(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】コーティングされた切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/14 20060101AFI20230419BHJP
C23C 16/32 20060101ALI20230419BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20230419BHJP
C23C 16/36 20060101ALI20230419BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
B23B27/14 A
C23C16/32
C23C16/34
C23C16/36
C23C16/40
(21)【出願番号】P 2019569797
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2018066225
(87)【国際公開番号】W WO2018234296
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-04-19
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リンダール, エリック
(72)【発明者】
【氏名】エングクビスト, ヤーン
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-067948(JP,A)
【文献】特開2002-363750(JP,A)
【文献】特開平11-131235(JP,A)
【文献】M. Halvarsson,Microstructural Investigations of CVD TIN/κ-AL2O3 Multilayer Coatings on Cemented Carbides,International Journal of Refractory Metals and Hard Materials,NL,ELSEVIER,1997年,VOL:15, NR:1-3,PAGE(S):169 - 178,http://dx.doi.org/10.1016/S0263-4368(96)00028-5
【文献】M. Halvarsson,Microstructure and performance of CVD κ-AL2O3 multilayers,Materials Science and Engineering: A,NL,ELSEVIER,1996年05月,VOL:209, NR:1-2,PAGE(S):337 - 344,http://dx.doi.org/10.1016/0921-5093(95)10108-X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/14
C23C 16/32-40
C23C 14/06、16
B23C 5/16
B23B 51/00
B23P 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材とコーティングとを含むコーティングされた切削工具であって、
コーティングが、κ-Al
2O
3の副層とTiN、TiC、TiCN、TiCO又はTiCNOの副層とが交互になったものからなる多層を含み、前記多層が少なくとも3つのκ-Al
2O
3の副層を含み、
前記多層が、15°-140°のθ-2θスキャンにわたってXRD回折を示し、
0 0 2回折ピーク(ピーク面積)が、多層のうちのκ-Al
2O
3副層に由来する最も強いピークであり、
前記コーティングが、基材と多層との間に配置される0.1-10μmの厚さのα-Al
2O
3層をさらに含
み、
前記α-Al
2
O
3
層が、前記多層に直接接触することを特徴とする、コーティングされた切削工具。
【請求項2】
各TiN、TiC、TiCN、TiCO又はTiCNO副層の平均厚さが、10-500nmである、請求項1に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項3】
各κ-Al
2O
3副層の平均厚さが、30-900nmである、請求項1又は2に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項4】
各κ-Al
2O
3副層の平均厚さが、50-800nmである、請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項5】
前記α-Al
2O
3層の厚さが、0.1-5μmである、請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項6】
前記α-Al
2O
3層の厚さが、0.1-3μmである、請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項7】
基材と
α-Al
2
O
3
層との間に配置されるTiCN層をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項8】
前記TiCN層の厚さが2-15μmである、請求項7に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項9】
TiCN層が、CuKα線及びθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される場合、ハリスの式に従って定義されるテクスチャ係数TC(hkl)を示し、式中、I(hkl)は(hkl)反射の測定強度(ピーク面積)であり、I
0(hkl)はICDDのPDFカード番号42-1489に従った標準強度であり、nは反射の数であり、計算に使用される反射は、(1 1 1)、(2 0 0)、(2 2 0)、(3 1 1)、(3 3 1)、(4 2 0)及び(4 2 2)であり、TC(422)+ TC(311)>3である、請求項7又は8に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項10】
TiCN層が、
CuKα線及びθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される場合、ハリスの式に従って定義されるテクスチャ係数TC(hkl)を示し、
式中、I(hkl)は(hkl)反射の測定強度(ピーク面積)であり、I
0
(hkl)はICDDのPDFカード番号42-1489に従った標準強度であり、nは反射の数であり、計算に使用される反射は、(1 1 1)、(2 0 0)、(2 2 0)、(3 1 1)、(3 3 1)、(4 2 0)及び(4 2 2)であり、TC(422)+ TC(311)>4である、請求項7又は8に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項11】
前記多層の厚さが1-15μmである、請求項1から10のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項12】
総コーティング厚さが2-9μmであり、かつ前記多層が、5-70層のκ-Al
2O
3の副層を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項13】
総コーティング厚さが7-25μmであり、かつ前記多層が、5-150層のκ-Al
2O
3の副層を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項14】
多層が、κ-Al
2O
3の副層とTiNの副層とが交互になったものからなる、請求項1から13のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項15】
基材が、超硬合金のもの又はサーメットのものである、請求項1から14のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項16】
基材が、4-12重量%のCo、0.1-10重量%の、周期表のIVb、Vb及びVIb族の金属又はそれらの組み合わせの、立方晶炭化物、窒化物又は炭窒化物と、残部WCとを含む組成物を有する超硬合金のものである、請求項1から15のいずれか一項に記載のコーティングされた切削工具。
【請求項17】
超硬合金が、Ti、Nb、Ta又はそれらの組み合わせの、立方晶炭化物、窒化物又は炭窒化物を含む、請求項16に記載のコーティングされた切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、κ-アルミナの副層及びTiN、TiC、TiCN、TiCO又はTiCNOの副層を有する多層を含む、コーティングされた金属切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
金属切削産業において、コーティングされた切削工具は当該技術分野で周知である。CVDコーティングされた切削工具及びPVDコーティングされた切削工具は、2つの最も支配的なタイプである。切削工具上のコーティングの利点は、長い工具寿命をもたらすために重要である化学的摩耗及び研摩摩耗に対する耐性の改善などの効果である。
【0003】
TiCNの層とそれに続くアルミナの層を一緒に含むCVDコーティングは、良好に機能することが知られている。いくつかの要求の厳しい作業において、多層CVDコーティングを施すことが有利であることが示されている。
【0004】
欧州特許第0463000号(ケナメタル)は、多層がアルミナ副層及び窒化物副層を含む多層コーティング超硬合金切削インサートを開示している。アルミナの副層は<1.5μm、窒化物の副層は<1μmである。切削工具は、SS1672鋼における旋削加工において、耐フランク摩耗性及び耐クレータ摩耗性の改善を示した。
【0005】
欧州特許第1245700号(セコ)は、0.1-3.2μmのκ-アルミナ及び0.3-1.2μmのTi(C、N)の副層を含む3-30μmの多層を備えたコーティングされた切削工具を開示している。切削工具は、SS1672鋼における旋削加工において、耐フランク摩耗性及び耐クレータ摩耗性の改善を示した。
【0006】
以前に知られている切削工具よりも優れた性能を発揮する切削工具を提供するための努力が続けられている。技術的な解決策は、作業及びワークピースの材料によって異なる。高硬化鋼における旋削加工を目的とした切削工具は、ステンレス鋼におけるフライス加工用には最適化されていない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの目的は、既知の切削工具と比較して改善された耐摩耗性を有するコーティングされた切削工具を提供することである。本発明のさらなる目的は、硬化鋼及び非合金鋼の旋削加工において改善された特性を有する切削工具を提供することである。本発明のさらなる目的は、旋削作業におけるクレータ摩耗及びフランク摩耗に対する改善された耐性を有する切削工具を提供することである。
【0008】
これらの目的の少なくとも1つは、請求項1に記載の切削工具を用いて達成される。好ましい実施態様は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明は、基材とコーティングとを含むコーティングされた切削工具に関し、コーティングは、κ-Al2O3の副層とTiN、TiC、TiCN、TiCO又はTiCNOの副層とが交互になったものからなる多層を含み、前記多層は、少なくとも3つのκ-Al2O3の副層を含む。前記多層は、15°-140°のθ-2θスキャンにわたってXRD回折を示し、0 0 2回折ピーク(ピーク面積)は、多層のうちのκ-Al2O3副層に由来する最も強いピークである。
【0010】
驚くべきことに、高い「0 0 l配向」、すなわちκ-Al2O3多層におけるκ-Al2O3副層の0 0 l面(l=2、4、6などである)からの反射における高強度は、硬化鋼の旋削加工において非常に有望な耐摩耗性を与えることが見いだされた。
【0011】
「切削工具」という略語は、本明細書において、フライス加工若しくは旋削加工のための切削インサート又はドリル又はエンドミルを示すことを意図している。切削工具は、金属切削用途に適している。
【0012】
本発明の一実施態様において、各TiN、TiC、TiCN、TiCO又はTiCNO副層の平均厚さは10-500nm、好ましくは50-200nmである。これらの副層が薄すぎる場合、その層がその下の層を完全に覆っていないというリスクがあり、このことは多層の特性を低下させるであろう。一方、これらの層が厚すぎる場合、層の特性は単層と同等になってしまうであろう。
【0013】
本発明の一実施態様において、各κ-Al2O3副層の平均厚さは30-900nm、好ましくは50-800nm、より好ましくは100-700nmである。これらの副層が薄すぎる場合、その層がその下の層を完全に覆っていないというリスクがあり、このことは多層の特性を低下させるであろう。一方、これらの層が厚すぎる場合、層の特性は単層と同等になってしまうであろう。
【0014】
本発明の一実施態様において、コーティングは、基材と多層との間に配置されるα-Al2O3層をさらに含む。多層の下に配置されるα-Al2O3層は、それに続く多層の0 0 l配向を増加させる有望な手段であるという点で有利であることが示されている。
【0015】
本発明の一実施態様において、前記α-Al2O3層の厚さは、0.1-10μm、好ましくは0.1-5μm、より好ましくは0.1-3μm、最も好ましくは0.3-2μmである。前記α-Al2O3層が薄すぎる場合、それに続くκ-Al2O3副層の0 0 l配向のいかなる増加ももたらさないであろう。α-Al2O3層が10μmを超えるなど厚すぎる場合、コーティングの特性は脆弱となるであろう。
【0016】
本発明の一実施態様において、コーティングは、基材と多層との間に配置されるTiCN層をさらに含む。本発明の一実施態様において、前記TiCN層は、基材とα-Al2O3層との間に配置される。TiCN層は、好ましくは柱状粒子を含む。TiCN層は、切削工具の耐摩耗性に寄与するという点において有利であり、またTiCN層の配向が成長中に発達することができるという点においても寄与し、このことは、それに続く層の配向にとって有利である。
【0017】
本発明の一実施態様において、前記TiCN層の厚さは2-15μmである。TiCN層が薄すぎる場合、高配向性を発達させることによる利点は減少する。TiCN層が厚すぎる場合、コーティングは脆性に悩まされるであろう。
【0018】
本発明の一実施態様において、TiCN層は、CuKα線及びθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される場合、ハリスの式に従って定義されるテクスチャ係数TC(hkl)を示し、式中、I(hkl)は(hkl)反射の測定強度(ピーク面積)であり、I
0(hkl)はICDDのPDFカード番号42-1489に従った標準強度であり、nは反射の数であり、計算に使用される反射は、(1 1 1)、(2 0 0)、(2 2 0)、(3 1 1)、(3 3 1)、(4 2 0)及び(4 2 2)であり、TC(422)+ TC(311)>3、好ましくは>4である。ハリスの式は以下であり、
式中、I(hkl)は(hkl)反射の測定強度(ピーク面積)であり、I
0(hkl)はPDFカードに従った標準強度である。
【0019】
本発明の一実施態様において、前記多層の厚さは、1-15μm、好ましくは1-10μm、より好ましくは1-5μmである。多層が1μmより薄い場合、コーティングされた切削工具の耐摩耗性はあまり大きくないであろう。一方、多層が厚すぎる場合、コーティングは脆弱となり、多層による有利性はあまり顕著ではないであろう。
【0020】
本発明の一実施態様において、総コーティング厚さは2-9μmであり、かつ前記κ-Al2O3多層は、5-70層のκ-Al2O3の副層を含む。この実施態様は、フライス加工又は穿孔加工による金属切削用途に適している。
【0021】
本発明の一実施態様において、総コーティング厚さは7-25μmであり、かつκ-Al2O3多層は、5-150層のκ-Al2O3の副層を含む。この実施態様は、旋削加工による金属切削用途に適している。
【0022】
本発明の一実施態様において、多層は、κ-Al2O3の副層とTiNの副層とが交互になったものからなる。TiN副層は、好ましくは(111)配向され、その結果、それに続く(0 0 l)配向されたκ-Al2O3副層への原子間距離の適切な一致をもたらす。これは、副層の配向及び残留応力に影響を与える。
【0023】
本発明の一実施態様において、基材は、超硬合金のもの又はサーメットのものである。これらの基材は、本発明のコーティングに適した硬度及び靭性を有する。
【0024】
本発明の一実施態様において、コーティングされた切削工具の基材は、4-12重量%のCo、好ましくは6-8重量%のCo、任意選択的に0.1-10重量%の、周期表のIVb、Vb及びVIb族の金属、好ましくは、Ti、Nb、Ta又はそれらの組み合わせの、立方晶炭化物、窒化物又は炭窒化物と、残部WCとを含む超硬合金からなる。
【0025】
本発明のさらに他の目的及び特徴は、添付の図面と共に考慮される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】サンプルAによるコーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【
図2】サンプルBによるコーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【
図3】サンプルAからのθ-2θXRDディフラクトグラムを示す。強度に対して補正は適用されていない。
【
図4】サンプルDからのθ-2θXRDディフラクトグラムを示す。強度に対して補正は適用されていない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
方法
XRD試験
多結晶膜のテクスチャを分析する一般的な方法は、ハリスの式と標準強度PDFカードに基づいてテクスチャ係数(TC)を計算することである。しかしながら、κ-Al2O3の結晶構造は対称性が低く、したがってディフラクトグラムに低強度の多数のピークがあるため、κ-Al2O3多層の面外テクスチャをテクスチャ係数の計算から決定することは困難である。また、多くの重なり合うピークがある。したがって、κ-Al2O3多層の最高強度のピークが、ここでは層のテクスチャの測定値として選択される。
【0028】
κ-Al2O3副層の配向の分析においては、通常、副層の線形吸収を考慮に入れるために、データを薄膜補正する必要がある。理想的な事例では、TiN、TiC、TiCN、TiCO、TiCNOの副層における吸収についてもデータを補正する必要がある。しかしながら、副層の厚さが薄く、かつ副層の数が多いと、これらの補正が面倒なものとなる。本発明のκ-Al2O3副層は非常に強い0 0 l配向をもたらし、かつそのような補正の影響が制限されるため、そのような補正はXRDデータに対して適用されない。本発明のκ-Al2O3副層のテクスチャは、補正されていないデータに基づいて設定され、すなわち、多層のうちのκ-Al2O3副層内の吸収に対して、又は、多層のTiN、TiC、TiCN、TiCO、TiCNO副層内の吸収に対して補償は行われない。その意味で、多層は1つの単層として扱われる。しかしながら、バックグラウンド散乱及び重なり合うピークは、当業者に周知のように補正される。
【0029】
多層よりも下にある任意の層の配向の分析において、層の線形吸収係数を考慮して、薄膜補正がピーク強度に対して適用されるべきである。多層における吸収は、同一組成の副層の厚さを単層にまとめ、これらの厚さとそれらの吸収に基づいて計算することにより一般化することができる。
【0030】
たとえば多層よりも上にある可能性のあるさらなる層が、多層に進入しかつコーティング全体を出るX線強度に影響を及ぼし得るので、層内のそれぞれの化合物の線形吸収係数を考慮して、これらについて補正を行う必要がある。代わりに、多層よりも上にある、TiNなどの任意のさらなる層を、XRD測定結果に実質的に影響を与えない方法、例えば化学エッチングにより除去することができる。
【0031】
本発明は、基材とコーティングとを含むコーティングされた切削工具に関し、コーティングは、κ-Al2O3の副層とTiN、TiC、TiCN、TiCO又はTiCNOの副層とが交互になったものからなる多層を含み、前記多層は、少なくとも3つのκ-Al2O3の副層を含む。前記多層は、15°-140°のθ-2θスキャンにわたってXRD回折を示し、0 0 2回折ピーク(ピーク面積)は、多層のうちのκ-Al2O3副層に由来する最も強いピークである。
【0032】
驚くべきことに、高い「0 0 l配向」、すなわちκ-Al2O3多層におけるκ-Al2O3副層の0 0 l面(l=2、4、6などである)からの反射における高強度は、硬化鋼の旋削加工において非常に有望な耐摩耗性を与えることが見いだされた。「切削工具」という略語は、本明細書において、フライス加工若しくは旋削加工のための切削インサート又はドリル又はエンドミルを示すことを意図している。切削工具は、金属切削用途に適している。
【0033】
本発明の一実施態様において、各TiN、TiC、TiCN、TiCO又はTiCNO副層の平均厚さは10-500nm、好ましくは50-200nmである。これらの副層が薄すぎる場合、その層がその下の層を完全に覆っていないとうリスクがあり、このことは多層の特性を低下させるであろう。一方、これらの層が厚すぎる場合、層の特性は単層に匹敵するであろう。
【0034】
本発明の一実施態様において、各κ-Al2O3副層の平均厚さは30-900nm、好ましくは50-800nm、より好ましくは100-700nmである。これらの副層が薄すぎる場合、その層がその下の層を完全に覆っていないというリスクがあり、このことは多層の特性を低下させるであろう。一方、これらの層が厚すぎる場合、層の特性は単層に匹敵するであろう。
【0035】
本発明の一実施態様において、コーティングは、基材と多層との間に配置されるα-Al2O3層をさらに含む。多層の下に配置されるα-Al2O3層は、それに続く多層の0 0 l配向を増加させる有望な手段であるという点で有利であることが示されている。
【0036】
本発明の一実施態様において、前記α-Al2O3層の厚さは、0.1-10μm、好ましくは0.1-5μm、より好ましくは0.1-3μm、最も好ましくは0.3-2μmである。前記α-Al2O3層が薄すぎる場合、それに続くκ-Al2O3副層の0 0 l配向のいかなる増加ももたらさないであろう。α-Al2O3層が10μmを超えるなど厚すぎる場合、コーティングの特性は脆弱となるであろう。
【0037】
本発明の一実施態様において、コーティングは、基材と多層との間に配置されるTiCN層をさらに含む。本発明の一実施態様において、前記TiCN層は、基材とα-Al2O3層との間に配置される。TiCN層は、好ましくは柱状粒子を含む。TiCN層は、切削工具の耐摩耗性に寄与するという点において有利であり、またTiCN層の配向が成長中に発達することができるという点においても寄与し、このことは、それに続く層の配向にとって有利である。
【0038】
本発明の一実施態様において、前記TiCN層の厚さは2-15μmである。TiCN層が薄すぎる場合、高配向性を発達させることによる利点は減少する。TiCN層が厚すぎる場合、コーティングは脆性に悩まされるであろう。
【0039】
本発明の一実施態様において、TiCN層は、CuKα線及びθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される場合、ハリスの式に従って定義されるテクスチャ係数TC(hkl)を示し、式中、I(hkl)は(hkl)反射の測定強度(ピーク面積)であり、I0(hkl)はICDDのPDFカード番号42-1489に従った標準強度であり、nは反射の数であり、計算に使用される反射は、(1 1 1)、(2 0 0)、(2 2 0)、(3 1 1)、(3 3 1)、(4 2 0)及び(4 2 2)であり、TC(422)+TC(311)>3、好ましくは>4である。
【0040】
本発明の一実施態様において、前記多層の厚さは、1-15μm、好ましくは1-10μm、より好ましくは1-5μmである。多層が1μmより薄い場合、コーティングされた切削工具の耐摩耗性はあまり大きくないであろう。一方、多層が厚すぎる場合、コーティングは脆弱となり、多層による有利性はあまり顕著ではないであろう。
【0041】
本発明の一実施態様において、総コーティング厚さは2-9μmであり、かつ前記κ-Al2O3多層は、5-70層のκ-Al2O3の副層を含む。この実施態様は、フライス加工又は穿孔加工による金属切削用途に適している。
【0042】
本発明の一実施態様において、総コーティング厚さは7-25μmであり、かつκ-Al2O3多層は、5-150層のκ-Al2O3の副層を含む。この実施態様は、旋削加工による金属切削用途に適している。
【0043】
本発明の一実施態様において、多層は、κ-Al2O3の副層とTiNの副層とが交互になったものからなる。TiN副層は、好ましくは(111)配向され、その結果、それに続く(0 0 l)配向されたκ-Al2O3副層への原子間距離の適切な一致をもたらす。これは、副層の配向及び残留応力に影響を与える。
【0044】
本発明の一実施態様において、基材は、超硬合金のもの又はサーメットのものである。これらの基材は、本発明のコーティングに適した硬度及び靭性を有する。
【0045】
本発明の一実施態様において、コーティングされた切削工具の基材は、4-12重量%のCo、好ましくは6-8重量%のCo、任意選択的に0.1-10重量%の、周期表のIVb、Vb及びVIb族の金属、好ましくは、Ti、Nb、Ta又はそれらの組み合わせの、立方晶炭化物、窒化物又は炭窒化物と、残部WCとを含む超硬合金からなる。
【0046】
本発明の一実施態様において、基材は、バインダー相富化表面ゾーンを有する超硬合金からなる。バインダー相富化表面ゾーンの厚さは、基材の表面から基材のコアに向かって測定される場合、好ましくは5-35μmである。バインダー相富化ゾーンは、基材のコア中のバインダー相含有量よりも少なくとも50%高いバインダー相含有量を平均して有する。バインダー相富化表面ゾーンは、基材の靱性を高める。高い靱性を有する基材は、鋼の旋削加工などの切削作業において好ましい。
【0047】
本発明の一実施態様において、基材は、立方晶炭化物を本質的に含まない表面ゾーンを有する超硬合金からなる。立方晶炭化物を本質的に含まない表面ゾーンの厚さは、基材の表面から基材のコアに向かって測定される場合、好ましくは5-35μmである。「本質的に含まない」とは、光光学顕微鏡(light optical microscope)における断面の目視分析において、立方晶炭化物が見えないことを意味する。
【0048】
本発明の一実施態様において、基材は、上記に開示されるような立方晶炭化物を本質的に含まない表面ゾーンと組み合わせた、上記に開示されるようなバインダー相富化表面ゾーンを有する超硬合金からなる。
【0049】
本発明の一実施態様において、κ-Al2O3層がコーティングの最外層である。あるいは、TiN、TiC、Al2O3及び/又はそれらの組み合わせの層など、1つ又は複数のさらなる層が多層を覆うことができる。本発明の一実施態様において、多層を覆う1つ又は複数のさらなる層は、逃げ面又はすくい面又は切れ刃又はそれらの組み合わせから除去される。
【0050】
本発明の一実施態様において、コーティングは、CVDコーティングされた層の引張り応力を解放し、表面粗さを低減するために、ブラスト処理又はブラッシングによって後処理される。
【0051】
本発明の一実施態様において、コーティングは、基材の表面に平行な00l面で高度に配向されたα-Al
2O
3層を含む。一実施態様において、α-Al
2O
3層は、CuKα線及びθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される場合、ハリスの式に従って定義されるテクスチャ係数TC(hkl)を示し、
式中、I(hkl)は(hkl)反射の測定強度(ピーク面積)であり、I
0(hkl)はICDDのPDFカード番号00-010-0173に従った標準強度であり、nは計算に使用される反射の数であり、使用される(hkl)反射は、(1 0 4)、(1 1 0)、(1 1 3)、(0 2 4)、(1 1 6)、(2 1 4)、(3 0 0)及び( 0 0 12)であり、TC(0 0 12)≧2、好ましくは>4、より好ましくは>5である。
【実施例】
【0052】
本発明の実施態様は、以下の実施例に関連してより詳細に開示されるであろう。実施例は、例示的であり、実施態様を限定するものではないと考えられるべきである。以下の実施例では、コーティングされた切削工具(インサート)が製造され、切削試験において分析され、評価された。
【0053】
6種類のコーティングが、10000個のハーフインチサイズの切削インサートを収容することができるラジアルイオン結合型(radial Ionbond type)CVD反応器(530サイズ)の中で堆積された。4種類のサンプルのうち、サンプルA及びBは本発明の例であり、サンプルC及びDは参照例である。サンプルは、ISO型形状CNMG 120408-PMを有するインサートであった。
【0054】
サンプルA-Dの基材の組成は、7.2重量%のCo、2.9重量%のTaC、0.5重量%のNbC、1.9重量%のTiC、0.4重量%のTiN及び残部WCからなる。
【0055】
層の厚さを、光光学顕微鏡(light optical microscope)において、各コーティングの断面を1000倍の倍率で調べることにより分析した。層の厚さを表1に示す。
表1.層の厚さ
【0056】
CVD堆積
約0.4μmのTiNの最初の最も内側のコーティングが、400mbar及び885℃でのプロセスにおいてすべての基材上に堆積された。48.8体積%のH2、48.8体積%のN2、及び2.4体積%のTiCl4のガス混合物を使用した。
【0057】
その後、約2μm(サンプルB)又は約8μm(サンプルA、C、D)の厚さのMTCVD TiCNを、内側のTiCN及び外側のTiCNの二工程において堆積させた。
【0058】
内側のTiCNは、3.0体積%のTiCl4、0.45体積%のCH3CN、37.6体積%のN2、及び残部H2のガス混合物中、55mbarで885℃にて約10分間堆積させた。
【0059】
外側のTiCNは、7.8体積%のN2、7.8体積%のHCl、2.4体積%のTiCl4、0.65体積%のCH3CN、及び残部H2のガス混合物中、55mbarで885℃にて堆積させた。
【0060】
MTCVD TiCN層の上には、4つの別々の反応工程からなるプロセスにより、約1μmの厚さのボンディング層を1000℃で堆積させた。
【0061】
最初に、1.5体積%のTiCl4、3.4体積%のCH4、1.7%のHCl、25.5体積%のN2、及び67.9体積%のH2のガス混合物を使用して、HTCVD TiCNを400mbarで堆積させた。
【0062】
次の三工程はすべて70mbarで堆積させた。最初の(TiCNO-1)では、1.5体積%のTiCl4、0.40体積%のCH3CN、1.2体積%のCO、1.2体積%のHCl、12.0体積%のN2、及び残部H2のガス混合物を使用した。次の工程(TiCNO-2)では、3.1体積%のTiCl4、0.63体積%のCH3CN、4.6体積%のCO、30.6体積%のN2、及び残部H2のガス混合物を使用した。最後のボンディング層の工程(TiN)では、3.2体積%のTiCl4、32.3%体積%のN2、及び64.5体積%のH2のガス混合物を使用した。
【0063】
後続のAl2O3核生成の開始に先だって、サンプルA、B、及びCのボンディング層は、CO2、CO、N2、及びH2の混合物中で4分間酸化された。サンプルDでは、酸化は行われなかった。
【0064】
サンプルA、B、Cでは、約1μmのα-Al2O3層を、二工程において1000℃及び55mbarでボンディング層の上に堆積させた。第1の工程は、1.2体積%のAlCl3、4.7体積%のCO2、1.8体積%のHCl、及び残部H2のガス混合物を含んでおり、第2の工程は、1.2体積%のAlCl3、4.7体積%のCO2、2.9体積%のHCl、0.58体積%のH2S、及び残部H2のガス混合物を含んでいた。
【0065】
サンプルCでは、約0.1μmのTiN層を、57.5体積%のH2、41.1体積%のN2、及び1.4体積%のTiCl4のガス混合物中、1000℃及び55mbarで、α-Al2O3層の上に堆積させた。このTiN層の上に、κ-Al2O3層を、1000℃及び55mbarでの二工程において堆積させた。第1の工程は、2.3体積%のAlCl3、4.6体積%のCO2、1.7体積%のHCl、及び残部H2のガス混合物を含んでおり、第2の工程は、2.2体積%のAlCl3、4.4体積%のCO2、5.5体積%のHCl、0.33体積%のH2S、及び残部H2のガス混合物を含んでいた。第1のκ-Al2O3プロセス工程は10分間実行され、第2の工程は、総κ-Al2O3層厚さが4.0μmになるように調整された。
【0066】
サンプルA及びBでは、上記の3つのプロセス工程(TiN、第1のκ-Al2O3プロセス、第2のκ-Al2O3プロセス)を6回繰り返して、TiN/κ-Al2O3多層を形成した。両方のサンプルにおいて、TiN副層について、サンプルCにおけるものと同じ厚さを使用した(約0.1μm)。κ-Al2O3多層については、サンプルCに対するものと同じプロセス時間(10分)が、繰り返される工程の第1のκ-Al2O3プロセス工程に使用された。第2の工程のプロセス時間は、TiN/κ-Al2O3多層の総厚さがそれぞれ4.6μm(サンプルA)及び2.8μm(サンプルB)となるように調整された。
【0067】
サンプルDでは、4.8μmのκ-Al2O3を、ボンディング層上に直接堆積させた。κ-Al2O3は、サンプルA、B、及びCについて記載したのと同じガス混合物を使用して2つのプロセス工程において堆積させた。第1の工程は10分間実行され、第2の工程は総κ-Al2O3厚さが4.8μmとなるように調整された。
【0068】
XRD分析
κ-Al2O3多層のテクスチャを調査するために、X線回折を、PIXcel検出器を備えたパナリティカル(PANalytical)のCubiX3回折計を使用して、逃げ面上で行った。コーティングされた切削工具をサンプルホルダー内に取り付けて、サンプルの逃げ面がサンプルホルダーの基準面に対して平行であること、及び逃げ面が適切な高さにあることを確実にした。Cu-Kα線を、45kVの電圧及び40mAの電流で測定に使用した。1/2度の散乱線除去スリット及び1/4度の発散スリットを使用した。コーティングされた切削工具からの回折強度を、15°から140°までの2θの範囲内で、すなわち7.5°から70°までの入射角θの範囲にわたって測定した。
【0069】
XRDディフラクトグラムにおけるピーク強度が与えられた。サンプルA及びサンプルDからのディフラクトグラム(補正の適用なし)をそれぞれ
図3及び
図4に示す。
図3において、{0 0 l}面に由来するピークは、(0 0 2)、(0 0 4)、及び(0 0 6)面に対してそれぞれ2θ=19.85°、40.33°、及び62.24°で強い強度を示している。ICDDのPDFカード番号00-052-0803と比較して、これらのピークは、(0 0 2)、(0 0 4)、及び(0 0 6)面でそれぞれ11%、8%、及び7%の強度を有すると予想される。PDFカード00-052-0803に従うと最も強いピークは(1 1 2)であり、これは
図3においてほとんど観察できない。PDFカード00-052-0803において2番目に強いピークは(0 1 3)であり、これは
図3において弱いピークとして観察することができる。サンプルAのκ-Al
2O
3多層は、表面と平行な{0 0 l}面による強いテクスチャを示している。
図4において、(1 1 2)面及び(0 1 3)からの反射がはっきりと見える。サンプルのκ-Al
2O
3副層のテクスチャ及びこれらのピークの強度を決定するために使用されたκ-Al
2O
3ピークの2θ値を表2に示す。
表2.κ-Al
2O
3のXRDディフラクトグラムからのピーク強度(ピーク面積)。最強のκ-Al
2O
3ピークが強度100.0に設定されるように正規化されている。
【0070】
TiCN層及びα-Al
2O
3層のテクスチャも調査した。テクスチャ係数TC(hkl)は、CuKα線及びθ-2θスキャンを使用したX線回折によって測定された。ハリスの式
が計算に使用され、式中、I(hkl)は(hkl)反射の測定強度(ピーク面積)であり、I
0(hkl)は標準強度であり、nは計算に使用される反射の数であり、(hkl)は使用される反射である。TiCN層及びα-Al
2O
3層のテクスチャ解析において、薄膜補正及び被覆層における吸収の補正について補正された。多層における吸収に起因する補正は、TiNの6つの副層とκ-Al
2O
3の6つの副層の厚さをまとめることによって一般化され、あたかも1つのTiN層と1つのκ-Al
2O
3層だけが調査の層を覆っているかのように計算された。
【0071】
TiCN層について、ICDDのPDFカード番号42-1489が使用され、反射の数は7であり、使用された(hkl)反射は、(1 1 1)、(2 0 0)、(2 2 0) 、(3 1 1)、(3 3 1)、(4 2 0)、及び(4 2 2)であった。TiCN層に対して薄膜補正が適用され、上側の層、すなわちα-Al2O3層、κ-Al2O3副層、及びTiN副層における吸収についてデータが補正された。結果を表3に示す。
【0072】
α-Al
2O
3層について、ICDDのPDFカード番号00-010-0173が使用され、反射の数は8であり、使用された(hkl)反射は、(1 0 4)、(1 1 0)、(1 1 3)、(0 2 4)、(1 1 6)、(2 1 4)、(3 0 0)、及び(0 0 12)であった。α-Al
2O
3層に対して薄膜補正が適用され、上側の層、すなわちκ-Al
2O
3副層及びTiN副層における吸収についてデータが補正された。結果を表4に示す。
表3.TiCNのテクスチャ係数。
表4.α-Al
2O
3のテクスチャ係数。
【0073】
摩耗試験
ISO型CNMG120408のコーティングされた切削インサートの耐クレータ摩耗性を、以下の切削データを使用して、軸受鋼(Ovako 825B)における長手方向旋削において評価した。
切削速度、vc:220m/分
切削送り、f:0.3mm/回転
切削深さ、ap:2mm
【0074】
冷却用に水混和性の金属加工油剤を使用した。
【0075】
各インサートは2分間隔で試験され、クレータ摩耗はブレークごとに測定された。コーティングの下の基材が最初に露出したときに、インサートの寿命に達したと見なされた。2つの試験の寿命を表5に示す。
表5.摩耗の結果
【0076】
試験2におけるサンプルAについて、基材は露出していないが44分後に試験が終了したため、寿命は>44分と示されている。
【0077】
切削試験から、00l配向されたサンプルA及びサンプルCは、軸受鋼における長手方向旋削において、サンプルDよりも高い耐クレータ摩耗性を示すと結論付けることができる。サンプルA及びサンプルCのコーティングにおける1μmのα-Al2O3層だけでは、サンプルDと比較して耐摩耗性における大きな違いを説明することはできない。したがって、κ-Al2O3の高い00l配向は有利であると考えられる。サンプルAはサンプルCよりも性能が優れており、これらのコーティング間の違いは、サンプルAはκ-Al2O3多層を有し、一方サンプルCは単一のκ-Al2O3層を有することである。したがって、良好に配向された00l-κ-Al2O3多層を有するサンプルAは、試験において最高の性能を発揮するサンプルである。
【0078】
本発明をさまざまな例示的実施態様に関連して記載したが、本発明は開示された例示的実施態様に限定されるものではなく、それどころか、添付の特許請求の範囲内のさまざまな修正及び均等な構成を網羅することを意図していることを理解されるべきである。さらに、本発明の任意の開示された形態又は実施態様は、設計上の選択の一般的事項として、任意の他の、開示され又は記載され又は提案された形態又は実施態様に組み込むことができることを認識されるべきである。したがって、本明細書に添付された添付の特許請求の範囲によって示されるようにのみ制限されるべきであることを意図している。