IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジクラの特許一覧

特許7265445光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法
<>
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図1
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図2
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図3
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図4
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図5
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図6
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図7
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図8
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図9
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図10
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図11
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図12
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図13
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図14
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図15
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図16
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図17
  • 特許-光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/25 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
G02B6/25
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019145206
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021026138
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 貴治
(72)【発明者】
【氏名】フオン グアン
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-515141(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0245836(US,A1)
【文献】特開2010-271385(JP,A)
【文献】特開2014-211608(JP,A)
【文献】特開平05-203813(JP,A)
【文献】特開2014-139649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの刃先部を有し、光ファイバに初期傷を形成する刃体と、
前記光ファイバに曲げ応力を付与する曲げ部と
を備え、
前記刃体の少なくとも2つの前記刃先部が前記光ファイバに接触することによって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成し、
少なくとも2つの前記初期傷から進行する傷を結合させて、前記光ファイバを劈開する
ことを特徴とする光ファイバカッタ。
【請求項2】
光ファイバに初期傷を形成する刃体と、
前記光ファイバに曲げ応力を付与する曲げ部と
を備え、
前記刃体を前記光ファイバに接触させた状態で移動させることによって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成し、
少なくとも2つの前記初期傷から進行する傷を結合させて、前記光ファイバを劈開する
ことを特徴とする光ファイバカッタ。
【請求項3】
請求項2に記載の光ファイバカッタであって、
前記刃体を前記光ファイバに接近させる腕部と、
前記腕部に設けられ、弾性変形可能な変形部と
を備えており、
前記刃体を前記光ファイバに接触させた後に前記変形部が弾性変形することによって、前記刃体が前記光ファイバに接触させた状態で移動し、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷が形成されることを特徴とする光ファイバカッタ。
【請求項4】
光ファイバに曲げ応力を付与すること、
引っ張り応力の形成された部位に少なくとも2つの刃先部を有する刃体を接触させて、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成すること、及び
少なくとも2つの前記初期傷から進行する傷を結合させつつ前記光ファイバを劈開することによって、光ファイバを切断すること
を行うことを特徴とする光ファイバ切断方法。
【請求項5】
光ファイバに曲げ応力を付与すること、
引っ張り応力の形成された部位に刃体を接触させて、前記刃体を前記光ファイバに接触させた状態で移動させることによって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成すること、及び
少なくとも2つの前記初期傷から進行する傷を結合させつつ前記光ファイバを劈開することによって、光ファイバを切断すること
を行うことを特徴とする光ファイバ切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバカッタ及び光ファイバ切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ファイバを切断する光ファイバカッタは、刃で光ファイバに初期傷を形成させ、この初期傷を成長させて光ファイバを劈開させることによって、光ファイバを切断する(例えば特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-194204号公報
【文献】特開2014-238574号公報
【文献】特開2018-194598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバに捻り応力や曲げ応力を付与しながら光ファイバに初期傷を形成することによって、光ファイバの切断面(劈開面)を傾斜させることがある。このように端面を傾斜させた光ファイバ同士を突き合せたときに、一方の光ファイバの傾斜端面の突き出た側の縁と、他方の光ファイバの傾斜端面の引っ込んだ側の縁とが接触し、この結果、光ファイバのコアとコアの間に大きな隙間が形成されてしまうと、光ファイバの接続部における光信号の損失(接続損失)が大きくなるおそれがある(図18B参照)。
【0005】
本発明は、傾斜端面を有する光ファイバ同士を突き合せたときに、光ファイバのコアとコアの間に形成される隙間を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、光ファイバに初期傷を形成する刃体と、前記光ファイバに曲げ応力を付与する曲げ部とを備え、前記刃体によって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成し、少なくとも2つの前記初期傷から進行する傷を結合させて、前記光ファイバを劈開することを特徴とする光ファイバカッタである。
【0007】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、傾斜端面を有する光ファイバ同士を突き合せたときに、光ファイバのコアとコアの間に形成される隙間を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ファイバカッタ100の斜視図である。
図2図2は、ファイバカッタ100の分解斜視図である。
図3図3A図3Cは、ファイバカッタ100の動作説明図である。
図4図4A図4Cは、ファイバカッタ100の概要説明図である。
図5図5A及び図5Bは、曲げ部48の説明図である。
図6図6Aは、第1実施形態の切断方法の説明図である。図6Bは、第1実施形態における光ファイバ1の切断面11の説明図である。
図7図7Aは、第1実施形態の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせる様子の説明図である。図7Bは、第1実施形態の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせた状態の説明図である。
図8図8A及び図8Bは、第1実施形態の刃体47の説明図である。
図9図9A及び図9Bは、第1実施形態の別の刃体47の説明図である。
図10図10A及び図10Bは、第1実施形態の変形例の説明図である。
図11図11A及び図11Bは、第1実施形態の変形例における初期傷の形成方法の説明図である。
図12図12Aは、第2実施形態におけるラッチ解除後の光ファイバ1の応力分布の説明図である。図12Bは、第2実施形態における初期傷の成長の説明図である。図12Cは、第2実施形態における光ファイバ1の切断面11の説明図である。
図13図13は、第2実施形態の光ファイバカッタを用いて切断した光ファイバ1の切断面11の写真である。
図14図14Aは、参考例の光ファイバ1の切断時の様子の説明図である。図14Bは、参考例の光ファイバ1の切断面11の説明図である。図14Cは、第2実施形態と参考例の圧縮応力のグラフである。
図15図15Aは、第2実施形態の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせる様子の説明図である。図15Bは、第2実施形態の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせた状態の説明図である。
図16図16A及び図16Bは、別の実施形態の曲げ部48の近傍の概要説明図である。
図17図17Aは、ラッチ解除前の光ファイバ1の応力分布の説明図である。図17Bは、比較例におけるラッチ解除後の光ファイバ1の応力分布の説明図である。図17Cは、比較例における光ファイバ1の切断面11の説明図である。
図18図18Aは、比較例の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせる様子の説明図である。図18Bは、比較例の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
光ファイバに初期傷を形成する刃体と、前記光ファイバに曲げ応力を付与する曲げ部とを備え、前記刃体によって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成し、少なくとも2つの前記初期傷から進行する傷を結合させて、前記光ファイバを劈開することを特徴とする光ファイバカッタが明らかとなる。このような光ファイバカッタによれば、傾斜端面を有する光ファイバ同士を突き合せたときに、光ファイバのコアとコアの間に形成される隙間を抑制することができる。
【0012】
前記刃体の少なくとも2箇所を前記光ファイバに接触させることによって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成することが望ましい。これにより、少なくとも2つの前記初期傷から進行する傷を結合させて、前記光ファイバを劈開することができる。
【0013】
前記刃体は、少なくとも2つの刃先部を有しており、少なくとも2つの前記刃先部が前記光ファイバに接触することによって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷が形成されることが望ましい。これにより、少なくとも2つの刃先部によって、光ファイバに少なくとも2つの初期傷を形成できる。
【0014】
前記刃体は、複数の砥粒が配置された接触面を有しており、前記接触面の前記砥粒が前記光ファイバに接触することによって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷が形成されることが望ましい。これにより、簡易な構成の刃体によって、光ファイバに少なくとも2つの初期傷を近接させて形成できる。
【0015】
前記刃体を前記光ファイバに接触させた状態で移動させることによって、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷が形成されることが望ましい。これにより、刃体が光ファイバに同時に2箇所で接触しなくても、光ファイバに少なくとも2つの初期傷を形成できる。
【0016】
前記刃体を前記光ファイバに接近させる腕部と、前記腕部に設けられ、弾性変形可能な変形部とを備えており、前記刃体を前記光ファイバに接触させた後に前記変形部が弾性変形することによって、前記刃体が前記光ファイバに接触させた状態で移動し、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷が形成されることが望ましい。これにより、刃体を移動させることができる。
【0017】
前記曲げ部は、前記光ファイバの基端側ほど前記刃体の側に光ファイバを曲げるように、前記光ファイバに曲げ応力を付与することが望ましい。これにより、光ファイバの湾曲を利用して、刃体を光ファイバに接触させた状態で移動させることができる。
【0018】
前記曲げ応力によって、前記刃体と接触する側に引っ張り応力を形成するとともに、前記刃体と接触する側とは反対側に圧縮応力を形成した状態で、前記刃体によって前記光ファイバに前記初期傷を形成することが望ましい。これにより、刃体と接触する側とは反対側において、光ファイバの切断面の角が取れた形状になる。
【0019】
光ファイバに曲げ応力を付与すること、引っ張り応力の形成された部位に刃体を接触させて、前記光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成すること、及び、少なくとも2つの前記初期傷から進行する傷を結合させつつ前記光ファイバを劈開することによって、光ファイバを切断することを行うことを特徴とする光ファイバ切断方法が明らかとなる。このような光ファイバ切断方法によれば、光ファイバのコアとコアの間に形成される隙間を抑制することができる。
【0020】
===第1実施形態===
<光ファイバカッタの基本構成>
図1は、ファイバカッタ100の斜視図である。図2は、ファイバカッタ100の分解斜視図である。図3A図3Cは、ファイバカッタ100の動作説明図である。図4A図4Cは、ファイバカッタ100の概要説明図である。
【0021】
以下の説明では、図1に示すように各方向を定義する。すなわち、移動部材40の移動方向と平行な方向を「X軸方向」又は「前後方向」とし、光ファイバ1のカット直後に移動部材40の移動する側を「+X方向」又は「前」とし、逆側(移動部材40から見てホルダ3の側)を「-X方向」又は「後」とする。また、光ファイバ1の端部を載置する載置面41Bに垂直な方向を「Z軸方向」又は「上下方向」とし、載置面41Bから見て光ファイバ1を載置する側を「+Z方向」又は「上」とし、逆側を「-Z方向」又は「下」とする。また、X軸方向(前後方向)及びZ軸方向(上下方向)に垂直な方向をY軸方向とし、光ファイバ1から見て回動部45Aの側を「+Y方向」又は「奥」とし、逆側を「-Y方向」又は「手前」とする。
【0022】
また、以下の説明では、光ファイバ1の端部の側のことを「先端側」と呼び、逆側のことを「基端側」と呼ぶことがある。ここでは、光ファイバ1の前側(+Xの側)が先端側となり、光ファイバ1の後側(-Xの側)が基端側となる。
【0023】
ファイバカッタ100は、光ファイバ1を切断する切断装置(光ファイバカッタ;光ファイバ切断装置)である。ファイバカッタ100は、刃体47(ブレード)で光ファイバ1に初期傷を形成させ、この初期傷を成長させて光ファイバ1を劈開させることによって、光ファイバ1を切断する装置である。なお、本実施形態のファイバカッタ100は、刃体47と、曲げ部48とを備えており、曲げ部48が光ファイバ1に曲げ応力を付与しながら刃体47が光ファイバ1に初期傷を形成することによって、光ファイバ1の切断面を傾斜(光ファイバ1の光軸に垂直な面に対して傾斜)させることができる。
【0024】
ファイバカッタ100は、ベース部材20と、移動部材40とを有する。また、ファイバカッタ100は、ラッチ部50と、張力付与バネ60とを有する。
【0025】
ベース部材20は、ホルダ載置部21と、案内部23と、操作部25とを有する。
ホルダ載置部21は、光ファイバ1を保持するホルダ3を載置する部位である。ホルダ載置部21は、ベース部材20の後側に配置されている。
案内部23は、移動部材40を前後方向に移動可能に案内する部位である。案内部23は、ベース部材20の前側に形成されている。
【0026】
操作部25は、作業者が操作を行う部位である。操作部25は、ベース部材20の本体に対して、開閉可能(回動可能)に構成されている。作業者が操作部25を操作することによって、刃体47を光ファイバ1に接近させて、光ファイバ1に初期傷を形成させることになる。
【0027】
操作部25は、回動部25Aと、収容部25Bと、ラッチ解除部25Cとを有する。
回動部25Aは、ベース部材20に対して操作部25を回動可能に連結する連結部である。収容部25Bは、内側に傷形成部46を収容する部位である。収容部25Bは、傷形成部46を操作部25に対して前後方向に移動可能に収容する。収容部25Bの内壁面(傷形成部46の上面と対向する対向面)は、傷形成部46を押圧する部位となる。
ラッチ解除部25Cは、ラッチ部50のラッチ状態を解除する部位である。作業者が操作部25を閉じる方向に回動させると、ラッチ解除部25Cがラッチ部50のラッチ状態を解除することになる。
【0028】
移動部材40は、ベース部材20に対して移動可能な部材である。移動部材40は、光ファイバ1の切断直後に前側に移動することになる(図3C及び図4C参照)。移動部材40は、移動体41と、把持部材45と、傷形成部46と、曲げ部48を有する。
【0029】
移動体41は、移動部材40の本体を構成する部位である。移動体41は、ベース部材20の案内部23に案内されながら、前後方向に移動可能である。移動体41には張力付与バネ60の端部が連結しており、張力付与バネ60の力によって移動体41がベース部材20に対して移動することになる。また、移動体41に対して、把持部材45と傷形成部46とがそれぞれ独立して回動可能に設けられている。
【0030】
移動体41は、ケース収容部41Aと、載置面41Bと、係合穴41Cとを有する。
ケース収容部41Aは、廃材ケース(不図示)を収容する部位である。廃材ケースは、切断された光ファイバ1の端部を収納するケースである。
載置面41Bは、光ファイバ1の端部を載置する面である。載置面41Bには、V溝が形成されていても良いし、V溝が形成されずに平面で構成されていても良い。光ファイバ1は、載置面41Bと把持部材45(詳しくはクランプ部45B)との間に挟まれることによって、把持されることになる。ここでは、載置面41Bは、XY平面に平行な面(Z軸方向に垂直な面)である。
係合穴41Cは、把持部材45の係止部45Cを係止させる部位である。係合穴41Cに係止部45Cを係止させることによって、把持部材45が閉じた状態で固定され、載置面41Bとクランプ部45Bとの間で光ファイバ1が保持されることになる。
【0031】
把持部材45は、光ファイバ1の端部を把持する部材である。把持部材45は、移動体41に対して開閉可能(回動可能)に構成されている。把持部材45は、刃体47よりも前側に配置されている。このため、把持部材45は、光ファイバ1の切断位置よりも前側で光ファイバ1の端部(切断後に廃材となる部位)を把持することになる。把持部材45は、回動部45Aと、クランプ部45Bと、係止部45Cとを有する。
回動部45Aは、移動体41に対して把持部材45を回動可能に連結する連結部である。クランプ部45Bは、載置面41Bに載置されている光ファイバ1の端部と接触し、載置面41Bに光ファイバ1を押圧する部位である。つまり、光ファイバ1は、載置面41Bとクランプ部45Bとの間で上下方向から挟持されることになる。係止部45Cは、移動体41の係合穴41Cに係止する部位であり、把持部材45を閉じた状態で固定する部位である。係止部45Cを移動体41の係合穴41Cに係止させ、把持部材45を閉じた状態で固定することによって、載置面41Bとクランプ部45Bとの間で光ファイバ1が保持されることになる。
【0032】
傷形成部46は、光ファイバ1に初期傷を形成する部位である。傷形成部46は、移動体41に対して開閉可能(回動可能)に構成されている。傷形成部46は、回動部46Aと、刃体47とを有する。回動部46Aは、移動体41に対して傷形成部46を回動可能に連結する連結部である。刃体47は、光ファイバ1に初期傷を形成する部位(ブレード)である。傷形成部46の上面は、操作部25の収容部25Bの内壁面によって押圧される部位となる。作業者が操作部25を閉じる方向に回動させると、収容部25Bの内壁面によって傷形成部46が閉じる方向に押圧されて、傷形成部46も閉じる方向に回動する。この結果、傷形成部46の刃体47が光ファイバ1に初期傷を形成することになる。
【0033】
図5A及び図5Bは、曲げ部48の説明図である。
【0034】
曲げ部48は、光ファイバ1に曲げ応力を付与する部位である。光ファイバ1に曲げ応力を付与しながら光ファイバ1に初期傷を形成することによって、光ファイバ1の切断面を傾斜(光ファイバ1の光軸に垂直な面に対して傾斜)させることができる。図5Aに示すように、曲げ部48は、載置面41Bよりも上側に配置されており、載置面41Bよりも上側で光ファイバ1を支持する。これにより、図5Bに示すように、把持部材45(クランプ部45B)によって光ファイバ1を把持したとき、光ファイバ1は、曲げ部48に近いほど上側になるように、曲げ部48とクランプ部45Bとの間でS字状に曲げられることになる(つまり、本実施形態では、光ファイバ1は、切断する箇所から見て基端側(曲げ部48に近い側)ほど上側になるように、曲げられている)。
【0035】
曲げ部48と載置面41Bとの間には、間隙49が形成されている。傷形成部46を閉じる方向に回転させると、図5Bに示すように、間隙49に刃体47が差し込まれることになる。このため、本実施形態では、刃体47は、曲げ部48によって曲げられている光ファイバの部位に初期傷を形成することになる。つまり、本実施形態では、曲げ部48によって曲げ応力の付与された部位に初期傷が形成されることになる。
【0036】
ラッチ部50は、ベース部材20と移動部材40とをラッチする部位である。ラッチ部50は、ベース側ラッチ部51と、移動側ラッチ部54とを有する。ベース側ラッチ部51は、ベース部材20に設けられた片持ち梁状の部位である。ベース側ラッチ部51は、操作部25のラッチ解除部25Cと接触し、弾性変形する。これにより、ベース側ラッチ部51が移動側ラッチ部54から外れて、ラッチ状態が解除されることになる。移動側ラッチ部54は、移動部材40に設けられた部位であり、ベース側ラッチ部51の端部を引っ掛ける部位である。
【0037】
張力付与バネ60は、ベース部材20と移動部材40との間で力を付与する部材(張力付与部)である。張力付与バネ60は、ベース部材20と移動部材40との間に配置されている。張力付与バネ60の一端(前端)はベース部材20に連結されており、他端は移動部材40に連結されている。ラッチ部50がラッチ状態のとき(ベース側ラッチ部51と移動側ラッチ部54とがラッチ状態のとき;図4A参照)、張力付与バネ60には引っ張り力が付与されている。ラッチ部50のラッチ状態が解除されたとき(図4B参照)、張力付与バネ60によって光ファイバ1に張力が付与されることになる。
【0038】
次に、光ファイバ1を切断するときのファイバカッタ100の基本動作について説明する。
【0039】
作業者は、ラッチ部50が解除状態であれば、移動部材40を後側(ホルダ3の側)に移動させて、ラッチ状態にする。ラッチ状態にすると、張力付与バネ60には引っ張り力が付与された状態で、ベース部材20と移動部材40とが固定される。また、ラッチ状態にすると、操作部25の収容部25Bの内側に傷形成部46が収容された状態になる(収容部25Bの内壁面と傷形成部46の上面とが対向した状態になる)。
【0040】
作業者は、ベース部材20のホルダ載置部21にホルダ3をセットする。ホルダ3には、切断対象となる光ファイバ1が保持されている。ホルダ3の前側からは光ファイバ1が延び出ており、光ファイバ1の端部の被覆は予め除去されている。作業者は、ホルダ3をホルダ載置部21にセットするとき、光ファイバ1を載置面41Bに載置させた状態にする。
【0041】
次に、作業者は、図3A及び図4Aに示すように、把持部材45を閉じて、載置面41Bと把持部材45(詳しくはクランプ部45B)との間に光ファイバ1を挟むことによって、光ファイバ1を把持させる。これにより、ホルダ3から把持部材45(又は載置面41B)との間に光ファイバ1が架け渡された状態になる。このとき、本実施形態では、曲げ部48によって光ファイバ1に曲げ応力が付与されることになる(図5B参照)。
【0042】
把持部材45による光ファイバ1の把持後、作業者は、図3B及び図4Bに示すように、操作部25(及び傷形成部46)を閉じる。操作部25を閉じる方向に回動させると、操作部25とともに、傷形成部46も閉じる方向に回動し、傷形成部46の刃体47が光ファイバ1に接近する方向に移動する。
【0043】
図4Bに示すように、操作部25を閉じる方向に回動させると、操作部25のラッチ解除部25Cがベース側ラッチ部51に接触する。更に操作部25を閉じる方向に回動させると、ベース側ラッチ部51が移動側ラッチ部54から外れて、ラッチ状態が解除される。ラッチ状態が解除されると、ベース部材20と移動部材40との間に張力付与バネ60の力が付与されることによって、光ファイバ1に張力が付与される。なお、光ファイバ1の切断前の段階では、光ファイバ1に張力が働くため、この段階では移動部材40は移動しない。
【0044】
また、ラッチ状態が解除された後、更に操作部25を閉じる方向に回動させると、傷形成部46の刃体47が光ファイバ1に接触し、光ファイバ1に初期傷が形成される。張力が付与された状態の光ファイバ1に初期傷が形成されると、初期傷が成長し、光ファイバ1が劈開し、これにより、光ファイバ1が切断される。光ファイバ1が切断されると、図3C及び図4Cに示すように、移動部材40が張力付与バネ60の力によって前側に移動する。刃体47は、移動部材40や廃材となる光ファイバ1の端部とともに前側に移動する。これにより、光ファイバ1(ホルダ3に保持された側の光ファイバ)の切断面が刃体47によって汚れたり損傷したりすることを防止できる。なお、本実施形態では、光ファイバ1に曲げ応力が付与されているため、光ファイバ1の切断面(劈開面)は、光ファイバ1の光軸に垂直な面に対して傾斜することになる。
【0045】
<比較例>
図17Aは、ラッチ解除前の光ファイバ1の応力分布の説明図である。図17Bは、比較例におけるラッチ解除後の光ファイバ1の応力分布の説明図である。図17Cは、比較例における光ファイバ1の切断面11の説明図である。
【0046】
図17A及び図17Bには、初期傷が形成される部位における光ファイバ1の応力分布が示されている。つまり、図17A及び図17Bには、刃体47と接触する部位(接触部)における光ファイバ1の応力分布が示されている。図中の右向きの矢印は、引っ張り応力が作用していることを示している。図中の左向きの矢印は、圧縮応力が作用していることを示している。また、矢印の長さは、応力の大きさを示している。
【0047】
図17Aに示すように、ラッチ解除前の光ファイバ1には、曲げ部48によって付与された曲げ応力によって、刃体47と接触する側(光ファイバ1の図中上側)に引っ張り応力が形成され、刃体47と接触する側とは反対側(光ファイバ1の図中下側)に圧縮応力が形成されている。
【0048】
光ファイバ1を劈開するために初期傷を成長させるには、光ファイバ1の内部に引っ張り応力を作用させることが望ましい。このために、ラッチ状態を解除することによって張力付与バネ60の力を光ファイバ1に付与し、光ファイバ1の内部に引っ張り応力を付与している。ラッチ解除後の光ファイバ1の応力分布は、図17Aに示す応力分布と、張力付与バネ60による引っ張り応力とを重畳させた応力分布になる。比較例では、図17Bに示すように、光ファイバ1の内部の全域に引っ張り応力を作用させている。
【0049】
比較例では、刃体47と接触する側(光ファイバ1の図中上側)だけでなく、その反対側(光ファイバ1の図中下側)の部位までの間の全域に引っ張り応力が作用している。このため、比較例では、刃体47によって光ファイバ1に初期傷が形成されると、初期傷が光ファイバ1の反対側まで一気に成長して、光ファイバ1が劈開する。この結果、比較例では、図17Cに示すように、光ファイバ1の切断面11は鏡面に近い平面状になり、切断面11の縁(切断面11と光ファイバ1の外周との角)には角張った角が形成される。なお、光ファイバ1に曲げ応力が付与されているため、光ファイバ1の切断面11は、光ファイバ1の光軸に垂直な面に対して傾斜した傾斜端面となる。
【0050】
図18Aは、比較例の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせる様子の説明図である。図18Bは、比較例の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせた状態の説明図である。
【0051】
図18Aに示すように、一方の光ファイバ1の切断面11と、他方の光ファイバ1の切断面11とが平行にならないことがある。なお、仮に光ファイバ1の光軸に対する切断面11の傾斜角が同じになるように2本の光ファイバ1の傾斜端面を形成できた場合であっても、光ファイバ1の光軸周りの回転位置が正確に調整されていなければ、図18Aに示すように、一方の光ファイバ1の切断面11(傾斜端面)と、他方の光ファイバ1の切断面11(傾斜端面)とが平行にならない。
【0052】
図18Aに示すように光ファイバ1の傾斜端面同士が平行でない状況下で、傾斜端面を有する光ファイバ同士を突き合せると、図18Bに示すように、一方の光ファイバ1の傾斜端面の突き出た側の縁(切断面11と光ファイバ1の外周との角)と、他方の光ファイバ1の傾斜端面の引っ込んだ側の縁とが接触する。この結果、図18Bに示すように、光ファイバ1のコアとコアの間に大きな隙間が形成されてしまい、光ファイバ1の接続部における光信号の損失(接続損失)が大きくなるおそれがある。光ファイバ1の接続部における光信号の損失を抑制するためには、突き合わせた光ファイバ1のコアとコアの間の隙間を狭めることが望ましい。
【0053】
<第1実施形態の切断方法について>
図6Aは、第1実施形態の切断方法の説明図である。図6Bは、第1実施形態における光ファイバ1の切断面11の説明図である。
【0054】
図6Aに示すように、第1実施形態では、刃体47によって、光ファイバ1の長手方向の異なる位置に2つの初期傷を形成する。言い換えると、図6Aに示すように、第1実施形態では、光ファイバ1には、刃体47と接触する部位(接触部)が2つある。なお、図6Aでは、2つの初期傷が形成される様子が示されているが、図中の2つの初期傷の間に、他の初期傷が1つ又は複数形成されていても良い。つまり、刃体47によって、光ファイバの長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷が形成されるのであれば良い。
【0055】
第1実施形態においても、刃体47と接触する側に引っ張り応力が形成されている。このため、この部位に初期傷が形成されると、引っ張り応力による作用によって初期傷が成長することになる(光ファイバ1の劈開が進行することになる)。図6Aには、初期傷から劈開によって進行した傷が実線で示されている。
【0056】
第1実施形態では、2つの初期傷が近接して形成されているため、それぞれの初期傷から進行する傷が互いに近づき、劈開途中で結合する。なお、基端側の初期傷から進行する傷は、隣接する初期傷から進行した傷と結合するまでの間に、隣接する初期傷から進行する傷に近づくように進行する。結合した傷は、更に進行して光ファイバ1が劈開することになる。光ファイバ1に曲げ応力が付与されているため、結合した傷も、光軸に垂直な面に対して傾斜した方向に成長することになる。
【0057】
図6Bに示すように、光ファイバ1の切断面11は、第1劈開面111Aと第2劈開面111Bとから構成された劈開面111によって形成される。劈開面111は、引っ張り応力の作用によって初期傷から光ファイバ1が劈開した面である。第1劈開面111Aは、基端側の初期傷から光ファイバ1が劈開した面であり、隣接する初期傷から進行した傷と結合する前に基端側の初期傷から進行した傷によって形成された面である。第2劈開面111Bは、結合した傷から光ファイバ1が劈開した面である。なお、第1劈開面111Aは、第2劈開面111Bとは異なる形状となる。具体的には、第1劈開面111Aは、第2劈開面111Bを延長した面よりも基端側に位置する。この結果、刃体47と接触する側では、光ファイバ1の切断面11の角が取れた形状になる。
【0058】
図7Aは、第1実施形態の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせる様子の説明図である。図7Bは、第1実施形態の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせた状態の説明図である。
【0059】
第1実施形態においても、図18Aと同様に、一方の光ファイバ1の切断面(コアの開口部を含む第2劈開面111B)と、他方の光ファイバ1の切断面(コアの開口部を含む第2劈開面111B)とが平行になっていない。但し、第1実施形態の光ファイバ1の切断面11は、第1劈開面111Aを有しており、この第1劈開面111Aは、第2劈開面111Bを延長した面よりも基端側に位置している。このため、第1実施形態では、光ファイバ1の傾斜端面同士が平行でない状況下で傾斜端面を有する光ファイバ同士を突き合せたとき、図18Bに示す比較例と比べて、コアの開口面同士を近接させることができ、光ファイバのコアとコアの間に形成される隙間を抑制することができる。これにより、本実施形態では、光ファイバの接続部における光信号の損失(接続損失)を抑制することができる。
【0060】
<第1実施形態の刃体47について>
図8A及び図8Bは、第1実施形態の刃体47の説明図である。
【0061】
第1実施形態の刃体47は、2つの刃先部47Aと、凹部47Bとを有する。刃先部47Aは、光ファイバ1と接触する刃線を有する部位である。刃先部47Aの刃線は、光ファイバ1の長手方向に対して交差する方向に形成されている。また、刃先部47Aの刃線は、刃体47が光ファイバ1に近接する方向(ここでは上下方向)に対して交差する方向に形成されている。ここでは、刃先部47Aの刃線は、Y方向に沿って形成されている。また、2つの刃先部47Aの刃線は、平行に配置されている。凹部47Bは、2つの刃先部47Aの間に形成された凹状(溝状)の部位である。刃体47の刃先に溝状の凹部47Bが形成されることによって、凹部47Bを挟むように2つの刃先部47Aが形成されている。これにより、刃体47の2箇所(ここでは2つの刃先部47A)を光ファイバ1に接触させることができる。
【0062】
第1実施形態においても、光ファイバを切断する際に、作業者は、図3B及び図4Bに示すように、操作部25(及び傷形成部46)を閉じる。操作部25を閉じる方向に回動させると、操作部25とともに、傷形成部46も閉じる方向に回動し、傷形成部46の刃体47が光ファイバ1に接近する方向に移動する。そして、ラッチ状態が解除された後(図4B参照)、更に操作部25を閉じる方向に回動させると、傷形成部46の刃体47が光ファイバ1に接触し、光ファイバ1に初期傷が形成される。第1実施形態では、刃体47が光ファイバ1に接触するとき、2つの刃先部47Aが光ファイバ1に接触し、2つの刃先部47Aが光ファイバ1の長手方向の異なる位置に2つの初期傷を形成することになる。
【0063】
なお、図中の刃体47は、2つの刃先部47Aを有しているが、刃先部47Aの数は2つに限られるものではない。また、図中の刃体47は、1つの凹部47Bが形成されているが、凹部47Bの数は1つに限られるものではない。例えば、刃体47の刃先に2以上の凹部47Bが形成されることによって、刃体47が3以上の刃先部47Aを有していても良い。このような場合においても、刃体47の少なくとも2箇所(ここでは少なくとも2つの刃先部47A)を光ファイバ1に接触させることによって、光ファイバ1の長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成することができる。
【0064】
図9A及び図9Bは、第1実施形態の別の刃体47の説明図である。
【0065】
図中の刃体47は、光ファイバと接触する接触面47Cを有する。接触面47Cには、複数の砥粒が配置されている。例えば、刃体47を構成する基材の先端部(先端面)に砥粒を含有させた樹脂(例えばダイヤモンドペースト)を塗布することによって、若しくは、刃体47を構成する基材の先端部(先端面)に多数の砥粒を付着させたシート(例えばサンドペーパー)を貼付することによって、刃体47を構成することができる。この刃体47の少なくとも2箇所(ここでは、少なくとも2つの砥粒)が光ファイバ1に接触することによって、光ファイバ1に少なくとも2つの初期傷を形成することができる。図9A及び図9Bに示す刃体47は、前述の図8A及び図8Bに示す刃体47と比べて、少なくとも2つの初期傷を近接させて形成させ易い。言い換えると、図9A及び図9Bに示す刃体47は、前述の図8A及び図8Bに示す刃体47と比べて、2つの初期傷を近接させて形成可能な刃体47を安価に構成することができる。
【0066】
なお、刃体47の接触面47Cは、図9Aに示すような平面状に限られるものではない。例えば、接触面47Cは、湾曲面状に形成されていても良い。この場合、接触面47Cは、曲げ応力の付加された光ファイバ1の湾曲に沿うような湾曲面を有していても良い。言い換えると、接触面47Cは、少なくとも2つの砥粒が光ファイバ1に接触し易くなるような湾曲面を有していても良い。
【0067】
<第1実施形態の変形例>
上記の第1実施形態では、刃体47の少なくとも2箇所を光ファイバ1に接触させることによって、光ファイバ1に少なくとも2つの初期傷を形成していた。但し、仮に刃体47が光ファイバ1と1箇所で接触する場合であっても、光ファイバ1に少なくとも2つの初期傷を形成することは可能である。
【0068】
図10A及び図10Bは、第1実施形態の変形例の説明図である。図11A及び図11Bは、第1実施形態の変形例における初期傷の形成方法の説明図である。図11Aは、刃体47と光ファイバ1との接触時の様子の説明図である。図11Bは、刃体47と光ファイバ1との接触部の拡大説明図である。
【0069】
変形例においても、ファイバカッタ100は、前述の基本構成と同様である。すなわち、変形例においても、ファイバカッタ100は、刃体47と、曲げ部48とを備えており、曲げ部48が光ファイバ1に曲げ応力を付与しながら刃体47が光ファイバ1に初期傷を形成する。これにより、第1実施形態においても、光ファイバ1の切断面11を傾斜(光ファイバ1の光軸に垂直な面に対して傾斜)させることができる。
【0070】
第1実施形態の変形例では、傷形成部46は、回動部46Aと、腕部46Bと、変形部46Cと、変位部46Dと、刃体47とを有する。
【0071】
腕部46Bは、傷形成部46の本体(基体)を構成する部位であり、傷形成部46の閉じた状態のときに、回動部46Aから手前側に延び出た部位である。腕部46Bの一端(基端)には回動部46Aが設けられており、腕部46Bは回動部46Aを軸として回動する。腕部46Bの他端(回動部46Aとは逆側の端部)には変形部46Cが設けられている。言い換えると、回動部46Aと変形部46Cとの間の棒状(板状)の部位が腕部46Bである。
【0072】
変形部46Cは、弾性変形可能な部位である。また、変形部46Cは、力を受けると弾性変形する部位である。変形部46Cは、腕部46Bの端部に設けられており、ここでは、U字形状をした部位である。変形部46Cは、刃体47が光ファイバ1から受ける力によって、弾性変形することになる。変形部46Cの先には、刃体47を保持した変位部46Dが設けられている。変形部46Cは、弾性変形することによって、腕部46Bに対して変位部46D及び刃体47を変位(移動)させることができる。
【0073】
変位部46Dは、腕部46Bに対して変位する部位である。変位部46Dは、変形部46Cが弾性変形することによって、腕部46Bに対して変位する(腕部46Bに対する位置が変化する)。ここでは、変位部46Dは、腕部46Bに対して、前後方向(光ファイバ1の長手方向)に沿って変位可能に構成されている。変位部46Dには、刃体47が設けられている。変位部46Dが腕部46Bに対して変位すると、刃体47も腕部46Bに対して変位することになる。
【0074】
傷形成部46を閉じる方向に回動させると、図10B及び図11Aに示すように、刃体47が光ファイバ1に接触することになる。本実施形態では、刃体47は、上側から光ファイバ1に接触することになる。刃体47と接触する部位では、光ファイバ1は、曲げ部48に近いほど上側(刃体47の側)になるように、曲げ部48によって曲げられている。つまり、光ファイバ1は、切断する箇所から見て基端側(曲げ部48に近い側)ほど上側(刃体47の側)になるように、曲げられている。
【0075】
刃体47と光ファイバ1との接触後から劈開完了までの間に、傷形成部46(腕部46B)は、閉じる方向に若干回動することになる。このとき、刃体47が光ファイバ1から力を受けることによって、変形部46Cが変形し、刃体47が湾曲した光ファイバ1の外周面に沿って変位し、変位部46D及び刃体47が腕部46Bに対して変位する。本実施形態では、曲げ部48によって光ファイバ1が基端側(曲げ部48に近い側)ほど上側(刃体47の側)になるように曲げられているため、傷形成部46が閉じる方向に回動すると、刃体47(及び変位部46D)は、光ファイバ1に接触した状態で、光ファイバ1の先端側に向かって変位する。つまり、図11Bに示すように、刃体47が湾曲した光ファイバ1の外周面に接触しながら移動する。これにより、刃体47によって光ファイバ1の長手方向の異なる位置に複数の初期傷(少なくとも2つの初期傷)が形成されることになる。
【0076】
なお、図11A及び図11Bに示す変形例では、曲げ部48によって光ファイバ1が基端側(曲げ部48に近い側)ほど上側(刃体47の側)になるように曲げられていることを利用して、刃体47を光ファイバ1に接触させた状態で光ファイバ1の先端側に向かって移動させている。但し、光ファイバ1の湾曲を利用せずに、刃体47を光ファイバ1に接触させた状態で移動させても良い。
【0077】
===第2実施形態===
第2実施形態のファイバカッタ100は、前述の第1実施形態のファイバカッタ100の基本構成と同様である。すなわち、第2実施形態のファイバカッタ100は、刃体47と、曲げ部48とを備えており、曲げ部48が光ファイバ1に曲げ応力を付与しながら刃体47が光ファイバ1に初期傷を形成する。これにより、第2実施形態においても、光ファイバ1の切断面11を傾斜(光ファイバ1の光軸に垂直な面に対して傾斜)させることができる。
【0078】
図12Aは、第2実施形態におけるラッチ解除後の光ファイバ1の応力分布の説明図である。言い換えると、図12Aは、第2実施形態における初期傷形成時の光ファイバ1の応力分布の説明図である。なお、図12Aの左側には光ファイバ1の断面図が示されている。図12Bは、第2実施形態における初期傷の成長の説明図である。図12Cは、第2実施形態における光ファイバ1の切断面11の説明図である。
【0079】
図12Aには、初期傷が形成される部位における光ファイバ1の応力分布が示されている。図中の右向きの矢印は、引っ張り応力が作用していることを示している。図中の左向きの矢印は、圧縮応力が作用していることを示している。また、矢印の長さは、応力の大きさを示している。
【0080】
既に説明したように、ラッチ状態を解除することによって張力付与バネ60の力が光ファイバ1に付与され、光ファイバ1の内部に引っ張り応力が付与される。このため、図12Aに示すラッチ解除後の光ファイバ1の応力分布は、ラッチ解除前の光ファイバ1の応力分布(図17A参照)と、張力付与バネ60による引っ張り応力とを重畳させた応力分布になる。但し、本実施形態の張力付与バネ60による引っ張り応力は、前述の比較例における張力付与バネ60による引っ張り応力よりも弱く設定されている。具体的には、ラッチ状態が解除された時に、刃体47と接触する側とは反対側(光ファイバ1の図中下側)に圧縮応力が形成される程度に、張力付与バネ60の張力が設定されている。
【0081】
本実施形態においても、図12Aに示すように、刃体47と接触する側(光ファイバ1の図中上側)に引っ張り応力が形成されている。このため、この部位に初期傷が形成されると、引っ張り応力による作用によって初期傷が成長することになる(光ファイバ1の劈開が進行することになる)。また、本実施形態においても、2つの初期傷が近接して形成されているため、それぞれの初期傷から進行する傷が互いに近づき、劈開途中で結合する。結合した傷は、更に進行して光ファイバ1が劈開することになる。光ファイバ1に曲げ応力が付与されているため、結合した傷も、光軸に垂直な面に対して傾斜した方向に成長することになる。図12Bには、劈開によって進行した傷が実線で示されている。
【0082】
一方、本実施形態では、図12Aに示すように、刃体47と接触する側とは反対側(光ファイバ1の図中下側)に圧縮応力が形成されている。つまり、刃体47と接触する部位における光ファイバ1の断面内において、引っ張り応力が作用していない領域が形成されることになる。このため、引っ張り応力によって初期傷から成長した傷が、引っ張り応力の作用していない領域に到達すると、そこで傷の進行が止まることになる。つまり、図12Bの実線に示すように、引っ張り応力の作用していない領域で光ファイバ1の劈開が止まることになる。
【0083】
なお、本実施形態では、曲げ部48によって光ファイバ1に曲げ応力を付与するだけでなく、張力付与バネ60によって光ファイバ1に張力を付与することによって、図12Aに示すように光ファイバ1のコアの領域に引っ張り応力を形成している。これにより、本実施形態では、初期傷から成長した傷がコアの領域を通過した後に、光ファイバ1の劈開が止まることになる。仮に張力付与バネ60によって光ファイバ1に引っ張り応力を付与させずに、曲げ部48によって曲げ応力を付与した光ファイバ1に刃体47を接触させて初期傷を形成した場合、図17Aに示すように引っ張り応力が作用していない領域が光ファイバ1の中心部にあるため、光ファイバ1のコアの領域で光ファイバ1の劈開が止まるおそれがある。光ファイバ1のコアの領域で光ファイバ1の劈開が止まると、切断面におけるコアの開口が鏡面状にならないおそれがある(この結果、光信号の損失(接続損失)が大きくなるおそれがある)。これに対し、本実施形態では、少なくともコアの領域までは光ファイバ1を劈開させることができる(この結果、切断面におけるコアの開口が鏡面状になり、光信号の損失を抑制できる)。
【0084】
図12Bに示すように、引っ張り応力の作用していない領域で光ファイバ1の劈開が止まったとき、劈開によって進行した傷の端部(図中の実線の端部)と光ファイバの縁(図中の光ファイバ1の下側の縁)との間では光ファイバ1が連結した状態になっている。但し、連結した領域の厚さが僅かであるため(例えば数μm~20μm)、光ファイバ1の劈開が止まった後に光ファイバ1が割れることになる。図12Bには、光ファイバ1が割れたときに進行する傷が点線で示されている。
【0085】
上記の通り、本実施形態では、まず、刃体47が光ファイバ1に接触して光ファイバ1に少なくとも2つの初期傷が形成される。初期傷が形成される部位には引っ張り応力が作用しているため、初期傷の形成後に、引っ張り応力の作用によって初期傷から生じた光ファイバ1が劈開し、初期傷から傷が進行する。また、2つの初期傷が近接して形成されているため、それぞれの初期傷から進行する傷が互いに近づき、劈開途中で結合する。結合した傷は、引っ張り応力の作用によって更に進行して光ファイバ1が劈開する。劈開によって進行した傷が引っ張り応力の作用していない領域に到達すると、光ファイバ1の劈開が止まる。そして、光ファイバ1の劈開が止まった後に、光ファイバ1が割れることによって、光ファイバ1が切断されることになる。
【0086】
図12Cに示すように、光ファイバ1の切断面11は、劈開面111と、割れ面112とを有する。
【0087】
劈開面111は、図12Bの実線で示された切断面であり、引っ張り応力の作用によって初期傷から光ファイバ1が劈開した面(第1切断面)である。第2実施形態においても、劈開面111は、第1劈開面111Aと第2劈開面111Bとから構成されている。第1劈開面111Aは、第2劈開面111Bを延長した面よりも基端側に位置する。この結果、刃体47と接触する側では、光ファイバ1の切断面11の角が取れた形状になる。
【0088】
割れ面112は、図12Bの点線で示された切断面であり、引っ張り応力が作用せずに劈開面111の端部から傷が進行して光ファイバ1が割れた面(第2切断面)である。このため、図12Bの点線で示す割れ面112は、図12Aの実線で示す劈開面111とは異なる形状となる。具体的には、割れ面112は、劈開面111を延長した面よりも基端側に位置する。言い換えると、割れ面112は、光ファイバ1の外側ほど基端側になるような形状になる。更に言い換えると、割れ面112における光ファイバ1の外周上の縁(図中の割れ面112の下側の縁;光ファイバ1の割れの最終位置)は、割れ面112における光ファイバ1の内側の縁(図中の割れ面112の上側の縁;光ファイバ1の割れの開始位置)よりも基端側になるような形状になる。つまり、光ファイバ1の切断面11では、傾斜端面の引っ込んだ側の縁が、更に基端側に引っ込むような形状になる。この結果、刃体47と接触する側とは反対側(光ファイバ1の図中下側)では、光ファイバ1の切断面11の角が取れた形状になる。
【0089】
図13は、第2実施形態の光ファイバカッタを用いて切断した光ファイバ1の切断面11の写真である。このように、光ファイバ1の切断面11では、傾斜端面の引っ込んだ側の縁が、更に基端側に引っ込むような形状になっている。この結果、刃体47と接触する側とは反対側では、切断面11と光ファイバ1の外周面との角が取れた形状になっており、切断面11と光ファイバ1の外周面との角が丸みを帯びた形状になっている。
【0090】
図14Aは、参考例の光ファイバ1の切断時の様子の説明図である。図14Bは、参考例の光ファイバ1の切断面11の説明図である。参考例では、光ファイバ1は、切断する箇所から見て基端側ほど下側になるように、曲げられている(これに対して、本実施形態では、光ファイバ1は、切断する箇所から見て基端側ほど上側になるように、曲げられている)。参考例においても、光ファイバ1に付加された曲げ応力によって、刃体47と接触する側(光ファイバ1の図中上側)には引っ張り応力が形成されており、その反対側(光ファイバ1の図中下側)には圧縮応力が形成されている。但し、参考例では、割れ面112における光ファイバ1の外周上の縁(図中の割れ面112の下側の縁;光ファイバ1の割れの最終位置)が、割れ面112における光ファイバ1の内側の縁(図中の割れ面112の上側の縁;光ファイバ1の割れの開始位置)よりも先端側になるような形状になる。つまり、参考例では、光ファイバ1の割れ面112が、本実施形態とは逆方向に傾斜している。
【0091】
図14Cは、第2実施形態と参考例の圧縮応力のグラフである。グラフの横軸は、切断する箇所を中心とした光ファイバの長手方向の位置を示しており、右側ほど先端側の位置となり、左側ほど基端側の位置を示している。グラフの縦軸は、刃体47と接触する側とは反対側における圧縮応力の大きさを示している。つまり、グラフの縦軸は、図5Bの光ファイバ1の図中下側における圧縮応力の大きさや、図14Aの光ファイバ1の図中下側における圧縮応力の大きさを示している。
【0092】
本実施形態では、図14Cの実線に示す通り、刃体47と接触する側とは反対側において、圧縮応力が、基端側ほど大きくなっている。これに対し、参考例では、図14Cの点線に示す通り、刃体47と接触する側とは反対側における圧縮応力は、基端側ほど小さくなっている。このことから、光ファイバ1の劈開が止まった後に光ファイバ1が割れるとき、刃体47と接触する側とは反対側において圧縮応力が大きくなる方向に向かって、割れ面112が形成されていくと考えられる。したがって、曲げ部48は、刃体47と接触する側とは反対側において、基端側ほど圧縮応力が大きくなるように、光ファイバ1に曲げ応力を付与することが望ましい。これにより、図12Cに示す光ファイバ1の切断面11のように(言い換えると、図14Cに示す光ファイバ1の切断面11とは異なるように)、刃体47と接触する側とは反対側では、切断面11と光ファイバ1の外周面との角が取れた形状(切断面11と光ファイバ1の外周面との角が丸みを帯びた形状)になる。
【0093】
図15Aは、第2実施形態の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせる様子の説明図である。図15Bは、第2実施形態の切断面11を有する光ファイバ1を突き合わせた状態の説明図である。
【0094】
図15Aに示す第2実施形態においても、図18Aと同様に、一方の光ファイバ1の切断面(コアの開口を含む劈開面111)と、他方の光ファイバ1の切断面(コアの開口を含む劈開面111)とが平行になっていない。但し、第1実施形態と同様に、第2実施形態の光ファイバ1の切断面は、第1劈開面111Aを有しており、この第1劈開面111Aは、第2劈開面111Bを延長した面よりも基端側に位置している。このため、第1実施形態では、光ファイバ1の傾斜端面同士が平行でない状況下で傾斜端面を有する光ファイバ同士を突き合せたとき、図18Bに示す比較例と比べて、コアの開口面同士を近接させることができ、光ファイバのコアとコアの間に形成される隙間を抑制することができる。
【0095】
更に、第2実施形態の光ファイバ1の切断面11は、第1劈開面111Aだけでなく、割れ面112を有しており、この割れ面112は、第2劈開面111Bを延長した面よりも基端側に位置している。このため、第2実施形態では、光ファイバ1の傾斜端面同士が平行でない状況下で傾斜端面を有する光ファイバ同士を突き合せたとき、図7Bに示す第1実施形態と比べて、更にコアの開口面同士を近接させることができ、光ファイバのコアとコアの間に形成される隙間を抑制することができる。
【0096】
===別の実施形態===
前述の実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)では、曲げ部48は、載置面41Bに対して固定されていた。但し、曲げ部48は、載置面41Bに対して固定されずに、載置面41Bに対して移動可能に設けても良い。また、前述の実施形態では、曲げ部48は、載置面41Bよりも上側に配置されており、下側から光ファイバ1に力を付与していた。但し、曲げ部48が光ファイバ1に力を付与する方向は、これに限られるものではない。
【0097】
図16A及び図16Bは、別の実施形態の曲げ部48の近傍の概要説明図である。図16Aは、光ファイバ1に曲げ応力を付与する前の上面図である。図16Bは、光ファイバ1に曲げ応力を付与した時の上面図である。
【0098】
この実施形態では、曲げ部48は、前述の傷形成部46に設けられている。そして、操作部25を閉じる方向に回動させると、傷形成部46も閉じる方向に回動し、曲げ部48が光ファイバ1に接近し、接触する。このように、この実施形態の曲げ部48は、載置面41Bに対して移動可能に設けられている。
【0099】
曲げ部48が光ファイバ1に接触すると、曲げ部48は、手前側から奥側に向かって光ファイバ1に力を付与することになる。曲げ部48が光ファイバ1に接触すると、光ファイバ1が曲げ部48によって奥側に向かって変位することになる。一方、載置面41Bの上の光ファイバ1(クランプ部45Bによって載置面41Bの間に把持された光ファイバ1)は、載置面41Bの上において、Y軸方向の所定位置に固定されている。この結果、図16Bに示すように、光ファイバ1は、曲げ部48と載置面41B(又はクランプ部45B)との間において、S字状に湾曲することになる。この実施形態においても、曲げ部48は、光ファイバ1に曲げ応力を付加している。
【0100】
この実施形態では、刃体47は、奥側で光ファイバ1に初期傷を形成するように、傷形成部46に設けられている(図16B参照)。そして、曲げ部48は、刃体47が初期傷を形成する側とは反対側に設けられている。この実施形態においても、光ファイバ1に曲げ応力を付与することができる。また、この実施形態においても、刃体47によって、光ファイバ1の長手方向の異なる位置に少なくとも2つの初期傷を形成し、少なくとも2つの初期傷から進行する傷を結合させて光ファイバ1を劈開すれば、刃体47と接触する側では、光ファイバ1の切断面11の角が取れた形状になる。
【0101】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0102】
1 光ファイバ、11 切断面、111 劈開面、
111A 第1劈開面、111B 第2劈開面、
112 割れ面、
3 ホルダ、
20 ベース部材、21 ホルダ載置部、
23 案内部、25 操作部、
25A 回動部、25B 収容部、25C ラッチ解除部、
40 移動部材、41 移動体、
41A ケース収容部、41B 載置面、41C 係合穴、
45 把持部材、45A 回動部、
45B クランプ部、45C 係止部、
46 傷形成部、46A 回動部、
46B 腕部、46C 変形部、46D 変位部、
47 刃体、47A 刃先部、
47B 凹部、47C 接触面、
48 曲げ部、49 間隙、50 ラッチ部、
51 ベース側ラッチ部、54 移動側ラッチ部、
60 張力付与バネ、100 ファイバカッタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18