(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】照明装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230419BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20230419BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20230419BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230419BHJP
F21Y 105/00 20160101ALN20230419BHJP
【FI】
F21S2/00 413
F21S2/00 415
G02F1/13357
G02B6/00 331
F21Y115:10
F21Y105:00
(21)【出願番号】P 2019175212
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木 秀悟
(72)【発明者】
【氏名】増田 岳志
(72)【発明者】
【氏名】坪岡 賢
(72)【発明者】
【氏名】神林 裕一
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-286217(JP,A)
【文献】特開2007-329114(JP,A)
【文献】特開2011-258581(JP,A)
【文献】特開平10-082916(JP,A)
【文献】特開2004-192828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/13357
G02B 6/00
F21Y 115/10
F21Y 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列をなして並ぶ複数の光源と、
前記複数の光源を覆うよう配される導光板であって、前記複数の光源側の板面の少なくとも一部が前記複数の光源から発せられた光が入射される入光面とされ、前記入光面とは反対側の板面が光を出射させる出光面とされる導光板と、
前記出光面にて前記複数の光源の並び方向に沿って延在し且つ前記複数の光源に対して少なくとも一部が重畳するよう設けられる光拡散部であって、前記導光板内に存する光に対し、前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差していて前記複数の光源から離れる向きを指向するよう拡散作用を付与する光拡散部と、を備え
、
前記導光板の前記出光面にて前記光拡散部とは非重畳となるよう配されて前記並び方向に沿って延在していて前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の第1出光単位プリズムからなる第1出光プリズム部を備え、
前記導光板の前記出光面にて前記光拡散部とは非重畳となるよう配されて前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する方向に沿って延在していて前記並び方向に沿って並ぶよう設けられる複数の第2出光単位レンズからなる第2出光レンズ部を備える照明装置。
【請求項2】
前記光拡散部は、前記出光面を凹ませて形成されるとともに周面に前記出光面に対して鈍角をなすよう傾く出光傾斜面を含む請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記光拡散部は、周面に前記出光傾斜面における底側の端部に連なる底面を含んでおり、
前記光拡散部の前記底面にて前記並び方向に沿って延在していて前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の光拡散単位プリズムからなる光拡散プリズム部を備える請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記光拡散プリズム部は、前記光拡散単位プリズムの頂角が45°以上で且つ115°以下の範囲となるよう構成される請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
前記導光板における前記複数の光源側の板面には、前記並び方向に沿って延在していて前記複数の光源を収容する光源収容凹部が設けられており、
前記入光面は、前記光源収容凹部の周面の少なくとも一部からなる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源収容凹部は、周面の一部が前記複数の光源の少なくとも一部に当接されることで、前記複数の光源に対して前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する交差方向について前記導光板を位置決め可能とされており、
前記光拡散部は、前記光源収容凹部の周面の一部に当接した前記複数の光源に対して前記交差方向について同心となるよう配されている請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数の光源は、前記導光板の板厚方向に沿う面として形成されていて光を発する発光側面をそれぞれ有しており、
前記光源収容凹部の周面には、前記板厚方向について前記出光面に近づくに連れて前記光源収容凹部を幅狭とするよう前記板厚方向に対して傾くとともに前記発光側面と対向状をなしていて前記入光面を構成する入光傾斜面が含まれる請求項5または請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
前記複数の光源は、前記発光側面に対して前記板厚方向について前記出光面側に位置していて前記発光側面と交差する面として形成されていて光を発する発光頂面をそれぞれ有しており、
前記光源収容凹部は、周面に前記発光頂面と対向状をなしていて前記入光面を構成する入光頂面を含んでおり、
前記光源収容凹部の前記入光頂面にて前記並び方向に沿って延在していて前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の入光単位プリズムからなる入光プリズム部を備える請求項7記載の照明装置。
【請求項9】
前記入光プリズム部は、前記入光単位プリズムの頂角が75°以上で且つ85°以下の範囲となるよう構成される請求項8記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1出光プリズム部は、複数の前記第1出光単位プリズムの配列間隔が前記第1出光単位プリズムの幅寸法よりも大きくされるとともに、前記第1出光単位プリズムが前記出光面を凹ませて形成されている請求項1
から請求項9のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1出光プリズム部は、前記第1出光単位プリズムが前記出光面を凹ませて形成されており、
前記第2出光レンズ部は、前記第2出光単位レンズが前記出光面を凹ませて形成され且つその深さが前記第1出光単位プリズムよりも浅い請求項1
から請求項10のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記第2出光レンズ部は、前記第2出光単位レンズが第2出光単位プリズムからなり、その第2出光単位プリズムの頂角が75°以上で且つ90°以下の範囲となるよう構成される請求項1
から請求項1
1のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1から請求項1
2のいずれか1項に記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、照明装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置用のバックライトの一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載されたバックライトに備わる導光板は、光を出射する出光面の反対側に設けられる凹部と、出光面の反対側に設けられる発光素子よりも出光面に向かう方向である上方であって、且つ凹部の内側に設けられ、発光素子の光の少なくとも一部の進行方向を変更する第1の方向変更部と、発光素子の上方であって、出光面よりも上に設けられ、発光素子の光の少なくとも一部の進行方向を変更する第2の方向変更部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載されたバックライトによれば、導光板の薄型化が促進されると共に、導光板の輝度ムラが抑制される。しかしながら、バックライトのさらなる薄型化や輝度ムラのさらなる抑制を図るには、発光素子の設置数をより多くする必要があり、コストアップなどの問題が生じるおそれがある。また、第2の方向変更部は、導光板とは異なる材料を追加して形成されており、光の吸収などが生じるため、光の利用効率が芳しくない、という問題もある。
【0005】
本願明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、光源の数を削減し、且つ輝度ムラの抑制及び薄型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本願明細書に記載の技術に関わる照明装置は、列をなして並ぶ複数の光源と、前記複数の光源を覆うよう配される導光板であって、前記複数の光源側の板面の少なくとも一部が前記複数の光源から発せられた光が入射される入光面とされ、前記入光面とは反対側の板面が光を出射させる出光面とされる導光板と、前記出光面にて前記複数の光源の並び方向に沿って延在し且つ前記複数の光源に対して少なくとも一部が重畳するよう設けられる光拡散部であって、前記導光板内に存する光に対し、前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差していて前記複数の光源から離れる向きを指向するよう拡散作用を付与する光拡散部と、を備える。
【0007】
(2)また、上記照明装置は、上記(1)に加え、前記光拡散部は、前記出光面を凹ませて形成されるとともに周面に前記出光面に対して鈍角をなすよう傾く出光傾斜面を含んでもよい。
【0008】
(3)また、上記照明装置は、上記(2)に加え、前記光拡散部は、周面に前記出光傾斜面における底側の端部に連なる底面を含んでおり、前記光拡散部の前記底面にて前記並び方向に沿って延在していて前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の光拡散単位プリズムからなる光拡散プリズム部を備えてもよい。
【0009】
(4)また、上記照明装置は、上記(3)に加え、前記光拡散プリズム部は、前記光拡散単位プリズムの頂角が45°以上で且つ115°以下の範囲となるよう構成されてもよい。
【0010】
(5)また、上記照明装置は、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記導光板における前記複数の光源側の板面には、前記並び方向に沿って延在していて前記複数の光源を収容する光源収容凹部が設けられており、前記入光面は、前記光源収容凹部の周面の少なくとも一部からなってもよい。
【0011】
(6)また、上記照明装置は、上記(5)に加え、前記光源収容凹部は、周面の一部が前記複数の光源の少なくとも一部に当接されることで、前記複数の光源に対して前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する交差方向について前記導光板を位置決め可能とされており、前記光拡散部は、前記光源収容凹部の周面の一部に当接した前記複数の光源に対して前記交差方向について同心となるよう配されていてもよい。
【0012】
(7)また、上記照明装置は、上記(5)または上記(6)に加え、前記複数の光源は、前記導光板の板厚方向に沿う面として形成されていて光を発する発光側面をそれぞれ有しており、前記光源収容凹部の周面には、前記板厚方向について前記出光面に近づくに連れて前記光源収容凹部を幅狭とするよう前記板厚方向に対して傾くとともに前記発光側面と対向状をなしていて前記入光面を構成する入光傾斜面が含まれてもよい。
【0013】
(8)また、上記照明装置は、上記(7)に加え、前記複数の光源は、前記発光側面に対して前記板厚方向について前記出光面側に位置していて前記発光側面と交差する面として形成されていて光を発する発光頂面をそれぞれ有しており、前記光源収容凹部は、周面に前記発光頂面と対向状をなしていて前記入光面を構成する入光頂面を含んでおり、前記光源収容凹部の前記入光頂面にて前記並び方向に沿って延在していて前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の入光単位プリズムからなる入光プリズム部を備えてもよい。
【0014】
(9)また、上記照明装置は、上記(8)に加え、前記入光プリズム部は、前記入光単位プリズムの頂角が75°以上で且つ85°以下の範囲となるよう構成されてもよい。
【0015】
(10)また、上記照明装置は、上記(1)から上記(9)のいずれかに加え、前記導光板の前記出光面にて前記光拡散部とは非重畳となるよう配されて前記並び方向に沿って延在していて前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の第1出光単位プリズムからなる第1出光プリズム部を備えてもよい。
【0016】
(11)また、上記照明装置は、上記(10)に加え、前記第1出光プリズム部は、複数の前記第1出光単位プリズムの配列間隔が前記第1出光単位プリズムの幅寸法よりも大きくされるとともに、前記第1出光単位プリズムが前記出光面を凹ませて形成されていてもよい。
【0017】
(12)また、上記照明装置は、上記(10)または上記(11)に加え前記導光板の前記出光面にて前記光拡散部とは非重畳となるよう配されて前記出光面の法線方向から視て前記並び方向と交差する方向に沿って延在していて前記並び方向に沿って並ぶよう設けられる複数の第2出光単位レンズからなる第2出光レンズ部を備えてもよい。
【0018】
(13)また、上記照明装置は、上記(12)に加え、前記第1出光プリズム部は、前記第1出光単位プリズムが前記出光面を凹ませて形成されており、前記第2出光レンズ部は、前記第2出光単位レンズが前記出光面を凹ませて形成され且つその深さが前記第1出光単位プリズムよりも浅くてもよい。
【0019】
(14)また、上記照明装置は、上記(12)または上記(13)に加え、前記第2出光レンズ部は、前記第2出光単位レンズが第2出光単位プリズムからなり、その第2出光単位プリズムの頂角が75°以上で且つ90°以下の範囲となるよう構成されてもよい。
【0020】
(15)本願明細書に記載の技術に関わる表示装置は、上記(1)から上記(14)のいずれかに記載の照明装置と、前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本願明細書に記載の技術によれば、光源の数を削減し、且つ輝度ムラの抑制及び薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】液晶表示装置をX軸方向に沿って切断した断面図
【
図3】液晶表示装置に備わるバックライト装置を構成するLED、LED基板及び導光板などを拡大した斜視図
【
図4】LED、LED基板及び導光板などをX軸方向に沿って切断した断面図
【
図5】導光板に備わる第1出光プリズム部を構成する第1出光単位プリズムの深さ寸法とX軸方向についての位置との関係を表すグラフ
【
図8】比較実験1に係る比較例1の実験結果を示す表
【
図9】比較実験1に係る比較例2の実験結果を示す表
【
図10】比較実験1に係る実施例1の実験結果を示す表
【
図11】比較実験2に係る光拡散単位プリズムの頂角とCm値との関係を表すグラフ
【
図12】比較実験3に係る入光単位プリズムの頂角とCm値との関係を表すグラフ
【
図13】比較実験4に係る第2出光単位プリズムの頂角とCm値との関係を表すグラフ
【
図14】実証実験1に係る実施例1の実験結果を示す表
【
図15】実証実験2に係る実施例2の実験結果を示す表
【
図16】実施形態2に係るバックライト装置に備わるLED、LED基板及び導光板などをX軸方向に沿って切断した断面図
【
図17】実証実験3に係る実施例3の実験結果を示す表
【
図18】実施形態3に係る液晶表示装置をX軸方向に沿って切断した断面図
【
図19】実証実験4に係る実施例4の実験結果を示す表
【
図20】実施形態4に係る導光板をY軸方向に沿って切断した断面図
【
図21】実証実験5に係る実施例5の実験結果を示す表
【
図22】実施形態5に係る導光板をY軸方向に沿って切断した断面図
【
図23】実証実験6に係る実施例1,5,6の実験結果を示す表
【
図24】実施形態6に係る液晶表示装置をX軸方向に沿って切断した断面図
【
図25】実証実験7に係る実施例7の実験結果を示す表
【
図26】実施形態7に係るバックライト装置の底面図
【
図27】比較実験5に係る比較例3及び実施例8の実験結果を示す表
【
図28】実施形態8に係るバックライト装置に備わるLED、LED基板及び導光板などをX軸方向に沿って切断した断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図15によって説明する。本実施形態では、液晶表示装置(表示装置)10及びそれに備わるバックライト装置(照明装置)12について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、
図2,
図4及び
図6の上側を表側とし、同図下側を裏側とする。
【0024】
液晶表示装置10は、
図1に示すように、画像を表示可能な液晶パネル(表示パネル)11と、液晶パネル11に対して裏側に配されて液晶パネル11に表示のための光を照射する外部光源であるバックライト装置12と、を少なくとも備える。このうち、液晶パネル11は、一対のガラス基板が所定のギャップを隔てた状態で貼り合わせられるとともに、両ガラス基板間に液晶が封入された構成とされる。一方のガラス基板(アレイ基板、アクティブマトリクス基板)には、互いに直交するソース配線とゲート配線とに接続されたスイッチング素子(例えばTFT)、そのスイッチング素子に接続された画素電極、さらには配向膜等が設けられ、他方のガラス基板(対向基板、CF基板)には、R(赤色),G(緑色),B(青色)等の各着色部が所定配列で配置されたカラーフィルタやカラーフィルタ間を仕切るブラックマトリクスの他に配向膜等が設けられている。なお、両ガラス基板の外側にはそれぞれ偏光板が配されている。
【0025】
続いて、バックライト装置12について詳しく説明する。バックライト装置12は、
図1に示すように、全体として横長の方形をなしており、その長辺方向がX軸方向と、短辺方向がY軸方向と、厚さ方向がZ軸方向と、それぞれ一致するよう配されている。バックライト装置12は、複数のLED(光源)13と、複数のLED13が実装された複数のLED基板(光源基板)14と、複数のLED13及びLED基板14を表側(出光側)から覆う形で配されて光を導光する導光板15と、LED基板14及び導光板15の裏側(出光側とは反対側)に配されて光を反射する反射シート16と、導光板15に対して表側に配される複数の光学シート(光学部材)17と、を備える。このように、本実施形態に係るバックライト装置12は、液晶パネル11の直下位置にLED13が配されており、いわゆる直下型とされる。なお、バックライト装置12は、LED基板14や導光板15などを収容するシャーシを備えたり、導光板15及び光学シート17の外周端部を保持する枠状のフレームを備えたりするのが好ましい。以下では、バックライト装置12の各構成部品について詳しく説明する。
【0026】
LED基板14は、
図1に示すように、Y軸方向に沿って延在する長手のフィルム状をなしており、長さ方向(長手方向)がY軸方向と一致し、幅方向(短手方向)がX軸方向と一致し、板厚方向がZ軸方向と一致するよう配されている。LED基板14は、長さ寸法がバックライト装置12の短辺寸法と同等とされるのに対し、幅寸法がバックライト装置12の長辺寸法に比べて十分に小さくされている。LED基板14は、バックライト装置12内においてX軸方向について間隔を空けた位置に3つが並んで配されている。3つのLED基板14は、バックライト装置12のうちの長辺方向についての中央側と、同長辺方向についての両端側と、にそれぞれ配されている。中央側のLED基板14と両端側の各LED基板14との間の間隔は、両端側の各LED基板14とバックライト装置12における長辺方向についての端位置との間の間隔よりも大きくなっていて、例えば2倍程度とされる。具体的には、中央側のLED基板14と両端側の各LED基板14との間の間隔は、例えば20mm程度とされるのに対し、両端側の各LED基板14とバックライト装置12における長辺方向についての端位置との間の間隔は、例えば10mm程度とされるが、必ずしもその限りではない。LED基板14は、表側の板面が導光板15における裏側の板面と対向状をなしており、当該板面が、複数のLED13が表面実装される実装面14Aとされる。LED基板14の実装面14Aには、銅箔などの金属膜からなる配線パターンが形成され、その配線パターンによって各LED13への給電がなされる。
【0027】
LED13は、
図1に示すように、LED基板14の実装面14Aに表面実装されており、LED基板14の長さ方向(Y軸方向)に沿って複数が一定の間隔を空けて一列に直線状に並んで配されている。LED基板14上に並ぶ複数のLED13が1つのLED列(光源列)を構成している。従って、バックライト装置12には、3つのLED列がX軸方向について間隔を空けて並んで配されている。本実施形態では、LED列に属する複数のLED13の並び方向は、Y軸方向と一致している。LED13は、外形がブロック状(直方体状)をなしており、パッケージ化されていないベアチップ光源とされる。従って、本実施形態に係るLED13は、外周面のうちのLED基板14に実装される面以外は全て発光するようになっており、表側を向いた1つの発光頂面13Aと、側方を向いた4つの発光側面13Bと、を有する。発光頂面13Aは、X軸方向及びY軸方向に並行する面とされるのに対し、各発光側面13Bは、少なくともZ軸方向に並行する面とされる。具体的には、本実施形態に係るLED13は、「ミニLED」と呼ばれるものである。なお、LED13は、Y軸方向についての寸法がX軸方向についての寸法よりも大きい縦長形状をなしており、Y軸方向についての寸法が例えば0.6mm程度でX軸方向についての寸法が0.3mm程度とされるが、必ずしもその限りではない。また、LED13は、LED基板14の実装面14AにてY軸方向についての配列間隔が例えば1mm程度となるよう配列されているが、必ずしもその限りではない。また、LED13におけるX軸方向についての配列間隔は、LED基板14におけるX軸方向についての配列間隔と同じとされる。LED13は、青色の単色光を発する青色LEDとされている。詳しくは、LED13は、例えばInGaNなどの半導体材料からなる半導体を含んでおり、順方向に電圧が印加されることで青色に属する波長領域(約400nm~約500nm)の可視光線である青色光を単色発光するものとされる。
【0028】
反射シート16は、
図1に示すように、液晶パネル11や光学シート17などの板面に並行する板面を有するシート状をなしている。反射シート16は、複数のLED基板14及び導光板15をほぼ全域にわたって裏側から覆う形で配されている。反射シート16は、例えば、絶縁性の合成樹脂製のシート材からなるとともに、屈折率が異なる誘電体層を多数積層した、いわゆる誘電体多層膜構造となっている。ここで、「誘電体多層膜構造」とは、例えば可視光の波長の1/4の厚みで且つ屈折率が異なる誘電体層(図示せず)を多数積層した構成のことであり、殆ど拡散を伴わない高効率の反射性能を発揮することができる。このような構成の反射シート16の一例としては、誘電体材料としてポリエステル系樹脂を用いたスリーエム ジャパン株式会社製、商品名「ESR」などを挙げることができる。
【0029】
光学シート17は、
図1に示すように、液晶パネル11や反射シート16などの板面に並行する板面を有するシート状をなしている。光学シート17は、Z軸方向(光学シート17などの板面の法線方向)について液晶パネル11と導光板15との間に介在する配置とされる。つまり、光学シート17は、バックライト装置12における出光経路の出口に配されていると言え、それにより、LED13から発せられた光に所定の光学作用を付与しつつ液晶パネル11に向けて出射させる機能を有する。光学シート17は、導光板15の表側の板面と対向状をなす裏側の板面が、光が入射される入光面とされるのに対し、液晶パネル11と対向状をなす表側の板面が、光が出射される出光面とされる。光学シート17には、互いに積層される3枚が含まれており、裏側(LED13及び導光板15に近い側)から順に、波長変換シート(蛍光体含有シート)18、第1輝度向上シート(第1プリズムシート)19、第2輝度向上シート(第2プリズムシート)20とされる。以下、これらの光学シート17の構成などについて説明する。
【0030】
波長変換シート18は、
図1に示すように、光学シート17の中で最もLED13に近い配置となっている。波長変換シート18は、LED13からの光を波長変換するための蛍光体(波長変換物質)を含有する波長変換層(蛍光体フィルム)と、波長変換層を表裏から挟み込んでこれを保護する一対の保護層(保護フィルム)と、から構成されている。波長変換層には、LED13からの青色光(一次光)を励起光として、二次光を発光する蛍光体が含有されている。蛍光体には、二次光として緑色光を発する緑色蛍光体と、二次光として赤色光を発する赤色蛍光体と、が含まれている。これら緑色蛍光体及び赤色蛍光体は、励起波長が蛍光波長よりも短波長とされるダウンコンバージョン型(ダウンシフティング型)となっている。ここで言う緑色光は、緑色に属する波長領域(約500nm~約570nm)の可視光線であり、赤色光は、赤色に属する波長領域(約600nm~約780nm)の可視光線である。従って、LED13から発せられた青色光は、その一部が波長変換シート18に含まれる緑色蛍光体及び赤色蛍光体によって緑色光や赤色光に波長変換されるようになっており、これら波長変換された緑色光及び赤色光(二次光)と、LED13の青色光(一次光)と、の加法混色によりバックライト装置12の出射光が概ね白色を呈するものとされる。波長変換層に含まれる緑色蛍光体及び赤色蛍光体としては、量子ドット蛍光体(Quantum Dot Phosphor)が用いられるのが好ましい。量子ドット蛍光体は、ナノサイズ(例えば直径2nm~10nm程度)の半導体結晶中に電子・正孔や励起子を三次元空間全方位で閉じ込めることで、離散的エネルギー準位を有しており、そのドットのサイズを変えることで発光光のピーク波長(発光色)などを適宜に選択することが可能とされる。この量子ドット蛍光体の発光光(蛍光光)は、その発光スペクトルにおけるピークが急峻となってその半値幅が狭くなることから、色純度が極めて高くなるとともにその色域が広いものとなる。また、波長変換層を挟み込む一対の保護層は、ほぼ透明な合成樹脂製でフィルム状をなしており、防湿性などに優れるものとされる。
【0031】
第1輝度向上シート19は、
図1に示すように、波長変換シート18と第2輝度向上シート20との間に挟まれた配置とされる。これに対し、第2輝度向上シート20は、光学シート17の中で最も液晶パネル11に近い配置とされる。第1輝度向上シート19及び第2輝度向上シート20は、それぞれほぼ透明な合成樹脂製の基材における板面にX軸方向またはY軸方向に沿って延在する単位プリズムを、その延在方向と直交する方向(Y軸方向またはX軸方向)について多数並べて設けた構成とされており、入射光に対して単位プリズムの並び方向について選択的に集光作用を付与するものである。単位プリズムは、頂角が90度程度とされるのが好ましい。第1輝度向上シート19及び第2輝度向上シート20は、集光方向が互いに直交するよう配されている。これら第1輝度向上シート19及び第2輝度向上シート20によりバックライト装置12の出射光には、X軸方向及びY軸方向についてそれぞれ集光作用が付与されることで、輝度の向上が図られている。
【0032】
導光板15は、屈折率が空気よりも十分に高く且つほぼ透明な合成樹脂材料(例えばPMMAなどのアクリル樹脂など)からなる。導光板15は、
図1に示すように、略板状をなしており、その板面が液晶パネル11及び光学シート17などの板面に並行している。なお、導光板15は、その板面における長辺方向がX軸方向と、短辺方向がY軸方向と、板面(後述する出光面15Bを含む)の法線方向である板厚方向がZ軸方向と、それぞれ一致するよう配されている。導光板15は、液晶パネル11及び光学シート17の直下に重なるよう配されている。導光板15は、一対の板面のうち、LED13及びLED基板14などと対向状をなす裏側の板面の一部がLED13からの光が入射される入光面15Aとされるのに対し、光学シート17(液晶パネル11)と対向状をなす表側の板面が光を出射させる出光面15Bとされる。導光板15は、LED13から発せられた光を入光面15Aから導入するとともに、その光を内部で板面に沿う方向に伝播させた後に、出光面15Bから表側(出光側)へ向くよう立ち上げて出射させ、面状光化する機能を有する。以下、導光板15の詳しい構成について説明する。
【0033】
導光板15は、
図1及び
図2に示すように、裏側の板面を部分的に凹ませることで、LED基板14を収容するLED基板収容凹部(光源基板収容凹部)21と、複数のLED13を収容するLED収容凹部(光源収容凹部)22と、を有している。LED基板収容凹部21及びLED収容凹部22は、共にY軸方向に沿って延在する溝状をなすとともに互いに連通している。LED基板収容凹部21及びLED収容凹部22は、導光板15をその短辺方向に沿って貫通しており、導光板15における長辺側の両側端面にそれぞれ開口している。LED基板収容凹部21内にLED基板14を収容すると、LED基板14に実装されていてLED列を構成する複数のLED13が一括してLED収容凹部22内に収容されるようになっている。これらLED基板収容凹部21及びLED収容凹部22は、導光板15の裏側の板面においてX軸方向についてLED基板14及びLED13の配列間隔と同じ間隔を空けた位置に3つずつ形成されている。導光板15における裏側の板面のうち、LED基板収容凹部21及びLED収容凹部22の非形成部分には、X軸方向及びZ軸方向に対して傾斜状をなす出光反対傾斜面23が凹み形成されている。出光反対傾斜面23は、LED基板収容凹部21に隣接する端部が最も低位となり、X軸方向についてLED基板収容凹部21から離れるに連れてZ軸方向について出光面15Bに近づくような勾配を有する。2つのLED基板収容凹部21の間には、2つの出光反対傾斜面23が介在しており、2つのLED基板収容凹部21の間の中間位置にて2つの出光反対傾斜面23の最も高位となる端部同士が連なる構成とされる。出光反対傾斜面23は、導光板15内を伝播する光を反射し、Z軸方向に近い角度となるよう表側に向けて立ち上げることで出光面15Bからの出射を促すことができる。
【0034】
LED基板収容凹部21は、
図3及び
図4に示すように、X軸方向についての寸法がLED基板14よりもやや幅広に形成されており、裏側を向いた面に固着テープ24が固着されている。固着テープ24は、基材の両面に固着層を備えているので、LED基板14の表側の板面にも固着されており、それによりLED基板14を導光板15に対して固定することができる。LED収容凹部22は、X軸方向についての寸法がLED13よりも十分に幅広となるよう形成されており、それにより組み付け時に複数のLED13を容易に収容することができる。LED収容凹部22の周面は、複数のLED13の各外周面と対向する配置となっていて入光面15Aを構成している。詳しくは、LED収容凹部22の周面には、各LED13の発光頂面13Aに対向する入光頂面15A1と、各LED13の発光側面13Bに対向する入光傾斜面15A2と、が含まれている。これら入光頂面15A1及び入光傾斜面15A2は、いずれもY軸方向に沿って延在していてLED基板収容凹部21の全長にわたって形成されるとともに入光面15Aを構成している。入光頂面15A1は、入光傾斜面15A2に対して交差する面として形成されている。入光傾斜面15A2は、X軸方向及びZ軸方向に対して傾斜状をなしており、X軸方向について入光頂面15A1から離れるに連れてZ軸方向について出光面15Bから遠ざかるような勾配を有する。入光傾斜面15A2は、X軸方向について間に入光頂面15A1を挟んで一対が略対称をなす形で設けられている。LED収容凹部22は、これら一対の入光傾斜面15A2によりZ軸方向について出光面15Bに近づくに連れてX軸方向についての寸法が幅狭とされている。このような構成の入光傾斜面15A2によれば、入射した光に対してZ軸方向について出光面15Bに向かうよう角度付けすることができる。また、上記のような傾きを有する入光傾斜面15A2を備えていれば、導光板15を射出成形によって製造する場合にLED収容凹部22を形成するための成形金型の型抜きを容易に行うことができる。
【0035】
そして、本実施形態に係る導光板15の出光面15Bには、
図3及び
図4に示すように、Y軸方向に沿って延在し且つLED列に属する複数のLED13に対して少なくとも一部が重畳するよう光拡散部25が設けられている。光拡散部25は、詳しくは後述するが、Y軸方向に沿って延在する構造物であることから、LED列に属する複数のLED13から発せられて導光板15内に存する光に対し、出光面15Bの法線方向であるZ軸方向から視てY軸方向と交差するX軸方向に沿ってLED列に属する複数のLED13から離れる向きを指向するよう拡散作用を付与することができる。このようにすれば、出光面15BのうちLED列に属する複数のLED13に対して重畳する部分では過剰になりがちな光の出射を抑制し、LED列に属する複数のLED13とは非重畳となる部分では不足しがちな光の出射を促進することができる。これにより、出光面15Bからの出射光量が出光面15Bの面内において均一化が図られるので、輝度ムラの抑制を図ることができる。このように輝度ムラの抑制が十分に図られることで、バックライト装置12全体を薄型化することができる。しかも、例えばLED列に属する複数のLED13に含まれる特定のLED13のみを発光させ、残りのLED13を非発光とした場合には、特定のLED13から発せられた光に光拡散部25によって上記した拡散作用が付与されることで、出光面15Bのうち、Y軸方向について発光したLED13付近において光の出射が促進されるものの、非発光とされるLED13付近からは光が出射し難くなっている。これにより、いわゆるローカルディミング制御やHDR(High Dynamic Range)制御を行う上で好適となっている。さらには、列をなして並ぶ複数のLED13から発せられた光が導光板15によって出光面15Bから出射する面状の光に変換されるようになっているので、LED13の設置数の削減を図る上でも好適となる。
【0036】
光拡散部25の構成について詳しく説明する。光拡散部25は、
図3及び
図4に示すように、出光面15BのうちのLED列に属する複数のLED13と重畳する部分を凹ませることで形成されている。光拡散部25の周面には、出光面15Bに対して鈍角をなすよう傾く出光傾斜面25Aが含まれている。詳しくは、出光傾斜面25Aは、X軸方向及びZ軸方向に対して傾斜状をなしており、X軸方向についてLED列に属する複数のLED13から離れるに連れてZ軸方向についてLED13から遠ざかって出光面15Bに近づくような勾配を有する。このような出光傾斜面25Aにより導光板15内に存する光が全反射されると、その光は、X軸方向に沿ってLED列に属する複数のLED13から離れる向きに指向するよう拡散され且つZ軸方向について出光面15Bとは反対側に向けて進行する。仮に光拡散部として光の吸収を伴う構造物を導光板に付加した場合に比べると、光の損失を抑制して光の利用効率を高く維持しつつ、輝度ムラを好適に抑制することができる。しかも、光拡散部25が出光面15Bを凹ませて形成されているので、仮に出光面15Bを突出させて形成された場合に比べると、拡散作用が付与された光をより多くX軸方向に沿ってLED列に属する複数のLED13から離れる向きに進行させることができる。これにより、輝度ムラをより好適に抑制することができる。光拡散部25は、その周面に出光傾斜面25Aにおける低位側(底側)の端部に連なる底面25Bを有する。出光傾斜面25Aは、X軸方向について間に底面25Bを挟んで一対が略対称をなす形で設けられている。光拡散部25は、これら一対の出光傾斜面25AによりZ軸方向についてLED13に近づくに連れてX軸方向についての寸法が幅狭とされ、逆にZ軸方向について出光面15Bに近づくに連れてX軸方向についての寸法が幅広とされている。出光傾斜面25A及び底面25Bは、いずれもY軸方向に沿って延在していて光拡散部25の全長にわたって形成されている。
【0037】
光拡散部25の底面25Bには、
図3及び
図4に示すように、光拡散プリズム部26が設けられている。光拡散プリズム部26は、Y軸方向に沿って延在していてX軸方向(並び方向と交差する方向)に沿って並ぶよう設けられる複数の光拡散単位プリズム26Aからなる。光拡散プリズム部26は、いわゆるプリズム型のレンズであり、光拡散単位プリズム26Aは、光拡散部25の底面25Bから表側に突出する凸型のプリズムである。光拡散単位プリズム26Aは、X軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形)をなすとともにY軸方向に沿って直線的に延在していて光拡散部25の全長にわたって形成されている。光拡散単位プリズム26Aは、その幅寸法(X軸方向についての寸法)が長さ方向(Y軸方向)について全長にわたって一定とされる。光拡散単位プリズム26Aは、断面形状がほぼ二等辺三角形であり、一対の斜面26A1を有するとともにその頂角θ1が45°以上で且つ115°以下の範囲とされるのが好ましく、60°とされるのが最も好ましい。X軸方向に沿って並ぶ複数の光拡散単位プリズム26Aは、頂角θ1、底面の幅寸法(配列間隔)及び高さ寸法が全てほぼ同一とされる。この光拡散プリズム部26によれば、導光板15内に存する光のうちの光拡散部25の底面25Bに達したものは、その多くが複数の光拡散単位プリズム26Aにおける斜面26A1にて全反射される。すると、全反射された光は、X軸方向に沿ってLED列に属する複数のLED13から離れる向きに指向するよう拡散され且つZ軸方向について出光面15Bとは反対側に向けて進行する。特に、光拡散部25の底面25Bは、LED列に属する複数のLED13の直上に位置していて各LED13の発光頂面13Aから発せられてZ軸方向に沿って進行する発光強度の高い光が多く照射されており、その光に光拡散プリズム部26による拡散作用が付与されることで、出光面15BのうちのLED列に属する複数のLED13と重畳する部分が局所的な明部として視認され難くなる。これにより、輝度ムラをより好適に抑制することができる。しかも、光拡散プリズム部26は、光拡散単位プリズム26Aの頂角θ1が45°以上で且つ115°以下の範囲となるよう構成されているので、光に対して効率的に拡散作用を付与することができ、輝度ムラの抑制を図る上でさらに好適となっている。
【0038】
一方、LED収容凹部22の入光頂面15A1には、
図3及び
図4に示すように、入光プリズム部27が設けられている。入光プリズム部27は、Y軸方向に沿って延在していてX軸方向に沿って並ぶよう設けられる複数の入光単位プリズム27Aからなる。入光プリズム部27は、いわゆるプリズム型のレンズであり、入光単位プリズム27Aは、LED収容凹部22の入光頂面15A1から裏側に突出する凸型のプリズムである。入光単位プリズム27Aは、X軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形)をなすとともにY軸方向に沿って直線的に延在していてLED収容凹部22の全長にわたって形成されている。入光単位プリズム27Aは、その幅寸法(X軸方向についての寸法)が長さ方向(Y軸方向)について全長にわたって一定とされる。入光単位プリズム27Aは、断面形状がほぼ二等辺三角形であり、一対の斜面27A1を有するとともにその頂角θ2が75°以上で且つ85°以下の範囲とされるのが好ましく、80°とされるのが最も好ましい。X軸方向に沿って並ぶ複数の入光単位プリズム27Aは、頂角θ2、底面の幅寸法(配列間隔)及び高さ寸法が全てほぼ同一とされる。このような構成によれば、LED13から発せられてLED収容凹部22の入光頂面15A1に入射された光を、入光プリズム部27を構成する複数の入光単位プリズム27AによってX軸方向に広げつつ出光面15Bに向かわせることができる。これにより、光をX軸方向に沿ってLED列に属する複数のLED13から離れる向きにより多く進行させることができる。特に、LED収容凹部22の入光頂面15A1は、LED列に属する複数のLED13の直上に位置していて各LED13の発光頂面13Aから発せられてZ軸方向に沿って進行する発光強度の高い光が多く照射されており、その光に入光プリズム部27による拡散作用が付与されることで、出光面15BのうちのLED列に属する複数のLED13と重畳する部分が局所的な明部として視認され難くなる。これにより、輝度ムラをより好適に抑制することができる。しかも、入光プリズム部27は、入光単位プリズム27Aの頂角θ2が75°以上で且つ85°以下の範囲となるよう構成されているので、光に対して効率的に拡散作用を付与することができ、輝度ムラの抑制を図る上でさらに好適となっている。
【0039】
さらには、LED収容凹部22は、
図4に示すように、周面の一部である入光傾斜面15A2が、LED列に属する複数のLED13に当接されることで、LED列に属する複数のLED13に対してX軸方向(出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差する交差方向)について導光板15を位置決めすることが可能とされる。具体的には、LED収容凹部22の周面のうちの
図4に示される左側の入光傾斜面15A2が、複数のLED13のうちの
図4に示される左上の角部に対して当接されるようになっている。この当接状態では、各LED13は、LED収容凹部22に対してX軸方向について
図4に示される左側に偏在していて、入光頂面15A1及びそこに設けられた入光プリズム部27の中心が、各LED13の中心に対してX軸方向についてオフセットしている。その一方、上記した当接状態では、光拡散部25は、LED収容凹部22の入光傾斜面15A2に当接した複数のLED13に対してX軸方向について同心となるよう配されている。つまり、光拡散部25は、底面25B及びそこに設けられた光拡散プリズム部26の中心が、各LED13の中心に対してX軸方向について一致する配置とされる。このようにすれば、LED列に属する複数のLED13から発せられた光を、光拡散部25によってX軸方向に沿って複数のLED13から離れる向きに指向するよう両側に均等に拡散させることができる。これにより、輝度ムラをより好適に抑制することができる。
【0040】
導光板15の出光面15Bには、
図3及び
図4に示すように、光拡散部25及びLED列に属する複数のLED13とは非重畳となるよう第1出光プリズム部28が設けられている。第1出光プリズム部28は、Y軸方向に沿って延在していてX軸方向(並び方向と交差する方向)に沿って並ぶよう設けられる複数の第1出光単位プリズム28Aからなる。第1出光プリズム部28は、いわゆるプリズム型のレンズであり、第1出光単位プリズム28Aは、導光板15の出光面15Bから裏側に引っ込む凹型のプリズムである。第1出光単位プリズム28Aは、X軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形)をなすとともにY軸方向に沿って直線的に延在していて導光板15の全長にわたって形成されている。第1出光単位プリズム28Aは、断面形状がほぼ二等辺三角形であり、一対の斜面28A1を有するとともにその頂角θ3が90°とされるのが好ましい。第1出光プリズム部28を構成する複数の第1出光単位プリズム28Aは、光拡散部25に対してX軸方向について間隔(例えば1mm程度)を空けた両側にそれぞれ設けられている。X軸方向に沿って並ぶ複数の第1出光単位プリズム28Aは、頂角θ3及び配列間隔に関してはほぼ同一とされるものの、底面の幅寸法、底面から頂点までの斜面28A1の長さ(面積)及び深さ寸法がX軸方向についての位置に応じて変化するようになっている。詳しくは、第1出光単位プリズム28Aにおける底面の幅寸法、斜面28A1の面積及び深さ寸法は、X軸方向についての位置が光拡散部25に近づくほど小さくなり、逆に光拡散部25から遠ざかるほど大きくなる傾向とされる。従って、導光板15の出光面15Bのうち、X軸方向について光拡散部25からの距離が最大となる位置(隣接する2つの出光反対傾斜面23における最も高位となる端部同士が連なる位置)にて、第1出光単位プリズム28Aの底面の幅寸法、斜面28A1の面積及び深さ寸法がいずれも最大値となる。具体的には、第1出光単位プリズム28Aは、配列間隔が例えば0.1mm程度で一定とされるのに対し、深さ寸法が0.015mm~0.055mmの範囲で変化するものとされる。具体的な第1出光単位プリズム28Aの深さ寸法とX軸方向についての位置との関係は、
図5に示される通りである。
図5は、縦軸が第1出光単位プリズム28Aの深さ寸法(単位は「mm」)であり、横軸が第1出光単位プリズム28AにおけるX軸方向についての位置(単位は「mm」)である。
図5の横軸は、特定のLED列に属するLED13に最も近い第1出光単位プリズム28AにおけるX軸方向についての位置を基準(0)としている。
図5によれば、LED13に最も近い第1出光単位プリズム28Aは、深さ寸法が最小値の0.015mmとされ、そこからX軸方向についてLED13から遠ざかるに連れて第1出光単位プリズム28Aの深さ寸法が増加し、LED13に最も近い第1出光単位プリズム28Aから8mm程度離れた位置にて第1出光単位プリズム28Aの深さ寸法が最大値の0.055mmとされている。
【0041】
このような構成によれば、導光板15内を伝播して複数の第1出光単位プリズム28Aに達した光のうち、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1に対する入射角が臨界角を超えないものは出射されるものの、臨界角を超えないものは斜面28A1にて全反射されて少なくとも出光面15Bから遠ざかるよう進行する。第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1にて全反射された光は、出光反対傾斜面23により反射されたり、反射シート16により反射されたりすることで、再び出光面15Bへ向かう再帰光となり、やがては第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1から出射する。この出射光量は、斜面28A1の面積に比例する関係とされる。そして、上記のように第1出光プリズム部28は、光拡散部25及びLED列に属する複数のLED13とは非重畳となるよう配されているので、導光板15の出光面15BのうちLED列に属する複数のLED13に対して重畳する部分からの光の出射を促進することがなく、LED列に属する複数のLED13とは非重畳となる部分からの光の出射を促すことができる。しかも、複数の第1出光単位プリズム28Aは、X軸方向について光拡散部25から遠ざかるほど斜面28A1の面積が大きくなるよう構成されているので、導光板15内に存する光量が多くなる傾向とされる光拡散部25の近くでは光の出射を抑制し、導光板15内に存する光量が少なくなる傾向とされる光拡散部25から遠い位置では光の出射を促進することができる。以上により、輝度ムラを好適に抑制することができる。
【0042】
その上で、本実施形態では、第1出光プリズム部28を構成する複数の第1出光単位プリズム28Aは、
図3及び
図4に示すように、その配列間隔が、底面の幅寸法の最大値よりも大きくなる設定とされている。このような構成によれば、仮に第1出光単位プリズムが出光面15Bを表側に突出させて形成された場合に比べると、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1にて全反射された光を、X軸方向に沿ってLED列に属する複数のLED13からより遠い位置へと導くことができる。これにより、出光面15Bのうち複数のLED13とは非重畳となる部分からの光の出射をより促すことができ、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。特に、第1出光単位プリズム28Aの頂角θ3が90°とされているので、斜面28A1にて全反射された光のリサイクル効率が最大化され、光の利用効率の観点でも優れる。
【0043】
導光板15の出光面15Bには、
図3,
図4及び
図6に示すように、光拡散部25及びLED列に属する複数のLED13とは非重畳となるよう第2出光レンズ部29が設けられている。第2出光レンズ部29は、X軸方向(並び方向と交差する方向)に沿って延在していてY軸方向に沿って並ぶよう設けられる複数の第2出光単位プリズム(第2出光単位レンズ)29Aからなる。第2出光レンズ部29は、いわゆるプリズム型のレンズであり、第2出光単位プリズム29Aは、導光板15の出光面15Bから表側に突出する凸型のプリズムである。第2出光単位プリズム29Aは、Y軸方向に沿って切断した断面形状が略三角形(略山形)をなすとともにX軸方向に沿って直線的に延在していて導光板15の全長にわたって形成されている。第2出光単位プリズム29Aは、その幅寸法(Y軸方向についての寸法)が長さ方向(X軸方向)について全長にわたって一定とされる。第2出光単位プリズム29Aは、断面形状がほぼ二等辺三角形であり、一対の斜面29A1を有するとともにその頂角θ4が75°以上で且つ90°以下の範囲とされるのが好ましく、90°とされるのが最も好ましい。Y軸方向に沿って並ぶ複数の第2出光単位プリズム29Aは、頂角θ4、底面の幅寸法(配列間隔)及び高さ寸法が全てほぼ同一とされる。具体的には、第2出光単位プリズム29Aは、配列間隔が例えば0.013mm程度で一定とされるとともに、深さ寸法が0.0065mm程度で一定とされているが、必ずしもその限りではない。
【0044】
このような構成によれば、導光板15内を伝播して複数の第2出光単位プリズム29Aに達した光の大部分は、第2出光単位プリズム29Aの斜面29A1にて全反射されて出光面15Bから遠ざかるようY軸方向に沿って進行する。第2出光単位プリズム29Aの斜面29A1にて全反射された光は、出光反対傾斜面23により反射されたり、反射シート16により反射されたりすることで、再び出光面15Bへ向かう再帰光となり、やがては第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1から出射する。これにより、導光板15内を伝播する光をY軸方向についてミキシングすることができるので、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。特に、第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4が90°とされているので、光がY軸方向について過度に拡散するのを避けることができるので、ローカルディミング制御やHDR制御を行う上でより好適となるのに加え、斜面29A1にて全反射された光のリサイクル効率が最大化され、光の利用効率の観点でも優れる。その上、第2出光レンズ部29は、第2出光単位プリズム29Aの深さ寸法が第1出光単位プリズム28Aの深さ寸法よりも小さくされている。このような構成によれば、仮に上記した深さ寸法の大小関係を逆にした場合に比べると、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1の面積をより多く確保することができる。これにより、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1から出射する光量が多くなるので、光の利用効率を高くすることができる。
【0045】
次に、本実施形態に係るバックライト装置12及び液晶表示装置10の優位性を検証するため、以下の比較実験1~4及び実証実験1,2を行った。比較実験1~4及び実証実験1,2並びにその結果について順次に説明する。まず、比較実験1では、
図7に示されるような構成のバックライト装置30を作成し、これを実施例1とした。この実施例1に係るバックライト装置30は、平面に視て外形が略正方形状とされるとともにLED基板14の設置数が5つとされる。より具体的には、バックライト装置30は、1辺の寸法が100mm程度とされ、各LED基板14には、LED13が100個ずつ、1mmの配列間隔でもって配列されている。実施例1は、これらの点を除いては、本段落以前に説明したものと同様の構成である。具体的には、光拡散プリズム部26の光拡散単位プリズム26Aの頂角θ1は、60°であり、入光プリズム部27の入光単位プリズム27Aの頂角θ2は、80°であり、第1出光プリズム部28の第1出光単位プリズム28Aの頂角θ3は、90°であり、第2出光レンズ部29の第1出光単位プリズム29Aの頂角θ4は、90°である。外形及びLED基板14の設置数などについては実施例1と同じであるものの、光拡散部25、光拡散プリズム部26及び入光プリズム部27を除去した構成のものを比較例1とした。さらに、外形及びLED基板14の設置数などについては実施例1と同じであるものの、光拡散部25及び光拡散プリズム部26を除去した構成のものを比較例2とした。そして、比較実験1では、これら実施例1及び比較例1,2に係る各バックライト装置について、全てのLEDを点灯させた状態で出射光の照度分布を示す画像を撮影するとともに、出射光の照度を測定して照度分布に係るグラフを作成し、さらにはCm(Michelson Contrast)値を測定した。
【0046】
実験結果は、
図8から
図10に示される通りである。
図8は、比較例1の実験結果を示す表であり、
図9は、比較例2の実験結果を示す表であり、
図10は、実施例1の実験結果を示す表である。
図8から
図10には、光拡散部25、光拡散プリズム部26、LED収容凹部22及び入光プリズム部27の有無と、出射光の照度分布を示す画像と、X軸方向についての照度分布を示すグラフと、Cm値と、が記載されている。
図8から
図10に記載された画像の凡例及びグラフの縦軸に示される照度の単位は「lx(ルクス)」である。また、
図8から
図10に記載されたグラフの横軸は、X軸方向についての中央位置を基準(0)とした位置を表しており、その単位は「mm」である。また、
図8から
図10に記載されたグラフの横軸に付された正負の記号のうち「-(マイナス)」は、基準である中央位置からX軸方向について
図7に示す左側を意味し、「+(プラス)」は、
図7に示す右側を意味する。Cm値は、出射光の最大輝度から最小輝度を差し引いて得られる値を、最大輝度と最小輝度とを足し合わせて得られる値により除して得られる。Cm値が大きいと、最大輝度と最小輝度との差が大きく且つ最大輝度と最小輝度との和が小さいことから、輝度ムラが視認され易い傾向にある。逆にCm値が小さいと、最大輝度と最小輝度との差が小さく且つ最大輝度と最小輝度との和が大きいことから、輝度ムラが視認され難い傾向にある。
【0047】
比較実験1の実験結果について説明する。
図8に記載された画像及びグラフから比較例1の照度分布には、Y軸方向に沿って延在する線状(帯状)をなしていて局所的に明るい明部が存在しており、この明部がX軸方向について間隔を空けて5つ並んでいる。この明部は、比較例1に備わる5つのLED列の直上に位置している(横軸が-40mm,-20mm,0mm,20mm,40mmの位置を参照)。このことから、光拡散部、光拡散プリズム部及び入光プリズム部をいずれも備えない比較例1では、LEDから発せられた光が導光板内を伝播する過程でX軸方向について殆ど拡散されることなく出射していると推考される。また、
図8に記載されたCm値も大きな値となっており、比較例1は輝度ムラが極めて視認され易くなっている。次に、
図9に記載された画像及びグラフから比較例2の照度分布には、比較例1と同様に線状(帯状)をなす5つの明部が存在しているものの、明部に隣り合う暗部との間の照度の差が幾分緩和されている。比較例2は、光拡散部及び光拡散プリズム部を備えないものの、入光プリズム部を備えていることから、入光頂面に入射した光を入光プリズム部によってX軸方向に沿って拡散させることで、明部の照度が比較例1よりも低くなっていると推考される。また、
図9に記載されたCm値は、比較例1よりも低くなっていることから、比較例2は輝度ムラが幾分緩和されている。
【0048】
そして、
図10に記載された画像及びグラフから実施例1の照度分布には、5つのLED列と合致するような明部が全く存在しておらず、X軸方向及びY軸方向について中心にて最も照度が高くて中心から遠ざかるに連れて緩やかに照度が低下するものとなっている。実施例1は、光拡散部25、光拡散プリズム部26及び入光プリズム部27をいずれも備えていることから、入光頂面15A1に入射した光を入光プリズム部27によってX軸方向に沿って拡散させた上で、出光面15BのうちLED列の直上部分に達した光を光拡散部25及び光拡散プリズム部26によってX軸方向に沿って拡散させることができ、それにより出射光がLED列の直上に集中するのが避けられていると推考される。それに加え、第1出光プリズム部28及び出光反対傾斜面23による出光促進効果、第2出光レンズ部29によるY軸方向についての光の拡散効果、第1出光プリズム部28及び第2出光レンズ部29による光のミキシング効果なども寄与していると推考される。また、
図10に記載されたCm値は、比較例2の十分の一程度まで低下しており、実施例1では輝度ムラが視認されることがほぼないものとされる。
【0049】
比較実験2について説明する。比較実験2は、上記した比較実験1にて説明した実施例1に備わる導光板15に設けられた光拡散プリズム部26を構成する光拡散単位プリズム26Aの頂角θ1を変化させた場合に、Cm値がどのように変化するか、について知見を得るべく行った。比較実験2では、光拡散単位プリズム26Aの頂角θ1を40°,50°,55°,60°,65°,70°,80°,90°,100°,110°,120°とし、これらのCm値を測定した。実験結果は、
図11に示される通りである。
図11は、縦軸をCm値とし、横軸を光拡散単位プリズム26Aの頂角θ1(単位は「°」)としたグラフである。
【0050】
比較実験2の実験結果について説明する。
図11によれば、光拡散単位プリズム26Aの頂角θ1を40°から120°まで変化させても、全般的にCm値の変動幅は小さくなっている。しかし、頂角θ1が40°及び120°のときの各Cm値は、0.008を超えており、輝度ムラがやや視認され易い傾向にあると言える。これに対し、頂角θ1が45°以上で且つ115°以下の範囲とされていれば、Cm値は、0.008以下に収まっており、輝度ムラが視認され難くなっている。特に、頂角θ1が55°以上で且つ65°以下の範囲では、Cm値が0.007以下程度に安定的に保たれており、この数値範囲において輝度ムラが安定的に視認され難くなっている、と言える。
【0051】
比較実験3について説明する。比較実験3は、上記した比較実験1にて説明した実施例1に備わる導光板15に設けられた入光プリズム部27を構成する入光単位プリズム27Aの頂角θ2を変化させた場合に、Cm値がどのように変化するか、について知見を得るべく行った。比較実験3では、入光単位プリズム27Aの頂角θ2を60°,70°,75°,80°,85°,90°,100°,110°,120°とし、これらのCm値を測定した。実験結果は、
図12に示される通りである。
図12は、縦軸をCm値とし、横軸を入光単位プリズム27Aの頂角θ2(単位は「°」)としたグラフである。
【0052】
比較実験3の実験結果について説明する。
図12によれば、入光単位プリズム27Aの頂角θ2を60°から120°まで変化させるのに伴うCm値の変動幅は、上記した比較実験2の実験結果(
図11を参照)よりも大きくなっている。このことから、入光プリズム部27は、光拡散プリズム部26に比べると、入光単位プリズム27Aの頂角θ2に係る条件設定がシビアであり、好ましい数値範囲を特定することが輝度ムラの抑制を図る上で重要であると言える。詳しくは、
図12によれば、頂角θ2が70°以下の場合や100°以上の場合は、各Cm値が0.01を超えていて輝度ムラが視認され易くなっているのに比べると、頂角θ2が75°以上で且つ90°以下の範囲であれば、各Cm値が0.01よりも低くなっていて比較的に輝度ムラが視認され難くなっている。中でも、頂角θ2が75°以上で且つ85°以下の範囲であれば、各Cm値が0.008以下に収まっており、特に輝度ムラが視認され難くなっている、と言える。
【0053】
比較実験4について説明する。比較実験4は、上記した比較実験1にて説明した実施例1に備わる導光板15に設けられた第2出光レンズ部29を構成する第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4を変化させた場合に、Cm値がどのように変化するか、について知見を得るべく行った。比較実験2では、第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4を60°,70°,75°,80°,85°,90°,95°,100°,110°,120°,130°,140°とし、これらのCm値を測定した。実験結果は、
図13に示される通りである。
図13は、縦軸をCm値とし、横軸を第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4(単位は「°」)としたグラフである。
【0054】
比較実験4の実験結果について説明する。
図13によれば、第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4を60°から140°まで変化させても、全般的にCm値の変動幅は小さくなっており、上記した比較実験2の実験結果(
図11を参照)よりもさらに小さくなっている。詳しくは、頂角θ4が60°から140°に至るまで、一度もCm値が0.008を超えることがなく、いずれの頂角θ4であっても輝度ムラが視認され難い傾向にある、と言える。その中でも、頂角θ4が75°以上で且つ90°以下の範囲とされていれば、Cm値が0.007以下程度に安定的に保たれており、この数値範囲において輝度ムラが安定的に視認され難くなっている、と言える。
【0055】
実証実験1について説明する。実証実験1では、上記した比較実験1にて説明した実施例1に備わるLED列に属する複数のLED13を部分的に発光させた場合における出射光の照度分布を測定するとともにCm値を測定した。詳しくは、実証実験1では、実施例1においてLED列に属する複数のLED13を複数(例えば5つ)のグループに区分した上で、X軸方向についての中央に位置するLED列に属するグループで且つY軸方向についての中央に位置するグループに属する複数(例えば20個)のLED13を選択的に発光させ、中央のLED列に属する残りのグループ及び他のLED列に属する各LED13については非発光とした。この状態で出射光の照度分布を示す画像を撮影するとともに、出射光の照度を測定して照度分布に係るグラフを作成し、さらにはCm値を測定した。なお、上記のようにLED列を複数のグループに区分し、それらグループに属する複数ずつのLED13を選択的に発光させることで、ローカルディミング制御やHDR制御を行うことが可能となる。実験結果は、
図14に示される通りである。
図14には、第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4と、出射光の照度分布を示す画像と、X軸方向についての照度分布を示すグラフと、Cm値と、が記載されている。
図14に記載された写真の凡例及びグラフの縦軸に示される照度の単位は「lx(ルクス)」である。また、
図14に記載されたグラフの横軸は、X軸方向についての中央位置を基準(0)とした位置を表しており、その単位は「mm」である。また、
図14に記載されたグラフの横軸に付された正負の記号は、上記した比較実験1に記載した通りである。
【0056】
実証実験1の実験結果について説明する。
図14に記載された画像及びグラフから実施例1の照度分布には、X軸方向及びY軸方向についての中央位置に点状をなす局所的に明るい明部が存在している。この明部は、実施例1に備えられて選択的に発光されたグループに属する複数のLED13の直上付近に位置している。選択的に発光されたグループに属する複数のLED13は、Y軸方向に沿って直線的に並んでいるものの、測定された明部は真円に近い照度分布となっている。これは、実施例1は、光拡散部25、光拡散プリズム部26及び入光プリズム部27をいずれも備えていることから、入光頂面15A1に入射した光を入光プリズム部27によってX軸方向に沿って拡散させた上で、出光面15BのうちLED列の直上部分に達した光を光拡散部25及び光拡散プリズム部26によってX軸方向に沿って拡散させることができ、それにより出射光が選択的に発光されたグループに属する複数のLED13の直上に集中するのが避けられていると推考される。また、第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4が90°とされているので、光がY軸方向について過度に拡散するのを避けられていることも寄与していると推考される。以上により、実施例1は、ローカルディミング制御やHDR制御を行う上で好適となっている。なお、Cm値も十分に低い値に保たれている。
【0057】
実証実験2について説明する。実証実験2では、上記した比較実験1にて説明した実施例1の構成から光学シート17を除去した実施例2を用意し、実施例2に備わる導光板15の出射光に係る照度分布を測定した。詳しくは、実証実験2では、全てのLED13を点灯させた状態で導光板15の出射光の照度分布を示す画像を撮影するとともに、出射光の照度を測定して照度分布に係るグラフを作成した。実験結果は、
図15に示される通りである。
図15には、出射光の照度分布を示す画像と、X軸方向についての照度分布を示すグラフと、が記載されている。
図15に記載された画像には、凡例が添付されていないが、照度が高いほど画像の濃淡が薄くなり、照度が低いほど画像の濃淡が濃くなる傾向にある。
図15に記載されたグラフの縦軸に示される照度の単位は「lx(ルクス)」である。また、
図15に記載されたグラフの横軸は、X軸方向についての中央位置を基準(0)とした位置を表しており、その単位は「mm」である。また、
図15に記載されたグラフの横軸に付された正負の記号は、上記した比較実験1に記載した通りである。
【0058】
実証実験2の実験結果について説明する。
図15に記載された画像及びグラフによれば、光学シート17を備えていない分だけ、照度分布に多少のムラが生じているものの、その明部と暗部との間の照度の差が小さく抑えられている。詳しくは、出光面15Bのうち、LED列に属する複数のLED13に対して重畳する部分(横軸が-40mm,-20mm,0mm,20mm,40mmの位置)と、それらのLED13とは非重畳となる部分と、を比較したとき、極端に照度が高い明部が存在していないことが分かる。これは、光拡散部25、光拡散プリズム部26及び入光プリズム部27によって光がX軸方向について良好に拡散される拡散効果などに加えて、出光反対傾斜面23による出光促進効果に因るものと推考される。出光反対傾斜面23は、導光板15内を伝播してZ軸方向について出光面15Bとは反対側に向かう光を立ち上げて第1出光プリズム部28に向かわせることができ、それにより出光面15Bの面内においてX軸方向について万遍なく光を出射させることができている、と推考される(
図2を参照)。
【0059】
以上説明したように本実施形態のバックライト装置(照明装置)12は、列をなして並ぶ複数のLED(光源)13と、複数のLED13を覆うよう配される導光板15であって、複数のLED13側の板面の少なくとも一部が複数のLED13から発せられた光が入射される入光面15Aとされ、入光面15Aとは反対側の板面が光を出射させる出光面15Bとされる導光板15と、出光面15Bにて複数のLED13の並び方向に沿って延在し且つ複数のLED13に対して少なくとも一部が重畳するよう設けられる光拡散部25であって、導光板15内に存する光に対し、出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差していて複数のLED13から離れる向きを指向するよう拡散作用を付与する光拡散部25と、を備える。
【0060】
このようにすれば、列をなして並ぶ複数のLED13から発せられた光は、複数のLED13を覆うよう配される導光板15の入光面15Aに入射してから、導光板15内を伝播した後に出光面15Bから出射する。上記のように複数のLED13が列をなして並ぶ配置とされていると、導光板15の出光面15Bのうち、複数のLED13に対して重畳する部分と、複数のLED13とは非重畳となる部分と、で出射光量に差が生じ易くなり、輝度ムラの発生が懸念され、それを避けるには全体の厚みを大きくする必要が生じる。その点、出光面15Bには、複数のLED13の並び方向に沿って延在し且つ複数のLED13に対して少なくとも一部が重畳するよう光拡散部25が設けられており、この光拡散部25により導光板15内に存する光には、出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差していて複数のLED13から離れる向きに指向するよう拡散作用が付与されるようになっているから、出光面15Bのうち複数のLED13に対して重畳する部分では過剰になりがちな光の出射が抑制され、複数のLED13とは非重畳となる部分では不足しがちな光の出射が促進される。これにより、LED13の数の削減を図りつつ輝度ムラの抑制及び薄型化を図る上で好適となる。しかも、複数のLED13に含まれる特定のLED13を選択的に発光させた場合でも、その光に光拡散部25による拡散作用が付与されることで、出光面15Bのうち発光したLED13の周囲において光の出射が促進され、非発光とされるLED13付近からは光が出射し難くなっているから、いわゆるローカルディミング制御やHDR(High Dynamic Range)制御を行う上で好適となる。
【0061】
また、光拡散部25は、出光面15Bを凹ませて形成されるとともに周面に出光面15Bに対して鈍角をなすよう傾く出光傾斜面25Aを含む。このようにすれば、導光板15内に存する光は、光拡散部25の周面に含まれる出光傾斜面25Aにて全反射されると、出光面15Bの法線方向から視て複数のLED13から離れる向きに指向するよう拡散され且つ導光板15の板厚方向について出光面15Bとは反対側に向けて進行する。これにより、光の利用効率を高く保ちつつ輝度ムラの抑制を好適に図ることができる。しかも、光拡散部25が出光面15Bを凹ませて形成されているので、仮に出光面15Bを突出させて形成された場合に比べると、拡散作用が付与された光をより多く並び方向と交差していて複数のLED13から離れる向きに進行させることができ、輝度ムラの抑制を図る上でより好適となる。
【0062】
また、光拡散部25は、周面に出光傾斜面25Aにおける底側の端部に連なる底面25Bを含んでおり、光拡散部25の底面25Bにて並び方向に沿って延在していて出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の光拡散単位プリズム26Aからなる光拡散プリズム部26を備える。このようにすれば、導光板15内に存する光は、光拡散部25の周面に含まれる底面25Bに設けられる複数の光拡散単位プリズム26Aにおける斜面26A1にて全反射されると、出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差していて複数のLED13から離れる向きに指向するよう拡散され且つ導光板15の板厚方向について出光面15Bとは反対側に向けて進行する。これにより、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。
【0063】
また、光拡散プリズム部26は、光拡散単位プリズム26Aの頂角θ1が45°以上で且つ115°以下の範囲となるよう構成される。このようにすれば、仮に光拡散単位プリズムの頂角を45°よりも小さくした場合や同頂角を115°よりも大きくした場合に比べると、複数の光拡散単位プリズム26Aにおける斜面26A1にて全反射された光を、出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差していて複数のLED13から離れる向きに指向するようより多く拡散させることができる。これにより、出射光に係るCm(Michelson Contrast)値を十分に低下させることができ、輝度ムラの抑制をさらに好適に図ることができる。
【0064】
また、導光板15における複数のLED13側の板面には、並び方向に沿って延在していて複数のLED13を収容するLED収容凹部(光源収容凹部)22が設けられており、入光面15Aは、LED収容凹部22の周面の少なくとも一部からなる。このようにすれば、複数のLED13は、並び方向に沿って延在するLED収容凹部22内に一括して収容されており、複数のLED13から発せられた光がLED収容凹部22の周面の少なくとも一部からなる入光面15Aに入射するようになっている。LED収容凹部22内に複数のLED13が収容される分だけ全体の薄型化を図ることができる。
【0065】
また、LED収容凹部22は、周面の一部が複数のLED13の少なくとも一部に当接されることで、複数のLED13に対して出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差する交差方向について導光板15を位置決め可能とされており、光拡散部25は、LED収容凹部22の周面の一部に当接した複数のLED13に対して交差方向について同心となるよう配されている。このようにすれば、導光板15及び複数のLED13の組み付けに際しては、複数のLED13を収容するLED収容凹部22の周面の一部が複数のLED13の少なくとも一部に当接されると、複数のLED13に対して出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差する交差方向について導光板15が位置決めされる。この状態では、光拡散部25が複数のLED13に対して交差方向について同心となるよう配されているので、複数のLED13から発せられた光を、光拡散部25によって出光面15Bの法線方向から視て交差方向に沿って複数のLED13から離れる向きに指向するよう両側に均等に拡散させることができる。これにより、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。
【0066】
また、複数のLED13は、導光板15の板厚方向に沿う面として形成されていて光を発する発光側面13Bをそれぞれ有しており、LED収容凹部22の周面には、板厚方向について出光面15Bに近づくに連れてLED収容凹部22を幅狭とするよう板厚方向に対して傾くとともに発光側面13Bと対向状をなしていて入光面15Aを構成する入光傾斜面15A2が含まれる。このようにすれば、複数のLED13における発光側面13Bから発せられた光は、LED収容凹部22の周面に含まれる入光傾斜面15A2に入射される。入光傾斜面15A2は、導光板15の板厚方向について出光面15Bに近づくに連れてLED収容凹部22を幅狭とするよう板厚方向に対して傾いているので、入射した光を出光面15Bに向けて進行させることができる。また、上記のような傾きを有する入光傾斜面15A2を備えていれば、導光板15を射出成形によって製造する場合にLED収容凹部22を形成するための成形金型の型抜きを容易に行うことができる。
【0067】
また、複数のLED13は、発光側面13Bに対して板厚方向について出光面15B側に位置していて発光側面13Bと交差する面として形成されていて光を発する発光頂面13Aをそれぞれ有しており、LED収容凹部22は、周面に発光頂面13Aと対向状をなしていて入光面15Aを構成する入光頂面15A1を含んでおり、LED収容凹部22の入光頂面15A1にて並び方向に沿って延在していて出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の入光単位プリズム27Aからなる入光プリズム部27を備える。このようにすれば、複数のLED13における発光頂面13Aから発せられた光は、LED収容凹部22の周面に含まれる入光頂面15A1に入射される。LED収容凹部22の入光頂面15A1には、入光プリズム部27を構成する複数の入光単位プリズム27Aが設けられているから、入光頂面15A1に入射された光を複数の入光単位プリズム27Aによって出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差する方向に広げることができる。これにより、光を出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差していて複数のLED13から離れる向きにより多く進行させることができるので、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。
【0068】
また、入光プリズム部27は、入光単位プリズム27Aの頂角θ2が75°以上で且つ85°以下の範囲となるよう構成される。このようにすれば、仮に入光単位プリズムの頂角を75°よりも小さくした場合や同頂角を85°よりも大きくした場合に比べると、複数の入光単位プリズム27Aにおける斜面27A1にて全反射された光を、出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差していて複数のLED13から離れる向きに指向するようより多く拡散させることができる。これにより、出射光に係るCm(Michelson Contrast)値を十分に低下させることができ、輝度ムラの抑制をさらに好適に図ることができる。
【0069】
また、導光板15の出光面15Bにて光拡散部25とは非重畳となるよう配されて並び方向に沿って延在していて出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差する方向に沿って並ぶよう設けられる複数の第1出光単位プリズム28Aからなる第1出光プリズム部28を備える。このようにすれば、導光板15内を伝播する光のうち、第1出光プリズム部28を構成する複数の第1出光単位プリズム28Aに達した光は、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1から出射されるか、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1にて全反射されて複数のLED13及び出光面15Bのいずれからも遠ざかるよう進行する。第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1にて全反射された光は、再び出光面15Bへ向かう再帰光となり、やがては第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1から出射する。第1出光プリズム部28は、複数のLED13に対して少なくとも一部が重畳する光拡散部25とは非重畳となるよう配されているので、出光面15Bのうち複数のLED13に対して重畳する部分からの光の出射を促進することがなく、複数のLED13とは非重畳となる部分からの光の出射を促すことができる。これにより、輝度ムラの抑制を好適に図ることができる。
【0070】
また、第1出光プリズム部28は、複数の第1出光単位プリズム28Aの配列間隔が第1出光単位プリズム28Aの幅寸法よりも大きくされるとともに、第1出光単位プリズム28Aが出光面15Bを凹ませて形成されている。このようにすれば、仮に第1出光単位プリズムが出光面15Bを突出させて形成された場合に比べると、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1にて全反射された光を、出光面15Bの法線方向から視て複数のLED13からより遠い位置へと導くことができる。これにより、出光面15Bのうち複数のLED13とは非重畳となる部分からの光の出射をより促すことができ、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。
【0071】
また、導光板15の出光面15Bにて光拡散部25とは非重畳となるよう配されて出光面15Bの法線方向から視て並び方向と交差する方向に沿って延在していて並び方向に沿って並ぶよう設けられる複数の第2出光単位レンズである第2出光単位プリズム29Aからなる第2出光レンズ部29を備える。このようにすれば、導光板15内を伝播する光のうち、第2出光レンズ部29を構成する複数の第2出光単位プリズム29Aに達した光は、その大部分が第2出光単位プリズム29Aの斜面(周面)29A1にて全反射されて出光面15Bから遠ざかるよう並び方向に沿って進行する。第2出光単位プリズム29Aの斜面29A1にて全反射された光は、再び出光面15Bへ向かう再帰光となり、やがては第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1から出射する。これにより、導光板15内を伝播する光を並び方向についてミキシングすることができるので、輝度ムラの抑制をより好適に図ることができる。
【0072】
また、第1出光プリズム部28は、第1出光単位プリズム28Aが出光面15Bを凹ませて形成されており、第2出光レンズ部29は、第2出光単位プリズム29Aが出光面15Bを凹ませて形成され且つその深さが第1出光単位プリズム28Aよりも浅い。このようにすれば、仮に第2出光単位プリズムを第1出光単位プリズム28Aよりも深くした場合に比べると、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1の面積をより多く確保することができる。これにより、第1出光単位プリズム28Aの斜面28A1から出射する光量が多くなるので、光の利用効率を高くすることができる。
【0073】
また、第2出光レンズ部29は、第2出光単位レンズが第2出光単位プリズム29Aからなり、その第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4が75°以上で且つ90°以下の範囲となるよう構成される。このようにすれば、仮に第2出光レンズ部をレンチキュラーレンズとした場合に比べると、再帰光がより多くなるので、高いミキシング効果が得られ、輝度ムラの抑制を図る上でより好適となっている。その上で、第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4が上記した数値範囲とされることで、出射光に係るCm(Michelson Contrast)値を安定的に低下させることができ、輝度ムラの抑制をさらに好適に図ることができる。特に、第2出光単位プリズム29Aの頂角θ4を90°とすれば、光が並び方向について過度に拡散するのを避けることができるので、ローカルディミング制御やHDR制御を行う上でより好適となる。
【0074】
また、本実施形態に係る液晶表示装置(表示装置)10は、上記記載のバックライト装置12と、バックライト装置12からの光を利用して表示を行う液晶パネル(表示パネル)11と、を備える。このような構成の液晶表示装置10によれば、バックライト装置12の出射光に係る輝度ムラが抑制されるとともにバックライト装置12の薄型化が図られているから、表示品位に優れた表示を実現することができるとともに全体の薄型化を図ることができる。
【0075】
<実施形態2>
実施形態2を
図16または
図17によって説明する。この実施形態2では、光拡散プリズム部を省略したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0076】
本実施形態に係る導光板115では、
図16に示すように、光拡散部125の底面125Bが、X軸方向及びY軸方向に並行するフラットな面として形成されており、上記した実施形態1に記載された光拡散プリズム部が省略されている。
【0077】
次に、本実施形態に係る実証実験3を行った。実証実験3では、上記した比較実験1にて説明した実施例1に備わる導光板から光拡散プリズム部を省略したものを実施例3とし、出射光の照度分布を測定するとともにCm値を測定した。詳しくは、実証実験3では、実施例3に係るバックライト装置に備わる全てのLEDを点灯させた状態で出射光の照度分布を示す画像を撮影するとともに、出射光の照度を測定して照度分布に係るグラフを作成し、さらにはCm値を測定した。実験結果は、
図17に示される通りである。
図17には、光拡散部125、光拡散プリズム部、LED収容凹部122及び入光プリズム部127の有無と、出射光の照度分布を示す画像と、X軸方向についての照度分布を示すグラフと、Cm値と、が記載されている。
図17に記載された写真の凡例及びグラフの縦軸に示される照度の単位は「lx(ルクス)」である。また、
図17に記載されたグラフの横軸は、X軸方向についての中央位置を基準(0)とした位置を表しており、その単位は「mm」である。また、
図17に記載されたグラフの横軸に付された正負の記号は、上記した比較実験1に記載した通りである。
【0078】
実証実験3の実験結果について説明する。
図17に記載された画像及びグラフから実施例3の照度分布には、5つのLED列と合致するような明部が殆ど存在しておらず、X軸方向及びY軸方向について中心にて最も照度が高くて中心から遠ざかるに連れて緩やかに照度が低下するものとなっている。実施例3は、光拡散部125及び入光プリズム部127を備えていることから、入光頂面115A1に入射した光を入光プリズム部127によってX軸方向に沿って拡散させた上で、出光面115BのうちLED列の直上部分に達した光を光拡散部125によってX軸方向に沿って拡散させることができ、それにより出射光がLED列の直上に集中するのが避けられていると推考される。ここで、
図17を、比較実験1の実験結果である
図8から
図10と比較する。実施例3は、比較例1,2に比べると、輝度ムラが著しく改善されているものの、実施例1に比べると、照度分布に多少のうねりが存在している。詳しくは、実施例3は、出光面115Bのうち、LED列に属する複数のLED113に対して重畳する部分(横軸が-40mm,-20mm,0mm,20mm,40mmの位置)付近において、高い照度の範囲がY軸方向に間延びしていて、照度分布にうねりを生じさせている。これは、実施例3が光拡散プリズム部を備えないため、X軸方向についての光の拡散効果が実施例1よりも低いことが原因と推考される。これに比べて実施例1は、高い照度の範囲が真円に近くなっていて、照度分布にうねりが殆どないものとされる。また、Cm値を比べると、実施例3は、比較例1,2よりは十分に小さいものの、実施例1よりは大きくなっている。
【0079】
<実施形態3>
実施形態3を
図18または
図19によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態1から第1出光プリズム部228の構成を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0080】
本実施形態に係る導光板215では、
図18に示すように、第1出光プリズム部228を構成する第1出光単位プリズム228Aが、出光面215Bから突出する凸型をなしている。
【0081】
次に、本実施形態に係る実証実験4を行った。実証実験4では、上記した比較実験1にて説明した実施例1に備わる導光板の第1出光プリズム部228を構成する第1出光単位プリズム228Aを前段落に記載したような凸型としたものを実施例4とし、出射光の照度分布を測定するとともにCm値を測定した。詳しくは、実証実験4では、実施例4に係るバックライト装置に備わる全てのLEDを点灯させた状態で出射光の照度分布を示す画像を撮影するとともに、出射光の照度を測定して照度分布に係るグラフを作成し、さらにはCm値を測定した。実験結果は、
図19に示される通りである。
図19には、第1出光単位プリズム228Aの形状と、出射光の照度分布を示す画像と、X軸方向についての照度分布を示すグラフと、Cm値と、が記載されている。
図19に記載された写真の凡例及びグラフの縦軸に示される照度の単位は「lx(ルクス)」である。また、
図19に記載されたグラフの横軸は、X軸方向についての中央位置を基準(0)とした位置を表しており、その単位は「mm」である。また、
図19に記載されたグラフの横軸に付された正負の記号は、上記した比較実験1に記載した通りである。
【0082】
実証実験4の実験結果について説明する。
図19に記載された画像及びグラフから実施例4の照度分布には、5つのLED列と合致するような明部が殆ど存在しておらず、X軸方向及びY軸方向について中心にて最も照度が高くて中心から遠ざかるに連れて緩やかに照度が低下するものとなっている。実施例4は、光拡散部225、光拡散プリズム部226及び入光プリズム部227を備えていることから、入光頂面215A1に入射した光を入光プリズム部227によってX軸方向に沿って拡散させた上で、出光面215BのうちLED列の直上部分に達した光を光拡散部225及び光拡散プリズム部226によってX軸方向に沿って拡散させることができ、それにより出射光がLED列の直上に集中するのが避けられていると推考される。ここで、
図19を、比較実験1の実験結果である
図8から
図10と比較する。実施例4は、比較例1,2に比べると、輝度ムラが著しく改善されているものの、実施例1に比べると、照度分布に多少のうねりが存在している。詳しくは、実施例4は、出光面215Bのうち、LED列に属する複数のLED213に対して非重畳となる部分(横軸が-30mm,-10mm,10mm,30mmの位置)付近において、高い照度の範囲がY軸方向に間延びしていて、照度分布にうねりを生じさせている。これは、実施例4に備わる第1出光単位プリズム228Aが凸型とされていることから、光が第1出光単位プリズム228Aにおける一方の斜面228A1にて全反射されると、頂点を挟んだ他方の斜面228A1にて再び全反射されることで裏側に戻されてしまい、X軸方向について拡散し難くなっているため、と推考される。これに比べて、実施例1に備わる第1出光単位プリズムは、凹型とされているので、光が第1出光単位プリズムの斜面にて全反射されると、X軸方向に沿って進行して隣の第1出光単位プリズムの斜面にて全反射されて裏側にもどされるようになっていて、X軸方向について拡散し易くなっている。このため、実施例1は、高い照度の範囲が真円に近くなっていて、照度分布にうねりが殆どないものとされる。また、
図19を、実証実験3の実験結果である
図17と比較すると、Cm値に関しては実施例4が実施例3よりも小さくなっている。これは、実施例4は、第1出光単位プリズム228Aが凸型であっても、光拡散プリズム部226を備えているので、光拡散プリズム部226による光の拡散効果によって輝度ムラが好適に緩和されている、と言える。
【0083】
<実施形態4>
実施形態4を
図20または
図21によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態1から第2出光レンズ部329の構成を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0084】
本実施形態に係る導光板315では、
図20に示すように、第2出光レンズ部329がレンチキュラーレンズとされる。詳しくは、第2出光レンズ部329は、X軸方向に沿って延在していてY軸方向に沿って並ぶよう設けられる複数の第2出光単位シリンドリカルレンズ(第2出光単位レンズ)329Bからなる。
【0085】
次に、本実施形態に係る実証実験5を行った。実証実験5では、上記した比較実験1にて説明した実施例1に備わる導光板の第2出光レンズ部329を前段落に記載したようなレンチキュラーレンズしたものを実施例5とし、出射光の照度分布を測定するとともにCm値を測定した。詳しくは、実証実験5では、実施例5においてLED列に属する複数のLEDを複数(例えば5つ)のグループに区分した上で、X軸方向についての中央に位置するLED列に属するグループで且つY軸方向についての中央に位置するグループに属する複数(例えば20個)のLEDを選択的に発光させ、中央のLED列に属する残りのグループ及び他のLED列に属する各LEDについては非発光とした。この状態で出射光の照度分布を示す画像を撮影するとともに、出射光の照度を測定して照度分布に係るグラフを作成し、さらにはCm値を測定した。実験結果は、
図21に示される通りである。
図21には、第2出光レンズ部329の種類と、出射光の照度分布を示す画像と、X軸方向についての照度分布を示すグラフと、Cm値と、が記載されている。
図21に記載された写真の凡例及びグラフの縦軸に示される照度の単位は「lx(ルクス)」である。また、
図21に記載されたグラフの横軸は、X軸方向についての中央位置を基準(0)とした位置を表しており、その単位は「mm」である。また、
図21に記載されたグラフの横軸に付された正負の記号は、上記した比較実験1に記載した通りである。
【0086】
実証実験5の実験結果について説明する。
図21に記載された画像及びグラフから実施例5の照度分布には、X軸方向及びY軸方向についての中央位置に点状をなす局所的に明るい明部が存在している。この明部は、実施例5に備えられて選択的に発光されたグループに属する複数のLEDの直上付近に位置している。ここで、
図21の画像を、実証実験1の実験結果である
図14の画像と比較すると、
図21の画像では、選択的に発光されたグループに属する複数のLED付近において照度の範囲がY軸方向に間延びしていることが分かる。さらには、
図21のグラフでは、
図14のグラフと比べると、X軸方向についての位置に応じて照度に明暗のムラが多少生じているのが分かる。これは、実施例5に備わる第2出光レンズ部329がレンチキュラーレンズであるため、第2出光単位シリンドリカルレンズ329Bにより全反射された光がY軸方向に過度に拡散されたため、と推考される。実施例1に備わる第2出光レンズ部は、頂角が90°の第2出光単位プリズムにより構成されているので、第2出光単位プリズムの斜面により全反射された光がY軸方向に沿って過度に拡散するのが避けられるとともに、再帰光が多くなって高いミキシング効果が得られている、と推考される。なお、実施例5は、Cm値が実施例1よりは大きいものの、十分に低い値が得られている。
【0087】
<実施形態5>
実施形態5を
図22または
図23によって説明する。この実施形態5では、上記した実施形態1から第2出光レンズ部429の構成を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0088】
本実施形態に係る導光板415では、
図22に示すように、第2出光レンズ部429を構成する第2出光単位プリズム429Aにおける頂角θ4が140°とされる。
【0089】
次に、本実施形態に係る実証実験6を行った。実証実験6では、上記した比較実験1にて説明した実施例1に備わる導光板の第2出光レンズ部429を前段落に記載したような頂角θ4が140°の第2出光単位プリズム429Aにより構成したものを実施例6とし、出射光の照度分布を測定した。詳しくは、実証実験6では、実施例6においてLED列に属する複数のLEDを複数(例えば5つ)のグループに区分した上で、X軸方向についての中央に位置するLED列に属するグループで且つY軸方向についての中央に位置するグループに属する複数(例えば20個)のLEDを選択的に発光させ、中央のLED列に属する残りのグループ及び他のLED列に属する各LEDについては非発光とした。この状態で出射光の照度分布を示す画像を撮影した。実験結果は、
図23に示される通りである。
図23には、実証実験1,5の実験結果が併記されている。
図23には、実施例1,5,6に係る第2出光レンズ部の種類と、出射光の照度分布を示す画像と、が記載されている。
図23に記載された写真の凡例に示される照度の単位は「lx(ルクス)」である。
【0090】
実証実験6の実験結果について説明する。
図23に記載された画像から実施例6の照度分布には、X軸方向及びY軸方向についての中央位置に点状をなす局所的に明るい明部が存在している。この明部は、実施例6に備えられて選択的に発光されたグループに属する複数のLEDの直上付近に位置している。ここで、実施例1,5,6を比べると、実施例6の画像は、実施例5の画像に近似していて、選択的に発光されたグループに属する複数のLED付近において照度の範囲がY軸方向に間延びしている。これは、実施例6のように第2出光単位プリズム429Aの頂角θ4が140°とされていると、第2出光単位シリンドリカルレンズと同様に、全反射された光がY軸方向に過度に拡散され易い傾向にある、と言える。これに比べて、実施例1に備わる第2出光レンズ部は、頂角が90°の第2出光単位プリズムにより構成されているので、第2出光単位プリズムの斜面により全反射された光がY軸方向に沿って過度に拡散するのが避けられるとともに、再帰光が多くなって高いミキシング効果が得られている、と推考される。
【0091】
<実施形態6>
実施形態6を
図24または
図25によって説明する。この実施形態6では、上記した実施形態1から出光反対傾斜面を省略したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0092】
本実施形態に係る導光板515では、
図24に示すように、出光面515Bとは反対側の板面から出光反対傾斜面が省略されている。詳しくは、導光板515は、裏側の板面のうちのLED基板収容凹部521及びLED収容凹部522が非形成とされる部分が、X軸方向及びY軸方向に並行するフラットな面として形成されている。
【0093】
次に、本実施形態に係る実証実験7を行った。実証実験7では、上記した比較実験1にて説明した実施例1の構成から光学シートを除去するとともに出光反対傾斜面を省略した実施例7を用意し、実施例7に備わる導光板515の出射光に係る照度分布を測定した。詳しくは、実証実験7では、全てのLED513を点灯させた状態で導光板515の出射光の照度分布を示す画像を撮影するとともに、出射光の照度を測定して照度分布に係るグラフを作成した。実験結果は、
図25に示される通りである。
図25には、出射光の照度分布を示す画像と、X軸方向についての照度分布を示すグラフと、が記載されている。
図25に記載された画像には、凡例が添付されていないが、照度が高いほど画像の濃淡が薄くなり、照度が低いほど画像の濃淡が濃くなる傾向にある。
図25に記載されたグラフの縦軸に示される照度の単位は「lx(ルクス)」である。また、
図25に記載されたグラフの横軸は、X軸方向についての中央位置を基準(0)とした位置を表しており、その単位は「mm」である。また、
図25に記載されたグラフの横軸に付された正負の記号は、上記した比較実験1に記載した通りである。
【0094】
実証実験7の実験結果について説明する。
図25に記載された画像及びグラフによれば、光学シートを備えていないのに加え、出光反対傾斜面が省略されているため、照度分布に大きなムラが生じている。詳しくは、出光面515Bのうち、中央のLED列及び両端のLED列に属する複数ずつのLED513に対して重畳する部分(横軸が-40mm,0mm,40mmの位置)では、それらのLED513とは非重畳となる部分に比べて照度が高い明部となっている。ここで、
図25を、実証実験2の実験結果である
図15と比較する。
図15及び
図25の画像及びグラフをそれぞれ比較すると、実施例7は、実施例2よりも明部と暗部との間の照度の差が大きいことが分かる。これは、実施例7では、出光反対傾斜面による出光促進効果が得られないため、光が出光面515BにおけるX軸方向についての特定の部分で出射し易くなってしまい、他の部分での出射が抑制されていることが原因と推考される。実施例7に比べると、実施例1は、出光反対傾斜面によって光が立ち上げられることで、出光面の面内においてX軸方向について万遍なく光が出射させられていることが分かる。
【0095】
<実施形態7>
実施形態7を
図26または
図27によって説明する。この実施形態7では、上記した実施形態1からLED基板614の設置数などを変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0096】
本実施形態に係るバックライト装置612は、
図26に示すように、LED基板614を8つ備えている。詳しくは、バックライト装置612は、長辺方向がY軸方向と一致し、短辺方向がX軸方向と一致するよう配されており、長辺寸法が例えば344mm程度とされ、短辺寸法が例えば194mm程度とされる。このバックライト装置612に対して積層される液晶パネルは、画面サイズが例えば15インチ程度とされる。LED基板614は、バックライト装置612内においてX軸方向についてほぼ等しい間隔を空けた位置に8つ並んで配されている。各LED基板614には、LED613が320個ずつ、Y軸方向に沿って列をなすよう並んで配されている。LED613及びLED基板614におけるX軸方向についての配列間隔は、例えば24.5mm程度とされる。また、ローカルディミング制御やHDR制御を行う場合における単位発光範囲(セグメント)は、X軸方向についての寸法が例えば24.5mm程度とされ、Y軸方向についての寸法が例えば21.5mm程度とされるのが好ましい。この場合、バックライト装置612の出光面は、X軸方向について8個ずつ、Y軸方向について16個ずつ、合計128個の単位発光範囲に分割されることになる。
【0097】
次に、本実施形態に係る比較実験5を行った。比較実験5では、本段落以前に説明したバックライト装置612と同様の構成とした実施例8と、実施例8と同じ外寸であるものの導光板を除去するなどした比較例3と、を用意した。比較例3は、液晶パネルを搭載したときの表示品位が実施例8と同等になるよう、LED基板の数や各LED基板に実装されたLEDの数や全体の厚みが調整されたものである。比較実験5では、導光板を備えない比較例3が、実施例8と同等の表示品位を得るには、LEDの総数、全体の厚み及び光の利用効率がどのようになるか、を検証している。比較実験5の実験結果は、
図27に示される通りである。
図27の表には、比較例3及び実施例8におけるLEDの総数、バックライト装置の厚み、光の利用効率、表示品位が記載されている。続いて、比較実験5の実験結果について説明する。比較例3は、LEDの総数が実施例8の9倍程度と多くなっており、そのため、光の利用効率も実施例8よりも8%低くなっている。しかも、比較例3は、バックライト装置の厚みが実施例8よりも15%程度大きくなっている。これは、比較例3では、導光板による光の拡散効果などが得られないため、表示品位に直結する輝度ムラを解消するために大量のLEDを設置し且つバックライト装置の厚みも大きくせざるを得なかったため、と推考される。これに比べると、実施例8は、導光板による光の拡散効果などが得られることで、輝度ムラが大幅に抑制されているので、LED及びLED基板の設置数を大幅に削減することができるとともにバックライト装置並びに液晶表示装置を薄型化することができ、さらには光の利用効率も良好で低消費電力化を図る上で好適となっている。
【0098】
<実施形態8>
実施形態8を
図28によって説明する。この実施形態8では、上記した実施形態1からLED基板収容凹部及びLED収容凹部を省略したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0099】
本実施形態に係る導光板715は、
図28に示すように、出光面715Bとは反対側の板面に、上記した実施形態1に記載したLED基板収容凹部及びLED収容凹部が設けられない構成となっている。導光板715における裏側の板面は、出光反対傾斜面723が非形成とされる部分(入光面715Aを含む)が、X軸方向及びY軸方向に並行するフラットな面として形成されている。LED713は、導光板715の入光面715Aに対して裏側に僅かな間隔を空けて配されている。導光板715がこのような構成とされるのに伴い、光拡散部725は、X軸方向に沿って切断した断面形状がV字型の凹状に形成されている。従って、光拡散部725は、周面が全て一対の出光傾斜面725Aにより構成されている。LED713から発せられて導光板715の入光面715Aに入射した光のうち、直上に向けて進行する光は、その殆どが光拡散部725に備わる一対の出光傾斜面725Aに当たり、そこで全反射されることで、X軸方向に沿ってLED713から離れる向きに拡散される。これにより、上記した実施形態1と同様に輝度ムラの抑制が図られる。
【0100】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0101】
(1)光拡散部25,125,225,725は、上記した出光傾斜面25A,725Aに代えて、円弧状などのような非直線状の光反射面を有していても構わない。
【0102】
(2)光拡散部25,125,225,725は、導光板15,115,215,315,415,515,715の出光面15B,115B,215B,515B,715Bを突出させて形成されていても構わない。
【0103】
(3)光拡散部25,125,225,725は、導光板15,115,215,315,415,515,715とは別の材料を出光面15B,115B,215B,515B,715Bに塗布などすることで形成されていても構わない。要は、光拡散部25,125,225,725がY軸方向に沿って延在していて導光板15,115,215,315,415,515,715内に存する光にX軸方向に沿ってLED13,113,213,513,613,713から離れるよう進行させる拡散作用を付与することができればよい。
【0104】
(4)上記した光拡散プリズム部26,226に代えて、レンチキュラーレンズとされる光拡散レンズ部を設けることも可能である。その場合、光拡散レンズ部は、Y軸方向に沿って延在する複数の光拡散単位シリンドリカルレンズからなる。
【0105】
(5)上記した入光プリズム部27,127,227に代えて、レンチキュラーレンズとされる入光レンズ部を設けることも可能である。その場合、入光レンズ部は、Y軸方向に沿って延在する複数の入光単位シリンドリカルレンズからなる。
【0106】
(6)入光プリズム部27,127,227を省略することも可能である。
【0107】
(7)上記した第1出光プリズム部28,228に代えて、レンチキュラーレンズとされる第1出光レンズ部を設けることも可能である。その場合、第1出光レンズ部は、Y軸方向に沿って延在する複数の第1出光単位シリンドリカルレンズからなる。
【0108】
(8)第1出光プリズム部28,228を省略することも可能である。
【0109】
(9)第2出光レンズ部29,329,429を省略することも可能である。
【0110】
(10)導光板15,115,215,315,415,515,715は、LED13,113,213,513,613,713に対してLED収容凹部22,122,522がオフセットせず、LED13,113,213,513,613,713とLED収容凹部22,122,522とでX軸方向についての中心が一致する位置関係となるよう構成されていても構わない。
【0111】
(11)LED基板14,614の設置数、配列間隔などは適宜に変更可能である。
【0112】
(12)1つのLED基板14,614の実装面14A上にLED列が複数設けられていても構わない。
【0113】
(13)LED基板14,614に実装されて列をなすLED13,113,213,513,613,713の具体的な数や配列間隔などは適宜に変更可能である。
【0114】
(14)LED13,113,213,513,613,713の具体的な形状や外寸などは適宜に変更可能である。
【0115】
(15)LED13,113,213,513,613,713は、CSP(Chip Scale Package)と呼ばれるタイプのものであっても構わない。
【0116】
(16)LED13,113,213,513,613,713は、頂面が発光し、側面が非発光であっても構わない。逆に、LEDは、側面が発光し、頂面が非発光であっても構わない。
【0117】
(17)反射シート16は、全体が合成樹脂製で表面が光の反射性に優れた白色を呈するものであっても構わない。また、反射シート16は、合成樹脂製の基材の表面に銀などの金属を蒸着してなり、表面が光の反射性に優れた銀色を呈していても構わない。
【0118】
(18)光学シート17の具体的な積層枚数、積層順、種類などは適宜に変更可能である。
【0119】
(19)光源は、青色以外の色の光を発するLEDであっても構わない。その場合は波長変換シート18に含有させる蛍光体が呈する色もLEDの光の色に応じて変更すればよい。例えば、マゼンタ色の光を発するLEDを用いる場合には、波長変換シート18に含有させる蛍光体としてマゼンダ色の補色となる緑色を呈する緑色蛍光体を用いるようにすれば、バックライト装置12,30,612の照明光(出射光)を白色化することができる。
【0120】
(20)上記した(19)以外にも、紫色の光を発するLEDを用いる場合には、波長変換シート18に含有させる蛍光体として紫色の補色となる黄緑色を呈するよう緑色蛍光体及び黄色蛍光体を用いるようにすれば、バックライト装置12,30,612の照明光(出射光)を白色化することができる。
【0121】
(21)上記した(19),(20)以外にも、シアン色の光を発するLEDを用いる場合には、波長変換シート18に含有させる蛍光体としてシアン色の補色となる赤色を呈する赤色蛍光体を用いるようにすれば、バックライト装置12,30,612の照明光(出射光)を白色化することができる。
【0122】
(22)波長変換シート18は、蛍光体として黄色蛍光体のみを含む構成であってもよく、黄色蛍光体に加えて赤色蛍光体や緑色蛍光体を含ませた構成であっても構わない。
【0123】
(23)波長変換シート18は、量子ドット蛍光体以外の種類の蛍光体を含有していても構わない。波長変換シート18に含有させる他の蛍光体としては、例えば硫化物蛍光体が挙げられるが、必ずしもその限りではない。
【0124】
(24)光学シート17に波長変換シート18が含まれなくても構わない。その場合は、光源であるLEDは、白色光を発する構成とされる。このような白色発光LEDは、例えば、青色光を発する青色LEDチップと、青色光を励起光として緑色光及び赤色光を発する緑色蛍光体及び赤色蛍光体を含む封止材と、を少なくとも含む構成とされるのが好ましいが、必ずしもその限りではない。なお、波長変換シート18を省略するのに伴って、代わりに光を拡散させる拡散シートを追加するのが好ましいが、必ずしもその限りではない。
【0125】
(25)光源は、LED13,113,213,513,613,713以外例えば有機EL素子、レーザダイオードなどであっても構わない。
【0126】
(26)表示パネルは、液晶パネル11以外の種類の表示パネル(MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)表示パネルなど)であっても構わない。
【符号の説明】
【0127】
10…液晶表示装置(表示装置)、11…液晶パネル(表示パネル)、12,612…バックライト装置(照明装置)、13,113,213,513,613,713…LED(光源)、13A…発光頂面、13B…発光側面、15,115,215,315,415,515,715…導光板、15A,715A…入光面、15A1,115A1,215A1…入光頂面、15A2…入光傾斜面、15B,115B,215B,515B,715B…出光面、22,122,522…LED収容凹部(光源収容凹部)、25,125,225,725…光拡散部、25A,725A…出光傾斜面、25B,125B…底面、26,226…光拡散プリズム部、26A…光拡散単位プリズム、26A1…斜面、27,127,227…入光プリズム部、27A…入光単位プリズム、27A1…斜面、28,228…第1出光プリズム部、28A,228A…第1出光単位プリズム、28A1,228A1…斜面、29,329,429…第2出光レンズ部、29A,429A…第2出光単位プリズム(第2出光単位レンズ)、29A1…斜面(周面)、30…バックライト装置、θ1,θ2,θ3,θ4…頂角