(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】収集装置、廃棄物の分別方法、および、廃棄物の分別プログラム
(51)【国際特許分類】
B09B 3/30 20220101AFI20230419BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20230419BHJP
C08J 11/10 20060101ALI20230419BHJP
B09B 101/75 20220101ALN20230419BHJP
【FI】
B09B3/30
B09B3/60
C08J11/10
B09B101:75
(21)【出願番号】P 2019142326
(22)【出願日】2019-08-01
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳舘 俊一
(72)【発明者】
【氏名】品地 嵩彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅一
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239371(JP,A)
【文献】特開平06-240045(JP,A)
【文献】特開2006-331451(JP,A)
【文献】特開2005-131631(JP,A)
【文献】特開平09-314113(JP,A)
【文献】特開平10-290974(JP,A)
【文献】特開平06-227883(JP,A)
【文献】特開2003-071421(JP,A)
【文献】特開2008-112454(JP,A)
【文献】特開2013-225280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
B29B 17/00
C08J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の投入口と、
前記投入口に投入された廃棄物を返却するための返却口と、
生分解性プラスチックを分解するための分解槽と、
前記投入口に投入された廃棄物に取り付けられているIC(Integrated Circuit)タグから、当該廃棄物に関する情報を読み取るためのリーダーと、
前記投入口に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する制御装置と、
前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合に、当該廃棄物を前記分解槽に送
り、前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていないと判別した場合に、当該廃棄物を前記返却口に送るための分別機構とを備え
、
前記制御装置は、
前記リーダーによって読み取られた情報に基づいて、前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する判別部と、
前記判別部の判別結果に基づいて、前記分別機構を駆動する駆動制御部とを含み、
前記分解槽は、
前記生分解性プラスチックを生分解するための分解促進媒体と、
前記分解促進媒体を拡散する拡散機構と、
通気口と、
排気口と、
前記分解槽の外部の空気を前記通気口を通じて前記分解槽の内部に通し、前記分解槽の内部の空気を前記排気口を通じて前記分解槽の外部に排気するためのファンと、
前記分解槽に所定温度以上に加熱された蒸気を送るためのスチーム発生装置とを含む、収集装置。
【請求項2】
前記分解槽は、
前記廃棄口を覆うように設けられる消臭剤と、
当該分解槽の内部における異臭の度合いを検知するための臭気センサを含み、
前記収集装置は、さらに、前記異臭の度合いが第1閾値を超えたことに基づいて、前記ファンを駆動するファン制御部を備える、請求項1に記載の収集装置。
【請求項3】
前記収集装置は、さらに、前記異臭の度合いが第2閾値を超えたことに基づいて、前記消臭剤の交換時期が到来したことを報知する報知部を備え、
前記第2閾値は、前記第1閾値よりも大きい、請求項2に記載の収集装置。
【請求項4】
前記収集装置は、さらに、
携帯端末と近距離無線通信を行うために読み取り機と、
サーバーと通信するための通信インターフェイスとを備え、
前記読み取り機は、前記携帯端末と近距離無線通信を行うことで、当該携帯端末のユーザ情報を取得し、
前記サーバーは、前記判別部によって前記投入口に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合に、当該廃棄物に応じたポイントを、前記ユーザ情報によって特定されるユーザに付与する、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集装置。
【請求項5】
収集装置における廃棄物の分別方法であって、
前記収集装置は、
廃棄物の投入口と、
前記投入口に投入された廃棄物を返却するための返却口と、
生分解性プラスチックを分解するための分解槽とを備え、
前記分別方法は、
前記投入口に投入された廃棄物に取り付けられているIC(Integrated Circuit)タグから、当該廃棄物に関する情報を読み取るステップ、
読み取られた情報に基づいて、前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別するステップと、
前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合に、当該廃棄物を前記分解槽に送るステップと、
前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていないと判別した場合に、当該廃棄物を前記返却口に送るステップとを備える、分別方法。
【請求項6】
収集装置における廃棄物の分別プログラムであって、
前記収集装置は、
廃棄物の投入口と、
前記投入口に投入された廃棄物を返却するための返却口と、
生分解性プラスチックを分解するための分解槽とを備え、
前記分別プログラムは、前記収集装置に
前記投入口に投入された廃棄物に取り付けられているIC(Integrated Circuit)タグから、当該廃棄物に関する情報を読み取るステップ、
読み取られた情報に基づいて、前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別するステップと、
前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合に、当該廃棄物を前記分解槽に送るステップと、
前記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていないと判別した場合に、当該廃棄物を前記返却口に送るステップとを実行させる、分別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生分解性プラスチックの廃棄物を判別するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生分解性プラスチックに関する研究が進んでいる。生分解性プラスチックは、微生物の働きによって水と二酸化炭素とに分解されるため、環境に優しい素材として注目されている。
【0003】
生分解性プラスチックに関し、特開2014-125611号公報(特許文献1)は、「キャッサバ由来のでんぷんを用いて製造された生分解性プラスチック組成物」を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生分解性プラスチックは、食品トレイやペットボトルなどの容器、梱包材などに用いられ得る。当該容器や当該梱包材は、利用後には廃棄物となる。このような廃棄物の量や投棄を減らすために、生分解性プラスチックの廃棄物を収集および生分解することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、収集装置は、廃棄物の投入口と、生分解性プラスチックを分解するための分解槽と、上記投入口に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する判別部と、上記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合に、当該廃棄物を上記分解槽に送るための分別機構とを備える。
【0007】
本開示の一例では、上記収集装置は、さらに、上記投入口に投入された廃棄物を返却するための返却口を備える。上記分別機構は、上記投入口に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていないと判別した場合に、当該廃棄物を上記返却口に送る。
【0008】
本開示の一例では、上記収集装置は、さらに、上記投入口に投入された廃棄物に取り付けられているIC(Integrated Circuit)タグから、当該廃棄物に関する情報を読み取るためのリーダーを備える。上記判別部は、上記リーダーによって読み取られた情報に基づいて、上記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する。
【0009】
本開示の一例では、上記収集装置は、さらに、所定温度以上に加熱された蒸気を上記分解槽に送るためのスチーム発生装置を備える。
【0010】
本開示の一例では、上記分解槽は、通気口と、排気口と、上記分解槽の外部の空気を上記通気口を通じて上記分解槽の内部に通し、上記分解槽の内部の空気を上記排気口を通じて上記分解槽の外部に排気するためのファンと、上記排気口を覆うように設けられる消臭剤とを含む。
【0011】
本開示の一例では、上記分解槽は、さらに、当該分解槽の内部における異臭の度合いを検知するための臭気センサを含む。上記収集装置は、さらに、上記異臭の度合いが第1閾値を超えたことに基づいて、上記ファンを駆動するファン制御部を備える。
【0012】
本開示の一例では、上記収集装置は、さらに、上記異臭の度合いが第2閾値を超えたことに基づいて、上記消臭剤の交換時期が到来したことを報知する報知部を備える。上記第2閾値は、上記第1閾値よりも大きい。
【0013】
本開示の一例では、上記収集装置は、さらに、携帯端末と近距離無線通信を行うために読み取り機と、サーバーと通信するための通信インターフェイスとを備える。上記読み取り機は、上記携帯端末と近距離無線通信を行うことで、当該携帯端末のユーザ情報を取得する。上記サーバーは、上記判別部によって上記投入口に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合に、当該廃棄物に応じたポイントを、上記ユーザ情報によって特定されるユーザに付与する。
【0014】
本開示の他の例では、収集装置における廃棄物の分別方法が提供される。上記収集装置は、廃棄物の投入口と、生分解性プラスチックを分解するための分解槽とを備える。上記分別方法は、上記投入口に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別するステップと、上記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合に、当該廃棄物を上記分解槽に送るステップとを備える。
【0015】
本開示の他の例では、収集装置における廃棄物の分別プログラムが提供される。上記収集装置は、廃棄物の投入口と、生分解性プラスチックを分解するための分解槽とを備える。上記分別プログラムは、上記収集装置に、上記投入口に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別するステップと、上記廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合に、当該廃棄物を上記分解槽に送るステップとを実行させる。
【0016】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】収集装置内における分別機構の一例を示す図である。
【
図3】収集装置内にある分解槽の様子を概略的に示す図である。
【
図4】収集装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】ICタグリーダーによって読み取られた物品情報を示す図である。
【
図7】臭気センサによって検知される異臭レベルの時間的変化を示す図である。
【
図8】生分解性プラスチックの分別処理を表わすフローチャートである。
【
図9】消臭制御処理を表わすフローチャートである。
【
図10】情報処理システムの装置構成の一例を示す図である。
【
図11】収集装置と携帯端末とサーバーとの間におけるデータの流れを示すシーケンス図である。
【
図12】ポイント履歴のデータ構造の一例を示す図である。
【
図13】携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図14】サーバーのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0019】
<A.収集装置100の外観>
まず、
図1を参照して、生分解性プラスチックの廃棄物を収集および分解するための収集装置100について説明する。
図1は、収集装置100の外観を示す図である。
【0020】
本明細書における「生分解性プラスチック」とは、微生物の働きによって分解することができるプラスチックや、海水により分解することが可能なプラスチックを意味する。生分解性プラスチックは、好機的条件下では水と二酸化炭素などに分解され、嫌気的環境下では水とメタンと二酸化炭素などに分解される。生分解性プラスチックの種類は特に限定されず、たとえば、生物資源由来のバイオプラスチックであってもよいし、植物資源由来の生分解性プラスチックであってもよいし、石油由来の生分解性プラスチックであってもよい。生分解性プラスチックは、PLA(ポリ乳酸)、PHBH(微生物ポリエステル)、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)、バイオPBS(ポリブチレンサキシネート)、ポリ乳酸ブレンドPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレンサクシネート、カプトラクトン、コポリエステル、ポリエステルアミド、改質ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリビニルアルコール、PGA、ポリヒドロキシ酪酸、および/または、ポリヒドロキシヘキサン酸などを成分とする。
【0021】
また、本明細書における「廃棄物」とは、使用済みの処分すべき物を意味する。廃棄物は、生分解性プラスチックからなる容器(たとえば、食品トレイやペットボトルなど)や、生分解性プラスチックからなる梱包材、生分解性プラスチック以外の材料からなるごみなどを含む概念である。
【0022】
収集装置100は、コンポスターであり、たとえば、コンビニエンスストア、スーパー、レストラン、ホテル、家庭、道路上など、生分解性プラスチックの廃棄物が集まる可能性がある各場所に設置される。
【0023】
図1に示されるように、収集装置100は、廃棄物の投入口30と、廃棄物の返却口32と、ディスプレイ34と、携帯端末の読み取り機36とを含む。
【0024】
投入口30は、開閉可能に構成されている。収集装置100のユーザは、投入口30を開いた状態で廃棄物を投入口30に投入する。投入口30には、生分解性プラスチックの廃棄物以外にも様々な廃棄物が投入される可能性がある。そのため、収集装置100は、投入口30に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する。生分解性プラスチックの判別方法については後述する。
【0025】
収集装置100は、投入口30に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されていると判別した場合には、当該廃棄物を後述の分解槽40(
図3参照)に送る。そうでない場合には、収集装置100は、当該廃棄物を返却口32に送る。このような収集装置100が各場所に設置されることで、生分解性プラスチックの廃棄物の収集および生分解が実現される。また、収集装置100は、生分解性プラスチック以外の廃棄物を返却することで、生分解性プラスチックの廃棄物のみを効率的に収集することができる。
【0026】
ディスプレイ34は、収集装置100に関する各種の情報を表示する。ディスプレイ34は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescent)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。好ましくは、ディスプレイ34は、タッチパネルで構成され、収集装置100に対する各種操作を受け付ける。
【0027】
読み取り機36は、収集装置100のユーザが所有している後述の携帯端末200(
図10参照)との近距離無線通信を行うための装置である。ユーザは、携帯端末200を読み取り機36にかざした上で、生分解性プラスチックの廃棄物を投入口30に投入することで、エコポイントを獲得することができる。エコポイントを付与する仕組みについては後述する。
【0028】
<B.生分解性プラスチックの分別機構>
次に、
図2を参照して、生分解性プラスチックの分別機構について説明する。
図2は、収集装置100内における分別機構の一例を示す図である。
【0029】
図2に示されるように、収集装置100は、ICタグリーダー38と、経路39A~39Cと、制御装置101と、分別機構170とを含む。
【0030】
図2には、投入口30に投入された廃棄物25が示されている。廃棄物25には、ICタグ26が取り付けられている。ICタグ26には、廃棄物25に関する物品情報が格納されている。
【0031】
ICタグリーダー38は、投入口30に投入された廃棄物25に取り付けられているICタグ26と通信するように構成される。ICタグリーダー38は、廃棄物25が投入口30に投入されたときに投入口30と通信可能な範囲に設けられる。
【0032】
ICタグリーダー38は、電磁界や電波などを用いた近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)によってICタグ26から廃棄物25に関する物品情報を読み取る。ICタグリーダー38によって読み取られた物品情報は、収集装置100の制御装置101に出力される。制御装置101は、ICタグリーダー38によって読み取られた物品情報に基づいて、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する。一例として、当該物品情報には、廃棄物25を構成する成分などが規定されており、制御装置101は、廃棄物25の成分情報に基づいて、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する。生分解性プラスチックの判別方法の詳細については後述する。
【0033】
なお、生分解性プラスチックの判別方法は、これに限定されない。一例として、廃棄物25には、QR(Quick Response)コード、一次元バーコード、または二次元バーコードなどのコードが付されており、ICタグリーダー38が当該コードの情報を読み取ることで廃棄物25の物品情報を取得してもよい。この場合、ICタグリーダー38は、バーコードリーダーやカメラである。
【0034】
あるいは、制御装置101は、画像処理により廃棄物25の特徴部分を認識することで、廃棄物25が生分解性プラスチックであるか否かを判別してもよい。一例として、認識される特徴部分は、他の容器と区別可能な特徴的な形状であってもよいし、廃棄物25にプリントされている特徴的なマークであってもよい。廃棄物25の特徴部分は、たとえば、学習済みモデルを用いて認識される。学習済みモデルは、学習用データセットを用いた学習処理により予め生成されている。学習用データセットは、廃棄物25の特徴部分が写っている複数の学習用画像を含む。各学習用画像には、廃棄物25が生分解性プラスチックであるか否かを示すラベルが関連付けられる。学習済みモデルの内部パラメータは、このような学習用データセットを用いた学習処理により予め最適化されている。
【0035】
学習済みモデルを生成するための学習手法には、種々の機械学習アルゴリズムが採用され得る。一例として、当該機械学習アルゴリズムとして、ディープラーニング、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)、全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)、サポートベクターマシンなどが採用される。
【0036】
経路39Aの一端は、投入口30と繋がっている。経路39Aの他端は、経路39Bの一端と、経路39Cの一端とに繋がっている。経路39Bの他端は、後述の分解槽40(
図3参照)に繋がっている。経路39Cの他端は、上述の返却口32(
図1参照)に繋がっている。
【0037】
分別機構170は、経路39Bと経路39Cとの間で、廃棄物25の経路を切り替えるための機構である。一例として、分別機構170は、モーター(図示しない)と、当該モーターによって駆動される駆動板35とで構成される。分別機構170は、制御装置101からの制御信号に従って駆動板35を駆動する。より具体的には、制御装置101は、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていると判別した場合には、経路39Cを閉じるように駆動板35を駆動し、経路39Aから経路39Bに廃棄物25を送る。これにより、廃棄物25が分解槽40に送られる。一方で、制御装置101は、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていないと判別した場合には、経路39Bを閉じるように駆動板35を駆動し、経路39Aから経路39Cに廃棄物25を送る。これにより、廃棄物25が返却口32に送られる。
【0038】
なお、生分解性プラスチックではない廃棄物25は、必ずしも、返却口32に送られる必要はない。一例として、生分解性プラスチックではない廃棄物25は、投入口30で留まるように構成されてもよい。あるいは、生分解性プラスチックではない廃棄物25は、収集装置100内に設けられているごみ箱(図示しない)に送られてもよい。
【0039】
<C.分解槽40>
次に、
図3を参照して、収集装置100内にある分解槽40について説明する。
図3は、分解槽40内の様子を概略的に示す図である。
【0040】
図3に示されるように、分解槽40は、分解促進媒体60と、拡散機構62と、スチーム発生装置64と、ファン66と、通気口68と、排気口70と、消臭剤72と、臭気センサ74と、オゾナイザー76とを含む。
【0041】
分解促進媒体60は、生分解性プラスチックを生分解するための微生物などを含む物質である。当該微生物は、収集装置100に投入された生分解性プラスチックの廃棄物25だけでなく、廃棄物25に付着する生ごみなども生分解する。
【0042】
拡散機構62は、分解促進媒体60を定期的に拡散するように構成される。これにより、廃棄物25の生分解が促進される。拡散機構62は、モーターなどの駆動源により自動で駆動されても良いし、ハンドルなどにより手動で駆動されても良い。
【0043】
スチーム発生装置64は、所定温度以上に加熱された蒸気を発生し、当該蒸気を分解槽40に送るための装置である。一例として、スチーム発生装置64は、水道に繋がっている。スチーム発生装置64は、ヒーターなどの熱源を有し、当該熱源により水道水を加熱する。これにより、水道水が気化され、高温な水蒸気(スチーム)が分解槽40に噴出される。一例として、スチーム発生装置64は、100℃~135℃のスチームを所定時間(たとえば、1~2時間)送り続ける。
【0044】
生分解性プラスチックの序盤の分解反応は、加水分解であり、微生物による生分解は、加水分解によりある程度分子量が小さくなってから始まる。スチーム発生装置64により、分解槽40の内部が高温多湿になり、廃棄物25の加水分解が生じ易い環境を作ることができる。その結果、廃棄物25の加水分解が促進され、廃棄物25の分解速度が早まる。
【0045】
ファン66は、分解槽40の内部の空気を外部に排出するための送風機である。より具体的には、ファン66は、分解槽40の外部の空気を、通気口68を通じて分解槽40の内部に取り入れ、分解槽40の内部の空気を、排気口70を通じて分解槽40の外部に排出する。通気口68と排気口70とは、たとえば、分解槽40を形成するカバーに設けられている。
【0046】
消臭剤72は、生分解性プラスチックの生分解時に発生する異臭を消臭する。好ましくは、消臭剤72は、排気口70を覆うように設けられる。これにより、分解槽40から外部に排出される空気が消臭される。
【0047】
好ましくは、消臭剤72を取り外し可能にするためのユニットが排気口70に設けられる。これにより、ユーザは、消臭剤72の消臭効果がなくなったときに、消臭剤72を交換できる。消臭剤72は、たとえば、ヤシガラ、石炭、および/または木炭を原料とする活性炭である。当該活性炭は、たとえば、粉末活性炭、破砕炭、および/または造粒炭である。活性炭の粒度は、たとえば、0.4mm~60mmである。
【0048】
臭気センサ74は、分解槽40内の異臭の度合い(以下、「異臭レベル」ともいう。)を数値化するためのセンサである。臭気センサ74により、生分解性プラスチックの分解時に発生する異臭や、廃棄物25に付着している残飯によって発生する異臭が検知される。臭気センサ74には、たとえば、金属酸化物半導体式のセンサや、水晶振動子式のセンサや、バイオセンサなどが用いられる。
【0049】
オゾナイザー76は、オゾンを発生する装置である。オゾナイザー76は、たとえば、臭気センサ74と排気口70との間に設けられる。オゾナイザー76によるオゾンの発生濃度は、たとえば、0.1ppm以下である。オゾナイザー76から排出されるオゾンにより分解槽40の内部が殺菌および消臭される。オゾナイザー76で消臭可能な物質は、たとえば、アンモニア、メチルかプタン、硫化水素、硫化メチル、トリメチルアミン、二硫化メチル、アセトアルデヒド、およびプロピオンアルデヒドである。
【0050】
<D.収集装置100のハードウェア構成>
図4を参照して、収集装置100のハードウェア構成について順に説明する。
図4は、収集装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0051】
収集装置100は、ディスプレイ34と、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス110に接続される。
【0052】
制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0053】
制御装置101は、生分解性プラスチックの分別プログラム122などの各種プログラムを実行することで収集装置100の動作を制御する。制御装置101は、各種プログラムの実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120またはROM102からRAM103に実行対象のプログラムを読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0054】
通信インターフェイス104には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。収集装置100は、通信インターフェイス104を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、後述の携帯端末200や、後述のサーバー300などを含む。
【0055】
ディスプレイ34は、制御装置101などからの指令に従って画像を表示する。一例として、ディスプレイ34には、収集装置100に投入された廃棄物の判別結果などが表示される。なお、ディスプレイ34は、収集装置100と一体的に構成されてもよいし、収集装置100とは別に構成されてもよい。
【0056】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、たとえば、分別プログラム122や、分別プログラム122によって参照される設定値126などを格納する。分別プログラム122および設定値126の格納場所は、記憶装置120に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0057】
なお、分別プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、分別プログラム122による生分解性プラスチックの判別機能は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う分別プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、分別プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが分別プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で収集装置100が構成されてもよい。
【0058】
<E.収集装置100の機能構成>
図5~
図7を参照して、収集装置100の機能構成について説明する。
図5は、収集装置100の機能構成の一例を示す図である。
【0059】
図5に示されるように、収集装置100の制御装置101は、機能構成として、判別部150と、駆動制御部152と、ファン制御部154と、オゾナイザー制御部156と、報知部158とを含む。以下では、これらの機能構成について順に説明する。
【0060】
(E1.判別部150)
まず、判別部150の機能について説明する。
【0061】
判別部150は、収集装置100に投入された廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する。より具体的には、廃棄物25が投入口30に投入されたことに基づいて、上述のICタグリーダー38は、廃棄物25に取り付けられているICタグ26から廃棄物25の物品情報を読み取る。ICタグリーダー38は、読み取った物品情報を判別部150に出力する。
【0062】
図6は、ICタグリーダー38によって読み取られた物品情報10を示す図である。物品情報10は、廃棄物25に関する各種の製品情報を含む。一例として、物品情報10は、製品ID(Identification)と、製品の容器に関する成分情報、製品(食品)の製造元の会社と、製品名などの製品情報と、製品に用いられている容器の製造元を示す小売店元情報と、製品の販売店を示す小売店舗情報と、製品の販売価格と、製品の販売日時と、後述のエコポイントとを含む。
【0063】
判別部150は、たとえば、物品情報10に規定される成分情報に基づいて、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する。ある局面において、判別部150は、当該成分情報の少なくとも一部に生分解性プラスチックが含まれている場合に、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていると判別する。そうでない場合には、判別部150は、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていないと判別する。
【0064】
他の局面において、判別部150は、当該成分情報に生分解性プラスチックのみが規定されている場合に、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていると判別する。そうでない場合には、判別部150は、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていないと判別する。
【0065】
なお、上述では、ICタグ26から読み取られた成分情報に基づいて、廃棄物25の生分解性プラスチックを判別する例について説明を行ったが、廃棄物25の生分解性プラスチックは、必ずしも成分情報から特定される必要はない。一例として、判別部150は、廃棄物25のICタグ26から、廃棄物25の種別を示す種別情報を取得し、当該種別情報に基づいて、生分解性プラスチックを判別する。この場合、生分解性プラスチックであるか否かは、廃棄物の種別に予め規定されているとする。
【0066】
(E2.駆動制御部152)
次に、
図5に示される駆動制御部152の機能について説明する。
【0067】
駆動制御部152は、判別部150による廃棄物25の判別結果に基づいて、上述の分別機構170(
図2参照)を制御する。より具体的には、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていると判別された場合、駆動制御部152は、廃棄物25を分解槽40に送るように分別機構170を駆動する。一方で、廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていないと判別された場合、駆動制御部152は、廃棄物25を返却口32に送るように分別機構170を駆動する。
【0068】
(E3.ファン制御部154)
次に、
図7を参照して、
図5に示されるファン制御部154の機能について説明する。
図7は、上述の臭気センサ74によって検知される異臭レベルの時間的変化を示す図である。
【0069】
ファン制御部154は、上述の臭気センサ74(
図3参照)から、分解槽40の内部の異臭レベルを定期的に取得し、取得した異臭レベルに応じてファン66を制御する。
【0070】
一例として、ファン制御部154は、異臭レベルが閾値th1(第1閾値)を超えたことに基づいて、ファン66の駆動を開始する。これにより、分解槽40の内部の空気が上述の消臭剤72(
図3参照)を通じて外部に排出される。その結果、生分解性プラスチックの分解時に発生した異臭や、廃棄物25に付着している生ごみから発生する異臭などが抑制される。また、ファン66は、異臭レベルが閾値th1を超えるまでは停止しているので、消費電力を抑制することもできる。すなわち、消臭効果を得つつ、消費電力を抑制することができる。
【0071】
閾値th1は、たとえば、設定値126(
図5参照)に規定されている。閾値th1は、収集装置100の設置時に予め設定れていてもよいし、ユーザによって任意に調整されてもよい。
【0072】
好ましくは、ファン制御部154は、異臭レベルが高くなるにつれて、ファン66の駆動速度を上げる。これにより、ファン制御部154は、異臭レベルに応じて脱臭の度合いを調整することができ、より効果的に異臭を抑制することができる。
【0073】
なお、上述では、異臭レベルが閾値th1を超えるまで、ファン66の駆動が停止している例について説明を行ったが、ファン制御部154は、臭気センサ74によって検知される異臭レベルに関わらず、ファン66を常に駆動していてもよい。
【0074】
(E4.オゾナイザー制御部156)
次に、引き続き
図7を参照して、
図5に示されるオゾナイザー制御部156の機能について説明する。
【0075】
オゾナイザー制御部156は、上述の臭気センサ74(
図3参照)から、分解槽40の内部の異臭レベルを定期的に取得し、取得した異臭レベルに応じてオゾナイザー76を制御する。
【0076】
一例として、オゾナイザー制御部156は、臭気センサ74によって検知された異臭レベルが閾値th2を超えたことに基づいて、オゾナイザー76の駆動を開始する。閾値th2は、たとえば、設定値126(
図5参照)に規定されている。閾値th2は、収集装置100の設置時に予め設定れていてもよいし、ユーザによって任意に調整されてもよい。
【0077】
典型的には、閾値th2は、上述の閾値th1よりも大きい。異臭レベルが閾値th2を超えていることは、消臭剤72の消臭効果が薄れており、消臭剤72の交換時期が近付いていることを示す。このような場合に、オゾナイザー76が駆動されることで、消臭剤72の消臭効果を助けることができる。また、オゾナイザー76は、臭気センサ74によって検知される異臭レベルが閾値th2を超えるまでは停止しているので、消費電力を抑制することができる。すなわち、消臭効果を得つつ、消費電力を抑制することができる。
【0078】
好ましくは、オゾナイザー制御部156は、異臭レベルが高くなるにつれて、オゾナイザー76からのオゾンの放出力を多くしてもよい。これにより、オゾナイザー制御部156は、異臭レベルに応じて脱臭の度合いを調整することができ、より効果的に異臭を抑制することができる。
【0079】
なお、上述では、異臭レベルが閾値th2を超えるまで、オゾナイザー76の駆動が停止している例について説明を行ったが、オゾナイザー制御部156は、臭気センサ74によって検知される異臭レベルに関わらず、オゾナイザー76を常に駆動していてもよい。
【0080】
(E5.報知部158)
次に、引き続き
図7を参照して、
図5に示される報知部158の機能について説明する。
【0081】
報知部158は、上述の臭気センサ74(
図3参照)から、分解槽40の内部の異臭レベルを定期的に取得する。そして、報知部158は、取得した異臭レベルに基づいて、消臭剤72の交換時期が来ているか否かを判断し、当該交換時期が来ていると判断した場合には、消臭剤72を交換するようにユーザに報知する。
【0082】
一例として、報知部158は、臭気センサ74によって検知された異臭レベルが閾値th3(第2閾値)を超えたことに基づいて、消臭剤72の交換時期が到来したことを報知する。閾値th3は、たとえば、設定値126(
図5参照)に規定されている。閾値th3は、収集装置100の設置時に予め設定れていてもよいし、ユーザによって任意に調整されてもよい。
【0083】
典型的には、閾値th3は、上述の閾値th1,th2よりも大きい。異臭レベルが閾値th3を超えていることは、消臭剤72の消臭効果が薄れており、消臭剤72の交換時期が来ていることを示す。このような場合に報知がされることで、ユーザは、消臭剤72を交換するように促され、発生している異臭に対して早期に対処することができる。
【0084】
報知部158による報知の手段は、任意である。一例として、報知部158による報知は、収集装置100のディスプレイ34にメッセージを表示することで実現されてもよいし、音声や警告音を発することで実現されてもよいし、LED(Light Emitting Diode)などの光源を発光させることで実現されもよいし、後述のサーバー300にメッセージを送ることで実現されもよい。
【0085】
<F.生分解性プラスチックの分別フロー>
図8を参照して、生分解性プラスチックの分別処理の流れについて説明する。
図8は、生分解性プラスチックの分別処理を表わすフローチャートである。
【0086】
図8に示される処理は、収集装置100の制御装置101が分別プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0087】
ステップS110において、制御装置101は、収集装置100の投入口30に廃棄物25が投入されたか否かを判断する。一例として、制御装置101は、ICタグリーダー38が廃棄物25に取り付けられているICタグ26を検知したことに基づいて、投入口30に廃棄物25が投入されたと判断する。制御装置101は、投入口30に廃棄物25が投入されたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS120に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてYES)、ステップS110の処理を再び実行する。
【0088】
ステップS120において、制御装置101は、上述の判別部150(
図5参照)として機能し、投入口30に投入された廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判断する。判別部150による生分解性プラスチックの判別方法については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。制御装置101は、投入口30に投入された廃棄物25が生分解性プラスチックで構成されていると判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御装置101は、制御をステップS124に切り替える。
【0089】
ステップS122において、制御装置101は、上述の駆動制御部152(
図5参照)として機能し、投入口30に投入された廃棄物25を分解槽40に送るように分別機構170を駆動する。
【0090】
ステップS124において、制御装置101は、上述の駆動制御部152(
図5参照)として機能し、投入口30に投入された廃棄物25を返却口32に送るように分別機構170を駆動する。
【0091】
<G.消臭制御フロー>
図9を参照して、収集装置100による消臭制御処理の流れについて説明する。
図9は、消臭制御処理を表わすフローチャートである。
【0092】
図9に示される処理は、収集装置100の制御装置101が分別プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0093】
ステップS130において、制御装置101は、分解槽40の内部の異臭レベルを上述の臭気センサ74(
図3参照)から取得する。
【0094】
ステップS140において、制御装置101は、ステップS130で取得した臭気レベルが閾値th1(
図7参照)を超えているか否かを判断する。制御装置101は、臭気レベルが閾値th1を超えていると判断した場合(ステップS140においてYES)、制御をステップS142に切り替える。そうでない場合には(ステップS140においてNO)、制御装置101は、制御をステップS150に切り替える。
【0095】
ステップS142において、制御装置101は、上述のファン制御部154(
図5参照)として機能し、上述のファン66(
図3参照)の駆動を制御する。ファン制御部154によるファン66の制御方法は、上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0096】
ステップS150において、制御装置101は、ステップS130で取得した臭気レベルが閾値th2(
図7参照)を超えているか否かを判断する。制御装置101は、臭気レベルが閾値th2を超えていると判断した場合(ステップS150においてYES)、制御をステップS152に切り替える。そうでない場合には(ステップS150においてNO)、制御装置101は、制御をステップS160に切り替える。
【0097】
ステップS152において、制御装置101は、上述のオゾナイザー制御部156(
図5参照)として機能し、上述のオゾナイザー76(
図3参照)の駆動を制御する。オゾナイザー制御部156によるオゾナイザー76の制御方法は、上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0098】
ステップS160において、制御装置101は、ステップS130で取得した臭気レベルが閾値th3(
図7参照)を超えているか否かを判断する。制御装置101は、臭気レベルが閾値th3を超えていると判断した場合(ステップS160においてYES)、制御をステップS162に切り替える。そうでない場合には(ステップS160においてNO)、制御装置101は、
図9に示される処理を終了する。
【0099】
ステップS162において、制御装置101は、上述の報知部158(
図5参照)として機能し、消臭剤72の交換時期が来ていることを報知する。報知部158による報知方法は、上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
【0100】
<H.情報処理システム500>
生分解性プラスチックの収集を促進するためには、収集装置100のユーザが何らかのメリットを受けられるような仕組みを作ることが重要である。そこで、生分解性プラスチックの収集に協力したユーザに対してエコポイントを付与する仕組みを提供する。エコポイントは、商品の交換に用いられたり、商品の購入費用に充当させるために用いられる。
【0101】
以下では、
図10を参照して、エコポイントの付与機能を提供する情報処理システム500について説明する。
図10は、情報処理システム500の装置構成の一例を示す図である。
【0102】
情報処理システム500は、たとえば、収集装置100と、携帯端末200と、サーバー300とを含む。
【0103】
携帯端末200は、収集装置100のユーザが所有しているポータブル型の端末である。携帯端末200は、たとえば、スマートフォン、タブレット端末、ICカード、または、その他の通信機器である。携帯端末200は、収集装置100の読み取り機36や、サーバー300と通信可能に構成される。
【0104】
サーバー300は、エコポイントの発行や管理を行うための端末である。サーバー300は、たとえば、デスクトップ型のPC(Personal Computer)、ノート型のPC、または、その他の通信機器である。サーバー300は、収集装置100および携帯端末200と通信可能に構成される。
【0105】
<I.エコポイントの付与フロー>
次に、
図11を参照して、収集装置100のユーザにエコポイントを付与する仕組みについて説明する。
図11は、収集装置100と携帯端末200とサーバー300との間におけるデータの流れを示すシーケンス図である。
【0106】
ステップS210において、ユーザは、収集装置100に設けられている読み取り機36(
図1参照)に携帯端末200をかざしたとする。このことに基づいて、携帯端末200のICチップ(図示しない)と読み取り機36のICチップとが無線通信を開始する。この無線通信は、たとえば、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)により実現される。近距離無線通信は、たとえば、数センチ~数十センチ程度の短距離で行う通信である。
【0107】
ステップS212において、携帯端末200は、ICチップに格納されているユーザ情報を収集装置100に送信する。当該ユーザ情報は、たとえば、ユーザIDなどの情報を含む。このとき、収集装置100は、サーバー300に対してユーザの登録照会を行ってもよい。
【0108】
ステップS220において、ユーザは、収集装置100の投入口30を開き、投入口30に廃棄物25を投入したとする。
【0109】
ステップS222において、収集装置100のICタグリーダー38(
図3参照)は、廃棄物25に取り付けられているICタグ26から廃棄物25の物品情報10(
図6参照)を読み取る。収集装置100は、読み取った物品情報10に基づいて、生分解性プラスチックの廃棄物25であるか否かを判別する。生分解性プラスチックの判別方法については上述の通りであるので、その説明については繰り返さない。
図11に示される例では、投入された廃棄物25が生分解性プラスチックであったとする。
【0110】
ステップS224において、収集装置100は、投入された廃棄物25に応じたエコポイントを取得する。エコポイントは、廃棄物25の種別に予め規定されている。一例として、エコポイントは、上述の
図6に示されるように、物品情報10に含まれている。この場合、エコポイントは、物品情報10から取得される。
【0111】
ステップS230において、収集装置100は、ステップS212で携帯端末200から受信したユーザ情報と、ステップS224で取得したエコポイントとをサーバー300に送信する。
【0112】
ステップS232において、サーバー300は、ステップS230で受信したユーザ情報によって特定されるユーザに対してエコポイントの付与処理を行う。各ユーザのエコポイントは、たとえば、
図12に示されるポイント履歴324によって管理される。
図12は、ポイント履歴324のデータ構造の一例を示す図である。
【0113】
図12に示されるように、ポイント履歴324の各々は、ユーザIDに関連付けられている。また、ポイント履歴324の各々は、エコポイントの処理時刻と、エコポイントの処理種別(たとえば、ポイント付与やポイント使用など)と、エコポイントの増減数と、各処理時点でのエコポイント残高とを含む。ポイント履歴324は、たとえば、サーバー300の記憶装置320(
図14参照)にユーザID別に格納されている。
【0114】
サーバー300は、ステップS230で受信したユーザ情報(ユーザID)に対応するポイント履歴324を取得し、当該取得したポイント履歴324に対して、ステップS224で受信したエコポイントを加算する処理を実行する。
【0115】
ステップS234において、サーバー300は、エコポイントの処理結果を収集装置100と携帯端末200とに送信する。当該処理結果は、たとえば、付与されたポイント数や、付与後のポイント残高などを含む。
【0116】
ステップS240において、収集装置100は、サーバー300から受信した処理結果をディスプレイ34に表示する。ディスプレイ34に表示される内容は、たとえば、エコポイントの付与処理が正常に完了したか否かを示すメッセージと、付与されたポイント数と、付与後のポイント残高とを含む。
【0117】
ステップS242において、携帯端末200は、サーバー300から受信した処理結果をディスプレイ205に表示する。ディスプレイ205に表示される内容は、たとえば、エコポイントの付与処理が正常に完了したか否かを示すメッセージと、付与されたポイント数と、付与後のポイント残高とを含む。
【0118】
なお、上述の例では、エコポイントが廃棄物25のICタグ26に格納されている前提で説明を行ったが、エコポイントは、必ずしもICタグ26に格納されている必要はない。一例として、廃棄物のエコポイントは、サーバー300上に格納されていてもよい。この場合、収集装置100は、廃棄物25のICタグ26から、廃棄物25の種別を示す種別情報を取得し、当該種別情報をサーバー300に送信する。サーバー300は、廃棄物25の種別ごとにエコポイント数を対応付けたエコポイント情報を参照して、携帯端末200から受信した種別情報に対応するエコポイント数を特定する。その後、サーバー300は、特定したエコポイント数に応じて、エコポイントの付与処理を行う。
【0119】
また、上述では、ステップS230において、物品情報10に含まれているエコポイントがサーバー300に送信される例について説明を行ったが、物品情報10に含まれている他の情報(たとえば、製品情報など)がさらにサーバー300に送信されてもよい。収集された情報は、マーケット分析などに利用される。
【0120】
付与するエコポイントは、物品情報10に含まれている小売店元情報によって特定される店舗、または、物品情報10に含まれている小売店舗情報によって特定される店舗によって負担される。これらの店舗には、エコポイントを負担するインセンティブとして、上記マーケット分析結果や、収集装置100の利用者情報などが提供される。
【0121】
<J.携帯端末200のハードウェア構成>
次に、
図13を参照して、携帯端末200のハードウェア構成について説明する。
図13は、携帯端末200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0122】
携帯端末200は、制御装置201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス210に接続される。
【0123】
制御装置201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0124】
制御装置201は、各種プログラムを実行することで携帯端末200の動作を制御する。制御装置201は、各種プログラムの実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置220またはROM202からRAM203に実行対象のプログラムを読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0125】
通信インターフェイス204には、LANやアンテナなどが接続される。携帯端末200は、通信インターフェイス204を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、収集装置100やサーバー300などを含む。
【0126】
ディスプレイ205は、制御装置201などからの指令に従って画像を表示する。一例として、ディスプレイ205には、携帯端末200に投入された廃棄物の判別結果などが表示される。なお、ディスプレイ205は、携帯端末200と一体的に構成されてもよいし、携帯端末200とは別に構成されてもよい。
【0127】
記憶装置220は、たとえば、エコアプリ222などを格納する。エコアプリ222は、エコポイントに関する各種の機能を提供するためのアプリケーションである。ユーザは、エコアプリ222を利用することで、エコポイント残高や、エコポイントの使用履歴、エコポイントの付与履歴などを確認することができる。エコアプリ222の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御装置201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0128】
<K.サーバー300のハードウェア構成>
次に、
図14を参照して、サーバー300のハードウェア構成について説明する。
図14は、サーバー300のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0129】
サーバー300は、制御装置301と、ROM302と、RAM303と、通信インターフェイス304と、表示インターフェイス305と、入力インターフェイス307と、記憶装置320とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス310に接続される。
【0130】
制御装置301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0131】
制御装置301は、情報処理プログラム322などの各種プログラムを実行することでサーバー300の動作を制御する。情報処理プログラム322は、ユーザのエコポイントを管理するためのプログラムであり、収集装置100のユーザにエコポイントを付与する機能や、ポイント履歴324を更新する機能などを有する。制御装置301は、各種プログラムの実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置320またはROM302からRAM303に実行対象のプログラムを読み出す。RAM303は、ワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0132】
通信インターフェイス304には、LANやアンテナなどが接続される。サーバー300は、通信インターフェイス304を介して、外部機器との間でデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、携帯端末200やサーバー300などを含む。
【0133】
表示インターフェイス305は、ディスプレイ306などの表示機器と接続され、制御装置301などからの指令に従って、ディスプレイ306に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ306は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。ディスプレイ306は、サーバー300と一体的に構成されてもよいし、サーバー300とは別に構成されてもよい。
【0134】
入力インターフェイス307は、入力デバイス308に接続され得る。入力デバイス308は、たとえば、ディスプレイ306に設けられるタッチパネル、マウス、キーボード、またはユーザ操作を受け付けることが可能なその他の入力機器である。入力デバイス308は、サーバー300と一体的に構成されてもよいし、サーバー300とは別に構成されてもよい。
【0135】
記憶装置320は、たとえば、情報処理プログラム322やポイント履歴324などを格納する。情報処理プログラム322やポイント履歴324の格納場所は、記憶装置320に限定されず、制御装置301の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM302、RAM303、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0136】
<L.まとめ>
以上のようにして、収集装置100は、投入口30に投入された廃棄物が生分解性プラスチックで構成されているか否かを判別する機能を有し、生分解性プラスチックの廃棄物を分解槽40に送り、生分解性プラスチック以外の廃棄物25を返却口32に送る。
【0137】
このような収集装置100が各場所に設置されることで、生分解性プラスチックの廃棄物の収集および生分解が実現される。また、収集装置100は、生分解性プラスチック以外の廃棄物を返却することで、生分解性プラスチックの廃棄物のみを効率的に収集することができる。
【0138】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0139】
10 物品情報、25 廃棄物、26 ICタグ、30 投入口、32 返却口、34,205,306 ディスプレイ、35 駆動板、36 読み取り機、38 タグリーダー、39A,39B,39C 経路、40 分解槽、60 分解促進媒体、62 拡散機構、64 スチーム発生装置、66 ファン、68 通気口、70 排気口、72 消臭剤、74 臭気センサ、76 オゾナイザー、100 収集装置、101,201,301 制御装置、102,202,302 ROM、103,203,303 RAM、104,204,304 通信インターフェイス、110,210,310 内部バス、120,220,320 記憶装置、122 分別プログラム、126 設定値、150 判別部、152 駆動制御部、154 ファン制御部、156 オゾナイザー制御部、158 報知部、170 分別機構、200 携帯端末、222 エコアプリ、300 サーバー、305 表示インターフェイス、307 入力インターフェイス、308 入力デバイス、322 情報処理プログラム、324 ポイント履歴、500 情報処理システム。