置いた状態で、第2配線板21及び第1配線板11を間に挟んで上方から第1コネクタ部31を下方の第2コネクタ部41に向けて押し込んでもよい。あるいは、上下逆さにして、第1コネクタ部31を固定面上に置き、第1配線板11及び第2配線板21を間に挟んで上方から第2コネクタ部41を下方の第1コネクタ部31に向けて押し込んでもよい。
【0058】
組み立てられた配線板組立体の、YZ面に沿った断面を図18に示す。図18に示されるように、第1コネクタ部31に設けられた突起34を構成する一対のばね片36は、それぞれ、第2コネクタ部41に設けられた嵌合孔44を構成する一対のばね片挿入孔46に挿入される。このとき、第1配線板11に設けられた第1接点部14が有する一対の第1突出片16A,16B、及び第2配線板21に設けられた第2接点部24が有する一対の第2突出片26A,26Bが、一対のばね片36により-Z方向に押される。これにより、一対の第1突出片16A,16B、及び一対の第2突出片26A,26Bは、図19に示すように、それぞれの根元部分から第2コネクタ部41の仕切り部47に沿って-Z方向に屈曲する。図19は、第1コネクタ部31の突起34と第2コネクタ部41の嵌合孔44との嵌合状態を示す図であり、図18の部分拡大図である。
【0059】
-Z方向に屈曲した各第1突出片16A,16Bに形成された一対の第1接点14A及び一対の第1接点14Bと、-Z方向に屈曲した各第2突出片26A,26Bに形成された一対の第2接点24A及び一対の第2接点24Bとは、互いに対向して重なり合い、突起34を構成する一対のばね片36と、嵌合孔44間を仕切る仕切り部47のY方向の両側面との間に挟み込まれる。
【0060】
ここで、一対のばね片36は、Y方向に弾性を有するので、一対の第1接点14A及び一対の第1接点14Bを有する第1接点部14と、一対の第2接点24A及び一対の第2接点24Bを有する第2接点部24とは、突起34の側面を形成するばね片36の側面と、嵌合孔44の内面を形成する仕切り部47の側面との間において、互いに弾性的に押し付けられる。これにより、第1接点部14及び第2接点部24は、それぞれの第1接点14A,14B及びそれぞれの第2接点24A,24Bにて確実に接触し、互いに電気的に接続される。換言すれば、コネクタCは、互いに対向して重ねられた第1配線板11の第1接点部14と第2配線板21の第2接点部24を巻き込みながら突起34が嵌合孔44に嵌め込まれ、突起34の側面と嵌合孔44の内面との間において、第1接点部14と第2接点部24とを互いに弾性的に押し付けて接触させることで電気的に接続させる。
【0061】
組み立てられた配線板組立体は、可撓性を有し、Y方向に沿って曲げることが可能であるが、第1配線板11に第1孔19が設けられ、第2配線板21に第2孔29が設けられていることにより、曲げ回数が多くなった場合にも、それぞれの配線板の損傷が抑えられる。この効果について、図20及び21を参照しながら詳細に説明する。図20は、比較例に係る配線板の表面を示す図であり、第1孔19が設けられていない第1配線板11Xの部分拡大図である。図21は、図20に示された第1配線板11Xが有する第1接点部14の部分拡大図であり、後述するクラックI(亀裂)が生じた様子を示している。
【0062】
図20に示す第1配線板11X(比較例に係る配線板)を用いて組み立てられた配線板組立体をY方向に沿って曲げると、第1配線板11Xの第1接点部14では、一対の切り欠き側部15A,15Bが設けられているために、X方向に引っ張るような引っ張り応力負荷が第1接点部14に生じる。このとき、Y方向において一対の第1突出片16A,16Bのそれぞれと隣接する切り欠き側部15A同士の間、又は、切り欠き側部15B同士の間に位置している括れ部分(すなわち、第1突出片連結部分16Cの両脇位置に位置する部分)に引っ張り応力が集中する。そして、比較例において曲げ回数を増やしていくと、やがて、上述した引っ張り応力が集中する括れ部分には、図21に示すようなクラックIが生じ、その箇所にて配線部(導電部分)が断線してしまう。このような状況は、第2孔29が設けられてない第2配線板を用いて配線板組立体を組み立てた場合にも同様に生じ得る。
【0063】
これに対して、本発明の配線板組立体では、第1配線板11に、X方向において一対の第1突出片16A,16Bが存在する範囲に第1孔19が形成されている。第1孔19の少なくとも一部は、Y方向において、一対の第1突出片16A,16Bの間(すなわち、第1突出片連結部分16C)に位置し、また、各第1突出片16A,16Bの根元部分に位置している。この第1孔19がその形成位置にて第1配線板11の連続性を断ち切っており、配線板組立体をY方向に沿って曲げた際には第1孔19がX方向に広がるようになる。この結果、第1接点部14中の括れ部分(すなわち、Y方向において切り欠き側部15A同士の間、又は切り欠き側部15B同士の間)に集中する引っ張り応力が軽減される。
また、同様に、第2配線板21には、X方向において一対の第2突出片26A,26Bが存在する範囲に第2孔29が形成されている。第2孔29の少なくとも一部は、Y方向において、一対の第2突出片26A,26Bの間(すなわち、第2突出片連結部分26C)に位置し、また、各第2突出片26A,26Bに位置する。この第2孔29がその形成位置にて第2配線板21の連続性を断ち切っており、配線板組立体をY方向に沿って曲げた際には第2孔29がX方向に広がるようになる。この結果、第2接点部24中の括れ部分(すなわち、Y方向において切り欠き側部25A同士の間、又は切り欠き側部25B同士の間)に集中する引っ張り応力が軽減される。
以上により、配線板組立体をY方向に沿って繰り返し曲げたとしても、各配線板において上記のクラックIが生じるのを抑え、クラックIに起因する配線部の断線を回避することができる。
【0064】
また、第1孔19は、X方向において、一対の第1突出片16A,16Bの各々の中央部に位置しており、Y方向において、一対の第1突出片16A,16Bのそれぞれの根元部分を横切る位置に設けられている。同様に、第2孔29は、X方向において、一対の第2突出片26A,26Bの各々の中央部に位置しており、Y方向において、一対の第2突出片26A,26Bのそれぞれの根元部分を横切る位置に設けられている。第1孔19及び第2孔29が上記の位置に設けられることで、第1接点部14中の括れ部分(Y方向において切り欠き側部15A同士の間、又は切り欠き側部15B同士の間)に集中する引っ張り応力負荷、及び、第2接点部24中の括れ部分(Y方向において切り欠き側部25A同士の間、又は切り欠き側部25B同士の間)に集中する引っ張り応力負荷を、効果的に軽減することができる。
【0065】
さらにまた、第1孔19は、X方向において、第1突出片16Aの両端部に設けられた一対の第1接点14Aの間、及び、第1突出片16Bの両端部に設けられた一対の第1接点14Bの間に配置されている。同様に、第2孔29は、X方向において、第2突出片26Aの両端部に設けられた一対の第2接点24Aの間、及び、第2突出片26Bの両端部に設けられた一対の第2接点24Bの間に配置されている。各突出片における接点と孔との位置関係が上記の関係となっていることにより、第1孔19を一対の第1接点14Aの間のスペース、及び一対の第1接点14Bの間のスペースに、第2孔29を一対の第2接点24Aの間のスペース、及び一対の第2接点24Bの間のスペースに、それぞれ収まりよく配置することができる。
【0066】
また、第1配線板11の各第1接点部14に形成された第1孔19は、Y方向において、一対の第1突出片16A,16Bのうちの一方の根元部分を横切る位置から他方の根元部分を横切る位置まで連続している。ただし、これに限定されるものではなく、第1孔19が、一対の第1突出片16A,16Bの間で途切れてもよい(Y方向において複数の孔に分割されてもよい)。同様に、第2配線板21の各第2接点部24に形成された第2孔29は、Y方向において、一対の第2突出片26A,26Bのうちの一方の根元部分を横切る位置から他方の根元部分を横切る位置まで連続しているが、これに限定されるものではなく、一対の第2突出片26A,26Bの間で途切れてもよい(Y方向において複数の孔に分割されてもよい)。
【0067】
また、X方向において、第1孔19は、一対の第1突出片16A,16Bの各々の両端よりも内側に設けられているが、例えば、一対の第1突出片16A,16Bの間に配置された第1突出片連結部分16Cに形成される場合には第1突出片16A,16Bの両端よりも外側まで広がってもよい。同様に、第2孔29は、一対の第2突出片26A,26Bの各々の両端よりも内側に設けられているが、例えば、一対の第2突出片26A,26Bの間に配置された第2突出片連結部分26Cに形成される場合には第2突出片26A,26Bの両端よりも外側まで広がってもよい。
【0068】
(第2実施形態)
第1実施形態では、第1配線板11に設けられた8個の第1接点部14のそれぞれが、Y方向において互いに反対向き(遠ざかる向き)に突出した一対の第1突出片16A,16Bを有し、一対の第1突出片16A,16Bのそれぞれの根元部分を横切る位置に第1孔19が形成されている。また、第1実施形態では、第2配線板21に設けられた8個の第2接点部24のそれぞれが、Y方向において互いに反対向き(遠ざかる向き)に突出した一対の第2突出片26A,26Bを有し、一対の第2突出片26A,26Bのそれぞれの根元部分に横切る位置に第2孔29が形成されている。
一方、第1配線板及び第2配線板が図22に示すように構成される形態(第2実施形態)も考えられ得る。図22は、第2実施形態に係る第1配線板51の表面を示す図である。なお、図示の都合上、図22には、第1配線板51の表面の一部のみが示されている。
【0069】
第2実施形態に係る第1配線板51には、図22に示すように、Y方向に並ぶ2つの第1接点部54からなる第1接点部群53が、X方向に複数設けられている。各第1接点部群53が有する2つの第1接点部54は、それぞれ、屈曲可能であり、Y方向において互いに対向する(近接する)向きに突出した一対の第1突出片56A,56Bを有する。また、第1配線板51の第1基板52においてそれぞれの第1突出片56A,56Bの縁と隣接する位置には、開口からなる第1切り欠き部55が配置されている。第1突出片56Aの縁と隣接する第1切り欠き部55、及び、第1突出片56Bの縁と隣接する第1切り欠き部55は、いずれも、Y方向に延びた一対の切り欠き側部55A,55Bと、X方向に延びて一対の切り欠き側部55A,55B同士を連結する切り欠き連結部55Cと、を有する。なお、第1突出片56Aの縁と隣接する第1切り欠き部55、及び、第1突出片56Bの縁と隣接する第1切り欠き部55は、切り欠き連結部55C同士が隣接して一体化しているため、互いに連通して略H型の開口を形成している。
【0070】
第1基板52の表面52Aには、図22に示されるように、第1突出片56Aの-X側端部及び+X側端部に一対の導電性の第1接点54Aが形成され、第1突出片56Bの-X側端部及び+X側端部に一対の導電性の第1接点54Bが形成されている。また、第1基板52の表面52Aには、一対の切り欠き側部55A,55Bに沿って導電部57Aが略矩形状に配置されており、第1突出片56Aに形成された一対の第1接点54Aと、第1突出片56Bに形成された一対の第1接点54Bとが、導電部57Aを介して互いに電気的に接続されている。
【0071】
また、各第1接点部群53において隣り合う2つの第1接点部54のそれぞれが有する一対の第1突出片56A,56Bのうち、互いに近接した2つの突出片(具体的には、+Y側の第1接点部54において+Y側に突出している第1突出片56B、及び、-Y側の第1接点部54において-Y側に突出している第1突出片56A)は、第1突出片連結部分56Cを介して互いに連結されている。そして、第1基板52には、図22に示されるように、第1突出片連結部分56C、及び、第1突出片連結部分56Cを介して連結された第1突出片56A,56Bの各々の根元部分を横切る位置に1つの第1孔59が設けられている。さらに、第1基板52には、第1突出片連結部分56Cから離れている第1突出片56A,56B(具体的には、+Y側の第1接点部54において-Y側に突出している第1突出片56A、及び、-Y側の第1接点部54において+Y側に突出している第1突出片56B)の根元部分を横切る位置にも第1孔59が設けられている。それぞれの第1孔59は、X方向において第1突出片56A,56Bの中央部に位置しており、また、一対の第1接点54A,54B及び導電部57Aから離れた位置に設けられている。
【0072】
第2実施形態に係る第2配線板については、特に図示しないが、上述した第1配線板51と同様の構成である。すなわち、第2実施形態に係る第2配線板には、Y方向に並ぶ2つの第2接点部からなる第2接点部群がX方向に複数設けられており、各第2接点部群が有する2つの第2接点部は、それぞれ、屈曲可能であり、Y方向において互いに対向する(近接する)向きに突出した一対の第2突出片を有する。第2配線板の第2基板において、一対の第2突出片のそれぞれの縁と隣接する位置には、開口からなる第2切り欠き部が配置されている。第2基板の表面には、それぞれの第2突出片の-X側端部及び+X側端部に一対の導電性の第2接点が形成されており、第2切り欠き部、及び一対の第2突出片の各々の根元部分に沿って導電部が略矩形状に配置されている。
【0073】
また、各第2接点部群において隣り合う2つの第2接点部のそれぞれが有する一対の第2突出片のうち、互いに近接した2つの突出片は、第2突出片連結部分(第1配線板51における第1突出片連結部分56Cに相当する部分)を介して互いに連結されている。そして、第2基板には、第2突出片連結部分、及び、第2突出片連結部分を介して連結された第2突出片の各々の根元部分を横切る位置に1つの第2孔が設けられている。さらに、第2基板には、第2突出片連結部分から離れている第2突出片の根元部分を横切る位置にも第2孔が設けられている。それぞれの第2孔は、X方向において第2突出片の中央部に位置しており、また、一対の第2接点及び導電部から離れた位置に設けられている。
【0074】
以上のように、第2実施形態では、第1接点部54に備えられた一対の第1突出片56A,56Bが互いに対向する向きに突出している点、第2接点部に備えられた一対の第2突出片が互いに対向する向きに突出している点、並びに、一対の突出片が突出する向きに応じて第1孔及び第2孔の形成位置が変更された点で第1実施形態と相違する。それ以外の点では、両実施形態は共通しており、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
なお、第2実施形態において、第1配線板51の第1接点部54が有する一対の第1接点54A及び一対の第1接点54Bが、それぞれ導電部57Aに接続されているが、図23に示すように、導電部57AとY方向に連続するパッド部57Cが第1基板52の表面52Aに設けられてもよい。図23は、第2実施形態の変形例に係る第1配線板51Xの表面を示す図であり、図示の都合上、図23には、第1配線板51Xの表面の一部のみが示されている。
【0076】
表面52A側のパッド部57Cと裏面側のパッド部(不図示)とは、第1基板52をZ方向に貫通するビア57Bによって電気的に接続される。そして、図23に示す変形例では、第1孔59が第1接点54A,54B及びパッド部57Cから離れた位置に設けられている。
上述のパッド部は、第2配線板に設けられてもよい。すなわち、第2基板の表面において第2接点に接続された導電部と連続するパッド部を、第2基板の裏面のパッド部とビアを介して電気的に接続させ、第2基板において第2孔を第2接点及びパッド部から離れた位置に設けることができる。
【0077】
(第3実施形態)
第1実施形態では、第1配線板11に設けられた第1孔19が第1接点14A,14Bから離れており、第2配線板21に設けられた第2孔29が第2接点24A,24Bから離れている。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、図24に示すように接点と隣接する位置に孔が設けられる形態(第3実施形態)も考えられ得る。図24は、第3実施形態に係る第1配線板61の表面を示す図である。なお、図示の都合上、図24には、第1配線板61の表面の一部のみが示されている。
【0078】
第3実施形態に係る第1配線板71は、基本的には、第2実施形態の第1配線板51と同様の構成である。すなわち、第1配線板71では、図24に示すように、Y方向に並ぶ2つの第1接点部74からなる第1接点部群73がX方向に複数設けられており、それぞれの第1接点部74が、屈曲可能であり、Y方向において互いに対向する向きに突出した一対の第1突出片76A,76Bを有する。第1配線板71の第1基板72において各第1突出片76A,76Bの縁と隣接する位置には、略H字状の開口からなる第1切り欠き部75が配置されている。第1基板72の表面72Aには、図24に示されるように、一対の第1突出片76A,76Bの全体(厳密には、第1孔79が形成された部分を除いた部分の全体)に亘って第1接点74A,74Bが形成されており、第1接点74A,74Bは、第1突出片76A,76Bを取り囲むように配置された略矩形状の導電部77Aを介して第1配線部78に接続されている。
【0079】
また、第1基板72には、各第1接点部群73において隣り合う2つの第1接点部74のそれぞれが有する一対の第1突出片76A,76Bのうち、互いに近接した2つの突出片の各々の根元部分と、これらを連結する第1突出片連結部分76Cとを横切る位置に1つの第1孔79が設けられている。さらに、第1基板72において、第1突出片連結部分76Cから離れている第1突出片76A,76Bの根元部分を横切る位置にも第1孔79が設けられている。それぞれの第1孔79は、図24に示すように、第1接点74A,74Bと隣接する位置に設けられており、また、X方向において第1突出片76A,76Bの中央部に位置している。
【0080】
第3実施形態に係る第2配線板については、特に図示しないが、上述した第1配線板61と同様の構成である。すなわち、第3実施形態に係る第2配線板には、Y方向に並ぶ2つの第2接点部からなる第2接点部群がX方向に複数設けられており、各第2接点部群が有する2つの第2接点部は、それぞれ、屈曲可能であり、Y方向において互いに対向する向きに突出した一対の第2突出片を有する。第2配線板の第2基板において、それぞれの第2突出片の縁と隣接する位置には、略H字状の開口からなる第2切り欠き部が配置されている。第2基板の表面には、それぞれの第2突出片の全体に亘って導電性の第2接点が形成されており、第2接点は、一対の第2突出片を取り囲むように配置された略矩形状の導電部を介して、第2配線部に接続されている。
【0081】
また、第2基板には、各第2接点部群において隣り合う2つの第2接点部のそれぞれが有する一対の第2突出片Bのうち、互いに近接した2つの突出片の各々の根元部分と、これらを連結する第2突出片連結部分とを横切る位置に1つの第2孔が設けられている。さらに、第2基板において、第2突出片連結部分から離れている第2突出片の根元部分を横切る位置にも第2孔が設けられている。それぞれの第2孔は、第2接点と隣接する位置に設けられており、また、X方向において第2突出片の中央部に位置している。
【0082】
以上のように、第3実施形態では、第1孔69が第1接点74A,74Bと隣接している点、並びに、第2孔が第2接点と隣接している点で第1実施形態と相違する。それ以外の点では、両実施形態は共通しており、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0083】
(第4実施形態)
第1実施形態では、第2コネクタ部41の嵌合プレート42が、嵌合孔44を構成する一対のばね片挿入孔46の間を仕切る仕切り部47を有する。そして、第1実施形態では、第1コネクタ部31と第2コネクタ部41とが嵌合したときに、第1コネクタ部31の突起34が有する一対のばね片36の側面と嵌合孔44内の仕切り部47の両側面との間で、第1配線板11の第1接点部14及び第2配線板21の第2接点部24を互いに弾性的に押しつけて接触させることとした。ただし、これに限るものではなく、例えば、図25に示す形状の突起84が設けられた第1コネクタ部81を用いる形態(第4実施形態)も考えられ得る。図25は、第4実施形態に係る配線板組立体における第1コネクタ部81の突起84と第2コネクタ部91の嵌合孔94との嵌合状態を示す部分断面図である。
【0084】
第4実施形態に係る第1コネクタ部81の突起84は、例えば+Z方向に突出する略四角柱形状を有するものであり、絶縁性ゴム等の絶縁体から形成され、少なくともY方向に弾性を有する。第4実施形態に係る第2コネクタ部91の嵌合孔94は、第1コネクタ部81の突起84に対応して、略矩形状の平面形状を有する貫通孔である。
【0085】
また、第4実施形態に係る第1配線板111は、互いにY方向に近接する向きに突出している一対の第1突出片116A,116Bと、それぞれの第1突出片116A,116Bの表面に形成された一対の第1接点114A及び一対の第1接点114Bと、を備えた第1接点部114を有する。なお、図25には不図示であるが、第1配線板111には、X方向において、一対の第1突出片116A,116Bのそれぞれの根元部分を横切る位置に第1孔が設けられている。
同様に、第4実施形態に係る第2配線板121は、互いにY方向に対向する向きに突出している一対の第2突出片126A,126Bと、それぞれの第2突出片126A,126Bの表面に形成された一対の第2接点124A及び一対の第2接点124Bと、を備えた第2接点部124を有する。なお、図25には不図示であるが、第2配線板121には、X方向において、それぞれの第2突出片126A,126Bの根元部分を横切る位置に第2孔が設けられている。
【0086】
第4実施形態に係る第1コネクタ部81と第2コネクタ部91とを互いに嵌合すると、互いに対向して重ねられた第1配線板111の複数の第1接点部114と第2配線板121の複数の第2接点部124を巻き込みながら、第1コネクタ部81の突起84が第2コネクタ部91の嵌合孔94に嵌め込まれる。これにより、それぞれの第1接点部114が有する一対の第1突出片116A,116Bに形成された第1接点114A,114Bと、それぞれの第2配線板121が有する一対の第2突出片126A,126Bに形成された第2接点124A,124Bとが、第1コネクタ部81の突起84の側面と第2コネクタ部91の嵌合孔94の内面との間に挟み込まれる。
【0087】
ここで、突起84は、Y方向に弾性を有しているため、各第1接点部114が有する第1接点114A,114Bと、各第2接点部124が有する第2接点124A,124Bは、突起84の側面と嵌合孔94の内面との間において、互いに弾性的に押しつけられて接触し、確実に互いに電気的に接続される。このような第1コネクタ部81の突起84と第2コネクタ部91の嵌合孔94を用いても、第1実施形態と同様に、第1接点部114と第2接点部124とを安定して電気的に接続することが可能となる。
【0088】
また、第1コネクタ部81の代わりに、図26に示されるように、金属ばねからなる突起104を有する第1コネクタ部101を用いても、第1接点部114と第2接点部124とを電気的に接続することができる。図26は、第4実施形態の変形例に係る配線板組立体における第1コネクタ部101の突起104と第2コネクタ部91の嵌合孔94との嵌合状態を示す部分断面図である。
突起104は、互いにY方向に対向し且つそれぞれY方向に弾性を有する一対のばね片105を有する。そして、第1配線板111に設けられた複数の第1接点部114のそれぞれと、第2配線板121に設けられた複数の第2接点部124のそれぞれとは、第1コネクタ部101の一対のばね片105の側面と第2コネクタ部91の嵌合孔94の内面との間に挟み込まれ、互いに弾性的に押しつけられて接触し、確実に互いに電気的に接続される。
【0089】
(その他の実施形態)
上記の実施形態では、第1コネクタ部31、81、101の突起34、84、104がY方向に弾性を有しているが、これに限定されるものではなく、突起34、84、104に弾性がなくとも、第2コネクタ部41の嵌合孔44間に設けられた仕切り部47、あるいは嵌合孔44の縁部分がY方向に弾性を有してもよい。なお、第1コネクタ部31、81、101の突起34、84、104がY方向に弾性を有するとともに、第2コネクタ部41の嵌合孔44間に設けられた仕切り部47、あるいは嵌合孔44の縁部分がY方向に弾性を有してもよい。
【0090】
また、上記の実施形態では、第1配線板11、11X、51、51X、71、111の第1接点部14、54、74、114、及び、第2配線板21、121の第2接点部24、124が屈曲可能であり、配線板組立体の組立て時にそれぞれの接点部が屈曲することとした。ただし、これに限定されるものではなく、第1接点部及び第2接点部は、配線板組立体の組立て時に屈曲するものでなくてもよく、すなわち、各接点部を屈曲させずに第1配線板及び第2配線板を平板状のままで重ねることで配線板組立体を構成してもよい。
【0091】
また、上記の実施形態では、第1接点部14、54、74、114が有する一対の第1突出片16A,16B、一対の第1突出片56A,56B、一対の第1突出片76A,76B、及び一対の第1突出片116A,116Bのそれぞれの根元部分を横切る位置に第1孔19、59、79が設けられていることとした。ただし、第1孔は、X方向において第1突出片が存在する範囲にあり、且つ、少なくとも一部がY方向において第1突出片の根元部分に位置していればよく、必ずしも第1突出片の根元部分を横切らなくてもよい。すなわち、第1孔のY方向端が第1突出片の根元部分と同じ位置にあってもよい。あるいは、第1孔は、Y方向において、互いに反対向きに突出した一対の第1突出片の間(すなわち、第1突出片連結部分が存在する範囲内)にのみ設けられてもよい。
同様に、上記の実施形態では、第2接点部24、124が有する一対の第2突出片26A,26B、及び一対の第2突出片126A,126Bのそれぞれの根元部分を横切る位置に第2孔29が設けられていることとしたが、第2孔は、X方向において第2突出片が存在する範囲にあり、且つ、少なくとも一部がY方向において第2突出片の根元部分に位置していればよく、必ずしも第2突出片の根元部分を横切らなくてもよい。すなわち、第2孔のY方向端が第2突出片の根元部分と同じ位置にあってもよい。あるいは、第2孔は、Y方向において、互いに反対向きに突出した一対の第2突出片の間(すなわち、第2突出片連結部分が存在する範囲内)にのみ設けられてもよい。
【符号の説明】
【0092】
11,11X,51,51X,71,111 第1配線板
12,52,72 第1基板
12A,52A,72A 表面
12B 裏面
13,53,73 第1接点部群
14,54,74,114 第1接点部
14A,14B,54A,54B,74A,74B,114A,114B 第1接点
15,55,75 第1切り欠き部
15A,15B,55A,55B 切り欠き側部
15C,55C 切り欠き連結部
16A,16B,56A,56B,76A,76B,116A,116B 第1突出片
16C,56C,76C 第1突出片連結部分
17A,17C,78 第1配線部
17B,57B ビア
57C パッド部
18A,18B 位置決め用貫通孔
19,59,79 第1孔
21,121 第2配線板
21T 絶縁層
22 第2基板
22A 表面
22B 裏面
23 第2接点部群
24,124 第2接点部
24A,24B,124A,124B 第2接点
25 第2切り欠き部
25A,25B 切り欠き側部
25C 切り欠き連結部
26A,26B,126A,126B 第2突出片
26C 第2突出片連結部分
27A 第2配線部
27B ビア
28A,28B 位置決め用貫通孔
29 第2孔
31,81,101 第1コネクタ部
32 ベース部
33 突起群
34,84,104 突起
35 保護壁部
35A 貫通孔
36 ばね片
37 腕部
39 絶縁シート
41,91 第2コネクタ部
42 嵌合プレート
43 嵌合孔群
44,94 嵌合孔
45A,45B 位置決め用突出部
46 ばね片挿入孔
47 仕切り部
57A,77A 導電部
105 ばね片
C コネクタ
I クラック
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